説明

有効光源形状のデータベースの生成方法、光学像の算出方法、プログラム、露光方法及びデバイス製造方法

【課題】リソグラフィーシミュレータにおける計算精度を向上させる。
【解決手段】照明光学系に設定可能な複数の条件を変更しながら有効光源形状を算出し、前記有効光源形状を表す初期データベースを生成するステップS1002と、前記複数の条件のうち任意の条件を前記照明光学系に設定して有効光源形状を計測するステップS1004と、前記計測ステップで計測された有効光源形状と前記生成ステップで生成された初期データベースに含まれる前記任意の条件に対応する有効光源形状とに基づいて、前記複数の条件のそれぞれを前記照明光学系に設定した場合の有効光源形状と前記データベースに含まれる有効光源形状との残差量を算出するステップS1006と、前記算出ステップで算出された残差量を用いて前記初期データベースに含まれる有効光源形状を補正して実データベースとするステップS1010と、を有することを特徴とする生成方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有効光源形状のデータベースの生成方法、光学像の算出方法、プログラム、露光方法及びデバイス製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトリソグラフィー(焼き付け)技術を用いて半導体デバイスを製造する際に、原版(レチクル又はマスク)に形成された回路パターンを投影光学系によってウエハ等の基板に投影して回路パターンを転写する投影露光装置が使用されている。近年の投影露光装置においては、半導体デバイスの微細化に対応する(即ち、高解像度化を実現する)ために、超解像技術(Resolution Enhanced Technique)が用いられている。
【0003】
超解像技術としては、変形照明や斜入射照明と呼ばれるOAI(Off Axis Illumination)技術や光近接効果補正と呼ばれるOPC(Optical Proximity Correction)技術などがある(非特許文献1参照)。ここで、OAI技術は、照明形状(照明条件)を輪帯形状や多重極形状(例えば、2重極形状、4重極形状)などにして、レチクルに対して斜めに光を入射させる技術である。また、OPC技術は、原版のパターンを設計する際に、パターンの一要素ごとに、その形状や周囲の要素の影響を考慮して、ルールベースや光学シミュレーションを用いたモデルベースで原版のパターン形状を補正する技術である。
【0004】
原版のパターンは、一般的には、照明形状や投影光学系の開口数(NA)等を含む露光条件に応じて設計される。但し、OPC技術を用いて原版のパターン形状を補正することで、原版からの光の回折方向や強度が変化するため、ウエハ上により高精度な光学像を形成するために(ウエハ上に所望の形状が形成されるように)、照明形状を調整することもある。従って、原版のパターン設計においては、OPC技術によるパターン形状の補正(即ち、原版のパターンの評価)と照明形状の調整とが繰り返され、照明形状を解析的に導出するシミュレータなど(特許文献1及び2参照)が利用されている。特に、特許文献2は、OPC技術を考慮した照明形状の最適化を実現するための技術を開示しており、原版のパターン設計にかかる負荷を軽減することに寄与する。
【0005】
このようなシミュレータは、リソグラフィーシミュレータと呼ばれ、光学的要素に関する演算を行う光学算出部と、非光学的要素に関する演算を行う非光学算出部とを含む(特許文献3及び非特許文献2参照)。光学算出部は、露光光学系がウエハ上に形成する光学像を予測する。また、非光学算出部は、光学算出部によって算出された光学像からウエハ上に塗布された感光剤(レジスト)が現像される工程を予測する現像算出部と、現像されたレジストがエッチングされた後のパターンの寸法変化を予測する寸法算出部とを含む。
【0006】
ウエハに形成されるパターンの寸法を高精度に予測するためには、光学算出部及び非光学算出部のそれぞれにおいて、より高精度な計算モデルが必要である。例えば、光学算出部では、ベクトル計算モデルが採用されている。また、現像算出部においては、モデリングされている各工程のモデル精度を向上する努力がなされている。
【特許文献1】特許第3342631号公報
【特許文献2】特開2005−183981号公報
【特許文献3】特開2005−62750号公報
【非特許文献1】日経マイクロデバイス 2004年10月号 P104〜P109
【非特許文献2】Mathematical and CAD Framework for Proximity Correction (1996 SPIE Vol.2726 P208−222、Optical Microlithography)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ウエハに形成されるパターンの精度を向上させるためには、OPC技術による原版の設計や照明形状の厳密な管理が要求されると共に、リソグラフィーシミュレータにおける計算精度の向上も要求される。従って、リソグラフィーシミュレータの光学算出部において、高精度な光学像を得る(算出する)ことが必要であり、そのためには、リソグラフィーシミュレータに入力する有効光源形状として、投影露光装置における実際の有効光源形状を用いることが好ましい。
【0008】
しかしながら、従来のリソグラフィーシミュレータでは、照明光学系を構成する光学素子の設計値やかかる光学素子の配置などから算出される有効光源形状を入力としていた。具体的には、照明光学系(を構成する光学素子)に設定可能な条件(光学素子の選択や配置など)毎に有効光源形状を算出してデータベース化し、かかるデータベースから実際に設定される条件に応じて1つの有効光源形状を選択して入力としていた。但し、投影露光装置における実際の有効光源形状は、露光光学系の設計的要因(例えば、製造誤差や配置誤差など)によって変化しているため、照明光学系に設定可能な条件から算出される有効光源形状と異なる。
【0009】
なお、照明光学系に設定可能な条件毎に、投影露光装置における実際の有効光源形状を計測してデータベース化することも考えられるが、照明光学系に設定可能な条件は数多く、有効光源形状の計測に著しく時間がかかってしまうため現実的ではない。
【0010】
また、照明光学系に設定可能な条件のうち実際に設定される条件に対する有効光源形状のみを計測することも考えられる。但し、例えば、OPC技術を用いた原版のパターン設計においては、頻繁に照明形状等の条件(即ち、照明光学系の条件)が変更されるため、かかる条件の変更毎に有効光源形状を計測することが必要となる。従って、照明光学系に実際に設定される条件に対する有効光源形状のみを計測したとしても、有効光源形状の計測回数を極端に低減させることはできない(即ち、有効光源形状の計測に時間がかかる)ため、現実的ではない。
【0011】
そこで、本発明は、このような従来技術の課題に鑑みて、リソグラフィーシミュレータにおける計算精度を向上させることが可能な有効光源形状のデータベースを容易に生成することができる生成方法を提供することを例示的目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の第1の側面としての生成方法は、光源からの光を用いて原版を照明する照明光学系と、前記原版のパターンを基板に投影する投影光学系とを備える露光装置において前記照明光学系に形成される有効光源形状のデータベースを生成する生成方法であって、前記照明光学系に設定可能な複数の条件を変更しながら有効光源形状を算出し、前記複数の条件のそれぞれに対応する前記有効光源形状を表す初期データベースを生成する生成ステップと、前記複数の条件のうち任意の条件を前記照明光学系に設定して有効光源形状を計測する計測ステップと、前記計測ステップで計測された有効光源形状と前記生成ステップで生成された初期データベースに含まれる前記任意の条件に対応する有効光源形状とに基づいて、前記複数の条件のそれぞれを前記照明光学系に設定した場合の有効光源形状と前記データベースに含まれる有効光源形状との残差量を算出する算出ステップと、前記算出ステップで算出された残差量を用いて前記初期データベースに含まれる有効光源形状を補正して実データベースとする補正ステップと、を有することを特徴とする。
【0013】
本発明の第2の側面としての生成方法は、光源からの光を用いて原版を照明する照明光学系と、前記原版のパターンを基板に投影する投影光学系とを備える第1の露光装置及び第2の露光装置のうち前記第2の露光装置において照明光学系に形成される有効光源形状のデータベースを生成する生成方法であって、前記第1の露光装置の照明光学系に設定可能な複数の条件のそれぞれに対応する有効光源形状を表すデータベースを初期データベースとして取得する取得ステップと、前記第2の露光装置の照明光学系に設定可能な複数の条件のうち任意の条件を前記第2の露光装置の前記照明光学系に設定して有効光源形状を計測する計測ステップと、前記計測ステップで計測された有効光源形状と前記取得ステップで取得された初期データベースに含まれる前記任意の条件に対応する有効光源形状とに基づいて、前記複数の条件のそれぞれを前記第2の露光装置の照明光学系に設定した場合の有効光源形状と前記データベースに含まれる有効光源形状との残差量を算出する算出ステップと、前記算出ステップで算出された残差量を用いて前記初期データベースに含まれる有効光源形状を補正して実データベースとする補正ステップと、を有することを特徴とする。
【0014】
本発明の第3の側面としての算出方法は、光源からの光を用いて原版を照明する照明光学系と、前記原版のパターンを基板に投影する投影光学系とを備える露光装置において前記基板の上に形成される光学像を算出する算出方法であって、前記照明光学系に形成される有効光源形状のデータベースを生成するデータベース生成ステップと、前記データベース生成ステップで生成されたデータベースに含まれる有効光源形状、前記原版のパターン及び前記投影光学系に関する情報を入力情報とし、前記入力情報に基づいて前記基板の上に形成される光学像を算出する算出ステップと、を有し、前記データベース生成ステップは、前記照明光学系に設定可能な複数の条件を変更しながら有効光源形状を算出し、前記複数の条件のそれぞれに対応する前記有効光源形状を表す初期データベースを生成する生成ステップと、前記複数の条件のうち任意の条件を前記照明光学系に設定して有効光源形状を計測する計測ステップと、前記計測ステップで計測された有効光源形状と前記生成ステップで生成された初期データベースに含まれる前記任意の条件に対応する有効光源形状とに基づいて、前記複数の条件のそれぞれを前記照明光学系に設定した場合の有効光源形状と前記データベースに含まれる有効光源形状との残差量を算出する算出ステップと、前記算出ステップで算出された残差量を用いて前記初期データベースに含まれる有効光源形状を補正して実データベースとする補正ステップと、を含むことを特徴とする。
【0015】
本発明の第4の側面としてのプログラムは、光源からの光を用いて原版を照明する照明光学系と、前記原版のパターンを基板に投影する投影光学系とを備える露光装置において前記基板の上に形成される光学像をコンピュータに算出させるプログラムであって、前記コンピュータに、前記照明光学系に形成される有効光源形状のデータベースを生成するデータベース生成ステップと、前記データベース生成ステップで生成されたデータベースに含まれる有効光源形状、前記原版のパターン及び前記投影光学系に関する情報を入力情報とし、前記入力情報に基づいて前記基板の上に形成される光学像を算出する算出ステップと、を実行させ、前記データベース生成ステップは、前記照明光学系に設定可能な複数の条件を変更しながら有効光源形状を算出し、前記複数の条件のそれぞれに対応する前記有効光源形状を表す初期データベースを生成する生成ステップと、前記複数の条件のうち任意の条件を前記照明光学系に設定して有効光源形状を計測する計測ステップと、前記計測ステップで計測された有効光源形状と前記生成ステップで生成された初期データベースに含まれる前記任意の条件に対応する有効光源形状とに基づいて、前記複数の条件のそれぞれを前記照明光学系に設定した場合の有効光源形状と前記データベースに含まれる有効光源形状との残差量を算出する算出ステップと、前記算出ステップで算出された残差量を用いて前記初期データベースに含まれる有効光源形状を補正して実データベースとする補正ステップと、を含むことを特徴とする。
【0016】
本発明の第5の側面としての露光方法は、光源からの光を用いて原版を照明する照明光学系と、前記原版のパターンを基板に投影する投影光学系とを備える露光装置における露光方法であって、前記照明光学系に形成される有効光源形状のデータベースを生成するデータベース生成ステップと、前記データベース生成ステップで生成されたデータベースに含まれる有効光源形状、前記原版のパターン及び前記投影光学系に関する情報を入力情報とし、前記入力情報に基づいて前記基板の上に形成される光学像を算出する算出ステップと、前記算出ステップで算出された光学像の評価に基づいて、前記露光装置の露光条件を設定する設定ステップと、前記設定ステップで設定された露光条件で前記原版を照明する照明ステップと、前記照明ステップで照明された原版のパターンの像を前記投影光学系を介して前記基板に投影する投影ステップと、を有し、前記データベース生成ステップは、前記照明光学系に設定可能な複数の条件を変更しながら有効光源形状を算出し、前記複数の条件のそれぞれに対応する前記有効光源形状を表す初期データベースを生成する生成ステップと、前記複数の条件のうち任意の条件を前記照明光学系に設定して有効光源形状を計測する計測ステップと、前記計測ステップで計測された有効光源形状と前記生成ステップで生成された初期データベースに含まれる前記任意の条件に対応する有効光源形状とに基づいて、前記複数の条件のそれぞれを前記照明光学系に設定した場合の有効光源形状と前記データベースに含まれる有効光源形状との残差量を算出する算出ステップと、前記算出ステップで算出された残差量を用いて前記初期データベースに含まれる有効光源形状を補正して実データベースとする補正ステップと、を含むことを特徴とする。
【0017】
本発明の第6の側面としてのデバイス製造方法は、上述の露光方法を用いて基板を露光するステップと、露光された前記基板を現像するステップと、を有することを特徴とする。
【0018】
本発明の更なる目的又はその他の側面は、以下、添付図面を参照して説明される好ましい実施形態によって明らかにされるであろう。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、例えば、リソグラフィーシミュレータにおける計算精度を向上させることが可能な有効光源形状のデータベースを容易に生成できる生成方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について説明する。なお、各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
【0021】
図1は、露光装置1の構成を示す概略断面図である。露光装置1は、本実施形態では、ステップ・アンド・スキャン方式でレチクル30のパターンをウエハ50に転写する投影露光装置である。但し、露光装置1は、ステップ・アンド・リピート方式やその他の露光方式も適用することができる。
【0022】
露光装置1は、光源10と、照明光学系20と、レチクル30を載置するレチクルステージ35と、投影光学系40と、ウエハ50を載置するウエハステージ55と、検出部60と、制御部70とを備える。
【0023】
光源10は、例えば、光源としてエキシマレーザーを使用する。エキシマレーザーは、波長約248nmのKrFエキシマレーザー、波長約193nmのArFエキシマレーザーなどを含む。但し、光源10はエキシマレーザーに限定されず、例えば、超高圧水銀ランプや波長約157nmのFレーザーなどを使用してもよい。
【0024】
照明光学系20は、光源10からの光を用いてレチクル30を照明する光学系である。照明光学系20は、整形光学系202と、回折光学素子204と、フーリエ変換レンズ206と、照明形状変換部210と、ズーム光学系212とを含む。更に、照明光学系20は、ハエの目レンズ214と、絞り部材216と、照明レンズ218と、視野絞り220と、結像レンズ222及び224と、偏向ミラー226とを含む。
【0025】
整形光学系202は、光源10からの光を所望の形状に変換して回折光学素子204に導光する。
【0026】
回折光学素子204は、平行光が入射された場合に、フーリエ変換の関係となる面に所望の光強度分布を形成するように設計されている。本実施形態では、回折光学素子204からの光は、フーリエ変換レンズ206を介して、第1の面に第1の光強度分布を形成する。回折光学素子204は、投影光学系40の瞳面に形成する有効光源形状に応じて切り替え可能に構成される。
【0027】
照明形状変換部210は、照明条件(例えば、円形照明、輪帯照明、2重極照明、4重極照明など)に応じて、第1の面(第1の光強度分布)からの光を輪帯形状や4重極形状に変換する光学素子(例えば、複数のプリズムなど)を含む。照明形状変換部210からの光は、第2の面に第2の光強度分布を形成する。なお、照明形状変換部210の具体的な構成については、後で詳細に説明する。
【0028】
ズーム光学系212は、ハエの目レンズ214(詳細には、ハエの目レンズ214の入射面214a)に対して光学的に共役の関係に配置され、ハエの目レンズ214の入射面214aに所定の倍率で第2の光強度分布を結像させる。ズーム光学系212は、本実施形態では、倍率可変のズームレンズで構成され、ハエの目レンズ214に入射する光の領域を調整することが可能である。
【0029】
ハエの目レンズ214は、複数の微小レンズを2次元的に配置して構成される。本実施形態では、ハエの目レンズ214の射出面214bは、照明光学系20の瞳面に相当する。ハエの目レンズ214は、射出面214bに瞳面分布を形成する。
【0030】
絞り部材216は、ハエの目レンズ214の射出面214bの近傍に配置され、不要光を遮光して瞳面分布の形状を調整する(即ち、瞳面分布の形状を所望の形状にする)。絞り部材216は、図示しない駆動機構を介して、開口の大きさ及び形状が変更可能なように構成される。なお、絞り部材216は、例えば、ハエの目レンズ214の入射面214aの近傍や照明光学系20の瞳面と共役の関係にある第1の光強度分布や第2の光強度分布が形成される面に配置してもよい。また、複数の絞り部材216を配置してもよい。
【0031】
照明レンズ218は、ハエの目レンズ214の射出面214bの近傍に形成された瞳面分布を視野絞り220上に重畳照明する。
【0032】
視野絞り220は、複数の可動遮光板で構成され、被照明面としてのレチクル30(更には、ウエハ50)上における照明範囲(露光範囲)を制限する。
【0033】
結像レンズ222及び224は、偏向ミラー226を介して、視野絞り220の開口を通過した光をレチクル30上に結像する。
【0034】
レチクル30は、OPC技術を用いて作製され、ウエハ50に転写するパターン(回路パターン)を有する原版である。レチクル30は、レチクルステージ35に支持及び駆動される。レチクル30から発せられた回折光は、投影光学系40を介して、ウエハ50に投影される。レチクル30とウエハ50とは、光学的に共役の関係に配置される。露光装置1は、ステップ・アンド・スキャン方式の露光装置であるため、レチクル30とウエハ50とを同期走査することによって、レチクル30のパターンをウエハ50に転写する。例えば、投影光学系40の縮小倍率を1/β、ウエハ50(ウエハステージ55)の走査速度をV[mm/sec]とすると、レチクル30(レチクルステージ35)の走査速度は、βV[mm/sec]となる。なお、レチクル30(レチクルステージ35)及びウエハ50(ウエハステージ55)と同期して、視野絞り220も走査される。
【0035】
レチクルステージ35は、レチクルチャックを介してレチクル30を支持し、レチクル30を駆動(走査)する機能を有する。
【0036】
投影光学系40は、レチクル30のパターンをウエハ50に投影する光学系である。投影光学系40は、屈折系、反射屈折系、或いは、反射系を使用することができる。
【0037】
ウエハ50は、レチクル30のパターンが投影(転写)される基板であって、露光面(投影光学系40の結像面)に配置される。但し、ウエハ50は、ガラスプレートやその他の基板に置換することもできる。ウエハ50には、レジストが塗布されている。
【0038】
ウエハステージ55は、ウエハチャックを介してウエハ50を支持し、投影光学系40の光軸方向及び投影光学系40の光軸に直交する平面に沿って2次元的にウエハ50を駆動(走査)する機能を有する。
【0039】
検出部60は、例えば、照度計を含み、ウエハ50に入射する光(露光光)の光量を検出する。検出部60は、受光面がウエハ面と一致するように、ウエハステージ55上に配置され、ウエハステージ55によって駆動される。検出部60は、ウエハ50に入射する光を受光して、それに応じた信号(検出結果)を制御部70に送信する。また、検出部60は、照明光学系20(詳細には、照明光学系20の瞳面)に形成される有効光源形状を計測することもできる。
【0040】
制御部70は、露光装置1の全体の動作を制御する。制御部70は、例えば、レチクルステージ35及びウエハステージ55と電気的に接続し、レチクルステージ35とウエハステージ55との同期走査を制御する。
【0041】
制御部70は、例えば、汎用のコンピュータなどの処理装置で構成され、本実施形態では、照明光学系20に形成される有効光源形状のデータベースを生成する生成方法等を実行するためのプログラムがインストールされている。なお、制御部70は、有効光源形状のデータベースを生成する生成方法を実行するだけではなく、かかる生成方法で生成された有効光源形状のデータベースを用いたリソグラフィーシミュレータとして機能する。具体的には、制御部70は、生成されたデータベースに含まれる有効光源形状、レチクル30のパターン、投影光学系40に関する情報を入力情報とし、かかる入力情報に基づいてウエハ50の上に形成される光学像を算出する。また、制御部70は、算出された光学像を評価し、かかる評価に基づいて、露光装置1に最適な露光条件を設定する機能(即ち、露光条件の最適化処理を実行する機能)も備えている。
【0042】
制御部70は、図2に示すように、CPU71と、メモリ72と、入力部73と、出力部74と、記憶部75とを有する。CPU71は、本実施形態では、メモリ72に記憶されたプログラム72aに基づいて、後述する有効光源形状のデータベースを生成する生成方法、光学像の算出や露光条件の最適化を実行する。メモリ72は、例えば、ROMやRAMで構成される。入力部73は、例えば、キーボード、通信インターフェース、メディアリーダなどを含む。出力部74は、例えば、ディスプレイ、メモリ、通信インターフェースなどを含む。記憶部75は、例えば、ハードディスクなどの大容量記憶装置で構成され、有効光源形状のデータベースなどを格納する。なお、プログラム72aは、例えば、入力部73を介して制御部70に取り込まれ、メモリ72に所定の形式で書き込まれる。なお、有効光源形状のデータベースを生成する機能、かかるデータベースを用いたリソグラフィーシミュレータとしての機能(光学像算出、露光条件最適化)、露光装置1の全体の動作を制御する機能を制御部70が全て行っているが、これに限定されない。つまり、複数の情報処理装置(制御部)を設け、各情報処置装置が1つの機能を実行して、それぞれの機能を分担させてもよい。
【0043】
以下、有効光源を形成する(有効光源形状を規定する)照明光学系20について詳細に説明すると共に、制御部70によって実行される有効光源形状のデータベースを生成する生成方法について説明する。なお、本実施形態では、回折光学素子204及びフーリエ変換レンズ206を含むユニットを第1の光学ユニットOU1、照明形状変換部210を含むユニットを第2の光学ユニットOU2、ズーム光学系212を含むユニットを第3の光学ユニットOU3と称する。従って、第1の光学ユニットOU1は「第1の光強度分布」を形成し、第2の光学ユニットOU2は「第2の光強度分布」を形成し、第3の光学ユニットOU3は「瞳面分布」を形成する。絞り部材216によって不要光が遮光された瞳面分布が有効光源(有効光源形状)となる。有効光源形状は、被照明面における光の角度分布と同義である。
【0044】
第1の光学ユニットOU1、第2の光学ユニットOU2及び第3の光学ユニットOU3は、光源10からの光を所望の形状に変換し、ハエの目レンズ214に入射する光の光強度分布及び角度分布を所望の分布に制御する。これにより、有効光源形状が調整可能となる。
【0045】
例えば、図3に示すような輪帯形状の発光部を有する有効光源を形成する場合を考える。この場合、第2の光学ユニットOU2を構成する照明形状変換部210として、図4に示すように、入射側に凹形状の円錐面(又は平面)を有し、射出側に凸形状の円錐面を有するプリズム210Aを用いればよい。ここで、図3は、有効光源形状の一例(輪帯形状の有効光源)を示す図である。図4は、図3に示す有効光源形状を形成するための照明形状変換部210としてのプリズム210Aを示す図である。
【0046】
また、図5に示すような4重極形状の発光部を有する有効光源を形成する場合を考える。この場合、第2の光学ユニットOU2を構成する照明形状変換部210として、図6に示すように、入射側に凹形状の四角錐面(又は平面)を有し、射出側に凸形状の四角錐面を有するプリズム210Bを用いればよい。なお、プリズム210Bにおいて、入射側と射出側における四角錐面の稜線と光軸とがなす角度は等しくてもよいし、照明効率を向上させるために、入射側と射出側における四角錐面の稜線と光軸とがなす角度を異ならせてもよい。また、第1の光学ユニットOU1(回折光学素子204)によって形成される第1の光強度分布を4重極形状とし、入射側に凹形状の円錐面(又は平面)を有し、射出側に凸形状の円錐面を有するプリズムを照明形状変換部210として用いてもよい。ここで、図5は、有効光源形状の一例(4重極形状の有効光源)を示す図である。図6は、図5に示す有効光源形状を形成するための照明形状変換部210としてのプリズム210Bを示す図である。
【0047】
また、照明形状変換部210として、光軸方向に相対移動可能な一対のプリズムを用いれば、より多様な有効光源形状を形成することが可能となる。換言すれば、有効光源形状の形成自由度を向上させることができる。
【0048】
例えば、照明形状変換部210として、図7(a)及び(b)に示すように、光軸方向に相対移動可能な一対のプリズム210Ca及び210Cbを含む光学部材210Cを用いる場合を考える。なお、プリズム210Caは、入射側に凹形状の円錐面を有し、射出側に平面を有する。また、プリズム210Cbは、入射側に平面を有し、射出側に凸形状の円錐面を有する。ここで、図7(a)及び(b)は、照明形状変換部210として、一対のプリズム210Ca及び210Cbで構成される光学部材210Cを示す図である。
【0049】
光学部材210Cは、プリズム210Caとプリズム210Cbとの間隔が小さい場合(図7(a))には、図8(a)に示すように、発光部の幅が大きい(輪帯率が小さい)輪帯形状の有効光源を形成する。一方、光学部材210Cは、プリズム210Caとプリズム210Cbとの間隔が大きい場合(図7(b))には、図8(b)に示すように、発光部の幅が小さい(輪帯率が大きい)輪帯形状の有効光源を形成する。ここで、図8(a)及び(b)は、照明形状変換部210としての光学部材210Cによって形成される有効光源形状を示す図である。
【0050】
更に、第2の光学ユニットOU2を構成する照明形状変換部210と第3の光学ユニットOU3を構成するズーム光学系212とを組み合わせることで、輪帯率を維持したまま、有効光源形状の大きさを調整することが可能となる。例えば、輪帯形状の有効光源を形成する場合、第3の光学ユニットOU3のズーム光学系212を駆動することで、発光部の幅である輪帯形状の外径と内径の比(輪帯率)を調整することができる。この際、第1の光学ユニットOU1で円形形状の第1の光強度分布を形成し、第2の光学ユニットOU2で輪帯形状の第2の光強度分布を形成しているものとする。
【0051】
有効光源(有効光源形状)を表現する場合、一般的に、σ値が用いられる。なお、σ値は、照明光学系の開口数/投影光学系の開口数で表される。例えば、図9(a)に示される輪帯形状の有効光源では、σaを外σ、σbを内σと呼ぶことが多い。また、図9(b)に示される2重極形状の有効光源では、σaを外σ、σbを内σ、θ1を開口角と呼ぶことが多い。図9(a)及び(b)は、有効光源(有効光源形状)の表現について説明するための図である。
【0052】
露光装置1における結像は、部分コヒーレント結像である。換言すれば、露光装置1は、部分コヒーレント照明でレチクル30を照明して、レチクル30のパターンをウエハ50に投影する。部分コヒーレント照明をインコヒーレントな点光源に分割して、ウエハ50の上に形成される光学像(光強度分布)を算出する際には、アッベ(Abbe)の方法が用いられる。図10は、光源10の一点から射出する光がレチクル30(物体面)を通ってウエハ50(像面)の上に形成する光強度分布を模式的に示す図である。図11は、アッベの方法を用いた光学像の算出方法を模式的に示す図である。なお、アッベの方法は、光学シミュレーションで一般的に採用されているアルゴリズムであり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0053】
制御部70において光学像を算出する際には、レチクル30のパターン情報、投影光学系40に関する情報、照明光学系20によって形成される有効光源形状の情報などの入力情報を入力する必要がある。レチクル30のパターン情報とは、ウエハ50に転写される(即ち、露光対象となる)パターンの情報であり、一般的には、GDS形式で表される。レチクル30のパターン情報は、レチクル30のパターンデータであってもよいし、設計中のパターンデータであってもよい。また、投影光学系40に関する情報とは、投影光学系40の開口数(NA)などの光学シミュレーションにおいて必要となる投影光学系40のパラメータである。なお、厳密な光学像を算出するためには、投影光学系40に関する情報として、収差分布情報、瞳透過率分布情報、偏光光分布情報等の瞳関数を入力することが好ましい。
【0054】
制御部70では、レチクル30のパターンを実際にウエハ50に転写して解析する代わりに、光学シミュレーションを用いて光学像を評価することができる。そして、制御部70に入力されるレチクル30のパターン情報、投影光学系40に関する情報、照明光学系20によって形成される有効光源形状の情報などの露光条件を逐次変化させながら光学像を評価する。これにより、露光装置1に最適な露光条件を設定することが可能となる。
【0055】
露光条件に含まれる有効光源形状は、以下の(1)乃至(5)によって決定される。
(1)第1の光学ユニットOU1における回折光学素子204の選択
(2)第2の光学ユニットOU2における照明形状変換部210の選択及び照明形状変換部210に設定された条件
(3)第3の光学ユニットOU3におけるズーム光学系212に設定された条件
(4)絞り216の選択
(5)その他の要因
但し、その他の要因とは、例えば、回折光学素子204よりも後段の照明光学系20において、光源10からの光の通過経路によって局所的、且つ、非対称に発生する光強度分布などである。これは、照明光学系20を構成する光学素子の表面形状の歪みや屈折率の変化、反射防止膜の劣化、付着物による透過率の劣化などに起因し、装置毎に変わる要素である。
【0056】
図12(a)乃至(c)は、第1の光学ユニットOU1、第2の光学ユニットOU2、第3の光学ユニットOU3、ハエの目レンズ214及び絞り部材216による有効光源の形成を模式的に示す図である。有効光源形状は、上述したように、第1の光学ユニットOU1における回折光学素子204、第2の光学ユニットOU2における照明形状変換部210及び絞り部材216の選択に依存する。図12(a)乃至(c)では、第1の光学ユニットOU1を構成する回折光学素子204として、輪帯形状の有効光源を形成するための回折光学素子を用いている。第2の光学ユニットOU2を構成する照明形状変換部210として、一対のプリズム210Ca及び210Cbを含む光学部材210Cを用いている。また、照明形状変換部210に設定された条件、本実施形態では、光学部材210Cにおけるプリズム210Caとプリズム210Cbとの距離(の設定量)によって、図12(a)乃至(c)に示すように、輪帯形状の有効光源の輪帯率を調整することができる。同様に、ズーム光学系212に設定された条件、即ち、ズームレンズ間の距離(の設定量)によって、図12(a)乃至(c)に示すように、輪帯形状の有効光源の大きさを調整することができる。
【0057】
光学部材210Cを構成するプリズム210Ca及び210Cb、ズーム光学系212を構成するズームレンズは、図示しないパルスモータによって駆動される。また、プリズム210Caとプリズム210Cbとの距離やズームレンズ間の距離は、制御部70において、パルス信号数で制御されている。プリズム210Ca及び210Cbやズーム光学系212を構成するズームレンズの駆動範囲は装置毎に異なり、例えば、プリズム210Ca及び210Cbの駆動範囲は0乃至1000パルス、ズームレンズの駆動範囲は0乃至2000パルスなどと規定されている。従って、光学部材210C及びズーム光学系212のみを考えると、条件の組み合わせによって、1000×2000=200万通りの輪帯形状の有効光源を形成することができる。但し、照明光学系20に設定可能な条件は、プリズム210Caとプリズム210Cbとの距離やズームレンズ間の距離に限定されず、有効光源の形成に関連する複数の設定条件を含む。
【0058】
有効光源形状は、図13に示すように、第1の光学ユニットOU1、第2の光学ユニットOU2及び第3の光学ユニットOU3によって形成された照明形状に対して、絞り部材216の開口形状を重ね合わせることで導出される。図13は、第1の光学ユニットOU1、第2の光学ユニットOU2及び第3の光学ユニットOU3によって形成された照明形状及び絞り部材216の開口形状から導出される有効光源形状を説明するための図である。
【0059】
絞り部材216としては、図14(a)に示すような迷光を遮光するための可変絞りだけではなく、図14(b)に示すような2重極形状の有効光源を形成するための絞りを用いることができる。また、図14(c)に示すような位相板を用いることで、有効光源における偏光状態を制御することも可能である。この場合、有効光源形状は、偏光状態も含むことになる。図14(a)乃至(c)は、絞り部材216の構成を示す図である。なお、図14(c)における矢印は各位相板における進相軸を示している。
【0060】
ここで、露光装置1において照明光学系20に形成される有効光源形状のデータベース化について説明する。
【0061】
有効光源形状をデータベース化するための方法として、照明光学系20の情報(回折光学素子204の選択や照明光学系20に設定可能な複数の条件)に基づく光線追跡の結果を用いる方法がある。
【0062】
具体的には、図15に示すように、回折光学素子204を含む第1の光学ユニットOU1によって形成される第1の光強度分布を有限領域の画素に分割する。そして、各画素に点光源が存在すると仮定し、かかる点光源からの光が第2の光学ユニットOU2及び第3の光学ユニットOU3をどのように通過するかを求める光線追跡を行うことで、第1の光強度分布が形成する有効光源(有効光源形状)を得ることができる。なお、光線追跡は、基本的には、第1の光強度分布における画素の分割数と照明光学系20に設定可能な設定条件との積の数だけ必要である。例えば、本実施形態において、第1の光強度分布における画素の分割数を64×64とすると、4096×1000×2000回の光線追跡が必要となる。但し、照明光学系20の設計の対称性等を考慮すれば、全ての画素に対して光線追跡を行う必要はなく、光線追跡の効率化を図ることが可能である。ここで、図15は、有効光源形状をデータベース化する際に用いられる光線追跡を説明するための図である。
【0063】
このような光線追跡を照明光学系20に設定可能な複数の条件のそれぞれに対して行うことで、複数の条件に対応する有効光源形状を求めることができ、図16に示すように、露光装置1において形成される有効光源形状をデータベース化することができる。図16は、第2の光学ユニットOU2に設定可能な条件をP2とし、第3の光学ユニットOU3における設定可能なZ3とした場合の有効光源形状のデータベースを示す図である。ここで、条件P2は、光学部材210Cにおけるプリズム210Caとプリズム210Cbとの距離(の設定値)をパルス数で表し、条件Z3は、ズーム光学系212におけるズームレンズ間の距離(の設定値)をパルス数で表している。なお、図16では、有効光源形状は、BMP形式で可視化されているが、例えば、上述したσ値などを用いて有効光源形状を表現してもよい。
【0064】
図16に示す有効光源形状のデータベースは、照明光学系20に設定された条件(理想値又は設計値)に基づいて生成されている。但し、露光装置1において実際に形成される有効光源形状は、上述したように、その他の要因や設定された条件に含まれる誤差(例えば、光学素子の製造誤差や駆動誤差)によって、図16に示すデータベースの有効光源形状と異なっている。
【0065】
照明光学系20に実際に形成される有効光源形状のデータベースを生成するために、照明光学系20に設定可能な複数の条件の全てを設定して有効光源形状を計測し、かかる計測結果に基づいて有効光源形状のデータベースを生成することは現実的ではない。
【0066】
例えば、輪帯形状の有効光源のデータベースを生成する場合には、絞り部材216による光の絞り量が最も少ない状態で、第2の光学ユニットOU2及び第3の光学ユニットOU3における各条件に対応する有効光源形状を計測することが必要となる。この際、プリズム210Caとプリズム210Cbとの距離の設定値やズーム光学系212のズームレンズ間の距離を連続的に変更しながら(即ち、微少量駆動しながら)有効光源形状の計測を繰り返さなければならない。更に、有効光源形状の計測は、選択可能な回折光学素子204の数と照明光学系20に設定可能な条件の数との積だけ必要となってしまう。
【0067】
そこで、本実施形態では、光線追跡の結果を用いる方法と有効光源形状を計測する方法とを併用して、照明光学系20に実際に形成される有効光源形状に近い有効光源形状のデータベースを生成する。
【0068】
図17は、露光装置1おいて照明光学系20に形成される有効光源形状のデータベースを生成する生成方法(データベース生成処理)を説明するためのフローチャートである。
【0069】
ステップS1002において、照明光学系20に設定可能な複数の条件を変更しながら有効光源形状を算出して、照明光学系20に設定可能な複数の条件のそれぞれに対応する有効光源形状を表す初期データベースを生成する。具体的には、上述した光線追跡などを用いて、照明光学系20に設定可能な複数の条件のそれぞれに対応する有効光源形状を求めてデータベース化する。これにより、初期データベースとして、図16に示すようなデータベースが得られる。但し、照明光学系20に設定される条件に基づいて算出される有効光源形状の初期データベースは、予め(或いは、別途)生成していてもよい。
【0070】
次いで、ステップS1004において、照明光学系20に設定可能な複数の条件のうち任意の条件を照明光学系20に実際に設定して有効光源形状を計測する。具体的には、例えば、第2の光学ユニットOU2における条件としてP2=990、第3の光学ユニットOU3における条件としてZ3=1990を照明光学系20に設定し、検出部60を用いて有効光源形状を計測する。
【0071】
次に、ステップS1006において、ステップS1002で生成された初期データベースにおける有効光源形状とステップS1004で計測した有効光源形状とを比較する。そして、ステップS1002で生成された初期データベースにおける有効光源形状とステップS1004で計測した有効光源形状との残差量を算出する。具体的には、図16に示すデータベースに含まれる有効光源形状のうち第2の光学ユニットOU2に設定された条件P2=990、第3の光学ユニットOU3に設定された条件Z3=1990に対応する有効光源形状と計測した有効光源形状とを比較する。この際、例えば、有効光源形状に相当する光強度の面積積分の値を双方であわせるような規格化処理を行う。そして、2次元の光強度の差を算出することで、第2の光学ユニットOU2に設定された条件P2=990、第3の光学ユニットOU3に設定された条件Z3=1990に対応する有効光源形状の残差量を算出することができる。
【0072】
次いで、ステップS1008において、ステップS1006で算出された残差量に基づいて、照明光学系20に設定可能な複数の条件に関する残差関数(即ち、照明光学系20に設定可能な複数の条件の全てに対する残差量)を算出する。具体的には、残差量を、例えば、以下の数式1に示すように、第2の光学ユニットOU2における条件P2及び第3の光学ユニットOU3における条件Z3の多項式関数Iijとして表すことで、残差関数を算出する。なお、残差関数を高精度に算出するためには、ステップS1004において、照明光学系20に設定可能な複数の条件のうち少なくとも2つの条件を照明光学系20に実際に設定して、かかる条件に対応する有効光源形状を計測した結果を用いることが好ましい。
【0073】
【数1】

【0074】
但し、i、jは、有効光源を格子状に分割した場合のx方向i番目、y方向j番目を表す。
【0075】
また、残差関数は、以下に示すように、Zernike多項式などの直交関数として算出することができる。
z1=1
z2=ρcosθ
z3=ρsinθ
z4=−1+2ρ
z5=ρcos2θ
z6=ρsin2θ
z7=ρ(−2+3ρ)cosθ
z8=ρ(−2+3ρ)sinθ
z9=1−6ρ+6ρ
z10=ρcos3θ
z11=ρsin3θ
z12=ρ(−3+4ρ)cos2θ
z13=ρ(−3+4ρ)sin2θ
z14=ρ(3−12ρ+10ρ)cosθ
z15=ρ(3−12ρ+10ρ)sinθ
z16=−1+12ρ−30ρ+20ρ
z17=ρcos4θ
z18=ρsin4θ
z19=ρ(−4+5ρ)cos3θ
z20=ρ(−4+5ρ)sin3θ
z21=ρ(6−20ρ+15ρ)cos2θ
z22=ρ(6−20ρ+15ρ)sin2θ
z23=ρ(−4+30ρ−60ρ+35ρ)cosθ
z24=ρ(−4+30ρ−60ρ+35ρ)sinθ
z25=1−20ρ+90ρ−140ρ+70ρ
z26=ρcos5θ
z27=ρsin5θ
z28=ρ(−5+6ρ)cos4θ
z29=ρ(−5+6ρ)sin4θ
z30=ρ(10−30ρ+21ρ)cos3θ
z31=ρ(10−30ρ+21ρ)sin3θ
z32=ρ(−10+60ρ−105ρ+56ρ)cos2θ
z33=ρ(−10+60ρ−105ρ+56ρ)sin2θ
z34=ρ(5−60ρ+210ρ−280ρ+126ρ)cosθ
z35=ρ(5−60ρ+210ρ−280ρ+126ρ)sinθ
z36=−1+30ρ−210ρ+560ρ−630ρ+252ρ10
次に、ステップS1010において、ステップS1008で算出された残差関数を用いて、ステップS1002で生成された初期データベースに含まれる有効光源形状を補正して実データベースとする。これにより、実際の有効光源形状を計測する回数を大幅に削減しながら、実際に形成される有効光源形状に近い有効光源形状のデータベースを生成することができる。
【0076】
なお、ステップS1006で算出される残差量は、第2の光学ユニットOU2における条件P2=990、第3の光学ユニットOU3における条件Z3=1990付近の条件では一定とみなすこともできる。従って、ステップS1004で実際に照明光学系20に設定した条件付近に対応する有効光源形状のみのデータベースが必要である場合には、残差関数を算出することなく、残差量を用いて有効光源形状を補正して実データベースとしてもよい。
【0077】
また、本実施形態では、残差量又は残差関数を有効光源形状に相当する光強度の差としている。但し、残差量又は残差関数は、図18(a)に示すように、輪帯形状の有効光源における光強度のピークσ値(a値)及びピークσ値の1/3以上の光強度を有するσ値の範囲(b値)を用いてもよい。
【0078】
図18(b)は、第2の光学ユニットOU2における条件P2を一定とし、第3の光学ユニットOU3における条件Z3を0乃至2000パルスまで変化させた場合のa値及びb値を示すグラフである。換言すれば、図18(b)は、輪帯形状の有効光源の輪帯率を固定しながら、有効光源の大きさを変化させた場合に、有効光源形状が変化する様子を示している。なお、図18(b)は、照明光学系20に設定される条件に基づいて有効光源形状を算出した結果である。
【0079】
図18(b)を参照するに、輪帯率を変える条件であるP2が一定であるにもかかわらず、b値は一定値になっていない。これは、照明光学系20に設定可能な複数の条件に対して、有効光源形状が連続的に変化することを示している。
【0080】
第3の光学ユニットOU3に任意の条件を設定して実際の有効光源形状を計測し、かかる有効光源形状における光強度のピークσ値(a’値)及びピークσ値の1/3以上の光強度を有するσ値の範囲(b’値)を抽出する。そして、ピークσ値の残差量Δa(a値−a’値)及びピークσ値の1/3以上の光強度を有するσ値の範囲の残差量Δb(b値−b’値)を算出する。そして、残差量Δa及びΔbを用いて、図18(b)に示すグラフのa値及びb値を補正して実データベースとすることによって、実際に形成される有効光源形状に近い有効光源形状のデータベースを生成することができる。なお、残差量Δa及びΔbは、第2の光学ユニットOU2における条件P2及び第3の光学ユニットOU3における条件Z3の関数(残差関数)として表すこともできる。ここでは、σの大きさを光強度のピークを示す場所に設定し、σの広がりをピークの1/3の強度の場所に設定したが、σの大きさと広がりの定義はこれに限定されない。また、光強度をσの大きさの指標にしたが、光強度分布を半径方向に積分した面積積分値をσの大きさの指標にしてもよい。
【0081】
このように、本実施形態によれば、実際に形成される有効光源形状に近い有効光源形状のデータベースを容易に生成することが可能であり、かかるデータベースを用いることでリソグラフィーシミュレータにおける計算精度を向上させることができる。
【0082】
具体的には、制御部70において光学像を算出する際に、本実施形態で生成されたデータベースに含まれる有効光源形状を入力情報として入力すれば、ウエハ50の上に形成される実際の光学像を高精度に算出することができる。また、有効光源形状やその他の露光条件を変化させながら光学像の算出を繰り返して有効光源形状を含む露光条件を設定する際に、本実施形態で生成されたデータベースにおける有効光源形状を入力情報として入力する。これにより、従来よりも高精度に露光条件を最適化(設定)することが可能となる。
【0083】
露光において、光源10から発せられた光束は、照明光学系20によりレチクル30を照明する。レチクル30を通過して回路パターンを反映する光束は、投影光学系40により、ウエハ50に結像される。露光装置1は、上述したように、従来よりも高精度に露光条件を最適化することが可能であり、高いスループットで経済性よくデバイス(半導体素子、LCD素子、撮像素子(CCDなど)、薄膜磁気ヘッドなど)を提供することができる。
【0084】
なお、本実施形態における有効光源形状のデータベースの生成方法(データベース生成)は、同じ機種の露光装置の間において、機差の影響を除去して実際に形成される有効光源形状に近い有効光源形状のデータベースを容易に生成することを可能とする。
【0085】
例えば、第1の露光装置で用いられていた有効光源形状のデータベースを用いて第2の露光装置において照明光学系に形成される有効光源形状のデータベースを生成する場合を考える。但し、第1の露光装置及び第2の露光装置は、同じ機種であり、照明光学系に設定可能な条件も同じであるものとする。
【0086】
まず、第1の露光装置の照明光学系に設定可能な複数の条件のそれぞれに対応する有効光源形状を表すデータベースを初期データベースとして取得する。
【0087】
次に、第2の露光装置に設定可能な複数の条件のうち任意の条件を第2の露光装置の照明光学系に実際に設定して有効光源形状を計測する。
【0088】
次いで、初期データベースに含まれる有効光源形状と計測した有効光源形状とに基づいて、複数の条件のそれぞれを第2の露光装置の照明光学系に実際に設定した場合の有効光源形状と初期データベースに含まれる有効光源形状との残差量を算出する。
【0089】
そして、算出された残差量を用いて初期データベースに含まれる有効光源形状を補正して実データベースとする。
【0090】
このように、上述した生成方法によれば、第1の露光装置で用いられていた有効光源形状のデータベースを初期データベースとして用いながらも、第1の露光装置と第2の露光装置との間の機差の影響による有効光源形状の差異を除去することが可能となる。従って、第2の露光装置において照明光学系に実際に形成される有効光源形状に近い有効光源形状のデータベースを容易に生成することができる。
【0091】
次に、図19及び図20を参照して、露光装置1、或いは、露光装置1で実行可能な露光方法を利用したデバイス製造方法の実施例を説明する。図19は、デバイス(ICやLSIなどの半導体チップ、LCD、CCD等)の製造を説明するためのフローチャートである。ここでは、半導体チップの製造を例に説明する。ステップ1(回路設計)では、デバイスの回路設計を行う。ステップ2(レチクル製作)では、設計した回路パターンを形成したレチクルを製作する。ステップ3(ウエハ製造)では、シリコンなどの材料を用いてウエハを製造する。ステップ4(ウエハプロセス)は、前工程と呼ばれ、レチクルとウエハを用いてリソグラフィー技術によってウエハ上に実際の回路を形成する。ステップ5(組み立て)は、後工程と呼ばれ、ステップ4によって作成されたウエハを用いて半導体チップ化する工程であり、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)、パッケージング工程(チップ封入)等の工程を含む。ステップ6(検査)では、ステップ5で作成された半導体デバイスの動作確認テスト、耐久性テストなどの検査を行う。こうした工程を経て半導体デバイスが完成し、これが出荷(ステップ7)される。
【0092】
図20は、ステップ4のウエハプロセスの詳細なフローチャートである。ステップ11(酸化)では、ウエハの表面を酸化させる。ステップ12(CVD)では、ウエハの表面に絶縁膜を形成する。ステップ13(電極形成)では、ウエハ上に電極を蒸着などによって形成する。ステップ14(イオン打ち込み)では、ウエハにイオンを打ち込む。ステップ15(レジスト処理)では、ウエハに感光剤を塗布する。ステップ16(露光)では、露光装置1、或いは、露光装置1で実行可能な露光方法によってレチクルの回路パターンをウエハに露光する。ステップ17(現像)では、露光したウエハを現像する。ステップ18(エッチング)では、現像したレジスト像以外の部分を削り取る。ステップ19(レジスト剥離)では、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。これらのステップを繰り返し行うことによってウエハ上に多重の回路パターンが形成される。かかるデバイス製造方法によれば、従来よりも高品位のデバイスを製造することができる。このように、露光装置1、或いは、露光装置1で実行可能な露光方法を使用するデバイス製造方法、並びに結果物としてのデバイスも本発明の一側面を構成する。
【0093】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】露光装置の構成を示す概略断面図である。
【図2】図1に示す露光装置の制御部の構成を示す図である。
【図3】有効光源形状の一例(輪帯形状の有効光源)を示す図である。
【図4】図3に示す有効光源形状を形成するための照明形状変換部としてのプリズムを示す図である。
【図5】有効光源形状の一例(4重極形状の有効光源)を示す図である。
【図6】図5に示す有効光源形状を形成するための照明形状変換部としてのプリズムを示す図である。
【図7】照明形状変換部として、一対のプリズムで構成される光学部材を示す図である。
【図8】図7に示す光学部材によって形成される有効光源形状を示す図である。
【図9】有効光源(有効光源形状)の表現について説明するための図である。
【図10】光源の一点から射出する光がレチクル(物体面)を通ってウエハ(像面)の上に形成する光強度分布を模式的に示す図である。
【図11】アッベ(Abbe)の方法を用いた光学像の算出方法を模式的に示す図である。
【図12】第1の光学ユニット、第2の光学ユニット、第3の光学ユニット、ハエの目レンズ及び絞り部材による有効光源の形成を模式的に示す図である。
【図13】第1の光学ユニット、第2の光学ユニット及び第3の光学ユニットによって形成された照明形状及び絞り部材の開口形状から導出される有効光源形状を説明するための図である。
【図14】絞り部材の構成を示す図である。
【図15】有効光源形状をデータベース化する際に用いられる光線追跡を説明するための図である。
【図16】有効光源形状のデータベースを示す図である。
【図17】図1に示す露光装置における照明光学系に形成される有効光源形状のデータベースを生成する生成方法を説明するためのフローチャートである。
【図18】図17に示すステップS1006で算出される残差量及びステップS1008で算出される残差関数の別の例を説明するための図である。
【図19】デバイスの製造を説明するためのフローチャートである。
【図20】図19に示すステップ4のウエハプロセスの詳細なフローチャートである。
【符号の説明】
【0095】
1 露光装置
10 光源
20 照明光学系
204 回折光学素子
206 フーリエ変換レンズ
210 照明形状変換部
210A及び210B プリズム
210C 光学部材
210Ca及び210Cb プリズム
212 ズーム光学系
216 絞り部材
30 レチクル
35 レチクルステージ
40 投影光学系
50 ウエハ
55 ウエハステージ
60 検出部
70 制御部
71 CPU
72 メモリ
72a プログラム
73 入力部
74 出力部
75 記憶部
OU1 第1の光学ユニット
OU2 第2の光学ユニット
OU3 第3の光学ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの光を用いて原版を照明する照明光学系と、前記原版のパターンを基板に投影する投影光学系とを備える露光装置において前記照明光学系に形成される有効光源形状のデータベースを生成する生成方法であって、
前記照明光学系に設定可能な複数の条件を変更しながら有効光源形状を算出し、前記複数の条件のそれぞれに対応する前記有効光源形状を表す初期データベースを生成する生成ステップと、
前記複数の条件のうち任意の条件を前記照明光学系に設定して有効光源形状を計測する計測ステップと、
前記計測ステップで計測された有効光源形状と前記生成ステップで生成された初期データベースに含まれる前記任意の条件に対応する有効光源形状とに基づいて、前記複数の条件のそれぞれを前記照明光学系に設定した場合の有効光源形状と前記データベースに含まれる有効光源形状との残差量を算出する算出ステップと、
前記算出ステップで算出された残差量を用いて前記初期データベースに含まれる有効光源形状を補正して実データベースとする補正ステップと、
を有することを特徴とする生成方法。
【請求項2】
前記算出ステップでは、前記残差量を直交関数として算出することを特徴とする請求項1に記載の生成方法。
【請求項3】
前記計測ステップでは、前記複数の条件のうち少なくとも2つの条件を前記照明光学系に設定して、前記少なくとも2つの条件のそれぞれに対応する有効光源形状を計測することを特徴とする請求項1に記載の生成方法。
【請求項4】
光源からの光を用いて原版を照明する照明光学系と、前記原版のパターンを基板に投影する投影光学系とを備える第1の露光装置及び第2の露光装置のうち前記第2の露光装置において照明光学系に形成される有効光源形状のデータベースを生成する生成方法であって、
前記第1の露光装置の照明光学系に設定可能な複数の条件のそれぞれに対応する有効光源形状を表すデータベースを初期データベースとして取得する取得ステップと、
前記第2の露光装置の照明光学系に設定可能な複数の条件のうち任意の条件を前記第2の露光装置の前記照明光学系に設定して有効光源形状を計測する計測ステップと、
前記計測ステップで計測された有効光源形状と前記取得ステップで取得された初期データベースに含まれる前記任意の条件に対応する有効光源形状とに基づいて、前記複数の条件のそれぞれを前記第2の露光装置の照明光学系に設定した場合の有効光源形状と前記データベースに含まれる有効光源形状との残差量を算出する算出ステップと、
前記算出ステップで算出された残差量を用いて前記初期データベースに含まれる有効光源形状を補正して実データベースとする補正ステップと、
を有することを特徴とする生成方法。
【請求項5】
光源からの光を用いて原版を照明する照明光学系と、前記原版のパターンを基板に投影する投影光学系とを備える露光装置において前記基板の上に形成される光学像を算出する算出方法であって、
前記照明光学系に形成される有効光源形状のデータベースを生成するデータベース生成ステップと、
前記データベース生成ステップで生成されたデータベースに含まれる有効光源形状、前記原版のパターン及び前記投影光学系に関する情報を入力情報とし、前記入力情報に基づいて前記基板の上に形成される光学像を算出する算出ステップと、
を有し、
前記データベース生成ステップは、
前記照明光学系に設定可能な複数の条件を変更しながら有効光源形状を算出し、前記複数の条件のそれぞれに対応する前記有効光源形状を表す初期データベースを生成する生成ステップと、
前記複数の条件のうち任意の条件を前記照明光学系に設定して有効光源形状を計測する計測ステップと、
前記計測ステップで計測された有効光源形状と前記生成ステップで生成された初期データベースに含まれる前記任意の条件に対応する有効光源形状とに基づいて、前記複数の条件のそれぞれを前記照明光学系に設定した場合の有効光源形状と前記データベースに含まれる有効光源形状との残差量を算出する算出ステップと、
前記算出ステップで算出された残差量を用いて前記初期データベースに含まれる有効光源形状を補正して実データベースとする補正ステップと、
を含むことを特徴とする算出方法。
【請求項6】
光源からの光を用いて原版を照明する照明光学系と、前記原版のパターンを基板に投影する投影光学系とを備える露光装置において前記基板の上に形成される光学像をコンピュータに算出させるプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記照明光学系に形成される有効光源形状のデータベースを生成するデータベース生成ステップと、
前記データベース生成ステップで生成されたデータベースに含まれる有効光源形状、前記原版のパターン及び前記投影光学系に関する情報を入力情報とし、前記入力情報に基づいて前記基板の上に形成される光学像を算出する算出ステップと、
を実行させ、
前記データベース生成ステップは、
前記照明光学系に設定可能な複数の条件を変更しながら有効光源形状を算出し、前記複数の条件のそれぞれに対応する前記有効光源形状を表す初期データベースを生成する生成ステップと、
前記複数の条件のうち任意の条件を前記照明光学系に設定して有効光源形状を計測する計測ステップと、
前記計測ステップで計測された有効光源形状と前記生成ステップで生成された初期データベースに含まれる前記任意の条件に対応する有効光源形状とに基づいて、前記複数の条件のそれぞれを前記照明光学系に設定した場合の有効光源形状と前記データベースに含まれる有効光源形状との残差量を算出する算出ステップと、
前記算出ステップで算出された残差量を用いて前記初期データベースに含まれる有効光源形状を補正して実データベースとする補正ステップと、
を含むことを特徴とするプログラム。
【請求項7】
光源からの光を用いて原版を照明する照明光学系と、前記原版のパターンを基板に投影する投影光学系とを備える露光装置における露光方法であって、
前記照明光学系に形成される有効光源形状のデータベースを生成するデータベース生成ステップと、
前記データベース生成ステップで生成されたデータベースに含まれる有効光源形状、前記原版のパターン及び前記投影光学系に関する情報を入力情報とし、前記入力情報に基づいて前記基板の上に形成される光学像を算出する算出ステップと、
前記算出ステップで算出された光学像の評価に基づいて、前記露光装置の露光条件を設定する設定ステップと、
前記設定ステップで設定された露光条件で前記原版を照明する照明ステップと、
前記照明ステップで照明された原版のパターンの像を前記投影光学系を介して前記基板に投影する投影ステップと、
を有し、
前記データベース生成ステップは、
前記照明光学系に設定可能な複数の条件を変更しながら有効光源形状を算出し、前記複数の条件のそれぞれに対応する前記有効光源形状を表す初期データベースを生成する生成ステップと、
前記複数の条件のうち任意の条件を前記照明光学系に設定して有効光源形状を計測する計測ステップと、
前記計測ステップで計測された有効光源形状と前記生成ステップで生成された初期データベースに含まれる前記任意の条件に対応する有効光源形状とに基づいて、前記複数の条件のそれぞれを前記照明光学系に設定した場合の有効光源形状と前記データベースに含まれる有効光源形状との残差量を算出する算出ステップと、
前記算出ステップで算出された残差量を用いて前記初期データベースに含まれる有効光源形状を補正して実データベースとする補正ステップと、
を含むことを特徴とする露光方法。
【請求項8】
請求項7に記載の露光方法を用いて基板を露光するステップと、
露光された前記基板を現像するステップと、
を有することを特徴とするデバイス製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図14】
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【図15】
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【図17】
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【図19】
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【図20】
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【図13】
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【図16】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−194107(P2009−194107A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−32348(P2008−32348)
【出願日】平成20年2月13日(2008.2.13)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】