説明

映像障害判断システム

【課題】 アナログ伝送及びIPネットワーク伝送の映像システムにおいて、映像データ伝送の際に何らかの障害が発生した場合、どこに障害が発生したかを簡易に診断する映像障害判断システムを提供する。
【解決手段】 映像障害判断システム100は、撮影した映像信号を受信する映像信号接続部2a〜4aと、映像信号接続部を制御し所望のカメラが撮影した映像信号を表示部8に表示させる映像表示制御部1cと、映像信号接続部より受信する映像信号を監視する映像信号監視部2b〜4bと、映像信号監視部による監視の情報を基に伝送障害が発生していることを検知する伝送障害検知部1bとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アナログ及びデジタルの映像システムにおいて、映像データ伝送の際に何らかの障害が発生した場合、どこにその障害が発生したかを診断する為の映像障害判断システムに関する。
【背景技術】
【0002】
映像システムは、従来は2ポイント間の映像を伝送するものであったが、現在ではマルチポイントの映像をマルチポイントで閲覧できるシステムと変遷し、それに伴いシステムは大規模化している。
【0003】
映像システムの構成としては、従来からのアナログ伝送をベースとしたシステムと、デジタル伝送をベースとしたシステムがある。デジタル伝送のシステムでは、MPEG2などの圧縮技術を用いたイーサネット(登録商標)対応のエンコーダ及びデコーダをLANスイッチに接続し、上位プロトコルにIPを用いたIPネットワーク伝送をベースとしている。この他、アナログ伝送とIPネットワーク伝送が混在した映像システムもある。これらの映像システムの監視は、アナログ伝送では接点監視(特許文献1参照)、IPネットワーク伝送ではネットワーク監視装置を導入して(特許文献2参照)、映像データの流れを監視するのが一般的である。
【特許文献1】特開2005−275570号公報
【特許文献2】特開2007−226390号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら特許文献1及び2のようなシステム構成では、映像システムが大規模となると、障害発生時にどこで障害が発生しているのかの切り分け作業に時間がかかるようになってきた。アナログ伝送ベースの接点監視では障害を接点で通知するものであるが、機器が接点通知できない様な状態では十分な監視ができなかった。また、IPネットワーク伝送ベースでのネットワーク監視装置は高価であり、更に元々ネットワーク機器を監視するものであるため、映像システムの監視に適するものではなかった。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、アナログ伝送及びIPネットワーク伝送の映像システムにおいて、映像データ伝送の際に何らかの障害が発生した場合、どこにその障害が発生したかを簡易に診断する為の映像障害判断システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の問題点を鑑みて、本発明の特徴は、(イ)複数のカメラで撮影した映像信号を伝送し表示部に表示するための映像システムであって、撮影した映像信号を受信する映像信号接続部と、(ロ)映像信号接続部を制御し、所望のカメラが撮影した映像信号を表示部に表示させる映像表示制御部と、(ハ)映像信号接続部より受信する映像信号を監視する映像信号監視部と、(ニ)映像信号監視部による監視の情報を基に、伝送において伝送障害が発生していることを検知する伝送障害検知部とを備える映像障害判断システムであることを要旨とする。
【0007】
本発明の特徴は、(ホ)映像信号はアナログ信号にて伝送され、(ヘ)映像信号監視部はエンコーダであり、(ト)伝送障害検知部は、エンコーダにて入出力される映像信号を基に、伝送において伝送障害が発生していることを検知する
ことを加えても良い。
【0008】
本発明の特徴は更に、(チ)映像信号はIPネットワークにてデジタル信号で伝送され、(リ)映像信号監視部はデコーダであり、(ヌ)伝送障害検知部は、デコーダにて入出力される映像信号を基に、伝送において伝送障害が発生していることを検知することを加えても良い。
【発明の効果】
【0009】
本発明の映像障害判断システムによると、アナログ伝送及びIPネットワーク伝送の映像システムにおいて、映像データ伝送の際に何らかの障害が発生した場合、どこにその障害が発生したかを簡易に診断することができる。
【0010】
アナログ伝送の映像障害判断システムでは、カメラで撮影された映像をエンコーダに伝送し、エンコーダにおける映像入力の切断を検知することにより、どこに障害が発生したかを簡易に判断することができる。
【0011】
IPネットワーク伝送の映像障害判断システムでは、カメラで撮影された映像をデコーダに伝送し、デコーダにおける映像入力の切断を検知することにより、どこに障害が発生したかを簡易に判断することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態に係る映像障害判断システムについて説明する。尚、本発明の実施の形態において使用される機器、手法等は一例であり、本発明はこれらに限定されるものではないことは勿論である。
【0013】
(第1の実施の形態)
(映像障害判断システム)
先ず、本発明の第1の実施の形態に係る映像障害判断システム100について、図1を用いて説明する。映像障害判断システム100は、例えば、大雨による河川の氾濫等を監視するために使用され、一定区域内の河川岸等の各撮影エリアを撮影するカメラ5a、5b、5c、6a、6b、6c、7a、7b、7c、カメラ5a〜5cの管理を行う出張所2、カメラ6a〜6cの管理を行う出張所3、カメラ7a〜7cの管理を行う出張所4、各出張所2,3,4から送信される映像を表示して各撮影エリアの様子を監視し、送信される映像が遮断される等の障害が発生した場合、どの部にて障害が発生しているのかを判断する事務局1等を備える。事務局1と出張所2〜4はアナログ伝送網又はデジタル伝送網にて接続可能となっている。図示していないが出張所2〜4間においてもアナログ伝送網又はデジタル伝送網にて接続可能としてもよい。
【0014】
出張所2〜4は、カメラ5a〜7cにて撮影された映像信号をアナログ伝送網又はデジタル伝送網に接続するための映像信号接続部2a,3a,4a、撮影された映像信号を受信し、映像が切断されている等の障害があるかを監視する映像信号監視部2b,3b,4bを備えている。
【0015】
事務局1は、撮影された映像信号を受信する為にアナログ伝送網又はデジタル伝送網に接続する映像信号接続部1a、映像信号監視部2b〜4bにて障害が発生しているかを診断・検知する伝送障害検知部1b、出張所2〜4の映像信号接続部2a〜4aを制御し、所望のカメラ5a〜7cが撮影した映像信号を表示部8に表示させる映像表示制御部1c等を備える。
【0016】
事務局1の伝送障害検知部1bは、カメラ5a〜7cの撮影中に各々の映像信号監視部2b〜4bを監視する。具体的には、カメラ5a〜7cが撮影した映像が切断しているか検知する。
【0017】
映像障害判断システム100の動作について説明する。例えば、出張所2においてカメラ5aが故障しているとする。この場合、映像信号監視部2bにはカメラ5b,5cからは正しく映像信号を受信しているが、カメラ5aからの映像信号は正しく受信されないという情報が入出力されている。事務局1の伝送障害検知部1bは映像信号監視部2bを監視する際にこの情報を受け取り、カメラ5aに障害が発生していると診断する。
【0018】
この他にも、出張所2の映像信号監視部2bに障害が発生したとする。この場合映像信号監視部2bには、カメラ5a〜5cからの映像信号が正しく受信されていないという情報が入出力されている。事務局1の伝送障害検知部1bは映像信号監視部2bを監視する際にこの情報を受け取り、映像信号監視部2bが故障している、又はカメラ5a〜5cに障害が発生していると診断する。
【0019】
このように本発明の第1の実施の形態に係る映像障害判断システムによると、映像システムにおいて、映像データ伝送の際に何らかの障害が発生した場合、どこにその障害が発生したかを簡易に診断することができる。
【0020】
(第2の実施の形態)
(アナログ伝送ベースの映像障害判断システム)
次にアナログ伝送ベースにおいて映像信号の障害を判断する映像障害判断システム200について説明する。
【0021】
映像障害判断システム200は、図2に示すように、サーバ11と、LANスイッチ12a,12bと、信号変換部13a,13bと、エンコーダ14a,14bと、ビデオスイッチ15a,15bと、モニタ16と、カメラ17a,17b,17cとを備えている。
【0022】
カメラ17a〜17cは、撮影したカメラ映像をアナログ信号で出力する。
【0023】
ビデオスイッチ15a,15bは、複数のアナログ信号(カメラ映像)を受信し、スイッチ機能により映像を他の装置に出力する。モニタ16はカメラ17a〜17cが撮影した映像を表示する。
【0024】
信号変換部13a,13bは、イーサネット(登録商標)上の映像データをシリアル信号(映像信号)に変換、またはシリアル信号をイーサネット(登録商標)上の映像データに変換する。
【0025】
エンコーダ14a,14bは、ビデオスイッチ15a,15bからの映像を入力して符号化処理し、圧縮データを出力する。LANスイッチ12a,12bは、映像システムのIPネットワーク上のスイッチングハブであり、受信したパケットの制御情報フィールド(ヘッダ)に記述されたあて先のMACアドレスを読み取り、アドレステーブルを参照して、そのMACアドレスの機器が接続された特定のポートだけに送出する。LANスイッチ12a,12bは、サーバ11と、ビデオスイッチ15a,15b及びエンコーダ14a,14b間の制御データの伝送を行う。
【0026】
サーバ11はビデオスイッチ制御手段11a及び伝送障害検知手段11bを備える。ビデオスイッチ制御手段11aは、ビデオスイッチ15a,15bに対しどの映像をどこの出力映像にするかを制御する。伝送障害検知手段11bは、エンコーダ14a,14bの符号化処理するカメラ映像を順次検査し、映像データ入力が切断されていないかを判断し、映像データ入力の切断があった場合、どこに障害が発生しているかを判断する。
【0027】
尚、図2においてビデオスイッチは2つとなっているが、これは最小数であり、映像システムの拡大によりビデオスイッチ及びそれに接続されるエンコーダ、信号変換装置、LANスイッチの組み合わせ数は増加して構わない。
【0028】
(映像障害判断システムの動作)
次に映像障害判断システム200の動作について図3のフローチャートを参照して説明する。以下の動作では、サーバ11のビデオスイッチ制御手段11aが、ビデオスイッチ15a,15bを制御し、所望のカメラ17a〜17cが撮影するカメラ映像をモニタ16に表示する際の映像障害判断の動作について説明する。
【0029】
(a)ステップS101において、カメラ17a〜17cが撮影する映像信号がビデオスイッチ15aに入力されると、ステップS102において、ビデオスイッチ15aは、サーバ11からの制御に従い、入力された映像信号を適宜ビデオスイッチ15b、エンコーダ14a及び信号変換部13aに出力する。エンコーダ14aはこの映像信号を圧縮処理等し、信号変換部13aは映像信号(シリアル信号)を適応するデータに変換する。
【0030】
(b)ステップS103においてサーバ11の伝送障害検知手段11bは、エンコーダ14aが圧縮処理等する映像信号の出力の有無を判断する。尚、圧縮処理された映像信号は映像信号の有無の判断のみに使用され、この後エンコーダ等にエンコードされることはない。ステップS104にて映像信号の出力が検知されない場合、障害発生と診断され、ステップS109へ進む。ステップS104にて映像信号の出力が正常であった場合、ステップS105へ進む。
【0031】
(c)ステップS105においては、ステップS102でビデオスイッチ15aから出力される映像信号をビデオスイッチ15bが受信し、ビデオスイッチ15bはこの受信した映像信号を、サーバ11からの制御に従い、適宜エンコーダ14b、信号変換部13b及びモニタ16に出力する。エンコーダ14bはこの映像信号を圧縮処理等し、信号変換部13bは映像信号を適応するデータに変換する。
【0032】
(d)ステップS106においてサーバ11の伝送障害検知手段11bは、エンコーダ14bが圧縮処理等する映像信号の出力の有無を判断する。尚、圧縮処された映像信号は映像信号の有無の判断のみに使用され、この後エンコーダ等にエンコードされることはない。ステップS107にて映像信号の出力が検知されない場合、障害発生と診断され、ステップS109へ進む。ステップS107にて映像信号の出力が正常であった場合、モニタ16には所望のカメラが撮影した映像が表示され、又ステップS101〜S107の処理が繰り返される。
【0033】
(e)ステップS109では、伝送障害検知手段11bが、障害が発生したこと及び発生箇所を示す情報をモニタ16に表示する。
【0034】
(実施例1)
実施例として図2中のビデオスイッチ15aからビデオスイッチ15bへの出力1(カメラ17aの映像)が無かった、つまりビデオスイッチ15aとビデオスイッチ15b間のケーブル等にて障害が発生している場合の障害検知処理について説明する。尚、サーバ11のビデオスイッチ制御手段11aは、カメラ17a〜17cで撮影された映像をビデオスイッチ15a,15bを介してモニタ16に出力するように制御している。
【0035】
(a)エンコーダ14aは、ビデオスイッチ15aに接続されているカメラ17a〜17cから映像を順次受信し圧縮処理等を行う。サーバ11の伝送障害検知手段11bは、圧縮処理の際のエンコーダ14aの映像データの入出力状況を観察することで、カメラ17a〜17c及びビデオスイッチ15aが正しく動作しているか判断する。この場合、カメラ17a〜17c及びビデオスイッチ15aには障害は無い為、エンコーダ14aでは正しく映像データ入出力が行われ、伝送障害検知手段11bは、カメラ17a〜17c及びエンコーダ14aには障害は無いと判断する。
【0036】
(b)同様に、エンコーダ14bは、ビデオスイッチ15a,15bを介して、カメラ17a〜17cからの映像を順次受信し圧縮処理等を行う。サーバ11の伝送障害検知手段11bは、圧縮処理の際のエンコーダ14bの映像データの入出力状況を観察することで、ビデオスイッチ15aとビデオスイッチ15b間の接続、及びビデオスイッチ15bが正しく動作しているか判断する。この場合、ビデオスイッチ15aの出力1に障害がある為、入力1では正しく映像データが受信されない。エンコーダ14bはこの状態で入力された映像データの圧縮処理を行い、伝送障害検知手段11bは、エンコーダ14bの映像データの入出力状況を観察し、入力1、つまりカメラ17aからの映像がないことを判断する。ちなみに他の入力(例えば入力2)は正常であるものとする。
【0037】
この場合、カメラ17aか、ビデオスイッチ15aか、ビデオスイッチ15a,15b間か、ビデオスイッチ15bにて障害が発生していると考えられる。しかしエンコーダ14aは正常である為、カメラ17a及びビデオスイッチ15aは正常である。他の入力2はある為、ビデオスイッチ15bは正常である。よって残されたビデオスイッチ15a,15b間に障害があると伝送障害検知手段11bは判断し、モニタ16にビデオスイッチ15a,15b間に障害が発生していることを通知する。
【0038】
(その他の実施例)
他の例として、ビデオスイッチ15bが故障していることが原因でカメラ17a〜17cの映像がモニタ16に映らない場合、伝送障害検知手段11bは、エンコーダ14aは正常で、エンコーダ14bには映像データの入出力が全くないことを判断し、ビデオスイッチ15bに障害が発生していると判断する。
【0039】
又、カメラ17aが故障していることが原因でカメラ17aの映像がモニタ16に映らない場合、伝送障害検知手段11bは、エンコーダ14aにカメラ17aの映像の入出力が無く、エンコーダ14bにもカメラ17aの映像の入出力が無いと判断し、カメラ17a又はカメラ17a及びビデオスイッチ15a間にて障害が発生していると判断する。
【0040】
又、ビデオスイッチ15aが故障していることが原因でカメラ17a〜17cの映像がモニタ16に映らない場合、伝送障害検知手段11bは、エンコーダ14aに映像データの入出力が全く無いことを判断し、ビデオスイッチ15aに障害が発生していると判断する。
【0041】
このように本発明の第2の実施の形態に係る映像障害判断システム200によると、エンコーダの映像信号入出力を観察することにより、映像システム全体の映像障害状況を簡易に判断することが出来る。
【0042】
(第3の実施の形態)
(IPネットワーク伝送ベースの映像障害判断システム)
次にIPネットワーク伝送ベースにおいて映像信号の障害を判断する映像障害判断システム300について説明する。
【0043】
映像障害判断システム300は、図4に示すように、サーバ21と、LANスイッチ22a,22bと、デコーダ23a,23bと、エンコーダ24a,24bと、カメラ25a,25bと、モニタ26a,26bとを備えている。
【0044】
カメラ25a,25bは、撮影したカメラ映像をアナログ信号で出力する。
【0045】
エンコーダ24a,24bは、カメラ25a,25bから出力される映像を入力し、圧縮データとして出力する。尚、第3の実施の形態においてはエンコーダ24a,24bは通常のデータ圧縮装置として用いられる。
【0046】
LANスイッチ22a,22bは、映像システムのネットワーク上のスイッチングハブであり、受信したパケットの制御情報フィールド(ヘッダ)に記述されたあて先のMACアドレスを読み取り、アドレステーブルを参照して、そのMACアドレスの機器が接続された特定のポートだけに送出する。
【0047】
デコーダ23a,23bは、IPネットワーク上の映像圧縮データを受信し、復号化し、アナログ映像として出力する。
【0048】
モニタ26a、26bは、カメラ25a,25bが撮影した映像を表示する。
【0049】
サーバ21は、LANスイッチ制御手段21a及び伝送障害検知手段21bを備える。LANスイッチ制御手段21aは、LANスイッチ22a,22bにおいてどの入力映像をどこの出力映像にするかを制御する。伝送障害検知手段21bは、デコーダ23a,23bの復号処理するカメラ映像を順次検査し、映像データ入力が切断されていないかを判断し、映像データ入力の切断があった場合、どこに障害が発生しているかを判断する。
【0050】
(映像障害判断システムの動作)
次に映像障害判断システム300の動作について図5のフローチャートを参照して説明する。以下の動作では、サーバ21のLANスイッチ制御手段21aが、LANスイッチ22a,22bを制御し、所望のカメラ25a,25bが撮影するカメラ映像をモニタ26a,26bに表示する際の映像障害判断の動作について説明する。
【0051】
(a)ステップS201において、カメラ25a,25bが撮影する映像信号がエンコーダ24a,24bに入力されると、エンコーダ24a,24bは入力された映像信号に圧縮処理等を行い、符号化映像信号とする。符号化映像信号はLANスイッチ22aに送信される。
【0052】
(b)ステップS202においては、LANスイッチ22aは受信した符号化映像信号をLANスイッチ22b及びデコーダ23aに送信する。デコーダ23aでは、受信した符号化映像信号の復号化処理が行われる。
【0053】
(b)ステップS203においてサーバ21の伝送障害検知手段21bは、LANスイッチ22a,22bを介して、デコーダ23aが復号化処理等する映像信号の出力の有無を判断する。尚、復号化処理された映像信号はモニタ26aに送信される。ステップS204にて映像信号の出力が検知されない場合、障害発生と診断され、ステップS209へ進む。ステップS204にて映像信号の出力が正常であった場合、ステップS205へ進む。
【0054】
(c)ステップS205においては、ステップS202でLANスイッチ22aから出力される符号化映像信号をLANスイッチ22bが受信し、LANスイッチ22bはこの受信した符号化映像信号をデコーダ23bに出力する。デコーダ23bはこの符号化映像信号を復号化処理等する。
【0055】
(d)ステップS206においてサーバ21の伝送障害検知手段21bは、LANスイッチ22bを介して、デコーダ23bが復号化処理等する映像信号の出力の有無を判断する。尚、復号化された映像信号はモニタ26bに送信される。ステップS207にて映像信号の出力が検知されない場合、障害発生と診断され、ステップS209へ進む。ステップS207にて映像信号の出力が正常であった場合、モニタ26a,26bには所望のカメラ25a,25bが撮影した映像が表示され、又ステップS201〜S207の処理が繰り返される。
【0056】
(e)ステップS209では、伝送障害検知手段21bが、障害が発生したこと及び発生箇所を示す情報をモニタ26a,26bに表示する。
【0057】
(実施例1)
実施例として図4中のLANスイッチ22aからLANスイッチ22bへの符号化映像の出力が無かった、つまりLANスイッチ22a、又はLANスイッチ22aとLANスイッチ22b間のケーブル等にて障害が発生している場合の障害検知処理について説明する。尚、サーバ21のLANスイッチ制御手段21aは、カメラ25a,25bで撮影された映像をLANスイッチ22a,22bを介してモニタ26a,26bに出力するように制御している。
【0058】
(a)デコーダ23aは、LANスイッチ22aに接続されているエンコーダ24a,24bから映像を順次受信し復号化処理等を行う。サーバ21の伝送障害検知手段21bは、復号化処理の際のデコーダ23aの映像データの入出力状況を観察することで、カメラ25a,25b、エンコーダ24a,24b及びLANスイッチ22aが正しく動作しているか判断する。この場合、カメラ25a,25b、エンコーダ24a,24b及びLANスイッチ22aには障害は無い為、デコーダ23aでは正しく映像データ入出力が行われるが、LANスイッチ22a、又はLANスイッチ22aとLANスイッチ22b間のケーブル等にて障害発生しているため、伝送障害検知手段21bは、カメラ25a,25b、エンコーダ24a,24b及びLANスイッチ22a全てに障害が発生していると判断する。
【0059】
(b)同様に、デコーダ23bは、LANスイッチ22a,22bを介して、エンコーダ24a,24bからの映像を順次受信し復号化処理等を行う。サーバ21の伝送障害検知手段21bは、復号化処理の際のデコーダ23bの映像データの入出力状況を観察することで、LANスイッチ22aとLANスイッチ22b間の接続及びLANスイッチ22bが正しく動作しているか判断する。この場合、LANスイッチ22aとLANスイッチ22b間の接続に障害がある為、LANスイッチ22bでは正しく映像データが受信されない。デコーダ23bはこの状態で入力された映像データの復号化処理を行い、伝送障害検知手段21bは、エンコーダ14bの映像データの入出力状況を観察し、LANスイッチ22bからの映像がないことを判断する。
【0060】
この場合、カメラ25a,25bか、エンコーダ24a,24bか、LANスイッチ22aか、LANスイッチ22a,22b間か、LANスイッチ22bにて障害が発生していると考えられる。しかしカメラ25a,25b、エンコーダ24a,24bが全て障害になる確立は低い。また、SNMP・TrapやPing等を送受信したり、図示しない他のLANスイッチとの接続状態を確認することにより、LANスイッチ22bが正常であることは確認できる。よって残されたLANスイッチ22a、又はLANスイッチ22a,22b間に障害があると伝送障害検知手段21bは判断し、モニタ26bにLANスイッチ22a、又はLANスイッチ22a,22b間に障害が発生していることを通知する。
【0061】
(その他の実施例)
他の例として、LANスイッチ22bが故障していることが原因で映像がモニタ26aに映らない場合、伝送障害検知手段21bは、カメラ25a,25b、エンコーダ24a,24b及びLANスイッチ22a、LANスイッチ22b、及びデコーダ23b全てに障害が発生していること判断し、この場合は全て障害になる確立は低く、LANスイッチ22bが障害により全てが障害になったと判断することができる。また、SNMP・Trap等の送受信や図示しない他のLANスイッチとの接続状態の確認により、LANスイッチ22bに障害が発生していると判断することも可能である。
【0062】
又、カメラ25aが故障していることが原因でカメラ25aの映像がモニタ26a,26bに映らない場合、伝送障害検知手段21bは、デコーダ23aにカメラ25aの映像の入出力が無いことを判断し、カメラ25a又はエンコーダ24aにて障害が発生していると判断する。
【0063】
このように本発明の第3の実施の形態に係る映像障害判断システム300によると、デコーダの映像信号入出力を観察することにより、映像システム全体の映像障害状況を簡易に判断することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る映像障害判断システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係る映像障害判断システムの構成を示す図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る映像障害判断システムの動作を示すフロー図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態に係る映像障害判断システムの構成を示す図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係る映像障害判断システムの動作を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0065】
1…事務局
1a…映像信号接続部
1b…伝送障害検知部
1c…映像表示制御部
2,3,4…出張所
2a,3a,4a…映像信号接続部
2b,3b,4b…映像信号監視部
5a〜7c…カメラ
8…表示部
11…サーバ
11a…ビデオスイッチ制御手段
11b…伝送障害検知手段
12a,12b…LANスイッチ
13a,13b…信号変換部
14a,14b…エンコーダ
15a,15b…ビデオスイッチ
16…モニタ
17a,17b,17c…カメラ
21…サーバ
21a…LANスイッチ制御手段
21b…伝送障害検知手段
22a,22b…LANスイッチ
23a,23b…デコーダ
24a,24b…エンコーダ
25a,25b…カメラ
26a,26b…モニタ
100,200,300…映像障害判断システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のカメラで撮影した映像信号を伝送し表示部に表示するための映像システムであって、
前記撮影した映像信号を受信する映像信号接続部と、
前記映像信号接続部を制御し、所望のカメラが撮影した映像信号を前記表示部に表示させる映像表示制御部と、
前記映像信号接続部より受信する映像信号を監視する映像信号監視部と、
前記映像信号監視部による前記監視の情報を基に、前記伝送において伝送障害が発生していることを検知する伝送障害検知部
とを備えることを特徴とする映像障害判断システム。
【請求項2】
前記映像信号はアナログ信号にて伝送され、
前記映像信号監視部はエンコーダであり、
前記伝送障害検知部は、前記エンコーダにて入出力される前記映像信号を基に、前記伝送において伝送障害が発生していることを検知する
ことを特徴とする請求項1に記載の映像障害判断システム。
【請求項3】
前記映像信号はIPネットワークにてデジタル信号で伝送され、
前記映像信号監視部はデコーダであり、
前記伝送障害検知部は、前記デコーダにて入出力される前記映像信号を基に、前記伝送において伝送障害が発生していることを検知する
ことを特徴とする請求項1に記載の映像障害判断システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−200957(P2009−200957A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−41989(P2008−41989)
【出願日】平成20年2月22日(2008.2.22)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】