暖房システム
【課題】既存のベンチ等を容易に暖房することができる暖房システムを提供する。
【解決手段】ベンチ40の座面上に基材マット10を敷き並べる。この際、各基材マット10の溝13が略一直線状に配列するように基材10の位置決めを行うのが好ましい。配管20を溝13に収容させるようにして配設する。次に各基材マット10の上に表面材30を重ね、平面ファスナによって表面材30を基材マット10に固定する。次いで、配管20を熱源機に接続し、熱媒として温湯を流通させることによりベンチ40を暖房ベンチとする。
【解決手段】ベンチ40の座面上に基材マット10を敷き並べる。この際、各基材マット10の溝13が略一直線状に配列するように基材10の位置決めを行うのが好ましい。配管20を溝13に収容させるようにして配設する。次に各基材マット10の上に表面材30を重ね、平面ファスナによって表面材30を基材マット10に固定する。次いで、配管20を熱源機に接続し、熱媒として温湯を流通させることによりベンチ40を暖房ベンチとする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、劇場、水族館、競技場、イベント会場等に設置されたベンチの座面等に設けるのに好適な暖房システムに関する。
【背景技術】
【0002】
屋外競技場や屋外のイベント会場では、冬期は外気の冷気を直接受けることになり、快適に観戦、鑑賞することができないのが現状である。屋内であっても仮設の会場では、十分な暖房効果がなく、やはり寒さに耐えながらの観戦、鑑賞となる。
【0003】
従来、座席用の暖房装置としては、特許文献1に電車等の座席シートの着座者の足元に熱風を送給するための装置が記載されている。また、特許文献2には、座席内にヒータを設けた暖房対象面装置が記載されている。
【特許文献1】特開平9−98852号公報
【特許文献2】特開平7−265155号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の座席用の暖房装置は、いずれも熱源を覆うケースを固定部材により支持体に固定したり、座席に内装したりすることにより、季節にかかわらず、座席に常設されている。このため、施工時には、固定のための煩雑な作業が必要となり、また、修理又は点検時には容易に脱着することができず、不要時にこれを取り去ることも容易ではない。
【0005】
従って、例えば、仮設のイベント会場等に簡易に設置し、イベント終了時にはこれを容易に解体して撤去するといった使用形態とすることは不可能である。
【0006】
本発明は、簡易に取り付け、取り外しが可能で、既存のベンチ等を容易に暖房座面とすることができる暖房システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の暖房システムは、熱媒流通用の配管と、板面に該配管を収容するための溝が設けられた板状の基材マットであって、該溝の両端は該基材マットの側面に臨んでいる基材マットと、該基材マットの板面に重なる表面材とを用いた暖房システムであって、複数枚の該基材マットを暖房対象面に並べて配置し、複数の該基材マットにまたがって、かつ該基材マットの前記溝内に収容するようにして前記配管を配設し、該基材マットの上側に前記表面材を配置してなるものである。
【0008】
請求項2の暖房システムは、請求項1において、前記基材マットを前記暖房対象面に対し非固定としたことを特徴とするものである。
【0009】
請求項3の暖房システムは、請求項1又は2において、該基材マットの密度が1.5g/cm3以上であることを特徴とするものである。
【0010】
請求項4の暖房システムは、請求項1又は2において、該基材マットは基層と表層とを備える積層構造であり、該表層に前記溝が設けられており、該基層の密度が1.5g/cm3以上で、該表層の密度が該基層の密度よりも小さいことを特徴とするものである。
【0011】
請求項5の暖房システムは、請求項1ないし4のいずれか1項において、前記基材マットと表面材とが着脱可能な結合手段によって結合されていることを特徴とするものである。
【0012】
請求項6の暖房システムは、請求項1ないし4のいずれか1項において、前記基材マットと表面材との間に熱伝導性薄層を設けたことを特徴とするものである。
【0013】
請求項7の暖房システムは、請求項6において、該熱伝導性薄層は前記基材マットに固定されており、該熱伝導性薄層と前記表面材とが着脱可能な結合手段によって結合されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の暖房システムは、基材マットを例えばイベント会場のベンチ座面などの暖房対象面に並べて配置し、複数の基材マットにまたがって、かつ基材マットの溝内に収容するようにして熱媒流通用の配管を配設し、その上に表面材を配置することにより、該暖房対象面上に迅速に形成することができる。この配管に湯などの熱媒を流通させることにより、暖房対象面を暖めることができる。
【0015】
請求項2の通り、この基材マットを暖房対象面に非固定とすることにより、暖房システムを暖房対象面から撤去することも容易となる。
【0016】
請求項3の通り、基材マットの密度を1.5g/cm3以上とすることにより、暖房対象面に非固定であっても位置ずれしにくいものとなる。
【0017】
請求項4の通り、基材マットが基層と表層とを備える積層構造であり、表層に溝が設けられ、基層の密度が1.5g/cm3以上で、表層の密度が基層の密度よりも小さい場合、低密度の表層による配管への保温性、下面への断熱性を得ると共に、そのクッション性で良好な使用感を得、かつ、高密度の基層の重量により、基材マットの位置ずれを防止することができる。
【0018】
請求項5の通り、基材マットと表面材とを着脱可能な結合手段によって結合した場合、表面材の位置ずれを防止した上で、基材マットと表面材とを分離することができるため、設置後の暖房システムの解体撤去が容易となる。
【0019】
請求項6の通り、基材マットと表面材との間に熱伝導性薄層を設けた場合には、配管からの熱が表面材の広い範囲に伝播するようになるため、表面材の表面温度のムラが小さくなる。
【0020】
請求項7の通り、熱伝導性薄層を設けた場合には、熱伝導性薄層を基材マットに固定し、熱伝導性薄層と表面材とを着脱可能に結合してもよい。この場合、暖房システムの解体撤去時には、熱伝導性薄層と表面材とを分離することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。図1(a)は実施の形態に係る暖房システムに用いられる基材マット及び表面材の斜視図、図1(b)はこの基材マット及び表面材と熱媒流通用配管との係合関係を示す断面図、図2は基材マット、配管及び表面材の組み付け完了時の断面図、図3,4はそれぞれ別の実施の形態に係る暖房システムに用いられる、熱伝導性薄層付き基材マットと配管の断面図である。図5及び図6はそれぞれ暖房システムの設置施工手順を示す斜視図、図7,8,9は熱媒流通用配管への熱媒流通系統図、図10,11,12はそれぞれ基材マットの別例を示す平面図、図13は基材マットの別の配置例を示す平面図である。
【0022】
この実施の形態では、基材マット10と、熱伝導性薄層15と、熱媒流通用配管20と、表面材30とを用いて暖房システムを構成する。
【0023】
基材マット10は、この実施の形態では長方形板状であり、低比重材(低密度材)よりなる表層11と高比重材(高密度材)よりなる基層12との積層体よりなる。高比重材よりなる基層11の比重は1.5g/cm3以上である。
【0024】
この基材マット10の表層11側の板面(以下、上面という。)には、基材マット10の一辺から対向する他方にまで達する溝13が設けられている。この実施の形態では、溝13は基材マット10の長辺と平行に2条設けられているが、基材マットが大きいときには3条以上設けられてもよく、また基材マットの大きさによっては1条のみ設けられてもよい。熱媒の往管と戻管を同一の基材マットに配設する場合には、基材マットに複数条の溝を設けるのが好ましい。
【0025】
この実施の形態では、基材マット10は、その上面にアルミニウム板等よりなる熱伝導性薄層15を備えたものとなっている。この熱伝導性薄層15は、接着剤又は粘着剤によって基材マット10の上面に固着されている。熱伝導性薄層15は、基材マット10の上面の平坦面の全体を覆っていると共に、溝13の内面全体も覆っている。
【0026】
基材マット10の上面(この実施の形態では、熱伝導性薄層15の上面)の両側辺近傍には、この両側辺に沿ってマジックテープ(登録商標)等の平面ファスナ14が設けられている。なお、基材マット10が大きいときには、基材マット10の中央部にも同様の平面ファスナを設けてもよい。
【0027】
熱媒流通用配管20は、溝13に収容される管径を有している。なお、配管20を溝13内に収容したときに、配管20の最上部が熱伝導性薄層15の上面と面一か又は若干低位となるようにすることが好ましく、これにより、配管20から表面材30への伝熱量を増大させることが可能となる。
【0028】
表面材30は、その下面に前記平面ファスナ14に係合する平面ファスナ31が設けられている。この実施の形態では、表面材30は、その板面において、基材マット10とほぼ同一寸法の方形板状体である。
【0029】
この実施の形態では、基材マット10は板状の低比重材よりなる表層11と板状の高比重材よりなる基層12とを積層した構造となっているが、図3,4のように全体として均一の高比重材にて構成してもよい。
【0030】
また、図1,2では、基材マット10の溝13は断面U字形であるが、図3のように長方形又は正方形断面形状の溝13Aとしてもよく、五角形などさらにその他の断形状としてもよい。
【0031】
また、図1,2では、熱伝導性薄層15は溝13内の全体を覆っているが、図3のように、複数の熱伝導性薄層15A,15B,15Cで基材マット10Aの上面全域を覆い、熱伝導性薄層15A,15B,15Cの側縁を折曲して形成した垂下片15a,15b,15cを溝13Aの側壁面に沿わせるようにしてもよい。この場合、溝13Aの底面は熱伝導性薄層では覆われないことになる。
【0032】
図1,2及び図3の各実施の形態では、熱伝導性薄層は溝内面に沿うように設けられているが、図4のように熱伝導性薄層15Dが溝13内の配管20の上側を横断するように設けられてもよい。なお、図4の基材マット10Bは、全体として均一材よりなるものであり、溝13は断面U字形である。この図4では、熱伝導性薄層15Dは平面ファスナ等によって着脱可能に基材マット10Bに取り付けられる。
【0033】
次に、図1,2に示す暖房システムの設置施工手順について図5,6を参照して説明する。
【0034】
まず、図5(a)の通り、イベント全場、競技場などの既存の階段状ベンチ40の座面上に基材マット10を敷き並べる。この際、溝13がベンチ40の前縁と平行方向となるように各基材マット10を配置する。基材マット10同士の間には、所定の間隔をあけてもよく、突き合わせるようにしてもよい。いずれの場合も、各基材マット10の溝13が略一直線状に配列するように基材10の位置決めを行うのが好ましい。
【0035】
基材マット10を敷き並べ終った後、図5(b)の通り配管20を溝13に収容させるようにして配設する。この実施の形態では、1本の長いホース状配管20を、まずベンチ前縁側の溝13に嵌め込むようにして引き回し、図5(c)の右端側の基材マット10から左端側の基材マット10にまで配置する。最左端の基材マット10の溝13を出た配管10をループ状に湾曲させ、ベンチ奥側の溝13に納め込む。そして、最左端側の基材マット10から右側の基材マット10へ向って順次に溝13内に配管20を収容する。
【0036】
次に、図5(c)の通り、各基材マット10の上に表面材30を重ね、平面ファスナによって表面材30を基材マット10に固定する。
【0037】
図6の通り、その他のベンチ40についても同様の施工を行う。
【0038】
なお、配管20のうちの露呈部分については布状あるいは発泡成形体等よりなる断熱材(図示せず)を装着して、放熱を防止することが好ましい。
【0039】
次いで、配管20を熱源機に接続し、熱媒として温湯を流通させることによりベンチ40を暖房ベンチとすることができる。配管20からの熱は、熱伝導性薄層15を介して広い範囲に広がるので、表面材30の広い範囲が十分に加温されるようになる。
【0040】
このように、各基材マット10を敷き並べ、配管20を引き回した後、表面材30を重ねるという簡単な作業にてベンチ40を短時間のうちに暖房ベンチとすることができる。
【0041】
また、イベントや競技大会の終了後に暖房システムを撤去する際には、配管20と熱源機とを分離した後、表面材30を剥し、配管20を取り出し、基材マット10を回収するだけで撤去作業が終了するから、極めて簡易かつ迅速に暖房システムの撤去を行うことができる。もちろん、回収した基材マット10、配管20、表面材30等の部材は改めて再利用できることは明らかである。
【0042】
上記の説明は基材マット10を用いた施工例であるが、図3,4に示す他の基材マット10A,10Bについても同様に行うことができる。ただし、図4に示す基材マット10Bを用いる場合には、配管を取り付けた後に熱伝導性薄層15Dを設ける。
【0043】
なお、上記図6のように複数のベンチ40に設けられた配管20に対し熱源機から給湯する場合、図7のように、熱源機50から給湯主管(往き管)51と給湯主管(戻り管)52とを延設し、該給湯主管51,52に対し各ベンチ40(41,42)の配管20を接続する並列給湯方式が好適である。このようにすれば、各ベンチの配管20への給湯温度が同等となり、温度ムラが小さなものとなる。
【0044】
ただし、ベンチの数が少ない場合などには、図8のように各ベンチ40の配管20を直列につなぎ、熱源機50の出湯をそのまま各配管20に直列に流通させ、最後の配管20からの座湯を熱源機50に戻すようにしてもよい。
【0045】
また、図9に示す如く、配管20(20A,20B)を複数のベンチに連続して引き回し、ベンチ42の配管20A,20Bを給湯主管(往き管)51に接続し、ベンチ41の配管20A,20Bを給湯主管(戻り管)52に接続するようにしてもよい。
【0046】
上記の図7にあっては、各ベンチへの給湯温度が同一になるだけではなく、各ベンチにおける各基材マット10の温度も略均等化される。
【0047】
即ち、給湯主管(往き管)51から配管20の往側20aに分流した湯は、図7の右側から左側へ向って流れ、この間、次第に降温する。この湯は最左端の配管ループ部20cを通って今度は左側の基材マット10から右側へ向って流れ、次第に降温する。従って、往側20a内の湯温は右側ほど高いが、戻側20b内の湯温は右側ほど低いものとなる。この結果、左右いずれの基材マット10からの放熱量は略々同等となり、ベンチのいずれの位置に座っても適温の暖かさを感取することが可能となる。
【0048】
図10〜12を参照して基材マットの別例について説明する。
【0049】
図10の基材マット10Eは、溝13eを平面視略U字形ないしコ字形に延設したものである。この基材マット10Eは、前記図7、図8において最左端の基材マット10の位置に配置されるようにして用いられる。
【0050】
この基材マット10Eを用いると、最端部の基材マットから配管20がループ状に露呈することが防止される。
【0051】
図11,12の基材マット10F,10Gは、直線状の溝13の両端に幅広部13f,13gを設けたものである。幅広部13fは、入口側ほど幅が大きくなるテーパ状である。幅広部13gは単に溝幅を大きくした形状のものである。
【0052】
この基材マット10F,10Gを用いると、隣接する基材マットの溝に若干のズレがあっても容易に吸収することができる。また、図13のように、ベンチ前縁が湾曲しているベンチ40Aの該前縁に沿って基材マットを敷設した際に、各基材マット10F同士の間の配管20の曲率を小さくすることが可能となる。
【0053】
上記実施の形態は本発明の一例であり、本発明はさらに別の態様をもとりうる。そのような別の構成や、本発明において採用するのに好適な条件、材料等について次に説明する。なお、以下において、基材マット、表面材及び熱媒流通用の配管で構成される、暖房システムの構成単位を「暖房マット」と称す場合がある。
【0054】
[熱媒流通用配管]
熱媒を流通させる配管としては、通常、可撓性チューブが使用され、架橋ポリエチレン管、ポリブテン管、銅管などが挙げられる。
【0055】
配管の外径は通常5〜27mm、好ましくは7〜17mm、内径は通常4〜23mm、好ましくは5〜13mmで、肉厚は通常0.5〜3.0mm、好ましくは1.0〜2.0mmである。配管の外径が過度に小さいと暖房マットに十分な量の熱媒を流通させることができず、逆に過度に大きいと、暖房マットの厚さを厚くする必要が生じ、好ましくない。また、配管の肉厚が過度に薄いと、強度が不足し、逆に過度に厚いと配管の外径に対して流通する熱媒量が少なくなり、好ましくない。
【0056】
なお、この配管の断面(長さ方向に直交する断面)形状は必ずしも円形である必要はなく、楕円形状等であっても良い。
【0057】
熱媒流通用配管は、一本の長尺の配管を複数の基材マットにまたがるように配設しても良く、隣接する基材マット同士の間隙の適当な箇所でジョイント等の配管接続部材で接続するようにしても良い。
【0058】
[熱媒]
上記配管に通す熱媒としては、液体熱媒である温水、加熱オイル、又は気体熱媒である水蒸気などが挙げられるが、好ましくは液体熱媒、特に温水である。
【0059】
[基材マット]
基材マットは、高比重材よりなる単層構造のものであっても良く、高比重材よりなる基層と低比重材よりなる表層との複層構造よりなり、表層側に溝が形成されているものであっても良い。なお、基材マットは必ずしも高比重材よりなる基層と低比重材よりなる表層との二層構造に限定されず、表層と基層との間に中間の比重を有する中間層が1又は2以上積層されていても良い。
【0060】
基材マットを構成する高比重材は密度1.5g/cm3以上で、戻り性(「戻り性」とは荷重を除いた際残留歪みを生じることなく、元の形状に戻る性能である。)に優れ、かつ、基材マットが設けられる暖房対象面に対して摩擦力が大きく、容易に位置ずれしない材質であることが好ましく、例えばゴム組成物、エラストマー組成物、又はアスファルト系材料等が挙げられる。この高比重材の密度が1.5g/cm3未満であると、基材マットが軽量となって位置ずれし易くなる。高比重材の密度は、好ましくは2.0〜3.0g/cm3である。
【0061】
このような高比重材よりなる基層を低比重材よりなる表層との積層構造とする場合、低比重材としては、密度0.02〜0.1g/cm3程度のポリスチレン系発泡樹脂、ポリオレフィン系発泡樹脂、フェノール系発泡樹脂、ゴム系発泡材料等の発泡材料等を用いることができ、このような低比重材を用いることにより、基材マットの感触を高め、例えば座席用暖房システムにあっては下面への断熱性、配管の保温性の向上と共に、座り心地を良くすることができる。
【0062】
基材マットの平面視形状は、被暖房対象の形状に応じて選択され、三角形、四角形、五角形、菱形、平行四辺形、台形等の矩形状、楕円形、真円形等の円形状のいずれでもよく、矩形状の場合、角にRがあってもよい。基材マットの寸法は、基材マットが四角形の場合、一辺が300〜900mm程度、例えば、図1〜4に示す如く、側辺に沿う溝が設けられた基材マットにあっては、溝に沿う側の辺の長さが300〜900mm、溝と直交する側の辺の長さが300〜600mm程度であることが好ましい。また、基材マットが四角形以外の形状である場合、基材マットの板面の面積として0.09〜0.54cm2程度であることが好ましい。
【0063】
特に、座席用暖房システムにあっては、基材マットの板面の面積は、人間一人分の座面に相当する寸法であることが好ましい。
【0064】
基材マットの厚さは、熱媒流通用配管の径や、持ち運び性、耐久性等を考慮して決定されるが、通常の場合、9〜35mm、特に12〜20mmであることが好ましい。基材マットの厚さが過度に薄いと熱媒流通用の配管を収納し得る溝を形成し得ず、厚いと取り扱い性が悪くなり、また、既存のベンチ等に設けた場合、座面が高くなりすぎ、座り心地が悪くなる。
【0065】
なお、基材マットを高比重材よりなる基層と低比重材よりなる表層との二層構造にする場合、各々の厚さは、用いる材料によっても異なるが、高比重材よりなる基層の厚さを2〜10mmとし、低比重材よりなる表層の厚さを6〜30mmとし、溝は低比重材よりなる表層にのみ形成することが溝加工も容易となり、好ましい。
【0066】
また、基材マットに設ける、熱媒流通用配管を収容するための溝の開口部の幅は、熱媒流通用配管の外径と同じ寸法、又はこれより僅かに、例えば0.1〜2.0mm程度大きくするのが好ましい。溝は、その延在方向に直交する断面形状がU字形状となるように形成すると、熱媒流通用配管を埋設する際に都合が良い。溝の深さは、熱媒流通用配管の外径と同等とし、熱媒流通用配管の上部が直接又は熱伝導性薄層を介して表面材と接触させることが熱効率の面で好ましい。
【0067】
また、図11,12に示すように、溝の両端部に幅広部を設ける場合、この幅広部は溝の中央部分の幅よりも5〜30mm程度大きくすることが好ましく、また、溝深さについても、中央部の深さよりも0〜2mm程度深くすることが好ましい。このような幅広部は、例えば溝の全長のうち両端の3〜10%程度の部分とすることが好ましい。
【0068】
また、溝の開口面積は、基材マットの熱媒流通面積に密接な関係を持つが、この溝の開口面積は、合計で基材マットの溝形成面の面積の1〜50%、特に3〜20%であることが好ましい。溝の開口面積がこの範囲よりも小さいことは、放熱可能面積が小さいことに相当し、十分な暖房効果を得ることができず、この範囲よりも大きいと、基材マットの耐久性等が損なわれ、また、熱媒流通用配管の引き回しが困難になる場合がある。
【0069】
[熱伝導性薄層]
熱伝導性薄層としては、熱伝導率の高い金属箔を用いることができ、熱伝導性薄層を設けることにより、暖房マットの表面からの均一放熱性を高めることができる。金属箔の種類としては、アルミニウム箔、錫箔、ステンレススチール箔、銅箔などが挙げられる。中でも、製造の難易、コストなどの観点からアルミニウム箔が好適である。熱伝導性薄層の厚さは、薄すぎると強度が十分でなく、厚すぎると製品が重くなるばかりでなく、コストがかさむので、通常30〜200μmの範囲で選ぶのが好ましい。
【0070】
熱伝導性薄層は、図1〜3の態様においては、基材マットに接着剤又は粘着剤等で固着されていることが好ましい。また、図4の態様にあっては、基材マットに固着せず、平面ファスナ、弱粘着テープ、スナップボタン、クリップ等により着脱可能に取り付けることが好ましい。図4の態様では、暖房システムの施工現場において基材マットの溝内に熱媒流通用配管を配設した後、熱伝導性薄層を取り付けることになる。一方、図1〜3の態様であれば、予め基材マットと熱伝導性薄層とを一体化したものとして出荷することができ、施工現場での作業工数が低減され、有利である。
【0071】
熱伝導性薄層は、通常、基材マットの溝形成面の形状に倣って形成される。
【0072】
[表面材]
表面材は、表面の美化、装飾性、耐水性、耐候性、その他の機能性の向上や、熱媒流通用配管の浮き上り防止、過度の局所的な伝熱の防止のために設けられるものであり、例えば、クッションフロアー、タイル、石材等の耐水性、耐候性に優れたものが用いられている。
【0073】
表面材は通常基材マットの溝形成面と同形状同面積或いは若干大きめの面積に形成され、その厚さは材質によっても異なるが、通常2〜12mm程度である。
【0074】
この表面材には、様々な模様を付したり、例えば座席番号を示す数字や文字、或いは着色を付与しても良い。
【0075】
表面材は、熱伝導性薄層(熱伝導性薄層を設けない場合には基材マット)に対して、着脱可能な結合手段によって結合されることが好ましく、この着脱可能な手段としては、熱媒流通時に熱媒流通用配管が浮き上がることを防止し、かつ表面材を十分に固定できるものであれば良く、例えば、平面ファスナー、フックボタン、凹凸状又はカギ状の係合具、弱粘着テープ、磁石によるものなどを採用することができる。
【0076】
[暖房マットの取り付け]
基材マット、配管及び表面材(必要に応じて熱伝導性薄層)よりなる暖房マットを暖房対象面に設置する際、暖房マット同士は必ずしも隙間なく配置する場合に限らず、暖房マット同士の間に隙間があっても良い。隙間は、大きいほど暖房マットの設置自由度は増すものの、配管を保護しにくくなるため、これらの機能を合わせ考慮して選択する。暖房マット間の隙間は通常は5cm以下、中でも3cm以下、特に1cm以下とするのがよく、隙間を設けることと、前述の如く、基材マットの溝端部の幅を太くすることとを組み合わせて最適なものを選択すればよい。実用上は0.3〜1cm程度の隙間を設け、基材マットの溝端部の幅広部をその他の部分よりも0.2〜0.9cm程度大きく(幅を広く或いは深さを深く)することが好ましい。
【0077】
暖房対象面への暖房マットの並べ方は、暖房マットの形状に応じて様々であり、可撓性の熱媒流通用配管を用いることにより、直線状、曲線状、蛇行状、放射状、多角形状等様々な形状に配置することができる。
【0078】
[暖房マットへの熱媒の供給]
各暖房マットに対しては、外部の熱源装置(熱源機等)で加熱された熱媒が前述の如く、熱媒主管により熱媒流通用配管に流通されることにより供給される。この熱媒主管は、熱源装置から出た比較的高温(座面用としては、通常40℃以上80℃以下程度)の熱媒が供給される、いわゆる、往き管と、暖房用に利用されて、比較的低温(座面用としては、通常30℃以上50℃以下)となり、熱源装置に戻る、いわゆる戻り管とで構成される。なお、熱源装置に戻った後、再び、加熱されて熱媒は循環使用されることになる。
【0079】
各暖房マットの配管は、図7に示す如く、往き管と戻り管とを1つの基材マットに併設しても、図9に示す如く、どちらか一方のみを設けてもよいが、熱利用を平均化するには、前述の如く、戻り管と往き管を併設する方が有利である。
【0080】
[その他の構成部材]
本発明に係る暖房マットには、本発明の効果を損なわない限り、上述の構成部材以外に、任意の層を表面材の上、表面材と基材マットとの間、或いは基材マットの下に積層することができる。
【0081】
このようなものとして、次のようなものが挙げられる。
(i) ゴム系発泡材料、ウレタン系発泡材料、オレフィン系発泡材料等の合成樹脂系発泡材料で構成するクッション層を表面材の上に設ける。
(ii) 合成樹脂シート、金属板等の樹脂類、金属類又はその複合材類で構成する耐久性を向上させる層を表面材の上又は表面材と基材マットとの間に設ける。
(iii) 合成樹脂フィルム、アスファルトシート等の樹脂類で構成する防水性を付与させるための層を表面材の上又は基材マットの下に設ける。
【0082】
[暖房対象面]
本発明の暖房システムの暖房対象面は、例えば劇場、水族館、競技場、イベント会場、公園、遊技場等に設置されたベンチ、その他直床上等であり、屋内、屋外のいずれでもよい。
【0083】
いずれの暖房対象面に対しても、本発明の暖房システムは、その暖房マットを暖房対象面に対して固定して設置する必要が無く、容易に取り付け、取り外し、移動、再利用可能である。なお、本発明の暖房システムはベンチ等の座面に限らず、座席の背もたれ部、足元(床面)等にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】図1(a)は実施の形態に係る暖房システムに用いられる基材マット及び表面材の斜視図、図1(b)はこの基材マット及び表面材と熱媒流通用配管との係合関係を示す断面図である。
【図2】基材マット、配管及び表面材の組み付け完了時の断面図である。
【図3】別の実施の形態に係る暖房システムに用いられる、熱伝導性薄層付き基材マットと配管の断面図である。
【図4】別の実施の形態に係る暖房システムに用いられる、熱伝導性薄層付き基材マットと配管の断面図である。
【図5】暖房システムの設置施工手順を示す斜視図である。
【図6】暖房システムの設置施工手順を示す斜視図である。
【図7】熱媒流通用配管への熱媒流通系統図である。
【図8】熱媒流通用配管への熱媒流通系統図である。
【図9】熱媒流通用配管への熱媒流通系統図である。
【図10】基材マットの別例を示す平面図である。
【図11】基材マットの別例を示す平面図である。
【図12】基材マットの別例を示す平面図である。
【図13】基材マットの別の配置例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0085】
10,10A,10B,10C,10D,10E,10F,10G 基材マット
13 溝
14,31 平面ファスナ
15 熱伝導性薄層
20 配管
30 表面材
40 ベンチ
【技術分野】
【0001】
本発明は、劇場、水族館、競技場、イベント会場等に設置されたベンチの座面等に設けるのに好適な暖房システムに関する。
【背景技術】
【0002】
屋外競技場や屋外のイベント会場では、冬期は外気の冷気を直接受けることになり、快適に観戦、鑑賞することができないのが現状である。屋内であっても仮設の会場では、十分な暖房効果がなく、やはり寒さに耐えながらの観戦、鑑賞となる。
【0003】
従来、座席用の暖房装置としては、特許文献1に電車等の座席シートの着座者の足元に熱風を送給するための装置が記載されている。また、特許文献2には、座席内にヒータを設けた暖房対象面装置が記載されている。
【特許文献1】特開平9−98852号公報
【特許文献2】特開平7−265155号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の座席用の暖房装置は、いずれも熱源を覆うケースを固定部材により支持体に固定したり、座席に内装したりすることにより、季節にかかわらず、座席に常設されている。このため、施工時には、固定のための煩雑な作業が必要となり、また、修理又は点検時には容易に脱着することができず、不要時にこれを取り去ることも容易ではない。
【0005】
従って、例えば、仮設のイベント会場等に簡易に設置し、イベント終了時にはこれを容易に解体して撤去するといった使用形態とすることは不可能である。
【0006】
本発明は、簡易に取り付け、取り外しが可能で、既存のベンチ等を容易に暖房座面とすることができる暖房システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の暖房システムは、熱媒流通用の配管と、板面に該配管を収容するための溝が設けられた板状の基材マットであって、該溝の両端は該基材マットの側面に臨んでいる基材マットと、該基材マットの板面に重なる表面材とを用いた暖房システムであって、複数枚の該基材マットを暖房対象面に並べて配置し、複数の該基材マットにまたがって、かつ該基材マットの前記溝内に収容するようにして前記配管を配設し、該基材マットの上側に前記表面材を配置してなるものである。
【0008】
請求項2の暖房システムは、請求項1において、前記基材マットを前記暖房対象面に対し非固定としたことを特徴とするものである。
【0009】
請求項3の暖房システムは、請求項1又は2において、該基材マットの密度が1.5g/cm3以上であることを特徴とするものである。
【0010】
請求項4の暖房システムは、請求項1又は2において、該基材マットは基層と表層とを備える積層構造であり、該表層に前記溝が設けられており、該基層の密度が1.5g/cm3以上で、該表層の密度が該基層の密度よりも小さいことを特徴とするものである。
【0011】
請求項5の暖房システムは、請求項1ないし4のいずれか1項において、前記基材マットと表面材とが着脱可能な結合手段によって結合されていることを特徴とするものである。
【0012】
請求項6の暖房システムは、請求項1ないし4のいずれか1項において、前記基材マットと表面材との間に熱伝導性薄層を設けたことを特徴とするものである。
【0013】
請求項7の暖房システムは、請求項6において、該熱伝導性薄層は前記基材マットに固定されており、該熱伝導性薄層と前記表面材とが着脱可能な結合手段によって結合されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の暖房システムは、基材マットを例えばイベント会場のベンチ座面などの暖房対象面に並べて配置し、複数の基材マットにまたがって、かつ基材マットの溝内に収容するようにして熱媒流通用の配管を配設し、その上に表面材を配置することにより、該暖房対象面上に迅速に形成することができる。この配管に湯などの熱媒を流通させることにより、暖房対象面を暖めることができる。
【0015】
請求項2の通り、この基材マットを暖房対象面に非固定とすることにより、暖房システムを暖房対象面から撤去することも容易となる。
【0016】
請求項3の通り、基材マットの密度を1.5g/cm3以上とすることにより、暖房対象面に非固定であっても位置ずれしにくいものとなる。
【0017】
請求項4の通り、基材マットが基層と表層とを備える積層構造であり、表層に溝が設けられ、基層の密度が1.5g/cm3以上で、表層の密度が基層の密度よりも小さい場合、低密度の表層による配管への保温性、下面への断熱性を得ると共に、そのクッション性で良好な使用感を得、かつ、高密度の基層の重量により、基材マットの位置ずれを防止することができる。
【0018】
請求項5の通り、基材マットと表面材とを着脱可能な結合手段によって結合した場合、表面材の位置ずれを防止した上で、基材マットと表面材とを分離することができるため、設置後の暖房システムの解体撤去が容易となる。
【0019】
請求項6の通り、基材マットと表面材との間に熱伝導性薄層を設けた場合には、配管からの熱が表面材の広い範囲に伝播するようになるため、表面材の表面温度のムラが小さくなる。
【0020】
請求項7の通り、熱伝導性薄層を設けた場合には、熱伝導性薄層を基材マットに固定し、熱伝導性薄層と表面材とを着脱可能に結合してもよい。この場合、暖房システムの解体撤去時には、熱伝導性薄層と表面材とを分離することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。図1(a)は実施の形態に係る暖房システムに用いられる基材マット及び表面材の斜視図、図1(b)はこの基材マット及び表面材と熱媒流通用配管との係合関係を示す断面図、図2は基材マット、配管及び表面材の組み付け完了時の断面図、図3,4はそれぞれ別の実施の形態に係る暖房システムに用いられる、熱伝導性薄層付き基材マットと配管の断面図である。図5及び図6はそれぞれ暖房システムの設置施工手順を示す斜視図、図7,8,9は熱媒流通用配管への熱媒流通系統図、図10,11,12はそれぞれ基材マットの別例を示す平面図、図13は基材マットの別の配置例を示す平面図である。
【0022】
この実施の形態では、基材マット10と、熱伝導性薄層15と、熱媒流通用配管20と、表面材30とを用いて暖房システムを構成する。
【0023】
基材マット10は、この実施の形態では長方形板状であり、低比重材(低密度材)よりなる表層11と高比重材(高密度材)よりなる基層12との積層体よりなる。高比重材よりなる基層11の比重は1.5g/cm3以上である。
【0024】
この基材マット10の表層11側の板面(以下、上面という。)には、基材マット10の一辺から対向する他方にまで達する溝13が設けられている。この実施の形態では、溝13は基材マット10の長辺と平行に2条設けられているが、基材マットが大きいときには3条以上設けられてもよく、また基材マットの大きさによっては1条のみ設けられてもよい。熱媒の往管と戻管を同一の基材マットに配設する場合には、基材マットに複数条の溝を設けるのが好ましい。
【0025】
この実施の形態では、基材マット10は、その上面にアルミニウム板等よりなる熱伝導性薄層15を備えたものとなっている。この熱伝導性薄層15は、接着剤又は粘着剤によって基材マット10の上面に固着されている。熱伝導性薄層15は、基材マット10の上面の平坦面の全体を覆っていると共に、溝13の内面全体も覆っている。
【0026】
基材マット10の上面(この実施の形態では、熱伝導性薄層15の上面)の両側辺近傍には、この両側辺に沿ってマジックテープ(登録商標)等の平面ファスナ14が設けられている。なお、基材マット10が大きいときには、基材マット10の中央部にも同様の平面ファスナを設けてもよい。
【0027】
熱媒流通用配管20は、溝13に収容される管径を有している。なお、配管20を溝13内に収容したときに、配管20の最上部が熱伝導性薄層15の上面と面一か又は若干低位となるようにすることが好ましく、これにより、配管20から表面材30への伝熱量を増大させることが可能となる。
【0028】
表面材30は、その下面に前記平面ファスナ14に係合する平面ファスナ31が設けられている。この実施の形態では、表面材30は、その板面において、基材マット10とほぼ同一寸法の方形板状体である。
【0029】
この実施の形態では、基材マット10は板状の低比重材よりなる表層11と板状の高比重材よりなる基層12とを積層した構造となっているが、図3,4のように全体として均一の高比重材にて構成してもよい。
【0030】
また、図1,2では、基材マット10の溝13は断面U字形であるが、図3のように長方形又は正方形断面形状の溝13Aとしてもよく、五角形などさらにその他の断形状としてもよい。
【0031】
また、図1,2では、熱伝導性薄層15は溝13内の全体を覆っているが、図3のように、複数の熱伝導性薄層15A,15B,15Cで基材マット10Aの上面全域を覆い、熱伝導性薄層15A,15B,15Cの側縁を折曲して形成した垂下片15a,15b,15cを溝13Aの側壁面に沿わせるようにしてもよい。この場合、溝13Aの底面は熱伝導性薄層では覆われないことになる。
【0032】
図1,2及び図3の各実施の形態では、熱伝導性薄層は溝内面に沿うように設けられているが、図4のように熱伝導性薄層15Dが溝13内の配管20の上側を横断するように設けられてもよい。なお、図4の基材マット10Bは、全体として均一材よりなるものであり、溝13は断面U字形である。この図4では、熱伝導性薄層15Dは平面ファスナ等によって着脱可能に基材マット10Bに取り付けられる。
【0033】
次に、図1,2に示す暖房システムの設置施工手順について図5,6を参照して説明する。
【0034】
まず、図5(a)の通り、イベント全場、競技場などの既存の階段状ベンチ40の座面上に基材マット10を敷き並べる。この際、溝13がベンチ40の前縁と平行方向となるように各基材マット10を配置する。基材マット10同士の間には、所定の間隔をあけてもよく、突き合わせるようにしてもよい。いずれの場合も、各基材マット10の溝13が略一直線状に配列するように基材10の位置決めを行うのが好ましい。
【0035】
基材マット10を敷き並べ終った後、図5(b)の通り配管20を溝13に収容させるようにして配設する。この実施の形態では、1本の長いホース状配管20を、まずベンチ前縁側の溝13に嵌め込むようにして引き回し、図5(c)の右端側の基材マット10から左端側の基材マット10にまで配置する。最左端の基材マット10の溝13を出た配管10をループ状に湾曲させ、ベンチ奥側の溝13に納め込む。そして、最左端側の基材マット10から右側の基材マット10へ向って順次に溝13内に配管20を収容する。
【0036】
次に、図5(c)の通り、各基材マット10の上に表面材30を重ね、平面ファスナによって表面材30を基材マット10に固定する。
【0037】
図6の通り、その他のベンチ40についても同様の施工を行う。
【0038】
なお、配管20のうちの露呈部分については布状あるいは発泡成形体等よりなる断熱材(図示せず)を装着して、放熱を防止することが好ましい。
【0039】
次いで、配管20を熱源機に接続し、熱媒として温湯を流通させることによりベンチ40を暖房ベンチとすることができる。配管20からの熱は、熱伝導性薄層15を介して広い範囲に広がるので、表面材30の広い範囲が十分に加温されるようになる。
【0040】
このように、各基材マット10を敷き並べ、配管20を引き回した後、表面材30を重ねるという簡単な作業にてベンチ40を短時間のうちに暖房ベンチとすることができる。
【0041】
また、イベントや競技大会の終了後に暖房システムを撤去する際には、配管20と熱源機とを分離した後、表面材30を剥し、配管20を取り出し、基材マット10を回収するだけで撤去作業が終了するから、極めて簡易かつ迅速に暖房システムの撤去を行うことができる。もちろん、回収した基材マット10、配管20、表面材30等の部材は改めて再利用できることは明らかである。
【0042】
上記の説明は基材マット10を用いた施工例であるが、図3,4に示す他の基材マット10A,10Bについても同様に行うことができる。ただし、図4に示す基材マット10Bを用いる場合には、配管を取り付けた後に熱伝導性薄層15Dを設ける。
【0043】
なお、上記図6のように複数のベンチ40に設けられた配管20に対し熱源機から給湯する場合、図7のように、熱源機50から給湯主管(往き管)51と給湯主管(戻り管)52とを延設し、該給湯主管51,52に対し各ベンチ40(41,42)の配管20を接続する並列給湯方式が好適である。このようにすれば、各ベンチの配管20への給湯温度が同等となり、温度ムラが小さなものとなる。
【0044】
ただし、ベンチの数が少ない場合などには、図8のように各ベンチ40の配管20を直列につなぎ、熱源機50の出湯をそのまま各配管20に直列に流通させ、最後の配管20からの座湯を熱源機50に戻すようにしてもよい。
【0045】
また、図9に示す如く、配管20(20A,20B)を複数のベンチに連続して引き回し、ベンチ42の配管20A,20Bを給湯主管(往き管)51に接続し、ベンチ41の配管20A,20Bを給湯主管(戻り管)52に接続するようにしてもよい。
【0046】
上記の図7にあっては、各ベンチへの給湯温度が同一になるだけではなく、各ベンチにおける各基材マット10の温度も略均等化される。
【0047】
即ち、給湯主管(往き管)51から配管20の往側20aに分流した湯は、図7の右側から左側へ向って流れ、この間、次第に降温する。この湯は最左端の配管ループ部20cを通って今度は左側の基材マット10から右側へ向って流れ、次第に降温する。従って、往側20a内の湯温は右側ほど高いが、戻側20b内の湯温は右側ほど低いものとなる。この結果、左右いずれの基材マット10からの放熱量は略々同等となり、ベンチのいずれの位置に座っても適温の暖かさを感取することが可能となる。
【0048】
図10〜12を参照して基材マットの別例について説明する。
【0049】
図10の基材マット10Eは、溝13eを平面視略U字形ないしコ字形に延設したものである。この基材マット10Eは、前記図7、図8において最左端の基材マット10の位置に配置されるようにして用いられる。
【0050】
この基材マット10Eを用いると、最端部の基材マットから配管20がループ状に露呈することが防止される。
【0051】
図11,12の基材マット10F,10Gは、直線状の溝13の両端に幅広部13f,13gを設けたものである。幅広部13fは、入口側ほど幅が大きくなるテーパ状である。幅広部13gは単に溝幅を大きくした形状のものである。
【0052】
この基材マット10F,10Gを用いると、隣接する基材マットの溝に若干のズレがあっても容易に吸収することができる。また、図13のように、ベンチ前縁が湾曲しているベンチ40Aの該前縁に沿って基材マットを敷設した際に、各基材マット10F同士の間の配管20の曲率を小さくすることが可能となる。
【0053】
上記実施の形態は本発明の一例であり、本発明はさらに別の態様をもとりうる。そのような別の構成や、本発明において採用するのに好適な条件、材料等について次に説明する。なお、以下において、基材マット、表面材及び熱媒流通用の配管で構成される、暖房システムの構成単位を「暖房マット」と称す場合がある。
【0054】
[熱媒流通用配管]
熱媒を流通させる配管としては、通常、可撓性チューブが使用され、架橋ポリエチレン管、ポリブテン管、銅管などが挙げられる。
【0055】
配管の外径は通常5〜27mm、好ましくは7〜17mm、内径は通常4〜23mm、好ましくは5〜13mmで、肉厚は通常0.5〜3.0mm、好ましくは1.0〜2.0mmである。配管の外径が過度に小さいと暖房マットに十分な量の熱媒を流通させることができず、逆に過度に大きいと、暖房マットの厚さを厚くする必要が生じ、好ましくない。また、配管の肉厚が過度に薄いと、強度が不足し、逆に過度に厚いと配管の外径に対して流通する熱媒量が少なくなり、好ましくない。
【0056】
なお、この配管の断面(長さ方向に直交する断面)形状は必ずしも円形である必要はなく、楕円形状等であっても良い。
【0057】
熱媒流通用配管は、一本の長尺の配管を複数の基材マットにまたがるように配設しても良く、隣接する基材マット同士の間隙の適当な箇所でジョイント等の配管接続部材で接続するようにしても良い。
【0058】
[熱媒]
上記配管に通す熱媒としては、液体熱媒である温水、加熱オイル、又は気体熱媒である水蒸気などが挙げられるが、好ましくは液体熱媒、特に温水である。
【0059】
[基材マット]
基材マットは、高比重材よりなる単層構造のものであっても良く、高比重材よりなる基層と低比重材よりなる表層との複層構造よりなり、表層側に溝が形成されているものであっても良い。なお、基材マットは必ずしも高比重材よりなる基層と低比重材よりなる表層との二層構造に限定されず、表層と基層との間に中間の比重を有する中間層が1又は2以上積層されていても良い。
【0060】
基材マットを構成する高比重材は密度1.5g/cm3以上で、戻り性(「戻り性」とは荷重を除いた際残留歪みを生じることなく、元の形状に戻る性能である。)に優れ、かつ、基材マットが設けられる暖房対象面に対して摩擦力が大きく、容易に位置ずれしない材質であることが好ましく、例えばゴム組成物、エラストマー組成物、又はアスファルト系材料等が挙げられる。この高比重材の密度が1.5g/cm3未満であると、基材マットが軽量となって位置ずれし易くなる。高比重材の密度は、好ましくは2.0〜3.0g/cm3である。
【0061】
このような高比重材よりなる基層を低比重材よりなる表層との積層構造とする場合、低比重材としては、密度0.02〜0.1g/cm3程度のポリスチレン系発泡樹脂、ポリオレフィン系発泡樹脂、フェノール系発泡樹脂、ゴム系発泡材料等の発泡材料等を用いることができ、このような低比重材を用いることにより、基材マットの感触を高め、例えば座席用暖房システムにあっては下面への断熱性、配管の保温性の向上と共に、座り心地を良くすることができる。
【0062】
基材マットの平面視形状は、被暖房対象の形状に応じて選択され、三角形、四角形、五角形、菱形、平行四辺形、台形等の矩形状、楕円形、真円形等の円形状のいずれでもよく、矩形状の場合、角にRがあってもよい。基材マットの寸法は、基材マットが四角形の場合、一辺が300〜900mm程度、例えば、図1〜4に示す如く、側辺に沿う溝が設けられた基材マットにあっては、溝に沿う側の辺の長さが300〜900mm、溝と直交する側の辺の長さが300〜600mm程度であることが好ましい。また、基材マットが四角形以外の形状である場合、基材マットの板面の面積として0.09〜0.54cm2程度であることが好ましい。
【0063】
特に、座席用暖房システムにあっては、基材マットの板面の面積は、人間一人分の座面に相当する寸法であることが好ましい。
【0064】
基材マットの厚さは、熱媒流通用配管の径や、持ち運び性、耐久性等を考慮して決定されるが、通常の場合、9〜35mm、特に12〜20mmであることが好ましい。基材マットの厚さが過度に薄いと熱媒流通用の配管を収納し得る溝を形成し得ず、厚いと取り扱い性が悪くなり、また、既存のベンチ等に設けた場合、座面が高くなりすぎ、座り心地が悪くなる。
【0065】
なお、基材マットを高比重材よりなる基層と低比重材よりなる表層との二層構造にする場合、各々の厚さは、用いる材料によっても異なるが、高比重材よりなる基層の厚さを2〜10mmとし、低比重材よりなる表層の厚さを6〜30mmとし、溝は低比重材よりなる表層にのみ形成することが溝加工も容易となり、好ましい。
【0066】
また、基材マットに設ける、熱媒流通用配管を収容するための溝の開口部の幅は、熱媒流通用配管の外径と同じ寸法、又はこれより僅かに、例えば0.1〜2.0mm程度大きくするのが好ましい。溝は、その延在方向に直交する断面形状がU字形状となるように形成すると、熱媒流通用配管を埋設する際に都合が良い。溝の深さは、熱媒流通用配管の外径と同等とし、熱媒流通用配管の上部が直接又は熱伝導性薄層を介して表面材と接触させることが熱効率の面で好ましい。
【0067】
また、図11,12に示すように、溝の両端部に幅広部を設ける場合、この幅広部は溝の中央部分の幅よりも5〜30mm程度大きくすることが好ましく、また、溝深さについても、中央部の深さよりも0〜2mm程度深くすることが好ましい。このような幅広部は、例えば溝の全長のうち両端の3〜10%程度の部分とすることが好ましい。
【0068】
また、溝の開口面積は、基材マットの熱媒流通面積に密接な関係を持つが、この溝の開口面積は、合計で基材マットの溝形成面の面積の1〜50%、特に3〜20%であることが好ましい。溝の開口面積がこの範囲よりも小さいことは、放熱可能面積が小さいことに相当し、十分な暖房効果を得ることができず、この範囲よりも大きいと、基材マットの耐久性等が損なわれ、また、熱媒流通用配管の引き回しが困難になる場合がある。
【0069】
[熱伝導性薄層]
熱伝導性薄層としては、熱伝導率の高い金属箔を用いることができ、熱伝導性薄層を設けることにより、暖房マットの表面からの均一放熱性を高めることができる。金属箔の種類としては、アルミニウム箔、錫箔、ステンレススチール箔、銅箔などが挙げられる。中でも、製造の難易、コストなどの観点からアルミニウム箔が好適である。熱伝導性薄層の厚さは、薄すぎると強度が十分でなく、厚すぎると製品が重くなるばかりでなく、コストがかさむので、通常30〜200μmの範囲で選ぶのが好ましい。
【0070】
熱伝導性薄層は、図1〜3の態様においては、基材マットに接着剤又は粘着剤等で固着されていることが好ましい。また、図4の態様にあっては、基材マットに固着せず、平面ファスナ、弱粘着テープ、スナップボタン、クリップ等により着脱可能に取り付けることが好ましい。図4の態様では、暖房システムの施工現場において基材マットの溝内に熱媒流通用配管を配設した後、熱伝導性薄層を取り付けることになる。一方、図1〜3の態様であれば、予め基材マットと熱伝導性薄層とを一体化したものとして出荷することができ、施工現場での作業工数が低減され、有利である。
【0071】
熱伝導性薄層は、通常、基材マットの溝形成面の形状に倣って形成される。
【0072】
[表面材]
表面材は、表面の美化、装飾性、耐水性、耐候性、その他の機能性の向上や、熱媒流通用配管の浮き上り防止、過度の局所的な伝熱の防止のために設けられるものであり、例えば、クッションフロアー、タイル、石材等の耐水性、耐候性に優れたものが用いられている。
【0073】
表面材は通常基材マットの溝形成面と同形状同面積或いは若干大きめの面積に形成され、その厚さは材質によっても異なるが、通常2〜12mm程度である。
【0074】
この表面材には、様々な模様を付したり、例えば座席番号を示す数字や文字、或いは着色を付与しても良い。
【0075】
表面材は、熱伝導性薄層(熱伝導性薄層を設けない場合には基材マット)に対して、着脱可能な結合手段によって結合されることが好ましく、この着脱可能な手段としては、熱媒流通時に熱媒流通用配管が浮き上がることを防止し、かつ表面材を十分に固定できるものであれば良く、例えば、平面ファスナー、フックボタン、凹凸状又はカギ状の係合具、弱粘着テープ、磁石によるものなどを採用することができる。
【0076】
[暖房マットの取り付け]
基材マット、配管及び表面材(必要に応じて熱伝導性薄層)よりなる暖房マットを暖房対象面に設置する際、暖房マット同士は必ずしも隙間なく配置する場合に限らず、暖房マット同士の間に隙間があっても良い。隙間は、大きいほど暖房マットの設置自由度は増すものの、配管を保護しにくくなるため、これらの機能を合わせ考慮して選択する。暖房マット間の隙間は通常は5cm以下、中でも3cm以下、特に1cm以下とするのがよく、隙間を設けることと、前述の如く、基材マットの溝端部の幅を太くすることとを組み合わせて最適なものを選択すればよい。実用上は0.3〜1cm程度の隙間を設け、基材マットの溝端部の幅広部をその他の部分よりも0.2〜0.9cm程度大きく(幅を広く或いは深さを深く)することが好ましい。
【0077】
暖房対象面への暖房マットの並べ方は、暖房マットの形状に応じて様々であり、可撓性の熱媒流通用配管を用いることにより、直線状、曲線状、蛇行状、放射状、多角形状等様々な形状に配置することができる。
【0078】
[暖房マットへの熱媒の供給]
各暖房マットに対しては、外部の熱源装置(熱源機等)で加熱された熱媒が前述の如く、熱媒主管により熱媒流通用配管に流通されることにより供給される。この熱媒主管は、熱源装置から出た比較的高温(座面用としては、通常40℃以上80℃以下程度)の熱媒が供給される、いわゆる、往き管と、暖房用に利用されて、比較的低温(座面用としては、通常30℃以上50℃以下)となり、熱源装置に戻る、いわゆる戻り管とで構成される。なお、熱源装置に戻った後、再び、加熱されて熱媒は循環使用されることになる。
【0079】
各暖房マットの配管は、図7に示す如く、往き管と戻り管とを1つの基材マットに併設しても、図9に示す如く、どちらか一方のみを設けてもよいが、熱利用を平均化するには、前述の如く、戻り管と往き管を併設する方が有利である。
【0080】
[その他の構成部材]
本発明に係る暖房マットには、本発明の効果を損なわない限り、上述の構成部材以外に、任意の層を表面材の上、表面材と基材マットとの間、或いは基材マットの下に積層することができる。
【0081】
このようなものとして、次のようなものが挙げられる。
(i) ゴム系発泡材料、ウレタン系発泡材料、オレフィン系発泡材料等の合成樹脂系発泡材料で構成するクッション層を表面材の上に設ける。
(ii) 合成樹脂シート、金属板等の樹脂類、金属類又はその複合材類で構成する耐久性を向上させる層を表面材の上又は表面材と基材マットとの間に設ける。
(iii) 合成樹脂フィルム、アスファルトシート等の樹脂類で構成する防水性を付与させるための層を表面材の上又は基材マットの下に設ける。
【0082】
[暖房対象面]
本発明の暖房システムの暖房対象面は、例えば劇場、水族館、競技場、イベント会場、公園、遊技場等に設置されたベンチ、その他直床上等であり、屋内、屋外のいずれでもよい。
【0083】
いずれの暖房対象面に対しても、本発明の暖房システムは、その暖房マットを暖房対象面に対して固定して設置する必要が無く、容易に取り付け、取り外し、移動、再利用可能である。なお、本発明の暖房システムはベンチ等の座面に限らず、座席の背もたれ部、足元(床面)等にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】図1(a)は実施の形態に係る暖房システムに用いられる基材マット及び表面材の斜視図、図1(b)はこの基材マット及び表面材と熱媒流通用配管との係合関係を示す断面図である。
【図2】基材マット、配管及び表面材の組み付け完了時の断面図である。
【図3】別の実施の形態に係る暖房システムに用いられる、熱伝導性薄層付き基材マットと配管の断面図である。
【図4】別の実施の形態に係る暖房システムに用いられる、熱伝導性薄層付き基材マットと配管の断面図である。
【図5】暖房システムの設置施工手順を示す斜視図である。
【図6】暖房システムの設置施工手順を示す斜視図である。
【図7】熱媒流通用配管への熱媒流通系統図である。
【図8】熱媒流通用配管への熱媒流通系統図である。
【図9】熱媒流通用配管への熱媒流通系統図である。
【図10】基材マットの別例を示す平面図である。
【図11】基材マットの別例を示す平面図である。
【図12】基材マットの別例を示す平面図である。
【図13】基材マットの別の配置例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0085】
10,10A,10B,10C,10D,10E,10F,10G 基材マット
13 溝
14,31 平面ファスナ
15 熱伝導性薄層
20 配管
30 表面材
40 ベンチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱媒流通用の配管と、
板面に該配管を収容するための溝が設けられた板状の基材マットであって、該溝の両端は該基材マットの側面に臨んでいる基材マットと、
該基材マットの板面に重なる表面材と
を用いた暖房システムであって、
複数枚の該基材マットを暖房対象面に並べて配置し、
複数の該基材マットにまたがって、かつ該基材マットの前記溝内に収容するようにして前記配管を配設し、
該基材マットの上側に前記表面材を配置してなる暖房システム。
【請求項2】
請求項1において、前記基材マットを前記暖房対象面に対し非固定としたことを特徴とする暖房システム。
【請求項3】
請求項1又は2において、該基材マットの密度が1.5g/cm3以上であることを特徴とする暖房システム。
【請求項4】
請求項1又は2において、該基材マットは基層と表層とを備える積層構造であり、該表層に前記溝が設けられており、該基層の密度が1.5g/cm3以上で、該表層の密度が該基層の密度よりも小さいことを特徴とする暖房システム。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項において、前記基材マットと表面材とが着脱可能な結合手段によって結合されていることを特徴とする暖房システム。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれか1項において、前記基材マットと表面材との間に熱伝導性薄層を設けたことを特徴とする暖房システム。
【請求項7】
請求項6において、該熱伝導性薄層は前記基材マットに固定されており、
該熱伝導性薄層と前記表面材とが着脱可能な結合手段によって結合されていることを特徴とする暖房システム。
【請求項1】
熱媒流通用の配管と、
板面に該配管を収容するための溝が設けられた板状の基材マットであって、該溝の両端は該基材マットの側面に臨んでいる基材マットと、
該基材マットの板面に重なる表面材と
を用いた暖房システムであって、
複数枚の該基材マットを暖房対象面に並べて配置し、
複数の該基材マットにまたがって、かつ該基材マットの前記溝内に収容するようにして前記配管を配設し、
該基材マットの上側に前記表面材を配置してなる暖房システム。
【請求項2】
請求項1において、前記基材マットを前記暖房対象面に対し非固定としたことを特徴とする暖房システム。
【請求項3】
請求項1又は2において、該基材マットの密度が1.5g/cm3以上であることを特徴とする暖房システム。
【請求項4】
請求項1又は2において、該基材マットは基層と表層とを備える積層構造であり、該表層に前記溝が設けられており、該基層の密度が1.5g/cm3以上で、該表層の密度が該基層の密度よりも小さいことを特徴とする暖房システム。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項において、前記基材マットと表面材とが着脱可能な結合手段によって結合されていることを特徴とする暖房システム。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれか1項において、前記基材マットと表面材との間に熱伝導性薄層を設けたことを特徴とする暖房システム。
【請求項7】
請求項6において、該熱伝導性薄層は前記基材マットに固定されており、
該熱伝導性薄層と前記表面材とが着脱可能な結合手段によって結合されていることを特徴とする暖房システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−170568(P2006−170568A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−366330(P2004−366330)
【出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【出願人】(000236159)三菱化学産資株式会社 (101)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【出願人】(000236159)三菱化学産資株式会社 (101)
【Fターム(参考)】
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