説明

時間距離測定具

【課題】 この発明は、地球儀上で、出発地から目的地までの総所要時間を一度で測定することができる測定具を得ること、そして地球儀上の距離を日常的な移動手段の時間に置き換えることにより感覚的に理解できるようにすることを課題とするものである。
【解決手段】 地球儀2と、この地球儀の縮尺に応じた目盛が付されたメジャー1とからなり、前記メジャーは前記地球儀に当接しうる可撓性のものとし、前記目盛は所定の移動手段による単位時間あたりの移動距離を1目盛とし、地球儀上で、出発地から目的地までのおよその総所要時間を測定できるようにして時間距離測定具を構成する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、地図又は地球儀上で、出発地から経由地を経由して目的地に至るまでのおよその距離又は所要時間を測定する測定具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、地図上又は地球儀上で出発地から目的地までの距離又は所要時間を測定する場合、プラスチックや金属製の定規や巻き尺などで測定していた。例えば、以下のような先行技術がある。
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3043791号公報
【0004】
この特許文献の考案は、地図に当接して目的地までのおよその距離と、歩行又は自転車で目的地に到着するまでのおよその時間を測定できる目盛りを付した透明プラスチック板のスケールを着脱可能にガイドブックに付属させて構成したものである。
【0005】
この考案によれば、スケールには使用する地図の縮尺に対応した距離と所要時間が目盛りに付されているので、この目盛りの0位置に出発地点が合うようにスケールを出発地と目的地とにあてがうと、出発地から目的地までのおよその距離と所要時間を測定することができる。
【0006】
しかしながら、この考案では、プラスチック製のスケールであるため、地図が平面でなければスケールを地図に当接させることができず、時間距離の測定が困難である。しかも、、出発地と目的地の2点間の直線距離と、その直線距離に基づいた所要時間しか測定することができない。したがって、例えば、目的地までに経由地がある場合や目的地が連続して複数ある場合に出発地から最終目的地までの総距離と総所要時間を測定するには、出発地と最初の目的地との間を測定した後、最初の目的地とその次の目的地との間を測定して、これらの測定結果を全て加算しなければならない。
【0007】
【特許文献2】実開昭61−188173号公報
【0008】
この特許文献の考案は、地球儀に、距離目盛りと時差目盛りとを表示した透明の半球面体を、この地球儀の球面に合致させて球面上を摺動可能に設けたものとして構成してある。この考案によれば、半球面体の下端部周囲表面(裏面)部分には距離目盛りが表示されているので、この部分(スケール部分)が出発地と目的地とを直線上に結び、かつ目盛りの0位置に出発地点がくるようにこの半球面体を摺動させると、出発地から目的地までのおよその距離を測定することができる。
【0009】
しかしながら、この考案では、距離目盛りが付された半球面体を回転させて測ろうとする地点に合わせなければならず、操作が煩雑である。加えて、特許文献1の発明と同じく、下端部は直線状であるため、出発地と目的地の2点間の直線距離しか測定することができない。したがって、上記同様、目的地が複数ある場合、出発点から最終目的地までの総距離を一度で測定することができない。
【0010】
さらに、一般的な地球儀は南北の極を軸として回転自在に円環状又は半円環状の枠で固定されているから、半球面体で構成されたこの特許文献の考案では、2地点間に南北方向の要素が少しでも入ると、南北の極の固定軸が邪魔になって半球面体を摺動させることができず、2地点間の距離を測定することができない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
この発明は、地球儀上で、出発地から目的地までの総所要時間を一度で測定することができる測定具を得ること、そして地球儀上の距離を日常的な移動手段の時間に置き換えることにより感覚的に理解できるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
地球儀と、この地球儀の縮尺に応じた目盛が付されたメジャーとからなり、前記メジャーは前記地球儀に当接しうる可撓性のものとし、前記目盛は所定の移動手段による単位時間あたりの移動距離を1目盛とし、地球儀上で、出発地から目的地までのおよその総所要時間を測定できるようにして時間距離測定具を構成している。
【0013】
前記メジャーは、紐、針金等の可撓性線材で構成することが好ましいが、あらゆる方向に自在に曲げることができ目盛を表示できるものであればその材質を問わない。なお、前記メジャーには粘着層を設けると、測定時に地球儀に張り付けることができ、実際の経路に沿った測定が可能となる。
またメジャーは透明体として構成すると、メジャーを地球儀に当接させたときに、地球儀のメジャーを当接させた部分がメジャーで隠れて見えなくなってしまうことがなく、地球儀上のどこを現在測定しているのかを確認しながら容易に測定することができる。
【0014】
前記メジャーに付された目盛は、所要時間を表示するためのものであり、定規の目盛のように一定間隔毎に線を付したものとしてもよいが、一定間隔毎に異なる色に色分けしたものとすることもできる。目盛には所要時間を数字で付記することが好ましい。単位時間あたりの移動距離は、徒歩、自転車、自動車、船、航空機等の移動手段の平均的な速度を基準とする。
【0015】
前記メジャーを地球儀上に係止するための係止具は、メジャーが係止し得るものであればよい。この係止具は移動時の経由地となる都市の位置に取り付ける。地球儀上に着脱可能に固定できればよい。係止具の具体的構造としては、ピンのような針状材を地球儀に突き刺して固定する構造が考えられるが、この針状材の一部を折り曲げてフック状に形成すると係止状態が安定する。
【0016】
また、係止具を着脱可能とすることも考えられる。その場合、地球儀の表面をゴム製として針状の係止具を刺して固定する構造、係止具の基部に粘着材を層着し地球儀に貼り付けるようにするする構造、係止具をマグネットで構成すると共に地球儀を金属製として磁着させる構造などが考えられる。着脱可能とする場合は、前記係止具は少なくとも1つ備えていればよい。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、メジャーを地球儀に当接しうる可撓性材で構成したので、地球儀のような球体上においても、その曲面に沿ってメジャーを地球儀に当接させることができ、また、メジャーには徒歩、自転車、自動車、鉄道、船、航空機など所定の移動手段による単位時間あたりの移動距離を1目盛として表示したので、地球儀上の複数地点間を移動した場合に要する総所要時間を適切に測定することができる。
【0018】
請求項2の発明は、メジャーは可撓性線材とし、地球儀にはこのメジャーを係止させるための係止具を設けたものとして構成したので、地球儀上の任意の地点にメジャーを係止させることができ、A地点からB地点までの2地点間の移動に要する所要時間だけでなく、A地点からB地点を経由してC地点までといった2地点間以上の移動に要する総所要時間を一度に測定することができる。
【0019】
請求項3の発明は、メジャー自体に粘着性を有するので、係止具を用いずに直接メジャーを地球儀に固定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1及び2は、この発明の第1の実施例である。メジャー1は(ポリプロピレンなどの)透明な可撓性材料で帯状に形成されており、その表面には測定しようとする目盛11、所要時間表示12が付されている。目盛11は、航空機による単位時間あたりの移動距離を1目盛として、航空機の平均時速を基に地球儀2の縮尺に応じて設定してある。所要時間表示12は、目盛11に対応させて連続数字が付されている。
なお、航空機以外の所要時間を測定しようとする場合はメジャーの目盛には想定しようとする移動手段による所要時間を表示するものとする。また一つのメジャーに複数の移動手段による目盛を表示することもできる。
【0021】
地球儀2上のA地点とB地点間の移動に要する所要時間を測るには、図2に示すように、メジャー1の「0」目盛をA地点に合わせて指で押さえ、地球儀2にメジャー1を当接させてB地点まで沿わせる。そして、B地点の位置におけるメジャー1の目盛11を読む。
【0022】
図3ないし図6はこの発明の第2の実施例である。図3におけるメジャー1は、(ポリプロピレン等の)可撓性材料で線状に形成されている。目盛11上記実施例1と同様に構成されているが、所要時間表示は表示していない。なお、所要時間表示に代えて1目盛毎に異なる色で色分けしてもよい。
【0023】
図4、図5は、地球儀2にメジャー1を係止させるための係止具の例である。図4において係止具3は、鉄やステンレス等の金属又は剛性のある合成樹脂で形成され、基端側は尖った針状部31に、先端側はかぎ状に屈曲した係止部32となっている。この係止具を用い、地球儀2の表面をゴムなど針状部を突き刺しやすい材質とすると、係止具3を地球儀2に着脱可能に取り付けることができる。
図5において係止具4は本体を金属や合成樹脂などで構成し、この係止具4の台座41の裏側には図示しない粘着剤又はマグネットを取り付け、係止部42はかぎ状に屈曲して形成されている。これらの係止具も、地球儀に着脱可能に取り付けることができる。
係止具を地球儀に着脱可能とした場合は、使用の都度必要な位置に係止具を取り付けて測定する。
なお、係止具を地球儀に着脱できない状態で固定しておく場合は、最終目的地までの経由地となる都市や主要空港の位置に係止具を固定する。
【0024】
図6は、第2の実施例の使用状態を示す図である。地球儀2上でA地点から、B地点、C地点を経由して、D地点に至るまでの総所要時間を測定したい場合、まず、地球儀2上のB地点、C地点に係止具3を固定する。そして、A地点にメジャー1の「0」目盛を合わせて指で押さえ、B地点に向かって地球儀2に当接してメジャー1を沿わせる。B地点まで行ったら、B地点に固定された係止具3の係止部32にメジャー1を係止させて同様にC地点に向かう。同様にC地点に固定された係止具3の係止部32にメジャー1を係止させて、今度はD地点に向かう。D地点まで行ったらメジャー1を指で固定し、D地点におけるメジャー1の目盛11を読む。これにより、A地点からD地点まで、B地点、C地点を経由した総所要時間を知ることができる。
ここで、メジャー1の基端に係止具3と係止する係止部(例えば小さな輪)を形成しておき、出発地であるA地点にも係止具3を取り付けるならば、メジャーの基端をA地点の係止具に係止させることができ、測定が容易となる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
この発明は、地球儀上で、出発地から目的地までの総所要時間を一度で測定することができる測定具であって、産業上の利用可能性を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】この発明の第1の実施例に用いるメジャーを示す図
【図2】この発明の第1の実施例の使用状態を示す図
【図3】この発明の第2の実施例に用いるメジャーを示す図
【図4】この発明の第2の実施例に用いる係止具を示す図
【図5】この発明の第2の実施例に用いる別の態様の係止具を示す図
【図6】この発明の第2の実施例の使用状態を示す図
【符号の説明】
【0027】
1 メジャー
11 目盛
12 所要時間表示
2 地球儀
3 係止具
31 針状部
32 係止部
4 係止具
41 台座
42 係止部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
地球儀と、この地球儀の縮尺に応じた目盛が付されたメジャーとからなり、
前記メジャーは前記地球儀に当接しうる可撓性のものとし、前記目盛は所定の移動手段による単位時間あたりの移動距離を1目盛とし、
地球儀上で、出発地から目的地までのおよその総所要時間を測定できるようにした、時間距離測定具
【請求項2】
メジャーは可撓性線材とし、地球儀には前記メジャーを係止させるための係止具を設けた、請求項1記載の時間距離測定具
【請求項3】
メジャーは粘着層を有するものとした、請求項1又は2記載の測定具

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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