説明

映像記録装置

【課題】実践的な移動物体の監視処理を行うことができる映像記録装置を提供する。
【解決手段】映像信号を取得する取得部(S11)と、取得した映像信号を第1記録媒体に記録する第1記録部(S12)と、映像信号を読み出して選択的に再度記録するための選択条件として移動物体が所定方向に移動することを設定する設定部(S13)と、第1記録部が記録した映像信号から動きのある動き映像信号だけを抽出し、動き映像信号が設定部により設定された選択条件に叶うかどうかを判定し、選択条件に叶うと判定された動き映像信号だけを第2記録媒体に記録する第2記録部(S17)をもつ映像記録装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、記録済みの映像信号から所定条件に応じた映像信号を選択的に記録する映像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、デジタル技術の発達に伴い、映像信号を任意に処理する技術が開発され実施されている。このような映像記録装置は、放送局用のカメラや家庭用のビデオカメラからの映像信号を記録して再生するものから、テレビ放送の映像信号を記録するもの、監視カメラからの映像信号を記録して再生するものと多岐に渡っている。また、このような映像記録装置において、記録された映像信号を単に再生するだけではなく、用途に応じて適宜処理して利用する技術が多く知られている。
【0003】
特許文献1は、映像音声データの記録および再生が行われていない空き時間に、記録された映像音声データの変化を検出し、検出した変化を表す情報を記録する記録再生装置を開示している。
特許文献2は、スポーツフォームの練習のために練習者を撮影した映像のように、時間的に同一パターンの類似映像が反復した場合に、これを記録する映像記録装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−215436号公報
【特許文献2】特開2004−173202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1は、映像信号の変化が検出されたときにこれを記録するものであるが、これではより実践的な監視処理を行うことができない。また、特許文献2においても、類似した映像が反復した際にこれを抽出して記録する技術が開示されているが、これによっても、より実践的な監視処理を行うことができず、特に、監視カメラで移動物体が一定方向に移動する場合を検出することができない。
【0006】
本発明は、実践的な移動物体の監視処理を行うことができる映像記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
課題を解決する一実施形態は、
外部から映像信号を取得する取得部(11)と、
前記取得した映像信号を第1記録媒体に記録する第1記録部(11)と、
前記映像信号を読み出して選択的に再度記録するための選択条件として移動物体が所定方向に移動することを設定する設定部(17)と、
前記第1記録部が記録した前記映像信号から動きのある動き映像信号だけを抽出し、前記動き映像信号が前記設定部により設定された選択条件に叶うかどうかを判定し、前記選択条件に叶うと判定された動き映像信号だけを第2記録媒体に記録する第2記録部(17)と、を具備することを特徴とする映像記録装置である。
【発明の効果】
【0008】
特に、移動物体(人物等)が任意の方向に移動した場合等を抽出して記録を行うことにより、ユーザが監視によって特に知りたい動きをする対象を効率的に検出し記録して再生することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係る映像記録システムの構成を示すブロック図。
【図2】当該映像記録システムの記録方法の一例を示すフローチャート。
【図3】当該映像記録システムの記録方法の他の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
本発明の一実施形態に係る映像記録システム1は、被写体の映像信号を出力するカメラ装置10と、カメラ装置10等からの映像信号を記録するレコーダ11と、レコーダ11が映像信号を記録するための第1記録媒体12と、レコーダ11からの映像信号を読み出して選択条件に基づいて判定し選択的に記録する処理装置17と、処理装置17が映像信号を記録するための第2記録媒体19を有するものである。
【0011】
すなわち、本発明の一実施形態に係る映像記録システム1は、通常の方法で録画したカメラ装置10等からの映像信号を再生し、任意に設定された選択条件に対応する映像信号だけを再び記録媒体に記録するものである。この任意に設定される選択条件とは、様々な条件が状況に応じて設定可能であるが、監視システムであれば、一例として、『一定の方向に移動する移動物体を含む映像信号』という選択条件がある。このように、入力された選択条件に基づいて、以降の選択処理・記録処理・再生処理が行われる。
【0012】
上述した構成をもつ本発明の一実施形態に係る映像記録システム1は、図2および図3に示すフローチャートのような手順でその記録処理を行う。
すなわち、レコーダ11は、例えば、カメラ装置10からの映像信号を取得し(ステップS11)、この映像信号を第1記録媒体12に記録する(ステップS12)。次に、処理装置17は、オペレータ等の操作に応じて、レコーダ11の第1記録媒体12に記録されている映像信号の中から抽出して再記録するための映像の選択条件を設定する(ステップS13)。次に、処理装置17は、第1記録媒体12に記録した映像情報から、図1の映像情報D11、映像情報D12、映像情報D13のように、動きのある物体を抽出する(ステップS14)。次に、処理装置17は、映像信号D11、映像情報D12、映像情報D13の中の動きのある物体が含まれる映像信号のみを映像信号D21、映像信号D22、映像信号D23として認識する(ステップS15)。
【0013】
ここで、処理装置17は、映像信号D21、映像信号D22、映像信号D23に含まれる動きのある物体は、先に設定した選択条件に叶っているかどうかを判断する(ステップS16)。処理装置17は、一例として図1に示すように、映像信号D21、映像信号D22を選択条件に叶った映像信号、映像信号D23を選択条件に叶わない映像信号であると判定する。処理装置17は、選択条件に叶った映像信号である映像信号D21、映像信号D22のみを第2記録媒体19に記録する(ステップS17)。一方、処理装置17は、選択条件に叶わない映像信号である映像信号D23は第2記録媒体19に記録することはない。すなわち、処理装置17は、選択条件に基づいて、映像信号を選択的に第2記録媒体に記録するものである。
【0014】
処理装置17は、このような映像信号の判定および選択的な記録処理を全ての映像信号に対して完了していない内は(ステップS18)、再びステップS15に戻って、判定処理および選択的記録処理を続行する。処理装置17は、このような映像信号の判定および選択的な記録処理を全ての映像信号に対して完了すれば、ステップS16に進み、ユーザの操作があればこれに従って、第2記録媒体19に選択的に記録された映像信号を再生する(ステップS19)。ここで、第2記録媒体19に選択的に記録された映像信号は、監視装置のオペレータにとって特に重要な映像であるため、選択的に記録された映像信号のみを再生することにより不要な映像信号を再生することがないため、効率的で簡素化された映像信号の確認作業が可能となるものである。
【0015】
次に、より具体的な選択条件を用いた本発明の一実施形態に係る映像記録システム1の記録処理を図3に示すフローチャートを用いて説明する。
レコーダ11は、カメラ装置10からの映像信号を取得し(ステップS11)、この映像信号を第1記録媒体12に記録する(ステップS12)。次に、処理装置17は、オペレータ等の操作に応じて、レコーダ11の第1記録媒体12に記録されている映像信号の中から、抽出して再記録すべき映像の選択条件を、例えば『所定方向に移動する物体を含む映像』と入力する(ステップS13)。ここで、『所定方向に移動する』とは、一例として、図1に示すように『画面の上方から下方(Y軸プラス方向からY軸マイナス方向)への移動する物体』である。すなわち、道に沿って遠方から歩いて手前に近づいてくる歩行者を検出するものである。もちろん、逆方向の選択条件を設定、すなわち、道に沿って手前から歩いて遠方へ遠ざかる歩行者を検出する選択条件を設定することも可能である。また、左方向から右方向へ移動する場合も、左方向から右方向へ移動する場合も、また、『X軸(またはY軸)に対して何度から何度の範囲の角度で移動する物体』と設定することも可能である。
【0016】
次に、処理装置17は、第1記録媒体12に記録した映像情報から、図1の映像情報D11、映像情報D12、映像情報D13のように、動きのある物体を抽出する(ステップS14)。次に、処理装置17は、映像信号D11、映像情報D12、映像情報D13の中の動きのある物体が含まれる映像信号のみを映像信号D21、映像信号D22、映像信号D23として認識する(ステップS15)。なお、検出された映像信号D21、D22の前後の一定の映像信号(プレ・ポスト期間)を記録することも好適である。
【0017】
ここで、処理装置17は、映像信号D21、映像信号D22、映像信号D23に含まれる動きのある物体は、先に設定した選択条件、すなわち、『画面の上方から下方(Y軸プラス方向からY軸マイナス方向)への移動する物体』に叶っているかどうかを判断する(ステップS22)。処理装置17は、一例として図1に示すように、映像信号D21、映像信号D22を選択条件に叶った映像信号、映像信号D23を選択条件に叶わない映像信号であると判定する。処理装置17は、選択条件に叶った映像信号である映像信号D21、映像信号D22のみを第2記録媒体19に記録する(ステップS17)。一方、処理装置17は、選択条件に叶わない映像信号である映像信号D23は第2記録媒体19に記録することはない。すなわち、処理装置17は、選択条件である『画面の上方から下方(Y軸プラス方向からY軸マイナス方向)への移動する物体』に基づいて、映像信号を選択的に第2記録媒体に記録するものである。
【0018】
処理装置17は、このような映像信号の判定および選択的な記録処理を全ての映像信号に対して完了していない内は(ステップS18)、再びステップS15に戻って、判定処理および選択的記録処理を行う。処理装置17は、このような映像信号の判定および選択的な記録処理を全ての映像信号に対して完了していれば、ステップS16に進み、ユーザの操作に従って、第2記録媒体19に選択的に記録された映像信号を再生する(ステップS19)。ここで、第2記録媒体19に選択的に記録された映像信号は、監視装置のオペレータにとって特に重要な映像であり、選択的に記録された映像信号のみを再生することにより不要な映像信号を再生することがないため、効率的な映像信号の検索処理が可能となるものである。
【0019】
すなわち、ここでは、カメラ装置10に撮像される道の遠方から手前に近づいてくる歩行者を監視することが目的であり、他の移動物体の映像は第2記録媒体19に記録されることがないので、オペレータは第2記録媒体19に記録される映像を確認することで、不要な映像は省略し必要な映像のみを確認するという、効率的で簡素化された映像信号の確認処理が可能となるものである。
なお、上述した実施形態では、選択条件を、主に移動物体の方向を例にとって説明したが、画像の動き、明るさ(輝度)、パターン等、何らかの特徴であれば、これを選択条件とすることができ、同様の作用効果を得ることが可能となる。また、再記録する映像信号は、クリップ化、ファイル化することも好適である。また、フローチャートで示した処理装置の機能は、コンピュータで実行可能なコンピュータプログラムで実現することも可能である。
【0020】
以上記載した様々な実施形態は複数同時に実施することが可能であり、これらの記載により、当業者は本発明を実現することができるが、更にこれらの実施形態の様々な変形例を思いつくことが当業者によって容易であり、発明的な能力をもたなくとも様々な実施形態へと適用することが可能である。従って、本発明は、開示された原理と新規な特徴に矛盾しない広範な範囲に及ぶものであり、上述した実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0021】
1…映像記録システム、10…カメラ装置、11…レコーダ、12…第1記録媒体、17…処理装置、19…第2記録媒体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から映像信号を取得する取得部と、
前記取得した映像信号を第1記録媒体に記録する第1記録部と、
前記映像信号を読み出して選択的に再度記録するための選択条件として移動物体が所定方向に移動することを設定する設定部と、
前記第1記録部が記録した前記映像信号から動きのある動き映像信号だけを抽出し、前記動き映像信号が前記設定部により設定された選択条件に叶うかどうかを判定し、前記選択条件に叶うと判定された動き映像信号だけを第2記録媒体に記録する第2記録部と、
を具備することを特徴とする映像記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−188370(P2011−188370A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−53504(P2010−53504)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】