説明

暖房便座

【課題】 ヒータ線とリード線の接続部の熱耐久性不足によるヒータ線の破損を防止し、またヒータ線とリード線径に違いがある場合に、ヒータ線が被加熱物と接触が出来ず、熱伝達不良により高温になるのを防止する暖房便座を提供すること。
【解決手段】 暖房便座は、アルミ製の便座1と、便座1内に設けられるヒータ線11を有するヒータ10と、ヒータ線11へ電力を供給するリード線12と、ヒータ線11と前記リード線12が接続する電極部21を有しヒータ線11とリード線12の高さを調整し絶縁材料から成るヒータ線ガイド20とから構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、暖房機能を有する便座に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の暖房便座として、ヒータ線の一部を便座本体間に設けられた凹部内を通過させ、サーモスイッチの両端部を便座本体に取り付けて、サーモスイッチの感熱部をヒータ線と当接させるものがある(特許文献1参照)。
【0003】
また、着座部を金属で形成した暖房便座において、面状に形成した発熱体ユニットと着座部との間に間隙(又は断熱材)を設けた断熱部と、断熱部に対応した部分の発熱体ユニットに異常温度上昇を検知して回路を遮断するサーモスイッチを備えるものがある(特許文献2参照)。
【0004】
更に、着座部を有する便座と、便座の裏面に設けた発熱体と、発熱体に接続し、便座の異常温度上昇を検知して発熱体への通電を遮断するサーモスタットを備え、発熱体への通電が開始されると、サーモスタットの感熱部の温度が着座部の温度よりも高くなるものがある(特許文献3参照)。
【0005】
更にその上、着座部を有する便座と、便座の裏面に設けた発熱体と、発熱体に接続し、便座の異常温度上昇を検知して発熱体への通電を遮断するサーモスタットと、発熱体の通電を制御して着座部の温度を制御する制御部と、着座部の温度を検知するサーミスタと、室温サーミスタを備え、制御部は、サーミスタと室温サーミスタの信号に基づいてサーモスタットのオフ動作温度よりも低い便座制御温度で着座部の温度を制御することにより、発熱体で着座部を均一に、かつ速やかに暖房し、便座温度の異常を速やかに検知して温度が上がりすぎることのないようにするものがある(特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭54−4552号公報
【特許文献2】特開2005−192896号公報
【特許文献3】特開2007−252941号公報
【特許文献4】特開2007−252942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術では、ヒータ線にサーモスタットやセンサなどを設置し過昇温を検知し、事前に通電を止める安全装置を提供していた。またヒータ線の一部に絶縁材や空隙を設置し、ヒータ線の一部を他のヒータ部よりも温度が高くなるようにし、過昇温検知を早めている。
【0008】
しかしながら、ヒータ線と電力を供給するリード線の接続部では、絶縁性の確保のため絶縁体で保護するため、充分な放熱が出来ず熱ごもりが発生する問題がある。特に便座が金属で構成されヒータの発熱量が大きい場合、このヒータ線とリード線の接続部がサーモスタットやセンサの設置部より高温になるため、接続部の熱耐久性不足によりヒータ線に損傷を与え漏電等の問題を引き起こす虞がある。また、ヒータ線の線形(例えば、300μm)とリード線の線径(例えば、3mm)が大きく異なる場合、ヒータ線が被加熱物から浮いて(接触しないで)、熱伝達(熱拡散、熱分散)不良により高温になる虞がある。
【0009】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑みて成されたものであり、ヒータ線とリード線の接続部の熱耐久性不足によるヒータ線の破損を防止すること、また、ヒータ線とリード線径に違いがある場合に、ヒータ線が被加熱物から浮いて、熱伝達不良により高温になるのを防止する、暖房便座を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の課題解決手段は、金属製の便座と、前記便座内に設けられるヒータ線を有するヒータと、前記ヒータ線へ電力を供給するリード線と、前記ヒータ線と前記リード線が接続する電極部を有し前記ヒータ線と前記リード線の高さを調整し絶縁材料から成るガイド部材と、を備える構成としたことである。
【0011】
この場合、前記ガイド部材は、前記電極部には段部を形成し、前記ヒータ線側にはスロープ部を形成する構成であると良い。
【0012】
また、前記ガイド部材は、前記電極部を被うカバー部材を備えると良い。
【0013】
更に、前記ガイド部材は、前記ヒータ線の温度を検知する温度検知センサを備えると良い。
【0014】
更にその上、前記ヒータ線と前記温度検知センサの間には放熱部材が設けられる構成であると良い。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、ヒータ線とリード線が接続する電極部を有しヒータ線とリード線の高さを調整する絶縁材料から成るガイド部材を備えるため、ヒータ線とリード線の径の差により生じる段差を吸収し、ヒータ線の浮きを防ぐことができる。よって、ヒータ線の浮きに起因するヒータ線の過昇温を抑えることができ、ヒータ線とリード線の電極部の熱耐久性不足によるヒータ線の破損を防止する。また、温度検知センサ等の故障などで温度検知ができずヒータ線が破損したとしても、電極部は絶縁状態が維持されるため漏電等の虞がない。
【0016】
この場合、ガイド部材は、電極部には段部を形成し、ヒータ線側にはスロープ部を形成するため、電極部ではヒータ線の線径とリード線の線径の違いにより生じる段差を吸収し、またスロープ部では線径の小さなヒータ線がガイド部材との接触を維持できるため、ヒータ線の浮きに起因するヒータ線の過昇温を抑えることができ、ヒータ線とリード線の電極部の熱耐久性不足によるヒータ線の破損を防止する。
【0017】
また、ガイド部材は、電極部を被うカバー部材を備えるため、ヒータ線が破損した場合の漏電防止、火花等の飛散防止、異物混入防止の効果を奏する。
【0018】
更に、ガイド部材は、ヒータ線の温度を検知する温度検知センサを備えるため、電気絶縁の影響で温度が最も高くなる電極部の近傍で温度検知するため、ヒータ線に別途過昇温部を設ける必要がなく、熱損失が少なくなる。
【0019】
更にその上、ヒータ線と温度検知センサの間には放熱部材(金属箔シートまたは熱伝導グリス、熱伝導シリコーンなど)が設けられるため、熱拡散によりヒータ被覆の耐熱限界温度以下でサーモスタットが作動する温度域に設定できる。またガイド部材内の放熱部材と温度検知センサの熱容量により、高出力ヒータを使用した場合でも、ヒータ線が破損しない温度域(且つサーモスタットが正常に機能できる温度域)にヒータ線の温度をコントロールできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の便座の分解斜視図である。
【図2】ヒータ線ガイドの斜視図である。
【図3】ヒータ線ガイドの分解斜視図である。
【図4】ヒータ線ガイドの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明の便座1の分解斜視図である。便座1は、底板2と、アルミ製で着座面に塗装を施した着座面板3と、着座面板3の内側に貼り付けられるヒータ10と、ヒータ10のヒータ線11(図3)が導かれる樹脂の絶縁材料で成形したヒータ線ガイド20(ガイド部材)と、ヒータ線ガイド20に設けられヒータ線11の温度を検知するサーモスタット30(温度検知センサ)と、から構成される。
【0023】
図2は、ヒータ線ガイド20の斜視図、図3はヒータ線ガイド20の分解斜視図である。ヒータ10は、着座面板3に熱を伝えるためのヒータ線11を有しており、ヒータ線11はリード線12から電力が供給される。ヒータ線11の線径は300μmで、リード線の線径は3mmである。ヒータ線11とリード線12はヒータ線ガイド20に設けた電極部21で圧着され接続する。本実施例では圧着によりヒータ線11とリード線12を接続したが、スポット溶接により接続してもよい。電極部21は、通常の状態では絶縁フィルム32を挟んで電極部ガイドカバー22(カバー部材)に被われた状態である。電極部21のヒータ線ガイド20と電極部ガイドカバー22の間の空間には、熱伝導グリスが充填され、熱ごもりを低減している。
【0024】
ヒータ線ガイド20の電極部21は、ヒータ線11とリード線12の高さを調整するための段部23が設けられている。またヒータ線ガイド20のヒータ線11側はスロープ部24が設けられている。スロープ部24ではヒータ線11はアルミ箔テープ13で着座面板3の裏面に固定され、ヒータ線11とスロープ部24の接触が維持される。アルミ箔テープ13は着座面板3に貼り付けられヒータ線11の浮きを防いでいる。
【0025】
ヒータ線ガイド20の電極部21近傍には、ヒータ線11の温度を検知するサーモスタット30(温度検知センサ)が設けられる。サーモスタット30とヒータ線11の間には、ヒータ線11を被うアルミ箔シート31(放熱部材)が設けられており、サーモスタット30の感温部30aはアルミ箔シート31を介してヒータ線11の温度を検知する。本実施例ではアルミ箔シート31を使用したが、ヒータ線11の温度をヒータ被覆の耐熱限界温度以下にすることができるものであればよく、例えば金属板や銅箔、または熱伝導グリスや熱伝導シリコーンでもよい。
【0026】
図4は、ヒータ線ガイド20で、電極部ガイドカバー22、サーモスタット30を取り外した状態の正面図である。リード線12は電極部21でヒータ線11と圧着され接続する。このとき段部23によりヒータ線11とリード線12の軸中心が同じになるように調整される。ヒータ線11は同じ高さのままヒータ線ガイド20に沿って設けられ、スロープ部24では、スロープ部24の傾斜に沿ってではなだらかに着座面板3の高さまで下がる。
【0027】
本発明では、ヒータ線11とリード線12が接続する電極部21を有しヒータ線11とリード線12の高さを調整する絶縁材料から成るヒータ線ガイド20を備えるため、ヒータ線11の線径とリード線12の線径の違いにより生じる段差を吸収し、ヒータ線11の浮きを防ぐことができる。よって、ヒータ線11の浮きに起因するヒータ線11の過昇温を抑えることができ、ヒータ線11とリード線12の電極部21の熱耐久性不足によるヒータ線11の破損を防止する。また、サーモスタット30の故障などで温度検知ができずヒータ線11が破損しても、電極部21はヒータ線ガイド20に被われ絶縁状態が維持されるため、漏電等の虞がない。
【0028】
また、ヒータ線ガイド20は、電極部21に段部23を形成し、ヒータ線11側にスロープ部24を形成するため、電極部21ではヒータ線11の線径とリード線12の線径の違いにより生じる段差を吸収し、またスロープ部24ではヒータ線11とヒータ線ガイド20との接触を維持できるため、ヒータ線11の浮きに起因するヒータ線11の過昇温を抑えることができ、ヒータ線11とリード線12の電極部21の熱耐久性不足によるヒータ線11の破損を防止する。
【0029】
また、ヒータ線ガイド20は、電極部21を被う電極部ガイドカバー22を備えるため、ヒータ線11が破損した場合の漏電防止、火花等の飛散防止、異物混入防止の効果を奏する。
【0030】
また、ヒータ線ガイド20は、ヒータ線11の温度を検知するサーミスタット30を備えるため、電気絶縁の影響で温度が最も高くなる電極部21の近傍で温度検知でき、ヒータ線11に別途過昇温部を設ける必要がなく、熱損失が少ない。
【0031】
また、ヒータ線11とサーミスタット30の間にはアルミ箔シート31が設けられるため、熱拡散によりヒータ被覆の耐熱限界温度以下でサーモスタット30が作動する温度域に設定できる。またヒータ線ガイド20内のアルミ箔シート31又は熱伝導グリス等とサーモスタット30の感温部30aの熱容量により、高出力ヒータを使用した場合でも、ヒータ線11が破損しない温度域(且つサーモスタット30が正常に機能できる温度域)にヒータ線11の温度をコントロールできる。
【符号の説明】
【0032】
1 便座
10 ヒータ
11 ヒータ線
12 リード線
20 ヒータ線ガイド(ガイド部材)
21 電極部
22 電極部ガイドカバー(カバー部材)
23 段部
24 スロープ部
30 サーモスタット(温度検知センサ)
31 アルミ箔シート(放熱部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製の便座と、
前記便座内に設けられるヒータ線を有するヒータと、
前記ヒータ線へ電力を供給するリード線と、
前記ヒータ線と前記リード線が接続する電極部を有し前記ヒータ線と前記リード線の高さを調整し絶縁材料から成るガイド部材と、
を備える暖房便座。
【請求項2】
前記ガイド部材は、前記電極部には段部を形成し、前記ヒータ線側にはスロープ部を形成することを特徴とする請求項1に記載の暖房便座。
【請求項3】
前記ガイド部材は、前記電極部を被うカバー部材を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の暖房便座。
【請求項4】
前記ガイド部材は、前記ヒータ線の温度を検知する温度検知センサを備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の暖房便座。
【請求項5】
前記ヒータ線と前記温度検知センサの間には放熱部材が設けられることを特徴とする請求項4に記載の暖房便座。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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