説明

映像表示装置

【課題】光源が起動される際に、ミラーを所定の回動位置に精度よく位置づけることができ、投写画像に色むらや照度低下が発生するのを円滑に抑制できるようにする。
【解決手段】ランプAが使用される場合、ランプAの起動に先立って、一旦、ミラーホルダ200がランプBの方向に駆動される(S102〜104)。その後、ミラーホルダ200は、ランプAの使用位置へと戻されて調節板300に押し付けられる(S106〜S111)。よって、ランプAの起動時には、ミラー201を、ランプAからの光束に対して適正角度となるように位置づけることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像表示装置に関し、特に、複数の光源を有する映像表示装置に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
現在、画像をスクリーンに拡大投写する投写型の映像表示装置(以下、「プロジェクタ」という)が商品化され広く普及している。かかるプロジェクタでは、一般に、光源としてランプが使用されており、ランプからの光が光変調素子によって変調されてスクリーンに投写される。
【0003】
この場合、投写動作の途中でランプが切れると、画像の表示が中断されてしまう。このような不都合を回避するために、2つのランプを予め配しておき、使用中のランプが切れたときには、残りのランプを使用するようにしたプロジェクタが提案されている(たとえば、特許文献1、2)。
【0004】
この構成では、2つのランプが互いに対向するように配され、これらランプの間にミラーユニットが配されている。ミラーユニットには、ミラーが回動可能に配されている。第1のランプが使用されるときには、ミラーが第1のランプに向く第1の位置に位置づけられ、第2のランプが使用されるときには、ミラーが第2のランプに向く第2の位置に位置づけられる。
【特許文献1】特開平2−257192号公報
【特許文献2】特開平4−104583号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようにミラーを用いてランプを切り替える場合には、ランプからの光束に対してミラーを適正に傾斜させる必要がある。すなわち、ミラーの傾斜角度が適正角度からずれると、投写画像に色むらが発生し、また、照度低下が発生するとの問題が起こり得る。したがって、上記構成においては、ミラーが第1の位置と第2の位置に精度よく位置づけられる必要がある。
【0006】
ところが、たとえば、第1の位置にミラーが位置づけられている状態において投写が中止され、その後、プロジェクタが他の場所に搬送されると、搬送途中の衝撃等によって、ミラーが第1の位置から変位することが起こり得る。こうなると、搬送後に第1のランプを点灯させても、ミラーの傾斜角度は不適正な状態となり、その結果、投写画像に色むらや照度低下が発生するとの問題が生じる。
【0007】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、光源が起動される際に、ミラーを所定の回動位置に精度よく位置づけることができ、投写画像に色むらや照度低下が発生するのを円滑に抑制できるようにすること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様に係る映像表示装置は、照明装置と、前記照明装置によって生成された照明光を映像信号に応じて変調する変調素子と、前記照明装置からの照明光を前記変調素子へと導く導光光学系と、前記照明装置を制御する制御部とを備える。ここで、前記照明装置は、第1の光束を発する第1の光源と、第2の光束を発するとともに前記第2の光束が前記第1の光束に重なるように配置された第2の光源と、前記第1の光束と前記第2の光束が重なった位置に配置され、前記第1の光束を前記照明光として目標方向に反射する第1の位置と前記第2の光束を前記照明光として前記目標方向に反射する第2の位置との間でミラーを回動可能に支持するとともに、前記ミラーの回動範囲を前記第1の位置と前記第2の位置の間の範囲に規制するミラーユニットとを具備する。そして、前記制御部は、前記第1の光源を起動するに先立って、前記第2の位置に向かってミラーを回動し、その後、前記第1の位置に向かって前記ミラーを回動させて前記ミラーを前記第1の位置に位置づける。
【0009】
第1の態様に係る映像表示装置によれば、第1の光源が起動される前に、一旦、ミラーが第1の位置と反対の第2の位置に振られ、その後、第1の位置へと戻されて第1の位置に位置づけられるため、ミラーを、第1の位置に適正に位置づけることができる。よって、第1の光源からの光束に対して適正角度となるように、ミラーを位置づけることができる。
【0010】
第1の態様に係る映像表示装置において、前記制御部は、前記第2の位置に向かってミラーを回動したときに前記ミラーが所定の検出位置に到達しなければ、前記ミラーユニットの動作を停止させるよう構成され得る。
【0011】
こうすると、その後の投写動作が中止されるため、ミラーユニットに不具合があることを、予めユーザに示唆することができる。よって、ユーザは、この示唆により、ミラーユニットの不具合に適正に対処することができる。なお、この場合には、ミラーユニットに不具合があることをより確実にユーザに知らせるために、第2の位置に向かってミラーを適正に回動できないことに基づく報知出力を行うようにするのが好ましい。
【0012】
また、第1の態様に係る映像表示装置において、前記制御部は、前記第2の位置に向かってミラーを回動したときに前記ミラーが所定の検出位置に到達しなければ、前記第1の位置に向かって前記ミラーを回動させて前記ミラーを前記第1の位置に位置づけるとともに、前記第2の位置に向かって前記ミラーを適正に回動できないことに基づく報知出力を行うよう構成され得る。
【0013】
こうすると、第2の位置に向けたミラーの回動に不具合があっても、第1の光源による投写が可能となり、また、この不具合を、ユーザに予め知らせることができる。よって、ユーザは、第1の光源を用いて投写が行われつつも、投写の途中で第1の光源が切れると、その後、直ちに、第2の光源に切り替えて投写を継続するとの措置を取り得ないことを知ることができる。よって、ユーザは、そのまま投写を継続すべきか、ミラーユニットの不具合に対応すべきかを判断することができる。
【0014】
また、第1の態様に係る映像表示装置において、前記制御部は、前記第1の位置に向かって前記ミラーを回動させて前記ミラーを前記第1の位置に位置づける際に、前記ミラーが前記第1の位置に到達した後も、所定の期間に亘って前記ミラーの回動を継続させるよう構成され得る。
【0015】
こうすると、ミラーが、直接的または間接的に、第1の位置を規定する部材に押し付けられるため、ミラーを第1の位置に確実に位置づけることができる。よって、第1の光源からの光束に対してミラーを適正に位置づけることができる。
【0016】
なお、このように前記ミラーが前記第1の位置に到達した後も、所定の期間に亘って前記ミラーの回動を継続させる場合には、駆動源からの駆動力を前記ミラーに伝達する伝達機構にトルクリミッタを配するのが好ましい。こうすると、ミラーが第1の位置に押し付けられている間の駆動力がトルクリミッタによって吸収されるため、駆動源の損傷を防止することができるとともに、ミラーホルダの歪みによるミラーの角度ずれを防止することができる。
【0017】
本発明の第2の態様に係る映像表示装置は、照明装置と、前記照明装置によって生成された照明光を映像信号に応じて変調する変調素子と、前記照明装置からの照明光を前記変調素子へと導く導光光学系と、前記照明装置を制御する制御部とを備える。ここで、前記照明装置は、第1の光束を発する第1の光源と、第2の光束を発するとともに前記第2の光束が前記第1の光束に重なるように配置された第2の光源と、前記第1の光束と前記第2の光束が重なった位置に配置され、前記第1の光束を前記照明光として目標方向に反射する第1の位置と前記第2の光束を前記照明光として前記目標方向に反射する第2の位置との間でミラーを回動可能に支持するとともに、前記ミラーの回動範囲を前記第1の位置と前記第2の位置の間の範囲に規制するミラーユニットとを具備する。そして、前記制御部は、前記第1の光源を起動するに先立って前記第1の位置に向かってミラーを回動し、前記ミラーが前記第1の位置に到達した後も、所定の期間に亘って前記ミラーの回動を継続させる。
【0018】
第2の態様に係る映像表示装置によれば、第1の光源が起動される前に、ミラーが、直接的または間接的に、第1の位置を規定する部材に押し付けられて、第1の位置に確実に位置づけられる。よって、第1の光源からの光束に対してミラーを適正に位置づけることができる。
【0019】
なお、このように前記ミラーが前記第1の位置に到達した後も、所定の期間に亘って前記ミラーの回動を継続させる場合には、駆動源からの駆動力を前記ミラーに伝達する伝達機構にトルクリミッタを配するのが好ましい。こうすると、ミラーが第1の位置に押し付けられている間の駆動力がトルクリミッタによって吸収されるため、過負荷による駆動源の損傷を防止することができるとともに、ミラーホルダの歪みによるミラーの角度ずれを防止することができる。
【発明の効果】
【0020】
以上のとおり本発明によれば、光源が起動される際に、ミラーを所定の回動位置に精度よく位置づけることができ、投写画像に色むらや照度低下が発生するのを円滑に抑制できる。
【0021】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下の実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照して、実施の形態に係るプロジェクタの構成を説明する。
【0023】
図1は、プロジェクタの構成を示す図(外観斜視図)である。プロジェクタは、キャビネット1を備えている。キャビネット1は、上下に薄く前後に長い略直方体形状を有しており、その側面には、キャビネット1内部に外気を取り込むための吸気口5が形成されている。
【0024】
キャビネット1内には、光学エンジン2、投写レンズ3、および冷却装置4が配されている。光学エンジン2は、映像信号により変調された光(映像光)を生成する。光学エンジン2には、投写レンズ3が装着されており、投写レンズ3の前部が、キャビネット1の前面から露出している。光学エンジン2で生成された映像光は、投写レンズ3によって、プロジェクタ前方に配されたスクリーン面に投写される。冷却装置4は、吸気口5から外気を取り込み、この外気を冷却風として光学エンジン2に供給する。
【0025】
図2は、光学エンジンの構成を示す図である。同図において、10は、2つのランプ10a、10bとミラーユニット10cを有する照明装置である。ランプ10a、10bは、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ等からなっている。ランプ10a、10bからの光は、リフレクタの作用により略平行光となって出射される。
【0026】
ミラーユニット10cには、同図X−Z平面に平行に回動可能なミラーが配されている。ミラーは、ランプ10aの起動時にはランプ10aからの光をフライアイインテグレータ11へと導き、ランプ10bの起動時にはランプ10bからの光をフライアイインテグレータ11へと導くよう回動される。ミラーユニット10cの構成は、追って、図3ないし図5を参照して説明する。
【0027】
照明装置10からの光は、フライアイインテグレータ11を介して、PBS(偏光ビームスプリッタ)アレイ12およびコンデンサレンズ13に入射される。フライアイインテグレータ11は、蝿の目状のレンズ群からなる第1および第2のフライアイレンズを備え、液晶パネル18、24、33に入射する際の光量分布が均一となるよう、照明装置10から入射される光に光学作用を付与する。
【0028】
PBSアレイ12は、複数のPBSと1/2波長板がアレイ状に配列されたものであり、フライアイインテグレータ11から入射された光の偏光方向を一方向に揃える。コンデンサレンズ13は、PBSアレイ13から入射された光に集光作用を付与する。コンデンサレンズ13を透過した光は、ダイクロイックミラー14に入射する。
【0029】
ダイクロイックミラー14は、コンデンサレンズ13から入射された光のうち、青色波長帯の光(以下、「B光」という)のみを透過し、赤色波長帯の光(以下、「R光」という)と緑色波長帯の光(以下、「G光」という)を反射する。ダイクロイックミラー14を透過したB光は、ミラー15よって反射されコンデンサレンズ16に入射される。
【0030】
コンデンサレンズ16は、B光が略平行光で液晶パネル18に入射するよう、B光に光学作用を付与する。コンデンサレンズ16を透過したB光は、入射側偏光板17を介して液晶パネル18に入射される。液晶パネル18は、青色用の映像信号に応じて駆動され、その駆動状態に応じてB光を変調する。液晶パネル18によって変調されたB光は、出射側偏光板19を介して、ダイクロイックプリズム20に入射される。
【0031】
ダイクロイックミラー14によって反射された光のうちG光は、ダイクロイックミラー21によって反射され、コンデンサレンズ22に入射される。コンデンサレンズ22は、G光が略平行光で液晶パネル24に入射するよう、G光に光学作用を付与する。コンデンサレンズ22を透過したG光は、入射側偏光板23を介して液晶パネル24に入射される。液晶パネル24は、緑色用の映像信号に応じて駆動され、その駆動状態に応じてG光を変調する。液晶パネル24によって変調されたG光は、出射側偏光板25を介して、ダイクロイックプリズム20に入射される。
【0032】
ダイクロイックミラー21を透過したR光は、コンデンサレンズ26に入射される。コンデンサレンズ26は、R光が略平行光で液晶パネル33に入射するよう、R光に光学作用を付与する。コンデンサレンズ26を透過したR光は、光路長調整用のリレーレンズ27、29、31と2つのミラー28、30からなる光路を進み、入射側偏光板32を介して液晶パネル33に入射される。液晶パネル33は、赤色用の映像信号に応じて駆動され、その駆動状態に応じてR光を変調する。液晶パネル33によって変調されたR光は、出射側偏光板34を介して、ダイクロイックプリズム20に入射される。
【0033】
ダイクロイックプリズム20は、液晶パネル18、24、33によって変調されたB光、G光およびR光を色合成し、投写レンズ35へと入射させる。投写レンズ35は、投写光を被投写面上に結像させるためのレンズ群と、これらレンズ群の一部を光軸方向に変位させて投写画像のズーム状態およびフォーカス状態を調整するためのアクチュエータを備えている。ダイクロイックプリズム20によって色合成された光は、投写レンズ3によって、スクリーン上に拡大投写される。
【0034】
次に、図3ないし図5を参照して、ミラーユニット10cの構成について説明する。
【0035】
図3は、ミラーユニット10cの分解斜視図である。図示の如く、ミラーユニット10cは、ベース100と、ミラーホルダ200と、調節板300と、基板400と、駆動部500を備えている。
【0036】
ベース100は、上板部101、下板部102、背板部103および2つの壁部104を備えている。これら上板部101、下板部102、背板部103および2つの壁部104は、一体形成されている。また、2つの壁部104の間には、上板部101へと繋がる凹部105が配されている。
【0037】
上板部101には、ミラーホルダ200の軸受け204と係合する軸穴106と、ミラーホルダ202の突起205が移動する円弧状のガイド孔107と、上板部101の側面から軸穴106へと続く直線状のガイド孔108が形成されている。また、上板部108の上面には、ボスとネジ穴を有する2つのボス109が形成されている。これら2つのボス109には、基板400が装着される。
【0038】
下板部102は、上板部101と平行となっている。下板部102には、上板部101の軸穴106と同軸となる位置に、ミラーホルダ200の軸203と係合する軸穴110が形成されている。
【0039】
2つの壁部104と背板部103の内側面には、調節板300よりやや大きめの輪郭の凹部111が形成されている。この凹部111に、調節板300が嵌め込まれネジ止めされる。また、2つの壁部104の外側面には、調節ネジ301と螺合するネジ穴112が形成されている。これらネジ穴112は、それぞれ、壁部104内側面の凹部111へと貫通している。さらに、2つの壁部104の外側面には、ボスとネジ穴を有する2つのボス113が形成されている。これら2つのボス113には、カバー506が装着される。
【0040】
なお、2つの壁部104は、ミラーユニット10cが図2の光学エンジンに配置されたときに、各内側面が、それぞれ、ランプ10a、10bからの光の進行方向に対して略45°の角度で傾くように形成されている。
【0041】
ミラーホルダ200には、ミラー201が装着されている。また、ミラーホルダ200の上面には、軸202が突設されている。また、ミラーホルダ200の下面には、軸202と同軸となる位置に、軸203が突設されている。軸202には、軸穴106に回動自在に軸支される軸受け204が装着される。さらに、ミラーホルダ200の上面には、突起205が形成されている。突起205は、ミラーホルダ200が回動終端位置にあるときに、基板400下面には配設された検出スイッチ401、402に当たって検出スイッチ401、402をONする。また、ミラーホルダ200の下面には、鉤部206が形成されている。
【0042】
調節板300は、弾性のある金属性の薄板からなっており、2つの壁部104と背板部103の内側面に沿う形状よりもやや左右の板部300a、300bが接近した形状となっている。
【0043】
基板400には、下面に2つの検出スイッチ401、402が装着されている。基板400は、2つの角部に配された孔をボス109の突部に係合させた状態で、ネジ403によってボス109に装着される。検出スイッチ401、402は、ミラーホルダ200が回動終端位置にあるときに、ミラーホルダ200上面の突起205に押されてONされる。
【0044】
駆動部500は、トルクリミッタ502が配されたギア501と、ギア503と、モータ504と、モータ504の駆動軸に装着されたギア505と、カバー506を備えている。ギア503には、2つのギア部503a、503bが形成され、さらに、左右の端部には軸503c、503dが形成されている。また、カバー506には、トルクリミッタ502の軸502a(図4参照)と係合する軸穴506aと、ギア503の軸503c、503dとそれぞれ係合する軸穴506b、506cが形成されている。カバー506は、ネジ507によってボス113に装着される。このとき、カバー506に形成された2つの孔506dが、上板部101上面に形成された突部114に係合する。
【0045】
ミラーユニット10cの組み立て時には、まず、調節板300が、凹部111に装着される。調節板300は、凹部111に嵌め込まれた状態で中央部が背板部103にネジ止めされる。上記の如く、調節板300は、2つの壁部104と背板部103の内側面に沿う形状よりもやや左右の板部300a、300bが接近した形状となっている。よって、このように調節板300の中央部が凹部111にネジ止めされると、左右の板部300a、300bが撓んで凹部111に押し付けられるようになる。この状態において、調節板300の表面は、2つの壁部104および背板103の内側面と略面一になっている。
【0046】
しかる後、2つの調節ネジ301がネジ穴112に螺合される。調節ネジ301の回転を進めると、調節ネジ301の先端が調節板300の内側面に当接する。その後、さらに回転を進めると、調節ネジ301に先端に押されて調節板300が撓む。2つの調節ネジ301の回転量を調節することにより、板部300a、300bの変位量を調節することができる。
【0047】
次に、ミラーホルダ200が、以下のようにしてベース100に取り付けられる。すなわち、上板部101に形成されたガイド孔108からガイド孔107に沿って突起205を移動させつつ、さらに、軸受け204の下方の軸202をガイド孔108から軸穴106へと移動させる。そして、ミラーホルダ200を下方へ移動させて軸203を下板部102の軸穴110に係合させると共に、軸受け204を軸穴106に係合させる。こうして、ミラーホルダ200が上板部101と下板部102の間に回動自在に取り付けられる。
【0048】
その後、駆動部500が取り付けられる。まず、ミラーホルダ200の軸202がトルクリミッタ502に取り付けられる。また、モータ504が凹部105に収容されるようにして背板部103に装着される。さらに、軸503c、503dをそれぞれ軸穴506b、506cに係合させて、ギア503がカバー506に装着される。そして、ギア部503a、503bがそれぞれギア505、501に螺合するよう、カバー506がネジ507によってボス113に螺着される。
【0049】
しかる後、基板400がボス109にネジ止めされる。このとき、基板400に配された2つの検出スイッチ401、402は、ガイド孔107の両端近傍位置に位置づけられる。
【0050】
最後に、図4(a)に示すように、下板部102の裏側にコイルバネ600が装着される。なお、図4(a)および(b)は、それぞれ、組み立て状態のミラーユニットの底面図および上面図である。なお、便宜上、図4(b)では、カバー506が図示省略されている。
【0051】
コイルバネ600は、ミラーホルダ200の下面に形成された鉤部206と下板部102の裏面に形成された鉤部115の間に両端が係止されるようにしてミラーユニット10cに取り付けられる。ここで、鉤部115とミラーホルダ200の軸との位置関係は、同図(a)に示すとおりである。
【0052】
なお、同図(a)の状態では、鉤部205がコイルバネ600により引っ張られ、ミラーホルダ200は、コイルバネ600から反時計方向の力を受ける。これにより、ミラーホルダ200の背面が一方の壁部104に押し付けられる。このとき、調節ネジ301によって調節板300の板部300aが凹部111から持ち上げられていれば、ミラーホルダ200の背面は、板部300aに押し付けられる。
【0053】
同図(a)の状態からミラーホルダ200が時計方向に回転し、鉤部206の位置が、鉤部115と軸203を結ぶ直線を超えると、ミラーホルダ200は、コイルバネ600から時計方向の力を受ける。その後、ミラーホルダ200が時計方向に回転し、背面が他方の壁部104に当接する位置に来ると、コイルバネ600による引っ張り力によって、ミラーホルダ200の背面が他方の壁部104に押し付けられる。このとき、調節ネジ301によって、調節板300の板部300bが凹部111から持ち上げられていれば、ミラーホルダ200の背面は、板部300bに押し付けられる。
【0054】
ミラーホルダ200の回動終了位置は、調整ネジ301による板部300a、300bの持ち上げ量によって調整され得る。ミラーユニット10cが図2に示す光学エンジンに組み込まれた際には、各ランプ10a、10bからの光がともにフライアイインテグレータ11に適正に向かうよう、調整ネジ301による板部300a、300bの持ち上げ量が調整される。
【0055】
図4(c)は、トルクリミッタ502の構成を示す断面図である。なお、同図は、図5(a)の組み立て状態におけるトルクリミッタ502近傍のA−A’断面図である。
【0056】
トルクリミッタ502は、下端に軸受け502bを有する軸502aと、コイルバネ502cと、3つのワッシャ502d、502e、502fを備えている。軸受け502bは、ミラーホルダ200の軸202に係合する。軸202の上端は、円柱形状の一部を平面状に切り欠いた形状となっており、軸受け502bの内面形状は軸202の上端に係合する形状となっている。
【0057】
ギア501は、断面がH形状となっており中心に軸502aよりやや大きい穴が形成されている。この穴に軸502aが挿入されている。ギア501は、上下から2つのワッシャ502e、502fによって挟まれている。軸502aの上端は、上記の如く、カバー506に軸穴506aに係合している。カバー506とワッシャ502eの間には、ワッシャ502dを介してコイルバネ502cが配されている。コイルバネ502cは、圧縮された状態で、ワッシャ502d、502e間に介挿されている。よって、ギア501は、コイルバネ502cによって軸受け502bの上面に押し付けられている。
【0058】
ギア501が回転すると、ギア501とワッシャ502eおよびワッシャ502fとの間の摩擦力によって軸502aが回転する。これにより、軸受け502bに係合した軸202が回動され、これに伴い、ミラーホルダ200が回転される。一方、たとえば、ミラーホルダ200の背面が調節板300に当接した後、さらにギア501が回動されるような場合には、ギア501がワッシャ502eおよびワッシャ502fに対して滑り、ギア501のみが回動する。このように、トルクリミッタ502は、ギア501とワッシャ502fとの間の静止摩擦力の範囲においてのみ、ギア501の駆動力を軸202に伝達する。
【0059】
図5は、組み立て状態のミラーユニット10cの構成を示す図である。ミラーユニット10cは、同図(a)に示すように、ミラーホルダ200の背面が調節板300の板部300aに当接する位置にあるときにミラー201がランプ10bに向けられるよう配置される。このとき、ランプ10bからの光は、ミラー201によってD方向に反射されて、フライアイインテグレータ11へと導かれる。なお、同図(a)の状態において、ミラー201は、ランプ10bからの光の進行方向に対してX−Z平面方向に略45°傾いた状態にある。また、ミラーホルダ200の軸202、203は、Z軸に平行となっている。
【0060】
この状態から、同図(b)に示すように、ミラーホルダ200の背面が調節板300の板部300b(同図には図示せず)に当接するまでミラーホルダ200が回転すると、ミラー201がランプ10aに向けられる位置に位置づけられる。このとき、ランプ10aからの光は、同図(a)の場合と同様、ミラー201によってD方向に反射されて、フライアイインテグレータ11へと導かれる。この状態において、ミラー201は、ランプ10aからの光の進行方向に対してX−Z平面方向に略45°傾いた状態にある。
【0061】
上記のように、ミラー201による光の反射方向は、調節ネジ301を調節することにより調節可能である。ミラーユニット10cが光学エンジン2に組み込まれたときには、ランプ10a、10bからの光が、何れもD方向に向かい、フライアイインテグレータ11に適正に入射するよう、調節ネジ301が調節される。
【0062】
図6に、本実施の形態に係るプロジェクタの回路構成を示す。なお、同図には、ランプ10a、10bとミラーユニット10cに関連する構成のみが示され、その他の構成は割愛されている。
【0063】
ランプ電源51は、コントローラ54からの制御信号に応じて、リレー回路52にランプ駆動用の電力を供給する。また、ランプ電源51は、ランプに印加される駆動電流を監視して、ランプが切れているかを判定し、その判定結果をコントローラ54に供給する。
【0064】
リレー回路52は、ランプ10a、10bのうち、コントローラ54から指示された方のランプに、ランプ電源51からの電力を供給する。なお、リレー回路52には、ミラーユニット10cに配された上記検出スイッチ401、402からの信号が入力されている。ミラーユニット10c内のミラー201がランプ10aの方に向けられているときには検出スイッチ401がオンされて、検出スイッチ401からON信号がリレー回路52に入力される。他方、ミラー201がランプ10bの方に向けられているときには検出スイッチ402がオンされて、検出スイッチ402からのON信号がリレー回路52に入力される。
【0065】
リレー回路52は、ランプ10aに電力供給するための制御信号がコントローラ54から入力されても、検出スイッチ401からON信号が入力されていなければ、ランプ電源51からの電力をランプ10aに供給せず、同様に、ランプ10bに電力供給するための制御信号がコントローラ54から入力されても、検出スイッチ402からON信号が入力されていなければ、ランプ電源51からの電力をランプ10bに供給しないよう回路構成されている。
【0066】
ミラードライバ53は、コントローラ54からの制御信号に応じて、ミラーユニット10cを駆動する。ミラーユニット10cの駆動時に、コントローラ54は、ミラーユニット10c内に配された上記検出スイッチ401、402からの信号を監視する。そして、当該駆動方向の検出スイッチからON信号が入力された後、一定期間に亘って、当該駆動方向にミラー201をさらに駆動するための制御信号をミラードライバ53に供給する。これにより、ミラー201が確実に、所期の切り替え位置に位置づけられる。
【0067】
なお、かかる制御が実行されると、モータ504は、ミラーホルダ200の背面が調節板300に当接した後も、引き続き駆動され続ける。しかし、この場合、上記の如くトルクリミッタ502によってモータ504の駆動力が吸収されるため、モータ504の過負荷による損傷やミラーホルダ200の歪によるミラー201の角度ずれ等の問題は起こらない。
【0068】
図6の構成において、一方のランプの駆動時に、当該ランプが切れると、これを示す信号がランプ電源51からコントローラ54に入力される。これに応じて、コントローラ54は、ランプ電源51に給電を停止させ、その後、他方のランプからの光を反射する位置にミラー201を回動させるための制御信号をミラードライバ53に供給する。これにより、ミラー201が回動される。
【0069】
その後、ミラー201が適正位置まで回動されると、検出スイッチ401、402の何れか一方からON信号がコントローラ54に供給される。コントローラ54は、ON信号を受信してから上記一定期間が経過した後、ランプ電源51に給電開始の制御信号を出力し、同時に、リレー回路52に、他方のランプに電力を供給するための制御信号を出力する。これにより、他方のランプが点灯し、画像の投写が再開される。
【0070】
次に、図7を参照して、プロジェクタが起動された後、画像の投写が開始される際のミラーユニットの起動制御について説明する。なお、本実施の形態では、前回の動作時に使用されたランプが今回の動作時にも使用される。よって、ミラーユニット10cのミラー210は、前回使用されたランプの方向を向いている。
【0071】
以下の説明では、便宜上、2つのランプをランプA,Bと呼ぶこととし、ランプAおよびBに向かうミラーの回動方向を、それぞれ、ランプA方向およびランプB方向と呼ぶこととする。また、検出スイッチ401、402のうち、ミラー210がランプA方向に回動するときにONされる検出スイッチをスイッチAと呼び、ミラー210がランプB方向に回動するときにONされる検出スイッチをスイッチBと呼ぶこととする。
【0072】
プロジェクタが起動された後、ユーザから画像投写指示が入力されると、コントローラ54は、今回の動作時にランプA、Bの何れが使用されるかを判定する(S101)。ここで、ランプAが使用されると判定すると(S101:YES)、コントローラ54は、まず、ミラーユニット10cをランプB方向に駆動する(S102)。このとき、コントローラ54は、ミラーユニット10cの駆動から時間T1が経過するまでの間にスイッチBからON信号が入力されたかを判定する(S103、S104)。そして、時間T1が経過するまでの間にスイッチBからON信号が入力されなければ(S103:NO、S104:YES)、ミラーユニット10cの動作が不適正であるとして、NG処理を実行する(S105)。
【0073】
他方、時間T1が経過するまでの間にスイッチBからON信号が入力されると(S103:YES)、コントローラ54は、ミラーユニット10cをランプA方向に駆動する(S106)。このとき、コントローラ54は、ミラーユニット10cの駆動から時間T1が経過するまでの間にスイッチAからON信号が入力されたかを判定する(S107、S108)。そして、時間T1が経過するまでの間にスイッチAからON信号が入力されなければ(S107:NO、S108:YES)、ミラーユニット10cの動作が不適正であるとして、NG処理を実行する(S109)。これにより、プロジェクタはスタンバイ状態に設定される。
【0074】
時間T1が経過するまでの間にスイッチAからON信号が入力されると(S107:YES)、コントローラ54は、その後、時間T2の間だけ、ミラーユニット10cをさらにランプA方向に駆動する(S110)。時間T2が経過すると(S110:YES)、コントローラ54は、ミラーユニット10cの駆動を停止し(S111)、ミラーユニット10cの初動制御を終了する。しかる後、ランプAが点灯されて画像の投写が行われる。
【0075】
S101にて、今回の動作時にランプBが使用されると判定すると(S101:NO)、コントローラ54は、ミラーユニット10cをランプA方向に駆動する(S112)。このとき、コントローラ54は、ミラーユニット10cの駆動から時間T1が経過するまでの間にスイッチAからON信号が入力されたかを判定する(S113、S114)。そして、時間T1が経過するまでの間にスイッチAからON信号が入力されなければ(S113:NO、S114:YES)、ミラーユニット10cの動作が不適正であるとして、NG処理を実行する(S115)。これにより、プロジェクタはスタンバイ状態に設定される。
【0076】
他方、時間T1が経過するまでの間にスイッチAからON信号が入力されると(S113:YES)、コントローラ54は、ミラーユニット10cをランプB方向に駆動する(S116)。このとき、コントローラ54は、ミラーユニット10cの駆動から時間T1が経過するまでの間にスイッチBからON信号が入力されたかを判定する(S117、S118)。そして、時間T1が経過するまでの間にスイッチBからON信号が入力されなければ(S117:NO、S118:YES)、ミラーユニット10cの動作が不適正であるとして、NG処理を実行する(S119)。
【0077】
時間T1が経過するまでの間にスイッチBからON信号が入力されると(S117:YES)、コントローラ54は、その後、時間T2の間だけ、ミラーユニット10cをさらにランプB方向に駆動する(S120)。時間T2が経過すると(S120:YES)、コントローラ54は、ミラーユニット10cの駆動を停止し(S111)、ミラーユニット10cの初動制御を終了する。しかる後、ランプBが点灯されて画像の投写が行われる。
【0078】
このようにミラーユニット10cを初動制御することにより、投写動作開始時に、ランプ10a、10bからの光束に対してミラー201を適正角度にて傾斜させることができる。たとえば、プロジェクタを前回の使用場所から今回の使用場所に運ぶ間に、ミラーホルダ200に外力が掛かって、ミラー201が適正角度からずれることが起こり得る。これに対し、上記図7に示す初動制御が行われると、投写動作開始前に、一旦、ミラーホルダ200が今回の使用位置と反対の位置に振られ、その後、今回の使用位置へと戻されて調節板300に押し付けられるため、ミラー201を、今回使用されるランプからの光束に対して適正角度となるように位置づけることができる。
【0079】
また、図7のフローチャートでは、点灯対象ランプの使用位置にミラー201を位置づけることができない場合(S108:YES、S118:YES)のみならず、他方のランプの使用位置にミラー201を回動できない場合(S104:YES、S114:YES)にもNG処理が行われるため、ユーザは、ミラーユニットに不具合があることを知ることができ、この不具合に適正に対処することができる。この場合、ミラーユニットに不具合があることをより確実にユーザに知らせるために、当該不具合に関する報知出力を行うようにするのが好ましい。
【0080】
なお、図7のフローチャートでは、S103、S113にてスイッチB、スイッチAがONとなる前にS104、S117にて時間T1が経過すると、ミラーユニット10cの動作が不適正であるとして、NG処理が実行されたが、図8に示すように、S104、S117にて時間T1が経過すると、S106、S116へと移行して、使用されるランプの位置にミラー201を戻すようにしても良い。ただし、この場合には、S102、S112の動作によってもミラーホルダ200が全く回転されなかった事態が想定され、このときには、NG処理とする必要がある。よって、図8のフローチャートでは、これに対応するべく、S107およびS117において、スイッチAおよびスイッチBがそれぞれOFF状態から新たにON状態となったかを判別する必要がある。
【0081】
さらに、図7のフローチャートでは、S103、S113にてスイッチB、スイッチAのONが判別されると、S106、S116へと移行して、使用されるランプの位置にミラー201を戻すようにしたが、図9に示すように、S103、S113の後にS130、S131を追加して、スイッチB、スイッチAがONとなった後、時間T2の間に亘ってミラーユニットの駆動を継続させ、ミラーホルダ200を、使用されるランプと反対の位置にある調節板300に押し付けるようにしても良い。こうすると、使用されるランプと反対の位置へとミラーホルダ200を移動させる際の処理ルーチンと、使用されるランプの位置へとミラーホルダ200を移動させる際の処理ルーチンを同じにすることができ、処理ルーチンの簡素化を図ることができる。
【0082】
なお、図9に示すS130、S131を図8のフローチャートに追加することもできる。この場合、S130およびS131は、それぞれ、S103およびS113の後に追加され、S104およびS114にてYESと判別されたときには、それぞれ、S106、S116へと移行する。
【0083】
以上、本実施の形態によれば、投写動作開始前に、一旦、ミラーホルダ200が今回の使用位置と反対の位置に振られ、その後、今回の使用位置へと戻されて調節板300に押し付けられるため、ミラー201を、今回使用されるランプからの光束に対して適正角度となるように位置づけることができる。
【0084】
また、本実施の形態によれば、ミラーホルダ200が調節板300に押し付けられる間の駆動力がトルクリミッタ502によって吸収されるため、過負荷によるモータ504の損傷やミラーホルダ200の歪によるミラー201の角度ずれ等の問題を防止することができる。
【0085】
また、本実施の形態によれば、一体成型されたベース100によってミラーホルダ200が回動支持されているため、ベース100が複数の構成部品から構成され、これら構成部品を組み付けながらミラーホルダ200をベース100に取り付ける場合に比べ、ミラーホルダ200の位置ずれや軸ずれが生じ難い。よって、ミラー201を図5(a)に示すランプ10b用の位置と同図(b)に示すランプ10a用の位置に精度よく位置づけることができる。
【0086】
また、本実施の形態によれば、ベース100に形成された凹部105にモータ504が収容されるため、モータ504がベース100外形の輪郭から飛び出すのを抑制することができる。よって、ミラーユニット10cを小型かつコンパクトにすることができる。
【0087】
また、本実施の形態によれば、ギア501、トルクリミッタ502、ギア503、カバー506からなる伝達機構が、凹部105に繋がる上板部101に配されているため、図3に示す如く、かかる伝達機構をモータ504近傍の、モータ504に連結し易い位置に配することができ、よって、ベース100に対して伝達機構を容易に取り付けることができる。
【0088】
さらに、本実施の形態によれば、かかる伝達機構が配された上板部101に、基板400が配されるため、伝達機構の取り付けとともに基板400の取り付けを行うことができ、ミラーユニット10cの組み立て作業を一層容易に行うことができる。
【0089】
ここで、基板400には、ミラーホルダ200の回動位置を検出する位置スイッチ401、402が配されており、基板400をボス109に装着すると、これら検出スイッチ401、402がガイド孔107の左右の終端位置に臨むように調整されている。よって、本実施の形態によれば、位置スイッチ401、402をベース100上の所定の位置に容易に配することができる。
【0090】
また、本実施の形態によれば、調節ネジ301によって調節板300の板部300a、300bの持ち上げ量を調節できるため、ランプ10a、10bからの光束に対して適正に傾くよう、ミラー201の傾斜角度を簡易に調節することができる。
【0091】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら制限されるものではない。また、本発明の実施形態は、上記以外に種々変更可能である。
【0092】
たとえば、図8のフローチャートでは、ミラーホルダ202を今回の使用位置と反対の位置に回動させ得ない場合(S104:YES、S114:YES)でも、今回の使用位置に適正に位置づけることができれば(S110:YES、S120:YES)、NG処理とせずに、投写動作へと移行するようにしたが、たとえば、図10に示すように、コントローラ54は、ミラーホルダ202を今回の使用位置と反対の位置に回動させ得ない場合に(S104:YES、S114:YES)、ミラーホルダに不具合があること、あるいは、他方のランプを用いた投写をできないこと等を報知するための処理を有効とし(S140、S141)、ステップS111の後に投写を行う際に、当該報知の出力を併せて実行するようにしても良い。かかる報知出力は、たとえば、その旨を示す文字や図形を、投写画像に含める方法やその旨を音声にて通知する方法等により行われ得る。
【0093】
こうすると、ユーザは、一方のランプを用いて投写が行われたが、投写の途中でこのランプが切れると、その後、直ちに、他方のランプに切り替えて投写を継続するとの措置を取り得ないことを知ることができる。よって、ユーザは、そのまま投写を継続すべきか、ミラーユニットの不具合に対応すべきかを判断することができる。
【0094】
また、図7ないし図10のフローチャートでは、何れも、投写動作開始前に、一旦、ミラーホルダ200が今回の使用位置と反対の位置に振られ、その後、今回の使用位置へと戻されて調節板300に押し付けられる制御となっていたが、一旦、ミラーホルダ200を今回の使用位置と反対の位置に振らずに、直接、ミラーホルダ200を今回の使用位置へと駆動して調節板300に押し付けるようにしても良い。
【0095】
図11は、この場合のフローチャートを示す図である。このフローチャートでは、図7のフローチャートに比べ、S102〜105と、S112〜115が省略され、S101の判別ステップから、S106、S116へと移行される。S106、S116以降のステップは、図7のフローチャートと同じである。
【0096】
図11のフローチャートにおいても、投写動作開始前に、ミラーホルダ200が今回の使用位置へと駆動され調節板300に押し付けられるため、ミラー201を、今回使用されるランプからの光束に対して適正角度となるように位置づけることができる。なお、この場合も、上記と同様、ミラーホルダ200が調節板300に押し付けられる間の駆動力がトルクリミッタ502によって吸収されるため、過負荷によるモータ504の損傷やミラーホルダ200の歪によるミラー201の角度ずれ等の問題を防止することができる。
【0097】
また、上記実施の形態では、凹部105が上板部101のみに繋がる構成とされたが、凹部105が下板部102にも繋がるようにしても良い。また、上記実施の形態では、各種ギアからなる伝達機構と基板400が上板部101に装着されたが、凹部105を下板部102へと繋げて、伝達機構と基板400を下板部102に装着しても良い。
【0098】
また、上記実施の形態では、板部300a、300bを一体的に備える調節板300をベースに装着する構成としたが、図12に示す如く、板部300a、300bを別体とし、これらをそれぞれ2つの壁部104に配置するようにしても良い。
【0099】
さらに、上記実施の形態では、ランプ10a、10bが互いに対向するよう光学エンジン2を構成したが、たとえば、図13に示すように、ランプ10a、10bからの光を、X方向に対して傾く方向から、ミラーユニット10cに入射させるようにしても良い。
【0100】
また、上記実施の形態では、ミラーホルダ200が回動終端位置にあるときにONされるよう検出スイッチ401、402を配置したが、回動終端位置よりも手前の回動位置においてONされるように検出スイッチ401、402を配置しても良い。この場合、図7〜11のフローチャートにおける時間T2は、検出スイッチ401、402が上記の場合よりも手前に配されている分だけ、上記実施の形態に比べて長めに設定される。
【0101】
なお、上記実施の形態では、ギア501と軸202との間にトルクリミッタ502を介在させたが、ギア501と軸202とを直接連結するようにしても良い。ただし、この場合には、ミラーホルダ200が調節板300に押し付けられる期間を短くする等、過負荷によるモータ504の損傷やミラーホルダ200の歪によるミラー201の角度ずれ等の問題を防止するための措置が必要となる。
【0102】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】実施の形態に係るプロジェクタの概観を示す図。
【図2】実施の形態に係る光学エンジンの構成を示す図
【図3】実施の形態に係るミラーユニットの構成を示す分解斜視図
【図4】実施の形態に係るミラーユニットの構成を示す底面図および上面図とトルクリミッタの構成を示す断面図。
【図5】実施の形態に係るミラーユニットの構成を示す図
【図6】実施の形態に係るプロジェクタの回路構成を示す図
【図7】実施の形態に係るプロジェクタの初動制御を示すフローチャート
【図8】実施の形態に係るプロジェクタの初動制御の変更例を示すフローチャート
【図9】実施の形態に係るプロジェクタの初動制御の他の変更例を示すフローチャート
【図10】実施の形態に係るプロジェクタの初動制御のさらに他の変更例を示すフローチャート
【図11】実施の形態に係るプロジェクタの初動制御のさらに他の変更例を示すフローチャート
【図12】実施の形態に係る調節板の変更例を示す図
【図13】実施の形態に係る光学エンジンの変更例を示す図
【符号の説明】
【0104】
10 … 照明装置
54 … コントローラ(制御部)
10a、10b … ランプ
10c … ミラーユニット
200 … ミラーホルダ
201 … ミラー
501、503、505 … ギア(伝達機構)
502 … トルクリミッタ(伝達機構)
504 … モータ(駆動源)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明装置と、
前記照明装置によって生成された照明光を映像信号に応じて変調する変調素子と、
前記照明装置からの照明光を前記変調素子へと導く導光光学系と、
前記照明装置を制御する制御部と、を備え、
前記照明装置は、
第1の光束を発する第1の光源と、
第2の光束を発するとともに前記第2の光束が前記第1の光束に重なるように配置された第2の光源と、
前記第1の光束と前記第2の光束が重なった位置に配置され、前記第1の光束を前記照明光として目標方向に反射する第1の位置と前記第2の光束を前記照明光として前記目標方向に反射する第2の位置との間でミラーを回動可能に支持するとともに、前記ミラーの回動範囲を前記第1の位置と前記第2の位置の間の範囲に規制するミラーユニットとを具備し、
前記制御部は、前記第1の光源を起動するに先立って、前記第2の位置に向かってミラーを回動し、その後、前記第1の位置に向かって前記ミラーを回動させて前記ミラーを前記第1の位置に位置づける、
ことを特徴とする映像表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の映像表示装置において、
前記制御部は、前記第2の位置に向かってミラーを回動したときに前記ミラーが所定の検出位置に到達しなければ、前記ミラーユニットの動作を停止させるとともに、前記第2の位置に向かって前記ミラーを適正に回動できないことに基づく報知出力を行う、
ことを特徴とする映像表示装置。
【請求項3】
請求項1に記載の映像表示装置において、
前記制御部は、前記第2の位置に向かってミラーを回動したときに前記ミラーが所定の検出位置に到達しなければ、前記第1の位置に向かって前記ミラーを回動させて前記ミラーを前記第1の位置に位置づけるとともに、前記第2の位置に向かって前記ミラーを適正に回動できないことに基づく報知出力を行う、
ことを特徴とする映像表示装置。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか一項に記載の映像表示装置において、
前記制御部は、前記第1の位置に向かって前記ミラーを回動させて前記ミラーを前記第1の位置に位置づける際、前記ミラーが前記第1の位置に到達した後も、所定の期間に亘って前記ミラーの回動を継続させる、
ことを特徴とする映像表示装置。
【請求項5】
請求項4に記載の映像表示装置において、
前記ミラーユニットは、駆動源からの駆動力を前記ミラーに伝達する伝達機構を有するとともに前記伝達機構にトルクリミッタが配されている、
ことを特徴とする映像表示装置。
【請求項6】
照明装置と、
前記照明装置によって生成された照明光を映像信号に応じて変調する変調素子と、
前記照明装置からの照明光を前記変調素子へと導く導光光学系と、
前記照明装置を制御する制御部と、を備え、
前記照明装置は、
第1の光束を発する第1の光源と、
第2の光束を発するとともに前記第2の光束が前記第1の光束に重なるように配置された第2の光源と、
前記第1の光束と前記第2の光束が重なった位置に配置され、前記第1の光束を前記照明光として目標方向に反射する第1の位置と前記第2の光束を前記照明光として前記目標方向に反射する第2の位置との間でミラーを回動可能に支持するとともに、前記ミラーの回動範囲を前記第1の位置と前記第2の位置の間の範囲に規制するミラーユニットと、を具備し、
前記制御部は、前記第1の光源を起動するに先立って前記第1の位置に向かってミラーを回動し、前記ミラーが前記第1の位置に到達した後も、所定の期間に亘って前記ミラーの回動を継続させる、
ことを特徴とする映像表示装置。
【請求項7】
請求項6に記載の映像表示装置において、
前記ミラーユニットは、駆動源からの駆動力を前記ミラーに伝達する伝達機構を有するとともに前記伝達機構にトルクリミッタが配されている、
ことを特徴とする映像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−113323(P2010−113323A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−310314(P2008−310314)
【出願日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】