説明

映像表示装置

【課題】 静粛にすることを求められるシーンで、冷却ファンを一時的に手動で減速または停止できるようにして騒音の発生を抑えることができる映像表示装置を提供する。
【解決手段】 縦横に複数個配列されて表示面を形成する複数の表示ユニット21、上記表示ユニット内に設けられ、上記表示ユニット内の温度を検出する温度センサー214と、上記温度センサーの検出温度に応じて上記表示ユニットを冷却する冷却ファン213の回転数を自動制御するファン制御回路215、上記表示面付近の騒音の大きさを検出する騒音計23及び上記騒音計が検出する騒音の大きさが所定値以上の時、上記ファン制御回路を手動制御に切り換える操作端末24を備えた構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、冷却装置を備えた映像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の映像表示装置は、温度センサーで検出した映像表示装置の温度にもとづいて冷却ファンの回転数を自動的に制御し、温度調節を行っていた。(例えば特許文献1参照)。
【0003】
図6は、特許文献1に示された映像表示装置の冷却装置の構成を示すもので、縦横に複数個配列されて表示面を形成する表示ユニットの1つを示している。即ち、表示ユニット10には温度センサー11が設けられ、この温度センサー11が表示ユニット10の内部温度を検出し、この検出温度に対応した電圧を出力するようにされている。
温度センサー11からの出力電圧を受けて個別温度コントロール回路12が温度センサーの出力電圧に対応した冷却ファン制御用の電圧を発生し、切換回路13の端子Aに供給する。
【0004】
一方、階層温度コントロール回路14が表示ユニット10の外部に設けられており、上記温度センサー11からの出力電圧や、他の表示ユニットの温度センサーからの出力電圧を受けて、それらの平均値を演算することにより、全表示ユニットの平均周囲温度を予測し、その予測値に対応した電圧を表示ユニット10及び他の表示ユニットの切換回路13の端子Bに供給する。切換回路13の端子Cには冷却ファン15の電源端子が接続されており、この電源端子が端子AあるいはBに切り換え接続されるようになっている。
【0005】
この切り換え指示手段として表示ユニット10内にサーモスタット16が設けられ、サーモスタット16が表示ユニット10内の温度が所定値以上であることを検知した場合には、端子Cを端子Aに接続して個別コントロール回路12による個別制御を行い、サーモスタット16が表示ユニット10内の温度が所定値以下であることを検知した場合には、端子Cを端子Bに接続して階層温度コントロール回路14による平均値制御を行うようにされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−240139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の映像表示装置の冷却装置は上記のように構成され、温度の条件のみで冷却ファンの回転数を制御するようにしていたため、イベントなどの会場において、静粛にすることが求められるシーンにおいても、検出温度の状況によっては高い回転数で冷却ファンが運転され、冷却ファンの回転による騒音でイベントの雰囲気を台無しにする場合があるなどの問題点があった。
【0008】
この発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、静粛にすることが求められるシーンにおいては、冷却ファンを一時的に手動で制御し、減速または停止できるようにして、騒音の発生を抑えることができるようにした映像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る映像表示装置は、縦横に複数個配列されて表示面を形成する複数の表示ユニット、上記表示ユニット内に設けられ、上記表示ユニット内の温度を検出する温度センサー、上記温度センサーの検出温度に応じて上記表示ユニットを冷却する冷却ファンの回転数を自動制御するファン制御回路、上記表示面付近の騒音の大きさを検出する騒音計及び上記騒音計が検出する騒音の大きさが所定値以上の時、上記ファン制御回路を手動制御に切り換える操作端末を備えたものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、静粛にすることが求められるシーンなど、冷却ファンの騒音により雰囲気を害する恐れがある場合には、手動にて冷却ファンの回転数を低下させ、または停止させることができるため、冷却ファンの騒音を軽減または排除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の実施の形態1による映像表示装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】図1の映像表示装置を構成する表示ユニットの内部構成を示すブロック図である。
【図3】実施の形態1におけるファン制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】実施の形態1において表示面が異常な高温になった場合のファン制御回路の動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】この発明の実施の形態2による操作端末の構成を示すブロック図である。
【図6】従来の映像表示装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1を図にもとづいて説明する。図1は実施の形態1による映像表示装置の全体構成を示すブロック図、図2は図1の映像表示装置を構成する表示ユニットの内部構成を示すブロック図である。
【0013】
実施の形態1による映像表示装置は、図1に示すように、表示ユニット21を縦横に複数個配列して表示面であるスクリーン20を形成すると共に、各表示ユニット21の動作を制御する表示制御装置22と、各表示ユニット21に含まれる後述する冷却ファンの音を含むスクリーン20付近の騒音の大きさを検出する騒音計23と、騒音計23が検出する騒音の大きさが所定値以上の時に表示ユニット21の冷却ファンを手動制御に切り換える操作端末24とから構成されている。
【0014】
図2は図1に示す映像表示装置のうち、スクリーン20を構成する表示ユニット21の内部構成を示すもので、オンオフすることにより映像を表示する多数のLED211と、表示制御装置22からの制御信号SS1に応動して各LED211の点灯を制御するLED点灯制御回路212と、表示ユニットを冷却する冷却ファン213と、表示ユニット内の温度を検出する温度センサー214と、温度センサーの検出温度に応じて冷却ファン213の回転数を自動制御するファン制御回路215とから構成されている。
【0015】
なお、ファン制御回路215は上述した騒音計23の検出する騒音の大きさが所定値を超え、イベントなどの運営に支障が生ずると予測される状態に至った場合には、操作端末24から発せられる制御信号SS2により手動制御に切り換えられ、オペレータの判断によって低回転数あるいは運転停止とすることができるようになっている。
【0016】
しかし、冷却ファン213を手動制御した場合には、自動制御している場合に比して表示ユニット21内の温度が異常な高温になる可能性があり、最悪の場合、LED211が致命的なダメージを受ける場合がある。
【0017】
そのため、ファン制御回路215の手動制御時に、表示ユニット21内の温度が異常な高温となった場合には、ファン制御回路215の手動制御を中止し、強制的に冷却ファン213の回転数を上げてフル回転させ、表示ユニット21を急冷することができるようにされている。ファン制御回路215の上述した動作については後述する。
【0018】
次に、実施の形態1の動作について説明する。
通常時は、図2に示す温度センサー214によって検出された温度に応じてファン制御回路215が冷却ファン213の回転数を設定し、自動制御を行う。
しかし、騒音計23の検出した騒音の大きさが所定値を超え、イベントなどの運営に支障が生ずると予測される場合には、操作端末24から発せられる制御信号SS2によってファン制御回路215が手動制御に切り換えられる。
【0019】
手動制御に切り換えられると、オペレータの判断によって冷却ファン213の回転数がイベントの状況に応じて低回転数に調整され、あるいは運転停止とされることもある。
図3はその場合のファン制御回路215の動作を説明するためのフローチャートである。
【0020】
即ち、ステップS1において映像表示装置を起動し、ステップS2で自動制御かどうかを判別する。自動制御の場合にはステップS3で温度センサー214の検出結果を収集し、ステップS4で温度検出結果にもとづいて冷却ファン213の回転数を設定し、その回転数にもとづいて冷却ファン213を自動制御する。ステップS2で自動制御でないと判定された場合は、ステップS5でオペレータが操作端末24の回転数設定手段を操作して適宜の回転数を設定し、冷却ファン213を手動制御する。操作端末の回転数設定手段の操作については後述する。
【0021】
また、冷却ファン213の手動制御時に表示ユニット21内の温度が異常な高温となった場合のファン制御回路215の動作について図4のフローチャートにもとづいて説明する。
【0022】
先ず、ステップS11で映像表示装置を起動し、ステップS12で温度センサー214による温度検出を行う。そして検出された温度が異常温度かどうかをステップS13で判別する。異常温度であると判定された場合には、ステップS14で強制的に温度に対応した回転数(フル回転数)を設定し、ファン制御回路215の制御状態に関係なく冷却ファン213をフル回転させて表示ユニットを冷却する。
【0023】
ステップS13で異常温度でないと判定された場合には、ステップS15で自動制御状態にあるかどうかを判定する。自動制御状態と判定された場合には、ステップS14で温度に対応した回転数を設定し、冷却ファン213を自動制御する。
ステップS15で自動制御でないと判定された場合には、ステップS16で操作端末24によってオペレータが操作設定する回転数で冷却ファン213を手動制御する。
実施の形態2.
【0024】
次に、この発明の実施の形態2を図にもとづいて説明する。図5は、実施の形態2による操作端末の構成を示すブロック図である。
実施の形態2はオペレータによる手動制御を行い易くするための操作端末24の表示及び操作構成を提案する。
【0025】
即ち、図5に示すように、温度情報、騒音情報、及び現在スクリーンに放映されている映像を認識し易くするための表示手段を設けると共に、冷却ファンの自動運転と手動運転の切り換え手段及び手動制御時における冷却ファンの回転数の設定を容易にするための操作手段を操作端末24に設けたものである。
【0026】
先ず、温度情報については、スクリーン温度の時間的推移を見易くするために、縦軸に温度、横軸に時間を表したグラフ30を示し、かつ温度については警戒レベルと危険レベルが一見して分かるようにグラフ30上にそれらの表示を設けることで、オペレータが温度の推移を正確に把握し、異常レベルを認識し易くするようにしている。
【0027】
騒音情報については、騒音計23の測定結果をデジタル表示する表示部31を設けたものである。また、現在スクリーン20に表示中の映像をモニター表示するオンエア映像表示部32を設け、オペレータがモニター映像を見ることで静粛にする必要があるシーンかどうかを判断し易くするようにしている。
【0028】
静粛にすることが求められるシーンである場合には、手動時回転数設定スライダー34を図5において左右にスライドさせてシーンに応じた冷却ファンの回転数を容易に設定できるようにしている。また、冷却ファンの自動運転と手動運転との切換手段については、自動ボタンと手動ボタン33を設け、手動制御から自動制御への切り換え及び自動制御から手動制御への復帰が容易にできるようにしている。
【符号の説明】
【0029】
10 表示ユニット、 11 温度センサー、 12 個別温度コントロール回路、
13 切換回路、 14 階層温度コントロール回路、 15 冷却ファン、 16
サーモスタット、 20 スクリーン、 21 表示ユニット、 22 表示制御装置、
23 騒音計、 24 操作端末、 30 グラフ、 31 表示部、 32 オンエア映像表示部、 33 自動、手動ボタン、 34 手動時回転数設定スライダー、
211 LED、 212 LED点灯制御回路、 213 冷却ファン、 214
温度センサー、 215 ファン制御回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦横に複数個配列されて表示面を形成する複数の表示ユニット、上記表示ユニット内に設けられ、上記表示ユニット内の温度を検出する温度センサー、上記温度センサーの検出温度に応じて上記表示ユニットを冷却する冷却ファンの回転数を自動制御するファン制御回路、上記表示面付近の騒音の大きさを検出する騒音計及び上記騒音計が検出する騒音の大きさが所定値以上の時、上記ファン制御回路を手動制御に切り換える操作端末を備えた映像表示装置。
【請求項2】
上記ファン制御回路が手動制御状態にある時、上記温度センサーが異常な高温を検出した場合には、上記冷却ファンを強制的にフル回転させるようにしたことを特徴とする請求項1記載の映像表示装置。
【請求項3】
上記操作端末に上記表示面の温度の推移をグラフで表示する温度情報表示手段を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の映像表示装置。
【請求項4】
上記操作端末に上記騒音計が検出する騒音の大きさをデジタル表示する騒音情報表示手段を設けたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項記載の映像表示装置。
【請求項5】
上記操作端末に上記表示面の表示映像を表示するオンエア映像表示手段を設けたことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項記載の映像表示装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−210793(P2010−210793A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−55177(P2009−55177)
【出願日】平成21年3月9日(2009.3.9)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】