説明

映像表示装置及び基板間接続検査方法

【課題】映像表示装置の内部に存在する基板間の接続を検査するに際し、大掛かりな設備や検査の人件費も必要とせずに簡易に接続の有無を判定する。
【解決手段】映像信号入力部11から入力されたコンポジット信号、Y/C分離信号、コンポーネント信号を、映像処理回路12の各入力信号に対応する信号処理回路へ出力するか、映像処理回路12の輝度信号処理部24へ出力するかを切り換える切換回路22を備える。基板間接続検査時には映像信号入力部11の各端子からランプ信号を入力し、切換回路22はそれを順次輝度信号処理部24へ出力するよう切り換える。輝度信号処理部24は、ランプ信号に対する逆ランプ信号を発生させ、ランプ信号と逆ランプ信号とを1/2ずつの比率でαブレンディングし、その信号レベルを検出し、マイコン14はαブレンディング信号がランプ信号のピークレベルの1/2のレベルに対して所定の範囲内のレベルをもつかを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像表示装置及び基板間接続検査方法に関し、より詳細には、内部基板間の接続検査を容易に行うことが可能な映像表示装置、及び映像表示装置の内部に存在する基板間の接続を検査するための基板間接続検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビジョン受像機やパーソナルコンピュータ(PC)用のモニタ等の映像表示装置に組み込まれる個々の基板は、他種の装置に組み込まれるものと同様に、製造工程においてチェッカにて基板内信号伝送の確認が行われる。
【0003】
個々の基板の信号伝送確認に関し、簡単な構成でセンサ入力型のプリント基板とスイッチ入力型のプリント基板のいずれに対しても動作試験を行うことができるプリント基板の検査装置が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1に記載の検査装置では、センサ入力型のプリント基板の検査時には、スイッチにより基準電位回路を選択し、基準電位回路から所定の基準電位を生成して中間点に出力させる一方、制御部によりD/A変換器からセンサ入力型プリント基板の動作試験に必要な入力信号の電位を出力させ、この状態で、複数の入力端子用スイッチを適宜切り替える。一方、スイッチ入力型のプリント基板の検査時には、スイッチによりグラウンドを選択し、制御部によりD/A変換器からHレベルに相応する所定の電位を生成して出力させ、この状態で、複数の入力端子用スイッチを適宜切り替える。
【0004】
同じく個々の基板の信号伝送確認に関し、複数のプリント配線基板(PWB)テストを任意数まとめて一括して行うことのできるバウンダリスキャンを適用したPWBテスト装置が提案されている(例えば、特許文献2を参照)。特許文献2に記載のPWBテスト装置は、ファンクションテスタに複数のPWBを収容したラックを直接接続できるようにしている。特に、ラック内にバウンダリスキャン用のテスト配線を形成したBWB(バックワイヤリングボード)を設けてこのBWBに複数のPWBを接続し、ファンクションテスタから送出されるテストデータを、BWBを経由して各PWBに入力できるようにしている。また、各PWBにIDコードを識別する機能とパス切り替え機能を有するセレクタを設けるようにして、テスタ側でIDを指定することで、任意のPWBのテストを実施できるようにしている。
【0005】
一方で、映像表示装置の組立て時には、基板間接続(B−TO−Bやソケット/ハーネス加工品)を含めた信号伝送の確認も行われる。このような検査は、例えば基板の上側の部分までネガの下側からきちんと導通しているか、さらには基板間のワイヤに断線が無いかなどといったことを確認し、最終的に組立後の基板群がきちんと導通しているかを確認するために実行される。そして、映像表示装置のこのような検査として一番厳格なものは、当然、表示パネルに出力されてるか否かの検査である。そのような基板間接続の検査方法としては、主として仕上げ工程にて実行されており、例えば、各入力端子へ信号を接続し、表示部である画面上の画像を検査者が見て、或いはセンサによりその画像を判定することで、判断するなどしている。
【特許文献1】特開2004−333322号公報
【特許文献2】特開平11−304879号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、映像表示装置の組立て時に行われる上述のごとき基板間接続検査方法では、自動検査化にはセンサなどの設備が大掛かりとなる上にコストがかかり、そのような設備を設けない場合であっても、検査用の人件費が嵩むこととなる。
【0007】
また、映像表示装置の各入力端子部から信号処理部までの信号路を検査する場合において、デジタル信号処理系では、コンポジット信号やY/C信号では輝度信号の概略レベルや同期検出の有無及びACCのレベル等での判定が可能だが、コンポーネント信号においては輝度信号を除いて前述のような判定も難しい。
【0008】
本発明は、上述のごとき実情に鑑みてなされたものであり、映像表示装置の内部に存在する基板間の接続を検査するに際し、大掛かりな設備や検査の人件費も必要とせずに簡易に接続の有無を判定することが可能な、映像表示装置及びその映像表示装置における基板間接続検査方法を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述のごとき課題を解決するために、以下の各技術手段でそれぞれ構成される。
【0010】
第1の技術手段は、外部より入力された映像信号に対して映像処理を施す映像処理回路を備え、該映像処理回路で映像処理された信号を表示する映像表示装置において、コンポジット信号、Y/C分離信号、及びコンポーネント信号の各入力信号を入力し、前記映像処理回路に設けられた各入力信号に対応する信号処理回路へ出力するか、前記映像処理回路に設けられた輝度信号処理回路へ出力するかを切り換える切換回路を備え、該切換回路は、当該映像表示装置の内部に存在する基板間の接続を検査するに際し、前記各入力信号としてランプ信号を入力し、該ランプ信号を順次前記輝度信号処理回路へ出力する切り換えを行い、前記輝度信号処理回路は、基板間接続検査用に前記切換回路を介して入力されるランプ信号に対し、逆ランプ信号を発生させる逆ランプ信号発生手段と、前記入力されたランプ信号に対し、該ランプ信号と前記逆ランプ信号発生手段で発生させた逆ランプ信号とを1/2ずつの比率でアルファブレンディングして出力するブレンディング手段と、該ブレンディング手段でブレンディングされた信号が、前記ランプ信号のピークレベルの1/2のレベルに対して所定の範囲内のレベルをもつかを判定するレベル判定手段とを備えることを特徴としたものである。
【0011】
第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記レベル判定手段は、前記ランプ信号におけるランプ波形の両端の所定部分を除いてレベル判定を行うことを特徴としたものである。
【0012】
第3の技術手段は、映像表示装置の内部に存在する基板間の接続を検査する基板間接続検査方法であって、前記映像表示装置は、外部より入力された映像信号に対して映像処理を施す映像処理回路と、コンポジット信号、Y/C分離信号、及びコンポーネント信号の各入力信号を入力し、前記映像処理回路に設けられた各入力信号に対応する信号処理回路へ出力するか、前記映像処理回路に設けられた輝度信号処理回路へ出力するかを切り換える切換回路を備え、当該基板間接続検査方法は、前記各入力信号としてランプ信号を入力するステップと、該ランプ信号を順次前記輝度信号処理回路へ出力する切り換えを前記切換回路で行うステップと、基板間接続検査用に前記切換回路を介して前記輝度信号処理回路に入力されるランプ信号に対し、逆ランプ信号を発生させるステップと、前記入力されたランプ信号に対し、該ランプ信号と前記発生させた逆ランプ信号とを1/2ずつの比率でアルファブレンディングするステップと、該ブレンディングさた信号が、前記ランプ信号のピークレベルの1/2のレベルに対して所定の範囲内のレベルをもつかを判定するステップとを含むことを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、映像表示装置の内部に存在する基板間の接続を検査するに際し、大掛かりな設備や検査の人件費も必要とせずに簡易に接続の有無を判定することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係る映像表示装置の一構成例を示すブロック図で、図2は、図1の映像表示装置における切換回路の一例を示す配線図である。図1及び図2において、1は映像表示装置、11は映像信号入力部、11aはコンポジット信号入力端子、11bはY/C信号入力端子、11cはコンポーネント信号入力端子、12は映像処理回路、13は液晶パネルやプラズマディスプレイパネル等の表示パネル、14はマイクロコンピュータ(以下、マイコンという)、14aはレベル判定部、15は操作部、21はADコンバータ、22は切換回路、23はY/C分離部、24は輝度信号処理部、24aはパターン信号発生部、24bはαブレンディング部及びレベル検出部、25は色信号処理部、26は画質補正部、27はパネル信号処理部である。
【0015】
また、図3は、本発明の基板間接続検査に用いるランプ信号、そのランプ信号に対応する逆ランプ信号、並びにそれら信号のαブレンディング処理について、概略的に例示する図で、図中、31はランプ信号、32は逆ランプ信号、33はブレンディングの対象となる信号、34はαブレンディング後の信号である。なお、図3では、説明上、信号例をアナログ的な波形として図示しているが、実際にはランプ信号31以外は波形ではなくデジタルデータである。
【0016】
本発明に係る映像表示装置1は、コンポジット信号入力端子、Y/C信号入力端子、及びコンポーネント信号入力端子の少なくとも3系統の外部入力端子を有する映像信号入力部11を備える。映像信号入力部11の一つとしては、放送信号を受信するチューナ等の入力部(図示せず)も備えてもよい。そして、映像表示装置1は、映像信号処理IC等の映像処理回路12を備え、映像処理回路12で映像処理された信号を表示パネル13等の表示部に表示する。
【0017】
映像処理回路12は、映像信号入力部11から入力された映像信号、すなわち映像処理回路12の外部より入力された映像信号に対して、映像処理を施す。従って、映像表示装置1は、放送信号を受信してその信号を復調して映像信号として映像処理回路12に入力するか、外部入力端子11a〜11cのいずれかから入力された信号を映像処理回路12に入力する。そして、映像処理回路12に入力された各入力信号は、本発明に係る基板間接続検査時以外には、各入力信号に対応する信号処理回路に入力され、各信号処理回路を通過する。
【0018】
この信号処理回路としては、入力信号が輝度信号である場合には輝度信号処理回路(主たる部分を輝度信号処理部24として図示)が該当し、その他の信号である場合には、詳細に図示していないがY/C分離部及び色信号処理回路(Y/C分離部23及び色信号処理部25として図示)が該当する。なお、本発明で基板間接続検査に用いる輝度信号処理部24としては、コンポジット信号入力端子11aから入力されたY/C分離後のY信号、及びY/C信号入力端子11bから入力されたY/C信号(セパレート映像信号)のうちのY信号、及びコンポーネント信号入力端子11cから入力されたコンポーネント信号のうちのY信号を処理する処理部である。
【0019】
ADコンバータ21は、入力されたアナログの映像信号をデジタルの映像信号に変換して出力するコンバータである。また、ADコンバータ21は、映像処理回路12に外付けされていても内蔵されていてもよい。
【0020】
本発明の主たる特徴として、映像表示装置1は、映像処理回路12に切換回路22を備えるものとする。切換回路22は、図示したように一般的に映像処理回路12の内部に組み込まれているが、輝度信号処理部24やY/C分離部23及び色信号処理部25を施す部位の前段に設けられていれば映像処理回路12に外設されていてもよい。なお、図1では、ADコンバータ21及び切換回路22は映像処理回路12のブロック内に混在させるように、例えば1つのLSIに包含されている例を示している。
【0021】
切換回路22は、コンポジット信号、Y/C分離信号、及びコンポーネント信号の各入力信号を入力し、映像処理回路12に設けられた各入力信号に対応する各信号処理回路(Y/C分離部23、輝度信号処理部24、色信号処理部25)へ出力するか、本発明に係る基板間接続検査用に映像処理回路12に設けられた輝度信号処理回路(輝度信号処理部24)へ出力するかを切り換える回路である。すなわち、切換回路22においては、上述した通常時(本発明の基板間接続検査時以外の場合)には前者への出力となり、本発明の基板間接続検査時には後者への出力となる。
【0022】
切換回路22は、図2で例示するようにクロス切換可能な回路とすることが好ましい。図2で例示する切換回路22では、基板間接続の検査時以外には、外部入力端子11a〜11cから入力された各要素信号が、映像処理回路12における対応する信号処理部の処理ラインに入力されるように、入力端子A(CVBS),B(Y),D(Y)が映像処理回路12の入力端子G(CVBS/Y:輝度信号処理部25の入力端子)に、入力端子C(C)が入力端子Hに、入力端子E(Cb)が入力端子Iに、入力端子F(Cr)が入力端子Jに、それぞれ接続されるようにスイッチングされるものとする。そして、本発明に係る基板間接続検査の実行時には、入力端子A,B,C,D,E,Fのそれぞれが、順次、映像処理回路12の入力端子G(CVBS/Y)に接続されるように、スイッチングされる。
【0023】
また、図2においてクロススイッチで表現しているのは、パターン設計を含め自由度があり、入力をどのように設定しても差し支えがないようにするためであり、最近の映像処理回路12ではこのようなクロススイッチが装備されていることが多い。しかしながら、本発明における切換回路22としては、このようなクロススイッチでなくても、正規の後段処理回路へのルートと輝度信号処理回路へのルートが切り替え可能になっていれば問題ない。切換回路22は、輝度信号処理部24へ入力される信号(ランプ信号)の入力経路を、ソフト的或いはハード的に順次切り換える。つまり、切換回路22はハードウェア資源のみで構成されるとは限らず、実際の切り換えは、マイコン14等からの命令に基づき、ソフト的に実行するとよい。
【0024】
本発明の主たる特徴として、映像処理回路12を含む映像表示装置1の内部に存在する基板間の接続を検査するに際し、入力信号として図3の符号31で例示するランプ(RAMP)信号、すなわち三角波の信号を用いる。なお、図3において、ランプ信号31は外部入力信号として入力されるアナログのランプ信号の例であり、信号32−34は直線状に描いているが、実際には処理内部でのデジタル信号であり、サンプリング毎に階段状となっている。なお、ランプ信号31において「1H」は、表示パネル13の水平1ラインに対応する期間を指している。
【0025】
ランプ信号を用いる最大の理由は、外部入力信号と内部発生信号を内部で加算演算する場合に、ADC21での取り込み位相差(サンプリングタイミング)による時間軸方向のズレによるデジタル的なエラーが少ないためである。なお、階段波のような信号ではステップの切り替わりポイントでの演算時のエラーが大きく出やすくなって適さないが、ランプ波形では両端部分のみで1H内の信号中間部分には微少なエラーしか出ない。また、色(クロマ)信号成分を持たないランプ信号を用いれば基本的にY信号と同一と見なせ、映像処理回路12内では、ランプ信号を輝度信号処理部24で処理することができる。ランプ信号として1つの信号を用いる方が好ましい理由としては、後述するように逆ランプ信号を発生させる必要があり、その逆ランプ信号を多く記憶させておく必要性を無くすためである。
【0026】
映像表示装置1における映像信号入力部11で入力されてくる信号としては、図2の例でいうとコンポジット信号(CVBS)で入力される場合や、輝度信号(Y)と色(クロマ)信号(C)で入力される場合、或いはコンポーネント信号(YCbCr)で入ってくる場合など、様々であり、厳密に表示パネル13での表示を検査するには本来であるとこれらの信号を入力してみて実際に表示される映像が問題ないかを確認する必要がある。しかしながら、本発明で取り扱っている基板間接続の検査では、表示パネル13の画面を見て判定する必要はなく、上述のごとき各種信号が入力され処理される信号ラインのそれぞれが確実に接続されているか、例えば映像処理回路12内の複数の基板及びマイコン14や図示しない階調ICなどの基板間が確実に接続されているかを確認できればよい。従って、本発明では、基板間の接続を検査するに際し、各入力端子A〜Fに入力信号としてランプ信号が入力され、切換回路22は、G(CVBS/Y)端子の入力元を、順次各入力端子A〜Fに切り換えることで、G端子から輝度信号処理部24へ入力されるランプ信号の入力経路を、ソフト的或いはハード的に順次切り換える。このように、本発明では、基本的に1つの検査用信号(ランプ信号)を用いて映像処理回路12内では輝度信号処理部24だけを通過させて、入力端子11a〜11cから輝度信号処理回路12の前段の経路及びマイコン14との経路を検査している。
【0027】
このように、基板間接続検査時であっても、通常時と同様に外部入力端子11a〜11cから映像処理回路12の各コンポジット、Y/C、コンポーネント入力端子まではそれぞれの信号ラインを通過させるが、基板間接続検査時には、映像処理回路12内部での入力切替制御(切換回路22)以降は輝度信号処理ラインのみを活用する。映像処理回路12としては各ユニットは基板に各部品実装及び半田付けされたのち、基板ユニット単独での動作試験として基板チェッカ等にて検査されているので、映像処理回路12内のクロマ、Cb、及びCrの各信号ラインは接続検査を実行しなくても全く問題ない。さらに、映像処理回路12から表示パネル13までは、仕上げ最終確認での人による検査(チューナ入力信号による映像のビートや音声のビビリ等の確認)時にチェックされることになるので問題ない。
【0028】
そして、本発明の特徴として、映像表示装置1は、輝度信号処理部24の内部に、逆ランプ信号発生手段、ブレンディング手段、及びレベル判定手段を備えるものとする。これらの手段は、映像処理回路12やマイコン14などにおいて、ハードウェア及びファームウェアなどとして組み込むとよい。
【0029】
逆ランプ信号発生手段は、基板間接続検査用に切換回路22を介して入力するランプ信号に対する逆ランプ信号を発生させる手段であり、映像処理回路12内のパターン信号発生部24aで例示している。パターン信号発生部24aは、予め記憶しておいた、逆ランプ信号32で例示するような逆ランプ信号を、マイコン14等の命令に基づき発生させる。ここで発生させる信号は、基板間接続検査用に入力することを予定しているランプ信号に対する逆ランプ信号である。
【0030】
ブレンディング手段は、入力されたランプ信号に対し、輝度信号処理内部においてそのランプ信号と逆ランプ信号発生手段で発生させた逆ランプ信号とを50%の比率でαブレンディングして、ブレンディング後のレベルを検出する。αブレンディング部24bでは、切換回路22から入力されたランプ信号31及びパターン信号発生部24aで発生させた逆ランプ信号32を、各々信号レベル50%とし(信号33を参照)、それらを重ね合わせて信号34で例示するような略フラットな信号とする。ここで、後述するように現在検査している信号ラインにおける基板間接続が不良であった場合には、フラットな信号とならない。
【0031】
レベル判定手段は、ブレンディング手段でブレンディングされた信号が、ランプ信号のピークレベルの1/2のレベルに対して所定の範囲内のレベルをもつかを判定する手段であり、マイコン14内のレベル判定部14aで例示している。レベル判定部14aは、αブレンディング部及びレベル検出部24bでブレンディング及び信号の最大値及び最小値を検出し、そのいずれもが、ランプ信号のピークレベルの1/2のレベルに対して所定の範囲内(1/2レベルを挟む所定範囲内)のレベルをもつかを判定する。
【0032】
すなわち、レベル判定部14aでは、入力されるランプ信号のピークレベル(発生させる逆ランプ信号のピークレベル)の1/2レベルの上限及び下限を設定しておき、αブレンディング後の信号がその上限と下限との間の範囲に収まっているかを判定する。波形例34で示す例では、全てフラットな信号となっており、レベル判定部14aで基板間接続確認OKといった判定がなされるようなものであるが、そうでない場合(接続不良の場合)にはフラットな信号とならず、一部の値が高かったり低かったりする信号となる。このようにして、簡単に、入力信号通りのものが映像表示装置1の内部を伝わってきてるか否かといった判定が可能となる。
【0033】
なお、レベル判定部14aによるレベル判定の結果を様々な方法で検査者に提示するようにしてもよい。例えば、基板間接続に問題がなければ、音無しで検査ラインを通過させ、問題があれば警告音を鳴らすか或いは警告ランプを検査ライン上に発するなどしてもよい。
【0034】
また、マイコン14は、パターン信号発生部24a及びαブレンディング部及びレベル検出部24b(及びレベル判定部14a)を機能させるように、映像処理回路12に検査開始命令を伝送すると共に、切換回路22に対しても切換命令を発することとなる。命令のタイミングは、映像表示装置1が基板間接続検査モードに入ったときに設定しておけばよい。さらに、マイコン14は、各要素信号ラインへの切り換え毎にパターン信号の発生、並びにαブレンディング及びレベル判定を実行させるような命令を発するようにするとよい。
【0035】
図4は、本発明の基板間接続検査方法の処理手順の一例を説明するためのフロー図である。図4及び図3を主として参照して、上述のごとき映像表示装置1の内部に存在する基板間の接続を検査する方法を例示する。
【0036】
本発明に係る基板間接続検査方法では、上述のごとく、映像処理回路12の入力部に入力と出力がクロス切換可能(全ての入力と出力を接続切換え可能)な回路などの切換回路22を内蔵させておく。そして、まず、外部入力端子11a〜11cの一端子から入力信号としてランプ信号を入力する(ステップS1)。映像処理回路12の輝度信号処理部25へ入力されることとなるこのランプ信号は、ランプ信号31で例示のごとき正規のランプ信号であり、ここではランプ信号Aという。
【0037】
そして、映像処理回路12(デジタル信号処理回路)の内部にてパターン信号を発生させる(ステップS2)。発生させるパターン信号は、ランプ信号Aの逆波形で、処理が実行し易いように逆ランプ信号としており、ここでは逆ランプ信号Bという。次に、ランプ信号Aと逆ランプ信号Bとを約50%−50%の比率でαブレンディングする(ステップS3)。このように、外部から加える信号と内部で発生させる信号を約50%でαブレンディングすることで、信号を判定のし易い形にする。αブレンディングされた信号は、映像処理回路12の輝度信号処理部24内でレベル検出され、そのデータがマイコン14に送られる。
【0038】
次に、レベル判定部14aがこの信号データのレベルを判定する(ステップS4)。ステップS4では、ブレンディングされた信号が、ランプ信号のピークレベルの1/2のレベルに対して所定の範囲内のレベルをもつかを判定する。αブレンディングされた信号は正常ならランプ信号のピークレベルの1/2のレベルで、フラットな信号となる。この信号の最大値/最小値を検出し、ランプ信号のピークレベルの1/2のレベルからのある規定値範囲内に入っているかどうかで、信号が正常に伝達させているかどうかを判定する。コンポーネント入力時にはCb/Crの色差信号の替わりに、3系統共にランプ信号を入力し、順次入力部切換え回路にて輝度信号処理回路へ出力されるように切り替えることにより、上述した処理と同様の処理を行う。また、レベル判定部14aは、1〜数クロック分ランプ信号と逆ランプ信号とがズレる場合を想定して、ランプ信号におけるランプ波形の両端の所定部分を除いてレベル判定を行うようにしてもよい。
【0039】
ステップS4に続き、映像信号入力部11の各入力端子11a〜11cから入力した信号が例えば図2での入力端子A〜Fに入力され順次信号ラインのレベル判定が終了したか否かを判定し(ステップS5)、終了していれば基板間接続検査を終了する。一方、終了していない場合には、切換回路22にてランプ信号Aを次の要素信号に対応する入力部へ出力する切り換えを実行し(ステップS6)、ステップS2(或いはステップS3)へ戻る。
【0040】
ここで、本発明では、デジタルサンプリングした時のタイミングバラツキを考慮して、入力信号としてランプ信号を、発生信号として逆ランプ信号をそれぞれ採用している。つまり、ランプ信号であれば、ズレた場合でも1クロック分ぐらいの差であれば、8bitあれば256階調のうち、たかだか1階調や2階調ぐらいのズレしか起こらない。従って、上述のレベル判定に用いる上限・下限のスレッシュとしては、1階調や2階調ぐらいのものをもたせておけばよく、基板間接続にエラーがなければその範囲内に収まることとなる。
【0041】
なお、信号処理系がデジタル系でなく、映像処理回路12の内部で作る信号パターンがアナログ処理の場合には、当然、信号もアナログで作らないといけないが、バラツキがあるため比較・演算に向いていない。従って、本発明を適用できるのはデジタル信号処理系に限るものとする。また、デジタルなので、例えば1垂直ライン期間の各水平ラインの映像で、最大値や最小値の有無は、簡単に算出できるので、そのデータをマイコン14側にもってくれば、レベル判定部14aにて自身が保持している上限・下限を超えているか否かのチェックが容易に且つ映像表示装置1の中だけで可能となる。
【0042】
上述のごとく本発明では、本来入力すべき正規信号ではなく各入力へランプ信号を入力し、これら入力された信号は全て後段の輝度信号処理回路へ信号が伝達されるように切換回路にて順次切り替える。そして、輝度信号処理系にてアルファブレンディングされ、映像処理回路からその最大値/最小値を読み出してきて、ある規定値範囲内に入っているかどうかの判定ですむため、製品内部のマイコンにて処理できる。また、本発明では、基板には端子が多く存在し、基板上の未チェックの部分(チェッカラウンドから端子まで等)や基板同士を接続したときの端子間の接続をチェックする必要がある部分は非常に多くなり、本発明を適用することで、そのような端子の多さに関係なく容易にチェックが可能となる。また、上述した輝度信号の概略レベルや同期信号の有無等と組み合わせることにより、より精度の高い検査を行うことも可能となる。
【0043】
このように、本発明によれば、映像表示装置の内部に存在する基板間の接続を検査するに際し、入力信号が基板間接続部を含め正常に伝送されていることを大掛かりな設備や検査の人件費も必要とせずに簡易に判定することが可能となる。すなわち、本発明によれば、映像表示装置内部の基板間接続の自動検査化(無人化)が大掛かりにならない。
【0044】
なお、検査工程としてはどうしても画面上でのビート異常確認や音声のビビリ等と言った人が介在して行う最終検査が要求される項目があり、この時点で映像処理回路から表示パネルまでの接続確認がされることとなる。従って、本発明では、信号処理的に同一通過回路部分までを画面表示を割愛して簡易的に検査しており、この検査と上述の最終検査をあわせることにより、各外部入力からの信号も表示パネルまで正常に伝わっているかどうかが判定できることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施形態に係る映像表示装置の一構成例を示すブロック図である。
【図2】図1の映像表示装置における切換回路の一例を示す配線図である。
【図3】本発明の基板間接続検査に用いるランプ信号、そのランプ信号に対応する逆ランプ信号、並びにそれら信号のαブレンディング処理について、概略的に例示する図である。
【図4】本発明の基板間接続検査方法の処理手順の一例を説明するためのフロー図である。
【符号の説明】
【0046】
1…映像表示装置、11…映像信号入力部、11a…コンポジット信号入力端子、11b…Y/C信号入力端子、11c…コンポーネント信号入力端子、12…映像処理回路、13…表示パネル、14…マイクロコンピュータ(マイコン)、14a…レベル判定部、15…操作部、21…ADコンバータ、22…切換回路、23…Y/C分離部、24…輝度信号処理部、24a…パターン信号発生部、24b…αブレンディング部・レベル検出部、25…色信号処理部、26…画質補正部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部より入力された映像信号に対して映像処理を施す映像処理回路を備え、該映像処理回路で映像処理された信号を表示する映像表示装置において、
コンポジット信号、Y/C分離信号、及びコンポーネント信号の各入力信号を入力し、前記映像処理回路に設けられた各入力信号に対応する信号処理回路へ出力するか、前記映像処理回路に設けられた輝度信号処理回路へ出力するかを切り換える切換回路を備え、
該切換回路は、当該映像表示装置の内部に存在する基板間の接続を検査するに際し、前記各入力信号としてランプ信号を入力し、該ランプ信号を順次前記輝度信号処理回路へ出力する切り換えを行い、
前記輝度信号処理回路は、基板間接続検査用に前記切換回路を介して入力されるランプ信号に対し、逆ランプ信号を発生させる逆ランプ信号発生手段と、前記入力されたランプ信号に対し、該ランプ信号と前記逆ランプ信号発生手段で発生させた逆ランプ信号とを1/2ずつの比率でアルファブレンディングして出力するブレンディング手段と、該ブレンディング手段でブレンディングされた信号が、前記ランプ信号のピークレベルの1/2のレベルに対して所定の範囲内のレベルをもつかを判定するレベル判定手段とを備えることを特徴とする映像表示装置。
【請求項2】
前記レベル判定手段は、前記ランプ信号におけるランプ波形の両端の所定部分を除いてレベル判定を行うことを特徴とする請求項1に記載の映像表示装置。
【請求項3】
映像表示装置の内部に存在する基板間の接続を検査する基板間接続検査方法であって、前記映像表示装置は、外部より入力された映像信号に対して映像処理を施す映像処理回路と、コンポジット信号、Y/C分離信号、及びコンポーネント信号の各入力信号を入力し、前記映像処理回路に設けられた各入力信号に対応する信号処理回路へ出力するか、前記映像処理回路に設けられた輝度信号処理回路へ出力するかを切り換える切換回路を備え、当該基板間接続検査方法は、前記各入力信号としてランプ信号を入力するステップと、該ランプ信号を順次前記輝度信号処理回路へ出力する切り換えを前記切換回路で行うステップと、基板間接続検査用に前記切換回路を介して前記輝度信号処理回路に入力されるランプ信号に対し、逆ランプ信号を発生させるステップと、前記入力されたランプ信号に対し、該ランプ信号と前記発生させた逆ランプ信号とを1/2ずつの比率でアルファブレンディングするステップと、該ブレンディングさた信号が、前記ランプ信号のピークレベルの1/2のレベルに対して所定の範囲内のレベルをもつかを判定するステップとを含むことを特徴とする基板間接続検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−174257(P2007−174257A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−369041(P2005−369041)
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】