説明

映像表示装置

【課題】映像ミュートを行うことなく、複数の映像を瞬時に切り換えることができる映像表示装置を提供する。
【解決手段】表示装置の電源が投入されているとき、クロマキー色指定部21は色相判別部22にクロマキー色としてピンク色に等しいRGBレベルを設定する。ユーザがナビ画像(映像2)を選択している状態では、ナビ画像にクロマキー色、すなわち、ピンク色が含まれていないため、色相判別部22がクロマキー信号を生成しないので、映像合成部23は、常時、映像2の画素を選択し、ディスプレイにナビ画像が表示される。一方、ユーザが映像切換えを指示すると、ナビ画像がピンク色画像に切り換えられ、色相判別部22は常時クロマキー信号を生成し、映像合成部23は、常時、RAM11からのTV映像(映像1)の画素を選択するので、ディスプレイにTV映像が表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、カーナビゲーション装置からの画像とテレビ受信装置からの映像等、複数の映像を切換え表示する映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両においては、表示装置全体の小型化、薄型化を図ることができる液晶表示装置をカーナビの表示装置として用い、カーナビの不使用時は、映像切換を行ってテレビ映像やDVDからの映像を見ることができるようになっている。
図1は、上記のように複数の映像を切り換える、従来の映像表示装置を示す図であり、映像1と映像2を切り換える場合、CPU51からの指示により、映像処理LSI52が表示する映像を選択して映像を切り換え、ディスプレイ53に入力するようにしている。
【0003】
このように、映像切換回路により映像を切り換えると、画像切換処理により生じるノイズ画像が表示画面に見えるようになるので、映像信号を切り換える映像切換回路から出力された映像信号に黒ミュート信号を重ね合わせることにより、表示画面全体を黒背景とするようにしている。
【0004】
すなわち、図2(a)、(b)に示すように映像1と映像2の垂直同期信号が時間的にずれており、映像1と映像2を単純に切り換えた場合、切換え時点では、図2(c)に示すように、ディスプレイ53が映像1の垂直同期信号により映像表示を行っているため、映像2の垂直同期信号がディスプレイ53に入力されるまで画像は乱れた状態となり、同期ずれした画像が表示画面に見えてしまう。
【0005】
このため、映像1と映像2の映像切換を実行する場合、映像切換え時に、図2(e)に示すように、ミュート信号をオンし、ディスプレイ53のバックライトをオフすることにより、ディスプレイ53に黒画面を表示した後、図2(d)に示すように、映像処理LSI52で映像1から映像2へ切り換える。そして、映像2の垂直同期信号が入力された時点で、図2(e)に示すように、ミュート信号をオフすることにより、ディスプレイ53のバックライトをオンし、ディスプレイ53に映像2を表示するようにしている。
【0006】
一方、別々に撮影された映像を合成して、あたかも1つのカメラ装置で撮影された映像のように見せる画像合成方法として、クロマキー技法が知られている。このクロマキー技法は、例えば青色や緑色のスクリーンを背景にして主画像となる被写体(人物等)を撮影し、この主画像データから色データ(クロマキーデータ)を抽出する。そして、このクロマキーデータに、あらかじめ撮影した背景となる背景画像データを合成して出力することにより、容易に画像を合成することができる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−150585号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来、映像を切り換える場合には、映像処理LSIにより映像を切り換えていたが、入力映像は非同期であるため、映像を切り換える度にディスプレイのTFT同期をあわせる必要があり、上記のように、映像が乱れている間は、ユーザに乱れた映像を見せないように映像ミュートを行う必要があった。
【0008】
このように、映像切換えの度に、映像ミュートのための黒画像を一定時間挿入すると、ユーザに映像を瞬時に提供することが不可能であり、また、映像切換えの度にミュート制御を行う必要があるため、CPUの処理量が増えるという問題があった。
【0009】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたもので、映像ミュートを行うことなく、複数の映像を瞬時に切り換えることができる、映像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の目的を達成するため、本発明に係る映像表示装置は、上記のクロマキー技法を利用し、複数の映像のクロマキー合成を常時行うとともに、複数の映像の一つにクロマキー色画像を挿入することにより、複数の映像の切換え、あるいは、同一画面上での異なる映像の重ね合わせを行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る映像表示装置によれば、クロマキー技法を利用して映像を切り換えることにより同期乱れが発生せず、映像ミュートの必要がなくなるので、瞬時に映像を切り換えることができるとともに、CPUの負荷を軽減することができる。
【実施例1】
【0012】
以下、本発明の映像表示装置の実施例について、図面を用いて説明する。
図3は本発明の映像表示装置を適用した車載用表示装置の構成を示すブロック図であり、この車載用表示装置は映像処理LSI1、TV受像機2、ナビゲーション装置3、CPU4、ディスプレイ5により構成されている。
【0013】
CPU4により制御される画像処理LSI1は、RAM11、重ね合わせ処理部12より構成され、TV受像機2からのTV映像、ナビゲーション装置3からのナビゲーション画像(以下、ナビ画像という)が、映像1、映像2として入力される。これらの映像のどちらか一方、本実施例では映像1を同期合わせを行うために一旦RAM11に格納した後、RAM11から読み出された映像1と映像2を重ね合わせ処理部12に入力する。
このように、映像1としては、DVD映像、TV映像等、映像に使われている色を制御できないものを使用し、映像2としては、クロマキー色を用いることが可能な映像、すなわち、色を制御可能な映像を使用する。
【0014】
ディスプレイ5は、映像処理LSI1からの映像を表示する一方、CPU4を介してナビゲーション装置3から入力された操作画像を表示することにより、種々の機能の操作画面の表示を行う。このディスプレイ5の表示部を構成するLCD表示部にはタッチパネルスイッチが配設され、LCD表示部に表示された項目部分を押下することで、対応する項目の選択や機能の実行を行うことができる。
【0015】
また、CPU4は、重ね合わせ処理部12で使用するクロマキー色の設定及び映像処理LSI1自体の設定を行うとともに、RAM11に記憶された映像1の画素信号の読み出し位置を制御することにより、映像1と映像2の同期合わせを行う。すなわち、映像2の映像信号によりディスプレイ5の同期を実行するとともに、CPU4がRAM11に記憶された映像1の画素信号の読出し位置を、映像2の垂直同期信号と映像1の垂直同期信号とのずれ及びディスプレイ5の画像表示位置に応じて制御することにより、同期ずれを解消する。
【0016】
図4は、図3の映像処理LSI1の重ね合わせ処理部12の機能を示す機能ブロック図であり、クロマキー色指定部21、色相判別部22、映像合成部23により構成されている。
クロマキー色指定部21は、CPU4の制御により色相判別部22で使用されるクロマキー色のRGBレベルを設定し、色相判別部22は映像2に含まれるクロマキー処理用レベルに等しいRGBレベルを有する画素を検知し、その検知信号をクロマキー信号として映像合成部23に入力する。
【0017】
また、映像合成部23には、上記のように、映像2の画素がクロマキー処理用レベルに等しいRGBレベルを有する場合、色相判別部22からクロマキー信号が入力され、クロマキー信号が入力されていない場合は、映像2の画素信号を出力し、クロマキー信号が入力されている場合は、RAM11から読み出した映像1の画素信号を出力することにより、映像1と映像2を画素レベルで合成してディスプレイ5に出力する。
なお、これらの機能は、ハードウェアにより実現することができるが、CPU、ROM、RAM等を使用してソフトウェアにより実現することも可能である。
【0018】
一方、CPU4は映像1の画素信号をRAM11に格納するための制御を実行することにより、図5に示すように映像1の画素信号のデータを1ライン毎に記憶し、映像1の読み出し時には、上記のように、映像2の垂直同期信号と映像1の垂直同期信号とのずれ及び画像表示位置に応じてRAM11に記憶された映像1の画素信号の読出し位置(図5の★印の位置)を制御して、映像1の映像信号を出力する。
【0019】
また、図6はナビケーション装置3の構成を示すブロック図であり、ナビ画像生成部31、クロマキー色画像発生部32、CPU33、操作部34、スイッチ35により構成されている。このナビゲーション装置3は、GPSセンサやジャイロセンサからなる現在位置検出部や道路地図データを含む地図データを格納する地図データ格納部等を備えているが、本発明に関与する以外の部分については、図示を省略している。
【0020】
そして、ナビ画像生成部31は、上記の地図データや車両位置情報を含むナビ画像を生成してスイッチ35に入力し、クロマキー色画像発生部32は映像処理LSI1で使用されるクロマキー色、例えば、ピンク色の画像信号を発生してスイッチ35に入力する。また、スイッチ35はCPU33の制御により、端子S1、S2を切り換えることにより、ナビ画像生成部31またはクロマキー色画像発生部32からの画像を選択して出力する。
一方、操作部34は、ナビゲーションの操作キーや画像選択キーを含む複数の操作キーよりなるが、ディスプレイ5のタッチパネルによりこれらの操作キーの一部又は全部を代用することも可能である。
【0021】
次に、上記の車載用表示装置の動作について説明する。
車載用表示装置の電源が投入されているとき、CPU4はクロマキー色指定部21にクロマキー色としてピンク色を指定するように指示し、クロマキー色指定部21は色相判別部22にクロマキー色としてピンク色に等しいRGBレベルを設定する。
【0022】
そして、ユーザがナビ画像を選択している状態では、ナビケーション装置3のCPU33は、スイッチ35を図7(a)に示すように、端子S1に切り換えているので、図7(b)に示すように、ナビゲーション装置3からはナビ画像が映像2として出力され、図8に示すように、映像処理LSI1にTV受像機2からのTV映像が映像1として入力され、ナビゲーション装置3からのナビ画像が映像2として入力される。
【0023】
この状態では、ナビ画像にクロマキー色、すなわち、ピンク色が含まれていないため、図7(c)に示すように、重ね合わせ処理部12の色相判別部22がクロマキー信号を生成しないので、映像合成部23は図7(d)に示すように、常時、映像2、すなわち、ナビ画像を映像出力として出力し、図8に示すように、ディスプレイ5にナビ画像が表示される。
【0024】
一方、ユーザがナビケーション装置3の操作部34から映像切換えを指示すると、CPU33は図7(a)に示すように、スイッチ35をクロマキー色画像発生部32側、すなわち、端子S2側に切り換え、図7(b)に示すように、ナビゲーション装置3からはピンク色画像が映像2として出力されるので、図9に示すように、映像処理LSI1にはTV受像機2からのTV映像が映像1として入力され、ナビゲーション装置3からピンク色画像が映像2として入力される状態となる。
【0025】
したがって、重ね合わせ処理部12の色相判別部22は、図7(c)に示すように、常時、クロマキー信号を生成して映像合成部23に入力するので、図7(d)に示すように、映像合成部23は、常時、RAM11から読み出された映像1、すなわち、TV映像を映像出力として出力し、図9に示すように、ディスプレイ5にTV映像が表示される。
【0026】
このように、複数の映像の一つをクロマキー色画像に切り換えることにより、複数の映像の切換えを行うことができるとともに、ディスプレイ5のTFTへの同期信号を映像2の垂直同期信号に基づいて生成し、RAM11に記憶された映像1の画素信号の読み出しを、映像2の垂直同期信号と映像1の垂直同期信号とのずれ及び画像表示位置に応じて制御するので、映像2と映像1を切り換えても映像乱れは発生せず、瞬時に映像を切り換えることができるとともに、ミュート制御を実行する必要がないので、CPU4の負荷を軽減することができる。
【実施例2】
【0027】
上記の実施例では、映像2の全ての画素をクロマキー色(ピンク色)とすることにより、ディスプレイ5の表示画面の全面で映像を切換え表示するようにしたが、映像2の一部分に映像1を表示することも可能であり、以下、映像2の一部分に映像1を表示する場合の実施例について説明する。なお、装置構成は図3〜図6と同様であるので、装置構成の説明は省略する。
【0028】
実施例1と同様に、ユーザがナビ画像を選択している場合、ナビケーション装置3のCPU33は、スイッチ35を図6の端子S1に切り換え、ナビゲーション装置3からはナビ画像が映像2として出力されているので、図8に示すように、映像処理LSI1にTV受像機2からのTV映像が映像1として入力され、ナビゲーション装置3からのナビ画像が映像2として入力されている。
この状態では、上記と同様に、ナビ画像がクロマキー色を含んでいないため、重ね合わせ処理部12の色相判別部22がクロマキー信号を生成しないので、映像合成部23は、常時、映像2の画素を選択し、図8に示すように、ディスプレイ5にナビ画像が表示される。
【0029】
一方、ユーザが操作部34から映像の重ね合わせを指示すると、CPU33は、図10(a)に示すように、ナビ画像の所定範囲において、スイッチ35をクロマキー色画像発生部32側、すなわち、端子S2側に切り換えるので、図10(b)に示すように、ナビゲーション装置3からはナビ画像とピンク色画像が切り換えられて映像2として出力され、図11に示すように、映像処理LSI1にTV受像機2からのTV映像が映像1として入力された状態で、ナビゲーション装置3からナビ画像の一部にピンク色画像が挿入された画像が映像2として入力される。
【0030】
したがって、ナビ画像の一部のピンク色画像の部分では、図10(c)に示すように、重ね合わせ処理部12の色相判別部22がクロマキー信号を生成して映像合成部23に入力し、このクロマキー信号が入力されている状態では、映像合成部23がRAM11から読み出した映像1の画素を選択して出力するので、図10(d)に示すように、映像合成部23は、ナビ画像とTV映像を切り換えて映像出力として出力し、ディスプレイ5の画面は、図11に示すように、ナビ画像の一部にTV映像が表示された状態となる。
【0031】
この場合も、上記と同様に、ディスプレイ5のTFTへの同期信号を映像2の垂直同期信号に基づいて生成し、RAM11に記憶された映像1の画素信号の読み出しを、映像2の垂直同期信号と映像1の垂直同期信号とのずれ及び画像表示位置に応じて制御することにより、映像乱れが発生することなく、ナビ画像の一部分にTV映像を表示することができる。
【0032】
なお、上記のようにRAM11に二つの映像の一方を記憶し、読み出し位置を制御することにより同期合わせを行うようにした場合、クロマキー処理を使用せず、図12(a)に示すように、重ね合わせ画以外の矩形領域、すなわち、重ね合わせ画の透明色領域の表示開始座標、表示終了座標として、X開始座標、X終了座標、Y開始ライン、Y終了ラインをレジスタにより設定し、この設定に応じて画像を切換えることにより二つの映像の重ね合わせを行うことも可能である。しかしながら、図10(a)〜(d)に示すように、4つの重ね合わせ画面を設定する場合、各々の画面を表示する時に、レジスタ処理が必要となるが、本発明のクロマキー処理によれば、範囲指定の必要がなく、上記のレジスタ処理が不要となるので、映像処理LSIでのレジスタ処理を減らすことが可能となる。
【実施例3】
【0033】
以上の実施例では、画像処理LSIへの入力映像が2個の場合について説明したが、入力映像が3個以上の場合にも、本発明の映像表示装置を適用することができ、以下、映像が3個の場合について説明する。
図13は本実施例の車載用表示装置の構成を示す図であり、図3の構成に加えて、DVDプレーヤ6からの画像が映像3として入力されている点、重ね合わせ処理部12、ナビゲーション装置3の構成が異なる点を除いて、図3の構成と同様であるので、その他の構成についての説明は省略する。
【0034】
図14は、図13の映像処理LSI1の重ね合わせ処理部12の機能を示す機能ブロック図であり、クロマキー色指定部41、42、色相判別部43、44、映像合成部45、46により構成されている。
クロマキー色指定部41、42は、CPU4の制御により色相判別部43、44で使用されるクロマキー色のRGBレベルを設定し、色相判別部43、44は映像2に含まれるクロマキー処理用レベルに等しいRGBレベルを有する画素を検知し、その検知信号をクロマキー信号Ca、Cbとして映像合成部45、46に入力する。
【0035】
一方、映像合成部45は、色相判別部43からクロマキー信号Caが入力されていない場合は、映像2の画素信号を出力し、クロマキー信号Caが入力されている場合は、RAM11から読み出された映像1の画素信号を出力することにより、画像を合成し映像合成部46に出力する。また、映像合成部46は、色相判別部44からクロマキー信号Cbが入力されていない場合は、映像合成部45からの映像の画素信号を出力し、クロマキー信号Cbが入力されている場合は、RAM11から読み出された映像3の画素信号を出力することにより映像を合成し、映像出力としてディスプレイ5に入力する。
【0036】
また、CPU4は映像1、映像3の画素信号のRAM11への書き込み、読み出しの制御を実行し、映像1の画素信号の読出し時には、映像2の垂直同期信号と映像1の垂直同期信号とのずれ及び画像表示位置に応じてRAM11に記憶された映像1の画素信号の読出し位置を制御して映像1の画素信号を出力する。また、映像3の画素信号の読出し時には、映像2の垂直同期信号と映像3の垂直同期信号とのずれ及び画像表示位置に応じてRAM11に記憶された映像3の画素信号の読出し位置を制御して映像3の画素信号を出力する。
【0037】
一方、図13のナビゲーション装置3は、図15に示すように、クロマキー色画像発生部として、ピンク色画像発生部36と緑色画像発生部37を備えている点を除いて図4の構成と同様であるので、その他の構成については説明を省略する。
【0038】
次に、本実施例の車載表示装置の動作について説明する。
車載用表示装置の電源が投入されているとき、CPU4はクロマキー色指定部41にクロマキー色としてピンク色を指定するように指示し、クロマキー色指定部42にクロマキー色として緑色を指定するように指示する。これにより、クロマキー色指定部41は色相判別部43にクロマキー色としてピンク色のRGBレベルを設定し、クロマキー色指定部42は色相判別部44にクロマキー色として緑色のRGBレベルを設定する。
【0039】
そして、ユーザがナビ画像を選択している状態では、図16(a)に示すように、ナビケーション装置3のCPU33は、スイッチ35を図15に示す状態、すなわち、端子S1に切り換えており、図16(b)に示すように、映像2としてナビ画像が出力されているので、映像処理LSI1に映像1としてTV受像機2からのTV映像が、映像2としてナビゲーション装置3からのナビ画像が、映像3としてDVDプレーヤ6からの映像が入力される。
【0040】
この状態では、ナビ画像がクロマキー色を含んでいないため、図16(c)、(d)に示すように、重ね合わせ処理部12の色相判別部43、44はクロマキー信号Ca、Cbを生成せず、映像合成部45は、常時、映像2の画素を選択し、映像合成部46は、常時、映像合成部45の出力映像の画素を選択するので、図16(e)に示すように、映像出力としてナビ画像が出力され、ディスプレイ5にナビ画像が表示される。
【0041】
そして、ユーザがナビケーション装置3の操作部34からTV映像への切換えを指示すると、CPU33は、図16(a)に示すように、スイッチ35をピンク色画像発生部36側、すなわち、端子S2側に切り換え、図16(b)に示すように、映像2として全ての画素がピンク色の画像が出力されるので、図16(c)に示すように、重ね合わせ処理部12の色相判別部43がクロマキー信号Caを生成して映像合成部45に入力し、映像合成部45は、映像1、すなわち、TV映像の画素を選択して、映像合成部46に出力する。
【0042】
一方、図16(d)に示すように、色相判別部44はクロマキー信号Cbを生成せず、映像合成部46は、図16(e)に示すように、映像出力として映像合成部45からの画像、すなわち、TV映像の画素を選択して出力するので、ディスプレイ5にTV受像機2からのTV映像が出力される。
【0043】
また、ユーザがナビケーション装置3の操作部34からDVD映像への切換えを指示すると、CPU33は、図17(a)に示すようにスイッチ35を緑色画像発生部37側、すなわち、端子S3側に切り換え、図17(b)に示すように、映像2として全ての画素が緑色の画像を出力するので、図17(c)に示すように、重ね合わせ処理部12の色相判別部43はクロマキー信号Caを生成せず、映像合成部45は、映像2、すなわち、緑色画像の画素を選択して、映像合成部46に出力する。
【0044】
一方、図17(d)に示すように、色相判別部44はクロマキー信号Cbを生成して映像合成部46に入力するので、映像合成部46は、図17(e)に示すように、映像出力として映像3、すなわち、DVD映像の画素を選択して出力し、ディスプレイ5にDVDプレーヤ6からのDVD映像が表示される。
このように、入力映像が3個以上の場合にも、クロマキー色を複数個設定することにより、瞬時に映像を切り換えることができる。
【実施例4】
【0045】
上記の実施例では、映像2の全ての画素をクロマキー色(ピンク色または緑色)とすることにより、表示画面の全面で映像を切換え表示したが、映像2の一部分に映像1または映像3、あるいは、映像1及び映像3を同時に表示することも可能であり、以下、映像2の一部分に映像1及び映像3を同時に表示する場合の実施例について説明する。
なお、装置構成は図13〜図15と同様であるので、装置構成についての説明は省略する。
【0046】
実施例3と同様に、車載用表示装置の電源が投入されているとき、CPU4はクロマキー色指定部41にクロマキー色としてピンク色を指定するように指示し、クロマキー色指定部42にクロマキー色として緑色を指定するように指示する。これにより、クロマキー色指定部41は色相判別部43にクロマキー色としてピンク色のRGBレベルを設定し、クロマキー色指定部42は色相判別部44にクロマキー色として緑色のRGBレベルを設定する。
【0047】
そして、ユーザがナビ画像を選択しているとき、ナビゲーション装置3のCPU33は、スイッチ35を図15の端子S1に切り換えており、映像処理LSI1に映像1としてTV受像機2からのTV映像が、映像2としてナビゲーション装置3からのナビ画像が、映像3としてDVDプレーヤ6からの映像が入力されている。
この状態では、ナビ画像がクロマキー色を含んでいないため、色相判別部43、44はクロマキー信号Ca、Cbを生成せず、映像合成部45は、常時、映像2の画素を選択し、映像合成部46は、常時、映像合成部45の出力映像の画素を選択するので、映像1、映像3は全く重ね合わせ画面に表示されず、ディスプレイ5にナビ画像が表示される。
【0048】
一方、ユーザがナビケーション装置3の操作部34からTV映像とDVD映像の同時表示を指示すると、ナビゲーション装置3のCPU33は、図18(a)に示すように、ナビ画像の二つの所定範囲において、スイッチ35をピンク色画像発生部36側、すなわち、端子S2側、または、緑色画像発生部37側、すなわち、端子S3側に切り換えるので、図18(b)に示すように、ナビゲーション装置3からはナビ画像とピンク色画像、緑色画像が切り換えられて映像2として出力される。これにより、図19に示すように、映像処理LSI1にTV受像機2からのTV映像が映像1として入力され、DVDプレーヤ6からのDVD映像が映像3として入力された状態で、ナビゲーション装置3からナビ画像の一部にピンク色画像及び緑色画像が挿入された画像が映像2として入力される。
【0049】
そして、上記と同様に、ナビ画像の一部のピンク色画像の部分では、図18(c)に示すように、色相判別部43がクロマキー信号Caを生成して映像合成部45に入力するので、映像合成部45が映像1、すなわち、TV映像の画素を選択して、映像合成部46に出力する。このとき、図18(d)に示すように、色相判別部44はクロマキー信号Cbを生成しないので、映像合成部46は、図18(e)に示すように、映像合成部45からの画像、すなわち、TV映像の画素を選択し、映像出力としてディスプレイ5に入力する。
【0050】
また、ナビ画像の一部の緑色画像の部分では、図18(c)に示すように、色相判別部43はクロマキー信号Caを生成しないので、映像合成部45は映像2の画素を選択して映像合成部46に出力する。一方、このとき、図18(d)に示すように色相判別部44がクロマキー信号Cbを生成して映像合成部46に入力するので、映像合成部46は、図18(e)に示すように、映像3、すなわち、DVD映像の画素を選択して、映像出力としてディスプレイ5に入力する。
これにより、図19に示すように、ディスプレイ5にナビ画像の一部にTV映像及びDVD映像が表示される状態となる。
【0051】
上記の実施例では、映像2の一部分に映像1及び映像3を同時に表示する場合の動作について説明したが、映像2の一部分に映像1または映像3のみを同時に表示する場合の動作は、上記の実施例2の動作と略同様であるので、説明は省略する。
【0052】
なお、上記の実施例では、本発明の映像表示装置を車載用表示装置に適用した例について説明し、映像としてDVD映像やテレビ映像、ナビ画像を例として説明したが、本発明の映像表示装置は、車載用表示装置以外の種々の映像表示装置に適用することが可能であり、また、映像としても種々の映像を使用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】従来の映像切換装置を示す図。
【図2】図1の映像切換装置の画像切換え時のタイムチャート。
【図3】本発明の映像表示装置を適用した車載用表示装置の構成を示すブロック図。
【図4】映像処理LSIの重ね合わせ処理部12の機能を示す機能ブロック図。
【図5】RAM11のデータ記憶状態を示す図。
【図6】ナビケーション装置3の構成を示すブロック図。
【図7】図3の車載用表示装置の画像切換え時のタイムチャート。
【図8】ユーザがナビ画像を選択している状態の画像合成例。
【図9】ユーザがTV映像を選択している状態の画像合成例。
【図10】図3の車載用表示装置の重ね合わせ表示時のタイムチャート。
【図11】ナビ画像の一部分にTV映像を表示している状態の画像合成例。
【図12】重ね合わせ表示の他の例を説明するための図。
【図13】本発明の映像表示装置の他の実施例の車載用表示装置の構成を示すブロック図。
【図14】図13の車載用表示装置の重ね合わせ処理部の機能を示す機能ブロック図。
【図15】図13の車載用表示装置のナビゲーション装置の構成を示すブロック図。
【図16】図13の車載用表示装置のTV映像への切換え時のタイムチャート。
【図17】図13の車載用表示装置のDVD映像への切換え時のタイムチャート。
【図18】図13の車載用表示装置の重ね合わせ表示時のタイムチャート。
【図19】ナビ画像の一部にTV映像、DVD映像を表示している状態の画像合成例。
【符号の説明】
【0054】
1 映像処理LSI
11 RAM
12 重ね合わせ処理部
21、41、42 クロマキー色指定部
22、43、44 色相判別部
23、45、46 映像合成部
2 TV受像機
3 ナビゲーション装置
31 ナビ画像生成部
32 クロマキー画像発生部
33、4 CPU
34 操作部
5 ディスプレイ
6 DVDプレーヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される複数の映像の中の一つの映像のクロマキー色を判別するクロマキー色判別手段と、
上記クロマキー色判別手段の出力に基づいて複数の映像を画素ごとに切り換えて映像を重ね合わせる映像合成手段とを備え、
上記クロマキー色判別手段に入力される映像の画素の全てを上記クロマキー色画像に切り換えることにより、複数の映像を切り換えることを特徴とする映像表示装置。
【請求項2】
入力される複数の映像の中の一つの映像のクロマキー色を判別するクロマキー色判別手段と、
上記クロマキー色判別手段の出力に基づいて複数の映像を画素ごとに切り換えて映像を重ね合わせる映像合成手段とを備え、
上記クロマキー色判別手段に入力される映像の画素の一部を上記クロマキー色画像に切り換えることにより、複数の映像を重ね合わせることを特徴とする映像表示装置。
【請求項3】
3種類以上の映像入力があるとき、クロマキー色を複数個設定することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載された映像表示装置。
【請求項4】
クロマキー色画像信号を発生する色画像発生手段と、
入力される複数の映像信号の一つと上記色画像発生手段からのクロマキー色画像信号とを切り換える切換手段と、
入力される複数の映像信号の内、上記切換手段に入力される映像信号以外の映像信号を記憶する記憶手段と、
上記切換手段からの映像信号中のクロマキー色を判別するクロマキー色判別手段と、
上記クロマキー色判別手段の出力に基づいて上記切換手段からの映像信号と上記記憶手段に記憶された映像信号を画素ごとに切り換えて映像を重ね合わせる映像合成手段とを備え、
上記切換手段により映像の画素の全てを上記クロマキー色画像に切り換えることにより、複数の映像を切り換えることを特徴とする映像表示装置。
【請求項5】
クロマキー色画像信号を発生する色画像発生手段と、
入力される複数の映像信号の一つと上記色画像発生手段からのクロマキー色画像とを切り換える切換手段と、
入力される複数の映像信号の内、上記切換手段に入力される映像信号以外の映像信号を記憶する記憶手段と、
上記切換手段からの映像信号中のクロマキー色を判別するクロマキー色判別手段と、
上記クロマキー色判別手段の出力に基づいて上記切換手段からの映像信号と上記記憶手段に記憶された映像信号を画素ごとに切り換えて映像を重ね合わせる映像合成手段とを備え、
上記切換手段により映像信号の画素の一部を上記クロマキー色画像に切り換えることにより、複数の映像を重ね合わせることを特徴とする映像表示装置。
【請求項6】
上記記憶手段の読み書きを制御する制御手段を備え、上記制御手段が上記切換手段に入力される映像の同期信号と上記記憶手段に記憶される映像の同期信号とのずれ及び画像表示位置に応じて上記記憶手段に記憶された映像の読み出し位置を制御することにより複数の映像の同期ずれを解消することを特徴とする、請求項4または請求項5に記載された映像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2008−99254(P2008−99254A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−221949(P2007−221949)
【出願日】平成19年8月29日(2007.8.29)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】