説明

有料道路管理システム、有料道路管理装置、有料道路管理方法

【課題】有料道路の利用料金を、料金所を使わずに課金、精算することにより、有料道路における渋滞を緩和させると共に、衝突の可能性を低減する有料道路管理装置を提供する。
【解決手段】位置情報受信部201は、車両及び運転者を特定する例えば車両ID情報及びユーザID情報と、車両が通過した通信エリアを管理する基地局装置を特定する基地局ID情報と、を含む基地局情報を受信する。料金所特定部204は、受信された基地局情報に基づいて車両が利用した道路を特定する。課金対象管理部205、課金ポリシー部206、料金精算部207は、料金所特定部204によって特定された道路の利用に課される料金を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有料道路管理システム、有料道路管理装置、有料道路管理方法にかかり、特に、自動車の有料道路を含む有料道路の有料道路管理システム、有料道路管理装置、有料道路管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ETC(登録商標)システム(Electronic Toll Collection System)と呼ばれる高速道路交通システムが運用されている。ETC(登録商標)システムでは、車両に搭載される車載器にETC(登録商標)カードを挿入しておく。そして、車載器を搭載した車両が高速道路の料金所に設けられたETC(登録商標)レーンに進入すると、ETC(登録商標)カード及び車載器と料金所とが無線通信する。無線通信により、高速道路の利用料金を精算するのに必要な情報が交換される。情報の交換が正常に終了した場合には、ETC(登録商標)レーンに設置された車両の発進を制御する開閉バーが開き、車両がETC(登録商標)レーンを通過することが可能になる。
【0003】
このようなETC(登録商標)システムは、例えば非特許文献1に記載されている。また、ETC(登録商標)システムについての従来技術としては、例えば、特許文献1が挙げられる。特許文献1は、携帯電話機と車載機との通信を可能にし、携帯電話機を高速道路の料金の決済装置として使用するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−352850号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】財団法人 道路システム高度化推進機構 ORSE,[online]、「ETC総合情報ポータルサイト」、[平成21年3月26日検索]、インターネット<URL:http://www1.go-etc.jp/riyouhouhou/riyouhouhou.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した従来技術の場合、料金所において車載器と通信とが通信する間、後続車が先行者車に衝突することを避けるため、車両が充分速度を落としてETC(登録商標)レーンに進入する必要がある。このため、ETC(登録商標)システムは料金所における渋滞を緩和することを目的にして構築されたものの、さらなる渋滞緩和の余地を残すものであった。
また、速度を落とす、あるいは停止した後に再発進すると、排気ガスの発生や加速騒音の発生を助長することにもなる。
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、有料道路の利用料金を、料金所を使わずに課金、精算することにより、有料道路における渋滞を緩和させると共に、衝突の可能性を低減する有料道路管理システム、有料道路管理装置、有料道路管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するため、本発明の請求項1に記載の有料道路管理システムは、車両に搭載されて、当該車両及び車両を運転する運転者の少なくとも一方を特定する第1特定情報(例えば車両ID情報及びユーザID情報)を送信できる通信モジュール(例えば図1に示したUM103)と、前記通信モジュールによって送信された第1特定情報を含む信号を受信し、当該信号に、自局を特定する第2特定情報(例えば基地局ID情報)を付加し、基地局情報として送信する基地局装置(例えば図1に示した基地局装置A〜D)と、前記基地局情報を受信する受信手段(例えば図2に示した位置情報受信部201)と、前記受信手段によって受信された基地局情報に基づいて、前記車両が利用した道路を特定する利用道路特定手段(例えば図2に示した料金所特定部204)と、前記利用道路特定手段によって特定された道路の利用に課される料金を算出する課金手段(課金対象管理部205、課金ポリシー部206、料金精算部207)と、を備える有料道路管理装置(例えば図1に示した管理装置104)と、を含むことを特徴とする。このような発明によれば、基地局装置によって自局の通信エリアを通過した車両または運転者の少なくとも一方を特定することができる。このため、基地局装置の位置によって車両が通過した料金所を特定し、有料道路の利用料金を算出することができる。したがって、本発明は、車両が速度を落とすことなく料金所を通過しても適正に有料道路の課金処理をすることができる有料道路管理システムを提供することができる。
【0008】
また、請求項2に記載の有料道路管理装置は、車両及び車両を運転する運転者の少なくとも一方を特定する第1特定情報(例えば車両ID情報及びユーザID情報)と、前記車両が通過した通信エリアを管理する基地局装置を特定する第2特定情報(例えば基地局ID情報)と、を含む基地局情報を受信する受信手段(例えば図2に示した位置情報受信部201)と、前記受信手段によって受信された基地局情報に基づいて、前記車両が利用した道路を特定する利用道路特定手段(例えば図2に示した料金所特定部204)と、前記利用道路特定手段によって特定された道路の利用に課される料金を算出する課金手段(課金対象管理部205、課金ポリシー部206、料金精算部207)と、を備えることを特徴とする。このような発明によれば、基地局装置によって自局の通信エリアを通過した車両または運転者の少なくとも一方を特定することができる。このため、基地局装置の位置によって車両が通過した料金所を特定し、有料道路の利用料金を算出することができる。したがって、本発明は、車両が速度を落とすことなく料金所を通過しても適正に有料道路の課金処理をすることができる有料道路管理装置を提供することができる。
【0009】
また、請求項3に記載の有料道路管理装置は、請求項2において、前記第2特定情報が、前記基地局装置が備えるセクタアンテナ(例えば図5に示したセクタアンテナ505a、505b、505c)の前記第1特定情報を含む信号の受信状態を示す受信状態情報を含み、前記利用道路特定手段は、前記受信状態情報に基づいて、車両が利用した道路を特定することを特徴とする。このような発明によれば、1つの基地局が、車両が基地局に対してどの方向にある道路を利用したのかが分かるから、車両によって利用された道路をより高い精度で特定することができる。さらに、セクタアンテナによって受信された信号強度の強弱により、車両と基地局との大凡の距離が分かるから、車両が基地局に対してどの程度の距離にある道路を利用したのかが分かる。
【0010】
また、請求項4に記載の有料道路管理装置は、請求項2または3において、前記課金手段は、算出された料金を所定の期間積算しておき、所定の期間ごとに課金料金の請求を実行することを特徴とする。このような発明によれば、ETC(登録商標)システムのように料金所を通過するたびに料金が支払われるシステムに比べ、例えば毎月1回有料道路の利用料金を対象に課金することができ、ユーザにとっての有料道路管理システム使用の利便性を高めることが可能になる。
【0011】
また、請求項5に記載の有料道路管理システムは、車両及び車両を運転する運転者の少なくとも一方を特定する第1特定情報と、前記車両が通過した通信エリアを管理する基地局装置を特定する第2特定情報と、を含む基地局情報に基づいて、前記車両が利用した道路を特定する利用道路特定ステップ(例えば図4に示すステップS401、402)と、前記利用道路特定ステップにおいて特定された道路の利用に課される料金を算出する課金ステップ(例えば図4に示すステップS405〜407)と、を含むことを特徴とする。このような発明によれば、基地局装置によって自局の通信エリアを通過した車両または運転者の少なくとも一方を特定することができる。このため、基地局装置の位置によって車両が通過した料金所を特定し、有料道路の利用料金を算出することができる。したがって、本発明は、車両が速度を落とすことなく料金所を通過しても適正に有料道路の課金処理をすることができる有料道路管理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態のイメージを説明するための模式図である。
【図2】図1に示した管理装置の構成を説明するための機能ブロック図である。
【図3】図2に示した課金ポリシー部によって請求される利用料金を例示するための図である。
【図4】本発明の一実施形態の有料道路管理方法を説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態の、車両が利用した道路をセクタ情報に基づいて特定する方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図を参照して本発明に係る一実施形態の有料道路管理システム、有料道路管理装置、有料道路管理方法を説明する。
図1は、本実施形態のイメージを説明するための模式図であって、図1(a)は従来のETC(登録商標)システムのイメージ、図1(b)は本実施形態の有料道路管理システムのイメージを示している。
【0014】
従来のETC(登録商標)システムは、図1(a)に示したように、有料道路101への入り口及び有料道路からの出口に、各々料金所A、B、C、Dが設けられている。ETC(登録商標)カードが挿入された車載器を備えた車両102に対し、例えば料金所Cにおいて有料道路101の利用に関する課金処理がされる。そして、車両102が有料道路101に進入し、料金所Aにおいて再び有料道路101の利用に関する課金処理がされ、有料道路101から退出する。
【0015】
図1(a)に示したシステムは、料金の課金処理のために、料金所C、料金所Aにおいて速度を落とす必要があるから、料金所における渋滞や排気ガス、騒音の発生をさらに低減することが要求されている。
一方、図1(b)に示した本実施形態の有料道路管理システムは、料金所A〜Dの各々に開閉バーを設けずに、有料道路に沿った任意の地点に携帯電話機の基地局装置a〜dを設けて構成される。車両102は、ユビキタスモジュール(以下、UMと記す)103を搭載していて、基地局装置a〜dのいずれかと通信する。
【0016】
なお、本明細書でいうUMとは、携帯電話機の無線部とデータ通信アダプタ機能とを一体化した小型モジュールである。UM103は、例えばNTTドコモ社によって提供されるFOMA(登録商標)パケット通信やDoPa(登録商標)での通信に対応することができる。
また、本実施形態は、ユーザが有する携帯電話機を車両102内に置き、UMとして使用することも可能である。この際、携帯電話機は電源を入れておくことによってUMとして機能するから、操作等する必要がなく、運転に影響を及ぼすことはない。
【0017】
このような本実施形態によれば、UM103と基地局装置a〜dとの情報交換は、携帯電話機における一般的な処理である位置登録と同様に行われる。つまり、車両102は、料金所Cを通過する場合、他の基地局装置の通信セルの範囲から基地局装置cの通信セル内に入る。このとき、ハンドオーバーが起こってUM103が基地局cに位置登録を要求する。
【0018】
本実施形態では、位置登録の際に、UM101から車両102の運転者(ユーザとも記す)を特定するユーザID情報及び車両102を特定するための車両ID情報が、基地局cに送信される。
このような本実施形態によれば、車両102は情報交換のため特に走行速度を落とすことなく料金所Cを通過することができる。このため本実施形態によれば、従来技術よりも料金所における渋滞が緩和され、再発進に伴う排気ガスや騒音の発生を軽減することができる。さらに、後続車が前の車両に衝突する可能性も低減することができる。
【0019】
基地局装置a〜dによって受信されたUM103の情報は、携帯電話機のキャリアを提供する通信網Nを介して管理装置104に送信される。管理装置104に送信されるUMの情報には、UMを管理するユーザを特定するID情報が含まれている。管理装置104は、通信網Nを介して携帯電話機の加入者情報を保存するHLR(home location register)からユーザの決済にかかる情報を取得することができる。
【0020】
このように、本実施形態は、携帯電話機の通信網を利用することにより、ユーザに対する課金処理を円滑に行うことができる。なお、HLRに保存される課金に関する情報は、ユーザが有料道路管理システムの利用を申請する際に、管理装置104に提出するようにしてもよい。また、携帯電話機をUM102として使用する場合、携帯電話機の加入者情報を使用してユーザに課金することができる。管理装置104は、本実施形態の有料道路管理装置として機能する。
また、本実施形態では、UM102と基地局装置a〜dとの通信による車両の走行位置の判定に加え、GPS(Global Positioning System)等の測位装置によって取得される位置情報を併用してもよい。このようにすれば、異なる2つの有料道路の料金所が1つの通信セルの範囲内にあるような場合、高い精度で両者を区別することができる。
【0021】
図2は、図1に示した管理装置104の構成を説明するための機能ブロック図である。図示した管理装置は、UMから基地局装置に送信された情報を、基地局装置を介して受信する。UMから基地局装置に送信された情報には、ユーザを特定するユーザID情報と、車両を特定する車両ID情報が含まれている。ユーザID情報は、車両に乗車した際、ユーザによってUMに入力されるものとする。入力は、テンキーを操作する等の手入力であってもよい。また、非接触式のICカード等を利用するものであってもよい。
【0022】
車両IDは、ユーザによってUMに入力されるものであってもよいし、予めUMに設定されるものであってもよい。
基地局装置は、UMから受信された信号に基地局装置を特定する基地局ID情報を付加して基地局情報を生成する。そして、生成された基地局情報を管理装置に送信する。また、本実施形態では、基地局装置がセクタアンテナを備えるものとし、セクタアンテナのうち、UMから送信された信号の受信強度が相対的に高いセクタを特定するためのセクタ情報を付加するものとした。セクタ情報については、後で詳述する。
【0023】
以上の動作の結果、管理装置は、ユーザID情報、車両ID情報、基地局ID情報、セクタ情報(以上の情報を総称して基地局情報と記す)を受信する。管理装置は、基地局情報を受信するための位置情報受信部201、受信された基地局情報のうち基地局ID情報を蓄積する位置情報蓄積部202、位置情報蓄積部202に蓄積された基地局ID情報と照合される地図情報が蓄積される地図情報蓄積部203を備えている。
【0024】
また、本実施形態の管理装置は、基地局ID情報と地図情報とを照合して車両が通過した料金所を特定する料金所特定部204を備えている。料金所特定部204は、位置情報蓄積部202に蓄積されている基地局ID情報を読み出して地図情報と照合しながら順に料金所を特定する。この結果、料金所特定部204では、車両が通過した料金所が順に特定される。このため、料金所特定部204では、車両が走行した有料道路のルートや走行時刻を得ることができる。
【0025】
課金対象管理部205は、車両ID情報から車両を特定し、ユーザID情報から運転者を特定する構成である。ここで、車両の特定とは、車両の車種や大型、中型、小型の別等、有料道路の利用料金が変化する車両のパラメータを特定することをいう。車両ID情報は、ユーザによってUMに入力され、課金対象管理部205に送信されるものであってもよい。また、UMに固有の情報として設定されるものであってもよい。さらに、予めユーザID情報に対応付けて設定されているものであってもよい。
【0026】
また、運転者の特定とは、車両の運転者、ひいては料金を請求すべきユーザを特定することをいう。課金対象管理部205には、有料道路管理システムの契約時に、ユーザID情報と、ユーザID情報を有する運転者、あるいは契約者といったユーザの住所や氏名、契約料や料金を引き落とすべき口座番号が登録されている。課金対象管理部205は、ユーザIDに基づいて、車両の運転者及び料金を請求すべき契約者といったユーザを特定する。
【0027】
なお、本実施形態では、料金を請求すべき対象(課金対象)を、車両を基準にして判断するか、運転者を基準にして判断するかを選択することができる。選択の基準が車両であるか、運転者であるかは、契約時に設定されるものであってもよい。また、ユーザID情報、車両ID情報により、管理装置の側で判断されるものであってもよい。
車両を基準に課金対象を選択する場合、1台の車両を複数のユーザが使用しても、一括して課金対象となるユーザに課金をすることができる。また、運転者を基準に課金対象を選択する場合、1人の運転者が複数の車両を利用した場合、車両ごとに運転者が利用した有料道路の利用料金を集計し、有料道路を利用した運転者に課金することができる。
【0028】
課金ポリシー部206は、有料道路の利用料金や、利用料金の時間帯等に応じた割引サービスの情報を管理している。そして、料金所特定部204によって特定された車両の通過料金所や通過時間帯、課金対象管理部205によって特定された車種や運転者を、管理されている情報(課金ポリシー)と対照する。そして、課金ポリシーに基づいて、課金すべき有料道路の利用料金を算出する。
【0029】
料金精算部207は、算出された利用料金と、課金対象管理部によって特定された課金対象の情報とにより、利用料金を支払うべき対象に対して課金処理を実行する。なお、本実施形態でいう課金処理とは、対象を特定し、料金と支払期日を指定して支払いを請求する処理をいう。なお、本実施形態では、課金ポリシー部206によって算出された利用料金を所定の期間積算しておき、課金対象に対して所定の期間ごとに料金を請求する。
【0030】
図3は、図2に示した課金ポリシー部206によって請求される利用料金を例示するための図である。図中に示したデータ301は、課金対象管理部205によって特定されたユーザのデータである。データ302は、課金対象管理部205によって特定された車両のデータである。データ303は車両が通過した料金所を示し、データ304は走行時刻を示している。
図3に示したユーザAに対しては、例えば、2009年1月5日から2009年1月20日までに利用された東名高速道路、横浜、横須賀道路、鬼怒川有料道路の利用料金が一括して請求される。また、ユーザBに対しては、例えば、2009年2月7日以降に利用された有料道路の利用料金が一括して請求される。
【0031】
図4は、本実施形態の有料道路管理方法を説明するためのフローチャートである。図示したフローチャートによれば、管理装置は、位置情報受信部により、UMが搭載された車両の移動ルートを示す情報、つまり基地局情報の送信の有無を判断している(ステップS401)。情報が送信されていない場合(ステップS401:No)、処理は終了される。
基地局情報が送信された場合(ステップS401:Yes)、料金所特定部は、基地局情報に含まれる基地局ID情報と地図情報とを照合し、車両が有料道路を利用しているか否か判断する(ステップS402)。有料道路が使用されていない場合(ステップS402:No)、処理は終了される。
【0032】
ステップS402において、有料道路が使用されたと判断された場合(ステップS402:Yes)、料金所特定部は、車両が通過した有料道路の料金所を順次特定する。この処理により、車両が通過した有料道路や通過区間、通過時刻が特定できる。課金ポリシー部は、特定された有料道路や通過区間の料金、通過時刻による割引情報により、車両が利用した有料道路の料金を算出する(ステップS403)。
【0033】
料金精算部は、車両を基準に課金対象を選択するか、または運転者を基準に課金対象を選択するか判断する(ステップS404)。そして、運転者を基準にして課金対象を判断する場合(運転者)、ユーザIDに対応する課金処理の条件を抽出する(ステップS405)。また、車両を基準にして課金対象を判断する場合(車両)、車両IDに対応する課金処理の条件を抽出する(ステップS406)。
料金精算部207は、抽出された条件を使って課金処理を実行する(ステップS407)。
また、本実施形態は、前述したように、基地局装置がセクタアンテナを備え、基地局情報が基地局ID情報と共にセクタ情報を含んでいる。セクタ情報は、セクタアンテナのユーザID情報及び車両ID情報の受信状態、つまり、ユーザID情報及び車両ID情報の受信強度が最も大きいセクタ番号を示している。
【0034】
本実施形態の料金所特定部は、セクタ情報に基づいて、車両が利用した道路を特定する。以下、図5を参照し、このような道路の特定方法について例示する。
図5(a)は、交差する道路501、502のうち、車両がいずれの道路を利用した特定する例を示している。このような場合、セクタアンテナ505a、505bを備える基地局装置を、道路501、502が交差する箇所を中心に設けておく。そして、セクタ情報がセクタアンテナ505aのセクタ3、4示す情報と、セクタアンテナ505bのセクタ1、6を示す情報を含む場合、車両が道路501を通過したと判断できる。また、セクタ情報がセクタアンテナ505aのセクタ6、5示す情報と、セクタアンテナ505bのセクタ2、3を示す情報を含む場合、車両が道路502を通過したと判断できる。
【0035】
図5(b)は、並行する道路503、504のうち、車両がいずれの道路を利用したかを特定する例を示している。このような場合、セクタアンテナ505cを備える基地局装置を道路503、504の間に設けておく。そして、セクタ情報がセクタアンテナ505cのセクタ3、4を示す情報を含む場合、車両が道路504を通過したと判断できる。一方、セクタ情報がセクタアンテナ505cのセクタ1、6を示す情報を含む場合、車両が道路503を通過したと判断できる。
【0036】
なお、本発明の実施形態は、セクタ情報を使って近接する道路のうち車両がいずれを利用したかを区別するものに限定されるものではない。たとえば、本実施形態によれば、UMのハンドオーバーの頻度によって車両の大凡の速度が推定できる。近接する2つの道路のうち一方が高速道路であり、他方が一般道路であれば、両者の制限速度が大きく相違する。このような場合、本実施形態は、車両の走行速度を利用して車両が高速道路と一般道路のどちらを利用しているかを判断することができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、有料道路の課金処理を管理するシステムに好適である。また、盗難車の捜索や車両を使って逃走している者を追跡することにも適用することができる。さらに、管理装置がGPS等の測位装置を備えない車両を、車両の走行ルートを監視しながら目的地に導くことも可能である。
【符号の説明】
【0038】
101 有料道路
102 車両
104 管理装置
201 位置情報受信部
202 位置情報蓄積部
203 地図情報蓄積部
204 料金所特定部
205 課金対象管理部
206 課金ポリシー部
207 料金精算部
301、302、303、304 データ
501、502、503、504 道路
505a、505b、505c セクタアンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されて、当該車両及び車両を運転する運転者の少なくとも一方を特定する第1特定情報を送信できる通信モジュールと、
前記通信モジュールによって送信された第1特定情報を含む信号を受信し、当該信号に、自局を特定する第2特定情報を付加し、基地局情報として送信する基地局装置と、
前記基地局情報を受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された基地局情報に基づいて、前記車両が利用した道路を特定する利用道路特定手段と、
前記利用道路特定手段によって特定された道路の利用に課される料金を算出する課金手段と、を備える有料道路管理装置と、
を含むことを特徴とする有料道路管理システム。
【請求項2】
車両及び車両を運転する運転者の少なくとも一方を特定する第1特定情報と、前記車両が通過した通信エリアを管理する基地局装置を特定する第2特定情報と、を含む基地局情報を受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された基地局情報に基づいて、前記車両が利用した道路を特定する利用道路特定手段と、
前記利用道路特定手段によって特定された道路の利用に課される料金を算出する課金手段と、
を備えることを特徴とする有料道路管理装置。
【請求項3】
前記第2特定情報が、前記基地局装置が備えるセクタアンテナの前記第1特定情報を含む信号の受信状態を示す受信状態情報を含み、
前記利用道路特定手段は、
前記受信状態情報に基づいて、車両が利用した道路を特定することを特徴とする請求項2に記載の有料道路管理装置。
【請求項4】
前記課金手段は、算出された料金を所定の期間積算しておき、所定の期間ごとに課金料金の請求を実行することを特徴とする請求項2または3に記載の有料道路管理装置。
【請求項5】
車両及び車両を運転する運転者の少なくとも一方を特定する第1特定情報と、前記車両が通過した通信エリアを管理する基地局装置を特定する第2特定情報と、を含む基地局情報に基づいて、前記車両が利用した道路を特定する利用道路特定ステップと、
前記利用道路特定ステップにおいて特定された道路の利用に課される料金を算出する課金ステップと、
を含むことを特徴とする有料道路管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−257147(P2010−257147A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−105548(P2009−105548)
【出願日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】