説明

曳航ロープの長さ制御方法とその装置

【課題】 船体動揺によって生じるロープの繰り出し/巻き込みを補償する制御操作を抑えて安定したロープ長の制御が行える曳航ロープの長さ制御方法を提供すること。
【解決手段】 曳航体を曳航するロープ長目標値2と実ロープ長のフィードバック5の信号とに基いて前記ロープ長目標値2とのロープ長偏差7を得て、このロープ長偏差7に基いてロープ操作量4を出力するとともに、前記曳航体を曳航する船体の動揺周波数を同定し、この同定した動揺周波数の帯域を前記ロープ操作量4からノッチフィルタで低減させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トロール船のトロール網や海洋調査船の水中観測器等の曳航体を曳航するロープを、ウインチ等のアクチュエータを使って長さ制御する方法とその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、トロール船のトロール網や海洋調査船の水中観測器等(この明細書及び特許請求の範囲の書類中では、これら水中を曳航するものを総称して、「曳航体」という。)は、船舶によって曳航されている。このような曳航体は、船舶から繰り出されたロープ(この明細書及び特許請求の範囲の書類中における「ロープ」は、つな、ワイヤロープ等の「索」を全て含む。)で水中を曳航されている。以下、このような曳航体として、トロール船によって曳航されるトロール網を例にして説明する。
【0003】
図4は、トロール船によって曳航されるトロール網の一例を示す概略平面図である。図示するように、前記トロール網51は、トロール船52(船舶)に設けられたウインチ53L,53Rから繰り出されたロープ54L,54Rによって曳航されている。このロープ54L,54Rは、ウインチ53L,53Rによって所定の張力が保たれた状態で長さが制御されている。ウインチ53L,53Rは、一般的に油圧駆動のアクチュエータ55L,55Rによって駆動されている。このウインチ53L,53Rを正転/逆転させることによりロープ54L,54Rの張力と長さとが制御されており、トロール網51を曳航することによって生じるロープ54L,54Rの張力が一定範囲に入るように、ウインチ53L,53Rによるロープ54L,54Rの繰り出し又は巻き込みが行われる。
【0004】
また、トロール網51の場合、通常、その前面を開くための拡網具56L,56R(以下、「オッターボード」という。)を介してトロール船52によって曳航されている。オッターボード56L,56Rは、水流を受けてトロール網51の前面を開くような力を発生させる形状となっている。このオッターボード56L,56Rをトロール船52から繰り出されたロープ54L,54Rで曳くことにより、トロール網51は前面が開いた状態を保ちながら曳航される。
【0005】
なお、この種の従来技術として、ロープを繰り出すウインチを駆動する液圧モータに作動油を供給する液圧ポンプを設け、この液圧ポンプを回転駆動する電動機の負荷電流の変動に基いてこの電動機のトルクを制御することによりロープの張力を設定値に保持するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−199398号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、トロール船52が航行すると、必ず船体に動揺(この明細書及び特許請求の範囲の書類中における「動揺」は、ローリング、ヨーイング、ピッチング等、船体に作用する全ての動揺を含む。)を生じる。図5は船体に作用する動揺周波数の一例を示す線図であり、前記船舶は、波等の外乱や船体形状等の影響によって、実線や点線で示すようなある周波数(周期)の動揺を生じる。
【0007】
そして、この船体の動揺のプラス側では前記ロープ54L,54Rが引張られ、マイナス側ではロープ54L,54Rが弛むので、前記したようにロープ54L,54Rの張力が一定範囲に入るようにウインチ53L,53Rがロープ54L,54Rの繰り出し/巻き込み動作を頻繁に行う場合がある。しかし、このロープ54L,54Rの頻繁な繰り出し/巻き込み動作を補償するロープ長制御操作は本来不要な制御であり、トロール網52の安定した制御を妨げる。
【0008】
また、船体の動揺周波数は、波などの外乱特性や航行速度、喫水などによって変化するので、トロール網52に応じてロープ54L,54Rの長さを一定長さに制御しようとしても、船体の動揺周波数が変化することによってロープ54L,54Rの繰り出し/巻き込み動作を補償するロープ長制御操作を頻繁に繰り返す場合があり、トロール網52に応じた制御も難しい。このような曳航するロープ54L,54Rの頻繁な繰り出し/巻き込み動作による頻繁なロープ長の制御は、トロール網以外の曳航体であっても同様であり、観測機器の場合には、安定した観測を阻害する。
【0009】
なお、前記特許文献1ではロープの張力を保つことはできるが、安定したロープ長の制御を行うことはできない。
【0010】
そこで、本発明は、船体動揺によって生じるロープの繰り出し/巻き込み動作を補償するロープ長制御操作を抑えて安定したロープ長の制御が行える曳航ロープの長さ制御方法とその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、本発明の曳航ロープの長さ制御方法は、曳航体を曳航するロープ長目標値と実ロープ長のフィードバック信号とに基いて前記ロープ長目標値とのロープ長偏差を得て、該ロープ長偏差に基いてロープ操作量を出力するとともに、前記曳航体を曳航する船体の動揺周波数を同定し、該同定した動揺周波数の帯域を前記ロープ操作量から低減させている。前記「船体の動揺周波数を同定」とは、船体に作用する外力から動揺と見なされる周波数を見極めることをいう。これにより、船体の動揺によって生じるロープの繰り出し/巻き込み動作の動揺成分をフィルタ回路でカットし、船体動揺による不必要なロープ長変動の制御を行わないようにして、安定したロープ長の制御が行えるようにできる。
【0012】
また、前記船体の動揺周波数を連続的に同定し、該同定した動揺周波数の帯域を前記ロープ操作量から連続的に低減させるようにしてもよい。これにより、船体の動揺周波数が変化しても、その動揺に応じた周波数帯域の制御を抑えて安定した制御を行うことができる。
【0013】
さらに、曳航体を曳航するロープ長目標値と実ロープ長のフィードバック信号とに基いて前記ロープ長目標値とのロープ長偏差を得て、該ロープ長偏差に基いてロープ操作量を出力するとともに、予め船体に応じて設定した周波数帯域の範囲を船体の動揺周波数として設定し、該動揺周波数の帯域を前記ロープ操作量から低減させるようにしてもよい。これにより、予め船体に応じて決められた動揺周波数の帯域の周波数を低減させるので、動揺周波数の帯域が決まっているような場合には、より簡単に、船体動揺による不必要なロープ長変動の制御を行わないようにして、安定したロープ長の制御が行えるようにできる。
【0014】
一方、本発明の曳航ロープの長さ制御装置は、ロープ操作量を制御するロープ長制御装置と、曳航体を曳航するロープ長目標値と実ロープ長のフィードバック信号とに基いて前記ロープ長目標値とのロープ長偏差を得る偏差検出部とを備え、該偏差検出部のロープ長偏差に基いて前記ロープ長制御装置にロープ操作量を出力する機能を備えるとともに、前記曳航体を曳航する船体の動揺周波数を同定する動揺周波数同定機を設け、該動揺周波数同定機で同定した動揺周波数の帯域を前記ロープ操作量から低減させるフィルタ回路を設けている。前記動揺周波数検出器としては、FFTアナライザ、逐次最小二乗法等が用いられる。また、船体動揺周波数を低減させるフィルタ回路は、ロープ長フィードバック信号、ロープ長偏差、ロープ操作量、のいずれかの場所において船体動揺周波数をカットするように設けられる。この装置によれば、船体動揺によって生じるロープの繰り出し/巻き込みの動揺成分をフィルタ回路でカットし、船体動揺による不必要なロープ長変動の制御を行わないようにして、安定したロープ長の制御が行える長さ制御装置を提供することができる。
【0015】
また、前記動揺周波数同定機で船体の動揺周波数を連続的に同定し、該同定した動揺周波数の帯域を前記ロープ操作量から連続的に低減させるようにしてもよい。この装置によれば、刻一刻と変化する動揺に応じた周波数帯域の制御を抑えて安定した制御を行うことができる。
【0016】
さらに、ロープ操作量を制御するロープ長制御装置と、曳航体を曳航するロープ長目標値と実ロープ長のフィードバック信号とに基いて前記ロープ長目標値とのロープ長偏差を得る偏差検出部とを備え、該偏差検出部のロープ長偏差に基いて前記ロープ長制御装置にロープ操作量を出力する機能を備えるとともに、予め船体に応じて設定した周波数帯域の範囲を船体の動揺周波数として設定し、該動揺周波数の帯域を前記ロープ操作量から低減させるフィルタ回路を設けてもよい。この装置によれば、予め船体に応じて決められた動揺周波数の帯域の周波数を低減させるので、動揺周波数の帯域が決まっているような場合には、より簡単に、船体動揺による不必要なロープ長変動の制御を行わないようにして、安定したロープ長の制御が行える長さ制御装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、以上説明したような手段により、船体動揺によって生じる曳航体を曳航するロープ長変動の制御が行われるのを抑止することができるので、安定した曳航体の曳航ロープ長さ制御が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施の形態に係る長さ制御装置の基本的構成を示すブロック図であり、図2は、図1に示す長さ制御装置における動揺周波数同定機に関する構成を示すブロック図である。図3は、図1に示す制御装置におけるノッチフィルタの一例を示す図面であり、(a) はゲインと周波数の関係を示すボード線図、(b) は位相差と周波数の関係を示すボード線図である。この実施の形態でも、曳航体としてトロール船で曳航されるトロール網を例に説明する。なお、以下の説明において、前記図4に示す構成と同一の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0019】
図1のブロック図に示すように、長さ制御装置1によれば、ロープ長目標値2に応じた信号がロープ長制御機3からロープ操作量4として前記ウインチ53L,53Rの制御系(ロープ長制御装置)に出力され、このウインチ53L,53Rによってロープ54L,54Rの繰り出し長さがロープ長目標値2と合うように制御される。また、実ロープ長がロープ長フィードバック5として前記ロープ長目標値2と比較部6(偏差検出部)で比較され、そのロープ長偏差7が前記ロープ長制御機3に入力され、このロープ長制御機3から前記ウインチ53L,53Rの制御系に出されるロープ操作量4が実ロープ長でフィードバック制御されている。
【0020】
また、図2に示すように、前記長さ制御装置1には動揺周波数同定機8が設けられており、この動揺周波数同定機8によって船体の動揺周波数9が同定されている。この動揺周波数同定機8としては、FFTアナライザや逐次最小二乗法等が用いられ、ロープ長フィードバック5の信号に基いて、周波数解析によって動揺周波数が同定されている。動揺周波数同定機8は、他に、船体のピッチ角やピッチレート等に基づいて周波数を解析して動揺周波数を同定できるものであってもよい。この動揺周波数同定機8によれば、船体の動揺周波数が変化しても動揺周波数を同定することができる。船体の動揺としては、前記図5に実線や点線で示すような一定周期の波等による揺れの周波数を動揺とみなす。
【0021】
そして、この動揺周波数同定機8で同定した動揺周波数9をフィルタ回路であるノッチフィルタ10に用いることにより、その動揺周波数の成分だけを低減(カット)させるようになっている。このノッチフィルタ10をかける位置としては、図1に示すように、前記ロープ長フィードバックの(x) 位置、ロープ長偏差の(y)位置 、ロープ操作量の(z) 位置のいずれかの位置に直列に挿入すればよく、ロープ長目標値2の信号から船体動揺周波数9の成分を低減させることができる位置であればよい。これにより、船体の動揺周波数の帯域ではロープ54L,54Rの長さ制御を頻繁に行わないようにしている。
【0022】
ノッチフィルタ10としては、図3(a) に示すように、動揺とみなされる周波数帯域だけ感度(ゲイン)を低減させるものである。図3(b) に示すように、ノッチを効かせる周波数以外の帯域では位相がゼロになるので、安定してロープ長制御を行うことができる。これらの線図では、ノッチの深さを決定するためのパラメータの「ζ」を変更した場合を示している。
【0023】
また、前記動揺周波数同定機8で同定させる船体の動揺周波数9は、ロープ長の時系列データからオンラインで同定して、その動揺周波数9をノッチフィルタ10によって低減させるノッチ周波数としているので、船体の動揺周波数が変化したとしても、その動揺周波数を特定してノッチフィルタ10がその動揺周波数の帯域の信号成分を適切に低減させて、船体動揺に起因するウインチ53L,53Rの無駄な応答を抑制することができる。
【0024】
以上のように構成された曳航ロープの長さ制御装置1によれば、トロール網51を曳航するロープ54L,54Rの長さ制御において、動揺周波数同定機8によって同定した船体の動揺周波数9の帯域の感度をノッチフィルタ10によってロープ長目標値から大幅に低減させるので、船体の動揺によって繰り返されるロープ54L,54Rの繰り出し/巻き込みの動作を補償しようとする無駄な制御操作を抑制することができる。また、動揺周波数9の帯域以外の部分では通常の制御が行われるので、トロール網51を曳航するロープ54L,54Rの安定した長さ制御を行うことができる。
【0025】
つまり、通常のロープ54L,54Rの長さ制御を行う信号に影響を与えることなく、船体の動揺周波数の成分を低減させて、その動揺周波数の帯域におけるロープ54L,54Rの繰り出し/巻き込み動作を補償しようとする制御操作を抑制することができるとともに、船体の動揺周波数が変化してもノッチフィルタ10を適切に効かせてロープ54L,54Rの繰り出し/巻き込み動作を補償しようとする制御操作を抑制することができる。
【0026】
しかも、船体の動揺周波数は船の状態や外乱によって変化するが、ロープ長目標値2に対する実ロープ長のフィードバック制御によるロープ長偏差を制御しながら、船体の動揺周波数をオンラインで同定して、その動揺周波数のゲインを下げるように制御するので、常に船体の動揺周波数の成分が低減されたロープ長制御となり、安定した制御を行うことができる。つまり、うねり等を生じている海象状態で船体の動揺周波数が刻一刻と変化したとしても、その変化した動揺周波数の帯域にノッチフィルタ10を適切に効かせて、その動揺周波数帯域におけるロープ54L,54Rの繰り出し/巻き込み動作を補償しようとする制御操作を抑制することができる。
【0027】
その上、このように頻繁に繰り返されるロープの繰り出し/巻き込み動作を補償しようとする制御操作を抑制することにより、この頻繁なロープ54L,54Rの繰り出し/巻き込み動作を補償しようとすることによって生じるロープ54L,54Rの張力変動による劣化を防ぐこともできる。
【0028】
また、この実施の形態の長さ制御装置1によれば、ノッチフィルタ10と動揺周波数同定機8(動揺周波数同定アルゴリズム)とを、既存のロープ制御装置に対して追加することで実現することも可能であり、設備費用の大幅な増加を抑えることもできる。
【0029】
一方、前記実施の形態では、船体動揺周波数を、ロープ長フィードバック5の信号に基いて動揺周波数同定機8のFFTアナライザや逐次最小二乗法等で求めていたが、船体に傾斜計等が設けられ、それらの機器を用いて直接船体運動を計測して動揺周波数を計測することができる場合は、その信号を動揺周波数として取り込んで利用することも可能である。例えば、定点保持された状態で作業する場合等で、動揺周波数が所定範囲に入ることが分っていれば、動揺周波数9となる周波数帯域の範囲を予め設定しておき、その周波数帯域のゲインをノッチフィルタ10で低減させるようにしてもよい。
【0030】
さらに、定点保持させている状態の船体動揺周波数を検出する検出器を設け、この検出器で検出した動揺周波数9に応じて出力した可変パラメータに対応してノッチフィルタ10の周波数を変更できるように構成すれば、船体の動揺周波数が変化しても、その動揺周波数9に応じた周波数帯域にノッチフィルタ10をかけてその信号成分を低減させるので、ウインチ53L,53Rの無駄な応答の抑制が行える。
【0031】
なお、前記実施の形態では、曳航体としてトロール網を例に説明したが、観測装置等の曳航体でも同様に制御することができ、曳航体はトロール網に限定されるものではない。この場合、ウインチ53L,53Rが他のアクチュエータであっても同様に制御することができる。
【0032】
また、前述した実施の形態は一例を示しており、本発明の要旨を損なわない範囲での種々の変更は可能であり、本発明は前述した実施の形態に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明に係る曳航ロープの長さ制御方法は、船体の動揺によって生じるロープの繰り出し/巻き込み動作が繰り返される成分の補償操作を抑えて安定したロープ長の制御を行いたい曳航体の曳航に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施の形態に係る長さ制御装置の基本的構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す長さ制御装置における動揺周波数同定機に関する構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示す制御装置におけるノッチフィルタの一例を示す図面であり、(a) はゲインと周波数の関係を示すボード線図、(b) は位相差と周波数の関係を示すボード線図である。
【図4】トロール船によって曳航されるトロール網の一例を示す概略平面図である。
【図5】船体に作用する動揺周波数の一例を示す線図である。
【符号の説明】
【0035】
1…長さ制御装置
2…ロープ長目標値
3…ロープ長制御機
4…ロープ操作量
5…ロープ長フィードバック
6…比較部
7…ロープ長偏差
8…動揺周波数同定機
9…動揺周波数
10…ノッチフィルタ
51…トロール網
53L,53R…ウインチ
54L,54R…ロープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
曳航体を曳航するロープ長目標値と実ロープ長のフィードバック信号とに基いて前記ロープ長目標値とのロープ長偏差を得て、該ロープ長偏差に基いてロープ操作量を出力するとともに、
前記曳航体を曳航する船体の動揺周波数を同定し、該同定した動揺周波数の帯域を前記ロープ操作量から低減させることを特徴とする曳航ロープの長さ制御方法。
【請求項2】
前記船体の動揺周波数を連続的に同定し、該同定した動揺周波数の帯域を前記ロープ操作量から連続的に低減させるようにした請求項1に記載の曳航ロープの長さ制御方法。
【請求項3】
曳航体を曳航するロープ長目標値と実ロープ長のフィードバック信号とに基いて前記ロープ長目標値とのロープ長偏差を得て、該ロープ長偏差に基いてロープ操作量を出力するとともに、
予め船体に応じて設定した周波数帯域の範囲を船体の動揺周波数として設定し、該動揺周波数の帯域を前記ロープ操作量から低減させることを特徴とする曳航ロープの長さ制御方法。
【請求項4】
ロープ操作量を制御するロープ長制御装置と、曳航体を曳航するロープ長目標値と実ロープ長のフィードバック信号とに基いて前記ロープ長目標値とのロープ長偏差を得る偏差検出部とを備え、
該偏差検出部のロープ長偏差に基いて前記ロープ長制御装置にロープ操作量を出力する機能を備えるとともに、
前記曳航体を曳航する船体の動揺周波数を同定する動揺周波数同定機を設け、該動揺周波数同定機で同定した動揺周波数の帯域を前記ロープ操作量から低減させるフィルタ回路を設けたことを特徴とする曳航ロープの長さ制御装置。
【請求項5】
前記動揺周波数同定機で船体の動揺周波数を連続的に同定し、該同定した動揺周波数の帯域を前記ロープ操作量から連続的に低減させるようにした請求項4に記載の曳航ロープの長さ制御装置。
【請求項6】
ロープ操作量を制御するロープ長制御装置と、曳航体を曳航するロープ長目標値と実ロープ長のフィードバック信号とに基いて前記ロープ長目標値とのロープ長偏差を得る偏差検出部とを備え、
該偏差検出部のロープ長偏差に基いて前記ロープ長制御装置にロープ操作量を出力する機能を備えるとともに、
予め船体に応じて設定した周波数帯域の範囲を船体の動揺周波数として設定し、該動揺周波数の帯域を前記ロープ操作量から低減させるフィルタ回路を設けたことを特徴とする曳航ロープの長さ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−247103(P2008−247103A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−88727(P2007−88727)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【Fターム(参考)】