有効成分の制御送達のためのOROSプッシュ−スティック
製薬学的有効成分およびその製薬学的に許容できる塩を含んでなりかつ長時間にわたり侵食可能な固体として放出するように適合された持続放出投薬形態物が提供され、該投薬形態物は即時放出薬物コーティングの使用を伴わずに製薬学的有効成分の突発放出を提供する。該投薬形態物は、高用量の乏しく溶解性若しくはゆっくりと溶解する有効成分を制御された速度で送達することが可能である。ヒト患者における疾患若しくは状態を処置するための該投薬形態物の使用方法もまた開示される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般に、製薬学的剤を投与するための固体の投薬形態物、該投薬形態物の製造方法、およびそれの必要な患者への治療薬の提供方法などに関する。
【背景技術】
【0002】
非オピオイド鎮痛薬およびオピオイド鎮痛薬のような鎮痛薬を送達するための制御放出投薬形態物は当該技術分野で既知である。オピオイド鎮痛薬のような比較的溶解性の薬物、およびある種の非オピオイド鎮痛薬のような比較的不溶性の薬物の送達を提供する組合せ生成物は、製造することがより困難であるが、しかしながら数種の投薬形態物の製造法が報告されている。例えば、特許文献1は、アセトアミノフェン若しくはイブプロフェンのような非オピオイド鎮痛薬とともにヒドロモルホン若しくはモルヒネのようなオピオイド鎮痛薬、ならびに、二層の内壁および外壁を横切る浸透圧勾配を表してそれにより液体を薬物区画中に吸収して投薬形態物から通路を通って流体力学的にかつ浸透圧で送達される薬物を含んでなる溶液若しくは懸濁液を形成する、製薬学的に許容できるポリマーヒドロゲル(マルトデキストリン、ポリアルキレンオキシド、ポリエチレンオキシド、カルボキシアルキルセルロース)を送達するための投薬形態物を開示する。この特許は、投薬形態物中への水の流動の調節および制御における内壁の重要性、孔形成剤が内壁から溶出される際の時間にわたるその調節、および送達時間の後刻に浸透圧駆動力の喪失について補償するその能力を記述している。該特許はまた、2mgないし8mgの用量を0から18時間まで、および0〜2mgを18〜24時間からの間投与することによる、単位用量のオピオイド鎮痛薬の投与方法も開示する。しかしながら、記述される投薬形態物は18ないし24時間にわたってオピオイドおよび非オピオイド鎮痛薬を送達するため、該投薬形態物は1日2回投与でなく1日1回投与に適しておりかつそのために意図している。
【0003】
高範囲の1日投薬は、投薬形態物の薬物組成物中の薬物装填量が該組成物の総重量の約20%ないし90%若しくはそれ以上であることを必要としうる。こうした装填量の要件は、経口投与に適しかつ過度の困難を伴わずに嚥下され得る組成物の処方および投薬形態物の二次加工における問題を提示する。高薬物装填量は、必要とされる大きな単位投薬形態物のため、1日1回若しくは2回投薬のような1日あたりの制限された投薬回数投与されるべきである投薬形態物を処方する場合に、なおより大きな問題さえ提示する。
【0004】
特許文献2は、壁により形成される区画から薬物層を押す膨張可能な素材の層を含有する半透性壁を包含する、使用の環境に有益な剤を送達するためのディスペンサーを記述する。該薬物層は担体中に分配された別個の小型の丸剤を含有する。該装置中の出口オリフィスは、該壁により形成される区画の内径と実質的に同一の直径である。
【0005】
高薬物装填量を伴う応用に関して意図されている有用性を有する多様な装置および方法が記述されている。例えば、Theeuwesへの特許文献3および4は、壁により形成される区画から薬物層を押す膨張可能な素材の層を含有する区画を規定する半透性壁を包含する、使用の環境に有益な剤を送達するためのディスペンサーを記述する。該装置中の出口オリフィスは、該壁により形成される区画の内径と実質的に同一の直径である。
【0006】
特許文献5は、反芻動物の第一胃網状嚢(rumen−reticular sac)に装置を保持するのに十分な密度を装置に与える付加的な要素と一緒に、イオノフォアおよび担体を含有する組成物ならびに膨張可能な親水性の層が配置されている半透性ハウジングを包含する、家畜にイオノフォアを送達するための装置を記述する。イオノフォアおよび担体は貯蔵の間乾燥状態で存在し、そして、該組成物は、それが使用の液体環境と接
触する場合に分配可能な液体様の状態に変化する。拡散および浸透圧ポンプ作用により単位時間あたりに放出される薬物の量を制御するための、装置の端の複数の孔および変動する直径の単一の出口を包含する、多数の異なる出口配置が記述されている。
【0007】
薬物組成物がスラリー、懸濁液若しくは溶液として膨張可能な層の作用により小型の出口オリフィスから送達される他の装置が、特許文献6、特許文献7;特許文献8;特許文献9;特許文献10;特許文献11;特許文献12;特許文献13;および特許文献14に記述されている。典型的な装置は、半透膜により囲まれた膨張可能な押し層および薬物層を包含する。ある例において、薬物層は、使用の環境への薬物組成物の放出を遅らせる、若しくは半透膜とともにアニールコーティング(anneald coating)を形成するように、酸性のpHを有する胃腸管の部分で薬物組成物を保護するための下塗りを提供される。しかしながら、こうした装置は一般に、大量の薬物をスラリー、懸濁液若しくは溶液に適合させるのに必要な大きさの要件、およびそれが飲み込まれ得るように便宜的に大きさ設定された経口の投薬形態物を有することの必要性により、高薬物装填量のための投薬形態物として十分に適しない。
【0008】
高薬物装填量の場合、該薬物層が非液体状態で分配され得るように、薬物区画の内径の約50%〜100%からの大型オリフィスが分配装置に提供されることがしばしば好ましい。使用の環境に露出される場合に、薬物が侵食および拡散により薬物層から放出される。
【0009】
付加的な米国特許がイブプロフェンを含有する製剤を記述している。特許文献15は、口腔への有益な剤の制御送達のための浸透圧装置を記述する。該有益な剤はイブプロフェンを包含する。特許文献16は、鎮痛薬が非イオン性界面活性剤とともにPEOおよびPVPを包含する薬物層中に処方されている二層錠中のイブプロフェンおよび他の非あへん剤鎮痛薬を記述する。特許文献17はイブプロフェンのような有益な剤を制御された速度で送達するための浸透圧装置を記述する。特許文献18は、一層中のHPCおよび第二の層中のHPMCの二層組成物を記述し、ここでイブプロフェンは双方の層中に存在する。実施例は、11時間、12時間および24時間にわたる放出速度を開示する。
【0010】
従って、即時放出および持続放出のそれぞれの部分で放出される薬物の量ならびに放出の各様式で提供される速度および送達プロファイルの制御を包含する、即時放出ならびに長時間にわたる持続放出により送達される薬物の量の制御を提供する薬物送達のための新規方法および投薬形態物に対する当該技術分野における必要性が存在する。
【特許文献1】米国特許第6,245,357号
【特許文献2】Wongへの米国特許第4,915,949号
【特許文献3】米国特許第4,892,778号
【特許文献4】米国特許第4,940,465号
【特許文献5】Ayerへの米国特許第5,126,142号
【特許文献6】米国特許第5,660,861号
【特許文献7】米国特許第5,633,011号
【特許文献8】米国特許第5,190,765号
【特許文献9】米国特許第5,252,338号
【特許文献10】米国特許第5,620,705号
【特許文献11】米国特許第4,931,285号
【特許文献12】米国特許第5,006,346号
【特許文献13】米国特許第5,024,842号
【特許文献14】米国特許第5,160,743号
【特許文献15】米国特許第5,021,053号
【特許文献16】米国特許第6,284,274号
【特許文献17】米国特許第4,783,337号
【特許文献18】米国特許第4,786,503号
【発明の開示】
【0011】
[発明の要約]
従って、突発放出機構(burst release mechanism)ならびに長時間にわたる持続放出を提供する持続放出投薬形態物を使用する薬物送達のための新規方法および投薬形態物を提供することにより、当該技術分野における前述の必要性を取り扱うことが、本発明の一主目的である。
【0012】
1)持続放出成分および2)即時放出成分を含んでなる、製薬学的有効成分の必要な患者に製薬学的有効成分を送達するための持続放出投薬形態物が提供され、該即時放出成分は即時放出薬物コーティングでない。好ましくは、持続放出成分および即時放出成分の双方が、侵食可能な固体として放出するよう適合されている。好ましい一態様において、持続放出成分および即時放出成分の双方が単一の機構で提供される。ある態様において、持続放出成分は有効成分の漸増する放出速度を提供する。なお他の態様において、持続放出成分は有効成分の0次の放出速度を提供する。
【0013】
該持続放出投薬形態物は、水中で低溶解性を有する製薬学的有効成分とともにの使用にとりわけ有用である。ある態様において、該製薬学的有効成分は25℃で10mg/ml未満の水中での溶解度を有する。好ましい有効成分の一分類は非ステロイド性抗炎症薬を包含するが、しかし、例えば、これらの有効成分と組合せうる付加的な有効成分、および抗生物質若しくは抗てんかん薬のような他の有効成分もまた包含する。
【0014】
好ましい態様において、製薬学的有効成分は侵食可能な固体中に高薬物装填量で存在する。特定の態様において、高薬物装填量は約60%から約95重量%までである。他の態様において、高薬物装填量は約70%から約90重量%、若しくは約75%から約85重量%までである。
【0015】
好ましい態様において、侵食可能な固体は崩壊剤および結合剤を含んでなる。侵食可能な固体はまた、場合によっては界面活性剤および浸透物質(osmagent)も含み得る。付加的な態様において、製薬学的有効成分は、崩壊剤、結合剤、浸透物質の相対比率および製薬学的有効成分の溶解性により制御されるある量で即時放出成分から放出される。
【0016】
好ましい一局面において、1)持続放出成分および2)即時放出成分を含んでなる、非ステロイド性抗炎症薬の必要な患者に非ステロイド性抗炎症薬を送達するための持続放出投薬形態物が提供され、該即時放出成分は即時放出薬物コーティングでない。好ましい態様において、持続放出成分および即時放出成分の双方が侵食可能な固体として放出するように適合されている。別の局面において、持続放出成分および即時放出成分の双方が単一の機構で提供される。
【0017】
特定の態様において、持続放出成分は非ステロイド性抗炎症薬の漸増する放出速度を提供する。付加的な態様において、該持続放出成分は非ステロイド性抗炎症薬の0次の放出速度を提供する。
【0018】
好ましい態様において、非ステロイド性抗炎症薬はアリールプロピオン酸若しくはCOX−2阻害剤である。好ましくは、アリールプロピオン酸は、ベノキサプロフェン、デシブプロフェン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、イブプロフェン、インドプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、ナプロキソール若しくはオキサプロジン、それらの誘導体またはそれらの混合物であり、そして、例示的一非ステロイド性抗炎症薬はイブプロフェンである。
【0019】
好ましい態様において、侵食可能な固体は崩壊剤および結合剤を含んでなる。侵食可能な固体はまた、場合によっては界面活性剤および浸透物質も含み得る。付加的な態様において、非ステロイド性抗炎症薬は、崩壊剤、結合剤、浸透物質の相対比率および製薬学的有効成分の溶解性により制御されるある量で即時放出成分から放出される。好ましい態様において、侵食可能な固体は、崩壊剤、結合剤、ならびに場合によっては界面活性剤および浸透物質を含んでなる。付加的な好ましい態様において、結合剤はヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース若しくはポリビニルピロリドンである。他の態様において、浸透物質は、ソルビトール若しくはマンニトールのような低分子量の糖または塩である。好ましくは、浸透物質は、存在する場合、約2%から約10%までの重量パーセントで侵食可能な固体中に存在する。好ましくは、崩壊剤は約1%から約10重量%までの量で存在する。好ましい崩壊剤はクロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン若しくはアルギン酸ナトリウムなどを包含する。付加的な態様において、侵食可能な固体は非イオン性若しくはイオン性界面活性剤をさらに含んでなる。好ましくは、界面活性剤は侵食可能な固体中に約0.1%ないし約10%の重量パーセントで存在する。好ましい非イオン性界面活性剤は、ポロキサマー、若しくはポリオキシエチレンの脂肪酸エステルまたはそれらの混合物を包含する。好ましいイオン性界面活性剤はC8〜C18アルキル硫酸のアルカリ塩を包含する。例示的態様において、侵食可能な固体は、約1%から約10重量%までのヒドロキシプロピルセルロースのようなヒドロキシアルキルセルロース、約2%から約6重量%までのクロスカルメロースナトリウムのような崩壊剤、および約2%ないし約3重量%のラウリル硫酸ナトリウムのようなイオン性界面活性剤を含んでなる。付加的な態様において、侵食可能な固体は、約1%から約10重量%までのポリビニルピロリドン、約2%から約6重量%までのクロスカルメロースナトリウムのような崩壊剤、および約2%から約3重量%までのラウリル硫酸ナトリウムのようなイオン性界面活性剤を含んでなる。
【0020】
なお他の態様において、製薬学的有効成分およびその製薬学的に許容できる塩を含んでなりかつ侵食可能な固体として長時間にわたり放出するように適合されている持続放出投薬形態物が提供され、該投薬形態物は薬物コーティングの存在を伴わずに製薬学的有効成分の突発放出を提供する。好ましくは、該投薬形態物は、該投薬形態物の経口投与後最初の1時間に製薬学的有効成分の約10%から約50%までの、若しくは経口投与後最初の1時間に約15%から約30%まで放出される突発放出を提供する。特定の態様において、製薬学的有効成分は水中で低溶解性を有し、そして、ある態様において、製薬学的有効成分は25℃で10mg/ml未満の水中での溶解度を有する。
【0021】
好ましくは、製薬学的有効成分は侵食可能な固体中に高薬物装填量で存在する。該高薬物装填量は、典型的には約60%から約95重量%までであり、そして、特定の態様において、薬物装填量は約70%から約90重量%までである。他の態様において、薬物装填量は約75%から約85重量%までである。
【0022】
特定の態様において、侵食可能な固体は崩壊剤および結合剤を含んでなる。付加的な態様において、侵食可能な固体はさらに、場合によっては界面活性剤および/若しくは浸透物質を含んでなる。突発放出は、崩壊剤、結合剤、浸透物質の相対比率および製薬学的有効成分の溶解性により制御され得る。別の局面において、製薬学的有効成分の放出速度は、該侵食可能な固体中の浸透物質の存在により調節され得る。
【0023】
付加的な態様において、製薬学的有効成分およびその製薬学的に許容できる塩を含んでなりかつ侵食可能な固体として長時間にわたり放出するように適合されている持続放出投
薬形態物が提供される。該製薬学的有効成分の放出速度は、該侵食可能な固体中の浸透物質の存在により調節され得る。
【0024】
なお他の態様において、製薬学的有効成分およびその製薬学的に許容できる塩を含んでなりかつ侵食可能な固体として長時間にわたり放出するように適合されている持続放出投薬形態物が提供される。最初の1時間の製薬学的有効成分の放出速度は、該侵食可能な固体中に存在する浸透物質、結合剤および崩壊剤の量により制御され得る。
【0025】
付加的な態様において、製薬学的有効成分およびその製薬学的に許容できる塩を含んでなりかつ侵食可能な固体として長時間にわたり放出するように適合されている持続放出投薬形態物が提供される。最初の1時間の製薬学的有効成分の放出速度は、該侵食可能な固体中に存在する浸透物質、結合剤および崩壊剤の相対水和速度により制御され得る。
【0026】
好ましい態様において、製薬学的有効成分は非ステロイド性抗炎症薬である。特定の態様において、投薬形態物は、該投薬形態物の経口投与後最初の1時間に非ステロイド性抗炎症薬の約10%から約50%までの、若しくは経口投与後最初の1時間に約15%から約30%まで放出される即時放出を提供する。他の特定の態様において、投薬形態物は、該投薬形態物の経口投与後最初の1時間に非ステロイド性抗炎症薬の約15%から約30%までの即時放出を提供する。好ましくは、侵食可能な固体は崩壊剤および結合剤を含んでなる。侵食可能な固体は界面活性剤および浸透物質もまた含み得る。界面活性剤は非イオン性若しくはイオン性界面活性剤であり得る。好ましくは、イオン性界面活性剤はC8〜C18アルキル硫酸のアルカリ塩であり、そして、非イオン性界面活性剤は、ポロキサマー、若しくはポリオキシエチレンの脂肪酸エステル、またはそれらの混合物である。
【0027】
特定の態様において、該投薬形態物は、投与後約1時間から約10時間まで0次放出を提供する。好ましくは、該投薬形態物は、約12時間未満に有効成分の約90%を放出する。特定の態様において、該投薬形態物は、0次の放出速度を送達時間の少なくとも一部分の間提供する。他の態様において、該投薬形態物は、漸増する放出速度を送達時間の少なくとも一部分の間提供する。好ましくは、該投薬形態物は、より速い初期放出速度、次いで残存する有効成分の0次の放出速度を提供する。他の好ましい態様において、該投薬形態物は、ゆっくりとした初期放出速度、次いで残存する有効成分の漸増する放出速度を提供する。なお他の態様において、該投薬形態物は速い初期放出速度、次いで残存する有効成分のよりゆっくりした放出速度および漸増する放出速度を提供する。
【0028】
該投薬形態物が:(1)空洞を規定しかつ形成された若しくは形成可能な出口オリフィスをその中に包含する半透性壁;(2)空洞内に含有されかつ出口オリフィスに隣接して配置された治療上有効な量の非ステロイド性抗炎症薬のような有効成分を含んでなる薬物層;(3)空洞内に含有されかつ出口オリフィスから遠位に配置された押し置換層;(4)半透性壁の内表面と、該壁に正対する薬物層の少なくとも外表面との間の流動促進層を含んでなる持続放出投薬形態物もまた開示され;該投薬形態物は、使用の環境で水と接触された後に、有効成分、好ましくは非ステロイド性抗炎症薬のin vitro放出速度を約12時間まで提供する。好ましい態様において、該投薬形態物は、即時放出薬物コーティングの存在を伴わずに非ステロイド性抗炎症薬の即時放出をさらに提供する。特定の態様において、該投薬形態物は、該投薬形態物の経口投与後最初の1時間に非ステロイド性抗炎症薬の約10%から約50%までの即時放出を提供する。付加的な態様において、該投薬形態物は、該投薬形態物の経口投与後最初の1時間に非ステロイド性抗炎症薬の約15%から約30%までの即時放出を提供する。
【0029】
本明細書に記述される持続放出投薬形態物の少なくとも1態様をそれの必要な患者に経口投与することを含んでなる、製薬学的有効成分の持続放出の提供方法もまた開示される
。本明細書に記述される持続放出投薬形態物をそれの必要な患者に経口投与することを含んでなる、有効用量の非ステロイド性抗炎症薬のそれの必要な患者への長時間の提供方法もまた開示される。即時放出様式および持続放出様式で持続放出投薬形態物から放出される製薬学的有効成分の量および速度若しくは放出の制御方法もまた開示される。
【0030】
該持続放出投薬形態物は、他の有効成分と組合せのオピオイド鎮痛薬のような付加的な製薬学的有効成分を投与するためにもまた使用し得る。好ましい一態様において、非オピオイド鎮痛薬を持続放出投薬形態物中でオピオイド鎮痛薬と組合せ、そして、双方の剤の放出は、該投薬形態物中のそれらのそれぞれの量に比例した速度で提供され得る。
【0031】
本発明の付加的な目的、利点および新規特徴は、後に続く記述に部分的に示されることができ、また、以下の検査に際して当業者に部分的に明らかになることができるか、若しくは本発明の実施により学習されうる。
【0032】
[発明の詳細な記述]
定義および概要
本発明を詳細に記述する前に、別の方法で示されない限り本発明は特定の製薬学的剤、賦形剤、ポリマー、塩などに制限されないことが理解されるべきである。こうしたものは変動しうるためである。本明細書で使用される専門用語は、特定の態様を記述する目的上のみであり、そして本発明の範囲を制限することを意図していないこともまた理解されるべきである。
【0033】
本明細書および請求の範囲で使用されるところの単数形「ある(a)」、「および」および「該(the)」は、文脈が別の方法で明瞭に指図しない限り複数の指示対象を包含することに注意しなくてはならない。従って、例えば、「ある担体(a carrier)」への言及は2種(個)若しくはそれ以上の担体を包含し;「ある製薬学的剤(a pharmaceutical agent)」への言及は2種若しくはそれ以上の製薬学的剤を包含する、などである。
【0034】
値の範囲が提供される場合、文脈が別の方法で明瞭に指図しない限り、その範囲の上限と下限の間の下限の単位の1/10までの各介在する値、およびその述べられた範囲のいかなる他の述べられた若しくは介在する値も、本発明内に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限および下限はより小さい範囲に独立に包含されることができ、そして、述べられた範囲のいずれかのとりわけ除外される限界に従って本発明内にもまた包含されうる。述べられた範囲が限界の一方若しくは双方を包含する場合、それらの包含される限界のいずれか若しくは双方を除外する範囲もまた本発明に包含される。
【0035】
本明細書の明確さおよび便宜性のため、薬物投与若しくは溶解試験の開始の時間をゼロ時間(t=0時間)、および適切な時間単位の投与後の時間、例えばt=30分若しくはt=2時間などとして呼称する規約を利用する。
【0036】
本明細書で使用されるところの「漸増する血漿プロファイル」という句は、直に先行する時間間隔にわたり患者の血漿中に存在する薬物の量に関して最低2個の連続した時間間隔にわたる患者の血漿中の特定の薬物の量の増大を指す。一般に、漸増する血漿プロファイルは、漸増するプロファイルを表す時間間隔にわたり最低約10%だけ増大することができる。
【0037】
本明細書で使用されるところの「漸増する放出速度」という句は、薬物が、投薬形態物が該薬物の約80%を枯渇するまで一定に留まるか若しくは減少するよりはむしろ時間とともに全般として増大する速度で使用の環境の液体に溶解するような、長時間に全般とし
て増大する溶解速度を指す。
【0038】
「送達する」および「送達」という用語は投薬形態物からの製薬学的剤の分離を指し、ここで製薬学的剤は使用の環境の液体に溶解することが可能である。
【0039】
「投薬形態物」により、製薬学的有効成分若しくはその製薬学的に許容できる酸付加塩を含んでなる製薬学的組成物若しくは装置を意味しており、該組成物若しくは装置は、場合によっては、薬理学的に不活性の成分、すなわち、活性の製薬学的剤を製造および送達するのに使用されるポリマー、懸濁化剤、界面活性剤、崩壊剤、溶解調節成分、結合剤、希釈剤、滑沢剤、安定剤、抗酸化剤、浸透物質、着色剤、可塑剤、コーティングなどのような製薬学的に許容できる賦形剤を含有する。
【0040】
本明細書で使用されるところの「即時放出」という用語は、投薬形態物の投与若しくは溶解試験の開始後短い時間内、すなわち一般に数分ないし約1時間以内の投薬形態物内に含有される薬物の少なくとも一部分の実質的に完全な放出を指す。
【0041】
さらに明記されない限り、本明細書で使用されるところの「患者」という用語は、疾患若しくは障害のための処置の必要な個々の患者および/若しくは患者の集団を意味している。患者はいかなる動物でもあり得、典型的には患者は哺乳動物であり、そして好ましくはヒトである。
【0042】
本明細書で互換性に使用される「製薬学的有効成分」、「薬物」、「有効成分」若しくは「化合物」により、ヒト若しくは動物患者に投与される場合に何らかの生理学的、心理学的、生物学的若しくは薬理学的、およびしばしば有益な効果を提供するいかなる剤、薬物、化合物若しくは組成物またはそれらの混合物を意味している。
【0043】
本明細書で互換性に使用される「製薬学的に許容できる酸付加塩」若しくは「製薬学的に許容できる塩」により、陰イオンが塩の毒性若しくは薬理学的活性に有意に寄与せず、そして、であるからそれらが塩基の形態の有効成分の薬理学的同等物である塩を意味している。塩形成の目的上有用である製薬学的に許容できる酸の例は、限定されるものでないが、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸、フマル酸、リンゴ酸、マレイン酸およびマンデル酸を挙げることができる。製薬学的に許容できる塩は、さらに、ムチン酸塩、N−オキシド、硫酸塩、酢酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、酢酸塩三水和物、二(ヘプタフルオロ酪酸塩)、二(メチルカルバミン酸塩)、二(ペンタフルオロプロピオン酸塩)、二(ピリジン−3−カルボン酸塩)、二(トリフルオロ酢酸塩)、重酒石酸塩、塩酸塩および硫酸塩五水和物、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重酒石酸塩、臭化物、エデト酸カルシウム、カムシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシラート(edisylate)、エストレート(estolate)、エシラート(esylate)、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、アルサニル酸グリコリル(glycollylarsanilate)、ヘキシルレゾルシン酸塩、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル臭化物、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、ムチン酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、パモ酸塩(エンボン酸塩)、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩(subacetate)、コハク酸塩、硫酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トリエチオジド、ベンザチン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン、ならびにプロカイン、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、プロピオン酸ナトリウム、亜鉛などを包含する。
【0044】
本明細書で使用されるところの「比例した」(投薬形態物からの非オピオイド鎮痛薬およびオピオイド鎮痛薬の放出速度若しくは送達を指す場合)という用語は、2種の鎮痛薬の相互に関しての放出若しくは放出の速度を指し、放出される量は投薬形態物中の各鎮痛薬の総量に対し正規化される。すなわち、放出される量は投薬形態物中に存在する各鎮痛薬の総量のパーセントとして表される。一般に、投薬形態物からの非オピオイド鎮痛薬若しくはオピオイド鎮痛薬の比例した放出速度は、各薬物の相対放出速度(放出パーセントとして表される)若しくは放出された量(該投薬形態物中に存在する総量のパーセントとしての累積放出として表される)が、他の薬物の放出速度若しくは放出された量の約20%以内、より好ましくは約10%以内、および最も好ましくは約5%以内であることを意味している。言い換えれば、いずれかの時点で、一方の剤の放出速度(投薬形態物中に存在するその総量のパーセントとして述べられる)は、同一時点での他方の剤の放出速度の約20%以上、より好ましくは約10%以上、および最も好ましくは約5%以上逸脱しない。
【0045】
薬物「放出速度」は、単位時間あたりに投薬形態物から放出される薬物の量、例えば1時間あたりに放出される薬物のミリグラム(mg/hr)を指す。薬物投薬形態物の薬物放出速度は、典型的にはin vitro溶解速度、すなわち適切な条件下および適する液体中で測定される単位時間あたりに投薬形態物から放出される薬物の量として測定される。例えば、溶解試験は、米国薬局方VII型浴指示計(bath indexer)に取付けた金属製コイルサンプルホルダーに入れかつ37℃の恒温水浴中で平衡化した約50mlの酸性化した水(pH=3)に浸積した投薬形態物で実施し得る。放出速度溶液のアリコートを試験して、投薬形態物から放出された薬物の量を測定する。例えば、薬物をアッセイ若しくはクロマトグラフィー装置に注入して、試験間隔の間に放出された薬物の量を定量し得る。
【0046】
別の方法で明記されない限り、投与後の指定された時間で得られる薬物放出速度は、適切な溶解試験の実施後の指定された時間で得られるin vitro薬物放出速度を指す。投薬形態物内の薬物の指定されたパーセントが放出された時間を「Tx」値として参照することができ、ここで「x」は放出された薬物のパーセントである。例えば、投薬形態物からの薬物放出を評価するために一般に使用される参照測定値は、投薬形態物内の薬物の90%が放出された時間である。この測定値は該投薬形態物の「T90」と称される。
【0047】
本明細書で使用されるところの「持続放出」という用語は、何時間にもわたる投薬形態物からの薬物の放出を指す。一般に、持続放出は、投薬形態物を投与された患者の血液(例えば血漿)濃度が、約12時間にわたって治療範囲内、すなわち最小有効鎮痛濃度すなわち「MEAC」より上しかし毒性レベルより下に維持されるような速度で起こる。
【0048】
本明細書で使用されるところの「0次血漿プロファイル」という句は、特定の時間間隔にわたる患者の血漿中の特定の薬物の実質的に平坦なすなわち変化しない量を指す。一般に、0次血漿プロファイルは、1つの時間間隔からその後の時間間隔まで約30%を超えない、および好ましくは約10%を超えないだけ変動することができる。
【0049】
本明細書で使用されるところの「0次の放出速度」という句は、薬物が実質的に一定の速度で使用の環境で液体に溶解するような、実質的に一定の放出速度を指す。0次の放出速度は、平均放出速度から約30%と同じくらい多いだけ、および好ましくは約10%を超えないだけ変動し得る。
【0050】
当業者は、疾患若しくは障害の効果的な処置が、個々の患者の変動性、腎および肝機能のような健康状態、身体活動、ならびに障害若しくは症状の性質および相対強度を包含す
る多くの要因に従って変動するであろうことを理解するであろう。
【0051】
本発明者は、持続放出投薬形態物が、即時放出薬物コーティングの非存在下で製薬学的有効成分の即時放出を提供し得るという驚くべき発見をなした。本発明者は、持続放出投薬形態物の放出速度が、これまで予見されない結果を達成するような浸透物質の添加により調節され得ることをさらに驚くべきことに発見した。
【0052】
理論により束縛されることを願わず、この驚くべき発見の機構は、該投薬形態物が使用の環境で水の存在下に置かれる場合に水に対する該投薬形態物の成分の競合と関係すると考えられる。迅速に水和する崩壊剤と一緒の投薬形態物の薬物含有部分内のゆっくりと水和する成分の存在が、崩壊剤の比較的迅速かつ優先的な水和を見込み、経口摂取若しくは溶解試験の開始直後の投薬形態物の水和の初期段階で投薬形態物の薬物含有部分の急速な膨張および崩壊をもたらすことが理論付けられている。投薬形態物の薬物含有部分中の浸透物質の存在が、崩壊剤の急速な水和を調節するように作用して、浸透物質の非存在下で観察される放出速度に関しての放出速度の遅延を見込む。よりゆっくりと水和する結合剤の代わりのより迅速に水和する結合剤の使用もまた、該投薬形態物からの放出速度が突発放出を伴わない薬物の持続放出を提供する投薬形態物からの放出速度に似ているように、放出速度の遅延をもたらす。水に対する賦形剤および有効成分の競合が、投薬間隔の間の初期段階およびより後の双方の薬物の放出速度の制御手段をもたらして、持続放出を提供する。
【0053】
さらに、開示される製剤は、相対的に不溶性の有効成分の高装填量を提供し得、また、類似の若しくは極めて異なる溶解性を有する付加的な有効成分との可能な相乗的若しくは治療的組合せをさらに提供し得る。該投薬形態物は、付加的な有効成分(例えばヒドロコドンおよびイブプロフェン)の物理特性(例えばそれらの溶解性)が相互と顕著に異なったとしても、該有効成分の比例した送達を表し得る。該製剤は、有効濃度の有効成分を比較的迅速に提供し、かつ、状態若しくは障害を処置するのに十分な有効成分のレベルを約12時間まで若しくはそれ以上維持するために持続放出をさらに提供するような様式で、ヒト患者に投与し得る。加えて、該製剤は長時間にわたり有効成分の実質的に完全な送達を提供する。例えば、図6Bおよび7Bは、有効成分の本質的に完全な放出が溶解試験の時間にわたって生じたことを示す。
【0054】
従って、1)持続放出成分および2)即時放出成分を含んでなる、製薬学的有効成分の必要な患者に製薬学的有効成分を送達するための持続放出投薬形態物が提供され、該即時放出成分は即時放出薬物コーティングでない。好ましくは、持続放出成分および即時放出成分の双方が、侵食可能な固体として放出するよう適合されている。好ましい一態様において、持続放出成分および即時放出成分の双方が単一の機構で提供される。ある態様において、持続放出成分は有効成分の漸増する放出速度を提供する。なお他の態様において、持続放出成分は有効成分の0次の放出速度を提供する。
【0055】
該持続放出投薬形態物は、水中で低溶解性を有する製薬学的有効成分とともにの使用にとりわけ有用である。ある態様において、製薬学的有効成分は25℃で10mg/ml未満の水中での溶解度を有する。好ましい有効成分の一分類は非ステロイド性抗炎症薬を包含するが、しかし、例えば、これらの有効成分と組合せうる付加的な有効成分、および抗生物質若しくは抗てんかん薬のような他の有効成分もまた包含する。
【0056】
好ましい態様において、製薬学的有効成分は侵食可能な固体中に高薬物装填量で存在する。特定の態様において、高薬物装填量は約60%から約95重量%までである。他の態様において、高薬物装填量は約70%から約90重量%、若しくは約75%から約85重量%までである。
【0057】
好ましい態様において、侵食可能な固体は崩壊剤および結合剤を含んでなる。侵食可能な固体はまた、場合によっては界面活性剤および浸透物質を含み得る。付加的な態様において、製薬学的有効成分は、崩壊剤、結合剤、浸透物質の相対比率および製薬学的有効成分の溶解性により制御されるある量で即時放出成分から放出される。
【0058】
好ましい一局面において、1)持続放出成分および2)即時放出成分を含んでなる、非ステロイド性抗炎症薬の必要な患者に非ステロイド性抗炎症薬を送達するための持続放出投薬形態物が提供され、即時放出成分は即時放出薬物コーティングでない。好ましい態様において、持続放出成分および即時放出成分の双方が侵食可能な固体として放出するように適合されている。別の局面において、持続放出成分および即時放出成分の双方が単一の機構で提供される。
【0059】
特定の態様において、持続放出成分は非ステロイド性抗炎症薬の漸増する放出速度を提供する。付加的な態様において、該持続放出成分は非ステロイド性抗炎症薬の0次の放出速度を提供する。
【0060】
好ましい態様において、非ステロイド性抗炎症薬はアリールプロピオン酸若しくはCOX−2阻害剤である。好ましくは、アリールプロピオン酸は、ベノキサプロフェン、デシブプロフェン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、イブプロフェン、インドプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、ナプロキソール若しくはオキサプロジン、それらの誘導体またはそれらの混合物であり、そして、例示的一非ステロイド性抗炎症薬はイブプロフェンである。
【0061】
好ましい態様において、侵食可能な固体は崩壊剤および結合剤を含んでなる。侵食可能な固体はまた、場合によっては界面活性剤および浸透物質も含み得る。付加的な態様において、非ステロイド性抗炎症薬は、崩壊剤、結合剤、浸透物質の相対比率および製薬学的有効成分の溶解性により制御されるある量で即時放出成分から放出される。好ましい態様において、侵食可能な固体は、崩壊剤、結合剤、ならびに場合によっては界面活性剤および浸透物質を含んでなる。付加的な好ましい態様において、結合剤はヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース若しくはポリビニルピロリドンである。他の態様において、浸透物質はソルビトール若しくはマンニトールのような低分子量の糖、または塩である。好ましくは、浸透物質は、存在する場合、約2%から約10%までの重量パーセントで侵食可能な固体中に存在する。好ましくは、崩壊剤は約1%から約10重量%までの量で存在する。好ましい崩壊剤はクロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン若しくはアルギン酸ナトリウムなどを包含する。付加的な態様において、侵食可能な固体は非イオン性若しくはイオン性界面活性剤をさらに含んでなる。好ましくは、界面活性剤は侵食可能な固体中に約0.1%ないし約10%の重量パーセントで存在する。好ましい非イオン性界面活性剤は、ポロキサマー、若しくはポリオキシエチレンの脂肪酸エステルまたはそれらの混合物を包含する。好ましいイオン性界面活性剤はC8〜C18アルキル硫酸のアルカリ塩を包含する。例示的態様において、侵食可能な固体は、約1%から約10重量%までのヒドロキシプロピルセルロースのようなヒドロキシアルキルセルロース、約2%から約6重量%までのクロスカルメロースナトリウムのような崩壊剤、および約2%ないし約3重量%のラウリル硫酸ナトリウムのようなイオン性界面活性剤を含んでなる。付加的な態様において、侵食可能な固体は、約1%から約10重量%までのポリビニルピロリドン、約2%から約6重量%までのクロスカルメロースナトリウムのような崩壊剤、および約2%から約3重量%までのラウリル硫酸ナトリウムのようなイオン性界面活性剤を含んでなる。
【0062】
なお他の態様において、製薬学的有効成分およびその製薬学的に許容できる塩を含んで
なりかつ侵食可能な固体として長時間にわたり放出するように適合されている持続放出投薬形態物が提供され、該投薬形態物は薬物コーティングの存在を伴わずに製薬学的有効成分の突発放出を提供する。好ましくは、該投薬形態物は、該投薬形態物の経口投与後最初の1時間に製薬学的有効成分の約10%から約50%までの、若しくは経口投与後最初の1時間に約15%から約30%まで放出される突発放出を提供する。特定の態様において、製薬学的有効成分は水中で低溶解性を有し、そして、ある態様において、製薬学的有効成分は25℃で10mg/ml未満の水中での溶解度を有する。
【0063】
好ましくは、製薬学的有効成分は侵食可能な固体中に高薬物装填量で存在する。該高薬物装填量は、典型的には約60%から約95重量%までであり、そして、特定の態様において、薬物装填量は約70%から約90重量%までである。他の態様において、薬物装填量は約75%から約85重量%までである。
【0064】
特定の態様において、侵食可能な固体は崩壊剤および結合剤を含んでなる。付加的な態様において、侵食可能な固体はさらに場合によっては界面活性剤および/若しくは浸透物質を含んでなる。突発放出は、崩壊剤、結合剤、浸透物質の相対比率および製薬学的有効成分の溶解性により制御され得る。別の局面において、製薬学的有効成分の放出速度は、侵食可能な固体中の浸透物質の存在により調節され得る。
【0065】
付加的な態様において、製薬学的有効成分およびその製薬学的に許容できる塩を含んでなりかつ侵食可能な固体として長時間にわたり放出するように適合されている持続放出投薬形態物が提供される。該製薬学的有効成分の放出速度は、該侵食可能な固体中の浸透物質の存在により調節され得る。
【0066】
なお他の態様において、製薬学的有効成分およびその製薬学的に許容できる塩を含んでなりかつ侵食可能な固体として長時間にわたり放出するように適合されている持続放出投薬形態物が提供される。最初の1時間の製薬学的有効成分の放出速度は、該侵食可能な固体中に存在する浸透物質、結合剤および崩壊剤の量により制御され得る。
【0067】
付加的な態様において、製薬学的有効成分およびその製薬学的に許容できる塩を含んでなりかつ侵食可能な固体として長時間にわたり放出するように適合されている持続放出投薬形態物が提供される。最初の1時間の製薬学的有効成分の放出速度は、該侵食可能な固体中に存在する浸透物質、結合剤および崩壊剤の相対水和速度により制御され得る。
【0068】
好ましい態様において、製薬学的有効成分は非ステロイド性抗炎症薬である。特定の態様において、投薬形態物は、該投薬形態物の経口投与後最初の1時間に非ステロイド性抗炎症薬の約10%から約50%までの、若しくは経口投与後最初の1時間に約15%から約30%まで放出される即時放出を提供する。他の特定の態様において、投薬形態物は、該投薬形態物の経口投与後最初の1時間に非ステロイド性抗炎症薬の約15%から約30%までの即時放出を提供する。好ましくは、侵食可能な固体は崩壊剤および結合剤を含んでなる。侵食可能な固体は界面活性剤および浸透物質もまた含み得る。界面活性剤は非イオン性若しくはイオン性界面活性剤であり得る。好ましくは、イオン性界面活性剤はC8〜C18アルキル硫酸のアルカリ塩であり、そして、非イオン性界面活性剤は、ポロキサマー、若しくはポリオキシエチレンの脂肪酸エステル、またはそれらの混合物である。
【0069】
該投薬形態物は最低4時間、より好ましくは最低6〜12時間若しくはより長い間、有効成分の持続放出を提供し得、そして持続放出は所望の場合12〜16時間維持され得る。特定の態様において、該投薬形態物は、投与後約1時間から約16時間まで0次放出を提供し、そして、ある態様において、該投薬形態物は投与後約1時間から約10時間まで0次放出を提供する。好ましくは、該投薬形態物は約12時間未満に有効成分の約90%を放出する。特定の態様において、該投薬形態物は、0次の放出速度を送達時間の少なくとも一部分の間提供する。他の態様において、該投薬形態物は、漸増する放出速度を送達時間の少なくとも一部分の間提供する。好ましくは、該投薬形態物は、より速い初期放出速度、次いで残存する有効成分の0次の放出速度を提供する。他の好ましい態様において、該投薬形態物は、ゆっくりとした初期放出速度、次いで残存する有効成分の漸増する放出速度を提供する。なお他の態様において、該投薬形態物は速い初期放出速度、次いで残存する有効成分のよりゆっくりした放出速度および漸増する放出速度を提供する。
【0070】
該投薬形態物が:(1)空洞を規定しかつ形成された若しくは形成可能な出口オリフィスをその中に包含する半透性壁;(2)空洞内に含有されかつ出口オリフィスに隣接して配置された治療上有効な量の非ステロイド性抗炎症薬のような有効成分を含んでなる薬物層;(3)空洞内に含有されかつ出口オリフィスから遠位に配置された押し置換層;(4)半透性壁の内表面と、該壁に正対する薬物層の少なくとも外表面との間の流動促進層を含んでなる持続放出投薬形態物もまた開示され;該投薬形態物は、使用の環境で水と接触された後に、有効成分、好ましくは非ステロイド性抗炎症薬のin vitro放出速度を約12ないし約16時間まで提供する。好ましい態様において、該投薬形態物は、即時放出薬物コーティングの存在を伴わずに非ステロイド性抗炎症薬の即時放出をさらに提供する。特定の態様において、該投薬形態物は、該投薬形態物の経口投与後最初の1時間に非ステロイド性抗炎症薬の約10%から約50%までの即時放出を提供する。付加的な態様において、該投薬形態物は、該投薬形態物の経口投与後最初の1時間に非ステロイド性抗炎症薬の約15%から約30%までの即時放出を提供する。
【0071】
本明細書に記述される持続放出投薬形態物の少なくとも1態様をそれの必要な患者に経口投与することを含んでなる、製薬学的有効成分の持続放出の提供方法もまた開示される。本明細書に記述される持続放出投薬形態物をそれの必要な患者に経口投与することを含んでなる、有効用量の非ステロイド性抗炎症薬のそれの必要な患者への長時間の提供方法もまた開示される。即時放出様式および持続放出様式で持続放出投薬形態物から放出される製薬学的有効成分の量および速度若しくは放出の制御方法もまた開示される。
【0072】
該持続放出投薬形態物は、他の有効成分と組合せのオピオイド鎮痛薬のような付加的な製薬学的有効成分を投与するためにもまた使用し得る。好ましい一態様において、非オピオイド鎮痛薬を持続放出投薬形態物中でオピオイド鎮痛薬と組合せ、そして、双方の剤の放出は、該投薬形態物中のそれらのそれぞれの量に比例した速度で提供され得る。
【0073】
該持続放出投薬形態物の態様およびそれらの使用方法をより詳細に下述する。
【0074】
治療薬の即時放出のための薬物コーティング
薬物コーティング製剤が場合によっては本明細書に記述される投薬形態物中に包含され得、そして、持続放出成分により提供される有効成分の持続放出と一緒に、有効成分の即時放出を提供する。当該技術分野で既知のいかなる薬物コーティング製剤も、本明細書に記述される発明の投薬形態物とともに使用し得、また、溶解性にしろ不溶性にしろいかなる製薬学的剤若しくは剤の組合せも、およびいかなる薬物装填量でも包含し得る。ある好ましい薬物コーティング製剤が、2003年9月26日付の代理人整理番号第ARC 3363 P1号として出願された同時係属中の共通に所有される特許出願第60/506,195号明細書(そっくりそのまま引用することにより本明細書に組み込まれる)に記述されている。
【0075】
ある種の好ましい薬物コーティングについて、簡潔には、薬物コーティングは水性コーティング製剤から形成し得、そして、最低1種の不溶性薬物および水溶解性薄膜形成剤を包含する。2種若しくはそれ以上の不溶性薬物、または1種若しくはそれ以上の溶解性薬物と組合せの1種若しくはそれ以上の不溶性薬物を薬物コーティング中に包含し得る。好
ましい一態様において、薬物コーティングは1種の不溶性薬物および1種の溶解性薬物を包含する。好ましい一態様において、薬物コーティングに包含される不溶性薬物は非オピオイド鎮痛薬であり、イブプロフェンがとりわけ好ましい不溶性薬物である。付加的な好ましい一態様において、薬物コーティングに包含される溶解性薬物はオピオイド鎮痛薬であり、ヒドロコドン、オキシコドン、ヒドロモルホン、オキシモルホン、コデインおよびメサドンがとりわけ好ましい溶解性薬物である。
【0076】
好ましい態様において、薬物コーティングは約85重量%から約97重量%までの不溶性薬物を包含し、約90重量%ないし約93重量%の不溶性薬物の装填量を表すコーティングがとりわけ好ましい。薬物コーティングに包含される溶解性薬物の総量は、好ましくは約0.5重量%から約15重量%までの溶解性薬物の範囲にわたり、そして約1重量%ないし約3重量%の溶解性薬物を包含する薬物コーティングが最も好ましい。溶解性および不溶性双方の薬物を組み込む薬物コーティングに包含される不溶性薬物の総量は、好ましくは約60重量%から約96.5重量%までの範囲にわたり、約75重量%ないし約89.5重量%の不溶性薬物を包含する薬物コーティングがより好ましく、そして、約89重量%ないし約90重量%の不溶性薬物を包含する薬物コーティングが最も好ましい。薬物コーティングに包含される薬物の総量は約85重量%から約97重量%までの範囲にわたり、そして好ましい態様において、薬物コーティングに包含される薬物の総量は約90重量%から約93重量%までの範囲にわたる。
【0077】
好ましい一態様において、薬物コーティングに包含される不溶性薬物は非オピオイド鎮痛薬である。好ましい非オピオイド鎮痛薬はとりわけイブプロフェンおよびアセトアミノフェンを包含する。付加的な好ましい一態様において、薬物コーティングに包含される溶解性薬物はオピオイド鎮痛薬であり、ヒドロコドン、オキシコドン、ヒドロモルホン、オキシモルホン、コデインおよびメサドンがとりわけ好ましい溶解性薬物である。
【0078】
薬物コーティングに包含される薄膜形成剤は水溶解性であり、そして薬物コーティングの約3重量%ないし約15重量%に相当し、約7重量%ないし約10重量%の薄膜形成剤を有する薬物コーティングが好ましい。薬物コーティングに包含される薄膜形成剤は水溶解性であり、そして好ましくは薬物コーティングに包含される不溶性薬物を可溶化するようはたらく。加えて、薄膜形成剤が薬物コーティングに包含される1種若しくはそれ以上の不溶性薬物と固体溶液を形成するような、薬物コーティングに包含される薄膜形成剤を選びうる。薬物コーティングの薬物装填量および薄膜形成の特徴は、該薬物コーティングに包含される1種若しくはそれ以上の不溶性薬物の最低1種と固体溶液を形成する薄膜形成剤を選択することにより高められると考えられる。薄膜形成剤内に分子レベルで溶解される薬物(固体溶液)はまた、薬物コーティングが分解若しくは溶解する際に、薬物が胃腸管中に放出されそして個別の分子として胃腸粘膜組織に提示されるため、より容易に生物学的に利用可能であることも期待される。
【0079】
好ましい一態様において、薬物コーティングに包含される薄膜形成剤は、薄膜形成ポリマー若しくは最低1種の薄膜形成ポリマーを包含するポリマーブレンドである。薬物コーティングの薄膜形成剤として使用されるポリマー素材は水溶解性である。薬物コーティングの薄膜形成ポリマーとして使用しうる水溶解性ポリマー素材の例は、限定されるものでないが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(「HPMC」)、低分子量HPMC、ヒドロキシプロピルセルロース(「HPC」)(例えばKlucel(R))、ヒドロキシエチルセルロース(「HEC」)(例えばNatrasol(R))、コポビドン(例えばKollidon(R)VA 64)およびPVA−PEGグラフト共重合体(例えばKollicoat(R)IR)、ならびにそれらの組合せを挙げることができる。薬物コーティングに包含されるべき薬物(1種若しくは複数)とともに単一の薄膜形成ポリマーを使用して達成可能でないとみられる特徴を有する薬物コーティングを達成するために、ポリマーブレンド若しくは混合物を薄膜形成剤として使用しうる。例えば、HPMCおよびコポビドンの配合物は、所望の薬物装填量の特徴を表すのみならずしかし審美的に満足できかつ所望の物理特性を表すコーティングもまた提供する薬物コーティングの形成を可能にする薄膜形成剤を提供する。
【0080】
薬物コーティングは粘度増強剤もまた包含し得る。薬物コーティングは不溶性薬物を包含する水性コーティングであるため、薬物コーティングは典型的には水性懸濁液製剤から被覆される。懸濁液製剤から実質的に均一な薬物分布をともなう薬物コーティングを提供するために、しかしながら、該懸濁液製剤は、コーティングに包含される不溶性薬物の実質的に均一な分散系を提供すべきである。薬物コーティングに包含される薄膜形成剤および薬物の相対量および性質に依存して、実質的に均一な薬物分散系を提供するのに十分な粘度を表しかつ不溶性薬物の実質的に均一な分布を有する薬物コーティングの製造を助長するコーティング製剤の創製を容易にするように、粘度増強剤を薬物コーティングに包含し得る。薬物コーティングに包含される粘度増強剤は好ましくは水溶解性であり、かつ、薄膜形成剤であり得る。薬物コーティング中で使用しうる粘度増強剤の例は、限定されるものでないがHPC(例えばKlucel(R))、HEC(例えばNatrasol(R))、Polyox(R)水溶解性樹脂製品、およびそれらの組合せを挙げることができる。
【0081】
薬物コーティングに包含される粘度増強物質の正確な量は、薬物コーティング中で使用されるべき薄膜形成ポリマーおよび薬物物質の量および型に依存して変動することができる。しかしながら、薬物コーティングに包含される場合、粘度増強剤は典型的に薬物コーティングの5重量%若しくはそれ未満に相当することができる。好ましくは、薬物コーティングは2重量%若しくはそれ未満の粘度増強剤を包含し、また、とりわけ好ましい態様において、薬物コーティングは1重量%若しくはそれ未満の粘度増強剤を包含する。
【0082】
薬物コーティングはまた、薬物コーティングが投与後に崩壊する速度を増大させる崩壊剤も包含し得る。薬物コーティングは典型的に大量の不溶性薬物を包含するため、薬物コーティングは投与後に所望されるほど迅速に分解若しくは崩壊しないことがある。コーティングに包含される崩壊剤は、崩壊剤が水を吸収しかつ膨潤する際にコーティングを構造的に損なうようにはたらく、水で膨潤可能な素材である。薬物コーティング中で使用しうる崩壊剤は、限定されるものでないが、加工デンプン、化学修飾セルロースおよび架橋ポリビニルピロリドン素材を挙げることができる。薬物コーティング中で使用することができかつ商業的に入手可能である崩壊剤の特定の例は、Ac−Di−Sol(R)、Avicel(R)およびPVP XL−10を包含する。薬物コーティングに包含される場合、崩壊剤は、典型的にはコーティングの約6重量%までに相当し、約0.5重量%から約3重量%までを組み込むコーティングが好ましく、そして約1重量%から約3重量%までを組み込むコーティングがとりわけ好ましい。
【0083】
薬物コーティングはまた、投与後に薬物コーティングが溶解若しくは侵食する速度を増大させるための界面活性剤も包含し得る。界面活性剤は、水性液体に薬物コーティングを横断してより容易に広がらせるすなわち浸透させる「湿潤」剤としてはたらく。薬物コーティング中での使用に適する界面活性剤は好ましくは25℃で固体である。薬物コーティング中で使用しうる界面活性剤の例は、限定されるものでないがPoloxamerおよびPluronic(R)界面活性剤のような界面活性ポリマーを挙げることができる。界面活性剤が薬物コーティングに包含される場合、界面活性剤は、典型的には薬物コーティングの約6重量%までに相当することができ、約0.5重量%ないし約3重量%の界面活性剤を包含する薬物コーティングが好ましく、そして約1重量%ないし約3重量%の界面活性剤を包含する薬物コーティングがとりわけ好ましい。
【0084】
薬物コーティングの一態様において、薄膜形成剤はコポビドンおよびHPMCから形成されるポリマーブレンドを包含する。こうしたポリマーブレンドが薬物コーティングの薄膜形成剤として使用される場合、コポビドンおよびHPMCの量は、所望の物理的および薬物装填量の特徴を有する薬物コーティングを達成するように所望のとおり変動させ得る。しかしながら、薬物コーティングに包含される薄膜剤がコポビドンおよびHPMCの配合物から形成される場合、コポビドンおよびHPMCは、好ましくは約0.6:1ないし約0.7:1のコポビドン対HPMCの重量/重量比で包含され、1:1.5の重量/重量比が最も好ましい。HPMCおよびコポビドンの配合物は、審美的に満足できかつさらなる加工および長期の貯蔵寿命を耐えるのに十分堅牢であると考えられる薬物コーティングを提供する。さらに、コポビドンは薬物コーティングに包含される不溶性薬物を可溶化して不溶性薬物の固体溶液を包含する薬物コーティングを提供するようにはたらき得ると考えられている。
【0085】
別の態様において、薬物コーティングは、薄膜形成剤としてHPMCおよびコポビドンの配合物、不溶性の薬物、および溶解性の薬物を包含する。こうした一態様の特定の一例において、薬物コーティングは、非オピオイド鎮痛薬のような不溶性薬物およびオピオイド鎮痛薬のような溶解性薬物を包含し得る。非オピオイド鎮痛薬およびオピオイド鎮痛薬の組合せを包含する投薬形態物は、鎮痛薬、抗炎症薬、解熱薬および鎮咳薬の作用の組合せを提供する。
【0086】
なおさらなる態様において、薬物コーティングは、薄膜形成剤としてのHPMCおよびコポビドンの配合物、不溶性の非オピオイド鎮痛薬、溶解性のオピオイド鎮痛薬、ならびに粘度増強剤若しくは崩壊剤を包含する。こうした一態様の特定の一例において、薬物コーティングは約1重量%と約2重量%との間のHPCのような粘度増強剤を包含する。こうした一態様の別の例において、薬物コーティングは約0.5重量%と約3重量%との間の崩壊剤を包含し、また、こうした一態様のなお別の例において、薬物コーティングは約0.5重量%と約3重量%との間の界面活性剤を包含する。
【0087】
薬物コーティングは、高薬物装填量を達成することが可能であるのみならず、しかし、薬物コーティングが2種若しくはそれ以上の異なる薬物を包含する場合は、薬物コーティングが該薬物コーティングに包含される薬物の量に直接比例する量の異なる薬物を放出することが見出されている。該比例した放出は、アセトアミノフェンおよびヒドロコドンのような劇的に異なる溶解性の特徴を表す薬物が薬物コーティングに包含されている場合であっても観察される。加えて、薬物コーティングは、その中に包含される薬物の実質的に全部を放出する。こうした性能の特徴は、確実かつ予測可能な薬物送達成績を助長し、そして、2種若しくはそれ以上の薬物を広範な異なる比で送達する薬物コーティングの製剤を可能にする。
【0088】
別の局面において、コーティング製剤は薬物コーティングを提供するのに使用し得る。コーティング懸濁液は、1種若しくはそれ以上の溶媒若しくは溶液内に物質に依存して溶解若しくは懸濁されている、薬物コーティングを形成するのに使用される物質を包含する。コーティング懸濁液に包含される1種若しくはそれ以上の溶媒は有機溶媒でなく、そして好ましくは水性溶媒である。コーティング懸濁液で使用しうる水性溶媒は、限定されるものでないが精製水、pHを調節した水、酸性化した水若しくは水性緩衝溶液を挙げることができる。好ましい一態様において、コーティング懸濁液に包含される水性溶媒は米国薬局方精製水である。コーティング製剤は好ましくは水性製剤であり、そしてコーティング組成物の処方において有機溶媒の使用から生じ得る潜在的な問題および欠点を回避する。
【0089】
薬物コーティングは最低1種の不溶性薬物を包含するため、コーティング製剤は、典型
的にはいずれかの適する方法を使用して水性懸濁液として製造し、また、好ましい態様において、コーティング製剤は、例えばパンコーティング、流動床コーティング、若しくは薬物コーティングを提供するのに適するいずれかの他の標準的コーティング方法のような既知のコーティング方法による薬物コーティングの製造を助長するように処方される。コーティング懸濁液で使用される溶媒の正確な量は、例えば完成した薬物コーティングに包含されるべき物質、コーティング懸濁液の所望のコーティング成績、および完成した薬物コーティングの所望の物理的特徴に依存して変動しうるとは言え、コーティング懸濁液は、典型的には約30重量%までの固形物含量を包含し、コーティング懸濁液の残部は所望の溶媒よりなる。コーティング懸濁剤の好ましい一態様は約80重量%の所望の水性溶媒および約20重量%の固形物含量を包含する。コーティング懸濁液は、薬物コーティングの吹付塗を容易にするのに十分に低いがそれでもなおコーティング工程の間のコーティング懸濁液に包含される不溶性薬物の実質的に均一な分散を維持するのに十分高い粘度を表すように処方する。
【0090】
コーティング製剤の製造において、コーティング製剤に負荷される薬物は超微粉の形態で提供し得る。コーティング製剤に負荷される薬物の粒子径を低下させることにより、より外見上滑らかな薬物コーティングを達成しうる。加えて、コーティング製剤に負荷される薬物物質の粒子径を低下させることにより、コーティング製剤により製造される薬物コーティングから放出される場合の薬物の溶解速度を、とりわけ薬物が不溶性薬物である場合に向上させうる。コーティング製剤の一態様において、コーティング製剤は、100ミクロン未満の平均粒子径を表す超微粉薬物物質を包含する。別の態様において、コーティング製剤は50ミクロン未満の平均粒子径を表す超微粉薬物物質を包含し、また、なお別の態様において、コーティング製剤は10ミクロン未満の平均粒子径を表す超微粉薬物物質を包含する。薬物物質の超微粉砕は、例えば既知のビーズ微粉砕、ジェットミル微粉砕若しくは微小沈殿工程のような当該技術分野で公知の方法により容易に達成し得、そして、粒子径は、沈降場流動分画法、光子相関分光法若しくはディスク遠心分離(disk centrifugation)のようないずれかの慣習的粒子径測定技術を使用して測定し得る。
【0091】
コーティング製剤中に溶解若しくは懸濁される固体は、薬物コーティング中で使用されるものと同一の相対量でコーティング製剤に負荷する。例えば、コーティング製剤に包含される薬物は、該コーティング製剤に負荷される固体の約85重量%ないし約97重量%に相当する。好ましい態様において、コーティング製剤に包含される薬物は、該コーティング製剤に負荷される固体の約90重量%ないし約93重量%に相当する。コーティング製剤に包含される薄膜形成剤は、該コーティング製剤に負荷される固体の約3重量%ないし約15重量%に相当し、そして、好ましい態様において、コーティング製剤に包含される薄膜形成剤は、該コーティング製剤に負荷される固体の約7重量%ないし約10重量%に相当する。包含される場合、粘度増強剤は、典型的に、コーティング製剤に包含される固体の5重量%若しくはそれ未満に相当することができる。粘度増強剤が固体の2重量%若しくはそれ未満に相当するコーティング製剤が好ましく、そして、とりわけ好ましい態様において、コーティング製剤に包含される粘度増強剤は、該コーティング製剤に包含される固体の1重量%若しくはそれ未満に相当する。コーティング製剤により形成されるべきコーティングが崩壊剤を包含するべきである場合、崩壊剤は、典型的に、コーティング製剤に包含される固体の約6重量%までに相当する。好ましい態様において、崩壊剤は、コーティング製剤に包含される固体の約0.5重量%ないし約3重量%に相当することができ、そして、崩壊剤を包含するコーティング製剤のとりわけ好ましい態様において、崩壊剤はコーティング製剤に包含される固体の約1重量%ないし約3重量%に相当する。界面活性剤が本発明の薬物コーティングに包含される場合、界面活性剤は、典型的には該コーティング製剤に包含される固体の約6重量%までに相当することができる。好ましくは、界面活性剤がコーティング製剤に包含される場合、界面活性剤はコーティング製剤に包含される固体の約0.5重量%ないし約3重量%に相当することができ、そして、界面活性剤を包含するコーティング製剤のとりわけ好ましい態様において、界面活性剤はコーティング製剤に包含される固体の約1重量%ないし約3重量%に相当する。
【0092】
製薬学的有効成分を含有する持続放出投薬形態物
OROS(R)技術は、薬物の即時放出を提供する薬物コーティングの使用を伴う若しくは伴わない、1種若しくはそれ以上の有効成分の持続放出を提供し得る、調節可能な持続放出投薬形態物を提供する。多様な型の浸透圧ディスペンサーは、米国特許第3,845,770号明細書に記述されるもののような簡単な浸透圧ポンプ、米国特許第3,995,631号、同第4,034,756号および同第4,111,202号明細書に記述されるもののようなミニ浸透圧ポンプ、ならびに米国特許第4,320,759号、同第4,327,725号、同第4,449,983号、同第4,765,989号および同第4,940,465号、Bhattへの同第6,368,626号明細書(それらの全部は引用することにより本明細書に組み込まれる)に記述されるもののようなプッシュプル、プッシュメルトおよびプッシュスティック浸透圧ポンプと称される多室浸透圧系を包含する。好ましく使用し得るOROS(R)の特定の改作はOROS(R)Push−StickTM系を包含する。浸透圧系に対する有意の一利点は、作動が実質的にpH非依存性であり、そして従って、投薬形態物が胃腸管を通過しかつ有意に異なるpH値を有する異なる微小環境に遭遇する際でさえ長時間を通じて浸透圧で決定される速度で継続することである。持続放出は、数時間程度の時間、若しくは投薬形態物が胃腸管に存する限り提供され得る。
【0093】
浸透圧投薬形態物は、水の拡散を可能にするがしかし存在する場合に薬物若しくは浸透物質の拡散を可能にしない半透性壁により少なくとも部分的に形成される区画中に液体を吸収するための駆動力を生成させるのに浸透圧を利用する。これらの浸透圧投薬形態物においては、有効成分リザーバ(1個若しくは複数)が、典型的には、場合によっては固体、液体若しくは懸濁液の形態の製薬学的剤を含有する有効成分区画、および胃から液体を吸収し、膨潤しかつ有効成分を投薬形態物からそして使用の環境に推し進めることができる親水性ポリマーの膨張可能な「押し」区画を伴い形成される。
【0094】
こうした浸透圧投薬形態物の総説は、SantusとBaker(1995)、“Osmotic drug delivery:a review of the patent literature”、Journal of Controlled Release 35:1−21(そっくりそのまま引用することにより本明細書に組み込まれる)に見出される。とりわけ、本出願の譲受人であるALZA Corporationにより所有されかつ浸透圧投薬形態物に向けられた以下の米国特許、すなわち米国特許第3,845,770号;同第3,916,899号;同第3,995,631号;同第4,008,719号;同第4,111,202号;同第4,160,020号;同第4,327,725号;同第4,519,801号;同第4,578,075号;同第4,681,583号;同第5,019,397号;同第5,156,850号;同第5,912,268号;同第6,375,978号;同第6,368,626号;同第6,342,249号;同第6,333,050号;同第6,287,295号;同第6,283,953号;同第6,270,787号;同第6,245,357号;および同第6,132,420号明細書が、それぞれそっくりそのまま本明細書に組み込まれる。
【0095】
投薬形態物の核は、典型的には、一層としての結合剤および鎮痛薬ならびに第二の層としての膨張可能なすなわち押し層の圧縮により形成される水分を含まない組成物若しくは実質的に水分を含まない組成物を含んでなる薬物層を含んでなる。「水分を含まない組成物」若しくは「実質的に水分を含まない組成物」により、投薬形態物の薬物層を形成する組成物が栓様の状態で投薬形態物から排出され、該組成物が十分に乾燥しているか、若し
くは押し層により発揮される圧下でそれが投薬形態物から液体流として容易に流動しないほど高度に粘性であることを意味している。薬物層それ自身は、薬物、結合剤および崩壊剤が十分に水和しておらず、そして薬物層がスラリー若しくは懸濁液として投薬形態物から流動しないため、押し層に関して非常にわずかの浸透圧活性を有する。薬物層は、薬物層がスラリー若しくは懸濁液として使用の環境に露出される代替の浸透圧投薬形態物と対照的に、侵食可能な組成物として使用の環境に露出される。薬物層は、提供される高薬物装填量ならびに送達されるべき薬物の乏しい溶解性により、あったとしても非常にわずかな浸透物質をそれが包含するために、侵食可能な組成物である。
【0096】
投薬形態物の核は、典型的には、一層としての結合剤および鎮痛薬ならびに第二の層としての膨張可能なすなわち押し層の圧縮により形成される水分を含まない組成物を含んでなる薬物層を含んでなる。「水分を含まない組成物」若しくは「実質的に水分を含まない組成物」により、投薬形態物の薬物層を形成する組成物が栓様の状態で投薬形態物から排出され、該組成物が十分に乾燥しているか、若しくは押し層により発揮される圧下でそれが投薬形態物から液体流として容易に流動しないほど高度に粘性であることを意味している。薬物層それ自身は、薬物、結合剤および崩壊剤が十分に水和しておらず、そして薬物層がスラリー若しくは懸濁液として投薬形態物から流動しないため、押し層に関して非常にわずかの浸透圧活性を有する。薬物層は、薬物層がスラリー若しくは懸濁液として使用の環境に露出される代替の浸透圧投薬形態物と対照的に、侵食可能な組成物として使用の環境に露出される。薬物層は、提供される高薬物装填量ならびに送達されるべき薬物の乏しい溶解性により、あったとしても非常にわずかな浸透物質をそれが包含するために、侵食可能な組成物である。
【0097】
圧縮技術は当該技術分野で既知でありかつ実施例1に例示される。押し層が使用の環境から液体を吸収する際に膨張可能な層が出口オリフィスから薬物層を押し、そして、露出された薬物層が侵食されて使用の環境に薬物を放出することができる。これは図1を参照して理解されると思われる。投薬形態物からの放出に際して、薬物層は水を吸収して崩壊剤を膨潤させかつ溶解性の剤を溶解させて、使用の環境で液体に侵食可能な固体を分散させかつ鎮痛薬を溶解させる。この「押し粘着(push−stick)」製剤が好ましい投薬形態物であり、そしてより詳細に下述する。
【0098】
浸透圧投薬形態物の特定の一態様は:空洞を規定しかつ形成された若しくは形成可能な出口オリフィスをその中に包含する半透性壁、空洞内に含有されかつ出口オリフィスに隣接して配置される治療上有効な量の最低1種の製薬学的有効成分(例えばオピオイド鎮痛薬および非オピオイド鎮痛薬)を含んでなる薬物層、空洞内に含有されかつ出口オリフィスから遠位に配置される押し置換層、ならびに半透性壁の内表面と、該壁と正対する薬物層の少なくとも外表面との間の流動促進層を含んでなる。該投薬形態物は、使用の環境で水と接触された後約12時間まで若しくはより長い間のオピオイド鎮痛薬および非オピオイド鎮痛薬のin vitro放出速度を提供する。
【0099】
浸透圧投薬形態物の組成
被験体へのその投与の前、作動の間および有効成分の送達後の「押し粘着」構成を有する本発明の投薬形態物の好ましい一態様を、図1に具体的に説明する。該投薬形態物は空洞および出口オリフィスを規定する壁を含んでなる。空洞内にかつ出口オリフィスから離れて押し置換層があり、そして薬物層は空洞内に出口オリフィスに隣接して配置される。流動促進層は少なくとも薬物層と壁の内表面との間を伸長し、また、壁の内表面と押し置換層との間を伸長し得る。
【0100】
投薬形態物は典型的に高薬物装填量(すなわち薬物層の総重量に基づき薬物層中に60%若しくはそれ以上、しかしより一般的には70%若しくはそれ以上の有効成分)にあり、そして侵食可能な組成物として使用の環境に露出される。薬物層は比較的不溶性の薬物から形成される組成物を含んでなり、かつ、同一の若しくは異なる溶解性を伴う付加的な薬物と組合せ得る。特定の一態様は、崩壊剤、結合剤、場合によっては界面活性剤および/若しくは浸透圧剤、ならびにそれらの混合物とともにオピオイド鎮痛薬および非オピオイド鎮痛薬を包含する。結合剤は一般に、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシプロピルアルキルセルロース、ポリ(アルキレン)オキシド、若しくはポリビニルピロリドン、またはそれらの混合物のような有効成分の放出速度および制御された送達パターンに貢献する親水性ポリマーである。これらの親水性ポリマーは、それらの化学的置換および分子量に依存して、水の存在下で変動する速度で水和されたようになる。これらの親水性ポリマーの代表例は、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(メチレンオキシド)、ポリ(ブチレンオキシド)およびポリ(ヘキシレンオキシド)を制限なしに包含する100,000ないし750,000の数平均分子量のポリ(アルキレンオキシド);ポリ(カルボキシメチルセルロースナトリウム)、ポリ(カルボキシメチルセルロースカリウム)およびポリ(カルボキシメチルセルロースリチウム)のようなポリ(アルカリカルボキシメチルセルロース)により表される40,000ないし400,000の数平均分子量のポリ(カルボキシメチルセルロース);ヒドロキシプロピルセルロースのような9,200ないし125,000の数平均分子量のヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルブチルセルロースおよびヒドロキシプロピルペンチルセルロースを制限なしに包含する9,200ないし125,000の数平均分子量のヒドロキシプロピルアルキルセルロースのようなヒドロキシプロピルアルキルセルロース;ならびに7,000ないし75,000の数平均分子量のポリ(ビニルピロリドン)である。それらのポリマーのなかで、100,000〜300,000の数平均分子量のポリ(エチレンオキシド)、7,000ないし75,000の数平均分子量のポリ(ビニルピロリドン)およびヒドロキシアルキルセルロースが好ましい。例えば、ポリ(ビニルピロリドン)は迅速に水和するポリマーとして知られている一方、ヒドロキシアルキルセルロース、とりわけヒドロキシプロピルセルロースはゆっくりと水和するポリマーである。胃環境で侵食する担体すなわち生物侵食性担体がとりわけ好ましい。
【0101】
界面活性剤および崩壊剤を担体中で同様に利用しうる。崩壊剤は、一般に、デンプン、粘土、セルロース、アルギンおよびガムならびに架橋デンプン、セルロースおよびポリマーを包含する。代表的崩壊剤は、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、Veegum HV、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、カルボキシメチルセルロース、低置換度カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、グアールガムなどを包含する。好ましい崩壊剤はクロスカルメロースナトリウムである。
【0102】
例示的界面活性剤は、ポリエチレングリコール400モノステアレート、ポリオキシエチレン−4−ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン−20−ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレン−20−ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレン−20−モノラウレート、ポリオキシエチレン−40−ステアレート、オレイン酸ナトリウムなどのような約10〜25の間のHLB値を有するものである。有用である界面活性剤は一般に、陰イオン性、陽イオン性および両性イオン性界面活性剤を包含するイオン性界面活性剤ならびに非イオン性界面活性剤を包含する。非イオン性界面活性剤はある態様で好ましく、そして、例えば、ポリオキシル40ステアレート、ポリオキシル50ステアレート、ポリオキシル100ステアレート、ポリオキシル12ジステアレート、ポリオキシル32ジステアレートおよびポリオキシル150ジステアレートのようなポリオキシルステアレート、ならびに他のMyrjTM系列の界面活性剤若しくはそれらの混合物を包含する。溶解された薬物の形成において有用な界面活性剤のなお別の分類は、商標名PluronicおよびPoloxamerで入手可能な一般式HO(C2H4O)a(−
C3H6O)b(C2H4O)aHを有するポロキサマーとしてもまた知られるエチレンオキシド/プロピレンオキシド/エチレンオキシドのトリブロック共重合体である。この分類の界面活性剤では、界面活性剤分子の親水性のエチレンオキシド端および界面活性剤分子のプロピレンオキシドの疎水性の中央ブロックが薬物を溶解かつ懸濁するようにはたらく。これらの界面活性剤は室温で固体である。他の有用な界面活性剤は、糖エステル界面活性剤、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリエステルのようなソルビタン脂肪酸エステル、および他のSpanTM系列の界面活性剤、グリセロールモノステアレートのようなグリセロール脂肪酸エステル、高分子量脂肪族アルコールのポリオキシエチレンエーテル(例えばBrij
30、35、58、78および99)、ポリオキシエチレンステアレート(自己乳化する)、ポリオキシエチレン40ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン75ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン6ソルビトールミツロウ誘導体、ポリオキシエチレン20ソルビトールミツロウ誘導体、ポリオキシエチレン20ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン50ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン23ラウリルエーテル、ブチル化ヒドロキシアニソールを含むポリオキシエチレン2セチルエーテル、ポリオキシエチレン10セチルエーテル、ポリオキシエチレン20セチルエーテル、ポリオキシエチレン2ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン10ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン20ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン21ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン20オレイルエーテル、ポリオキシエチレン40ステアレート、ポリオキシエチレン50ステアレート、ポリオキシエチレン100ステアレートのようなポリオキシエチレン誘導体、ポリオキシエチレン4ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン20ソルビタントリステアレートのようなソルビタンの脂肪酸エステルのポリオキシエチレン誘導体、ならびに、他のTweenTM系列の界面活性剤、リン脂質およびレシチンのようなリン脂質脂肪酸誘導体、脂肪アミン酸化物、脂肪酸アルカノールアミド、硬化ヤシ油モノグリセリド、硬化ダイズ油モノグリセリド、硬化ヤシ油ステアリンモノグリセリド、硬化植物油モノグリセリド、硬化綿実油モノグリセリド、精製ヤシ油モノグリセリド、部分硬化ダイズ油モノグリセリド、綿実油モノグリセリドヒマワリ油モノグリセリド、ヒマワリ油モノグリセリド、カノーラ油モノグリセリド、スクシニル化モノグリセリド、アセチル化モノグリセリド、アセチル化硬化植物油モノグリセリド、アセチル化硬化ココナツ油モノグリセリド、アセチル化硬化ダイズ油モノグリセリド、グリセロールモノステアレート、硬化ダイズ油とのモノグリセリド、硬化ヤシ油とのモノグリセリド、スクシニル化モノグリセリドおよびモノグリセリド、モノグリセリドおよびナタネ油、モノグリセリドおよび綿実油、プロピレングリコールモノエステルナトリウムステアロイルラクチレート二酸化ケイ素を含むモノグリセリドのようなプロピレングリコールモノエステルおよびモノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、ポリオキシエチレンステロイドエステル、エチレンオキシドと重合したオクチルフェノールから製造され(ここで商品名中の数字「100」は構造中のエチレンオキシド単位の数に間接的に関係し、例えばTriton X−100TMは625の平均分子量を伴い分子あたりN=9.5個のエチレンオキシド単位の平均を有する)かつ商業的製品中により少ない量で存在するより少ないおよびより多い分子付加物を有するTriton−X系列の界面活性剤、ならびにIgepal CA−630TMおよびNonidet P−40M(NP−40TM、N−ラウロイルサルコシン、Sigma Chemical Co.、ミズーリ州セントルイス)を包含するTriton X−100TMに類似の構造を有する化合物などを包含する。上の界面活性剤のいずれも、ブチル化ヒドロキシアニソールおよびクエン酸のような任意の添加された保存剤もまた包含し得る。加えて、界面活性剤分子中のいずれの炭化水素鎖も飽和若しくは不飽和、水素化若しくは非水素化であり得る。
【0103】
界面活性剤のとりわけ好ましい一群は、エチレンオキシド:プロピレンオキシド:エチレンオキシドのa:b:aのトリブロック共重合体であるポロキサマー界面活性剤である。「a」および「b」はポリマー鎖の各ブロックの単量体単位の平均数を表す。これらの界面活性剤は、多様な異なる分子量でかつ異なる値の「a」および「b」ブロックを伴い、ニュージャージー州マウントオリーブのBASF Corporationから商業的に入手可能である。例えば、Lutrol(R)F127は9,840ないし14,600の分子量範囲を有し、そしてここで「a」はおよそ101でありかつ「b」はおよそ56であり、Lutrol F87は、「a」が64でありかつ「b」が37である6,840ないし8,830の分子量を表し、Lutrol F108は、「a」が141でありかつ「b」が44である12,700ないし17,400の平均分子量を表し、そしてLutrol F68は、「a」が約80の値を有しかつ「b」が約27の値を有する7,680ないし9,510の平均分子量を表す。
【0104】
他の界面活性剤は、脂肪酸の糖エステルである糖エステル界面活性剤である。こうした糖エステル界面活性剤は、糖脂肪酸モノエステル、糖脂肪酸ジエステル、トリエステル、テトラエステル、若しくはそれらの混合物を包含するとは言え、モノおよびジエステルが最も好ましい。好ましくは、糖脂肪酸モノエステルは6から24個までの炭素原子を有する脂肪酸を含んでなり、それらは直鎖状若しくは分枝状、または飽和若しくは不飽和のC6ないしC24脂肪酸でありうる。C6ないしC24脂肪酸は、C6、C7、C8、C9、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C16、C17、C18、C19、C20、C21、C22、C23およびC24をいずれかの部分的範囲若しくは組合せで包含する。これらのエステルは、好ましくは、ステアリン酸エステル、ベヘン酸エステル、ヤシ油脂肪酸エステル(cocoate)、アラキドン酸エステル、パルミチン酸エステル、ミリスチン酸エステル、ラウリン酸エステル、カルプレート(carprate)、オレイン酸エステル、ラウリン酸エステルおよびそれらの混合物から選ばれる。
【0105】
好ましくは、糖脂肪酸モノエステルは、ショ糖、麦芽糖、ブドウ糖、果糖、マンノース、ガラクトース、アラビノース、キシロース、乳糖、ソルビトール、トレハロース若しくはメチルグルコースのような最低1個の糖単位を含んでなる。ショ糖エステルのような二糖エステルが最も好ましく、そしてショ糖ヤシ油脂肪酸エステル、ショ糖モノオクタン酸エステル、ショ糖モノデカン酸エステル、ショ糖モノ若しくはジラウリン酸エステル、ショ糖モノミリスチン酸エステル、ショ糖モノ若しくはジパルミチン酸エステル、ショ糖モノおよびジステアリン酸エステル、ショ糖モノ、ジ若しくはトリオレイン酸エステル、ショ糖モノ若しくはジリノール酸エステル、ショ糖ペンタオレイン酸エステル、ヘキサオレイン酸エステル、ヘプタオレイン酸エステル若しくはオクトオレイン酸エステルのようなショ糖ポリエステル、ならびにショ糖パルミチン酸エステル/ステアリン酸エステルのような混合エステルを包含する。
【0106】
これらの糖エステル界面活性剤のとりわけ好ましい例は、米国特許第3,480,616号明細書に記述されるようなエステル化度を制御する方法を使用して製造されるショ糖ステアリン酸エステルを含んでなる多様なモノ、ジおよびモノ/ジエステル混合物を示す、名称Crodesta F10、F50、F160およびF110でニュージャージー州パーシッパニーの企業Croda Incにより販売されるものを包含する。これらの好ましい糖エステル界面活性剤は、打錠の容易さおよび不鮮明でない(nonsmearing)造粒の付加される利益を提供する。
【0107】
例えば、20%のモノエステルならびに80%のジ、トリおよびポリエステルから形成されるショ糖ベヘン酸エステルに対応する参照B370で名称リョートーシュガーエステルで企業三菱により販売されるものもまた利用しうる。名称「Tegosoft PSE」で企業Goldschmidtにより販売されるショ糖モノおよびジパルミチン酸エステル/ステアリン酸エステルもまた利用しうる。これらの多様な製品の混合物もまた利用しうる。糖エステルは糖由来でない別の化合物との混合状態でもまた存在し得;そして、好ましい一例は、企業ICIにより名称「Arlatone 2121」で販売されるステアリン酸ソルビタンおよびショ糖ヤシ油脂肪酸エステルの混合物を包含する。他の糖エステルは、例えばブドウ糖トリオレイン酸エステル、ガラクトースジ、トリ、テトラ若しくはペンタオレイン酸エステル、アラビノースジ、トリ若しくはテトラリノール酸エステルまたはキシロースジ、トリ若しくはテトラリノール酸エステルあるいはそれらの混合物を包含する。脂肪酸の他の糖エステルは、メチルグルコースのエステルは、Tegocare 450の名称で企業Goldschmidtにより販売されるメチルグルコースおよびポリグリセロール−3のジステアリン酸エステルを包含するを包含する。メチルO−ヘキサデカノイル−6−D−グルコシドおよびO−ヘキサデカノイル−6−D−マルトースのようなブドウ糖若しくは麦芽糖モノエステルもまた包含し得る。ある種の他の糖エステル界面活性剤は、脂肪酸および糖のオキシエチレン化(oxyethylenated)エステルは、企業Amercholにより名称「Glucamate SSE20」で販売されるPEG−20メチルグルコースセスキステアリン酸エステルのようなオキシエチレン化誘導体を包含するを包含する。
【0108】
固体の界面活性剤を包含する界面活性剤の供給源およびそれらの特性は、McCutcheon’s Detergents and Emulsifiers、International Edition 1979およびMcCutcheon’s Detergents and Emulsifiers、North American Edition 1979で入手可能である。固体の界面活性剤の特性に関する情報の他の供給源は、BASF Technical Bulletin Pluronic & Tetronic Surfactants 1999およびGeneral Characteristics of Surfactants from ICI Americas Bulletin 0−1 10/80 5M、ならびにEastman Food Emulsifiers Bulletin ZM−1K 1993年10月を包含する。
【0109】
これらの参考文献に表にされている界面活性剤の特徴の1つはHLB値、すなわち親水親油バランス値である。この値は界面活性剤分子の相対親水性および相対疎水性を表す。一般に、HLB値が大きくなるほど、界面活性剤の親水性は大きくなる一方、HLB値が小さくなるほど疎水性が大きくなる。例えば、Lutrol(R)分子について、エチレンオキシド画分は親水性部分を表し、そしてプロピレンオキシド画分は疎水性画分を表す。Lutrol F127、F87、F108およびF68のHLB値はそれぞれ22.0、24.0、27.0および29.0である。好ましい糖エステル界面活性剤は約3ないし約15の範囲のHLB値を提供する。最も好ましい糖エステル界面活性剤、Crodesta F160は14.5のHLB値を有することを特徴とする。
【0110】
イオン性界面活性剤は、コール酸、およびデオキシコール酸、ウルソデオキシコール酸、タウロコール酸、タウロデオキシコール酸、タウロケノデオキシコール酸のようなコール酸の誘導体ならびにそれらの塩、ならびに陰イオン性界面活性剤(その最も一般的な例はドデシル(若しくはラウリル)硫酸ナトリウムである)を包含する。両性イオン性若しくは両性界面活性剤は、一般に陰イオンとしてカルボン酸若しくはリン酸基および陽イオンとしてアミノ若しくは四級アンモニウム部分を包含する。これらは、例えば、多様なポリペプチド、タンパク質、アルキルベタイン、ならびにレシチンおよびセファリンのような天然のリン脂質、アルキル−β−アミノプロピオン酸塩および2−アルキル−イミダゾリン四級アンモニウム塩、ならびにCHAPS系列の界面活性剤(例えばAldrichから入手可能な3−[3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオール]−1−プロパンスルホネート水和物)などを包含する。
【0111】
界面活性剤は、典型的には乏しい凝集特性を有し、そして従って硬い耐久性のある錠剤として圧縮しない。さらに、界面活性剤は、標準的な温度および条件で液体、ペースト若
しくは蝋性固体の物理形態にあり、そして打錠される経口の製薬学的投薬形態物に不適切である。前述の界面活性剤は、高用量で送達される低溶解性薬物の溶解性および潜在的生物学的利用能を高めることにより機能することが驚くべきことに見出された。
【0112】
界面活性剤は、1種の界面活性剤として若しくは界面活性剤の配合物として包含され得る。それらが薬物の溶解および溶解性を促進する値を有するような界面活性剤を選択する。特定の薬物が中間のHLB値を必要とする場合は、高HLB界面活性剤を低HLBの界面活性剤と配合してそれらの間である正味のHLB値を達成し得る。界面活性剤は送達されている薬物に依存して選択し;その結果適切なHLB等級を利用する。
【0113】
比較的不溶性の薬物(例えば非オピオイド鎮痛薬)は、送達時間、すなわち投薬形態物の連続した投与の間の時間にわたり維持されなければならない必要とされる投薬レベルに依存して、投薬形態物あたり約1マイクログラムから約1000mgまで、およびより典型的には約200から約600mgまでの量で薬物層中に提供され得る。好ましい一態様において、非オピオイド鎮痛薬は200mgないし600±100mgのイブプロフェンである。一般に、投薬形態物中の化合物の装填量は、患者により必要とされる疼痛のレベルに依存して、1日あたり約3000mgまで、より通常は1日あたり約1000ないし2000mgまでの範囲にわたる非オピオイド鎮痛薬の用量を被験体に提供することができる。
【0114】
付加的な有効成分(例えばオピオイド鎮痛薬)は、送達時間、すなわち投薬形態物の連続した投与の間の時間にわたり維持されなければならない必要とされる投薬レベルに依存して、投薬形態物あたり1マイクログラムから500mgまで、およびより典型的には約10から約100mgまでの量で薬物層中に提供され得る。好ましい一態様において、オピオイド鎮痛薬は15±5mgのヒドロコドンである。一般に、投薬形態物中の化合物の装填量は、患者により必要とされる医薬品のレベルに依存して、1日あたり約2000mgまで、より多くは1日あたり約10ないし60若しくは600mgの間の範囲にわたる有効成分の用量を被験体に提供することができる。
【0115】
押し層は、薬物層と直接若しくは間接的に接触する層状の配置で押し置換組成物を有する膨張可能な層である。押し層は一般に、水性若しくは生物学的液体を吸収しかつ膨潤して装置の出口手段を通して薬物組成物を押すポリマーを含んでなる。液体を吸収する置換ポリマーの代表は、500,000ないし3,500,000の数平均分子量のポリ(エチレンオキシド)およびポリ(アルカリカルボキシメチルセルロース)(ここでアルカリはナトリウム、カリウム若しくはリチウムである)により表されるところの100万ないし1500万の数平均分子量のポリ(アルキレンオキシド)から選択されるメンバーを含んでなる。押し置換組成物の製剤のための付加的なポリマーの例は、Carbopol(R)酸性カルボキシポリマー、カルボキシポリメチレンとしてもまた知られるポリアリルショ糖で架橋されたアクリル酸のポリマー、および250,000ないし4,000,000の分子量を有するカルボキシビニルポリマー;Cyanamer(R)ポリアクリルアミド;架橋した水で膨潤可能な無水インデンマレイン酸(indenemaleic)ポリマー;80,000ないし200,000の分子量を有するGood−rite(R)ポリアクリル酸;ジエステル架橋ポリグルランのような縮合ブドウ糖単位から構成されるAqua−Keeps(R)アクリル酸ポリマー多糖;などのようなヒドロゲルを形成するポリマーを含んでなる浸透圧ポリマー(osmopolymer)を含んでなる。ヒドロゲルを形成する代表的ポリマーは、Hartopに交付された米国特許第3,865,108号明細書;Manningに交付された米国特許第4,002,173号明細書;Michaelsに交付された米国特許第4,207,893号明細書;およびHandbook of Common Polymers、ScottとRoff、Chemical Rubber Co.、オハイオ州クリーブランドにて従来技術に既知である。
【0116】
外壁および下塗りを横断する浸透圧勾配を表す浸透圧性の溶質(osmotic solute)および浸透圧性有効成分としてもまた知られる浸透物質は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、リン酸水素カリウム(potassium acid phosphate)、マンニトール、尿素、イノシトール、コハク酸マグネシウム、酒石酸ラフィノース、ショ糖、ブドウ糖、乳糖、ソルビトール、無機塩、有機塩および炭水化物よりなる群から選択されるメンバーを含んでなる。
【0117】
流動促進層(簡潔さのための下塗りともまた呼ばれる)は、半透性壁の内表面および壁に正対する薬物層の少なくとも外表面と接触関係にあるが;とは言え流動促進層は、押し置換層の外表面に伸長し、囲みかつ接触してもよくかつ好ましくはすることができる。該壁は、典型的には、壁の内表面に正対する薬物層の外表面の少なくともその部分を囲むことができる。流動促進層は、薬物層および押し層を含んでなる圧縮した核の上に適用されるコーティングとして形成しうる。外側の半透性壁は内側の流動促進層を囲みかつ入れる。流動促進層は、好ましくは薬物層の少なくとも表面、ならびに場合によっては圧縮した薬物層および押し置換層の外表面全体の下塗りとして形成される。半透性壁が薬物層、押し層および流動促進層から形成される混成物の塗膜として形成される場合、流動促進層との半透性壁の接触が保証される。
【0118】
流動促進層は、半透性壁2と薬物層の外表面との間の摩擦力を低下させて従って該装置からの薬物のより完全な送達を見込むことにより、本発明の投薬形態物からの薬物の放出を助長する。とりわけ、高費用を有する有効成分の場合は、こうした改良はかなりの経済的利点を提示する。必要とされる最少量の薬物が送達されることができることを保証するために過剰の薬物を薬物層に負荷することが必要でないからである。
【0119】
流動促進層は、典型的には0.01ないし5mm厚、より典型的には0.5ないし5mm厚であることができ、そして、それは、ヒドロゲル、ゼラチン、低分子量ポリエチレンオキシド(例えば100,000MW未満)、ヒドロキシアルキルセルロース(例えばヒドロキシエチルセルロース)、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシイソプロピルセルロース、ヒドロキシブチルセルロースおよびヒドロキシフェニルセルロース、ならびにヒドロキシアルキルアルキルセルロース(例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース)、ならびにそれらの混合物から選択されるメンバーを含んでなる。ヒドロキシアルキルセルロースは9,500ないし1,250,000の数平均分子量を有するポリマーを含んでなる。例えば、80,000ないし850,000の間の数平均分子量を有するヒドロキシプロピルセルロースが有用である。流動促進層は、水性溶媒若しくは不活性有機溶媒中の前述の物質の慣習的溶液若しくは懸濁液から製造しうる。下塗りすなわち流動促進層に好ましい素材は、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポビドン[ポリ(ビニルピロリドン)]、ポリエチレングリコールおよびそれらの混合物を包含する。有機溶媒、とりわけ1〜8個の炭素原子を有する低級アルカノール、好ましくはエタノールのような有機極性溶媒中で調製したヒドロキシプロピルセルロースおよびポビドンの混合物、水性溶液中で調製したヒドロキシエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースの混合物、ならびに水性溶液中で調製したヒドロキシエチルセルロースおよびポリエチレングリコールの混合物がより好ましい。最も好ましくは、流動促進層はエタノール中で調製したヒドロキシプロピルセルロースおよびポビドンの混合物よりなる。
【0120】
便宜的には、二層核に適用される流動促進層の重量は、流動促進層の厚さ、および本明細書に記述されるような放出速度アッセイにおいて投薬形態物中に残存する残余の薬物と
相関しうる。製造操作の間に、流動促進層の厚さは、コーティング操作中に取り込まれる下塗りの重量を制御することにより制御しうる。流動促進層が、下塗りとして、すなわち打錠された二層混成物薬物層および押し層上に被覆することにより形成される場合、該下塗りは打錠工程により二層核上に形成された表面の不規則性を充填し得る。生じる滑らかな外表面は、薬物の調剤の間の被覆された二層混成物と半透性壁との間の滑りを助長して、投薬期間の終了時により少量の装置中に残存する残余の薬物組成物をもたらす。流動促進層がゲル形成素材から二次加工される場合、使用の環境での水との接触が、半透性壁と薬物層との間の滑りを促進しかつ高めうる粘度を有するゲル若しくはゲル様の内塗膜の形成を助長する。
【0121】
該壁は、水および生物学的液体のような外的液体の通過に対し浸透性かつ有効成分、浸透物質、浸透圧ポリマーなどの通過に対し実質的に不透性の半透性組成物である。該壁を形成するのに使用される選択的に半透性の組成物は、本質的に侵食不可能であり、そして投薬形態物の寿命の間、生物学的液体に不溶性である。該壁はその全体が半透性である必要はないが、しかし、壁の少なくとも一部分は、押し層が使用の間に液体を吸収しかつ膨張し得るような押し置換層と液体を接触若しくは連絡させるように半透性である。該壁は、好ましくは、セルロースアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート若しくはそれらの混合物を制限なしに包含するセルロースアシレート、セルロースジアシレート、セルローストリアシレートのようなポリマーを含んでなる。壁を形成する素材はまた、エチレンビニルアセテート共重合体、ポリエチレン、エチレンの共重合体、Engage(R)(Dupont Dow Elastomers)のようなエチレンオキシド共重合体を包含するポリオレフィン、ポリアミド、セルロース誘導体素材、ポリウレタン、PEBAX(R)(Elf Atochem North America,Inc.)のようなポリエーテルブロックアミド共重合体、セルロースアセテートブチレートおよびポリビニルアセテートからも選択しうる。典型的には、該壁は、60重量パーセントないし100重量%のセルロース誘導体の壁を形成するポリマーを含んでなるか、または、該壁は0.01重量%ないし10重量%のポロキサマーとして知られるエチレンオキシド−プロピレンオキシドブロック共重合体、若しくは1重量%ないし35重量%のヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルアルキルセルロースよりなる群から選択されるセルロースエーテル、ならびに5重量%ないし15重量%のポリエチレングリコールを含み得る。壁を含んでなる全成分の総重量パーセントは100重量%に等しい。
【0122】
壁を形成するための代表的ポリマーは、半透性ホモポリマー、半透性共重合体などを含んでなる。こうした素材はセルロースエステル、セルロースエーテルおよびセルロースエステル−エーテルを含んでなる。セルロース誘導体ポリマーは、0以上から3までを包含するそれらのアンヒドログルコース単位の置換度(DS)を有する。置換度(DS)は、置換する基により置換されるか若しくは別の基に転化されるアンヒドログルコース単位上に元から存在するヒドロキシル基の平均数を意味している。アンヒドログルコース単位は、アシル、アルカノイル、アルケノイル、アロイル、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、カルボアルキル、アルキルカルバメート、アルキルカーボネート、アルキルスルホネート、アルキルスルファメート、半透性ポリマーを形成する基などのような基で部分的に若しくは完全に置換し得、該有機部分は1から12個までの炭素原子、および好ましくは1から8個までの炭素原子を含有する。
【0123】
半透性組成物は、典型的には、セルロースアシレート、セルロースジアシレート、セルローストリアシレート、セルロースアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、モノ、ジおよびトリセルロースアルカニレート、モノ、ジおよびトリアルケニレート、モノ、ジおよびトリアロイレートなどを包含する。例示的ポリマーは、1.8ないし2.3のDSおよび32ないし39.9%のアセチル含量を有するセルロースアセテート;1ないし2のDSおよび21ないし35%のアセチル含量を有するセルロースジアセテート;2ないし3のDSおよび34ないし44.8%のアセチル含量を有するセルローストリアセテート;などを包含する。より具体的なセルロース誘導体ポリマーは、1.8のDSおよび38.5%のプロピオニル含量を有するセルロースプロピオネート;1.5ないし7%のアセチル含量および39ないし42%のアセチル含量を有するセルロースアセテートプロピオネート;2.5ないし3%のアセチル含量、39.2ないし45%の平均プロピオニル含量および2.8ないし5.4%のヒドロキシル含量を有するセルロースアセテートプロピオネート;1.8のDS、13ないし15%のアセチル含量、および34ないし39%のブチリル含量を有するセルロースアセテートブチレート;2ないし29%のアセチル含量、17ないし53%のブチリル含量および0.5ないし4.7%のヒドロキシル含量を有するセルロースアセテートブチレート;セルローストリバレレート、セルローストリラメート(trilamate)、セルローストリパルミテート、セルローストリオクタノエートおよびセルローストリプロピオネートのような2.6ないし3のDSを有するセルローストリアシレート;セルロースジスクシネート、セルロースジパルミテート、セルロースジオクタノエート、セルロースジカプリレートなどのような2.2ないし2.6のDSを有するセルロースジエステル;ならびにセルロースアセテートバレレート、セルロースアセテートスクシネート、セルロースプロピオネートスクシネート、セルロースアセテートオクタノエート、セルロースバレレートパルミテート、セルロースアセテートヘプタノエートなどのような混合セルロースエステルを包含する。半透性ポリマーは米国特許第4,077,407号明細書で既知であり、また、それらはEncyclopedia of Polymer Science and Technology、Vol.3、pp.325−354、Interscience Publishers Inc.、ニューヨーク州ニューヨーク(1964)に記述される手順により合成し得る。
【0124】
外壁を形成するための付加的な半透性ポリマーは、セルロースアセトアルデヒドジメチルアセテート;セルロースアセテートエチルカルバメート;セルロースアセテートメチルカルバメート;セルロースジメチルアミノアセテート;半透性ポリアミド;半透性ポリウレタン;半透性スルホン化ポリスチレン;米国特許第3,173,876号;同第3,276,586号;同第3,541,005号;同第3,541,006号および同第3,546,142号明細書に開示されるところの陰イオンおよび陽イオンの共沈殿により形成される架橋選択的半透性ポリマー;米国特許第3,133,132号明細書にLoebらにより開示されるところの半透性ポリマー;半透性ポリスチレン誘導体;半透性ポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム);半透性ポリ(塩化ビニルベンジルトリメチルアンモニウム);ならびに半透性壁を横断する静水圧若しくは浸透圧の差違の雰囲気により表される10−5ないし10−2(cc.ミル/cm hr.atm)の液体浸透性を表す半透性ポリマーを含んでなる。該ポリマーは米国特許第3,845,770号;同第3,916,899号および同第4,160,020号明細書;ならびにHandbook of Common Polymers、ScottとRoff編、CRC Press、オハイオ州クリーブランド(1971)で当該技術に既知である。
【0125】
該壁はまた流量調節剤も含みうる。流量調節剤は、液体浸透性すなわち壁を通る流量の調節において補助するために添加される化合物である。流量調節剤は流量増強剤若しくは流量減少剤であり得る。該剤は液体の流量を増大若しくは減少させるように予め選択し得る。水のような液体に対する浸透性の顕著な増大を生じる剤はしばしば本質的に親水性である一方、水のような液体に対する顕著な減少を生じるものは本質的に疎水性である。壁中の調節剤の量は、その中に組み込まれる場合に一般に約0.01%から20重量%まで若しくはそれ以上である。流量調節剤は、多価アルコール、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンジオール、アルキレングリコールのポリエステルなどを包含しうる。典型的な流量増強剤は、ポリエチレングリコール300、400、600、1500、400
0、6000など;ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールおよびポリアミレングリコールのような低分子量グリコール:ポリ(1,3−プロパンジオール)、ポリ(1,4−ブタンジオール)、ポリ(1,6−ヘキサンジオール)などのようなポリアルキレンジオール;1,3−ブチレングリコール、1,4−ペンタメチレングリコール、1,4−ヘキサメチレングリコールなどのような脂肪族ジオール;グリセリン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ヘキサントリオール、1,3,6−ヘキサントリオールなどのようなアルキレントリオール;エチレングリコールジプロピオネート、エチレングリコールブチレート、ブチレングリコールジプロピオネート、グリセロール酢酸エステルなどのようなエステルを包含する。現在好ましい流量増強剤は、ポロキサマー(BASF)として知られるプロピレングリコールの二官能性ブロック共重合体ポリオキシアルキレン誘導体の群を包含する。代表的な流量減少剤は、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメトキシエチル、フタル酸ジメチルおよび[フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)]のようなアルキル若しくはアルコキシまたはアルキルおよびアルコキシ双方の基で置換されたフタル酸エステル、フタル酸トリフェニルおよびフタル酸ブチルベンジルのようなアリールフタル酸エステル;硫酸カルシウム、硫酸バリウム、リン酸カルシウムなどのような不溶性の塩;二酸化チタンのような不溶性酸化物;ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネートおよびポリスルホンのような粉末、顆粒および類似の形態のポリマー;長鎖アルキル基でエステル化されたクエン酸エステルのようなエステル;不活性かつ実質的に水不浸透性の増量剤;セルロースに基づく壁を形成する素材と適合性の樹脂などを包含する。
【0126】
壁に可撓性および伸長特性を与えるため、壁をより少なく脆性ないし非脆性にするためかつ断裂強さにするために半透性壁素材に包含されうる他の素材。適する素材は、フタル酸ジベンジル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ブチルオクチル、6ないし11個の炭素の直鎖フタル酸エステル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシルなどのようなフタル酸エステル系可塑剤を包含する。該可塑剤は、トリアセチン、ジオクチルアゼレート、エポキシド化トール油、トリメリト酸トリイソクチル、トリメリト酸トリイソノニル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、エポキシド化ダイズ油などのような非フタル酸エステルを包含する。壁中の可塑剤の量は、その中に組み込まれる場合に約0.01%ないし20重量%若しくはそれ以上である。
【0127】
投薬形態物の製造
簡潔には、該投薬形態物は、下により詳細に論考される以下の基礎段階を使用して製造する。1個の薬物層および1個の押し置換層の二層である核を最初に成形し、そして流動促進層で被覆し;被覆した核はその後乾燥し得るが、とは言えこれは任意であり;そして半透性壁をその後適用する。その後、オリフィスを適する手順(例えばレーザー孔あけ)により提供するが、とは言え後の時間に形成されるオリフィス(形成可能なオリフィス)を提供する代替手順を使用し得る。最後に、完成した投薬形態物を乾燥し、そして使用若しくは即時放出薬物コーティングで被覆するための準備ができている。
【0128】
薬物層は、有効成分(例えば非オピオイド鎮痛薬および/若しくはオピオイド鎮痛薬)ならびに結合剤ならびに他の成分を含有する混合物として形成する。薬物層は、本発明の様式(mode)および様式(manner)に従って、典型的には化合物を含有する核として、薬物の大きさおよび薬物層の二次加工で使用される付随するポリマーの大きさを生じる粉砕により粒子から形成し得る。粒子を製造するための手段は、意図されるミクロンの粒子径を生じさせるための造粒、噴霧乾燥、篩過、凍結乾燥、破砕、粉砕、ジェットミル微粉砕、超微粉砕および細断を包含する。該工程は、超微粉砕ミル、流動エネルギー細砕機、細砕機、ロールミル、ハンマーミル、磨砕機、チェイサーミル(chaser mill)、ボールミル、振動ボールミル、衝撃微粉砕ミル、遠心微粉砕機、粗破砕機および微破砕機のような大きさを低下させる機器により実施し得る。粒子の大きさは、グリ
ズリ篩(grizzly screen)、平坦篩、振動(vibrating)篩、回転篩、振とう篩、振動(oscillating)篩および往復篩を包含する篩過により確かめ得る。薬物および結合剤を調製するための方法および機器は、Pharmaceutical Sciences、Remington、第17版、pp.1585−1594(1985);Chemical Engineers Handbook、Perry、第6版、pp.21−13ないし21−19(1984);Journal of Pharmaceutical Sciences、Parrot、Vol.61、No.6、pp.813−829(1974);およびChemical Engineer、Hixon、pp.94−103(1990)に開示されている。
【0129】
本発明の投薬形態物中で利用されるそれぞれの壁、層、コーティングおよびサブコーティング(subcoating)を製造するのに適する例示的溶媒は、投薬形態物を二次加工するのに利用される物質に悪影響を及ぼさない水性および不活性有機溶媒を含んでなる。溶媒は、広範に、水性溶媒、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、脂肪族炭化水素、ハロゲン化溶媒、環状脂肪族、芳香族、複素環溶媒およびそれらの混合物よりなる群から選択されるメンバーを包含する。典型的な溶媒は、アセトン、ジアセトンアルコール、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、メチルイソブチルケトン、メチルプロピルケトン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルアセテート、メチレンジクロリド、エチレンジクロリド、プロピレンジクロリド、四塩化炭素ニトロエタン、ニトロプロパンテトラクロロエタン、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、シクロヘキサン、シクロオクタン、ベンゼン、トルエン、ナフサ、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグリム、水、塩化ナトリウム、塩化カルシウムなどのような無機塩を含有する水性溶媒、ならびにアセトンおよび水、アセトンおよびメタノール、アセトンおよびエチルアルコール、メチレンジクロリドおよびメタノール、ならびにエチレンジクロリドおよびメタノールのようなそれらの混合物を包含する。
【0130】
パンコーティングは、出口オリフィスを除いて完成した投薬形態物を提供するのに便宜的に使用しうる。パンコーティング装置中で、壁を形成する組成物の下塗りを、回転パン中での混転により付随される薬物層および押し層を含んでなる二層核へのそれぞれの組成物の連続噴霧により付着させ得る。パンコーターは商業的規模でのその利用可能性のために使用し得る。他の技術を、薬物核を被覆するために使用し得る。被覆した投薬形態物を強制空気オーヴン若しくは温度および湿度を制御したオーヴン中で乾燥させて投薬形態物から溶媒をなくし得る。乾燥条件は、利用可能な装置、周囲条件、溶媒、コーティング、コーティング厚などに基づき便宜的に選ぶことができる。
【0131】
他のコーティング技術もまた使用し得る。例えば、投薬形態物の半透性壁および下塗りは、空気浮遊処置を使用する一技術で形成し得る。この処置は、空気、内側下塗り組成物および外側の半透性壁を形成する組成物の流れ中で、いずれかの操作で下塗りおよび外壁塗膜が二層核に適用されるまで二層核を浮遊かつ混転することよりなる。空気浮遊処置は投薬形態物の壁を独立に成形するのに十分に適する。空気浮遊処置は、米国特許第2,799,241号明細書;J.Am.Pharm.Assoc.、Vol.48、pp.451−459(1959);および上記、Vol.49、pp.82−84(1960)に記述されている。投薬形態物はまた、例えば補助溶媒としてメチレンジクロリドメタノールを使用してWurster(R)空気浮遊コーターでも被覆し得る。Aeromatic(R)空気浮遊コーターを、補助溶媒を使用して使用し得る。
【0132】
本発明の投薬形態物は標準技術により製造しうる。例えば、該投薬形態物は湿式造粒技術により製造しうる。湿式造粒技術において、薬物および第一層を含んでなる成分すなわ
ち薬物組成物を、変性無水エタノールのような有機溶媒を造粒液体として使用して配合する。第一層を形成する成分すなわち薬物組成物は、予め選択した篩を個別に通過させ、そしてその後ミキサー中で徹底的に配合する。次に、第一層を含んでなる他の成分を、上述された溶媒のような造粒液体の一部分に溶解し得る。その後、後者の調製された湿潤配合物を、ブレンダー中で継続的混合を伴い薬物配合物にゆっくりと添加する。湿潤配合物が生じるまで造粒液体を添加し、その湿潤した塊の配合物をその後、予め決められた篩を通してオーヴントレイに上に進める。配合物を強制空気オーヴン中24℃ないし35℃で18ないし24時間乾燥する。乾燥した顆粒をその後大きさ分類する。次に、ステアリン酸マグネシウムを薬物造粒に添加し、その後微粉砕ジャーに入れ、そしてボールミルで10分間混合する。組成物を例えばManesty(R)プレスで一層にプレスする。プレスの速度は20rpmに設定し、また、最大負荷は2トンに設定する。第一層を、第二層を形成する組成物にプレスし、そして二層錠をKilian(R)ドライコータープレスにフィードし、そして薬物を含まない塗膜、次いで外壁溶媒コーティングで囲む。
【0133】
別の製造において、非オピオイド鎮痛薬およびオピオイド鎮痛薬ならびに出口手段に面する第一層を含んでなる他の成分を配合しかつ固体層にプレスする。該層は、投薬形態物中で該層が占有するはずである領域の内側寸法に対応する寸法を有し、そしてそれはまた、第二層と接触する配置を形成するためにそれに対応する寸法も有する。薬物および他の成分はまた、ボールミル粉砕、圧延、攪拌若しくはロール練りのような慣習的方法により溶媒とも配合しかつ固体若しくは半固体の形態に混合し得、そしてその後、予め選択した形状にプレスし得る。次に、膨張可能な層、例えば浸透圧ポリマー組成物の層を、同様の様式で薬物の層と接触させる。薬物製剤および浸透圧ポリマー層の積層(layering)を、慣習的な二層プレス技術により二次加工し得る。2個の接触させた層を、最初に、流動を促進する下塗り、そしてその後外側半透性壁で被覆する。空気浮遊および空気混転処置は、プレスした接触している第一および第二の層を、該第一および第二の層が壁組成物により囲まれるまで、遅れて形成する組成物を含有する空気流中に浮遊かつ混転することに含んでなる。
【0134】
区画形成組成物を提供するのに使用し得る別の製造方法は、流動床造粒機中で粉末成分を配合することを含んでなる。粉末成分を造粒機中で乾式配合した後に、造粒液体、例えば水中ポリ(ビニルピロリドン)を粉末に噴霧する。被覆された粉末をその後造粒機中で乾燥する。この工程は、造粒液体を添加する際に、その中に存在する全成分を造粒する。顆粒を乾燥した後に、ステアリン酸若しくはステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤をトート(tote)若しくはV−ブレンダーを使用して造粒に混合する。顆粒をその後、上述された様式でプレスする。
【0135】
流動促進層をその後、プレスした核に適用する。半透性壁を、プレスした核および/若しくは流動促進層の外表面上に被覆する。半透性壁の素材をアセトン若しくはメチレンクロリドのような適切な溶媒に溶解し、そしてその後、米国特許第4,892,778号および同第4,285,987号明細書に記述されるとおり、プレスした形状に壁素材の溶媒に基づく溶液を成型、空気噴霧、浸積若しくははけ塗りすることにより、該形状に適用する。半透性壁の他の適用方法は、米国特許第2,799,241号明細書に記述されるところの、プレスした形状を空気および壁を形成する素材の流れ中で浮遊かつ混転する空気浮遊処置、ならびにパンコーティング技術を包含する。
【0136】
プレスした形状への半透性壁の適用後に、乾燥段階が一般に必要とされ、そしてその後、有効成分の適する出口手段を、半透膜を通って形成しなければならない。空洞内の有効成分および他の成分の特性、ならびに該投薬形態物の所望の放出速度に依存して、有効成分の送達のための1個若しくはそれ以上のオリフィスを、機械的孔あけ、レーザー孔あけなどにより半透膜を通って形成する。
【0137】
出口オリフィスは、投薬形態物の製造の間、若しくは使用の液体環境での該投薬形態物による薬物送達の間に提供し得る。本発明の目的上使用されるところの「出口オリフィス」という表現は、通路;開口部;オリフィス;若しくはボアを包含する。オリフィスは、大きさが投薬形態物の実質的に表面全体を包含する単一の大きなオリフィスから、半透膜の表面上に選択的に配置される1個若しくはそれ以上の小型オリフィスまでの範囲にわたりうる。出口オリフィスは、投薬形態物からの薬物の放出のため、円形、三角形、正方形、楕円形などのようないかなる形状も有し得る。投薬形態物は、間隔を開けられた離れた関係の1個若しくはそれ以上の出口、または投薬形態物の1個若しくはそれ以上の表面を伴い構築し得る。
【0138】
出口オリフィスは、壁により形成される区画の内径の10%から100%まで、好ましくは30%から100%まで、および最も好ましくは50%から100%まででありうる。好ましい態様において、薬物層は、壁により形成される区画の内径の最低100ミルないし100%、典型的には約125ミル(1インチの1/1000)から約185ミルまで、すなわち約3.175から約4.7mmまでの大きさの比較的大きいオリフィスを通る侵食可能な固体として、投薬形態物から放出される。薬物層の放出のさらなる遅延を提供することが望ましい場合は、より小さいオリフィスの使用を使用しうる。
【0139】
出口オリフィスは、外塗膜、内塗膜若しくは双方を通る機械的およびレーザー孔あけを包含する孔あけにより実施し得る。出口および出口を形成するための装置は、例えばTheeuwesとHiguchiへの米国特許第3,845,770号および同第3,916,899号明細書;Saundersらへの米国特許第4,063,064号明細書;ならびにTheeuwesらへの米国特許第4,088,864号明細書に開示されている。
【0140】
出口はまた、例えば米国特許第4,200,098号および同第4,285,987号明細書に開示されるところの、外塗膜若しくは壁または内塗膜から侵食、溶解する若しくは浸出されて出口オリフィスを形成する物質若しくはポリマーから形成される1個のオリフィルでもあり得る。1個のオリフィス若しくは複数のオリフィスを形成するのに適する代表的な素材は、無機および有機塩、無機若しくは有機酸化物、炭水化物のような液体で除去可能な孔形成体、浸出可能なポリ(グリコール)酸若しくはポリ(乳)酸ポリマー、ゲル状フィラメント、ポリ(ビニルアルコール)、浸出可能な多糖のようなポリマー、壁から浸出し得るソルビトールのような糖のような浸出可能な化合物を含んでなる。例えば、1個の出口若しくは複数の出口は、ソルビトール、乳糖、果糖、ブドウ糖、マンノース、ガラクトース、タロース、塩化ナトリウム、塩化カリウム、クエン酸ナトリウムおよびマンニトールを壁から浸出させることにより形成し得る。
【0141】
加えて、いくつかの態様において、浸透圧投薬形態物は、共通に所有されるDongらへの米国特許第6,491,683号明細書に記述されるところの一端若しくは双方の端が開放の押出成型管の形態にあり得る。該押出成型管の態様において、付加的な出口手段を提供することは必要でない。
【0142】
製薬学的有効成分
該持続放出投薬形態物は製薬学的有効成分の制御送達を提供する。持続放出投薬形態物は、高投薬量で患者に投与されることを必要とされる不溶性若しくは乏しく溶解性の化合物の送達にとりわけ良好に適する。
【0143】
多様な有効成分を該投薬形態物中で使用しうる。本明細書に記述される投薬形態物は、とりわけ、大用量の処方するのが困難な若しくは乏しく溶解性の有効成分(例えば有効成
分の溶解度が25℃で約10mg/ml未満である場合)が長時間にわたり送達されることが必要とされる場合に、これらの剤の持続放出を提供するのにとりわけ有用である。該投薬形態物はまた、有効成分の組合せの持続放出および長時間送達を提供するのにも有用であり、そして、有効成分間に溶解性の大きな不均衡が存在する場合でさえ多様な有効成分の比例した送達を提供し得る。
【0144】
制御放出投薬形態物により送達され得る有効成分は無機および有機有効成分を含んでなる。有効成分は、制限なしに、末梢神経、アドレナリン作動性受容体、コリン作動性受容体、中枢神経系、骨格筋、心血管系、平滑筋、血液循環系、シナプス部位、神経効果器接合部、内分泌系、ホルモン系、免疫学的系、臓器系、身体通路、生殖器系、骨格系、オータコイド系、オータコイドおよびヒスタミン系の栄養および排出系阻害剤に作用する有効成分を包含する。これらの受器(recipient)に作用するために送達させ得る有効成分は、抗痙攣薬、鎮痛薬、抗糖尿病薬、抗パーキンソン薬、抗炎症薬、麻酔薬、抗菌薬、抗マラリア薬、駆虫薬、降圧薬、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、抗ヒスタミン薬、解熱薬、α−アドレナリン作動性受容体アゴニスト、α−アドレナリン作動性受容体遮断薬、殺生剤、殺菌剤、気管支拡張薬、β−アドレナリン作動性興奮薬、β−アドレナリン作動性遮断薬、避妊薬、心血管系薬、カルシウム拮抗薬、抑制薬、診断薬、利尿薬、電解質、催眠薬、ホルモン剤、ステロイド、血糖降下剤、筋収縮薬、筋弛緩薬、眼科用薬(ophthalmic)、精神賦活薬、副交感神経興奮薬、鎮静薬、選択的アンドロゲン受容体調節薬、選択的エストロゲン受容体阻害薬、交感神経興奮薬、精神安定薬、尿路薬、膣薬およびビタミンを包含する。有効成分は、該持続放出投薬形態物中に、遊離塩基の形態、またはその塩、酸、アミド、エステル、多形、溶媒和物、水和物、脱水物(dehydrate)、共結晶、無水物若しくは無定形の形態で包含され得る。
【0145】
特定の投薬形態物の製造において考慮するための因子は、患者の血漿中での該薬物の半減期、上部および下部消化管中での特定の薬物の相対的生物学的利用能および吸収、所定の用量の薬物に対し耐性が発生するかどうか、薬物の不適合性、相乗作用若しくは相互作用が起こるかどうか、特定の血漿プロファイルを維持するのに必要とされる用量などである。
【0146】
例えば、非ステロイド性抗炎症薬若しくは非オピオイド鎮痛薬を、持続放出投薬形態物を使用して長時間にわたり送達して、血漿中で長い半減期を有する有効成分について1日2回投薬若しくは1日1回投薬のようなより少なく頻繁な投薬レジメンを可能にし得る。付加的な有効成分を、例えば胃保護のため非ステロイド性抗炎症薬とともに包含し得る。胃保護薬は、ヒスタミンH2受容体アンタゴニスト(例えばシメチジン、ラニチジン、ファモチジン若しくはニザチジン)、細胞保護薬(例えばミソプロストール、レバミピド、エカベット若しくはカルベノキソロン)、またはプロトンポンプ阻害薬(例えば、例えば第EP−A1−0005129号、第EP−A1−174 726号、第EP−A1−166 287号、第GB 2 163 747号および第WO90/06925号、同第WO91/19711号、同第WO91/19712号、同第WO95/01977号、同第WO94/27988号、ならびにLundbergへの米国特許第6,610,323号に開示されるような、例えば、制限なしに、ランソプラゾール、オメプラゾール、ラベプラゾール、パントプラゾール若しくはエソメプラゾールのようなα−ピリジルメチルスルフィニルベンズイミダゾール)を包含する。
【0147】
5−HTアゴニストを、例えば偏頭痛の処置のための投薬形態物の送達のNSAIDに包含し得る。5−HTアゴニストは、限定されるものでないがスマトリプタン、エレトリプタン(欧州特許出願第379314号明細書に記述される)、Allelix ALX
1323、リザトリプタン、フロバトリプタン、アルモトリプタン、ゾルミトリプタン、および米国特許第4,816,470号明細書に記述されるようなナラトリプタンを挙げることができるトリプタンのようなインドール誘導体;ジヒドロエルゴコルニン、ジヒドロエルゴクリスチン、ジヒドロエルゴクリプチン(αおよびβ)ならびにメシル酸ジヒドロエルゴタミン(DHE 45)を包含しかつPlachetkaへの米国特許第6,586,458号明細書に記述されるところの、エルゴタミン(例えば酒石酸エルゴタミン)、ジヒドロエルゴタミン、ブロモクリプチン、エルゴノビンおよびメチルエルゴノビン(例えばマレイン酸エルゴノビン)、メチセルギドならびにメシル酸エルゴロイドのような麦角アルカロイドを制限なしに包含する。
【0148】
抗生物質もまた、本明細書に記述される持続放出投薬形態物を使用する送達のために処方し得る。経口で投与し得るいかなる抗生物質も該制御放出投薬形態物に包含し得る。抗生物質は、抗原生動物薬;抗蠕虫薬;グラム陽性およびグラム陰性球菌、グラム陽性およびグラム陰性桿菌、抗酸菌、スピロヘータ、アクチノミセス属を包含する細菌種;カンジダ、ヒストプラスマ、パラコクシジオイデス、スポロトリクス、コウジカビ、ムコルミコーセス(mucormycoses)、クリプトコックスのような真菌の種;ウイルス;ならびにウレアプラスマ、マイコプラスマ、リケッチア、クラミジア、ニューモシスチスのような雑多な生物体に対し有効な剤を包含する。例示的抗生物質はエリスロマイシン、アモキシシリン、クラリスロマイシン、テトラサイクリン若しくはメトロニダゾールを包含する。乏しく溶解性、不溶性若しくは乏しく溶解する抗生物質は、本明細書に記述される投薬形態物を使用して理想的に送達される。例えば、エリスロマイシンは、典型的に、1日あたり1〜2グラムの総1日用量について1日4回服用される250mg(若しくはそれ以上)の1個若しくはそれ以上の経口用量で必要とされる。1日あたり約8グラムの用量が処方されている。
【0149】
該投薬形態物は、トピラメート、イブプロフェン、アセトアミノフェン、エリスロマイシン、ゲムフィブロジルなどのような乏しく溶解性の化合物の処方および送達にとりわけ良好に適する。該投薬形態物は、必要とされる非オピオイド鎮痛薬(とりわけアセトアミノフェン)若しくは非ステロイド性抗炎症薬(例えばイブプロフェン、ケトプロフェン)の大用量ならびに処置の必要な患者へのこれらの剤の処方および送達における困難により、これらの剤の持続放出製剤を提供するのに有利に使用し得る。この点に関して、オピオイド鎮痛薬および非オピオイド鎮痛薬の組合せが本明細書に記述される投薬形態物の好ましい一態様である。
【0150】
非オピオイド鎮痛薬は非ステロイド性抗炎症薬として知られる化合物の分類を包含する。非オピオイド鎮痛薬の例は、アセトアミノフェン、アミノ安息香酸カリウム、アミノ安息香酸ナトリウムにより例示される乏しく溶解性のパラアミノフェノール誘導体を包含するが、しかし、アスピリン、スルファサラジン、サリチルアミド、サリチル酸ナトリウムおよびサリチル酸カリウムを包含するサリチル酸誘導体;ベノキサプロフェン、デシブプロフェン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、イブプロフェン、インドプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、ナプロキソール、オキサプロジンを包含するアリールプロピオン酸;ジクロフェナク、ケトロラク、トルメチンのようなヘテロアリール酢酸;インドメタシン、スリンダクを包含するインドールおよびインデン酢酸;セレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、エトドラク、イブフェナク、ニメスルフィド、JTE−522、L−745,337若しくはNS398のような選択的COX−2阻害剤;ナブメトンのようなアルカノン;メロキシカム、ピロキシカム、ロルノキシカム、シンノキシカム、スドキシカム、テノキシカムを包含するオキシカム;メフェナム酸およびメクロフェナム酸のようなアントラニル酸のような非ステロイド性抗炎症薬もまた包含し得る。好ましい非オピオイド鎮痛薬はアセトアミノフェンおよびイブプロフェンを包含する。単一投薬形態物中の非オピオイド鎮痛薬の量は典型的には0.5mgないし1000mg、およびより典型的には約200と約600mgとの間である。
【0151】
有効成分はオピオイド鎮痛薬でもまたあり得る。代表的オピオイド鎮痛薬は、アルフェンタニル、アリルプロジン、アルファプロジン、アニレリドネ、ベンジルモルヒネベジトラミド、ブプレノルフィン、ブトルファノール、クロニタゼン、コデイン、シクラゾシン、デソモルヒネ、デキシトロモルアミド、デゾシン、ジアンプロミド、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルヒネ、ジメノキサドール、ジエフェプタノール、ジメチルチアンブテン、ジオキサフェチルブチレート、ジピパノン、エプタゾン、エトヘプタジン、エチルメチルチアンブテン、エチルモルヒネ、プロピルモルヒネ、エトニタゼン、フェンタニル、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、ヒドロエニタバス(hydroenitabas)、ヒドロシペチジン(hydrocypethidine)、イソメサドン、ケトベミドン、レバロルファン、レボルファノール、レボフェナシルモルファン、ロフェンタニル、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メサドン、メトポン、モルヒネ、ミロフィン(myrophine)、ナルブフィン、ナルセイン、ニコモルヒネ(nicomorphine)、ノルレボルファノール、ノルメサドン、ナロルフィン、ノルモルヒネ、ノルピパノン、あへん、オキシコドン、オキシモルホン、パパベレタム、ペンタゾシン、フェナドキソン、フェノモルホン(phenomorphone)、フェナゾシン、フェノペリジン、ピミノジン、ピルトラミド、プロフェプタジン、プロメドール、プロペリジン、プロピラム、プロポキシフェン、スフェンタニル、トラマドールおよびチリジンを制限なしに包含する。オピオイド薬物14の用量は0.1μgないし700mgである。
【0152】
使用方法
上述された投薬形態物は多様な方法で使用し得る。例えば、該投薬形態物は、障害若しくは状態の処置のためのヒト患者の血漿中での有効成分(例えば非オピオイド鎮痛薬)の有効濃度の提供方法で使用し得る。該投薬形態物はまた、有効成分(例えば抗生物質)の持続放出およびヒト患者の胃腸管への送達の提供方法でも使用し得る。特定の態様において、該投薬形態物は、例えば、疼痛を処置するための有効量の鎮痛組成物の提供においてヒト患者での疼痛の処置方法で使用し得る、などである。
【0153】
該投薬形態物は、とりわけ有効成分が付加的な有効成分とともに使用される場合に、乏しく溶解性若しくは不溶性の製薬学的有効成分の持続放出を提供するのにとりわけ有用である。該投薬形態物は、突発放出、次いで漸増する放出プロファイル若しくは0次放出プロファイルのいずれかを提供する。該投薬形態物はまた、投薬形態物中の有効成分のそれぞれの重量に比例する放出速度での有効成分の放出も提供して、患者における血漿濃度を平行する血漿濃度に、若しくは1種の剤が付加的な有効成分より遅い速度で代謝される場合に起こるであろうような異なる血漿濃度のいずれかに調整する独特の能力を提供する。有効成分は、それらの不活性化若しくは排泄速度が同様であり従って平行な血漿プロファイルを提供するように、または、それらの不活性化若しくは排泄速度が異なり従って分岐する血漿プロファイルを提供するように選ぶことができる。
【0154】
その上本発明はその好ましい特定の態様とともに記述されたこと、上の記述ならびに後に続く実施例は具体的に説明することを意図しておりかつ本発明の範囲を制限することを意図していないことが理解されるべきである。本発明の実務は、別の方法で示されない限り、当該技術の熟練内にある有機化学、高分子化学、製薬学的製剤などの慣習的技術を使用することができる。本発明の範囲内の他の局面、利点および改変は、本発明が属する技術分野の当業者に明らかであろう。こうした技術は文献に完全に説明されている。
【0155】
上および下双方に本明細書に挙げられる全部の特許、特許出願および公開は、ここに引用することにより組み込まれる。
【0156】
以下の実施例において、使用される数字(例えば量、温度など)に関する正確さを確認するための努力がなされたが、しかし何らかの実験の誤差および偏差が計上されるべきで
ある。別の方法で示されない限り、温度は℃でありかつ圧は大気圧若しくはそれ近くである。全部の溶媒はHPLC等級として購入した。
略語:
HBH:ヒドロコドン重酒石酸塩
HC:ヒドロコドン
HEC:ヒドロキシエチルセルロース
HPMC:ヒドロキシプロピルメチルセルロース
HPC:ヒドロキシプロピルセルロース
PEO:ポリ(エチレンオキシド)
PVP:ポリビニルピロリドン
[実施例]
【実施例1】
【0157】
持続投薬形態物の一般的製造手順は、後に続くとおりである。
【0158】
薬物層造粒の製造
結合剤溶液は、結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース、「HPC」(例えばKlucel MF、Aqualon Company)若しくはポリビニルピロリドン)を水に添加して0.995グラムの水あたり5mgのHPCを含有する溶液を形成することにより調製する。該溶液をヒドロキシプロピルセルロースが溶解するまで混合する。特定のバッチサイズについて、流動床造粒機(「FBG」)ボウルに、必要とされる量の有効成分(例えば約80.0重量%のイブプロフェン)、結合剤(例えばポリエチレンオキシド(分子量200,000)(Polyox(R)N−80、Union Carbide Corporation)、崩壊剤(例えばクロスカルメロースナトリウム若しくはクロスポビドン)、場合によっては界面活性剤(例えばポリオキシル40ステアレート若しくはSDS)および浸透物質(例えばソルビトール若しくはマンニトール)を充填する。乾燥物質をボウル中で混合した後に、上のとおり調製した結合剤溶液を添加する。その後、造粒を微粉砕に適する一貫性(1重量%未満の水)までFBG中で乾燥し、そして造粒を7若しくは10メッシュ篩を通して微粉砕する。
【0159】
造粒をトートブレンダー若しくはVブレンダーに移す。必要とされる量の抗酸化剤、ブチル化ヒドロキシトルエン(「BHT」)(0.01%)および滑沢剤ステアリン酸(1%)を、40メッシュ篩を通して大きさを決め、そして双方を、均一に分散されるまで(ステアリン酸について約1分の配合、およびBHTについて約10分の配合トート若しくはVブレンダーを使用して造粒に配合する。
【0160】
浸透圧押し層造粒の製造
結合剤溶液を、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910(「HPMC」)を1gの水に対し5mgのHPMCの比で水に添加することにより調製する。該溶液をHPMCが溶解するまで混合する。塩化ナトリウム粉末(30%)および赤色酸化鉄(1.0%)を微粉砕および篩過する。流動床造粒機(「FBG」)ボウルに、必要とされる量のポリエチレンオキシド(分子量7,000,000)(Polyox(R)303)(63.67%)、HPMC(5.0%)、塩化ナトリウムおよび赤色酸化鉄を充填する。乾燥物質をボウル中で混合した後に、上で調製した結合剤溶液を添加する。造粒を、標的水分含量(1重量%未満の水分)に達するまでFBG中で乾燥する。造粒を7メッシュ篩を通して微粉砕し、そしてトートブレンダー若しくはVブレンダーに移す。必要とされる量の抗酸化剤、ブチル化ヒドロキシトルエン(0.08%)を、60メッシュ篩を通して大きさを決める。必要とされる量の滑沢剤ステアリン酸(0.25%)は40メッシュ篩を通して大きさを決め、そして双方の物質を、均一に分散するまで(ステアリン酸について約1分およびBHTについて約10分)トート若しくはVブレンダーを使用して造粒に配合する。
【0161】
二層核の圧縮
長軸方向錠剤プレス(Korschプレス)を丸い深い凹型のパンチおよびダイを伴い設定する。2個のフィードホッパーをプレス上に置く。上のとおり調製した薬物層をホッパーの一方に入れた一方、上のとおり調製した浸透圧押し層を残存するホッパーに入れる。
【0162】
打錠パラメータ(薬物層)の初期調節を、各錠剤中の均一な標的薬物層重量、典型的には300mgの薬物を伴う核を製造するように実施する。薬物層を浸透圧層に結合して均一な最終の核の重量、厚さ、硬度および脆性を伴う核を製造する打錠パラメータの第二層の調節(浸透圧押し層)を実施する。前述のパラメータは、充填空間および/若しくは力の設定を変動させることにより調節し得る。300mgの薬物の標的量を含有する典型的な錠剤は、およそ0.465インチ長および直径およそ0.188インチであることができる。
【0163】
下塗り溶液および下塗りした系の製造
下塗り溶液を蓋の付いたステンレス鋼製容器中で調製する。適切な量のポビドン(K29−32)(2.4%)およびヒドロキシプロピルセルロース(分子量80,000)(Klucel EF、Aqualon Company)(5.6%)を、生じる溶液が澄明になるまで無水エチルアルコール(92%)中に混合する。上で製造した二層核を、回転する穿孔パンコーティング装置に入れる。コーターを始動し、そして28〜36℃のコーティング温度に到達した後、上で調製したサブコーティング溶液を回転錠剤床に均一に適用する。十分な量の溶液を適用して所望の下塗り重量増加を提供した場合に、下塗り工程を停止する。所望の下塗り重量は、24時間の放出速度アッセイで決定されるところの投薬形態物中に残存する薬物の許容できる残留を提供するように選択する。一般に、初期薬物装填量に基づき、本明細書に記述されるところの標準的放出速度アッセイでの24時間の試験後に10%未満、より好ましくは5%未満、および最も好ましくは3%未満の残余の薬物を残存させることが望ましい。これは、標準的放出速度アッセイにおける同一の二層核しかし異なる下塗り重量を有する多数の投薬形態物についての下塗り重量と残余の薬物との間の相関から決定しうる。
【0164】
速度制御膜および膜コート系の製造
膜コーティング溶液は、二層核中への所望の水浸透速度を得るために、変動する比率のセルロースアセテート398−10およびポロキサマー188を含有し、そして所望の重量増加量まで核上に被覆した。重量増加は、放出速度アッセイにおける変動する厚さの膜のT90と相関しうる。所望のT90のための所望の膜重量増加の獲得により便宜的に決定される十分な量の溶液を適用した場合に、膜コーティング工程を停止した。
【0165】
コーティング溶液は5重量%の固形物を含有し、そして20ガロンの閉鎖ジャケット付ステンレス鋼製混合容器中で調製した。固形物(75%セルロースアセテート398−10および25%ポロキサマー188、若しくは80%セルロースアセテート398−10および20%ポロキサマー188、または他の所望の比率、双方とも痕跡量のBHT、0.0003%を含有する)を、99.5%アセトンおよび0.5%水(w/w)よりなった溶媒に溶解し、そして適切な量のアセトンおよび水を該混合容器に移した。混合しながら該容器を25℃ないし28℃に加熱し、そしてその後熱水供給を止めた。適切な量のポロキサマー188、セルロースアセテート398−10およびBHTを、予熱したアセトン/水溶液を含有する混合容器に充填した。物質を、全部の固形物が溶解するまで容器中で一緒に混合した。
【0166】
下塗りした二層核(ロットあたりおよそ9kg)をVector Hi−Coaterに入れた。塗布機を始動し、そして標的排気温度に到達した後に、コーティング溶液を回転錠剤床に噴霧した。コーティング工程を通じて規則的間隔で重量増加を測定した。所望の湿重量増加が達成された場合に、コーティング工程を停止した。
【0167】
特定のT90値を有するコート核を得るために、適切なコーティング溶液を、所望の膜重量増加が得られるまで回転錠剤床に均一に適用した。コーティング工程を通じて規則的間隔で重量増加を測定し、そしてサンプルの膜コート単位を、実施例4に記述されるところの放出速度アッセイで試験して、コート単位のT90を決定した。
【0168】
膜コート系の孔あけ
1個の出口を、膜コート系の薬物層端に孔あけする。孔あけ工程の間、サンプルを、オリフィスの大きさ、位置および出口の数について規則的間隔で確認する。
【0169】
孔あけしたコート系の乾燥
上のとおり製造した、孔あけしたコート系を孔あきオーヴントレイに載せ、それを相対湿度オーヴン(43〜45%相対湿度)中の棚に入れそして乾燥して残留溶媒を除去する。
【0170】
色および透明保護被膜
任意の色若しくは透明塗膜溶液を、蓋の付いたステンレス鋼製容器中で調製する。色塗のため、88部分の精製水を12部分のOpadry II[色は決定的に重要でない]と溶液が均一になるまで混合する。透明塗のため、90部分の精製水を10部分のOpadry Clearと溶液が均一になるまで混合する。上のとおり調製した乾燥した核を回転する穿孔パンコーティング装置に入れる。塗布機を始動し、そしてコーティング温度が達成された後(35〜45℃)、色塗溶液を回転錠剤床に均一に適用する。所望の色保護被膜重量増加が達成される場合に便宜的に決定されるところの十分な量の溶液を適用した場合に、色塗工程を停止する。次に、透明塗溶液を回転錠剤床に均一に適用する。十分な量の溶液を適用した、すなわち所望の透明塗重量増加が達成された場合に、透明塗工程を停止する。流動剤(例えばCar−nu−bo蝋)を透明塗適用後に錠剤床に適用する。
【実施例2】
【0171】
350mgのイブプロフェンを含有する投薬形態物を、実施例1に全般として記述される手順を使用して製造した。薬物層組成物は、以下の成分、すなわち85重量%イブプロフェン(米国薬局方、38ミクロン)、6重量%HPC、(NF、Ph Eur)、6重量%クロスカルメロースナトリウム、NF、2重量%ラウリル硫酸ナトリウム、NF、0.5重量%コロイド状二酸化ケイ素、NF、0.5重量%ステアリン酸マグネシウム、NFよりなった。押し層は、以下の成分、すなわち63.67重量%ポリエチレンオキシド(7000K、NF)、30.0重量%NaCl、5重量%米国薬局方ポビドン、Eur(K29−32)、1重量%ステアリン酸マグネシウム、NF、Ph Eur、JP、0.25重量%酸化鉄、NF、0.08重量%BHT、NFを含有した。半透膜は、80重量%セルロースアセテート、NF(398−10)および20重量%ポロキサマー188、NFから構成された。オリフィスの大きさは155ミル(3.937mm)であった。
【0172】
本投薬形態物は、約10時間のT90を伴い、最初の1時間の99.5mg/hrのイブプロフェンの初期平均放出速度、次いで10時間持続した約25mg/hrのほぼ0次の放出速度、その後基礎レベルまでの急速な下落を生じた。用量のおよそ25%が0次の速度で送達された。該結果を図2にグラフで示し、そして、浸透物質の非存在下で本製剤により提供される劇的な突発放出、次いで持続放出を示す。
【実施例3】
【0173】
350mgのイブプロフェンを含有する投薬形態物を、実施例1に全般として記述される手順を使用して製造した。薬物層組成物は、以下の成分、すなわち85重量%イブプロフェン(米国薬局方、38ミクロン)、5重量%HPC(NF、Ph Eur)、3重量%クロスカルメロースナトリウム、NF、3重量%ラウリル硫酸ナトリウム、NF、3重量%ソルビトール、NF(粉末)、0.5重量%コロイド状二酸化ケイ素、NF、0.5重量%ステアリン酸マグネシウム、NFよりなった。押し層は、以下の成分、すなわち63.67重量%ポリエチレンオキシド(7000K、NF)、30.0重量%NaCl、5重量%米国薬局方ポビドン、Eur(K29−32)、1重量%ステアリン酸マグネシウム、NF、Ph Eur、JP、0.25重量%酸化鉄、NF、0.08重量%BHT、NFを含有した。半透膜は、80重量%セルロースアセテート、NF(398−10)および20重量%ポロキサマー188、NFから構成された。オリフィスの大きさは155ミル(3.937mm)であった。
【0174】
本投薬形態物は、約10時間のT90を伴い、最初の1時間の77.7mg/hrのイブプロフェンの初期平均放出速度、次いで10時間持続する約29mg/hrのほぼ0次の放出速度、その後基礎レベルまでの急速な下落を生じた。用量のおよそ40%が0次の速度で送達された。該結果を図3にグラフで示し、そして、少量の浸透物質を包含する本製剤により提供される突発放出、次いで持続放出を示す。
【実施例4】
【0175】
およそ350mgのイブプロフェンを含有する投薬形態物を、実施例1に全般として記述される手順を使用して製造した。薬物層組成物は、以下の成分、すなわち85重量%イブプロフェン(米国薬局方、38ミクロン)、7重量%米国薬局方ポビドン、Ph Eur、(K29−32)、4.0重量%クロスカルメロースナトリウム、NF、3重量%ラウリル硫酸ナトリウム、NF、0.5重量%コロイド状二酸化ケイ素、NF、0.5重量%ステアリン酸マグネシウム、NFよりなった。押し層は、以下の成分、すなわち63.67重量%ポリエチレンオキシド(7000K、NF)、30.0重量%NaCl、5重量%米国薬局方ポビドン、Eur(K29−32)、1重量%ステアリン酸マグネシウム、NF、Ph Eur、JP、0.25重量%酸化鉄、NF、0.08重量%BHT、NFを含有した。半透膜は、80重量%セルロースアセテート、NF(398−10)および20重量%ポロキサマー188、NFから構成された。オリフィスの大きさは155ミル(3.937mm)であった。
【0176】
本投薬形態物は、最初の1時間の29mg/hrのイブプロフェンの初期平均放出速度、次いで約55mg/hrの放出速度への増大、および約4時間持続した約40mg/hrの0次の速度を生じ、その後8時間後に基礎レベルまで急速に下落した。T90は約7時間であった。該結果を図4にグラフで示し、そして、迅速に水和する結合剤を包含する本製剤により提供される加減されたすなわち遅延した突発放出、および主として0次の持続放出送達プロファイルを示す。
【実施例5】
【0177】
300mgのイブプロフェンを含有する投薬形態物を、実施例1に全般として記述される手順を使用して製造した。薬物層組成物は、以下の成分、すなわち86.0重量%イブプロフェン(米国薬局方、25ミクロン)、5.0重量%米国薬局方マンニトール(粉末)、2.0重量%HPC、EF、3.0重量%クロスカルメロースナトリウム、NF、3.0重量%ラウリル硫酸ナトリウム、NF、1.0重量%ステアリン酸マグネシウム、NFよりなった。押し層は、以下の成分、すなわち63.67重量%ポリエチレンオキシド(7000K、NF)、30.0重量%NaCl、5重量%米国薬局方ポビドン、Ph
Eur(K29−32)、1重量%ステアリン酸マグネシウム、NF、Ph Eur、JP、0.25重量%酸化鉄、NF、0.08重量%BHT、NFを含有した。半透膜は、75重量%セルロースアセテート、NF(398−10)および25重量%ポロキサマー188、NFから構成された。
【0178】
本投薬形態物は、約8時間のT90を伴い、最初の1時間の57.3mg/hrのイブプロフェンの初期平均放出速度、次いで基礎レベルまで急速に下落する前の全体で約9時間の持続放出を伴う時間4ないし9の間の約30mg/hrの0次の放出速度までの減少する放出速度を生じた。該結果を図5にグラフで示す。これらのデータは、浸透物質を含有する本製剤により提供される突発放出、次いで持続する0次の送達プロファイルを示す。
【実施例6】
【0179】
350mgのイブプロフェンを含有する投薬形態物を、実施例1に全般として記述される手順を使用して製造した。薬物層組成物は、以下の成分、すなわち80.86重量%イブプロフェン(米国薬局方、25ミクロン)、4.5重量%米国薬局方ポビドン、Ph Eur(K29−32)、4.5重量%HPC、JF、4.0重量%クロスカルメロースナトリウム、NF、3.0重量%ラウリル硫酸ナトリウム、NF、1.74重量%ヒドロコドン重酒石酸塩、1.0重量%ステアリン酸、NF、0.4重量%ステアリン酸マグネシウム、NFよりなった。押し層は、以下の成分、すなわち63.67重量%ポリエチレンオキシド(7000K、NF)、30.0重量%NaCl、5重量%米国薬局方ポビドン、Ph Eur(K29−32)、1重量%ステアリン酸マグネシウム、NF、Ph Eur、JP、0.25重量%酸化鉄、NF、0.08重量%BHT、NFを含有した。半透膜は、75重量%セルロースアセテート、NF(398−10)および25重量%ポロキサマー188、NFから構成された。
【0180】
本投薬形態物は、約9時間のT90を伴い、最初の1時間の14.5mg/hrのイブプロフェンの初期平均放出速度、次いで9時間での約50mg/hrの最大放出速度までの漸増する放出速度、および基礎レベルまで急速に下落する前の全体で約9時間の持続放出を生じた。用量の大部分が漸増する放出速度で送達された。該結果を図6にグラフで示し、放出速度データを図6Aに、およびイブプロフェンの完全な送達を示す累積放出を図6Bに示す。これらのデータは、ポビドンを含有しかつ浸透物質を含有しない本製剤により提供される突発放出の非存在および優勢な漸増する放出送達プロファイルを示す。
【実施例7】
【0181】
350mgのイブプロフェンを含有する投薬形態物を、実施例1に全般として記述される手順を使用して製造した。薬物層組成物は、以下の成分、すなわち81.85重量%イブプロフェン(米国薬局方、25ミクロン)、8.0重量%HPC、NF、3.0重量%米国薬局方ポビドン、Ph Eur(K29−32)、4.0重量%クロスカルメロースナトリウム、NF、3.0重量%ラウリル硫酸ナトリウム、NF、1.75重量%ヒドロコドン重酒石酸塩、1.0重量%ステアリン酸、NF、0.4重量%ステアリン酸マグネシウム、NFよりなった。押し層は、以下の成分、すなわち63.67重量%ポリエチレンオキシド(7000K、NF)、30.0重量%NaCl、5重量%米国薬局方ポビドン、Ph Eur(K29−32)、1重量%ステアリン酸マグネシウム、NF、Ph Eur、JP、0.25重量%酸化鉄、NF、0.08重量%BHT、NFを含有した。半透膜は、75重量%セルロースアセテート、NF(398−10)および25重量%ポロキサマー188、NFから構成された。
【0182】
本投薬形態物は、約9時間のT90を伴い、最初の1時間の8.2mg/hrのイブプロフェンの初期平均放出速度、次いで8時間での約67mg/hrの最大放出速度までの
漸増する放出速度、および基礎レベルまで急速に下落する前の全体で約9時間の持続放出を生じた。用量の大部分が漸増する放出速度で送達された。該結果を図7にグラフで示し、放出速度データを図7Aに、および累積放出を図7Bに示す。これらのデータは、より大きい比率のヒドロキシプロピルセルロースおよびポビドンを含有しかつ浸透物質を含有しない本製剤により提供される突発放出の非存在および優勢な漸増する放出送達プロファイルを示す。
【実施例8】
【0183】
300mgのイブプロフェンを含有する投薬形態物を、実施例1に全般として記述される手順を使用して製造した。薬物層組成物は、以下の成分、すなわち86.0重量%イブプロフェン(米国薬局方、25ミクロン)、5.0重量%米国薬局方マンニトール(粉末)、2.0重量%HPC、JF、3.0重量%クロスカルメロースナトリウム、NF、3.0重量%ラウリル硫酸ナトリウム、NF、1.0重量%ステアリン酸、NFよりなった。押し層は、以下の成分、すなわち63.67重量%ポリエチレンオキシド(7000K、NF)、30.0重量%NaCl、5重量%米国薬局方ポビドン、Ph Eur(K29−32)、1重量%ステアリン酸マグネシウム、NF、Ph Eur、JP、0.25重量%酸化鉄、NF、0.08重量%BHT、NFを含有した。半透膜は、75重量%セルロースアセテート、NF(398−10)および25重量%ポロキサマー188、NFから構成された。
【0184】
本投薬形態物は、全体で約9時間の持続放出および約9時間のT90を伴い、最初の1時間の53.3mg/hrのイブプロフェンの初期平均放出速度、次いで約7時間での23mg/hrの最小速度までの減少する放出速度、および基礎レベルまで急速に下落する前の9時間での約38mg/hrの第二の最大放出速度までの漸増する放出速度を生じた。全体的な効果は0次の放出速度に似ているが、とは言え、該放出速度は初期突発放出と漸増する放出速度との間の均衡であるようである。該結果を図8にグラフで示す。これらのデータは、浸透物質および少量の結合剤を含有する本製剤により提供される漸増する放出速度と組合せの中程度の突発放出を示す。
【実施例9】
【0185】
300mgのイブプロフェンを含有する投薬形態物を、実施例1に全般として記述される手順を使用して製造した。薬物層組成物は、以下の成分、すなわち87.0重量%イブプロフェン(米国薬局方、25ミクロン)、5.0重量%米国薬局方マンニトール(粉末)、2.0重量%HPC、EF、2.0重量%クロスカルメロースナトリウム、NF、3.0重量%ラウリル硫酸ナトリウム、NF、1.0重量%ステアリン酸、NFよりなった。押し層は、以下の成分、すなわち63.67重量%ポリエチレンオキシド(7000K、NF)、30.0重量%NaCl、5重量%米国薬局方ポビドン、Ph Eur(K29−32)、1重量%ステアリン酸マグネシウム、NF、Ph Eur、JP、0.25重量%酸化鉄、NF、0.08重量%BHT、NFを含有した。半透膜は、75重量%セルロースアセテート、NF(398−10)および25重量%ポロキサマー188、NFから構成された。
【0186】
本投薬形態物は、約9時間のT90を伴い、最初の1時間の34.2mg/hrのイブプロフェンの初期平均放出速度、次いで基礎レベルまでの急速に下落する前の全体で約10時間の持続放出を伴う10時間の約25〜30mg/hrの0次の放出速度を生じた。全体的な効果は0次の放出速度に似ている。該結果を図9にグラフで示す。これらのデータは、浸透物質ならびに比較的少量の崩壊剤および結合剤を含有する本製剤により提供される0次の放出速度を示す。
【図面の簡単な説明】
【0187】
【図1】本発明の投薬形態物の一態様の図解を示す。
【図2】1種の代表的な投薬形態物からの有効成分イブプロフェンの放出プロファイルを具体的に説明する。
【図3】1種の代表的な投薬形態物からの有効成分イブプロフェンの放出プロファイルを具体的に説明する。
【図4】1種の代表的な投薬形態物からの有効成分イブプロフェンの放出プロファイルを具体的に説明する。
【図5】1種の代表的な投薬形態物からの有効成分イブプロフェンの放出プロファイルを具体的に説明する。
【図6A−B】1種の代表的な投薬形態物からの有効成分イブプロフェンの放出プロファイルおよび累積放出プロファイルを具体的に説明する。
【図7】1種の代表的な投薬形態物からの有効成分イブプロフェンの放出プロファイルを具体的に説明する。
【図8】1種の代表的な投薬形態物からの有効成分イブプロフェンの放出プロファイルを具体的に説明する。
【図9】1種の代表的な投薬形態物からの有効成分イブプロフェンの放出プロファイルを具体的に説明する。
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般に、製薬学的剤を投与するための固体の投薬形態物、該投薬形態物の製造方法、およびそれの必要な患者への治療薬の提供方法などに関する。
【背景技術】
【0002】
非オピオイド鎮痛薬およびオピオイド鎮痛薬のような鎮痛薬を送達するための制御放出投薬形態物は当該技術分野で既知である。オピオイド鎮痛薬のような比較的溶解性の薬物、およびある種の非オピオイド鎮痛薬のような比較的不溶性の薬物の送達を提供する組合せ生成物は、製造することがより困難であるが、しかしながら数種の投薬形態物の製造法が報告されている。例えば、特許文献1は、アセトアミノフェン若しくはイブプロフェンのような非オピオイド鎮痛薬とともにヒドロモルホン若しくはモルヒネのようなオピオイド鎮痛薬、ならびに、二層の内壁および外壁を横切る浸透圧勾配を表してそれにより液体を薬物区画中に吸収して投薬形態物から通路を通って流体力学的にかつ浸透圧で送達される薬物を含んでなる溶液若しくは懸濁液を形成する、製薬学的に許容できるポリマーヒドロゲル(マルトデキストリン、ポリアルキレンオキシド、ポリエチレンオキシド、カルボキシアルキルセルロース)を送達するための投薬形態物を開示する。この特許は、投薬形態物中への水の流動の調節および制御における内壁の重要性、孔形成剤が内壁から溶出される際の時間にわたるその調節、および送達時間の後刻に浸透圧駆動力の喪失について補償するその能力を記述している。該特許はまた、2mgないし8mgの用量を0から18時間まで、および0〜2mgを18〜24時間からの間投与することによる、単位用量のオピオイド鎮痛薬の投与方法も開示する。しかしながら、記述される投薬形態物は18ないし24時間にわたってオピオイドおよび非オピオイド鎮痛薬を送達するため、該投薬形態物は1日2回投与でなく1日1回投与に適しておりかつそのために意図している。
【0003】
高範囲の1日投薬は、投薬形態物の薬物組成物中の薬物装填量が該組成物の総重量の約20%ないし90%若しくはそれ以上であることを必要としうる。こうした装填量の要件は、経口投与に適しかつ過度の困難を伴わずに嚥下され得る組成物の処方および投薬形態物の二次加工における問題を提示する。高薬物装填量は、必要とされる大きな単位投薬形態物のため、1日1回若しくは2回投薬のような1日あたりの制限された投薬回数投与されるべきである投薬形態物を処方する場合に、なおより大きな問題さえ提示する。
【0004】
特許文献2は、壁により形成される区画から薬物層を押す膨張可能な素材の層を含有する半透性壁を包含する、使用の環境に有益な剤を送達するためのディスペンサーを記述する。該薬物層は担体中に分配された別個の小型の丸剤を含有する。該装置中の出口オリフィスは、該壁により形成される区画の内径と実質的に同一の直径である。
【0005】
高薬物装填量を伴う応用に関して意図されている有用性を有する多様な装置および方法が記述されている。例えば、Theeuwesへの特許文献3および4は、壁により形成される区画から薬物層を押す膨張可能な素材の層を含有する区画を規定する半透性壁を包含する、使用の環境に有益な剤を送達するためのディスペンサーを記述する。該装置中の出口オリフィスは、該壁により形成される区画の内径と実質的に同一の直径である。
【0006】
特許文献5は、反芻動物の第一胃網状嚢(rumen−reticular sac)に装置を保持するのに十分な密度を装置に与える付加的な要素と一緒に、イオノフォアおよび担体を含有する組成物ならびに膨張可能な親水性の層が配置されている半透性ハウジングを包含する、家畜にイオノフォアを送達するための装置を記述する。イオノフォアおよび担体は貯蔵の間乾燥状態で存在し、そして、該組成物は、それが使用の液体環境と接
触する場合に分配可能な液体様の状態に変化する。拡散および浸透圧ポンプ作用により単位時間あたりに放出される薬物の量を制御するための、装置の端の複数の孔および変動する直径の単一の出口を包含する、多数の異なる出口配置が記述されている。
【0007】
薬物組成物がスラリー、懸濁液若しくは溶液として膨張可能な層の作用により小型の出口オリフィスから送達される他の装置が、特許文献6、特許文献7;特許文献8;特許文献9;特許文献10;特許文献11;特許文献12;特許文献13;および特許文献14に記述されている。典型的な装置は、半透膜により囲まれた膨張可能な押し層および薬物層を包含する。ある例において、薬物層は、使用の環境への薬物組成物の放出を遅らせる、若しくは半透膜とともにアニールコーティング(anneald coating)を形成するように、酸性のpHを有する胃腸管の部分で薬物組成物を保護するための下塗りを提供される。しかしながら、こうした装置は一般に、大量の薬物をスラリー、懸濁液若しくは溶液に適合させるのに必要な大きさの要件、およびそれが飲み込まれ得るように便宜的に大きさ設定された経口の投薬形態物を有することの必要性により、高薬物装填量のための投薬形態物として十分に適しない。
【0008】
高薬物装填量の場合、該薬物層が非液体状態で分配され得るように、薬物区画の内径の約50%〜100%からの大型オリフィスが分配装置に提供されることがしばしば好ましい。使用の環境に露出される場合に、薬物が侵食および拡散により薬物層から放出される。
【0009】
付加的な米国特許がイブプロフェンを含有する製剤を記述している。特許文献15は、口腔への有益な剤の制御送達のための浸透圧装置を記述する。該有益な剤はイブプロフェンを包含する。特許文献16は、鎮痛薬が非イオン性界面活性剤とともにPEOおよびPVPを包含する薬物層中に処方されている二層錠中のイブプロフェンおよび他の非あへん剤鎮痛薬を記述する。特許文献17はイブプロフェンのような有益な剤を制御された速度で送達するための浸透圧装置を記述する。特許文献18は、一層中のHPCおよび第二の層中のHPMCの二層組成物を記述し、ここでイブプロフェンは双方の層中に存在する。実施例は、11時間、12時間および24時間にわたる放出速度を開示する。
【0010】
従って、即時放出および持続放出のそれぞれの部分で放出される薬物の量ならびに放出の各様式で提供される速度および送達プロファイルの制御を包含する、即時放出ならびに長時間にわたる持続放出により送達される薬物の量の制御を提供する薬物送達のための新規方法および投薬形態物に対する当該技術分野における必要性が存在する。
【特許文献1】米国特許第6,245,357号
【特許文献2】Wongへの米国特許第4,915,949号
【特許文献3】米国特許第4,892,778号
【特許文献4】米国特許第4,940,465号
【特許文献5】Ayerへの米国特許第5,126,142号
【特許文献6】米国特許第5,660,861号
【特許文献7】米国特許第5,633,011号
【特許文献8】米国特許第5,190,765号
【特許文献9】米国特許第5,252,338号
【特許文献10】米国特許第5,620,705号
【特許文献11】米国特許第4,931,285号
【特許文献12】米国特許第5,006,346号
【特許文献13】米国特許第5,024,842号
【特許文献14】米国特許第5,160,743号
【特許文献15】米国特許第5,021,053号
【特許文献16】米国特許第6,284,274号
【特許文献17】米国特許第4,783,337号
【特許文献18】米国特許第4,786,503号
【発明の開示】
【0011】
[発明の要約]
従って、突発放出機構(burst release mechanism)ならびに長時間にわたる持続放出を提供する持続放出投薬形態物を使用する薬物送達のための新規方法および投薬形態物を提供することにより、当該技術分野における前述の必要性を取り扱うことが、本発明の一主目的である。
【0012】
1)持続放出成分および2)即時放出成分を含んでなる、製薬学的有効成分の必要な患者に製薬学的有効成分を送達するための持続放出投薬形態物が提供され、該即時放出成分は即時放出薬物コーティングでない。好ましくは、持続放出成分および即時放出成分の双方が、侵食可能な固体として放出するよう適合されている。好ましい一態様において、持続放出成分および即時放出成分の双方が単一の機構で提供される。ある態様において、持続放出成分は有効成分の漸増する放出速度を提供する。なお他の態様において、持続放出成分は有効成分の0次の放出速度を提供する。
【0013】
該持続放出投薬形態物は、水中で低溶解性を有する製薬学的有効成分とともにの使用にとりわけ有用である。ある態様において、該製薬学的有効成分は25℃で10mg/ml未満の水中での溶解度を有する。好ましい有効成分の一分類は非ステロイド性抗炎症薬を包含するが、しかし、例えば、これらの有効成分と組合せうる付加的な有効成分、および抗生物質若しくは抗てんかん薬のような他の有効成分もまた包含する。
【0014】
好ましい態様において、製薬学的有効成分は侵食可能な固体中に高薬物装填量で存在する。特定の態様において、高薬物装填量は約60%から約95重量%までである。他の態様において、高薬物装填量は約70%から約90重量%、若しくは約75%から約85重量%までである。
【0015】
好ましい態様において、侵食可能な固体は崩壊剤および結合剤を含んでなる。侵食可能な固体はまた、場合によっては界面活性剤および浸透物質(osmagent)も含み得る。付加的な態様において、製薬学的有効成分は、崩壊剤、結合剤、浸透物質の相対比率および製薬学的有効成分の溶解性により制御されるある量で即時放出成分から放出される。
【0016】
好ましい一局面において、1)持続放出成分および2)即時放出成分を含んでなる、非ステロイド性抗炎症薬の必要な患者に非ステロイド性抗炎症薬を送達するための持続放出投薬形態物が提供され、該即時放出成分は即時放出薬物コーティングでない。好ましい態様において、持続放出成分および即時放出成分の双方が侵食可能な固体として放出するように適合されている。別の局面において、持続放出成分および即時放出成分の双方が単一の機構で提供される。
【0017】
特定の態様において、持続放出成分は非ステロイド性抗炎症薬の漸増する放出速度を提供する。付加的な態様において、該持続放出成分は非ステロイド性抗炎症薬の0次の放出速度を提供する。
【0018】
好ましい態様において、非ステロイド性抗炎症薬はアリールプロピオン酸若しくはCOX−2阻害剤である。好ましくは、アリールプロピオン酸は、ベノキサプロフェン、デシブプロフェン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、イブプロフェン、インドプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、ナプロキソール若しくはオキサプロジン、それらの誘導体またはそれらの混合物であり、そして、例示的一非ステロイド性抗炎症薬はイブプロフェンである。
【0019】
好ましい態様において、侵食可能な固体は崩壊剤および結合剤を含んでなる。侵食可能な固体はまた、場合によっては界面活性剤および浸透物質も含み得る。付加的な態様において、非ステロイド性抗炎症薬は、崩壊剤、結合剤、浸透物質の相対比率および製薬学的有効成分の溶解性により制御されるある量で即時放出成分から放出される。好ましい態様において、侵食可能な固体は、崩壊剤、結合剤、ならびに場合によっては界面活性剤および浸透物質を含んでなる。付加的な好ましい態様において、結合剤はヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース若しくはポリビニルピロリドンである。他の態様において、浸透物質は、ソルビトール若しくはマンニトールのような低分子量の糖または塩である。好ましくは、浸透物質は、存在する場合、約2%から約10%までの重量パーセントで侵食可能な固体中に存在する。好ましくは、崩壊剤は約1%から約10重量%までの量で存在する。好ましい崩壊剤はクロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン若しくはアルギン酸ナトリウムなどを包含する。付加的な態様において、侵食可能な固体は非イオン性若しくはイオン性界面活性剤をさらに含んでなる。好ましくは、界面活性剤は侵食可能な固体中に約0.1%ないし約10%の重量パーセントで存在する。好ましい非イオン性界面活性剤は、ポロキサマー、若しくはポリオキシエチレンの脂肪酸エステルまたはそれらの混合物を包含する。好ましいイオン性界面活性剤はC8〜C18アルキル硫酸のアルカリ塩を包含する。例示的態様において、侵食可能な固体は、約1%から約10重量%までのヒドロキシプロピルセルロースのようなヒドロキシアルキルセルロース、約2%から約6重量%までのクロスカルメロースナトリウムのような崩壊剤、および約2%ないし約3重量%のラウリル硫酸ナトリウムのようなイオン性界面活性剤を含んでなる。付加的な態様において、侵食可能な固体は、約1%から約10重量%までのポリビニルピロリドン、約2%から約6重量%までのクロスカルメロースナトリウムのような崩壊剤、および約2%から約3重量%までのラウリル硫酸ナトリウムのようなイオン性界面活性剤を含んでなる。
【0020】
なお他の態様において、製薬学的有効成分およびその製薬学的に許容できる塩を含んでなりかつ侵食可能な固体として長時間にわたり放出するように適合されている持続放出投薬形態物が提供され、該投薬形態物は薬物コーティングの存在を伴わずに製薬学的有効成分の突発放出を提供する。好ましくは、該投薬形態物は、該投薬形態物の経口投与後最初の1時間に製薬学的有効成分の約10%から約50%までの、若しくは経口投与後最初の1時間に約15%から約30%まで放出される突発放出を提供する。特定の態様において、製薬学的有効成分は水中で低溶解性を有し、そして、ある態様において、製薬学的有効成分は25℃で10mg/ml未満の水中での溶解度を有する。
【0021】
好ましくは、製薬学的有効成分は侵食可能な固体中に高薬物装填量で存在する。該高薬物装填量は、典型的には約60%から約95重量%までであり、そして、特定の態様において、薬物装填量は約70%から約90重量%までである。他の態様において、薬物装填量は約75%から約85重量%までである。
【0022】
特定の態様において、侵食可能な固体は崩壊剤および結合剤を含んでなる。付加的な態様において、侵食可能な固体はさらに、場合によっては界面活性剤および/若しくは浸透物質を含んでなる。突発放出は、崩壊剤、結合剤、浸透物質の相対比率および製薬学的有効成分の溶解性により制御され得る。別の局面において、製薬学的有効成分の放出速度は、該侵食可能な固体中の浸透物質の存在により調節され得る。
【0023】
付加的な態様において、製薬学的有効成分およびその製薬学的に許容できる塩を含んでなりかつ侵食可能な固体として長時間にわたり放出するように適合されている持続放出投
薬形態物が提供される。該製薬学的有効成分の放出速度は、該侵食可能な固体中の浸透物質の存在により調節され得る。
【0024】
なお他の態様において、製薬学的有効成分およびその製薬学的に許容できる塩を含んでなりかつ侵食可能な固体として長時間にわたり放出するように適合されている持続放出投薬形態物が提供される。最初の1時間の製薬学的有効成分の放出速度は、該侵食可能な固体中に存在する浸透物質、結合剤および崩壊剤の量により制御され得る。
【0025】
付加的な態様において、製薬学的有効成分およびその製薬学的に許容できる塩を含んでなりかつ侵食可能な固体として長時間にわたり放出するように適合されている持続放出投薬形態物が提供される。最初の1時間の製薬学的有効成分の放出速度は、該侵食可能な固体中に存在する浸透物質、結合剤および崩壊剤の相対水和速度により制御され得る。
【0026】
好ましい態様において、製薬学的有効成分は非ステロイド性抗炎症薬である。特定の態様において、投薬形態物は、該投薬形態物の経口投与後最初の1時間に非ステロイド性抗炎症薬の約10%から約50%までの、若しくは経口投与後最初の1時間に約15%から約30%まで放出される即時放出を提供する。他の特定の態様において、投薬形態物は、該投薬形態物の経口投与後最初の1時間に非ステロイド性抗炎症薬の約15%から約30%までの即時放出を提供する。好ましくは、侵食可能な固体は崩壊剤および結合剤を含んでなる。侵食可能な固体は界面活性剤および浸透物質もまた含み得る。界面活性剤は非イオン性若しくはイオン性界面活性剤であり得る。好ましくは、イオン性界面活性剤はC8〜C18アルキル硫酸のアルカリ塩であり、そして、非イオン性界面活性剤は、ポロキサマー、若しくはポリオキシエチレンの脂肪酸エステル、またはそれらの混合物である。
【0027】
特定の態様において、該投薬形態物は、投与後約1時間から約10時間まで0次放出を提供する。好ましくは、該投薬形態物は、約12時間未満に有効成分の約90%を放出する。特定の態様において、該投薬形態物は、0次の放出速度を送達時間の少なくとも一部分の間提供する。他の態様において、該投薬形態物は、漸増する放出速度を送達時間の少なくとも一部分の間提供する。好ましくは、該投薬形態物は、より速い初期放出速度、次いで残存する有効成分の0次の放出速度を提供する。他の好ましい態様において、該投薬形態物は、ゆっくりとした初期放出速度、次いで残存する有効成分の漸増する放出速度を提供する。なお他の態様において、該投薬形態物は速い初期放出速度、次いで残存する有効成分のよりゆっくりした放出速度および漸増する放出速度を提供する。
【0028】
該投薬形態物が:(1)空洞を規定しかつ形成された若しくは形成可能な出口オリフィスをその中に包含する半透性壁;(2)空洞内に含有されかつ出口オリフィスに隣接して配置された治療上有効な量の非ステロイド性抗炎症薬のような有効成分を含んでなる薬物層;(3)空洞内に含有されかつ出口オリフィスから遠位に配置された押し置換層;(4)半透性壁の内表面と、該壁に正対する薬物層の少なくとも外表面との間の流動促進層を含んでなる持続放出投薬形態物もまた開示され;該投薬形態物は、使用の環境で水と接触された後に、有効成分、好ましくは非ステロイド性抗炎症薬のin vitro放出速度を約12時間まで提供する。好ましい態様において、該投薬形態物は、即時放出薬物コーティングの存在を伴わずに非ステロイド性抗炎症薬の即時放出をさらに提供する。特定の態様において、該投薬形態物は、該投薬形態物の経口投与後最初の1時間に非ステロイド性抗炎症薬の約10%から約50%までの即時放出を提供する。付加的な態様において、該投薬形態物は、該投薬形態物の経口投与後最初の1時間に非ステロイド性抗炎症薬の約15%から約30%までの即時放出を提供する。
【0029】
本明細書に記述される持続放出投薬形態物の少なくとも1態様をそれの必要な患者に経口投与することを含んでなる、製薬学的有効成分の持続放出の提供方法もまた開示される
。本明細書に記述される持続放出投薬形態物をそれの必要な患者に経口投与することを含んでなる、有効用量の非ステロイド性抗炎症薬のそれの必要な患者への長時間の提供方法もまた開示される。即時放出様式および持続放出様式で持続放出投薬形態物から放出される製薬学的有効成分の量および速度若しくは放出の制御方法もまた開示される。
【0030】
該持続放出投薬形態物は、他の有効成分と組合せのオピオイド鎮痛薬のような付加的な製薬学的有効成分を投与するためにもまた使用し得る。好ましい一態様において、非オピオイド鎮痛薬を持続放出投薬形態物中でオピオイド鎮痛薬と組合せ、そして、双方の剤の放出は、該投薬形態物中のそれらのそれぞれの量に比例した速度で提供され得る。
【0031】
本発明の付加的な目的、利点および新規特徴は、後に続く記述に部分的に示されることができ、また、以下の検査に際して当業者に部分的に明らかになることができるか、若しくは本発明の実施により学習されうる。
【0032】
[発明の詳細な記述]
定義および概要
本発明を詳細に記述する前に、別の方法で示されない限り本発明は特定の製薬学的剤、賦形剤、ポリマー、塩などに制限されないことが理解されるべきである。こうしたものは変動しうるためである。本明細書で使用される専門用語は、特定の態様を記述する目的上のみであり、そして本発明の範囲を制限することを意図していないこともまた理解されるべきである。
【0033】
本明細書および請求の範囲で使用されるところの単数形「ある(a)」、「および」および「該(the)」は、文脈が別の方法で明瞭に指図しない限り複数の指示対象を包含することに注意しなくてはならない。従って、例えば、「ある担体(a carrier)」への言及は2種(個)若しくはそれ以上の担体を包含し;「ある製薬学的剤(a pharmaceutical agent)」への言及は2種若しくはそれ以上の製薬学的剤を包含する、などである。
【0034】
値の範囲が提供される場合、文脈が別の方法で明瞭に指図しない限り、その範囲の上限と下限の間の下限の単位の1/10までの各介在する値、およびその述べられた範囲のいかなる他の述べられた若しくは介在する値も、本発明内に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限および下限はより小さい範囲に独立に包含されることができ、そして、述べられた範囲のいずれかのとりわけ除外される限界に従って本発明内にもまた包含されうる。述べられた範囲が限界の一方若しくは双方を包含する場合、それらの包含される限界のいずれか若しくは双方を除外する範囲もまた本発明に包含される。
【0035】
本明細書の明確さおよび便宜性のため、薬物投与若しくは溶解試験の開始の時間をゼロ時間(t=0時間)、および適切な時間単位の投与後の時間、例えばt=30分若しくはt=2時間などとして呼称する規約を利用する。
【0036】
本明細書で使用されるところの「漸増する血漿プロファイル」という句は、直に先行する時間間隔にわたり患者の血漿中に存在する薬物の量に関して最低2個の連続した時間間隔にわたる患者の血漿中の特定の薬物の量の増大を指す。一般に、漸増する血漿プロファイルは、漸増するプロファイルを表す時間間隔にわたり最低約10%だけ増大することができる。
【0037】
本明細書で使用されるところの「漸増する放出速度」という句は、薬物が、投薬形態物が該薬物の約80%を枯渇するまで一定に留まるか若しくは減少するよりはむしろ時間とともに全般として増大する速度で使用の環境の液体に溶解するような、長時間に全般とし
て増大する溶解速度を指す。
【0038】
「送達する」および「送達」という用語は投薬形態物からの製薬学的剤の分離を指し、ここで製薬学的剤は使用の環境の液体に溶解することが可能である。
【0039】
「投薬形態物」により、製薬学的有効成分若しくはその製薬学的に許容できる酸付加塩を含んでなる製薬学的組成物若しくは装置を意味しており、該組成物若しくは装置は、場合によっては、薬理学的に不活性の成分、すなわち、活性の製薬学的剤を製造および送達するのに使用されるポリマー、懸濁化剤、界面活性剤、崩壊剤、溶解調節成分、結合剤、希釈剤、滑沢剤、安定剤、抗酸化剤、浸透物質、着色剤、可塑剤、コーティングなどのような製薬学的に許容できる賦形剤を含有する。
【0040】
本明細書で使用されるところの「即時放出」という用語は、投薬形態物の投与若しくは溶解試験の開始後短い時間内、すなわち一般に数分ないし約1時間以内の投薬形態物内に含有される薬物の少なくとも一部分の実質的に完全な放出を指す。
【0041】
さらに明記されない限り、本明細書で使用されるところの「患者」という用語は、疾患若しくは障害のための処置の必要な個々の患者および/若しくは患者の集団を意味している。患者はいかなる動物でもあり得、典型的には患者は哺乳動物であり、そして好ましくはヒトである。
【0042】
本明細書で互換性に使用される「製薬学的有効成分」、「薬物」、「有効成分」若しくは「化合物」により、ヒト若しくは動物患者に投与される場合に何らかの生理学的、心理学的、生物学的若しくは薬理学的、およびしばしば有益な効果を提供するいかなる剤、薬物、化合物若しくは組成物またはそれらの混合物を意味している。
【0043】
本明細書で互換性に使用される「製薬学的に許容できる酸付加塩」若しくは「製薬学的に許容できる塩」により、陰イオンが塩の毒性若しくは薬理学的活性に有意に寄与せず、そして、であるからそれらが塩基の形態の有効成分の薬理学的同等物である塩を意味している。塩形成の目的上有用である製薬学的に許容できる酸の例は、限定されるものでないが、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸、フマル酸、リンゴ酸、マレイン酸およびマンデル酸を挙げることができる。製薬学的に許容できる塩は、さらに、ムチン酸塩、N−オキシド、硫酸塩、酢酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、酢酸塩三水和物、二(ヘプタフルオロ酪酸塩)、二(メチルカルバミン酸塩)、二(ペンタフルオロプロピオン酸塩)、二(ピリジン−3−カルボン酸塩)、二(トリフルオロ酢酸塩)、重酒石酸塩、塩酸塩および硫酸塩五水和物、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重酒石酸塩、臭化物、エデト酸カルシウム、カムシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシラート(edisylate)、エストレート(estolate)、エシラート(esylate)、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、アルサニル酸グリコリル(glycollylarsanilate)、ヘキシルレゾルシン酸塩、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル臭化物、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、ムチン酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、パモ酸塩(エンボン酸塩)、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩(subacetate)、コハク酸塩、硫酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トリエチオジド、ベンザチン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン、ならびにプロカイン、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、プロピオン酸ナトリウム、亜鉛などを包含する。
【0044】
本明細書で使用されるところの「比例した」(投薬形態物からの非オピオイド鎮痛薬およびオピオイド鎮痛薬の放出速度若しくは送達を指す場合)という用語は、2種の鎮痛薬の相互に関しての放出若しくは放出の速度を指し、放出される量は投薬形態物中の各鎮痛薬の総量に対し正規化される。すなわち、放出される量は投薬形態物中に存在する各鎮痛薬の総量のパーセントとして表される。一般に、投薬形態物からの非オピオイド鎮痛薬若しくはオピオイド鎮痛薬の比例した放出速度は、各薬物の相対放出速度(放出パーセントとして表される)若しくは放出された量(該投薬形態物中に存在する総量のパーセントとしての累積放出として表される)が、他の薬物の放出速度若しくは放出された量の約20%以内、より好ましくは約10%以内、および最も好ましくは約5%以内であることを意味している。言い換えれば、いずれかの時点で、一方の剤の放出速度(投薬形態物中に存在するその総量のパーセントとして述べられる)は、同一時点での他方の剤の放出速度の約20%以上、より好ましくは約10%以上、および最も好ましくは約5%以上逸脱しない。
【0045】
薬物「放出速度」は、単位時間あたりに投薬形態物から放出される薬物の量、例えば1時間あたりに放出される薬物のミリグラム(mg/hr)を指す。薬物投薬形態物の薬物放出速度は、典型的にはin vitro溶解速度、すなわち適切な条件下および適する液体中で測定される単位時間あたりに投薬形態物から放出される薬物の量として測定される。例えば、溶解試験は、米国薬局方VII型浴指示計(bath indexer)に取付けた金属製コイルサンプルホルダーに入れかつ37℃の恒温水浴中で平衡化した約50mlの酸性化した水(pH=3)に浸積した投薬形態物で実施し得る。放出速度溶液のアリコートを試験して、投薬形態物から放出された薬物の量を測定する。例えば、薬物をアッセイ若しくはクロマトグラフィー装置に注入して、試験間隔の間に放出された薬物の量を定量し得る。
【0046】
別の方法で明記されない限り、投与後の指定された時間で得られる薬物放出速度は、適切な溶解試験の実施後の指定された時間で得られるin vitro薬物放出速度を指す。投薬形態物内の薬物の指定されたパーセントが放出された時間を「Tx」値として参照することができ、ここで「x」は放出された薬物のパーセントである。例えば、投薬形態物からの薬物放出を評価するために一般に使用される参照測定値は、投薬形態物内の薬物の90%が放出された時間である。この測定値は該投薬形態物の「T90」と称される。
【0047】
本明細書で使用されるところの「持続放出」という用語は、何時間にもわたる投薬形態物からの薬物の放出を指す。一般に、持続放出は、投薬形態物を投与された患者の血液(例えば血漿)濃度が、約12時間にわたって治療範囲内、すなわち最小有効鎮痛濃度すなわち「MEAC」より上しかし毒性レベルより下に維持されるような速度で起こる。
【0048】
本明細書で使用されるところの「0次血漿プロファイル」という句は、特定の時間間隔にわたる患者の血漿中の特定の薬物の実質的に平坦なすなわち変化しない量を指す。一般に、0次血漿プロファイルは、1つの時間間隔からその後の時間間隔まで約30%を超えない、および好ましくは約10%を超えないだけ変動することができる。
【0049】
本明細書で使用されるところの「0次の放出速度」という句は、薬物が実質的に一定の速度で使用の環境で液体に溶解するような、実質的に一定の放出速度を指す。0次の放出速度は、平均放出速度から約30%と同じくらい多いだけ、および好ましくは約10%を超えないだけ変動し得る。
【0050】
当業者は、疾患若しくは障害の効果的な処置が、個々の患者の変動性、腎および肝機能のような健康状態、身体活動、ならびに障害若しくは症状の性質および相対強度を包含す
る多くの要因に従って変動するであろうことを理解するであろう。
【0051】
本発明者は、持続放出投薬形態物が、即時放出薬物コーティングの非存在下で製薬学的有効成分の即時放出を提供し得るという驚くべき発見をなした。本発明者は、持続放出投薬形態物の放出速度が、これまで予見されない結果を達成するような浸透物質の添加により調節され得ることをさらに驚くべきことに発見した。
【0052】
理論により束縛されることを願わず、この驚くべき発見の機構は、該投薬形態物が使用の環境で水の存在下に置かれる場合に水に対する該投薬形態物の成分の競合と関係すると考えられる。迅速に水和する崩壊剤と一緒の投薬形態物の薬物含有部分内のゆっくりと水和する成分の存在が、崩壊剤の比較的迅速かつ優先的な水和を見込み、経口摂取若しくは溶解試験の開始直後の投薬形態物の水和の初期段階で投薬形態物の薬物含有部分の急速な膨張および崩壊をもたらすことが理論付けられている。投薬形態物の薬物含有部分中の浸透物質の存在が、崩壊剤の急速な水和を調節するように作用して、浸透物質の非存在下で観察される放出速度に関しての放出速度の遅延を見込む。よりゆっくりと水和する結合剤の代わりのより迅速に水和する結合剤の使用もまた、該投薬形態物からの放出速度が突発放出を伴わない薬物の持続放出を提供する投薬形態物からの放出速度に似ているように、放出速度の遅延をもたらす。水に対する賦形剤および有効成分の競合が、投薬間隔の間の初期段階およびより後の双方の薬物の放出速度の制御手段をもたらして、持続放出を提供する。
【0053】
さらに、開示される製剤は、相対的に不溶性の有効成分の高装填量を提供し得、また、類似の若しくは極めて異なる溶解性を有する付加的な有効成分との可能な相乗的若しくは治療的組合せをさらに提供し得る。該投薬形態物は、付加的な有効成分(例えばヒドロコドンおよびイブプロフェン)の物理特性(例えばそれらの溶解性)が相互と顕著に異なったとしても、該有効成分の比例した送達を表し得る。該製剤は、有効濃度の有効成分を比較的迅速に提供し、かつ、状態若しくは障害を処置するのに十分な有効成分のレベルを約12時間まで若しくはそれ以上維持するために持続放出をさらに提供するような様式で、ヒト患者に投与し得る。加えて、該製剤は長時間にわたり有効成分の実質的に完全な送達を提供する。例えば、図6Bおよび7Bは、有効成分の本質的に完全な放出が溶解試験の時間にわたって生じたことを示す。
【0054】
従って、1)持続放出成分および2)即時放出成分を含んでなる、製薬学的有効成分の必要な患者に製薬学的有効成分を送達するための持続放出投薬形態物が提供され、該即時放出成分は即時放出薬物コーティングでない。好ましくは、持続放出成分および即時放出成分の双方が、侵食可能な固体として放出するよう適合されている。好ましい一態様において、持続放出成分および即時放出成分の双方が単一の機構で提供される。ある態様において、持続放出成分は有効成分の漸増する放出速度を提供する。なお他の態様において、持続放出成分は有効成分の0次の放出速度を提供する。
【0055】
該持続放出投薬形態物は、水中で低溶解性を有する製薬学的有効成分とともにの使用にとりわけ有用である。ある態様において、製薬学的有効成分は25℃で10mg/ml未満の水中での溶解度を有する。好ましい有効成分の一分類は非ステロイド性抗炎症薬を包含するが、しかし、例えば、これらの有効成分と組合せうる付加的な有効成分、および抗生物質若しくは抗てんかん薬のような他の有効成分もまた包含する。
【0056】
好ましい態様において、製薬学的有効成分は侵食可能な固体中に高薬物装填量で存在する。特定の態様において、高薬物装填量は約60%から約95重量%までである。他の態様において、高薬物装填量は約70%から約90重量%、若しくは約75%から約85重量%までである。
【0057】
好ましい態様において、侵食可能な固体は崩壊剤および結合剤を含んでなる。侵食可能な固体はまた、場合によっては界面活性剤および浸透物質を含み得る。付加的な態様において、製薬学的有効成分は、崩壊剤、結合剤、浸透物質の相対比率および製薬学的有効成分の溶解性により制御されるある量で即時放出成分から放出される。
【0058】
好ましい一局面において、1)持続放出成分および2)即時放出成分を含んでなる、非ステロイド性抗炎症薬の必要な患者に非ステロイド性抗炎症薬を送達するための持続放出投薬形態物が提供され、即時放出成分は即時放出薬物コーティングでない。好ましい態様において、持続放出成分および即時放出成分の双方が侵食可能な固体として放出するように適合されている。別の局面において、持続放出成分および即時放出成分の双方が単一の機構で提供される。
【0059】
特定の態様において、持続放出成分は非ステロイド性抗炎症薬の漸増する放出速度を提供する。付加的な態様において、該持続放出成分は非ステロイド性抗炎症薬の0次の放出速度を提供する。
【0060】
好ましい態様において、非ステロイド性抗炎症薬はアリールプロピオン酸若しくはCOX−2阻害剤である。好ましくは、アリールプロピオン酸は、ベノキサプロフェン、デシブプロフェン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、イブプロフェン、インドプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、ナプロキソール若しくはオキサプロジン、それらの誘導体またはそれらの混合物であり、そして、例示的一非ステロイド性抗炎症薬はイブプロフェンである。
【0061】
好ましい態様において、侵食可能な固体は崩壊剤および結合剤を含んでなる。侵食可能な固体はまた、場合によっては界面活性剤および浸透物質も含み得る。付加的な態様において、非ステロイド性抗炎症薬は、崩壊剤、結合剤、浸透物質の相対比率および製薬学的有効成分の溶解性により制御されるある量で即時放出成分から放出される。好ましい態様において、侵食可能な固体は、崩壊剤、結合剤、ならびに場合によっては界面活性剤および浸透物質を含んでなる。付加的な好ましい態様において、結合剤はヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース若しくはポリビニルピロリドンである。他の態様において、浸透物質はソルビトール若しくはマンニトールのような低分子量の糖、または塩である。好ましくは、浸透物質は、存在する場合、約2%から約10%までの重量パーセントで侵食可能な固体中に存在する。好ましくは、崩壊剤は約1%から約10重量%までの量で存在する。好ましい崩壊剤はクロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン若しくはアルギン酸ナトリウムなどを包含する。付加的な態様において、侵食可能な固体は非イオン性若しくはイオン性界面活性剤をさらに含んでなる。好ましくは、界面活性剤は侵食可能な固体中に約0.1%ないし約10%の重量パーセントで存在する。好ましい非イオン性界面活性剤は、ポロキサマー、若しくはポリオキシエチレンの脂肪酸エステルまたはそれらの混合物を包含する。好ましいイオン性界面活性剤はC8〜C18アルキル硫酸のアルカリ塩を包含する。例示的態様において、侵食可能な固体は、約1%から約10重量%までのヒドロキシプロピルセルロースのようなヒドロキシアルキルセルロース、約2%から約6重量%までのクロスカルメロースナトリウムのような崩壊剤、および約2%ないし約3重量%のラウリル硫酸ナトリウムのようなイオン性界面活性剤を含んでなる。付加的な態様において、侵食可能な固体は、約1%から約10重量%までのポリビニルピロリドン、約2%から約6重量%までのクロスカルメロースナトリウムのような崩壊剤、および約2%から約3重量%までのラウリル硫酸ナトリウムのようなイオン性界面活性剤を含んでなる。
【0062】
なお他の態様において、製薬学的有効成分およびその製薬学的に許容できる塩を含んで
なりかつ侵食可能な固体として長時間にわたり放出するように適合されている持続放出投薬形態物が提供され、該投薬形態物は薬物コーティングの存在を伴わずに製薬学的有効成分の突発放出を提供する。好ましくは、該投薬形態物は、該投薬形態物の経口投与後最初の1時間に製薬学的有効成分の約10%から約50%までの、若しくは経口投与後最初の1時間に約15%から約30%まで放出される突発放出を提供する。特定の態様において、製薬学的有効成分は水中で低溶解性を有し、そして、ある態様において、製薬学的有効成分は25℃で10mg/ml未満の水中での溶解度を有する。
【0063】
好ましくは、製薬学的有効成分は侵食可能な固体中に高薬物装填量で存在する。該高薬物装填量は、典型的には約60%から約95重量%までであり、そして、特定の態様において、薬物装填量は約70%から約90重量%までである。他の態様において、薬物装填量は約75%から約85重量%までである。
【0064】
特定の態様において、侵食可能な固体は崩壊剤および結合剤を含んでなる。付加的な態様において、侵食可能な固体はさらに場合によっては界面活性剤および/若しくは浸透物質を含んでなる。突発放出は、崩壊剤、結合剤、浸透物質の相対比率および製薬学的有効成分の溶解性により制御され得る。別の局面において、製薬学的有効成分の放出速度は、侵食可能な固体中の浸透物質の存在により調節され得る。
【0065】
付加的な態様において、製薬学的有効成分およびその製薬学的に許容できる塩を含んでなりかつ侵食可能な固体として長時間にわたり放出するように適合されている持続放出投薬形態物が提供される。該製薬学的有効成分の放出速度は、該侵食可能な固体中の浸透物質の存在により調節され得る。
【0066】
なお他の態様において、製薬学的有効成分およびその製薬学的に許容できる塩を含んでなりかつ侵食可能な固体として長時間にわたり放出するように適合されている持続放出投薬形態物が提供される。最初の1時間の製薬学的有効成分の放出速度は、該侵食可能な固体中に存在する浸透物質、結合剤および崩壊剤の量により制御され得る。
【0067】
付加的な態様において、製薬学的有効成分およびその製薬学的に許容できる塩を含んでなりかつ侵食可能な固体として長時間にわたり放出するように適合されている持続放出投薬形態物が提供される。最初の1時間の製薬学的有効成分の放出速度は、該侵食可能な固体中に存在する浸透物質、結合剤および崩壊剤の相対水和速度により制御され得る。
【0068】
好ましい態様において、製薬学的有効成分は非ステロイド性抗炎症薬である。特定の態様において、投薬形態物は、該投薬形態物の経口投与後最初の1時間に非ステロイド性抗炎症薬の約10%から約50%までの、若しくは経口投与後最初の1時間に約15%から約30%まで放出される即時放出を提供する。他の特定の態様において、投薬形態物は、該投薬形態物の経口投与後最初の1時間に非ステロイド性抗炎症薬の約15%から約30%までの即時放出を提供する。好ましくは、侵食可能な固体は崩壊剤および結合剤を含んでなる。侵食可能な固体は界面活性剤および浸透物質もまた含み得る。界面活性剤は非イオン性若しくはイオン性界面活性剤であり得る。好ましくは、イオン性界面活性剤はC8〜C18アルキル硫酸のアルカリ塩であり、そして、非イオン性界面活性剤は、ポロキサマー、若しくはポリオキシエチレンの脂肪酸エステル、またはそれらの混合物である。
【0069】
該投薬形態物は最低4時間、より好ましくは最低6〜12時間若しくはより長い間、有効成分の持続放出を提供し得、そして持続放出は所望の場合12〜16時間維持され得る。特定の態様において、該投薬形態物は、投与後約1時間から約16時間まで0次放出を提供し、そして、ある態様において、該投薬形態物は投与後約1時間から約10時間まで0次放出を提供する。好ましくは、該投薬形態物は約12時間未満に有効成分の約90%を放出する。特定の態様において、該投薬形態物は、0次の放出速度を送達時間の少なくとも一部分の間提供する。他の態様において、該投薬形態物は、漸増する放出速度を送達時間の少なくとも一部分の間提供する。好ましくは、該投薬形態物は、より速い初期放出速度、次いで残存する有効成分の0次の放出速度を提供する。他の好ましい態様において、該投薬形態物は、ゆっくりとした初期放出速度、次いで残存する有効成分の漸増する放出速度を提供する。なお他の態様において、該投薬形態物は速い初期放出速度、次いで残存する有効成分のよりゆっくりした放出速度および漸増する放出速度を提供する。
【0070】
該投薬形態物が:(1)空洞を規定しかつ形成された若しくは形成可能な出口オリフィスをその中に包含する半透性壁;(2)空洞内に含有されかつ出口オリフィスに隣接して配置された治療上有効な量の非ステロイド性抗炎症薬のような有効成分を含んでなる薬物層;(3)空洞内に含有されかつ出口オリフィスから遠位に配置された押し置換層;(4)半透性壁の内表面と、該壁に正対する薬物層の少なくとも外表面との間の流動促進層を含んでなる持続放出投薬形態物もまた開示され;該投薬形態物は、使用の環境で水と接触された後に、有効成分、好ましくは非ステロイド性抗炎症薬のin vitro放出速度を約12ないし約16時間まで提供する。好ましい態様において、該投薬形態物は、即時放出薬物コーティングの存在を伴わずに非ステロイド性抗炎症薬の即時放出をさらに提供する。特定の態様において、該投薬形態物は、該投薬形態物の経口投与後最初の1時間に非ステロイド性抗炎症薬の約10%から約50%までの即時放出を提供する。付加的な態様において、該投薬形態物は、該投薬形態物の経口投与後最初の1時間に非ステロイド性抗炎症薬の約15%から約30%までの即時放出を提供する。
【0071】
本明細書に記述される持続放出投薬形態物の少なくとも1態様をそれの必要な患者に経口投与することを含んでなる、製薬学的有効成分の持続放出の提供方法もまた開示される。本明細書に記述される持続放出投薬形態物をそれの必要な患者に経口投与することを含んでなる、有効用量の非ステロイド性抗炎症薬のそれの必要な患者への長時間の提供方法もまた開示される。即時放出様式および持続放出様式で持続放出投薬形態物から放出される製薬学的有効成分の量および速度若しくは放出の制御方法もまた開示される。
【0072】
該持続放出投薬形態物は、他の有効成分と組合せのオピオイド鎮痛薬のような付加的な製薬学的有効成分を投与するためにもまた使用し得る。好ましい一態様において、非オピオイド鎮痛薬を持続放出投薬形態物中でオピオイド鎮痛薬と組合せ、そして、双方の剤の放出は、該投薬形態物中のそれらのそれぞれの量に比例した速度で提供され得る。
【0073】
該持続放出投薬形態物の態様およびそれらの使用方法をより詳細に下述する。
【0074】
治療薬の即時放出のための薬物コーティング
薬物コーティング製剤が場合によっては本明細書に記述される投薬形態物中に包含され得、そして、持続放出成分により提供される有効成分の持続放出と一緒に、有効成分の即時放出を提供する。当該技術分野で既知のいかなる薬物コーティング製剤も、本明細書に記述される発明の投薬形態物とともに使用し得、また、溶解性にしろ不溶性にしろいかなる製薬学的剤若しくは剤の組合せも、およびいかなる薬物装填量でも包含し得る。ある好ましい薬物コーティング製剤が、2003年9月26日付の代理人整理番号第ARC 3363 P1号として出願された同時係属中の共通に所有される特許出願第60/506,195号明細書(そっくりそのまま引用することにより本明細書に組み込まれる)に記述されている。
【0075】
ある種の好ましい薬物コーティングについて、簡潔には、薬物コーティングは水性コーティング製剤から形成し得、そして、最低1種の不溶性薬物および水溶解性薄膜形成剤を包含する。2種若しくはそれ以上の不溶性薬物、または1種若しくはそれ以上の溶解性薬物と組合せの1種若しくはそれ以上の不溶性薬物を薬物コーティング中に包含し得る。好
ましい一態様において、薬物コーティングは1種の不溶性薬物および1種の溶解性薬物を包含する。好ましい一態様において、薬物コーティングに包含される不溶性薬物は非オピオイド鎮痛薬であり、イブプロフェンがとりわけ好ましい不溶性薬物である。付加的な好ましい一態様において、薬物コーティングに包含される溶解性薬物はオピオイド鎮痛薬であり、ヒドロコドン、オキシコドン、ヒドロモルホン、オキシモルホン、コデインおよびメサドンがとりわけ好ましい溶解性薬物である。
【0076】
好ましい態様において、薬物コーティングは約85重量%から約97重量%までの不溶性薬物を包含し、約90重量%ないし約93重量%の不溶性薬物の装填量を表すコーティングがとりわけ好ましい。薬物コーティングに包含される溶解性薬物の総量は、好ましくは約0.5重量%から約15重量%までの溶解性薬物の範囲にわたり、そして約1重量%ないし約3重量%の溶解性薬物を包含する薬物コーティングが最も好ましい。溶解性および不溶性双方の薬物を組み込む薬物コーティングに包含される不溶性薬物の総量は、好ましくは約60重量%から約96.5重量%までの範囲にわたり、約75重量%ないし約89.5重量%の不溶性薬物を包含する薬物コーティングがより好ましく、そして、約89重量%ないし約90重量%の不溶性薬物を包含する薬物コーティングが最も好ましい。薬物コーティングに包含される薬物の総量は約85重量%から約97重量%までの範囲にわたり、そして好ましい態様において、薬物コーティングに包含される薬物の総量は約90重量%から約93重量%までの範囲にわたる。
【0077】
好ましい一態様において、薬物コーティングに包含される不溶性薬物は非オピオイド鎮痛薬である。好ましい非オピオイド鎮痛薬はとりわけイブプロフェンおよびアセトアミノフェンを包含する。付加的な好ましい一態様において、薬物コーティングに包含される溶解性薬物はオピオイド鎮痛薬であり、ヒドロコドン、オキシコドン、ヒドロモルホン、オキシモルホン、コデインおよびメサドンがとりわけ好ましい溶解性薬物である。
【0078】
薬物コーティングに包含される薄膜形成剤は水溶解性であり、そして薬物コーティングの約3重量%ないし約15重量%に相当し、約7重量%ないし約10重量%の薄膜形成剤を有する薬物コーティングが好ましい。薬物コーティングに包含される薄膜形成剤は水溶解性であり、そして好ましくは薬物コーティングに包含される不溶性薬物を可溶化するようはたらく。加えて、薄膜形成剤が薬物コーティングに包含される1種若しくはそれ以上の不溶性薬物と固体溶液を形成するような、薬物コーティングに包含される薄膜形成剤を選びうる。薬物コーティングの薬物装填量および薄膜形成の特徴は、該薬物コーティングに包含される1種若しくはそれ以上の不溶性薬物の最低1種と固体溶液を形成する薄膜形成剤を選択することにより高められると考えられる。薄膜形成剤内に分子レベルで溶解される薬物(固体溶液)はまた、薬物コーティングが分解若しくは溶解する際に、薬物が胃腸管中に放出されそして個別の分子として胃腸粘膜組織に提示されるため、より容易に生物学的に利用可能であることも期待される。
【0079】
好ましい一態様において、薬物コーティングに包含される薄膜形成剤は、薄膜形成ポリマー若しくは最低1種の薄膜形成ポリマーを包含するポリマーブレンドである。薬物コーティングの薄膜形成剤として使用されるポリマー素材は水溶解性である。薬物コーティングの薄膜形成ポリマーとして使用しうる水溶解性ポリマー素材の例は、限定されるものでないが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(「HPMC」)、低分子量HPMC、ヒドロキシプロピルセルロース(「HPC」)(例えばKlucel(R))、ヒドロキシエチルセルロース(「HEC」)(例えばNatrasol(R))、コポビドン(例えばKollidon(R)VA 64)およびPVA−PEGグラフト共重合体(例えばKollicoat(R)IR)、ならびにそれらの組合せを挙げることができる。薬物コーティングに包含されるべき薬物(1種若しくは複数)とともに単一の薄膜形成ポリマーを使用して達成可能でないとみられる特徴を有する薬物コーティングを達成するために、ポリマーブレンド若しくは混合物を薄膜形成剤として使用しうる。例えば、HPMCおよびコポビドンの配合物は、所望の薬物装填量の特徴を表すのみならずしかし審美的に満足できかつ所望の物理特性を表すコーティングもまた提供する薬物コーティングの形成を可能にする薄膜形成剤を提供する。
【0080】
薬物コーティングは粘度増強剤もまた包含し得る。薬物コーティングは不溶性薬物を包含する水性コーティングであるため、薬物コーティングは典型的には水性懸濁液製剤から被覆される。懸濁液製剤から実質的に均一な薬物分布をともなう薬物コーティングを提供するために、しかしながら、該懸濁液製剤は、コーティングに包含される不溶性薬物の実質的に均一な分散系を提供すべきである。薬物コーティングに包含される薄膜形成剤および薬物の相対量および性質に依存して、実質的に均一な薬物分散系を提供するのに十分な粘度を表しかつ不溶性薬物の実質的に均一な分布を有する薬物コーティングの製造を助長するコーティング製剤の創製を容易にするように、粘度増強剤を薬物コーティングに包含し得る。薬物コーティングに包含される粘度増強剤は好ましくは水溶解性であり、かつ、薄膜形成剤であり得る。薬物コーティング中で使用しうる粘度増強剤の例は、限定されるものでないがHPC(例えばKlucel(R))、HEC(例えばNatrasol(R))、Polyox(R)水溶解性樹脂製品、およびそれらの組合せを挙げることができる。
【0081】
薬物コーティングに包含される粘度増強物質の正確な量は、薬物コーティング中で使用されるべき薄膜形成ポリマーおよび薬物物質の量および型に依存して変動することができる。しかしながら、薬物コーティングに包含される場合、粘度増強剤は典型的に薬物コーティングの5重量%若しくはそれ未満に相当することができる。好ましくは、薬物コーティングは2重量%若しくはそれ未満の粘度増強剤を包含し、また、とりわけ好ましい態様において、薬物コーティングは1重量%若しくはそれ未満の粘度増強剤を包含する。
【0082】
薬物コーティングはまた、薬物コーティングが投与後に崩壊する速度を増大させる崩壊剤も包含し得る。薬物コーティングは典型的に大量の不溶性薬物を包含するため、薬物コーティングは投与後に所望されるほど迅速に分解若しくは崩壊しないことがある。コーティングに包含される崩壊剤は、崩壊剤が水を吸収しかつ膨潤する際にコーティングを構造的に損なうようにはたらく、水で膨潤可能な素材である。薬物コーティング中で使用しうる崩壊剤は、限定されるものでないが、加工デンプン、化学修飾セルロースおよび架橋ポリビニルピロリドン素材を挙げることができる。薬物コーティング中で使用することができかつ商業的に入手可能である崩壊剤の特定の例は、Ac−Di−Sol(R)、Avicel(R)およびPVP XL−10を包含する。薬物コーティングに包含される場合、崩壊剤は、典型的にはコーティングの約6重量%までに相当し、約0.5重量%から約3重量%までを組み込むコーティングが好ましく、そして約1重量%から約3重量%までを組み込むコーティングがとりわけ好ましい。
【0083】
薬物コーティングはまた、投与後に薬物コーティングが溶解若しくは侵食する速度を増大させるための界面活性剤も包含し得る。界面活性剤は、水性液体に薬物コーティングを横断してより容易に広がらせるすなわち浸透させる「湿潤」剤としてはたらく。薬物コーティング中での使用に適する界面活性剤は好ましくは25℃で固体である。薬物コーティング中で使用しうる界面活性剤の例は、限定されるものでないがPoloxamerおよびPluronic(R)界面活性剤のような界面活性ポリマーを挙げることができる。界面活性剤が薬物コーティングに包含される場合、界面活性剤は、典型的には薬物コーティングの約6重量%までに相当することができ、約0.5重量%ないし約3重量%の界面活性剤を包含する薬物コーティングが好ましく、そして約1重量%ないし約3重量%の界面活性剤を包含する薬物コーティングがとりわけ好ましい。
【0084】
薬物コーティングの一態様において、薄膜形成剤はコポビドンおよびHPMCから形成されるポリマーブレンドを包含する。こうしたポリマーブレンドが薬物コーティングの薄膜形成剤として使用される場合、コポビドンおよびHPMCの量は、所望の物理的および薬物装填量の特徴を有する薬物コーティングを達成するように所望のとおり変動させ得る。しかしながら、薬物コーティングに包含される薄膜剤がコポビドンおよびHPMCの配合物から形成される場合、コポビドンおよびHPMCは、好ましくは約0.6:1ないし約0.7:1のコポビドン対HPMCの重量/重量比で包含され、1:1.5の重量/重量比が最も好ましい。HPMCおよびコポビドンの配合物は、審美的に満足できかつさらなる加工および長期の貯蔵寿命を耐えるのに十分堅牢であると考えられる薬物コーティングを提供する。さらに、コポビドンは薬物コーティングに包含される不溶性薬物を可溶化して不溶性薬物の固体溶液を包含する薬物コーティングを提供するようにはたらき得ると考えられている。
【0085】
別の態様において、薬物コーティングは、薄膜形成剤としてHPMCおよびコポビドンの配合物、不溶性の薬物、および溶解性の薬物を包含する。こうした一態様の特定の一例において、薬物コーティングは、非オピオイド鎮痛薬のような不溶性薬物およびオピオイド鎮痛薬のような溶解性薬物を包含し得る。非オピオイド鎮痛薬およびオピオイド鎮痛薬の組合せを包含する投薬形態物は、鎮痛薬、抗炎症薬、解熱薬および鎮咳薬の作用の組合せを提供する。
【0086】
なおさらなる態様において、薬物コーティングは、薄膜形成剤としてのHPMCおよびコポビドンの配合物、不溶性の非オピオイド鎮痛薬、溶解性のオピオイド鎮痛薬、ならびに粘度増強剤若しくは崩壊剤を包含する。こうした一態様の特定の一例において、薬物コーティングは約1重量%と約2重量%との間のHPCのような粘度増強剤を包含する。こうした一態様の別の例において、薬物コーティングは約0.5重量%と約3重量%との間の崩壊剤を包含し、また、こうした一態様のなお別の例において、薬物コーティングは約0.5重量%と約3重量%との間の界面活性剤を包含する。
【0087】
薬物コーティングは、高薬物装填量を達成することが可能であるのみならず、しかし、薬物コーティングが2種若しくはそれ以上の異なる薬物を包含する場合は、薬物コーティングが該薬物コーティングに包含される薬物の量に直接比例する量の異なる薬物を放出することが見出されている。該比例した放出は、アセトアミノフェンおよびヒドロコドンのような劇的に異なる溶解性の特徴を表す薬物が薬物コーティングに包含されている場合であっても観察される。加えて、薬物コーティングは、その中に包含される薬物の実質的に全部を放出する。こうした性能の特徴は、確実かつ予測可能な薬物送達成績を助長し、そして、2種若しくはそれ以上の薬物を広範な異なる比で送達する薬物コーティングの製剤を可能にする。
【0088】
別の局面において、コーティング製剤は薬物コーティングを提供するのに使用し得る。コーティング懸濁液は、1種若しくはそれ以上の溶媒若しくは溶液内に物質に依存して溶解若しくは懸濁されている、薬物コーティングを形成するのに使用される物質を包含する。コーティング懸濁液に包含される1種若しくはそれ以上の溶媒は有機溶媒でなく、そして好ましくは水性溶媒である。コーティング懸濁液で使用しうる水性溶媒は、限定されるものでないが精製水、pHを調節した水、酸性化した水若しくは水性緩衝溶液を挙げることができる。好ましい一態様において、コーティング懸濁液に包含される水性溶媒は米国薬局方精製水である。コーティング製剤は好ましくは水性製剤であり、そしてコーティング組成物の処方において有機溶媒の使用から生じ得る潜在的な問題および欠点を回避する。
【0089】
薬物コーティングは最低1種の不溶性薬物を包含するため、コーティング製剤は、典型
的にはいずれかの適する方法を使用して水性懸濁液として製造し、また、好ましい態様において、コーティング製剤は、例えばパンコーティング、流動床コーティング、若しくは薬物コーティングを提供するのに適するいずれかの他の標準的コーティング方法のような既知のコーティング方法による薬物コーティングの製造を助長するように処方される。コーティング懸濁液で使用される溶媒の正確な量は、例えば完成した薬物コーティングに包含されるべき物質、コーティング懸濁液の所望のコーティング成績、および完成した薬物コーティングの所望の物理的特徴に依存して変動しうるとは言え、コーティング懸濁液は、典型的には約30重量%までの固形物含量を包含し、コーティング懸濁液の残部は所望の溶媒よりなる。コーティング懸濁剤の好ましい一態様は約80重量%の所望の水性溶媒および約20重量%の固形物含量を包含する。コーティング懸濁液は、薬物コーティングの吹付塗を容易にするのに十分に低いがそれでもなおコーティング工程の間のコーティング懸濁液に包含される不溶性薬物の実質的に均一な分散を維持するのに十分高い粘度を表すように処方する。
【0090】
コーティング製剤の製造において、コーティング製剤に負荷される薬物は超微粉の形態で提供し得る。コーティング製剤に負荷される薬物の粒子径を低下させることにより、より外見上滑らかな薬物コーティングを達成しうる。加えて、コーティング製剤に負荷される薬物物質の粒子径を低下させることにより、コーティング製剤により製造される薬物コーティングから放出される場合の薬物の溶解速度を、とりわけ薬物が不溶性薬物である場合に向上させうる。コーティング製剤の一態様において、コーティング製剤は、100ミクロン未満の平均粒子径を表す超微粉薬物物質を包含する。別の態様において、コーティング製剤は50ミクロン未満の平均粒子径を表す超微粉薬物物質を包含し、また、なお別の態様において、コーティング製剤は10ミクロン未満の平均粒子径を表す超微粉薬物物質を包含する。薬物物質の超微粉砕は、例えば既知のビーズ微粉砕、ジェットミル微粉砕若しくは微小沈殿工程のような当該技術分野で公知の方法により容易に達成し得、そして、粒子径は、沈降場流動分画法、光子相関分光法若しくはディスク遠心分離(disk centrifugation)のようないずれかの慣習的粒子径測定技術を使用して測定し得る。
【0091】
コーティング製剤中に溶解若しくは懸濁される固体は、薬物コーティング中で使用されるものと同一の相対量でコーティング製剤に負荷する。例えば、コーティング製剤に包含される薬物は、該コーティング製剤に負荷される固体の約85重量%ないし約97重量%に相当する。好ましい態様において、コーティング製剤に包含される薬物は、該コーティング製剤に負荷される固体の約90重量%ないし約93重量%に相当する。コーティング製剤に包含される薄膜形成剤は、該コーティング製剤に負荷される固体の約3重量%ないし約15重量%に相当し、そして、好ましい態様において、コーティング製剤に包含される薄膜形成剤は、該コーティング製剤に負荷される固体の約7重量%ないし約10重量%に相当する。包含される場合、粘度増強剤は、典型的に、コーティング製剤に包含される固体の5重量%若しくはそれ未満に相当することができる。粘度増強剤が固体の2重量%若しくはそれ未満に相当するコーティング製剤が好ましく、そして、とりわけ好ましい態様において、コーティング製剤に包含される粘度増強剤は、該コーティング製剤に包含される固体の1重量%若しくはそれ未満に相当する。コーティング製剤により形成されるべきコーティングが崩壊剤を包含するべきである場合、崩壊剤は、典型的に、コーティング製剤に包含される固体の約6重量%までに相当する。好ましい態様において、崩壊剤は、コーティング製剤に包含される固体の約0.5重量%ないし約3重量%に相当することができ、そして、崩壊剤を包含するコーティング製剤のとりわけ好ましい態様において、崩壊剤はコーティング製剤に包含される固体の約1重量%ないし約3重量%に相当する。界面活性剤が本発明の薬物コーティングに包含される場合、界面活性剤は、典型的には該コーティング製剤に包含される固体の約6重量%までに相当することができる。好ましくは、界面活性剤がコーティング製剤に包含される場合、界面活性剤はコーティング製剤に包含される固体の約0.5重量%ないし約3重量%に相当することができ、そして、界面活性剤を包含するコーティング製剤のとりわけ好ましい態様において、界面活性剤はコーティング製剤に包含される固体の約1重量%ないし約3重量%に相当する。
【0092】
製薬学的有効成分を含有する持続放出投薬形態物
OROS(R)技術は、薬物の即時放出を提供する薬物コーティングの使用を伴う若しくは伴わない、1種若しくはそれ以上の有効成分の持続放出を提供し得る、調節可能な持続放出投薬形態物を提供する。多様な型の浸透圧ディスペンサーは、米国特許第3,845,770号明細書に記述されるもののような簡単な浸透圧ポンプ、米国特許第3,995,631号、同第4,034,756号および同第4,111,202号明細書に記述されるもののようなミニ浸透圧ポンプ、ならびに米国特許第4,320,759号、同第4,327,725号、同第4,449,983号、同第4,765,989号および同第4,940,465号、Bhattへの同第6,368,626号明細書(それらの全部は引用することにより本明細書に組み込まれる)に記述されるもののようなプッシュプル、プッシュメルトおよびプッシュスティック浸透圧ポンプと称される多室浸透圧系を包含する。好ましく使用し得るOROS(R)の特定の改作はOROS(R)Push−StickTM系を包含する。浸透圧系に対する有意の一利点は、作動が実質的にpH非依存性であり、そして従って、投薬形態物が胃腸管を通過しかつ有意に異なるpH値を有する異なる微小環境に遭遇する際でさえ長時間を通じて浸透圧で決定される速度で継続することである。持続放出は、数時間程度の時間、若しくは投薬形態物が胃腸管に存する限り提供され得る。
【0093】
浸透圧投薬形態物は、水の拡散を可能にするがしかし存在する場合に薬物若しくは浸透物質の拡散を可能にしない半透性壁により少なくとも部分的に形成される区画中に液体を吸収するための駆動力を生成させるのに浸透圧を利用する。これらの浸透圧投薬形態物においては、有効成分リザーバ(1個若しくは複数)が、典型的には、場合によっては固体、液体若しくは懸濁液の形態の製薬学的剤を含有する有効成分区画、および胃から液体を吸収し、膨潤しかつ有効成分を投薬形態物からそして使用の環境に推し進めることができる親水性ポリマーの膨張可能な「押し」区画を伴い形成される。
【0094】
こうした浸透圧投薬形態物の総説は、SantusとBaker(1995)、“Osmotic drug delivery:a review of the patent literature”、Journal of Controlled Release 35:1−21(そっくりそのまま引用することにより本明細書に組み込まれる)に見出される。とりわけ、本出願の譲受人であるALZA Corporationにより所有されかつ浸透圧投薬形態物に向けられた以下の米国特許、すなわち米国特許第3,845,770号;同第3,916,899号;同第3,995,631号;同第4,008,719号;同第4,111,202号;同第4,160,020号;同第4,327,725号;同第4,519,801号;同第4,578,075号;同第4,681,583号;同第5,019,397号;同第5,156,850号;同第5,912,268号;同第6,375,978号;同第6,368,626号;同第6,342,249号;同第6,333,050号;同第6,287,295号;同第6,283,953号;同第6,270,787号;同第6,245,357号;および同第6,132,420号明細書が、それぞれそっくりそのまま本明細書に組み込まれる。
【0095】
投薬形態物の核は、典型的には、一層としての結合剤および鎮痛薬ならびに第二の層としての膨張可能なすなわち押し層の圧縮により形成される水分を含まない組成物若しくは実質的に水分を含まない組成物を含んでなる薬物層を含んでなる。「水分を含まない組成物」若しくは「実質的に水分を含まない組成物」により、投薬形態物の薬物層を形成する組成物が栓様の状態で投薬形態物から排出され、該組成物が十分に乾燥しているか、若し
くは押し層により発揮される圧下でそれが投薬形態物から液体流として容易に流動しないほど高度に粘性であることを意味している。薬物層それ自身は、薬物、結合剤および崩壊剤が十分に水和しておらず、そして薬物層がスラリー若しくは懸濁液として投薬形態物から流動しないため、押し層に関して非常にわずかの浸透圧活性を有する。薬物層は、薬物層がスラリー若しくは懸濁液として使用の環境に露出される代替の浸透圧投薬形態物と対照的に、侵食可能な組成物として使用の環境に露出される。薬物層は、提供される高薬物装填量ならびに送達されるべき薬物の乏しい溶解性により、あったとしても非常にわずかな浸透物質をそれが包含するために、侵食可能な組成物である。
【0096】
投薬形態物の核は、典型的には、一層としての結合剤および鎮痛薬ならびに第二の層としての膨張可能なすなわち押し層の圧縮により形成される水分を含まない組成物を含んでなる薬物層を含んでなる。「水分を含まない組成物」若しくは「実質的に水分を含まない組成物」により、投薬形態物の薬物層を形成する組成物が栓様の状態で投薬形態物から排出され、該組成物が十分に乾燥しているか、若しくは押し層により発揮される圧下でそれが投薬形態物から液体流として容易に流動しないほど高度に粘性であることを意味している。薬物層それ自身は、薬物、結合剤および崩壊剤が十分に水和しておらず、そして薬物層がスラリー若しくは懸濁液として投薬形態物から流動しないため、押し層に関して非常にわずかの浸透圧活性を有する。薬物層は、薬物層がスラリー若しくは懸濁液として使用の環境に露出される代替の浸透圧投薬形態物と対照的に、侵食可能な組成物として使用の環境に露出される。薬物層は、提供される高薬物装填量ならびに送達されるべき薬物の乏しい溶解性により、あったとしても非常にわずかな浸透物質をそれが包含するために、侵食可能な組成物である。
【0097】
圧縮技術は当該技術分野で既知でありかつ実施例1に例示される。押し層が使用の環境から液体を吸収する際に膨張可能な層が出口オリフィスから薬物層を押し、そして、露出された薬物層が侵食されて使用の環境に薬物を放出することができる。これは図1を参照して理解されると思われる。投薬形態物からの放出に際して、薬物層は水を吸収して崩壊剤を膨潤させかつ溶解性の剤を溶解させて、使用の環境で液体に侵食可能な固体を分散させかつ鎮痛薬を溶解させる。この「押し粘着(push−stick)」製剤が好ましい投薬形態物であり、そしてより詳細に下述する。
【0098】
浸透圧投薬形態物の特定の一態様は:空洞を規定しかつ形成された若しくは形成可能な出口オリフィスをその中に包含する半透性壁、空洞内に含有されかつ出口オリフィスに隣接して配置される治療上有効な量の最低1種の製薬学的有効成分(例えばオピオイド鎮痛薬および非オピオイド鎮痛薬)を含んでなる薬物層、空洞内に含有されかつ出口オリフィスから遠位に配置される押し置換層、ならびに半透性壁の内表面と、該壁と正対する薬物層の少なくとも外表面との間の流動促進層を含んでなる。該投薬形態物は、使用の環境で水と接触された後約12時間まで若しくはより長い間のオピオイド鎮痛薬および非オピオイド鎮痛薬のin vitro放出速度を提供する。
【0099】
浸透圧投薬形態物の組成
被験体へのその投与の前、作動の間および有効成分の送達後の「押し粘着」構成を有する本発明の投薬形態物の好ましい一態様を、図1に具体的に説明する。該投薬形態物は空洞および出口オリフィスを規定する壁を含んでなる。空洞内にかつ出口オリフィスから離れて押し置換層があり、そして薬物層は空洞内に出口オリフィスに隣接して配置される。流動促進層は少なくとも薬物層と壁の内表面との間を伸長し、また、壁の内表面と押し置換層との間を伸長し得る。
【0100】
投薬形態物は典型的に高薬物装填量(すなわち薬物層の総重量に基づき薬物層中に60%若しくはそれ以上、しかしより一般的には70%若しくはそれ以上の有効成分)にあり、そして侵食可能な組成物として使用の環境に露出される。薬物層は比較的不溶性の薬物から形成される組成物を含んでなり、かつ、同一の若しくは異なる溶解性を伴う付加的な薬物と組合せ得る。特定の一態様は、崩壊剤、結合剤、場合によっては界面活性剤および/若しくは浸透圧剤、ならびにそれらの混合物とともにオピオイド鎮痛薬および非オピオイド鎮痛薬を包含する。結合剤は一般に、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシプロピルアルキルセルロース、ポリ(アルキレン)オキシド、若しくはポリビニルピロリドン、またはそれらの混合物のような有効成分の放出速度および制御された送達パターンに貢献する親水性ポリマーである。これらの親水性ポリマーは、それらの化学的置換および分子量に依存して、水の存在下で変動する速度で水和されたようになる。これらの親水性ポリマーの代表例は、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(メチレンオキシド)、ポリ(ブチレンオキシド)およびポリ(ヘキシレンオキシド)を制限なしに包含する100,000ないし750,000の数平均分子量のポリ(アルキレンオキシド);ポリ(カルボキシメチルセルロースナトリウム)、ポリ(カルボキシメチルセルロースカリウム)およびポリ(カルボキシメチルセルロースリチウム)のようなポリ(アルカリカルボキシメチルセルロース)により表される40,000ないし400,000の数平均分子量のポリ(カルボキシメチルセルロース);ヒドロキシプロピルセルロースのような9,200ないし125,000の数平均分子量のヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルブチルセルロースおよびヒドロキシプロピルペンチルセルロースを制限なしに包含する9,200ないし125,000の数平均分子量のヒドロキシプロピルアルキルセルロースのようなヒドロキシプロピルアルキルセルロース;ならびに7,000ないし75,000の数平均分子量のポリ(ビニルピロリドン)である。それらのポリマーのなかで、100,000〜300,000の数平均分子量のポリ(エチレンオキシド)、7,000ないし75,000の数平均分子量のポリ(ビニルピロリドン)およびヒドロキシアルキルセルロースが好ましい。例えば、ポリ(ビニルピロリドン)は迅速に水和するポリマーとして知られている一方、ヒドロキシアルキルセルロース、とりわけヒドロキシプロピルセルロースはゆっくりと水和するポリマーである。胃環境で侵食する担体すなわち生物侵食性担体がとりわけ好ましい。
【0101】
界面活性剤および崩壊剤を担体中で同様に利用しうる。崩壊剤は、一般に、デンプン、粘土、セルロース、アルギンおよびガムならびに架橋デンプン、セルロースおよびポリマーを包含する。代表的崩壊剤は、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、Veegum HV、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、カルボキシメチルセルロース、低置換度カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、グアールガムなどを包含する。好ましい崩壊剤はクロスカルメロースナトリウムである。
【0102】
例示的界面活性剤は、ポリエチレングリコール400モノステアレート、ポリオキシエチレン−4−ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン−20−ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレン−20−ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレン−20−モノラウレート、ポリオキシエチレン−40−ステアレート、オレイン酸ナトリウムなどのような約10〜25の間のHLB値を有するものである。有用である界面活性剤は一般に、陰イオン性、陽イオン性および両性イオン性界面活性剤を包含するイオン性界面活性剤ならびに非イオン性界面活性剤を包含する。非イオン性界面活性剤はある態様で好ましく、そして、例えば、ポリオキシル40ステアレート、ポリオキシル50ステアレート、ポリオキシル100ステアレート、ポリオキシル12ジステアレート、ポリオキシル32ジステアレートおよびポリオキシル150ジステアレートのようなポリオキシルステアレート、ならびに他のMyrjTM系列の界面活性剤若しくはそれらの混合物を包含する。溶解された薬物の形成において有用な界面活性剤のなお別の分類は、商標名PluronicおよびPoloxamerで入手可能な一般式HO(C2H4O)a(−
C3H6O)b(C2H4O)aHを有するポロキサマーとしてもまた知られるエチレンオキシド/プロピレンオキシド/エチレンオキシドのトリブロック共重合体である。この分類の界面活性剤では、界面活性剤分子の親水性のエチレンオキシド端および界面活性剤分子のプロピレンオキシドの疎水性の中央ブロックが薬物を溶解かつ懸濁するようにはたらく。これらの界面活性剤は室温で固体である。他の有用な界面活性剤は、糖エステル界面活性剤、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリエステルのようなソルビタン脂肪酸エステル、および他のSpanTM系列の界面活性剤、グリセロールモノステアレートのようなグリセロール脂肪酸エステル、高分子量脂肪族アルコールのポリオキシエチレンエーテル(例えばBrij
30、35、58、78および99)、ポリオキシエチレンステアレート(自己乳化する)、ポリオキシエチレン40ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン75ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン6ソルビトールミツロウ誘導体、ポリオキシエチレン20ソルビトールミツロウ誘導体、ポリオキシエチレン20ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン50ソルビトールラノリン誘導体、ポリオキシエチレン23ラウリルエーテル、ブチル化ヒドロキシアニソールを含むポリオキシエチレン2セチルエーテル、ポリオキシエチレン10セチルエーテル、ポリオキシエチレン20セチルエーテル、ポリオキシエチレン2ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン10ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン20ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン21ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン20オレイルエーテル、ポリオキシエチレン40ステアレート、ポリオキシエチレン50ステアレート、ポリオキシエチレン100ステアレートのようなポリオキシエチレン誘導体、ポリオキシエチレン4ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン20ソルビタントリステアレートのようなソルビタンの脂肪酸エステルのポリオキシエチレン誘導体、ならびに、他のTweenTM系列の界面活性剤、リン脂質およびレシチンのようなリン脂質脂肪酸誘導体、脂肪アミン酸化物、脂肪酸アルカノールアミド、硬化ヤシ油モノグリセリド、硬化ダイズ油モノグリセリド、硬化ヤシ油ステアリンモノグリセリド、硬化植物油モノグリセリド、硬化綿実油モノグリセリド、精製ヤシ油モノグリセリド、部分硬化ダイズ油モノグリセリド、綿実油モノグリセリドヒマワリ油モノグリセリド、ヒマワリ油モノグリセリド、カノーラ油モノグリセリド、スクシニル化モノグリセリド、アセチル化モノグリセリド、アセチル化硬化植物油モノグリセリド、アセチル化硬化ココナツ油モノグリセリド、アセチル化硬化ダイズ油モノグリセリド、グリセロールモノステアレート、硬化ダイズ油とのモノグリセリド、硬化ヤシ油とのモノグリセリド、スクシニル化モノグリセリドおよびモノグリセリド、モノグリセリドおよびナタネ油、モノグリセリドおよび綿実油、プロピレングリコールモノエステルナトリウムステアロイルラクチレート二酸化ケイ素を含むモノグリセリドのようなプロピレングリコールモノエステルおよびモノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、ポリオキシエチレンステロイドエステル、エチレンオキシドと重合したオクチルフェノールから製造され(ここで商品名中の数字「100」は構造中のエチレンオキシド単位の数に間接的に関係し、例えばTriton X−100TMは625の平均分子量を伴い分子あたりN=9.5個のエチレンオキシド単位の平均を有する)かつ商業的製品中により少ない量で存在するより少ないおよびより多い分子付加物を有するTriton−X系列の界面活性剤、ならびにIgepal CA−630TMおよびNonidet P−40M(NP−40TM、N−ラウロイルサルコシン、Sigma Chemical Co.、ミズーリ州セントルイス)を包含するTriton X−100TMに類似の構造を有する化合物などを包含する。上の界面活性剤のいずれも、ブチル化ヒドロキシアニソールおよびクエン酸のような任意の添加された保存剤もまた包含し得る。加えて、界面活性剤分子中のいずれの炭化水素鎖も飽和若しくは不飽和、水素化若しくは非水素化であり得る。
【0103】
界面活性剤のとりわけ好ましい一群は、エチレンオキシド:プロピレンオキシド:エチレンオキシドのa:b:aのトリブロック共重合体であるポロキサマー界面活性剤である。「a」および「b」はポリマー鎖の各ブロックの単量体単位の平均数を表す。これらの界面活性剤は、多様な異なる分子量でかつ異なる値の「a」および「b」ブロックを伴い、ニュージャージー州マウントオリーブのBASF Corporationから商業的に入手可能である。例えば、Lutrol(R)F127は9,840ないし14,600の分子量範囲を有し、そしてここで「a」はおよそ101でありかつ「b」はおよそ56であり、Lutrol F87は、「a」が64でありかつ「b」が37である6,840ないし8,830の分子量を表し、Lutrol F108は、「a」が141でありかつ「b」が44である12,700ないし17,400の平均分子量を表し、そしてLutrol F68は、「a」が約80の値を有しかつ「b」が約27の値を有する7,680ないし9,510の平均分子量を表す。
【0104】
他の界面活性剤は、脂肪酸の糖エステルである糖エステル界面活性剤である。こうした糖エステル界面活性剤は、糖脂肪酸モノエステル、糖脂肪酸ジエステル、トリエステル、テトラエステル、若しくはそれらの混合物を包含するとは言え、モノおよびジエステルが最も好ましい。好ましくは、糖脂肪酸モノエステルは6から24個までの炭素原子を有する脂肪酸を含んでなり、それらは直鎖状若しくは分枝状、または飽和若しくは不飽和のC6ないしC24脂肪酸でありうる。C6ないしC24脂肪酸は、C6、C7、C8、C9、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C16、C17、C18、C19、C20、C21、C22、C23およびC24をいずれかの部分的範囲若しくは組合せで包含する。これらのエステルは、好ましくは、ステアリン酸エステル、ベヘン酸エステル、ヤシ油脂肪酸エステル(cocoate)、アラキドン酸エステル、パルミチン酸エステル、ミリスチン酸エステル、ラウリン酸エステル、カルプレート(carprate)、オレイン酸エステル、ラウリン酸エステルおよびそれらの混合物から選ばれる。
【0105】
好ましくは、糖脂肪酸モノエステルは、ショ糖、麦芽糖、ブドウ糖、果糖、マンノース、ガラクトース、アラビノース、キシロース、乳糖、ソルビトール、トレハロース若しくはメチルグルコースのような最低1個の糖単位を含んでなる。ショ糖エステルのような二糖エステルが最も好ましく、そしてショ糖ヤシ油脂肪酸エステル、ショ糖モノオクタン酸エステル、ショ糖モノデカン酸エステル、ショ糖モノ若しくはジラウリン酸エステル、ショ糖モノミリスチン酸エステル、ショ糖モノ若しくはジパルミチン酸エステル、ショ糖モノおよびジステアリン酸エステル、ショ糖モノ、ジ若しくはトリオレイン酸エステル、ショ糖モノ若しくはジリノール酸エステル、ショ糖ペンタオレイン酸エステル、ヘキサオレイン酸エステル、ヘプタオレイン酸エステル若しくはオクトオレイン酸エステルのようなショ糖ポリエステル、ならびにショ糖パルミチン酸エステル/ステアリン酸エステルのような混合エステルを包含する。
【0106】
これらの糖エステル界面活性剤のとりわけ好ましい例は、米国特許第3,480,616号明細書に記述されるようなエステル化度を制御する方法を使用して製造されるショ糖ステアリン酸エステルを含んでなる多様なモノ、ジおよびモノ/ジエステル混合物を示す、名称Crodesta F10、F50、F160およびF110でニュージャージー州パーシッパニーの企業Croda Incにより販売されるものを包含する。これらの好ましい糖エステル界面活性剤は、打錠の容易さおよび不鮮明でない(nonsmearing)造粒の付加される利益を提供する。
【0107】
例えば、20%のモノエステルならびに80%のジ、トリおよびポリエステルから形成されるショ糖ベヘン酸エステルに対応する参照B370で名称リョートーシュガーエステルで企業三菱により販売されるものもまた利用しうる。名称「Tegosoft PSE」で企業Goldschmidtにより販売されるショ糖モノおよびジパルミチン酸エステル/ステアリン酸エステルもまた利用しうる。これらの多様な製品の混合物もまた利用しうる。糖エステルは糖由来でない別の化合物との混合状態でもまた存在し得;そして、好ましい一例は、企業ICIにより名称「Arlatone 2121」で販売されるステアリン酸ソルビタンおよびショ糖ヤシ油脂肪酸エステルの混合物を包含する。他の糖エステルは、例えばブドウ糖トリオレイン酸エステル、ガラクトースジ、トリ、テトラ若しくはペンタオレイン酸エステル、アラビノースジ、トリ若しくはテトラリノール酸エステルまたはキシロースジ、トリ若しくはテトラリノール酸エステルあるいはそれらの混合物を包含する。脂肪酸の他の糖エステルは、メチルグルコースのエステルは、Tegocare 450の名称で企業Goldschmidtにより販売されるメチルグルコースおよびポリグリセロール−3のジステアリン酸エステルを包含するを包含する。メチルO−ヘキサデカノイル−6−D−グルコシドおよびO−ヘキサデカノイル−6−D−マルトースのようなブドウ糖若しくは麦芽糖モノエステルもまた包含し得る。ある種の他の糖エステル界面活性剤は、脂肪酸および糖のオキシエチレン化(oxyethylenated)エステルは、企業Amercholにより名称「Glucamate SSE20」で販売されるPEG−20メチルグルコースセスキステアリン酸エステルのようなオキシエチレン化誘導体を包含するを包含する。
【0108】
固体の界面活性剤を包含する界面活性剤の供給源およびそれらの特性は、McCutcheon’s Detergents and Emulsifiers、International Edition 1979およびMcCutcheon’s Detergents and Emulsifiers、North American Edition 1979で入手可能である。固体の界面活性剤の特性に関する情報の他の供給源は、BASF Technical Bulletin Pluronic & Tetronic Surfactants 1999およびGeneral Characteristics of Surfactants from ICI Americas Bulletin 0−1 10/80 5M、ならびにEastman Food Emulsifiers Bulletin ZM−1K 1993年10月を包含する。
【0109】
これらの参考文献に表にされている界面活性剤の特徴の1つはHLB値、すなわち親水親油バランス値である。この値は界面活性剤分子の相対親水性および相対疎水性を表す。一般に、HLB値が大きくなるほど、界面活性剤の親水性は大きくなる一方、HLB値が小さくなるほど疎水性が大きくなる。例えば、Lutrol(R)分子について、エチレンオキシド画分は親水性部分を表し、そしてプロピレンオキシド画分は疎水性画分を表す。Lutrol F127、F87、F108およびF68のHLB値はそれぞれ22.0、24.0、27.0および29.0である。好ましい糖エステル界面活性剤は約3ないし約15の範囲のHLB値を提供する。最も好ましい糖エステル界面活性剤、Crodesta F160は14.5のHLB値を有することを特徴とする。
【0110】
イオン性界面活性剤は、コール酸、およびデオキシコール酸、ウルソデオキシコール酸、タウロコール酸、タウロデオキシコール酸、タウロケノデオキシコール酸のようなコール酸の誘導体ならびにそれらの塩、ならびに陰イオン性界面活性剤(その最も一般的な例はドデシル(若しくはラウリル)硫酸ナトリウムである)を包含する。両性イオン性若しくは両性界面活性剤は、一般に陰イオンとしてカルボン酸若しくはリン酸基および陽イオンとしてアミノ若しくは四級アンモニウム部分を包含する。これらは、例えば、多様なポリペプチド、タンパク質、アルキルベタイン、ならびにレシチンおよびセファリンのような天然のリン脂質、アルキル−β−アミノプロピオン酸塩および2−アルキル−イミダゾリン四級アンモニウム塩、ならびにCHAPS系列の界面活性剤(例えばAldrichから入手可能な3−[3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオール]−1−プロパンスルホネート水和物)などを包含する。
【0111】
界面活性剤は、典型的には乏しい凝集特性を有し、そして従って硬い耐久性のある錠剤として圧縮しない。さらに、界面活性剤は、標準的な温度および条件で液体、ペースト若
しくは蝋性固体の物理形態にあり、そして打錠される経口の製薬学的投薬形態物に不適切である。前述の界面活性剤は、高用量で送達される低溶解性薬物の溶解性および潜在的生物学的利用能を高めることにより機能することが驚くべきことに見出された。
【0112】
界面活性剤は、1種の界面活性剤として若しくは界面活性剤の配合物として包含され得る。それらが薬物の溶解および溶解性を促進する値を有するような界面活性剤を選択する。特定の薬物が中間のHLB値を必要とする場合は、高HLB界面活性剤を低HLBの界面活性剤と配合してそれらの間である正味のHLB値を達成し得る。界面活性剤は送達されている薬物に依存して選択し;その結果適切なHLB等級を利用する。
【0113】
比較的不溶性の薬物(例えば非オピオイド鎮痛薬)は、送達時間、すなわち投薬形態物の連続した投与の間の時間にわたり維持されなければならない必要とされる投薬レベルに依存して、投薬形態物あたり約1マイクログラムから約1000mgまで、およびより典型的には約200から約600mgまでの量で薬物層中に提供され得る。好ましい一態様において、非オピオイド鎮痛薬は200mgないし600±100mgのイブプロフェンである。一般に、投薬形態物中の化合物の装填量は、患者により必要とされる疼痛のレベルに依存して、1日あたり約3000mgまで、より通常は1日あたり約1000ないし2000mgまでの範囲にわたる非オピオイド鎮痛薬の用量を被験体に提供することができる。
【0114】
付加的な有効成分(例えばオピオイド鎮痛薬)は、送達時間、すなわち投薬形態物の連続した投与の間の時間にわたり維持されなければならない必要とされる投薬レベルに依存して、投薬形態物あたり1マイクログラムから500mgまで、およびより典型的には約10から約100mgまでの量で薬物層中に提供され得る。好ましい一態様において、オピオイド鎮痛薬は15±5mgのヒドロコドンである。一般に、投薬形態物中の化合物の装填量は、患者により必要とされる医薬品のレベルに依存して、1日あたり約2000mgまで、より多くは1日あたり約10ないし60若しくは600mgの間の範囲にわたる有効成分の用量を被験体に提供することができる。
【0115】
押し層は、薬物層と直接若しくは間接的に接触する層状の配置で押し置換組成物を有する膨張可能な層である。押し層は一般に、水性若しくは生物学的液体を吸収しかつ膨潤して装置の出口手段を通して薬物組成物を押すポリマーを含んでなる。液体を吸収する置換ポリマーの代表は、500,000ないし3,500,000の数平均分子量のポリ(エチレンオキシド)およびポリ(アルカリカルボキシメチルセルロース)(ここでアルカリはナトリウム、カリウム若しくはリチウムである)により表されるところの100万ないし1500万の数平均分子量のポリ(アルキレンオキシド)から選択されるメンバーを含んでなる。押し置換組成物の製剤のための付加的なポリマーの例は、Carbopol(R)酸性カルボキシポリマー、カルボキシポリメチレンとしてもまた知られるポリアリルショ糖で架橋されたアクリル酸のポリマー、および250,000ないし4,000,000の分子量を有するカルボキシビニルポリマー;Cyanamer(R)ポリアクリルアミド;架橋した水で膨潤可能な無水インデンマレイン酸(indenemaleic)ポリマー;80,000ないし200,000の分子量を有するGood−rite(R)ポリアクリル酸;ジエステル架橋ポリグルランのような縮合ブドウ糖単位から構成されるAqua−Keeps(R)アクリル酸ポリマー多糖;などのようなヒドロゲルを形成するポリマーを含んでなる浸透圧ポリマー(osmopolymer)を含んでなる。ヒドロゲルを形成する代表的ポリマーは、Hartopに交付された米国特許第3,865,108号明細書;Manningに交付された米国特許第4,002,173号明細書;Michaelsに交付された米国特許第4,207,893号明細書;およびHandbook of Common Polymers、ScottとRoff、Chemical Rubber Co.、オハイオ州クリーブランドにて従来技術に既知である。
【0116】
外壁および下塗りを横断する浸透圧勾配を表す浸透圧性の溶質(osmotic solute)および浸透圧性有効成分としてもまた知られる浸透物質は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、リン酸水素カリウム(potassium acid phosphate)、マンニトール、尿素、イノシトール、コハク酸マグネシウム、酒石酸ラフィノース、ショ糖、ブドウ糖、乳糖、ソルビトール、無機塩、有機塩および炭水化物よりなる群から選択されるメンバーを含んでなる。
【0117】
流動促進層(簡潔さのための下塗りともまた呼ばれる)は、半透性壁の内表面および壁に正対する薬物層の少なくとも外表面と接触関係にあるが;とは言え流動促進層は、押し置換層の外表面に伸長し、囲みかつ接触してもよくかつ好ましくはすることができる。該壁は、典型的には、壁の内表面に正対する薬物層の外表面の少なくともその部分を囲むことができる。流動促進層は、薬物層および押し層を含んでなる圧縮した核の上に適用されるコーティングとして形成しうる。外側の半透性壁は内側の流動促進層を囲みかつ入れる。流動促進層は、好ましくは薬物層の少なくとも表面、ならびに場合によっては圧縮した薬物層および押し置換層の外表面全体の下塗りとして形成される。半透性壁が薬物層、押し層および流動促進層から形成される混成物の塗膜として形成される場合、流動促進層との半透性壁の接触が保証される。
【0118】
流動促進層は、半透性壁2と薬物層の外表面との間の摩擦力を低下させて従って該装置からの薬物のより完全な送達を見込むことにより、本発明の投薬形態物からの薬物の放出を助長する。とりわけ、高費用を有する有効成分の場合は、こうした改良はかなりの経済的利点を提示する。必要とされる最少量の薬物が送達されることができることを保証するために過剰の薬物を薬物層に負荷することが必要でないからである。
【0119】
流動促進層は、典型的には0.01ないし5mm厚、より典型的には0.5ないし5mm厚であることができ、そして、それは、ヒドロゲル、ゼラチン、低分子量ポリエチレンオキシド(例えば100,000MW未満)、ヒドロキシアルキルセルロース(例えばヒドロキシエチルセルロース)、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシイソプロピルセルロース、ヒドロキシブチルセルロースおよびヒドロキシフェニルセルロース、ならびにヒドロキシアルキルアルキルセルロース(例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース)、ならびにそれらの混合物から選択されるメンバーを含んでなる。ヒドロキシアルキルセルロースは9,500ないし1,250,000の数平均分子量を有するポリマーを含んでなる。例えば、80,000ないし850,000の間の数平均分子量を有するヒドロキシプロピルセルロースが有用である。流動促進層は、水性溶媒若しくは不活性有機溶媒中の前述の物質の慣習的溶液若しくは懸濁液から製造しうる。下塗りすなわち流動促進層に好ましい素材は、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポビドン[ポリ(ビニルピロリドン)]、ポリエチレングリコールおよびそれらの混合物を包含する。有機溶媒、とりわけ1〜8個の炭素原子を有する低級アルカノール、好ましくはエタノールのような有機極性溶媒中で調製したヒドロキシプロピルセルロースおよびポビドンの混合物、水性溶液中で調製したヒドロキシエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースの混合物、ならびに水性溶液中で調製したヒドロキシエチルセルロースおよびポリエチレングリコールの混合物がより好ましい。最も好ましくは、流動促進層はエタノール中で調製したヒドロキシプロピルセルロースおよびポビドンの混合物よりなる。
【0120】
便宜的には、二層核に適用される流動促進層の重量は、流動促進層の厚さ、および本明細書に記述されるような放出速度アッセイにおいて投薬形態物中に残存する残余の薬物と
相関しうる。製造操作の間に、流動促進層の厚さは、コーティング操作中に取り込まれる下塗りの重量を制御することにより制御しうる。流動促進層が、下塗りとして、すなわち打錠された二層混成物薬物層および押し層上に被覆することにより形成される場合、該下塗りは打錠工程により二層核上に形成された表面の不規則性を充填し得る。生じる滑らかな外表面は、薬物の調剤の間の被覆された二層混成物と半透性壁との間の滑りを助長して、投薬期間の終了時により少量の装置中に残存する残余の薬物組成物をもたらす。流動促進層がゲル形成素材から二次加工される場合、使用の環境での水との接触が、半透性壁と薬物層との間の滑りを促進しかつ高めうる粘度を有するゲル若しくはゲル様の内塗膜の形成を助長する。
【0121】
該壁は、水および生物学的液体のような外的液体の通過に対し浸透性かつ有効成分、浸透物質、浸透圧ポリマーなどの通過に対し実質的に不透性の半透性組成物である。該壁を形成するのに使用される選択的に半透性の組成物は、本質的に侵食不可能であり、そして投薬形態物の寿命の間、生物学的液体に不溶性である。該壁はその全体が半透性である必要はないが、しかし、壁の少なくとも一部分は、押し層が使用の間に液体を吸収しかつ膨張し得るような押し置換層と液体を接触若しくは連絡させるように半透性である。該壁は、好ましくは、セルロースアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート若しくはそれらの混合物を制限なしに包含するセルロースアシレート、セルロースジアシレート、セルローストリアシレートのようなポリマーを含んでなる。壁を形成する素材はまた、エチレンビニルアセテート共重合体、ポリエチレン、エチレンの共重合体、Engage(R)(Dupont Dow Elastomers)のようなエチレンオキシド共重合体を包含するポリオレフィン、ポリアミド、セルロース誘導体素材、ポリウレタン、PEBAX(R)(Elf Atochem North America,Inc.)のようなポリエーテルブロックアミド共重合体、セルロースアセテートブチレートおよびポリビニルアセテートからも選択しうる。典型的には、該壁は、60重量パーセントないし100重量%のセルロース誘導体の壁を形成するポリマーを含んでなるか、または、該壁は0.01重量%ないし10重量%のポロキサマーとして知られるエチレンオキシド−プロピレンオキシドブロック共重合体、若しくは1重量%ないし35重量%のヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルアルキルセルロースよりなる群から選択されるセルロースエーテル、ならびに5重量%ないし15重量%のポリエチレングリコールを含み得る。壁を含んでなる全成分の総重量パーセントは100重量%に等しい。
【0122】
壁を形成するための代表的ポリマーは、半透性ホモポリマー、半透性共重合体などを含んでなる。こうした素材はセルロースエステル、セルロースエーテルおよびセルロースエステル−エーテルを含んでなる。セルロース誘導体ポリマーは、0以上から3までを包含するそれらのアンヒドログルコース単位の置換度(DS)を有する。置換度(DS)は、置換する基により置換されるか若しくは別の基に転化されるアンヒドログルコース単位上に元から存在するヒドロキシル基の平均数を意味している。アンヒドログルコース単位は、アシル、アルカノイル、アルケノイル、アロイル、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、カルボアルキル、アルキルカルバメート、アルキルカーボネート、アルキルスルホネート、アルキルスルファメート、半透性ポリマーを形成する基などのような基で部分的に若しくは完全に置換し得、該有機部分は1から12個までの炭素原子、および好ましくは1から8個までの炭素原子を含有する。
【0123】
半透性組成物は、典型的には、セルロースアシレート、セルロースジアシレート、セルローストリアシレート、セルロースアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、モノ、ジおよびトリセルロースアルカニレート、モノ、ジおよびトリアルケニレート、モノ、ジおよびトリアロイレートなどを包含する。例示的ポリマーは、1.8ないし2.3のDSおよび32ないし39.9%のアセチル含量を有するセルロースアセテート;1ないし2のDSおよび21ないし35%のアセチル含量を有するセルロースジアセテート;2ないし3のDSおよび34ないし44.8%のアセチル含量を有するセルローストリアセテート;などを包含する。より具体的なセルロース誘導体ポリマーは、1.8のDSおよび38.5%のプロピオニル含量を有するセルロースプロピオネート;1.5ないし7%のアセチル含量および39ないし42%のアセチル含量を有するセルロースアセテートプロピオネート;2.5ないし3%のアセチル含量、39.2ないし45%の平均プロピオニル含量および2.8ないし5.4%のヒドロキシル含量を有するセルロースアセテートプロピオネート;1.8のDS、13ないし15%のアセチル含量、および34ないし39%のブチリル含量を有するセルロースアセテートブチレート;2ないし29%のアセチル含量、17ないし53%のブチリル含量および0.5ないし4.7%のヒドロキシル含量を有するセルロースアセテートブチレート;セルローストリバレレート、セルローストリラメート(trilamate)、セルローストリパルミテート、セルローストリオクタノエートおよびセルローストリプロピオネートのような2.6ないし3のDSを有するセルローストリアシレート;セルロースジスクシネート、セルロースジパルミテート、セルロースジオクタノエート、セルロースジカプリレートなどのような2.2ないし2.6のDSを有するセルロースジエステル;ならびにセルロースアセテートバレレート、セルロースアセテートスクシネート、セルロースプロピオネートスクシネート、セルロースアセテートオクタノエート、セルロースバレレートパルミテート、セルロースアセテートヘプタノエートなどのような混合セルロースエステルを包含する。半透性ポリマーは米国特許第4,077,407号明細書で既知であり、また、それらはEncyclopedia of Polymer Science and Technology、Vol.3、pp.325−354、Interscience Publishers Inc.、ニューヨーク州ニューヨーク(1964)に記述される手順により合成し得る。
【0124】
外壁を形成するための付加的な半透性ポリマーは、セルロースアセトアルデヒドジメチルアセテート;セルロースアセテートエチルカルバメート;セルロースアセテートメチルカルバメート;セルロースジメチルアミノアセテート;半透性ポリアミド;半透性ポリウレタン;半透性スルホン化ポリスチレン;米国特許第3,173,876号;同第3,276,586号;同第3,541,005号;同第3,541,006号および同第3,546,142号明細書に開示されるところの陰イオンおよび陽イオンの共沈殿により形成される架橋選択的半透性ポリマー;米国特許第3,133,132号明細書にLoebらにより開示されるところの半透性ポリマー;半透性ポリスチレン誘導体;半透性ポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム);半透性ポリ(塩化ビニルベンジルトリメチルアンモニウム);ならびに半透性壁を横断する静水圧若しくは浸透圧の差違の雰囲気により表される10−5ないし10−2(cc.ミル/cm hr.atm)の液体浸透性を表す半透性ポリマーを含んでなる。該ポリマーは米国特許第3,845,770号;同第3,916,899号および同第4,160,020号明細書;ならびにHandbook of Common Polymers、ScottとRoff編、CRC Press、オハイオ州クリーブランド(1971)で当該技術に既知である。
【0125】
該壁はまた流量調節剤も含みうる。流量調節剤は、液体浸透性すなわち壁を通る流量の調節において補助するために添加される化合物である。流量調節剤は流量増強剤若しくは流量減少剤であり得る。該剤は液体の流量を増大若しくは減少させるように予め選択し得る。水のような液体に対する浸透性の顕著な増大を生じる剤はしばしば本質的に親水性である一方、水のような液体に対する顕著な減少を生じるものは本質的に疎水性である。壁中の調節剤の量は、その中に組み込まれる場合に一般に約0.01%から20重量%まで若しくはそれ以上である。流量調節剤は、多価アルコール、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンジオール、アルキレングリコールのポリエステルなどを包含しうる。典型的な流量増強剤は、ポリエチレングリコール300、400、600、1500、400
0、6000など;ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールおよびポリアミレングリコールのような低分子量グリコール:ポリ(1,3−プロパンジオール)、ポリ(1,4−ブタンジオール)、ポリ(1,6−ヘキサンジオール)などのようなポリアルキレンジオール;1,3−ブチレングリコール、1,4−ペンタメチレングリコール、1,4−ヘキサメチレングリコールなどのような脂肪族ジオール;グリセリン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ヘキサントリオール、1,3,6−ヘキサントリオールなどのようなアルキレントリオール;エチレングリコールジプロピオネート、エチレングリコールブチレート、ブチレングリコールジプロピオネート、グリセロール酢酸エステルなどのようなエステルを包含する。現在好ましい流量増強剤は、ポロキサマー(BASF)として知られるプロピレングリコールの二官能性ブロック共重合体ポリオキシアルキレン誘導体の群を包含する。代表的な流量減少剤は、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメトキシエチル、フタル酸ジメチルおよび[フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)]のようなアルキル若しくはアルコキシまたはアルキルおよびアルコキシ双方の基で置換されたフタル酸エステル、フタル酸トリフェニルおよびフタル酸ブチルベンジルのようなアリールフタル酸エステル;硫酸カルシウム、硫酸バリウム、リン酸カルシウムなどのような不溶性の塩;二酸化チタンのような不溶性酸化物;ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネートおよびポリスルホンのような粉末、顆粒および類似の形態のポリマー;長鎖アルキル基でエステル化されたクエン酸エステルのようなエステル;不活性かつ実質的に水不浸透性の増量剤;セルロースに基づく壁を形成する素材と適合性の樹脂などを包含する。
【0126】
壁に可撓性および伸長特性を与えるため、壁をより少なく脆性ないし非脆性にするためかつ断裂強さにするために半透性壁素材に包含されうる他の素材。適する素材は、フタル酸ジベンジル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ブチルオクチル、6ないし11個の炭素の直鎖フタル酸エステル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシルなどのようなフタル酸エステル系可塑剤を包含する。該可塑剤は、トリアセチン、ジオクチルアゼレート、エポキシド化トール油、トリメリト酸トリイソクチル、トリメリト酸トリイソノニル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、エポキシド化ダイズ油などのような非フタル酸エステルを包含する。壁中の可塑剤の量は、その中に組み込まれる場合に約0.01%ないし20重量%若しくはそれ以上である。
【0127】
投薬形態物の製造
簡潔には、該投薬形態物は、下により詳細に論考される以下の基礎段階を使用して製造する。1個の薬物層および1個の押し置換層の二層である核を最初に成形し、そして流動促進層で被覆し;被覆した核はその後乾燥し得るが、とは言えこれは任意であり;そして半透性壁をその後適用する。その後、オリフィスを適する手順(例えばレーザー孔あけ)により提供するが、とは言え後の時間に形成されるオリフィス(形成可能なオリフィス)を提供する代替手順を使用し得る。最後に、完成した投薬形態物を乾燥し、そして使用若しくは即時放出薬物コーティングで被覆するための準備ができている。
【0128】
薬物層は、有効成分(例えば非オピオイド鎮痛薬および/若しくはオピオイド鎮痛薬)ならびに結合剤ならびに他の成分を含有する混合物として形成する。薬物層は、本発明の様式(mode)および様式(manner)に従って、典型的には化合物を含有する核として、薬物の大きさおよび薬物層の二次加工で使用される付随するポリマーの大きさを生じる粉砕により粒子から形成し得る。粒子を製造するための手段は、意図されるミクロンの粒子径を生じさせるための造粒、噴霧乾燥、篩過、凍結乾燥、破砕、粉砕、ジェットミル微粉砕、超微粉砕および細断を包含する。該工程は、超微粉砕ミル、流動エネルギー細砕機、細砕機、ロールミル、ハンマーミル、磨砕機、チェイサーミル(chaser mill)、ボールミル、振動ボールミル、衝撃微粉砕ミル、遠心微粉砕機、粗破砕機および微破砕機のような大きさを低下させる機器により実施し得る。粒子の大きさは、グリ
ズリ篩(grizzly screen)、平坦篩、振動(vibrating)篩、回転篩、振とう篩、振動(oscillating)篩および往復篩を包含する篩過により確かめ得る。薬物および結合剤を調製するための方法および機器は、Pharmaceutical Sciences、Remington、第17版、pp.1585−1594(1985);Chemical Engineers Handbook、Perry、第6版、pp.21−13ないし21−19(1984);Journal of Pharmaceutical Sciences、Parrot、Vol.61、No.6、pp.813−829(1974);およびChemical Engineer、Hixon、pp.94−103(1990)に開示されている。
【0129】
本発明の投薬形態物中で利用されるそれぞれの壁、層、コーティングおよびサブコーティング(subcoating)を製造するのに適する例示的溶媒は、投薬形態物を二次加工するのに利用される物質に悪影響を及ぼさない水性および不活性有機溶媒を含んでなる。溶媒は、広範に、水性溶媒、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、脂肪族炭化水素、ハロゲン化溶媒、環状脂肪族、芳香族、複素環溶媒およびそれらの混合物よりなる群から選択されるメンバーを包含する。典型的な溶媒は、アセトン、ジアセトンアルコール、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、メチルイソブチルケトン、メチルプロピルケトン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルアセテート、メチレンジクロリド、エチレンジクロリド、プロピレンジクロリド、四塩化炭素ニトロエタン、ニトロプロパンテトラクロロエタン、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、シクロヘキサン、シクロオクタン、ベンゼン、トルエン、ナフサ、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグリム、水、塩化ナトリウム、塩化カルシウムなどのような無機塩を含有する水性溶媒、ならびにアセトンおよび水、アセトンおよびメタノール、アセトンおよびエチルアルコール、メチレンジクロリドおよびメタノール、ならびにエチレンジクロリドおよびメタノールのようなそれらの混合物を包含する。
【0130】
パンコーティングは、出口オリフィスを除いて完成した投薬形態物を提供するのに便宜的に使用しうる。パンコーティング装置中で、壁を形成する組成物の下塗りを、回転パン中での混転により付随される薬物層および押し層を含んでなる二層核へのそれぞれの組成物の連続噴霧により付着させ得る。パンコーターは商業的規模でのその利用可能性のために使用し得る。他の技術を、薬物核を被覆するために使用し得る。被覆した投薬形態物を強制空気オーヴン若しくは温度および湿度を制御したオーヴン中で乾燥させて投薬形態物から溶媒をなくし得る。乾燥条件は、利用可能な装置、周囲条件、溶媒、コーティング、コーティング厚などに基づき便宜的に選ぶことができる。
【0131】
他のコーティング技術もまた使用し得る。例えば、投薬形態物の半透性壁および下塗りは、空気浮遊処置を使用する一技術で形成し得る。この処置は、空気、内側下塗り組成物および外側の半透性壁を形成する組成物の流れ中で、いずれかの操作で下塗りおよび外壁塗膜が二層核に適用されるまで二層核を浮遊かつ混転することよりなる。空気浮遊処置は投薬形態物の壁を独立に成形するのに十分に適する。空気浮遊処置は、米国特許第2,799,241号明細書;J.Am.Pharm.Assoc.、Vol.48、pp.451−459(1959);および上記、Vol.49、pp.82−84(1960)に記述されている。投薬形態物はまた、例えば補助溶媒としてメチレンジクロリドメタノールを使用してWurster(R)空気浮遊コーターでも被覆し得る。Aeromatic(R)空気浮遊コーターを、補助溶媒を使用して使用し得る。
【0132】
本発明の投薬形態物は標準技術により製造しうる。例えば、該投薬形態物は湿式造粒技術により製造しうる。湿式造粒技術において、薬物および第一層を含んでなる成分すなわ
ち薬物組成物を、変性無水エタノールのような有機溶媒を造粒液体として使用して配合する。第一層を形成する成分すなわち薬物組成物は、予め選択した篩を個別に通過させ、そしてその後ミキサー中で徹底的に配合する。次に、第一層を含んでなる他の成分を、上述された溶媒のような造粒液体の一部分に溶解し得る。その後、後者の調製された湿潤配合物を、ブレンダー中で継続的混合を伴い薬物配合物にゆっくりと添加する。湿潤配合物が生じるまで造粒液体を添加し、その湿潤した塊の配合物をその後、予め決められた篩を通してオーヴントレイに上に進める。配合物を強制空気オーヴン中24℃ないし35℃で18ないし24時間乾燥する。乾燥した顆粒をその後大きさ分類する。次に、ステアリン酸マグネシウムを薬物造粒に添加し、その後微粉砕ジャーに入れ、そしてボールミルで10分間混合する。組成物を例えばManesty(R)プレスで一層にプレスする。プレスの速度は20rpmに設定し、また、最大負荷は2トンに設定する。第一層を、第二層を形成する組成物にプレスし、そして二層錠をKilian(R)ドライコータープレスにフィードし、そして薬物を含まない塗膜、次いで外壁溶媒コーティングで囲む。
【0133】
別の製造において、非オピオイド鎮痛薬およびオピオイド鎮痛薬ならびに出口手段に面する第一層を含んでなる他の成分を配合しかつ固体層にプレスする。該層は、投薬形態物中で該層が占有するはずである領域の内側寸法に対応する寸法を有し、そしてそれはまた、第二層と接触する配置を形成するためにそれに対応する寸法も有する。薬物および他の成分はまた、ボールミル粉砕、圧延、攪拌若しくはロール練りのような慣習的方法により溶媒とも配合しかつ固体若しくは半固体の形態に混合し得、そしてその後、予め選択した形状にプレスし得る。次に、膨張可能な層、例えば浸透圧ポリマー組成物の層を、同様の様式で薬物の層と接触させる。薬物製剤および浸透圧ポリマー層の積層(layering)を、慣習的な二層プレス技術により二次加工し得る。2個の接触させた層を、最初に、流動を促進する下塗り、そしてその後外側半透性壁で被覆する。空気浮遊および空気混転処置は、プレスした接触している第一および第二の層を、該第一および第二の層が壁組成物により囲まれるまで、遅れて形成する組成物を含有する空気流中に浮遊かつ混転することに含んでなる。
【0134】
区画形成組成物を提供するのに使用し得る別の製造方法は、流動床造粒機中で粉末成分を配合することを含んでなる。粉末成分を造粒機中で乾式配合した後に、造粒液体、例えば水中ポリ(ビニルピロリドン)を粉末に噴霧する。被覆された粉末をその後造粒機中で乾燥する。この工程は、造粒液体を添加する際に、その中に存在する全成分を造粒する。顆粒を乾燥した後に、ステアリン酸若しくはステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤をトート(tote)若しくはV−ブレンダーを使用して造粒に混合する。顆粒をその後、上述された様式でプレスする。
【0135】
流動促進層をその後、プレスした核に適用する。半透性壁を、プレスした核および/若しくは流動促進層の外表面上に被覆する。半透性壁の素材をアセトン若しくはメチレンクロリドのような適切な溶媒に溶解し、そしてその後、米国特許第4,892,778号および同第4,285,987号明細書に記述されるとおり、プレスした形状に壁素材の溶媒に基づく溶液を成型、空気噴霧、浸積若しくははけ塗りすることにより、該形状に適用する。半透性壁の他の適用方法は、米国特許第2,799,241号明細書に記述されるところの、プレスした形状を空気および壁を形成する素材の流れ中で浮遊かつ混転する空気浮遊処置、ならびにパンコーティング技術を包含する。
【0136】
プレスした形状への半透性壁の適用後に、乾燥段階が一般に必要とされ、そしてその後、有効成分の適する出口手段を、半透膜を通って形成しなければならない。空洞内の有効成分および他の成分の特性、ならびに該投薬形態物の所望の放出速度に依存して、有効成分の送達のための1個若しくはそれ以上のオリフィスを、機械的孔あけ、レーザー孔あけなどにより半透膜を通って形成する。
【0137】
出口オリフィスは、投薬形態物の製造の間、若しくは使用の液体環境での該投薬形態物による薬物送達の間に提供し得る。本発明の目的上使用されるところの「出口オリフィス」という表現は、通路;開口部;オリフィス;若しくはボアを包含する。オリフィスは、大きさが投薬形態物の実質的に表面全体を包含する単一の大きなオリフィスから、半透膜の表面上に選択的に配置される1個若しくはそれ以上の小型オリフィスまでの範囲にわたりうる。出口オリフィスは、投薬形態物からの薬物の放出のため、円形、三角形、正方形、楕円形などのようないかなる形状も有し得る。投薬形態物は、間隔を開けられた離れた関係の1個若しくはそれ以上の出口、または投薬形態物の1個若しくはそれ以上の表面を伴い構築し得る。
【0138】
出口オリフィスは、壁により形成される区画の内径の10%から100%まで、好ましくは30%から100%まで、および最も好ましくは50%から100%まででありうる。好ましい態様において、薬物層は、壁により形成される区画の内径の最低100ミルないし100%、典型的には約125ミル(1インチの1/1000)から約185ミルまで、すなわち約3.175から約4.7mmまでの大きさの比較的大きいオリフィスを通る侵食可能な固体として、投薬形態物から放出される。薬物層の放出のさらなる遅延を提供することが望ましい場合は、より小さいオリフィスの使用を使用しうる。
【0139】
出口オリフィスは、外塗膜、内塗膜若しくは双方を通る機械的およびレーザー孔あけを包含する孔あけにより実施し得る。出口および出口を形成するための装置は、例えばTheeuwesとHiguchiへの米国特許第3,845,770号および同第3,916,899号明細書;Saundersらへの米国特許第4,063,064号明細書;ならびにTheeuwesらへの米国特許第4,088,864号明細書に開示されている。
【0140】
出口はまた、例えば米国特許第4,200,098号および同第4,285,987号明細書に開示されるところの、外塗膜若しくは壁または内塗膜から侵食、溶解する若しくは浸出されて出口オリフィスを形成する物質若しくはポリマーから形成される1個のオリフィルでもあり得る。1個のオリフィス若しくは複数のオリフィスを形成するのに適する代表的な素材は、無機および有機塩、無機若しくは有機酸化物、炭水化物のような液体で除去可能な孔形成体、浸出可能なポリ(グリコール)酸若しくはポリ(乳)酸ポリマー、ゲル状フィラメント、ポリ(ビニルアルコール)、浸出可能な多糖のようなポリマー、壁から浸出し得るソルビトールのような糖のような浸出可能な化合物を含んでなる。例えば、1個の出口若しくは複数の出口は、ソルビトール、乳糖、果糖、ブドウ糖、マンノース、ガラクトース、タロース、塩化ナトリウム、塩化カリウム、クエン酸ナトリウムおよびマンニトールを壁から浸出させることにより形成し得る。
【0141】
加えて、いくつかの態様において、浸透圧投薬形態物は、共通に所有されるDongらへの米国特許第6,491,683号明細書に記述されるところの一端若しくは双方の端が開放の押出成型管の形態にあり得る。該押出成型管の態様において、付加的な出口手段を提供することは必要でない。
【0142】
製薬学的有効成分
該持続放出投薬形態物は製薬学的有効成分の制御送達を提供する。持続放出投薬形態物は、高投薬量で患者に投与されることを必要とされる不溶性若しくは乏しく溶解性の化合物の送達にとりわけ良好に適する。
【0143】
多様な有効成分を該投薬形態物中で使用しうる。本明細書に記述される投薬形態物は、とりわけ、大用量の処方するのが困難な若しくは乏しく溶解性の有効成分(例えば有効成
分の溶解度が25℃で約10mg/ml未満である場合)が長時間にわたり送達されることが必要とされる場合に、これらの剤の持続放出を提供するのにとりわけ有用である。該投薬形態物はまた、有効成分の組合せの持続放出および長時間送達を提供するのにも有用であり、そして、有効成分間に溶解性の大きな不均衡が存在する場合でさえ多様な有効成分の比例した送達を提供し得る。
【0144】
制御放出投薬形態物により送達され得る有効成分は無機および有機有効成分を含んでなる。有効成分は、制限なしに、末梢神経、アドレナリン作動性受容体、コリン作動性受容体、中枢神経系、骨格筋、心血管系、平滑筋、血液循環系、シナプス部位、神経効果器接合部、内分泌系、ホルモン系、免疫学的系、臓器系、身体通路、生殖器系、骨格系、オータコイド系、オータコイドおよびヒスタミン系の栄養および排出系阻害剤に作用する有効成分を包含する。これらの受器(recipient)に作用するために送達させ得る有効成分は、抗痙攣薬、鎮痛薬、抗糖尿病薬、抗パーキンソン薬、抗炎症薬、麻酔薬、抗菌薬、抗マラリア薬、駆虫薬、降圧薬、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、抗ヒスタミン薬、解熱薬、α−アドレナリン作動性受容体アゴニスト、α−アドレナリン作動性受容体遮断薬、殺生剤、殺菌剤、気管支拡張薬、β−アドレナリン作動性興奮薬、β−アドレナリン作動性遮断薬、避妊薬、心血管系薬、カルシウム拮抗薬、抑制薬、診断薬、利尿薬、電解質、催眠薬、ホルモン剤、ステロイド、血糖降下剤、筋収縮薬、筋弛緩薬、眼科用薬(ophthalmic)、精神賦活薬、副交感神経興奮薬、鎮静薬、選択的アンドロゲン受容体調節薬、選択的エストロゲン受容体阻害薬、交感神経興奮薬、精神安定薬、尿路薬、膣薬およびビタミンを包含する。有効成分は、該持続放出投薬形態物中に、遊離塩基の形態、またはその塩、酸、アミド、エステル、多形、溶媒和物、水和物、脱水物(dehydrate)、共結晶、無水物若しくは無定形の形態で包含され得る。
【0145】
特定の投薬形態物の製造において考慮するための因子は、患者の血漿中での該薬物の半減期、上部および下部消化管中での特定の薬物の相対的生物学的利用能および吸収、所定の用量の薬物に対し耐性が発生するかどうか、薬物の不適合性、相乗作用若しくは相互作用が起こるかどうか、特定の血漿プロファイルを維持するのに必要とされる用量などである。
【0146】
例えば、非ステロイド性抗炎症薬若しくは非オピオイド鎮痛薬を、持続放出投薬形態物を使用して長時間にわたり送達して、血漿中で長い半減期を有する有効成分について1日2回投薬若しくは1日1回投薬のようなより少なく頻繁な投薬レジメンを可能にし得る。付加的な有効成分を、例えば胃保護のため非ステロイド性抗炎症薬とともに包含し得る。胃保護薬は、ヒスタミンH2受容体アンタゴニスト(例えばシメチジン、ラニチジン、ファモチジン若しくはニザチジン)、細胞保護薬(例えばミソプロストール、レバミピド、エカベット若しくはカルベノキソロン)、またはプロトンポンプ阻害薬(例えば、例えば第EP−A1−0005129号、第EP−A1−174 726号、第EP−A1−166 287号、第GB 2 163 747号および第WO90/06925号、同第WO91/19711号、同第WO91/19712号、同第WO95/01977号、同第WO94/27988号、ならびにLundbergへの米国特許第6,610,323号に開示されるような、例えば、制限なしに、ランソプラゾール、オメプラゾール、ラベプラゾール、パントプラゾール若しくはエソメプラゾールのようなα−ピリジルメチルスルフィニルベンズイミダゾール)を包含する。
【0147】
5−HTアゴニストを、例えば偏頭痛の処置のための投薬形態物の送達のNSAIDに包含し得る。5−HTアゴニストは、限定されるものでないがスマトリプタン、エレトリプタン(欧州特許出願第379314号明細書に記述される)、Allelix ALX
1323、リザトリプタン、フロバトリプタン、アルモトリプタン、ゾルミトリプタン、および米国特許第4,816,470号明細書に記述されるようなナラトリプタンを挙げることができるトリプタンのようなインドール誘導体;ジヒドロエルゴコルニン、ジヒドロエルゴクリスチン、ジヒドロエルゴクリプチン(αおよびβ)ならびにメシル酸ジヒドロエルゴタミン(DHE 45)を包含しかつPlachetkaへの米国特許第6,586,458号明細書に記述されるところの、エルゴタミン(例えば酒石酸エルゴタミン)、ジヒドロエルゴタミン、ブロモクリプチン、エルゴノビンおよびメチルエルゴノビン(例えばマレイン酸エルゴノビン)、メチセルギドならびにメシル酸エルゴロイドのような麦角アルカロイドを制限なしに包含する。
【0148】
抗生物質もまた、本明細書に記述される持続放出投薬形態物を使用する送達のために処方し得る。経口で投与し得るいかなる抗生物質も該制御放出投薬形態物に包含し得る。抗生物質は、抗原生動物薬;抗蠕虫薬;グラム陽性およびグラム陰性球菌、グラム陽性およびグラム陰性桿菌、抗酸菌、スピロヘータ、アクチノミセス属を包含する細菌種;カンジダ、ヒストプラスマ、パラコクシジオイデス、スポロトリクス、コウジカビ、ムコルミコーセス(mucormycoses)、クリプトコックスのような真菌の種;ウイルス;ならびにウレアプラスマ、マイコプラスマ、リケッチア、クラミジア、ニューモシスチスのような雑多な生物体に対し有効な剤を包含する。例示的抗生物質はエリスロマイシン、アモキシシリン、クラリスロマイシン、テトラサイクリン若しくはメトロニダゾールを包含する。乏しく溶解性、不溶性若しくは乏しく溶解する抗生物質は、本明細書に記述される投薬形態物を使用して理想的に送達される。例えば、エリスロマイシンは、典型的に、1日あたり1〜2グラムの総1日用量について1日4回服用される250mg(若しくはそれ以上)の1個若しくはそれ以上の経口用量で必要とされる。1日あたり約8グラムの用量が処方されている。
【0149】
該投薬形態物は、トピラメート、イブプロフェン、アセトアミノフェン、エリスロマイシン、ゲムフィブロジルなどのような乏しく溶解性の化合物の処方および送達にとりわけ良好に適する。該投薬形態物は、必要とされる非オピオイド鎮痛薬(とりわけアセトアミノフェン)若しくは非ステロイド性抗炎症薬(例えばイブプロフェン、ケトプロフェン)の大用量ならびに処置の必要な患者へのこれらの剤の処方および送達における困難により、これらの剤の持続放出製剤を提供するのに有利に使用し得る。この点に関して、オピオイド鎮痛薬および非オピオイド鎮痛薬の組合せが本明細書に記述される投薬形態物の好ましい一態様である。
【0150】
非オピオイド鎮痛薬は非ステロイド性抗炎症薬として知られる化合物の分類を包含する。非オピオイド鎮痛薬の例は、アセトアミノフェン、アミノ安息香酸カリウム、アミノ安息香酸ナトリウムにより例示される乏しく溶解性のパラアミノフェノール誘導体を包含するが、しかし、アスピリン、スルファサラジン、サリチルアミド、サリチル酸ナトリウムおよびサリチル酸カリウムを包含するサリチル酸誘導体;ベノキサプロフェン、デシブプロフェン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、イブプロフェン、インドプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、ナプロキソール、オキサプロジンを包含するアリールプロピオン酸;ジクロフェナク、ケトロラク、トルメチンのようなヘテロアリール酢酸;インドメタシン、スリンダクを包含するインドールおよびインデン酢酸;セレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、エトドラク、イブフェナク、ニメスルフィド、JTE−522、L−745,337若しくはNS398のような選択的COX−2阻害剤;ナブメトンのようなアルカノン;メロキシカム、ピロキシカム、ロルノキシカム、シンノキシカム、スドキシカム、テノキシカムを包含するオキシカム;メフェナム酸およびメクロフェナム酸のようなアントラニル酸のような非ステロイド性抗炎症薬もまた包含し得る。好ましい非オピオイド鎮痛薬はアセトアミノフェンおよびイブプロフェンを包含する。単一投薬形態物中の非オピオイド鎮痛薬の量は典型的には0.5mgないし1000mg、およびより典型的には約200と約600mgとの間である。
【0151】
有効成分はオピオイド鎮痛薬でもまたあり得る。代表的オピオイド鎮痛薬は、アルフェンタニル、アリルプロジン、アルファプロジン、アニレリドネ、ベンジルモルヒネベジトラミド、ブプレノルフィン、ブトルファノール、クロニタゼン、コデイン、シクラゾシン、デソモルヒネ、デキシトロモルアミド、デゾシン、ジアンプロミド、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルヒネ、ジメノキサドール、ジエフェプタノール、ジメチルチアンブテン、ジオキサフェチルブチレート、ジピパノン、エプタゾン、エトヘプタジン、エチルメチルチアンブテン、エチルモルヒネ、プロピルモルヒネ、エトニタゼン、フェンタニル、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、ヒドロエニタバス(hydroenitabas)、ヒドロシペチジン(hydrocypethidine)、イソメサドン、ケトベミドン、レバロルファン、レボルファノール、レボフェナシルモルファン、ロフェンタニル、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メサドン、メトポン、モルヒネ、ミロフィン(myrophine)、ナルブフィン、ナルセイン、ニコモルヒネ(nicomorphine)、ノルレボルファノール、ノルメサドン、ナロルフィン、ノルモルヒネ、ノルピパノン、あへん、オキシコドン、オキシモルホン、パパベレタム、ペンタゾシン、フェナドキソン、フェノモルホン(phenomorphone)、フェナゾシン、フェノペリジン、ピミノジン、ピルトラミド、プロフェプタジン、プロメドール、プロペリジン、プロピラム、プロポキシフェン、スフェンタニル、トラマドールおよびチリジンを制限なしに包含する。オピオイド薬物14の用量は0.1μgないし700mgである。
【0152】
使用方法
上述された投薬形態物は多様な方法で使用し得る。例えば、該投薬形態物は、障害若しくは状態の処置のためのヒト患者の血漿中での有効成分(例えば非オピオイド鎮痛薬)の有効濃度の提供方法で使用し得る。該投薬形態物はまた、有効成分(例えば抗生物質)の持続放出およびヒト患者の胃腸管への送達の提供方法でも使用し得る。特定の態様において、該投薬形態物は、例えば、疼痛を処置するための有効量の鎮痛組成物の提供においてヒト患者での疼痛の処置方法で使用し得る、などである。
【0153】
該投薬形態物は、とりわけ有効成分が付加的な有効成分とともに使用される場合に、乏しく溶解性若しくは不溶性の製薬学的有効成分の持続放出を提供するのにとりわけ有用である。該投薬形態物は、突発放出、次いで漸増する放出プロファイル若しくは0次放出プロファイルのいずれかを提供する。該投薬形態物はまた、投薬形態物中の有効成分のそれぞれの重量に比例する放出速度での有効成分の放出も提供して、患者における血漿濃度を平行する血漿濃度に、若しくは1種の剤が付加的な有効成分より遅い速度で代謝される場合に起こるであろうような異なる血漿濃度のいずれかに調整する独特の能力を提供する。有効成分は、それらの不活性化若しくは排泄速度が同様であり従って平行な血漿プロファイルを提供するように、または、それらの不活性化若しくは排泄速度が異なり従って分岐する血漿プロファイルを提供するように選ぶことができる。
【0154】
その上本発明はその好ましい特定の態様とともに記述されたこと、上の記述ならびに後に続く実施例は具体的に説明することを意図しておりかつ本発明の範囲を制限することを意図していないことが理解されるべきである。本発明の実務は、別の方法で示されない限り、当該技術の熟練内にある有機化学、高分子化学、製薬学的製剤などの慣習的技術を使用することができる。本発明の範囲内の他の局面、利点および改変は、本発明が属する技術分野の当業者に明らかであろう。こうした技術は文献に完全に説明されている。
【0155】
上および下双方に本明細書に挙げられる全部の特許、特許出願および公開は、ここに引用することにより組み込まれる。
【0156】
以下の実施例において、使用される数字(例えば量、温度など)に関する正確さを確認するための努力がなされたが、しかし何らかの実験の誤差および偏差が計上されるべきで
ある。別の方法で示されない限り、温度は℃でありかつ圧は大気圧若しくはそれ近くである。全部の溶媒はHPLC等級として購入した。
略語:
HBH:ヒドロコドン重酒石酸塩
HC:ヒドロコドン
HEC:ヒドロキシエチルセルロース
HPMC:ヒドロキシプロピルメチルセルロース
HPC:ヒドロキシプロピルセルロース
PEO:ポリ(エチレンオキシド)
PVP:ポリビニルピロリドン
[実施例]
【実施例1】
【0157】
持続投薬形態物の一般的製造手順は、後に続くとおりである。
【0158】
薬物層造粒の製造
結合剤溶液は、結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース、「HPC」(例えばKlucel MF、Aqualon Company)若しくはポリビニルピロリドン)を水に添加して0.995グラムの水あたり5mgのHPCを含有する溶液を形成することにより調製する。該溶液をヒドロキシプロピルセルロースが溶解するまで混合する。特定のバッチサイズについて、流動床造粒機(「FBG」)ボウルに、必要とされる量の有効成分(例えば約80.0重量%のイブプロフェン)、結合剤(例えばポリエチレンオキシド(分子量200,000)(Polyox(R)N−80、Union Carbide Corporation)、崩壊剤(例えばクロスカルメロースナトリウム若しくはクロスポビドン)、場合によっては界面活性剤(例えばポリオキシル40ステアレート若しくはSDS)および浸透物質(例えばソルビトール若しくはマンニトール)を充填する。乾燥物質をボウル中で混合した後に、上のとおり調製した結合剤溶液を添加する。その後、造粒を微粉砕に適する一貫性(1重量%未満の水)までFBG中で乾燥し、そして造粒を7若しくは10メッシュ篩を通して微粉砕する。
【0159】
造粒をトートブレンダー若しくはVブレンダーに移す。必要とされる量の抗酸化剤、ブチル化ヒドロキシトルエン(「BHT」)(0.01%)および滑沢剤ステアリン酸(1%)を、40メッシュ篩を通して大きさを決め、そして双方を、均一に分散されるまで(ステアリン酸について約1分の配合、およびBHTについて約10分の配合トート若しくはVブレンダーを使用して造粒に配合する。
【0160】
浸透圧押し層造粒の製造
結合剤溶液を、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910(「HPMC」)を1gの水に対し5mgのHPMCの比で水に添加することにより調製する。該溶液をHPMCが溶解するまで混合する。塩化ナトリウム粉末(30%)および赤色酸化鉄(1.0%)を微粉砕および篩過する。流動床造粒機(「FBG」)ボウルに、必要とされる量のポリエチレンオキシド(分子量7,000,000)(Polyox(R)303)(63.67%)、HPMC(5.0%)、塩化ナトリウムおよび赤色酸化鉄を充填する。乾燥物質をボウル中で混合した後に、上で調製した結合剤溶液を添加する。造粒を、標的水分含量(1重量%未満の水分)に達するまでFBG中で乾燥する。造粒を7メッシュ篩を通して微粉砕し、そしてトートブレンダー若しくはVブレンダーに移す。必要とされる量の抗酸化剤、ブチル化ヒドロキシトルエン(0.08%)を、60メッシュ篩を通して大きさを決める。必要とされる量の滑沢剤ステアリン酸(0.25%)は40メッシュ篩を通して大きさを決め、そして双方の物質を、均一に分散するまで(ステアリン酸について約1分およびBHTについて約10分)トート若しくはVブレンダーを使用して造粒に配合する。
【0161】
二層核の圧縮
長軸方向錠剤プレス(Korschプレス)を丸い深い凹型のパンチおよびダイを伴い設定する。2個のフィードホッパーをプレス上に置く。上のとおり調製した薬物層をホッパーの一方に入れた一方、上のとおり調製した浸透圧押し層を残存するホッパーに入れる。
【0162】
打錠パラメータ(薬物層)の初期調節を、各錠剤中の均一な標的薬物層重量、典型的には300mgの薬物を伴う核を製造するように実施する。薬物層を浸透圧層に結合して均一な最終の核の重量、厚さ、硬度および脆性を伴う核を製造する打錠パラメータの第二層の調節(浸透圧押し層)を実施する。前述のパラメータは、充填空間および/若しくは力の設定を変動させることにより調節し得る。300mgの薬物の標的量を含有する典型的な錠剤は、およそ0.465インチ長および直径およそ0.188インチであることができる。
【0163】
下塗り溶液および下塗りした系の製造
下塗り溶液を蓋の付いたステンレス鋼製容器中で調製する。適切な量のポビドン(K29−32)(2.4%)およびヒドロキシプロピルセルロース(分子量80,000)(Klucel EF、Aqualon Company)(5.6%)を、生じる溶液が澄明になるまで無水エチルアルコール(92%)中に混合する。上で製造した二層核を、回転する穿孔パンコーティング装置に入れる。コーターを始動し、そして28〜36℃のコーティング温度に到達した後、上で調製したサブコーティング溶液を回転錠剤床に均一に適用する。十分な量の溶液を適用して所望の下塗り重量増加を提供した場合に、下塗り工程を停止する。所望の下塗り重量は、24時間の放出速度アッセイで決定されるところの投薬形態物中に残存する薬物の許容できる残留を提供するように選択する。一般に、初期薬物装填量に基づき、本明細書に記述されるところの標準的放出速度アッセイでの24時間の試験後に10%未満、より好ましくは5%未満、および最も好ましくは3%未満の残余の薬物を残存させることが望ましい。これは、標準的放出速度アッセイにおける同一の二層核しかし異なる下塗り重量を有する多数の投薬形態物についての下塗り重量と残余の薬物との間の相関から決定しうる。
【0164】
速度制御膜および膜コート系の製造
膜コーティング溶液は、二層核中への所望の水浸透速度を得るために、変動する比率のセルロースアセテート398−10およびポロキサマー188を含有し、そして所望の重量増加量まで核上に被覆した。重量増加は、放出速度アッセイにおける変動する厚さの膜のT90と相関しうる。所望のT90のための所望の膜重量増加の獲得により便宜的に決定される十分な量の溶液を適用した場合に、膜コーティング工程を停止した。
【0165】
コーティング溶液は5重量%の固形物を含有し、そして20ガロンの閉鎖ジャケット付ステンレス鋼製混合容器中で調製した。固形物(75%セルロースアセテート398−10および25%ポロキサマー188、若しくは80%セルロースアセテート398−10および20%ポロキサマー188、または他の所望の比率、双方とも痕跡量のBHT、0.0003%を含有する)を、99.5%アセトンおよび0.5%水(w/w)よりなった溶媒に溶解し、そして適切な量のアセトンおよび水を該混合容器に移した。混合しながら該容器を25℃ないし28℃に加熱し、そしてその後熱水供給を止めた。適切な量のポロキサマー188、セルロースアセテート398−10およびBHTを、予熱したアセトン/水溶液を含有する混合容器に充填した。物質を、全部の固形物が溶解するまで容器中で一緒に混合した。
【0166】
下塗りした二層核(ロットあたりおよそ9kg)をVector Hi−Coaterに入れた。塗布機を始動し、そして標的排気温度に到達した後に、コーティング溶液を回転錠剤床に噴霧した。コーティング工程を通じて規則的間隔で重量増加を測定した。所望の湿重量増加が達成された場合に、コーティング工程を停止した。
【0167】
特定のT90値を有するコート核を得るために、適切なコーティング溶液を、所望の膜重量増加が得られるまで回転錠剤床に均一に適用した。コーティング工程を通じて規則的間隔で重量増加を測定し、そしてサンプルの膜コート単位を、実施例4に記述されるところの放出速度アッセイで試験して、コート単位のT90を決定した。
【0168】
膜コート系の孔あけ
1個の出口を、膜コート系の薬物層端に孔あけする。孔あけ工程の間、サンプルを、オリフィスの大きさ、位置および出口の数について規則的間隔で確認する。
【0169】
孔あけしたコート系の乾燥
上のとおり製造した、孔あけしたコート系を孔あきオーヴントレイに載せ、それを相対湿度オーヴン(43〜45%相対湿度)中の棚に入れそして乾燥して残留溶媒を除去する。
【0170】
色および透明保護被膜
任意の色若しくは透明塗膜溶液を、蓋の付いたステンレス鋼製容器中で調製する。色塗のため、88部分の精製水を12部分のOpadry II[色は決定的に重要でない]と溶液が均一になるまで混合する。透明塗のため、90部分の精製水を10部分のOpadry Clearと溶液が均一になるまで混合する。上のとおり調製した乾燥した核を回転する穿孔パンコーティング装置に入れる。塗布機を始動し、そしてコーティング温度が達成された後(35〜45℃)、色塗溶液を回転錠剤床に均一に適用する。所望の色保護被膜重量増加が達成される場合に便宜的に決定されるところの十分な量の溶液を適用した場合に、色塗工程を停止する。次に、透明塗溶液を回転錠剤床に均一に適用する。十分な量の溶液を適用した、すなわち所望の透明塗重量増加が達成された場合に、透明塗工程を停止する。流動剤(例えばCar−nu−bo蝋)を透明塗適用後に錠剤床に適用する。
【実施例2】
【0171】
350mgのイブプロフェンを含有する投薬形態物を、実施例1に全般として記述される手順を使用して製造した。薬物層組成物は、以下の成分、すなわち85重量%イブプロフェン(米国薬局方、38ミクロン)、6重量%HPC、(NF、Ph Eur)、6重量%クロスカルメロースナトリウム、NF、2重量%ラウリル硫酸ナトリウム、NF、0.5重量%コロイド状二酸化ケイ素、NF、0.5重量%ステアリン酸マグネシウム、NFよりなった。押し層は、以下の成分、すなわち63.67重量%ポリエチレンオキシド(7000K、NF)、30.0重量%NaCl、5重量%米国薬局方ポビドン、Eur(K29−32)、1重量%ステアリン酸マグネシウム、NF、Ph Eur、JP、0.25重量%酸化鉄、NF、0.08重量%BHT、NFを含有した。半透膜は、80重量%セルロースアセテート、NF(398−10)および20重量%ポロキサマー188、NFから構成された。オリフィスの大きさは155ミル(3.937mm)であった。
【0172】
本投薬形態物は、約10時間のT90を伴い、最初の1時間の99.5mg/hrのイブプロフェンの初期平均放出速度、次いで10時間持続した約25mg/hrのほぼ0次の放出速度、その後基礎レベルまでの急速な下落を生じた。用量のおよそ25%が0次の速度で送達された。該結果を図2にグラフで示し、そして、浸透物質の非存在下で本製剤により提供される劇的な突発放出、次いで持続放出を示す。
【実施例3】
【0173】
350mgのイブプロフェンを含有する投薬形態物を、実施例1に全般として記述される手順を使用して製造した。薬物層組成物は、以下の成分、すなわち85重量%イブプロフェン(米国薬局方、38ミクロン)、5重量%HPC(NF、Ph Eur)、3重量%クロスカルメロースナトリウム、NF、3重量%ラウリル硫酸ナトリウム、NF、3重量%ソルビトール、NF(粉末)、0.5重量%コロイド状二酸化ケイ素、NF、0.5重量%ステアリン酸マグネシウム、NFよりなった。押し層は、以下の成分、すなわち63.67重量%ポリエチレンオキシド(7000K、NF)、30.0重量%NaCl、5重量%米国薬局方ポビドン、Eur(K29−32)、1重量%ステアリン酸マグネシウム、NF、Ph Eur、JP、0.25重量%酸化鉄、NF、0.08重量%BHT、NFを含有した。半透膜は、80重量%セルロースアセテート、NF(398−10)および20重量%ポロキサマー188、NFから構成された。オリフィスの大きさは155ミル(3.937mm)であった。
【0174】
本投薬形態物は、約10時間のT90を伴い、最初の1時間の77.7mg/hrのイブプロフェンの初期平均放出速度、次いで10時間持続する約29mg/hrのほぼ0次の放出速度、その後基礎レベルまでの急速な下落を生じた。用量のおよそ40%が0次の速度で送達された。該結果を図3にグラフで示し、そして、少量の浸透物質を包含する本製剤により提供される突発放出、次いで持続放出を示す。
【実施例4】
【0175】
およそ350mgのイブプロフェンを含有する投薬形態物を、実施例1に全般として記述される手順を使用して製造した。薬物層組成物は、以下の成分、すなわち85重量%イブプロフェン(米国薬局方、38ミクロン)、7重量%米国薬局方ポビドン、Ph Eur、(K29−32)、4.0重量%クロスカルメロースナトリウム、NF、3重量%ラウリル硫酸ナトリウム、NF、0.5重量%コロイド状二酸化ケイ素、NF、0.5重量%ステアリン酸マグネシウム、NFよりなった。押し層は、以下の成分、すなわち63.67重量%ポリエチレンオキシド(7000K、NF)、30.0重量%NaCl、5重量%米国薬局方ポビドン、Eur(K29−32)、1重量%ステアリン酸マグネシウム、NF、Ph Eur、JP、0.25重量%酸化鉄、NF、0.08重量%BHT、NFを含有した。半透膜は、80重量%セルロースアセテート、NF(398−10)および20重量%ポロキサマー188、NFから構成された。オリフィスの大きさは155ミル(3.937mm)であった。
【0176】
本投薬形態物は、最初の1時間の29mg/hrのイブプロフェンの初期平均放出速度、次いで約55mg/hrの放出速度への増大、および約4時間持続した約40mg/hrの0次の速度を生じ、その後8時間後に基礎レベルまで急速に下落した。T90は約7時間であった。該結果を図4にグラフで示し、そして、迅速に水和する結合剤を包含する本製剤により提供される加減されたすなわち遅延した突発放出、および主として0次の持続放出送達プロファイルを示す。
【実施例5】
【0177】
300mgのイブプロフェンを含有する投薬形態物を、実施例1に全般として記述される手順を使用して製造した。薬物層組成物は、以下の成分、すなわち86.0重量%イブプロフェン(米国薬局方、25ミクロン)、5.0重量%米国薬局方マンニトール(粉末)、2.0重量%HPC、EF、3.0重量%クロスカルメロースナトリウム、NF、3.0重量%ラウリル硫酸ナトリウム、NF、1.0重量%ステアリン酸マグネシウム、NFよりなった。押し層は、以下の成分、すなわち63.67重量%ポリエチレンオキシド(7000K、NF)、30.0重量%NaCl、5重量%米国薬局方ポビドン、Ph
Eur(K29−32)、1重量%ステアリン酸マグネシウム、NF、Ph Eur、JP、0.25重量%酸化鉄、NF、0.08重量%BHT、NFを含有した。半透膜は、75重量%セルロースアセテート、NF(398−10)および25重量%ポロキサマー188、NFから構成された。
【0178】
本投薬形態物は、約8時間のT90を伴い、最初の1時間の57.3mg/hrのイブプロフェンの初期平均放出速度、次いで基礎レベルまで急速に下落する前の全体で約9時間の持続放出を伴う時間4ないし9の間の約30mg/hrの0次の放出速度までの減少する放出速度を生じた。該結果を図5にグラフで示す。これらのデータは、浸透物質を含有する本製剤により提供される突発放出、次いで持続する0次の送達プロファイルを示す。
【実施例6】
【0179】
350mgのイブプロフェンを含有する投薬形態物を、実施例1に全般として記述される手順を使用して製造した。薬物層組成物は、以下の成分、すなわち80.86重量%イブプロフェン(米国薬局方、25ミクロン)、4.5重量%米国薬局方ポビドン、Ph Eur(K29−32)、4.5重量%HPC、JF、4.0重量%クロスカルメロースナトリウム、NF、3.0重量%ラウリル硫酸ナトリウム、NF、1.74重量%ヒドロコドン重酒石酸塩、1.0重量%ステアリン酸、NF、0.4重量%ステアリン酸マグネシウム、NFよりなった。押し層は、以下の成分、すなわち63.67重量%ポリエチレンオキシド(7000K、NF)、30.0重量%NaCl、5重量%米国薬局方ポビドン、Ph Eur(K29−32)、1重量%ステアリン酸マグネシウム、NF、Ph Eur、JP、0.25重量%酸化鉄、NF、0.08重量%BHT、NFを含有した。半透膜は、75重量%セルロースアセテート、NF(398−10)および25重量%ポロキサマー188、NFから構成された。
【0180】
本投薬形態物は、約9時間のT90を伴い、最初の1時間の14.5mg/hrのイブプロフェンの初期平均放出速度、次いで9時間での約50mg/hrの最大放出速度までの漸増する放出速度、および基礎レベルまで急速に下落する前の全体で約9時間の持続放出を生じた。用量の大部分が漸増する放出速度で送達された。該結果を図6にグラフで示し、放出速度データを図6Aに、およびイブプロフェンの完全な送達を示す累積放出を図6Bに示す。これらのデータは、ポビドンを含有しかつ浸透物質を含有しない本製剤により提供される突発放出の非存在および優勢な漸増する放出送達プロファイルを示す。
【実施例7】
【0181】
350mgのイブプロフェンを含有する投薬形態物を、実施例1に全般として記述される手順を使用して製造した。薬物層組成物は、以下の成分、すなわち81.85重量%イブプロフェン(米国薬局方、25ミクロン)、8.0重量%HPC、NF、3.0重量%米国薬局方ポビドン、Ph Eur(K29−32)、4.0重量%クロスカルメロースナトリウム、NF、3.0重量%ラウリル硫酸ナトリウム、NF、1.75重量%ヒドロコドン重酒石酸塩、1.0重量%ステアリン酸、NF、0.4重量%ステアリン酸マグネシウム、NFよりなった。押し層は、以下の成分、すなわち63.67重量%ポリエチレンオキシド(7000K、NF)、30.0重量%NaCl、5重量%米国薬局方ポビドン、Ph Eur(K29−32)、1重量%ステアリン酸マグネシウム、NF、Ph Eur、JP、0.25重量%酸化鉄、NF、0.08重量%BHT、NFを含有した。半透膜は、75重量%セルロースアセテート、NF(398−10)および25重量%ポロキサマー188、NFから構成された。
【0182】
本投薬形態物は、約9時間のT90を伴い、最初の1時間の8.2mg/hrのイブプロフェンの初期平均放出速度、次いで8時間での約67mg/hrの最大放出速度までの
漸増する放出速度、および基礎レベルまで急速に下落する前の全体で約9時間の持続放出を生じた。用量の大部分が漸増する放出速度で送達された。該結果を図7にグラフで示し、放出速度データを図7Aに、および累積放出を図7Bに示す。これらのデータは、より大きい比率のヒドロキシプロピルセルロースおよびポビドンを含有しかつ浸透物質を含有しない本製剤により提供される突発放出の非存在および優勢な漸増する放出送達プロファイルを示す。
【実施例8】
【0183】
300mgのイブプロフェンを含有する投薬形態物を、実施例1に全般として記述される手順を使用して製造した。薬物層組成物は、以下の成分、すなわち86.0重量%イブプロフェン(米国薬局方、25ミクロン)、5.0重量%米国薬局方マンニトール(粉末)、2.0重量%HPC、JF、3.0重量%クロスカルメロースナトリウム、NF、3.0重量%ラウリル硫酸ナトリウム、NF、1.0重量%ステアリン酸、NFよりなった。押し層は、以下の成分、すなわち63.67重量%ポリエチレンオキシド(7000K、NF)、30.0重量%NaCl、5重量%米国薬局方ポビドン、Ph Eur(K29−32)、1重量%ステアリン酸マグネシウム、NF、Ph Eur、JP、0.25重量%酸化鉄、NF、0.08重量%BHT、NFを含有した。半透膜は、75重量%セルロースアセテート、NF(398−10)および25重量%ポロキサマー188、NFから構成された。
【0184】
本投薬形態物は、全体で約9時間の持続放出および約9時間のT90を伴い、最初の1時間の53.3mg/hrのイブプロフェンの初期平均放出速度、次いで約7時間での23mg/hrの最小速度までの減少する放出速度、および基礎レベルまで急速に下落する前の9時間での約38mg/hrの第二の最大放出速度までの漸増する放出速度を生じた。全体的な効果は0次の放出速度に似ているが、とは言え、該放出速度は初期突発放出と漸増する放出速度との間の均衡であるようである。該結果を図8にグラフで示す。これらのデータは、浸透物質および少量の結合剤を含有する本製剤により提供される漸増する放出速度と組合せの中程度の突発放出を示す。
【実施例9】
【0185】
300mgのイブプロフェンを含有する投薬形態物を、実施例1に全般として記述される手順を使用して製造した。薬物層組成物は、以下の成分、すなわち87.0重量%イブプロフェン(米国薬局方、25ミクロン)、5.0重量%米国薬局方マンニトール(粉末)、2.0重量%HPC、EF、2.0重量%クロスカルメロースナトリウム、NF、3.0重量%ラウリル硫酸ナトリウム、NF、1.0重量%ステアリン酸、NFよりなった。押し層は、以下の成分、すなわち63.67重量%ポリエチレンオキシド(7000K、NF)、30.0重量%NaCl、5重量%米国薬局方ポビドン、Ph Eur(K29−32)、1重量%ステアリン酸マグネシウム、NF、Ph Eur、JP、0.25重量%酸化鉄、NF、0.08重量%BHT、NFを含有した。半透膜は、75重量%セルロースアセテート、NF(398−10)および25重量%ポロキサマー188、NFから構成された。
【0186】
本投薬形態物は、約9時間のT90を伴い、最初の1時間の34.2mg/hrのイブプロフェンの初期平均放出速度、次いで基礎レベルまでの急速に下落する前の全体で約10時間の持続放出を伴う10時間の約25〜30mg/hrの0次の放出速度を生じた。全体的な効果は0次の放出速度に似ている。該結果を図9にグラフで示す。これらのデータは、浸透物質ならびに比較的少量の崩壊剤および結合剤を含有する本製剤により提供される0次の放出速度を示す。
【図面の簡単な説明】
【0187】
【図1】本発明の投薬形態物の一態様の図解を示す。
【図2】1種の代表的な投薬形態物からの有効成分イブプロフェンの放出プロファイルを具体的に説明する。
【図3】1種の代表的な投薬形態物からの有効成分イブプロフェンの放出プロファイルを具体的に説明する。
【図4】1種の代表的な投薬形態物からの有効成分イブプロフェンの放出プロファイルを具体的に説明する。
【図5】1種の代表的な投薬形態物からの有効成分イブプロフェンの放出プロファイルを具体的に説明する。
【図6A−B】1種の代表的な投薬形態物からの有効成分イブプロフェンの放出プロファイルおよび累積放出プロファイルを具体的に説明する。
【図7】1種の代表的な投薬形態物からの有効成分イブプロフェンの放出プロファイルを具体的に説明する。
【図8】1種の代表的な投薬形態物からの有効成分イブプロフェンの放出プロファイルを具体的に説明する。
【図9】1種の代表的な投薬形態物からの有効成分イブプロフェンの放出プロファイルを具体的に説明する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製薬学的有効成分の必要な患者に製薬学的有効成分を送達するための持続放出投薬形態物であって、
1)持続放出成分および
2)即時放出成分
を含んでなり、かつ、
即時放出成分が即時放出薬物コーティングでない、
上記投薬形態物。
【請求項2】
持続放出成分および即時放出成分の双方が、侵食可能な固体として放出するよう適合されている、請求項1に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項3】
持続放出成分および即時放出成分の双方が単一の機構で提供される、請求項1に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項4】
持続放出成分が、有効成分の漸増する放出速度を提供する、請求項1に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項5】
持続放出成分が、有効成分の0次の放出速度を提供する、請求項1に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項6】
製薬学的有効成分が水中で低溶解性を有する、請求項1に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項7】
製薬学的有効成分が、25℃で10mg/ml未満の水中での溶解度を有する、請求項6に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項8】
製薬学的有効成分が侵食可能な固体中に高薬物装填量で存在する、請求項2に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項9】
高薬物装填量が約60から約95重量%までである、請求項8に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項10】
高薬物装填量が約70から約90重量%までである、請求項9に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項11】
高薬物装填量が約75から約85重量%までである、請求項10に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項12】
侵食可能な固体が、崩壊剤、結合剤、ならびに場合によっては界面活性剤および浸透物質を含んでなる、請求項2に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項13】
製薬学的有効成分が、崩壊剤、結合剤、浸透物質の相対比率および製薬学的有効成分の溶解性により制御されるある量で即時放出成分から放出される、請求項12に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項14】
非ステロイド性抗炎症薬の必要な患者に非ステロイド性抗炎症薬を送達するための持続放出投薬形態物であって、
1)持続放出成分および
2)即時放出成分
を含んでなり、かつ、
即時放出成分が即時放出薬物コーティングでない、
上記投薬形態物。
【請求項15】
持続放出成分および即時放出成分の双方が、侵食可能な固体として放出するように適合されている、請求項14に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項16】
持続放出成分および即時放出成分の双方が単一の機構で提供される、請求項14に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項17】
持続放出成分が非ステロイド性抗炎症薬の漸増する放出速度を提供する、請求項14に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項18】
持続放出成分が非ステロイド性抗炎症薬の0次の放出速度を提供する、請求項14に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項19】
非ステロイド性抗炎症薬がアリールプロピオン酸若しくはCOX−2阻害剤である、請求項14に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項20】
アリールプロピオン酸が、ベノキサプロフェン、デシブプロフェン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、イブプロフェン、インドプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、ナプロキソール若しくはオキサプロジン、それらの誘導体またはそれらの混合物である、請求項19に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項21】
非ステロイド性抗炎症薬がイブプロフェンである、請求項20に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項22】
侵食可能な固体が、崩壊剤、結合剤、ならびに場合によっては界面活性剤および浸透物質を含んでなる、請求項15に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項23】
結合剤が、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース若しくはポリビニルピロリドンである、請求項22に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項24】
浸透物質が低分子量の糖若しくは塩である、請求項23に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項25】
低分子量の糖がソルビトール、マンニトールである、請求項24に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項26】
浸透物質が、重量パーセントで約2%から約10%までの侵食可能な固体中に存在する、請求項22に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項27】
崩壊剤が、約1%から約10重量%までの量で存在する、請求項22に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項28】
崩壊剤がクロスカルメロース、クロスポビドン若しくはアルギン酸ナトリウムである、請求項22に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項29】
侵食可能な固体が非イオン性若しくはイオン性界面活性剤をさらに含んでなる、請求項15に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項30】
非イオン性界面活性剤が、ポロキサマー、若しくはポリオキシエチレンの脂肪酸エステルまたはそれらの混合物である、請求項29に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項31】
界面活性剤が、侵食可能な固体中に重量パーセントで約0.1%ないし約10%存在する、請求項29に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項32】
侵食可能な固体が、約1から約10重量%までのヒドロキシアルキルセルロースを含んでなる、請求項15に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項33】
侵食可能な固体が、約5%から約6%までのヒドロキシプロピルセルロースを含んでなる、請求項32に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項34】
侵食可能な固体が、約2%から約6%までのクロスカルメロースを含んでなる、請求項32に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項35】
侵食可能な固体が、約2%から約3%までのラウリル硫酸ナトリウムを含んでなる、請求項32に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項36】
侵食可能な固体が、約1から約10重量%までのポリビニルピロリドンを含んでなる、請求項15に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項37】
製薬学的有効成分およびその製薬学的に許容できる塩を含んでなりかつ侵食可能な固体として長時間にわたり放出するように適合されている、持続放出投薬形態物であって、該投薬形態物が薬物コーティングの存在を伴わずに製薬学的有効成分の突発放出を提供する、上記投薬形態物。
【請求項38】
投薬形態物が、該投薬形態物の経口投与後最初の1時間に製薬学的有効成分の約10%から約50%までの突発放出を提供する、請求項33に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項39】
投薬形態物が、該投薬形態物の経口投与後最初の1時間に製薬学的有効成分の約15%から約30%までの突発放出を提供する、請求項33に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項40】
製薬学的有効成分が水中で低溶解性を有する、請求項37に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項41】
製薬学的有効成分が、25℃で10mg/ml未満の水中での溶解度を有する、請求項40に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項42】
製薬学的有効成分が、侵食可能な固体中に高薬物装填量で存在する、請求項40に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項43】
高薬物装填量が約60%から約95重量%までである、請求項42に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項44】
高薬物装填量が約70%から約90重量%までである、請求項43に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項45】
高薬物装填量が約75%から約85重量%までである、請求項44に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項46】
侵食可能な固体が、崩壊剤、結合剤、ならびに場合によっては界面活性剤および浸透物質を含んでなる、請求項37に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項47】
突発放出が、崩壊剤、結合剤、浸透物質の相対比率および製薬学的有効成分の溶解性により制御される、請求項37に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項48】
製薬学的有効成分およびその製薬学的に許容できる塩を含んでなりかつ侵食可能な固体として長時間にわたり放出するように適合されている持続放出投薬形態物であって、製薬学的有効成分の放出速度が該侵食可能な固体中の浸透物質の存在により調節される、上記投薬形態物。
【請求項49】
製薬学的有効成分およびその製薬学的に許容できる塩を含んでなりかつ侵食可能な固体として長時間にわたり放出するように適合されている持続放出投薬形態物であって、最初の1時間の製薬学的有効成分の放出速度が、該侵食可能な固体中に存在する浸透物質、結合剤および崩壊剤の量により制御される、上記投薬形態物。
【請求項50】
製薬学的有効成分およびその製薬学的に許容できる塩を含んでなりかつ侵食可能な固体として長時間にわたり放出するように適合されている持続放出投薬形態物であって、最初の1時間の製薬学的有効成分の放出速度が、該侵食可能な固体中に存在する浸透物質、結合剤および崩壊剤の相対水和速度により制御される、上記投薬形態物。
【請求項51】
製薬学的有効成分が非ステロイド性抗炎症薬である、請求項50に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項52】
投薬形態物が、該投薬形態物の経口投与後最初の1時間に非ステロイド性抗炎症薬の約10%から約50%までの即時放出を提供する、請求項51に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項53】
投薬形態物が、該投薬形態物の経口投与後最初の1時間に非ステロイド性抗炎症薬の約15%から約30%までの即時放出を提供する、請求項52に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項54】
侵食可能な固体が、崩壊剤、結合剤、ならびに場合によっては界面活性剤および浸透物質を含んでなる、請求項46に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項55】
界面活性剤が非イオン性若しくはイオン性界面活性剤である、請求項54に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項56】
イオン性界面活性剤がC8〜C18アルキル硫酸のアルカリ塩である、請求項55に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項57】
非イオン性界面活性剤が、ポロキサマー、若しくはポリオキシエチレンの脂肪酸エステル、またはそれらの混合物である、請求項55に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項58】
投薬形態物が、投与後約1時間から約16時間まで0次放出を提供する、請求項50に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項59】
投薬形態物が、投与後約1時間から約10時間まで0次放出を提供する、請求項58に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項60】
投薬形態物が、約12時間未満に有効成分の約90%を放出する、請求項50に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項61】
投薬形態物が、0次の放出速度を送達時間の少なくとも一部分の間提供する、請求項50に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項62】
投薬形態物が、漸増する放出速度を送達時間の少なくとも一部分の間提供する、請求項50に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項63】
非ステロイド性抗炎症薬の必要な患者への有効用量の非ステロイド性抗炎症薬の長時間の提供方法であって、
(1)空洞を規定しかつ形成された若しくは形成可能な出口オリフィスをその中に包含する半透性壁;
(2)空洞内に含有されかつ出口オリフィスに隣接して配置された治療上有効な量の非ステロイド性抗炎症薬を含んでなる薬物層;
(3)空洞内に含有されかつ出口オリフィスから遠位に配置された押し置換層;
(4)半透性壁の内表面と、該壁に正対する薬物層の少なくとも外表面との間の流動促進層
を含んでなる持続放出投薬形態物を経口投与することを含んでなり、かつ、
該投薬形態物が、使用の環境の水と接触された後に、非ステロイド性抗炎症薬のin vitro放出速度を約16時間まで提供する、
上記方法。
【請求項64】
投薬形態物が、即時放出薬物コーティングの存在を伴わずに非ステロイド性抗炎症薬の即時放出をさらに提供する、請求項63に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項65】
投薬形態物が、該投薬形態物の経口投与後最初の1時間に非ステロイド性抗炎症薬の約10%から約50%までの即時放出を提供する、請求項64に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項66】
投薬形態物が、該投薬形態物の経口投与後最初の1時間に非ステロイド性抗炎症薬の約15%から約30%までの即時放出を提供する、請求項65に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項67】
請求項1に記載の持続放出投薬形態物をそれの必要な患者に経口投与することを含んでなる、製薬学的有効成分の持続放出の提供方法。
【請求項68】
請求項14に記載の持続放出投薬形態物をそれの必要な患者に経口投与することを含んでなる、非ステロイド性抗炎症薬の持続放出の提供方法。
【請求項69】
請求項37に記載の持続放出投薬形態物をそれの必要な患者に経口投与することを含んでなる、製薬学的有効成分の持続放出の提供方法。
【請求項70】
請求項48に記載の持続放出投薬形態物をそれの必要な患者に経口投与することを含んでなる、製薬学的有効成分の持続放出の提供方法。
【請求項71】
請求項49に記載の持続放出投薬形態物をそれの必要な患者に経口投与することを含んでなる、製薬学的有効成分の持続放出の提供方法。
【請求項72】
請求項50に記載の持続放出投薬形態物をそれの必要な患者に経口投与することを含ん
でなる、製薬学的有効成分の持続放出の提供方法。
【請求項73】
請求項63に記載の持続放出投薬形態物をそれの必要な患者に経口投与することを含んでなる、非ステロイド性抗炎症薬の持続放出の提供方法。
【請求項1】
製薬学的有効成分の必要な患者に製薬学的有効成分を送達するための持続放出投薬形態物であって、
1)持続放出成分および
2)即時放出成分
を含んでなり、かつ、
即時放出成分が即時放出薬物コーティングでない、
上記投薬形態物。
【請求項2】
持続放出成分および即時放出成分の双方が、侵食可能な固体として放出するよう適合されている、請求項1に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項3】
持続放出成分および即時放出成分の双方が単一の機構で提供される、請求項1に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項4】
持続放出成分が、有効成分の漸増する放出速度を提供する、請求項1に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項5】
持続放出成分が、有効成分の0次の放出速度を提供する、請求項1に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項6】
製薬学的有効成分が水中で低溶解性を有する、請求項1に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項7】
製薬学的有効成分が、25℃で10mg/ml未満の水中での溶解度を有する、請求項6に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項8】
製薬学的有効成分が侵食可能な固体中に高薬物装填量で存在する、請求項2に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項9】
高薬物装填量が約60から約95重量%までである、請求項8に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項10】
高薬物装填量が約70から約90重量%までである、請求項9に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項11】
高薬物装填量が約75から約85重量%までである、請求項10に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項12】
侵食可能な固体が、崩壊剤、結合剤、ならびに場合によっては界面活性剤および浸透物質を含んでなる、請求項2に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項13】
製薬学的有効成分が、崩壊剤、結合剤、浸透物質の相対比率および製薬学的有効成分の溶解性により制御されるある量で即時放出成分から放出される、請求項12に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項14】
非ステロイド性抗炎症薬の必要な患者に非ステロイド性抗炎症薬を送達するための持続放出投薬形態物であって、
1)持続放出成分および
2)即時放出成分
を含んでなり、かつ、
即時放出成分が即時放出薬物コーティングでない、
上記投薬形態物。
【請求項15】
持続放出成分および即時放出成分の双方が、侵食可能な固体として放出するように適合されている、請求項14に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項16】
持続放出成分および即時放出成分の双方が単一の機構で提供される、請求項14に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項17】
持続放出成分が非ステロイド性抗炎症薬の漸増する放出速度を提供する、請求項14に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項18】
持続放出成分が非ステロイド性抗炎症薬の0次の放出速度を提供する、請求項14に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項19】
非ステロイド性抗炎症薬がアリールプロピオン酸若しくはCOX−2阻害剤である、請求項14に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項20】
アリールプロピオン酸が、ベノキサプロフェン、デシブプロフェン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、イブプロフェン、インドプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、ナプロキソール若しくはオキサプロジン、それらの誘導体またはそれらの混合物である、請求項19に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項21】
非ステロイド性抗炎症薬がイブプロフェンである、請求項20に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項22】
侵食可能な固体が、崩壊剤、結合剤、ならびに場合によっては界面活性剤および浸透物質を含んでなる、請求項15に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項23】
結合剤が、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース若しくはポリビニルピロリドンである、請求項22に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項24】
浸透物質が低分子量の糖若しくは塩である、請求項23に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項25】
低分子量の糖がソルビトール、マンニトールである、請求項24に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項26】
浸透物質が、重量パーセントで約2%から約10%までの侵食可能な固体中に存在する、請求項22に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項27】
崩壊剤が、約1%から約10重量%までの量で存在する、請求項22に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項28】
崩壊剤がクロスカルメロース、クロスポビドン若しくはアルギン酸ナトリウムである、請求項22に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項29】
侵食可能な固体が非イオン性若しくはイオン性界面活性剤をさらに含んでなる、請求項15に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項30】
非イオン性界面活性剤が、ポロキサマー、若しくはポリオキシエチレンの脂肪酸エステルまたはそれらの混合物である、請求項29に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項31】
界面活性剤が、侵食可能な固体中に重量パーセントで約0.1%ないし約10%存在する、請求項29に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項32】
侵食可能な固体が、約1から約10重量%までのヒドロキシアルキルセルロースを含んでなる、請求項15に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項33】
侵食可能な固体が、約5%から約6%までのヒドロキシプロピルセルロースを含んでなる、請求項32に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項34】
侵食可能な固体が、約2%から約6%までのクロスカルメロースを含んでなる、請求項32に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項35】
侵食可能な固体が、約2%から約3%までのラウリル硫酸ナトリウムを含んでなる、請求項32に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項36】
侵食可能な固体が、約1から約10重量%までのポリビニルピロリドンを含んでなる、請求項15に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項37】
製薬学的有効成分およびその製薬学的に許容できる塩を含んでなりかつ侵食可能な固体として長時間にわたり放出するように適合されている、持続放出投薬形態物であって、該投薬形態物が薬物コーティングの存在を伴わずに製薬学的有効成分の突発放出を提供する、上記投薬形態物。
【請求項38】
投薬形態物が、該投薬形態物の経口投与後最初の1時間に製薬学的有効成分の約10%から約50%までの突発放出を提供する、請求項33に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項39】
投薬形態物が、該投薬形態物の経口投与後最初の1時間に製薬学的有効成分の約15%から約30%までの突発放出を提供する、請求項33に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項40】
製薬学的有効成分が水中で低溶解性を有する、請求項37に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項41】
製薬学的有効成分が、25℃で10mg/ml未満の水中での溶解度を有する、請求項40に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項42】
製薬学的有効成分が、侵食可能な固体中に高薬物装填量で存在する、請求項40に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項43】
高薬物装填量が約60%から約95重量%までである、請求項42に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項44】
高薬物装填量が約70%から約90重量%までである、請求項43に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項45】
高薬物装填量が約75%から約85重量%までである、請求項44に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項46】
侵食可能な固体が、崩壊剤、結合剤、ならびに場合によっては界面活性剤および浸透物質を含んでなる、請求項37に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項47】
突発放出が、崩壊剤、結合剤、浸透物質の相対比率および製薬学的有効成分の溶解性により制御される、請求項37に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項48】
製薬学的有効成分およびその製薬学的に許容できる塩を含んでなりかつ侵食可能な固体として長時間にわたり放出するように適合されている持続放出投薬形態物であって、製薬学的有効成分の放出速度が該侵食可能な固体中の浸透物質の存在により調節される、上記投薬形態物。
【請求項49】
製薬学的有効成分およびその製薬学的に許容できる塩を含んでなりかつ侵食可能な固体として長時間にわたり放出するように適合されている持続放出投薬形態物であって、最初の1時間の製薬学的有効成分の放出速度が、該侵食可能な固体中に存在する浸透物質、結合剤および崩壊剤の量により制御される、上記投薬形態物。
【請求項50】
製薬学的有効成分およびその製薬学的に許容できる塩を含んでなりかつ侵食可能な固体として長時間にわたり放出するように適合されている持続放出投薬形態物であって、最初の1時間の製薬学的有効成分の放出速度が、該侵食可能な固体中に存在する浸透物質、結合剤および崩壊剤の相対水和速度により制御される、上記投薬形態物。
【請求項51】
製薬学的有効成分が非ステロイド性抗炎症薬である、請求項50に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項52】
投薬形態物が、該投薬形態物の経口投与後最初の1時間に非ステロイド性抗炎症薬の約10%から約50%までの即時放出を提供する、請求項51に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項53】
投薬形態物が、該投薬形態物の経口投与後最初の1時間に非ステロイド性抗炎症薬の約15%から約30%までの即時放出を提供する、請求項52に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項54】
侵食可能な固体が、崩壊剤、結合剤、ならびに場合によっては界面活性剤および浸透物質を含んでなる、請求項46に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項55】
界面活性剤が非イオン性若しくはイオン性界面活性剤である、請求項54に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項56】
イオン性界面活性剤がC8〜C18アルキル硫酸のアルカリ塩である、請求項55に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項57】
非イオン性界面活性剤が、ポロキサマー、若しくはポリオキシエチレンの脂肪酸エステル、またはそれらの混合物である、請求項55に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項58】
投薬形態物が、投与後約1時間から約16時間まで0次放出を提供する、請求項50に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項59】
投薬形態物が、投与後約1時間から約10時間まで0次放出を提供する、請求項58に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項60】
投薬形態物が、約12時間未満に有効成分の約90%を放出する、請求項50に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項61】
投薬形態物が、0次の放出速度を送達時間の少なくとも一部分の間提供する、請求項50に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項62】
投薬形態物が、漸増する放出速度を送達時間の少なくとも一部分の間提供する、請求項50に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項63】
非ステロイド性抗炎症薬の必要な患者への有効用量の非ステロイド性抗炎症薬の長時間の提供方法であって、
(1)空洞を規定しかつ形成された若しくは形成可能な出口オリフィスをその中に包含する半透性壁;
(2)空洞内に含有されかつ出口オリフィスに隣接して配置された治療上有効な量の非ステロイド性抗炎症薬を含んでなる薬物層;
(3)空洞内に含有されかつ出口オリフィスから遠位に配置された押し置換層;
(4)半透性壁の内表面と、該壁に正対する薬物層の少なくとも外表面との間の流動促進層
を含んでなる持続放出投薬形態物を経口投与することを含んでなり、かつ、
該投薬形態物が、使用の環境の水と接触された後に、非ステロイド性抗炎症薬のin vitro放出速度を約16時間まで提供する、
上記方法。
【請求項64】
投薬形態物が、即時放出薬物コーティングの存在を伴わずに非ステロイド性抗炎症薬の即時放出をさらに提供する、請求項63に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項65】
投薬形態物が、該投薬形態物の経口投与後最初の1時間に非ステロイド性抗炎症薬の約10%から約50%までの即時放出を提供する、請求項64に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項66】
投薬形態物が、該投薬形態物の経口投与後最初の1時間に非ステロイド性抗炎症薬の約15%から約30%までの即時放出を提供する、請求項65に記載の持続放出投薬形態物。
【請求項67】
請求項1に記載の持続放出投薬形態物をそれの必要な患者に経口投与することを含んでなる、製薬学的有効成分の持続放出の提供方法。
【請求項68】
請求項14に記載の持続放出投薬形態物をそれの必要な患者に経口投与することを含んでなる、非ステロイド性抗炎症薬の持続放出の提供方法。
【請求項69】
請求項37に記載の持続放出投薬形態物をそれの必要な患者に経口投与することを含んでなる、製薬学的有効成分の持続放出の提供方法。
【請求項70】
請求項48に記載の持続放出投薬形態物をそれの必要な患者に経口投与することを含んでなる、製薬学的有効成分の持続放出の提供方法。
【請求項71】
請求項49に記載の持続放出投薬形態物をそれの必要な患者に経口投与することを含んでなる、製薬学的有効成分の持続放出の提供方法。
【請求項72】
請求項50に記載の持続放出投薬形態物をそれの必要な患者に経口投与することを含ん
でなる、製薬学的有効成分の持続放出の提供方法。
【請求項73】
請求項63に記載の持続放出投薬形態物をそれの必要な患者に経口投与することを含んでなる、非ステロイド性抗炎症薬の持続放出の提供方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【公表番号】特表2007−506774(P2007−506774A)
【公表日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−528249(P2006−528249)
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【国際出願番号】PCT/US2004/031475
【国際公開番号】WO2005/030166
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(503073787)アルザ・コーポレーシヨン (113)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【国際出願番号】PCT/US2004/031475
【国際公開番号】WO2005/030166
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(503073787)アルザ・コーポレーシヨン (113)
【Fターム(参考)】
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