説明

有害細胞接着の減少方法

【課題】有害細胞接着を減少させる問題への解決法の提供。
【解決手段】例えば、外科的処理、傷害、化学療法、疾病および炎症による易感染部位に適用する場合には有害接着形成に有効である、細胞接着に対して阻害作用を有する薬剤および脂肪親和細胞結合剤を含んでなるコンジュゲートを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有害細胞接着(unwanted cellular adhesions)が減少するように治療薬を定置させる方法に関する。有害細胞接着には、限定するものではないが、腫瘍細胞と他の腫瘍細胞との間の接着、腫瘍細胞と正常細胞との間の接着、および正常細胞と他の正常細胞との間のある種の接着が包含される。
【背景技術】
【0002】
腫瘍細胞は2の異なるモードで見出される:腹水(遊離浮遊細胞)および(宿主組織/器官ならびに他の腫瘍細胞に結合/接着した)固形腫瘍としてである。腫瘍細胞接着および増殖の防止は、主な臨床的問題である。悪性腫瘍の外科的除去後の局所的な腫瘍再発の制御は特に重大な関心事である。組織病理学的に「クリーンな」辺縁部でさえ、切除部位において腫瘍増殖が起こるという知見は、生存腫瘍細胞が正常な組織に対してよりも障害組織に対してより高い親和性を有するという結論につながる。このことは、有害細胞接着の予防および制御に関するより広範な論点の一の特別の臨床態様を表している。例えば、炎症性腸疾患または子宮内膜症のごとき状態に腹腔内の外科的介入が関与する場合、しばしば、腫瘍細胞接着のものおよび傷部のコロニー形成または侵入のものと同様に、切除した領域に対する正常組織の複合外科手術後接着が起こる。
【0003】
臨床的知見に加えて、腫瘍細胞接着の実験モデルも同様に、障害組織が生存腫瘍細胞の全身注射後の腫瘍増殖の誘発部位であることが示されている(例えば、S,MurthyおよびE.Scanlon編,「Injury and Tumor Implantation: Biological Mechanisms and Clinical Implications for Recurrence and Metastasis」R.G. Landes Co.社,テキサス州、オースチン、1993年)。特異的な接着分子およびその認識分子(レセプター)が腫瘍細胞と内皮細胞または細胞外基質との間の結合の役割を演じていることが報告されている(B.Zetter, Seminars in Cancer Biology,4:219-229(1993))。そこには、腫瘍細胞によって発現され、種々の環境条件または因子、例えばサイトカイン、によって刺激された接着分子のファミリーの増大しつつあるリストが掲載されている。
【0004】
より最近では、レセプターまたは接着分子の発現には細胞骨格因子として知られている細胞内成分を要することを示す事実の報告があった(F.PavalkoおよびC.Otey,Proc.Society Exp.Biol.Med.,205:282-293(1994); D.Tangら,Cancer Res.54:1119-1129(1994))。
【0005】
細胞骨格は、チューブリン、ビメンチンおよびアクチンを包含する蛋白質の自己集合ポリマーの微小管および種々のフィラメントよりなる。接着分子は、細胞質ドメインと細胞-細胞相互作用、細胞運動およびレセプター-リガンド相互作用を包含する種々の細胞機能およびレセプター内在化を誘起する細胞骨格との間のコミューニケイションを許容する(F.PavalkoおよびC.Otey,前掲)。かくして、微小管またはミクロフィラメントのアセンブリを妨害または阻害する剤は、細胞上における特異的な接着分子の発現を妨害または阻害し、それによって傷部および治癒部または正常組織へのその認識、結合、接着および移動を遮断する。
【0006】
コルヒチンは、チューブリンに結合し、微小管の脱重合を引き起こす剤である。腫瘍細胞のコルヒチンでの処理はリンパ組織へ結合するその能力を減少させることが示されている(例えば、S.Islamら,Surgery 113:676-82(1993)参照)。D.Tangら、前掲によって報告されているごとく、内皮細胞のコルヒチンでの処理も同様に、特異的な接着分子への腫瘍細胞の結合を遮断する。したがって、しばしばガン治療の様式と組み合わせて用いられる微小管分断剤は、静細胞剤としてのみならず、抗-接着剤および恐らくは抗-転移剤としても作用しえ、それによって腫瘍転移および転移拡範が減少させる。
【0007】
シスプラチン(cisplatin)およびブレオマイシン(bleomycin)を包含する化学療法剤をビンデシン(vindesine)のごときビンカアルカロイド物質と組み合わせて投与することによって、該化学療法から生じる接着形成の発生を減少させることが提唱されている(R.Molloyら,Irish J.Med.Sci.,159(6): 175-77(1990))。しかしながら、提唱された化学療法組合せの部位特異的デリバリーを供する技術は存在しない。
【0008】
有害接着を制御するもう1のアプローチは、機械的および粘性溶液の両方を包含する、物理学的バリアの使用である(例えば、米国特許第5,250,516号参照)。かかるバリアは、中皮腫修復の臨床段階の間の組織近接状態を制限することによって接着形成を阻害する傾向である。接着形成の予防への物理学的バリアの使用はかなり広範囲にわたるが、技術的困難性のため一般的許容を強いている。
【0009】
本出願と共通の出願人である同時係属米国特許出願シリアル番号884,432号においては、比較的長鎖の炭化水素”テイル”で置換されたシアニン色素の形態の、治療剤または薬剤および脂肪親和細胞結合剤を含む種々のコンジュゲートが記載されている。これらのコンジュゲートは細胞膜の脂質領域に安定して結合でき、したがって、疾病部位に保持させるための、局所イン・ビボ(in vivo)投与、例えば、接種によるか、もしくは担体によるかのいずれかによって、治療剤の部位選択的デリバリーが可能となる。
【0010】
前記したコンジュゲートにより、治療剤の疾病部位へのデリバリーに現在利用可能な組成物および方法と比較して、多数の異なる利点が供される。最も顕著なことには、前記のコンジュゲートは体内の選択した部位の細胞構造と安定に結合することによってその部位にデリバリーされ、保持され得る。いずれかのデリバリーの現存するモードにより、悪い全身副作用なしに十分な投与量を疾病部位にデリバリーし、あるいは、所望の治療効果を発揮するに十分な時間および量で、疾患部位に該治療剤を十分に保持し得る。
【0011】
さらに、脂質領域は細胞の大部分の外膜を含むため、より多量の脂質結合コンジュゲートを定置することができ、したがって、より高濃度の治療剤を原形質膜に定置することができる。さらに、前記したコンジュゲートはその疎水性テイルによって膜脂質に安定して取り込まれるため、それはそこに効果的に捕捉され、容易には解離され得ない。その結果、細胞からの漏出は最小限にとどまり、それによって望ましくない全身的影響が減少される。
【0012】
前記のコンジュゲートを包含する研究を行ううちに、有害細胞接着を減少させる問題への解決法が発見された。適当に構成し利用すれば、このコンジュゲートは、外科的傷部に対する腫瘍細胞、正常組織に対する腫瘍細胞、腫瘍細胞に対する腫瘍細胞、外科的接着の場合における正常細胞に対する正常細胞のごとき望ましくない接着を効果的に減少させ得る。
【非特許文献1】B.Zetter, Seminars in Cancer Biology,4:219-229(1993))
【非特許文献2】F.PavalkoおよびC.Otey,Proc.Society Exp.Biol.Med.,205:282-293(1994)
【非特許文献3】D.Tangら,Cancer Res.54:1119-1129(1994))
【非特許文献4】R.Molloyら,Irish J.Med.Sci.,159(6): 175-77(1990)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
有害細胞接着を減少させる問題への解決法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一の態様により、易感染部位(compromised site)における有害細胞接着を減少させる方法が提供される。該方法には、薬と有害接着に対して感受性である細胞の易感染部位への結合を阻害する有効量の細胞結合剤とのコンジュゲートを含む組成物で易感染部位を治療することが含まれる。該コンジュゲートは式:
【0015】
【化1】

【0016】
[式中、Bは有害細胞接着に対して阻害効果を有する薬剤を表し、細胞結合剤中のRおよびR1は1〜約30の炭素原子を有する炭化水素置換基を表し;
細胞結合剤中のXおよびXは、同一または異なり、O、S、C(CH3)2またはSeとなり得;
細胞結合剤中のYは、=CR8-、=CR8-CR8=CR8-、=CR8-CR8=CR8-CR8=CR8-、または=CR8-CR8=CR8-CR8=CR8-CR8=CR8-から選択される結合基を表し、ここに、R8はH、CH3、CH2CH3、CH2CH2CH3またはCH(CH3)2から選択され;
細胞結合剤中のZは、H、アルキル、OH、-O-アルキル、COOH、CONH2、SO3H、SO2NH2、SH、S-アルキル、CONH-アルキル、CON-(アルキル)2、NH-アシル、NH-アルキル、N(アルキル)2、NO2、ハロゲン、Si(アルキル)3、O-Si(アルキル)3、Sn(アルキル)3および-Hg-ハロゲン、よりなる群から選択される置換基を表し、Z置換基に含まれるアルキル基は1〜4の炭素原子を有し;
2は、1または2以上の官能基を含んでいてもよく、細胞結合剤に薬剤を結合する結合基を表し;および
Aは医薬上許容されるアニオンを表す]を有する。
【0017】
本発明のもう一の態様により、腫瘍辺縁部の明確化(tumour marginal definition)を高める方法が提供され、これは腫瘍増殖領域と前記の式Iを有する薬剤-細胞結合剤コンジュゲートを含む組成物とを接触させることを含み、これは、腫瘍辺縁部の明確化向上効果を示すことも発見されている。
【0018】
前記に要約した本発明の方法を行うにあたっては、灌注溶液の形態の該コンジュゲートを意図する部位または領域に都合よく適用する。
本発明の方法は、外傷修復部位に保護層を供するのに用いられ、それによって接着の発生を予防する、現存のバリア物質、例えば、生理学的和合性のスクリーン、ストリップなど、と比較して使用簡便性に関して異なる利点を提供する。
【0019】
細胞接着を減少するのに加えて、本発明の組成物は、処理した細胞に対して静細胞または細胞毒効果を有し、または、x-線に対するその感度を向上し得る。
さらに、適用部位における細胞の膜に対する該コンジュゲートの親和性は、いずれの有害な全身効果も最小限にとどめるように、該コンジュゲートをその部位に効果的に”結合させる”。
【0020】
本発明のさらなる利点および特徴は、添付図面と併せて考える以下に示す本発明の詳細な説明に記載し、それから当業者であれば明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本明細書にて用いる、”易感染部位”なる表現は、有害細胞接着を促進する傾向がある環境が存在するヒトまたは動物の身体の部位をいう。かかる環境は、外科手術、障害、疾患、化学療法、炎症または細胞の生存性または機能を危うくする他の症状の結果として存在し得る。
【0022】
易感染部位は、接着形成を減少させるために、前記の式Iのコンジュゲートを含む本発明の組成物で有利に治療する。本発明の実施で使用する前記の式Iのコンジュゲートは、前記米国特許出願シリアル番号884,432号(本明細書に記載する場合、その全体を出典明示して本明細書の一部とみなす)に記載されている合成経路に従って調製し得る。
【0023】
これらのコンジュゲートは、そこに取り込まれた薬剤の作用により有害細胞接着の発生を減少させ、それは、幾つかの方法で有害細胞接着を阻害し得る。かくして、該薬剤が作用して、i)細胞表面上の特異的な接着分子の発現を予防し;ii)望ましくない接着に対して感受性の細胞における細胞内シグナル伝達、その結果、結合細胞外基質、基底膜、または正常組織細胞へのさらなる結合に導く接着分子の結合を阻害し;iii)望ましくない接着に感受性である細胞表面上の特異的接着分子の発現を刺激するメディエーターが放出され、それによって、不自然または望ましくない方法で細胞に対する細胞、組織に対する細胞の接着を促進されるのを阻害し;あるいは、iv)偽のまたは競合基質を供することによって組織に含まれる他の細胞または細胞外基質蛋白質の細胞接着分子に対する一細胞の細胞接着分子の結合を妨害し得る。
【0024】
コンジュゲートの薬剤成分は、好ましくは、コルヒチンまたはビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン(vinblastine)またはビンクリスチン(vincristine))のごとき抗-微小管剤;サイトカラシンBおよびD(cytochalasins B and D)またはアシルアミドもしくはシクロヘキサミドのごとき抗-フィラメント剤;カルフォスチン(calphostin)を包含するプロテインキナーゼCインヒビター、または1-O-ヘキサデシル-2-O-アセチル-SN-グリセリン、8-(ジェチルアミノ)オクチル-3,4,5-トリメトキシ安息香酸-HClまたはEGTA(エチレングリコール-ビス-(β-アミノエチルエーテル)-N,N,N',N'-四酢酸)を包含する細胞内カルシウム移動のインヒビターのごとき抗-シグナル伝達剤;インターロイキン1、β-トランスフォーミング成長因子または12-S-ヒドロキシエイコサテトラエン酸のごとき刺激メディエーター放出インヒビターまたはこのメディエーターのアンタゴニスト、ならびにイブプロフェン(ibuprofen)およびインドメタシン(indomethacin)を包含する非ステロイド性抗-炎症薬;NDGA(ノルジンヒドログアリアレチン酸)またはバルカレイン(balcalein)(5,6,7-トリヒドロキシフラボン)のごときリポキシゲナーゼ・インヒビター;プロスタサイクリン(prostacyclin)アナログPGI2(イロプロストR(IloprostR))のごとき刺激メディエーター放出のアンタゴニスト;インターロイキン-1レセプター・アンタゴニスト;あるいは、フィブロネクチンまたはラミニン(laminin)リガンドそれ自体またはその断片を包含する接着分子がそのリガンドに結合するのを妨害するに有効な他の剤、またはアミノ酸arg-gly-gluまたはtyr-ile-gly-ser-argを包含する結合部位に特異的な配列、あるいはかかる薬剤の組合せよりなる群から選択される。
【0025】
後記する実施例から明らかなごとく、特に良好な結果は以下の式のコンジュゲートを用いて得られた:
【0026】
【化2】

【0027】
上記のコンジュゲートは、切断性の結合を介して脂肪親和細胞に結合された薬剤と共にプロ-ドラッグ様に機能し、該コンジュゲートから放出される際にその治療効果を発揮する。結合基の切断は、結合後に起こると考えられ、結合基内の化学結合の分解を促進するpHにおける還元によって加速される。
【0028】
これらのコンジュゲートは、微小管の細胞内機能を阻害するようにチューブリン蛋白質に結合する分子であるコルヒチンのアナログを放出する。これらの機能には、限定するものではないが、この細胞接着分子の細胞膜への移動、およびこの接着分子の外側細胞膜でその対応するリガンドに結合することによって誘発される細胞内シグナル伝達も包含される。
【0029】
前記したごとく、”有害細胞接着”とは、腫瘍細胞と他の腫瘍細胞との間の接着、腫瘍細胞と正常細胞との間の接着、および正常細胞と他の正常細胞との間のある種の接着をいう。かくして、望ましくない接着に感受性の細胞には、いずれの悪性細胞または悪性細胞によって生じた細胞外基質;例えば、外科的介入の結果として、障害または炎症を起こした内皮細胞、子宮内膜細胞、中皮細胞または上皮細胞;ならびに、血小板、マクロファージ、リンパ球または好中球を包含するシグナル伝達またはメディエーター放出細胞が含まれる。”有害細胞接着”なる語には、正常な健全組織を形成する工程で生じる細胞の接着は含まれない。
【0030】
本明細書中で使用されるように、発現した「腫瘍辺縁部の明確化」は新生物性でない組織または器官に付着する腫瘍細胞の分画した領域または腫瘍のかたまり内における減少、または悪性細胞が正常な組織を侵す傾向を意味するよう意図されている。
【0031】
本明細書中で記載される抱合体は、ジメチルスルホキシド、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(例えば、Tween-80)、ポリオール類、例えば、プロピレングリコール、水性デキストロース(5%)溶液、リンガー溶液、セーライン溶液またはそれらの担体の組み合わせのごとき生物学的に和合性のある担体の混合物中の潅流溶液として便利に処方されてよい。選択された液体担体中における包含体の濃度は通常約5μMないし約5mMであるべきである。適当な場合には、混入した微生物の行動は、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロザールのごとき種々の抗菌および抗かび剤によって予防できる。抱合体に、例えば、グルコースまたは塩化ナトリウムのごとき等張剤を含めることがしばしば好ましいであろう。
【0032】
本明細書中で使用するように、「生物学的に和合性である担体」は、すべてのビヒクル、溶媒、分散剤、抗菌剤および抗かび剤、等張剤のごときものを含む。治療学的に活性な基質とのそのような保存液および薬剤の使用は当該分野で公知である。通常の保存液または薬剤のいずれもが本明細書に記載の抱合体と不和合性である限りを除き、本明細書の方法を行う際の使用は熟慮される。
【0033】
あるアジュバント、すなわち、望ましくない細胞の付着を減少させるための処理の有効性を増強させる薬剤は、もし必要または望ましいならば、上記記載の抱合体と組み合わせて用いてもよい。適当なアジュバントは、抗炎症剤、例えば、非ステロイドの抗炎症剤(NSAIDs)、生物学的応答モディファー、例えば、IL−1アンタゴニスト、またはそのようなアジュバントの組み合わせを含む。
【0034】
本発明の方法は、癌が存在することが見い出される様々な体腔または組織、例えば腹腔、腹部骨盤の腔、胸腔および心膜を含めたソラクティック・キャビティ(thoractic catity)、頭蓋および脊柱の腔を含めた背部の腔、すなわち、滑液の継ぎ目中の発音骨間の空間;胃腸管または血管内部、女性の生殖系の内部のごときルミナ中の癌の治療のための外科的な介在と連結した望まない細胞の付着を減少させるために使用してよい。天然の腔に加え、誘導された腔、すなわち、外科的介在によって作り出されたものを、本明細書中で記載された方法により処理することも本発明の考慮の中にある。該方法は、炎症性の腸の病気または子宮内膜症のごとき状態の外科的介在と連結して起こるような、正常な組織の傷ついた部分への手術後の付着を減少させるように有利に適用することができる。
【0035】
望まない付着へ感受性である細胞の付着に先立った外科的部位の処理は、通常、抱合体を、外科手術の間またはすぐ後に適用することにより行うことができる。この方法で、外科的部位の付近の正常な組織の健康は最も良く保持することができる。
【実施例】
【0036】
以下の実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。これらの実施例は、本発明を説明するものであり、限定するものではない。特記しない限り、すべての試薬および薬物は、ミズーリ州セントルイスのシグマ(Sigma)から入手した。
【0037】
実施例1
ヒト卵巣癌細胞を受容するマウスの、脂肪親和性細胞結合剤にコンジュゲートしたチオコルチシンによる腹腔内前処置
苦しめられる腫瘍の導入前にマウスの前処置を行い、チオコルチシン類似体の薬物動態学の変化を、そのままおよび細胞結合剤にコンジュゲートされた形態で(各々、前記式IIおよびIIIで示される)調べた。4−ホルミル−チオコルチシン[ペンシルベニア州モールヴァンのザイナクシス・インコーポレイテッド(Zynaxis,Inc.)の製品]を、ヒト卵巣癌細胞を有するマウスの腹腔に腫瘍を導入した後に腫瘍増殖に対してあまり適度ではない効果を有するか実験的に測定し、式IIで示されるコンジュゲートは、より著しい効果を有した。
【0038】
最初の実験では、(A)グループ当たり5匹のマウス、nu/nuに、5×106個のA2780ヒト卵巣癌細胞を注射し(腹腔内)、翌日、下記第1表に示す化合物で処理した。半数生存日は、第2および第3試験動物の平均死亡日であった。第1表におけるデータから分かるように、4−ホルミル−チオコルチシン((S)−N−[5,6,7,9−テトラヒドロ−1,2,3−トリメトキシ−4−ホルミル−10−(メチルチオ)−9−オキソベンゾ[a]ヘプタレン−7−イル]アセトアミド;C2325NO6S)で処置したマウスの寿命増加(%ILS)は、10%であり、これは、10%DMSO処置グループとは有意に異なっていた(p0.05)。式IIで示されるコンジュゲートで処置した両方のグループは、4−ホルミル−チオコルチシンで処置したグループよりも有意に長い生存日数を有した(p0.01)。式IIで示されるコンジュゲートで処置したマウスの生存日数は、500nmolのシスプラチンで処置したマウスと異ならなかった。
4−F−Tを含む第1表に挙げられた化合物は、試験したいずれの濃度でも注目すべき副作用を生じなかった。
【0039】
【表1】

【0040】
他のモデルにおける以前の薬物動態学研究は、4−ホルミル−チオコルチシンの迅速な消失および/または代謝を示した。したがって、前処置プロトコールは、効力の長命が測定されるように設計した。
【0041】
該プロトコールを行う際に、ヒト卵巣株A2780(ペンシルベニア州フィラデルフィアのフォックス・チェイス・キャンサー・センター(Fox Chase Cancer Center)のティ・シー・ハミルトン(T.C.Hamilton)の寄贈物)を10%ウシ胎児血清(GIBCO)および0.26u/m/ウシインスリン(GIBCO)を有する組織培養物(RPMI 1640 Bio−Whittaker、ミズーリ州ウォーカーズヴィル)中に維持した。腫瘍開始のためには、5×106個の細胞をNIH:Balb/Cnu/nu雌性マウス5匹/グループに腹腔内投与した。2つのタイプの処置スケジュールを行った:腫瘍細胞を移植する前日に1回腹腔内注射するか、または腫瘍細胞を移植した後日に1回腹腔内注射する。
【0042】
4−ホルミル−チオコルチシンおよび式IIおよびIIIで示されるコンジュゲートの合成は、前記U.S.特許出願番号第07/884,432号に開示されている合成方法を用いてペンシルベニア州モールヴァンのザイナクシス・インコーポレイテッド(Zynaxis,Inc.)で行われた。これらの化合物は、HPLCおよびNMRおよび/または質量分光学によって純度95%を超えることが判明した。
【0043】
該化合物の投与量は、治療濃度がグループ全体で確実に均一であるようにモル当量によって算出された。化合物をまずジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解させ、10%DMSOの水中混合物0.5mlで投与した。毒性症状は、マウス当たり500nmolの投与量で気づかれなかった。
【0044】
効力は、グループ平均体重の変化によってモニターされ、担体だけ(10%DMSO)を投与した対照に対する処置したものの半数生存時間の増加としてスコア付される。
【0045】
2つの同一プロトコールを2種類の設備で行った。該プロトコールは、実験Bについてはマウスの供給源がミズーリ州フレデリクのエヌシーアイ(NCI)であり、実験Cについては該マウスがメイン州バー・ハーバーのジャクソン・ラボラトリー(Jackson Laboratory)によって提供されたこと以外は、同一であった。実験Cは、また、細胞結合剤そのままで、すなわち、いずれのコンジュゲート治療剤も含まずに処置したマウスのさらなる対照グループを含んだ。実験Cでは、マウスは、苦しめられる腫瘍が人道上の理由により初期体重の75%を超えた場合に殺した。
ウィルコクソン試験を用いてグループの比較対を用いてカプラン−マイヤー統計が算出された。
これらの2つの実験の結果は、図1A、1B、2Aおよび2Bに一部示されている。ここで、点線(...)は、DMSOの10%水溶液を表し;破線(---)は、4−ホルミルチオコルチシンを表し;実線(_)は、前記式IIで示されるコンジュゲートを表し;点刻した線

は、前記式IIIで示されるコンジュゲートを表す。
前処置の効果は、実験Bから得られたデータを示す図1Aおよび1Bにおけるデータから分かるように、腫瘍増殖に関連するマウスの体重増加を予防することであった。この実験において、式IIまたはIIIで示されるコンジュゲートのいずれかで前処置したマウスについての腫瘍増殖の遅延は、明らかであった。特に、図1Bは、前処置の効果が、腫瘍細胞の注射の1日後に処置したグループ全てにおいて見られるように腫瘍増殖に関連するマウスの体重の増加を予防することであったことを示す(図1Aと比較)。
【0046】
実験Cの結果は、式IIおよびIIIで示されるコンジュゲートによる前処置が腫瘍増殖を遅延させるという点で、実験Bにおいて得られた結果と同様であった。これらの結果は、図2Aおよび図2Bに示される。いずれのコンジュゲートによる後処置からもあまり効果は、見られなかった;非コンジュゲート治療剤または非コンジュゲート細胞結合剤単独のいずれも、苦しめられる腫瘍全体に対する効果を有しなかった。
【0047】
初期体重の150%に達する時間は上で説明した図から求められ、生存時間のメジアンまたは各群の屠殺までの日数とともに下表2および3に示す。腫瘍注射前または注射後に、コンジュゲートしていない4−ホルミルチオコルヒチンまたはコンジュゲートしていない細胞結合剤で処理したものと比較すると、式IIおよびIIIのコンジュゲートで処理された全群のマウスは有意に長い生存時間または低い腫瘍負荷時間を有していた。表2および3のデータからわかるように、後処理は、コンジュゲートしたチオコルヒチンアナログまたはコンジュゲートしていないチオコルヒチンアナログのいずれかを与えたマウスの生存時間にはっきりとした影響を与えなかった。対照的に、式IIおよびIIIのコンジュゲートでの前処理は寿命の顕著な延長を引き起こした。
【0048】
【表2】

【0049】
【表3】

【0050】
実験BおよびCで生存時間は異なるが、実験Cにおいて、マウスが腫瘍で死亡するまで放置するのではなくマウスが体重35gになったときに(初期体重の175%になったときに)屠殺したことを銘記すべきである。しかしながら、150%体重に達する時間は、時間が60日から80日よりも長くなったために実験Cにおいて式IIIのコンジュゲートで前処理した動物は実験Bにおいて同様に処理された動物よりも腫瘍抑制が良好であったことを示す。
【0051】
体重変化および最初の体重の175%になるまでの体重変化および時間のほかに、実験Cの動物を剖検しておおまかな病理学的調査をおこなった。担体対照、4−ホルミル−チオコルヒチンまたは式IIIのコンジュゲートの細胞結合成分のいずれかで処理したマウスにおける腫瘍病因は、腹膜の全表面、器官およびしばしば横隔膜下部表面に散在していた。式IIおよびIIIのコンジュゲートで処理したマウスは、腫瘍注入前または後にかかわらず、屠殺時までに大量に形成されるものであるが、より焦点的な障害(すなわち、腫瘍境界が明確)を有していた。
【0052】
上記実験から得られたデータは、上記コンジュゲートでの腹腔の前処理は、初期段階における腫瘍細胞数の単なる減少としては説明できない効果を有しているということを明確にする傾向がある。0日目および1日目における腫瘍細胞数の相違については、その後は22時間という腫瘍細胞倍加時間の2倍を超えないであろう。かくして、観察された効果は、上皮および内皮細胞に関する「ベッド」ならびに腹腔の「環境」の変化によるものといえる。このことにより、望ましくない細胞が結合しうる部位におけるサイトカインおよび付着分子のバランスが意味される。かくして同定された60種以上の異なるサイトカインを、それらが免疫変調性、炎症性、化学誘引性であるかまたは増殖調節性であるかどうかによって、さまざまに分類することができる。最初の3つのタイプは付着分子の発現および活性化を増大させ、それゆえ、細胞結合を促進する。例えば、A.Thompson, The Cytokine Handbook, 2nd Edition, Academic Press,1994およびJ.Harlan and D.Liu, Adhesion:Its role in Inflammatory Disease. W.H.Freeman and Co.,New York,1992参照。
【0053】
十分に明確な境界を伴った手術可能な状況を作り出すように疾病の病因が変化したという事実は、望ましくない付着をする可能性のある細胞の結合に先立って危険部位を治療するという有利さを示す。さらにそのうえ、望ましくない付着をする可能性のある細胞の結合の直後の危険部位の治療は同様に有効であろうと考えられる。
【0054】
本発明の特定の具体例を上に記載および/または説明したが、種々の多の具体例は上記開示から当業者に明らかであろう。例えば、生体材料を体腔中に挿入する前に本明細書記載のコンジュゲートを、例えば吸着により、障害修復部位の保護に用いるバリヤー材料、縫合材料等のごとき生体材料に結合させ、そのことにより生体材料による望ましくない細胞付着の防止を促進してもよい。それゆえ、本発明は、記載および/または説明した特定の具体例に限定されず、添付した請求の範囲から逸脱せずにかなりの変更および修飾を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1A】図1Aは、コンジュゲート担体単独および非コンジュゲート薬剤と比較した、ある種の好ましい薬剤-細胞結合剤コンジュゲートで腫瘍移植した後に処理した移植腫瘍を有する試験動物について、腫瘍移植後の経過時間の関数としての腫瘍増殖(体重増加)を示すグラフである。
【図1B】図1Bは、図1Aに示すのと同一のコンジュゲート、担体および薬剤を用いて腫瘍移植前に処理した移植腫瘍を有する試験動物について、腫瘍移植後の経過時間の関数としての腫瘍増殖(体重増加)を示すグラフである。
【図2A】図2Aは、図1Aに示すのと同一のコンジュゲート、担体および薬剤で腫瘍移植した後に処理した移植腫瘍を有する試験動物について、腫瘍移植後の経過時間の関数としての腫瘍増殖(体重増加)を示すグラフである。
【図2B】図2Bは、図1Aに示すのと同一のコンジュゲート、担体および薬剤、ならびに非コンジュゲート細胞結合剤で腫瘍移植する前に処理した移植腫瘍を有する試験動物について、腫瘍移植後の経過時間の関数としての腫瘍増殖(体重増加)を示すグラフである

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有害な接着を受けやすい細胞の易感染部位(compromised site)への接着を阻害するのに有効な量で、薬剤および細胞結合剤の複合体を含む、易感染部位における有害細胞(unwanted cell)の接着を減少させるための医薬組成物であって、ここに、該複合体は、式:
【化1】

[式中、Bは細胞接着に対して阻害効果を有する薬剤を表し、該細胞結合剤中におけるRおよびR1は1〜約30個の炭素原子を有する炭化水素置換基を表し;
該細胞結合剤中におけるXおよびX1は、同一または異なり、O、S、C(CH32またはSeを表し;
該細胞結合剤中におけるYは、=CR8−、=CR8−CR8=CR8−、=CR8−CR8=CR8−CR8=CR8−、または=CR8−CR8=CR8−CR8=CR8−CR8=CR8−から選択される連結基(ただし、R8はH、CH3、CH2CH3、CH2CH2CH3またはCH(CH32から選択される)を表し;
該細胞結合剤中におけるZは、H、アルキル、OH、−O−アルキル、COOH、CONH2、SO3H、SO2NH2、SH、S−アルキル、CONH−アルキル、CON−(アルキル)2、NH−アシル、NH−アルキル、N(アルキル)2、NO2、ハロゲン、Si(アルキル)3、O−Si(アルキル)3、Sn(アルキル)3または−Hg−ハロゲンからなる群から選択される置換基(ただし、該置換基Zに含まれるアルキル基は1〜4個の炭素原子を有する)を表し;
2は該薬剤を該細胞結合剤に連結する連結部分を表し;および
A−は医薬上許容されるアニオンを表す]
で示される該医薬組成物。
【請求項2】
前記薬剤が前記細胞結合剤と開裂可能な連結部分を介して複合体を形成している請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記部位が手術によって易感染性となる請求項1記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記部位が炎症によって易感染性となる請求項1記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記部位が損傷によって易感染性となる請求項1記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記部位が疾患によって易感染性となる請求項1記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記部位が化学療法によって易感染性となる請求項1記載の医薬組成物。
【請求項8】
有害な接着を受けやすい前記細胞が、悪性細胞、炎症細胞、罹病細胞、化学療法的に処理された細胞または損傷を受けた正常細胞からなる群から選択される請求項1記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記易感染部位が腹腔である請求項1記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記易感染部位が胸腔である請求項1記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記易感染部位が胸膜腔である請求項1記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記易感染部位が心膜腔である請求項1記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記易感染部位が関節腔である請求項1記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記関節が滑膜性の連結である請求項13記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記易感染部位が女性の生殖器系である請求項1記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記薬剤が抗微小管薬(anti-microtubule agent)、抗糸状体薬(anti-filament agent)、抗シグナル発生薬(anti-signaling agent)、刺激媒介物質の放出の阻害薬、刺激媒介物質の拮抗体の阻害薬、刺激媒介物質の放出の拮抗薬および各々のリガンドへの接着細胞の結合を妨害するのに有効な薬剤からなる群から選択される請求項1記載の医薬組成物。
【請求項17】
さらに生物学的に適合する担体を含む請求項1記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記担体が、ジメチルスルホキシド、ポリオキシエチレンソルビタンモノ−オレアート、ポリオール、デキストロース水溶液、リンゲル液、塩類液、または該担体の組合せからなる群から選択される請求項17記載の医薬組成物。
【請求項19】
さらに補助薬を含む請求項1記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記補助薬が、抗炎症薬、生体応答調節物質または該補助薬の組合せからなる群から選択される請求項19記載の医薬組成物。
【請求項21】
腫瘍辺縁部の明確化を増大させる方法であって、該腫瘍の領域を、薬剤および細胞結合剤の複合体を含む組成物(ここで、該複合体は、式:
【化2】


[式中、Bは接着分子の細胞表現を阻害する薬剤を表し、該細胞結合剤中におけるRおよびR1は1〜約30個の炭素原子を有する炭化水素置換基を表し;
該細胞結合剤中におけるXおよびX1は、同一または異なり、O、S、C(CH32またはSeを表し;
該細胞結合剤中におけるYは、=CR8−、=CR8−CR8=CR8−、=CR8−CR8=CR8−CR8=CR8−、または=CR8−CR8=CR8−CR8=CR8−CR8=CR8−から選択される連結基(ただし、R8はH、CH3、CH2CH3、CH2CH2CH3またはCH(CH32から選択される)を表し;
該細胞結合剤中におけるZは、H、アルキル、OH、−O−アルキル、COOH、CONH2、SO3H、SO2NH2、SH、S−アルキル、CONH−アルキル、CON−(アルキル)2、NH−アシル、NH−アルキル、N(アルキル)2、NO2、ハロゲン、Si(アルキル)3、O−Si(アルキル)3、Sn(アルキル)3または−Hg−ハロゲンからなる群から選択される置換基(ただし、該置換基Zに含まれるアルキル基は1〜4個の炭素原子を有する)を表し;
2は該薬剤を該細胞結合剤に連結する連結部分を表し;および
A−は医薬上許容されるアニオンを表す]
で示される)を腫瘍辺縁部の明確化を増大させるのに有効な量で含む組成物と接触させることからなる方法。
【請求項22】
前記腫瘍の領域が腹腔である請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記腫瘍の領域が胸腔である請求項21記載の方法。
【請求項24】
前記腫瘍の領域が女性の生殖器系である請求項21記載の方法。
【請求項25】
前記腫瘍の領域が胸膜腔である請求項21記載の方法。
【請求項26】
前記腫瘍の領域が心膜腔である請求項21記載の方法。
【請求項27】
前記腫瘍の領域が関節腔である請求項21記載の方法。
【請求項28】
前記関節が滑膜性の連結である請求項21記載の方法。
【請求項29】
前記組成物がさらに、ジメチルスルホキシド、ポリオキシエチレンソルビタンモノ−オレアート、ポリオール、デキストロース水溶液、リンゲル液、塩類液、または該担体の組合せからなる群から選択される生物学的に適合する担体を含む請求項21記載の方法。
【請求項30】
易感染部位に定置させて、該部位と有害な接着を受けやすい細胞との間に障壁を形成するための医用生体材料であって、該医用生体材料が、薬剤および細胞結合剤の複合体を含む組成物(ここで、該複合体は、式:
【化3】


[式中、Bは細胞接着に対して阻害効果を有する薬剤を表し、該細胞結合剤中におけるRおよびR1は1〜約30個の炭素原子を有する炭化水素置換基を表し;
該細胞結合剤中におけるXおよびX1は、同一または異なり、O、S、C(CH32またはSeを表し;
該細胞結合剤中におけるYは、=CR8−、=CR8−CR8=CR8−、=CR8−CR8=CR8−CR8=CR8−、または=CR8−CR8=CR8−CR8=CR8−CR8=CR8−から選択される連結基(ただし、R8はH、CH3、CH2CH3、CH2CH2CH3またはCH(CH32から選択される)を表し;
該細胞結合剤中におけるZは、H、アルキル、OH、−O−アルキル、COOH、CONH2、SO3H、SO2NH2、SH、S−アルキル、CONH−アルキル、CON−(アルキル)2、NH−アシル、NH−アルキル、N(アルキル)2、NO2、ハロゲン、Si(アルキル)3、O−Si(アルキル)3、Sn(アルキル)3または−Hg−ハロゲンからなる群から選択される置換基(ただし、該置換基Zに含まれるアルキル基は1〜4個の炭素原子を有する)を表し;
2は該薬剤を該細胞結合剤に連結する連結部分を表し;および
A−は医薬上許容されるアニオンを表す]
で示される)を、有害な接着を受けやすい細胞の該部位への接着を阻害するのに有効な量で塗布されている点で改良された医用生体材料。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【公開番号】特開2007−204484(P2007−204484A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−69887(P2007−69887)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【分割の表示】特願平8−512660の分割
【原出願日】平成7年10月4日(1995.10.4)
【出願人】(597001268)株式会社ファノスディベロップメント (1)
【Fターム(参考)】