説明

映像表示装置

【課題】字幕信号を含む映像信号が入力されるテレビジョン受信機などの映像表示装置において、視聴者が自らのレベルに応じて漢字にふりがなを付与できるようにすることを目的とする。
【解決手段】字幕信号を含む映像信号を受信するチューナー2と、このチューナー2に入力される映像信号から字幕信号を分離するための信号分離部3と、この信号分離部3で分離した字幕信号から文字を選択して必要な漢字にふりがなを付加する字幕処理部5と、ふりがなを付加するための漢字について所定のレベル単位に分類分けして記憶したメモリ7とを有し、前記字幕処理部5は、視聴者のレベル選択に応じて、前記メモリ7からデータを読み出し、必要な漢字にふりがなを付加するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル放送を受信するテレビジョン受信機などの映像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタル放送を受信するテレビジョン受信機においては、具体的な先行技術文献は見当たらないが、一般的には放送局から字幕信号が付加されて送られてくる映画などの映像信号に対して、送られてきた情報をそのままデコードして忠実に表示している。
【0003】
ところで、日本語という言語は、ひらがな、カタカナ、漢字というようにあらゆる表現方法があり、他の言語に比べて難しいとされる。特に日本語を学ぼうとする外国人にとって、漢字は日本語学習の大きな壁となっている。また、日本人であっても幼い子供であれば読めない漢字が多数存在する。
【0004】
このような日本語による字幕が付加された番組内容を視聴する場合、視聴者によっては全ての字幕を読むことができない場合があるため、放送局側でふりがな付きの字幕を送出することが行われているが、全ての漢字にふりがなを付けると、逆に煩わしくなったり、日本語を学習したい人にとっては過剰なサービスとなる課題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はこのような現状に鑑みなされたもので、字幕信号を含む映像信号が入力されるテレビジョン受信機などの映像表示装置において、視聴者が自らのレベルに応じて漢字にふりがなを付与できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は、字幕信号を含む映像信号が入力される入力部と、この入力部に入力される映像信号から字幕信号を分離するための信号分離部と、この信号分離部で分離した字幕信号から文字を選択して必要な漢字にふりがなを付加する字幕処理部と、ふりがなを付加するための漢字について所定のレベル単位に分類分けして記憶したメモリとを有し、前記字幕処理部は、視聴者のレベル選択に応じて、前記メモリからデータを読み出し、必要な漢字にふりがなを付加するように構成したものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、日本語の漢字の字幕を視聴者の漢字レベルに合わせた形で提供できるようになり、子供や外国人などの漢字が読めない視聴者に対して字幕の内容理解を手助けすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の一実施の形態による映像表示装置について、図1〜図9を用いて説明する。
【0009】
図1は本発明の一実施の形態による映像表示装置の全体構成を示すブロック図であり、図2はその要部の構成を示すブロック図である。図において、1はアンテナ、2は字幕信号を含む映像信号が入力される入力部としてのデジタル放送受信用のチューナー、3はチューナー2で受信した映像信号から字幕信号を分離するための信号分離部、4はこの信号分離部3で分離された映像信号を復調するためのMPEGデコーダー部、5は前記信号分離部3で分離された字幕信号から文字を選択して必要な漢字にふりがなを付加する字幕処理部、6は視聴者がふりがなを付加したいレベルを選択するためのふりがな設定器、7はふりがなを付加するための漢字について所定のレベル単位に分類分けして記憶したメモリ、8は前記MPEGデコーダー部4と字幕処理部5からの信号を合成して表示部9に表示するための映像信号生成部である。
【0010】
また、前記字幕処理部5は、図2に示すように、字幕信号から本文5Bとふりがな5Cとに分離するふりがな分離部5Aと、再度本文5Bとふりがな5Cとを合成するふりがな合成部5Dとから構成され、視聴者のレベル選択に応じて、前記メモリ7からデータを読み出し、必要な漢字にふりがなを付加するものである。
【0011】
このような構成において、チューナー2にはアンテナ1から視聴者が選択したチャンネルの信号が入力される。チューナー2の出力は信号分離部3に送られ、信号分離部3はチューナー2から送られてくる映像信号から映像・音声データと字幕データとを分離する。映像・音声データはMPEGデコーダー部4に送られ、字幕データは字幕処理部5に送られる。
【0012】
図3は上記構成を説明するためのフローチャートである。図3に示すように、映像と分離されたふりがな付の字幕は、さらに本文とふりがなに分離される。次に、あらかじめ視聴者がふりがな表示モードを選択していない場合は、ふりがなは削除され、ふりがな無しの字幕が表示される。
【0013】
また、ふりがな表示モードを選択している場合は、字幕の変換レベル、つまりどの程度の漢字についてふりがなを付加するかのふりがな変換レベルの設定値の読み込みを行い、文の頭から漢字を検索する。次に、検索された漢字が設定されたレベル以上の漢字であるかどうか判別し、設定されたレベル以上の漢字と判別されると、ふりがな付加が必要と判断され、分離したふりがなを再び合成する。ふりがな付加が必要でないと判別された場合、ふりがな合成は行わない。その後、字幕が完了したかを判定し、完了している場合は字幕を表示し、完了していない場合は、再度上記漢字検索のフローへ戻り、再び次の漢字検索を行う。
【0014】
さらに、詳しく説明すると、ふりがな設定器6によって字幕変換モードが選択されている場合、字幕処理部5は信号分離部3から送られてきた字幕データをふりがな分離部5Aによって、本文5Bとふりがな5Cに分離し、ふりがな設定器6によって設定されたレベルに応じてふりがなが必要とされる漢字を判別する。このとき、字幕処理部5は、図4に示すようにメモリ7に格納されたレベル別の漢字レベルテーブルのデータを参照しながら判別していく。ふりがなが必要と判別された漢字に対しては、ふりがな合成部5Dによってふりがなが付加される。ふりがなが付加された字幕データは、映像信号生成部8に送られ、映像信号生成部8においてはMPEGデコーダー部4からの映像・音声と字幕が合成され、映像信号として表示部9に送られる。この結果、図5〜7に示すように、表示部9には漢字部分にふりがなが付加された字幕が表示される。
【0015】
例えば、ユーザーがふりがな設定器6によってふりがな表示モードのレベル1を選択した場合、図5のように「山」、「村」、「主」、「崇」に対してふりがなが付加され、レベル2を選択した場合、図6のように「主」、「崇」に対してふりがなが付加され、「山」、「村」は設定レベル以下の漢字であるため、ふりがなは付加されない。また、レベル3を選択した場合、図7のように「崇」に対してのみ、ふりがなが付加され、レベル4を選択した場合は該当する漢字がないため、図8のようにふりがなは付加されない。つまり視聴者が自分のレベルに合わせた形で字幕にふりがなを付加できることによって、字幕を読みながら漢字の読み方を習うことができる。
【0016】
ここで、図9に示すように設定レベルにユーザーレベルを設け、ユーザー専用の漢字レベルを設定できるようにしても良い。例えば「崇める」は読めるが、「紐」が読めないユーザーがレベル3に設定すると、「崇める」、「紐」共にふりがなが付加されてしまう。番組終了後などに、次回から「崇める」にふりがなを振らないように設定することで余計なふりがなを削除することができる。
【0017】
また、ふりがな設定器6によってふりがな非表示モードが選択された場合、字幕処理部5は信号分離部3から送られてきた字幕データをふりがな分離部5Aによって本文5Bとふりがな5Cに分離し、ふりがな合成部5Dでふりがなを付加せずに本文5Bのみを映像信号生成部8に送る。映像信号生成部8においてはMPEGデコーダー部4からの映像・音声と字幕が合成され、映像信号として表示部9に送られる。この結果、図8に示すように、表示部9には放送局から送られた字幕情報からふりがなが削除されて表示される。
【0018】
ここで、上記で説明した本実施の形態においては、図4のようにレベルを4段階に分けたが、例えば「全文字について変換する」や「中学生レベル以上の文字について変換する」としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0019】
以上のように本発明によれば、難しいとされる日本語の漢字の字幕を視聴者の漢字レベルに合わせた形で提供できるようになり、日本語の学習に有用となる映像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施の形態による映像表示装置の全体構成を示すブロック図
【図2】同装置の要部の構成を示すブロック図
【図3】同装置の動作を説明するためのフローチャート
【図4】メモリに格納された漢字レベルテーブルの一例を示す図
【図5】レベル1を選択した場合の字幕表示の例を示す説明図
【図6】レベル2を選択した場合の字幕表示の例を示す説明図
【図7】レベル3を選択した場合の字幕表示の例を示す説明図
【図8】レベル4を選択した場合の字幕表示の例を示す説明図
【図9】メモリに格納された漢字レベルテーブルの他の例を示す図
【符号の説明】
【0021】
2 チューナー
3 信号分離部
4 MPEGデコーダー部
5 字幕処理部
6 ふりがな設定器
7 メモリ
8 映像信号生成部
9 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
字幕信号を含む映像信号が入力される入力部と、この入力部に入力される映像信号から字幕信号を分離するための信号分離部と、この信号分離部で分離した字幕信号から文字を選択して必要な漢字にふりがなを付加する字幕処理部と、ふりがなを付加するための漢字について所定のレベル単位に分類分けして記憶したメモリとを有し、前記字幕処理部は、視聴者のレベル選択に応じて、前記メモリからデータを読み出し、必要な漢字にふりがなを付加するように構成した映像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−50215(P2006−50215A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−227973(P2004−227973)
【出願日】平成16年8月4日(2004.8.4)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】