暖房便座装置
【課題】 ヒータから便器側に流れる熱エネルギー量を少なくし、人体と接触する側の温度ムラをなくし、熱の感触を柔らかくすると共に、衛生的に管理できること。
【解決手段】 断熱性に富む材料からなる芯材36と芯材36の下部を受ける下地材37からなる基材38と、内側にヒータ34を配設してなる内部被覆材31とからなる便座筐体30と、便座筐体30よりも軟質で断熱性に富む材料からなり、便座筐体30の外側に着座面を覆うように便座筐体30に対し着脱可能に配設されてなる外部被覆カバー材40とを有するものであるから、外部被覆カバー材40は、ヒータ34の外側に形成した熱伝導性の良い材料からなる内部被覆材31を取り外し自在に覆うものであるから、電気的部分が含まれず、洗浄が容易になり、衛生的に管理できる。
【解決手段】 断熱性に富む材料からなる芯材36と芯材36の下部を受ける下地材37からなる基材38と、内側にヒータ34を配設してなる内部被覆材31とからなる便座筐体30と、便座筐体30よりも軟質で断熱性に富む材料からなり、便座筐体30の外側に着座面を覆うように便座筐体30に対し着脱可能に配設されてなる外部被覆カバー材40とを有するものであるから、外部被覆カバー材40は、ヒータ34の外側に形成した熱伝導性の良い材料からなる内部被覆材31を取り外し自在に覆うものであるから、電気的部分が含まれず、洗浄が容易になり、衛生的に管理できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者が便座表面層の冷たさを感じることなく使用できるヒータ内蔵の暖房便座装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の人体局部洗浄装置等の暖房便座装置においては、ポリプロピレン等の硬質樹脂を中空に成形して、内部の上面にヒータを配設した構成のものがあった。この種の暖房便座装置は、便座が硬いことから使用者が長く座っていると、脚部が疲れたり、脚部の血行不良によってしびれが生じたりする可能性があった。また、中空形状の便座の下方に配設したヒータが常時発熱し、省エネの観点から好ましくなかった。これらの点を改良した従来の暖房便座装置として、特許文献1及び特許文献2の技術を挙げることができる。
【0003】
特許文献1に掲載の暖房便座装置は、便座表面層を熱伝達率の小さな複数の多孔質材料で構成し、便座強度を確保する部分の見かけ密度を大きくし、人体と接触する部分の見かけ密度を小さくし、着座中の人体と便座間の接触面積を小さくして、熱の移動による温度感覚を鈍化させ、低温下でも寒さを感じることがないようにしたものである。使用者により着座位置が後方側にずれた場合にも、着座面全て多孔質材料で構成しているので、強い冷刺激を受けることなくトイレを快適に使用できる。
【0004】
また、特許文献2に掲載の暖房便座装置は、合成樹脂製の基盤体とこの基盤体の上面に取り付けられたコルク製の上面体とで構成され、上面体を基盤体に対して着脱可能に取り付けることにより、上面体を基盤体から容易に取り外して水洗して再使用することで衛生的としたものである。
【特許文献1】特開2003−310481
【特許文献2】特開2004−180929
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に掲載の暖房便座装置は、硬質樹脂基板の上方に肉厚の多孔質樹脂を装着して、その内部にヒータを構成したものである。しかし、多孔質の軟質便座の内部にヒータを有し、便座全体が一体的になっているため、尿等の汚れが付着した場合、汚れが付着した部分のみの交換が容易でなく、衛生管理面で改良する必要性があった。
【0006】
また、特許文献2に掲載の暖房便座装置は、内部にヒータを有する中空形状の便座部の上面にコルク質層の座面を構成したものである。この特許文献2においても、多孔質の軟質座面(コルク質層)が装着されている下層の中空便座部分の下面からの放熱が相当大きく省エネの面で改良が必要である。また、多孔質の軟質座面(コルク質層)の突起部が、従来構造の中空便座部の上面に空いた嵌合穴に嵌合挿入して固定される構造であるから、汚れの付着による交換のための着脱を容易に行うことができず衛生管理面で改良の必要があった。
【0007】
そこで、本発明はこれらの問題点を解消すべく、ヒータから便器側に流れる熱エネルギー量を少なくし、人体と接触する側の温度ムラをなくし、熱の感触を柔らかくすると共に、衛生的に管理できる暖房便座装置の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の暖房便座装置は、断熱性に富む材料からなる基材と内側にヒータを配設してなる内部被覆材とからなる便座筐体と、前記便座筐体よりも軟質で断熱性に富む材料からなり、前記便座筐体の外側に着座面を覆うように前記便座筐体に対し着脱可能に配設されてなる外部被覆カバー材とを具備し、前記外部被覆カバー材の少なくとも使用者が着座する範囲は、その肉厚を略均一とされると共に、前記外部被覆カバー材に形成された突起と着脱可能に嵌合するものである。
ここで、上記基材は、断熱性に富む材料からなる芯材と前記芯材の下部を受ける下地材を同一断熱性の材料とすることができる。また、上記ヒータは、内部被覆材にインサートを含む直接または間接的に取り付けられるものであればよく、好ましくは、下部方向に熱エネルギーが流れないように、芯材の上部、即ち、内部被覆材の内側に配設されたものが望ましい。なお、この芯材は、必ずしも発泡材による中実である必要はなく、空間を広げた空気による断熱性を使用してもよい。
そして、上記内部被覆材は、前記ヒータの外側に形成した金属粉または短く切断した金属短繊維、金属繊維等を混在させた熱伝導性の良い材料からなり、熱伝導率の良い材料としては金属粉または金属繊維とすることができる。しかし、極端に熱伝導の良導体である必要はなく、熱伝導材料で、かつ、所定の機械的強度があれば良い。また、上記断熱性に富む材料からなる外部被覆カバー材とは、前記便座筐体に対し着脱可能に配設され、身体に対し、冷たさを感じさせない程度の少ない熱エネルギーを供給するものであるから、全体が熱伝導体でなければよい。よって、外部被覆カバー材には熱伝導を良くする金属粉、金属短繊維等を混在させた材料も使用される。
【0009】
請求項2の暖房便座装置の前記外部被覆カバー材の少なくとも使用者が着座する範囲の肉厚は、発泡倍率を略均等にしたものである。この発泡倍率は、表面のスキン層の0.5〜3mm以下を除いて略均等に発泡しているものであればよい。即ち、金型付近は比較的密度が高く、発泡が低い状態であってもよい。
【0010】
請求項3の暖房便座装置の前記内部被覆材は、熱伝導性の良い材料を略均一に混合させたものであるから、便座筐体から外部被覆カバー材に熱伝導する効率がよくなり、かつ、熱伝導性の良い材料によって略均一に温度ムラがないように、温度上昇が適当に抑制される。
【0011】
請求項4の暖房便座装置の前記内部被覆材は、熱伝導性の良い材料を略均一に混合させたものである。ここで、前記内部被覆材は、金属粉または金属繊維等を混在させた熱伝導性の良い材料で、好ましくは、機械的強度が高い材料からなり、かつ、それを均一に混在させたものであるから、ヒータの熱伝導を良好にすることができる。
【0012】
請求項5の暖房便座装置の前記内部被覆材は、少なくとも、ヒータ配設部分の全域または部分的に熱伝導性の良い材料を一体的に形成したものである。ここで、ヒータ配設部分の全域または部分的に熱伝導性の良い材料を一体的に形成とは、ヒータの配設部分の全面に熱伝導性のよい金属箔または金属薄板を接合したり、部分的に熱伝導性のよい金属箔または金属薄板を接合したりすることを意味する。
【発明の効果】
【0013】
請求項1にかかる暖房便座装置は、断熱性に富む材料からなる基材と、内側にヒータを配設してなる内部被覆材とからなる便座筐体と、前記便座筐体よりも軟質で断熱性に富む材料からなり、前記便座筐体の外側に着座面を覆うように前記便座筐体に対し着脱可能に配設されてなる外部被覆カバー材とを有するものであるから、前記外部被覆カバー材は、前記ヒータの外側に形成した熱伝導性の良い材料からなる内部被覆材を取り外し自在に覆うものであるから、外部被覆カバー材に電気的部分が含まれず、洗浄が容易になり、衛生的に管理できる。また、内部被覆材の内側に取り付けられたヒータは、そのヒータから便器側に流れる熱エネルギー量を少なくし、そして、前記外部被覆カバー材は前記ヒータの外側に形成した熱伝導性の良い材料からなる内部被覆材を覆うものであるから、人体と接触する側の熱の感触を柔らかくすることができる。更に、前記外部被覆カバー材の少なくとも使用者が着座する範囲の肉厚を略均一としたものであるから、便座に着座する箇所の温度ムラを少なくし、表面温度を略均一化することができる。
更に、前記外部被覆カバー材の少なくとも使用者が着座する範囲は、前記外部被覆カバー材に形成された突起と着脱可能に嵌合するようにしたので、当該着座範囲における前記外部被覆カバー材がフラットでない場合、使用者の体重により、前記外部被覆カバー材が前記便座筐体に対して相対移動して、分離する危倶はない。
【0014】
請求項2にかかる暖房便座装置の前記外部被覆カバー材の少なくとも使用者が着座する範囲の肉厚は、発泡倍率を略均等にしたものであるから、請求項1に記載の効果に加えて、前記外部被覆カバー材の少なくとも使用者が着座する範囲の肉厚を略均一の基に、発泡倍率を略均等にしたものであるから、便座に着座する箇所の温度ムラを少なくし、表面温度を略均一化することができる。
【0015】
請求項3にかかる暖房便座装置の前記外部被覆カバー材には、熱伝導の良好な材料を略均一に混合させたものであるから、請求項1または請求項2に記載の効果に加えて、前記外部被覆カバー材の熱伝導効率を良くすることができる。そして、熱伝導の良好な材料を略均一に混合させたものであるから、温度ムラをなくすことができる。また、熱効率がよくなるから、ヒータの使用費電力を少なくすることができる。
【0016】
請求項4にかかる暖房便座装置の前記内部被覆材には、熱伝導性の良い材料を略均一に混合させたものであるから、請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の効果に加えて、前記外部被覆カバー材に対する熱伝導効率を良くすることができる。そして、熱伝導の良好な材料を略均一に混合させたものであるから、前記外部被覆カバー材の温度ムラをなくすことができる。また、熱効率がよくなるから、ヒータの使用費電力を少なくすることができる。
【0017】
請求項5にかかる暖房便座装置の前記内部被覆材は、少なくとも、ヒータ配設部分の全域または部分的に熱伝導性の良い材料を一体的に形成したものであるから、請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の効果に加えて、前記外部被覆カバー材に対する熱伝導効率を良くすることができ、かつ、前記外部被覆カバー材の表面温度を均一化できる。また、熱効率がよくなるから、ヒータの消費電力を少なくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、本発明の実施の形態の暖房便座装置について、図を用いて説明する。なお、本実施の形態2以降において、実施の形態1または他の実施の形態と同一記号または同一符号は、上記実施の形態1または他の実施の形態と同一または相当する構成部分を示すものであるから、その詳細な説明を省略し、主に相違点のみ説明する。
[実施の形態1]
【0019】
図1は本発明の実施の形態1の暖房便座装置の平面図を、図2は同じく側面図を示すものである。図3は本発明の実施の形態1の暖房便座装置の人体局部洗浄装置の側面図であり、図4は図3の平面図を示すものである。
また、図5は本発明の実施の形態1の暖房便座装置の図4に示す切断線A−AによるA−A断面図、図6は本発明の実施の形態1の暖房便座装置の図4に示す切断線B−BによるB−B断面図、図7は本発明の実施の形態1の暖房便座装置の図4に示す切断線C−CによるC−C断面図である。
【0020】
図1乃至図4において、10は便器で、公知の形態を有し、20は人体局部洗浄装置で、便器10の上に載置される。21は人体局部洗浄装置20の後部装置収納部、21aは後部装置収納部21の上部カバー、21bは後部装置収納部21のべ一ス部材で、23は便蓋、24は便座で、後部装置収納部21に回動自在に取り付けられている。
後部装置収納部21のべ一ス部材21bには、便座24のヒータ通電制御手段を構成する電気制御を含む電気制御基板ユニット211、図示しない温水洗浄ノズルを備える洗浄機構212、備える洗浄機構212に温水を供給する温水供給系ユニット213、赤外線検出、超音波検出、押圧力検出等の検出手段を有する近接スイッチからなる着座検知手段214が配設されている。ヒータ通電制御手段を除き、何れも公知の構成であるから、その詳細な説明を省略する。
【0021】
図5乃至図7において、便座24は、概略、断熱性に富む材料からなる芯材36と、芯材36の下部を受ける下地材37からなる基材38と、熱伝導性の良い材料からなり、内側にチュービングヒータからなるヒータ34を配設してなる内部被覆材31とからなる便座筐体30と、便座筐体30の外側に着座面を覆うように取り付けられ、便座筐体30よりも軟質で断熱性に富む材料からなり、便座筐体30に対し着脱可能に配設されてなる外部被覆カバー材40によって構成されている。
【0022】
詳しくは、断熱性に富む材料からなる芯材36は、熱絶縁性がよいもの、即ち、熱伝導が悪い材料の無機または有機の発泡体等から形成され、質量も小さくまとめられている。芯材36の下部を受ける下地材37は、便器10の上面に対向する面を有するもので、意匠性を考慮した材料及び形状であり、好ましくは、熱伝導が悪い材料の無機または有機の発泡体から形成される。なお、芯材36及び下地材37は、一体に同一材料で成形し、それを断熱性に富む材料からなる基材38としてもよい。
【0023】
断熱性に富む材料からなる芯材36の上面を覆うように、内部被覆材31が接合されている。内部被覆材31には、その内面にアルミ箔35に固着したヒータ34が接合されている。ヒータ34の内側の面は、芯材36の外面に接するように、内部被覆材31に接合され一体化されている。
外部被覆カバー材40は、使用者が着座する範囲が略均等肉厚で、かつ、発泡倍率が略均一となるように成形されたものである。したがって、ヒータ34からの熱を均一に伝達することができる。また、便座筐体30の内部被覆材31は、金属粉または金属短繊維、金属繊維等の熱伝導性の高い材料を混合させた場合には、ヒータ34からの熱伝導が良好で、かつ、熱伝導が均一化されることによって、外部被覆カバー材40の表面温度が均一に保持される。
外部被覆カバー材40は、その開口端部が部分的に内側に突出する係合部40aを形成している。係合部40aは、内部被覆材31の外表面の凹部31dに嵌合し、着座してからの人の移動で外部被覆カバー材40が容易に離脱しないようにしている。これら係合部40a及び凹部31dは、全周に形成してもよいし、その周方向の水平距離で5〜15cmの範囲で分割しても設けてもよい。
【0024】
また、内部被覆材31は、必要に応じて、金属粉または金属短繊維、金属繊維等の熱伝導率の高い材料を混合するものであるから、ヒータ34からの熱伝導が良好で外部被覆カバー材40の表面温度も略均一化され、その消費電力も抑制することができ、省エネにも繋がる。外部被覆カバー材40に対しても、必要に応じて、金属粉または金属短繊維等の熱伝導性の高い材料を若干混合させることが望ましい。
そして、便座筐体30の内部被覆材31の内面に配設されたヒータ34は、対向する外部被覆カバー材40の人が着座する範囲内に収まっているので、外部被覆カバー材40に覆われていない便座筐体30の基材38の下地材37に高温が伝達されることがなくなるから、温度の安定性が高く、その損失も少ない。
なお、基材38の下地材37の下部に配設された脚部39は、便器10の上面に載置される部分で、基材38の下地材37の全面が便器10の上面に接するよりも、その接触面積を少なくすることで、熱エネルギーの損失をより少なくしている。これら芯材36及び下地材37、脚部39は、一体に基材38として同一材料で成形してもよい。
【0025】
便座筐体30と内部被覆材31とは、便座筐体30側の下地材37に形成した凹溝37aに内部被覆材31の端部に形成した凸条31aを挿入し、複数箇所設定した内部被覆材31の螺子止凸部31bと、基材38の下地材37に形成した螺子嵌合部37bとの間を螺子33で螺子止めして固着される。このとき、便座筐体30側の下地材37に形成した凹溝37aと内部被覆材31の端部に形成した凸条31aとは接着剤で接合してもよい。
この螺子33で螺子止めして固着される個所、係合部40aと外表面の凹段部31dとの嵌合個所は、通常、複数箇所設定される。
【0026】
また、便座筐体30の後部の内部被覆材31には、使用者が着座したとき、使用者の臀部の尾垳骨に対向する位置に突起32bが形成されている。具体的には、便座筐体30の内部被覆材31の後方のほぼ中央部に直径8〜15mm程度の横幅で高さ3〜6mm程度の突起32bが設けられ、外部被覆カバー材40の対応する箇所には同様の寸法の凹部40bがある。これにより使用者が外部被覆カバー材40の装着を忘れたままで着座しようとしても突起32bに気づき、着座し続けることに無理がある。このように、暖房便座24の外部被覆カバー材40を取り外すと、便座筐体30の内部被覆材31の所定の表面箇所に使用者の着座を禁止する表示があるので、これにより使用者が外部被覆カバー材40を装着し忘れたままで着座しようとしても、突起32bに気づいて着座し続けることがなくなる。
なお、便器10の内部空間に向かって傾斜している外部被覆カバー材40の着座範囲の凹部40bと内部被覆材31に形成された突起32bとは嵌合しているので、着座範囲に着座した使用者の体重が外部被覆カバー材40に作用して、外部被覆カバー材40が便座筐体30に対して相対移動するから分離する危惧はない。
【0027】
図8は本発明の実施の形態1の暖房便座装置の警告表示の一例を示す部分断面を示す要部正面図である。
図8に示すように、便座筐体30の後部の内部被覆材31には、その上面に「熱いので座らない」、「熱いので座らないで下さい」、「熱いので注意」、「着座しないで下さい」等の文字で警告表示Aがなされている。外部被覆カバー材40が取り外されている状態で内部被覆材31に着座したとき、通常の外部被覆カバー材40を介しての使用状態のときよりも温度が高くなっている可能性を示唆する。この表示は、便座筐体30の後部の内部被覆材31には横書きで、便座筐体30の両側の内部被覆材31には縦書きで表示するのが望ましい。また、単なる模様と認識されないように、明確な表現が必要である。
なお、警告表示Aの文字は、本実施の形態のヒータ34の外側に形成した熱伝導性の良い材料からなる内部被覆材31の表面の少なくとも一部に着座行為を禁止する警告手段を構成する。
【0028】
本発明を実施する場合の警告手段の警告表示Aは、外部被覆カバー材40を取り付ける便座筐体30の表面の少なくとも一部に着座行為を禁止する表示を設けたもので、着座しようとしたとき、それを思い止めるような文字、イラスト、記号等の表示であればよい。この着座による問題を表示する箇所は、便座筐体30の内部被覆材31の表面の数箇所に分散して表記してもよい。これにより、外部被覆カバー材40が装着された状態で暖房便座を運転すると、外部被覆カバー材40の表面が適温となっている状態では、外部被覆カバー材40の内部の便座筐体30の内部被覆材31は温度勾配により適温より高い温度となっていることから、熱すぎる内部被覆材31に着座することを避けることができる。
【0029】
図9は本発明の実施の形態1の暖房便座装置の図4に示す切断線D−DのD−D断面図、図10は本発明の実施の形態1の暖房便座装置の図4に示す切断線D−DのD−D断面による要部断面図である。そして、図11は本発明の実施の形態1の暖房便座装置のヒータ通電制御手段を示す複数の事例の回路図である。
図9及び図10において、外部被覆カバー材40を便座筐体30の内部被覆材31から取り外したことを検知する離脱状態検知手段として押圧スイッチ50は、マイクロスイッチからなり、そのハウジング55が下地材37の上面に取り付けられていて、内部被覆材31に穿設された貫通孔31eを通り、その頭部が内部被覆材31に形成された凹段部31dにまで到達している。ハウジング55の上部から突出した操作杆51は、外部被覆カバー材40が被せられているとき、外部被覆カバー材40によって押さえられて押圧スイッチ50が閉じ、外部被覆カバー材40が被せられていないとき押圧スイッチ50が開くように上方に突出している。ハウジング55の上部から突出した操作杆51には、ゴムキャップ54を被せ、そのゴムキャップ54の周囲は固定リング53で固着し、水等の液体が操作杆51側に流れ込まないようにしている。
【0030】
このように、便座筐体30の内部被覆材31のヒータ34及び均一に放熱させるためのアルミ箔35が配設されていない箇所に、押圧スイッチ50が設けられている。押圧スイッチ50の先端の操作杆51は、外部被覆カバー材40の装着により下方へ押し下げられてヒータ34への通電を許容するよう接点が閉じる。また、押圧スイッチ50の操作杆51には、ゴムキヤップ54が固定リング53によって水密に取り付けられている。
【0031】
本発明の実施の形態1の暖房便座装置のヒータ通電制御手段は、図11に示す回路図を使用している。
図11の(a)のヒータ通電制御手段は、2本並列接続されてなるヒータ34と押圧スイッチ50の直列回路に対してサーモスタットSが接続されている。したがって、外部被覆カバー材40が被せられているとき、外部被覆カバー材40によって押さえられてスイッチが入り、外部被覆カバー材40が被せられていないときスイッチが切れる押圧スイッチ50によって、外部被覆カバー材40が被せられていないときヒータ34に通電されない。よって、外部被覆カバー材40を取り外すことにより、押圧スイッチ50は操作杆51がゴムキヤップ54と共に突出してヒータ34への通電を停止するように制御される。これによって使用者は、外部被覆カバー材40を取り外したままで暖房便座として着座しても、ヒータ34に通電されないので高温になった便座筐体30の内部被覆材31の表面に触れることがなくなる。
【0032】
図11の(b)のヒータ通電制御手段は、2本並列接続されてなるヒータ34と2極の押圧スイッチ50の直列回路に対してサーモスタットSが接続されている。そして、2極の押圧スイッチ50が開放されたとき、押圧スイッチ50の一方の極にダイオードDが投入されるように接続されている。押圧スイッチ50が投入されているときには、ダイオードDには殆ど電流が流れないが、外部被覆カバー材40を取り外したとき、押圧スイッチ50が開となり、ダイオードDを介して、1本のヒータ34に電流が流れる。このとき、ヒータ34の2本が均一な抵抗であれば、押圧スイッチ50が開のとき、商用電源の半波整流した電流が供給されるから1/4の電流が流れることになる。結果、消費電力は1/4になる。
したがって、外部被覆カバー材40が被せられているとき、外部被覆カバー材40によって押さえられて接点が閉じ、外部被覆カバー材40が被せられていないとき接点が開くと、2極の押圧スイッチ50によって、外部被覆カバー材40が被せられていないときヒータ34に2本のヒータ34を並列接続した場合の1/4の電流が流れる。
【0033】
よって、外部被覆カバー材40を取り外すことにより、押圧スイッチ50は操作杆51がゴムキヤップ54と共に突出してヒータ34への通電を減少させるように制御される。簡単な回路で通電電流の減少を行うことができる。
これによって使用者は、外部被覆カバー材40を取り外したままで暖房便座として使用しても、ヒータ34の電力が1/4に減少するので、サーモスタットSが機能する程度に通電されないので便座筐体30の内部被覆材31の表面が高温になることがないから、お尻に不快な熱さを感じることがない。
【0034】
図11の(c)のヒータ通電制御手段は、2本並列接続されてなるヒータ34と2極の押圧スイッチ50の直列回路に対してサーモスタットSが接続されている。そして、2極の押圧スイッチ50が開放したとき、その一方にダイオードDが投入され、そして、そのダイオードDに対して近接スイッチからなる着座検知手段214を直列接続されている。
押圧スイッチ50が投入されているときには、ダイオードDには電流が流れないが、外部被覆カバー材40を取り外したとき、押圧スイッチ50が開となり、ダイオードDを介して、1本のヒータ34に電流が流れる。このとき、ヒータ34の2本が均一な抵抗であれば、押圧スイッチ50が開のとき、半波整流した電流が供給されるから、2本のヒータ34を並列接続した場合の1/4の電流が流れることになる。消費電力は1/4になる。
【0035】
したがって、外部被覆カバー材40が被せられているとき、外部被覆カバー材40によって押さえられてスイッチが入り、外部被覆カバー材40が被せられていないときスイッチが切れる2極の押圧スイッチ50によって、外部被覆カバー材40が被せられていないときヒータ34に1/4の電流が流れる。
ここで、外部被覆カバー材40が被せられていないとき、使用者が暖房便座24として内部被覆材31に着座しても、それまでの消費電力が小さく、かつ、ヒータ34に通電されないので高温になった便座筐体30の内部被覆材31の表面に触れることがなくなる。
【0036】
よって、外部被覆カバー材40を取り外すことにより、押圧スイッチ50は操作杆51がゴムキヤップ54と共に突出してヒータ34への通電を減少させるように制御される。これによって使用者は、外部被覆カバー材40を取り外したままで暖房便座として着座しても、ヒータ34の電力が1/4に減少しており、かつ、通電が遮断されるので、便座筐体30の内部被覆材31の表面が高温になることがない。このことは、仮に、外部被覆カバー材40を取り外したまま、使用者がうっかり着座しようとしても、便座筐体30から外部被覆カバー材40が取り外されたことを検知する押圧スイッチ50がそれを検知し、通電を停止するので、冬季等で直前まで高温で使用していても便座筐体30にうっかり触れることによる危険性を回避できる。
また、使用者が着座したとしても、ヒータ34を停止または通電量を少なくするので、高齢者や皮膚の弱い人が長時間着座していても、不快感や低温火傷をすることがない。
【0037】
図11(d)のヒータ通電制御手段は、2本並列接続されてなるヒータ34と押圧スイッチ50の直列回路に対してサーモスタットS及び近接スイッチからなる着座検知手段214が直列に接続されている。外部被覆カバー材40が被せられているとき、外部被覆カバー材40によって押さえられてスイッチが入り、外部被覆カバー材40が被せられていないときスイッチが切れる押圧スイッチ50によって、外部被覆カバー材40が被せられていないとき、ヒータ34に通電されない。また、着座検知手段214は、外部被覆カバー材40の上に着座したとき開となり、外部被覆カバー材40の上に着座していないとき閉となる。これによって使用者は、外部被覆カバー材40を取り外したままで暖房便座として着座しても、ヒータ34に通電されないので高温になった便座筐体30の内部被覆材31の表面に触れることがなくなる。
【0038】
したがって、外部被覆カバー材40を取り外すことにより、押圧スイッチ50は操作杆51がゴムキヤップ54と共に突出してヒータ34への通電を停止するように制御される。また、外部被覆カバー材40が取り外されていないときでも、近接スイッチからなる着座検知手段214が人の着座を検出して回路を開くから、長時間着座する人でも、低温加熱による低温火傷にならなくなる。
また、着座検知手段214が人の着座を検出して回路を開くから、外部被覆カバー材40を取り外しているときには、二重の安全性を持たせることになる。
[実施の形態2]
【0039】
図12は本発明の実施の形態2の暖房便座装置で、図4に示す切断線A−Aに相当する離脱状態の断面図、図13は本発明の実施の形態2の暖房便座装置で、図4に示す切断線A−Aに相当する断面図である。
図12及び図13において、便座筐体30の内部被覆材31の上面側には、接着布60の鍵状布片62が2列設けられている。外部被覆カバー材40の内側にも、内部被覆材31接着布60の鍵状布片62に対抗する位置に2列の環状布片61が設けられている。鍵状布片62は、鍵状の樹脂糸の端部を有する布片であり、環状布片61は、ループ状の樹脂糸の端部を有する布片であり、両者間を合わせることにより接合し、両者を離すことにより分離することができる公知の接着布60を構成する。なお、内部被覆材31の上面側に鍵状布片62が2列、外部被覆カバー材40の内側にも、環状布片61が2列設けられているが、本発明を実施する場合には、1列以上設ければよい。特に、本実施の形態では、外部被覆カバー材40の内側に環状布片61が設けられているものであるから、洗濯機等で外部被覆カバー材40を洗濯しても、繊維の糸くず等が環状布片61に巻き着くことが回避できる。
【0040】
また、外部被覆カバー材40が被せられる便座筐体30の内部被覆材31の内周縁を基準とした便座筐体30の内部被覆材31の外周縁までの寸法L2は、対応する外部被覆カバー材40の内周縁を基準とした開口両端の内側縁までの寸法L1より若干(3〜6mm程度)大きい寸法となっている。この寸法差によって、外部被覆カバー材40を便座筐体30の内部被覆材31を位置合わせして被せることによって、適度な緊迫力を得て弾接することができる。また、着脱を行う場合でも適切な緊迫力によって容易に外すことができる。
したがって、図13のように、便座筐体30の内部被覆材31の上面側に外部被覆カバー材40を被せることにより、鍵状布片62と環状布片61が接合し、便座筐体30の内部被覆材31と外部被覆カバー材40が一体化される。この状態では、使用者が着座した状態で体重移動または臀部をずらせても、外部被覆カバー材40が内部被覆材31からずれることを防止できる。
[実施の形態3]
【0041】
図14は本発明の実施の形態3の暖房便座装置で、便器上に載置された図4に示す切断線A−Aに相当する断面図である。
上記実施の形態1及び実施の形態2では、ヒータ34間に空気層を形成するものであったが、本発明を実施する場合には、必ずしもヒータ34間に空気層を形成する必要はない。
図14の実施の形態は、ヒータ34を所定の熱伝導率のよい絶縁体の樹脂35aによって収容し、その両側に芯材36及び内部被覆材31を形成したものである。芯材36と下地材37との間には空気層36aを有するが、中実の発泡体で形成した芯材36と特性的には違いはない。このように、本実施の形態は、断熱性に富む材料からなる芯材36と芯材36の下部を受ける下地材37からなる基材38と、熱伝導性の良い材料からなり、内側にヒータ34を配設した所望の機械的強度を有する内部被覆材31とからなる便座筐体30とを具備するものである。
便座筐体30の内部被覆材31の上面側には、磁石手段80のソリッド磁石板82が2列設けられている。外部被覆カバー材40の内側には、内部被覆材31のソリッド磁石板82に対抗する位置に2列のステンレス板81が設けられている。なお、本発明を実施する場合には、磁石手段80として一対のソリッド磁石板82を対向させてもよい。即ち、磁石手段80は、一方の磁石とその接合体を意味する。
【0042】
したがって、便座筐体30の内部被覆材31の上面側に外部被覆カバー材40を被せることにより、ソリッド磁石板82とステンレス板81が接合し、便座筐体30の内部被覆材31と外部被覆カバー材40が一体化される。この状態では、使用者が着座した状態で体重移動または臀部をずらせても、外部被覆カバー材40が内部被覆材31からずれることが防止できる。
また、下地材37の両外側には、手の指が入る窪み部75が複数形成されていて、その窪み部75に指を入れて上方に力を付与すれば、外部被覆カバー材40の内側の凸部40cは内部被覆材31の凹部31cから外れ、かつ、磁石手段80のステンレス板81とソリッド磁石板82との吸引力に打ち勝って、外部被覆カバー材40を取り外すことができる。逆に、外部被覆カバー材40は、便座筐体30の内部被覆材31に被せるだけで、容易に装着することができる。
【0043】
以上説明したように、上記実施の形態の暖房便座装置は、断熱性に富む材料からなる芯材36と芯材36の下部を受ける下地材37からなる基材38に直接または間接的に取り付けられたヒータ34と、ヒータ34の外側に形成した熱伝導性の良い材料からなり、表面の少なくとも一部または全体に着座行為を禁止する警告表示A及び/または突起32bからなる警告手段を設けてなる内部被覆材31とからなる便座筐体30と、便座筐体30の外側を覆うように取り付けられ、便座筐体30よりも軟質で断熱性に富む材料からなり、便座筐体30に対し着脱可能に配設されてなる外部被覆カバー材40を具備するものである。
【0044】
したがって、便座筐体30から外部被覆カバー材40が取り外されているときには、便座筐体30の内部被覆材31表面の少なくとも一部に着座行為を禁止する警告表示A及び/または突起32bからなる警告手段を設けているから、外部被覆カバー材40を取り外した状態で、人が便座筐体30の内部被覆材31に直接着座することを防止できる。特に、本発明では、内部被覆材31が熱伝導性の良い材料からなるので、便座筐体30の内部被覆材31表面の温度が比較的高くなることもあり、外部被覆カバー材40が取り外されているときには、常に、人が便座筐体30の内部被覆材31に直接着座することを防止できる。
【0045】
更に、上記実施の形態の暖房便座装置は、断熱性に富む材料からなる芯材36と芯材36の下部を受ける下地材37からなる基材38と、内側にヒータ34を配設してなる内部被覆材31とからなる便座筐体30と、便座筐体30よりも軟質で断熱性に富む材料からなり、便座筐体30の外側に着座面を覆うように便座筐体30に対し着脱可能に配設されてなる外部被覆カバー材40とを有するものであるから、外部被覆カバー材40は、ヒータ34の外側に形成した熱伝導性の良い材料からなる内部被覆材31を取り外し自在に覆うものであるから、電気的部分が含まれず、洗浄が容易になり、衛生的に管理できる。
また、内部被覆材31の内側に取り付けられたヒータ34は、そのヒータ34から便器側に流れる熱エネルギー量を少なくし、そして、外部被覆カバー材40はヒータ34の外側に形成した熱伝導性の良い材料からなる内部被覆材31を覆うものであるから、人体と接触する側の熱の感触を柔らかくすることができる。そして、外部被覆カバー材40の少なくとも使用者が着座する範囲の肉厚を略均一としたものであるから、便座に着座する箇所の温度ムラを少なくし、表面温度を略均一化することができる。
【0046】
上記実施の形態の暖房便座装置は、断熱性に富む材料からなる芯材36と芯材36の下部を受ける下地材37からなる基材38と、内側にヒータ34を配設してなる熱伝導性の高い材料からなり、表面の少なくとも一部に着座行為を禁止する警告表示A及び/または突起32bからなる警告手段を設けてなる内部被覆材31とからなる便座筐体30と、便座筐体30の外側を覆うように取り付けられ、便座筐体30よりも軟質で断熱性に富む材料からなり、便座筐体30に対し着脱可能に配設されてなる外部被覆カバー材40と、外部被覆カバー材40を便座筐体30から取り外したことを検知する押圧スイッチ50からなる離脱状態検知手段を有し、離脱状態検知手段が検知したときにはヒータ34への通電を停止したり、減少したりしてヒータ34への通電を制御する押圧スイッチ50及びヒータ34及びサーモスタットSの直列回路からなるヒータ通電制御手段を具備するものである。
【0047】
したがって、便座筐体30から外部被覆カバー材40が取り外されているときには、外部被覆カバー材40を便座筐体30から取り外したことを検知する押圧スイッチ50からなる離脱状態検知手段が動作し、押圧スイッチ50及びヒータ34及びサーモスタットSの直列回路からなるヒータ通電制御手段はヒータ34への通電を停止または減少するものであるから、外部被覆カバー材40を取り外した状態で、人が便座筐体30の内部被覆材31に直接着座したとき、ヒータ34の通電を禁止または電流を減少させることにより、便座筐体30の内部被覆材31表面の温度が高くなるのを防止する。これにより、外部被覆カバー材40が取り外されているときには、常に、人が便座筐体30の内部被覆材31に直接着座しても、熱さを感じるということがなくなる。
【0048】
更に、上記実施の形態の暖房便座装置は、外部被覆カバー材40の少なくとも使用者が着座する範囲の肉厚は、発泡倍率を略均等にしたものである。即ち、外部被覆カバー材40の少なくとも使用者が着座する範囲の肉厚を略均一に加えて、発泡倍率を略均等にしたものであるから、便座に着座する箇所の温度ムラを少なくし、表面温度を略均一化することができる。
勿論、外部被覆カバー材40の全体の肉厚は、発泡倍率を略均等にするものであればよいが、外部被覆カバー材40のデザイン自由度を得るために、少なくとも使用者が着座する範囲の肉厚の発泡倍率が略均等にしたものであればよい。
【0049】
上記実施の形態の暖房便座装置の外部被覆カバー材40には、熱伝導の良好な材料を略均一に混合させたものであるから、外部被覆カバー材40の熱伝導効率を良くすることができる。そして、外部被覆カバー材40の表面の温度ムラをなくすことができる。また、熱効率がよくなるから、ヒータの使用費電力を少なくすることができる。
【0050】
上記実施の形態の暖房便座装置の内部被覆材31には、熱伝導性の良い材料を略均一に混合させたものであるから、外部被覆カバー材40に対する熱伝導効率を良くすることができる。そして、熱伝導の良好な材料を略均一に混合させたものであるから、外部被覆カバー材40の温度ムラをなくすことができる。また、熱効率がよくなるから、ヒータ34の使用費電力を少なくすることができる。
【0051】
上記実施の形態の暖房便座装置の内部被覆材31は、少なくとも、ヒータ配設部分の全域または部分的に熱伝導性の良い材料を一体的に形成したものであるから、外部被覆カバー材40に対する熱伝導効率を良くすることができ、かつ、外部被覆カバー材40の費用面温度を均一化できる。また、熱効率がよくなるから、ヒータ34の使用費電力を少なくすることができる。ここで、少なくともは、ヒータ34の配設部分の全域またはその間にあっても部分的に熱伝導性の良い材料を一体的に形成したものであればいいことを意味し、内部被覆材31の内面の全周とすることもできる。
【0052】
上記ヒータ通電制御手段は、更に、使用者が内部被覆材31に着座したことを検知する近接スイッチからなる着座検知手段214を有し、使用者が内部被覆材31に着座した時に、ヒータ34への通電を遮断するものであるから、便座筐体30から外部被覆カバー材40が取り外されているときには、外部被覆カバー材40を便座筐体30から取り外したことを検知する押圧スイッチ50からなる離脱状態検知手段が動作し、押圧スイッチ50及びヒータ34及びサーモスタットSの直列回路からなるヒータ通電制御手段は、ヒータ34への通電量を低下させるものであるから、外部被覆カバー材40を取り外した状態で、人が便座筐体30の内部被覆材31に直接着座したとき、ヒータ34の通電電流を減じたり、遮断したりすることで、便座筐体30の内部被覆材31表面の温度が高くなるのを防止する。これにより、外部被覆カバー材40が取り外されているときには、常に、人が便座筐体30の内部被覆材31に直接着座しても、熱さを感じるということがなくなる。
【0053】
上記ヒータ34は、そのヒータ34の貼り付け範囲が便座筐体30の内部被覆材31の内部の長さ方向の範囲内で、かつ、上面に配設するものであるから、ヒータ34から便器10側に流れる芯材36の介在によって熱エネルギー量を少なくし、人体と接触する側の内部被覆材31の上面の熱エネルギーを多く、かつ、熱の感触を柔らかくすることができる。
【0054】
上記各実施の形態において説明した実施の形態の構成は、任意に複数組み合わせて使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】図1は本発明の実施の形態1の暖房便座装置の側面図である。
【図2】図2は本発明の実施の形態1の暖房便座装置の平面図である。
【図3】図3は本発明の実施の形態1の暖房便座装置の人体局部洗浄装置の平面図である。
【図4】図4は本発明の実施の形態1の暖房便座装置の人体局部洗浄装置の側面図である。
【図5】図5は本発明の実施の形態1の暖房便座装置の図4に示す切断線A−AによるA−A断面図である。
【図6】図6は本発明の実施の形態1の暖房便座装置の図4に示す切断線B−BによるB−B断面図である。
【図7】図7は本発明の実施の形態1の暖房便座装置の図4に示す切断線C−CによるC−C断面図である。
【図8】図8は本発明の実施の形態1の暖房便座装置の警告表示の一例を示す部分断面を示す要部正面図である。
【図9】図9は本発明の実施の形態1の暖房便座装置の図4に示す切断線D−DによるD−D断面図である。
【図10】図10は本発明の実施の形態1の暖房便座装置の図4に示す切断線D−DによるD−D断面による要部断面図である。
【図11】図11は本発明の実施の形態1の暖房便座装置のヒータ通電制御手段を示す回路図である。
【図12】図12は本発明の実施の形態2の暖房便座装置で、図4に示す切断線A−Aに相当する離脱状態の断面図である。
【図13】図13は本発明の実施の形態2の暖房便座装置で、図4に示す切断線A−Aに相当する断面図である。
【図14】図14は本発明の実施の形態3の暖房便座装置で、便器上に載置された図4に示す切断線A−Aに相当する断面図である。
【符号の説明】
【0056】
24 便座
30 便座筐体
31 内部被覆材
34 ヒータ
36 芯材
37 下地材
38 基材
40 外部被覆カバー材
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者が便座表面層の冷たさを感じることなく使用できるヒータ内蔵の暖房便座装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の人体局部洗浄装置等の暖房便座装置においては、ポリプロピレン等の硬質樹脂を中空に成形して、内部の上面にヒータを配設した構成のものがあった。この種の暖房便座装置は、便座が硬いことから使用者が長く座っていると、脚部が疲れたり、脚部の血行不良によってしびれが生じたりする可能性があった。また、中空形状の便座の下方に配設したヒータが常時発熱し、省エネの観点から好ましくなかった。これらの点を改良した従来の暖房便座装置として、特許文献1及び特許文献2の技術を挙げることができる。
【0003】
特許文献1に掲載の暖房便座装置は、便座表面層を熱伝達率の小さな複数の多孔質材料で構成し、便座強度を確保する部分の見かけ密度を大きくし、人体と接触する部分の見かけ密度を小さくし、着座中の人体と便座間の接触面積を小さくして、熱の移動による温度感覚を鈍化させ、低温下でも寒さを感じることがないようにしたものである。使用者により着座位置が後方側にずれた場合にも、着座面全て多孔質材料で構成しているので、強い冷刺激を受けることなくトイレを快適に使用できる。
【0004】
また、特許文献2に掲載の暖房便座装置は、合成樹脂製の基盤体とこの基盤体の上面に取り付けられたコルク製の上面体とで構成され、上面体を基盤体に対して着脱可能に取り付けることにより、上面体を基盤体から容易に取り外して水洗して再使用することで衛生的としたものである。
【特許文献1】特開2003−310481
【特許文献2】特開2004−180929
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に掲載の暖房便座装置は、硬質樹脂基板の上方に肉厚の多孔質樹脂を装着して、その内部にヒータを構成したものである。しかし、多孔質の軟質便座の内部にヒータを有し、便座全体が一体的になっているため、尿等の汚れが付着した場合、汚れが付着した部分のみの交換が容易でなく、衛生管理面で改良する必要性があった。
【0006】
また、特許文献2に掲載の暖房便座装置は、内部にヒータを有する中空形状の便座部の上面にコルク質層の座面を構成したものである。この特許文献2においても、多孔質の軟質座面(コルク質層)が装着されている下層の中空便座部分の下面からの放熱が相当大きく省エネの面で改良が必要である。また、多孔質の軟質座面(コルク質層)の突起部が、従来構造の中空便座部の上面に空いた嵌合穴に嵌合挿入して固定される構造であるから、汚れの付着による交換のための着脱を容易に行うことができず衛生管理面で改良の必要があった。
【0007】
そこで、本発明はこれらの問題点を解消すべく、ヒータから便器側に流れる熱エネルギー量を少なくし、人体と接触する側の温度ムラをなくし、熱の感触を柔らかくすると共に、衛生的に管理できる暖房便座装置の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の暖房便座装置は、断熱性に富む材料からなる基材と内側にヒータを配設してなる内部被覆材とからなる便座筐体と、前記便座筐体よりも軟質で断熱性に富む材料からなり、前記便座筐体の外側に着座面を覆うように前記便座筐体に対し着脱可能に配設されてなる外部被覆カバー材とを具備し、前記外部被覆カバー材の少なくとも使用者が着座する範囲は、その肉厚を略均一とされると共に、前記外部被覆カバー材に形成された突起と着脱可能に嵌合するものである。
ここで、上記基材は、断熱性に富む材料からなる芯材と前記芯材の下部を受ける下地材を同一断熱性の材料とすることができる。また、上記ヒータは、内部被覆材にインサートを含む直接または間接的に取り付けられるものであればよく、好ましくは、下部方向に熱エネルギーが流れないように、芯材の上部、即ち、内部被覆材の内側に配設されたものが望ましい。なお、この芯材は、必ずしも発泡材による中実である必要はなく、空間を広げた空気による断熱性を使用してもよい。
そして、上記内部被覆材は、前記ヒータの外側に形成した金属粉または短く切断した金属短繊維、金属繊維等を混在させた熱伝導性の良い材料からなり、熱伝導率の良い材料としては金属粉または金属繊維とすることができる。しかし、極端に熱伝導の良導体である必要はなく、熱伝導材料で、かつ、所定の機械的強度があれば良い。また、上記断熱性に富む材料からなる外部被覆カバー材とは、前記便座筐体に対し着脱可能に配設され、身体に対し、冷たさを感じさせない程度の少ない熱エネルギーを供給するものであるから、全体が熱伝導体でなければよい。よって、外部被覆カバー材には熱伝導を良くする金属粉、金属短繊維等を混在させた材料も使用される。
【0009】
請求項2の暖房便座装置の前記外部被覆カバー材の少なくとも使用者が着座する範囲の肉厚は、発泡倍率を略均等にしたものである。この発泡倍率は、表面のスキン層の0.5〜3mm以下を除いて略均等に発泡しているものであればよい。即ち、金型付近は比較的密度が高く、発泡が低い状態であってもよい。
【0010】
請求項3の暖房便座装置の前記内部被覆材は、熱伝導性の良い材料を略均一に混合させたものであるから、便座筐体から外部被覆カバー材に熱伝導する効率がよくなり、かつ、熱伝導性の良い材料によって略均一に温度ムラがないように、温度上昇が適当に抑制される。
【0011】
請求項4の暖房便座装置の前記内部被覆材は、熱伝導性の良い材料を略均一に混合させたものである。ここで、前記内部被覆材は、金属粉または金属繊維等を混在させた熱伝導性の良い材料で、好ましくは、機械的強度が高い材料からなり、かつ、それを均一に混在させたものであるから、ヒータの熱伝導を良好にすることができる。
【0012】
請求項5の暖房便座装置の前記内部被覆材は、少なくとも、ヒータ配設部分の全域または部分的に熱伝導性の良い材料を一体的に形成したものである。ここで、ヒータ配設部分の全域または部分的に熱伝導性の良い材料を一体的に形成とは、ヒータの配設部分の全面に熱伝導性のよい金属箔または金属薄板を接合したり、部分的に熱伝導性のよい金属箔または金属薄板を接合したりすることを意味する。
【発明の効果】
【0013】
請求項1にかかる暖房便座装置は、断熱性に富む材料からなる基材と、内側にヒータを配設してなる内部被覆材とからなる便座筐体と、前記便座筐体よりも軟質で断熱性に富む材料からなり、前記便座筐体の外側に着座面を覆うように前記便座筐体に対し着脱可能に配設されてなる外部被覆カバー材とを有するものであるから、前記外部被覆カバー材は、前記ヒータの外側に形成した熱伝導性の良い材料からなる内部被覆材を取り外し自在に覆うものであるから、外部被覆カバー材に電気的部分が含まれず、洗浄が容易になり、衛生的に管理できる。また、内部被覆材の内側に取り付けられたヒータは、そのヒータから便器側に流れる熱エネルギー量を少なくし、そして、前記外部被覆カバー材は前記ヒータの外側に形成した熱伝導性の良い材料からなる内部被覆材を覆うものであるから、人体と接触する側の熱の感触を柔らかくすることができる。更に、前記外部被覆カバー材の少なくとも使用者が着座する範囲の肉厚を略均一としたものであるから、便座に着座する箇所の温度ムラを少なくし、表面温度を略均一化することができる。
更に、前記外部被覆カバー材の少なくとも使用者が着座する範囲は、前記外部被覆カバー材に形成された突起と着脱可能に嵌合するようにしたので、当該着座範囲における前記外部被覆カバー材がフラットでない場合、使用者の体重により、前記外部被覆カバー材が前記便座筐体に対して相対移動して、分離する危倶はない。
【0014】
請求項2にかかる暖房便座装置の前記外部被覆カバー材の少なくとも使用者が着座する範囲の肉厚は、発泡倍率を略均等にしたものであるから、請求項1に記載の効果に加えて、前記外部被覆カバー材の少なくとも使用者が着座する範囲の肉厚を略均一の基に、発泡倍率を略均等にしたものであるから、便座に着座する箇所の温度ムラを少なくし、表面温度を略均一化することができる。
【0015】
請求項3にかかる暖房便座装置の前記外部被覆カバー材には、熱伝導の良好な材料を略均一に混合させたものであるから、請求項1または請求項2に記載の効果に加えて、前記外部被覆カバー材の熱伝導効率を良くすることができる。そして、熱伝導の良好な材料を略均一に混合させたものであるから、温度ムラをなくすことができる。また、熱効率がよくなるから、ヒータの使用費電力を少なくすることができる。
【0016】
請求項4にかかる暖房便座装置の前記内部被覆材には、熱伝導性の良い材料を略均一に混合させたものであるから、請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の効果に加えて、前記外部被覆カバー材に対する熱伝導効率を良くすることができる。そして、熱伝導の良好な材料を略均一に混合させたものであるから、前記外部被覆カバー材の温度ムラをなくすことができる。また、熱効率がよくなるから、ヒータの使用費電力を少なくすることができる。
【0017】
請求項5にかかる暖房便座装置の前記内部被覆材は、少なくとも、ヒータ配設部分の全域または部分的に熱伝導性の良い材料を一体的に形成したものであるから、請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の効果に加えて、前記外部被覆カバー材に対する熱伝導効率を良くすることができ、かつ、前記外部被覆カバー材の表面温度を均一化できる。また、熱効率がよくなるから、ヒータの消費電力を少なくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、本発明の実施の形態の暖房便座装置について、図を用いて説明する。なお、本実施の形態2以降において、実施の形態1または他の実施の形態と同一記号または同一符号は、上記実施の形態1または他の実施の形態と同一または相当する構成部分を示すものであるから、その詳細な説明を省略し、主に相違点のみ説明する。
[実施の形態1]
【0019】
図1は本発明の実施の形態1の暖房便座装置の平面図を、図2は同じく側面図を示すものである。図3は本発明の実施の形態1の暖房便座装置の人体局部洗浄装置の側面図であり、図4は図3の平面図を示すものである。
また、図5は本発明の実施の形態1の暖房便座装置の図4に示す切断線A−AによるA−A断面図、図6は本発明の実施の形態1の暖房便座装置の図4に示す切断線B−BによるB−B断面図、図7は本発明の実施の形態1の暖房便座装置の図4に示す切断線C−CによるC−C断面図である。
【0020】
図1乃至図4において、10は便器で、公知の形態を有し、20は人体局部洗浄装置で、便器10の上に載置される。21は人体局部洗浄装置20の後部装置収納部、21aは後部装置収納部21の上部カバー、21bは後部装置収納部21のべ一ス部材で、23は便蓋、24は便座で、後部装置収納部21に回動自在に取り付けられている。
後部装置収納部21のべ一ス部材21bには、便座24のヒータ通電制御手段を構成する電気制御を含む電気制御基板ユニット211、図示しない温水洗浄ノズルを備える洗浄機構212、備える洗浄機構212に温水を供給する温水供給系ユニット213、赤外線検出、超音波検出、押圧力検出等の検出手段を有する近接スイッチからなる着座検知手段214が配設されている。ヒータ通電制御手段を除き、何れも公知の構成であるから、その詳細な説明を省略する。
【0021】
図5乃至図7において、便座24は、概略、断熱性に富む材料からなる芯材36と、芯材36の下部を受ける下地材37からなる基材38と、熱伝導性の良い材料からなり、内側にチュービングヒータからなるヒータ34を配設してなる内部被覆材31とからなる便座筐体30と、便座筐体30の外側に着座面を覆うように取り付けられ、便座筐体30よりも軟質で断熱性に富む材料からなり、便座筐体30に対し着脱可能に配設されてなる外部被覆カバー材40によって構成されている。
【0022】
詳しくは、断熱性に富む材料からなる芯材36は、熱絶縁性がよいもの、即ち、熱伝導が悪い材料の無機または有機の発泡体等から形成され、質量も小さくまとめられている。芯材36の下部を受ける下地材37は、便器10の上面に対向する面を有するもので、意匠性を考慮した材料及び形状であり、好ましくは、熱伝導が悪い材料の無機または有機の発泡体から形成される。なお、芯材36及び下地材37は、一体に同一材料で成形し、それを断熱性に富む材料からなる基材38としてもよい。
【0023】
断熱性に富む材料からなる芯材36の上面を覆うように、内部被覆材31が接合されている。内部被覆材31には、その内面にアルミ箔35に固着したヒータ34が接合されている。ヒータ34の内側の面は、芯材36の外面に接するように、内部被覆材31に接合され一体化されている。
外部被覆カバー材40は、使用者が着座する範囲が略均等肉厚で、かつ、発泡倍率が略均一となるように成形されたものである。したがって、ヒータ34からの熱を均一に伝達することができる。また、便座筐体30の内部被覆材31は、金属粉または金属短繊維、金属繊維等の熱伝導性の高い材料を混合させた場合には、ヒータ34からの熱伝導が良好で、かつ、熱伝導が均一化されることによって、外部被覆カバー材40の表面温度が均一に保持される。
外部被覆カバー材40は、その開口端部が部分的に内側に突出する係合部40aを形成している。係合部40aは、内部被覆材31の外表面の凹部31dに嵌合し、着座してからの人の移動で外部被覆カバー材40が容易に離脱しないようにしている。これら係合部40a及び凹部31dは、全周に形成してもよいし、その周方向の水平距離で5〜15cmの範囲で分割しても設けてもよい。
【0024】
また、内部被覆材31は、必要に応じて、金属粉または金属短繊維、金属繊維等の熱伝導率の高い材料を混合するものであるから、ヒータ34からの熱伝導が良好で外部被覆カバー材40の表面温度も略均一化され、その消費電力も抑制することができ、省エネにも繋がる。外部被覆カバー材40に対しても、必要に応じて、金属粉または金属短繊維等の熱伝導性の高い材料を若干混合させることが望ましい。
そして、便座筐体30の内部被覆材31の内面に配設されたヒータ34は、対向する外部被覆カバー材40の人が着座する範囲内に収まっているので、外部被覆カバー材40に覆われていない便座筐体30の基材38の下地材37に高温が伝達されることがなくなるから、温度の安定性が高く、その損失も少ない。
なお、基材38の下地材37の下部に配設された脚部39は、便器10の上面に載置される部分で、基材38の下地材37の全面が便器10の上面に接するよりも、その接触面積を少なくすることで、熱エネルギーの損失をより少なくしている。これら芯材36及び下地材37、脚部39は、一体に基材38として同一材料で成形してもよい。
【0025】
便座筐体30と内部被覆材31とは、便座筐体30側の下地材37に形成した凹溝37aに内部被覆材31の端部に形成した凸条31aを挿入し、複数箇所設定した内部被覆材31の螺子止凸部31bと、基材38の下地材37に形成した螺子嵌合部37bとの間を螺子33で螺子止めして固着される。このとき、便座筐体30側の下地材37に形成した凹溝37aと内部被覆材31の端部に形成した凸条31aとは接着剤で接合してもよい。
この螺子33で螺子止めして固着される個所、係合部40aと外表面の凹段部31dとの嵌合個所は、通常、複数箇所設定される。
【0026】
また、便座筐体30の後部の内部被覆材31には、使用者が着座したとき、使用者の臀部の尾垳骨に対向する位置に突起32bが形成されている。具体的には、便座筐体30の内部被覆材31の後方のほぼ中央部に直径8〜15mm程度の横幅で高さ3〜6mm程度の突起32bが設けられ、外部被覆カバー材40の対応する箇所には同様の寸法の凹部40bがある。これにより使用者が外部被覆カバー材40の装着を忘れたままで着座しようとしても突起32bに気づき、着座し続けることに無理がある。このように、暖房便座24の外部被覆カバー材40を取り外すと、便座筐体30の内部被覆材31の所定の表面箇所に使用者の着座を禁止する表示があるので、これにより使用者が外部被覆カバー材40を装着し忘れたままで着座しようとしても、突起32bに気づいて着座し続けることがなくなる。
なお、便器10の内部空間に向かって傾斜している外部被覆カバー材40の着座範囲の凹部40bと内部被覆材31に形成された突起32bとは嵌合しているので、着座範囲に着座した使用者の体重が外部被覆カバー材40に作用して、外部被覆カバー材40が便座筐体30に対して相対移動するから分離する危惧はない。
【0027】
図8は本発明の実施の形態1の暖房便座装置の警告表示の一例を示す部分断面を示す要部正面図である。
図8に示すように、便座筐体30の後部の内部被覆材31には、その上面に「熱いので座らない」、「熱いので座らないで下さい」、「熱いので注意」、「着座しないで下さい」等の文字で警告表示Aがなされている。外部被覆カバー材40が取り外されている状態で内部被覆材31に着座したとき、通常の外部被覆カバー材40を介しての使用状態のときよりも温度が高くなっている可能性を示唆する。この表示は、便座筐体30の後部の内部被覆材31には横書きで、便座筐体30の両側の内部被覆材31には縦書きで表示するのが望ましい。また、単なる模様と認識されないように、明確な表現が必要である。
なお、警告表示Aの文字は、本実施の形態のヒータ34の外側に形成した熱伝導性の良い材料からなる内部被覆材31の表面の少なくとも一部に着座行為を禁止する警告手段を構成する。
【0028】
本発明を実施する場合の警告手段の警告表示Aは、外部被覆カバー材40を取り付ける便座筐体30の表面の少なくとも一部に着座行為を禁止する表示を設けたもので、着座しようとしたとき、それを思い止めるような文字、イラスト、記号等の表示であればよい。この着座による問題を表示する箇所は、便座筐体30の内部被覆材31の表面の数箇所に分散して表記してもよい。これにより、外部被覆カバー材40が装着された状態で暖房便座を運転すると、外部被覆カバー材40の表面が適温となっている状態では、外部被覆カバー材40の内部の便座筐体30の内部被覆材31は温度勾配により適温より高い温度となっていることから、熱すぎる内部被覆材31に着座することを避けることができる。
【0029】
図9は本発明の実施の形態1の暖房便座装置の図4に示す切断線D−DのD−D断面図、図10は本発明の実施の形態1の暖房便座装置の図4に示す切断線D−DのD−D断面による要部断面図である。そして、図11は本発明の実施の形態1の暖房便座装置のヒータ通電制御手段を示す複数の事例の回路図である。
図9及び図10において、外部被覆カバー材40を便座筐体30の内部被覆材31から取り外したことを検知する離脱状態検知手段として押圧スイッチ50は、マイクロスイッチからなり、そのハウジング55が下地材37の上面に取り付けられていて、内部被覆材31に穿設された貫通孔31eを通り、その頭部が内部被覆材31に形成された凹段部31dにまで到達している。ハウジング55の上部から突出した操作杆51は、外部被覆カバー材40が被せられているとき、外部被覆カバー材40によって押さえられて押圧スイッチ50が閉じ、外部被覆カバー材40が被せられていないとき押圧スイッチ50が開くように上方に突出している。ハウジング55の上部から突出した操作杆51には、ゴムキャップ54を被せ、そのゴムキャップ54の周囲は固定リング53で固着し、水等の液体が操作杆51側に流れ込まないようにしている。
【0030】
このように、便座筐体30の内部被覆材31のヒータ34及び均一に放熱させるためのアルミ箔35が配設されていない箇所に、押圧スイッチ50が設けられている。押圧スイッチ50の先端の操作杆51は、外部被覆カバー材40の装着により下方へ押し下げられてヒータ34への通電を許容するよう接点が閉じる。また、押圧スイッチ50の操作杆51には、ゴムキヤップ54が固定リング53によって水密に取り付けられている。
【0031】
本発明の実施の形態1の暖房便座装置のヒータ通電制御手段は、図11に示す回路図を使用している。
図11の(a)のヒータ通電制御手段は、2本並列接続されてなるヒータ34と押圧スイッチ50の直列回路に対してサーモスタットSが接続されている。したがって、外部被覆カバー材40が被せられているとき、外部被覆カバー材40によって押さえられてスイッチが入り、外部被覆カバー材40が被せられていないときスイッチが切れる押圧スイッチ50によって、外部被覆カバー材40が被せられていないときヒータ34に通電されない。よって、外部被覆カバー材40を取り外すことにより、押圧スイッチ50は操作杆51がゴムキヤップ54と共に突出してヒータ34への通電を停止するように制御される。これによって使用者は、外部被覆カバー材40を取り外したままで暖房便座として着座しても、ヒータ34に通電されないので高温になった便座筐体30の内部被覆材31の表面に触れることがなくなる。
【0032】
図11の(b)のヒータ通電制御手段は、2本並列接続されてなるヒータ34と2極の押圧スイッチ50の直列回路に対してサーモスタットSが接続されている。そして、2極の押圧スイッチ50が開放されたとき、押圧スイッチ50の一方の極にダイオードDが投入されるように接続されている。押圧スイッチ50が投入されているときには、ダイオードDには殆ど電流が流れないが、外部被覆カバー材40を取り外したとき、押圧スイッチ50が開となり、ダイオードDを介して、1本のヒータ34に電流が流れる。このとき、ヒータ34の2本が均一な抵抗であれば、押圧スイッチ50が開のとき、商用電源の半波整流した電流が供給されるから1/4の電流が流れることになる。結果、消費電力は1/4になる。
したがって、外部被覆カバー材40が被せられているとき、外部被覆カバー材40によって押さえられて接点が閉じ、外部被覆カバー材40が被せられていないとき接点が開くと、2極の押圧スイッチ50によって、外部被覆カバー材40が被せられていないときヒータ34に2本のヒータ34を並列接続した場合の1/4の電流が流れる。
【0033】
よって、外部被覆カバー材40を取り外すことにより、押圧スイッチ50は操作杆51がゴムキヤップ54と共に突出してヒータ34への通電を減少させるように制御される。簡単な回路で通電電流の減少を行うことができる。
これによって使用者は、外部被覆カバー材40を取り外したままで暖房便座として使用しても、ヒータ34の電力が1/4に減少するので、サーモスタットSが機能する程度に通電されないので便座筐体30の内部被覆材31の表面が高温になることがないから、お尻に不快な熱さを感じることがない。
【0034】
図11の(c)のヒータ通電制御手段は、2本並列接続されてなるヒータ34と2極の押圧スイッチ50の直列回路に対してサーモスタットSが接続されている。そして、2極の押圧スイッチ50が開放したとき、その一方にダイオードDが投入され、そして、そのダイオードDに対して近接スイッチからなる着座検知手段214を直列接続されている。
押圧スイッチ50が投入されているときには、ダイオードDには電流が流れないが、外部被覆カバー材40を取り外したとき、押圧スイッチ50が開となり、ダイオードDを介して、1本のヒータ34に電流が流れる。このとき、ヒータ34の2本が均一な抵抗であれば、押圧スイッチ50が開のとき、半波整流した電流が供給されるから、2本のヒータ34を並列接続した場合の1/4の電流が流れることになる。消費電力は1/4になる。
【0035】
したがって、外部被覆カバー材40が被せられているとき、外部被覆カバー材40によって押さえられてスイッチが入り、外部被覆カバー材40が被せられていないときスイッチが切れる2極の押圧スイッチ50によって、外部被覆カバー材40が被せられていないときヒータ34に1/4の電流が流れる。
ここで、外部被覆カバー材40が被せられていないとき、使用者が暖房便座24として内部被覆材31に着座しても、それまでの消費電力が小さく、かつ、ヒータ34に通電されないので高温になった便座筐体30の内部被覆材31の表面に触れることがなくなる。
【0036】
よって、外部被覆カバー材40を取り外すことにより、押圧スイッチ50は操作杆51がゴムキヤップ54と共に突出してヒータ34への通電を減少させるように制御される。これによって使用者は、外部被覆カバー材40を取り外したままで暖房便座として着座しても、ヒータ34の電力が1/4に減少しており、かつ、通電が遮断されるので、便座筐体30の内部被覆材31の表面が高温になることがない。このことは、仮に、外部被覆カバー材40を取り外したまま、使用者がうっかり着座しようとしても、便座筐体30から外部被覆カバー材40が取り外されたことを検知する押圧スイッチ50がそれを検知し、通電を停止するので、冬季等で直前まで高温で使用していても便座筐体30にうっかり触れることによる危険性を回避できる。
また、使用者が着座したとしても、ヒータ34を停止または通電量を少なくするので、高齢者や皮膚の弱い人が長時間着座していても、不快感や低温火傷をすることがない。
【0037】
図11(d)のヒータ通電制御手段は、2本並列接続されてなるヒータ34と押圧スイッチ50の直列回路に対してサーモスタットS及び近接スイッチからなる着座検知手段214が直列に接続されている。外部被覆カバー材40が被せられているとき、外部被覆カバー材40によって押さえられてスイッチが入り、外部被覆カバー材40が被せられていないときスイッチが切れる押圧スイッチ50によって、外部被覆カバー材40が被せられていないとき、ヒータ34に通電されない。また、着座検知手段214は、外部被覆カバー材40の上に着座したとき開となり、外部被覆カバー材40の上に着座していないとき閉となる。これによって使用者は、外部被覆カバー材40を取り外したままで暖房便座として着座しても、ヒータ34に通電されないので高温になった便座筐体30の内部被覆材31の表面に触れることがなくなる。
【0038】
したがって、外部被覆カバー材40を取り外すことにより、押圧スイッチ50は操作杆51がゴムキヤップ54と共に突出してヒータ34への通電を停止するように制御される。また、外部被覆カバー材40が取り外されていないときでも、近接スイッチからなる着座検知手段214が人の着座を検出して回路を開くから、長時間着座する人でも、低温加熱による低温火傷にならなくなる。
また、着座検知手段214が人の着座を検出して回路を開くから、外部被覆カバー材40を取り外しているときには、二重の安全性を持たせることになる。
[実施の形態2]
【0039】
図12は本発明の実施の形態2の暖房便座装置で、図4に示す切断線A−Aに相当する離脱状態の断面図、図13は本発明の実施の形態2の暖房便座装置で、図4に示す切断線A−Aに相当する断面図である。
図12及び図13において、便座筐体30の内部被覆材31の上面側には、接着布60の鍵状布片62が2列設けられている。外部被覆カバー材40の内側にも、内部被覆材31接着布60の鍵状布片62に対抗する位置に2列の環状布片61が設けられている。鍵状布片62は、鍵状の樹脂糸の端部を有する布片であり、環状布片61は、ループ状の樹脂糸の端部を有する布片であり、両者間を合わせることにより接合し、両者を離すことにより分離することができる公知の接着布60を構成する。なお、内部被覆材31の上面側に鍵状布片62が2列、外部被覆カバー材40の内側にも、環状布片61が2列設けられているが、本発明を実施する場合には、1列以上設ければよい。特に、本実施の形態では、外部被覆カバー材40の内側に環状布片61が設けられているものであるから、洗濯機等で外部被覆カバー材40を洗濯しても、繊維の糸くず等が環状布片61に巻き着くことが回避できる。
【0040】
また、外部被覆カバー材40が被せられる便座筐体30の内部被覆材31の内周縁を基準とした便座筐体30の内部被覆材31の外周縁までの寸法L2は、対応する外部被覆カバー材40の内周縁を基準とした開口両端の内側縁までの寸法L1より若干(3〜6mm程度)大きい寸法となっている。この寸法差によって、外部被覆カバー材40を便座筐体30の内部被覆材31を位置合わせして被せることによって、適度な緊迫力を得て弾接することができる。また、着脱を行う場合でも適切な緊迫力によって容易に外すことができる。
したがって、図13のように、便座筐体30の内部被覆材31の上面側に外部被覆カバー材40を被せることにより、鍵状布片62と環状布片61が接合し、便座筐体30の内部被覆材31と外部被覆カバー材40が一体化される。この状態では、使用者が着座した状態で体重移動または臀部をずらせても、外部被覆カバー材40が内部被覆材31からずれることを防止できる。
[実施の形態3]
【0041】
図14は本発明の実施の形態3の暖房便座装置で、便器上に載置された図4に示す切断線A−Aに相当する断面図である。
上記実施の形態1及び実施の形態2では、ヒータ34間に空気層を形成するものであったが、本発明を実施する場合には、必ずしもヒータ34間に空気層を形成する必要はない。
図14の実施の形態は、ヒータ34を所定の熱伝導率のよい絶縁体の樹脂35aによって収容し、その両側に芯材36及び内部被覆材31を形成したものである。芯材36と下地材37との間には空気層36aを有するが、中実の発泡体で形成した芯材36と特性的には違いはない。このように、本実施の形態は、断熱性に富む材料からなる芯材36と芯材36の下部を受ける下地材37からなる基材38と、熱伝導性の良い材料からなり、内側にヒータ34を配設した所望の機械的強度を有する内部被覆材31とからなる便座筐体30とを具備するものである。
便座筐体30の内部被覆材31の上面側には、磁石手段80のソリッド磁石板82が2列設けられている。外部被覆カバー材40の内側には、内部被覆材31のソリッド磁石板82に対抗する位置に2列のステンレス板81が設けられている。なお、本発明を実施する場合には、磁石手段80として一対のソリッド磁石板82を対向させてもよい。即ち、磁石手段80は、一方の磁石とその接合体を意味する。
【0042】
したがって、便座筐体30の内部被覆材31の上面側に外部被覆カバー材40を被せることにより、ソリッド磁石板82とステンレス板81が接合し、便座筐体30の内部被覆材31と外部被覆カバー材40が一体化される。この状態では、使用者が着座した状態で体重移動または臀部をずらせても、外部被覆カバー材40が内部被覆材31からずれることが防止できる。
また、下地材37の両外側には、手の指が入る窪み部75が複数形成されていて、その窪み部75に指を入れて上方に力を付与すれば、外部被覆カバー材40の内側の凸部40cは内部被覆材31の凹部31cから外れ、かつ、磁石手段80のステンレス板81とソリッド磁石板82との吸引力に打ち勝って、外部被覆カバー材40を取り外すことができる。逆に、外部被覆カバー材40は、便座筐体30の内部被覆材31に被せるだけで、容易に装着することができる。
【0043】
以上説明したように、上記実施の形態の暖房便座装置は、断熱性に富む材料からなる芯材36と芯材36の下部を受ける下地材37からなる基材38に直接または間接的に取り付けられたヒータ34と、ヒータ34の外側に形成した熱伝導性の良い材料からなり、表面の少なくとも一部または全体に着座行為を禁止する警告表示A及び/または突起32bからなる警告手段を設けてなる内部被覆材31とからなる便座筐体30と、便座筐体30の外側を覆うように取り付けられ、便座筐体30よりも軟質で断熱性に富む材料からなり、便座筐体30に対し着脱可能に配設されてなる外部被覆カバー材40を具備するものである。
【0044】
したがって、便座筐体30から外部被覆カバー材40が取り外されているときには、便座筐体30の内部被覆材31表面の少なくとも一部に着座行為を禁止する警告表示A及び/または突起32bからなる警告手段を設けているから、外部被覆カバー材40を取り外した状態で、人が便座筐体30の内部被覆材31に直接着座することを防止できる。特に、本発明では、内部被覆材31が熱伝導性の良い材料からなるので、便座筐体30の内部被覆材31表面の温度が比較的高くなることもあり、外部被覆カバー材40が取り外されているときには、常に、人が便座筐体30の内部被覆材31に直接着座することを防止できる。
【0045】
更に、上記実施の形態の暖房便座装置は、断熱性に富む材料からなる芯材36と芯材36の下部を受ける下地材37からなる基材38と、内側にヒータ34を配設してなる内部被覆材31とからなる便座筐体30と、便座筐体30よりも軟質で断熱性に富む材料からなり、便座筐体30の外側に着座面を覆うように便座筐体30に対し着脱可能に配設されてなる外部被覆カバー材40とを有するものであるから、外部被覆カバー材40は、ヒータ34の外側に形成した熱伝導性の良い材料からなる内部被覆材31を取り外し自在に覆うものであるから、電気的部分が含まれず、洗浄が容易になり、衛生的に管理できる。
また、内部被覆材31の内側に取り付けられたヒータ34は、そのヒータ34から便器側に流れる熱エネルギー量を少なくし、そして、外部被覆カバー材40はヒータ34の外側に形成した熱伝導性の良い材料からなる内部被覆材31を覆うものであるから、人体と接触する側の熱の感触を柔らかくすることができる。そして、外部被覆カバー材40の少なくとも使用者が着座する範囲の肉厚を略均一としたものであるから、便座に着座する箇所の温度ムラを少なくし、表面温度を略均一化することができる。
【0046】
上記実施の形態の暖房便座装置は、断熱性に富む材料からなる芯材36と芯材36の下部を受ける下地材37からなる基材38と、内側にヒータ34を配設してなる熱伝導性の高い材料からなり、表面の少なくとも一部に着座行為を禁止する警告表示A及び/または突起32bからなる警告手段を設けてなる内部被覆材31とからなる便座筐体30と、便座筐体30の外側を覆うように取り付けられ、便座筐体30よりも軟質で断熱性に富む材料からなり、便座筐体30に対し着脱可能に配設されてなる外部被覆カバー材40と、外部被覆カバー材40を便座筐体30から取り外したことを検知する押圧スイッチ50からなる離脱状態検知手段を有し、離脱状態検知手段が検知したときにはヒータ34への通電を停止したり、減少したりしてヒータ34への通電を制御する押圧スイッチ50及びヒータ34及びサーモスタットSの直列回路からなるヒータ通電制御手段を具備するものである。
【0047】
したがって、便座筐体30から外部被覆カバー材40が取り外されているときには、外部被覆カバー材40を便座筐体30から取り外したことを検知する押圧スイッチ50からなる離脱状態検知手段が動作し、押圧スイッチ50及びヒータ34及びサーモスタットSの直列回路からなるヒータ通電制御手段はヒータ34への通電を停止または減少するものであるから、外部被覆カバー材40を取り外した状態で、人が便座筐体30の内部被覆材31に直接着座したとき、ヒータ34の通電を禁止または電流を減少させることにより、便座筐体30の内部被覆材31表面の温度が高くなるのを防止する。これにより、外部被覆カバー材40が取り外されているときには、常に、人が便座筐体30の内部被覆材31に直接着座しても、熱さを感じるということがなくなる。
【0048】
更に、上記実施の形態の暖房便座装置は、外部被覆カバー材40の少なくとも使用者が着座する範囲の肉厚は、発泡倍率を略均等にしたものである。即ち、外部被覆カバー材40の少なくとも使用者が着座する範囲の肉厚を略均一に加えて、発泡倍率を略均等にしたものであるから、便座に着座する箇所の温度ムラを少なくし、表面温度を略均一化することができる。
勿論、外部被覆カバー材40の全体の肉厚は、発泡倍率を略均等にするものであればよいが、外部被覆カバー材40のデザイン自由度を得るために、少なくとも使用者が着座する範囲の肉厚の発泡倍率が略均等にしたものであればよい。
【0049】
上記実施の形態の暖房便座装置の外部被覆カバー材40には、熱伝導の良好な材料を略均一に混合させたものであるから、外部被覆カバー材40の熱伝導効率を良くすることができる。そして、外部被覆カバー材40の表面の温度ムラをなくすことができる。また、熱効率がよくなるから、ヒータの使用費電力を少なくすることができる。
【0050】
上記実施の形態の暖房便座装置の内部被覆材31には、熱伝導性の良い材料を略均一に混合させたものであるから、外部被覆カバー材40に対する熱伝導効率を良くすることができる。そして、熱伝導の良好な材料を略均一に混合させたものであるから、外部被覆カバー材40の温度ムラをなくすことができる。また、熱効率がよくなるから、ヒータ34の使用費電力を少なくすることができる。
【0051】
上記実施の形態の暖房便座装置の内部被覆材31は、少なくとも、ヒータ配設部分の全域または部分的に熱伝導性の良い材料を一体的に形成したものであるから、外部被覆カバー材40に対する熱伝導効率を良くすることができ、かつ、外部被覆カバー材40の費用面温度を均一化できる。また、熱効率がよくなるから、ヒータ34の使用費電力を少なくすることができる。ここで、少なくともは、ヒータ34の配設部分の全域またはその間にあっても部分的に熱伝導性の良い材料を一体的に形成したものであればいいことを意味し、内部被覆材31の内面の全周とすることもできる。
【0052】
上記ヒータ通電制御手段は、更に、使用者が内部被覆材31に着座したことを検知する近接スイッチからなる着座検知手段214を有し、使用者が内部被覆材31に着座した時に、ヒータ34への通電を遮断するものであるから、便座筐体30から外部被覆カバー材40が取り外されているときには、外部被覆カバー材40を便座筐体30から取り外したことを検知する押圧スイッチ50からなる離脱状態検知手段が動作し、押圧スイッチ50及びヒータ34及びサーモスタットSの直列回路からなるヒータ通電制御手段は、ヒータ34への通電量を低下させるものであるから、外部被覆カバー材40を取り外した状態で、人が便座筐体30の内部被覆材31に直接着座したとき、ヒータ34の通電電流を減じたり、遮断したりすることで、便座筐体30の内部被覆材31表面の温度が高くなるのを防止する。これにより、外部被覆カバー材40が取り外されているときには、常に、人が便座筐体30の内部被覆材31に直接着座しても、熱さを感じるということがなくなる。
【0053】
上記ヒータ34は、そのヒータ34の貼り付け範囲が便座筐体30の内部被覆材31の内部の長さ方向の範囲内で、かつ、上面に配設するものであるから、ヒータ34から便器10側に流れる芯材36の介在によって熱エネルギー量を少なくし、人体と接触する側の内部被覆材31の上面の熱エネルギーを多く、かつ、熱の感触を柔らかくすることができる。
【0054】
上記各実施の形態において説明した実施の形態の構成は、任意に複数組み合わせて使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】図1は本発明の実施の形態1の暖房便座装置の側面図である。
【図2】図2は本発明の実施の形態1の暖房便座装置の平面図である。
【図3】図3は本発明の実施の形態1の暖房便座装置の人体局部洗浄装置の平面図である。
【図4】図4は本発明の実施の形態1の暖房便座装置の人体局部洗浄装置の側面図である。
【図5】図5は本発明の実施の形態1の暖房便座装置の図4に示す切断線A−AによるA−A断面図である。
【図6】図6は本発明の実施の形態1の暖房便座装置の図4に示す切断線B−BによるB−B断面図である。
【図7】図7は本発明の実施の形態1の暖房便座装置の図4に示す切断線C−CによるC−C断面図である。
【図8】図8は本発明の実施の形態1の暖房便座装置の警告表示の一例を示す部分断面を示す要部正面図である。
【図9】図9は本発明の実施の形態1の暖房便座装置の図4に示す切断線D−DによるD−D断面図である。
【図10】図10は本発明の実施の形態1の暖房便座装置の図4に示す切断線D−DによるD−D断面による要部断面図である。
【図11】図11は本発明の実施の形態1の暖房便座装置のヒータ通電制御手段を示す回路図である。
【図12】図12は本発明の実施の形態2の暖房便座装置で、図4に示す切断線A−Aに相当する離脱状態の断面図である。
【図13】図13は本発明の実施の形態2の暖房便座装置で、図4に示す切断線A−Aに相当する断面図である。
【図14】図14は本発明の実施の形態3の暖房便座装置で、便器上に載置された図4に示す切断線A−Aに相当する断面図である。
【符号の説明】
【0056】
24 便座
30 便座筐体
31 内部被覆材
34 ヒータ
36 芯材
37 下地材
38 基材
40 外部被覆カバー材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱性に富む材料からなる基材と内側にヒータを配設してなる内部被覆材とからなる便座筐体と、
前記便座筐体よりも軟質で断熱性に富む材料からなり、前記便座筐体の外側に着座面を覆うように前記便座筐体に対し着脱可能に配設されてなる外部被覆カバー材と
を具備し、前記外部被覆カバー材の少なくとも使用者が着座する範囲は、その肉厚を略均一とされると共に、前記外部被覆カバー材に形成された突起と着脱可能に嵌合することを特徴とする暖房便座装置。
【請求項2】
前記外部被覆カバー材の少なくとも使用者が着座する範囲の肉厚は、発泡倍率を略均等にしたことを特徴とする請求項1に記載の暖房便座装置。
【請求項3】
前記外部被覆カバー材には、熱伝導の良好な材料を略均一に混合させたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の暖房便座装置。
【請求項4】
前記内部被覆材には、熱伝導性の良い材料を略均一に混合させたことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の暖房便座装置。
【請求項5】
前記内部被覆材には、少なくとも、ヒータ配設部分の全域または部分的に熱伝導性の良い材料を一体的に設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の暖房便座装置。
【請求項1】
断熱性に富む材料からなる基材と内側にヒータを配設してなる内部被覆材とからなる便座筐体と、
前記便座筐体よりも軟質で断熱性に富む材料からなり、前記便座筐体の外側に着座面を覆うように前記便座筐体に対し着脱可能に配設されてなる外部被覆カバー材と
を具備し、前記外部被覆カバー材の少なくとも使用者が着座する範囲は、その肉厚を略均一とされると共に、前記外部被覆カバー材に形成された突起と着脱可能に嵌合することを特徴とする暖房便座装置。
【請求項2】
前記外部被覆カバー材の少なくとも使用者が着座する範囲の肉厚は、発泡倍率を略均等にしたことを特徴とする請求項1に記載の暖房便座装置。
【請求項3】
前記外部被覆カバー材には、熱伝導の良好な材料を略均一に混合させたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の暖房便座装置。
【請求項4】
前記内部被覆材には、熱伝導性の良い材料を略均一に混合させたことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の暖房便座装置。
【請求項5】
前記内部被覆材には、少なくとも、ヒータ配設部分の全域または部分的に熱伝導性の良い材料を一体的に設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の暖房便座装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−334163(P2006−334163A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−162972(P2005−162972)
【出願日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】
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