説明

曲げ損失が小さく帯域幅が広い光ファイバ

【課題】中心から周囲に向かって、中心コアと、中心コアを囲む内側クラッドと、内側クラッドを囲む埋め込まれたトレンチと、外側光クラッドとを含む、光ファイバを提供すること。
【解決手段】中心コアは、α屈折率分布と、少なくともフッ素と屈折率を上昇させる元素とでドーピングされた母材とを示す。中心コアのドーピングされた母材の、フッ素と全ての構成物質との原子比率は、ファイバの中心から、中心コアのα分布の端部に向かって増加し、中心コアのα分布の端部において、8.5×10−3から57×10−3の範囲にある最大値に達する。埋め込まれたトレンチは、幅wが2μmから10μmの範囲にあり、外側光クラッドに対する屈折率の差Δnが、−15×10−3から−6×10−3の範囲にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光ファイバの分野に関し、より具体的には、ブロードバンド用途向けの、曲げ損失が小さく帯域幅が広い光ファイバに関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバ(すなわち、通常1つまたは複数の被覆層により囲まれたガラスファイバ)は、通常、光信号を伝送および/または増幅する光ファイバコア(すなわち中心コア)と、光信号を光ファイバコアに閉じ込める光クラッド(または外側光クラッド)とを含む。したがって、光ファイバコアの屈折率nは、通常、外側光クラッドの屈折率nよりも大きい(すなわちn>n)。中心コアと光クラッドとの屈折率の差は、通常、中心コアおよび/または光クラッドにドーパントを注入することによって得られる。
【0003】
通常、光ファイバの中心コアおよび光クラッドは、内側化学蒸着(CVD)、外側蒸着(OVD)、気相軸付け(VAD)などのような蒸着によって得られる。内側CVD式の方法では、外側光クラッドは蒸着管によって、場合によっては、オーバークラッドまたはスリーブによっても構成される。中心コアは、任意選択でドーピング元素を含む母材で形成される。中心コアの母材は、一般にシリカでできている。
【0004】
用語「率分布」または「屈折率分布」は、光ファイバの半径の関数として屈折率をプロットする関数のグラフを指す。通常、光ファイバの中心からの距離rが
横軸にプロットされ、光ファイバの中心からの所与の距離における屈折率と光ファイバの外側光クラッドの屈折率との差が縦軸にプロットされる。
【0005】
一般に、屈折率分布は、その外観に応じて表現される。したがって、用語「ステップ状の」、「台形の」、「三角形の」、または「放物線の」(勾配のある分布または「α」分布とも呼ばれる)は、ステップ状の、台形の、三角形の、または放物線の形状をそれぞれ示すグラフを表現するのに使用される。これらの曲線は、ファイバの理想的なまたは設計上の分布を表し、ファイバ製造上の制約により、わずかに異なる分布となることがある。
【0006】
光ファイバには大きく2つの種類がある。すなわち、マルチモード光ファイバ(またはマルチモードファイバ)および単一モード光ファイバ(または単一モードファイバまたはシングルモードファイバであるSMF)である。マルチモード光ファイバでは、所与の波長に対して、複数の光モードが光ファイバに沿って同時に伝搬する。シングルモード光ファイバでは、基本モードが優先され、高次のモードは強く減衰される。
【0007】
シングルモードまたはマルチモード光ファイバの通常の直径は、125マイクロメートル(μm)である。マルチモード光ファイバの中心コアの直径は、通常50μmまたは62.5μmであるが、シングルモード光ファイバの中心コアの直径は、一般におよそ6μmから9μmの範囲にある。
【0008】
マルチモード光システムは、光源、コネクタ、および維持費が安価であるため、シングルモード光システムよりも安価である。
【0009】
マルチモード光ファイバは、短距離の用途(すなわちローカルネットワーク)に一般に用いられ、広い帯域幅を必要とする。マルチモード光ファイバは、光ファイバ間の互換性の要件に関する国際標準化の対象である。国際標準はITU−T規格G.651.1であり、これは具体的には、帯域幅、開口数、およびコアの直径に関する基準を定める。
【0010】
ブロードバンド用途で用いられる光ファイバでは、可能な限り広い帯域幅が求められる。帯域幅は、所与の波長に対して様々な方式で特長付けられうる。したがって、いわゆる全モード励振(overfilled launch)(OFL)帯域幅と有効モード帯域幅(effective modal bandwidth)(EMB)は区別される。
【0011】
OFL帯域幅を得るには、ファイバの半径面全体にわたって均一な励振を示す光源、例えばレーザーダイオードまたは発光ダイオード(LED)を使用することが必要である。
【0012】
しかし、ブロードバンド用途で用いられる最近開発された光源、いわゆる垂直共振器面発光レーザー(VCSEL)は、ファイバの半径面にわたって不均一な励振を示す。そうした種類の光源では、OFL帯域幅はより不適切であり、EMBを用いることが好ましい。
【0013】
計算される有効モード帯域幅(EMBc)は、使用されるVCSELダイオードと無関係にマルチモード光ファイバの最小のEMBを推定する。EMBcは、分散モード遅延(DMD)の測定から知られている方法で得られる。
【0014】
図1は、2002年11月22日の、TIA SCFO6.6版として公表されたFOTP−220規格の基準を用いて実行される、DMD測定の原理を示す。DMDのグラフは、所与の波長λの複数の同一の光パルス21を、光ファイバのコアの中心24に対して異なる半径オフセット22でマルチモード光ファイバ20に連続して入射させ、ファイバの所与の長さLの後で各パルスの遅延を測定することによって得られる。直径50μmの光ファイバを特徴付けるために、FOTP−220規格は、それぞれが異なる半径オフセットで行われる26回の個別の測定を行うことを要求する。これらの測定結果から、DMDのマップ23、すなわち、入射の半径オフセット(図1の例ではμmで表される)の関数としてパルス遅延(図1の例ではナノ秒(ns)で表される)を与えるDMDのグラフを推定することができ、知られている方法でEMBcを推定することもできる。
【0015】
TIA−492AAAC−Aは、直径50μmのマルチモード光ファイバによる長距離のブロードバンドイーサネット伝送ネットワークに対して要求される性能を規格化する。OM3規格は、EMBが波長850ナノメートル(nm)において2000メガヘルツキロメートル(MHz.km)以上であることを保証し、300メートル(m)の距離にわたる毎秒10ギガビット(Gb/s)(例えば10ギガビットイーサネット(登録商標)(GbE))の速度の誤りのない伝送を実現する。OM4規格は、550mの距離にわたる10Gb/s(例えば10GbE)の速度の誤りのない伝送を実現するために、EMBが波長850ナノメートルにおいて4700MHz.km以上であることを保証する。
【0016】
OM3規格およびOM4規格は、波長1300ナノメートルにおいて、OFL帯域幅が500MHz.kmよりも広いことも保証することもできる。波長850ナノメートルおよび1300ナノメートルにおけるブロードバンド光ファイバは、広帯域の波長にわたる高速な信号伝送を実現する。
【0017】
マルチモードファイバでは、帯域幅は、光ファイバのモードの伝搬時間または群時間の差の結果である。具体的には、(ステップ型マルチモード光ファイバにおける)所与の伝搬媒体について、様々なモードが異なる群時間を有する。このことにより、異なる半径位置において光ファイバを伝搬する複数のパルスの間に時間オフセットが生じる。
【0018】
例えば、図1では、個別のパルスの間で時間オフセットが観測される。このことにより、結果として得られる光パルスが広がり、光パルスが次のパルスと重畳する恐れが生じるため、光ファイバにより搬送することのできる速度が低下する。このように、帯域幅は、光ファイバのマルチモードコアを伝搬する光モードの群時間と、直接関係している。
【0019】
広い帯域幅を保証するために、所与の波長において全てのモードの群時間を可能な限り近づけ、理想的には同一にする(すなわち、モード間の分散を0とするまたは少なくとも最小化する)ことが必要である。
【0020】
マルチモード光ファイバのそのようなモード間分散を低減するため、中心コアが「α」分布を有する、屈折率に勾配のある光ファイバを作成することが提案されてきた。そのような光ファイバは長年使用されており、その特性は具体的には、D.Gloge他による文献、「Multimode theory of graded−core fibers」、Bell System Technical Journal 1973、1563−1578頁で説明され、G.Yabreによる文献、「Comprehensive theory of dispersion in graded−index optical fibers」、Journal of Lightwave Technology、2000年2月、18巻、2号、166−177頁で要約されている。
【0021】
勾配のある屈折率分布または「α」屈折率分布(これらの2つの用語は等価である)は、ファイバの中心からの前記点の距離rの関数としてある点における屈折率の値nとの以下の関係によって以下のように定義することができる:
【数1】

ここで:
はマルチモードコアの最大の屈折率
はマルチモードコアの半径
α≧1
であり、かつ
【数2】

であり、ここで:
はマルチモードコアの最小の屈折率であり、一般にクラッド(通常シリカで作られる)の屈折率に対応する。
【0022】
したがって、屈折率に勾配のあるマルチモード光ファイバは、任意の半径方向に沿って、光ファイバの中心から周囲に向かって屈折率の値が連続的に低下するような、軸対称な中心コアの屈折率分布を示す。マルチモード光信号がそのような屈折率に勾配のある中心コアを伝搬する場合、様々なモードが異なる伝搬媒体に遭遇することにより、モードの伝搬速度に異なる影響を与える。パラメータαの値を調整することで、全てのモードについて事実上等しい群時間を得ることができ、したがってモード間の分散を低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1498753号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1503230号明細書
【特許文献3】米国特許第7315677号明細書
【特許文献4】国際公開第2009/054715号
【非特許文献】
【0024】
【非特許文献1】D.Gloge他、「Multimode theory of graded−core fibers」、Bell System Technical Journal 1973、1563−1578頁
【非特許文献2】G.Yabre、「Comprehensive theory of dispersion in graded−index optical fibers」、Journal of Lightwave Technology、2000年2月、18巻、2号、166−177頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
現実には、マルチモードファイバ向けに実際に作られる屈折率分布は、屈折率が一定の外側光クラッドにより囲まれた、屈折率に勾配のある中心コアを含む。したがって、マルチモードファイバの中心コアは、外側光クラッドとの干渉がα分布の障害となるため、完全なα分布に相当することはない。
【0026】
外側光クラッドは、低次モードに対して高次モードを加速させる。この現象は、「クラッド効果」として知られている。したがって、DMD測定では、最大の半径オフセットに対して得られる応答が複数のパルスを示し、得られる応答に時間の要素を生じさせる。帯域幅は、このクラッド効果によって必然的に低下する。
【0027】
そのようなブロードバンドマルチモード光ファイバは、特に、ファイバが偶発的な曲げにさらされることがある商用のローカルエリアネットワーク(LAN)における短距離の用途に向けられたものである。そのような曲げは信号を減衰させ、したがって信号対雑音比を劣化させる。
【0028】
したがって、10ミリメートル(mm)よりも小さい曲率半径で曲げられた場合でも、曲げの影響を受けにくいマルチモード光ファイバを考案することが有利である。
【0029】
光ファイバのクラッドに埋め込まれたトレンチを加えることによって、マルチモードファイバの曲げ損失を低減することが知られている。しかし、帯域幅の劣化を避けるため、トレンチの位置および深さを注意深く選択しなければならない。
【0030】
欧州特許出願公開第1498753(A1)号は、波長850ナノメートルおよび1300ナノメートルにおける帯域幅が2000MHz.kmよりも広い光ファイバを開示する。しかし、欧州特許出願公開第1498753号による光ファイバは、OM4規格に適合することを保証せず、曲げ損失を最小にするトレンチ効果も考慮しない。
【0031】
欧州特許出願公開第1503230(A1)号および米国特許第7315677(B1)号は、中心コアの屈折率の差が、ゲルマニウムおよびフッ素の同時ドーピングにより得られる、光ファイバを開示する。中心コアのフッ素およびゲルマニウムの濃度は、850ナノメートルおよび1300ナノメートルにおける帯域幅を最適化するように調整される。しかし、欧州特許出願公開1503230号および米国特許第7315677号による光ファイバは、波長850ナノメートルにおいてOM4規格に適合せず、曲げ損失を最小にするトレンチ効果も考慮しない。
【0032】
国際出願公開第2009/054715(A1)号は、中心コアの屈折率の差がゲルマニウムおよびフッ素の同時ドーピングにより得られる、光ファイバを開示する。国際出願公開2009/054715号による光ファイバは、中心コアの周辺に埋め込まれたトレンチを示す。屈折率に勾配のある中心コアは、外側光クラッドの屈折率よりも低い屈折率にまで延びる。そのように中心コアを外側光クラッドよりも低い領域まで延ばすことで、中心コアの大型化を招くことがあり、OM3規格およびOM4規格に適合しなくなる。中心コアを延ばすことはまた、埋めこまれたトレンチ構造に特有の漏洩モードの伝搬による損失も生じさせうる。
【0033】
曲げ損失が小さく、波長850ナノメートルおよび1300ナノメートルにおける帯域幅が広く、クラッド効果が低減され、かつブロードバンド用途で使用するための、屈折率に勾配のあるマルチモード光ファイバに対する需要が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0034】
この目的を達成するため、本発明は、中心から周囲に向かって:
中心コアと、
中心コアを囲む内側クラッドと、
内側クラッドを囲む埋めこまれたトレンチと、
外側光クラッドと、
半径がrでα屈折率分布を示し、少なくともフッ素および屈折率を上昇させる元素によりドーピングされた母材を有する中心コアと、
幅がwで外側光クラッドに対し屈折率の差Δnを示す内側クラッドと、
半径がr、幅がwで外側光クラッドに対する屈折率の差Δnを示す埋めこまれたトレンチと
を含む光ファイバを提供し、ここで:
中心コアのドーピングされた母材の、フッ素と全ての構成物質との原子比率Cがファイバの中心からrに向かって増加し、
において、中心コアのドーピングされた母材の、フッ素と全ての構成物質との原子比率Cの最大値CF,MAXが8.5×10−3から57×10−3の範囲にあり、
埋めこまれたトレンチは、幅wが2μmから10μmの範囲にあり、外側光クラッドに対する屈折率の差Δnが−15×10−3から−6×10−3の範囲にある。
【0035】
したがって、本発明は、請求項1に記載の光ファイバに関する。
【0036】
本発明による光ファイバでは、中心コアのα屈折率分布、内側クラッド、および埋め込まれたトレンチが、曲げ損失を低減すると同時に、波長850ナノメートルにおける広い帯域幅を保証するように働く。加えて、フッ素の濃度と、中心コアの屈折率を上昇させるドーパントの濃度が、波長1300ナノメートルにおける帯域幅を最適化するように働く。
【0037】
本発明のある実施形態では、中心コアの屈折率を上昇させるドーパントはゲルマニウムであり、中心コアの母材はシリカでできている。
【0038】
本発明の別の実施形態では、rにおいて、埋め込まれたトレンチの屈折率の差Δn、および中心コアのドーピングされた母材の、フッ素と全ての構成物質との原子比率の値CF,MAXが、以下の関係
F,MAX×1000>−10.06×1000×Δn−82.06
を満たす。
【0039】
本発明のさらに別の実施形態では、r1において、埋め込まれたトレンチの屈折率の差Δn、および中心コアのドーピングされた母材の、フッ素と全ての構成物質との原子比率の値CF,MAXが、以下の関係
F,MAX×1000>−8.28×1000×Δn−48.28
を満たす。
【0040】
本発明のさらに別の実施形態では、r1において、埋め込まれたトレンチの屈折率の差Δn、および中心コアのドーピングされた母材の、フッ素と全ての構成物質との原子比率の値CF,MAXが、以下の関係
F,MAX×1000>−8×1000×Δn−42.28
を満たす。
【0041】
本発明のさらに別の実施形態では、中心コアのドーピングされた母材の、フッ素と全ての構成物質との原子比率Cが、光ファイバの中心からの半径距離rの関数として、以下の式で与えられる。
【数3】

ここで:
は中心コアの半径であり、
pは2に実質的に等しい定数であり、
【数4】

は1.25×10−3よりも小さい正の定数である。
【0042】
本発明のさらに別の実施形態では、中心コアのα屈折率分布は、値が1.9から2.1の範囲にあるパラメータアルファ(α)を示す。
【0043】
本発明のさらに別の実施形態では、外側光クラッドに対する中心コアの屈折率の差Δnの最大値は、10×10−3から18×10−3の範囲にある。
【0044】
本発明のさらに別の実施形態では、外側光クラッドに対する中心コアの屈折率の差Δnの最大値は、11×10−3から16×10−3の範囲にある。
【0045】
本発明のさらに別の実施形態では、内側クラッドの幅wは、0.5μmから2μmの範囲にある。
【0046】
本発明のさらに別の実施形態では、外側光クラッドに対する内側クラッドの屈折率の差Δnは、−0.2×10−3から2×10−3の範囲にある。
【0047】
本発明のさらに別の実施形態では、埋め込まれたトレンチの幅wは、3μmから5μmの範囲にある。
【0048】
本発明のさらに別の実施形態では、光ファイバの開口数は、0.185から0.215の範囲にある。
【0049】
本発明のさらに別の実施形態では、光ファイバはまた、波長850ナノメートルにおいて、7.5mmの曲率半径を有する2回の曲げに対して、0.2デシベル(dB)より小さいまたは0.1dBよりも小さい曲げ損失を示す。
【0050】
本発明のさらに別の実施形態では、光ファイバはまた、波長850ナノメートルにおいて、7.5mmの曲率半径を有する2回の曲げに対して、0.05dBより小さいまたは0.01dBよりも小さい曲げ損失を示す。
【0051】
本発明のさらに別の実施形態では、光ファイバはまた、波長1300ナノメートルにおいて、7.5mmの曲率半径を有する2回の曲げに対して、0.5dBより小さいまたは0.3dBよりも小さい曲げ損失を示す。
【0052】
本発明のさらに別の実施形態では、光ファイバはまた、波長1300ナノメートルにおいて、7.5mmの曲率半径を有する2回の曲げに対して、0.2dBより小さいまたは0.1dBよりも小さい曲げ損失を示す。
【0053】
本発明のさらに別の実施形態では、光ファイバはまた、波長1300ナノメートルにおいて、7.5mmの曲率半径を有する2回の曲げに対して、0.05dBよりも小さい曲げ損失を示す。
【0054】
本発明のさらに別の実施形態では、光ファイバはまた、波長850ナノメートルにおいて、1500MHz.kmよりも広い全モード励振(OFL)帯域幅を示す。
【0055】
本発明のさらに別の実施形態では、光ファイバはまた、波長850ナノメートルにおいて、3500MHz.kmよりも広いOFL帯域幅を示す。
【0056】
本発明のさらに別の実施形態では、光ファイバはまた、波長1300ナノメートルにおいて、500MHz.kmよりも広い全モード励振(OFL)帯域幅を示す。
【0057】
本発明のさらに別の実施形態では、光ファイバはまた、波長1300ナノメートルにおいて、600MHz.kmよりも広いOFL帯域幅を示す。
【0058】
本発明のさらに別の実施形態では、光ファイバはまた、波長850ナノメートルにおいて、FOTP−220規格にしたがって中心コアの外側部分を被覆するマスクについて得られる分散モード遅延DMDextが、1メートル当たり0.33ピコ秒(ps/m)よりも小さいことを示す。
【0059】
本発明のさらに別の実施形態では、光ファイバはまた、波長850ナノメートルにおいて、FOTP−220規格にしたがって中心コアの外側部分を被覆するマスクについて得られる分散モード遅延DMDextが、1メートル当たり0.25ps/mよりも小さいことを示す。
【0060】
本発明のさらに別の実施形態では、光ファイバはまた、波長850ナノメートルにおいて、FOTP−220規格にしたがって中心コアの外側部分を被覆するマスクについて得られる分散モード遅延DMDextが、1メートル当たり0.14ps/mよりも小さいことを示す。
【0061】
本発明はまた、本発明による光ファイバの少なくとも一部を含む、マルチモード光システムを提供する。
【0062】
ある実施形態では、光システムは、100mにわたり、10Gb/s以上の速度を示す。
【0063】
ある実施形態では、光システムは、300mにわたり、10Gb/s以上の速度を示す。
【0064】
本発明の別の特徴または利点は、非限定的な例として与えられ添付の図面を参照して、以下の本発明の具体的な実施形態の説明を読むことで現れる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】DMD測定を示す図である。
【図2】本発明によるある例の光ファイバの屈折率分布を示す図である。
【図3】本発明によらないある比較用の光ファイバにおける、フッ素およびゲルマニウムの濃度を半径の関数として示す図である。
【図4】本発明によらない別の比較用の光ファイバにおける、フッ素およびゲルマニウムの濃度を半径の関数として示す図である。
【図5】本発明によるある光ファイバにおける、フッ素およびゲルマニウムの濃度を半径の関数として示す図である。
【図6】中心コアのドーピングされた母材の全ての構成物質に対するフッ素の原子比率と、フッ素のドーピングに起因する屈折率の差の両方の関係を示す図である。
【図7A】従来技術の光ファイバ、パラメータαの異なる値、および埋め込まれたトレンチの異なる値の屈折率の差に対して、波長1300ナノメートルにおける全モード励振帯域幅を、波長850ナノメートルにおけるOFL帯域幅の関数として示す図である。
【図7B】本発明による光ファイバに対して、波長1300ナノメートルにおけるOFL帯域幅を、波長850ナノメートルにおけるOFL帯域幅の関数として示す図である。
【図8】本発明による2つの光ファイバおよび本発明によらない1つの光ファイバの波長1300ナノメートルにおけるOFL帯域幅を、中心コアのα分布の端部における、中心コアのドーピングされた母材の、フッ素と全ての構成物質との原子比率の値の関数として、埋めこまれたトレンチの屈折率の差の3つのそれぞれの値に対して示す図である。
【図9】波長1300ナノメートルにおけるOFL帯域幅を、中心コアのα分布の端部における、中心コアのドーピングされた母材の、フッ素と全ての構成物質との原子比率の値の関数として、かつ埋め込まれたトレンチの屈折率の差の関数として示すグラフである。
【図10】波長850ナノメートルにおける最大の帯域幅を、中心コアのα分布の端部における、中心コアのドーピングされた母材の、フッ素と全ての構成物質との原子比率の値の関数として得ることを可能にする、パラメータαを示す図である。
【図11】波長850ナノメートルにおける減衰を、中心コアのα分布の端部における、中心コアのドーピングされた母材の、フッ素と全ての構成物質との原子比率の値の関数として、示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0066】
本発明は、本発明によるある特定の実施形態の光ファイバの屈折率分布を示す図2を参照することによって、より良く理解することができる。
【0067】
本発明による光ファイバは、中心コアと外側光クラッドとを有するマルチモード光ファイバである。
【0068】
光ファイバの中心から周囲に向かって、光ファイバは、中心コア、内側クラッド(したがって中心コアを囲む)、および埋め込まれたトレンチ(したがって内側クラッドを囲む)を含む。
【0069】
中心コアは、半径がrであり、外側光クラッドに対してα屈折率分布を示す。中心コアは、α分布の開始点において、外側光クラッドに対して屈折率の差Δnを示す。用語「α分布の開始点」は、中心コアの点を意味するものと理解されるべきであり、屈折率分布は通常、中心コアの中心で最大値を示す。中心コアは、α分布の端部において、外側光クラッドに対して屈折率の差Δnend(図2には示されない)を示す。用語「α分布の端部」は、そこから屈折率分布が「α」分布ではなくなる半径距離を意味するものと理解されるべきである。半径rは、α分布の開始点における半径距離とα分布の端部における半径距離との差であると理解されるべきである。
【0070】
中心コアはまた、マルチモード光ファイバの通常の特性を示す。例えば、中心コアの半径rは、25μm±2μmに等しい。例えば、α分布の開始点における外側光クラッドに対する屈折率の差Δnは、10×10−3から18×10−3の範囲にあり、有利には、11×10−3から16×10−3の範囲にある。例えば、中心コアのパラメータアルファ(α)は、1.9から2.1の範囲にある。
【0071】
中心コアは、中心コアの主要な構成物質として定義される母材を含み、その中にはドーパントのような別の構成物質も含まれうる。通常、光ファイバでは、外側光クラッドに対する屈折率の差は、屈折率を調整するドーパントを母材中に含めることで得られる。例えば、ゲルマニウム(例えば二酸化ゲルマニウムGeOの形の)は屈折率を上昇させ、フッ素は屈折率を低下させる。例えば、中心コアの母材はシリカ(二酸化シリコン、SiO)でできている。
【0072】
したがって、図2に示される屈折率分布は、図3に示されるフッ素およびゲルマニウムの濃度分布により得ることができる。図3に示される濃度分布は、従来技術による例である。
【0073】
図3に示されるように、ゲルマニウム濃度曲線は実線で表され、フッ素濃度曲線は点線で表される:
中心コアの半径rよりも小さい半径については、フッ素の濃度は0であり、ゲルマニウムの濃度は、中心コアのα屈折率分布に対応する傾きで減少し、
中心コアの半径rと内側クラッドの半径rの間の半径については、フッ素の濃度は0であり、ゲルマニウムの濃度は、外側光クラッドに対する内側クラッドの屈折率の増分Δnに対応し、
内側クラッドの半径rと埋め込まれたトレンチの半径rの間の半径については、ゲルマニウムの濃度は0であり、フッ素の濃度は、外側光クラッドに対する埋め込まれたトレンチの屈折率の減少分Δnに対応する。
【0074】
図3に示される例では、屈折率の差が、ゲルマニウムのみまたはフッ素のみのいずれかを用いて得られることを理解することができる。図2の屈折率分布はまた、図4に示されるように、ゲルマニウムとフッ素の同時ドーピングを用いることで得ることもできる。図4に示される濃度分布は、従来技術による例である。
【0075】
図4に示されるように、ゲルマニウム濃度曲線は実線で表され、フッ素濃度曲線は点線で表される:
中心コアの半径rよりも小さい半径については、フッ素濃度は、光ファイバの中心からα分布の端部に向かって次第に増加し、ゲルマニウム濃度は、光ファイバの中心からα分布の端部に向かって次第に低下する。
【0076】
したがって、図4の例では、図3の例とは逆に、α屈折率分布は、屈折率を上昇させるゲルマニウムを、屈折率を低下させるフッ素と組み合わせることによって得られる。
【0077】
そのような同時ドーピングを用いることで、結果として得られる屈折率分布のより良好な制御を実現する。屈折率分布の外観は、1つだけではなく2つのドーパントを用いることで、より正確に制御される。
【0078】
さらに、各ドーパントは伝送されている光信号に対して損失を与えるので、光ファイバの帯域幅が狭くなる。これらの損失は、ドーパント、ドーパントの濃度、および伝送されるファイバ信号の波長の関数である。
【0079】
光ファイバのドーパント濃度分布は、所与の波長において広い帯域幅を実現するようになされうる。しかし、同一のドーピング濃度分布によって、いくつかの別の波長において、狭い帯域幅が生じることがある。
【0080】
本発明による光ファイバでは、同時ドーピングは、伝送される光信号の損失を制御し、したがって、波長850ナノメートルおよび1300ナノメートルにおける帯域幅の変動を制限するように働く。
【0081】
同時ドーピングは、ゲルマニウムのような、屈折率を上昇させる別のドーパントとともにフッ素を用いることで、実行される。具体的には、本発明による光ファイバを同時ドーピングすることで、波長850ナノメートルにおける広い帯域幅、および波長1300ナノメートルにおいて少しだけ劣化する帯域幅を得ることを可能にする。
【0082】
フッ素の理想的な濃度は、第1に1300ナノメートルにおける帯域幅の幅と、第2に850ナノメートルおよび1300ナノメートルにおける減衰の値を両立させることを可能にする。
【0083】
このことは、本発明による光ファイバのある例におけるドーパント濃度分布を示す図5を参照するとより良く理解することができる。図5に示される濃度分布はまた、図2の屈折率分布を得るように働く。
【0084】
図5に示されるように、ゲルマニウム濃度曲線は実線で表され、フッ素濃度曲線は点線で表される:
中心コアの半径rよりも小さい半径については、中心コアの中心におけるフッ素濃度の値は実質的に0であり、中心コアのα分布の端部に向かって次第に増加する。
【0085】
例えば、フッ素濃度は、放物線の形状で次第に増加する。フッ素濃度は、中心コアのドーピングされた母材の、フッ素と全ての構成物質との原子比率(Cと書かれる)として表される。用語「ドーピングされた母材」は、第1に中心コアの基材、例えばシリカ(中心コアの母材を構成する)を、第2に母材に含まれるドーパント元素を含む中心コアの全ての別の構成物質全てを備える集合体を意味するように使用される。
【0086】
より正確には、原子比率は、フッ素原子の数を、中心コアのドーピングされた母材の全体の原子の数(含まれる全ての構成物質)で除したものである。
【0087】
例えば、中心コアのドーピングされた母材の、フッ素と全ての構成物質との原子比率Cは、ファイバの中心からの半径距離(またはファイバ半径r)の関数として以下のように表すことができる:
【数5】

ここで:
r1は中心コアの半径であり、
pは実質的に2に等しい定数であり、
【0088】
【数6】

は中心コアのα分布の端部における、中心コアのドーピングされた母材の、フッ素と全ての構成物質との原子比率の値であり、この原子比率は:
【数7】

とも書かれ、例として、CF,MAXの値は8.5×10−3から57×10−3の範囲にあり、
【数8】

は、例えば
【数9】

よりも小さい、正の定数である。
【0089】
図6のグラフは、第1に、中心コアのドーピングされた母材の、フッ素と全ての構成物質との原子比率Cと、第2に、フッ素ドーピングに起因する屈折率の差Δnとの間に存在する、中心コアの点における関係を示す。より正確には、この関係は以下の式によって与えられる:
Δn=−0.35×C
ここで:
Δnは、波長633ナノメートルにおける、中心コアの母材の屈折率と、フッ素のみがドーピングされた原子比率Cの中心コアの母材の屈折率との、屈折率の差である。例えば、図6では、10×10−3のフッ素原子比率Cは、3.5×10−3の屈折率の差Δnを発生させることが理解されうる。
【0090】
本発明によれば、中心コアは、屈折率を上昇させる別のドーパントも含む。中心コアの屈折率を上昇させるこのドーパントの濃度は、中心コアのα分布および中心コアのフッ素濃度の関数である。例えば、光ファイバを製造する際、屈折率を上昇させるドーパントの濃度は、指定されたフッ素濃度から開始する繰り返しおよび所望のα分布から得られる。非限定的な例として、屈折率を上昇させるドーパントはゲルマニウムである。
【0091】
フッ素と、屈折率を上昇させるドーパントとの同時ドーピングの特性により、波長850ナノメートルにおける広い帯域幅、および波長1300ナノメートルにおける少しだけ劣化した帯域幅を確実に得ることができる。
【0092】
具体的には、同時ドーピングの特性は:
波長850ナノメートルにおいて、1500MHz.kmよりも大きい、または3500MHz.kmよりも大きい、またはさらに10000MHz.kmよりも大きいOFL帯域幅、および
波長1300ナノメートルにおいて、500MHz.kmよりも大きい、または600MHz.kmよりも大きいOFL帯域幅を保証することができる。
【0093】
本発明による光ファイバは、中心コアを囲む内側クラッドを含む。ある実施形態では、内側クラッドは、中心コアの周囲に位置している。
【0094】
内側クラッドは:
例えば、0.5μmから2μmの範囲にある幅w、および
例えば、内側クラッドの全体の幅wにわたって一定であり、例えば、−0.2×10−3から2×10−3の範囲にある、外側光クラッドに対する屈折率の差Δnの分布特性を示す。
【0095】
内側クラッドの屈折率分布の特性には、クラッド効果に対する影響があり、波長850ナノメートルおよび1300ナノメートルにおける広い帯域幅を得る上で役に立つ。
【0096】
本発明による光ファイバはまた、内側クラッドを囲む埋めこまれたトレンチを含む。用語「埋め込まれたトレンチ」は、屈折率が外側光クラッドよりも顕著に低いファイバの半径部分を意味するために用いられる。ある実施形態では、埋め込まれたトレンチは、内側クラッドの周囲に位置している。
【0097】
埋め込まれたトレンチは:
例えば2μmから10μmの範囲にある、または3μmから5μmの範囲にある、幅wおよび
例えば−6×10−3よりも低い、外側光クラッドに対する屈折率の差Δnの分布特性を示す。埋め込まれたトレンチの屈折率の差Δnは、ファイバ製造プロセスにより制限されうる。例えば、埋め込まれたトレンチの屈折率の差Δnが、指示15×10−3よりも低い(すなわち−15×10−3よりも高くなければならない)ということはありえない場合がある。
【0098】
埋め込まれたトレンチの分布の特性は主に、低い曲げ損失を得るように働く。具体的には、波長850ナノメートルにおいて、光ファイバは、7.5mmの曲率半径の2回の曲げに対して、0.2(dB)よりも小さい、または0.1dBよりも小さい曲げ損失を示す。波長850ナノメートルにおいて、7.5mmの曲率半径の2回の曲げに対する曲げ損失はさらに、0.05dBよりも、または0.01dBよりも小さくてもよい。
【0099】
波長1300ナノメートルにおいて、光ファイバは、7.5mmの曲率半径の2回の曲げに対して、0.5dBよりも小さい、または0.3dBよりも小さい曲げ損失を示す。波長1300ナノメートルにおいて、7.5mmの曲率半径の2回の曲げに対する曲げ損失はさらに、0.2dBよりも、または0.1dBよりも小さくてもよい。波長1300ナノメートルにおいて、7.5mmの曲率半径の2回の曲げに対する曲げ損失はさらに、0.05dBよりも小さくてもよい。
【0100】
曲げ損失の上記の値は、規格IEC61280−4−1で定義される励振条件に対応する。適切な励振条件を提供する光ファイバは、上記の規格にしたがって、開口数が0.2でコアのサイズが50.0μm±0.7μmである、従来のマルチモード光ファイバ(MMF)である。
【0101】
光ファイバはまた、マルチモードファイバに特有の外側光クラッドを示す。例えば、外側光クラッドは、コスト上の理由により天然のシリカでできている。別の例では、外側光クラッドはドーピングされたシリカでできている。
【0102】
波長1300ナノメートルにおける帯域幅の値はまた、埋め込まれたトレンチの特性の関数である。このことは、図7Aおよび図7Bを参照することでより良く理解することができ、図7Aおよび図7Bは、波長1300ナノメートルにおけるOFL帯域幅(図7Aでは「1300ナノメートルにおけるOFL−BW」と書かれ、図7Bでは「OFL−BW 1300ナノメートル」と書かれる)を、波長850ナノメートルにおけるOFL帯域幅(図7Aでは「850ナノメートルにおけるOFL−BW」と書かれ、図7Bでは「OFL−BW 850ナノメートル」と書かれる)の関数として表す。これらの帯域幅の値は、MHz.kmで表される。
【0103】
図7Aの曲線1から5は、埋め込まれたトレンチの部分の分布を除いて図3に示される濃度分布と同一の濃度分布を有する、従来技術の光ファイバ(すなわち、本発明によらない光ファイバ)により得られたものである。
【0104】
各光ファイバは、埋め込まれたトレンチにおいて異なるレベルのフッ素濃度を有していたので、対応する埋め込まれたトレンチに対して、屈折率の差Δnを得ることができた。このように、曲線1から5が、−5×10−3、−6×10−3、−8×10−3、−11×10−3、および−15×10−3に等しい埋め込まれたトレンチの屈折率の差Δnに対して、それぞれ得られた。加えて、埋め込まれたトレンチの幅wは4μmであった。
【0105】
各曲線は、パラメータαの各値に対して得られた21個の点から近似される。パラメータαは、1.9から2.1の範囲にわたり変化する。
【0106】
曲線1から5の各々において、パラメータαの所与の値に対し、波長850ナノメートルにおけるOFL帯域幅および波長1300ナノメートルにおけるOFL帯域幅の対応する対が存在することが理解されうる。
【0107】
波長850ナノメートルにおけるOFL帯域幅の最大値および波長1300ナノメートルにおけるOFL帯域幅の最大値は、同じパラメータαの値からは得られない。例えば、曲線2において、波長850ナノメートルにおけるOFL帯域幅の最大値は点Aで得られ、波長1300ナノメートルにおけるOFL帯域幅の最大値は点Bで得られる。
【0108】
ある用途では、波長850ナノメートルにおけるOFL帯域幅が最大となる、パラメータαの値を有することが好ましい。曲線1から5を比較することで、波長850ナノメートルにおけるOFL帯域幅が最大となる点において、波長1300ナノメートルにおけるOFL帯域幅は広がり、埋め込まれたトレンチの屈折率の差Δnは減少することが理解されうる。したがって、埋め込まれたトレンチを有する光ファイバでは、所与のトレンチの幅に対して、波長1300ナノメートルにおける帯域幅が、埋め込まれたトレンチの屈折率の差Δnの関数である。
【0109】
図7Bの曲線は、本発明による光ファイバについて得られたものであり、埋め込まれたトレンチの屈折率の差Δnは、グラフ上の点により表される測定結果に基づいて、およそ−7×10−3に等しい。ひし形の点はCF,MAX=8.5に対し、三角形の点はCF,MAX=20に対し得られたものである。
【0110】
本発明による光ファイバにおいては、フッ素と、屈折率を上昇させるドーパントとを同時ドーピングすることで、波長1300ナノメートルにおける帯域幅に対するトレンチの効果を低減することができる。このことは、図8を参照することでより良く理解することができる。
【0111】
図8は、波長1300ナノメートルにおけるOFL帯域幅(図面では「1300ナノメートルにおけるOFL−BW」と書かれる)を、中心コアのα分布の端部における、中心コアのドーピングされた母材の、フッ素と全ての構成物質との原子比率である値CF,MAXの関数として、MHz.km単位で示す。
【0112】
図8の曲線11および12は、本発明による光ファイバに対応する。これらは、屈折率の差Δnが−8×10−3および−13×10−3で、幅wが4μmの埋め込まれたトレンチに対して得られたものである。
【0113】
図8の曲線10は、本発明によらない光ファイバに対応する。これは、屈折率の差Δnが−4×10−3で、幅wが4μmの埋め込まれたトレンチに対して得られたものである。
【0114】
中心コアのα分布の端部における、中心コアのドーピングされた母材の、フッ素と全ての構成物質との原子比率である値CF,MAXが8.5×10−3から57×10−3の範囲にあると、埋め込まれたトレンチの効果を減衰させ、波長1300ナノメートルにおけるOFL帯域幅を増加させることができることが理解されうる。CF,MAX<8.5×10−3は、−3×10−3の屈折率の差と従来のファイバに対応し、CF,MAX>57×10−3は、実用的な実施形態の下限と考えられる−20×10−3の屈折率の差に対応する。
【0115】
フッ素濃度の上昇は、α分布のパラメータαの値を調整することとは異なり、波長850ナノメートルにおける帯域幅を劣化させることなく、波長1300ナノメートルにおける帯域幅を広げるように働く。
【0116】
したがって、図8の曲線12では、中心コアのα分布の端部における、中心コアのドーピングされた母材の、フッ素と全ての構成物質との原子比率である値CF,MAXを向上させることで、波長1300ナノメートルにおける帯域幅が、500MHz.km未満から約700MHz.kmの帯域幅に亘るようになることが理解されうる。
【0117】
図8の曲線11では、中心コアのα分布の端部における、中心コアのドーピングされた母材の、フッ素と全ての構成物質との原子比率である値CF,MAXを向上させることで、波長1300ナノメートルにおける帯域幅が、500MHz.km未満から1000MHz.kmよりも広い帯域幅に亘ることが理解されうる。
【0118】
図8の曲線10では、中心コアのα分布の端部における、中心コアのドーピングされた母材の、フッ素と全ての構成物質との原子比率である値CF,MAXを向上させることで、波長1300ナノメートルにおける帯域幅が、1000MHz.km未満から2500MHz.kmよりも広い帯域幅に亘ることが理解されうる。
【0119】
波長1300ナノメートルにおける帯域幅の改善も、埋め込まれたトレンチの屈折率の差Δnの関数であることが、同様に理解されうる。このことは、図9を参照することにより、より良く理解することができる。
【0120】
図9は、波長1300ナノメートルにおける帯域幅を、埋め込まれたトレンチの屈折率の差Δnの関数として、かつ、中心コアのα分布の端部における、中心コアのドーピングされた母材の、フッ素と全ての構成物質との原子比率である値CF,MAXの関数として示す。値ΔnおよびCF,MAXの所与の対に対して、波長1300ナノメートルにおける帯域幅の値が得られることが理解されうる。
【0121】
ある実施形態では、埋め込まれたトレンチの屈折率の差Δn、および中心コアのα分布の端部における、中心コアのドーピングされた母材の、フッ素と全ての構成物質との原子比率である値CF,MAXは、以下の関係
F,MAX×1000>−10.06×1000×Δn−82.06
を満たす。
【0122】
言い換えると、この実施形態では、埋め込まれたトレンチの屈折率の差Δn、および中心コアのα分布の端部におけるフッ素ドーピングに起因する屈折率の差ΔnF,MAXは、以下の関係
ΔnF,MAX<3.14×1000×Δn+21.54
を満たす。
【0123】
本発明による光ファイバの特性、および特に上で提示された関係は、低い曲げ損失、波長850ナノメートルにおける広い帯域幅、および波長1300ナノメートルにおける500MHz.kmよりも広い帯域幅を得るように働く。
【0124】
例えば、−7×10−3に等しい埋め込まれたトレンチの屈折率の差Δnに対しては、中心コアのα分布の端部における、中心コアのドーピングされた母材の、フッ素と全ての構成物質との原子比率である値CF,MAXは、1.25×10−3よりも大きく、中心コアのα分布の端部におけるフッ素ドーピングに起因する屈折率の差ΔnF,MAXは、−0.44よりも小さい。
【0125】
この実施形態では、埋め込まれたトレンチの屈折率の差Δn、および中心コアのα分布の端部における、中心コアのドーピングされた母材の、フッ素と全ての構成物質との原子比率である値CF,MAXは、以下の関係
F,MAX×1000>−8.28×1000×Δn−48.28
を満たす。
【0126】
言い換えると、この実施形態では、埋め込まれたトレンチの屈折率の差Δn、および中心コアのα分布の端部におけるフッ素ドーピングに起因する屈折率の差ΔnF,MAXは、以下の関係
ΔnF,MAX<2.9×1000×Δn+16.9
を満たす。
【0127】
本発明による光ファイバの特性、および特に上で提示された関係は、低い曲げ損失、波長850ナノメートルにおける広い帯域幅、および波長1300ナノメートルにおける550MHz.kmよりも広い帯域幅を得るように働く。
【0128】
例えば、−7×10−3に等しい埋め込まれたトレンチの屈折率の差Δnに対しては、中心コアのα分布の端部における、中心コアのドーピングされた母材の、フッ素と全ての構成物質との原子比率である値CF,MAXは、9.7×10−3よりも大きく、中心コアのα分布の端部におけるフッ素ドーピングに起因する屈折率の差ΔnF,MAXは、−3.4よりも小さい。
【0129】
例えば、−10×10−3に等しい埋め込まれたトレンチの屈折率の差Δnに対しては、中心コアのα分布の端部におけるフッ素ドーピングに起因する屈折率の差ΔnF,MAXは、−12.1よりも小さい。
【0130】
ある実施形態では、埋め込まれたトレンチの屈折率の差Δn、および中心コアのα分布の端部における、中心コアのドーピングされた母材の、フッ素と全ての構成物質との原子比率である値CF,MAXは、以下の関係
F,MAX×1000>−8×1000×Δn−42.28
を満たす。
【0131】
言い換えると、この実施形態では、埋め込まれたトレンチの屈折率の差Δn、および中心コアのα分布の端部におけるフッ素ドーピングに起因する屈折率の差ΔnF,MAXは、以下の関係
ΔnF,MAX<2.8×1000×Δn+14.8
を満たす。
【0132】
本発明による光ファイバの特性、および特に上で提示された関係は、低い曲げ損失、波長850ナノメートルにおける広い帯域幅、および波長1300ナノメートルにおける600MHz.kmよりも広い帯域幅を得るように働く。
【0133】
例えば、−7×10−3に等しい埋め込まれたトレンチの屈折率の差Δnに対しては、中心コアのα分布の端部における、中心コアのドーピングされた母材の、フッ素と全ての構成物質との原子比率である値CF,MAXは、13.7×10−3よりも大きく、中心コアのα分布の端部におけるフッ素ドーピングに起因する屈折率の差ΔnF,MAXは、−4.8よりも小さい。
【0134】
例えば、−10×10−3に等しい埋め込まれたトレンチの屈折率の差Δnに対しては、中心コアのα分布の端部における、中心コアのドーピングされた母材の、フッ素と全ての構成物質との原子比率である値CF,MAXは、37.7×10−3よりも大きく、中心コアのα分布の端部におけるフッ素ドーピングに起因する屈折率の差ΔnF,MAXは、−13.2よりも小さい。
【0135】
図10は、波長850ナノメートルにおける帯域幅が最大となるα分布のパラメータアルファ(α)の値を、中心コアのα分布の端部における、中心コアのドーピングされた母材の、フッ素と全ての構成物質との原子比率である値CF,MAXの関数として示す。
【0136】
幅wが4μmであるトレンチを有し、外側光クラッドに対する屈折率の差Δnが異なる複数の値、すなわち:−13×10−3、−8×10−3、−4×10−3、および−1×10−3である複数の光ファイバに対し、パラメータαが得られた。
【0137】
中心コアのα分布の端部における、中心コアのドーピングされた母材の、フッ素と全ての構成物質との原子比率である値CF,MAXとは異なり、トレンチの深さには、パラメータαの最適な目標値への影響はない。
【0138】
図面では、いくつかの代表点が互いに重複している。本発明によるファイバにおいては、中心コアのα分布の端部における、中心コアのドーピングされた母材の、フッ素と全ての構成物質との原子比率である値CF,MAXは、パラメータαを1.9から2.1の範囲に保つことを可能にすることが理解されうる。
【0139】
図11は、光ファイバにより伝送される信号の減衰(キロメートル当たりのデシベル(dB/km)で表される)を、中心コアのα分布の端部における、中心コアのドーピングされた母材の、フッ素と全ての構成物質との原子比率である値CF,MAXの関数として示す。
【0140】
本発明による光ファイバにおいては、中心コアのα分布の端部における、中心コアのドーピングされた母材の、フッ素と全ての構成物質との原子比率である値CF,MAXは、減衰を2.2dB/kmから2.45dB/kmの範囲に保つように働くことが理解されうる。
【0141】
本発明による光ファイバの特性、および特に、内側クラッドの屈折率の差Δnと、埋め込まれたトレンチの屈折率の差Δnとの関係は、低い曲げ損失を得ると同時に、波長850ナノメートルにおける広い帯域幅を保ち、クラッド効果を低減することを可能にする。
【0142】
第1の実施形態では、中心コアのα屈折率分布は、正の値Δnendにおける半径ralphaにおいて妨げられる。半径ralphaは、中心コアの半径rよりも小さい。この実施形態では、半径rは、値Δnendにおける妨害がなければ、中心コアのα屈折率分布が値0に達する半径距離である。中心コアの値ralphaと半径rとの間の半径に対しては、屈折率の差は値Δnendに等しい。
【0143】
この実施形態では、内側クラッドは、外側光クラッドに対して屈折率の差Δnを有し、Δnは、α分布の端部における屈折率の差Δnendに等しい(すなわちΔn=Δnend)。屈折率の差Δnは、内側クラッド全体で一定であり、好ましくは0.2×10−3から2×10−3の範囲にある。内側クラッドの幅wは、0.5μmから2μmの範囲にある。
【0144】
内側クラッドの屈折率の差Δn、および埋め込まれたトレンチと屈折率の差Δnは、
−11.9×(1000Δn−3.4×(1000Δn)−7.2<1000Δn
かつ
1000Δn<−17.2×(1000Δn+16.5×(1000Δn)−8.0
となる。
【0145】
第2の実施形態では、中心コアのα分布の端部における屈折率の差Δnendは、−1×10−3から0の範囲にある。
【0146】
この実施形態では、内側クラッドの屈折率の差Δn、および埋め込まれたトレンチの屈折率の差Δnは、
1000Δn<−1.29×(1000Δn−1.64×1000Δn−2.51
となる。
【0147】
第3の実施形態では、中心コアのα分布の端部における屈折率の差Δnendは、−1×10−3から0の範囲にあり、内側クラッドの屈折率の差Δnは−0.6×10−3から2×10−3の範囲にあり、内側クラッドの幅wは0.5μmから2μmの範囲にある。
【0148】
屈折率の差Δn、内側クラッドの幅w、および埋め込まれたトレンチの屈折率の差Δnは、
1000Δn>A×(1000Δn+B×(1000Δn)+C
となり、ここで:
A=182.29×w−550×w+545×w−177.32
B=−135.42×w+402×w−399×w+130.22
C=15×w−57.25×w+60.9×w−25.37
であり、かつΔnは、
1000Δn<D×(1000Δn+E×(1000Δn)+F
となり、ここで:
D=−83.137×w+235.06×w−219.52×w+66.66
E=129.56×w−388.67×w+378.13×w−121.11
F=−48.28×w+137.84×w−129.9×w+38.97
である。
【0149】
したがって、本発明による光ファイバ、具体的には第1、第2、および第3の実施形態の光ファイバは、波長850ナノメートルにおいて、1500MHz.kmよりも広い、または6000MHz.kmよりも広い、さらには10000MHz.kmよりも広いOFL帯域幅を示すと同時に、波長1300ナノメートルにおける広い帯域幅と、低い曲げ損失とを保つ。
【0150】
OFL帯域幅は、光ファイバをブロードバンド用途に使用する際の評価を行うために用いることができる、唯一のパラメータではない。ブロードバンド用途向けの光ファイバの性能を改善するためには、中心コアと内側クラッドとの間の界面における、光ファイバのクラッド効果を制限する必要がある。
【0151】
DMDextと書かれる、光ファイバの中心コアの外側部分を被覆するマスクにより得られる分散モード遅延(規格FOTP−220で定義される用語「外側マスク0−23μmでのDMD値」に対応する)は、光ファイバのクラッド効果を特徴付ける役割を果たす。DMDextは、750mのファイバを用いて測定されるDMDグラフから得られる。使用される光源は、850ナノメートルを放出するパルスTi:サファイアレーザーである。この光源は、1/4の高さにおいて40ピコ秒(ps)よりも短い期間を有し、0.1ナノメートルよりも狭い二乗平均平方根(rms)スペクトル幅を有する光パルスを放出する。
【0152】
本発明による光ファイバ、具体的には第1、第2、および第3の実施形態の光ファイバはまた、波長850ナノメートルにおいて、従来技術による光ファイバと比較して改善されたDMDextを示すと同時に、波長1300ナノメートルにおける広い帯域幅と、低い曲げ損失とを保つ。
【0153】
本発明による光ファイバの特性により、DMDextを、従来技術による光ファイバと比較して低減することができる。具体的には、本発明のファイバは、波長850ナノメートルにおいて、0.33ps/mよりも小さいDMDextの値を示す。このファイバはさらに、波長850ナノメートルにおいて0.25ps/mよりも小さい、または波長850ナノメートルにおいて0.14ps/mよりも小さいDMDextの値を示しうる。
【0154】
ある実施形態では、光ファイバは、中心コア、内側クラッド、埋め込まれたトレンチ、および外側光クラッドにより構成される。内側クラッドは、中心コアと直接隣り合う。埋め込まれたトレンチは、内側クラッドと直接隣り合い、外側光クラッドは、埋め込まれたトレンチと直接隣り合う。
【0155】
ある実施形態では、本発明の光ファイバは、ITU−T規格G.651.1に適合する。したがって、光ファイバは、コアの直径が50μmであり、開口数が0.2±0.015である。
【0156】
本発明はまた、本発明によるファイバの少なくとも一部を含むマルチモード光システムを提供する。具体的には、光ファイバは、100mにわたって10Gb/s以上のビット速度を示しうる。光システムはまた、300mにわたって10Gb/s以上の速度を示しうる。
【0157】
本発明による光ファイバは、有利には、波長850ナノメートルおよび1300ナノメートルにおける低い曲げ損失および広い帯域幅を、大量かつ低コストの製造プロセスを用いて得るために使用されうる。
【0158】
当然、本発明は、例として説明された実施形態に限定されない。
【0159】
具体的には、屈折率を上昇させるドーパントは、必ずしもゲルマニウムではない。ある変形形態では、リンを選択することができる。
【0160】
本発明の光ファイバは、多くの伝送システムにおいて、システムの別の光ファイバとの良好な互換性を保って設置することができる。
【符号の説明】
【0161】
20 マルチモード光ファイバ
21 光パルス
22 半径オフセット
23 マップ
24 コアの中心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心から周囲に向かって、
半径がrでα屈折率分布を示し、少なくともフッ素および屈折率を上昇させる元素によりドーピングされた母材を有する中心コアと、
幅wおよび、外側光クラッドに対する屈折率の差がΔnである内側クラッドと、
半径がr、幅がwで2μmから10μmの範囲にあり、外側光クラッドに対する屈折率の差Δnが−15×10−3から−6×10−3の範囲にある、埋めこまれたトレンチと、
外側光クラッドと
を含む光ファイバであって、
中心コアのドーピングされた母材の、フッ素と全ての構成物質との原子比率Cがファイバの中心からrに向かって増加し、rにおいて、中心コアのドーピングされた母材の、フッ素と全ての構成物質との原子比率Cの最大値CF,MAXが8.5×10−3から57×10−3の範囲にある、光ファイバ。
【請求項2】
中心コアの屈折率を上昇させるドーパントがゲルマニウムであり、中心コアの母材がシリカでできている、請求項1に記載の光ファイバ。
【請求項3】
において、埋め込まれたトレンチの屈折率の差Δn、および中心コアのドーピングされた母材の、フッ素と全ての構成物質との原子比率の値CF,MAXが以下の関係
F,MAX×1000>−10.06×1000×Δn−82.06
を満たす、請求項2に記載の光ファイバ。
【請求項4】
において、埋め込まれたトレンチの屈折率の差Δn、および中心コアのドーピングされた母材の、フッ素と全ての構成物質との原子比率の値CF,MAXが以下の関係
F,MAX×1000>−8.28×1000×Δn−48.28
を満たす、請求項2または3に記載の光ファイバ。
【請求項5】
において、埋め込まれたトレンチの屈折率の差Δn、および中心コアのドーピングされた母材の、フッ素と全ての構成物質との原子比率の値CF,MAXが以下の関係
F,MAX×1000>−8×1000×Δn−42.28
を満たす、請求項2、3、または4に記載の光ファイバ。
【請求項6】
中心コアのドーピングされた母材の、フッ素と全ての構成物質との原子比率Cが、ファイバの中心からの半径距離rの関数として、以下の式で与えられ、
【数1】

は中心コアの半径であり、
pは2に実質的に等しい定数であり、
【数2】

は1.25×10−3よりも小さい正の定数である、請求項1から5のいずれかに記載の光ファイバ。
【請求項7】
中心コアのα屈折率分布が、値が1.9から2.1の範囲にあるパラメータアルファαを示す、請求項1から6のいずれかに記載の光ファイバ。
【請求項8】
外側光クラッドに対する中心コアの屈折率の差Δnの最大値が10×10−3から18×10−3の範囲にあり、好ましくは11×10−3から16×10−3の範囲にある、請求項1から7のいずれかに記載の光ファイバ。
【請求項9】
内側クラッドの幅wが0.5μmから2μmの範囲にあり、外側光クラッドに対する内側クラッドの屈折率の差Δnが−0.2×10−3から2×10−3の範囲にある、請求項1から8のいずれかに記載の光ファイバ。
【請求項10】
埋め込まれたトレンチの幅wが、3μmから5μmの範囲にある、請求項1から9のいずれかに記載の光ファイバ。
【請求項11】
開口数が0.185から0.215の範囲にある、請求項1から10のいずれかに記載の光ファイバ。
【請求項12】
波長850ナノメートルにおいて、7.5mmの曲率半径を有する2回の曲げに対して、0.2dBより小さい、好ましくは0.1dBより小さい、より好ましくは0.05dBより小さい、さらにより好ましくは0.01dBより小さい曲げ損失を示す、請求項1から11のいずれかに記載の光ファイバ。
【請求項13】
波長1300ナノメートルにおいて、7.5mmの曲率半径を有する2回の曲げに対して、0.5dBより小さい、好ましくは0.3dBより小さい、より好ましくは0.2dBより小さい、さらにより好ましくは0.1dBより小さい、最も好ましくは0.05dBより小さい曲げ損失を示す、請求項1から12のいずれかに記載の光ファイバ。
【請求項14】
波長850ナノメートルにおいて、1500MHz.kmよりも広い、より好ましくは3500MHz.kmよりも広い全モード励振(OFL)帯域幅を示し、かつ/または、波長1300ナノメートルにおいて、500MHz.kmよりも広い、より好ましくは600MHz.kmよりも広い全モード励振(OFL)帯域幅を示す、請求項1から13のいずれかに記載の光ファイバ。
【請求項15】
波長850ナノメートルにおいて、FOTP−220規格にしたがって中心コアの外側部分を被覆するマスクについて得られる分散モード遅延DMDextが、0.33ps/mより小さく、好ましくは0.25ps/mより小さく、より好ましくは0.14ps/mより小さい、請求項1から14のいずれかに記載の光ファイバ。
【請求項16】
100mにわたり10Gp/s以上の速度を、好ましくは300mにわたり10Gp/s以上の速度を任意選択で示す、請求項1から15のいずれか一項に記載の光ファイバの少なくとも一部を含む、マルチモード光システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−159836(P2012−159836A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−6010(P2012−6010)
【出願日】平成24年1月16日(2012.1.16)
【出願人】(507112468)ドラカ・コムテツク・ベー・ベー (39)
【Fターム(参考)】