説明

時刻修正装置及び時刻修正用プログラム

【課題】ノイズ等の悪影響により時刻修正の頻度を落とすことを極力抑え、高精度の時刻を維持する。
【解決手段】チューナ21、31により同時に時報を含むメイン局、サブ局それぞれの電波を受信し、トーンデコーダ31、32によりチューナ21、31からの音声信号に含まれる時報の予報音、正報音に応じた2系統の出力信号を取得する。制御手段71は時報検出手段61にメイン局についての出力信号に含まれる時報に対応する時報信号の検出をさせ、当該検出タイミングに基づいて時刻修正を行う。サブ局についての出力信号をRAM43に記憶しておき、制御手段71はメイン局につき時報信号が検出できなかったときには、記憶したサブ局の出力信号を再生してこれを時報検出手段61に与えて検出動作をさせ、時報信号の検出タイミングに基づいて時刻修正を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時刻修正装置に関するものであり、特にラジオ放送等の時報に基づき時刻修正を行う時刻修正装置及び時刻修正用プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からラジオ放送の時報を用いて時刻修正を行う時刻修正装置を備えた時計がある。NHK(日本放送協会、以下、NHK)の時報は、0.1秒継続する440Hzの予報音を1秒間隔で3回送信し、その1秒後に1秒継続し減衰する880Hzの正報音を送信するという構成となっている。
【0003】
この種の時刻修正装置では、ノイズ等の影響による誤修正、ラジオ受信機の故障により修正が行われないという問題があり、その対策として2つのラジオ受信機を備えたものがある。例えば、特許文献1に示される時刻修正装置では、2台のラジオ受信機を用い、各ラジオ受信機からの時報信号の論理積出力によって装置内の時計の時刻修正を行うことにより、ノイズ等の影響による誤修正を抑えようとしている。また、この時刻修正装置は、各ラジオ受信機からの時報信号の検出出力の論理和出力によって計数回路の計数内容を歩進し、時刻修正が行われた場合には計数回路をリセットするように構成してあり、計数回路が所定値を計数したときに報知信号を発生し、ラジオ受信機の故障等の不具合を報知可能としてある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭63−42493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示されるものでは、2つのラジオ受信機により時報を時報信号として検出し、同時に時報信号を検出したタイミングを正時として時計の時刻修正を行うため、ノイズ等の悪影響を受けて一方のラジオ受信機が時報信号を検出できなかっただけで時刻修正を行えず、時刻修正の頻度が少なくなるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の時刻修正装置は、時報を重畳した電波を受信して前記時報に基づいて時刻修正を行う時刻修正装置であって、時刻を計時する計時手段と、互いに異なるチャンネルの前記電波を受信して前記時報に応じた出力信号を出力する第1及び第2の受信手段と、前記第2の受信手段の出力信号を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された前記第2の受信手段の出力信号を再生する再生手段と、前記第1の受信手段からの前記出力信号又は前記再生手段からの前記出力信号に基づいて前記時報に対応する時報信号を検出する時報検出手段と、前記時報検出手段の前記時報信号の検出タイミングに基づいて前記計時手段の時刻を修正する修正手段と、所定のタイミングに前記時報検出手段に前記第1の受信手段の前記出力信号に基づく前記時報信号の検出を開始せしめると同時に、前記記憶手段への前記第2の受信手段の前記出力信号の記憶を開始せしめ、前記時報検出手段が前記第1の受信手段の前記出力信号に基づき前記時報信号を検出したときには、前記修正手段に当該検出タイミングに基づいて前記計時手段の時刻を修正せしめ、前記時報検出手段が前記第1の受信手段の出力信号に基づき前記時報信号を検出できなかったときには、前記再生手段に前記出力信号の再生をせしめるとともに前記時報検出手段に当該再生された前記出力信号に基づく前記時報信号の検出を開始せしめ、前記時報検出手段が当該再生された前記出力信号に基づき前記時報信号を検出したときには、前記修正手段に当該検出タイミングに基づいて前記計時手段の時刻を修正せしめる制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、前記第1の受信手段及び前記第2の受信手段は、前記電波を受信して得られた信号に第1の周波数の信号が検出されたときと、前記電波を受信して得られた信号に第2の周波数の信号が検出されたときと、に出力信号を出力するものであり、前記時報検出手段は、時間軸上の第1の有効範囲内で前記出力信号を受けた後に、時間軸上の第2の有効範囲内で前記出力信号を受けたことをもって前記時報信号の検出とするものであることが好ましい。
【0008】
前記記憶手段には所定のサンプリング周期で前記第2の受信手段からの前記出力信号を所定のサンプリング周期でサンプリングして得られたデータが記憶され、前記再生手段は、前記記憶手段からデータを読み出して前記サンプリング周期で前記出力信号として再生することが好ましい。
【0009】
前記第2の受信手段と、前記第記憶手段とを複数備えることも好ましい。
【0010】
本発明の時刻修正用プログラムは、互いに異なるチャンネルの電波を受信する第1の受信手段及び第2の受信手段からの前記電波に重畳された時報に応じた出力信号が入力されるコンピュータに、前記時報に基づいて時刻の修正を行う処理を実行させる時刻修正用プログラムであって、時刻を計時する計時処理と、前記第2の受信手段の出力信号を所定の記憶領域に記憶する記憶処理と、前記記憶処理により記憶された前記第2の受信手段の前記出力信号を再生する再生処理と、前記第1の受信手段からの前記出力信号又は前記再生処理により再生される前記出力信号に基づいて前記時報に対応する時報信号を検出する時報検出処理と、前記時報検出処理の前記時報信号の検出タイミングに基づいて前記計時処理の計時する時刻を修正する修正処理と、所定のタイミングに前記第1の受信手段の前記出力信号に基づく前記時報検出処理を開始すると同時に、前記記憶処理による前記記憶領域への前記第2の受信手段の前記出力信号の記憶を開始し、前記時報検出処理により前記第1の受信手段の前記出力信号に基づき前記時報信号を検出したときには、前記修正処理により当該検出タイミングに基づいて前記計時処理の計時する時刻を修正し、前記時報検出処理による前記第1の受信手段の前記出力信号に基づく前記時報信号の検出ができなかったときには、前記再生処理による前記出力信号の再生を開始するとともに当該再生された前記出力信号に基づく前記時報検出処理を開始し、前記時報検出処理により当該再生された前記出力信号に基づき前記時報信号を検出したときには、前記修正処理により当該検出タイミングに基づいて前記計時処理の計時する時刻を修正する制御処理と、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、2つの受信手段により同時に時報を含む2系統の電波(後述するメイン局、サブ局それぞれの電波)を受信して時報に応じた2系統の出力信号を取得し、一方の出力信号に基づき時報に対応する時報信号を検出したときには当該検出タイミングに基づいて時刻修正を行い、他方の出力信号を記憶する。本発明は、一方の出力信号に基づき時報信号が検出できなかったときには、記憶した他方の出力信号を再生し、当該再生された出力信号に基づき時報信号を検出したときには当該検出タイミングに基づいて時刻修正を行う。これにより、ノイズ等の悪影響により2系統の電波の一方の受信に不具合があっても、他方の受信が正常に行われ時報信号を含む出力信号が記憶されていれば、直ちに当該出力信号を再生して時報信号を検出し、当該検出タイミングに基づいて時刻修正を行うことが可能となる。本発明ではノイズ等の悪影響により時刻修正の頻度を落とすことを極力抑え、高精度の時刻を維持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は本発明の実施形態に係わる時刻修正装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は本発明の実施形態に係わる時刻修正装置の動作説明のためのタイミングチャートであり、時報及びこれに対応するトーンデコーダの出力信号を説明するためのものである。
【図3】図3は本発明の実施形態に係わる時刻修正装置の動作説明のためのフローチャートであり、全体の動作を説明するためのものである。
【図4】図4は本発明の実施形態に係わる時刻修正装置の動作説明のためのフローチャートであり、時報検出手段の動作説明のためのものである。
【図5】図5は本発明の実施形態に係わる時刻修正装置の動作説明のためのタイミングチャートであり、メイン局の電波を正常に受信して得られた出力信号を時刻修正に用いる場合の動作を説明するためのものである。
【図6】図6は本発明の実施形態に係わる時刻修正装置の動作説明のためのタイミングチャートであり、サブ局の電波を受信して得られた出力信号を記憶して後にこれを再生して時刻修正に用いる場合の動作を説明するためのものである。
【図7】図7は本発明の実施形態に係わる時刻修正装置の動作説明のための説明図であり、サブ局の電波を受信して得られた出力信号の記憶動作を説明するためのものである。
【図8】図8は本発明の実施形態に係わる時刻修正装置の動作説明のためのフローチャートであり、サブ局の電波を受信して得られた出力信号の記憶動作を説明するためのものである。
【図9】図9は本発明の実施形態に係わる時刻修正装置の動作説明のための説明図であり、サブ局の電波を受信して得られた出力信号の再生動作を説明するためのものである。
【図10】図10は本発明の実施形態に係わる時刻修正装置の動作説明のためのフローチャートであり、サブ局の電波を受信して得られた出力信号の再生動作を説明するためのものである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明の実施形態の時刻修正装置のブロック図であり、時刻修正装置10は、計時手段11と、チューナ21、22と、トーンデコーダ31、32と、入力ポート41と、レジスタ手段42と、RAM43と、出力ポート51と、時報検出手段61と、制御手段71と、信号選択手段72とからなる。計時手段11、レジスタ手段42、RAM43、時報検出手段61、制御手段71、信号選択手段72は、コンピュータ81の図示しないCPU、ROM、RAM等のハードウェア及びソフトウェア、すなわち、コンピュータ81上で実行されるプログラムにより実現される。例えば、レジスタ手段42は、コンピュータ81の適当なレジスタを用い、コンピュータ81上で実行されるレジスタへのデータ格納処理により実現される。すなわち、後述する各フローチャートに示す動作は、それぞれの処理のためのプログラムをコンピュータ81上で実行することにより実現され、これらの処理のためのプログラムにより本発明の時刻修正用プログラムが構成される。
【0014】
計時手段11は、時刻修正装置10の時刻を計時するものであり、コンピュータ81上で実行される計時処理により実現する。
【0015】
チューナ21、22は、図示しないアンテナに接続され、ラジオ放送の電波を受信する受信装置であり、当該電波にて搬送される音声信号を復調する。チューナ21はメインとなる所定の放送局(以下、メイン局という)からの時報を含む電波を受信可能なように設定されている。チューナ22はサブとなる所定の放送局(以下、サブ局という)からの時報を含む電波を受信可能なように設定されている。メイン局、サブ局は、時刻修正装置10を設置した地域において互いに異なるチャンネルで時報を含む電波を送信する放送局から適宜に選択すればよい。例えば、千葉県船橋市近郊に時刻修正装置10を設置する場合、メイン局の電波として東京のNHKのFM放送(82.5MHz)を選択し、サブ局の電波として千葉のNHKのFM放送(80.7MHz)を選択するなどすればよい。また、時刻修正装置10の設置場所で複数の放送局の電波を受信できれば、受信状態の良い電波をメイン局とするようにすればよい。また、メイン局の電波としてNHKのFM放送とし、サブ局の電波としてNHKのラジオ第1放送を選択するなど、時刻修正装置10の設置場所において受信可能な時報を含む電波の種類に応じてチューナ21、22として適宜なものを設ければよい。
【0016】
トーンデコーダ31、32は、それぞれチューナ21、22からの音声信号を受け、音声信号に含まれる440Hzの予報音、880Hzの正報音を検出して出力端子31A、32Aからの出力信号の状態を変化させる。例えば、図2に示すように1秒毎の3回の440Hzの予報音、その1秒後の880Hzの正報音のそれぞれの発生タイミングに出力端子からの出力信号を“H”から“L”へ立ち下げ、消失のタイミングに“H”に戻す。なお、880Hzの正報音については、発生から1秒後に減衰を開始するが、この減衰の開始を消失とみなしている。トーンデコーダ31、32は、440Hz、880Hzにある音声信号が所定の閾値を超えたときに出力信号を“H”から“L”へ立ち下げる。3回の予報音とこれらに続く正報音とで時報は構成され、出力信号はこれに対応して3回の0.1秒間の“L”に続く1秒間の“L”となり、この出力信号の遷移により時報信号を表す。
【0017】
チューナ21とトーンデコーダ31とにより第1の受信手段が構成され、チューナ22とトーンデコーダ32とにより第2の受信手段が構成される。
【0018】
入力ポート41は、コンピュータ81の入力ポートであり、トーンデコーダ32に接続され、トーンデコーダ32の出力信号を受け、出力信号を1m秒周期でサンプリングし、出力信号が“H”の状態を“1”、出力信号が“L”の状態を“0”とコンピュータ81においてデータとして扱える状態に変換し、すなわち、出力信号をレジスタ手段42が読み取り可能なデータに変換するものである。なお、サンプリング周期は1m秒に限るものではなく、100μ秒など適宜に選択すればよい。
【0019】
レジスタ手段42は、8bitのレジスタ42Aを用い、入力ポート41のデータを1m秒周期でレジスタの最下位のbitから順にレジスタに格納し、8bitのデータをレジスタに格納する毎に、この8bit毎のデータをRAM43の先頭のアドレスから順にRAM43に書き込むものである。これにより、トーンデコーダ32の出力信号がRAM43に記憶される。入力ポート41、レジスタ手段42及びRAM43により記憶手段が構成される。
【0020】
また、レジスタ手段42は、RAM43に書き込まれた8bit毎のデータを先頭のアドレスから順に読み出し、8bitのレジスタ42Bに格納し、1m秒周期で最下位のbitから順に出力ポート51へ出力するものである。これにより、出力ポート51からは、トーンデコーダ32の出力信号に相当する出力信号が出力されることになり、出力信号の再生が実現される。出力ポート51、レジスタ手段42により再生手段が構成される。
【0021】
時報検出手段61は、信号選択手段72を介して、トーンデコーダ31からの出力信号または出力ポート51からの出力信号を選択的に受け、これら出力信号から時報信号を検出するものである。
【0022】
信号選択手段72は、トーンデコーダ31からの出力信号または出力ポート51からの出力信号を制御手段71の出力に応じて選択的に出力するものである。信号選択手段72は、例えば、コンピュータ81の図示しない入力ポートをトーンデコーダ31に接続し、上述の入力ポート41と同様に出力信号を1m秒周期でサンプリングして出力信号が“H”の状態を“1”、出力信号が“L”の状態を“0”としたデータとし、図示しない所定のレジスタに書き込むことで時報検出手段61に出力する。また、信号選択手段72は、出力ポート51のデータを上述の所定のレジスタに書き込むことで時報検出手段61に出力する。
【0023】
時報検出手段61は、1m秒周期で更新される上述の所定のレジスタの内容が、“1”から“0”に変わるタイミングを検出して、出力信号の立下りのタイミングと検出する。時報検出手段61は、図2に示すように最初の出力信号の立下りのタイミングから1秒の前後50m秒の期間を有効期間W1と設定し、有効期間W1に2回目の出力信号の立下りのタイミングを検出すると、2回目の出力信号の立下りのタイミングから1秒の前後50m秒の期間を有効期間W2と設定し、有効期間W2に3回目の出力信号の立下りのタイミングを検出すると、3回目の出力信号の立下りのタイミングから1秒の前後50m秒の期間を有効期間W3と設定し、有効期間W3に4回目の出力信号の立下りのタイミングを検出すると、時報信号を検出したとする。有効期間W1、W2は上述の第1の有効期間であり、有効期間W3は上述の第2の有効期間である。時刻修正装置10では、4回目の出力信号の立下りのタイミングを時報が示す正時のタイミングに対応するものとして、これに基づいて計時手段51の時刻修正を行う。
【0024】
制御手段71は、全体の動作を制御するとともに、時報検出手段61の検出した時報信号の4回目の出力信号の立下りのタイミングに基づいて計時手段51の計時する時刻の修正を行い、上述の修正手段を兼ねる。
【0025】
次に時刻修正装置10の動作について説明する。図3のフローチャートは、時刻修正装置10の全体の動作、換言すれば、制御手段71の動作を示すものである。同図に添って説明する。制御手段71の動作は、コンピュータ81上で実行される制御処理により実現される。制御手段71は、計時手段の計時する時刻が所定の時報の受信タイミングとなると、すなわち、正時(例えば、正午)の10秒前(例えば、午前11時59分50秒)となると、動作を開始し、信号選択手段72にトーンデコーダ31からの出力信号を選択して時報検出手段61に出力せしめ、時報検出手段61に時報信号の検出動作を開始せしめる。制御手段71は図示しない信号線を介してチューナ21、22、トーンデコーダ31、32のオン、オフを制御し、これらにも動作を開始させる。なお、チューナ21、22、トーンデコーダ31、32については所定の助走期間だけ早めに動作を開始させてもよい。制御手段71は、動作開始と同時にレジスタ手段42にトーンデコーダ32からの出力信号をRAM43に記憶せしめる(ステップS11)。そして、時報検出手段61による時報信号の検出の有無を監視する(ステップS12)。制御手段71は、時報信号が検出されなければ(ステップS12:No)、RAM43に所定の記憶時間、20秒分のトーンデコーダ32からの出力信号の記憶が完了するまで監視を継続する(ステップS13)。
【0026】
ここで、時報検出手段61は、信号選択手段72を介してトーンデコーダ31からの出力信号を受け、時報信号の検出動作を行う。図4のフローチャートはこの時報信号の検出動作を説明するためのものであり、これに添ってこの検出動作を説明する。時報検出手段61の動作は、コンピュータ81上で実行される時報の検出処理により実現される。時報検出手段61は、図示しない第1のタイマをスタートする(ステップS21)。なお、この第1のタイマは、1秒毎に値をカウントアップする処理であり、第1のタイマの初期値は0であり、w3はスタートから20秒後に対応する値である。この間、時報検出手段61は、出力信号の立下りの有無を監視し、すなわち、信号選択手段72の更新する所定のレジスタの出力する値が“1”から“0”に変化するか否かを監視し、出力信号の立下りを検出する(ステップS22)。時報検出手段61は、出力信号の立下りが検出できなければ(ステップS22:No)、第1のタイマの値がw3を超えるまで出力信号の立下りの有無の監視を継続する(ステップS23)。時報検出手段61は、第1のタイマの値がw3を超える(ステップS23:Yes)と、動作を終了する(エンド)。
【0027】
時報検出手段61は、出力信号の立下りを検出する(ステップS22:Yes)と、第2のタイマをスタートさせる(ステップS24)。この第2のタイマは、1m秒毎に値をカウントアップする処理であり、初期値は0であり、w1はスタートから950m秒後に対応する値であり、w2はスタートから1050m秒後に対応するものである。そして、時報検出手段61は、出力信号の立下りの回数に対応した図示しないカウンタのカウント値を1つインクリメントする(ステップS25)。カウント値の初期値は0であり、ここで、時報検出手段61は、最初の立下りを検出するとカウント値を1とする。これにより、最初の予報音の発生タイミングに対応する出力信号の立下りを検出済みであることが記憶される。時報検出手段61は、出力信号の2回目以降の立下りについても監視し、出力信号の立下りを検出する(ステップS26)。時報検出手段61は、出力信号の立下りが検出できなければ(ステップS26:No)、第2のタイマの値がw2を超えるまで出力信号の立下りの有無の監視を継続する(ステップS27)。時報検出手段61は、第2のタイマの値がw2を超える(ステップS27:Yes)と、カウント値をクリアする(ステップS28)。すなわち、直前の出力信号の立下りから許容できる有効期間に出力信号の立下りを検出しておらず、先の出力信号の立下りは正規の予報音の発生タイミングに対応する出力信号の立下りではない状態にあり、最初の予報音の発生タイミングに対応する出力信号の立下りを検出済みでない状態にカウント値を戻す。ステップS28でカウント値をクリアしてステップS22以降の動作に戻る。これにより、許容できる有効期間外の出力信号の立下りをノイズ等の影響によるものとして排除してある。
【0028】
時報検出手段61は、出力信号の立下りを検出する(ステップS26:Yes)と、この検出タイミングにおいて第2のタイマの値がw1を超えたか否か確認する(ステップS29)。例えば、図2に示すように、最初の出力信号の立下りから1秒の前後50m秒の有効期間に検出された出力信号の立下りを、時報の2回目の予報音の発生タイミングに対応した正規のタイミングとするが、ここで、第2のタイマの値がw1を超えていない場合(ステップS29:No)、先の出力信号の立下り、または、今回の出力信号の立下りがノイズ等による出力信号の立下りで正規のタイミングの出力信号の立下りを検出できていない状態である。この場合、時報検出手段61は、カウント値をクリアする(ステップS2A)。時報検出手段61は、次に第2のタイマの値をクリアし(ステップS2B)、ステップS24以降の動作に戻って第2のタイマをスタートさせた後、カウンタ値を1つインクリメントする(ステップS25)。ここでは、出力信号の立下りを1つ検出したことを記憶した状態で次の出力信号の立下りまでの時間が計測される。なお、ステップS26〜S24に戻る迄のタイムラグは、サンプリング周期、例えば、1m秒より十分小さく無視できるものとする。
【0029】
時報検出手段61は、次に出力信号の立下りを検出すると(ステップS26:Yes)、この検出タイミングにおいて第2のタイマの値がw1を超えたか否か確認する(ステップS29)。ここで、値がw1を超えていない場合(ステップS29:No)、時報検出手段61は、ステップS2A以降の動作に戻る。これにより、ノイズ等、例えば、最初の予報音の発生迄に予報音以外の音声により生じる出力信号の立下りを排除してある。なお、図2では説明の便宜上、ノイズ等による出力信号の立下りは図示していない。また、出力信号の立下りの検出タイミングにおいて第2のタイマの値がw1を超えている場合(ステップS29:Yes)、この出力信号の立下りの検出の直前のステップS27でタイマの値がw2を超えていないことが確認されてあり、この出力信号の立下りは、図2に示すように、最初の出力信号の立下りから1秒の前後50m秒の有効期間に検出された出力信号の立下りで、時報の2回目の予報音の発生タイミングに対応した正規のタイミングのものに相当する。時報検出手段61は、次にカウント値が3であるか否か確認する(ステップS2C)。ここで、カウント値が3でない場合(ステップS2C:No)、時報検出手段61は、ステップS2B以降の動作に戻って第2のタイマの値をクリアし、第2のタイマをスタートさせ(ステップS24)、カウンタ値を1つインクリメントする(ステップS25)。ここでは、カウント値は2となっており、時報の2回目の予報音の発生タイミングに対応した出力信号の立下りを検出したことを記憶した状態で、次の出力信号の立下りまでの時間が計測される。
【0030】
時報検出手段61は、次に出力信号の立下りを検出すると(ステップS26:Yes)、この検出タイミングにおいて第2のタイマの値がw1を超えている場合(ステップS29:Yes)、カウント値が3か否かを確認し(ステップS2C)、3でない場合(ステップS2C:No)、時報検出手段61は、ステップS2B以降の動作に戻って第2のタイマの値をクリアし、第2のタイマをスタートさせ(ステップS24)、次にカウンタ値を1つインクリメントする(ステップS25)。この場合、図2に示すように、出力信号の2回目の立下りから1秒の前後50m秒の有効期間W2にあることを意味し、時報検出手段61は、この有効期間W2に検出された出力信号の立下りを、時報の3回目の予報音の発生タイミングに対応した正規のタイミングとし、カウント値を3として3回目の予報音の発生タイミングに対応した出力信号の立下りを検出したことを記憶した状態で、次の出力信号の立下りまでの時間を計測する。
【0031】
時報検出手段61は、次に出力信号の立下りを検出すると(ステップS26:Yes)、この検出タイミングにおいて第2のタイマの値がw1を超えているか否か確認する。この検出タイミングにおいて第2のタイマの値がw1を超えている場合(ステップS29:Yes)、この検出タイミングは、図2に示すように、出力信号の3回目の立下りから1秒の前後50m秒の有効期間W3にあることを意味する。時報検出手段61は、この出力信号の立下りを、時報の正報音の発生タイミングに対応した正規のタイミングとし(ステップS29:Yes)、カウント値が3か否かを確認する(ステップS2C)。ここで、3回目の予報音の発生タイミングに対応する出力信号の立下りを検出済みであることが記憶されているためにカウント値は3であり(ステップS2C:Yes)、時報検出手段61は、ここでの出力信号の立下りを、時報の正報音の発生タイミングに対応した正規のタイミングとし、このタイミングにおいて時報信号を検出したとし(ステップS2D)、時報信号の検出動作を終了する(エンド)。
【0032】
時報検出手段61は、ステップS2Dにおいて時報の正報音の発生タイミングに対応した正規のタイミングを検出したときに、図示しない所定の記憶領域に時報信号の検出を示すフラグを格納し、制御手段71への出力としてある。そして、制御手段71は、図3のフローチャートのステップS12においてこの記憶領域を監視する。図5に示すようにメイン局の時報の正報音の発生タイミングは時刻t1となっており、制御手段71は時報信号の検出がなったタイミングに計時手段71から時刻t1を取得することになる。制御手段71は、この時刻t1と正時の時刻t0、ここでは、正午との誤差Δt1を特定する(ステップS14)。例えば、計時手段71の計時する時刻では、100m秒以下の値は1m秒でインクリメントされる値としてあり、この精度で誤差Δt1を求めるものとする。そして、制御手段71は、既知の時刻修正方法を用い、誤差Δt1に基づいて計時手段71の計時する時刻を修正する(ステップS15)。
【0033】
計時手段71の計時する時刻を修正する方法としては様々なものが適用可能であり、例えば、特開2005−156449号公報に開示されるような基準時刻との誤差に基づいて所定の期間に渡って徐々に誤差を解消するように計時手段の計時する時刻を修正する方法をとってもよく、その場合には基準時刻との誤差に代えて誤差Δt1を用いればよい。また、適当なタイミングに一度に現在時刻を修正する場合、誤差Δt1に基づき修正した時分秒までの時刻データを計時手段71の記憶領域に記憶し、誤差Δt1の100m秒以下の値で時報と秒同期をとってこの時刻データを歩進し更新すればよい。例えば、現在時刻が時報の正時から2200m秒進んでいることを示す誤差Δt1の場合には、計時手段71の計時する現在時刻が正時から3秒となるとこの時刻を時刻データとして記憶領域に格納し、この時刻データを計時手段71の正時から2200m秒のタイミングから3秒の同期タイミング迄維持して修正後の現在時刻とするとともに、この同期タイミングに秒同期をとり、換言すれば、同期タイミングから100m秒以下の値の計数処理を開始し、計数値が1000m秒となると時刻データの秒位を1秒歩進するようにして、現在時刻を更新していく。また、例えば、現在時刻が時報の正時から2200m秒遅れていることを示す誤差Δt1の場合には計時手段71の計時する正時から3秒後の時刻を時刻データとして記憶領域に格納し、この時刻データを計時手段71の正時から800m秒経過した同期タイミングに修正後の現在時刻とするとともに、この同期タイミングに秒同期をとって現在時刻を更新していく。
【0034】
制御手段71は、ステップS15において時刻修正を行うと、上述の一連の動作を終了し、次の時報の受信タイミングまで待機する(エンド)。図3のフローチャートでは、トーンデコーダ32の出力信号のRAM43への記憶を完了させてから動作を終了するか否かを特定していないが、記憶を完了させてから動作を終了してもよいし、記憶の途中で動作を終了させてもよい。説明の便宜上図5では記憶を完了させて動作を終了させた状態を示している。図5では、の破線で囲まれるサブ局についての時報信号を含む出力信号がRAM43に記憶されることを示している。図3のフローチャートに示す動作終了とともに、制御手段71はチューナ21、22、トーンデコーダ31、32の動作を停止させる。
【0035】
図5では、メイン局、サブ局のそれぞれの時報信号が受信できている場合を示してある。これに対して図6では、サブ局の時報信号のみ受信できた場合を示しており、メイン局についての出力信号は“H”に維持されて時報信号を含んでいない。次にこの図6に示す場合の動作について説明する。この場合、図3のフローチャートのステップS12において時報信号の検出がない状態が続き、この間制御手段71は、ステップS13において、トーンデコーダ32の出力信号のRAM43への記憶のための所定の記憶時間が終了したか、例えば、計時手段61の現在時刻が正時から10秒に達したかを監視する。
【0036】
ここで、レジスタ手段42によるトーンデコーダ32の出力信号のRAM43への記憶動作について、図7の動作説明図及び図8のフローチャートを参照しながら説明する。図7に示すようにトーンデコーダ32からの出力信号を受けた入力ポート41は、出力信号を1m秒周期でサンプリングし、出力信号が“H”の状態を“1”、出力信号が“L”の状態を“0”とデータとして扱える状態に変換して出力している。レジスタ手段42は、レジスタ42Aを用い、入力ポート41のデータを1m秒周期で読み込み(ステップS31)、レジスタ42Aの最下位のbitから順次格納していく(ステップS32)。レジスタ手段42は、8bitのデータをレジスタ42Aに格納する(ステップS33:Yes)と、格納すべきRAM43のアドレスを指定し(ステップS34)、8bitのデータをRAM43に格納する(ステップS35)。例えば、最初に、図7に示すようにRAM43の先頭のアドレス1000hを指定し、記憶動作の開始の0秒から8m秒迄の8bitのデータ、例えば、“11111111”をアドレスの指定するRAM43の記憶領域に書き込み、格納する。レジスタ手段42は、書き込み終了と同時に、レジスタ42Aのデータを消去し、レジスタ42Aをデータの格納が可能な状態とする。そして、レジスタ手段42は、所定の記録時間が終了したかを確認し(ステップS36)、終了していなければ(ステップS36:No)、ステップS31以降の動作に戻る。
【0037】
レジスタ手段42は、レジスタ42Aに8bitのデータを格納する毎にRAM43のアドレスを1つインクリメントしつつ指定し、指定するRAM43のアドレスの記憶領域に順次8bitのデータを記憶していく。図7では、1001h、1002h、・・・、1270h、1271hというように順次インクリメントされるアドレスの右に記憶するデータの例として“11111111”、“11111111”、・・・、“00000011”、“00000000”を示してある。アドレスの末尾のhは、アドレスが16進数で表示されていることを示す。この例では、8m秒から16m秒迄のデータを格納する先頭から2番目のアドレスの1001h、16m秒から24m秒迄のデータを格納する3番目のアドレスの1002h、これ以降の126Fhまでのアドレスではデータとして“11111111”を継続して格納し、4992m秒から5000m秒迄のデータを格納する625番目のアドレスの1270hではデータとして“00000011”を格納し、5000m秒から5008m秒迄のデータを格納する626番目のアドレスではデータとして“00000000”を格納した状態を示している。この例では、4994m秒から4995秒迄にトーンデコーダ32からの出力信号が立ち下がった状態を示しており、この状態で記憶開始から4995秒に立下りがあったものとする。このようにして出力信号の状態がRAM43に記憶される。
【0038】
レジスタ手段42は、所定の記録時間が終了したことを確認すると(ステップS36:Yes)、記憶動作を終了する(エンド)。そして、図3のフローチャートのステップS13において、制御手段71は、記憶時間の終了を確認すると(ステップS13:Yes)、信号選択手段72に出力ポート51からの出力信号を選択して時報検出手段61に出力させるようにする(ステップS16)。そして、計時手段11の計時する現在時刻が正時から50秒の時刻となると、レジスタ手段42にRAM43のデータからトーンデコーダ32の出力信号の再生を開始させる(ステップS17)。
【0039】
ここでの、レジスタ手段42によるRAM43のデータからトーンデコーダ32の出力信号を再生する再生動作について、図9の動作説明図及び図10のフローチャートを参照しながら説明する。再生動作を開始するとレジスタ手段42は先ずRAM43の先頭のアドレス1000hを指定する(ステップS41)。レジスタ手段42は、図9に示すように出力ポート51に接続されたレジスタ42Bを用いて、指定されたアドレスに基づき、ここでは、アドレス1000hの8bitのデータ“11111111”をレジスタ42Bに格納し(ステップS42)、1m秒周期でレジスタ42Bの最下位のbitから順次出力ポート51に出力する(ステップS43)。レジスタ手段42は、レジスタ42Bの8bitのデータを総て出力すると(ステップS44:Yes)、レジスタ42Bに格納したデータが上述の記憶動作によりRAM43に記憶されたトーンデコーダ32の出力信号の最終データか否か確認し(ステップS45)、最終データでなければ(ステップS45:No)、RAM43の次のアドレスを指定する(ステップS46)。そしてステップS42以降の動作に戻って指定されたアドレスに基づき、RAM43のデータをレジスタ42Bに格納する。ここでは、2番目のアドレス1001hのデータ“11111111”がレジスタ42Bに格納され、1m秒周期でレジスタ42Bの最下位のbitから順次出力ポート51に出力される。同様にしてRAM43のデータが先頭側のアドレスから最終データのアドレスまで順次読み出され、1m秒周期で出力ポート51から出力されて出力信号として再生される。レジスタ手段42は、RAM43の最終データのアドレスのデータまで読み出されていれば(ステップS45:Yes)、再生動作を終了する(エンド)。
【0040】
ここで、制御手段71の指示により、時報検出手段61は再生動作の開始とともに図4のフローチャートに示したと同様の時報信号の検出動作を開始している。ここで、時報検出手段61は信号選択手段72を介して出力ポート51からの出力信号を受け、この出力信号に対して時報信号の検出動作を行う。そして、制御手段71は、図3のフローチャートのステップS18に示すように時報検出手段61の時報信号の検出の有無を確認する。この確認動作はステップS12と同様にして行われる。時報検出手段61の時報信号の検出がなければ(ステップS18:No)、制御手段71は、所定の記録時間分のRAM43のデータの再生動作が終了したか否かを確認し(ステップS19)、再生動作が終了するまでステップS18の時報信号の検出の有無の確認を行う。データの再生動作が終了しても時報信号が検出されない場合(ステップS19:Yes)には、サブ局についても時報信号が受信できていない場合であり、動作を終了する(エンド)。
【0041】
制御手段71は、ステップS18において時報信号が検出された場合(ステップS18:Yes)、制御手段71は時報信号が検出されたタイミングに計時手段71から時刻t3を取得する。この時刻t3は、RAM43に記憶されたデータから再生された出力信号に基づく時報信号の検出時刻であり、サブ局の時報が示す正時のタイミングから1分後のタイミングに対応する時刻となっている。制御手段71は計時手段71の計時する正時から1分後の時刻t4(例えば、午前12時01分)と、時刻t3との誤差Δt2を特定する(ステップS1A)。制御手段71は、この誤差Δt2を用い、上述の誤差Δt1の場合と同様にして計時手段61の時刻を修正し(ステップS1B)、動作を終了する(エンド)。
【0042】
以上のように本発明の実施形態の時刻修正装置10では、メイン局、サブ局それぞれの電波を受信して2系統の出力信号を取得し、メイン局の出力信号に含まれる時報信号を検出したときには当該検出タイミングに基づいて時刻修正を行い、メイン局の出力信号につき時報信号が検出できないときには、記憶したサブ局の出力信号を再生し、当該再生された出力信号に含まれる時報信号を検出したときには当該検出タイミングに基づいて時刻修正を行う。これにより、ノイズ等の悪影響により2系統の電波の一方の受信に不具合があっても、他方の受信が正常に行われ時報信号を含む出力信号が記憶されていれば、直ちに当該出力信号を再生して時報信号を検出し、当該検出タイミングに基づいて時刻修正を行うことが可能となる。本発明ではノイズ等の悪影響により時刻修正の頻度を落とすことを極力抑え、高精度の時刻を維持することが可能となる。
【0043】
本発明は上述の実施の形態に限らず様々な変更が可能である。例えば、上述の実施の形態では、トーンデコーダ31、32は、通過周波数帯を予報音の440Hz近傍、正報音の880Hz近傍とした2つのバンドパスフィルタを備えるものとした。チューナ21、22からの音声信号に通過周波数帯の成分があれば、それぞれのバンドパスフィルタから信号が出力される。トーンデコーダ31、32は、2つのバンドパスフィルタからの信号を区別せずにこれらの信号が出力されている場合に出力信号を“L”とし、バンドパスフィルタから信号が出力されていない場合に出力信号を“H”とするように構成した。これに限らず、予報音、正報音別に2系統の出力信号を出力するトーンデコーダを用いてもよい。その場合、時報検出手段は2系統の出力信号に基づいて時報信号を検出する構成とし、記憶手段は2系統の出力信号を記憶する構成とし、信号選択手段は2系統の出力信号を1組の信号系としてトーンデコーダ、記憶手段からの信号系を切り換える構成とすればよい。また、時報検出手段61は、時報信号の検出のために出力信号の立下りを有効なものとする有効期間W1〜W3を用いており、これらの有効期間は同じ長さの期間としたが、これに限らず、有効期間W1〜W3を段階的に短く設定するようにしてもよいし、正報音に対する有効期間を特に短く設定するようにしてもよい。例えば、本発明は、特開2008−190918号公報に開示される時刻修正装置に適用可能であり、その正報音の発生タイミングを特定する構成を時報検出手段として用い、サブ局の受信系を追加して、サブ局の予報音、正報音の2系統のトーンデコーダの出力信号を記憶する記憶手段を設けて、メイン局の受信系を用いて正報音の発生タイミングを特定できない場合に記憶手段に記憶された出力信号を再生し、時報検出手段で正報音の発生タイミングを特定するようにすればよい。
【0044】
上述の実施の形態では、RAM43に記憶した出力信号を実際にトーンデコーダ32の出力信号を記憶したときのサンプリング周期で再生するようにしたが、本発明はこれに限るものではない。上述したように出力信号は上述のサンプリング周期でRAM43に記憶されて各アドレスのデータは時間軸と対応付けられており、再生手段が、上述のサンプリング周期とは異なる読出し周期でRAM43からデータを読み出すように構成を変更し、再生手段からのデータに基づき時報信号を検出するときに時報検出手段が、読出し周期で動作して出力信号の立下りを示す、データの“1”から“0”に切り替わりの時間軸上の位置を特定するように変更し、時報の正時のタイミングを特定するようにしてもよい。時間軸上の位置の特定は、図4のフローチャートに示す動作のようにデータの“1”から“0”に切り替わった時点のタイマ値としてもよいし、再生手段が8Bitのデータとそのアドレスとを時報検出手段に送るようにして、時報検出手段が、“1”から“0”に切り替わりを含むアドレスと、“0”に切り替わったbitの位置とから特定するようにしてもよい。
【0045】
上述の実施の形態では、RAM43に出力信号を記憶する際に、サンプリング周期毎のデータを総て記憶するようにしたが、本発明はこれに限るものではなく、データを圧縮して記憶するようにしてもよい。例えば、サンプリング周期を1m秒として、データ“1”が900m秒続いた区間のデータを“01”、“0384h” (hは16進数を示し、以下同様)で示し、データ“0”が100m秒続いた区間のデータを“00”、“0064”でとして示し、RAM43に記憶するようにする。そして、データを読み出し、“01”でデータ“1”を示し、これに続く“0384h”でデータ“1”が900m秒続くことを示し、“00”でデータ“0”を示し、これに続く“0064h”でデータ“0”が100m秒続くことを示すものとして、“0384h”、“0064h”をそれぞれのデータ“1”、“0”を継続させるために用いるカウンタのカウント値として、データを再生するように構成してもよい。このように構成すれば、RAM43に必要とされる記憶容量を抑えることが可能となる。なお、データの圧縮手法はこれに限らず様々な手法を適宜に採用すればよい。
【0046】
上述の実施の形態では、トーンデコーダの出力信号の立下りに基づき、時報信号を検出してそのタイミングを特定するようにしたが、本発明はこれに限るものではない。例えば、トーンデコーダの出力信号の立上りに基づき、時報信号を検出してそのタイミングを特定するようにしてもよい。予報音に対応するトーンデコーダの出力信号の立上りは予報音の消失タイミングに同期し、出力信号の立下りに対して100m秒だけ遅れており、3回目のトーンデコーダの出力信号の立上りの検出タイミングを時報信号の検出タイミングとし、この検出タイミングは正報音の発生タイミングに対して900m秒だけ進んでおり、この進み分をオフセットとしてこれを加味して時刻修正するようにしてもよい。同様に、2回目のトーンデコーダの出力信号の立上りの検出タイミングを時報信号の検出タイミングとしてもよく、この検出タイミングは正報音の発生タイミングに対して1900m秒だけ進んでおり、この進み分をオフセットとしてこれを加味して時刻修正するようにすればよい。なお、上述の実施の形態では、トーンデコーダの出力信号は、予報音、正報音のない状態を“H”の状態としたが、この状態を“L”としてもよい。この場合、上述の実施の形態の出力信号の「立下り」を「立上り」とすればよく、上述の予報音の消失タイミングに同期した出力信号の「立上り」を「立下り」とすればよい。
【0047】
上述の実施の形態では、第2の受信手段としてのチューナ22、トーンデコーダ32、記憶手段としての入力ポート41、レジスタ手段42、RAM43を1つ設けることとしたが、本発明はこれに限るものではない。本発明は第2の受信手段、記憶手段を複数設け、複数の第2の受信手段のトーンデコーダの出力信号を記憶するように構成してもよい。このようにすれば、上述の実施の形態よりもさらに時刻修正の機会を確保することが可能となる。複数の記憶手段は各第2の受信手段に対応付けられた記憶領域であればよく、レジスタ手段は、各第2の受信手段に対応付けられた入力ポートの状態を各記憶領域に格納し、各記憶領域から選択手段に出力するように構成されていればよい。この場合、複数の第2の受信手段、記憶手段に優先順位を付け、例えば、受信状態の良い電波を受信する第2の受信手段の記憶手段から優先的にデータの再生を行い、再生された出力信号により時報信号の検出がなされた場合は、これに基づいて時刻修正を行い、時報信号が検出されなかった場合は、優先順位の低い記憶手段に記憶させたデータの再生を行い、これに基づいて時刻修正を行い、時報信号が検出されなかった場合は、さらに優先順位の低い記憶手段に記憶させたデータの再生を行うように構成すればよい。これに限らず、上述のように各記憶手段に記憶させたデータを適宜な周期で読み出して出力信号の立下りを示す、データの“1”から“0”に切り替わりの時間軸上の位置を特定するように構成し、各記憶手段のデータについての再生処理を平行して行ようにしてもよい。
【符号の説明】
【0048】
10 時刻修正装置
11 計時手段
21 チューナ(第1の受信手段)
31 トーンデコーダ(第1の受信手段)
22 チューナ(第2の受信手段)
32 トーンデコーダ(第2の受信手段)
41 入力ポート(記憶手段)
42 レジスタ手段(記憶手段、再生手段)
43 RAM(記憶手段)
51 出力ポート(再生手段)
61 時報検出手段
71 制御手段(修正手段)
72 信号選択手段(制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時報を重畳した電波を受信して前記時報に基づいて時刻修正を行う時刻修正装置であって、
時刻を計時する計時手段と、
互いに異なるチャンネルの前記電波を受信して前記時報に応じた出力信号を出力する第1及び第2の受信手段と、
前記第2の受信手段の出力信号を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記第2の受信手段の出力信号を再生する再生手段と、
前記第1の受信手段からの前記出力信号又は前記再生手段からの前記出力信号に基づいて前記時報に対応する時報信号を検出する時報検出手段と、
前記時報検出手段の前記時報信号の検出タイミングに基づいて前記計時手段の時刻を修正する修正手段と、
所定のタイミングに前記時報検出手段に前記第1の受信手段の前記出力信号に基づく前記時報信号の検出を開始せしめると同時に、前記記憶手段への前記第2の受信手段の前記出力信号の記憶を開始せしめ、前記時報検出手段が前記第1の受信手段の前記出力信号に基づき前記時報信号を検出したときには、前記修正手段に当該検出タイミングに基づいて前記計時手段の時刻を修正せしめ、前記時報検出手段が前記第1の受信手段の出力信号に基づき前記時報信号を検出できなかったときには、前記再生手段に前記出力信号の再生をせしめるとともに前記時報検出手段に当該再生された前記出力信号に基づく前記時報信号の検出を開始せしめ、前記時報検出手段が当該再生された前記出力信号に基づき前記時報信号を検出したときには、前記修正手段に当該検出タイミングに基づいて前記計時手段の時刻を修正せしめる制御手段と、
を備えることを特徴とする時刻修正装置。
【請求項2】
前記第1の受信手段及び前記第2の受信手段は、前記電波を受信して得られた信号に第1の周波数の信号が検出されたときと、前記電波を受信して得られた信号に第2の周波数の信号が検出されたときと、に出力信号を出力するものであり、
前記時報検出手段は、時間軸上の第1の有効範囲内で前記出力信号を受けた後に、時間軸上の第2の有効範囲内で前記出力信号を受けたことをもって前記時報信号の検出とするものである
ことを特徴とする請求項1に記載の時刻修正装置。
【請求項3】
前記記憶手段には所定のサンプリング周期で前記第2の受信手段からの前記出力信号を所定のサンプリング周期でサンプリングして得られたデータが記憶され、前記再生手段は、前記記憶手段からデータを読み出して前記サンプリング周期で前記出力信号として再生することを特徴とする請求項1又は2に記載の時刻修正装置。
【請求項4】
前記第2の受信手段と、前記第記憶手段とを複数備えたことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の時刻修正装置。
【請求項5】
互いに異なるチャンネルの電波を受信する第1の受信手段及び第2の受信手段からの前記電波に重畳された時報に応じた出力信号が入力されるコンピュータに、前記時報に基づいて時刻の修正を行う処理を実行させる時刻修正用プログラムであって、
時刻を計時する計時処理と、
前記第2の受信手段の出力信号を所定の記憶領域に記憶する記憶処理と、
前記記憶処理により記憶された前記第2の受信手段の前記出力信号を再生する再生処理と、
前記第1の受信手段からの前記出力信号又は前記再生処理により再生される前記出力信号に基づいて前記時報に対応する時報信号を検出する時報検出処理と、
前記時報検出処理の前記時報信号の検出タイミングに基づいて前記計時処理の計時する時刻を修正する修正処理と、
所定のタイミングに前記第1の受信手段の前記出力信号に基づく前記時報検出処理を開始すると同時に、前記記憶処理による前記記憶領域への前記第2の受信手段の前記出力信号の記憶を開始し、前記時報検出処理により前記第1の受信手段の前記出力信号に基づき前記時報信号を検出したときには、前記修正処理により当該検出タイミングに基づいて前記計時処理の計時する時刻を修正し、前記時報検出処理による前記第1の受信手段の前記出力信号に基づく前記時報信号の検出ができなかったときには、前記再生処理による前記出力信号の再生を開始するとともに当該再生された前記出力信号に基づく前記時報検出処理を開始し、前記時報検出処理により当該再生された前記出力信号に基づき前記時報信号を検出したときには、前記修正処理により当該検出タイミングに基づいて前記計時処理の計時する時刻を修正する制御処理と、
を実行させることを特徴とする時刻修正用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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