有効成分の輸送制御のための生物活性な生体融合材料
球面の粒子が共有的に結合される担体材料を含む生体融合材料であって、前記球状粒子は、単環式多環式アルケン重合から誘導される約30〜10000モノマーユニットを含有するポリマー鎖によって形成され、加水分解型ブリッジを介して前記ポリマーユニットに場合により共有結合されるエチレンポリオキシドを含むR鎖によって置換され、及び有効成分との連結に関与する反応性官能基によって置換され、前記R鎖は、前記モノマーユニットに共有結合される前記生体融合材料に関する。医薬組成物及び化粧品組成物の製造又は表面コーティングについての本発明の生体融合材料の使用はまた開示される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有効成分の輸送制御のための生物活性な生体融合材料、及びその合成法、並びのその使用に関する。
本発明の一般的な目的は、移植可能な装置に、それらの導入に続くかもしれない種々の感染及び/又は炎症過程の発症を抑える能力を提供することである。
【背景技術】
【0002】
現在、これらの影響を緩和するために、一般的な経路による薬剤を投与すること(A)、並びに局所的に骨の手術における抗生物質を投与すること(B)が提案されている。
【0003】
A−薬剤が一般的な経路によって投与される場合、それは、生物全体に分布され、意図された部位(即ち、感染及び/又は炎症及び/又は腫瘍過程の部位であり得る場所)でのその濃度は、投与される濃度が患者を毒性効果に晒す危険が十分に高い場合、有効性の閾値を越えることができるに過ぎない。
経口又は非経口経路によって薬理学的に投与された物質は、短すぎる半減期を有し、所望の局所的な効果を達成するための一般的な毒性の危険性を有する。
【0004】
B−1970年以降、抗生物質を含むセメントが、人口装具の手術において使用されている。フランスでは、市場において、ゲンタマイシン又はエリスロマイシンとコリマイシンの組み合わせのいずれかを用いた2つの製造品がある。標準的でない条件の手術室において、「抗生物質を含むセメント」、特にバンコマイシンを含むセメントを製造することも可能である。この方法の制限因子は、使用される有効成分の制御されない放出(濃度及び期間の点において)である。実際に、装置がその輸送を調整することができず、したがって、その作用を所定の期間に持続することができないので、有効成分の放出の反応速度論は制御されない。さらに、有効成分の一部は、セメント内であまりにも深部に捕捉されるため放出されない。
【0005】
これらの欠点を改善するために、有効成分の輸送システム、いわゆる「薬物輸送システム(DDS)」が開発されてきた。これらの薬物輸送システムの原理は、長期に渡って常に、十分な量でかつ非毒性な量で、in situで薬理学的に活性な物質を輸送するものである。
【0006】
さらに、刺激性ポリマーは、即ち、pH又は温度の変化のような外部刺激に感受性なポリマーであり、それ自身、材料に吸収され又はグラフトされる材料又はビーズにおいて直接的に有効成分のカプセル化又は吸収によって得られる反応性官能基を提示するものは、すでに開示されている。
【0007】
しかしながら、吸収は、有効成分の放出制御を可能にしない。一方、カプセル化に関して、有効成分の放出制御を可能にする場合、長期の使用を伴って、及び/又は材料が非常なストレス(流動、摩擦など)に晒される場合に、相容れないことが示される。
【0008】
官能化したナノ粒子上に有効成分の共有的なグラフトによって得た反応性ポリマーのナノ粒子はまたすでに開示されている。しかしながら、このようなナノ粒子の合成は、2工程(ラテックスの合成、次に有効成分との反応)で、したがってグラフティングの直接的な制御なしに(無作為な数の官能基が導入される)行われる。さらに、これらのナノ粒子は、さらに、有効成分の特定の場所での放出を可能にする有効成分との固着部位を有しない。これらの材料は、ほとんどしばしば、ベクトル化又は免疫学的試験のために意図される。
【発明の開示】
【0009】
本発明は、放出制御を可能にする生体融合材料の移植部位(調節し得る期間)で、有効成分によって官能化した球面粒子(特にナノ粒子)の化学的固着によって後者の表面上で共有結合的に固定した有効成分の放出を制御した生体融合材料を提供することを目的とする。粒子/有効成分の結合の切断反応は、生理学的な媒体と材料との接触によって、又はpHの変化によって作動し、制御した方法で、自然な形態で生物活性分子を放出する。この概念は、インプラントとそれを取り囲む組織との間の関係を制御することができる因子の局所的輸送にまで広げることができる。応用の主要な領域は、生物医薬分野であり、より正確には脈管、血管(ステント)及び骨の手術に使用される生体適合材料である。
【0010】
つまり、本発明は、生体融合材料の表面に、生物活性であり及び刺激性である、即ち、外部刺激、例えばpH又は温度変化に感受性であって、酸、アミン、アルコール若しくは酸塩化物のタイプの周辺の反応性官能基を提示し、ただ一工程で得ることができる球状ポリマー粒子を固定することが可能であるという事実を示すことに起因する。この材料上の有効成分の結合は、好都合には、pH及び/又は温度の影響下で加水分解され得る結合である。
【0011】
本発明は、10nm〜100μmの間の直径を有する球面粒子を支持体に共有結合した支持材料を含む生体融合材料に関し、前記粒子は、約30〜10000モノマーユニットを含有するポリマー鎖によって形成され、このモノマーユニットは、同一か又は異なっていて、環を構成する炭素原子数が約4〜12個である単環式アルケン類、又は環を構成する炭素原子数の全体が約6〜20個である多環式アルケンの重合から誘導され、そして、該モノマーユニットが、
【0012】
それらの少なくとも約0.5%が、場合によっては加水分解型ブリッジを介して該モノマーユニットに共有結合しており、式(A):
−(CH2−CH2−O)n−X (A)
(式中、
nは、約50〜340、特に70〜200の整数を表し、及びXは、約1〜10個の炭素原子を有し、OH、ハロゲン、NH2、C(O)X1タイプの反応性官能基を含むアルキル又はアルコキシ鎖を表し、ここで、X1は、水素原子、ハロゲン原子、OR'又はNHR'基を表し、R'は、水素原子、又は置換若しくは未置換の約1〜10個の炭素原子を有する炭化水素基を表し、前記反応性官能基は、前記材料と粒子との間の共有結合を確実にするために、前記支持材料上に配置した反応性官能基に結合することができる)
で表されるエチレンポリオキシドを含むR鎖によって置換される;
【0013】
そして、それらの少なくとも約0.5%が、前述の式(A)のエチレンポリオキシドを含むR鎖によって置換され、ここで、前記反応性官能基が有効成分、又はタンパク質のような生体分子との結合に関与し、前記R鎖が、前記モノマーに共有結合する
ようなものである。
【0014】
本発明は、より具体的には、上記で定義される生体融合材料に関し、前記モノマーユニットが、単環式アルケン類の重合から誘導され、そして、下記の式(Z1):
=[CH−R1−CH]= (Z1)
(式中、
R1は、飽和又は不飽和の2〜10個の炭素原子を有する炭化水素鎖を表し、前記モノマーが、上記で定義したR鎖によって場合により置換され、又は直接的にX基によって置換される)
で表されるものである。
【0015】
本発明は、より具体的には、上記で定義される生体融合材料に関し、モノマーユニットが誘導される単環式アルケン類が、
−下記の式(Z1a):
【化1】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くシクロブテン;
【0016】
−下記の式(Z1b):
【化2】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くシクロペンテン;
【0017】
−下記の式(Z1c):
【化3】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くシクロペンタジエン;
【0018】
−下記の式(Z1d):
【化4】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くシクロヘキセン;
【0019】
−下記の式(Z1e):
【化5】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くシクロヘキサジエン;
【0020】
−下記の式(Z1f):
【化6】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くシクロヘプテン;
【0021】
−下記の式(Z1h):
【化7】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くシクロオクテン;
【0022】
−下記の式(Z1i):
【化8】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くシクロオクタポリエン、特にシクロオクタ−1,5−ジエン;
【0023】
−下記の式(Z1j):
【化9】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くシクロノネン;
【0024】
−下記の式(Z1k):
【化10】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くシクロノナジエン;
【0025】
−下記の式(Z1l):
【化11】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くシクロデセン;
【0026】
−下記の式(Z1m):
【化12】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くシクロデカ−1,5−ジエン;
【0027】
−下記の式(Z1n):
【化13】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くシクロドデセン;
【0028】
−又は、2,3,4,5−テトラヒドロオキセピン−2−イル酢酸、シクロペンタデセン、パラシクロファン、フェロセノファン
である。
【0029】
本発明はまた、上記で定義される生体融合材料に関し、ここで、前記モノマーユニットが、多環式アルケン類から誘導され、そして、
−下記の式(Z2):
=[CH−R2−CH]= (Z2)
{式中、
R2は、式:
【化14】
(式中、
Yは、−CH2−、又はヘテロ原子、又は−CHR−基、又は−CHX−基を表し、R及びXは、上記で定義される通りであり、
Y1及びY2は、互いに独立して、H、若しくは上記で言及されるR鎖若しくはX基を表し、又はそれらを有する炭素原子(複数)と関連して、4〜8個の炭素原子を有する環を形成し、この環は、場合により、上記で言及されるR鎖又はX基によって置換され、
aは、単結合又は二重結合を表す)
で表される環、又は、
【0030】
式:
【化15】
(式中、
Y'は、−CH2−、又はヘテロ原子、又は−CHR−基、又は−CHX−基を表し、R及びXは上記で定義される通りであり、
Y'1及びY'2は、互いに独立して、−CH2−、又は−C(O)基、又は−COR基、又は−C−OX基を表し、R及びXは上記で定義される通りである)
で表される環を表す}、あるいは、
【0031】
下記の式(Z3):
【化16】
{式中、
R3は、式:
【化17】
(式中、
n1及びn2は、互いに独立して、0又は1を表し、
Y"は、−CH2−、又は−CHR−基、又は−CHX−基を表し、R及びXは上記で定義される通りであり、
Y"1及びY"2は、互いに独立して、0〜10個の炭素原子を有する炭化水素鎖を表す)
で表される環、又は、
【0032】
式:
【化18】
(式中、
Y"及びY"aは、互いに独立して、−CH2−、又は−CHR−基、又は−CHX−基を表し、R及びXは上記で定義される通りである)
で表される環、又は、
【0033】
式:
【化19】
(式中、
Y"及びY"aは、互いに独立して、−CH2−、又は−CHR−基、又は−CHX−基を表し、R及びXは上記で定義される通りである)
で表される環を表す}
で表されるものである。
【0034】
本発明は、より具体的には、上記で定義される生体融合材料に関し、モノマーユニットが誘導される多環式アルケン類が、
−下記の式(Z2a):
【化20】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くシクロブテン環を含有するモノマー;
【0035】
−下記の式(Z2b):
【化21】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くシクロペンテン環を含有するモノマー;
【0036】
−下記の式(Z2c):
【化22】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導く(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン)ノルボルネン;
【0037】
−下記の式(Z2d):
【化23】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くノルボルナジエン;
【0038】
−下記の式(Z2e):
【化24】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導く7−オキサノルボルネン;
【0039】
−下記の式(Z2f):
【化25】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導く7−オキサノルボルナジエン;
【0040】
−下記の式(Z3a):
【化26】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くノルボルナジエンの二量体;
【0041】
−下記の式(Z3b):
【化27】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くジシクロペンタジエン;
【0042】
−下記の式(Z3c):
【化28】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くテトラシクロドデカジエン;
−又は、ビシクロ[5.1.0]オクト−2−エン、ビシクロ[6.1.0]ノン−4−エンである。
【0043】
本発明は、より具体的には、上記で定義される好ましい生体融合材料に関し、モノマーユニットが誘導される単環式又は多環式アルケン類が、
−式(Z2c)のモノマーユニットを含むポリマーに導くノルボルネン(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン);
−式(Z3c)のモノマーユニットを含むポリマーに導くテトラシクロドデカジエン;
−式(Z3b)のモノマーユニットを含むポリマーに導くジシクロペンタジエン;
−式(Z3a)のモノマーユニットを含むポリマーに導くノルボルナジエンの二量体;
−式(Z1i)のモノマーユニットを含むポリマーに導くシクロオクタ−1,5−ジエンである。
【0044】
本発明は、より具体的には、上記で定義される生体融合材料に関し、それらが、下記:
−上記で定義されるR鎖によって置換された約0.5%〜100%の間のモノマーユニット(ここで、R鎖は、これらのモノマーに関して同一であり、及び前記支持材料と前記粒子との間の共有結合を確実にするために、前記材料に配置した反応性官能基に結合することができる反応性官能基を含む)
−及び、上記で定義されるR鎖によって置換された約0.5%〜99.5%の間のモノマーユニット(ここで、これらモノマーのR鎖は、これらのモノマーに関して同一であり、前記反応性官能基が、有効成分、又はタンパク質のような生体分子との結合に関与する)
−及び/又は、上記で定義されるX基によって直接的に置換された約0.5%〜99.5%の間のモノマーユニット(ここで、これらのモノマーのこのX基は、前述するモノマーのR鎖のX基と同一であるか若しくは異なっている)
−及び/又は、約1%〜99.5%の間の未置換のモノマーユニット
を含み、上記の異なるモノマーのパーセントの合計が100%である。
【0045】
本発明は、より具体的には、上記で定義される生体融合材料に関し、モノマーを置換するR鎖(又は複数)が、式:
−CH2−O−(CH2−CH2−O)n−CH2−CH2−O−X
(式中、
nは、上記で定義される通りであり、及びXは、H、−CH2−COOH、−CH2−COCl、−CH2−COYを表し、Yは、有効成分、又はタンパク質のような生体分子である)
によって表される。
【0046】
本発明はまた、上記で定義される生体融合材料に関し、前記鎖(又は複数)は、加水分解型ブリッジによって前記モノマーユニットに共有結合した式(A)のエチレンポリオキシドを含む。
【0047】
このような材料は、インビボで安定であるか又は不安定である有効成分の放出制御を可能にする程度において特に好都合である。この戦略に従って、粒子内部に捕捉された、従って外部媒体から単離した、そして、粒子へ共有結合した有効成分の放出は、モノマーユニット及びR鎖の間の結合を外部刺激(例えば、pH、高温等)を介して崩壊することによって前記粒子の不安定化の第一工程によって影響され、それは、安定化R鎖の塩析に関与する。第二の反応時間では、得られたR鎖又はZ1は、有効成分によって官能化され又は官能化されず、加水分解反応を受け、そして、有効成分を放出する。
【0048】
本発明に係る材料は、それらの表面上に、刺激性である、即ち、pH又は温度変化のような外部刺激に感受性であり、次に、これらの粒子内部に捕捉された有効成分を放出することができる球面粒子を結合した材料である。
【0049】
上記で言及した加水分解型ブリッジは、好ましくは、ε−カプロラクトン、又は−OC(O)−、−C(O)OC(O)−、−C(O)−NH−官能基の約1〜10個のユニットを有する鎖形成体のうちから選択される。
【0050】
これに関連して、本発明は、より具体的には、上記で定義される生体融合材料に関し、前記R鎖(又は複数)が、式:
−CH2−(O−CO−(CH2)5)t−O−CO−(CH2)5−O−CO−(CH2)2−CO−O−(CH2−CH2−O)n−(CH2)2−O−X
(式中、
tは、1〜10の間の自然数を表し、及びXは、H、−CH2−COOH、−CH2−COCl又は−CH2−COYを表し、Yは、有効成分、若しくはタンパク質のような生体分子を表す)
によって表される約1〜10個のユニットのε−カプロラクトンを有する鎖形成体のうちから選択される加水分解型ブリッジに共有結合した式(A)のエチレンポリオキシドを含む。
【0051】
上記で定義される本発明に係る生体融合材料は、好都合には、前記支持材料は、
−金属、例えばチタニウム;
−金属合金、特に、Ni−Ti合金のような形状記憶を有する又は有しない合金;
−ポリマー、例えばポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニリデンフロリド(PVDF)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK);
−共重合体、例えば共重合体エチレン酢酸ビニル(EVA)、共重合体ビニリデンフルオリドヘキサフルオロプロピレンP(VDF−HFP)、ポリ(乳酸)−co−ポリ(グリコール酸)(PLA−PGA);
−セラミックス、例えばヒドロキシアパタイト、種々の比率、特に50/50の比率のヒドロキシアパタイト及びリン酸トリカルシウムの化合物
から選択される。
【0052】
本発明はまた、上記で定義した生体融合材料に関し、前記支持材料に配置した反応性官能基は、前記材料と前記粒子との間の共有結合を後者の反応性官能基との反応によって確実にするために、OH、ハロゲン、NH2、C(O)X'1のタイプであり、ここで、X'1は、水素原子、ハロゲン原子、OR"又はNHR"基を表し、R"は、前記粒子の反応性官能基を用いて−O−C(O)−、−NH−C(O)−、−NH−C(O)−、−C(O)−NH−、−C(O)O−又は−C(OC)2タイプの結合を形成するために、水素原子、又は約1〜10個の置換若しくは未置換の炭素原子を有する炭化水素を表す。
【0053】
本発明は、より具体的には、上記で定義した生体融合材料に関し、前記支持材料の反応性官能基は、前記材料にグラフトした置換又は未置換の約1〜10個の炭素原子を有するアルキル鎖であって、場合によって、前記鎖内に1から数個のヘテロ原子、特にO、及びSiを含むアルキル鎖に配置される。
【0054】
本発明は、より具体的には、上記で定義される生体融合材料に関し、前記材料の反応性官能基が、下記の式:
【0055】
【化29】
【0056】
に記載した材料にグラフトしたアミノプロピルトリエトキシシラン分子上に配置したNH2官能基であり、
Mは、金属酸化物、又はヒドロキシアパタイトのようなセラミックス、又はその表面上にOH部位を有する任意のポリマー(天然若しくは前官能基化による)を表し、
前記材料の反応性官能基は、二官能性スペーサーアーム、例えばbNH2PEG(O,O'−ビス−(2−アミノプロピル)−ポリエチレングリコール500(この前官能基化は、論文Nucl.Instr.And Meth.in Phys.Res.B151 1999 255−262に記載される)に結合するアクリル酸によって前官能基化された表面上に配置したNH2官能基である。
【0057】
本発明はまた、蒸気で定義される生体融合材料に関し、前記有効成分が、治療、化粧品、香料、又は、種々のタイプの微生物(藻類、真菌、細菌等)によってそれらにコロニー形成させないようにするために、表面コーティング、例えばペイント及び防汚コーティングに使用される分子から選択される。
【0058】
本発明は、より具体的には、上記で定義される生体融合材料に関し、前記有効成分が、治療において使用される薬剤であって、特に下記の治療カテゴリー:抗生物質、抗炎症薬、抗有糸分裂剤、ホルモン、増殖因子における薬剤から選択される。
【0059】
本発明はまた、特にインプラント、プロテーゼ、ステント又はセメントの形態で、特に脈管、血管又は骨の手術において、移植可能な医療用具を製造するための上記で定義される生体融合材料の使用に関する。
【0060】
本発明はまた、上記で定義した生体融合材料を含むインプラント、プロテーゼ、脈管ステント又はセメント、並びに任意の医薬組成物に関する。
本発明は、より具体的には、上記で定義した生体融合材料に関し、前記生体分子が、細胞内若しくは細胞外の生物学的標的、又は抗体若しく任意の他の特異的リガンドに結合することができるタンパク質から選択される。
【0061】
本発明は、より具体的には、上記で定義した生体融合材料に関し、前記生体分子が、下記のタンパク質:アビジン、アルブミン、VEGFのような増殖因子のうちから選択される。
【0062】
本発明はまた、上記で定義される生体適合材料を含む医薬組成物に関し、種々のX基(又は複数)は、薬剤としての活性な成分、場合によっては、医薬として許容される担体と共同して含有する。
【0063】
本発明はまた、上記で定義される生体融合材料を含む化粧品組成物に関し、種々のX基(又は複数)は、化粧品に使用される有効成分、場合によっては、特に乳化剤、クリームの形態での適用に関して、適切な担体と共同して含有する。
【0064】
本発明はまた、上記で定義される球状粒子を含む表面コーティング用組成物に関し、種々のX基(又は複数)は、表面コーティングに使用される有効成分、場合によっては、適切な担体と共同して含有する。
【0065】
本発明はまた、上記で定義される生体融合材料の調製方法に関し、該方法は、下記:
−場合によっては、
*前述のものと同一であるか又は異なっており、そして、上記で定義されるR鎖によって置換される、上記で定義される1個若しくは複数個の単環式又は多環式アルケン類(ここで、R鎖は、前述の単環式又は多環式アルケンを置換するものとは異なる)
*及び/又は、前述のものと同一であるか又は異なっており、そして、上記で定義されるX基によって置換される、上記で定義される1個若しくは複数個の単環式又は多環式アルケン類(ここで、基Xは、前述のアルケンの鎖Rの基Xと同一であるか又は異なっている)
【0066】
*及び/又は、前述のものと同一であるか又は異なっている上記で定義した1個若しくは複数個の単環式又は多環式アルケン類(前記アルケン類は未置換である)
の存在下において、上記で定義されるR鎖によって置換された上記で定義される単環式又は多環式アルケンの重合の工程、
(前記重合は、特に、基IV又はVI又はVII又はVIIIにあるものから選択される反応の開始剤としての遷移金属複合体、例えば、ルテニウム、オスミウム、モリブデン、タングステン、イリジウム、チタニウムの存在下で、極性又は非極性溶媒中で、特に下記のルテニウムを基礎とした複合体:RuCl3、RuCl2(PCy3)2CHPh等を用いて、撹拌しながら実行される)
−そして、前記の工程で得られた球状粒子を上記で定義される支持材料上に、前記材料の存在下で前記粒子を置換することによって固定する工程(後者は、場合によって、前記粒子の反応性官能基と反応させることによって、前記材料と前記粒子との間の共有結合を確実にすることができる上記で定義した反応性官能基を用いて官能化されている)
を含む。
【0067】
さて、本発明は、本発明に係る生体融合材料を得ること、及び粒子の物理化学的な特徴付けという下記の詳細な説明を支持して説明されるであろう。
球状粒子の合成は、一工程で行われ、そして、想定される応用に応じて、容易に修飾されるように活性分子の放出の反応速度論を可能にする。さらに、本目的が材料への共有的にグラフトすることできるという事実は、機械的安定性の優れた特徴を与え、期間中安定であるということを確証する。
【0068】
球面粒子の使用は、生体活性分子の十分な濃度を保証するために材料の特異的な表面領域を増加するだけでなく、また、生体融合材料の表面への容易に複数の化学的官能基又は有効成分を導入することが可能である。
【実施例】
【0069】
図式的に、提案された装置の製造は、3つの直接的な工程:
1−生体融合材料の官能化
2−生物活性なナノ粒子の合成
3−生体融合材料上のナノ粒子の固定
に分類され得る。
【0070】
1−生体融合材料の官能化
材料に関して、生物活性のプロテーゼの開発は、材料と分子との間、又は材料と生体分子との間の接触面の制御を必要とする。グラフティングは、特定の特性について選択された1個又は複数個の分子を任意の材料の表面に共有結合することによって固定を可能にする手法である。処置の全ては、制御された大気、温度及び圧力下で実行され、グラフティング条件の完全な制御を可能にする。採用した手法は、より反応的にさせるために、生体融合材料の表面で機能性の修飾から成る。
【0071】
例証として、ヒドロキシアパタイト(HA)上にアミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)の分子のグラフティングの場合に使用される実験条件(図式1)は、下記に詳述する。
【0072】
【化30】
【0073】
a)表面調製
HAは、ソックスレー(Soxlhet)抽出(エタノールを用いる)を使用して24時間洗浄する。
【0074】
b)表面の修飾
表面の修飾は、周囲の雰囲気由来の水および炭素化合物による表面の汚染を避けるために、並びに単層の再現性及び安定性を確実にするために空気を欠いた乾燥チャンバー内で行われる。リガンドの固定化のための戦略(図解1)は、ヒドロキシアパタイト表面(HA)上にアミノ機能的オルガノシラン(APTES)のグラフティングに関係する。
【0075】
実験的には、HA表面の修飾は、図1にも示されるように、下記の手順を用いて実行した。
1.HAは、100℃、真空下(10-5)で20時間脱気した(表面A)。
2.HA表面のシラン化は、撹拌しながら、アルゴン雰囲気下で2時間無水ヘキサンAPTES(1×10-2M)の溶液に基質を浸すことによって行った。
3.試料を撹拌しながら3回リンスすることによってアルゴン雰囲気下で洗浄し、30分間超音波処理した(2工程は無水ヘキサンを用いて実行した)。
4.試料を真空下(10-5トール)で4時間70℃で脱基した(表面B)。
【0076】
c)表面の特徴付け
X線光電子分光計(XPS)は、手順の各工程で反応の制御に適用した。XPSスペクトルは、RGDペプチドのグラフティングの各工程でHA基質に関してCG220i−XL Escalab分光計を用いて記録した。非単色のMgKα源のパワーは、約250ミクロンの考慮したゾーンを含む200Wであった。電子銃はチャージ用に補填するために使用した。高分解能スペクトルの獲得は、20eVの定常エネルギー流で達成した。次に、調整は、VG Scientificによって提供されたソフトウェアを使用して実行し、各スペクトルは、参照として284.4eVで炭素汚染を有する。結合エネルギー値(BE)は、±0.2eVとして与えられる。
【0077】
2−ナノ粒子の合成
ナノ粒子の合成は、重合可能な実体、並びに反応性官能基及び/又は有効成分(薬物、有機分子等)によって官能化されたマクロモノマーα、ωを用いてビニルモノマー(シクロ−オレフィン類)の分散媒における共重合によって実行される。この合成例は、下記に詳述される。
【0078】
A)下記の式A及びBのマクロモノマーの合成
マクロモノマー(A及びB)は、7000g/molのモル質量
【化31】
を有するポリ(エチレンオキシド)オリゴマーである。それらは、鎖の長さ及び機能性の制御を可能にする「リビング(live)」アニオン重合から誘導される。それらは、メタセシスによる重合におけるその高い反応性に関して選択された実体であるノルボルネニルユニットによってそれらの末端の1つで官能化され、そして、アルコール、酸、アミン等の反応性官能基によって(A)、又は有効成分(インドメタシン)によって(B)、開裂可能なブリッジ(無水酸、エステル、アミド等)を介して他の末端で官能化される。
【0079】
1.α−ノルボルネニル−ω−カルボン酸−ポリ(エチレンオキシド);式A
化学式:
【化32】
想定される応用の要求に応じてnは50〜340の間である。
【0080】
参照:NB−POE−COOH
【化33】
【0081】
合成手順:
テトラヒドロフラン(THF)(200mL)の溶液中の5−ノルボルネン−2−メタノール(0.5mL)は、ジフェニルメチルカリウムのモル当量の添加によって第一に脱プロトン化する。得られるラジカルは、その後、メタノール(1mL)の添加によって活性中心の破壊まで、「リビング」法(48時間)でエチレンオキシドの重合を開始するであろう。得られるポリ(エチレンオキシド)(A0)のアルコール基は、その後、THF(15mL)の溶液中のNaH(0.17g)を用いてA0(10g)の脱プロトン化によって、さらに、ブロモ酢酸(0.42g)の添加によって酸性官能基に変換されるであろう。生産物を塩酸(18mL、1M)で洗浄後、次に、エーテル中で沈殿させ、マクロモノマーAを純粋な形態で得られる。
【0082】
2.α−ノルボルネニル−ω−インドメタシン−ポリ(エチレンオキシド);式B
【化34】
想定される応用の要求に応じてnは70〜200の間である。
【0083】
参照:NB−POE−CO(O)−IND
【化35】
【0084】
合成手順:
NB−POE−COOH(A)の酸性官能基は、ジメチルホルムアミドの触媒量の存在下で、24時間、THF(25mL)中の塩化オキサリル(0.08mL)上でA(5.2g)の反応によって、酸塩化物(A2)に変換する。インドメタシン(0.6g)及びトリエチルアミン(0.24mL)は、その後、A2の溶液に添加し、15時間撹拌し続ける。エーテル中での沈殿後、マクロモノマーBが得られる。
【0085】
a−3.ノルボルネンのインドメタシン誘導体
先行する反応に使用されるモノマーは、ノルボルネン(NBH)又は有効成分によって官能化したノルボルネン(NBD)である。次に、後者は、エステル、無水物、アミド等の加水分解型ブリッジを介して導入される。インドメタシンによって官能化されたノルボルネンの合成は下記に詳述される。
【0086】
化学式:
【化36】
【0087】
参照:NBD
【化37】
【0088】
合成手順:
モノマーNBDの合成
典型的な反応の間、塩化オキサリル(0.87mL)をジクロロメタン(20mL)の溶液中のインドメタシン(1.1g)に添加する。反応を2時間行い、未反応の塩化オキサリルの除去後、得られる化合物1は、その後、トリエチルアミン(0.84mL)の存在下で、15時間45℃で撹拌をし続けながら、ジクロロメタン(20mL)の5−ノルボルネン−2−メタノール(0.36mL)の溶液に添加する。抽出による精製後、モノマーNBDを得る(ρ>95%)。
【0089】
b.粒子の合成
本発明に係る粒子は、重合可能な実体によって官能化したマクロモノマーα、ωと有効成分(薬物、有機分子等)の反応性官能基を用いてビニルモノマー(シクロ−オレフィン類)の分散媒(乳化剤、ミニ−乳化剤及びマクロ−乳化剤、分散剤、懸濁剤)で共重合によって得られる。重合は、遷移金属によって開始し、水性又は有機媒体(ジクロロメタン/エタノール)中で実行することができる。安定化剤の能力では、反応媒体でのポリマー形成中に、球状のナノ粒子の形態で分散することを可能にする。純粋な立体構造の点から、安定化は、媒体のpHの任意の変化に非感受性である。さらに、マクロモノマーの手段によってラテックスの官能化は、ラテックス表面上の反応性官能基の利用性を改善し、その反応性を保存する。
【0090】
重合開始剤は、極性媒体に安定であるルテニウムを基礎とした複合体:RuCl3、RuCl2(PCy3)2CHPh及びそれらの同族体である。これらの条件で合成されるラテックスは、粒子の安定化に役立つであろうポリ(エチレンオキシド)グラフトを有するポリアルケナマー(polyaklenamer)鎖から成るであろう。
【0091】
得られる粒子は、水性及び/又は有機媒体中で安定である。それらのサイズは、使用される重合(分散、懸濁、ミニ−乳濁等)の方法に応じて、数ナノメートル〜数ミクロメートルの間である。ナノ粒子は、非常に良好な同じ大きさの球形である。
【0092】
合成スキーム:
【化38】
【0093】
合成手順:
マクロモノマーA及びBは、モノマー(NBH及び/又はNBD)の存在下で共重合される。典型的な反応において、0.8gのモノマー及び1gのマクロモノマー(0.2gのA及び0.8gのB)を予め14mlのジクロロメタン/エタノール混合物(35%/65%)に溶解し、窒素雰囲気下で激しく撹拌しながら、20mgの開始剤を含有する10mlのジクロロメタン/エタノール(50%/50%)に添加する。重合時間は1時間である。全体的に同族の出発媒体は、重合が起こるにつれて、徐々に濁ってくる。ガスクロマトグラフィーによる重合の監視は、1分未満でモノマーの全変換を示している。マクロモノマーA及びBのラテックスへの導入は完全である。
【0094】
c.感受性有効成分の輸送の変化
ラテックスは、有効成分(インドメタシン)を担持する又は担持しないシクロ−オレフィン(ノルボルネン)と安定化ポリマー(NB−PCL−POE−OMe)との間の共重合によって前述のように製造される。このラテックスは、酸、酸塩化物、アルコール、アミン型(前述と同じ官能基)の反応性官能基によって官能化され又は官能化されておらず、加水分解型ブリッジ、特に重合可能な官能基及び下記のスキーム:
【0095】
【化39】
によるエチレンポリオキシド鎖との間のε−カプロラクロン(PCL)のユニットを有する。
【0096】
この手順に従って、粒子内に捕捉され、それに共有結合した(図13)有効成分の放出は、ラテックスの不安定化の第一工程を必要とする。これは、安定化鎖の塩析によって外部刺激物(pH、高熱等)により達成することができる。
第二の反応時間では、有効成分によって官能化されるポリアルケナマーの得られる直鎖は、加水分解反応を受け、有効成分を放出する(図14)。
【0097】
c−1)共重合体ポリ(カプロラクトン−β−エチレングリコール)−α−ノルボルネン−ω−メチルエーテルNB−PCK−POE−OMeの合成手順
ポリ(カプロラクトン)α−ノルボルネニル(NB−Pcapro)の製造
トリエチルアルミニウム(1.3×10-2モル)を−80℃まで冷却したトルエン(100mL)中の2−ヒドロキシメチル−5−ノルボルネン(1.3×10-2モル)の溶液に滴下して添加する。周囲温度まで進行的に戻した後、反応を2.5時間続ける。カプロラクトン(3.9モル)は、その後、激しく撹拌しながら、反応媒体に添加する。反応18時間後、50mLの塩酸(0.1N)を添加する。中和になるまで洗浄後、ポリ(ε−カプロラクトン)α−ノルボルネニルをヘプタン中に冷却して沈殿させ、その後、フリットNo.4上でろ過する。微量のヘプタンは、真空で10時間加熱(40℃)することによって除去されるであろう。得られるポリマーは、その後、溶媒としてのジオキサンを用いて3回凍結乾燥させる。
【0098】
ポリ(エチレングリコール)−α−カルボン酸−ω−メチルエーテルの製造
3.89×10-3モルの無水コハク酸及び4.10×10-3モルのトリエチルアミンを45mLの無水アセトンに溶解させる。撹拌しながら、ポリ(エチレングリコール)モノメチルエーテル(6×10-4モル)の溶液を15mLの無水CH2Cl2に滴下して添加する。反応16時間後、1mLのメタノールを添加する。回転エバポレーターで濃縮後、エチルエーテル中でポリマーを沈殿させる。溶解/沈殿の工程をさらに2回再開する。動的真空中に10時間ポリマーを置き、微量の溶媒を全て除去する。
【0099】
共重合体ポリ(カプロラクトン−b−エチレングリコール)−α−ノルボルネン−ω−メチルエーテル(NB−Pcapro−PEG−OMe)の製造
4×10-4モルのポリ(エチレングリコール)−α−カルボン酸−ω−メチルエーテルを40mLの無水CH2Cl2に溶解させる。塩化オキサリル(8×10-4モル)を5℃まで冷却したこの溶液に添加する。反応の15分後、過剰の未反応の塩化オキサリル及びCH2Cl2を減圧下で除去する。その後、得られた黄色の残渣を40mLのジクロロメタンに再溶解させる。トリエチルアミン(4.3×10-4モル)を添加後、α−ノルボルネニルポリ(カプロラクトン)を添加する。回転エバポレーターで濃縮後、エチルエーテル中でポリマーを沈殿させる。溶解/沈殿の工程をさらに2回再開する。減圧下で10時間ポリマーを置き、微量の溶媒を全て除去する。
【0100】
α−ノルボルネニルポリ(カプロラクトン)の合成は、下記のスキームに従って達成される:
【0101】
【化40】
【0102】
ポリ(ε−カプロラクトン−b−エチレングリコール)−α−ノルボルネン−ω−メチルエーテルの合成は、下記のスキームに従って達成させる:
【0103】
【化41】
【0104】
2)有効成分の放出
粒子を合成し、本出願人は、pHの単なる低下によって薬剤の放出の可能性をUV可視分光光度計によって実証した。得られた結果は、進行的で放出制御したインドメタシンの立証を可能にした。さらに、3に等しいpHの適用は、その85%より多くを48時間で塩析することができた。
【0105】
3−生体融合材料上へのナノ粒子の固定化
材料上への粒子の共有的な固定化は、2つの拮抗反応性官能基の縮合によって実行され、1つは、材料上に配置し、他方は、粒子上に配置する。対の酸/アミン、酸/アルコール、酸/塩化物、アルコール/酸塩化物等の例によって言及がなされてもよい。
【0106】
本明細書において本出願人が関心ある場合では、この反応は、反応性官能基(この場合、アミン類)、及び生物活性分子(本実施例ではインドメタシン)とアンカー部位(この場合、酸)によってのみではない官能化されたナノ粒子との間で達成される。その後、材料は、生物活性であると言われ、つまり、生物学的活性を有するとされる(図解2)。本実施例では、この活性は、材料が、生理学的媒体と接触している場合自然な形態で有効成分放出によって、又はpHの変更によって刺激される。このために、分裂可能な結合は、ナノ粒子及び有効成分との間に導入される。
【0107】
【化42】
図解2:材料上の生物活性なナノ粒子の固定化
【0108】
典型的な反応中、3×10-4モルのヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)を2mLのジメチルホルムアミド中のナノ粒子(3.66×10-5モルの酸性官能基)の溶液に添加する。HOBTの完全な溶解後、次に、材料を導入し、15分間、周囲温度で撹拌し続ける。その後、2.5×10-4モルの1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミドを反応媒体に添加し、12時間撹拌しながら維持する。次に、生物活性な粒子によって官能化した材料を連続的に洗浄、その後の乾燥によって精製する。
【0109】
ヒドロキシアパタイト材料のトポグラフィーは、走査型電子顕微鏡(SEM)によって研究される(図15−17;拡大:20000;図18−19;拡大:5000)。ナノ粒子の存在は、グラフティング反応の前(図15、16のイメージ)と後(図17のイメージ)で材料のトポグラフィーの比較によって明確に示されている。
【0110】
さらに、ナノ粒子の化学的固着の安定性を変化させた:12時間80℃でエタノールを用いた抽出に続いて放出されなかった(図18のイメージ)。単なる物理吸着を有する材料に適用された同処理は、ナノ粒子の全抽出へと導く(図19のイメージ)。
【0111】
生物的官能化手順
XPSは、化学結合及び原子濃度に関する情報を提供することができるので、反応の各工程に続いて使用した。表1は、上面の原子比の修飾を与える。
【0112】
【表1】
【0113】
表1:処理の各工程でのHAパーセントにおけるXPSによる原子構成
【0114】
図20及び21は、処理の各工程後に得られるスペクトルC1及びN1を首尾よく示す。言及される結合エネルギー(BE)を文献で見出されるBEと比較する(表2)。下記の検討では、ペプチドシクロ−DfKRGのXPSにおける特徴付けだけが示され、GRGDSPCのグラフティングについての手順は同様の結果に導く。
【0115】
【表2】
表2:文献におけるデータに係る窒素原子、炭素及びケイ素を含有する特定の官能基に帰属した結合エネルギー(eV)
【0116】
ヒドロキシアパタイト表面の主要な元素は、Ca、P、C及びOである。期待される理論的なCa:P比は、約1.7である。得られる実験的な比は、首尾よくは、それぞれ、HA及びHA+APTESに関して1.8、1.3である。表面のグラフティング後、Ca及びPの検出はより困難であり、これは、電子がグラフトした相を上手く通過しなければならないからである。
【0117】
APTESによって処理されるHAのXPS分析は、ケイ素及び窒素が、通常、HA表面に見られるCa、P、O及びCに加えて検出される。本出願人による実験的測定(表2)は、理論的に期待される比(4.0:4.0)に近いN:Ai比に導く。284.8eVに見られるCHx結合(図20b)に加えて、(285.4eVで)より小さいサイズの酸化物化合物を含む炭素の貢献は、シラン分子に属する残存エトキシ基に対応するかもしれない。C1の「A」スペクトル(図20a)と比較して、新規な貢献は283.9Vで見られる。後者のピークは、Si2Pスペクトルにおける102.5eVで現れるピークに従って、SiO3C基(表2)に起因する。同時に、N1スペクトル(図3a)は、2つの成分を表し;1つは、C−NH2基(398.9eV)の低エネルギーを有するものであり、酸化的環境に関与する窒素に起因するかもしれない。後者の貢献は、末端のアミン基及び表面に近い酸素基との間のある種の相互作用によるかもしれない。これら全ての観察に基づいて、−CH2−CH2−NH2鎖は、表面上で十分にグラフトされることが明白である。
【0118】
4−有効成分の放出の研究
材料上へのナノ粒子のグラフティング後、有効成分(この場合、インドメタシン)の放出は、生理学的媒体を用いた材料の接触によって達成された。得られた結果は、材料表面の変更なしに有効成分の制御した塩析を確実にすることを可能にした。
【0119】
5−抽出物の細胞適合性
細胞に関して材料の可能な毒性は、この材料の抽出物によって引き起こされる効果を研究することによって調査することができる。これらの効果は、塩析の蒸留可能な基質又は可溶な産物の毒性効果を示すことが可能となった。
【0120】
a)抽出物を得ること
標準に従って、抽出物は、試料の埋没した部分の見せ掛けの表面領域と抽出媒体の体積の比を3〜6cm2/mlとの間に固守することによって生産された。本出願人は、この比を5cm2/mlに固定することを選択する。
【0121】
抽出媒体は、実験者の判断に委ねられる:血清の有無の細胞培地、NaCl 9%溶液又は他の適切な溶液。本出願人は、細胞培地を選択する。
抽出は、任意の相互作用を避けるために、ホウケイ酸塩ガラス管内で実行する。この抽出の時間は、37℃のインキュベーターで120時間である。この抽出の終わりに、材料の断片を取り出し、得られた液体は、試験の過程で使用されるであろう抽出物に対応する。
【0122】
本出願人は、50%(v/v)、10%(v/v)及び1%(v/v)の希釈物を得るために、純粋な形態(希釈していない)又は希釈剤として細胞培地を用いて希釈した形態で抽出物を使用した。フェノール溶液(細胞培地中64g/l)を「正の対照」として入れ、つまり、再現可能なやり方で細胞毒性の応答を誘導することができる。
【0123】
b)細胞の播種並びに抽出物及び溶液の産生
生体適合性試験について、分光光度計(Laboratoire Dynatech,Saint−Cloud,France)上で読むことを可能にする96ウェル培養プレート(Nunc)に細胞を置く。播種密度は、ヒト骨幹細胞では6000細胞/cm2である。72時間で、細胞マットは、サブコンフルエントに達し、試験を実行することができる。
【0124】
c)試験を行うこと
これらは、細胞の代謝活性又は単なる細胞生存率を示すことが可能となる比色分析試験である。分光光度計を用いて染色した反応の強度の測定が定量的評価を可能にする。
【0125】
c−1)ニュートラルレッド試験
c−1−1)原理
この試験は、細胞の生存率を示すために、1983年にParish及びMullbacherによって開発された。ニュートラルレッドは、生存細胞中のリソソーム膜の陰イオン部位に静電結合によって固定される生体染色である。この膜の変化は、染色の固定において減少を引き起こす。染色した反応の強度は、毒性試薬の存在下でのインキュベーション後に生存細胞の数を評価することができる。
【0126】
2−1−2)プロトコール
抽出液体又は溶液と細胞との間の24時間の接触後、培養プレートをインキュベーターから引き出し、各ウェルを0.2mlのリン酸緩衝液を用いて少なくとも2回リンスする。培養液中のニュートラルレッド(Sigma)(100μl/ウェル)の0.4%溶液(v/v)を各ウェルに分配する。37℃で3時間インキュベーション後、ニュートラルレッド溶液を除去し、染色物の抽出は、50%(v/v)のエタノール中の酢酸水の1%溶液(v/v)の100μl/ウェルの添加によって実行される。
【0127】
プレートを5分間振とうする。各ウェルに、視覚化能な強度の着色が得られ、波長540nmでの分光光度計で吸光度を測定する。着色は、100%毒性に関与する着色についての無色から、対照及びあまり毒性でない抽出物についての多少の赤色まで広がる。
【0128】
c−2)MTT試験
c−2−1)原理
この試験は、細胞の代謝活性を測定するために1983年にMosmannによって紹介された。MTT又は3−(4,5−ジメタジオール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウム)ブロマイドは、pH中和で水溶液中では黄色に呈色したテトラゾリウム塩である。生存細胞のミトコンドリアのコハク酸デヒドロゲナーゼによって青色のホルマザン結晶体に代謝される。細胞によって生じたホルマザンの定量は、毒性試薬の存在下でのインキュベーション後、生存細胞の数及び代謝活性の指標を与える。
【0129】
c−2−2)プロトコール
溶液の抽出液体及び細胞との間の24時間の接触後、インキュベーターから培養プレートを引き出し、各ウェルは、0.2mlのリン酸緩衝液を用いて少なくとも2回リンスする。MTT溶液(1g/lのグルコースを含有するHanks緩衝液に調製した1g/mlの0.125ml)を各ウェルに分配する。期待される控訴反応が発生するために3時間インキュベート内にプレートを置く。上清の除去後、形成したホルマザン結晶物を0.1ml/ウェルのDMSO(ジメチルスルホキシド、Sigma)の添加によって可溶化する。結晶物の可溶化は瞬時であるが、その着色は、1時間しか安定でない。したがって、プレートを540nmの波長で分光光度計で素早く読み、ウェル当りの吸光度を得ることが可能である。着色は、100%毒性に関係する濃度についての無色から対照及びあまり毒性でない抽出物についての非常に深い紫色まで広がる。
【0130】
参考文献
【化43】
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】式Aのマクロモノマーの1H NMRスペクトル。
【図2】式Aのマクロモノマーの13C NMRスペクトル。
【図3】THF中の式Aのマクロモノマーの立体排除クロマトグラフィー。
【図4】式Bのマクロモノマーの1H NMRスペクトル。
【図5】THF中の式Bのマクロモノマーの立体排除クロマトグラフィー。
【図6】化合物NBDの1H NMRスペクトル。
【図7】化合物NBDの13C NMRスペクトル。
【図8】重合反応中のNB及びNB−POE−CO(O)−IND変換の研究。時間に応じたノルボルネン(◆、NB)及びマクロモノマー(●、NB−POE−CO(O)−IND)への変換の発生。
【図9】モノマーNBH及び/又はNBDの存在下でのマクロモノマーA及びBの共重合によって得られた球状粒子の走査型電子顕微鏡画像。
【図10】モノマーNBH及び/又はNBDの存在下でのマクロモノマーA及びBの共重合によって得られた球状粒子の透過型電子顕微鏡画像。
【図11】動的光拡散によるモノマーNBH及び/又はNBDの存在下でのマクロモノマーA及びBの共重合によって得られた球状粒子のサイズ及びサイズ分布。
【図12】THF中のモノマーNBH及び/又はNBDの存在下でのマクロモノマーA及びBの共重合によって得られた球状粒子の立体排除クロマトグラフィー。
【図13】有効成分が粒子内に捕捉され、それに共有結合される本発明に係る球状粒子の描写。
【図14】本発明に係る球状粒子(又はラテックス)の不安的化及び薬物の塩析の説明図。
【図15】ヒドロキシアパタイトの走査型電子顕微鏡による観察。
【図16】ヒドロキシアパタイト+APTESの走査型電子顕微鏡による観察。
【図17】ヒドロキシアパタイト+APTES+ナノ粒子の走査型電子顕微鏡による観察。
【図18】ヒドロキシアパタイト+APTES+抽出後に官能化したナノ粒子の走査型電子顕微鏡による観察。
【図19】ヒドロキシアパタイト+APTES+抽出後に官能化していないナノ粒子の走査型電子顕微鏡による観察。
【図20】(a,b):それぞれ材料「A」及び「B」に対するC1のXPSスペクトル。
【図21】材料Bの表面についてのN1のXPSスペクトル。
【技術分野】
【0001】
本発明は、有効成分の輸送制御のための生物活性な生体融合材料、及びその合成法、並びのその使用に関する。
本発明の一般的な目的は、移植可能な装置に、それらの導入に続くかもしれない種々の感染及び/又は炎症過程の発症を抑える能力を提供することである。
【背景技術】
【0002】
現在、これらの影響を緩和するために、一般的な経路による薬剤を投与すること(A)、並びに局所的に骨の手術における抗生物質を投与すること(B)が提案されている。
【0003】
A−薬剤が一般的な経路によって投与される場合、それは、生物全体に分布され、意図された部位(即ち、感染及び/又は炎症及び/又は腫瘍過程の部位であり得る場所)でのその濃度は、投与される濃度が患者を毒性効果に晒す危険が十分に高い場合、有効性の閾値を越えることができるに過ぎない。
経口又は非経口経路によって薬理学的に投与された物質は、短すぎる半減期を有し、所望の局所的な効果を達成するための一般的な毒性の危険性を有する。
【0004】
B−1970年以降、抗生物質を含むセメントが、人口装具の手術において使用されている。フランスでは、市場において、ゲンタマイシン又はエリスロマイシンとコリマイシンの組み合わせのいずれかを用いた2つの製造品がある。標準的でない条件の手術室において、「抗生物質を含むセメント」、特にバンコマイシンを含むセメントを製造することも可能である。この方法の制限因子は、使用される有効成分の制御されない放出(濃度及び期間の点において)である。実際に、装置がその輸送を調整することができず、したがって、その作用を所定の期間に持続することができないので、有効成分の放出の反応速度論は制御されない。さらに、有効成分の一部は、セメント内であまりにも深部に捕捉されるため放出されない。
【0005】
これらの欠点を改善するために、有効成分の輸送システム、いわゆる「薬物輸送システム(DDS)」が開発されてきた。これらの薬物輸送システムの原理は、長期に渡って常に、十分な量でかつ非毒性な量で、in situで薬理学的に活性な物質を輸送するものである。
【0006】
さらに、刺激性ポリマーは、即ち、pH又は温度の変化のような外部刺激に感受性なポリマーであり、それ自身、材料に吸収され又はグラフトされる材料又はビーズにおいて直接的に有効成分のカプセル化又は吸収によって得られる反応性官能基を提示するものは、すでに開示されている。
【0007】
しかしながら、吸収は、有効成分の放出制御を可能にしない。一方、カプセル化に関して、有効成分の放出制御を可能にする場合、長期の使用を伴って、及び/又は材料が非常なストレス(流動、摩擦など)に晒される場合に、相容れないことが示される。
【0008】
官能化したナノ粒子上に有効成分の共有的なグラフトによって得た反応性ポリマーのナノ粒子はまたすでに開示されている。しかしながら、このようなナノ粒子の合成は、2工程(ラテックスの合成、次に有効成分との反応)で、したがってグラフティングの直接的な制御なしに(無作為な数の官能基が導入される)行われる。さらに、これらのナノ粒子は、さらに、有効成分の特定の場所での放出を可能にする有効成分との固着部位を有しない。これらの材料は、ほとんどしばしば、ベクトル化又は免疫学的試験のために意図される。
【発明の開示】
【0009】
本発明は、放出制御を可能にする生体融合材料の移植部位(調節し得る期間)で、有効成分によって官能化した球面粒子(特にナノ粒子)の化学的固着によって後者の表面上で共有結合的に固定した有効成分の放出を制御した生体融合材料を提供することを目的とする。粒子/有効成分の結合の切断反応は、生理学的な媒体と材料との接触によって、又はpHの変化によって作動し、制御した方法で、自然な形態で生物活性分子を放出する。この概念は、インプラントとそれを取り囲む組織との間の関係を制御することができる因子の局所的輸送にまで広げることができる。応用の主要な領域は、生物医薬分野であり、より正確には脈管、血管(ステント)及び骨の手術に使用される生体適合材料である。
【0010】
つまり、本発明は、生体融合材料の表面に、生物活性であり及び刺激性である、即ち、外部刺激、例えばpH又は温度変化に感受性であって、酸、アミン、アルコール若しくは酸塩化物のタイプの周辺の反応性官能基を提示し、ただ一工程で得ることができる球状ポリマー粒子を固定することが可能であるという事実を示すことに起因する。この材料上の有効成分の結合は、好都合には、pH及び/又は温度の影響下で加水分解され得る結合である。
【0011】
本発明は、10nm〜100μmの間の直径を有する球面粒子を支持体に共有結合した支持材料を含む生体融合材料に関し、前記粒子は、約30〜10000モノマーユニットを含有するポリマー鎖によって形成され、このモノマーユニットは、同一か又は異なっていて、環を構成する炭素原子数が約4〜12個である単環式アルケン類、又は環を構成する炭素原子数の全体が約6〜20個である多環式アルケンの重合から誘導され、そして、該モノマーユニットが、
【0012】
それらの少なくとも約0.5%が、場合によっては加水分解型ブリッジを介して該モノマーユニットに共有結合しており、式(A):
−(CH2−CH2−O)n−X (A)
(式中、
nは、約50〜340、特に70〜200の整数を表し、及びXは、約1〜10個の炭素原子を有し、OH、ハロゲン、NH2、C(O)X1タイプの反応性官能基を含むアルキル又はアルコキシ鎖を表し、ここで、X1は、水素原子、ハロゲン原子、OR'又はNHR'基を表し、R'は、水素原子、又は置換若しくは未置換の約1〜10個の炭素原子を有する炭化水素基を表し、前記反応性官能基は、前記材料と粒子との間の共有結合を確実にするために、前記支持材料上に配置した反応性官能基に結合することができる)
で表されるエチレンポリオキシドを含むR鎖によって置換される;
【0013】
そして、それらの少なくとも約0.5%が、前述の式(A)のエチレンポリオキシドを含むR鎖によって置換され、ここで、前記反応性官能基が有効成分、又はタンパク質のような生体分子との結合に関与し、前記R鎖が、前記モノマーに共有結合する
ようなものである。
【0014】
本発明は、より具体的には、上記で定義される生体融合材料に関し、前記モノマーユニットが、単環式アルケン類の重合から誘導され、そして、下記の式(Z1):
=[CH−R1−CH]= (Z1)
(式中、
R1は、飽和又は不飽和の2〜10個の炭素原子を有する炭化水素鎖を表し、前記モノマーが、上記で定義したR鎖によって場合により置換され、又は直接的にX基によって置換される)
で表されるものである。
【0015】
本発明は、より具体的には、上記で定義される生体融合材料に関し、モノマーユニットが誘導される単環式アルケン類が、
−下記の式(Z1a):
【化1】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くシクロブテン;
【0016】
−下記の式(Z1b):
【化2】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くシクロペンテン;
【0017】
−下記の式(Z1c):
【化3】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くシクロペンタジエン;
【0018】
−下記の式(Z1d):
【化4】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くシクロヘキセン;
【0019】
−下記の式(Z1e):
【化5】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くシクロヘキサジエン;
【0020】
−下記の式(Z1f):
【化6】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くシクロヘプテン;
【0021】
−下記の式(Z1h):
【化7】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くシクロオクテン;
【0022】
−下記の式(Z1i):
【化8】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くシクロオクタポリエン、特にシクロオクタ−1,5−ジエン;
【0023】
−下記の式(Z1j):
【化9】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くシクロノネン;
【0024】
−下記の式(Z1k):
【化10】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くシクロノナジエン;
【0025】
−下記の式(Z1l):
【化11】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くシクロデセン;
【0026】
−下記の式(Z1m):
【化12】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くシクロデカ−1,5−ジエン;
【0027】
−下記の式(Z1n):
【化13】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くシクロドデセン;
【0028】
−又は、2,3,4,5−テトラヒドロオキセピン−2−イル酢酸、シクロペンタデセン、パラシクロファン、フェロセノファン
である。
【0029】
本発明はまた、上記で定義される生体融合材料に関し、ここで、前記モノマーユニットが、多環式アルケン類から誘導され、そして、
−下記の式(Z2):
=[CH−R2−CH]= (Z2)
{式中、
R2は、式:
【化14】
(式中、
Yは、−CH2−、又はヘテロ原子、又は−CHR−基、又は−CHX−基を表し、R及びXは、上記で定義される通りであり、
Y1及びY2は、互いに独立して、H、若しくは上記で言及されるR鎖若しくはX基を表し、又はそれらを有する炭素原子(複数)と関連して、4〜8個の炭素原子を有する環を形成し、この環は、場合により、上記で言及されるR鎖又はX基によって置換され、
aは、単結合又は二重結合を表す)
で表される環、又は、
【0030】
式:
【化15】
(式中、
Y'は、−CH2−、又はヘテロ原子、又は−CHR−基、又は−CHX−基を表し、R及びXは上記で定義される通りであり、
Y'1及びY'2は、互いに独立して、−CH2−、又は−C(O)基、又は−COR基、又は−C−OX基を表し、R及びXは上記で定義される通りである)
で表される環を表す}、あるいは、
【0031】
下記の式(Z3):
【化16】
{式中、
R3は、式:
【化17】
(式中、
n1及びn2は、互いに独立して、0又は1を表し、
Y"は、−CH2−、又は−CHR−基、又は−CHX−基を表し、R及びXは上記で定義される通りであり、
Y"1及びY"2は、互いに独立して、0〜10個の炭素原子を有する炭化水素鎖を表す)
で表される環、又は、
【0032】
式:
【化18】
(式中、
Y"及びY"aは、互いに独立して、−CH2−、又は−CHR−基、又は−CHX−基を表し、R及びXは上記で定義される通りである)
で表される環、又は、
【0033】
式:
【化19】
(式中、
Y"及びY"aは、互いに独立して、−CH2−、又は−CHR−基、又は−CHX−基を表し、R及びXは上記で定義される通りである)
で表される環を表す}
で表されるものである。
【0034】
本発明は、より具体的には、上記で定義される生体融合材料に関し、モノマーユニットが誘導される多環式アルケン類が、
−下記の式(Z2a):
【化20】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くシクロブテン環を含有するモノマー;
【0035】
−下記の式(Z2b):
【化21】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くシクロペンテン環を含有するモノマー;
【0036】
−下記の式(Z2c):
【化22】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導く(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン)ノルボルネン;
【0037】
−下記の式(Z2d):
【化23】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くノルボルナジエン;
【0038】
−下記の式(Z2e):
【化24】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導く7−オキサノルボルネン;
【0039】
−下記の式(Z2f):
【化25】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導く7−オキサノルボルナジエン;
【0040】
−下記の式(Z3a):
【化26】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くノルボルナジエンの二量体;
【0041】
−下記の式(Z3b):
【化27】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くジシクロペンタジエン;
【0042】
−下記の式(Z3c):
【化28】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くテトラシクロドデカジエン;
−又は、ビシクロ[5.1.0]オクト−2−エン、ビシクロ[6.1.0]ノン−4−エンである。
【0043】
本発明は、より具体的には、上記で定義される好ましい生体融合材料に関し、モノマーユニットが誘導される単環式又は多環式アルケン類が、
−式(Z2c)のモノマーユニットを含むポリマーに導くノルボルネン(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン);
−式(Z3c)のモノマーユニットを含むポリマーに導くテトラシクロドデカジエン;
−式(Z3b)のモノマーユニットを含むポリマーに導くジシクロペンタジエン;
−式(Z3a)のモノマーユニットを含むポリマーに導くノルボルナジエンの二量体;
−式(Z1i)のモノマーユニットを含むポリマーに導くシクロオクタ−1,5−ジエンである。
【0044】
本発明は、より具体的には、上記で定義される生体融合材料に関し、それらが、下記:
−上記で定義されるR鎖によって置換された約0.5%〜100%の間のモノマーユニット(ここで、R鎖は、これらのモノマーに関して同一であり、及び前記支持材料と前記粒子との間の共有結合を確実にするために、前記材料に配置した反応性官能基に結合することができる反応性官能基を含む)
−及び、上記で定義されるR鎖によって置換された約0.5%〜99.5%の間のモノマーユニット(ここで、これらモノマーのR鎖は、これらのモノマーに関して同一であり、前記反応性官能基が、有効成分、又はタンパク質のような生体分子との結合に関与する)
−及び/又は、上記で定義されるX基によって直接的に置換された約0.5%〜99.5%の間のモノマーユニット(ここで、これらのモノマーのこのX基は、前述するモノマーのR鎖のX基と同一であるか若しくは異なっている)
−及び/又は、約1%〜99.5%の間の未置換のモノマーユニット
を含み、上記の異なるモノマーのパーセントの合計が100%である。
【0045】
本発明は、より具体的には、上記で定義される生体融合材料に関し、モノマーを置換するR鎖(又は複数)が、式:
−CH2−O−(CH2−CH2−O)n−CH2−CH2−O−X
(式中、
nは、上記で定義される通りであり、及びXは、H、−CH2−COOH、−CH2−COCl、−CH2−COYを表し、Yは、有効成分、又はタンパク質のような生体分子である)
によって表される。
【0046】
本発明はまた、上記で定義される生体融合材料に関し、前記鎖(又は複数)は、加水分解型ブリッジによって前記モノマーユニットに共有結合した式(A)のエチレンポリオキシドを含む。
【0047】
このような材料は、インビボで安定であるか又は不安定である有効成分の放出制御を可能にする程度において特に好都合である。この戦略に従って、粒子内部に捕捉された、従って外部媒体から単離した、そして、粒子へ共有結合した有効成分の放出は、モノマーユニット及びR鎖の間の結合を外部刺激(例えば、pH、高温等)を介して崩壊することによって前記粒子の不安定化の第一工程によって影響され、それは、安定化R鎖の塩析に関与する。第二の反応時間では、得られたR鎖又はZ1は、有効成分によって官能化され又は官能化されず、加水分解反応を受け、そして、有効成分を放出する。
【0048】
本発明に係る材料は、それらの表面上に、刺激性である、即ち、pH又は温度変化のような外部刺激に感受性であり、次に、これらの粒子内部に捕捉された有効成分を放出することができる球面粒子を結合した材料である。
【0049】
上記で言及した加水分解型ブリッジは、好ましくは、ε−カプロラクトン、又は−OC(O)−、−C(O)OC(O)−、−C(O)−NH−官能基の約1〜10個のユニットを有する鎖形成体のうちから選択される。
【0050】
これに関連して、本発明は、より具体的には、上記で定義される生体融合材料に関し、前記R鎖(又は複数)が、式:
−CH2−(O−CO−(CH2)5)t−O−CO−(CH2)5−O−CO−(CH2)2−CO−O−(CH2−CH2−O)n−(CH2)2−O−X
(式中、
tは、1〜10の間の自然数を表し、及びXは、H、−CH2−COOH、−CH2−COCl又は−CH2−COYを表し、Yは、有効成分、若しくはタンパク質のような生体分子を表す)
によって表される約1〜10個のユニットのε−カプロラクトンを有する鎖形成体のうちから選択される加水分解型ブリッジに共有結合した式(A)のエチレンポリオキシドを含む。
【0051】
上記で定義される本発明に係る生体融合材料は、好都合には、前記支持材料は、
−金属、例えばチタニウム;
−金属合金、特に、Ni−Ti合金のような形状記憶を有する又は有しない合金;
−ポリマー、例えばポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニリデンフロリド(PVDF)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK);
−共重合体、例えば共重合体エチレン酢酸ビニル(EVA)、共重合体ビニリデンフルオリドヘキサフルオロプロピレンP(VDF−HFP)、ポリ(乳酸)−co−ポリ(グリコール酸)(PLA−PGA);
−セラミックス、例えばヒドロキシアパタイト、種々の比率、特に50/50の比率のヒドロキシアパタイト及びリン酸トリカルシウムの化合物
から選択される。
【0052】
本発明はまた、上記で定義した生体融合材料に関し、前記支持材料に配置した反応性官能基は、前記材料と前記粒子との間の共有結合を後者の反応性官能基との反応によって確実にするために、OH、ハロゲン、NH2、C(O)X'1のタイプであり、ここで、X'1は、水素原子、ハロゲン原子、OR"又はNHR"基を表し、R"は、前記粒子の反応性官能基を用いて−O−C(O)−、−NH−C(O)−、−NH−C(O)−、−C(O)−NH−、−C(O)O−又は−C(OC)2タイプの結合を形成するために、水素原子、又は約1〜10個の置換若しくは未置換の炭素原子を有する炭化水素を表す。
【0053】
本発明は、より具体的には、上記で定義した生体融合材料に関し、前記支持材料の反応性官能基は、前記材料にグラフトした置換又は未置換の約1〜10個の炭素原子を有するアルキル鎖であって、場合によって、前記鎖内に1から数個のヘテロ原子、特にO、及びSiを含むアルキル鎖に配置される。
【0054】
本発明は、より具体的には、上記で定義される生体融合材料に関し、前記材料の反応性官能基が、下記の式:
【0055】
【化29】
【0056】
に記載した材料にグラフトしたアミノプロピルトリエトキシシラン分子上に配置したNH2官能基であり、
Mは、金属酸化物、又はヒドロキシアパタイトのようなセラミックス、又はその表面上にOH部位を有する任意のポリマー(天然若しくは前官能基化による)を表し、
前記材料の反応性官能基は、二官能性スペーサーアーム、例えばbNH2PEG(O,O'−ビス−(2−アミノプロピル)−ポリエチレングリコール500(この前官能基化は、論文Nucl.Instr.And Meth.in Phys.Res.B151 1999 255−262に記載される)に結合するアクリル酸によって前官能基化された表面上に配置したNH2官能基である。
【0057】
本発明はまた、蒸気で定義される生体融合材料に関し、前記有効成分が、治療、化粧品、香料、又は、種々のタイプの微生物(藻類、真菌、細菌等)によってそれらにコロニー形成させないようにするために、表面コーティング、例えばペイント及び防汚コーティングに使用される分子から選択される。
【0058】
本発明は、より具体的には、上記で定義される生体融合材料に関し、前記有効成分が、治療において使用される薬剤であって、特に下記の治療カテゴリー:抗生物質、抗炎症薬、抗有糸分裂剤、ホルモン、増殖因子における薬剤から選択される。
【0059】
本発明はまた、特にインプラント、プロテーゼ、ステント又はセメントの形態で、特に脈管、血管又は骨の手術において、移植可能な医療用具を製造するための上記で定義される生体融合材料の使用に関する。
【0060】
本発明はまた、上記で定義した生体融合材料を含むインプラント、プロテーゼ、脈管ステント又はセメント、並びに任意の医薬組成物に関する。
本発明は、より具体的には、上記で定義した生体融合材料に関し、前記生体分子が、細胞内若しくは細胞外の生物学的標的、又は抗体若しく任意の他の特異的リガンドに結合することができるタンパク質から選択される。
【0061】
本発明は、より具体的には、上記で定義した生体融合材料に関し、前記生体分子が、下記のタンパク質:アビジン、アルブミン、VEGFのような増殖因子のうちから選択される。
【0062】
本発明はまた、上記で定義される生体適合材料を含む医薬組成物に関し、種々のX基(又は複数)は、薬剤としての活性な成分、場合によっては、医薬として許容される担体と共同して含有する。
【0063】
本発明はまた、上記で定義される生体融合材料を含む化粧品組成物に関し、種々のX基(又は複数)は、化粧品に使用される有効成分、場合によっては、特に乳化剤、クリームの形態での適用に関して、適切な担体と共同して含有する。
【0064】
本発明はまた、上記で定義される球状粒子を含む表面コーティング用組成物に関し、種々のX基(又は複数)は、表面コーティングに使用される有効成分、場合によっては、適切な担体と共同して含有する。
【0065】
本発明はまた、上記で定義される生体融合材料の調製方法に関し、該方法は、下記:
−場合によっては、
*前述のものと同一であるか又は異なっており、そして、上記で定義されるR鎖によって置換される、上記で定義される1個若しくは複数個の単環式又は多環式アルケン類(ここで、R鎖は、前述の単環式又は多環式アルケンを置換するものとは異なる)
*及び/又は、前述のものと同一であるか又は異なっており、そして、上記で定義されるX基によって置換される、上記で定義される1個若しくは複数個の単環式又は多環式アルケン類(ここで、基Xは、前述のアルケンの鎖Rの基Xと同一であるか又は異なっている)
【0066】
*及び/又は、前述のものと同一であるか又は異なっている上記で定義した1個若しくは複数個の単環式又は多環式アルケン類(前記アルケン類は未置換である)
の存在下において、上記で定義されるR鎖によって置換された上記で定義される単環式又は多環式アルケンの重合の工程、
(前記重合は、特に、基IV又はVI又はVII又はVIIIにあるものから選択される反応の開始剤としての遷移金属複合体、例えば、ルテニウム、オスミウム、モリブデン、タングステン、イリジウム、チタニウムの存在下で、極性又は非極性溶媒中で、特に下記のルテニウムを基礎とした複合体:RuCl3、RuCl2(PCy3)2CHPh等を用いて、撹拌しながら実行される)
−そして、前記の工程で得られた球状粒子を上記で定義される支持材料上に、前記材料の存在下で前記粒子を置換することによって固定する工程(後者は、場合によって、前記粒子の反応性官能基と反応させることによって、前記材料と前記粒子との間の共有結合を確実にすることができる上記で定義した反応性官能基を用いて官能化されている)
を含む。
【0067】
さて、本発明は、本発明に係る生体融合材料を得ること、及び粒子の物理化学的な特徴付けという下記の詳細な説明を支持して説明されるであろう。
球状粒子の合成は、一工程で行われ、そして、想定される応用に応じて、容易に修飾されるように活性分子の放出の反応速度論を可能にする。さらに、本目的が材料への共有的にグラフトすることできるという事実は、機械的安定性の優れた特徴を与え、期間中安定であるということを確証する。
【0068】
球面粒子の使用は、生体活性分子の十分な濃度を保証するために材料の特異的な表面領域を増加するだけでなく、また、生体融合材料の表面への容易に複数の化学的官能基又は有効成分を導入することが可能である。
【実施例】
【0069】
図式的に、提案された装置の製造は、3つの直接的な工程:
1−生体融合材料の官能化
2−生物活性なナノ粒子の合成
3−生体融合材料上のナノ粒子の固定
に分類され得る。
【0070】
1−生体融合材料の官能化
材料に関して、生物活性のプロテーゼの開発は、材料と分子との間、又は材料と生体分子との間の接触面の制御を必要とする。グラフティングは、特定の特性について選択された1個又は複数個の分子を任意の材料の表面に共有結合することによって固定を可能にする手法である。処置の全ては、制御された大気、温度及び圧力下で実行され、グラフティング条件の完全な制御を可能にする。採用した手法は、より反応的にさせるために、生体融合材料の表面で機能性の修飾から成る。
【0071】
例証として、ヒドロキシアパタイト(HA)上にアミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)の分子のグラフティングの場合に使用される実験条件(図式1)は、下記に詳述する。
【0072】
【化30】
【0073】
a)表面調製
HAは、ソックスレー(Soxlhet)抽出(エタノールを用いる)を使用して24時間洗浄する。
【0074】
b)表面の修飾
表面の修飾は、周囲の雰囲気由来の水および炭素化合物による表面の汚染を避けるために、並びに単層の再現性及び安定性を確実にするために空気を欠いた乾燥チャンバー内で行われる。リガンドの固定化のための戦略(図解1)は、ヒドロキシアパタイト表面(HA)上にアミノ機能的オルガノシラン(APTES)のグラフティングに関係する。
【0075】
実験的には、HA表面の修飾は、図1にも示されるように、下記の手順を用いて実行した。
1.HAは、100℃、真空下(10-5)で20時間脱気した(表面A)。
2.HA表面のシラン化は、撹拌しながら、アルゴン雰囲気下で2時間無水ヘキサンAPTES(1×10-2M)の溶液に基質を浸すことによって行った。
3.試料を撹拌しながら3回リンスすることによってアルゴン雰囲気下で洗浄し、30分間超音波処理した(2工程は無水ヘキサンを用いて実行した)。
4.試料を真空下(10-5トール)で4時間70℃で脱基した(表面B)。
【0076】
c)表面の特徴付け
X線光電子分光計(XPS)は、手順の各工程で反応の制御に適用した。XPSスペクトルは、RGDペプチドのグラフティングの各工程でHA基質に関してCG220i−XL Escalab分光計を用いて記録した。非単色のMgKα源のパワーは、約250ミクロンの考慮したゾーンを含む200Wであった。電子銃はチャージ用に補填するために使用した。高分解能スペクトルの獲得は、20eVの定常エネルギー流で達成した。次に、調整は、VG Scientificによって提供されたソフトウェアを使用して実行し、各スペクトルは、参照として284.4eVで炭素汚染を有する。結合エネルギー値(BE)は、±0.2eVとして与えられる。
【0077】
2−ナノ粒子の合成
ナノ粒子の合成は、重合可能な実体、並びに反応性官能基及び/又は有効成分(薬物、有機分子等)によって官能化されたマクロモノマーα、ωを用いてビニルモノマー(シクロ−オレフィン類)の分散媒における共重合によって実行される。この合成例は、下記に詳述される。
【0078】
A)下記の式A及びBのマクロモノマーの合成
マクロモノマー(A及びB)は、7000g/molのモル質量
【化31】
を有するポリ(エチレンオキシド)オリゴマーである。それらは、鎖の長さ及び機能性の制御を可能にする「リビング(live)」アニオン重合から誘導される。それらは、メタセシスによる重合におけるその高い反応性に関して選択された実体であるノルボルネニルユニットによってそれらの末端の1つで官能化され、そして、アルコール、酸、アミン等の反応性官能基によって(A)、又は有効成分(インドメタシン)によって(B)、開裂可能なブリッジ(無水酸、エステル、アミド等)を介して他の末端で官能化される。
【0079】
1.α−ノルボルネニル−ω−カルボン酸−ポリ(エチレンオキシド);式A
化学式:
【化32】
想定される応用の要求に応じてnは50〜340の間である。
【0080】
参照:NB−POE−COOH
【化33】
【0081】
合成手順:
テトラヒドロフラン(THF)(200mL)の溶液中の5−ノルボルネン−2−メタノール(0.5mL)は、ジフェニルメチルカリウムのモル当量の添加によって第一に脱プロトン化する。得られるラジカルは、その後、メタノール(1mL)の添加によって活性中心の破壊まで、「リビング」法(48時間)でエチレンオキシドの重合を開始するであろう。得られるポリ(エチレンオキシド)(A0)のアルコール基は、その後、THF(15mL)の溶液中のNaH(0.17g)を用いてA0(10g)の脱プロトン化によって、さらに、ブロモ酢酸(0.42g)の添加によって酸性官能基に変換されるであろう。生産物を塩酸(18mL、1M)で洗浄後、次に、エーテル中で沈殿させ、マクロモノマーAを純粋な形態で得られる。
【0082】
2.α−ノルボルネニル−ω−インドメタシン−ポリ(エチレンオキシド);式B
【化34】
想定される応用の要求に応じてnは70〜200の間である。
【0083】
参照:NB−POE−CO(O)−IND
【化35】
【0084】
合成手順:
NB−POE−COOH(A)の酸性官能基は、ジメチルホルムアミドの触媒量の存在下で、24時間、THF(25mL)中の塩化オキサリル(0.08mL)上でA(5.2g)の反応によって、酸塩化物(A2)に変換する。インドメタシン(0.6g)及びトリエチルアミン(0.24mL)は、その後、A2の溶液に添加し、15時間撹拌し続ける。エーテル中での沈殿後、マクロモノマーBが得られる。
【0085】
a−3.ノルボルネンのインドメタシン誘導体
先行する反応に使用されるモノマーは、ノルボルネン(NBH)又は有効成分によって官能化したノルボルネン(NBD)である。次に、後者は、エステル、無水物、アミド等の加水分解型ブリッジを介して導入される。インドメタシンによって官能化されたノルボルネンの合成は下記に詳述される。
【0086】
化学式:
【化36】
【0087】
参照:NBD
【化37】
【0088】
合成手順:
モノマーNBDの合成
典型的な反応の間、塩化オキサリル(0.87mL)をジクロロメタン(20mL)の溶液中のインドメタシン(1.1g)に添加する。反応を2時間行い、未反応の塩化オキサリルの除去後、得られる化合物1は、その後、トリエチルアミン(0.84mL)の存在下で、15時間45℃で撹拌をし続けながら、ジクロロメタン(20mL)の5−ノルボルネン−2−メタノール(0.36mL)の溶液に添加する。抽出による精製後、モノマーNBDを得る(ρ>95%)。
【0089】
b.粒子の合成
本発明に係る粒子は、重合可能な実体によって官能化したマクロモノマーα、ωと有効成分(薬物、有機分子等)の反応性官能基を用いてビニルモノマー(シクロ−オレフィン類)の分散媒(乳化剤、ミニ−乳化剤及びマクロ−乳化剤、分散剤、懸濁剤)で共重合によって得られる。重合は、遷移金属によって開始し、水性又は有機媒体(ジクロロメタン/エタノール)中で実行することができる。安定化剤の能力では、反応媒体でのポリマー形成中に、球状のナノ粒子の形態で分散することを可能にする。純粋な立体構造の点から、安定化は、媒体のpHの任意の変化に非感受性である。さらに、マクロモノマーの手段によってラテックスの官能化は、ラテックス表面上の反応性官能基の利用性を改善し、その反応性を保存する。
【0090】
重合開始剤は、極性媒体に安定であるルテニウムを基礎とした複合体:RuCl3、RuCl2(PCy3)2CHPh及びそれらの同族体である。これらの条件で合成されるラテックスは、粒子の安定化に役立つであろうポリ(エチレンオキシド)グラフトを有するポリアルケナマー(polyaklenamer)鎖から成るであろう。
【0091】
得られる粒子は、水性及び/又は有機媒体中で安定である。それらのサイズは、使用される重合(分散、懸濁、ミニ−乳濁等)の方法に応じて、数ナノメートル〜数ミクロメートルの間である。ナノ粒子は、非常に良好な同じ大きさの球形である。
【0092】
合成スキーム:
【化38】
【0093】
合成手順:
マクロモノマーA及びBは、モノマー(NBH及び/又はNBD)の存在下で共重合される。典型的な反応において、0.8gのモノマー及び1gのマクロモノマー(0.2gのA及び0.8gのB)を予め14mlのジクロロメタン/エタノール混合物(35%/65%)に溶解し、窒素雰囲気下で激しく撹拌しながら、20mgの開始剤を含有する10mlのジクロロメタン/エタノール(50%/50%)に添加する。重合時間は1時間である。全体的に同族の出発媒体は、重合が起こるにつれて、徐々に濁ってくる。ガスクロマトグラフィーによる重合の監視は、1分未満でモノマーの全変換を示している。マクロモノマーA及びBのラテックスへの導入は完全である。
【0094】
c.感受性有効成分の輸送の変化
ラテックスは、有効成分(インドメタシン)を担持する又は担持しないシクロ−オレフィン(ノルボルネン)と安定化ポリマー(NB−PCL−POE−OMe)との間の共重合によって前述のように製造される。このラテックスは、酸、酸塩化物、アルコール、アミン型(前述と同じ官能基)の反応性官能基によって官能化され又は官能化されておらず、加水分解型ブリッジ、特に重合可能な官能基及び下記のスキーム:
【0095】
【化39】
によるエチレンポリオキシド鎖との間のε−カプロラクロン(PCL)のユニットを有する。
【0096】
この手順に従って、粒子内に捕捉され、それに共有結合した(図13)有効成分の放出は、ラテックスの不安定化の第一工程を必要とする。これは、安定化鎖の塩析によって外部刺激物(pH、高熱等)により達成することができる。
第二の反応時間では、有効成分によって官能化されるポリアルケナマーの得られる直鎖は、加水分解反応を受け、有効成分を放出する(図14)。
【0097】
c−1)共重合体ポリ(カプロラクトン−β−エチレングリコール)−α−ノルボルネン−ω−メチルエーテルNB−PCK−POE−OMeの合成手順
ポリ(カプロラクトン)α−ノルボルネニル(NB−Pcapro)の製造
トリエチルアルミニウム(1.3×10-2モル)を−80℃まで冷却したトルエン(100mL)中の2−ヒドロキシメチル−5−ノルボルネン(1.3×10-2モル)の溶液に滴下して添加する。周囲温度まで進行的に戻した後、反応を2.5時間続ける。カプロラクトン(3.9モル)は、その後、激しく撹拌しながら、反応媒体に添加する。反応18時間後、50mLの塩酸(0.1N)を添加する。中和になるまで洗浄後、ポリ(ε−カプロラクトン)α−ノルボルネニルをヘプタン中に冷却して沈殿させ、その後、フリットNo.4上でろ過する。微量のヘプタンは、真空で10時間加熱(40℃)することによって除去されるであろう。得られるポリマーは、その後、溶媒としてのジオキサンを用いて3回凍結乾燥させる。
【0098】
ポリ(エチレングリコール)−α−カルボン酸−ω−メチルエーテルの製造
3.89×10-3モルの無水コハク酸及び4.10×10-3モルのトリエチルアミンを45mLの無水アセトンに溶解させる。撹拌しながら、ポリ(エチレングリコール)モノメチルエーテル(6×10-4モル)の溶液を15mLの無水CH2Cl2に滴下して添加する。反応16時間後、1mLのメタノールを添加する。回転エバポレーターで濃縮後、エチルエーテル中でポリマーを沈殿させる。溶解/沈殿の工程をさらに2回再開する。動的真空中に10時間ポリマーを置き、微量の溶媒を全て除去する。
【0099】
共重合体ポリ(カプロラクトン−b−エチレングリコール)−α−ノルボルネン−ω−メチルエーテル(NB−Pcapro−PEG−OMe)の製造
4×10-4モルのポリ(エチレングリコール)−α−カルボン酸−ω−メチルエーテルを40mLの無水CH2Cl2に溶解させる。塩化オキサリル(8×10-4モル)を5℃まで冷却したこの溶液に添加する。反応の15分後、過剰の未反応の塩化オキサリル及びCH2Cl2を減圧下で除去する。その後、得られた黄色の残渣を40mLのジクロロメタンに再溶解させる。トリエチルアミン(4.3×10-4モル)を添加後、α−ノルボルネニルポリ(カプロラクトン)を添加する。回転エバポレーターで濃縮後、エチルエーテル中でポリマーを沈殿させる。溶解/沈殿の工程をさらに2回再開する。減圧下で10時間ポリマーを置き、微量の溶媒を全て除去する。
【0100】
α−ノルボルネニルポリ(カプロラクトン)の合成は、下記のスキームに従って達成される:
【0101】
【化40】
【0102】
ポリ(ε−カプロラクトン−b−エチレングリコール)−α−ノルボルネン−ω−メチルエーテルの合成は、下記のスキームに従って達成させる:
【0103】
【化41】
【0104】
2)有効成分の放出
粒子を合成し、本出願人は、pHの単なる低下によって薬剤の放出の可能性をUV可視分光光度計によって実証した。得られた結果は、進行的で放出制御したインドメタシンの立証を可能にした。さらに、3に等しいpHの適用は、その85%より多くを48時間で塩析することができた。
【0105】
3−生体融合材料上へのナノ粒子の固定化
材料上への粒子の共有的な固定化は、2つの拮抗反応性官能基の縮合によって実行され、1つは、材料上に配置し、他方は、粒子上に配置する。対の酸/アミン、酸/アルコール、酸/塩化物、アルコール/酸塩化物等の例によって言及がなされてもよい。
【0106】
本明細書において本出願人が関心ある場合では、この反応は、反応性官能基(この場合、アミン類)、及び生物活性分子(本実施例ではインドメタシン)とアンカー部位(この場合、酸)によってのみではない官能化されたナノ粒子との間で達成される。その後、材料は、生物活性であると言われ、つまり、生物学的活性を有するとされる(図解2)。本実施例では、この活性は、材料が、生理学的媒体と接触している場合自然な形態で有効成分放出によって、又はpHの変更によって刺激される。このために、分裂可能な結合は、ナノ粒子及び有効成分との間に導入される。
【0107】
【化42】
図解2:材料上の生物活性なナノ粒子の固定化
【0108】
典型的な反応中、3×10-4モルのヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)を2mLのジメチルホルムアミド中のナノ粒子(3.66×10-5モルの酸性官能基)の溶液に添加する。HOBTの完全な溶解後、次に、材料を導入し、15分間、周囲温度で撹拌し続ける。その後、2.5×10-4モルの1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミドを反応媒体に添加し、12時間撹拌しながら維持する。次に、生物活性な粒子によって官能化した材料を連続的に洗浄、その後の乾燥によって精製する。
【0109】
ヒドロキシアパタイト材料のトポグラフィーは、走査型電子顕微鏡(SEM)によって研究される(図15−17;拡大:20000;図18−19;拡大:5000)。ナノ粒子の存在は、グラフティング反応の前(図15、16のイメージ)と後(図17のイメージ)で材料のトポグラフィーの比較によって明確に示されている。
【0110】
さらに、ナノ粒子の化学的固着の安定性を変化させた:12時間80℃でエタノールを用いた抽出に続いて放出されなかった(図18のイメージ)。単なる物理吸着を有する材料に適用された同処理は、ナノ粒子の全抽出へと導く(図19のイメージ)。
【0111】
生物的官能化手順
XPSは、化学結合及び原子濃度に関する情報を提供することができるので、反応の各工程に続いて使用した。表1は、上面の原子比の修飾を与える。
【0112】
【表1】
【0113】
表1:処理の各工程でのHAパーセントにおけるXPSによる原子構成
【0114】
図20及び21は、処理の各工程後に得られるスペクトルC1及びN1を首尾よく示す。言及される結合エネルギー(BE)を文献で見出されるBEと比較する(表2)。下記の検討では、ペプチドシクロ−DfKRGのXPSにおける特徴付けだけが示され、GRGDSPCのグラフティングについての手順は同様の結果に導く。
【0115】
【表2】
表2:文献におけるデータに係る窒素原子、炭素及びケイ素を含有する特定の官能基に帰属した結合エネルギー(eV)
【0116】
ヒドロキシアパタイト表面の主要な元素は、Ca、P、C及びOである。期待される理論的なCa:P比は、約1.7である。得られる実験的な比は、首尾よくは、それぞれ、HA及びHA+APTESに関して1.8、1.3である。表面のグラフティング後、Ca及びPの検出はより困難であり、これは、電子がグラフトした相を上手く通過しなければならないからである。
【0117】
APTESによって処理されるHAのXPS分析は、ケイ素及び窒素が、通常、HA表面に見られるCa、P、O及びCに加えて検出される。本出願人による実験的測定(表2)は、理論的に期待される比(4.0:4.0)に近いN:Ai比に導く。284.8eVに見られるCHx結合(図20b)に加えて、(285.4eVで)より小さいサイズの酸化物化合物を含む炭素の貢献は、シラン分子に属する残存エトキシ基に対応するかもしれない。C1の「A」スペクトル(図20a)と比較して、新規な貢献は283.9Vで見られる。後者のピークは、Si2Pスペクトルにおける102.5eVで現れるピークに従って、SiO3C基(表2)に起因する。同時に、N1スペクトル(図3a)は、2つの成分を表し;1つは、C−NH2基(398.9eV)の低エネルギーを有するものであり、酸化的環境に関与する窒素に起因するかもしれない。後者の貢献は、末端のアミン基及び表面に近い酸素基との間のある種の相互作用によるかもしれない。これら全ての観察に基づいて、−CH2−CH2−NH2鎖は、表面上で十分にグラフトされることが明白である。
【0118】
4−有効成分の放出の研究
材料上へのナノ粒子のグラフティング後、有効成分(この場合、インドメタシン)の放出は、生理学的媒体を用いた材料の接触によって達成された。得られた結果は、材料表面の変更なしに有効成分の制御した塩析を確実にすることを可能にした。
【0119】
5−抽出物の細胞適合性
細胞に関して材料の可能な毒性は、この材料の抽出物によって引き起こされる効果を研究することによって調査することができる。これらの効果は、塩析の蒸留可能な基質又は可溶な産物の毒性効果を示すことが可能となった。
【0120】
a)抽出物を得ること
標準に従って、抽出物は、試料の埋没した部分の見せ掛けの表面領域と抽出媒体の体積の比を3〜6cm2/mlとの間に固守することによって生産された。本出願人は、この比を5cm2/mlに固定することを選択する。
【0121】
抽出媒体は、実験者の判断に委ねられる:血清の有無の細胞培地、NaCl 9%溶液又は他の適切な溶液。本出願人は、細胞培地を選択する。
抽出は、任意の相互作用を避けるために、ホウケイ酸塩ガラス管内で実行する。この抽出の時間は、37℃のインキュベーターで120時間である。この抽出の終わりに、材料の断片を取り出し、得られた液体は、試験の過程で使用されるであろう抽出物に対応する。
【0122】
本出願人は、50%(v/v)、10%(v/v)及び1%(v/v)の希釈物を得るために、純粋な形態(希釈していない)又は希釈剤として細胞培地を用いて希釈した形態で抽出物を使用した。フェノール溶液(細胞培地中64g/l)を「正の対照」として入れ、つまり、再現可能なやり方で細胞毒性の応答を誘導することができる。
【0123】
b)細胞の播種並びに抽出物及び溶液の産生
生体適合性試験について、分光光度計(Laboratoire Dynatech,Saint−Cloud,France)上で読むことを可能にする96ウェル培養プレート(Nunc)に細胞を置く。播種密度は、ヒト骨幹細胞では6000細胞/cm2である。72時間で、細胞マットは、サブコンフルエントに達し、試験を実行することができる。
【0124】
c)試験を行うこと
これらは、細胞の代謝活性又は単なる細胞生存率を示すことが可能となる比色分析試験である。分光光度計を用いて染色した反応の強度の測定が定量的評価を可能にする。
【0125】
c−1)ニュートラルレッド試験
c−1−1)原理
この試験は、細胞の生存率を示すために、1983年にParish及びMullbacherによって開発された。ニュートラルレッドは、生存細胞中のリソソーム膜の陰イオン部位に静電結合によって固定される生体染色である。この膜の変化は、染色の固定において減少を引き起こす。染色した反応の強度は、毒性試薬の存在下でのインキュベーション後に生存細胞の数を評価することができる。
【0126】
2−1−2)プロトコール
抽出液体又は溶液と細胞との間の24時間の接触後、培養プレートをインキュベーターから引き出し、各ウェルを0.2mlのリン酸緩衝液を用いて少なくとも2回リンスする。培養液中のニュートラルレッド(Sigma)(100μl/ウェル)の0.4%溶液(v/v)を各ウェルに分配する。37℃で3時間インキュベーション後、ニュートラルレッド溶液を除去し、染色物の抽出は、50%(v/v)のエタノール中の酢酸水の1%溶液(v/v)の100μl/ウェルの添加によって実行される。
【0127】
プレートを5分間振とうする。各ウェルに、視覚化能な強度の着色が得られ、波長540nmでの分光光度計で吸光度を測定する。着色は、100%毒性に関与する着色についての無色から、対照及びあまり毒性でない抽出物についての多少の赤色まで広がる。
【0128】
c−2)MTT試験
c−2−1)原理
この試験は、細胞の代謝活性を測定するために1983年にMosmannによって紹介された。MTT又は3−(4,5−ジメタジオール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウム)ブロマイドは、pH中和で水溶液中では黄色に呈色したテトラゾリウム塩である。生存細胞のミトコンドリアのコハク酸デヒドロゲナーゼによって青色のホルマザン結晶体に代謝される。細胞によって生じたホルマザンの定量は、毒性試薬の存在下でのインキュベーション後、生存細胞の数及び代謝活性の指標を与える。
【0129】
c−2−2)プロトコール
溶液の抽出液体及び細胞との間の24時間の接触後、インキュベーターから培養プレートを引き出し、各ウェルは、0.2mlのリン酸緩衝液を用いて少なくとも2回リンスする。MTT溶液(1g/lのグルコースを含有するHanks緩衝液に調製した1g/mlの0.125ml)を各ウェルに分配する。期待される控訴反応が発生するために3時間インキュベート内にプレートを置く。上清の除去後、形成したホルマザン結晶物を0.1ml/ウェルのDMSO(ジメチルスルホキシド、Sigma)の添加によって可溶化する。結晶物の可溶化は瞬時であるが、その着色は、1時間しか安定でない。したがって、プレートを540nmの波長で分光光度計で素早く読み、ウェル当りの吸光度を得ることが可能である。着色は、100%毒性に関係する濃度についての無色から対照及びあまり毒性でない抽出物についての非常に深い紫色まで広がる。
【0130】
参考文献
【化43】
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】式Aのマクロモノマーの1H NMRスペクトル。
【図2】式Aのマクロモノマーの13C NMRスペクトル。
【図3】THF中の式Aのマクロモノマーの立体排除クロマトグラフィー。
【図4】式Bのマクロモノマーの1H NMRスペクトル。
【図5】THF中の式Bのマクロモノマーの立体排除クロマトグラフィー。
【図6】化合物NBDの1H NMRスペクトル。
【図7】化合物NBDの13C NMRスペクトル。
【図8】重合反応中のNB及びNB−POE−CO(O)−IND変換の研究。時間に応じたノルボルネン(◆、NB)及びマクロモノマー(●、NB−POE−CO(O)−IND)への変換の発生。
【図9】モノマーNBH及び/又はNBDの存在下でのマクロモノマーA及びBの共重合によって得られた球状粒子の走査型電子顕微鏡画像。
【図10】モノマーNBH及び/又はNBDの存在下でのマクロモノマーA及びBの共重合によって得られた球状粒子の透過型電子顕微鏡画像。
【図11】動的光拡散によるモノマーNBH及び/又はNBDの存在下でのマクロモノマーA及びBの共重合によって得られた球状粒子のサイズ及びサイズ分布。
【図12】THF中のモノマーNBH及び/又はNBDの存在下でのマクロモノマーA及びBの共重合によって得られた球状粒子の立体排除クロマトグラフィー。
【図13】有効成分が粒子内に捕捉され、それに共有結合される本発明に係る球状粒子の描写。
【図14】本発明に係る球状粒子(又はラテックス)の不安的化及び薬物の塩析の説明図。
【図15】ヒドロキシアパタイトの走査型電子顕微鏡による観察。
【図16】ヒドロキシアパタイト+APTESの走査型電子顕微鏡による観察。
【図17】ヒドロキシアパタイト+APTES+ナノ粒子の走査型電子顕微鏡による観察。
【図18】ヒドロキシアパタイト+APTES+抽出後に官能化したナノ粒子の走査型電子顕微鏡による観察。
【図19】ヒドロキシアパタイト+APTES+抽出後に官能化していないナノ粒子の走査型電子顕微鏡による観察。
【図20】(a,b):それぞれ材料「A」及び「B」に対するC1のXPSスペクトル。
【図21】材料Bの表面についてのN1のXPSスペクトル。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
10nm〜100μmの間の直径を有する球面粒子上に共有結合した支持材料を含む生体適合材料であって、前記粒子は、環を構成する炭素原子数が約4〜12個である単環式アルケン類、又は環を構成する炭素原子の総数が約6〜20個である多環式アルケン類の重合から誘導され、同一の又は異なった約30〜10000モノマーユニットを含有するポリマー鎖によって形成され、前記モノマーユニットが:
−モノマーユニットの少なくとも約0.5%が、加水分解型ブリッジを介して、前記モノマーユニットに場合により共有結合した式(A):
−(CH2−CH2−O)n−X (A)
{式中、
nは、約50〜340、特に70〜200の整数を表し、及びXは、OH、ハロゲン、NH2、C(O)X1タイプ(ここで、X1は、水素原子、ハロゲン原子、OR'又はNHR'基を表し;R'は、水素原子、又は置換され若しくは置換されていない約1〜10個の炭素原子を有する炭化水素を表す)の反応性官能基を含む約1〜10個の炭素原子を有するアルキル又はアルコキシ鎖を表し、ここで、前記反応性官能基は、前記支持材料と前記粒子との間の共有結合を確実にするために、前記材料上に配置した反応性置換基に結合することができる}
で表されるエチレンポリオキシドを含むR鎖によって置換され;そして、
−モノマーユニットの少なくとも約0.5%が、上記の式(A)のエチレンポリオキシドを含むR鎖によって置換され、ここで、前記反応性置換基が、有効成分、又はタンパク質のような生体分子との結合に関与し、及びR鎖が前記モノマーに共有結合する
ようなものである、前記生体適合材料。
【請求項2】
モノマーユニットが、単環式アルケン類の重合から誘導され、そして、下記の式(Z1);
=[CH−R1−CH]= (Z1)
(式中、
R1は、飽和又は不飽和の2〜10個の炭素原子を有する炭化水素鎖を表し、前記モノマーが、請求項1に定義したR鎖によって場合により置換され、又は直接的にX基によって置換される)
で表されるものである、請求項1に記載の生体適合材料。
【請求項3】
モノマーユニットが誘導される単環式アルケン類が:
−下記の式(Z1a):
【化1】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くシクロブテン;
−下記の式(Z1b):
【化2】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くシクロペンテン;
−下記の式(Z1c):
【化3】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くシクロペンタジエン;
−下記の式(Z1d):
【化4】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くシクロヘキセン;
−下記の式(Z1e):
【化5】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くシクロヘキサジエン;
−下記の式(Z1f);
【化6】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くシクロヘプテン;
−下記の式(Z1h):
【化7】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くシクロオクテン;
−下記の式(Z1i):
【化8】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くシクロオクタポリエン、特にシクロオクタ−1,5−ジエン;
−下記の式(Z1j):
【化9】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くシクロノネン;
−下記の式(Z1k):
【化10】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くシクロノナジエン;
−下記の式(Z1l):
【化11】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くシクロデセン;
−下記の式(Z1m):
【化12】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くシクロデカ−1,5−ジエン;
−下記の式(Z1n):
【化13】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くシクロドデセン;
−又は、2,3,4,5−テトラヒドロオキセピン−2−イル酢酸、シクロペンタデセン、パラシクロファン、フェロセノファン、フェロセノファン
である、請求項1又は2に記載の生体適合材料。
【請求項4】
モノマーユニットが、多環式アルケン類の重合から誘導され、そして、
−下記の式(Z2):
=[CH−R2−CH]= (Z2)
{式中、
R2は、式:
【化14】
(式中、
Yは、−CH2−、又はヘテロ原子、又は−CHR−基、又は−CHX−基を表し、R及びXは、請求項1に定義される通りであり、
Y1及びY2は、互いに独立して、H、若しくは上記で言及されるR鎖若しくはX基を表し、又はそれらを有する炭素原子(複数)と関連して、4〜8個の炭素原子を有する環を形成し、この環は、場合により、上記のR鎖若しくはX基によって置換され、
aは、単結合又は二重結合を表す)
で表される環、又は、
式:
【化15】
(式中、
Y'は、−CH2−、又はヘテロ原子、又は−CHR−基、又は−CHX−基を表し、R及びXは上記で定義される通りであり、
Y'1及びY'2は、互いに独立して、−CH2−、又は−C(O)基、又は−COR基、又は−C−OX基を表し、R及びXは上記で定義される通りである)
で表される環を表す}
である、あるいは、
−下記の式(Z3):
【化16】
{式中、
R3は、式:
【化17】
(式中、
n1及びn2は、互いに独立して、0又は1を表し、
Y"は、−CH2−、又は−CHR−基、又は−CHX−基を表し、R及びXは上記で定義される通りであり、
Y"1及びY"2は、互いに独立して、0〜10個の炭素原子を有する炭化水素鎖を表す)
で表される環、又は、
式:
【化18】
(式中、
Y"及びY"aは、互いに独立して、−CH2−、又は−CHR−基、又は−CHX−基を表し、R及びXは上記で定義される通りである)
で表される環、又は式:
【化19】
(式中、
Y"及びY"aは、互いに独立して、−CH2−、又は−CHR−基、又は−CHX−基を表し、R及びXは上記で定義される通りである)
で表される環を表す}
である、請求項1に記載の生体適合材料。
【請求項5】
モノマーユニットが誘導される多環式アルケン類が:
−下記の式(Z2a):
【化20】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くシクロブテン環を含有するモノマー;
−下記の式(Z2b):
【化21】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くシクロペンテン環を含有するモノマー;
−下記の式(Z2c):
【化22】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導く(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン)ノルボルネン;
−下記の式(Z2d):
【化23】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くノルボルナジエン;
−下記の式(Z2e):
【化24】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導く7−オキサノルボルネン;
−下記の式(Z2f):
【化25】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導く7−オキサノルボルナジエン;
−下記の式(Z3a):
【化26】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くノルボルナジエンの二量体;
−下記の式(Z3b):
【化27】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くジシクロペンタジエン;
−下記の式(Z3c):
【化28】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くテトラシクロドデカジエン;
−又は、ビシクロ[5.1.0]オクト−2−エン、ビシクロ[6.1.0]ノン−4−エン
である、請求項1又は4に記載の生体適合材料。
【請求項6】
モノマーユニットが誘導される単環式又は多環式アルケン類が:
−式(Z2c)のモノマーユニットを含むポリマーに導くノルボルネン(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン);
−式(Z3c)のモノマーユニットを含むポリマーに導くテトラシクロドデカジエン;
−式(Z3b)のモノマーユニットを含むポリマーに導くジシクロペンタジエン;
−式(Z3a)のモノマーユニットを含むポリマーに導くノルボルナジエンの二量体;
−式(Z1i)のモノマーユニットを含むポリマーに導くシクロオクタ−1,5−ジエン
である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の生体適合材料。
【請求項7】
球状粒子が、下記:
上記で定義されるR鎖によって置換された約0.5%〜100%の間のモノマーユニット(ここで、R鎖は、これらのモノマーに関して同一であり、及び前記支持材料と前記粒子との間の共有結合を確実にするために、前記材料上に配置した反応性官能基に結合することができる反応性官能基を含む);
及び、上記で定義されるR鎖によって置換された約0.5%〜99.5%の間のモノマーユニット(ここで、R鎖は、これらのモノマーに関して同一であり、前記反応性官能基が、有効成分、又はタンパク質のような生体分子との結合に関与する);
及び/又は、上記で定義されるX基によって直接的に置換された約0.5%〜99.5%の間のモノマーユニット(ここで、これらのモノマーのこのX基は、前述するモノマーのR鎖のX基と同一であるか若しくは異なっている);
及び/又は、約1%〜99.5%の間の未置換のモノマーユニット
を含み、上記の異なるモノマーのパーセントの合計が100%である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の生体適合材料。
【請求項8】
モノマーを置換するR鎖(又は複数)が、式:
−CH2−O−(CH2−CH2−O)n−CH2−CH2−O−X
(式中、
nは、上記で定義される通りであり、及びXは、H、−CH2−COOH、−CH2−COCl、−CH2−COYを表し、Yは、有効成分、又はタンパク質のような生体分子である)
によって表される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の生体適合材料。
【請求項9】
前記R鎖(又は複数)が、ε−カプロラクトン、又は−OC(O)−、−C(O)OC(O)−、−C(O)−NH−官能基の約1〜10個のユニットを有する鎖形成体のうちから選択される加水分解型ブリッジによって前記モノマーユニットに共有結合した式(A)のエチレンポリオキシドを含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の生体適合材料。
【請求項10】
前記R鎖(又は複数)が、式:
−CH2−(O−CO−(CH2)5)t−O−CO−(CH2)5−O−CO−(CH2)2−CO−O−(CH2−CH2−O)n−(CH2)2−O−X
(式中、
tは、1〜10の間の自然数を表し、及びXは、H、−CH2−COOH、−CH2−COCl又は−CH2−COYを表し、Yは、有効成分、又はタンパク質のような生体分子を表す)
によって表される約1〜10個のユニットのε−カプロラクトンを有する鎖形成体のうちから選択される加水分解型ブリッジに共有結合した式(A)のエチレンポリオキシドを含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の生体適合材料。
【請求項11】
前記支持材料が、
−金属、例えばチタニウム;
−金属合金、特に、Ni−Ti合金のような形状記憶を有する又は有しない合金;
−ポリマー、例えばポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニリデンフロリド(PVDF)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK);
−共重合体、例えば共重合体エチレン酢酸ビニル(EVA)、共重合体ビニリデンフルオリドヘキサフルオロプロピレンP(VDF−HFP)、ポリ(乳酸)−co−ポリ(グリコール酸)(PLA−PGA);
−セラミックス、例えばヒドロキシアパタイト、種々の比率、特に50/50の比率のヒドロキシアパタイト及びリン酸トリカルシウムの化合物
から選択される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の生体適合材料。
【請求項12】
前記支持材料に配置した反応性官能基は、前記材料と前記粒子との間の共有結合を後者の反応性官能基との反応によって確実にするために、OH、ハロゲン、NH2、C(O)X'1のタイプであり、ここで、X'1は、水素原子、ハロゲン原子、OR"又はNHR"基を表し、R"は、前記粒子の反応性官能基を用いて−O−C(O)−、−NH−C(O)−、−−C(O)−NH−、−C(O)O−又は−C(OC)2の結合を形成するために、水素原子、又は約1〜10個の置換若しくは未置換の炭素原子を有する炭化水素を表す、請求項1〜11のいずれか1項に記載の生体適合材料。
【請求項13】
前記支持材料の反応性官能基が、前記材料にグラフトした置換又は未置換の約1〜10個の炭素原子を有するアルキル鎖であって、場合によって、前記鎖内に1から数個のヘテロ原子、特にO、及びSiを含むアルキル鎖に配置される、請求項1〜12のいずれか1項に記載の生体適合材料。
【請求項14】
前記材料の反応性官能基が、下記の式:
【化29】
に記載した材料にグラフトしたアミノプロピルトリエトキシシラン分子上に配置したNH2官能基であり、
−Mは、金属酸化物、又はヒドロキシアパタイトのようなセラミックス、又はその表面にOH部位を有する任意の他のポリマー(天然若しくは前官能基化による)を表し、
−前記材料の反応性官能基は、二官能性スペーサーアーム、例えばbNH2PEG(O,O'−ビス−(2−アミノプロピル)−ポリエチレングリコール500(この前官能基化は、論文Nucl.Instr.And Meth.in Phys.Res.B151 1999 255−262に記載される)に結合するアクリル酸によって前官能基化された表面上に配置したNH2官能基である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の生体適合材料。
【請求項15】
前記有効成分が、治療、化粧品、香料、又は表面コーティング、例えばペイント及び防汚コーティングに使用される分子群から選択される、請求項1〜14のいずれか1項に記載の生体適合材料。
【請求項16】
前記有効成分が、治療において使用される薬剤であって、特に下記の治療カテゴリー:抗生物質、抗炎症薬、抗有糸分裂剤、ホルモン、増殖因子における薬剤から選択される、請求項1〜15のいずれか1項に記載の生体適合材料。
【請求項17】
特にインプラント、プロテーゼ、ステント又はセメント、特に脈管、血管又は骨の手術において移植可能な医療用具を製造するための、請求項1〜16のいずれか1項に記載の生体材適合料の使用。
【請求項18】
請求項1〜16に記載の生体適合材料を含むインプラント、プロテーゼ、脈管ステント又はセメント。
【請求項1】
10nm〜100μmの間の直径を有する球面粒子上に共有結合した支持材料を含む生体適合材料であって、前記粒子は、環を構成する炭素原子数が約4〜12個である単環式アルケン類、又は環を構成する炭素原子の総数が約6〜20個である多環式アルケン類の重合から誘導され、同一の又は異なった約30〜10000モノマーユニットを含有するポリマー鎖によって形成され、前記モノマーユニットが:
−モノマーユニットの少なくとも約0.5%が、加水分解型ブリッジを介して、前記モノマーユニットに場合により共有結合した式(A):
−(CH2−CH2−O)n−X (A)
{式中、
nは、約50〜340、特に70〜200の整数を表し、及びXは、OH、ハロゲン、NH2、C(O)X1タイプ(ここで、X1は、水素原子、ハロゲン原子、OR'又はNHR'基を表し;R'は、水素原子、又は置換され若しくは置換されていない約1〜10個の炭素原子を有する炭化水素を表す)の反応性官能基を含む約1〜10個の炭素原子を有するアルキル又はアルコキシ鎖を表し、ここで、前記反応性官能基は、前記支持材料と前記粒子との間の共有結合を確実にするために、前記材料上に配置した反応性置換基に結合することができる}
で表されるエチレンポリオキシドを含むR鎖によって置換され;そして、
−モノマーユニットの少なくとも約0.5%が、上記の式(A)のエチレンポリオキシドを含むR鎖によって置換され、ここで、前記反応性置換基が、有効成分、又はタンパク質のような生体分子との結合に関与し、及びR鎖が前記モノマーに共有結合する
ようなものである、前記生体適合材料。
【請求項2】
モノマーユニットが、単環式アルケン類の重合から誘導され、そして、下記の式(Z1);
=[CH−R1−CH]= (Z1)
(式中、
R1は、飽和又は不飽和の2〜10個の炭素原子を有する炭化水素鎖を表し、前記モノマーが、請求項1に定義したR鎖によって場合により置換され、又は直接的にX基によって置換される)
で表されるものである、請求項1に記載の生体適合材料。
【請求項3】
モノマーユニットが誘導される単環式アルケン類が:
−下記の式(Z1a):
【化1】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くシクロブテン;
−下記の式(Z1b):
【化2】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くシクロペンテン;
−下記の式(Z1c):
【化3】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くシクロペンタジエン;
−下記の式(Z1d):
【化4】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くシクロヘキセン;
−下記の式(Z1e):
【化5】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くシクロヘキサジエン;
−下記の式(Z1f);
【化6】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くシクロヘプテン;
−下記の式(Z1h):
【化7】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くシクロオクテン;
−下記の式(Z1i):
【化8】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くシクロオクタポリエン、特にシクロオクタ−1,5−ジエン;
−下記の式(Z1j):
【化9】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くシクロノネン;
−下記の式(Z1k):
【化10】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くシクロノナジエン;
−下記の式(Z1l):
【化11】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くシクロデセン;
−下記の式(Z1m):
【化12】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くシクロデカ−1,5−ジエン;
−下記の式(Z1n):
【化13】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くシクロドデセン;
−又は、2,3,4,5−テトラヒドロオキセピン−2−イル酢酸、シクロペンタデセン、パラシクロファン、フェロセノファン、フェロセノファン
である、請求項1又は2に記載の生体適合材料。
【請求項4】
モノマーユニットが、多環式アルケン類の重合から誘導され、そして、
−下記の式(Z2):
=[CH−R2−CH]= (Z2)
{式中、
R2は、式:
【化14】
(式中、
Yは、−CH2−、又はヘテロ原子、又は−CHR−基、又は−CHX−基を表し、R及びXは、請求項1に定義される通りであり、
Y1及びY2は、互いに独立して、H、若しくは上記で言及されるR鎖若しくはX基を表し、又はそれらを有する炭素原子(複数)と関連して、4〜8個の炭素原子を有する環を形成し、この環は、場合により、上記のR鎖若しくはX基によって置換され、
aは、単結合又は二重結合を表す)
で表される環、又は、
式:
【化15】
(式中、
Y'は、−CH2−、又はヘテロ原子、又は−CHR−基、又は−CHX−基を表し、R及びXは上記で定義される通りであり、
Y'1及びY'2は、互いに独立して、−CH2−、又は−C(O)基、又は−COR基、又は−C−OX基を表し、R及びXは上記で定義される通りである)
で表される環を表す}
である、あるいは、
−下記の式(Z3):
【化16】
{式中、
R3は、式:
【化17】
(式中、
n1及びn2は、互いに独立して、0又は1を表し、
Y"は、−CH2−、又は−CHR−基、又は−CHX−基を表し、R及びXは上記で定義される通りであり、
Y"1及びY"2は、互いに独立して、0〜10個の炭素原子を有する炭化水素鎖を表す)
で表される環、又は、
式:
【化18】
(式中、
Y"及びY"aは、互いに独立して、−CH2−、又は−CHR−基、又は−CHX−基を表し、R及びXは上記で定義される通りである)
で表される環、又は式:
【化19】
(式中、
Y"及びY"aは、互いに独立して、−CH2−、又は−CHR−基、又は−CHX−基を表し、R及びXは上記で定義される通りである)
で表される環を表す}
である、請求項1に記載の生体適合材料。
【請求項5】
モノマーユニットが誘導される多環式アルケン類が:
−下記の式(Z2a):
【化20】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くシクロブテン環を含有するモノマー;
−下記の式(Z2b):
【化21】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くシクロペンテン環を含有するモノマー;
−下記の式(Z2c):
【化22】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導く(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン)ノルボルネン;
−下記の式(Z2d):
【化23】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くノルボルナジエン;
−下記の式(Z2e):
【化24】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導く7−オキサノルボルネン;
−下記の式(Z2f):
【化25】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導く7−オキサノルボルナジエン;
−下記の式(Z3a):
【化26】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くノルボルナジエンの二量体;
−下記の式(Z3b):
【化27】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くジシクロペンタジエン;
−下記の式(Z3c):
【化28】
で表されるモノマーユニットを含むポリマーに導くテトラシクロドデカジエン;
−又は、ビシクロ[5.1.0]オクト−2−エン、ビシクロ[6.1.0]ノン−4−エン
である、請求項1又は4に記載の生体適合材料。
【請求項6】
モノマーユニットが誘導される単環式又は多環式アルケン類が:
−式(Z2c)のモノマーユニットを含むポリマーに導くノルボルネン(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン);
−式(Z3c)のモノマーユニットを含むポリマーに導くテトラシクロドデカジエン;
−式(Z3b)のモノマーユニットを含むポリマーに導くジシクロペンタジエン;
−式(Z3a)のモノマーユニットを含むポリマーに導くノルボルナジエンの二量体;
−式(Z1i)のモノマーユニットを含むポリマーに導くシクロオクタ−1,5−ジエン
である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の生体適合材料。
【請求項7】
球状粒子が、下記:
上記で定義されるR鎖によって置換された約0.5%〜100%の間のモノマーユニット(ここで、R鎖は、これらのモノマーに関して同一であり、及び前記支持材料と前記粒子との間の共有結合を確実にするために、前記材料上に配置した反応性官能基に結合することができる反応性官能基を含む);
及び、上記で定義されるR鎖によって置換された約0.5%〜99.5%の間のモノマーユニット(ここで、R鎖は、これらのモノマーに関して同一であり、前記反応性官能基が、有効成分、又はタンパク質のような生体分子との結合に関与する);
及び/又は、上記で定義されるX基によって直接的に置換された約0.5%〜99.5%の間のモノマーユニット(ここで、これらのモノマーのこのX基は、前述するモノマーのR鎖のX基と同一であるか若しくは異なっている);
及び/又は、約1%〜99.5%の間の未置換のモノマーユニット
を含み、上記の異なるモノマーのパーセントの合計が100%である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の生体適合材料。
【請求項8】
モノマーを置換するR鎖(又は複数)が、式:
−CH2−O−(CH2−CH2−O)n−CH2−CH2−O−X
(式中、
nは、上記で定義される通りであり、及びXは、H、−CH2−COOH、−CH2−COCl、−CH2−COYを表し、Yは、有効成分、又はタンパク質のような生体分子である)
によって表される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の生体適合材料。
【請求項9】
前記R鎖(又は複数)が、ε−カプロラクトン、又は−OC(O)−、−C(O)OC(O)−、−C(O)−NH−官能基の約1〜10個のユニットを有する鎖形成体のうちから選択される加水分解型ブリッジによって前記モノマーユニットに共有結合した式(A)のエチレンポリオキシドを含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の生体適合材料。
【請求項10】
前記R鎖(又は複数)が、式:
−CH2−(O−CO−(CH2)5)t−O−CO−(CH2)5−O−CO−(CH2)2−CO−O−(CH2−CH2−O)n−(CH2)2−O−X
(式中、
tは、1〜10の間の自然数を表し、及びXは、H、−CH2−COOH、−CH2−COCl又は−CH2−COYを表し、Yは、有効成分、又はタンパク質のような生体分子を表す)
によって表される約1〜10個のユニットのε−カプロラクトンを有する鎖形成体のうちから選択される加水分解型ブリッジに共有結合した式(A)のエチレンポリオキシドを含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の生体適合材料。
【請求項11】
前記支持材料が、
−金属、例えばチタニウム;
−金属合金、特に、Ni−Ti合金のような形状記憶を有する又は有しない合金;
−ポリマー、例えばポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニリデンフロリド(PVDF)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK);
−共重合体、例えば共重合体エチレン酢酸ビニル(EVA)、共重合体ビニリデンフルオリドヘキサフルオロプロピレンP(VDF−HFP)、ポリ(乳酸)−co−ポリ(グリコール酸)(PLA−PGA);
−セラミックス、例えばヒドロキシアパタイト、種々の比率、特に50/50の比率のヒドロキシアパタイト及びリン酸トリカルシウムの化合物
から選択される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の生体適合材料。
【請求項12】
前記支持材料に配置した反応性官能基は、前記材料と前記粒子との間の共有結合を後者の反応性官能基との反応によって確実にするために、OH、ハロゲン、NH2、C(O)X'1のタイプであり、ここで、X'1は、水素原子、ハロゲン原子、OR"又はNHR"基を表し、R"は、前記粒子の反応性官能基を用いて−O−C(O)−、−NH−C(O)−、−−C(O)−NH−、−C(O)O−又は−C(OC)2の結合を形成するために、水素原子、又は約1〜10個の置換若しくは未置換の炭素原子を有する炭化水素を表す、請求項1〜11のいずれか1項に記載の生体適合材料。
【請求項13】
前記支持材料の反応性官能基が、前記材料にグラフトした置換又は未置換の約1〜10個の炭素原子を有するアルキル鎖であって、場合によって、前記鎖内に1から数個のヘテロ原子、特にO、及びSiを含むアルキル鎖に配置される、請求項1〜12のいずれか1項に記載の生体適合材料。
【請求項14】
前記材料の反応性官能基が、下記の式:
【化29】
に記載した材料にグラフトしたアミノプロピルトリエトキシシラン分子上に配置したNH2官能基であり、
−Mは、金属酸化物、又はヒドロキシアパタイトのようなセラミックス、又はその表面にOH部位を有する任意の他のポリマー(天然若しくは前官能基化による)を表し、
−前記材料の反応性官能基は、二官能性スペーサーアーム、例えばbNH2PEG(O,O'−ビス−(2−アミノプロピル)−ポリエチレングリコール500(この前官能基化は、論文Nucl.Instr.And Meth.in Phys.Res.B151 1999 255−262に記載される)に結合するアクリル酸によって前官能基化された表面上に配置したNH2官能基である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の生体適合材料。
【請求項15】
前記有効成分が、治療、化粧品、香料、又は表面コーティング、例えばペイント及び防汚コーティングに使用される分子群から選択される、請求項1〜14のいずれか1項に記載の生体適合材料。
【請求項16】
前記有効成分が、治療において使用される薬剤であって、特に下記の治療カテゴリー:抗生物質、抗炎症薬、抗有糸分裂剤、ホルモン、増殖因子における薬剤から選択される、請求項1〜15のいずれか1項に記載の生体適合材料。
【請求項17】
特にインプラント、プロテーゼ、ステント又はセメント、特に脈管、血管又は骨の手術において移植可能な医療用具を製造するための、請求項1〜16のいずれか1項に記載の生体材適合料の使用。
【請求項18】
請求項1〜16に記載の生体適合材料を含むインプラント、プロテーゼ、脈管ステント又はセメント。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公表番号】特表2008−503553(P2008−503553A)
【公表日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−517355(P2007−517355)
【出願日】平成17年6月21日(2005.6.21)
【国際出願番号】PCT/FR2005/001545
【国際公開番号】WO2006/008386
【国際公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(501089863)サントル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシェサイアンティフィク(セエヌエールエス) (173)
【出願人】(504217074)アンスティテュ ナシナル ドゥ ラ サントゥ エ ドゥ ラ ルシェルシェ メディカル−イ.エヌ.エス.ウ.エール.エム. (3)
【出願人】(506424209)ユニベルシテ ドゥ ボルドー アン (3)
【出願人】(506423855)エコール ナシオナル スペリウール ドゥ シミ エ ドゥ フィジック ドゥ ボルドー アン (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月21日(2005.6.21)
【国際出願番号】PCT/FR2005/001545
【国際公開番号】WO2006/008386
【国際公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(501089863)サントル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシェサイアンティフィク(セエヌエールエス) (173)
【出願人】(504217074)アンスティテュ ナシナル ドゥ ラ サントゥ エ ドゥ ラ ルシェルシェ メディカル−イ.エヌ.エス.ウ.エール.エム. (3)
【出願人】(506424209)ユニベルシテ ドゥ ボルドー アン (3)
【出願人】(506423855)エコール ナシオナル スペリウール ドゥ シミ エ ドゥ フィジック ドゥ ボルドー アン (2)
【Fターム(参考)】
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