説明

有機エレクトロルミネセントデバイス

本発明は有機エレクトロルミネセントデバイスに関し、これはフルオレン誘導体およびスピロビフルオレン誘導体をりん光発光体のための材料混合物として含む。

【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
本発明は、フルオレンおよびスピロビフルオレン誘導体をマトリクス材料として含むりん光有機エレクトロルミネセントデバイスに関する。
【0002】
異なるタイプの多くの電子的応用のために有機半導体が開発されている。これらの有機半導体が機能的材料として用いられる有機エレクトロルミネセントデバイス(OLED)の構造は、例えばUS 4539507、US 5151629、EP 0676461およびWO 98/27136に記載される。しかしながら、なお更なる改良が必要である。したがって、特に有機エレクトロルミネセントデバイスの寿命、効率および動作電圧についてなお改善の必要がある。化合物は、高い熱安定性および高いガラス転移温度を有し、且つ分解されることなく昇華可能である必要がある。
【0003】
りん光エレクトロルミネセンスの場合は特に、上記特性の改善がなお必要である。良好な効率、長い寿命、および低い動作電圧を同時に提供するりん光発光体のためのマトリクス材料の場合は特に改善の必要がある。一般にマトリクス材料のこれらの特性は、有機エレクトロルミネセントデバイスの寿命および効率を制限している。
【0004】
先行技術に従って、カルバゾール誘導体、例えばビス(カルバゾリル)ビフェニルが一般にマトリクス材料として用いられる。ここで特に、材料の寿命およびガラス転移温度についてはなお改善の必要がある。
【0005】
さらに、ケトン(WO 04/093207)、ホスフィンオキシドおよびスルホン(WO 05/003253)をりん光発光体のためのマトリクス材料として用いる。低い動作電圧および長い寿命は特にケトンにより達成される。ここで特に、効率、およびケトケトネート配位子、例えばアセチルアセトネートを含む金属錯体との適合性に関してはなお改善の必要がある。
【0006】
さらに金属錯体、例えばBAlqまたはビス[2−(2−ベンゾチアゾール)フェノレート]亜鉛(II)が、りん光発光体のためのマトリクス材料として用いられる。ここで特に、動作電圧および化学的安定性に関してはなお改善の必要がある。純粋な有機化合物は一般にこれらの金属錯体よりも安定である。したがって、これらの金属錯体のいくつかは加水分解感受性であり、このことが錯体の取り扱いをより困難にしている。
【0007】
特に、高い効率、長い寿命および低い動作電圧を同時に提供し、且つケトケトネート配位子を保持するりん光発光体とも適合するりん光発光体のためのマトリクス材料の場合は、依然として改善の必要がある。
【0008】
驚くべきことに、フルオレン誘導体、およびトリアジンまたは他の電子不足窒素複素環、特にスピロビフルオレン誘導体により置換される対応する複素環誘導体は、りん光発光体のためのマトリクス材料として非常に適しており、これを使用して高い効率、長い寿命および低い動作電圧を同時に有し、且つケトケトネート配位子を含むりん光発光体を含むOLEDを提供することが見出された。
【0009】
US 6,229,012およびUS 6,225,467は、OLED中の電子輸送材料としてトリアジン基により置換されたフルオレン誘導体を使用することを開示する。しかしながら当該出願は、これらの材料がりん光発光体のためのマトリクス材料としても適切であるということは開示していない。
【0010】
WO 05/053055は、りん光OLED中の正孔阻止材料としてトリアジン誘導体、特にトリアジン基により置換されたスピロビフルオレン誘導体を使用することを開示する。しかしながら当該出願は、これらの材料がりん光発光体のためのマトリクス材料としても適切であるということは開示していない。
【0011】
従って、本発明は有機エレクトロルミネセントデバイスに関し、これは少なくとも1つの発光層に以下を含む、
(A)少なくとも1つのりん光化合物および
(B)式(1)または式(2)の少なくとも1つの化合物
【化1】

【化2】

【0012】
式中、用いられる記号および指数には以下を適用する:
Arは各々の存在について同じまたは異なり、トリアジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ピリジン、ピラゾール、イミダゾール、オキサゾール、オキサジアゾールおよびチアゾールからなる群より選択されるヘテロアリール基であり、その各々は1以上の基Rにより置換されてよい;
Xは各々の存在について同じまたは異なり、式(3)の基であり、式中、破線の結合は各々の場合、2つのベンゼン環への結合を示すか:
【化3】

【0013】
またはXは各々の存在について同じまたは異なり、B(R)、C(R、Si(R、C=C(R、O、S、S=O、SO、N(R)、P(R)およびP(=O)Rから選択される2価の架橋である;
は各々の存在について同じまたは異なり、H、D、F、Cl、Br、I、CHO、N(Ar、C(=O)Ar、P(=O)(Ar、S(=O)Ar、S(=O)Ar、CR=CRAr、CN、NO、Si(R、B(OR、B(R、B(N(R、OSO、1〜40のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシ、もしくはチオアルコキシ基、または2〜40のC原子を有する直鎖アルケニル、もしくはアルキニル基、または3〜40のC原子を有する分枝または環状のアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、その各々は1以上の基Rにより置換されてよく、1以上の非隣接CH基は好ましくはRC=CR、CΞC、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SまたはCONRにより置換されてよく、1以上のH原子はD、F、Cl、Br、I、CNまたはNOにより置換されてよい、または5〜60の芳香環原子を有する芳香族もしくは芳香族複素環系、これは各々の場合に1以上の基Rにより置換されてよい、または5〜60の芳香環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基、これは1以上の基Rにより置換されてよい、またはこれらの系の組合せである;ここで2以上の隣接する置換基Rは単環または多環の脂肪族もしくは芳香族環系を互いに形成してもよい;
Arは各々の存在について同じまたは異なり、5〜30の芳香族原子を有する芳香族もしくは芳香族複素環系であり、これは1以上の基Rにより置換されてよい;ここで同じ窒素、リンまたはホウ素原子に結合する2つの基Arは単結合またはB(R)、C(R、Si(R、C=O、C=NR、C=C(R、O、S、S=O、SO、N(R)、P(R)およびP(=O)Rから選択される架橋により互いに連結してもよい;
は各々の存在について同じまたは異なり、H、Dまたは1〜20のC原子を有する脂肪族、芳香族および/または芳香族複素環炭化水素基であり、ここでさらにH原子はDまたはFにより置換されてよい;ここで2以上の隣接する置換基Rは互いに単環または多環の脂肪族もしくは芳香族環系を形成してもよい;
nは0または1である;
mは0、1、2または3である;
oは、n=0の場合0、1、2、3または4であり、n=1の場合0、1、2または3である。
【0014】
有機エレクトロルミネセントデバイスは、陽極、陰極および、陽極と陰極との間に配置された少なくとも1つの発光層を含むデバイスを意味するものとし、ここで陽極と陰極との間の少なくとも1つの層は、少なくとも1つの有機または有機金属化合物を含む。ここで少なくとも1つの発光層は、少なくとも1つのりん光発光体および少なくとも1つの上記式(1)または(2)の化合物を含む。有機エレクトロルミネセントデバイスは必ずしも有機または有機金属材料から構築される1つの層だけを含んでいなければならないわけではない。したがって、1以上の層が無機材料を含むか、または完全に無機材料から構築されることも可能である。
【0015】
本発明の目的のため、りん光化合物は比較的高いスピン多重度、即ちスピン状態>1の励起状態、特に励起三重項状態から、室温で発光を呈する化合物である。本発明の目的のため、特に発光イリジウムおよび白金化合物はすべてりん光化合物とみなされる。
【0016】
本発明の目的のため、アリール基は少なくとも6つのC原子を含み、本発明の目的のためヘテロアリール基は少なくとも2つのC原子および少なくとも1つのヘテロ原子を含み、但しC原子およびヘテロ原子の合計は少なくとも5である。ヘテロ原子は好ましくはN、Oおよび/またはSから選択される。ここでアリール基またはヘテロアリール基は、単純な芳香環、即ちベンゼン、または単純な複素環、例えばピリジン、ピリミジン、チオフェンなど、または縮合アリールもしくはヘテロアリール基、例えばナフタレン、アントラセン、ピレン、キノリン、イソキノリンなどのいずれかを意味するものとする。
【0017】
本発明の目的のため、芳香族環系は環系に少なくとも6つのC原子を含む。本発明の目的のため、芳香族複素環系は環系に少なくとも2つのC原子および少なくとも1つのヘテロ原子を含み、但しC原子およびヘテロ原子の合計は少なくとも5である。ヘテロ原子は好ましくはN、Oおよび/またはSから選択される。本発明の目的のため、芳香族または芳香族複素環系は、必ずしもアリールまたはヘテロアリール基だけを含むとは限らない系を意味するものとし、ここにおいて代わりに複数のアリールまたはヘテロアリール基が短い非芳香族単位(好ましくは10%未満のH以外の原子)、例えばsp−またはsp−混成C、NまたはO原子などにより中断されてもよい。したがって、系、例えば9,9’−スピロビフルオレン、9,9−ジアリールフルオレン、トリアリールアミン、ジアリールエーテル、スチルベン、ベンゾフェノンなどもまた本発明の目的のため芳香族環系を意味するものとする。同様に芳香族または芳香族複素環系は、その中で複数のアリールまたはヘテロアリール基が単結合により互いに連結する系、例えばビフェニル、テルフェニルまたはビピリジンを意味するものとする。
【0018】
本発明の目的のため、C〜C40アルキル基、ここで個々のH原子またはCH基が上記の基によりさらに置換されてもよい、は特に好ましくは基、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、2−メチルブチル、n−ペンチル、s−ペンチル、tert−ペンチル、2−ペンチル、シクロペンチル、n−ヘキシル、s−ヘキシル、t−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、シクロヘキシル、2−メチルペンチル、n−ヘプチル、2−ヘプチル、3−ヘプチル、4−ヘプチル、シクロヘプチル、1−メチルシクロヘキシル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、シクロオクチル、1−ビシクロ[2.2.2]オクチル、2−ビシクロ[2.2.2]オクチル、2−(2,6−ジメチル)オクチル、3−(3,7−ジメチル)オクチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニル、シクロオクテニル、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニルまたはオクチニルを意味するものとする。C〜C40アルコキシ基は特に好ましくは、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシまたは2−メチルブトキシを意味するものとする。5〜60の芳香環原子を有する芳香族または芳香族複素環系、これは各々の場合に上記基Rにより置換されてもよく、いずれかの所望の位置を介して芳香族または芳香族複素環基に結合してよいが、これは特にベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ベンズアントラセン、ピレン、クリセン、ペリレン、フルオロアントラセン、ベンゾフルオランテン、ナフタセン、ペンタセン、ベンゾピレン、ビフェニル、ビフェニレン、テルフェニル、テルフェニレン、フルオレン、ベンゾフルオレン、ジベンゾフルオレン、スピロビフルオレン、ジヒドロフェナントレン、ジヒドロピレン、テトラヒドロピレン、シスもしくはトランスインデノフルオレン、シスもしくはトランスモノベンゾインデノフルオレン、シスもしくはトランスジベンゾインデノフルオレン、トルキセン、イソトルキセン、スピロイソトルキセン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾ−5,6−キノリン、ベンゾ−6,7−キノリン、ベンゾ−7,8−キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、フェナントリミダゾール、ピリジミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナントロオキサゾール、イソオキサゾール、1,2−チアゾール、1,3−チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、1,5−ジアザアントラセン、2,7−ジアザピレン、2,3−ジアザピレン、1,6−ジアザピレン、1,8−ジアザピレン、4,5−ジアザピレン、4,5,9,10−テトラアザペリレン、ピラジン、フェナジン、フェノキサジン、フェノチアジン、フルオルビン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントロリン、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3−オキサゾール、1,2,4−オキサゾール、1,2,5−オキサゾール、1,3,4−オキサゾール、1,2,3−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,2,5−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾール、1,3,5−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,2,3−トリアジン、テトラゾール、1,2,4,5−テトラジン、1,2,3,4−テトラジン、1,2,3,5−テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジンおよびベンゾチアジアゾールに由来する基を意味するものとする。
【0019】
式(1)および(2)の化合物は、好ましくは70℃より高い、特に好ましくは90℃より高い、特に非常に好ましくは110℃より高いガラス転移温度Tを有する。
【0020】
本発明の好ましい実施形態において、基Xは各々の存在について同じまたは異なり、式(3)の基、またはC(R、Si(RおよびNRから選択される2価の架橋を表わす。本発明の特に好ましい実施形態において、基Xは式(3)の基またはC(Rを表わす。
【0021】
従って式(1)の化合物は特に好ましくは、Xが式(3)の基を表わす場合はスピロビフルオレン誘導体であるか、または基XがC(Rを表わす場合はフルオレン誘導体である。同様に、式(2)の化合物は特に好ましくはスピロビフルオレン誘導体、フルオレン誘導体、またはスピロビフルオレン基およびフルオレン基を含む化合物である。したがって式(4)および(5)のフルオレン誘導体および式(6)および(7)のスピロビフルオレン誘導体は、本発明の特に好ましい実施形態である:
【化4】

【0022】
式中、用いられる記号および指数は上述したのと同じ意味を有する。
【0023】
基Arは電子不足芳香族複素環を示す。基Arは好ましくは、各々の存在について同じまたは異なり、複素六員環、即ちトリアジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、またはピリジンを表わし、その各々は1以上の基Rにより置換されてよい。
【0024】
本発明の好ましい実施形態において、式(1)、(2)および(4)−(7)の化合物における1価の基Arは以下の式(8)−(20)の基から選択され、式中、破線の結合は各々の場合、フルオレンもしくはスピロビフルオレンまたは対応する複素環誘導体への結合を示し、Rは上述したのと同じ意味を有する:
【化5】

【0025】
本発明の好ましい実施形態において、式(2)および(7)の化合物における2価の基Arは、以下の式(21)−(28)の基から選択され、式中、破線の結合は各々の場合、フルオレンもしくはスピロビフルオレンまたは対応する複素環誘導体への結合を示し、Rは上述したのと同じ意味を有する:
【化6】

【0026】
本発明の好ましい実施形態において、基Arは1または2の窒素原子を含む。したがって好ましい1価の基Arは式(8)−(17)の基であり、好ましい2価の基Arは式(21)−(26)の基である。基Arは特に好ましくは3つの窒素原子を含む。したがって特に好ましい1価の基Arは式(8)−(11)の基、特に式(8)の基であり、特に好ましい2価の基Arは式(21)および(22)の基、特に式(21)の基である。
【0027】
本発明のさらに好ましい実施形態において、式(8)−(28)の基に結合する基Rは各々の存在について同じまたは異なり、H、D、1〜10のC原子を有する直鎖アルキルもしくはアルキル基または3〜10のC原子を有する分枝または環状のアルキルもしくはアルコキシ基、その各々は1以上の基Rにより置換されてよく、1以上のH原子はDまたはFにより置換されてよい、または5〜30の芳香環原子を有する芳香族もしくは芳香族複素環系、これは各々の場合1以上の基Rにより置換されてよい、またはこれらの系の組合せを表わす。本発明の特に好ましい実施形態において、式(8)−(28)の基に結合する基Rは各々の存在について同じまたは異なり、HまたはD、1〜5のC原子を有する直鎖アルキル基、または3〜6のC原子を有する分枝もしくは環状のアルキル基、その各々は1以上の基Rにより置換され、1以上のH原子はDまたはFにより置換されてよい、または5〜25の芳香環原子を有する芳香環または芳香族複素環系、これは各々の場合1以上の基Rにより置換されてよい、またはこれらの系の組合せを表わす。式(8)−(28)の基に結合する基Rは特に非常に好ましくは、各々の存在について同じまたは異なり、HまたはDまたは5〜14の芳香環原子を有する芳香族もしくは芳香族複素環系、これは各々の場合1以上の基Rにより置換されてよい、特にフェニル、ナフチルまたはビフェニル、その各々は1以上の基Rにより置換されてよいが好ましくは非置換である、を表わす。
【0028】
本発明のさらに好ましい実施形態において、フルオレンもしくはスピロビフルオレンまたは対応する複素環化合物に直接的に結合する基Rは各々の存在について同じまたは異なり、H、1〜10のC原子を有する直鎖アルキルもしくはアルコキシ基または3〜10のC原子を有する分枝または環状のアルキルもしくはアルコキシ基、その各々は1以上の基Rにより置換されてよく、1以上のH原子はDまたはFにより置換されてよい、または5〜30の芳香環原子を有する芳香族もしくは芳香族複素環系、これは各々の場合1以上の基Rにより置換されてよい、またはこれらの系の組合せを表わす。本発明の特に好ましい実施形態において、フルオレンもしくはスピロビフルオレンまたは対応する複素環化合物に直接的に結合する基Rは各々の存在について同じまたは異なり、H、1〜5のC原子を有する直鎖アルキル基または3〜6のC原子を有する分枝もしくは環状アルキル基、その各々は1以上の基Rにより置換されてよく、1以上のH原子はDまたはFにより置換されてよい、または5〜25の芳香環原子を有する芳香族もしくは芳香族複素環系、これは各々の場合1以上の基Rにより置換されてよい、を表わす。
【0029】
本発明のさらに好ましい実施形態において、基Arはフルオレンもしくはスピロビフルオレンまたは対応する複素環の2位で結合する。1を超える基Arが存在する場合、他の基Arは好ましくは7位で、スピロビフルオレン誘導体中では2’位および7’位でも結合する。したがって、式(1)、(2)および(4)−(7)の特に好ましい化合物は式(29)−(32)の化合物である:
【化7】

【0030】
式中、記号および指数は上述したのと同じ意味を有し、n=0の場合、置換基Rは対応する位置に結合してもよい。式(29)および(30)の化合物の好ましい実施形態は、XがC(Rを表わす化合物である。
【0031】
式(1)、(2)、(4)−(7)および(29)−(32)の化合物の好ましい実施形態において、指数m=0、即ちこのベンゼン環に基Ar以外にさらなる置換基は結合しない。
【0032】
式(1)、(2)、(4)−(7)および(29)−(32)の化合物のさらに好ましい実施形態において、各々のベンゼン環について指数の合計n+o=0または1、即ち最高1つの基Arまたは最高1つの基Rが各々のベンゼン環に結合する。
【0033】
式(29)−(32)の化合物の好ましい実施形態は、Arが上記式(8)−(28)の基を表わす化合物である。
【0034】
本発明の特に非常に好ましい実施形態において、式(29)−(32)の化合物中の基Arは式(8)または式(21)の基を表わす。さらに特に好ましくは、これらの化合物において、各々のベンゼン環についてm=0且つn+o=0または1である。したがって特に非常に好ましいのは、式(33)−(36)の化合物である:
【化8】

【0035】
式中、用いられる記号および指数は上述の意味を有し、さらに各々のベンゼン環についてn+o=0または1であり、n=0且つo=1の場合、基Rはベンゼン環上のいずれかの所望の自由な部位に結合してよい。式(33)および(34)の化合物の好ましい実施形態は、XがC(Rを表わすものである。
【0036】
特に好ましいのは、式(35)および(36)のスピロビフルオレン誘導体、特に式(35)のスピロビフルオレン誘導体である。式(35)の化合物は特に非常に好ましくは、1または2のトリアジン基を含む。従って式(35)の化合物は特に好ましくは、式(37)、(38)および(39)の化合物から選択される:
【化9】

【0037】
式中、用いられる記号は上述した意味を有し、oは各々の存在について同じまたは異なり、0または1を表わす。
【0038】
式(1)、(2)、(4)−(7)および(29)−(39)の好ましい化合物の例は、以下に示す構造(1)−(96)である。
【化10−1】

【化10−2】

【化10−3】

【化10−4】

【化10−5】

【化10−6】

【0039】
式(1)の化合物は、例えばUS 6,229,012、US 6,225,467およびWO 05/053055に記載される方法により合成され得る。一般に、金属触媒カップリング反応、特にトリアジンを例として以下のスキーム1に示すSuzukiカップリングが化合物の合成に適している。したがって、その各々がボロン酸またはボロン酸誘導体により置換されるフルオレン、スピロビフルオレンまたは他の複素環誘導体は、パラジウム触媒により基Arに結合させることができ、ここで式(1)の化合物については1つの反応遊離基、式(2)の化合物については2つの反応遊離基により置換される。適切な反応遊離基は例えば、ハロゲン、特に塩素、臭素およびヨウ素、トリフレートまたはトシレートである。
【0040】
スキーム1:
【化11】

【0041】
上記の通り、式(1)および(2)の化合物はりん光発光体マトリクス材料として用いられる。
【0042】
適切なりん光化合物は特に、適切な励起によって好ましくは可視領域で発光し、さらに20より大きい、好ましくは38より大きく84未満、特に好ましくは56より大きく80未満の原子番号を有する少なくとも1つの原子を含む化合物である。用いられるりん光発光体は好ましくは、銅、モリブデン、タングステン、レニウム、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金、銀、金またはユーロピウムを含む化合物、特に好ましくはイリジウムまたは白金を含む化合物である。
【0043】
特に好ましい有機エレクトロルミネセントデバイスは、りん光発光体として式(40)−(43)の少なくとも1つの化合物を含む:
【化12】

【0044】
式中、Rは式(1)および(2)について上述したのと同じ意味を有し、用いられる他の記号には以下を適用する:
DCyは各々の存在について同じまたは異なり、環状基であり、これは少なくとも1つのドナー原子、好ましくは窒素、カルベンの形態の炭素、またはリンを含み、これを介して環状基が金属に結合し、これは同様に1以上の置換基Rを保持してよい;基DCyおよびCCyは共有結合を介して互いに結合する;
CCyは各々の存在について同じまたは異なり、環状基であり、これは炭素原子を含み、これを介して環状基が金属に結合し、これは同様に1以上の置換基Rを保持してよい;
Aは各々の存在について同じまたは異なり、1価陰イオン性の二座キレート配位子、好ましくはジケトネート配位子である。
【0045】
複数の基R間での環系の形成のため、基DCyおよびCCyの間には架橋が存在してもよい。
【0046】
上記発光体の例は、出願WO 00/70655、WO 01/41512、WO 02/02714、WO 02/15645、EP 1191613、EP 1191612、EP 1191614およびWO 05/033244により示される。一般に先行技術に従ってりん光OLEDに用いられ、有機エレクトロルミネセント分野の当業者にとって既知であるりん光錯体のすべてが適切であり、当業者は進歩性なしにさらなるりん光錯体を用いることができるだろう。
【0047】
陰極、陽極および1以上の発光層以外に、有機エレクトロルミネセントデバイスはさらなる層を含んでもよい。例えばこれらは各々の場合、1以上の正孔注入層、正孔輸送層、正孔阻止層、励起子阻止層、電荷発生層(IDMC2003,Taiwan;Session21 OLED(5),T.Matsumoto,T.Nakada,J.Endo,K.Mori,N.Kawamura,A.Yokoi,J.Kido,Multiphoton Organic EL Device Having Charge Generation Layer)および無機p/n接合部から選択される。さらに、デバイス中で電荷バランスを制御する中間層が存在してもよい。さらに層のドーピングが、改善された電荷輸送のため有利であってよい。しかしながら、これらの層の各々が必ずしも存在しなければならないわけではなく、層の選択は常に用いられる化合物に依存する。
【0048】
本発明のさらなる好ましい実施形態において、有機エレクトロルミネセントデバイスは複数の発光層を含み、ここで少なくとも1つの発光層は式(1)または式(2)の少なくとも1つの化合物、および少なくとも1つのりん光発光体を含む。発光層は特に好ましくは、380nm〜750nmに合計複数の発光極大を有し、これにより全体として白色の発光が得られる、即ち発光層では、蛍光またはりん光を発することができ、青色および黄色、オレンジまたは赤色の光を発光する種々の発光材料が用いられる。特に好ましいのは3層系、即ち3つの発光層を有する系であり、ここでこれらの層のうちの少なくとも1つは式(1)または式(2)の少なくとも1つの化合物および少なくとも1つのりん光発光体を含み、3つの層は青色、緑色およびオレンジまたは赤色を呈する(基本的な構造についてはWO 05/011013を参照されたい)。3つより多い発光層の使用が好ましい。同様に白色発光に適切なのは広帯域の発光を有し、故に白色発光を呈する発光体である。
【0049】
式(1)および式(2)の化合物ならびにりん光発光体の混合物を含む発光層は好ましくは、発光体とマトリクス材料の混合物全体に基づき99〜50体積%、好ましくは98〜50体積%、特に好ましくは97〜60体積%、特に95〜85体積%の式(1)または式(2)の化合物を含む。
【0050】
好ましいのはさらに、混合物として複数のマトリクス材料を用いることであり、ここで1つのマトリクス材料は式(1)または(2)の化合物から選択される。式(1)および式(2)の化合物は、電子不足窒素複素環Arのため、主に電子輸送特性を有する。したがって2以上のマトリクス材料が用いられる場合、混合物のさらなる化合物は好ましくは正孔輸送化合物である。好ましい正孔伝導マトリクス材料はトリアリールアミン、カルバゾール誘導体、例えばCBP(N,N−ビスカルバゾリルビフェニル)またはカルバゾール誘導体、例えばWO 05/039246、US 2005/0069729、JP 2004/288381、EP 1205527またはWO 08/086851に開示されるカルバゾール誘導体、例えばEP 1617710、EP 1617711、EP 1731584、JP 2005/347160に従うアザカルバゾール、例えばWO 07/137725に従う双極性マトリクス材料、および例えば未公開の出願DE 102008017591.9に従う9,9−ジアリールフルオレン誘導体である。マトリクス材料の混合物は2以上のマトリクス材料を含んでもよい。さらに式(1)または式(2)のマトリクス材料を、さらなる電子輸送マトリクス材料とともに混合物として用いることも可能である。好ましいさらなる電子輸送マトリクス材料は、例えばWO 04/093207に従うケトン、例えばDE 102008033943.1に従うテトラアリールケトン、例えばWO 05/003253に従うホスフィンオキシド、スルホキシドならびにスルホン、オリゴフェニレン、例えばWO 07/137725に従う双極性マトリクス材料、例えばWO 05/111172に従うシラン、9,9−ジアリールフルオレン誘導体(例えば未公開の出願DE 102008017591.9に従う)、アザボロルまたはボロン酸エステル(例えばWO 06/117052に従う)である。
【0051】
好ましいのはさらに、有機エレクトロルミネセントデバイスであり、これは1以上の層が昇華プロセスにより適用されることを特徴とし、ここにおいて材料は真空昇華ユニット内で初期圧力10−5 mbar未満、好ましくは10−6mbar未満で蒸着される。しかしながら、圧力はより低い、例えば10−7mbar未満であってもよい。
【0052】
好ましいのは同様に、有機エレクトロルミネセントデバイスであり、これは1以上の層をPVPD(有機気相堆積)プロセスにより、またはキャリアガス昇華を用いて適用することを特徴とし、ここにおいて材料は10−5 mbar〜1 barの圧力で適用される。この方法の特別な場合はOVJP(有機蒸気ジェット印刷)プロセスであり、ここにおいて材料はノズルから直接的に適用され、それにより構造化される(例えばM.S.Arnold et al.,Appl.Phys.Lett.2008,92,053301)。
【0053】
好ましいのはさらに有機エレクトロルミネセントデバイスであり、これは1以上の層が溶液から、例えばスピンコーティングにより、または何れかの所望の印刷プロセス、例えばスクリーン印刷、フレキソ印刷もしくはオフセット印刷などにより製造されることを特徴とするが、特に好ましくはLITI(光誘起熱イメージング、熱転写印刷)またはインクジェット印刷である。この目的のために溶解性の化合物が必要である。化合物の適切な置換により高い溶解度が達成され得る。ここで個々の材料の溶液だけでなく、複数の化合物、例えばマトリクス材料とドーパントとを含む溶液も適用され得る。
【0054】
有機エレクトロルミネセントデバイスもまた、溶液から1以上の層を適用することにより、または1以上の他の層を蒸着することによりハイブリッドシステムとして製造され得る。したがって例えば、式(1)または(2)の化合物およびりん光ドーパントを含む発光層を溶液から適用すること、および上に真空蒸着によって正孔阻止層および/または電子輸送層を適用することが可能である。式(1)または(2)の化合物およびりん光ドーパントを含む発光層は同様に真空蒸着により適用されてよく、1以上の他の層は溶液から適用されてよい。
【0055】
一般にこれらのプロセスは当業者にとって既知であり、当業者により問題なく式(1)もしくは(2)の化合物または上記の好ましい実施形態を含む有機エレクトロルミネセントデバイスに適用し得る。
【0056】
本発明はさらに、少なくとも1つのりん光発光体および少なくとも1つの式(1)または式(2)の化合物を含む混合物に関する。
【0057】
本発明はさらに、少なくとも1つのりん光発光体および少なくとも1つの式(1)または式(2)の化合物の混合物、ならびに少なくとも1つの有機溶媒を含む溶液に関する。
【0058】
本発明はさらに、有機エレクトロルミネセントデバイス中でりん光発光体のためのマトリクス材料として式(1)または式(2)の化合物を使用することに関する。
【0059】
本発明に従う有機エレクトロルミネセントデバイスは、先行技術に対して以下の驚くべき利点を有する:
1.本発明に従う有機エレクトロルミネセントデバイスは非常に高い効率を有する。
【0060】
2.本発明に従う有機エレクトロルミネセントデバイスは同時に改善された寿命を有する。
【0061】
3.本発明に従う有機エレクトロルミネセントデバイスは同時に低減された動作電圧を有する。
【0062】
4.有機エレクトロルミネセントデバイスの上記の改善された特性は、トリス−オルソ−メタレート化(metallated)金属錯体だけでなく、特にケトケトネート配位子、例えばアセチルアセトネートをも含む錯体によっても得られる。特にこのタイプの錯体について、先行技術に従うマトリクス材料は効率、寿命および動作電圧に関して依然として改善の必要がある。
【0063】
本発明は以下の例によってより詳細に記載され、それによって限定されることを意図しない。当業者は進歩性なしに、本発明に従ってさらなる化合物を調製し、それらを有機電子デバイスにおいて用いることができるだろう。
【0064】
例:
特に示さない限り、以下の合成は保護ガス雰囲気下、乾燥溶媒中で行われる。出発物質はALDRICHから購入し得る(フッ化カリウム(スプレー乾燥した)、トリ−tert−ブチルホスフィン、パラジウム(II)アセテート)。3−クロロ−5,6−ジフェニル−1,2,4−トリアジンは、EP 577559と同様にして調製され得る。2’,7’−ジ−tert−ブチルスピロ−9,9’−ビフルオレン−2,7−ビスボロン酸グリコールエステルはWO 02/077060に従って、2−クロロ−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジンはUS 5,438,138に従って合成し得る。スピロ−9,9’−ビフルオレン−2,7−ビス(ボロン酸グリコールエステル)はWO 02/077060と同様にして合成し得る。
【0065】
例1:2,7−ビス(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−2’,7−tert−ブチルスピロ−9,9’−ビフルオレン(TRIAZINE1)の合成
【化13】

【0066】
2’,7’−ジ−tert−ブチルスピロ−9,9’−ビフルオレン−2,7−ビスボロン酸グリコールエステル28.4 g(50.0 mmol)、2−クロロ−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン29.5 g(110.0 mmol)およびリン酸三カリウム44.6 g(210.0 mmol)をトルエン500 ml、ジオキサン500 ml、水500 mlに懸濁し、反応混合物を還流下16時間加熱する。冷却後、有機層を分離し、シリカゲルにより濾過し、200 mlの水により3回洗浄し、続いて蒸発乾固する。残渣をトルエンおよびジクロロメタン/イソプロパノールから再結晶し、最後に高真空(p=5×10−5 mbar、T=385℃)で昇華する。収率は39.9 g(44.8 mmol)であり、これは理論的に89.5%に相当する。
【0067】
例2:2,7−ビス(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)スピロ−9,9’−ビフルオレン(TRIAZINE2)の合成
【化14】

【0068】
合成は例1と同様にして行われ、これはスピロ−9,9’−ビフルオレン−2,7−ビス(ボロン酸グリコールエステル)22.8 gにより置換されたブチルスピロ−9,9’−ビフルオレン−2,7−ビス(ボロン酸グリコールエステル)による。収率は32.3 g(41.5 mmol)であり、これは理論的に82.9%に相当する。
【0069】
例3:2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)スピロ−9,9’−ビフルオレン(TRIAZINE3)の合成
【化15】

【0070】
a)スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−ボロン酸の合成
n−ブチルリチウム73.7 ml(184 mmol)(ヘキサン中、2.5 M)を、2−ブロモ−スピロビフルオレン71 g(180 mmol)の950 mlジエチルエーテル溶液に滴下し、−78℃に冷却する。反応混合物を−78℃で30分攪拌する。混合物を室温まで戻し、再び−78℃に冷却し、次に50 mlジエチルエーテル中にトリメチルボレート26.4 ml(234 mmol)の混合物をすばやく添加する。−10℃まで温めた後、混合物を分離し、水によって洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、蒸発乾固する。残渣を200 mlのヘプタンに入れ、無色の固体を吸引により濾過し、n−ヘプタンにより洗浄し、真空中で乾燥する。収率:63 g(170 mmol)、理論的に98%;H−NMRによると98%。
【0071】
b)2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)スピロ−9,9’−ビフルオレン
合成は例1と同様にして行われ、これはスピロ−9,9’−ビフルオレン−2−ボロン酸25 g(50 mmol)により置換された2’,7’−ジ−tert−ブチルスピロ−9,9’−ビフルオレン−2,7−ビス(ボロン酸グリコールエステル)による。収率は38 g(41.5 mmol)であり、これは理論的に95.0%に相当する。
【0072】
例4:トリアジン化合物を含む有機エレクトロルミネセントデバイスの製造および特性決定
本発明に従うエレクトロルミネセントデバイスは、例えばWO 05/003253に記載される通り製造することができる。ここでは種々のOLEDに関する結果を比較する。より良好な比較のため、基本的な構造、ドーピングの程度およびその層の厚さは同一である。
【0073】
例5−7、12および15は先行技術に従う比較基準を記載し、ここにおいて発光層はホスト材料(またはマトリクス材料)であるビス(9,9’−スピロビフルオレン−2−イル)ケトン(SK)もしくはBAlqまたは50:50のSK:CBP混合物、および種々のゲスト材料(ドーパント)、赤色三重項発光のためのTERもしくは緑色三重項発光のためのTEGからなる。さらに、ホスト材料としてフルオレントリアジン誘導体またはスピロビフルオレントリアジンを含むOLEDが記載される。以下の構造を有するOLEDは上記一般的な方法と同様にして製造される:
正孔注入層(HIL) 20 nmの2,2’,7,7’−テトラキス(ジ−パラ−トリルアミノ)スピロ−9,9’−ビフルオレン
正孔輸送層(HTL) 20 nmのNPB(N−ナフチル−N−フェニル−4,4’−ジアミノビフェニル)
発光層(EML) 40 nmのホスト材料:スピロケトン(SK)(ビス(9,9’−スピロビフルオレン−2−イル)ケトン)またはBAlq((1,1’−ビフェニル−4’−オキシ)ビス(8−ヒドロキシ−2−メチルキノリナート)アルミニウム)、または比較として、均等な割合で混合したSKおよびCBP(4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)ビフェニル)または本発明に従う化合物。ドーパント:15体積%ドーピング;化合物は以下を参照のこと
正孔阻止層(HBL) 10 nmのSK(任意)
電子伝導体 20 nmのAlQ(トリス(キノリナート)アルミニウム(III))
陰極 1 nmのLiF、上部に100 nmのAl。
【0074】
明確にするため、TER−1、TER−2、TEG、AK、BAlq、CBPの構造を以下に示す。
【化16】

【0075】
用いられるトリアジン、TRIAZINE2およびTRIAZINE3は、例2および3で上述した構造を有する。
【0076】
まだ最適化されていないこれらのOLEDは、標準的な方法により特性が決定される;この目的のため、エレクトロルミネセンススペクトル、発光機能としての効率(cd/Aにより測定される)、動作電圧、これは電流−電圧−輝度特性線(IUL特性線)および寿命を決定する。
【0077】
表1および3に示される通り、ホスト材料SKまたはBAlqを含む比較デバイスと比べて、測定された効率、電圧および寿命について優れた挙動を示す。さらに、表2はTRIAZINE2およびTRIAZINE3がカルバゾール含有ホスト材料(ここでCBP)とともに混合されたホストを形成するために非常に適していることを示している。
【表1】

【表2】

【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの発光層に以下を含む有機エレクトロルミネセントデバイス、
(A)少なくとも1つのりん光化合物および
(B)式(1)または式(2)の少なくとも1つの化合物
【化1】

【化2】

式中、用いられる記号および指数には以下を適用する:
Arは各々の存在について同じまたは異なり、トリアジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ピリジン、ピラゾール、イミダゾール、オキサゾール、オキサジアゾールおよびチアゾールからなる群より選択されるヘテロアロール基であり、その各々は1以上の基Rにより置換されてよい;
Xは各々の存在について同じまたは異なり、式(3)の基であり、式中、破線の結合は各々の場合、2つのベンゼン基への結合を示すか:
【化3】

またはXは各々の存在について同じまたは異なり、B(R)、C(R、Si(R、C=C(R、O、S、S=O、SO、N(R)、P(R)およびP(=O)Rから選択される2価の架橋である;
は各々の存在について同じまたは異なり、H、D、F、Cl、Br、I、CHO、N(Ar、C(=O)Ar、P(=O)(Ar、S(=O)Ar、S(=O)Ar、CR=CRAr、CN、NO、Si(R、B(OR、B(R、B(N(R、OSO、1〜40のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、または2〜40のC原子を有する直鎖アルケニルもしくはアルキニル基、または3〜40のC原子を有する分枝または環状のアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、その各々は1以上の基Rにより置換され、好ましくは1以上の非隣接基はRC=CR、CΞC、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SまたはCONRにより置換されてよく、1以上のH原子はD、F、Cl、Br、I、CNまたはNOにより置換されてよい、または5〜60の芳香環原子を有する芳香族もしくは芳香族複素環系、ここで各々の場合1以上の基Rにより置換されてよい、または5〜60の芳香環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基、これは1以上の基Rにより置換されてよい、またはこれらの系の組合せである;ここで2以上の隣接する置換基Rは単環または多環の脂肪族もしくは芳香族環系を互いに形成してもよい;
Arは各々の存在について同じまたは異なり、5〜30の芳香族環原子を有する芳香族もしくは芳香族複素環系、これは1以上の基Rにより置換されてよい;ここで同じ窒素、リンまたはホウ素原子に結合する2つの基Arもまた単結合、またはB(R)、C(R、Si(R、C=O、C=NR、C=C(R、O、S、S=O、SO、N(R)、P(R)およびP(=O)Rから選択される架橋により互いに連結してもよい;
は各々の存在について同じまたは異なり、H、Dまたは1〜20のC原子を有する脂肪族、芳香族および/または芳香族複素環炭化水素基であり、ここでさらにH原子はDまたはFにより置換されてよい;ここで2以上の隣接する置換基Rは互いに単環または多環の脂肪族もしくは芳香環を形成してもよい;
nは0または1である;
mは0、1、2または3である;
oは、n=1の場合、0、1、2、3であり、n=1の場合0、1、2または3である。
【請求項2】
請求項1に記載の有機エレクトロルミネセントデバイスであって、式(1)または式(2)の化合物が、式(4)もしくは式(5)のフルオレン誘導体、または式(6)もしくは式(7)のスピロビフルオレン誘導体であることを特徴とする有機エレクトロルミネセントデバイス:
【化4】

式中、用いられる記号および指数は請求項1に記載したのと同じ意味を有する。
【請求項3】
請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネセントデバイスであって、1価の基Arが式(8)−(20)の基から選択され、破線は各々の場合、フルオレンもしくはスピロビフルオレンまたは対応する複素環誘導体への当該基の結合を示し、Rは請求項1に記載したのと同じ意味を有することを特徴とし、式(2)、(5)および(7)の化合物における2価の基Arが式(21)−(28)の基から選択され、破線は各々の場合、フルオレンもしくはスピロビフルオレンまたは対応する複素環誘導体への当該基の結合を示し、Rは請求項1に記載したのと同じ意味を有する:
【化5】

【請求項4】
請求項3に記載の有機エレクトロルミネセントデバイスであって、式(8)−(28)の基に結合する基Rは各々の存在について同じまたは異なり、HまたはD、1〜10のC原子を有する直鎖アルキルもしくはアルコキシ基または3〜10のC原子を有する分枝または環状のアルキルもしくはアルコキシ基、その各々は1以上の基Rにより置換されてよく、1以上のH原子はDまたはFにより置換されてよい、または5〜30の芳香環原子を有する芳香族もしくは芳香族複素環系、これは各々の場合1以上の基Rにより置換されてよい、またはこれらの系の組合せを表わす有機エレクトロルミネセントデバイス。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項以上に記載の有機エレクトロルミネセントデバイスであって、式(1)、(2)もしくは(4)−(5)の化合物が式(29)−(32)の化合物から選択されることを特徴とする有機エレクトロルミネセントデバイス:
【化6】

式中、記号および指数は請求項1に記載したのと同じ意味を有し、n=0の場合、置換基Rは対応する位置に結合してもよい。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項以上に記載の有機エレクトロルミネセントデバイスであって、各々のベンゼン環において指数m=0であること、および指数の合計n+o=0または1であることを特徴とする有機エレクトロルミネセントデバイス。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項以上に記載の有機エレクトロルミネセントデバイスであって、式(1)または式(2)の化合物が式(33)−(36)の化合物から選択されることを特徴とする有機エレクトロルミネセントデバイス:
【化7】

式中、用いられる記号および指数は請求項1に記載した意味を有し、さらに各々のベンゼン環についてn+o=0または1であり、n=0且つo=1の場合、基Rはベンゼン環上のいずれかの所望の自由な部位に結合してよい。
【請求項8】
請求項7に記載の有機エレクトロルミネセントデバイスであって、式(35)の化合物は式(37)、(38)および(39)の化合物から選択されることを特徴とする有機エレクトロルミネセントデバイス:
【化8】

式中、用いられる記号は上述した意味を有し、oは各々の存在について同じまたは異なり、0または1を表わす。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項以上に記載の有機エレクトロルミネセントデバイスであって、りん光化合物が、銅、モリブデン、タングステン、レニウム、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金、銀、金、またはユーロピウムを含む化合物、特にイリジウムまたは白金を含む化合物であることを特徴とする有機エレクトロルミネセントデバイス。
【請求項10】
請求項9に記載の有機エレクトロルミネセントデバイスであって、りん光化合物が式(40)−(43)の化合物から選択されることを特徴とする有機エレクトロルミネセントデバイス:
【化9】

式中、Rは請求項1に記載したのと同じ意味を有し、用いられる他の記号には以下を適用する:
DCyは各々の存在について同じまたは異なり、環状基であり、これは少なくとも1つのドナー原子、好ましくは窒素、カルベンの形態の炭素、またはリンを含み、これを介して環状基が金属に結合し、これは同様に1以上の置換基Rを保持してよい;基DCyおよびCCyは共有結合を介して互いに結合する;
CCyは各々の存在について同じまたは異なり、環状基であり、これは炭素原子を含み、これを介して環状基が金属に結合し、これは同様に1以上の置換基Rを保持してよい;
Aは各々の存在について同じまたは異なり、1価陰イオン性の二座キレート配位子、好ましくはジケトネート配位子である。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項以上に記載の有機エレクトロルミネセントデバイスであって、陽極、陰極および少なくとも1つの発光層以外に、各々の場合1以上の正孔注入層、正孔輸送層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層、電子阻止層、励起子阻止層、電荷発生層、中間層および/または有機もしくは無機p/n接合部から選択されるさらなる層を含み、ここで層は各々の場合ドープされてもよいことを特徴とする有機エレクトロルミネセントデバイス。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項以上に記載の有機エレクトロルミネセントデバイスであって、発光層はりん光化合物および式(1)または(2)の化合物に加え、1以上のさらなる化合物、特に正孔輸送化合物、これは好ましくはトリアリールアミン、カルバゾール誘導体、アザカルバゾール、および双極性マトリクス材料から選択される、をも含むことを特徴とする有機エレクトロルミネセントデバイス。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項以上に記載の有機エレクトロルミネセントデバイスの製造方法であって、1以上の層が昇華プロセスにより、OVPD(有機気相堆積)プロセスにより、キャリアガス昇華により、OVJP(有機蒸気ジェット印刷)プロセスにより、溶液から、または印刷プロセスにより製造されることを特徴とする製造方法。
【請求項14】
請求項1でりん光化合物のためのマトリクス材料として規定した式(1)および(2)の化合物の有機エレクトロルミネセントデバイスにおける使用。
【請求項15】
請求項1で規定した式(1)または(2)の少なくとも1つの化合物、および少なくとも1つのりん光化合物を含む混合物。
【請求項16】
請求項15に記載の混合物および少なくとも1つの有機溶媒を含む溶液。

【公表番号】特表2011−530802(P2011−530802A)
【公表日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−521448(P2011−521448)
【出願日】平成21年7月8日(2009.7.8)
【国際出願番号】PCT/EP2009/004954
【国際公開番号】WO2010/015306
【国際公開日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【出願人】(597035528)メルク パテント ゲーエムベーハー (209)
【Fターム(参考)】