説明

時刻表示方法および時刻表示装置

【課題】建物の中など位置情報衛星からの電波が非常に弱い場合でも、位置時用法衛生を捕捉し、時刻に関する航法メッセージデータを受信して、正確な時刻を表示する高感度かつ低消費電力なGPS時計を実現する。
【解決手段】小刻みにC/Aコードを切換えながらサーチでの相関強度を累積し、相関強度記憶手段に記憶して直線抽出し、受信データも固定データとパターンデータとインクリメントデータ毎にレプリカを用意して、累積したデータとの相関をとる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置情報衛星などの衛星からの電波に含まれる時刻情報を基に、内部時計の時刻を修正して表示する時計に関する。
【背景技術】
【0002】
位置情報衛星の主たる目的は、複数の位置情報衛星の位置とそれらの位置情報衛星からの電波の遅延時間により受信点の位置を求めることである。しかし、位置情報衛星には原子時計などの極めて精度の高い時計が搭載されており、位置情報衛星からの時刻情報を基に内部時計の時刻を修正して精度の高い時刻を表示する時計が多数開示されている(例えば特許文献1参照。)。
【0003】
しかし、時計は建物などの電波の比較的弱い場所に設置されることも多く、1回の受信では必ずしも充分ではなく、間欠的に複数回受信して得られたデータを基に内部時計の時刻を修正して表示する時計も開示されている(例えば特許文献2参照。)。
【0004】
このような従来のGPS時計について、図25を基に説明する。
図25における従来のGPS時計では、位置情報衛星からの電波をアンテナ2502により高周波信号に変換する。RF手段2503では、局部発振とのミキシングにより周波数をダウンコンバージョンする。組合せ復調手段2504では、サーチする周波数毎に位置情報衛星からの繰り返される電波をサーチする相関器の段数を増やして位置情報衛星毎に捕捉するとともに、トラッキングしてC/Aコードの1msの各サイクルに重畳している相関データを抽出する。つまり、周波数と衛星の組合せ毎にサーチしていた。整合演算手段2505では、C/Aコードの1サイクル1ms毎の相関データのビットの境界を抽出して、航法メッセージデータの各ビットを構成する20ms分の相関データを集約するとともに、繰り返されるサブフレームから受信して抽出した航法メッセージデータに不整合がないことを確認することにより受信データの信頼度を確保しつつ、航法メッセージデータから時刻情報に演算する。具体的には、航法メッセージデータの第1サブフレームが来たらTLM、TOWなどの時刻情報データとサブフレームIDを受信する。その後第2サブフレームについても同様に受信し、第1サブフレームの受信データと第2サブフレームの受信データの整合が取れていた場合のみ内部時計の時刻を修正して表示し、GPS信号の受信を終了する。もし、整合がとれない場合は第1サブフレームの受信に戻るようにしていた。また、TOWとサブフレームIDは受信する毎にインクリメントされている場合に整合しているものとしていた。RTC手段2506では、内部基準クロックを分周して内部時刻を生成するとともに、整合演算手段2505からの時刻情報により内部時刻を修正する。時刻表示手段2507では、修正された内部時刻により時刻を表示するようにしていた。
【0005】
しかし、このような従来のGPS時計では、位置情報衛星からの電波が弱い場合には、サーチの感度を高くするために相関手段の段数を長くしていて、回路規模が大きくなると言う課題があった。さらに、サーチの感度を高くするために相関手段を長くすることにより、1つの周波数で相関を得るための時間が長くなるばかりでなく、捕捉できる周波数の範囲が狭くなってしまうためにサーチする周波数の数が多くなることによる相乗効果で、サーチ時間が著しく長くなり、消費電力も著しく大きくなるという課題があった。また、位置情報衛星をサーチする時間を短くするために複数の位置情報衛星を同時にサーチする場合には、サーチのための相関手段を同時にサーチする衛星の数だけ設けていたために、回路規模が大きいと言う課題があった。
【0006】
また、このような従来のGPS時計では、位置情報衛星からの電波が極めて弱い場合には、連続するサブフレームの受信データが整合しないことが多かったり、整合した場合でも稀に正しい値でないことがあるという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−82875号公報
【特許文献2】特開2007−263595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明では、以上に示したGPS時計のこれらの課題を解決し、建物の奥など極めて電波が弱い場所でも、比較的簡単な構成かつ高速かつ低消費電力で、安定して時刻情報を取得して正しい時刻を表示することのできるGPS時計を実現することである。
【0009】
このためには、位置情報衛星をサーチする時の感度、トラッキングの感度、データ受信の感度のすべての感度を向上させる必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための発明の様態を以下に示す。
第1の様態として、衛星から来る電波の時刻情報により時刻を修正する時刻表示方法において、衛星からの電波に含まれる擬似ランダム符号の複数サイクル分の相関強度を合成することにより衛星をサーチして捕捉する合成サーチ工程と、合成サーチ工程で捕捉した衛星からの電波を効率的に受信できるように制御するトラッキング工程と、随時更新しながら繰り返される衛星からの電波に含まれる時刻に関する航法メッセージデータを合成するデータ合成受信工程と、データ合成受信工程で受信した時刻に関する航法メッセージデータから標準時を演算により求める標準時演算工程と、内部時刻をカウントする元となる基準クロックを発生する基準クロック発生工程と、基準クロックをカウントして内部時刻を生成するとともに標準時により内部時刻を修正するRTC工程と、内部時刻により時刻を表示する時刻表示工程とを有する。
【0011】
第2の様態として、第1の様態において、合成サーチ工程は、衛星からの電波を受信して周波数をダウンコンバージョンした後に、搬送波と擬似ランダム符号を除去して得られた相関強度を擬似ランダム符号の1サイクル分以上累積することにより衛星をサーチして捕捉する。
【0012】
第3の様態として、第1の様態において、合成サーチ工程は、衛星からの電波を受信して周波数をダウンコンバージョンした後に、低周波信号から搬送波を除去するとともに、1つ以上の衛星に対応する擬似ランダム符合のレプリカを擬似ランダム符合の1チップの時間の範囲内に切換えながら擬似ランダム符号を除去して相関強度を抽出し、得られた相関強度を擬似ランダム符号の1サイクル分以上1つ以上の衛星に対応して累積することにより1つ以上の位置情報衛星から略同時にサーチして捕捉する。
【0013】
第4の様態として、第1の様態において、合成サーチ工程は、衛星からの電波を受信して周波数をダウンコンバージョンした後に、搬送波と擬似ランダム符号を除去して得られた相関強度を1サイクル分以上記憶した後に、記憶されている値から信号強度と擬似ランダム符号の位相と周波数のズレを演算することにより衛星をサーチして捕捉する。
【0014】
第5の様態として、第1の様態において、データ合成受信工程は、衛星からの電波を受信して周波数をダウンコンバージョンした後に、搬送波と擬似ランダム符号を除去して得られた相関データからビットの境界を検出するビット境界検出工程と、ビット境界検出工程で検出したビットの境界内の相関データを集約してビットデータを生成するビットデータ集約工程と、ビットデータから航法メッセージデータを合成するビットデータ合成工程を有し、ビット境界検出工程は、相関データの変化を抽出する変化抽出工程と、変化抽出工程で求めた相関データの変化を累積する変化累積工程と、変化累積工程で累積した変化から相関データにより構成されるビットデータの境界を求める変化点位置演算工程を有する。
【0015】
第6の様態として、衛星から来る電波の時刻情報により時刻を修正する時刻表示装置において、位置情報衛星からの電波を高周波信号として受信するアンテナと、アンテナからの高周波信号をダウンコンバージョンして低周波信号に変換するRF手段と、RF手段からの低周波信号に含まれるC/Aコード複数サイクル分の相関強度を合成することにより位置情報衛星をサーチして捕捉するとともに相関データを抽出する合成復調手段と、合成復調手段からの相関データに含まれる時刻に関する航法メッセージデータを繰り返し受信して合成するするとともに標準時を演算する合成演算手段と、内部の基準クロックをカウントして内部時刻を生成するとともに標準時により内部時刻を修正するRTC手段と、RTC手段からの内部時刻により時刻を表示する時刻表示手段と、全体とステータス及びシーケンスを管理する制御手段とを有する。
【0016】
第7の様態として、第6の様態において、合成復調手段は、低周波信号から搬送波と擬似ランダム符号を除去して相関データと相関強度を抽出するとともに、得られた相関強度を擬似ランダム符号の1サイクル分以上累積することにより位置情報衛星をサーチして捕捉する。
【0017】
第8の様態として、第6の様態において、合成復調手段は、低周波信号から搬送波を除去するとともに、1つ以上の衛星に対応する擬似ランダム符合のレプリカを擬似ランダム符合の1チップの時間の範囲内に切換えながら擬似ランダム符号を除去して相関データと相関強度を抽出するとともに、得られた相関強度を擬似ランダム符号の1サイクル分以上1つ以上の衛星に対応して累積することにより1つ以上の位置情報衛星から略同時にサーチして捕捉する。
【0018】
第9の様態として、第6の様態において、合成復調手段は、低周波信号から搬送波と擬似ランダム符号を除去して相関データと相関強度を抽出するとともに、得られた相関強度を擬似ランダム符号の1サイクル分以上記憶する相関強度記憶手段と、相関強度記憶手段に記憶されている値から信号強度と擬似ランダム符号の位相と周波数のズレを演算することにより位置情報衛星をサーチして捕捉する。
【0019】
第10の様態として、第6の様態において、合成演算手段は、相関データを集約してビットデータを生成するビットデータ生成手段と、ビットデータから時刻に関する航法メッセージデータを抽出するデータ合成手段と、データ合成手段からの航法メッセージデータから標準時を演算する標準時演算手段を有し、ビットデータ生成手段は、相関データの変化を抽出する変化抽出手段と、変化抽出手段で求めた相関データの変化を累積する変化累積手段と、変化累積手段で累積した変化から相関データにより構成されるビットデータの境界を求める変化点位置演算手段と、変化点位置演算手段からの変化点を基に相関データを集約してビットデータを出力するビットデータ集約手段を有する。
【0020】
第11の様態として、第6の様態において、合成演算手段は、相関データを集約してビットデータを生成するビットデータ生成手段と、ビットデータから時刻に関する航法メッセージデータを抽出するデータ合成手段と、データ合成手段からの航法メッセージデータから標準時を演算する標準時演算手段を有し、データ合成手段は、ビットデータから累積あるいは/及びレプリカとの相関により航法メッセージデータを得る。
【発明の効果】
【0021】
本発明によるGPS時計では、位置情報衛星からの電波が微弱な場合でも、高感度でサーチ及びトラッキング及びデータ受信ができるため、例えば屋内の窓から離れた場所でも安定して航法メッセージデータに含まれる時刻情報を受信して、常に正確な時刻を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係るGPS時計の好適な一実施例を示す工程フロー図
【図2】本発明に係る合成サーチ工程の工程フロー図
【図3】本発明に係る合成サーチ工程の工程フロー図
【図4】本発明に係る合成サーチ工程の工程フロー図
【図5】本発明に係るサーチ演算手段の動作を示す概念図
【図6】本発明に係るサーチ演算手段の動作を示すフロー図
【図7】本発明に係るデータ合成受信工程の工程フロー図
【図8】本発明に係るビット境界検出工程の処理を示す概念図
【図9】本発明に係るGPS時計の好適な一実施例を示すブロック図
【図10】本発明に係る時刻表示手段の実施例を示す外観図
【図11】本発明に係る合成復調手段の構成を示すブロック図
【図12】本発明に係る信号強度累積手段の構成を示すブロック図
【図13】本発明に係る合成復調手段の構成を示すブロック図
【図14】本発明に係るタイミング手段の動作を示すタイミング図
【図15】本発明に係る合成復調手段の構成を示すブロック図
【図16】本発明に係る合成演算手段のブロック図
【図17】本発明に係るビットデータ生成手段のブロック図
【図18】本発明に係る合成演算手段の構成を示すブロック図
【図19】本発明に係る固定データの合成方法を示す構成図
【図20】本発明に係る繰り返しパターンデータの累積方法を示す構成図
【図21】本発明に係る繰り返しパターンデータのレプリカの一例を示す図
【図22】本発明に係るインクリメントデータの合成方法を示す概念図
【図23】本発明に係る航法メッセージデータのタイミングを示すタイミング図
【図24】本発明に係る航法メッセージデータのタイミングを示す図
【図25】従来のGPS時計のブロック構成図
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明によるGPS時計では、位置情報衛星からの電波に含まれる擬似ランダム符号であるC/Aコード複数サイクル分の相関強度を合成することにより位置情報衛星をサーチして捕捉する合成サーチ工程と、合成サーチ工程で捕捉した位置情報衛星からの電波を効率的に受信できるように制御するトラッキング工程と、随時更新しながら繰り返される位置情報衛星からの電波に含まれる時刻に関する航法メッセージデータを合成するデータ合成受信工程と、データ合成受信工程で受信した時刻に関する航法メッセージデータから標準時を演算により求める標準時演算工程と、内部時刻をカウントする元となる基準クロックを発生する基準クロック発生工程と、基準クロックをカウントして内部時刻を生成するとともに標準時により内部時刻を修正するRTC工程と、内部時刻により時刻を表示する時刻表示工程とを有することを特徴とする時刻表示方法。
【0024】
また、上記の方法を実現するためのGPS時計は、位置情報衛星からの電波を高周波信号として受信するアンテナと、アンテナからの高周波信号をダウンコンバージョンして低周波信号に変換するRF手段と、RF手段からの低周波信号に含まれるC/Aコード複数サイクル分の相関強度を合成することにより位置情報衛星をサーチして捕捉するとともに相関データを抽出する合成復調手段と、合成復調手段からの相関データに含まれる時刻に関する航法メッセージデータを繰り返し受信して合成するするとともに標準時を演算する合成演算手段と、内部の基準クロックをカウントして内部時刻を生成するとともに標準時により内部時刻を修正するRTC手段と、RTC手段からの内部時刻により時刻を表示する時刻表示手段と、全体とステータス及びシーケンスを管理する制御手段とにより構成した。
【0025】
本発明によるGPS時計の構成や動作を詳細に説明する前に、本発明によるGPS時計が位置情報衛星から受信する航法メッセージデータについて予め説明する。なお、本実施例の以降の説明では、<>を大見出し、[]を中見出し、小見出しとして用いている。
【0026】
<航法メッセージデータ>
[航法メッセージデータのタイミング]
図23に示す位置情報衛星からの航法メッセージデータのタイミングについて説明する。
【0027】
航法メッセージデータの全体は、ページ番号P1〜25を含む25フレームにより構成される。各フレームは、サブフレーム番号SF1〜5の5つのサブフレームにより構成される。サブフレーム番号SF4、5の2つのサブフレームには、ページ番号P1〜25の25ページがあり、フレーム毎にページが切り換わる。各サブフレームは、ワード番号W1〜10の10ワードにより構成される。また、各ワードはビット番号b1〜30の30ビットにより構成される。各ワードの初めの24ビットはデータでMSBから順に送られる。各ワードの最後の6ビットはパリティである。ここで、各ビットはCA1〜20の1023チップのC/Aコードの20サイクル分繰り返される。
【0028】
ここでC/Aコードの1サクイルは1m秒であるため、各ビットの時間は20m秒で、各ワードの時間は0.6秒で、各サブフレームの時間は6秒で、各フレームの時間は30秒で、航法メッセージデータ全体の時間は12.5分である。これらが全て時系列的に位置情報衛星から送信され、航法メッセージデータの全体が、その値が随時更新されながら、繰り返される。
【0029】
[時刻の取得に必要な航法メッセージデータ]
図24に、時刻の取得に必要な航法メッセージデータの時系列的な位置を示す。図23では、各項目について、サブフレーム番号、ページ番号、ワード番号とビット番号が時系列的な位置を示している。
【0030】
ここで、TLMは、予め定められたプリアンブルを含み各サブフレームの最初のワードの位置であることを示すものである。TOWは、週の初めからの経過時間を示すものである。サブフレームIDは、サブフレームの番号を示すものである。WNは、週番号を示すものである。健康状態は、位置情報衛星から送られる航法メッセージデータの信頼性を示すものである。UTCは、GPS時刻からグリニッジ標準時を求めるために必要なパラメータである。なお、各ワードの25〜30番目のビットは、パリティデータである。
【実施例】
【0031】
<GPS時計の方法>
図1は、本発明によるGPS時計の工程の一例を示したものである。これより、本発明によるGPS時計の各工程について、図1を基に説明する。全体の工程は、制御手段によを用いて行う。
【0032】
本発明によるGPS時計は、位置情報衛星からの時刻情報により内部時刻を修正して内部時刻により時刻を表示する。位置情報衛星からの時刻情報の取得および内部時刻の修正は、初期やユーザーからの時刻調整操作時や所定のタイミングなどで行う。
【0033】
[合成サーチ工程]
位置情報衛星から時刻に関する情報を得るために、まず合成サーチ工程101で、C/Aコード及び周波数毎にC/Aコードの位相を変えながら、C/Aコード複数サイクル分の相関強度を合成することにより、位置情報衛星をサーチして捕捉する。ある位置情報衛星について複数の周波数や複数のC/Aコードの位相について閾値を越えた場合には、信号強度が最大のものを捕捉結果として、周波数とC/Aコードの位相を検出する。また、複数の位置情報衛星を捕捉した場合には、信号強度などにより受信する衛星を決定するようにした。合成サーチ工程101は、RF手段及び合成復調手段を用いて行う。
【0034】
[トラッキング工程]
位置情報衛星が捕捉されると、トラッキング工程102でトラッキングを行う。トラッキング工程102により、搬送波の位相及びC/Aコードの位相を、それぞれのPLLにより最適な状態に制御する。トラッキング工程102では、合成サーチ工程101で捕捉した位置情報衛星からの電波の周波数やC/Aコードの位相からトラッキングを開始する。このトラッキング工程102はデータ受信が完了するまで続いている。トラッキング工程102は、RF手段及び合成復調手段を用いて行う。
【0035】
[データ合成受信工程]
データ合成受信工程103では、随時更新しながら繰り返される位置情報衛星からの電波に含まれる時刻に関する航法メッセージデータを繰り返し受信して合成することにより感度を向上させる。データ合成受信工程103は、RF手段と合成復調手段と合成演算手段を用いて行う。
【0036】
[標準時演算工程]
標準時演算工程104では、データ合成受信工程103で受信した時刻に関する航法メッセージデータから、グリニッジ標準時を求める。
【0037】
[基準クロック発生工程]
基準クロック発生工程105では、GPS時計の時を刻むための基になる一定周期のクロック信号を発生する。
【0038】
[RTC工程]
RTC工程106では、基準クロックをカウントして内部時刻を生成する。また、標準時演算工程104で得られたグリニッジ標準時により、内部時刻を修正する。この際、内部時刻はローカル時刻として、グリニッジ標準時914と内部時刻915との時差が保持されるように時刻を修正するようにした。但し、内部時刻はローカル時刻でもグリニッジ標準時でも良く、予め設定されている時差により変換すれば良い。
【0039】
[時刻表示工程]
時刻表示工程107では、RTC工程106で得られた内部時刻により時刻表示手段に表示する。内部時刻による時刻の表示は、例えば毎正秒ごとに更新するようにすれば良い。
【0040】
<合成サーチ工程の第1の例>
図2は、本発明の特徴のひとつである合成サーチ工程の第1の例について示したものであり、合成サーチ工程の第1の例について図2を基に詳細に説明する。
【0041】
合成サーチ工程の第1の例は、衛星からの電波を受信して周波数をダウンコンバージョンした後に、搬送波とC/Aコードを除去して得られた相関強度をC/Aコードの1サイクル分以上累積することにより衛星をサーチして捕捉する。
【0042】
[周波数設定工程]
周波数設定工程201では、復調する周波数を狙い値から−5kHzから+5kHzの範囲でサーチするようにGPS時計内部に設定する。これは、位置情報衛星の移動に伴うドップラー効果の影響で受信する電波の周波数が−5kHz〜+5kHzの範囲内でずれている可能性があることによる。サーチする周波数の数は、C/Aコードの何サイクル分の相関強度を求めるかにより異なる。1サイクルの場合は、500Hzごとの21の周波数としたが、サイクル数を増やす場合には相応に小刻みにする必要がある。
【0043】
[CAコード設定工程]
CAコード設定工程202では、次にサーチする対象となる位置情報衛星に対応したC/AコードのレプリカをGPS時計内部に設定する。
【0044】
[ダウンコンバージョン工程]
ダウンコンバージョン工程203では、位置情報衛星からの電波をアンテナで受信して、受信した高周波信号の周波数を処理しやすい低周波信号にヘテロダイン方式でダウンコンバージョンする。
【0045】
[ADC工程]
ADC工程204では、ダウンコンバージョン工程203で得た低周波信号をAD変換してデシタル信号に変換する。
【0046】
[搬送波除去工程]
搬送波除去工程205では、ADC工程204で得られたデジタル信号から、搬送波レプリカを用いて畳み込むことにより、搬送波を除去して、チップデータの同相成分Iと直交成分Qを得る。
【0047】
[サーチ相関工程]
サーチ相関工程206では、搬送波除去工程205で得られたチップデータとCAコード設定手段で設定したC/Aコードのレプリカとの相関により、相関強度を得る。このため、同相成分Iの相関値と直交成分Qの相関値の各々の二乗の和を相関強度とする。この時点では、チップデータとC/Aコードとの位相関係が不明なため、チップデータをシフトレジスタでシフトさせながら、相関強度を演算する。
【0048】
[サーチ結果累積工程]
サーチ結果累積工程207は、本発明の特徴のひとつで、サーチ相関工程で得られた相関強度をC/Aコードのさらに1サイクル分累積加算により合成する。C/Aコードの位相が同じ相関強度毎に累積加算するため、1023チップ分の記憶手段を用いる。このため、相関演算を行うC/Aコードのサイクル数を増やしても回路規模がほとんど大きくならないようにすることができる。
【0049】
[累積回数判定工程]
累積回数判定工程208では、サーチ結果累積工程で累積加算したC/Aコードのサイクル数が電波強度等により決定した回数に到達したかを判定し、到達していない場合は、ダウンコンバージョン工程にもどるようにした。
【0050】
[捕捉判定工程]
捕捉判定工程209では、サーチ結果累積工程に累積加算された値が閾値を越えたかにより位置情報衛星を捕捉したかどうかを判定する。この際サーチ結果累積工程に記憶されている1023チップ分の累積加算値の最も大きな値を閾値と比較するようにした。捕捉したと判定した場合には、合成サーチ工程を終了する。
【0051】
なお、捕捉判定は、サーチ結果累積工程で、累積する都度1チップ分づつ閾値とリアルタイムで比較するようにしても良い。
【0052】
[全CAコード判定工程]
全CAコード判定工程210では、サーチ対象の全ての位置情報衛星に対応したC/Aコードについて捕捉判定までの工程を完了したか判定し、未完了の場合にはCAコード設定工程に戻る。
【0053】
[全周波数判定]
全周波数判定工程では、周波数判定工程での一通りの周波数についてのサーチが完了したか判定し、未完了の場合には周波数設定工程に戻る。
【0054】
<合成サーチ工程の第2の例>
図3は、合成サーチ工程の第2の例について示したものである。
合成サーチ工程の第2の例では、衛星からの電波を受信して周波数をダウンコンバージョンした後に、低周波信号から搬送波を除去するとともに、1つ以上の衛星に対応するC/AコードのレプリカをC/Aコードの1チップの時間の範囲内に切換えながらC/Aコードを除去して相関強度を抽出し、得られた相関強度をC/Aコードの1サイクル分以上1つ以上の衛星に対応して累積することにより1つ以上の位置情報衛星から略同時にサーチして捕捉する。
【0055】
合成サーチ工程の第2の例では、C/Aコードのループを累積回数のループの内側に入れることにより、異なるC/Aコードに対するサーチを、同一の回路を1チップの時間内に時分割して共用することにより、全体のサーチを高速化したものである。
【0056】
合成サーチ工程の第2の例の各工程は、第1の例の場合と同様である。
但し、累積回数のループは、第1の例の場合には累積するC/Aコードのサイクル数分回したが、第2の例では累積するC/Aコードのサイクル数にC/Aコード1サイクルのチップ数1023チップを掛けた回数まわすようにした。
【0057】
<合成サーチ工程の第3の例>
図4は、合成サーチ工程の第3の例について示したものである。
合成サーチ工程の第3の例は、衛星からの電波を受信して周波数をダウンコンバージョンした後に、搬送波とC/Aコードを除去して得られた相関強度を1サイクル分以上記憶した後に、記憶されている値から信号強度とC/Aコードの位相と周波数のズレを演算することにより衛星をサーチして捕捉する。
【0058】
合成サーチ工程の第3の例では、第1、2の例のサーチ結果累積工程206で累積加算する代わりに、相関強度記憶工程401でそのまま記憶し、記憶した値から演算により信号強度と周波数を演算する。
【0059】
合成サーチ工程の第3の例では、周波数設定工程201、CAコード設定工程202、ダウンコンバージョン工程203、ADC工程204、搬送波除去205、サーチ相関工程206、累積回数判定工程208、捕捉判定工程209、全CAコード判定工程210および全周波数判定工程211は、第1、2の例とほぼ同様である。
【0060】
但し、累積回数判定工程では、累積する回数でなく、相関強度記憶工程401で記憶したC/Aコードのサイクル数により判定する。
【0061】
また、全周波数設定工程では、相関強度を相関強度記憶工程401で記憶するC/Aコードのサイクル数によらずに、狙い値−5000Hzから500Hz刻みで狙い値+5000Hzまでの21の周波数について設定するようにした。
【0062】
[相関強度記憶工程]
相関強度記憶工程401では、C/Aコードのサイクル毎かつ位相毎の相関強度を一旦そのまま記憶する。
【0063】
[サーチ演算工程]
サーチ演算工程402では、相関強度記憶工程401で記憶した値から、信号強度と周波数を演算により求める。サーチ演算工程402について、図5の概念図及び図6の工程フロー図に示す例を基に説明する。
【0064】
図5の概念図において、横軸はC/Aコードの位相で単位は1チップ、縦軸は時間で単位はC/Aコードの1サイクルである。長方形は相関強度を記憶した領域を示しており横幅は1023チップ分である。記憶された値は通常多値でノイズを含んでいる。長方形領域内の点線は、位置情報衛星からの弱い信号があることを表している。
【0065】
この点線を抽出するために、上端と下端の組合せによる線分512上の記憶された値を加算するようにした。
【0066】
上端は、C/Aコードの最後の1サイクルに対応し、横方向の位置はC/Aコードの位相が1〜1023の1023通りである。下端は、C/Aコードの最初の1サイクルに対応し、横方向の位置は「上端のC/Aコードの位相からC/Aコードのサイクル数分差し引いたC/Aコードの位相」から「上端のC/Aコードの位相からC/Aコードのサイクル数分加えたC/Aコードの位相」までを1チップ間隔で移動させる。下端の範囲の理由は、周波数のズレがC/Aコードの1サイクルにつき1チップ以上になると、サーチ用相関手段が出力する信号強度が弱くなるからである。したがって、線分の組み合わせの数は、1023にCAコードのサイクル数の2倍に1を加えた値を掛けた値になる。これらの全組合せにおける加算値は信号強度を示し、閾値以上の場合に位置情報衛星を捕捉したと判定する。閾値は、ノイズにより誤捕捉することのないように、例えばC/Aコードのサイクル数に応じた予め定められた値を用いても良いし、加算値を統計処理して予め求めておくようにしても良い。
【0067】
直線抽出のための工程フローの一例を図6に示す。図6では、上端を1〜1023に移動させながら、下端を「上端−C/Aコードのサイクル数」から「上端+C/Aコードのサイクル数」まで移動させて直線抽出するようにした。なお、上端と下端を入換えて演算しても良いことは言うまでもない。
【0068】
なお、線分上のデータの値の加算は、C/Aコードのサイクル毎に、対応するC/Aコードの位相を計算して、記憶された値を加算する。この際、C/Aコードの位相が整数にならない場合は、四捨五入しても良いし、補間処理を行っても良い。また、線分が2次元の相関強度を記憶した領域の範囲外になる場合には、C/Aコードの位相に1023を加えるか差し引いて、領域内に変換する。
【0069】
さらに、サーチ演算工程では、サーチした周波数の誤差を、抽出した線分の傾きにより求める。上端のC/Aコードの位相から下端のC/Aコードの位相を差し引いてC/Aコードのサイクル数で割ることにより、C/Aコード1サイクル当たりのズレのチップ数を得る。C/Aコードの1サイクルが1023チップにより構成されているため、この値を更に1023で割ることにより、周波数のズレの比率を得る。この値が正の場合は、時間とともにC/Aコードの位相が遅れるため、内部で生成する搬送波レプリカの周波数を求めた比率により下げればよい。同様に負の場合は、周波数を上げれば良い。
【0070】
通常、直線抽出の演算などで時間が経過しているため、新しい周波数で再度サーチを行っても良いが、その間のC/Aコードの位相の変化を、図5に示すように検出した直線の延長線511を用いて求めるようにしても良い。
【0071】
なお、ここで示した上端と下端の位置の細かさと範囲は一例であり、この限りでないことは言うまでもない。また、C/Aコードの1サイクルの間にも時間が進んでいることを考慮して、2次元の記憶領域を長方形でなく平行四辺形としてより厳密に計算しても良い。また、以上に示したのは演算の一例であり、複数サイクルのC/Aコードに対応した相関強度から信号強度と周波数を求める演算であればどのような演算を用いても良い。
【0072】
<データ合成受信工程>
図7は、データ合成受信工程103のフローの一例を示したものである。これより、本発明のもう1つの特徴であるデータ合成受信工程について、図7を基に説明する。
【0073】
データ合成受信工程は、衛星からの電波を受信して周波数をダウンコンバージョンした後に、搬送波と擬似ランダム符号を除去して得られた相関データからビットの境界を検出し、検出したビットの境界内の相関データを集約してビットデータを生成すし、ビットデータから航法メッセージデータを合成する。
【0074】
データ合成受信工程103では、時刻に関する航法メッセージデータを抽出する。ここでは、位置情報衛星からの電波がノイズに比して弱い場合に、信頼度の高い正しい航法メッセージデータを安定して得るための方法を中心に説明する。
【0075】
ダウンコンバージョン工程203、ADC工程204、搬送波除去工程205は、合成サーチ工程とほぼ同様である。
【0076】
[データ相関工程]
データ相関工程701では、搬送波除去工程205で得られたチップデータとC/Aコードのレプリカとの相関により、相関データを得る。
【0077】
[ビット境界検出工程]
ビット境界検出工程702では、CAコードの各サイクルに重畳している1ms毎の相関データの並びから、20ms毎のビットの境界を検出する。
【0078】
ビット境界検出工程は、相関データの変化を抽出する変化抽出工程と、変化抽出工程で求めた相関データの変化を累積する変化累積工程と、変化累積工程で累積した変化から相関データにより構成されるビットデータの境界を求める変化点位置演算工程により行う。
【0079】
ビット境界検出工程702は、変化抽出工程721と変化累積工程722と変化点位置演算工程723により行われる。
【0080】
[ビットデータ集約工程]
ビットの境界が検出されると、従来のGPS時計と同様に、ビットデータ集約工程703で境界内のC/Aコード20サイクル分の相関データを加算等により集約してビットデータを生成する。
【0081】
[ビットデータ合成工程]
ビットデータが集約されると、ビットデータ合成工程704でTLM、TOW、サブフレームID、WN、UTCなどの時刻に関する航法メッセージデータについて、異なるサブフレームの受信値を合成することにより、ノイズに対する信号の比率であるSN比を改善する。
【0082】
[信頼度判定工程]
信頼度判定工程705で、充分なSN比が確保できるまで、ビットデータの生成とビットデータの合成を繰り返す。なお、信頼度判定工程705は必ずしも必要ではなく、必要に応じて行うようにすればよい。
これより本発明で特徴的なビット境界検出工程702とビットデータ合成工程704について、詳細に説明する。
【0083】
<ビット境界検出工程>
図8は、各ビットの境界を探すための方法について、信号が微弱な場合の例を示したものである。
【0084】
[ノイズに埋もれた信号]
図8aは、ランダムなノイズである。図8bは、ノイズに比して弱い信号で、ビットの境界で変化している。図8cは、図8aのノイズと図8bの信号を加算したものであり、合成復調手段から出力される相関データのレベルを表している。図8a、b、cの縦軸は各々のレベルを表しており、横軸は時間軸で、フルレンジで時系列的なC/Aコード240サイクル分、つまり240m秒に対応する。
【0085】
図8bに示す信号は、図8aに示すノイズに比して弱いため、図8cに示すノイズと信号が加算された合成復調手段から出力される相関データからでは、ビットの境界は判然としない。そこで、ビットの境界を明確にするために、ビットの時間が20msであることを考慮した変化の抽出を行い、その結果を累積するようにした。
【0086】
[変化抽出工程]
具体的な変化抽出は、ビットの時間が20msであることを考慮して、11〜20ms前の相関データの合計値と1〜10ms前の相関データの合計値の差の二乗を計算するようにした。二乗の代わりに絶対値など、極性の影響を取り除く方法であればこの限りでない。また、相関データの合計範囲も、好適な一例であり、この限りではない。但し、図8dの変化抽出結果は、分かりやすくするために、便宜上図8bの信号の変化点に対応するように左に10m秒分ずらして並べてある。この結果、図8bの信号の変化点では、図8dの変化抽出結果の値が大きくなることが多くなっている。
【0087】
[変化累積工程]
変化累積の具体的な方法は、ビットの時間が20msであることを考慮して図8dの変化抽出結果を20msごとに分割し、分割したものを合計する。別の言い方をすると、横軸を20で割った場合の剰余が同じ値になる変化抽出結果を合計するようにした。その結果を図8eに示す。但し、図8eの横軸は、剰余に1を加算した値になっている。このように累積した結果、変化点の位置が明確になってくる。
【0088】
[変化点位置演算工程]
変化点の位置を演算するには、最大値を検出したり加重平均を計算したりするなど、図8eの変化累積結果の山の位置を求めれば良い。但し、加重平均を計算する場合には、領域の端に近い場合にはサイクリックに繰り返されるように想定する必要がある。図8eの例では10番目と11番目の間が変化点となる。図8dの横軸が10m秒分ずれていることを考慮すると、図8cのRF手段の出力では20番目と21番目の間がビットの境界であることになり、それは図8bの信号の変化に一致している。以降20msごとにビットの境界が存在することになる。
【0089】
[ビットの境界検出の性能]
このように変化を抽出して累積する処理を行えば、理論的にはどんなに信号が弱くても、各ビットの境界を探す期間、つまり図8a〜dの横軸を充分長くすれば、ビットの境界を検出することは可能である。
【0090】
<GPS時計の構成>
図9は、本発明によるGPS時計全体901のブロック構成の好適な一例を示したものである。これより、図9を基にGPS時計を構成する各手段について、詳細に説明する。
【0091】
[アンテナ]
図9において、アンテナ902は、位置情報衛星からのギガヘルツ帯の電波を高周波信号911に変換し、RF手段903に出力する。
【0092】
[RF手段]
RF手段903は、アンテナ902からの高周波信号911を合成復調手段904で処理しやすい低周波信号912にダウンコンバージョンする。このため、RF手段では、局部発振との積により生じる和と差の周波数成分からフィルタにより差の成分を抽出することにより周波数のダウンコンバージョンを行うようにした。局部発振の周波数は精度が高いほど位置情報衛星を捕捉しやすいため、温度補償型水晶発振器(TCXO)の発振する周波数を基にPLLを用いて発生するようにした。なお、RF手段では、必要に応じてローノイズなアンプを挿入して増幅するようにしても良い。
【0093】
[合成復調手段]
合成復調手段904では、RF手段903からの低周波信号912を復調する。このため、合成復調手段904では、搬送波レプリカを用いて搬送波を除去し、相関器によりCA符号を除去して、信号の強さを示す相関強度及びGPS航法メッセージデータを含む相関データを得る。
【0094】
位置情報衛星からの電波が微弱な場合でも、繰り返されるC/Aコードの相関結果を合成することにより比較的簡単な構成かつ短時間で捕捉する。また、複数の位置情報衛星を同時に1つの相関手段で兼用することにより、回路規模を小さく抑えるようにした。
【0095】
[合成演算手段]
合成復調手段904が出力する相関データ904は、1023チップの相関により得られる多値の値のため、信号の他にノイズが混ざったものである。ノイズに比して信号が弱い場合には、単に相関が正か負かで受信ビットの値を決定すると、データの信頼性が低くなってしまう。この課題を解決するために、合成演算手段905では、間欠的に繰り返し受信する合成復調手段904からの相関データを合成して、信頼性の高いデータを得ることにより高感度を実現する。
【0096】
また、合成演算手段905では、相関データに含まれる航法メッセージデータによるGPS時刻とUTCデータとからグリニッジ標準時に相当する時刻に変換する。
【0097】
[RTC手段]
RTC手段906では、内部の基準クロックをカウントして内部時刻915を生成する。また、合成演算手段905からのグリニッジ標準時914により内部時刻915を修正する。この際、内部時刻はローカル時刻として、グリニッジ標準時914と内部時刻915との時差が保持されるように時刻を修正するようにした。但し、内部時刻はローカル時刻でもグリニッジ標準時でも良く、予め設定されている時差により変換すれば良い。
【0098】
[時刻表示手段]
図10は、時刻表示手段907の例を示したものである。時刻表示手段907は、内部時刻915により時刻を表示する。表示時刻の更新は、例えば毎正秒ごとに行う。時刻表示手段907の表示方法は、例えば、図10(a)に示すようなデジタル式の時刻表示器でも良いし、図10(b)に示すようなアナログ式の時刻表示でも良い。また、本発明によるGPS時計901は、置き時計でも掛け時計でも腕時計でも良い。
【0099】
[制御手段]
制御手段908は、全体のステータス及びシーケンスを管理する。
これより本発明の1つの特徴である合成復調手段904について、図面を基に詳細に説明する。
【0100】
<合成復調手段の第1の例>
図11は、回路規模を大きくせずに高感度なサーチを行うための合成復調手段904の好適な第1の例を示したものである。合成復調手段の第1の例は、低周波信号から搬送波とC/Aコードを除去して相関データと相関強度を抽出するとともに、得られた相関強度をC/Aコードの1サイクル分以上累積することにより位置情報衛星をサーチして捕捉する。
【0101】
[ADC手段]
ADC手段1101は、アナログなRF手段の出力する低周波信号を、デジタル値に変換する。
【0102】
[搬送波除去手段]
搬送波除去手段1102は、ADC手段1101からの信号にNCO手段1105からの搬送波のレプリカを1チップの期間(約1μs)畳み込みすることにより、チップデータ1111の同相成分Iと直交成分Qを得る。
【0103】
[CA相関手段]
CA相関手段1104は、搬送波除去手段1102の出力とC/Aコードの相関を得るために、内積を演算する。CA相関手段1104は、サーチ用相関手段1106とCAコードPLL用相関手段1107と搬送波PLL用相関手段1108の3つの相関手段の総称である。
【0104】
[サーチ]
サーチ用相関手段1106は、C/Aコードの位相が全く分かっていない時点で短時間に捕捉するために、搬送波除去手段1102からのチップデータ1111の同相成分I用と直交成分Q用の1対の相関器を有し、チップデータ1111の同相成分Iと直交成分QをシフトレジスタでシフトさせながらC/Aコードとの相関を演算する。サーチする時点では、搬送波の位相もロックしていないため、位置情報衛星からの信号の強度を得るために、チップデータ1111の同相成分Iと直交成分Qの各々とC/Aコードの相関結果を二乗してそれらの和を演算して、相関強度1112として出力する。
【0105】
[トラッキング]
位置情報衛星を捕捉したら、搬送波の周波数とC/Aコードの位相は凡そ合わせることができるが、これらを最適な状態に合わせてロックさせるために、トラッキングを行う。トラッキングは、CAコードPLLによりCAコードの位相を合わせて、搬送波PLLにより搬送波の位相を合わせる。
【0106】
[CAコードPLL]
CAコードPLLは、搬送波除去手段1102とCAコードPLL用相関手段1107と図示しないCAコードPLL用ループフィルタにより構成される。搬送波除去手段1102でサーチ用相関手段1106および搬送波PLL用相関手段1108のために畳み込む1チップの期間に対して、1/4チップ分進んだ期間畳み込んだ進み成分Eと1/4チップ分遅れた期間畳み込んだ遅れ成分Lを用いる。これらのEとLは、それぞれEarlyとLateの頭文字である。CAコードPLL用相関手段1107は、これらの進み成分Eと遅れ成分LについてC/Aコードと相関を演算し、各々の結果がバランスするように搬送波除去手段1102の畳み込みのチップ期間を前後にシフトさせる。なお、CAコードPLL用ループフィルタの時定数は、位置情報衛星からの電波の強さにより調整する。CAコードPLL用ループフィルタの時定数を長くすることにより、ロックするまでの時間は長くなるが、位置情報衛星からの電波が弱い場合でも、感度を高くして位相を正確に合わせることができるようになる。
【0107】
[搬送波PLL]
搬送波PLLは、搬送波除去手段1102と搬送波PLL用相関手段1108と図示しない搬送波PLL用ループフィルタにより構成される。搬送波PLL用相関手段1108によりチップデータ1111の同相成分Iと直交成分QについてC/Aコードとの相関を演算し、各々の演算結果の積が0になるように、NCO手段が発生する搬送波レプリカの周波数を制御することにより、受信データを同相成分Iに同期させて抽出できるようにする。ここで、NCO手段1105は、数値制御発振器により、周波数や位相をデジタル値により制御できるようにしたものである。なお、搬送波用PLL1108の図示していない搬送波PLL用ループフィルタの時定数は、位置情報衛星からの電波の強さにより調整する。搬送波PLL用ループフィルタの時定数を長くすることにより、ロックするまでの時間は長くなるが、位置情報衛星からの電波が弱い場合でも、感度を高くして位相を正確にあわせることができるようになる。
【0108】
[信号強度累積手段]
ここで、サーチ用相関手段1106の出力する相関強度1112は、信号強度累積手段1109により累積することにより、複数サイクルのC/Aコードとの相関強度1112を累積した信号強度1113を得る。信号強度1113が閾値を超えた場合に、位置情報衛星を捕捉したと判定する。この場合、ピーク値がサーチした信号の強度を示し、ピーク値のタイミングがC/Aコードの位相を示している。閾値は、ノイズにより誤捕捉することのないように、例えば累積回数に応じた予め定められた値を用いても良いし、信号強度1113を統計処理して求めても良い。
【0109】
このための信号強度累積手段1109について、図12に示す例を基に説明する。
信号強度累積手段1109は、C/Aコード1サイクル分のチップ数と同じ1023段のシフトレジスタを設けて、最終段の出力1213と相関強度1112の和を初段の入力にすることにより、C/Aコードとの位相関係毎の相関強度1112を累積加算するようにした。なお、シフトレジスタのシフトのタイミングは、搬送波除去手段1102での搬送波除去のタイミングと同期している。このように構成することにより、C/Aコードを何サイクル分累積しても、シフトレジスタが飽和しない程度にビット数を増やすだけで対応することができる。相関を演算するC/Aコードのサイクル数を多くした場合に、相関手段そのものの段数を長くするよりはるかり回路規模を小さくすることができる。したがって、位置情報衛星からの電波が弱い場合でも、回路規模を抑えてサーチすることが可能になる。
【0110】
なお、シフトレジスタの値は、サーチする前に初期化されていることは言うまでもない。
【0111】
<合成復調手段の第2の例>
図13は、合成復調手段の第2の例を示したものである。合成復調手段904の第1の例では、位置情報衛星からの電波が弱い場合に、複数サイクルのC/Aコードについて、比較的簡単な構成で信号強度を求めることができるようにした。しかし、C/Aコードのサイクル数を多くすると、サーチするための時間が長くなるとともに、消費電力が大きくなると言う課題があった。そこで、合成復調手段904の第2の例では、サーチ用相関手段1106を複数の位置情報衛星のサーチに同時に用いることにより、トータルとしてのサーチ時間を短縮し、消費電力の増加を抑制する。
【0112】
このため、合成復調手段の第2の例は、低周波信号から搬送波を除去するとともに、1つ以上の衛星に対応するC/AコードのレプリカをC/Aコードの1チップの時間の範囲内に切換えながらC/Aコードを除去して相関データと相関強度を抽出するとともに、得られた相関強度を擬似ランダム符号の1サイクル分以上1つ以上の衛星に対応して累積することにより1つ以上の位置情報衛星から略同時にサーチして捕捉する。合成復調手段904について、図13を基に説明する。
【0113】
図13において、ADC手段1101、搬送波除去手段1102、CA相関手段1104、NCO手段1105は、合成復調手段904の第1の例の場合と同様である。
【0114】
[CAコード選択手段]
図13において、CAコード選択手段1303は、タイミング手段1302からの選択信号により、同時にサーチする複数の位置情報衛星に対応するC/Aコードを選択する。
【0115】
[第1〜n累積手段]
第1〜n累積手段1301も、同時にサーチする位置情報衛星の相関強度1112をそれぞれ累積する。第1〜n累積手段1301は、合成復調手段904の第1の例における信号強度累積手段1109と同様のものが、同時にサーチする位置情報衛星ごとに設けられたものである。第1〜n累積手段1301は、それぞれ第1〜nC/Aコードに対応する。
【0116】
[タイミング手段]
タイミング手段1302は、CAコード選択手段1303で選択するための選択1〜n、および第1〜n累積手段1301で信号強度を取り込むための累積Ck1〜nを、サーチ用相関器1106のシフトレジスタのシフトクロックに同期して内部の充分早いクロックをカウントすることにより生成するようにした。
【0117】
タイミング手段1302の動作について、図14に示すタイミング図を基に説明する。図14のタイミング図では、サーチ用相関器1106のシフトレジスタのシフトクロックである相関器Ckとタイミング手段1302が発生する選択信号1〜nと第1〜n累積手段のシフトレジスタのシフトクロックである累積Ck1〜nのタイミング関係を示したものである。横軸は共通の時間軸である。縦軸は、各々の信号の論理値を示しており、上側が真で下側が偽である。図中矢印で示す期間は、サーチ用相関器1106のシフトレジスタがシフトしている期間とサーチ用相関器1106が相関演算を行っている期間を示している。
【0118】
サーチ用相関器1106の相関器Ckの後淵により相関器のシフトレジスタがシフトする。シフトが完了すると、選択1信号を真にして、第1C/Aコードを選択し、サーチ用相関器のシフトレジスタの値と第1C/Aコードの相関演算を行う。相関演算が完了すると、累積Ck1の後淵で第1累積手段が相関強度を累積する。第1累積手段の累積が完了すると、選択1を偽にする。
【0119】
第1C/Aコードに対応した相関出力の累積が完了すると、第2〜nC/Aコードに対応した相関出力の累積を順次同様に行うようにした。
【0120】
相関Ckの周期は978nsで、10ns以下のサーチ用相関手段のシフトレジスタのシフト時間を差し引いた時間に、一通りのC/Aコードに対応した相関出力のC/Aコードの位相1チップ分の累積を完了する必要がある。一つのC/Aコードの位相1チップに対応した相関と累積に要する時間は約100nsであり、8つの位置情報衛星を同時にサーチするようにした。
【0121】
<合成復調手段の第3の例>
図15は、合成復調手段の第3の例を示したものである。合成復調手段904の第1、2の例では、位置情報衛星からの電波が弱い場合に、複数サイクルのC/Aコードについて、比較的簡単な構成で信号強度を求めることができるようにした。しかし、C/Aコードのサイクル数を多くすると、サーチする周波数をその分小刻みにする必要があるために、サーチ時間が長くなり消費電力が大きくなると言う課題は残ったままであった。そこで、合成復調手段904の第3の例では、信号強度累積手段1109の代わりにC/Aコードの複数サイクル分の相関強度をそのまま記憶する相関強度記憶手段1501を設けて、サーチ演算手段1502で演算することにより、信号強度に加えて周波数も同時に検出することができるようになり、サーチするC/Aコードのサイクル数を長くしてもサーチする周波数を小刻みにしなくても良いようにする。
【0122】
合成復調手段の第3の例は、低周波信号から搬送波とC/Aコードを除去して相関データと相関強度を抽出するとともに、得られた相関強度をC/Aコードの1サイクル分以上記憶する相関強度記憶手段と、相関強度記憶手段に記憶されている値から信号強度とC/Aコードの位相と周波数のズレを演算することにより位置情報衛星をサーチして捕捉する。このための合成復調手段904の第3の例について、図15に示す例を基に説明する。
【0123】
図15において、ADC手段1101、搬送波除去手段1102、CA相関手段1104、NCO手段1105は、第1、2の例の場合と同様である。
【0124】
[相関強度記憶手段]
相関強度記憶手段1501は、サーチ用相関手段1106からの相関強度1112を累積せずにそのまま記憶する。相関強度記憶手段1501の一方の次元はC/Aコードの位相で単位は1チップで、もう一方の次元はC/Aコードの繰り返しサイクルに対応する。ここで言う2次元とは物理的な位置を表しているのではなく、2つの変数により区別される記憶領域のことである。
【0125】
[サーチ演算手段]
サーチ演算手段1502では、相関強度記憶手段1501に記憶された値を画像データとみなして、直線抽出処理を行うようにした。
【0126】
<合成演算手段>
図16は、本発明の特徴のひとつである合成演算手段の一例を示したものである。合成演算手段は、相関データを集約してビットデータを生成するビットデータ生成手段と、ビットデータから時刻に関する航法メッセージデータを抽出するデータ合成手段と、データ合成手段からの航法メッセージデータから標準時を演算する標準時演算手段とにより構成した。
【0127】
[ビットデータ生成手段]
図16において、ビットデータ生成手段1601では、合成復調手段からの相関データ913から航法メッセージデータを構成するビットデータ1611を生成する。データ合成受信工程において、CAサイクルの1サイクル分の時間である1ms毎に得られる相関データから20msごとのビットの境界を検出して、境界内の20の相関データを集約してビットデータ1611を得る。したがって、ビットデータ1611は20ms毎に生成される。
【0128】
[データ合成手段]
データ合成手段1602は、ビットデータ生成手段1601で20msごとに生成される1つ以上のビットデータ1611を合成することにより感度を向上させて、時刻に関する航法メッセージデータ1612を得る。
【0129】
[標準時演算手段]
標準時演算手段1603は、時刻に関する航法メッセージデータ1612からグリニッジ標準時914を演算により求める。
【0130】
<ビットデータ生成手段>
図17は、本発明の特徴のひとつであるビットデータ生成手段の構成例を示したものである。ビットデータ生成手段では、ビット境界検出工程で説明した方法を用いてビットの境界を検出し、境界内の相関データを集約してビットデータを出力する。ビットデータ生成手段は、相関データの変化を抽出する変化抽出手段と、変化抽出手段で求めた相関データの変化を累積する変化累積手段と、変化累積手段で累積した変化から相関データにより構成されるビットデータの境界を求める変化点位置演算手段と、変化点位置演算手段からの変化点を基に相関データを集約してビットデータを出力するビットデータ集約手段とにより構成した。
【0131】
[変化抽出手段]
変化抽出手段1701では、C/Aコードの各サイクルに対応して1ms毎に合成復調手段より出力される相関データ913からビットデータの境界を検出するために、ビットデータの境界の抽出を行う。ビットデータは連続する相関データ20個により構成されるため、中央でステップ状に変化する20個の数列により構成されるレプリカと相関データを畳み込むことにより変化を抽出する。この畳み込みの演算は、相関データが1つ出力される毎に行うようにした。変化抽出手段は、変化抽出工程で用いられる。
【0132】
[変化累積手段]
変化累積手段では、変化抽出手段で抽出結果を20で割った時の剰余が同じもの通しを加算して累積する。変化累積手段は、変化累積工程で用いられる。
【0133】
[変化点位置演算手段]
変化点位置演算手段では、変化累積手段で累積した結果から、加重平均やピーク値抽出などにより変化点の代表値を求める。この変化点の代表点により相関データのビットデータの境界を求める。変化点位置演算手段は、変化点位置演算工程で用いられる。
【0134】
[ビットデータ集約手段]
ビットデータ集約手段では、変化点位置演算手段が出力するビットデータの境界内の相関データを加算するなどして集約して、ビットデータを出力する。
【0135】
<ビットデータ合成>
図18は、ビットデータ合成手段1602の構成の例を示したものである。位置情報衛星からの電波が弱い場合には、受信したビットデータ1611の各々だけでは信頼性が乏しいため、複数回受信したビットデータ1611や複数ビットのビットデータ1611から信頼できる航法メッセージデータ1612を累積や相関や信頼度判定により合成して生成する。ノイズは累積回数の平方根に比例し信号は累積回数に比例するため、累積することによりSN比を向上させて受信感度を高くすることができる。
【0136】
また、複数のビットデータ1611を想定されるレプリカとの相関により時刻に関する航法メッセージデータを抽出する。ここでレプリカとは、期待される受信値のことである。航法メッセージデータの中で、TLMに含まれるプリアンブルなど定められた受信値が期待されるものや、サブフレームIDのように受信値があるパターンで繰り返されるものや、TOWなどのように受信値が受信するごとにインクリメントされるデータについては、レプリカを用意することができる。このレプリカにより複数回受信のビットデータ1811あるいは複数ビットのビットデータ1811から相関判定するため、信頼度の高い判定が可能になり、ひいては受信感度を高くすることができる。
【0137】
このため、従来は複数回の受信データが矛盾していないことの整合を確認するとこにより信頼度を確保していたが、本発明ではさらに弱い電波の場合でも安定して受信できるようにするために、累積や相関や信頼度判定を用いる。
【0138】
[ザフレームの位置/プリアンブルの検出]
航法メッセージデータ1612を得るためには、まず、サブフレームの位置を知る必要がある。サブフレームの位置を知るために、TLMに含まれるプリアンブルを探す。プリアンブルは、予め定められた値で、図24に示すTLMの先頭の8ビットである。サブフレームの位置は、累積P手段1801及び相関P手段1802及び信頼度判定手段1803によりサブフレーム先頭1821求める。図19は、プリアンブルを合成して受信するための構成及び方法についての例として示したものである。
【0139】
(累積P手段)
累積P手段では、サブフレームの全データを累積加算して、位置情報衛星からの電波がノイズに比して弱い場合でも確実に検出できるようにした。つまり、サブフレームは300ビットにより構成されるため、300段のシフトレジスタを設けた。シフトレジスタはビットデータが1ビット生成されるごとに1段ずつ右にシフトし、最終段の出力とビットデータの和をシフトレジスタの初段に入力する構成とした。TLMの値は変化しないため、サブフレームデータの累積により、TLMは繰り返しの受信毎に加算される。なお、シフトレジスタの値は、累積加算する前に初期化されていることは言うまでもない。
【0140】
(相関P手段)
相関P手段では、TLMが全てのサブフレームの先頭にあるため、シフトレジスタの先頭の8ビットの値の正負の符号を1と0に対応させて、プリアンブル及びプリアンブルを反転させた反転プリアンブルと比較する。逆にレプリカの0を−1に置き換えても良い。比較はシフトレジスタがシフトする毎に行うことにより、プリアンブルを検出する。比較手段はプリアンブルとの比較に限らず、例えばプリアンブルとの相関やベクトルとして捉えた場合のなす角度を計算するなど、プリアンブルを検出できる構成や方法であればどのようなものを用いても良い。
【0141】
ここで、反転プリアンブルも用いるのは、入力ビットの極性が不明なためである。以降の説明においては、プリアンブルを検出した場合についての例について説明するが、反転プリアンブルを検出した場合には、受信データを単に反転させておくようにした。
【0142】
(信頼度判定手段)
図18の信頼度判定手段1803では、ビットデータからの累積や相関の結果がどの程度の信頼度なのかを判定する。このため、ビットデータから信頼度を判定しつつ、時刻に関する航法メッセージデータを抽出できるようにする。
【0143】
ここで得られた信頼度が充分になるまでの受信回数は、以降の航法メッセージデータの受信においても用いることができる。
【0144】
信頼度判定手段1803では、プリアンブルを検出した場合には、TLMの信頼度を判定する。このため、信頼度判定手段ではTLMを構成する各ビットの値の絶対値の平均及び標準偏差を計算し、平均値が標準偏差より充分大きい場合に比較手段で検出したプリアンブルは信頼できるものと判定する。なお、信頼度判定手段は必ずしもTLM全体で判定する必要はなく、信頼度を得るために充分なビット数で全サブフレームで変化しないビットを選べば良い。また、信頼度の判定は、必ずしも絶対値の平均と標準偏差の比率である必要はなく、適度に2極分化していることを確認できる構成や方法であればどのようなものを用いても良い。
【0145】
また、プリアンブルを含むワード番号1のパリティビットを併用することにより信頼度を向上させることができることは言うまでもない。
信頼度判定手段1803は必要に応じて設ければ良い。
【0146】
(電波が強い場合)
位置情報衛星からの電波が充分強い場合には、少ない回数のサブフレームでもビットデータは2極分化して、信頼できるプリアンブルを検出することができる。但し、プリアンブル以外にプリアンブルあるいは反転プリアンブルと同じ値が含まれてないかを確認するために、最低でもサブフレーム全体を一通りは比較する必要がある。
【0147】
このように構成することにより、位置情報衛星からの電波の強さに応じた望ましい回数のビットデータの合成でプリアンブルを検出することができる。
【0148】
[サブフレームIDの検出]
サブフレームIDは、累積S手段と相関S手段により検出する。
図20及び図21は、繰り返しパターンデータを合成して受信する方法について、サブフレームIDの場合について示したものである。サブフレームの先頭位置が分かったら、現在のサブフレームが何番目のものであるかを示すサブフレームIDを検出する。前述したように、1フレームは5つのサブフレームにより構成され、サブフレーム番号1〜5の順になっている。サブフレームIDは、サブフレーム番号を2進の値にしたものである。
【0149】
(累積S手段)
電波か弱い場合には、1回の受信でサブフレームIDを特定するとこは困難である。このため、累積S手段では、複数回のサブフレームIDの受信値を累積加算することにより、サブフレームIDを検出するようにした。このための構成の一例を図20に示す。
【0150】
図20では、サブフレームIDが5サブフレーム毎に繰り返されるため、サブフレームIDを構成する3ビットについて、シフトレジスタを用いてサブフレーム5回毎のサブフレームIDの受信値が累積加算されるような構成にした。なお、シフトレジスタの値は、累積加算する前に初期化されていることは言うまでもない。
【0151】
ここで、サブフレームIDは、図24に示すように、各サブフレームのワード番号2のビット番号20〜22の3ビットである。累積S手段で累積加算するタイミングは、相関P手段で得られたサブフレーム先頭18〜21からビットデータをカウントして得る。
【0152】
(相関S手段)
相関S手段では、受信して累積されたサブフレームIDとサブフレームIDの5つのレプリカとの相関を演算し、最も相関の強いレプリカにより、サブフレームIDを検出する。
【0153】
このための5つのレプリカについて、図21を基に説明する。これらのレプリカのデータの配列は、図21の累積回路の累積受信データの配列に対応したものである。レプリカの各縦1列の値は、−1を0に置き換えた場合にサブフレームIDと一致する値である。
【0154】
図21(a)のレプリカ1は、最新のサブフレームIDが1である場合に最も相関が大きくなる。何故ならば、1番左の縦一列の−1を1に置き換えた2進値が1だからである。サブフレームIDが1になるサブフレームの1つ前のサブフレームのサブフレームIDは5であるため、レプリカ1の左から2列目は同様に−1を1に置き換えると2進値が5になるようになっている。同様に全ての縦の列は、−1を1に置き換えると2進値がサブフレームIDに一致するように構成されている。
【0155】
図21(b)のレプリカは、同様に最新のサブフレームIDが2であることを検出するためのものであり、図21(c)〜(e)のレプリカ3〜5についても同様である。
【0156】
サブフレーム番号1〜5の5つのサブフレームのサブフレームIDの受信値からサブフレームIDを検出する構成の例を示したが、例えば充分電波が強い場合などでは最初のサブフレームのサブフレームIDの受信値のみにより判定することも可能であり、必要に応じて検出するための受信ビットを増やせば良い。
【0157】
以上に、同時に複数のレプリカを用いて、サブフレームIDを検出する方法について説明したが、サブフレームIDの3ビットが更新される毎に1つのレプリカと比較するようにしても良い。例えば、最新のサブフレームIDが1であることを検出するためには、レプリカ1で相関を計算し、相関が高い場合をに最新のサブフレームIDが1であることを検出する。
【0158】
(サブフレームIDの信頼度)
サブフレームIDの累積回数については、プリアンブルを検出した場合の累積回数と同じ回数にすれば通常充分で、サブフレームIDの信頼度判定手段は省略することもできる。つまり、プリアンブルの検出に10サイクルのサブフレームを要したのであれば、サブフレームIDについても10回のサブフレームで検出すれば良い。むしろ、上述のレプリカを用いる方法では、3ビットのビット間の関係を利用したものなので、累積回数は1/3でも良い。
【0159】
しかし、ノイズ環境の急激な変化をも想定して、プリアンブルの信頼度判定手段と同様に受信データの信頼度を判定するようにしても良い。
【0160】
さらに、以上に最も相関の強いレプリカによりサブフレームIDを検出する方法について説明したが、5つのレプリカとの相関の値は、理想的には、最大の値を15とした場合に、前後のレプリカとの相関が−1であり、その他のレプリカとの相関は−5である。これらの値は、例えば、受信データがレプリカ3と同じだったと仮定した場合のレプリカ1〜5との内積が、各々−5、−1、15、−1、−5となることにより得られるものである。そこで、各レプリカとの相関がこれらの比率関係に近いことを持って、サブフレームIDの検出の信頼度を判定するようにしても良い。
【0161】
[TOWの検出]
TOWは、各サブフレームの各ペーシのワード番号W2のビット番号b1〜17である。TOWの検出は、累積T手段、記憶T手段、レプリカT手段により求める。
【0162】
図22は、インクリメントデータを合成して受信する方法について、TOWの場合を例として示したものである。1週間の中の現在時刻は、サブフレーム毎にインクリメントされる17ビットのTOWより計算する。このTOWを受信するための構成及び方法について、図22を基に説明する。
【0163】
(記憶T手段)
インクリメントデータは、パターンデータの周期が長くなったものと考えることもできる。従って、インクリメントデータでは、原則として受信回数分のメモリに受信データを記憶させる。
【0164】
図22に示す例の場合には、サブフレームの受信回数が5回の場合である。TOWの17ビットを同時に受信するようにしたため、17×5=85ビット分のメモリを用意して生成したビットデータを記憶するようにした。なお、この図22ではメモリに記憶されているデータは説明の便宜上、ノイズがなく正規化された1と−1のみに仮定したが、通常はノイズが重畳した多値データである。図22において、1回目から5回目の受信データの値は、−1を0に置き換えると、2進値でインクリメントしている。なお、ビット番号b7より上位は、より下位と同様の考え方のため、図中に値を記載していない。
【0165】
(レプリカT手段と相関T手段)
図22において、レプリカT手段は、受信データの縦1列の各ビットごとに受信データと相関T手段で相関を演算するために用いる。レプリカT手段のサイズは、ビット毎に動的に値を変化させるため、1ビットの受信回数分で充分である。
【0166】
インクリメントデータでは、相関は下位ビットから順に演算する。最下位ビットのレプリカと最下位ビットの受信データとの相関を計算をする前に、レプリカT手段に最下位ビットのレプリカを用意する。最下位ビットのレプリカは、インクリメントデータに対応して、交互に1と−1を繰り返す。最新の受信データに対応するインクリメントデータを1にすると、相関値を最新の受信値として用いることができるため分かりやすい。
【0167】
つまり、図22の例では、記憶T手段のビット番号b1とレプリカT手段との相関は、内積を演算して−5である。内積が負であると言うとこは、記憶T手段のビット番号b1がレプリカと逆相であることを示している。従って、最新のビット番号b1の受信値は負の値である。
【0168】
次に1つ上位のレプリカT手段のレプリカの値を決定する。1つ上位のレプリカの周期は最下位ビットのレプリカの周期の2倍である。従って、2つずつ1と−1が連続して交互に配列される。1つ上位のレプリカも最新のデータに対応するものを1とし、その変化のタイミングは、1つ下位の相関結果の極性から決定する。つまり、下位の相関が正の値の場合には、下位のレプリカの値が1から−1になる時にキャリーが出るものとして上位のレプリカを変化させる。逆に下位の相関が負の値の場合には、下位のレプリカが−1から1になる時に上位のレプリカを変化させる。図22のビット番号b2のレプリカの場合には、ビット番号b1の相関結果が負なので、ビット番号b1のレプリカが−1から1に変化するタイミング、つまり上から2番目と3番目の間及び上から4番目と5番目の間で変化するようにする。
【0169】
以降についても、同様に相関の演算とレプリカの決定を繰り返し、最上位ビットの相関の演算までを実行する。そこで得られたTOWの17ビット毎の相関から複数回のインクリメントデータを合成した、最新のTOWの値を得ることができる。
【0170】
(パリティデータの活用)
なお、詳細には説明しないが、TOWとサブフレームIDを含むワード番号W2のパリティビットについては、ワード単位の受信データと同時にメモリに記憶しておき、最新のTOWの値やサブフレームIDの値からデクリメントすることにより各受信タイミングの受信データを逆算し、得られた逆算データを基にパリティデータを計算し、得られたパリティデータをパリティレプリカとして、受信データとパリティレプリカとの相関により、受信データの信頼度を向上させることができる。
【0171】
[BD位置演算手段]
TOWとサブフレームIDが合成されると、時刻に関するWN、健康情報、UTCなどの他の航法メッセージの受信タイミングが分かる。BD位置演算手段では、相関P手段からのサブフレーム先頭1821と相関S手段からのサブフレームID1822と相関T手段からのTOW1823から時刻に関する航法メッセージデータの受信タイミング1803を生成する。
【0172】
[累積F手段]
累積F手段では、時刻に関するWN、健康情報、UTCなどの他の航法メッセージを繰り返しビットデータデータ1611を、BD位置演算手段1809からの受信タイミング1803により累積加算することにより、電波が弱い場合でも安定した受信データを得ることができる。これらの航法メッセージは、変化の頻度が低いため、固定値として繰り返し受信した値をビット毎に累積すれば良い。これらのパリティビットについても同様である。
【0173】
<他の実施方法>
なお、合成サーチ工程について図2〜4に異なるフローを示したが、これらは単独で用いてもよいし組み合わせて用いても良い。同様に、合成復調手段について図11、図13及び図15に異なる構成を示したが、これらは単独で用いてもよいし組み合わせて用いても良い。
【0174】
また、データ合成受信工程では、ADC工程、搬送波除去工程、サーチ相関工程またはデータ相関工程の順に処理するフローを説明したが、順番は入換えても良く、この限りではない。同様に合成復調手段においても、ADC手段、搬送波除去手段、CA相関手段の順に構成した例を示したが、これらは入換えてもよく、この限りではない。
【0175】
さらに、合成演算手段およびRTC手段および制御手段は、専用の論理回路により実現しても良いが、汎用的なCPUなどのプログラマブルデバイスを用いて実現するようにしても良い。
【0176】
また、図12に示した信号強度累積手段、図19に示したTLMの累積手段、及び図20に示したサプフレームIDの累積手段について、シフトレジスタを構成して実現したが、メモリの構成形態について制約するものではなく、ランダムアクセスメモリなどの記憶手段を用いるなど同様の働きをするものであればどのようなものを用いて実現しても良い。
【0177】
さらに、これらの累積回数については、各々について信頼度を判定して決めても良いが、他の累積手段での累積回数により決めることもできる。
【0178】
以上に、ヘテロダイン方式の場合の例について説明したが、ダイレクトコンバージョン方式などにより復調するようにしても良い。
【0179】
<まとめ>
以上に示したように、本発明によるGPS時計では、位置情報衛星からの電波が微弱な場合でも、高感度でサーチ及びトラッキング及びデータ受信ができるため、例えば屋内の窓から離れた場所でも安定して航法メッセージデータに含まれる時刻情報を受信して、常に正確な時刻を表示することができる。
【符号の説明】
【0180】
101 合成サーチ工程
102 トラッキング工程
103 データ合成受信工程
104 標準時演算工程
105 基準クロック発生工程
106 RTC工程
107 時刻表示工程
902 アンテナ
903 RF手段
904 合成復調手段
905 合成演算手段
906 RTC手段
907 時刻表示手段
908 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛星から来る電波の時刻情報により時刻を修正する時刻表示方法において、衛星からの電波に含まれる擬似ランダム符号の複数サイクル分の相関強度を合成することにより衛星をサーチして捕捉する合成サーチ工程と、前記合成サーチ工程で捕捉した衛星からの電波を効率的に受信できるように制御するトラッキング工程と、随時更新しながら繰り返される衛星からの電波に含まれる時刻に関する航法メッセージデータを合成するデータ合成受信工程と、前記データ合成受信工程で受信した時刻に関する航法メッセージデータから標準時を演算により求める標準時演算工程と、内部時刻をカウントする元となる基準クロックを発生する基準クロック発生工程と、前記基準クロックをカウントして内部時刻を生成するとともに標準時により内部時刻を修正するRTC工程と、前記内部時刻により時刻を表示する時刻表示工程とを有する時刻表示方法。
【請求項2】
前記合成サーチ工程は、衛星からの電波を受信して周波数をダウンコンバージョンした後に、搬送波と擬似ランダム符号を除去して得られた相関強度を擬似ランダム符号の1サイクル分以上累積することにより衛星をサーチして捕捉する請求項1に記載の時刻表示方法。
【請求項3】
前記合成サーチ工程は、衛星からの電波を受信して周波数をダウンコンバージョンした後に、前記低周波信号から搬送波を除去するとともに、1つ以上の衛星に対応する擬似ランダム符合のレプリカを前記擬似ランダム符合の1チップの時間の範囲内に切換えながら擬似ランダム符号を除去して相関強度を抽出し、得られた相関強度を擬似ランダム符号の1サイクル分以上前記1つ以上の衛星に対応して累積することにより1つ以上の位置情報衛星から略同時にサーチして捕捉する請求項1に記載の時刻表示装置。
【請求項4】
前記合成サーチ工程は、衛星からの電波を受信して周波数をダウンコンバージョンした後に、搬送波と擬似ランダム符号を除去して得られた相関強度を1サイクル分以上記憶した後に、記憶されている値から信号強度と擬似ランダム符号の位相と周波数のズレを演算することにより衛星をサーチして捕捉する請求項1に記載の時刻表示方法。
【請求項5】
前記データ合成受信工程は、衛星からの電波を受信して周波数をダウンコンバージョンした後に、搬送波と擬似ランダム符号を除去して得られた相関データからビットの境界を検出するビット境界検出工程と、前記ビット境界検出工程で検出したビットの境界内の前記相関データを集約してビットデータを生成するビットデータ集約工程と、前記ビットデータから航法メッセージデータを合成するビットデータ合成工程を有し、
前記ビット境界検出工程は、前記相関データの変化を抽出する変化抽出工程と、前記変化抽出工程で求めた相関データの変化を累積する変化累積工程と、前記変化累積工程で累積した変化から前記相関データにより構成されるビットデータの境界を求める変化点位置演算工程を有する請求項1に記載の時刻表示方法。
【請求項6】
衛星から来る電波の時刻情報により時刻を修正する時刻表示装置において、位置情報衛星からの電波を高周波信号として受信するアンテナと、アンテナからの高周波信号をダウンコンバージョンして低周波信号に変換するRF手段と、RF手段からの低周波信号に含まれるC/Aコード複数サイクル分の相関強度を合成することにより位置情報衛星をサーチして捕捉するとともに相関データを抽出する合成復調手段と、前記合成復調手段からの相関データに含まれる時刻に関する航法メッセージデータを繰り返し受信して合成するするとともに標準時を演算する合成演算手段と、内部の基準クロックをカウントして内部時刻を生成するとともに前記標準時により内部時刻を修正するRTC手段と、RTC手段からの内部時刻により時刻を表示する時刻表示手段と、全体とステータス及びシーケンスを管理する制御手段とを有する時刻表示装置。
【請求項7】
前記合成復調手段は、前記低周波信号から搬送波と擬似ランダム符号を除去して相関データと相関強度を抽出するとともに、得られた相関強度を擬似ランダム符号の1サイクル分以上累積することにより位置情報衛星をサーチして捕捉する請求項6に記載の時刻表示装置。
【請求項8】
前記合成復調手段は、前記低周波信号から搬送波を除去するとともに、1つ以上の衛星に対応する擬似ランダム符合のレプリカを前記擬似ランダム符合の1チップの時間の範囲内に切換えながら擬似ランダム符号を除去して相関データと相関強度を抽出するとともに、得られた相関強度を擬似ランダム符号の1サイクル分以上前記1つ以上の衛星に対応して累積することにより1つ以上の位置情報衛星から略同時にサーチして捕捉する請求項6に記載の時刻表示装置。
【請求項9】
前記合成復調手段は、前記低周波信号から搬送波と擬似ランダム符号を除去して相関データと相関強度を抽出するとともに、得られた相関強度を擬似ランダム符号の1サイクル分以上記憶する相関強度記憶手段と、前記相関強度記憶手段に記憶されている値から信号強度と擬似ランダム符号の位相と周波数のズレを演算することにより位置情報衛星をサーチして捕捉する請求項6に記載の時刻表示装置。
【請求項10】
前記合成演算手段は、前記相関データを集約してビットデータを生成するビットデータ生成手段と、前記ビットデータから時刻に関する航法メッセージデータを抽出するデータ合成手段と、データ合成手段からの航法メッセージデータから標準時を演算する標準時演算手段を有し、
前記ビットデータ生成手段は、前記相関データの変化を抽出する変化抽出手段と、前記変化抽出手段で求めた相関データの変化を累積する変化累積手段と、前記変化累積手段で累積した変化から前記相関データにより構成されるビットデータの境界を求める変化点位置演算手段と、前記変化点位置演算手段からの変化点を基に前記相関データを集約してビットデータを出力するビットデータ集約手段を有する請求項6に記載の時刻表示装置。
【請求項11】
前記合成演算手段は、前記相関データを集約してビットデータを生成するビットデータ生成手段と、前記ビットデータから時刻に関する航法メッセージデータを抽出するデータ合成手段と、データ合成手段からの航法メッセージデータから標準時を演算する標準時演算手段を有し、
前記データ合成手段は、前記ビットデータから累積あるいは/及びレプリカとの相関により前記航法メッセージデータを得る請求項6に記載の時刻表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2011−220877(P2011−220877A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−91122(P2010−91122)
【出願日】平成22年4月12日(2010.4.12)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】