暗号記録媒体
【課題】 視覚復号型秘密分散法を用いながらも、２つのシェア画像から元となる画像を復元する際に復元画像の画線部と背景部が容易に判別できる暗号記録媒体を提供することを課題とする。
【解決手段】 視覚復号型秘密分散法により生成される複数の暗号画像の暗号パターンをそれぞれ異なる色で着色する。媒体Ａ５に重ねる媒体Ｂ６には、透明基材Ｂ６００と着色層Ｂ６０１との間に遮光層１０１が設けられており、暗号画像が重ね合わされてできる復元画像は、画線部と背景部とで、濃淡差に加えて色の差が生じるため、画線部の形状が明瞭に判読できる。
【解決手段】 視覚復号型秘密分散法により生成される複数の暗号画像の暗号パターンをそれぞれ異なる色で着色する。媒体Ａ５に重ねる媒体Ｂ６には、透明基材Ｂ６００と着色層Ｂ６０１との間に遮光層１０１が設けられており、暗号画像が重ね合わされてできる復元画像は、画線部と背景部とで、濃淡差に加えて色の差が生じるため、画線部の形状が明瞭に判読できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、通常の状態では記録された画像が目視認識できないよう不規則なパターンに暗号化された状態で記録され、復元時には、復号用のパターンを重ね合わせることによって可視化される暗号記録媒体に関する。
【背景技術】
【０００２】
通常の状態では隠蔽された状態で記録された情報を、必要となった時点で利用したい、といったニーズは古くからあり、例えば、隠蔽シールや圧着ハガキなどは身近な例である。これらは、ワンタイム用途（使い捨て）であり、一過性の利用には好適であるが、これに対し、非利用時には高度な機密性を保ちながら、利用時には簡便な操作での復元し、かつ、繰り返し利用可能とするような相反する要求を満たすのは甚だ困難である。
【０００３】
上記のような要求に対する技術の一つとして視覚復号型秘密分散法と呼ばれる視覚復号型暗号技術がある。これは元となる画像情報を、不規則なパターンで構成される複数の暗号パターン（シェア画像と呼ぶ）に分散させることによって目視認識できない状態の画像に加工し、それらのシェア画像を重ね合わせることによって元の画像情報が視認可能な状態に復元される技術である。
【０００４】
例えば、特許文献１は、視覚復号型暗号技術に関する発明であって、視覚復号型秘密分散法を用いて、隠蔽層等の手段によらずに情報を隠蔽する記録媒体の構成および製作に関する技術を開示している。
なお、視覚復号型秘密分散法やシェア画像の生成手段等については種々の方式のものが提案されているが、特に先駆的論文である非特許文献１に原理や生成法が詳しく述べられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
【特許文献１】特開２００１−１１８１２２号公報
【非特許文献】
【０００６】
【非特許文献１】M.Naor and A.Shamir,"Visual Cryptography", Proc. of Eurocrypt'94 May 1994
【０００７】
上記のように、視覚復号型秘密分散法は、目視による手操作により復元が可能となる簡便さが利点であるが、一方で、元となる画像（元画像）から複数のシェア画像を生成することから、一つの元画像についてシェア画像の数の媒体が必要となり、しかも元の画像を復元するには、これら複数の媒体を精密に重ね合わせる操作が必要となる。
【０００８】
図７は、視覚復号型秘密分散法を用いて暗号化および復元する過程を表わす図であるが、図７に示すように、暗号化の過程では、元画像１０は不規則なパターンからなるシェア画像に分解される。このように生成したシェア画像Ａ１１およびシェア画像Ｂ１２は、それぞれ単独では不規則パターンが視認されるのみで、有意な情報は判読できない。なお、図７の例ではシェア画像は２つであるが、シェア画像の数は２以上の複数であってもよい。
【０００９】
このように、通常の視覚復号型秘密分散法においては、シェア画像を構成する各画素は白と黒のセルの集合によって構成される。ここで白セルとは印刷する際に何も塗布しない領域のことを指し、フィルム等の透明物体においては透明のままの領域となる。
【００１０】
シェア画像から元画像を復元するにはシェア画像Ａ１１およびシェア画像Ｂ１２を所定の位置で重ね合わせればよい。これにより復元画像１３のようなパターンが現われ、図７に示すように、不規則パターンを背景部として、元画像の「Ｔ」の形状（背景部に対して「画線部」と呼ぶ）が判読できる。これは、背景部と画線部とで黒セルの密度が異なることによる濃淡の差により画線部が現れるからである。
【００１１】
ところが、背景部と画線部とで黒セルの密度が単に異なるだけでは、画線部の輪郭が背景と紛らわしくなり、画線部の形状が判読しにくくなる問題がある。これは特に画素密度が低い場合に顕著となる。図８（Ａ）（Ｂ）は、画素密度の粗密による復元画像の差を示すものであり、細かいセルパターン２１からなる復元像に対し、粗いセルパターンの復元像は輪郭が不鮮明になり、画線部の形状が判読しにくくなる。
【００１２】
また、このような黒と白のセルのシェア画像では、復元の際の重なりの僅かのズレで白の部分が現われ、背景との濃淡差が小さくなるため、復元すべき画像と背景の判別が難しくなるという問題がある。図８（Ｃ）（Ｄ）は、ズレの有無による復元画像の態様を示したものであり、ズレのない復元画像２３では「８」の形状が判読できるのに対し、重ね合わせに僅かなズレを生じたズレのある復元画像２４では画線部と背景部が判別できない。
以下、本発明においては、黒セルに対応するセルを情報セル、白セルに対応するセルを余白セルと呼ぶこととする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【００１３】
そこで本発明は、視覚復号型秘密分散法を用いながらも、２つのシェア画像から元となる画像を復元する際に復元画像が容易に判読できる暗号記録媒体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【００１４】
上記課題を解決する本願第１の発明は、
第１の基材と暗号画像からなる第１の記録媒体と、可視透明性を有する第２の基材と暗号画像からなる第２の記録媒体を組とし、元となる画像から視覚復号型秘密分散法により生成される第１および第２の暗号画像のうち、第１の暗号画像が前記第１の基材の所定位置に、第２の暗号画像が前記第２の基材の所定位置にそれぞれ形成され、かつ、前記第１の暗号画像の上に前記第２の暗号画像を重ね合わせて前記第２の基材の表面側から見たときに前記元となる画像を視認可能に復号する暗号記録媒体において、
前記第１の暗号画像と前記第２の暗号画像は、該暗号画像を構成する各画素がマトリクス状に分割された微小セルの集合からなり、前記微小セルは、情報セルまたは余白セルのいずれかからなり、前記第１の暗号画像中の情報セルは、前記第１の基材上に第１の色を呈する着色層として形成され、前記第２の暗号画像中の情報セルは、前記第２の基材の表面側に前記第１の色とは異なる第２の色を呈する着色層が形成されていることを特徴とする暗号記録媒体である。
さらに、第２の基材と前記第２の色を呈する着色層との間に該着色層に重畳する遮光層を設けたことを特徴とする。
【００１５】
また、本願第２の発明は、
第１の基材と暗号画像からなる第１の記録媒体と、可視透明性を有する第２の基材と暗号画像からなる第２の記録媒体を組とし、元となる画像から視覚復号型秘密分散法により生成される第１および第２の暗号画像のうち、第１の暗号画像が前記第１の基材の所定位置に、第２の暗号画像が前記第２の基材の所定位置にそれぞれ形成され、かつ、前記第１の暗号画像の上に前記第２の暗号画像を重ね合わせて前記第２の基材の表面側から見たときに前記元となる画像を視認可能に復号する暗号記録媒体において、
前記第１の暗号画像と前記第２の暗号画像は、該暗号画像を構成する各画素がマトリクス状に分割された微小セルの集合からなり、前記微小セルは、情報セルまたは余白セルのいずれかからなり、前記第１の暗号画像中の情報セルは、前記第１の基材上に第１の色を呈する着色層として形成され、前記第２の暗号画像中の情報セルは、前記第２の基材の裏面側に前記第１の色とは異なる第２の色を呈する着色層が形成されていることを特徴とする暗号記録媒体である。
さらに、第２の色を呈する着色層の上に該着色層に重畳する遮光層を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【００１６】
本発明による暗号記録媒体によれば、シェア画像を着色層で形成することにより、復元される画像は、背景部と画線部との間に、明度の差（濃淡差）に加えて色相の差が生じるため、画線部の形状が明瞭に判読できる。
【図面の簡単な説明】
【００１７】
【図１】本発明の暗号記録媒体を示す図
【図２】本発明の暗号記録媒体の構成を示す図
【図３】従来の視覚復号型秘密分散法による暗号パターンを示す図
【図４】本発明の暗号記録媒体の暗号パターンを示す図
【図５】本発明の暗号記録媒体による復元の様子を示す図
【図６】本発明の暗号記録媒体の構成例を示す図
【図７】視覚復号型秘密分散法の概念図
【図８】従来の視覚復号型秘密分散法による復元画像を示す図
【発明を実施するための形態】
【００１８】
図１は、本発明の暗号記録媒体の模式図である。
本発明の暗号記録媒体１は、媒体Ａ５および媒体Ｂ６を組としており、図１は、暗号画像ａ７が記録された媒体Ａ５と、暗号画像ｂ８が記録された媒体Ｂ６とが重ね合わされる様子を表わす。媒体Ｂ６の基材は可視透明性を有し、暗号画像ａ７および暗号画像ｂ８はそれぞれ特定の色で着色された微小セルで構成されており、両媒体を所定の位置で重ね合わせ観察すると復元画像９が現われる。
図２は、本発明の暗号記録媒体の構成図であり、媒体Ａ５の上に媒体Ｂ６が所定の位置で重ね合わされた状態で、かつ、両媒体の微小セル同士が重なり合った態様を表わす。
第１の媒体（媒体Ａ５）は、第１の基材（基材Ａ５００）と第１の色を持つ着色層Ａ５０１により形成された微小セルとからなり、一方、第２の媒体（媒体Ｂ６）は、第２の基材（透明基材Ｂ６００）と第２の色を持つ着色層Ｂ６０１により形成された微小セルからなり、図２の例では、さらに、着色層Ｂ６０１に対し、同じ位置、同じ大きさの遮光層１０１が、着色層Ｂ６０１と透明基材Ｂ６００との間に設けられている。
【００１９】
以下、図３〜６を用いて、本発明の特徴を詳細に説明する。
まず、従来の視覚復号型秘密分散法によるシェアパターンについて説明する。
従来の視覚復号型暗号技術によるシェアパターンは、図３に示すように、元の画像を構成する画素（元画像の画素３０）を整数比（図例では２×２）の小領域である微小セルで分割し（以降、微小セルを単にセルと呼ぶ）、分割されてできた各セル３５に白または黒を割り当てることにより生成される。このように白または黒が配置されたセルの集合をシェアパターンと呼ぶ。
【００２０】
このように生成されたシェアパターンがシェア画像Ａおよびシェア画像Ｂを構成する画素である。すなわち、シェアパターンａ３２ａおよびシェアパターンａ３３ａのパターンがシェア画像Ａの画素となり、シェアパターンｂ３２ｂおよびシェアパターンｂ３３ｂのパターンがシェア画像Ｂの画素となる。そしてシェア画像Ａとシェア画像Ｂとを重ね合わせ元の画像を復元する際は、シェアパターンａ３２ａとシェアパターンｂ３２ｂのような２つのパターンの重ね合わせが復元画素３２のように「白」と「黒」が交雑した「背景部」を表わす画素となり、シェアパターンａ３３ａとシェアパターンｂ３３ｂの２つのパターンの重ね合わせが復元画素３３のように「黒」のみの「画線部」を表わす画素となる。
【００２１】
続いて、本発明の暗号記録媒体の暗号パターンについて説明する。
本発明の暗号記録媒体の暗号パターンの生成にあたっては、図４に示すように、まず、図３と同様に２×２の小領域であるセル４５に分割する。ここで、本発明の暗号パターンでは、セル４５のうち情報セル４６に、前記黒に代わって第１または第２の色を配置する。すなわち、第１の色をα色、第２の色をβ色とすると、シェアパターンａの系列にはα色、またシェアパターンｂの系列にはβ色を配置すると、α色の微小セルからなる４２ａ、４３ａ、のシェアパターンと、β色の微小セルからなる４２ｂ、４３ｂのシェアパターンが生成される。この結果、シェアパターンａ４２ａおよびシェアパターンａ４３ａのパターンがシェア画像Ａを構成する画素となり、シェアパターンｂ４２ｂおよびシェアパターンｂ４３ｂのパターンがシェア画像Ｂを構成する画素となる。
なお、図４においては、α色およびβ色に異なる網掛けを施し区別している。
【００２２】
シェア画像Ａとシェア画像Ｂとを重ね合わせると、シェアパターンａ４２ａとシェアパターンｂ４２ｂのような２つのパターンの重ね合わせが復元画素４２のような「背景部」を表わす画素となり、シェアパターンａ４３ａとシェアパターンｂ４３ｂの２つのパターンの重ね合わせが復元画素４３のような「画線部」を表わす画素となる。
【００２３】
α色とβ色が異なる色相であると、α色とβ色とが重なった部分ではα色がβ色で隠蔽されるため復元画素４２に示すようにβ色を呈することになり背景部となる。また元の画像の形状を表わす画線部は、α色とβ色とで埋められた領域として視認され、背景部と画線部で色の差が生じるため、画線部の形状が明瞭に判読できる。
【００２４】
ところが、α色とβ色とが重なった際に、α色がβ色で隠されるにはβ色を通してα色が透けて見えるようであってはならない。すなわちβ色の着色層の光透過度が小さいことが必須となる。一方、一般に着色層の演色性（色の鮮明さ）と光透過度は相反する関係にあるため、本発明の暗号記録媒体では、図２に示すように、着色層Ｂ６０１に重ねて遮光層１０１を設けている。なお、遮光層１０１は、着色層Ｂ６０１と基材上の同じ位置に同じ形状で設けられるものであり、図２の例では、着色層Ｂ６０１と透明基材Ｂ６００との間に設けられる。
これにより、α色が透けることなくβ色が鮮明に視認されるため、画線部と背景部が明瞭に識別できる。
【００２５】
図５は、本発明の暗号記録媒体における暗号化と復元の過程を示す図である。
まず、元画像１０は視覚復号型秘密分散法を用いてシェア画像Ａ１１およびシェア画像Ｂ１２に分解される。続いて、本発明の暗号記録媒体では、シェア画像Ａ１１の「黒」の領域にα色、シェア画像Ｂ１２の「黒」の領域にβ色を配置する。なお、図５の例では、α色セル５５を黒ベタで表わし、β色セル５６を網掛けで表わすことにより両者を区別している。
【００２６】
このように着色されたα色セル５５で構成される着色画像Ａ５１およびβ色セル５６で構成される着色画像Ｂ５２を、着色画像Ｂ５２を上にして所定の位置で重ね合わせると復元画像５３が現れる。このとき、「背景部」はα色セル５５がβ色セル５６で隠蔽されるため、β色の不規則なパターンが現われ、「画線部」はα色領域５８とβ色領域５９がまだらに分布した状態で現われる。この結果、背景部と画線部との間に、単なる濃淡差ばかりでなく、色の差も生じるため画線部の形状（元画像の「Ｔ」の形状）がより明確に視認できる。
また、重ね合わされたシェア画像に図８（Ｃ）（Ｄ）に見られるような僅かなズレがあっても、背景部と画線部との間で色の違いがあるため、画線部の形状は明確に視認できる。
【００２７】
図６は、本発明の暗号記録媒体の構成例であり、比較のため図２と同等の構成例の図６（Ａ）を併せて示している。
図６（Ｂ）では、媒体Ａ５に対して、媒体Ｂ６を、着色層が形成される面同士が密着するよう重ね合わせており、このような構成では、着色層Ｂ６０１は透明基材Ｂ６００と遮光層１０１との間に置かれる。これにより、着色層Ｂ６０１は透明基材Ｂ６００を通して観察され、また、着色層Ａ５０１は遮光層１０１により隠蔽されることになる。
なお、図６（Ｂ）の構成では、着色層Ａ５０１が形成される面と着色層Ｂ６０１が形成される面とが対向して重ねあわされるため、着色層Ａ５０１と着色層Ｂ６０１を基材に対して同じ面から見た場合、互いに鏡像の関係になる。
【００２８】
本発明の暗号記録媒体の基材としては種々の素材のものが適用できるが、媒体Ａ５に適した基材としては紙、樹脂シートなどがあり、例えばカード用途であれば、ポリ塩化ビニール樹脂、非結晶性ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ−Ｇ）樹脂、ポリカーボネ−ト樹脂、ポリ乳酸樹脂などがある。また、媒体Ａ５用の基材は、透明であっても、不透明であってもよい。
また、媒体Ｂ６用の基材としては透明性を有する高分子が適しており、ポリ塩化ビニール樹脂、非結晶性ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ−Ｇ）樹脂、ポリカーボネ−ト樹脂、ポリ乳酸樹脂などがある。
【００２９】
基材上に形成する暗号画像は、簡便な方法としては印刷やインクジェット等によりシート状基材の上に形成すればよい。着色層Ａ５０１および着色層Ｂ６０１を形成する色材としては、例えば印刷インキのような低価格のものが利用でき、また、遮光層１０１に用いる材料としては、遮光性を有することが必須であるが、さらに層の厚さが薄いことが望ましい。薄く、遮光性の優れたものとしては、例えばアルミ蒸着のような金属膜が挙げられる。印刷インキも適用可能であり、例えば酸化チタンを主材とした白色インキも遮光性に優れたものである。前記印刷インキのインキ層の厚みは、乾燥状態で２〜５μｍが好ましく、有効な遮光性を示す。
【符号の説明】
【００３０】
１ 暗号記録媒体
７ 暗号画像ａ
８ 暗号画像ｂ
９ 復元画像
１０ 元画像
１１ シェア画像Ａ
１２ シェア画像Ｂ
１３ 復元画像
３０ 元画像の画素
３１ 分割パターン
３２ 復元画素
３３ 復元画素
４０ 元画像の画素
４１ 分割パターン
４２ 復元画素
４３ 復元画素
５１ 着色画像Ａ
５２ 着色画像Ｂ
５３ 復元画像
１０１ 遮光層
５００ 基材Ａ
５０１ 着色層Ａ
６００ 基材Ｂ
６０１ 着色層Ｂ
【技術分野】
【０００１】
本発明は、通常の状態では記録された画像が目視認識できないよう不規則なパターンに暗号化された状態で記録され、復元時には、復号用のパターンを重ね合わせることによって可視化される暗号記録媒体に関する。
【背景技術】
【０００２】
通常の状態では隠蔽された状態で記録された情報を、必要となった時点で利用したい、といったニーズは古くからあり、例えば、隠蔽シールや圧着ハガキなどは身近な例である。これらは、ワンタイム用途（使い捨て）であり、一過性の利用には好適であるが、これに対し、非利用時には高度な機密性を保ちながら、利用時には簡便な操作での復元し、かつ、繰り返し利用可能とするような相反する要求を満たすのは甚だ困難である。
【０００３】
上記のような要求に対する技術の一つとして視覚復号型秘密分散法と呼ばれる視覚復号型暗号技術がある。これは元となる画像情報を、不規則なパターンで構成される複数の暗号パターン（シェア画像と呼ぶ）に分散させることによって目視認識できない状態の画像に加工し、それらのシェア画像を重ね合わせることによって元の画像情報が視認可能な状態に復元される技術である。
【０００４】
例えば、特許文献１は、視覚復号型暗号技術に関する発明であって、視覚復号型秘密分散法を用いて、隠蔽層等の手段によらずに情報を隠蔽する記録媒体の構成および製作に関する技術を開示している。
なお、視覚復号型秘密分散法やシェア画像の生成手段等については種々の方式のものが提案されているが、特に先駆的論文である非特許文献１に原理や生成法が詳しく述べられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
【特許文献１】特開２００１−１１８１２２号公報
【非特許文献】
【０００６】
【非特許文献１】M.Naor and A.Shamir,"Visual Cryptography", Proc. of Eurocrypt'94 May 1994
【０００７】
上記のように、視覚復号型秘密分散法は、目視による手操作により復元が可能となる簡便さが利点であるが、一方で、元となる画像（元画像）から複数のシェア画像を生成することから、一つの元画像についてシェア画像の数の媒体が必要となり、しかも元の画像を復元するには、これら複数の媒体を精密に重ね合わせる操作が必要となる。
【０００８】
図７は、視覚復号型秘密分散法を用いて暗号化および復元する過程を表わす図であるが、図７に示すように、暗号化の過程では、元画像１０は不規則なパターンからなるシェア画像に分解される。このように生成したシェア画像Ａ１１およびシェア画像Ｂ１２は、それぞれ単独では不規則パターンが視認されるのみで、有意な情報は判読できない。なお、図７の例ではシェア画像は２つであるが、シェア画像の数は２以上の複数であってもよい。
【０００９】
このように、通常の視覚復号型秘密分散法においては、シェア画像を構成する各画素は白と黒のセルの集合によって構成される。ここで白セルとは印刷する際に何も塗布しない領域のことを指し、フィルム等の透明物体においては透明のままの領域となる。
【００１０】
シェア画像から元画像を復元するにはシェア画像Ａ１１およびシェア画像Ｂ１２を所定の位置で重ね合わせればよい。これにより復元画像１３のようなパターンが現われ、図７に示すように、不規則パターンを背景部として、元画像の「Ｔ」の形状（背景部に対して「画線部」と呼ぶ）が判読できる。これは、背景部と画線部とで黒セルの密度が異なることによる濃淡の差により画線部が現れるからである。
【００１１】
ところが、背景部と画線部とで黒セルの密度が単に異なるだけでは、画線部の輪郭が背景と紛らわしくなり、画線部の形状が判読しにくくなる問題がある。これは特に画素密度が低い場合に顕著となる。図８（Ａ）（Ｂ）は、画素密度の粗密による復元画像の差を示すものであり、細かいセルパターン２１からなる復元像に対し、粗いセルパターンの復元像は輪郭が不鮮明になり、画線部の形状が判読しにくくなる。
【００１２】
また、このような黒と白のセルのシェア画像では、復元の際の重なりの僅かのズレで白の部分が現われ、背景との濃淡差が小さくなるため、復元すべき画像と背景の判別が難しくなるという問題がある。図８（Ｃ）（Ｄ）は、ズレの有無による復元画像の態様を示したものであり、ズレのない復元画像２３では「８」の形状が判読できるのに対し、重ね合わせに僅かなズレを生じたズレのある復元画像２４では画線部と背景部が判別できない。
以下、本発明においては、黒セルに対応するセルを情報セル、白セルに対応するセルを余白セルと呼ぶこととする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【００１３】
そこで本発明は、視覚復号型秘密分散法を用いながらも、２つのシェア画像から元となる画像を復元する際に復元画像が容易に判読できる暗号記録媒体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【００１４】
上記課題を解決する本願第１の発明は、
第１の基材と暗号画像からなる第１の記録媒体と、可視透明性を有する第２の基材と暗号画像からなる第２の記録媒体を組とし、元となる画像から視覚復号型秘密分散法により生成される第１および第２の暗号画像のうち、第１の暗号画像が前記第１の基材の所定位置に、第２の暗号画像が前記第２の基材の所定位置にそれぞれ形成され、かつ、前記第１の暗号画像の上に前記第２の暗号画像を重ね合わせて前記第２の基材の表面側から見たときに前記元となる画像を視認可能に復号する暗号記録媒体において、
前記第１の暗号画像と前記第２の暗号画像は、該暗号画像を構成する各画素がマトリクス状に分割された微小セルの集合からなり、前記微小セルは、情報セルまたは余白セルのいずれかからなり、前記第１の暗号画像中の情報セルは、前記第１の基材上に第１の色を呈する着色層として形成され、前記第２の暗号画像中の情報セルは、前記第２の基材の表面側に前記第１の色とは異なる第２の色を呈する着色層が形成されていることを特徴とする暗号記録媒体である。
さらに、第２の基材と前記第２の色を呈する着色層との間に該着色層に重畳する遮光層を設けたことを特徴とする。
【００１５】
また、本願第２の発明は、
第１の基材と暗号画像からなる第１の記録媒体と、可視透明性を有する第２の基材と暗号画像からなる第２の記録媒体を組とし、元となる画像から視覚復号型秘密分散法により生成される第１および第２の暗号画像のうち、第１の暗号画像が前記第１の基材の所定位置に、第２の暗号画像が前記第２の基材の所定位置にそれぞれ形成され、かつ、前記第１の暗号画像の上に前記第２の暗号画像を重ね合わせて前記第２の基材の表面側から見たときに前記元となる画像を視認可能に復号する暗号記録媒体において、
前記第１の暗号画像と前記第２の暗号画像は、該暗号画像を構成する各画素がマトリクス状に分割された微小セルの集合からなり、前記微小セルは、情報セルまたは余白セルのいずれかからなり、前記第１の暗号画像中の情報セルは、前記第１の基材上に第１の色を呈する着色層として形成され、前記第２の暗号画像中の情報セルは、前記第２の基材の裏面側に前記第１の色とは異なる第２の色を呈する着色層が形成されていることを特徴とする暗号記録媒体である。
さらに、第２の色を呈する着色層の上に該着色層に重畳する遮光層を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【００１６】
本発明による暗号記録媒体によれば、シェア画像を着色層で形成することにより、復元される画像は、背景部と画線部との間に、明度の差（濃淡差）に加えて色相の差が生じるため、画線部の形状が明瞭に判読できる。
【図面の簡単な説明】
【００１７】
【図１】本発明の暗号記録媒体を示す図
【図２】本発明の暗号記録媒体の構成を示す図
【図３】従来の視覚復号型秘密分散法による暗号パターンを示す図
【図４】本発明の暗号記録媒体の暗号パターンを示す図
【図５】本発明の暗号記録媒体による復元の様子を示す図
【図６】本発明の暗号記録媒体の構成例を示す図
【図７】視覚復号型秘密分散法の概念図
【図８】従来の視覚復号型秘密分散法による復元画像を示す図
【発明を実施するための形態】
【００１８】
図１は、本発明の暗号記録媒体の模式図である。
本発明の暗号記録媒体１は、媒体Ａ５および媒体Ｂ６を組としており、図１は、暗号画像ａ７が記録された媒体Ａ５と、暗号画像ｂ８が記録された媒体Ｂ６とが重ね合わされる様子を表わす。媒体Ｂ６の基材は可視透明性を有し、暗号画像ａ７および暗号画像ｂ８はそれぞれ特定の色で着色された微小セルで構成されており、両媒体を所定の位置で重ね合わせ観察すると復元画像９が現われる。
図２は、本発明の暗号記録媒体の構成図であり、媒体Ａ５の上に媒体Ｂ６が所定の位置で重ね合わされた状態で、かつ、両媒体の微小セル同士が重なり合った態様を表わす。
第１の媒体（媒体Ａ５）は、第１の基材（基材Ａ５００）と第１の色を持つ着色層Ａ５０１により形成された微小セルとからなり、一方、第２の媒体（媒体Ｂ６）は、第２の基材（透明基材Ｂ６００）と第２の色を持つ着色層Ｂ６０１により形成された微小セルからなり、図２の例では、さらに、着色層Ｂ６０１に対し、同じ位置、同じ大きさの遮光層１０１が、着色層Ｂ６０１と透明基材Ｂ６００との間に設けられている。
【００１９】
以下、図３〜６を用いて、本発明の特徴を詳細に説明する。
まず、従来の視覚復号型秘密分散法によるシェアパターンについて説明する。
従来の視覚復号型暗号技術によるシェアパターンは、図３に示すように、元の画像を構成する画素（元画像の画素３０）を整数比（図例では２×２）の小領域である微小セルで分割し（以降、微小セルを単にセルと呼ぶ）、分割されてできた各セル３５に白または黒を割り当てることにより生成される。このように白または黒が配置されたセルの集合をシェアパターンと呼ぶ。
【００２０】
このように生成されたシェアパターンがシェア画像Ａおよびシェア画像Ｂを構成する画素である。すなわち、シェアパターンａ３２ａおよびシェアパターンａ３３ａのパターンがシェア画像Ａの画素となり、シェアパターンｂ３２ｂおよびシェアパターンｂ３３ｂのパターンがシェア画像Ｂの画素となる。そしてシェア画像Ａとシェア画像Ｂとを重ね合わせ元の画像を復元する際は、シェアパターンａ３２ａとシェアパターンｂ３２ｂのような２つのパターンの重ね合わせが復元画素３２のように「白」と「黒」が交雑した「背景部」を表わす画素となり、シェアパターンａ３３ａとシェアパターンｂ３３ｂの２つのパターンの重ね合わせが復元画素３３のように「黒」のみの「画線部」を表わす画素となる。
【００２１】
続いて、本発明の暗号記録媒体の暗号パターンについて説明する。
本発明の暗号記録媒体の暗号パターンの生成にあたっては、図４に示すように、まず、図３と同様に２×２の小領域であるセル４５に分割する。ここで、本発明の暗号パターンでは、セル４５のうち情報セル４６に、前記黒に代わって第１または第２の色を配置する。すなわち、第１の色をα色、第２の色をβ色とすると、シェアパターンａの系列にはα色、またシェアパターンｂの系列にはβ色を配置すると、α色の微小セルからなる４２ａ、４３ａ、のシェアパターンと、β色の微小セルからなる４２ｂ、４３ｂのシェアパターンが生成される。この結果、シェアパターンａ４２ａおよびシェアパターンａ４３ａのパターンがシェア画像Ａを構成する画素となり、シェアパターンｂ４２ｂおよびシェアパターンｂ４３ｂのパターンがシェア画像Ｂを構成する画素となる。
なお、図４においては、α色およびβ色に異なる網掛けを施し区別している。
【００２２】
シェア画像Ａとシェア画像Ｂとを重ね合わせると、シェアパターンａ４２ａとシェアパターンｂ４２ｂのような２つのパターンの重ね合わせが復元画素４２のような「背景部」を表わす画素となり、シェアパターンａ４３ａとシェアパターンｂ４３ｂの２つのパターンの重ね合わせが復元画素４３のような「画線部」を表わす画素となる。
【００２３】
α色とβ色が異なる色相であると、α色とβ色とが重なった部分ではα色がβ色で隠蔽されるため復元画素４２に示すようにβ色を呈することになり背景部となる。また元の画像の形状を表わす画線部は、α色とβ色とで埋められた領域として視認され、背景部と画線部で色の差が生じるため、画線部の形状が明瞭に判読できる。
【００２４】
ところが、α色とβ色とが重なった際に、α色がβ色で隠されるにはβ色を通してα色が透けて見えるようであってはならない。すなわちβ色の着色層の光透過度が小さいことが必須となる。一方、一般に着色層の演色性（色の鮮明さ）と光透過度は相反する関係にあるため、本発明の暗号記録媒体では、図２に示すように、着色層Ｂ６０１に重ねて遮光層１０１を設けている。なお、遮光層１０１は、着色層Ｂ６０１と基材上の同じ位置に同じ形状で設けられるものであり、図２の例では、着色層Ｂ６０１と透明基材Ｂ６００との間に設けられる。
これにより、α色が透けることなくβ色が鮮明に視認されるため、画線部と背景部が明瞭に識別できる。
【００２５】
図５は、本発明の暗号記録媒体における暗号化と復元の過程を示す図である。
まず、元画像１０は視覚復号型秘密分散法を用いてシェア画像Ａ１１およびシェア画像Ｂ１２に分解される。続いて、本発明の暗号記録媒体では、シェア画像Ａ１１の「黒」の領域にα色、シェア画像Ｂ１２の「黒」の領域にβ色を配置する。なお、図５の例では、α色セル５５を黒ベタで表わし、β色セル５６を網掛けで表わすことにより両者を区別している。
【００２６】
このように着色されたα色セル５５で構成される着色画像Ａ５１およびβ色セル５６で構成される着色画像Ｂ５２を、着色画像Ｂ５２を上にして所定の位置で重ね合わせると復元画像５３が現れる。このとき、「背景部」はα色セル５５がβ色セル５６で隠蔽されるため、β色の不規則なパターンが現われ、「画線部」はα色領域５８とβ色領域５９がまだらに分布した状態で現われる。この結果、背景部と画線部との間に、単なる濃淡差ばかりでなく、色の差も生じるため画線部の形状（元画像の「Ｔ」の形状）がより明確に視認できる。
また、重ね合わされたシェア画像に図８（Ｃ）（Ｄ）に見られるような僅かなズレがあっても、背景部と画線部との間で色の違いがあるため、画線部の形状は明確に視認できる。
【００２７】
図６は、本発明の暗号記録媒体の構成例であり、比較のため図２と同等の構成例の図６（Ａ）を併せて示している。
図６（Ｂ）では、媒体Ａ５に対して、媒体Ｂ６を、着色層が形成される面同士が密着するよう重ね合わせており、このような構成では、着色層Ｂ６０１は透明基材Ｂ６００と遮光層１０１との間に置かれる。これにより、着色層Ｂ６０１は透明基材Ｂ６００を通して観察され、また、着色層Ａ５０１は遮光層１０１により隠蔽されることになる。
なお、図６（Ｂ）の構成では、着色層Ａ５０１が形成される面と着色層Ｂ６０１が形成される面とが対向して重ねあわされるため、着色層Ａ５０１と着色層Ｂ６０１を基材に対して同じ面から見た場合、互いに鏡像の関係になる。
【００２８】
本発明の暗号記録媒体の基材としては種々の素材のものが適用できるが、媒体Ａ５に適した基材としては紙、樹脂シートなどがあり、例えばカード用途であれば、ポリ塩化ビニール樹脂、非結晶性ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ−Ｇ）樹脂、ポリカーボネ−ト樹脂、ポリ乳酸樹脂などがある。また、媒体Ａ５用の基材は、透明であっても、不透明であってもよい。
また、媒体Ｂ６用の基材としては透明性を有する高分子が適しており、ポリ塩化ビニール樹脂、非結晶性ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ−Ｇ）樹脂、ポリカーボネ−ト樹脂、ポリ乳酸樹脂などがある。
【００２９】
基材上に形成する暗号画像は、簡便な方法としては印刷やインクジェット等によりシート状基材の上に形成すればよい。着色層Ａ５０１および着色層Ｂ６０１を形成する色材としては、例えば印刷インキのような低価格のものが利用でき、また、遮光層１０１に用いる材料としては、遮光性を有することが必須であるが、さらに層の厚さが薄いことが望ましい。薄く、遮光性の優れたものとしては、例えばアルミ蒸着のような金属膜が挙げられる。印刷インキも適用可能であり、例えば酸化チタンを主材とした白色インキも遮光性に優れたものである。前記印刷インキのインキ層の厚みは、乾燥状態で２〜５μｍが好ましく、有効な遮光性を示す。
【符号の説明】
【００３０】
１ 暗号記録媒体
７ 暗号画像ａ
８ 暗号画像ｂ
９ 復元画像
１０ 元画像
１１ シェア画像Ａ
１２ シェア画像Ｂ
１３ 復元画像
３０ 元画像の画素
３１ 分割パターン
３２ 復元画素
３３ 復元画素
４０ 元画像の画素
４１ 分割パターン
４２ 復元画素
４３ 復元画素
５１ 着色画像Ａ
５２ 着色画像Ｂ
５３ 復元画像
１０１ 遮光層
５００ 基材Ａ
５０１ 着色層Ａ
６００ 基材Ｂ
６０１ 着色層Ｂ
【特許請求の範囲】
【請求項１】
第１の基材と暗号画像からなる第１の記録媒体と、可視透明性を有する第２の基材と暗号画像からなる第２の記録媒体を組とし、
元となる画像から視覚復号型秘密分散法により生成される第１および第２の暗号画像のうち、第１の暗号画像が前記第１の基材の所定位置に、第２の暗号画像が前記第２の基材の所定位置にそれぞれ形成され、かつ、前記第１の暗号画像の上に前記第２の暗号画像を重ね合わせて前記第２の基材の表面側から見たときに前記元となる画像を視認可能に復号する暗号記録媒体において、
前記第１の暗号画像と前記第２の暗号画像は、該暗号画像を構成する各画素がマトリクス状に分割された微小セルの集合からなり、前記微小セルは、情報セルまたは余白セルのいずれかからなり、前記第１の暗号画像中の情報セルは、前記第１の基材上に第１の色を呈する着色層として形成され、前記第２の暗号画像中の情報セルは、前記第２の基材の表面側に前記第１の色とは異なる第２の色を呈する着色層が形成されていることを特徴とする暗号記録媒体。
【請求項２】
前記第２の基材と前記第２の色を呈する着色層との間に該着色層に重畳する遮光層を設けたことを特徴とする請求項１記載の暗号記録媒体。
【請求項３】
第１の基材と暗号画像からなる第１の記録媒体と、可視透明性を有する第２の基材と暗号画像からなる第２の記録媒体を組とし、
元となる画像から視覚復号型秘密分散法により生成される第１および第２の暗号画像のうち、第１の暗号画像が前記第１の基材の所定位置に、第２の暗号画像が前記第２の基材の所定位置にそれぞれ形成され、かつ、前記第１の暗号画像の上に前記第２の暗号画像を重ね合わせて前記第２の基材の表面側から見たときに前記元となる画像を視認可能に復号する暗号記録媒体において、
前記第１の暗号画像と前記第２の暗号画像は、該暗号画像を構成する各画素がマトリクス状に分割された微小セルの集合からなり、前記微小セルは、情報セルまたは余白セルのいずれかからなり、前記第１の暗号画像中の情報セルは、前記第１の基材上に第１の色を呈する着色層として形成され、前記第２の暗号画像中の情報セルは、前記第２の基材の裏面側に前記第１の色とは異なる第２の色を呈する着色層が形成されていることを特徴とする暗号記録媒体。
【請求項４】
前記第２の色を呈する着色層の上に該着色層に重畳する遮光層を設けたことを特徴とする請求項３記載の暗号記録媒体。
【請求項１】
第１の基材と暗号画像からなる第１の記録媒体と、可視透明性を有する第２の基材と暗号画像からなる第２の記録媒体を組とし、
元となる画像から視覚復号型秘密分散法により生成される第１および第２の暗号画像のうち、第１の暗号画像が前記第１の基材の所定位置に、第２の暗号画像が前記第２の基材の所定位置にそれぞれ形成され、かつ、前記第１の暗号画像の上に前記第２の暗号画像を重ね合わせて前記第２の基材の表面側から見たときに前記元となる画像を視認可能に復号する暗号記録媒体において、
前記第１の暗号画像と前記第２の暗号画像は、該暗号画像を構成する各画素がマトリクス状に分割された微小セルの集合からなり、前記微小セルは、情報セルまたは余白セルのいずれかからなり、前記第１の暗号画像中の情報セルは、前記第１の基材上に第１の色を呈する着色層として形成され、前記第２の暗号画像中の情報セルは、前記第２の基材の表面側に前記第１の色とは異なる第２の色を呈する着色層が形成されていることを特徴とする暗号記録媒体。
【請求項２】
前記第２の基材と前記第２の色を呈する着色層との間に該着色層に重畳する遮光層を設けたことを特徴とする請求項１記載の暗号記録媒体。
【請求項３】
第１の基材と暗号画像からなる第１の記録媒体と、可視透明性を有する第２の基材と暗号画像からなる第２の記録媒体を組とし、
元となる画像から視覚復号型秘密分散法により生成される第１および第２の暗号画像のうち、第１の暗号画像が前記第１の基材の所定位置に、第２の暗号画像が前記第２の基材の所定位置にそれぞれ形成され、かつ、前記第１の暗号画像の上に前記第２の暗号画像を重ね合わせて前記第２の基材の表面側から見たときに前記元となる画像を視認可能に復号する暗号記録媒体において、
前記第１の暗号画像と前記第２の暗号画像は、該暗号画像を構成する各画素がマトリクス状に分割された微小セルの集合からなり、前記微小セルは、情報セルまたは余白セルのいずれかからなり、前記第１の暗号画像中の情報セルは、前記第１の基材上に第１の色を呈する着色層として形成され、前記第２の暗号画像中の情報セルは、前記第２の基材の裏面側に前記第１の色とは異なる第２の色を呈する着色層が形成されていることを特徴とする暗号記録媒体。
【請求項４】
前記第２の色を呈する着色層の上に該着色層に重畳する遮光層を設けたことを特徴とする請求項３記載の暗号記録媒体。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【公開番号】特開２０１２−４７８４１（Ｐ２０１２−４７８４１Ａ）
【公開日】平成２４年３月８日（２０１２．３．８）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１０−１８７７７４（Ｐ２０１０−１８７７７４）
【出願日】平成２２年８月２５日（２０１０．８．２５）
【出願人】（０００００２８９７）大日本印刷株式会社 (14,506)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２４年３月８日（２０１２．３．８）
【国際特許分類】
【出願日】平成２２年８月２５日（２０１０．８．２５）
【出願人】（０００００２８９７）大日本印刷株式会社 (14,506)
【Ｆターム（参考）】
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