曲げ加工装置及び曲げ加工方法
【課題】中空断面を有する管材を曲げ加工するにあたっての加工性を高めることができる曲げ加工装置を提供すること。
【解決手段】曲げ加工装置は、一対の支点2を介して揺動自在に連結される一対のウイング式ダイ3と、管材Wの両端部をそれぞれ把持する一対のチャック4と、管材Wを支持する支持面31と、チャック4を載置する載置面32と、支持面31の反対側に位置する背面33と、背面33を支持面31に向かう方向に付勢するクッションパッド5と、背面33から支持面31に向かう突出方向Aに突出する突出部34と、管材Wを支持面31から背面33に向かう方向Bに選択的に押圧するパンチ6と、パンチ6が管材Wを押圧した場合に、チャック4の管材Wの延在方向Sにおける載置面32に対する相対移動を拘束して管材Wに軸力を付与する拘束面341とを含む。
【解決手段】曲げ加工装置は、一対の支点2を介して揺動自在に連結される一対のウイング式ダイ3と、管材Wの両端部をそれぞれ把持する一対のチャック4と、管材Wを支持する支持面31と、チャック4を載置する載置面32と、支持面31の反対側に位置する背面33と、背面33を支持面31に向かう方向に付勢するクッションパッド5と、背面33から支持面31に向かう突出方向Aに突出する突出部34と、管材Wを支持面31から背面33に向かう方向Bに選択的に押圧するパンチ6と、パンチ6が管材Wを押圧した場合に、チャック4の管材Wの延在方向Sにおける載置面32に対する相対移動を拘束して管材Wに軸力を付与する拘束面341とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空断面を有する管材を曲げ加工するにあたってより高い加工性を得ることができる曲げ加工装置及び曲げ加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化防止対策の一助として、二酸化炭素の排出源となる自動車の軽量化の要請が近年高まっており、特には、バンパーリインフォースメント等の各種部品に、アルミニウム押出合金管材が使用されるケースが増加している。
【0003】
マグネシウム合金押出形材やアルミニウム押出合金管材は、一般に熱間加工により押出成形されて中空断面を有する角管又は円管を、冷間又は熱間において曲げ加工することにより、上述した各種部品に要求される所望の形状に曲げ加工される。このようにマグネシウム合金押出形材やアルミニウム押出合金管材を曲げ加工する装置としては、例えば特許文献1に示すような曲げ加工装置が用いられる。
【0004】
特許文献1に示す曲げ加工装置においては、曲げ内側に圧縮による皺や断面変形が発生することを防止するために、中子型を管材の内部に押し込む中小型挿入シリンダを具備するとともに、曲げ加工の対象となる管材の両端に軸方向の引張力を付与することを目的として、管材の両端部を把持する把持具と、把持具を軸方向外側に押圧するストレッチシリンダを具備する構成を採っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−132142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような特許文献1に示す曲げ加工装置においては、中子型を使用する必要が生じることから曲げ加工の工数が増大し、中子型挿入シリンダとストレッチシリンダを具備することから構造の複雑化を招くとともに、中子型挿入シリンダとストレッチシリンダをそれぞれ個別に制御する必要が生じることから、これによっても工数が増大し、曲げ加工の加工性を高めることが必ずしも容易でない。このため、中空断面を有する管材を曲げ加工するにあたっての加工性をより適切に高めることができる曲げ加工装置を提供できていないという問題があった。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑み、中空断面を有する管材を曲げ加工するにあたっての加工性を高めることができる曲げ加工装置及び曲げ加工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の問題を解決するため、本発明による曲げ加工装置は、
一対の基部と、
前記一対の基部にそれぞれ対応する一対の支点を介して揺動自在に連結される一対のウイング式ダイと、
管材の両端部をそれぞれ把持する一対の把持部と、
前記ウイング式ダイの一部をなして前記管材を支持する支持面と、
前記ウイング式ダイの一部をなして前記把持部を載置する載置面と、
前記ウイング式ダイの一部をなして前記支持面の反対側に位置する背面と、
前記背面を前記背面から前記支持面に向かう方向に付勢する付勢部と、
前記ウイング式ダイの一部をなして前記背面から前記支持面に向かう突出方向に突出する突出部と、
前記管材を前記支持面から前記背面に向かう方向に選択的に押圧するパンチと、
前記突出部の一部をなして前記把持部の前記管材の延在方向における前記載置面に対する相対移動を前記パンチが前記管材を押圧した場合に拘束して前記管材に軸力を付与する拘束面と、
を含むことを特徴とする。
【0009】
なお、前記パンチは、例えばクランク機構により、前記支点方向から視て、前記一対の支点を結ぶ直線と垂直であって、前記一対の支点の中点を通る直線の方向に進退変位自在に動作されるものであり、前記管材を選択的に押圧する。また、前記把持部は前記管材の両端部をそれぞれ把持する所謂チャックであり、通常の引張試験で用いられる丸型のチャックに比して、前記拘束面との接触を確実なものとするため、前記拘束面に接触される被拘束面を含むように直方体状に構成される。
【0010】
前記曲げ加工装置によれば、前記管材が前記支持面により支持されて、前記管材の自由端である前記両端部を把持した前記把持部が前記載置面に載置された状態で、前記パンチを前記管材及び前記一対のウイング式ダイに接近する前進方向に変位させて、前記管材を押圧した場合に、前記管材が前記パンチと前記ウイング式ダイとの間で曲げ加工されるにあたって前記把持部が前記延在方向において前記載置面に対して相対移動することを、前記拘束面により拘束して阻止することができる。
【0011】
ここで前記曲げ加工装置が、前記支点が前記支持面よりも前記突出方向側に位置する所謂上支点型である場合には、前記パンチの押圧により前記一対のウイング式ダイの前記パンチ側の自由端はそれぞれの前記支点を中心とする周方向に揺動変位しながら、前記支点方向から視て相互に離隔する方向に変位する。従って、前記管材が前記延在方向に引っ張られながら曲げ加工される、所謂引張曲げ加工がなされる。
【0012】
前記管材については、前記パンチの押圧に伴う曲げ変形により、前記パンチに接触する側が圧縮され、前記支持面に接触する側が引っ張られることとなる。このため、前記管材が特にはマグネシウム合金押出形材であって、圧縮側の変形抵抗が引張側よりも小さい特性を有する場合には、圧縮側の増肉が生じたとしても、破断が発生するか、若しくは蛇腹状に大きく変形して皺が発生することが懸念されることとなる。
【0013】
前記拘束面による拘束がない場合には、前記支点方向から視て前記把持部は前記載置面に対して前記延在方向において前記パンチ側つまり前記一対の支点の中点側に相対移動しようとするが、前記拘束面はこの相対移動を拘束し阻止するため、前記管材には引張力が作用して、前記圧縮側の圧縮力又は圧縮力による圧縮ひずみを一部相殺して打ち消して小さいものとし、上述した皺が発生することを防止することができる。
【0014】
ここで前記曲げ加工装置が、前記支点が前記支持面よりも前記突出方向と反対側に位置する所謂下支点型である場合には、前記パンチの押圧により前記一対のウイング式ダイの前記パンチ側の自由端はそれぞれの前記支点を中心とする周方向に揺動変位しながら、前記支点方向から視て相互に接近する方向に変位する。従って、前記管材が前記延在方向に圧縮されながら曲げ加工される、所謂圧縮曲げ加工がなされる。
【0015】
前記管材については、前記パンチの押圧に伴う曲げ変形により、前記パンチに接触する側が圧縮され、前記支持面に接触する側が引っ張られることとなる。このため、前記管材が特にはアルミニウム押出合金管材であって、延性は低いが強度は高いという特性を有する場合には、引張側に微視割れを含む割れや破断が発生することが懸念されることとなる。
【0016】
前記拘束面による拘束がない場合には、前記支点方向から視て前記把持部は前記載置面に対して前記パンチ側つまり前記一対の支点の中点から離隔する側に相対移動しようとするが、前記拘束面はこの相対移動を拘束し阻止するため、前記管材には圧縮力が作用して、前記引張側の引張力又は引張力による引張ひずみを一部相殺して打ち消して小さいものとして、上述した割れや破断が発生することを防止することができる。
【0017】
上述したように前記曲げ加工装置においては、前記管材の圧縮側の皺又は引張側の割れや破断を防止するにあたって、前記管材に付与することが必要な前記引張力又は前記圧縮力のいずれかである前記軸力を前記パンチの押圧に起因する前記把持部と前記突出部の前記拘束面との接触、干渉に伴う受動的な力として発生させることができる。
【0018】
このため、従来技術において用いられていたような中子型、中子型を前記管材の中空断面の内部に挿入するシリンダ、前記管材の圧縮側の圧縮力を相殺するための引張力を発生するためのシリンダ、前記管材の引張側の引張力を相殺するための圧縮力を発生するためのシリンダのいずれをも不要なものとし、前記曲げ加工装置自体の構成を簡略化するとともに、曲げ加工の工程そのものを簡略化して、曲げ加工の加工性を高めることができる。
【0019】
ここで、前記曲げ加工装置において、
前記突出方向における、前記拘束面の長さを前記把持部の長さよりも所定の長さだけ短くすることが好ましい。
【0020】
前記曲げ加工装置によれば、前記パンチの押圧による前記管材の曲げ加工が終了した後、前記パンチをウイング式ダイから離隔する方向に後退変位させた場合に、前記把持部と、前記拘束面との別離を円滑に行うことができる。
【0021】
また、前記曲げ加工装置において、
前記突出方向における、前記支持面に対する前記支点の距離を調節する調節部を含むことが好ましい。
【0022】
前記曲げ加工装置によれば、前記拘束面による前記相対移動の拘束態様の自由度を高めることを、比較的容易に行うことができる。
【0023】
さらに、前記曲げ加工装置において
前記軸力に応じて前記距離が調節されることが好ましい。
【0024】
前記曲げ加工装置によれば、前記軸力の所望する設計値に応じて前記距離を適宜調節することを可能とすることができる。
【0025】
ここで、前記曲げ加工装置において、
前記軸力は前記曲げ加工において前記管材内部に発生するひずみを許容値内に収めるものであることとすることが好ましい。
【0026】
前記曲げ加工装置によれば、前記ひずみを前記許容値に収めるように、前記軸力の設計値を決定した上で、前記距離を適宜調節することができる。
【0027】
加えて、前記曲げ加工装置における一態様として、
前記支点を前記支持面よりも前記突出方向側に位置させ、前記拘束面を前記把持部よりも前記パンチ側に位置させて、前記軸力を前記管材に対する引張力とするとともに、前記引張力を大きくするほど前記距離を長くすることを選択することができる。
【0028】
この一態様の前記曲げ加工装置は、所謂上支点型における好ましい態様を選択可能な物とすることができるとともに、前記引張力の所望する設計値を、前記距離に基づいてより正確に調節可能とすることができる。
【0029】
あるいは、前記曲げ加工装置における一態様として、
前記支点を前記支持面よりも前記突出方向と反対側に位置させ、前記拘束面を前記把持部よりも前記パンチに対して反対側に位置させて、前記軸力を前記管材に対する圧縮力とするとともに、前記圧縮力を大きくするほど前記距離を長くすることを選択することもできる。
【0030】
この一態様の前記曲げ加工装置は、所謂下支点型における好ましい態様を選択可能な物とすることができるとともに、前記圧縮力の所望する設計値を、前記距離に基づいてより正確に調節可能とすることができる。
【0031】
また、上述した課題を解決するため、本発明に係る曲げ加工方法は、
請求項1〜7に記載の曲げ加工装置を用いた、前記管材の曲げ加工方法であって、前記パンチによって前記管材を押圧する押圧ステップと、前記拘束面によって前記把持部を拘束して前記軸力を前記管材に付与する拘束ステップと、を含むことものとすることができる。
【0032】
前記曲げ加工方法によれば、前記押圧ステップに伴って前記拘束ステップを受動的且つ同時に行うことができ、曲げ加工の加工性を高めつつ、前記管材の曲げ加工における皺又は割れの発生をより効果的に防止することができる。
【0033】
さらに、前記曲げ加工方法において、
前記管材が前記延在方向に垂直な断面において周方向位置により厚みが異なる偏肉を有する場合に、前記厚みが厚い厚肉部を前記支持面の反対側に位置させることとしてもよい。
【0034】
前記曲げ加工方法によれば、特には前記管材がマグネシウム合金押出形材である場合に、前記管材の圧縮側の皺の発生を防止することができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、中空断面を有する管材をより高い加工性を保持して曲げ加工することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係る曲げ加工装置の一実施形態(上支点型)を示す模式図である。
【図2】本発明に係る曲げ加工装置の一実施形態が含むパンチの形態を示す模式図である。
【図3】本発明に係る曲げ加工装置の一実施形態が含むウイング式ダイに対応したパンチの形態を示す模式図である。
【図4】本発明に係る曲げ加工装置の一実施形態が含むウイング式ダイ及びチャックの動作の形態を示す模式図である。
【図5】本発明に係る曲げ加工装置の一実施形態が含むチャックの形態を示す模式図である。
【図6】本発明に係る曲げ加工装置の一実施形態が含むチャック内に用いるつかみ具の形態を示す模式図である。
【図7】本発明に係る曲げ加工装置の一実施形態が含むウイング式ダイの支持面に対する支点の位置を調節する調節部の形態を示す模式図である。
【図8】本発明に係る曲げ加工装置の一実施形態が含むウイング式ダイの支持面に対する支点の位置を調節する調節部の形態を示す模式図である。
【図9】本発明に係る曲げ加工装置の一実施形態が含むウイング式ダイ及びチャックの曲げ加工終了後においてパンチが下死点にある状態における形態を示す模式図である。
【図10】本発明に係る曲げ加工装置の一実施形態が含むウイング式ダイ及びチャックの曲げ加工終了後においてパンチが下死点から上死点に向けて移動した後の状態における形態を示す模式図である。
【図11】本発明に係る曲げ加工装置の他実施形態(下支点型)を示す模式図である。
【図12】本発明に係る曲げ加工装置の他実施形態が含むウイング式ダイ及びチャックの曲げ加工終了後においてパンチが下死点にある状態における形態を示す模式図である。
【図13】本発明に係る曲げ加工装置の他実施形態が含むウイング式ダイ及びチャックの曲げ加工終了後においてパンチが下死点から上死点に向けて移動した後の状態における形態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0038】
本実施例1において曲げ加工装置1は、図4に左右対称に位置する一対の内一方のみを示す、一対のウイング式ダイ支持部7(基部)と、一対のウイング式ダイ支持部7にそれぞれ対応する一対の支点2を介して揺動自在に連結される一対のウイング式ダイ3と、管材Wの両端部をそれぞれ把持する一対のチャック4(把持部)とを含んで構成される。ウイングダイ支持部7の支点2を含む突状部の、図4中奥側には平面部71が設けられており、ウイング式ダイ3の揺動範囲を、一対の平面部71を含む平面から図1中に示す前進方向B側のみに規制するストッパを構成している。
【0039】
さらに、曲げ加工装置1は、ウイング式ダイ3の一部をなして管材Wを支持する支持面31と、図4及び図1に示すような、ウイング式ダイ3の一部をなしてチャック4を載置する載置面32と、ウイング式ダイ3の一部をなして支持面31の反対側に位置する背面33と、背面33を背面33から支持面31に向かう方向に付勢するクッションパッド5(付勢部)と、ウイング式ダイ3の一部をなして背面33から支持面31に向かう突出方向Aに直方体状に突出する突出部34を含む。
【0040】
加えて、曲げ加工装置1は、管材Wを支持面31から背面33に向かう前進方向Bに選択的に押圧するパンチ6と、突出部34の一部をなしてチャック4の管材Wの延在方向Sにおける載置面32に対する相対移動をパンチ6が管材Wを押圧した場合に拘束して管材Wに軸力を付与する拘束面341と、を含む。
【0041】
さらに、図4に示すように、ウイング式ダイ3の支持面31の両側には、一対のウイング側フランジ35が支持面31から突出方向Aに突出する形態にて設けられている。
【0042】
なお、図1及び図2において、直線Cは、図1に一対の内右側の一方のみを示す支点2の方向から視て、一対の支点2の相互を結ぶ直線と垂直であって、一対の支点2の中点を通る直線である。直線Cは、図1及び図2において、パンチ6の左右方向の中央に一致する。パンチ6は図1及び図2に示すように、前進方向Bに対して凸状に所定の半径を有して湾曲する形態の舌片形状に形成される。
【0043】
パンチ6は、例えばモータにより駆動される図示しないクランク機構により、直線Cの方向に進退変位自在に動作されるものである。図3は図2中の右方視であるが、パンチ6の左側は、図3に示すように、左側に手前のパンチ側フランジ61が配置され、パンチ6の右側には奥側のパンチ側フランジ62が配置され、パンチ側フランジ62はパンチ側フランジ61よりも図3中上下方向寸法が小さく設定されており、パンチ側フランジ61とパンチ側フランジ62は図3中下端を揃えてパンチ6を挟持した状態で、固定ボルト63により一体的に構成される。
【0044】
図2及び図3中上側にはクランク機構の可動部のベースプレートBAが位置しており、図3に示すようにこのベースプレートBAには下方に向けて突出するパンチホルダHが構成される。この、パンチホルダHの図3中に示す左側面に、前述したように一体化されたパンチ6、パンチ側フランジ61、パンチ側フランジ62が取付ボルト64によりキー65を介して固定される。
【0045】
このパンチ6は、ウイング式ダイ3の支持面31により支持された管材Wをクランク機構の動作に基づいて選択的に押圧する。ここで、ウイング式ダイ3の支持面31の両側に位置する図4及び図1に示すウイング側フランジ35は、管材Wの支持面31の側方への変位を規制するとともに、パンチ側フランジ61及び62の案内面を構成する。
【0046】
また、ウイング式ダイ3の把持部を構成するチャック4は、通常の引張試験で用いられる丸型のチャックとは形態を異にしており、拘束面341との接触を確実なものとするため、拘束面341に同一平面内にて接触される被拘束面41を含むように、図5に示すような直方体状に構成される。
【0047】
図5(a)に示すように、チャック4は図5(a)中紙面方向に偏平な直方体状のそれぞれの隅部を面取りして構成され、図5(a)及び図5(a)中下方視を示す図5(b)中に示されるように、被拘束面41が構成される。図5(a)中に示されるように、紙面方向手前から奥側に向けて左側底が右側底よりも長い台形状の底面を有する台形柱状の凹部42が、切削加工により構成されており、図5(a)中の右方視である図5(c)に示されるように、凹部42は被拘束面41の対向面に向けて図示しない管材Wの延在方向Sにおいて開口する形状をなす。また、図5(a)に示すように、被拘束面41から凹部42に向けてボルト挿通穴43が穿設されている。
【0048】
図5(a)に示す凹部42内部には、上述した管材Wの両端部の一方が図5(a)中紙面方向手前側から挿入し収納される前に、図5(a)中紙面方向手前側から視て角管又は円管である管材Wが収納される空間の外側と台形柱状の凹部42との隙間に構成される、一対の楔状の空間には、図6に示すような形態のつかみ具44が一対の楔状の空間にそれぞれ対応させて予め配置されセットされる。
【0049】
図6(b)の図示方向は、図5(a)の紙面方向と一致するものであり、図6(b)に示すように、つかみ具44は、図示しない管材W側が管材Wの延在方向Sに平行なやすり面441を構成し、管材Wと反対側が凹部42の台形柱状の凹部42の側壁に平行であって、管材Wの延在方向Sに対して傾斜する傾斜面422を構成する。図6(b)のAで示すつかみ具44のやすり面441は例えば図6(d)に示すような、比較的荒いヤスリ状の表面を有している。
【0050】
図5(a)に示す凹部42内部の前述した一対の楔状の空間に一対のつかみ具44がセットされた状態で、管材Wが紙面方向手前から奥側に挿入され収納された後、図示しない締結ボルトをボルト挿通穴43に螺合して締結ボルトの先端を管材Wの端部に対して図示しない治具を介して押圧することにより、管材Wと両側に位置するつかみ具44はやすり面441の食い込み作用により締結され、つかみ具44と凹部42の側面とは傾斜面441のテーパ効果により締結されて、チャック4は管材Wの端部を把持する。
【0051】
両端部がチャック4により把持された管材Wは、初期状態の一対のウィング式ダイ3双方の支持面31上に支持されて、チャック4は凹部42を有する側を載置面32に指向させて載置面32に載置される。
【0052】
本実施例1の曲げ加工装置1においてはさらに、図1に示した突出方向Aにおける、拘束面341の長さL341をチャック4の長さL4よりも所定の長さだけ短くすることとしている。
【0053】
また、本実施例1の曲げ加工装置1において、図1に示した突出方向Aにおける、支持面31に対する支点2の中心との距離la"'を調節する、例えば図7に示すような、調節部8を含んでいてもよい。支点2は、図1に示したように円筒棒状のシャフトにより構成されるが、調節部8は、図7に示すように、支点2を構成するシャフトを揺動自在に支持する孔部81を有する支点支持部82と、支点支持部82をウイング式ダイ3に固定する固定部83とから構成される。
【0054】
図7に示すウイング式ダイ3のDD断面に示す支点支持部82は、支点支持部82の下端部よりに孔部81を具備しているが、この支点支持部82を図8に示すように、上端部よりに孔部81を有するものに適宜交換することで、支持面31に対する支点2の中心との距離la"を調節する。
【0055】
すなわち、支点支持部82について、孔部81を下端部から上端部の間の任意の複数段階の箇所に設けた複数種類のものを予め製作しておき、距離la"の変更の必要が生じた場合に、変更後の距離la"に対応する支点支持部82に交換することにより、距離la"を調節する。
【0056】
この場合において、本実施例1の曲げ加工装置1においては、拘束面341がチャック4の被拘束面41を拘束することにより管材Wに付与される軸力に応じて距離la"が調節され、軸力は曲げ加工において管材W内部に発生するひずみを許容値内に収めるものであることとする。
【0057】
なお、管材Wを構成する押出形材は一般には周方向位置において肉厚が異なる偏肉を有していることがあり、この偏肉は意図的に設けることも可能である。曲げ加工を管材Wに対して行うと、曲げ加工前の初期状態において偏肉が存在しない場合でも、曲げの内側つまり圧縮側においては増肉が発生し、中立面は一般的には圧縮側に移動することとなる。
【0058】
ここで、引張側を厚肉とし圧縮側を薄肉とするように管材Wをセットして曲げ加工を行うとすると、セット時の肉厚差の影響で必ずしも中立面が圧縮側に移動するとは限らなくなる。特には管材Wがマグネシウム合金押出形材により構成される場合には、引張側よりも圧縮側で平均変形抵抗が小さく、圧縮側が大きく変形して、中立面は引張側に移動する傾向が現れる。
【0059】
従って、管材Wがマグネシウム合金押出形材である場合には、曲げ加工を行う際に、厚肉部を圧縮側に配置すること、薄肉部を引張側に配置すること、偏肉を有していない管材Wに引張力を加えながら曲げ加工を行うことを、個々の材質に合わせて選択する余地があるが、工業的見地からは、偏肉を有していない管材Wを用いる最後の手法が安全且つ容易である。
【0060】
加えて、本実施例1の曲げ加工装置1においては、支点2を支持面31よりも突出方向A側に位置させ、拘束面341をチャック4よりもパンチ6側に位置させて、軸力を管材Wに対する引張力とするとともに、引張力を大きくするほど距離la"を長くすることとしている。
【0061】
本実施例1の曲げ加工装置1によれば、管材Wが支持面31により支持されて、管材Wの双方の端部をそれぞれ把持したチャック4が載置面32に載置された状態で、パンチ6をクランク機構の動作に基づいて管材Wに接近する図1に示す前進方向Bに変位させて、管材Wを押圧する押圧加工を行った場合に、管材Wがパンチ6と左右一対のウイング式ダイ3との間で曲げ加工されるにあたってチャック4が延在方向Sにおいてパンチ6に近接する方向に載置面32に対して相対移動することを、拘束面341の被拘束面41との当接に基づいて拘束して阻止することができる。
【0062】
本実施例1の曲げ加工装置1は、支点2が支持面31よりも突出方向A側に位置する上支点型であるので、パンチ6の押圧により一対のウイング式ダイ3のパンチ6側の自由端は支点2を中心とする周方向に揺動変位しながら、支点2方向から視て相互に離隔する方向に変位するので、管材Wが延在方向Sに引っ張られながら曲げ加工される。
【0063】
管材Wは、パンチ6の押圧に伴う曲げ変形により、パンチ6に接触する側が圧縮され、支持面31に接触する側が引っ張られて、管材Wがマグネシウム合金押出形材であって、圧縮側の変形抵抗が引張側よりも小さい特性を有する場合には、圧縮側の増肉が生じたとしても、破断が発生するか、若しくは蛇腹状に大きく変形して皺が発生することが懸念されることが問題となる。
【0064】
本実施例1の曲げ加工装置1に示したように、図1に示すような拘束面341によるチャック4の延在方向Sにおける載置面32に対する相対運動の拘束を行わない場合には、支点2方向から視てチャック4は載置面32に対して延在方向Sにおいてパンチ6側つまり直線C側に相対移動する挙動を示すが、拘束面341はこの相対移動を拘束し阻止するため、管材Wには引張力が作用して、管材Wのパンチ6に接触する面側つまり圧縮側の圧縮力を一部相殺して打ち消して低減して、上述した破断が圧縮側において発生することを防止することができる。
【0065】
さらに、本実施例1の曲げ加工装置1においては、管材Wの圧縮側の皺を防止することを目的として、管材Wに付与することが必要な引張力をパンチ6の押圧により、チャック4の被拘束面41と突出部34の拘束面341が接触し干渉することに伴って発生する受動的な力として発生することができる。
【0066】
このため、従来技術で示した特許文献1において用いられていたような中子型、中子型を管材Wの中空断面の内部に挿入するシリンダや、管材Wの圧縮側の圧縮力を相殺するための引張力を発生するためのシリンダを不要なものとし、曲げ加工装置1において、パンチ6を進退方向に動作させるクランク機構以外の動力機構をなくすことができ、曲げ加工装置1としての構成を簡略化するとともに、曲げ加工の工程や工程に伴う制御を簡略化して、曲げ加工の加工性を高めることができる。
【0067】
また、本実施例1の曲げ加工装置1においては、図1に示した突出方向Aにおける、拘束面341の長さL341をチャック4の長さL4よりも所定の長さだけ短くしているので、図9に示すように、パンチ6の押圧による管材Wの曲げ加工が終了した後、図10に示すように、パンチ6をウイング式ダイ3から離隔する後退方向に変位させた場合に、曲げ加工後の管材Wは曲げ変形に伴い内部に残留する圧縮力によりパンチ6の押圧面に付着されてパンチ6とともに後退変位し、かつ、拘束面341との間に発生する摩擦力を低下させて、チャック4の長さL4の面の下端が拘束面341の上端と接触しないようにして、チャック4と拘束面341との別離を円滑に行って、パンチ6の後退変位に伴わせて、ウイング式ダイ3を初期状態に復帰させることができる。
【0068】
また、本実施例1の曲げ加工装置1においては、図1に示す突出方向Aにおける、支持面31に対する支点2の距離la"を調節する図7又は図8に示すような調節部8を適宜含むことを可能としているので、拘束面341によるチャック4の載置面32に対する延在方向Sにおける相対移動の拘束態様の自由度を高めることを、比較的容易に行うことができる。
【0069】
さらに、本実施例1の曲げ加工装置1においては、拘束面341がチャック4を拘束することにより管材Wに付与される軸力に応じて距離la"が調節されることとしているので、軸力の所望する設計値に応じて距離la"を適宜調節することができる。
【0070】
また、本実施例1の曲げ加工装置1においては、拘束面341が発生する軸力は曲げ加工において管材W内部に発生するひずみを許容値内に収めるものであることとしているので、管材W内に発生するひずみを許容値に収めるように、拘束面341の発生する軸力の設計値を決定した上で、距離la"を適宜調節することができる。
【0071】
加えて、本実施例1の曲げ加工装置1においては、支点2を支持面31よりも突出方向A側に位置させ、拘束面341をチャック4よりもパンチ6側に位置させて、軸力を管材Wに対する引張力とし、引張力を大きくするほど距離la"を長くすることを選択できるので、上支点型のウイング式ダイ3を用いた曲げ加工装置1における好ましい態様を選択可能とすることができる。また、付与すべき引張力の所望する設計値を、距離la"に基づいてより正確に調節可能とすることができる。
【0072】
また、本実施例1の曲げ加工装置1による曲げ加工工程においては、本発明に係る曲げ加工方法が同時に実行される。すなわち、本発明の管材の曲げ加工方法が含む、パンチ6によって管材Wを押圧する押圧ステップと、拘束面341によってチャック4を拘束して軸力を管材Wに付与する拘束ステップと、が自動的に実行される。
【0073】
本実施例1において実行される本発明の曲げ加工方法によれば、押圧ステップに伴って拘束ステップを受動的且つ同時に行うことができ、曲げ加工の加工性を高めつつ、管材Wの曲げ加工における皺の発生をより効果的に防止することができる。
【0074】
さらに、本実施例1において実行される曲げ加工方法においては、管材Wが延在方向Sに垂直な断面において周方向位置により厚みが異なる偏肉を有している場合に、厚みが厚い厚肉部を支持面31の反対側に位置させることが好ましい。この曲げ加工方法によれば、特には管材Wがマグネシウム合金押出形材である場合に、管材Wの圧縮側の皺の発生を防止することができる。
【0075】
上述した実施例1においては、図1に示したように、曲げ加工装置1を上支点型として、拘束面341をチャック4の直線C側に位置させたが、曲げ加工装置1を下支点型として、拘束面341をチャック4の直線Cと反対側に位置させることもできる。以下それについての実施例2について述べる。
【実施例2】
【0076】
実施例2の曲げ加工装置1は、図11に示すように、支点2がウイング式ダイ3の支持面31よりも前進方向B側に位置する下支点型であるとともに、突出部34がウイング式ダイ3の載置面32のチャック4が載置される部分よりも直線Cから離隔する位置に配置されて、突出部34の直線Cに指向する面が拘束面341を構成し、チャック4の管材Wを把持する部分である凹部42と反対側の面が被拘束面41を構成する点が、実施例1とは異なる。
【0077】
このように、本実施例2の曲げ加工装置1においては、図11に示すように、支点2を支持面31よりも突出方向Aと反対側に位置させ、拘束面341をチャック4よりもパンチ6に対して反対側に位置させて、軸力を管材Wに対する圧縮力とするとともに、圧縮力を大きくするほど距離la"を長くすることとしている。
【0078】
本実施例2の曲げ加工装置1においてはさらに、図11に示した突出方向Aにおける、拘束面341の長さL341をチャック4の長さL4よりも所定の長さだけ短くすることとしている。
【0079】
本実施例2の曲げ加工装置1は、下支点型における好ましい態様を選択可能として、圧縮力の所望する設計値を、距離la"に基づいてより正確に調節可能とすることができる。本実施例2の曲げ加工装置1が下支点型であるため、パンチ6の押圧により一対のウイング式ダイ3のパンチ6側の自由端はそれぞれの支点2を中心とする周方向に揺動変位しながら、支点2方向から視て相互に接近する方向に変位して、管材Wが延在方向Sにおいて圧縮されながら曲げ加工される圧縮曲げ加工が実行される。
【0080】
管材Wについては、パンチ6の押圧に伴う曲げ変形により、パンチ6に接触する側が圧縮され、支持面31に接触する側が引っ張られることとなり、管材Wが特にはアルミニウム押出合金管材であって、延性は低いが強度は高いという特性を有する場合には、引張側に割れ、微視割れや破断が発生することが問題となる。
【0081】
拘束面341による拘束がない場合には、支点2方向から視てチャック4は、図11に示す載置面32に対してパンチ6側つまり一対の支点2の中点から離隔する側に相対移動しようとするが、拘束面341はこの離隔する方向の相対移動を拘束し阻止するため、管材Wには圧縮力が作用して、引張側の引張力を一部相殺して打ち消して低減して、割れ、微視割れや破断が発生することを防止することができる。
【0082】
また、本実施例2の曲げ加工装置1においては、図11に示した突出方向Aにおける、拘束面341の長さL341をチャック4の長さL4よりも所定の長さだけ短くしているので、図12に示すように、パンチ6の押圧による管材Wの曲げ加工が終了した後、図13に示すように、パンチ6をウイング式ダイ3から離隔する後退方向に変位させた場合に、曲げ加工後の管材Wは曲げ変形に伴い内部に残留する圧縮力によりパンチ6の押圧面に付着されてパンチ6とともに後退変位し、かつ、チャック4の被拘束面41と、拘束面341との間に発生する摩擦力を低下させて、チャック4と、拘束面341との別離を円滑に行って、パンチ6の後退変位に伴わせて、ウイング式ダイ3を初期状態に復帰させることができる。
【0083】
本実施例2の曲げ加工装置1においても、管材Wの引張側の割れ、微視割れや破断を防止するにあたって、管材Wに付与することが必要な圧縮力をパンチ6の押圧に起因するチャック4と突出部34の拘束面341との接触、干渉に伴う受動的な力として発生させることができ曲げ加工装置1自体の構成を簡略化するとともに、曲げ加工の工程そのものを簡略化して、曲げ加工の加工性を高めることができる。
【0084】
以上本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明は上述した実施例に制限されることなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形および置換を加えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、中空断面を有する管材を曲げ加工する曲げ加工装置及び曲げ加工方法を提供し、曲げ加工にあたっての加工性を高めることができ、より簡易な機構により曲げ加工装置を構成することができるので、自動車用の各種部品や椅子の手すり等のマグネシウム合金押出形材やアルミニウム押出合金管材等の中空断面を有する管材を曲げ加工して構成される部品の製造に適用して有益である。
【符号の説明】
【0086】
1 曲げ加工装置
2 支点
3 ウイング式ダイ
W 管材
S 延在方向
A 突出方向
B 前進方向
31 支持面
32 載置面
33 背面
34 突出部
341 拘束面
35 ウイング側フランジ
4 チャック(把持部)
41 被拘束面
42 凹部
43 ボルト挿通穴
44 つかみ具
5 クッションパッド(付勢部)
6 パンチ
61 パンチ側フランジ(手前側:大)
62 パンチ側フランジ(奥側:小)
63 固定ボルト
64 取付ボルト
65 キー
H パンチホルダ
BA ベースプレート
7 ウイング式ダイ支持部(基部)
71 平面部
8 調節部
81 孔部
82 支点支持部
83 固定部
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空断面を有する管材を曲げ加工するにあたってより高い加工性を得ることができる曲げ加工装置及び曲げ加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化防止対策の一助として、二酸化炭素の排出源となる自動車の軽量化の要請が近年高まっており、特には、バンパーリインフォースメント等の各種部品に、アルミニウム押出合金管材が使用されるケースが増加している。
【0003】
マグネシウム合金押出形材やアルミニウム押出合金管材は、一般に熱間加工により押出成形されて中空断面を有する角管又は円管を、冷間又は熱間において曲げ加工することにより、上述した各種部品に要求される所望の形状に曲げ加工される。このようにマグネシウム合金押出形材やアルミニウム押出合金管材を曲げ加工する装置としては、例えば特許文献1に示すような曲げ加工装置が用いられる。
【0004】
特許文献1に示す曲げ加工装置においては、曲げ内側に圧縮による皺や断面変形が発生することを防止するために、中子型を管材の内部に押し込む中小型挿入シリンダを具備するとともに、曲げ加工の対象となる管材の両端に軸方向の引張力を付与することを目的として、管材の両端部を把持する把持具と、把持具を軸方向外側に押圧するストレッチシリンダを具備する構成を採っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−132142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような特許文献1に示す曲げ加工装置においては、中子型を使用する必要が生じることから曲げ加工の工数が増大し、中子型挿入シリンダとストレッチシリンダを具備することから構造の複雑化を招くとともに、中子型挿入シリンダとストレッチシリンダをそれぞれ個別に制御する必要が生じることから、これによっても工数が増大し、曲げ加工の加工性を高めることが必ずしも容易でない。このため、中空断面を有する管材を曲げ加工するにあたっての加工性をより適切に高めることができる曲げ加工装置を提供できていないという問題があった。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑み、中空断面を有する管材を曲げ加工するにあたっての加工性を高めることができる曲げ加工装置及び曲げ加工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の問題を解決するため、本発明による曲げ加工装置は、
一対の基部と、
前記一対の基部にそれぞれ対応する一対の支点を介して揺動自在に連結される一対のウイング式ダイと、
管材の両端部をそれぞれ把持する一対の把持部と、
前記ウイング式ダイの一部をなして前記管材を支持する支持面と、
前記ウイング式ダイの一部をなして前記把持部を載置する載置面と、
前記ウイング式ダイの一部をなして前記支持面の反対側に位置する背面と、
前記背面を前記背面から前記支持面に向かう方向に付勢する付勢部と、
前記ウイング式ダイの一部をなして前記背面から前記支持面に向かう突出方向に突出する突出部と、
前記管材を前記支持面から前記背面に向かう方向に選択的に押圧するパンチと、
前記突出部の一部をなして前記把持部の前記管材の延在方向における前記載置面に対する相対移動を前記パンチが前記管材を押圧した場合に拘束して前記管材に軸力を付与する拘束面と、
を含むことを特徴とする。
【0009】
なお、前記パンチは、例えばクランク機構により、前記支点方向から視て、前記一対の支点を結ぶ直線と垂直であって、前記一対の支点の中点を通る直線の方向に進退変位自在に動作されるものであり、前記管材を選択的に押圧する。また、前記把持部は前記管材の両端部をそれぞれ把持する所謂チャックであり、通常の引張試験で用いられる丸型のチャックに比して、前記拘束面との接触を確実なものとするため、前記拘束面に接触される被拘束面を含むように直方体状に構成される。
【0010】
前記曲げ加工装置によれば、前記管材が前記支持面により支持されて、前記管材の自由端である前記両端部を把持した前記把持部が前記載置面に載置された状態で、前記パンチを前記管材及び前記一対のウイング式ダイに接近する前進方向に変位させて、前記管材を押圧した場合に、前記管材が前記パンチと前記ウイング式ダイとの間で曲げ加工されるにあたって前記把持部が前記延在方向において前記載置面に対して相対移動することを、前記拘束面により拘束して阻止することができる。
【0011】
ここで前記曲げ加工装置が、前記支点が前記支持面よりも前記突出方向側に位置する所謂上支点型である場合には、前記パンチの押圧により前記一対のウイング式ダイの前記パンチ側の自由端はそれぞれの前記支点を中心とする周方向に揺動変位しながら、前記支点方向から視て相互に離隔する方向に変位する。従って、前記管材が前記延在方向に引っ張られながら曲げ加工される、所謂引張曲げ加工がなされる。
【0012】
前記管材については、前記パンチの押圧に伴う曲げ変形により、前記パンチに接触する側が圧縮され、前記支持面に接触する側が引っ張られることとなる。このため、前記管材が特にはマグネシウム合金押出形材であって、圧縮側の変形抵抗が引張側よりも小さい特性を有する場合には、圧縮側の増肉が生じたとしても、破断が発生するか、若しくは蛇腹状に大きく変形して皺が発生することが懸念されることとなる。
【0013】
前記拘束面による拘束がない場合には、前記支点方向から視て前記把持部は前記載置面に対して前記延在方向において前記パンチ側つまり前記一対の支点の中点側に相対移動しようとするが、前記拘束面はこの相対移動を拘束し阻止するため、前記管材には引張力が作用して、前記圧縮側の圧縮力又は圧縮力による圧縮ひずみを一部相殺して打ち消して小さいものとし、上述した皺が発生することを防止することができる。
【0014】
ここで前記曲げ加工装置が、前記支点が前記支持面よりも前記突出方向と反対側に位置する所謂下支点型である場合には、前記パンチの押圧により前記一対のウイング式ダイの前記パンチ側の自由端はそれぞれの前記支点を中心とする周方向に揺動変位しながら、前記支点方向から視て相互に接近する方向に変位する。従って、前記管材が前記延在方向に圧縮されながら曲げ加工される、所謂圧縮曲げ加工がなされる。
【0015】
前記管材については、前記パンチの押圧に伴う曲げ変形により、前記パンチに接触する側が圧縮され、前記支持面に接触する側が引っ張られることとなる。このため、前記管材が特にはアルミニウム押出合金管材であって、延性は低いが強度は高いという特性を有する場合には、引張側に微視割れを含む割れや破断が発生することが懸念されることとなる。
【0016】
前記拘束面による拘束がない場合には、前記支点方向から視て前記把持部は前記載置面に対して前記パンチ側つまり前記一対の支点の中点から離隔する側に相対移動しようとするが、前記拘束面はこの相対移動を拘束し阻止するため、前記管材には圧縮力が作用して、前記引張側の引張力又は引張力による引張ひずみを一部相殺して打ち消して小さいものとして、上述した割れや破断が発生することを防止することができる。
【0017】
上述したように前記曲げ加工装置においては、前記管材の圧縮側の皺又は引張側の割れや破断を防止するにあたって、前記管材に付与することが必要な前記引張力又は前記圧縮力のいずれかである前記軸力を前記パンチの押圧に起因する前記把持部と前記突出部の前記拘束面との接触、干渉に伴う受動的な力として発生させることができる。
【0018】
このため、従来技術において用いられていたような中子型、中子型を前記管材の中空断面の内部に挿入するシリンダ、前記管材の圧縮側の圧縮力を相殺するための引張力を発生するためのシリンダ、前記管材の引張側の引張力を相殺するための圧縮力を発生するためのシリンダのいずれをも不要なものとし、前記曲げ加工装置自体の構成を簡略化するとともに、曲げ加工の工程そのものを簡略化して、曲げ加工の加工性を高めることができる。
【0019】
ここで、前記曲げ加工装置において、
前記突出方向における、前記拘束面の長さを前記把持部の長さよりも所定の長さだけ短くすることが好ましい。
【0020】
前記曲げ加工装置によれば、前記パンチの押圧による前記管材の曲げ加工が終了した後、前記パンチをウイング式ダイから離隔する方向に後退変位させた場合に、前記把持部と、前記拘束面との別離を円滑に行うことができる。
【0021】
また、前記曲げ加工装置において、
前記突出方向における、前記支持面に対する前記支点の距離を調節する調節部を含むことが好ましい。
【0022】
前記曲げ加工装置によれば、前記拘束面による前記相対移動の拘束態様の自由度を高めることを、比較的容易に行うことができる。
【0023】
さらに、前記曲げ加工装置において
前記軸力に応じて前記距離が調節されることが好ましい。
【0024】
前記曲げ加工装置によれば、前記軸力の所望する設計値に応じて前記距離を適宜調節することを可能とすることができる。
【0025】
ここで、前記曲げ加工装置において、
前記軸力は前記曲げ加工において前記管材内部に発生するひずみを許容値内に収めるものであることとすることが好ましい。
【0026】
前記曲げ加工装置によれば、前記ひずみを前記許容値に収めるように、前記軸力の設計値を決定した上で、前記距離を適宜調節することができる。
【0027】
加えて、前記曲げ加工装置における一態様として、
前記支点を前記支持面よりも前記突出方向側に位置させ、前記拘束面を前記把持部よりも前記パンチ側に位置させて、前記軸力を前記管材に対する引張力とするとともに、前記引張力を大きくするほど前記距離を長くすることを選択することができる。
【0028】
この一態様の前記曲げ加工装置は、所謂上支点型における好ましい態様を選択可能な物とすることができるとともに、前記引張力の所望する設計値を、前記距離に基づいてより正確に調節可能とすることができる。
【0029】
あるいは、前記曲げ加工装置における一態様として、
前記支点を前記支持面よりも前記突出方向と反対側に位置させ、前記拘束面を前記把持部よりも前記パンチに対して反対側に位置させて、前記軸力を前記管材に対する圧縮力とするとともに、前記圧縮力を大きくするほど前記距離を長くすることを選択することもできる。
【0030】
この一態様の前記曲げ加工装置は、所謂下支点型における好ましい態様を選択可能な物とすることができるとともに、前記圧縮力の所望する設計値を、前記距離に基づいてより正確に調節可能とすることができる。
【0031】
また、上述した課題を解決するため、本発明に係る曲げ加工方法は、
請求項1〜7に記載の曲げ加工装置を用いた、前記管材の曲げ加工方法であって、前記パンチによって前記管材を押圧する押圧ステップと、前記拘束面によって前記把持部を拘束して前記軸力を前記管材に付与する拘束ステップと、を含むことものとすることができる。
【0032】
前記曲げ加工方法によれば、前記押圧ステップに伴って前記拘束ステップを受動的且つ同時に行うことができ、曲げ加工の加工性を高めつつ、前記管材の曲げ加工における皺又は割れの発生をより効果的に防止することができる。
【0033】
さらに、前記曲げ加工方法において、
前記管材が前記延在方向に垂直な断面において周方向位置により厚みが異なる偏肉を有する場合に、前記厚みが厚い厚肉部を前記支持面の反対側に位置させることとしてもよい。
【0034】
前記曲げ加工方法によれば、特には前記管材がマグネシウム合金押出形材である場合に、前記管材の圧縮側の皺の発生を防止することができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、中空断面を有する管材をより高い加工性を保持して曲げ加工することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係る曲げ加工装置の一実施形態(上支点型)を示す模式図である。
【図2】本発明に係る曲げ加工装置の一実施形態が含むパンチの形態を示す模式図である。
【図3】本発明に係る曲げ加工装置の一実施形態が含むウイング式ダイに対応したパンチの形態を示す模式図である。
【図4】本発明に係る曲げ加工装置の一実施形態が含むウイング式ダイ及びチャックの動作の形態を示す模式図である。
【図5】本発明に係る曲げ加工装置の一実施形態が含むチャックの形態を示す模式図である。
【図6】本発明に係る曲げ加工装置の一実施形態が含むチャック内に用いるつかみ具の形態を示す模式図である。
【図7】本発明に係る曲げ加工装置の一実施形態が含むウイング式ダイの支持面に対する支点の位置を調節する調節部の形態を示す模式図である。
【図8】本発明に係る曲げ加工装置の一実施形態が含むウイング式ダイの支持面に対する支点の位置を調節する調節部の形態を示す模式図である。
【図9】本発明に係る曲げ加工装置の一実施形態が含むウイング式ダイ及びチャックの曲げ加工終了後においてパンチが下死点にある状態における形態を示す模式図である。
【図10】本発明に係る曲げ加工装置の一実施形態が含むウイング式ダイ及びチャックの曲げ加工終了後においてパンチが下死点から上死点に向けて移動した後の状態における形態を示す模式図である。
【図11】本発明に係る曲げ加工装置の他実施形態(下支点型)を示す模式図である。
【図12】本発明に係る曲げ加工装置の他実施形態が含むウイング式ダイ及びチャックの曲げ加工終了後においてパンチが下死点にある状態における形態を示す模式図である。
【図13】本発明に係る曲げ加工装置の他実施形態が含むウイング式ダイ及びチャックの曲げ加工終了後においてパンチが下死点から上死点に向けて移動した後の状態における形態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0038】
本実施例1において曲げ加工装置1は、図4に左右対称に位置する一対の内一方のみを示す、一対のウイング式ダイ支持部7(基部)と、一対のウイング式ダイ支持部7にそれぞれ対応する一対の支点2を介して揺動自在に連結される一対のウイング式ダイ3と、管材Wの両端部をそれぞれ把持する一対のチャック4(把持部)とを含んで構成される。ウイングダイ支持部7の支点2を含む突状部の、図4中奥側には平面部71が設けられており、ウイング式ダイ3の揺動範囲を、一対の平面部71を含む平面から図1中に示す前進方向B側のみに規制するストッパを構成している。
【0039】
さらに、曲げ加工装置1は、ウイング式ダイ3の一部をなして管材Wを支持する支持面31と、図4及び図1に示すような、ウイング式ダイ3の一部をなしてチャック4を載置する載置面32と、ウイング式ダイ3の一部をなして支持面31の反対側に位置する背面33と、背面33を背面33から支持面31に向かう方向に付勢するクッションパッド5(付勢部)と、ウイング式ダイ3の一部をなして背面33から支持面31に向かう突出方向Aに直方体状に突出する突出部34を含む。
【0040】
加えて、曲げ加工装置1は、管材Wを支持面31から背面33に向かう前進方向Bに選択的に押圧するパンチ6と、突出部34の一部をなしてチャック4の管材Wの延在方向Sにおける載置面32に対する相対移動をパンチ6が管材Wを押圧した場合に拘束して管材Wに軸力を付与する拘束面341と、を含む。
【0041】
さらに、図4に示すように、ウイング式ダイ3の支持面31の両側には、一対のウイング側フランジ35が支持面31から突出方向Aに突出する形態にて設けられている。
【0042】
なお、図1及び図2において、直線Cは、図1に一対の内右側の一方のみを示す支点2の方向から視て、一対の支点2の相互を結ぶ直線と垂直であって、一対の支点2の中点を通る直線である。直線Cは、図1及び図2において、パンチ6の左右方向の中央に一致する。パンチ6は図1及び図2に示すように、前進方向Bに対して凸状に所定の半径を有して湾曲する形態の舌片形状に形成される。
【0043】
パンチ6は、例えばモータにより駆動される図示しないクランク機構により、直線Cの方向に進退変位自在に動作されるものである。図3は図2中の右方視であるが、パンチ6の左側は、図3に示すように、左側に手前のパンチ側フランジ61が配置され、パンチ6の右側には奥側のパンチ側フランジ62が配置され、パンチ側フランジ62はパンチ側フランジ61よりも図3中上下方向寸法が小さく設定されており、パンチ側フランジ61とパンチ側フランジ62は図3中下端を揃えてパンチ6を挟持した状態で、固定ボルト63により一体的に構成される。
【0044】
図2及び図3中上側にはクランク機構の可動部のベースプレートBAが位置しており、図3に示すようにこのベースプレートBAには下方に向けて突出するパンチホルダHが構成される。この、パンチホルダHの図3中に示す左側面に、前述したように一体化されたパンチ6、パンチ側フランジ61、パンチ側フランジ62が取付ボルト64によりキー65を介して固定される。
【0045】
このパンチ6は、ウイング式ダイ3の支持面31により支持された管材Wをクランク機構の動作に基づいて選択的に押圧する。ここで、ウイング式ダイ3の支持面31の両側に位置する図4及び図1に示すウイング側フランジ35は、管材Wの支持面31の側方への変位を規制するとともに、パンチ側フランジ61及び62の案内面を構成する。
【0046】
また、ウイング式ダイ3の把持部を構成するチャック4は、通常の引張試験で用いられる丸型のチャックとは形態を異にしており、拘束面341との接触を確実なものとするため、拘束面341に同一平面内にて接触される被拘束面41を含むように、図5に示すような直方体状に構成される。
【0047】
図5(a)に示すように、チャック4は図5(a)中紙面方向に偏平な直方体状のそれぞれの隅部を面取りして構成され、図5(a)及び図5(a)中下方視を示す図5(b)中に示されるように、被拘束面41が構成される。図5(a)中に示されるように、紙面方向手前から奥側に向けて左側底が右側底よりも長い台形状の底面を有する台形柱状の凹部42が、切削加工により構成されており、図5(a)中の右方視である図5(c)に示されるように、凹部42は被拘束面41の対向面に向けて図示しない管材Wの延在方向Sにおいて開口する形状をなす。また、図5(a)に示すように、被拘束面41から凹部42に向けてボルト挿通穴43が穿設されている。
【0048】
図5(a)に示す凹部42内部には、上述した管材Wの両端部の一方が図5(a)中紙面方向手前側から挿入し収納される前に、図5(a)中紙面方向手前側から視て角管又は円管である管材Wが収納される空間の外側と台形柱状の凹部42との隙間に構成される、一対の楔状の空間には、図6に示すような形態のつかみ具44が一対の楔状の空間にそれぞれ対応させて予め配置されセットされる。
【0049】
図6(b)の図示方向は、図5(a)の紙面方向と一致するものであり、図6(b)に示すように、つかみ具44は、図示しない管材W側が管材Wの延在方向Sに平行なやすり面441を構成し、管材Wと反対側が凹部42の台形柱状の凹部42の側壁に平行であって、管材Wの延在方向Sに対して傾斜する傾斜面422を構成する。図6(b)のAで示すつかみ具44のやすり面441は例えば図6(d)に示すような、比較的荒いヤスリ状の表面を有している。
【0050】
図5(a)に示す凹部42内部の前述した一対の楔状の空間に一対のつかみ具44がセットされた状態で、管材Wが紙面方向手前から奥側に挿入され収納された後、図示しない締結ボルトをボルト挿通穴43に螺合して締結ボルトの先端を管材Wの端部に対して図示しない治具を介して押圧することにより、管材Wと両側に位置するつかみ具44はやすり面441の食い込み作用により締結され、つかみ具44と凹部42の側面とは傾斜面441のテーパ効果により締結されて、チャック4は管材Wの端部を把持する。
【0051】
両端部がチャック4により把持された管材Wは、初期状態の一対のウィング式ダイ3双方の支持面31上に支持されて、チャック4は凹部42を有する側を載置面32に指向させて載置面32に載置される。
【0052】
本実施例1の曲げ加工装置1においてはさらに、図1に示した突出方向Aにおける、拘束面341の長さL341をチャック4の長さL4よりも所定の長さだけ短くすることとしている。
【0053】
また、本実施例1の曲げ加工装置1において、図1に示した突出方向Aにおける、支持面31に対する支点2の中心との距離la"'を調節する、例えば図7に示すような、調節部8を含んでいてもよい。支点2は、図1に示したように円筒棒状のシャフトにより構成されるが、調節部8は、図7に示すように、支点2を構成するシャフトを揺動自在に支持する孔部81を有する支点支持部82と、支点支持部82をウイング式ダイ3に固定する固定部83とから構成される。
【0054】
図7に示すウイング式ダイ3のDD断面に示す支点支持部82は、支点支持部82の下端部よりに孔部81を具備しているが、この支点支持部82を図8に示すように、上端部よりに孔部81を有するものに適宜交換することで、支持面31に対する支点2の中心との距離la"を調節する。
【0055】
すなわち、支点支持部82について、孔部81を下端部から上端部の間の任意の複数段階の箇所に設けた複数種類のものを予め製作しておき、距離la"の変更の必要が生じた場合に、変更後の距離la"に対応する支点支持部82に交換することにより、距離la"を調節する。
【0056】
この場合において、本実施例1の曲げ加工装置1においては、拘束面341がチャック4の被拘束面41を拘束することにより管材Wに付与される軸力に応じて距離la"が調節され、軸力は曲げ加工において管材W内部に発生するひずみを許容値内に収めるものであることとする。
【0057】
なお、管材Wを構成する押出形材は一般には周方向位置において肉厚が異なる偏肉を有していることがあり、この偏肉は意図的に設けることも可能である。曲げ加工を管材Wに対して行うと、曲げ加工前の初期状態において偏肉が存在しない場合でも、曲げの内側つまり圧縮側においては増肉が発生し、中立面は一般的には圧縮側に移動することとなる。
【0058】
ここで、引張側を厚肉とし圧縮側を薄肉とするように管材Wをセットして曲げ加工を行うとすると、セット時の肉厚差の影響で必ずしも中立面が圧縮側に移動するとは限らなくなる。特には管材Wがマグネシウム合金押出形材により構成される場合には、引張側よりも圧縮側で平均変形抵抗が小さく、圧縮側が大きく変形して、中立面は引張側に移動する傾向が現れる。
【0059】
従って、管材Wがマグネシウム合金押出形材である場合には、曲げ加工を行う際に、厚肉部を圧縮側に配置すること、薄肉部を引張側に配置すること、偏肉を有していない管材Wに引張力を加えながら曲げ加工を行うことを、個々の材質に合わせて選択する余地があるが、工業的見地からは、偏肉を有していない管材Wを用いる最後の手法が安全且つ容易である。
【0060】
加えて、本実施例1の曲げ加工装置1においては、支点2を支持面31よりも突出方向A側に位置させ、拘束面341をチャック4よりもパンチ6側に位置させて、軸力を管材Wに対する引張力とするとともに、引張力を大きくするほど距離la"を長くすることとしている。
【0061】
本実施例1の曲げ加工装置1によれば、管材Wが支持面31により支持されて、管材Wの双方の端部をそれぞれ把持したチャック4が載置面32に載置された状態で、パンチ6をクランク機構の動作に基づいて管材Wに接近する図1に示す前進方向Bに変位させて、管材Wを押圧する押圧加工を行った場合に、管材Wがパンチ6と左右一対のウイング式ダイ3との間で曲げ加工されるにあたってチャック4が延在方向Sにおいてパンチ6に近接する方向に載置面32に対して相対移動することを、拘束面341の被拘束面41との当接に基づいて拘束して阻止することができる。
【0062】
本実施例1の曲げ加工装置1は、支点2が支持面31よりも突出方向A側に位置する上支点型であるので、パンチ6の押圧により一対のウイング式ダイ3のパンチ6側の自由端は支点2を中心とする周方向に揺動変位しながら、支点2方向から視て相互に離隔する方向に変位するので、管材Wが延在方向Sに引っ張られながら曲げ加工される。
【0063】
管材Wは、パンチ6の押圧に伴う曲げ変形により、パンチ6に接触する側が圧縮され、支持面31に接触する側が引っ張られて、管材Wがマグネシウム合金押出形材であって、圧縮側の変形抵抗が引張側よりも小さい特性を有する場合には、圧縮側の増肉が生じたとしても、破断が発生するか、若しくは蛇腹状に大きく変形して皺が発生することが懸念されることが問題となる。
【0064】
本実施例1の曲げ加工装置1に示したように、図1に示すような拘束面341によるチャック4の延在方向Sにおける載置面32に対する相対運動の拘束を行わない場合には、支点2方向から視てチャック4は載置面32に対して延在方向Sにおいてパンチ6側つまり直線C側に相対移動する挙動を示すが、拘束面341はこの相対移動を拘束し阻止するため、管材Wには引張力が作用して、管材Wのパンチ6に接触する面側つまり圧縮側の圧縮力を一部相殺して打ち消して低減して、上述した破断が圧縮側において発生することを防止することができる。
【0065】
さらに、本実施例1の曲げ加工装置1においては、管材Wの圧縮側の皺を防止することを目的として、管材Wに付与することが必要な引張力をパンチ6の押圧により、チャック4の被拘束面41と突出部34の拘束面341が接触し干渉することに伴って発生する受動的な力として発生することができる。
【0066】
このため、従来技術で示した特許文献1において用いられていたような中子型、中子型を管材Wの中空断面の内部に挿入するシリンダや、管材Wの圧縮側の圧縮力を相殺するための引張力を発生するためのシリンダを不要なものとし、曲げ加工装置1において、パンチ6を進退方向に動作させるクランク機構以外の動力機構をなくすことができ、曲げ加工装置1としての構成を簡略化するとともに、曲げ加工の工程や工程に伴う制御を簡略化して、曲げ加工の加工性を高めることができる。
【0067】
また、本実施例1の曲げ加工装置1においては、図1に示した突出方向Aにおける、拘束面341の長さL341をチャック4の長さL4よりも所定の長さだけ短くしているので、図9に示すように、パンチ6の押圧による管材Wの曲げ加工が終了した後、図10に示すように、パンチ6をウイング式ダイ3から離隔する後退方向に変位させた場合に、曲げ加工後の管材Wは曲げ変形に伴い内部に残留する圧縮力によりパンチ6の押圧面に付着されてパンチ6とともに後退変位し、かつ、拘束面341との間に発生する摩擦力を低下させて、チャック4の長さL4の面の下端が拘束面341の上端と接触しないようにして、チャック4と拘束面341との別離を円滑に行って、パンチ6の後退変位に伴わせて、ウイング式ダイ3を初期状態に復帰させることができる。
【0068】
また、本実施例1の曲げ加工装置1においては、図1に示す突出方向Aにおける、支持面31に対する支点2の距離la"を調節する図7又は図8に示すような調節部8を適宜含むことを可能としているので、拘束面341によるチャック4の載置面32に対する延在方向Sにおける相対移動の拘束態様の自由度を高めることを、比較的容易に行うことができる。
【0069】
さらに、本実施例1の曲げ加工装置1においては、拘束面341がチャック4を拘束することにより管材Wに付与される軸力に応じて距離la"が調節されることとしているので、軸力の所望する設計値に応じて距離la"を適宜調節することができる。
【0070】
また、本実施例1の曲げ加工装置1においては、拘束面341が発生する軸力は曲げ加工において管材W内部に発生するひずみを許容値内に収めるものであることとしているので、管材W内に発生するひずみを許容値に収めるように、拘束面341の発生する軸力の設計値を決定した上で、距離la"を適宜調節することができる。
【0071】
加えて、本実施例1の曲げ加工装置1においては、支点2を支持面31よりも突出方向A側に位置させ、拘束面341をチャック4よりもパンチ6側に位置させて、軸力を管材Wに対する引張力とし、引張力を大きくするほど距離la"を長くすることを選択できるので、上支点型のウイング式ダイ3を用いた曲げ加工装置1における好ましい態様を選択可能とすることができる。また、付与すべき引張力の所望する設計値を、距離la"に基づいてより正確に調節可能とすることができる。
【0072】
また、本実施例1の曲げ加工装置1による曲げ加工工程においては、本発明に係る曲げ加工方法が同時に実行される。すなわち、本発明の管材の曲げ加工方法が含む、パンチ6によって管材Wを押圧する押圧ステップと、拘束面341によってチャック4を拘束して軸力を管材Wに付与する拘束ステップと、が自動的に実行される。
【0073】
本実施例1において実行される本発明の曲げ加工方法によれば、押圧ステップに伴って拘束ステップを受動的且つ同時に行うことができ、曲げ加工の加工性を高めつつ、管材Wの曲げ加工における皺の発生をより効果的に防止することができる。
【0074】
さらに、本実施例1において実行される曲げ加工方法においては、管材Wが延在方向Sに垂直な断面において周方向位置により厚みが異なる偏肉を有している場合に、厚みが厚い厚肉部を支持面31の反対側に位置させることが好ましい。この曲げ加工方法によれば、特には管材Wがマグネシウム合金押出形材である場合に、管材Wの圧縮側の皺の発生を防止することができる。
【0075】
上述した実施例1においては、図1に示したように、曲げ加工装置1を上支点型として、拘束面341をチャック4の直線C側に位置させたが、曲げ加工装置1を下支点型として、拘束面341をチャック4の直線Cと反対側に位置させることもできる。以下それについての実施例2について述べる。
【実施例2】
【0076】
実施例2の曲げ加工装置1は、図11に示すように、支点2がウイング式ダイ3の支持面31よりも前進方向B側に位置する下支点型であるとともに、突出部34がウイング式ダイ3の載置面32のチャック4が載置される部分よりも直線Cから離隔する位置に配置されて、突出部34の直線Cに指向する面が拘束面341を構成し、チャック4の管材Wを把持する部分である凹部42と反対側の面が被拘束面41を構成する点が、実施例1とは異なる。
【0077】
このように、本実施例2の曲げ加工装置1においては、図11に示すように、支点2を支持面31よりも突出方向Aと反対側に位置させ、拘束面341をチャック4よりもパンチ6に対して反対側に位置させて、軸力を管材Wに対する圧縮力とするとともに、圧縮力を大きくするほど距離la"を長くすることとしている。
【0078】
本実施例2の曲げ加工装置1においてはさらに、図11に示した突出方向Aにおける、拘束面341の長さL341をチャック4の長さL4よりも所定の長さだけ短くすることとしている。
【0079】
本実施例2の曲げ加工装置1は、下支点型における好ましい態様を選択可能として、圧縮力の所望する設計値を、距離la"に基づいてより正確に調節可能とすることができる。本実施例2の曲げ加工装置1が下支点型であるため、パンチ6の押圧により一対のウイング式ダイ3のパンチ6側の自由端はそれぞれの支点2を中心とする周方向に揺動変位しながら、支点2方向から視て相互に接近する方向に変位して、管材Wが延在方向Sにおいて圧縮されながら曲げ加工される圧縮曲げ加工が実行される。
【0080】
管材Wについては、パンチ6の押圧に伴う曲げ変形により、パンチ6に接触する側が圧縮され、支持面31に接触する側が引っ張られることとなり、管材Wが特にはアルミニウム押出合金管材であって、延性は低いが強度は高いという特性を有する場合には、引張側に割れ、微視割れや破断が発生することが問題となる。
【0081】
拘束面341による拘束がない場合には、支点2方向から視てチャック4は、図11に示す載置面32に対してパンチ6側つまり一対の支点2の中点から離隔する側に相対移動しようとするが、拘束面341はこの離隔する方向の相対移動を拘束し阻止するため、管材Wには圧縮力が作用して、引張側の引張力を一部相殺して打ち消して低減して、割れ、微視割れや破断が発生することを防止することができる。
【0082】
また、本実施例2の曲げ加工装置1においては、図11に示した突出方向Aにおける、拘束面341の長さL341をチャック4の長さL4よりも所定の長さだけ短くしているので、図12に示すように、パンチ6の押圧による管材Wの曲げ加工が終了した後、図13に示すように、パンチ6をウイング式ダイ3から離隔する後退方向に変位させた場合に、曲げ加工後の管材Wは曲げ変形に伴い内部に残留する圧縮力によりパンチ6の押圧面に付着されてパンチ6とともに後退変位し、かつ、チャック4の被拘束面41と、拘束面341との間に発生する摩擦力を低下させて、チャック4と、拘束面341との別離を円滑に行って、パンチ6の後退変位に伴わせて、ウイング式ダイ3を初期状態に復帰させることができる。
【0083】
本実施例2の曲げ加工装置1においても、管材Wの引張側の割れ、微視割れや破断を防止するにあたって、管材Wに付与することが必要な圧縮力をパンチ6の押圧に起因するチャック4と突出部34の拘束面341との接触、干渉に伴う受動的な力として発生させることができ曲げ加工装置1自体の構成を簡略化するとともに、曲げ加工の工程そのものを簡略化して、曲げ加工の加工性を高めることができる。
【0084】
以上本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明は上述した実施例に制限されることなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形および置換を加えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、中空断面を有する管材を曲げ加工する曲げ加工装置及び曲げ加工方法を提供し、曲げ加工にあたっての加工性を高めることができ、より簡易な機構により曲げ加工装置を構成することができるので、自動車用の各種部品や椅子の手すり等のマグネシウム合金押出形材やアルミニウム押出合金管材等の中空断面を有する管材を曲げ加工して構成される部品の製造に適用して有益である。
【符号の説明】
【0086】
1 曲げ加工装置
2 支点
3 ウイング式ダイ
W 管材
S 延在方向
A 突出方向
B 前進方向
31 支持面
32 載置面
33 背面
34 突出部
341 拘束面
35 ウイング側フランジ
4 チャック(把持部)
41 被拘束面
42 凹部
43 ボルト挿通穴
44 つかみ具
5 クッションパッド(付勢部)
6 パンチ
61 パンチ側フランジ(手前側:大)
62 パンチ側フランジ(奥側:小)
63 固定ボルト
64 取付ボルト
65 キー
H パンチホルダ
BA ベースプレート
7 ウイング式ダイ支持部(基部)
71 平面部
8 調節部
81 孔部
82 支点支持部
83 固定部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の基部と、
前記一対の基部にそれぞれ対応する一対の支点を介して揺動自在に連結される一対のウイング式ダイと、
管材の両端部をそれぞれ把持する一対の把持部と、
前記ウイング式ダイの一部をなして前記管材を支持する支持面と、
前記ウイング式ダイの一部をなして前記把持部を載置する載置面と、
前記ウイング式ダイの一部をなして前記支持面の反対側に位置する背面と、
前記背面を前記背面から前記支持面に向かう方向に付勢する付勢部と、
前記ウイング式ダイの一部をなして前記背面から前記支持面に向かう突出方向に突出する突出部と、
前記管材を前記支持面から前記背面に向かう方向に選択的に押圧するパンチと、
前記突出部の一部をなして前記把持部の前記管材の延在方向における前記載置面に対する相対移動を前記パンチが前記管材を押圧した場合に拘束して前記管材に軸力を付与する拘束面と、
を含むことを特徴とする曲げ加工装置。
【請求項2】
前記突出方向における、前記拘束面の長さを前記把持部の長さよりも所定の長さだけ短くすることを特徴とする請求項1に記載の曲げ加工装置。
【請求項3】
前記突出方向における、前記支持面に対する前記支点の距離を調節する調節部を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の曲げ加工装置。
【請求項4】
前記軸力に応じて前記距離が調節されることを特徴とする請求項3に記載の曲げ加工装置。
【請求項5】
前記軸力は前記曲げ加工において前記管材内部に発生するひずみを許容値内に収めるものであることを特徴とする請求項4に記載の曲げ加工装置。
【請求項6】
前記支点を前記支持面よりも前記突出方向側に位置させ、前記拘束面を前記把持部よりも前記パンチ側に位置させて、前記軸力を前記管材に対する引張力とするとともに、前記引張力を大きくするほど前記距離を長くすることを特徴とする請求項5に記載の曲げ加工装置。
【請求項7】
前記支点を前記支持面よりも前記突出方向と反対側に位置させ、前記拘束面を前記把持部よりも前記パンチに対して反対側に位置させて、前記軸力を前記管材に対する圧縮力とするとともに、前記圧縮力を大きくするほど前記距離を長くすることを特徴とする請求項6に記載の曲げ加工装置。
【請求項8】
請求項1〜7に記載の曲げ加工装置を用いた、前記管材の曲げ加工方法であって、前記パンチによって前記管材を押圧する押圧ステップと、前記拘束面によって前記把持部を拘束して前記軸力を前記管材に付与する拘束ステップと、を含むことを特徴とする曲げ加工方法。
【請求項9】
前記管材が前記延在方向に垂直な断面において周方向位置により厚みが異なる偏肉を有する場合に、前記厚みが厚い厚肉部を前記支持面の反対側に位置させることを特徴とする請求項8に記載の曲げ加工方法。
【請求項1】
一対の基部と、
前記一対の基部にそれぞれ対応する一対の支点を介して揺動自在に連結される一対のウイング式ダイと、
管材の両端部をそれぞれ把持する一対の把持部と、
前記ウイング式ダイの一部をなして前記管材を支持する支持面と、
前記ウイング式ダイの一部をなして前記把持部を載置する載置面と、
前記ウイング式ダイの一部をなして前記支持面の反対側に位置する背面と、
前記背面を前記背面から前記支持面に向かう方向に付勢する付勢部と、
前記ウイング式ダイの一部をなして前記背面から前記支持面に向かう突出方向に突出する突出部と、
前記管材を前記支持面から前記背面に向かう方向に選択的に押圧するパンチと、
前記突出部の一部をなして前記把持部の前記管材の延在方向における前記載置面に対する相対移動を前記パンチが前記管材を押圧した場合に拘束して前記管材に軸力を付与する拘束面と、
を含むことを特徴とする曲げ加工装置。
【請求項2】
前記突出方向における、前記拘束面の長さを前記把持部の長さよりも所定の長さだけ短くすることを特徴とする請求項1に記載の曲げ加工装置。
【請求項3】
前記突出方向における、前記支持面に対する前記支点の距離を調節する調節部を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の曲げ加工装置。
【請求項4】
前記軸力に応じて前記距離が調節されることを特徴とする請求項3に記載の曲げ加工装置。
【請求項5】
前記軸力は前記曲げ加工において前記管材内部に発生するひずみを許容値内に収めるものであることを特徴とする請求項4に記載の曲げ加工装置。
【請求項6】
前記支点を前記支持面よりも前記突出方向側に位置させ、前記拘束面を前記把持部よりも前記パンチ側に位置させて、前記軸力を前記管材に対する引張力とするとともに、前記引張力を大きくするほど前記距離を長くすることを特徴とする請求項5に記載の曲げ加工装置。
【請求項7】
前記支点を前記支持面よりも前記突出方向と反対側に位置させ、前記拘束面を前記把持部よりも前記パンチに対して反対側に位置させて、前記軸力を前記管材に対する圧縮力とするとともに、前記圧縮力を大きくするほど前記距離を長くすることを特徴とする請求項6に記載の曲げ加工装置。
【請求項8】
請求項1〜7に記載の曲げ加工装置を用いた、前記管材の曲げ加工方法であって、前記パンチによって前記管材を押圧する押圧ステップと、前記拘束面によって前記把持部を拘束して前記軸力を前記管材に付与する拘束ステップと、を含むことを特徴とする曲げ加工方法。
【請求項9】
前記管材が前記延在方向に垂直な断面において周方向位置により厚みが異なる偏肉を有する場合に、前記厚みが厚い厚肉部を前記支持面の反対側に位置させることを特徴とする請求項8に記載の曲げ加工方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−98386(P2011−98386A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−256287(P2009−256287)
【出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【出願人】(305027401)公立大学法人首都大学東京 (385)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【出願人】(305027401)公立大学法人首都大学東京 (385)
【Fターム(参考)】
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