説明

時刻設定装置、時刻設定方法、時刻設定プログラム、および該プログラムを格納したコンピュータ可読媒体

【課題】タッチパネル上で直感的で、かつ簡単な操作で正確に時刻設定が可能な時刻設定装置を提供する。
【解決手段】本発明の時刻設定装置(10000)は、アナログ時計を含む第1の入力画像を表示させる手段と、前記第1の入力画像を12の領域に分割し、その分割した領域に時刻の時の数値および分の数値をそれぞれ一意に割り当てる手段と、前記第1の入力画像の一部が押圧されたときに、時刻の時の数値または分の数値を判断する手段と、前記判断した時刻の分の数値を含み、かつ該数値の前後の複数の数値から構成される数列を示した第2の入力画像を表示させる手段と、前記第2の入力画像を、前記数列を構成する数と等しい数だけ領域を分割し、その分割した領域に前記数列の数値をそれぞれ一意に割り当てる手段と、前記第2の入力画像の一部が押圧されたときに、時刻の分の数値を最終判断する第2の判断手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネル式ディスプレイを備え、かつ時刻表示機能を具備した電子機器に適用される時刻設定装置、時刻設定方法、時刻設定プログラム、および該プログラムを格納したコンピュータ可読媒体に関し、特に、ユーザに直観的な時刻設定操作を提供可能な時刻設定装置、時刻設定方法、時刻設定プログラム、および該プログラムを格納したコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルとは液晶パネルなどの表示装置に内蔵される入力デバイスであり、当該液晶パネルの所定の箇所を指または専用のペン状のツールで押圧することで電子機器に所望の情報を入力することができる。近年の携帯電話、携帯端末、コンピュータ、カーナビゲーション等の多くの電子機器にこのタッチパネルが搭載されている。このようなタッチパネルを採用すれば、キーボードなどの他の入力装置が不要となり、電子機器を小型化させることができる。さらに、直感的で、かつ簡単な操作をユーザに提供することが可能となる。
【0003】
また、現在の多くの電子機器には現在時刻を表示するための時計機能が搭載されている。この時計機能が表示する時刻を設定または調整する場合には、ユーザが所定の数値等を入力する操作が必要となる。タッチパネルを備えた装置も同様な操作で現在時刻の設定または調整が行われている。そのため、上述のようなタッチパネルの利点である、直感的で、かつ簡単な操作を時刻設定の際に十分に活用できていないのが現状である。
【0004】
特許文献1は、背面手書き入力機能を備えた携帯電話機を開示している。この携帯電話では、その背面に設けられたタッチパネル上にユーザが指でアナログ時計の短針および長針を描くことで時刻を設定することが可能である。従来の単なる数値を入力する操作と比べて、より直感的な操作が可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−278391(請求項16、段落0079ないし0095、図6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述の特許文献1の携帯電話機の時刻設定操作はいくつかの不都合点がある。以下にその不都合点について説明する。
この携帯電話機は、その背面に設けられたタッチパネル上にユーザによって描かれた軌道の位置を識別するために、当該タッチパネル面をその中心点を基点として円周方向に対して12の区間領域に分割している。そして、軌道を構成する複数の点がどの区間領域に存在するかを調べ、点が一番および二番目に多く存在する区間領域を抽出し、その抽出した領域に基づいてユーザに指定された時刻を認識している。
さらに、認識精度の低さを補正するために、微調整処理の操作を設けている。
【0007】
まず、携帯電話機のパネルのような小さい領域に正確な線を描くのは困難である。特に、パネル上に割り当てられた12の区間領域は中心点に近づくほどその面積は狭くなるため、検出すべき点が複数の領域に跨って位置する可能性がある。従って、中心点に近づくほど認識精度が低下し、その結果、指定された時刻を誤認識する可能性がある。
【0008】
さらに、上述の微調整処理の操作は、添付図面の図6(d)(e)に示すパネルの下部に示された時刻の数値を見ながら行うと思われるが、指の移動距離に応じて時刻が変化するため、時刻を大きく変化させることは容易であるが、±1分程度の微小な変化を指の動きで正確に実現することはかなりの熟練を要する。
【0009】
上述の不都合点に鑑みて本発明は創案されたものであり、本発明の目的は、タッチパネル上で直感的で、かつ簡単な操作で正確に時刻設定が可能な時刻設定装置、時刻設定方法、時刻設定プログラム、および該プログラムを格納したコンピュータ可読媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために創案された請求項1の発明は、タッチパネル式ディスプレイを備え、かつ時刻表示機能を具備した電子機器の表示時刻を設定するための時刻設定装置に係る。この時刻設定装置は、前記ディスプレイに時刻を入力するためのアナログ時計を含む第1の入力画像を表示させる第1の表示手段と、前記第1の入力画像を12の領域に分割し、その分割した領域に時刻の時の数値および分の数値をそれぞれ一意に割り当てる第1の分割手段と、前記第1の入力画像の一部が押圧されたときに、その押圧された箇所が前記分割領域のうちのどの分割領域に属するかを特定し、その特定した領域に割り当てられた時刻の時の数値または分の数値を判断する第1の判断手段と、前記第1の判断手段が前記時刻の分の数値を判断すると、前記ディスプレイに前記判断した時刻の分の数値を含み、かつ該数値の前後の複数の数値から構成される数列を示した第2の入力画像を表示させる第2の表示手段と、前記第2の入力画像を、前記数列を構成する数と等しい数だけ領域を分割し、その分割した領域に前記数列の数値をそれぞれ一意に割り当てる第2の分割手段と、前記第2の入力画像の一部が押圧されたときに、その押圧された一部がどの分割領域に属するかを特定し、その特定した領域に割り当てられた時刻の分の数値を判断する第2の判断手段と、を備える。さらに、前記表示時刻の時は前記第1の判断手段が判断した時刻の時の数値に設定され、前記表示時刻の分は前記第2の判断手段が判断した時刻の分の数値に設定される。
【0011】
前記課題を解決するために創案された請求項2の発明は、請求項1に記載の時刻設定装置において、前記設定する時刻の時および分の数値は、個別に前記第1の入力画像の所定の部分を押圧することで入力される。そして、前記第1の入力画像は、前記設定する時刻の時の入力画像である第3の入力画像と、前記設定する時刻の分の入力画像である第4の入力画像とを含み、前記第3の入力画像は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12の数値からなる文字盤を有する第1のアナログ時計であり、前記第4の入力画像は、0、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55の数値からなる文字盤を有する第2のアナログ時計である。さらに、前記第1の分割手段は、前記第3および第4の入力画像の表示エリアをそれぞれ文字盤の数値の1つを含むように前記領域に分割し、その分割領域に該分割領域が含む数値をそれぞれ一意に割り当て、前記第2の分割手段は、前記第2の入力画像が示す数列を構成する数の1つを含むように前記領域に分割し、その分割領域に該分割領域が含む数の数値をそれぞれ一意に割り当てる。
【0012】
前記課題を解決するために創案された請求項3の発明は、請求項1に記載の時刻設定装置において、前記設定する時刻の時および分の数値は、前記第1の入力画像のエリアの所定の部分を押圧することで描かれた一本の軌道によって入力される。そして、前記第1の入力画像は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12の数値からなる文字盤を有するアナログ時計である。さらに、前記第1の判断手段は、前記軌道の開始点、中心点、終了点の座標をそれぞれ抽出し、前記開始点と前記中心点との間の距離である第1の距離と、前記中心点と前記終了点との間の距離である第2の距離とを求め、前記第1の距離が前記第2の距離よりも短い場合には、前記開始点の座標が設定する時刻の時を表わす押圧箇所で、前記終了点の座標が設定する時刻の分を表わす押圧箇所と判断し、一方、前記第1の距離が前記第2の距離よりも長い場合には、前記開始点の座標が設定する時刻の分を表わす押圧箇所で、前記終了点の座標が設定する時刻の時を表わす押圧箇所と判断する。
【0013】
前記課題を解決するために創案された請求項4の発明は、請求項3に記載の時刻設定装置において、前記中心点が前記軌道に含まれる画素のうち、前記アナログ時計の中心に最も近接した画素であることを特徴とする。
【0014】
前記課題を解決するために創案された請求項5の発明は、請求項3に記載の時刻設定装置において、前記中心点が前記アナログ時計の中心に位置する画素であることを特徴とする。
【0015】
前記課題を解決するために創案された請求項6の発明は、請求項1ないし5の何れか一項に記載の時刻設定装置において、前記電子機器は、コンピュータ、携帯端末、携帯電話、固定電話、カーナビゲーション、OA機器を含むことを特徴とする。
【0016】
前記課題を解決するために創案された請求項7の発明は、タッチパネル式ディスプレイを備え、かつ時刻表示機能を具備した電子機器において、前記ディスプレイを押圧することによって表示時刻を設定する時刻設定方法に係る。この時刻設定方法は、時刻の時の値の入力画像として、前記ディスプレイに1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12の数値からなる文字盤を有するアナログ時計を含んだ第1の入力画像を表示させるステップと、前記第1の入力画像のアナログ時計の表示エリアを前記文字盤の数値の1つをそれぞれが包含するように複数の領域に分割し、前記アナログ時計のエリアの一部が押圧されたときに、その押圧された一部が前記複数の分割領域の何れに属するかを特定するステップと、前記特定した分割領域が包含する文字盤の数値が、設定する時刻の時であると判断するステップと、時刻の分の値の入力画像として、前記ディスプレイに0、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55の数値からなる文字盤を有するアナログ時計を含んだ第2の入力画像を表示させるステップと、前記第2の入力画像のアナログ時計の表示エリアを前記文字盤の数値の1つをそれぞれが包含するように複数の領域に分割し、前記アナログ時計のエリアの一部が押圧されたときに、その押圧された一部が前記複数の分割領域の何れに属するかを特定するステップと、前記特定した分割領域が包含する文字盤の数値が、設定する時刻の分であると判断するステップと、時刻の分の最終値の入力画像として、前記ディスプレイに前記判断した時刻の分の数値を含み、かつ該数値の前後の複数の数値から構成される数列を含む第3の入力画像を表示させるステップと、前記第3の入力画像の表示エリアを前記文字盤の数値の1つをそれぞれが包含するように複数の領域に分割し、前記アナログ時計のエリアの一部が押圧されたときに、その押圧された一部が前記複数の分割領域の何れに属するかを特定するステップと、前記特定した分割領域が包含する文字盤の数値が、設定する時刻の分であると最終判断するステップと、を含む。
【0017】
前記課題を解決するために創案された請求項8の発明は、タッチパネル式ディスプレイを備え、かつ時刻表示機能を具備した電子機器において、前記ディスプレイ上に所定の1本の軌道を描くことによって表示時刻を設定する時刻設定方法に係る。この時刻設定方法は、軌道の入力画像として、アナログ時計を含んだ第1の入力画像を表示させるステップと、前記第1の入力画像のアナログ時計上に軌道が描かれたときに、その軌道の開始点、中心点、終了点の座標をそれぞれ抽出するステップと、前記開始点と前記中心点との間の距離を第1の距離とし、前記中心点と前記終了点との間の距離を第2の距離とし、前記第1の距離と前記第2の距離との長さを比較するステップと、前記第1の距離が前記第2の距離よりも短い場合には、前記開始点が設定する時刻の時を表わし、前記終了点が設定する時刻の分を表わすと判断し、一方、前記第1の距離が前記第2の距離よりも長い場合には、前記開始点が設定する時刻の分を表わし、前記終了点が設定する時刻の時を表わすと判断するステップと、前記第1の入力画像のアナログ時計の表示エリアを複数の領域に分割し、前記複数の領域に時刻の時の数値および分の数値をそれぞれ一意に割り当て、前記開始点および終了点の座標を基に時刻の時および分の数値を判断するステップと、時刻の分の最終値の入力画像として、前記ディスプレイに前記判断した時刻の分の数値を含み、かつ該数値の前後の複数の数値から構成される数列を含む第3の入力画像を表示させるステップと、前記第3の入力画像のアナログ時計の表示エリアを前記文字盤の数値の1つをそれぞれが包含するように複数の領域に分割し、前記アナログ時計のエリアの一部が押圧されたときに、その押圧された一部が前記複数の分割領域の何れに属するかを特定するステップと、前記特定した分割領域が包含する文字盤の数値が、設定する時刻の分であると最終判断するステップと、を含む。
【0018】
前記課題を解決するために創案された請求項9の発明は、請求項8に記載の時刻設定方法において、前記中心点が前記軌道に含まれる画素のうち、前記アナログ時計の中心に最も近接した画素であることを特徴とする。
【0019】
前記課題を解決するために創案された請求項10の発明は、請求項8に記載の時刻設定方法において、前記中心点が前記アナログ時計の中心に位置する画素であることを特徴とする。
【0020】
前記課題を解決するために創案された請求項11の発明は、請求項7ないし10の何れか一項に記載の時刻設定方法を処理装置に実行させるプログラムである。
【0021】
前記課題を解決するために創案された請求項12の発明は、請求項11に記載のプログラムを格納したコンピュータ可読媒体である。
【0022】
請求項1の発明では、タッチパネル式ディスプレイを備えた電子機器が表示する時刻を設定するために、そのタッチパネル式ディスプレイにアナログ時計を含む第1の入力画像を表示させる。ユーザをそのアナログ時計の表示エリアを押圧することで、設定する時刻を入力することができる。そのため、タッチパネルの利点である直感的な操作を通じて、時刻を設定することが可能となる。
また、一般に時刻を設定する場合には、±1分程度の精密な精度が要求される。そのため、時刻の分を設定した後に、分の詳細値を再度設定するような構成にしている。例えば、ユーザが時刻の分として、「10」を入力した場合に、「5〜15」の数列を表示して、ユーザがこの数列から時刻の分の最終値を選択するような構成とすることができる。これにより、直観的で、かつ正確な時刻設定操作を提供することができる。
【0023】
請求項2の発明では、時刻の時を設定する操作時にディスプレイに「1〜12」の数字の文字盤を有するアナログ時計を表示させ、時刻の分を設定する操作時にディスプレイに「0〜55(5分刻み)」の数字の文字盤を有するアナログ時計を表示させる。そのとき、ユーザは、文字盤の所望の数字を押圧することで時刻の時および分を設定する。これにより、直観的で、かつ簡単な時刻設定操作を提供することができる。
【0024】
請求項3の発明では、ディスプレイに表示されたアナログ時計の上にユーザが一本の軌道を描くことで、設定する時刻を入力することができる。この軌道は、アナログ時計の短針および長針に該当する。また、描かれた軌道を開始点、中心点、終了点の座標をそれぞれ抽出し、開始点と中心点との距離と、中心点と終了点との距離とを比較することによって、開始点および終了点のどちらが短針(時刻の時)および長針(時刻の分)に相当するかを判断し、その判断に従って開始点および終了点の座標から時刻の時と分とを判断する。したがって、ユーザは、短針および長針の何れからでも軌道を描くことができるため、非常に柔軟性のある操作を可能としている。
【0025】
請求項4の発明では、ユーザが軌道を描く場合に、必ずその軌道がアナログ時計の中心を通過するようルール化している。それにより、中心点が常にアナログ時計の中央付近に位置するため、軌道の開始点と終了点のどちらが短針および長針に相当するか正確に判断することができる。
【0026】
請求項5の発明では、軌道の中心点として、アナログ時計の中心にある画素を軌道の中心点に置き換えている。それにより、ユーザによって描かれた軌道がアナログ時計の中心から逸脱しても軌道の開始点と終了点のどちらが短針および長針に相当するか正確に判断することができる。
【0027】
請求項6の発明により、本発明の請求項1ないし5の時刻設定装置を様々な電子機器に適用することができる。
【0028】
請求項7の発明では、タッチパネル式ディスプレイを備えた電子機器が表示する時刻を設定するために、そのタッチパネル式ディスプレイにアナログ時計を含む第1および第2の入力画像を表示させる。ユーザはそのアナログ時計の文字盤の所望の数値を押圧することで、設定する時刻を入力することができる。そのため、タッチパネルの利点である直感的な操作を通じて時刻を設定することが可能となる。また、時刻の分を設定した後に、分の詳細を再度設定するような構成にしている。これにより、時刻の設定確度を高めている。
【0029】
請求項8の発明では、タッチパネル式ディスプレイを備えた電子機器が表示する時刻を設定するために、そのタッチパネル式ディスプレイにアナログ時計を含む第1入力画像を表示させる。ユーザをそのアナログ時計上に短針および長針に相当する1本の軌道を描くことによって設定する時刻を入力することができる。そのため、タッチパネルの利点である直感的な操作を通じて、時刻を設定することが可能となる。
【0030】
請求項9の発明では、ユーザが軌道を描く場合に、必ずその軌道がアナログ時計の中心を通過するようルール化している。それにより、中心点が常にアナログ時計の中央付近に位置するため、軌道の開始点と終了点のどちらが短針および長針に相当するか正確に判断することができる。
【0031】
請求項10の発明では、軌道の中心点として、アナログ時計の中心にある画素を軌道の中心点に置き換えている。それにより、ユーザによって描かれた軌道がアナログ時計の中心から逸脱しても軌道の開始点と終了点のどちらが短針および長針に相当するか正確に判断することができる。
【0032】
請求項11の発明は、本発明をプログラムの形態で提供している。
【0033】
請求項12の発明は、本発明をコンピュータ可読媒体の形態で提供している。
【発明の効果】
【0034】
本発明によって、タッチパネル上で直感的で、かつ簡単な操作で正確に時刻設定が可能な時刻設定装置、時刻設定方法、時刻設定プログラム、および該プログラムを格納したコンピュータ可読媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施形態に係る時刻設定装置の機能ブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る時刻設定装置の設定時刻入力部の詳細機能ブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る描画ウィンドウを説明するための図であり、(a)は時描画ウィンドウの例であり、(b)は時描画ウィンドウ上に設定された分割領域を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る時刻設定装置を用いて時刻を設定するための操作手順を示したフロー図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る時刻設定装置を用いて時刻を設定するための手順を説明するための図であり、(a)は時描画ウィンドウに時刻の時の値が入力されたときを示す例であり、(b)は分描画ウィンドウの例を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る時刻設定装置を用いて時刻を設定するための手順を説明するための図であり、(a)は分描画ウィンドウに時刻の分の値が入力されたときを示す例であり、(b)は分詳細描画ウィンドウの例を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る時刻設定装置を用いて時刻を設定するための手順を説明するための図であり、(a)は設定時刻表示ウィンドウの例を示す図であり、(b)は時刻の午前、午後を選択する操作の例を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る時刻設定装置が行う時刻設定方法の第1の例の前半の処理を示すフロー図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る時刻設定装置が行う時刻設定方法の第1の例の後半の処理を示すフロー図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る時刻設定装置が行う時刻設定方法の第2の例を説明するための図であり、(a)はユーザが軌道を入力したときの例であり、(b)は軌道の開始点、中心点、終了点の判断手法を説明するための例であり、(c)は軌道の中心点の判断手法を説明するための例である。
【図11】本発明の一実施形態に係る時刻設定装置が行う時刻設定方法の第2の例の前半の処理を示すフロー図である。
【図12】本発明の一実施形態に係る時刻設定装置が行う時刻設定方法の第2の例の後半の処理を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の一実施形態に係る時刻設定装置10000の構成や機能について添付図面を参照して以下に詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る時刻設定装置10000の機能ブロックを示している。この時刻設定装置10000は、時計機能を有する任意の電子機器によって実装される。
【0037】
時刻設定装置10000は、主な構成要素として、タッチパネル式ディスプレイ部1000と、タッチパネル駆動部2000と、液晶駆動部3000と、CPU4000と、計時部5000とを備える。タッチパネル式ディスプレイ部1000(以下、単に「ディスプレイ部1000」と称する)は、その画面に現在時刻、並びに種々のテキストや画像等を表示する機能を有する。このディスプレイ部1000は、例えば、TFT液晶やブラウン管等によって実装され、さらにタッチパネルを内蔵する。このタッチパネルは特定のタイプに限定されるものではなく、例えば、抵抗膜方式や静電容量方式のものでよい。また、このタッチパネルに所定のデータを入力するための手段は本実施形態ではユーザの指先とするが、これに限定するものではなく、代わりにペン状の専用ツールを用いてもよい。
【0038】
タッチパネル駆動部2000は、ディスプレイ部1000のタッチパネルを駆動し、このディスプレイ部1000の画面がタッチ(押圧)された位置に関する情報(例えば、XおよびY座標)を取得する機能を有する。
液晶駆動部3000は、ディスプレイ部1000の画面に所定のテキストや画像を表示させるためにそれらに対応した駆動信号を生成し、当該ディスプレイ部1000にその信号を出力する機能を有する。
【0039】
CPU4000は、記憶装置(図示せず)に格納されたプログラム等に基づいてタッチパネル駆動部2000、液晶駆動部3000、計時部5000等を制御し、所定の処理を行う機能を有する。
【0040】
計時部5000は、タッチパネル式ディスプレイ部1000に現在時刻を表示させるための計時機能を有する。また、この計時部5000は設定時刻入力部6000を備え、この設定時刻入力部6000は、計時部5000が計時する現在時刻を設定または調整する際に使用される設定時刻入力手段である。その詳細な機能について以下に図2を参照して説明する。
【0041】
図2は、設定時刻入力部6000の機能ブロックを示している。図示のように、設定時刻入力部6000は機能要素として、描画ウィンドウ表示部100と、入力座標取得部200と、時刻情報格納部300と、時刻判定部400と、判定時刻出力部500と、を備える。以下にそれぞれの機能要素の詳細を説明する。
【0042】
[描画ウィンドウ表示部]
描画ウィンドウ表示部100は、図1に示したディスプレイ部1000の画面に種々の描画ウィンドウを表示させる機能を有する。この描画ウィンドウはユーザが時刻を設定するときに表示される入力画面であり、主にアナログ時計のイメージからなる。描画ウィンドウは、時描画ウィンドウ10と、分描画ウィンドウ20と、分詳細描画ウィンドウ30と、設定時刻表示ウィンドウ40とから構成される。
【0043】
図3(a)は、時描画ウィンドウ10の例を示している。この時描画ウィンドウ10には、まず、その中心部分に針の無いアナログ時計のイメージが表示される。このイメージ上の所定の位置を押圧することでユーザは所望の時刻の数値を入力できる。このアナログ時計のイメージの下方にはデジタル時計のイメージ(この図で「??:??」と表示している部分)が表示される。このイメージは、ユーザの数値入力を補助する役割を果たす。さらに、アナログ時計のイメージの上部の左右のそれぞれに「AM」、「PM」のボタンが表示される。これらのボタンは、ユーザが時刻の「午前」または「午後」を設定するために用いられる。そして、デジタル時計にイメージに下部には、左から順に「OK」、「キャンセル」、「設定クリア」のボタンがそれぞれ表示される。「OK」ボタンは入力した数値を確定するために用いられるもので、ユーザがアナログ時計のイメージを用いて所望の数値を入力した後に、このボタンを押圧すればその入力した数値が確定される。「キャンセル」ボタンを押圧すれば入力した数値が消去され、「設定クリア」ボタンを押圧すれば、入力した時刻の数値がすべて消去される。
【0044】
また、時描画ウィンドウ10のアナログ時計のイメージのエリア内には、図3(b)に示すように、それぞれがアナログ時計の文字盤の1つを含んだR1ないしR12の領域が画定されている。
他の描画ウィンドウである分描画ウィンドウ20、分詳細描画ウィンドウ30、設定時刻表示ウィンドウ40も同様な構成となっている。それぞれのウィンドウの詳細については後述する。
【0045】
[入力座標取得部]
入力座標取得部200は、ユーザが時刻入力のために描画ウィンドウ上の画面の所定の箇所を押圧したときに、その押圧箇所の画素座標をタッチパネル駆動部2000から取得する機能を有する。
【0046】
[時刻情報格納部]
時刻情報格納部300は、メモリ、ハードディスク等の記憶装置によって実現され、所定の情報を格納する。具体的には、ディスプレイ部1000の画面上の画素座標と、描画ウィンドウのアナログ時計上に画定された領域との関係、並びに当該領域と入力時刻の数値との関係を格納する。
【0047】
[時刻判定部]
時刻判定部400は、時刻情報格納部300にアクセスして、入力座標取得部200が取得した押圧箇所の画素座標が、描画ウィンドウ上のどの領域に属するかを特定し、それを基に入力された時刻の値を判断する機能を有する。例えば、図3(b)の矢印が示す画素座標(X,Y)が押圧された場合には、時刻判定部400は「領域R4」が押圧されて数値「3」が入力されたと判断する。
【0048】
[判定時刻出力部]
判定時刻出力部500は、時刻判定部400が判定した時刻の値に関する情報を計時部5000および描画ウィンドウ表示部100に出力する機能を有する。
【0049】
以上に渡り、本発明の一実施形態に係る時刻設定装置10000の構成および機能について説明した。
次は、設定時刻入力部6000を用いて時刻設定装置10000が表示する時刻を設定する方法について説明する。なお、この方法は、描画ディスプレイの画面上を複数回押圧する方法(以下、「点入力方法」と称する)と、当該画面上に一本線を描く方法(以下、「線入力方法」と称する)の2種類がある。それぞれの方法について順に説明する。
【0050】
[点入力方法]
図4は、点入力方法を実行するための操作手順を示したフロー図である。時刻設定装置10000のユーザは、このフロー図の操作手順に従って現在時刻に設定を行う。
なお、操作手順において、ユーザが時刻「午前10時0分」を設定すると仮定して以下に説明する。
最初に、時刻設定装置10000のディスプレイ部1000の画面上に表示された初期画面から所定のボタンを押圧して時刻入力を選択する(ステップS100)。時刻入力が選択されると、ディスプレイ部1000には、時描画ウィンドウ10(図5(a)参照)が表示される。
【0051】
時描画ウィンドウ10が表示されると、そのウィンドウ上でユーザが時刻の時の数値「10」を入力する(ステップS110)。具体的には、図5(a)に示すように、アナログ時計のイメージ上の10時の文字盤部分を押圧する。次いで、「OK」ボタンを押圧して入力を確定する。
【0052】
時刻の時の数値入力を確定すると、ディスプレイ部1000の画面表示が分描画ウィンドウ20(図5(b)参照)に切り替わる。アナログ時計のイメージ上にステップS110の操作で入力した数値「10」を示す針が表示され、文字盤が分表示となる。さらに、デジタル時計のイメージの表示が「10:??」となる。この状態でユーザは、図6(a)に示すように、アナログ時計のイメージ上の0分の文字盤部分を押圧して時刻の分の数値を入力し(ステップS120)、押圧状態をそのまま保持する。
【0053】
時刻の分の数値を入力すると、ディスプレイ部1000の画面表示が分詳細描画ウィンドウ30(図6(b)参照)に切り替わる。ステップS120の手順で入力した数値の前後の数字の列が1分刻みで文字盤部分に表示される。この状態でユーザは、分詳細描画ウィンドウ30への押圧を保持した状態で、アナログ時計のイメージの0分を示す文字盤部分まで指をスライドさせ、そこで指を離して押圧を解除する。これにより、時刻の分の詳細数値「0」が選択される(ステップS130)。次いで、「OK」ボタンを押圧して選択を確定する。
上述のステップS120の操作だけでは、1分単位の精度で分設定をすることは困難である。そのため、時刻の「分」の詳細な値を選択する操作であるステップS130の手順を設けている。
【0054】
時刻の「分」の詳細な数値の選択をすると、ディスプレイ部1000の画面表示が設定時刻表示ウィンドウ40(図7(a)参照)に切り替わる。アナログ時計のイメージにステップS110の操作で入力した時刻の時の数値「10」を示す針と、ステップS130の操作で選択した時刻の分の数値「0」を示す針とが表示される。さらに、デジタル時計のイメージの表示が「10:00」となる。
【0055】
最後に、ユーザは「AM」ボタンを押圧することにより、時刻の午前を選択し(ステップS140)、「OK」ボタンを押圧して選択を確定する。
以上の操作手順で、時刻の設定操作が完了する。なお、時刻の時および分の数値の入力、並びに「AM」および「PM」の選択を誤ったときは、「キャンセル」ボタンを押圧すれば、1つ前の操作手順まで戻ることが可能である。また、最初の操作手順(ステップS110)まで戻りたい場合には、「設定クリア」のボタンを押圧すればよい。
【0056】
次に、図8および図9のフローを参照して、以上に説明した「点入力方法」の操作手順において行われる時刻設定装置10000の処理について説明する。
【0057】
最初に図8を参照して説明すると、時刻設定装置10000がディスプレイ部1000の画面に所定の初期画像を表示している(ステップS200)。このときに、ユーザによって、時刻入力画面が選択されたことを検出すると(ステップS210)、描画ウィンドウ表示部100は、ディスプレイ部1000の画面に時描画ウィンドウ10(図3(a)参照)を表示させる(ステップS220)。
【0058】
設定時刻入力部6000は、この状態でユーザによる次の入力を待つ(ステップS230)。しかし、仮に所定の期間に何も入力がなかった場合には、入力を促すメッセージを表示するか、あるいはステップS200の状態、すなわち初期画面を表示する状態に戻ってもよい。
図5(a)に示すように、ディスプレイ部1000への入力を検出すると(ステップS230で「YES」)、ユーザによって時刻の時の数値が入力されたと判断し、入力座標取得部200が押圧された箇所の画素座標である第1座標(X1,Y1)を取得する(ステップS240)。次いで、時刻判定部400が、時刻情報格納部300にアクセスして、第1座標(X1,Y1)が領域R1〜R12(図3(b)参照)の何れに属するかを調べる。その結果、第1座標(X1,Y1)は領域R11に属することがわかると、入力された数値は「10」であると判断する(ステップS250)。
【0059】
判定時刻出力部500は、設定時刻入力部6000が判断した時刻の時の数値情報を描画ウィンドウ表示部100に出力する。描画ウィンドウ表示部100は受け取った情報を基に、ディスプレイ部1000の画面に分描画ウィンドウ20(図5(b)参照)を表示する(ステップS260)。
【0060】
設定時刻入力部6000は、この状態でユーザによる次の入力を待つ(ステップS270)。しかし、仮に所定の期間に何も入力がなかった場合には、入力を促すメッセージを表示するか、あるいはステップS200の状態、すなわち初期画面を表示する状態に戻ってもよい。
【0061】
図6(a)に示すようにディスプレイ部1000への入力を検出すると(ステップS270で「YES」)、ユーザによって時刻の分の数値が入力されたと判断し、入力座標取得部200が押圧された箇所の画素座標である第2座標(X2,Y2)を取得する(ステップS280)。次いで、時刻判定部400が、時刻情報格納部300にアクセスして、第2座標(X2,Y2)が領域R1〜R12(図3(b)参照)の何れに属するかを調べる。その結果、第2座標(X2,Y2)が領域R1に属することがわかると、入力された数値は「0」であると判断する(ステップS290)。
【0062】
次に図9を参照して説明をすると、判定時刻出力部500は設定時刻入力部6000が判断した時刻の分の数値情報を描画ウィンドウ表示部100に出力する。描画ウィンドウ表示部100は受け取った情報を基に、分詳細描画ウィンドウ30(図6(b)参照)を表示する(ステップS300)。
【0063】
設定時刻入力部6000は、この状態でユーザによる押圧の解除を待つ(ステップS310)。しかし、仮に所定の期間に押圧が解除されなかった場合には、選択を促すメッセージを表示してもよい。
【0064】
ディスプレイ部1000への押圧の解除を検出すると(ステップS310で「YES」)、ユーザによって時刻の「分」の詳細数値が選択されたと判断し、入力座標取得部200が、押圧が解除された箇所の画素座標である第3座標(X3,Y3)を取得する(ステップS320)。次いで、時刻判定部400が、時刻情報格納部300にアクセスして、第3座標(X3,Y3)が属する領域を調べ、それを基に入力された数値は「0」であると判断する(ステップS330)。
【0065】
設定時刻入力部6000は、この状態でユーザによる次の入力を待つ。詳細には、「AM」および「PM」ボタンの領域の何れかが押圧されることを待つ(ステップS340)。しかし、仮に所定の期間に何も入力がなかった場合には、入力を促すメッセージを表示するか、あるいはステップS200の状態、すなわち初期画面の表示に戻ってもよい。
【0066】
図7(b)に示すように「AM」または「PM」ボタンの押圧入力を検出すると(ステップS340で「YES」)、ユーザによって時刻の「AM」、「PM」の選択がされたと判断し、入力座標取得部200が押圧された画素座標を基に「AM」ボタンが選択されたことを判断する(ステップS350)。
最後に、ディスプレイ部1000の画面を初期画面に戻し、処理を終了する(ステップS360)。
【0067】
以上が本発明の一実施形態に係る設定時刻入力部6000が実施する「点入力方法」による時刻設定方法である。しかし、設定時刻入力部6000が実施する「点入力方法」の処理は上述の内容に限定されるものではない。
【0068】
例えば、上述の処理では、ユーザは設定する時刻の時の入力、および「AM」、「PM」の選択をする際には、「OK」ボタンを押圧することで当該入力および選択を確定しているが、本発明はこの手順に限定されるものではない。代替的に、ユーザよってディスプレイ部1000の画面への押圧が解除された時点で入力および選択を確定してもよい。この場合、ユーザが「OK」ボタンをタッチする手間が省けて操作が簡略化されるが、入力をやり直すためには「設定クリア」ボタンを押圧して、初めから操作をやり直す必要がある。
【0069】
また、時刻の午前および午後を設定するために、描画ウィンドウ上に「AM」ボタンおよび「PM」ボタンを設けているが、本発明はこの構成に限定されるものではない。
代替的に、「AM」ボタンおよび「PM」ボタンを削除し、ユーザが描画ウィンドウ上の所定の位置に指を接触させ、その位置から指を所定の方向に移動させることで午前および午後を選択するような構成としてもよい。例えば、ユーザが指でアナログ時計のイメージの上の部分を押圧し、その状態で指を左にスライドさせたら「AM」、一方、右にスライドさせたら「PM」が選択されたと認識する構成としてよい。
さらに、ユーザによって「AM」、「PM」が選択された場合に、デジタル時計のイメージに選択された「AM」または「PM」が表示されて、ユーザが選択内容を確認できる構成としてもよい。
【0070】
[線入力方法]
次に、「線入力方法」の処理について説明する。
図11および図12は、「線入力方法」を実行するための処理を示したフロー図である。時刻設定装置10000は、この処理を行って現在時刻の設定を行う。
上述の「点入力方法」では、時刻の「時」および「分」の数値の入力は、描画ウィンドウのアナログ時計のイメージの文字盤部分をユーザが個別に指で押圧することで行ったが、「線入力方法」では、アナログ時計のイメージ上をユーザが指で押圧し、さらにその状態で指をスライドさせて所定の形状の軌道を描くことで「時」および「分」の数値を一度に入力する。
【0071】
詳細には、図10(a)に示すように、描画ウィンドウ表示部100が時描画ウィンドウ10をディスプレイ部1000の画面に表示させた状態で、ユーザがそのウィンドウ上に指で軌道を描く。この軌道はアナログ時計の短針および長針のイメージに相当する。この軌道を描く上でのルールとしては、軌道は一本であること、アナログ時計のイメージの中心点に軌道を通過させること、長針に相当する軌道の方が短針に相当する軌道よりも長いこと、が挙げられる。
【0072】
図10(a)に示すような軌道がディスプレイ部1000の画面上に描かれた場合における設定時刻入力部6000が行う処理をまず図11のフローを参照して説明する。なお、この図のステップS500ないしS520の処理は、既に説明した図8のステップS200ないしS220の処理と内容が同一なため、これらの処理の説明は省略する。
ステップS530の処理において、設定時刻入力部6000がユーザによる軌道の入力を待つ。ここで、仮に所定の期間に軌道の入力がなかった場合には、軌道を入力する旨のメッセージを表示するか、あるいはステップS500の状態、すなわち初期画面の表示に戻ってもよい。
【0073】
軌道の入力を検出すると(ステップS530で「YES」)、入力座標取得部200がその軌道の開始点、中心点、終了点におけるそれぞれの画素座標を抽出する(ステップS540)。ここで、軌道の中心点の求め方としては、この軌道を構成する複数の画素のうち、アナログ時計のイメージの中心における画素座標に最も近い画素を中心点と見なしてよい。
【0074】
軌道の開始点、中心点、終了点におけるそれぞれの画素座標を抽出すると、時刻判定部400が時刻情報格納部300にアクセスして、開始点および終了点の画素座標がそれぞれ図3(b)に示すどの領域に属するかを求める(ステップS550)。例えば、図10(a)に示す軌道の場合は、開始点は領域R7に属し、終了点は領域R11に属すると判断される。
【0075】
次いで、開始点、中心点、終了点の画素座標を用いて、開始点と中心点との距離L1と、中心点と終了点との距離L2とを求め(ステップS560)、距離L1および距離L2の長さを比較する(ステップS570)。距離L1が距離L2よりも短い場合には(ステップS570で「YES」)、開始点が短針側、すなわち、時刻の時を示しており、終了点が長針側、すなわち、時刻の分を示していると判断する(ステップS580)。
一方、距離L1が距離L2よりも長い場合には(ステップS570で「NO」)、開始点が長針側、すなわち、時刻の分を示しており、終了点が短針側、すなわち、時刻の時を示していると判断する(ステップS590)。
なお、図10に示す軌道の場合は、前者(ステップS580)に相当する。
【0076】
上述のステップS550の処理と、ステップS580またはS590の処理とに基づいて、ユーザによって入力された軌跡から時刻の時および分の値を判断する(ステップS600)。図10(a)の軌道の場合は、「6時50分」と判断される。
【0077】
それ以降の手順である、図12に示すステップS610ないしS670の処理は、既に説明した図9に示したステップS300ないしS360の処理と内容が同一であるため、その説明は省略する。
【0078】
以上が本発明の一実施形態に係る設定時刻入力部6000が実施する「線入力方法」による時刻設定処理である。しかし、設定時刻入力部6000が実施する時刻設定処理は上述の内容に限定されるものではない。
【0079】
図11に示すステップS540の処理における軌道の中心点の求め方として、当該軌道を構成する複数の画素のうち、アナログ時計のイメージの中心に最も近い画素を当該中心点と判断しているが、本発明はこの手法に限定されるものではない。代替的には、中心点の画素座標をアナログ時計のイメージの中心にある画素の座標に置き換えてもよい。この場合、軌道が誤ってアナログ時計のイメージの中心から逸れても、正確に時刻を判断することができる。
例えば、図10(b)に示すような軌道が入力された場合を考える。この軌道はユーザが時刻を「6時45分」と設定するために入力されたものである。この場合、ステップS540の処理では、画素1が開始点、画素2が終了点と判断し、さらに、アナログ時計の中心である画素4に画素3が最も近接しているため、画素3を中心点と判断する。そして、ステップS560およびS570の処理において、画素1と画素3との距離L1と、画素3と画素2との距離L2とにおける長さを比較すると、L1>L2となるため、画素1が時刻の分を示し、画素2が時刻の時を示すと判断する。従って、最終的に判断される時刻は「9時30分」となり、ユーザの意図とは異なる時刻に設定されてしまう。
しかし、上記の代替手法では、軌道の中心点の画素座標は画素4と判断されるため、処理対象の軌道は、図10(c)に示すものと等価になる。この軌道で画素1と画素4との距離L3と、画素4と画素2との距離L4とにおける長さの関係は、L3<L4となるため、最終的に判断される時刻は「6時45分」となり、ユーザの意図に従った時刻に設定される。
【0080】
また、上述のステップS560ないしS590の処理では、ユーザが描いた軌道の開始点および終了点と中心点との距離をそれぞれ求めて、それらの距離の長さを比較することによって、開始点および終了点の何れが時刻の時に該当するか、あるいは時刻の分に相当するかを判断しているが、本発明はこの手法に限定されるものではない。例えば、描く軌道の開始点が時刻の時を示し、終了点が時刻の分を示すと一意に判断してもよい。それにより、上述のステップS560ないしS590の処理を省略することができる。
ただし、その場合は設定する時刻の時の値を開始点とし、さらに分の値を終了点として軌道を描くようにルール化する必要があるため、ユーザの操作の柔軟性は多少失われる。
【0081】
以上に説明した時刻設定方法である「点入力方法」および「線入力方法」は、適用するアプリケーション等に基づいて適宜好適な方を選択してよい。例えば、小型のディスプレイを有する機器に適用する場合には、単にディスプレイを数回タッチするだけで時間設定が可能な「点入力方法」のほうが適している。しかし、比較的大型のディスプレイを有する機器では、より人間の直感に適した操作を可能とする「線入力方法」のほうが適している。あるいは、機器のユーザが「点入力方法」と「線入力方法」との何れかを選択できる構成にしてもよい。
【0082】
本発明の時刻設定装置10000が適用される機器は特定のものに限定されるものではなく、タッチパネル式ディスプレイを備え、かつ時刻表示機能を具備した機器ならば如何なるものに適用してもよい。適用例としては、パーソナルコンピュータ、携帯端末、携帯電話、固定電話、カーナビゲーション、ファクシミリ等のOA機器などが挙げられる。
【0083】
さらに、本発明の時刻設定装置10000が行う時刻設定方法は、現在時刻の設定に適用する場合に限定されるものではなく、例えば、タイマーやアラーム時刻を設定する場合に適用してもよい。
【0084】
なお、本発明の時刻設定装置10000が有する機能は、特定のハードウェア資源またはソフトウェア処理に限定されないことに留意されたい。すなわち、この機能を実現できる限り、如何なるハードウェア(電子回路等)、ソフトウェア(プログラム)、あるいはそれらの組み合わせ等を用いてもよい。
【0085】
上述した本発明の一実施形態に係る時刻設定方法を、プログラムとして実装する場合には、このプログラムを外部のサーバ等から該方法を実行する情報処理装置にダウンロードするか、あるいはコンピュータ可読媒体の形態で分配されることが好ましい。コンピュータ可読媒体の例としては、CD−ROM、DVD、磁気テープ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ハードディスク、メモリ媒体などが挙げられる。
【0086】
以上、本発明を図面に示した実施形態を用いて説明したが、これらは例示的なものに過ぎず、本技術分野の当業者ならば、本発明の範囲および趣旨から逸脱しない範囲で多様な変更および変形が可能なことは理解できるであろう。したがって、本発明の範囲は、説明された実施形態によって定められず、特許請求の範囲に記載された技術的趣旨により定められねばならない。
【符号の説明】
【0087】
10 時描画ウィンドウ
20 分描画ウィンドウ
30 分詳細描画ウィンドウ
40 設定時刻表示ウィンドウ
100 描画ウィンドウ表示部
200 入力座標取得部
300 時刻情報格納部
400 時刻判定部
500 判定時刻出力部
1000 タッチパネル式ディスプレイ部
2000 タッチパネル駆動部
3000 液晶駆動部
4000 CPU
5000 計時部
6000 設定時刻入力部
10000 時刻設定装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネル式ディスプレイを備え、かつ時刻表示機能を具備した電子機器の表示時刻を設定するための時刻設定装置であって、
前記ディスプレイに時刻を入力するためのアナログ時計を含む第1の入力画像を表示させる第1の表示手段と、
前記第1の入力画像を12の領域に分割し、その分割した領域に時刻の時の数値および分の数値をそれぞれ一意に割り当てる第1の分割手段と、
前記第1の入力画像の一部が押圧されたときに、その押圧された箇所が前記分割領域のうちのどの分割領域に属するかを特定し、その特定した領域に割り当てられた時刻の時の数値または分の数値を判断する第1の判断手段と、
前記第1の判断手段が前記時刻の分の数値を判断すると、前記ディスプレイに前記判断した時刻の分の数値を含み、かつ該数値の前後の複数の数値から構成される数列を示した第2の入力画像を表示させる第2の表示手段と、
前記第2の入力画像を、前記数列を構成する数と等しい数だけ領域を分割し、その分割した領域に前記数列の数値をそれぞれ一意に割り当てる第2の分割手段と、
前記第2の入力画像の一部が押圧されたときに、その押圧された一部がどの分割領域に属するかを特定し、その特定した領域に割り当てられた時刻の分の数値を判断する第2の判断手段と、
を備え、
前記表示時刻の時は前記第1の判断手段が判断した時刻の時の数値に設定され、前記表示時刻の分は前記第2の判断手段が判断した時刻の分の数値に設定されることを特徴とする時刻設定装置。
【請求項2】
前記設定する時刻の時および分の数値は、個別に前記第1の入力画像の所定の部分を押圧することで入力され、
前記第1の入力画像は、前記設定する時刻の時の入力画像である第3の入力画像と、前記設定する時刻の分の入力画像である第4の入力画像とを含み、
前記第3の入力画像は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12の数値からなる文字盤を有する第1のアナログ時計であり、
前記第4の入力画像は、0、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55の数値からなる文字盤を有する第2のアナログ時計であり、
前記第1の分割手段は、前記第3および第4の入力画像の表示エリアをそれぞれ文字盤の数値の1つを含むように前記領域に分割し、その分割領域に該分割領域が含む数値をそれぞれ一意に割り当て、
前記第2の分割手段は、前記第2の入力画像が示す数列を構成する数の1つを含むように前記領域に分割し、その分割領域に該分割領域が含む数の数値をそれぞれ一意に割り当てることを特徴とする請求項1に記載の時刻設定装置。
【請求項3】
前記設定する時刻の時および分の数値は、前記第1の入力画像のエリアの所定の部分を押圧することで描かれた一本の軌道によって入力され、
前記第1の入力画像は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12の数値からなる文字盤を有するアナログ時計であり、
前記第1の判断手段は、前記軌道の開始点、中心点、終了点の座標をそれぞれ抽出し、前記開始点と前記中心点との間の距離である第1の距離と、前記中心点と前記終了点との間の距離である第2の距離とを求め、前記第1の距離が前記第2の距離よりも短い場合には、前記開始点の座標が設定する時刻の時を表わす押圧箇所で、前記終了点の座標が設定する時刻の分を表わす押圧箇所と判断し、一方、前記第1の距離が前記第2の距離よりも長い場合には、前記開始点の座標が設定する時刻の分を表わす押圧箇所で、前記終了点の座標が設定する時刻の時を表わす押圧箇所と判断することを特徴とする請求項1に記載の時刻設定装置。
【請求項4】
前記中心点は、前記軌道に含まれる画素のうち、前記アナログ時計の中心に最も近接した画素であることを特徴とする請求項3に記載の時刻設定装置。
【請求項5】
前記中心点は、前記アナログ時計の中心に位置する画素であることを特徴とする請求項3に記載の時刻設定装置。
【請求項6】
前記電子機器は、コンピュータ、携帯端末、携帯電話、固定電話、カーナビゲーション、OA機器を含むことを特徴とする請求項1ないし5の何れか一項に記載の時刻設定装置。
【請求項7】
タッチパネル式ディスプレイを備え、かつ時刻表示機能を具備した電子機器において、前記ディスプレイを押圧することによって表示時刻を設定する時刻設定方法であって、
時刻の時の値の入力画像として、前記ディスプレイに1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12の数値からなる文字盤を有するアナログ時計を含んだ第1の入力画像を表示させるステップと、
前記第1の入力画像のアナログ時計の表示エリアを前記文字盤の数値の1つをそれぞれが包含するように複数の領域に分割し、前記アナログ時計のエリアの一部が押圧されたときに、その押圧された一部が前記複数の分割領域の何れに属するかを特定するステップと、
前記特定した分割領域が包含する文字盤の数値が、設定する時刻の時であると判断するステップと、
時刻の分の値の入力画像として、前記ディスプレイに0、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55の数値からなる文字盤を有するアナログ時計を含んだ第2の入力画像を表示させるステップと、
前記第2の入力画像のアナログ時計の表示エリアを前記文字盤の数値の1つをそれぞれが包含するように複数の領域に分割し、前記アナログ時計のエリアの一部が押圧されたときに、その押圧された一部が前記複数の分割領域の何れに属するかを特定するステップと、
前記特定した分割領域が包含する文字盤の数値が、設定する時刻の分であると判断するステップと、
時刻の分の最終値の入力画像として、前記ディスプレイに前記判断した時刻の分の数値を含み、かつ該数値の前後の複数の数値から構成される数列を含む第3の入力画像を表示させるステップと、
前記第3の入力画像の表示エリアを前記文字盤の数値の1つをそれぞれが包含するように複数の領域に分割し、前記アナログ時計のエリアの一部が押圧されたときに、その押圧された一部が前記複数の分割領域の何れに属するかを特定するステップと、
前記特定した分割領域が包含する文字盤の数値が、設定する時刻の分であると最終判断するステップと、
を含むことを特徴とする時刻設定方法。
【請求項8】
タッチパネル式ディスプレイを備え、かつ時刻表示機能を具備した電子機器において、前記ディスプレイ上に所定の1本の軌道を描くことによって表示時刻を設定する時刻設定方法であって、
軌道の入力画像として、アナログ時計を含んだ第1の入力画像を表示させるステップと、
前記第1の入力画像のアナログ時計上に軌道が描かれたときに、その軌道の開始点、中心点、終了点の座標をそれぞれ抽出するステップと、
前記開始点と前記中心点との間の距離を第1の距離とし、前記中心点と前記終了点との間の距離を第2の距離とし、前記第1の距離と前記第2の距離との長さを比較するステップと、
前記第1の距離が前記第2の距離よりも短い場合には、前記開始点が設定する時刻の時を表わし、前記終了点が設定する時刻の分を表わすと判断し、一方、前記第1の距離が前記第2の距離よりも長い場合には、前記開始点が設定する時刻の分を表わし、前記終了点が設定する時刻の時を表わすと判断するステップと、
前記第1の入力画像のアナログ時計の表示エリアを複数の領域に分割し、前記複数の領域に時刻の時の数値および分の数値をそれぞれ一意に割り当て、前記開始点および終了点の座標を基に時刻の時および分の数値を判断するステップと、
時刻の分の最終値の入力画像として、前記ディスプレイに前記判断した時刻の分の数値を含み、かつ該数値の前後の複数の数値から構成される数列を含む第3の入力画像を表示させるステップと、
前記第3の入力画像のアナログ時計の表示エリアを前記文字盤の数値の1つをそれぞれが包含するように複数の領域に分割し、前記アナログ時計のエリアの一部が押圧されたときに、その押圧された一部が前記複数の分割領域の何れに属するかを特定するステップと、
前記特定した分割領域が包含する文字盤の数値が、設定する時刻の分であると最終判断するステップと、
を含むことを特徴とする時刻設定方法。
【請求項9】
前記中心点は、前記軌道に含まれる画素のうち、前記アナログ時計の中心に最も近接した画素であることを特徴とする請求項8に記載の時刻設定方法。
【請求項10】
前記中心点は、前記アナログ時計の中心に位置する画素であることを特徴とする請求項8に記載の時刻設定方法。
【請求項11】
請求項7ないし10の何れか一項に記載の時刻設定方法を処理装置に実行させるプログラム。
【請求項12】
請求項11に記載のプログラムを格納したコンピュータ可読媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−225873(P2012−225873A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−96115(P2011−96115)
【出願日】平成23年4月22日(2011.4.22)
【出願人】(592161372)日本システムウエア株式会社 (31)
【Fターム(参考)】