有機エレクトロルミネッセンス表示装置及びその製造方法
【課題】紫外線による有機EL素子の劣化を防止することができ、かつ光硬化性樹脂を十分に硬化させることができる有機EL表示装置及びその製造方法を得る。
【解決手段】基板1の主面上に複数の有機EL素子を配置してなる有機EL素子パネルと、有機EL素子パネルの主面側と対向して配置される封止パネルであって、有機EL素子に対応して設けられたカラーフィルタ層11または色変換層、及び該カラーフィルタ層11または色変換層の周囲に設けられるブラックマトリックス層12が透光性の封止基板の対向側の面上に設けられた封止パネルとを、光硬化性樹脂9で貼り合わせた構造を有する有機エレクトロルミネッセンス表示装置において、ブラックマトリックス層12に、光硬化性樹脂9を硬化させる紫外線を導入するための開口部13が形成されていることを特徴としている。
【解決手段】基板1の主面上に複数の有機EL素子を配置してなる有機EL素子パネルと、有機EL素子パネルの主面側と対向して配置される封止パネルであって、有機EL素子に対応して設けられたカラーフィルタ層11または色変換層、及び該カラーフィルタ層11または色変換層の周囲に設けられるブラックマトリックス層12が透光性の封止基板の対向側の面上に設けられた封止パネルとを、光硬化性樹脂9で貼り合わせた構造を有する有機エレクトロルミネッセンス表示装置において、ブラックマトリックス層12に、光硬化性樹脂9を硬化させる紫外線を導入するための開口部13が形成されていることを特徴としている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透光性の封止基板を貼り合わせるトップエミッション型の有機エレクトロルミネッセンス表示装置(有機EL表示装置)及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、情報機器の多様化に伴い、一般に使用されているCRT(陰極線管)に比べて消費電力が少ない平面表示素子に対するニーズが高まってきている。このような平面表示素子の一つとして、高効率・薄型・軽量・低視野角依存性等の特徴を有する有機エレクトロルミネッセンス(以下、有機ELと略す)素子が注目され、この有機EL素子を用いたディスプレイの開発が進められている。
【0003】
有機EL素子の中でも、発光層として有機材料を用いた有機EL素子は、発光材料である蛍光物質を選択することにより発光色を変化させることができ、マルチカラー、フルカラー等の表示装置への応用に対する期待が高まっている。また、有機EL素子は低電圧で面発光できるため、液晶表示装置等のバックライトとして利用することも可能である。
【0004】
上記の有機EL素子は、現在のところ、デジタルカメラや携帯電話等の小型ディスプレイへの応用が進んでいる段階である。
【0005】
有機EL素子は、薄膜トランジスタ(TFT)を設けた基板上に、第一電極、ホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層などの有機層と第二電極が順に積層されたものが知られている。発光層で発光した光は、TFT基板側から取出される場合と第2電極側から取出される場合がある。後者の場合、TFT基板上の配線に関係なく光が取出すことができるので、開口率を上げることが可能である。また、さらに開口率を上げる為に、画素サイズを大きくとると、フルカラーの有機EL表示装置を作成する時、RGBの塗り分け方式では、蒸着マスクの精度に限界があり困難である。そこで、塗り分けマスクを用いないで単色発光層を作製し、カラーフィルタまたは色変換層(Color changing mediams;CCM)を用いてRGBの発光色に変換する手法が有望である。
【0006】
特許文献1では、基板上に蛍光物質を含む蛍光変換層及び/又はカラーフィルタ層と有機層とバリア層と有機EL構造体とを順次有し、有機層が紫外線硬化樹脂または紫外線硬化樹脂であることを特徴とした素子構造が提案されている。しかし、このような構造では熱硬化樹脂を使用した場合、有機EL基板と基板上に形成したカラーフィルタもしくは蛍光変換層との位置合せが困難となる。なぜなら、熱硬化時に、熱硬化樹脂の粘度が低下するため、基板同士が動きやすくなるからである。また、紫外線硬化樹脂を使用した場合においても、カラーフィルタを通して紫外線を照射して硬化させるが、カラーフィルタの透過率が紫外線の波長365nm域においてはほぼゼロに近い為に、紫外線硬化樹脂を硬化せせることは困難であった。
【0007】
上記問題を解決するために、特許文献2では、外周部に仮固定用の紫外線硬化型樹脂を用いて、それ以外の場所は熱硬化樹脂を用いた構造が提案されている。また、特許文献3では、赤色カラーフィルタと青色カラーフィルタの300〜430nm領域の透過率を10%以上にすることと、緑色カラーフィルタに、カラーフィルタがない開口部を設けることで、紫外線を透過させて紫外線硬化樹脂を硬化させる手法が提案されている。
【0008】
特許文献2の方法では、熱硬化時の粘度低下による位置ズレは抑制されるものの、熱硬化樹脂特有の問題は回避することができない。熱硬化樹脂は、1液タイプと2液タイプがある。1液タイプは、熱硬化温度が高く、有機EL素子にダメージを与える。2液タイプは、熱硬化温度は低いものの、2液を混合する為に気泡が混入する恐れがある。また、攪拌後、可使時間が短いために粘度上昇などが生じ、基板同士を均一に貼り合せるのは困難である。
【0009】
特許文献3の方法では、赤色カラーフィルタと青色カラーフィルタで紫外線の透過率が1/10になるため、紫外線硬化樹脂に照射する紫外線量を10倍にする必要があり、それに伴う発熱や紫外線による有機EL素子の劣化が発生するおそれがある。特に緑色カラーフィルタでは、カラーフィルタがない開口部を設けているので、紫外線による有機EL素子の劣化が顕著に現れる。
【特許文献1】特開平11−260562号公報
【特許文献2】特開2003−203762号公報
【特許文献3】特開2003−86358号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、有機EL素子パネルと封止パネルを光硬化性樹脂で貼り合わせた構造を有する有機EL表示装置であって、光硬化性樹脂を硬化させるため照射する紫外線による有機EL素子の劣化を防止することができ、かつ光硬化性樹脂を十分に硬化させることができる有機EL表示装置及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、基板の主面上に複数の有機EL素子を配置してなる有機EL素子と、有機EL素子パネルの主面側と対向して配置される封止パネルであって、有機EL素子に対応して設けられたカラーフィルタ層または色変換層、及び該カラーフィルタ層または色変換層の周囲に設けられるブラックマトリックス層が透光性の封止基板の対向側の面上に設けられた封止パネルとを、光硬化性樹脂で貼り合わせた構造を有する有機エレクトロルミネッセンス表示装置において、ブラックマトリックス層に、光硬化性樹脂を硬化させる紫外線を導入するための開口部が形成されていることを特徴としている。
【0012】
本発明のより限定された局面は、基板上に各画素を駆動するための駆動回路を設け、該駆動回路上に第1の電極を各画素毎に設け、該第1の電極間を覆うように画素分離膜を形成し、該第1の電極及び該画素分離膜の上に、発光層を含む有機層、透光性の第2の電極、及び保護膜を順次積層して形成される有機EL素子パネルと、有機EL素子パネルの保護膜に対向して配置される封止パネルであって、各画素に対応して設けられるカラーフィルタ層または色変換層、及び該カラーフィルタ層または色変換層の周囲に設けられるブラックマトリックス層が透光性の封止基板の対向側の面の上に設けられた封止パネルとを、光硬化性樹脂で貼り合わせた構造を有する有機EL表示装置において、ブラックマトリックス層に、光硬化性樹脂を硬化させる紫外線を導入するための開口部が形成されていることを特徴としている。
【0013】
本発明によれば、ブラックマトリックス層に、紫外線を導入するための開口部が形成されているので、有機EL素子パネルと封止パネルとを光硬化性樹脂を介して貼り合わせた後、マトリックス層の開口部から内部に紫外線を導入することができ、光硬化性樹脂を十分に硬化させることができる。
【0014】
また、ブラックマトリックス層は、画素と画素の間の境界領域に設けられるものであり、ブラックマトリックス層の下方には画素分離膜が存在しており、この領域には各画素を構成する有機EL素子が存在していないので、有機EL素子に直接紫外線が照射されることはなく、紫外線による有機EL素子の劣化を防止することができる。
【0015】
本発明の有機EL表示装置では、マトリックス層に開口部が設けられているので、有機EL素子で発光した光がこの開口部から外部に漏れるおそれがある。また、明るい場所では、外部から光がこの開口部を通して内部に入り、有機EL素子パネルの基板上に設けられた金属電極で反射するため、表示画像のコントラストが低下するおそれがある。
【0016】
有機EL素子中を導波する光は、画素分離膜表面に入射する。画素分離膜表面に入射した光が全反射した場合、反射光は画素分離膜の側面である傾斜面に沿って反射する。従って、このような反射光がブラックマトリックス層の開口部から出射しないようにするためには、ブラックマトリックス層の開口部を、画素分離膜の側面の延長線上に位置しないように設けることが好ましい。
【0017】
また、ブラックマトリックス層の開口部に、紫外域及び青色域の波長を透過し、緑色域及び赤色域の波長をカットするブルーフィルタを設けてもよい。このようなブルーフィルタを設けることにより、紫外線は透過することができるが、有機EL素子で発光した光や金属電極での反射光などは透過しないようにすることができ、これらの光が外部に出射するのを抑制することができる。
【0018】
また、本発明の有機EL表示装置は、赤色画素領域、緑色画素領域、及び青色画素領域を有する表示装置とすることができ、カラーフィルタ層として、赤色画素に対応した赤色カラーフィルタ層、緑色画素に対応した緑色カラーフィルタ層、青色画素に対応した青色カラーフィルタ層が設けられていてもよい。この場合、ブラックマトリックス層の開口部に、上記ブルーフィルタに代えて、青色カラーフィルタ層または赤色カラーフィルタ層と同じ材料からなる開口部用カラーフィルタを設けてもよい。
【0019】
このような開口部用カラーフィルタを設ける場合、開口部用カラーフィルタと同じ材料からなる青色カラーフィルタ層または赤色カラーフィルタ層をポジ型レジスト材料から形成し、開口部用カラーフィルタを形成する際の露光量を調整することにより、開口部用カラーフィルタの膜厚を青色カラーフィルタ層または赤色カラーフィルタ層の膜厚よりも薄くすることが好ましい。開口部用カラーフィルタの膜厚を薄くすることにより、光硬化性樹脂を硬化させる際に照射する紫外線の透過量を高めることができる。
【0020】
本発明において、有機EL素子パネルの有機層の屈折率をn1、画素分離膜の屈折率をn2とし、画素分離膜の側面が基板の面方向に対してなす角度をθとしたとき、角度θは以下の式を満たすように画素分離膜が形成されていることが好ましい。
asin(n2/n1)−asin(n2/n1sin(90°−θ))≦35°
【0021】
上記の式を満たすように画素分離膜を形成することにより、有機EL素子から発光し、画素分離膜の側面で反射した光が、ブラックマトリックス層の開口部から外部に漏れるのを抑制することができる。
【0022】
また、本発明においては、有機EL素子パネルの有機層の屈折率と、画素分離膜の屈折率とが異なることが好ましく、有機層の屈折率と画素分離膜の屈折率の差を大きくすることにより、画素分離膜の側面で反射した光が、ブラックマトリックス層の画素から外部に漏れるのを低減させることができる。
【0023】
また、画素分離膜を、黒色の光吸収性の材料から形成させることによっても、画素分離膜の側面で反射する光の量を低減することができ、ブラックマトリックス層の開口部から外部に光が漏れるのを低減することができる。
【0024】
本発明の有機EL表示装置の製造方法は、有機EL素子パネルと、封止パネルを光硬化性樹脂を介して貼り合わせた後、ブラックマトリックス層の開口部に紫外線を照射して光硬化性樹脂を硬化させることを特徴としている。
【0025】
本発明の製造方法によれば、ブラックマトリックス層の開口部から紫外線を内部に照射することができるので、有機EL素子パネルと封止パネルとを貼り合わせる際に、これらの接着剤となる光硬化性樹脂を十分に硬化させることができる。
【0026】
本発明の有機EL表示装置は、トップエミッション型の有機EL表示装置であり、駆動回路が設けられる基板と反対側から光が取り出される。従って、基板は透光性基板であってもよいし、非透光性の基板であってもよい。
【0027】
基板上に設けられる駆動回路は、例えば薄膜トランジスタ(TFT)を用いたアクティブマトリックス回路であってもよいし、パッシブマトリックス回路であってもよい。
【0028】
駆動回路の上には、各画素毎に第1の電極が設けられる。第1の電極として、例えば陽極を形成することができる。陽極の材料としては、反射率の高い金属電極(アルミニウム、銀、モリブデン、タングステンまたはそれらの合金)を形成し、この上に透明でかつ仕事関数が高いインジウムスズ酸化物(ITO)または、インジウム亜鉛酸化物(IZO)などの透明導電膜を形成し、陽極とすることが好ましい。
【0029】
本発明においては、第1の電極の上に、発光層を含む有機層、透光性の第2の電極が形成される。第1の電極を陽極とし、第2の電極を陰極とした場合、発光層を含む有機層からなる有機EL素子構造として、以下のようなものが挙げられる。
(1)陽極/有機EL発光層/陰極
(2)陽極/正孔注入層/有機EL発光層/陰極
(3)陽極/有機EL発光層/電子注入層/陰極
(4)陽極/正孔注入層/有機EL発光層/電子注入層/陰極
(5)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/有機EL発光層/電子注入層/陰極
(6)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/有機EL発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
【0030】
有機EL発光層としては、有機EL素子の発光材料として用いることができるものであれば、特に限定されるものではない。赤色画素(R)、緑色画素(G)、及び青色画素(B)の各画素を設ける場合には、白色を発光する有機EL発光層としてもよい。この場合、例えば、オレンジ色発光層の上に青色発光層を積層し、白色を発光する有機EL発光層としてもよい。
【0031】
正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、及び電子注入層は、例えば、従来より有機EL素子に用いる正孔輸送性材料及びホール輸送性材料から形成することができる。
【0032】
透光性の第2の電極は、ITOまたはIZOなどの透明導電膜、または銀もしくは金などの金属薄膜とこれら透明導電膜の積層構造膜などから形成することができる。
【0033】
透光性の第2の電極の上には、保護膜が積層される。保護膜は、有機EL素子が外部から進入してくる水分などによる劣化を受けないように有機EL素子の全体を覆うように形成される。保護膜としては、電気絶縁性を有し、水分や低分子成分などに対するバリア性を有するものが好ましい。また、可視光の領域における透明性が高いことが好ましく、400〜800nmの範囲で透過率50%以上であることが好ましい。
【0034】
このような保護膜の材料としては、例えば、SiOx、SiNx、SiNxOy、AlOx、TiOx、TaOx、ZnOx等の無機酸化物や無機窒化物等が挙げられる。
【0035】
保護膜の形成方法としては、スパッタ法、CVD法、真空蒸着法等により形成することができる。また、素子に直接影響がなければ、ディップ法等の方法も用いることができる。保護膜の構造は、単層または複数の材料を用いた積層構造とし、積層構造においては、無機材料と有機材料の積層体、異なる無機材料の積層体を1ユニット以上形成したものを用いてもよい。
【0036】
本発明において有機EL素子パネルと、封止パネルは、光硬化性樹脂を介して貼り合わされる。光硬化性樹脂としては、紫外線により硬化する樹脂及び紫外線と熱により硬化する樹脂などを挙げることができる。このような光硬化性樹脂としては、エステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、メラミンアクリレート、アクリル樹脂アクリレートなどの各種アクリレート、ウレタンポリエステル等の樹脂を用いたラジカル系光硬化型接着剤、エポキシ、ビニルエーテルなどの樹脂を用いたカチオン系光硬化型接着剤などが挙げられる。
【0037】
本発明においては、カラーフィルタ層または色変換層及びこれらの周囲に設けられるブラックマトリックス層が透光性の封止基板上に設けられた封止パネルの上に、上記の光硬化性樹脂を塗布した後、有機EL素子パネルと重ね合わせ、この状態で紫外線を照射して光硬化性樹脂を硬化させる。具体的には、有機EL素子パネルと封止パネルとをそれぞれ真空チャンバー内に入れ、それぞれをホルダーでセットした後、真空チャンバー内を密閉し、排気バルブを開いてチャンバー内を1〜10Pa気圧に減圧する。それぞれのパネルの位置を位置決めした後、一方のホルダーを下降させ、ホルダー同士を重ね合わせ、再度位置合わせをして貼り合わせる。貼り合わせ終了後、チャンバー内の真空を破壊し、チャンバーを開けて貼り合わされた有機EL素子パネルと封止パネルを取り出し、これに所定の条件で紫外線を照射して光硬化性樹脂を硬化させる。また、熱併用型の光硬化性樹脂の場合には、加熱処理も行う。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、有機EL素子パネルと封止パネルを光硬化性樹脂で貼り合わせた構造を有する有機EL表示装置において、光硬化性樹脂を硬化させるため照射する紫外線による有機EL素子の劣化を防止することができ、かつ光硬化性樹脂を十分に硬化させた有機EL表示装置とすることができる。
【0039】
また、本発明において紫外線を照射するために設けられる開口部は、ブラックマトリックス層に形成されているので、有機EL表示装置を発光させて表示させる際において、開口部からの光漏れが少なく、また表示におけるコントラストを良好に保つことができる。
【0040】
本発明の有機EL表示装置の製造方法によれば、紫外線による有機EL素子の劣化を防止し、光硬化性樹脂を十分に硬化させ、有機EL素子パネルと封止パネルとを強固に貼り合わせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明を具体的な実施例により説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0042】
(実施例1〜3)
図1は、本発明に従う一実施例の有機EL表示装置を示す断面図である。
【0043】
図1に示すように、ガラスなどからなる基板1の上には、薄膜トランジスタ(TFT)からなる駆動回路2が設けられている。駆動回路2の上には平坦化膜3が形成されている。平坦化膜3上には、各画素毎に陽極4が形成されている。陽極4は、反射金属と透明導電膜を積層した構造とした。反射電極としては、Ag、Mo、Cr、Al、Auなどの反射性金属とその合金を用い、透明導電膜としては、ITO、IZO、ZnOなどの無機酸化物を用いた。
【0044】
本実施例の有機EL表示装置においては、赤色画素領域(R)、緑色画素領域(G)、及び青色画素領域(B)が形成されている。各画素の陽極4は、スルーホールを通り駆動回路2の電極に電気的に接続されている。
【0045】
陽極4の間を覆うように、各画素間の領域に、画素分離膜5が形成されている。画素分離膜は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、または光硬化性樹脂などから形成することができるが、好ましくは熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂から形成される。光硬化性樹脂としては、アクリレート系樹脂、メタクリレート系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエポキシ系樹脂、ポリ桂皮酸ビニル系樹脂、環化ゴム等の反応性ビニル基を有する樹脂が挙げられる。本実施例では、屈折率1.58のポリイミドから形成されている。また、画素分離膜5の側面5aの基板面方向に対してなす角度は45°になるように形成されている。
【0046】
陽極4及び画素分離膜5を覆うようにホール注入層が全体の領域上に形成されている。ホール注入層は、例えば厚さ1nmのフッ化炭素(CFx)からなる。
【0047】
ホール注入層上に、ホール輸送層、オレンジ色発光層を順に形成する。ホール輸送層は、例えばトリアリールアミン誘導体から形成されており、ここでは厚さ60nmの式(1)に示されるNPB(N,N′−Di(naphthalene−1−yl)−N,N′−diphenyl benzidine)からなる。
【0048】
【化1】
【0049】
オレンジ発光層は、ホスト材料に第1のドーパント及び第2のドーパントがドープされた構成を有する。なお、オレンジ発光層は、例えば厚さ30nmを有する。
【0050】
オレンジ発光層のホスト材料としては、例えば、ホール輸送層の材料と同じNPBを用いることができる。
【0051】
オレンジ発光層の第1のドーパントとしては、例えば、式(2)に示されるtBuDPN(5,12−Bis(4−tert−butylphenyl)naphthacene)を用いることができる。この第1のドーパントをオレンジ発光層に対して20重量%となるようにドープする。
【0052】
【化2】
【0053】
オレンジ発光層の第2のドーパントとしては、例えば、式(3)に示されるDBzR(5,12−Bis(4−(6−methylbenzothiazol−2−yl)phenyl)−6,11−diphenylnaphthacene)を用いることができる。この第2のドーパントをオレンジ発光層に対して3重量%となるようにドープする。
【0054】
【化3】
【0055】
オレンジ発光層の第2のドーパントは発光し、第1のドーパントは、その最高被占有分子軌道(HOMO)レベルと最低空分子軌道(LUMO)レベルが共に、ホスト材料と第2のドーパントの中間値を持つため、ホスト材料から第2のドーパントへのエネルギー移動を促進することにより第2のドーパントの発光を補助する役割を担う。それにより、オレンジ発光層は、500nmよりも大きく650nmよりも小さいピーク波長を有するオレンジ色光を発生する。
【0056】
次に、オレンジ発光層上に青色発光層を形成する。青色発光層は、ホスト材料に第1のドーパント及び第2のドーパントがドープされた構成を有する。なお、青色発光層は、例えば厚さ40nmを有する。
【0057】
青色発光層のホスト材料としては、例えば、式(4)に示されるTBADN(2−tert Butyl−9,10−di(2−naphtyl)anthracene)を用いることができる。
【0058】
【化4】
【0059】
青色発光層の第1のドーパントとしては、例えば、ホール輸送層の材料と同じNPBを用いることができる。この第1のドーパントを青色発光層に対して10重量%となるようにドープする。
【0060】
青色発光層の第2のドーパントとしては、例えば、式(5)に示されるTBP(1,4,7,10−Tetra-tert butyl perylene)を用いることができる。この第2のドーパントを青色発光層に対して2.5重量%となるようにドープする。
【0061】
【化5】
【0062】
青色発光層の第2のドーパントは発光し、第1のドーパントは、ホール輸送性材料からなり、ホールの輸送を促進することにより青色発光層内でのキャリアの再結合を促進することで、第2のドーパントの発光を補助する役割を担う。それにより、青色発光層は、400nmよりも大きく500nmよりも小さいピーク波長を有する青色光を発生する。
【0063】
次に、青色発光層の上に、電子輸送層、電子注入層及び陰極7を形成する。
【0064】
電子輸送層は、例えば厚さ10nmの式(6)に示されるAlq3(Tris(8−hydroxyquinolinato)aluminum)からなる。
【0065】
【化6】
【0066】
電子注入層は、例えば厚さ1nmのリチウム(Li)からなり、陰極7は、例えば厚さ20nmの銀(Ag)と、さらにその上に形成する例えば厚さ200nmの補助電極としてのIZOとの積層構造のものを形成した。陰極7の上には、SiNxからなる保護膜8が形成されている。
【0067】
保護膜8の上には、光硬化性樹脂層9を介して封止パネルが取り付けられている。
【0068】
封止パネルは、ガラスなどの透光性封止基板10の上に、カラーフィルタ層11を設けることにより構成されている。カラーフィルタ層11は、有機EL素子パネル側に形成されている。カラーフィルタ層11として、赤色画素に対応した赤色カラーフィルタ層11R、緑色画素に対応した緑色カラーフィルタ層11G、及び青色画素に対応した青色カラーフィルタ層11Bが設けられている。カラーフィルタ層11の周りの画素間の領域には、ブラックマトリックス層12が形成されている。ブラックマトリックス層12は、画素分離膜5の上方に位置している。
【0069】
本実施例において、カラーフィルタ層11は、顔料を含有した感光性フィルム(レジストフィルム)を用いて作製している。レジストフィルムをラミネータを用いて貼り合わせた後、マスクアライメント露光装置を用いて、それぞれのカラーフィルタ層のパターンとなるように露光し、その後アルカリ水溶液で現像して不要部分を除去する。カラーフィルタ層は、例えば、赤色、緑色、及び青色の順でそれぞれ形成する。
【0070】
ブラックマトリックス層12は、カラーフィルタ層11と同様にして、ブラックマトリックス用のレジストフィルムをラミネートした後、露光し、現像して形成する。
【0071】
図1に示すように、ブラックマトリックス層12には、開口部13が形成されている。開口部13は、露光する際に開口部に相当する部分を露光することにより形成することができる。
【0072】
カラーフィルタ層11の厚みは、2.5μmであり、ブラックマトリックス層12の厚みは1.5μmである。
【0073】
また、開口部13は、実施例1においては、図6に示すように、格子状に形成されたブラックマトリックス層12の交差する位置に4μm×4μmの正方形状に形成している。
【0074】
なお、光硬化性樹脂層9は、最も厚みのある部分で6μm、最も厚みの薄い部分で5μmとなるように有機EL素子パネルと封止パネルとを貼り合わせている。
【0075】
実施例2においては、図7に示すように、幅4μmのストライプ状となるように開口部13を形成している。
【0076】
実施例3においては、図8に示すように、幅4μmの格子状となるように開口部13を形成している。
【0077】
本発明における開口部13は、種々の形状で形成することができ、例えば、図9、図10及び図11に示すような形状の開口部13を形成してもよい。
【0078】
(実施例4)
図2は、本発明に従う実施例4の有機EL表示装置を示す断面図である。図2に示すように、本実施例においては、封止パネルのマトリックス層12の開口部13に、ブルーフィルタ14を設けている。ブルーフィルタ14は、紫外域及び青色域の波長を透過し、緑色域及び赤色域の波長をカットするフィルタである。開口部13にブルーフィルタ14を形成することにより、有機EL素子の発光層からの光が開口部を通り外部に出射されるのを低減することができる。従って、光漏れを防止することがき、良好な表示コントラストを保つことができる。
【0079】
(実施例5)
図3は、本発明に従う実施例5の有機EL表示装置を示す断面図である。
【0080】
図3に示すように、本実施例においては、ブラックマトリックス層12の開口部13に、赤色カラーフィルタ11Rまたは青色カラーフィルタ11Bを開口部用カラーフィルタとして設けている。これらの開口部用カラーフィルタは、画素領域において設けられるカラーフィルタ層よりも厚みが薄くなるように形成されている。これは、厚みを薄くすることにより、紫外線が透過し易くするためである。
【0081】
カラーフィルタ層の形成は、上述のように、ポジ型レジストフィルムを用いて形成しているが、開口部用フィルタを形成させる際には、この部分における露光量を多くすることにより、膜厚を薄くしている。
【0082】
開口部13に開口部用カラーフィルタを設けることにより、有機EL素子の発光層から発光された光が外部に漏れたり、反射電極で反射した光が外部に漏れたりするのを抑制することができる。
【0083】
(実施例6〜8)
実施例6〜8においては、画素分離膜5の基板の面方向に対する角度θを実施例1における45°から、75°(実施例6)、60°(実施例7)、及び30°(実施例8)に変化させる以外は、実施例1と同様にして有機EL表示装置を作製した。
【0084】
図12及び図13は、有機EL素子の発光層から出射した光が表示装置内で画素分離膜に入射したときの入射光の角度と反射光及び透過光の関係を説明するための模式図である。図12及び図13において、有機層6の屈折率をn1とし、画素分離膜5の屈折率をn2とし、画素分離膜5の側面5aの基板の面方向に対する傾斜角をθとしている。また、θcは、傾斜面5aに入射したときに全反射となる全反射角を示している。
【0085】
図12は、有機層6からの光が傾斜面5aに対し相対的に上方から入射したときの状態を示しており、図12(a)は、入射角が90−θcの範囲内で入射したときの状態を示しており、図12(b)は入射角がθc−θ'の範囲内で入射したときの状態を示しており、図12(c)は、入射角がθ'の範囲内で入射したときの状態を示している。
【0086】
図13は、有機層6からの光が、傾斜面5aに対して相対的に下方から入射したときの状態を示している。図13(d)は、入射角がθ'のときの状態を示しており、図13(e)は、入射角がθc−θ'の範囲内であるときの状態を示しており、図13(f)は、入射角が90−θcの範囲内のときの状態を示している。
【0087】
全反射角θcは、上述のように、傾斜面5aに入射した光が全反射する入射角を示しており、
θc=asin(n2/n1)である。
【0088】
また、画素分離膜5に透過する光が水平方向に放射する角度θ'は、以下のようになる。
θ'=asin(n2/n1sin(90°−θ))
【0089】
図12に示すように、傾斜面5aに対し上方から光が入射した場合には、傾斜面5aで反射した反射光及び傾斜面5aを透過した透過光は、いずれも下方に進行するため、上方の開口部から漏れることはない。
【0090】
図13(d)に示すように、入射角θが、
0<θ<asin(n2/n1sin(90°−θ))
のとき、傾斜面5aに入射した光は、透過光となるが、透過光は、基板内側に放射されるので、外部に光が放射されることはない。
【0091】
図13(e)に示すように、入射角θが、
asin(n2/n1sin(90°−θ))<θ<asin(n2/n1)
のとき、傾斜面5aへの入射光の一部は透過光と画素分離膜5中を伝搬し、その他の光は傾斜面5aで反射され上方に向かう。従って、これらの光は開口部13を通過する。
【0092】
図13(f)に示すように、入射角θが、
asin(n2/n1)<θ
のとき、傾斜面5aで全反射され、全反射された反射光は開口部側に向かい開口部から出射される。
【0093】
以上のように、有機EL素子の有機層から出射した光が開口部を通り外部に出射されるか否かに関し、画素分離膜5の側面である傾斜面5aに対する入射角が影響する。有機層6からは種々の角度で光が出射されているので、どの程度の光が開口部から外部に漏れるかは、画素分離膜5の側面5aの傾斜角が影響する。本実施例では、実施例1における傾斜角45°を、75°、50°、及び30°に変化させて、傾斜角の影響を検討している。なお、光硬化性接着剤層の膜厚を5μm(実施例6)、5μm(実施例7)、2μm(実施例8)としている。なお、実施例1では5μmとしている。
【0094】
(実施例9)
本実施例では、画素分離膜5を屈折率1.49のアクリル樹脂から形成する以外は、実施例1と同様にして有機EL表示装置を作製した。有機層の屈折率は1.8であるので、屈折率1.49のアクリル樹脂を用いることにより、実施例1に比べ、有機層との屈折率差を大きくすることができ、開口部から外部に出射する光を低減することができる。
【0095】
(実施例10)
図4は、本発明に従う実施例10の有機EL表示装置を示す模式図である。
【0096】
図4に示すように、本実施例では、画素分離膜5として、黒色の画素分離膜5を形成している。このような黒色の画素分離膜5は、画素分離膜を形成する樹脂中にカーボン粒子なとの黒色顔料を含有させることにより形成することができる。
【0097】
また、図5に示すように、画素分離膜5を、カラーフィルタ層の積層構造から形成してもよい。図5に示す実施例においては、赤色カラーフィルタ層11R、緑色カラーフィルタ層11G、青色カラーフィルタ層11Bをこの順序で積層することにより画素分離膜5が形成されている。
【0098】
(比較例1)
実施例1において、開口部13を形成しない以外は、実施例1と同様にして有機EL表示装置を作製した。
【0099】
〔有機EL表示装置の評価〕
作製した各有機EL表示装置について、以下の点について評価した。
【0100】
<光硬化性樹脂層の硬化状態>
有機EL素子パネルと封止パネルを貼り合わせた後、光硬化性樹脂層を紫外線照射して硬化させ、硬化後の硬化状態を評価した。光硬化性樹脂を硬化させた後、カッターナイフなど鋭利なものを用いて、有機EL素子パネルと封止パネルとの間を剥がし、露出した光硬化性接着剤層が硬化しているか否かで評価した。硬化しているものを〇とし、半固体状態、ゲル状態、液体状態のものを×として評価した。
【0101】
<開口部からの色漏れ>
有機EL表示装置を発光させ、開口部からの発光色の漏れがあるか否かで評価した。発光色の漏れが認められるものを「有り」とし、認められないものを「なし」とした。
【0102】
<コントラスト比の測定>
明るい場所において、パネルの表示面輝度と非発光時の表示面輝度を測定することにより、以下の式からコントラストを算出した。
【0103】
コントラスト=発光パネルの正面輝度/非発光パネルの正面輝度
上記の評価結果を表1に示した。
【0104】
表1において、「フィルタ」は、開口部にフィルタを設けたものを「有り」とし、設けていなものを「なし」としている。
【0105】
「開口パターン」は、開口部のパターン形状を示している。□は正方形形状であることを示している。
【0106】
「画素分離膜」は、画素分離膜が透明であるか黒色であるかを示している。
【0107】
「角度」は、画素分離膜の側面の基板面に対する角度を示している。
【0108】
「n1」は、有機層の屈折率を示し、「n2」は、画素分離膜の屈折率を示している。
【0109】
「θc−θ'」は、asin(n2/n1)―asin(n2/n1sin(90°−θ))を示している。
【0110】
【表1】
【0111】
表1に示す結果から明らかなように、本発明に従う実施例1〜10においては、比較例1に比べ、光硬化性樹脂層の硬化状態が良好であることが分かる。従って、本発明に従いブラックマトリックス層に開口部を設けることにより、光硬化性樹脂を十分に硬化させることができる。
【0112】
実施例1〜3の比較から明らかなように、開口部の形状により、コントラスト比が変化する。これは基板に形成されたTFTまたは配線による反射が原因の1つと考えられる。そのため、開口部に位置する基板上には、TFTや配線など反射性のものを配置しないようにすることでコントラストの低下を抑制できる。また、実施例4及び5から明らかなように、開口部にフィルタを設けることによりコントラスト比を上げることができる。
【0113】
また、実施例10から明らかなように、画素分離膜を着色し、光吸収性の画素分離膜にすることにより、コントラスト比を上げることができる。
【0114】
また、θc−θ'の結果から明らかなように、この値が35°以下であると、開口部からの色漏れがなくなっており、この値を35°以下にすることが好ましいことがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本発明に従う一実施例の有機EL表示装置を示す断面図。
【図2】本発明に従う実施例4の有機EL表示装置を示す断面図。
【図3】本発明に従う実施例5の有機EL表示装置を示す断面図。
【図4】本発明に従う実施例10の有機EL表示装置を示す断面図。
【図5】本発明に従う他の実施例の有機EL表示装置を示す断面図。
【図6】本発明に従う実施例1の有機EL表示装置におけるブラックマトリックス層及び開口部の形状を示す平面図。
【図7】本発明に従う実施例2の有機EL表示装置におけるブラックマトリックス層及び開口部の形状を示す平面図。
【図8】本発明に従う実施例3の有機EL表示装置におけるブラックマトリックス層及び開口部の形状を示す平面図。
【図9】本発明におけるブラックマトリックス部及び開口部の他の例を示す平面図。
【図10】本発明におけるブラックマトリックス部及び開口部の他の例を示す平面図。
【図11】本発明におけるブラックマトリックス部及び開口部の他の例を示す平面図。
【図12】画素分離膜への入射光と反射光及び透過光との関係を示す模式図。
【図13】画素分離膜への入射光と反射光及び透過光との関係を示す模式図。
【符号の説明】
【0116】
1…基板
2…駆動回路
3…平坦化膜
4…陽極
5…画素分離膜
5a…画素分離膜の側面
6…有機層
7…陰極
8…保護膜
9…光硬化性樹脂層
10…封止基板
11…カラーフィルタ層
11R…赤色カラーフィルタ層
11G…緑色カラーフィルタ層
11B…青色カラーフィルタ層
12…ブラックマトリックス層
13…ブラックマトリックス層の開口部
14…ブルーフィルタ
【技術分野】
【0001】
本発明は、透光性の封止基板を貼り合わせるトップエミッション型の有機エレクトロルミネッセンス表示装置(有機EL表示装置)及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、情報機器の多様化に伴い、一般に使用されているCRT(陰極線管)に比べて消費電力が少ない平面表示素子に対するニーズが高まってきている。このような平面表示素子の一つとして、高効率・薄型・軽量・低視野角依存性等の特徴を有する有機エレクトロルミネッセンス(以下、有機ELと略す)素子が注目され、この有機EL素子を用いたディスプレイの開発が進められている。
【0003】
有機EL素子の中でも、発光層として有機材料を用いた有機EL素子は、発光材料である蛍光物質を選択することにより発光色を変化させることができ、マルチカラー、フルカラー等の表示装置への応用に対する期待が高まっている。また、有機EL素子は低電圧で面発光できるため、液晶表示装置等のバックライトとして利用することも可能である。
【0004】
上記の有機EL素子は、現在のところ、デジタルカメラや携帯電話等の小型ディスプレイへの応用が進んでいる段階である。
【0005】
有機EL素子は、薄膜トランジスタ(TFT)を設けた基板上に、第一電極、ホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層などの有機層と第二電極が順に積層されたものが知られている。発光層で発光した光は、TFT基板側から取出される場合と第2電極側から取出される場合がある。後者の場合、TFT基板上の配線に関係なく光が取出すことができるので、開口率を上げることが可能である。また、さらに開口率を上げる為に、画素サイズを大きくとると、フルカラーの有機EL表示装置を作成する時、RGBの塗り分け方式では、蒸着マスクの精度に限界があり困難である。そこで、塗り分けマスクを用いないで単色発光層を作製し、カラーフィルタまたは色変換層(Color changing mediams;CCM)を用いてRGBの発光色に変換する手法が有望である。
【0006】
特許文献1では、基板上に蛍光物質を含む蛍光変換層及び/又はカラーフィルタ層と有機層とバリア層と有機EL構造体とを順次有し、有機層が紫外線硬化樹脂または紫外線硬化樹脂であることを特徴とした素子構造が提案されている。しかし、このような構造では熱硬化樹脂を使用した場合、有機EL基板と基板上に形成したカラーフィルタもしくは蛍光変換層との位置合せが困難となる。なぜなら、熱硬化時に、熱硬化樹脂の粘度が低下するため、基板同士が動きやすくなるからである。また、紫外線硬化樹脂を使用した場合においても、カラーフィルタを通して紫外線を照射して硬化させるが、カラーフィルタの透過率が紫外線の波長365nm域においてはほぼゼロに近い為に、紫外線硬化樹脂を硬化せせることは困難であった。
【0007】
上記問題を解決するために、特許文献2では、外周部に仮固定用の紫外線硬化型樹脂を用いて、それ以外の場所は熱硬化樹脂を用いた構造が提案されている。また、特許文献3では、赤色カラーフィルタと青色カラーフィルタの300〜430nm領域の透過率を10%以上にすることと、緑色カラーフィルタに、カラーフィルタがない開口部を設けることで、紫外線を透過させて紫外線硬化樹脂を硬化させる手法が提案されている。
【0008】
特許文献2の方法では、熱硬化時の粘度低下による位置ズレは抑制されるものの、熱硬化樹脂特有の問題は回避することができない。熱硬化樹脂は、1液タイプと2液タイプがある。1液タイプは、熱硬化温度が高く、有機EL素子にダメージを与える。2液タイプは、熱硬化温度は低いものの、2液を混合する為に気泡が混入する恐れがある。また、攪拌後、可使時間が短いために粘度上昇などが生じ、基板同士を均一に貼り合せるのは困難である。
【0009】
特許文献3の方法では、赤色カラーフィルタと青色カラーフィルタで紫外線の透過率が1/10になるため、紫外線硬化樹脂に照射する紫外線量を10倍にする必要があり、それに伴う発熱や紫外線による有機EL素子の劣化が発生するおそれがある。特に緑色カラーフィルタでは、カラーフィルタがない開口部を設けているので、紫外線による有機EL素子の劣化が顕著に現れる。
【特許文献1】特開平11−260562号公報
【特許文献2】特開2003−203762号公報
【特許文献3】特開2003−86358号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、有機EL素子パネルと封止パネルを光硬化性樹脂で貼り合わせた構造を有する有機EL表示装置であって、光硬化性樹脂を硬化させるため照射する紫外線による有機EL素子の劣化を防止することができ、かつ光硬化性樹脂を十分に硬化させることができる有機EL表示装置及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、基板の主面上に複数の有機EL素子を配置してなる有機EL素子と、有機EL素子パネルの主面側と対向して配置される封止パネルであって、有機EL素子に対応して設けられたカラーフィルタ層または色変換層、及び該カラーフィルタ層または色変換層の周囲に設けられるブラックマトリックス層が透光性の封止基板の対向側の面上に設けられた封止パネルとを、光硬化性樹脂で貼り合わせた構造を有する有機エレクトロルミネッセンス表示装置において、ブラックマトリックス層に、光硬化性樹脂を硬化させる紫外線を導入するための開口部が形成されていることを特徴としている。
【0012】
本発明のより限定された局面は、基板上に各画素を駆動するための駆動回路を設け、該駆動回路上に第1の電極を各画素毎に設け、該第1の電極間を覆うように画素分離膜を形成し、該第1の電極及び該画素分離膜の上に、発光層を含む有機層、透光性の第2の電極、及び保護膜を順次積層して形成される有機EL素子パネルと、有機EL素子パネルの保護膜に対向して配置される封止パネルであって、各画素に対応して設けられるカラーフィルタ層または色変換層、及び該カラーフィルタ層または色変換層の周囲に設けられるブラックマトリックス層が透光性の封止基板の対向側の面の上に設けられた封止パネルとを、光硬化性樹脂で貼り合わせた構造を有する有機EL表示装置において、ブラックマトリックス層に、光硬化性樹脂を硬化させる紫外線を導入するための開口部が形成されていることを特徴としている。
【0013】
本発明によれば、ブラックマトリックス層に、紫外線を導入するための開口部が形成されているので、有機EL素子パネルと封止パネルとを光硬化性樹脂を介して貼り合わせた後、マトリックス層の開口部から内部に紫外線を導入することができ、光硬化性樹脂を十分に硬化させることができる。
【0014】
また、ブラックマトリックス層は、画素と画素の間の境界領域に設けられるものであり、ブラックマトリックス層の下方には画素分離膜が存在しており、この領域には各画素を構成する有機EL素子が存在していないので、有機EL素子に直接紫外線が照射されることはなく、紫外線による有機EL素子の劣化を防止することができる。
【0015】
本発明の有機EL表示装置では、マトリックス層に開口部が設けられているので、有機EL素子で発光した光がこの開口部から外部に漏れるおそれがある。また、明るい場所では、外部から光がこの開口部を通して内部に入り、有機EL素子パネルの基板上に設けられた金属電極で反射するため、表示画像のコントラストが低下するおそれがある。
【0016】
有機EL素子中を導波する光は、画素分離膜表面に入射する。画素分離膜表面に入射した光が全反射した場合、反射光は画素分離膜の側面である傾斜面に沿って反射する。従って、このような反射光がブラックマトリックス層の開口部から出射しないようにするためには、ブラックマトリックス層の開口部を、画素分離膜の側面の延長線上に位置しないように設けることが好ましい。
【0017】
また、ブラックマトリックス層の開口部に、紫外域及び青色域の波長を透過し、緑色域及び赤色域の波長をカットするブルーフィルタを設けてもよい。このようなブルーフィルタを設けることにより、紫外線は透過することができるが、有機EL素子で発光した光や金属電極での反射光などは透過しないようにすることができ、これらの光が外部に出射するのを抑制することができる。
【0018】
また、本発明の有機EL表示装置は、赤色画素領域、緑色画素領域、及び青色画素領域を有する表示装置とすることができ、カラーフィルタ層として、赤色画素に対応した赤色カラーフィルタ層、緑色画素に対応した緑色カラーフィルタ層、青色画素に対応した青色カラーフィルタ層が設けられていてもよい。この場合、ブラックマトリックス層の開口部に、上記ブルーフィルタに代えて、青色カラーフィルタ層または赤色カラーフィルタ層と同じ材料からなる開口部用カラーフィルタを設けてもよい。
【0019】
このような開口部用カラーフィルタを設ける場合、開口部用カラーフィルタと同じ材料からなる青色カラーフィルタ層または赤色カラーフィルタ層をポジ型レジスト材料から形成し、開口部用カラーフィルタを形成する際の露光量を調整することにより、開口部用カラーフィルタの膜厚を青色カラーフィルタ層または赤色カラーフィルタ層の膜厚よりも薄くすることが好ましい。開口部用カラーフィルタの膜厚を薄くすることにより、光硬化性樹脂を硬化させる際に照射する紫外線の透過量を高めることができる。
【0020】
本発明において、有機EL素子パネルの有機層の屈折率をn1、画素分離膜の屈折率をn2とし、画素分離膜の側面が基板の面方向に対してなす角度をθとしたとき、角度θは以下の式を満たすように画素分離膜が形成されていることが好ましい。
asin(n2/n1)−asin(n2/n1sin(90°−θ))≦35°
【0021】
上記の式を満たすように画素分離膜を形成することにより、有機EL素子から発光し、画素分離膜の側面で反射した光が、ブラックマトリックス層の開口部から外部に漏れるのを抑制することができる。
【0022】
また、本発明においては、有機EL素子パネルの有機層の屈折率と、画素分離膜の屈折率とが異なることが好ましく、有機層の屈折率と画素分離膜の屈折率の差を大きくすることにより、画素分離膜の側面で反射した光が、ブラックマトリックス層の画素から外部に漏れるのを低減させることができる。
【0023】
また、画素分離膜を、黒色の光吸収性の材料から形成させることによっても、画素分離膜の側面で反射する光の量を低減することができ、ブラックマトリックス層の開口部から外部に光が漏れるのを低減することができる。
【0024】
本発明の有機EL表示装置の製造方法は、有機EL素子パネルと、封止パネルを光硬化性樹脂を介して貼り合わせた後、ブラックマトリックス層の開口部に紫外線を照射して光硬化性樹脂を硬化させることを特徴としている。
【0025】
本発明の製造方法によれば、ブラックマトリックス層の開口部から紫外線を内部に照射することができるので、有機EL素子パネルと封止パネルとを貼り合わせる際に、これらの接着剤となる光硬化性樹脂を十分に硬化させることができる。
【0026】
本発明の有機EL表示装置は、トップエミッション型の有機EL表示装置であり、駆動回路が設けられる基板と反対側から光が取り出される。従って、基板は透光性基板であってもよいし、非透光性の基板であってもよい。
【0027】
基板上に設けられる駆動回路は、例えば薄膜トランジスタ(TFT)を用いたアクティブマトリックス回路であってもよいし、パッシブマトリックス回路であってもよい。
【0028】
駆動回路の上には、各画素毎に第1の電極が設けられる。第1の電極として、例えば陽極を形成することができる。陽極の材料としては、反射率の高い金属電極(アルミニウム、銀、モリブデン、タングステンまたはそれらの合金)を形成し、この上に透明でかつ仕事関数が高いインジウムスズ酸化物(ITO)または、インジウム亜鉛酸化物(IZO)などの透明導電膜を形成し、陽極とすることが好ましい。
【0029】
本発明においては、第1の電極の上に、発光層を含む有機層、透光性の第2の電極が形成される。第1の電極を陽極とし、第2の電極を陰極とした場合、発光層を含む有機層からなる有機EL素子構造として、以下のようなものが挙げられる。
(1)陽極/有機EL発光層/陰極
(2)陽極/正孔注入層/有機EL発光層/陰極
(3)陽極/有機EL発光層/電子注入層/陰極
(4)陽極/正孔注入層/有機EL発光層/電子注入層/陰極
(5)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/有機EL発光層/電子注入層/陰極
(6)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/有機EL発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
【0030】
有機EL発光層としては、有機EL素子の発光材料として用いることができるものであれば、特に限定されるものではない。赤色画素(R)、緑色画素(G)、及び青色画素(B)の各画素を設ける場合には、白色を発光する有機EL発光層としてもよい。この場合、例えば、オレンジ色発光層の上に青色発光層を積層し、白色を発光する有機EL発光層としてもよい。
【0031】
正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、及び電子注入層は、例えば、従来より有機EL素子に用いる正孔輸送性材料及びホール輸送性材料から形成することができる。
【0032】
透光性の第2の電極は、ITOまたはIZOなどの透明導電膜、または銀もしくは金などの金属薄膜とこれら透明導電膜の積層構造膜などから形成することができる。
【0033】
透光性の第2の電極の上には、保護膜が積層される。保護膜は、有機EL素子が外部から進入してくる水分などによる劣化を受けないように有機EL素子の全体を覆うように形成される。保護膜としては、電気絶縁性を有し、水分や低分子成分などに対するバリア性を有するものが好ましい。また、可視光の領域における透明性が高いことが好ましく、400〜800nmの範囲で透過率50%以上であることが好ましい。
【0034】
このような保護膜の材料としては、例えば、SiOx、SiNx、SiNxOy、AlOx、TiOx、TaOx、ZnOx等の無機酸化物や無機窒化物等が挙げられる。
【0035】
保護膜の形成方法としては、スパッタ法、CVD法、真空蒸着法等により形成することができる。また、素子に直接影響がなければ、ディップ法等の方法も用いることができる。保護膜の構造は、単層または複数の材料を用いた積層構造とし、積層構造においては、無機材料と有機材料の積層体、異なる無機材料の積層体を1ユニット以上形成したものを用いてもよい。
【0036】
本発明において有機EL素子パネルと、封止パネルは、光硬化性樹脂を介して貼り合わされる。光硬化性樹脂としては、紫外線により硬化する樹脂及び紫外線と熱により硬化する樹脂などを挙げることができる。このような光硬化性樹脂としては、エステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、メラミンアクリレート、アクリル樹脂アクリレートなどの各種アクリレート、ウレタンポリエステル等の樹脂を用いたラジカル系光硬化型接着剤、エポキシ、ビニルエーテルなどの樹脂を用いたカチオン系光硬化型接着剤などが挙げられる。
【0037】
本発明においては、カラーフィルタ層または色変換層及びこれらの周囲に設けられるブラックマトリックス層が透光性の封止基板上に設けられた封止パネルの上に、上記の光硬化性樹脂を塗布した後、有機EL素子パネルと重ね合わせ、この状態で紫外線を照射して光硬化性樹脂を硬化させる。具体的には、有機EL素子パネルと封止パネルとをそれぞれ真空チャンバー内に入れ、それぞれをホルダーでセットした後、真空チャンバー内を密閉し、排気バルブを開いてチャンバー内を1〜10Pa気圧に減圧する。それぞれのパネルの位置を位置決めした後、一方のホルダーを下降させ、ホルダー同士を重ね合わせ、再度位置合わせをして貼り合わせる。貼り合わせ終了後、チャンバー内の真空を破壊し、チャンバーを開けて貼り合わされた有機EL素子パネルと封止パネルを取り出し、これに所定の条件で紫外線を照射して光硬化性樹脂を硬化させる。また、熱併用型の光硬化性樹脂の場合には、加熱処理も行う。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、有機EL素子パネルと封止パネルを光硬化性樹脂で貼り合わせた構造を有する有機EL表示装置において、光硬化性樹脂を硬化させるため照射する紫外線による有機EL素子の劣化を防止することができ、かつ光硬化性樹脂を十分に硬化させた有機EL表示装置とすることができる。
【0039】
また、本発明において紫外線を照射するために設けられる開口部は、ブラックマトリックス層に形成されているので、有機EL表示装置を発光させて表示させる際において、開口部からの光漏れが少なく、また表示におけるコントラストを良好に保つことができる。
【0040】
本発明の有機EL表示装置の製造方法によれば、紫外線による有機EL素子の劣化を防止し、光硬化性樹脂を十分に硬化させ、有機EL素子パネルと封止パネルとを強固に貼り合わせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明を具体的な実施例により説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0042】
(実施例1〜3)
図1は、本発明に従う一実施例の有機EL表示装置を示す断面図である。
【0043】
図1に示すように、ガラスなどからなる基板1の上には、薄膜トランジスタ(TFT)からなる駆動回路2が設けられている。駆動回路2の上には平坦化膜3が形成されている。平坦化膜3上には、各画素毎に陽極4が形成されている。陽極4は、反射金属と透明導電膜を積層した構造とした。反射電極としては、Ag、Mo、Cr、Al、Auなどの反射性金属とその合金を用い、透明導電膜としては、ITO、IZO、ZnOなどの無機酸化物を用いた。
【0044】
本実施例の有機EL表示装置においては、赤色画素領域(R)、緑色画素領域(G)、及び青色画素領域(B)が形成されている。各画素の陽極4は、スルーホールを通り駆動回路2の電極に電気的に接続されている。
【0045】
陽極4の間を覆うように、各画素間の領域に、画素分離膜5が形成されている。画素分離膜は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、または光硬化性樹脂などから形成することができるが、好ましくは熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂から形成される。光硬化性樹脂としては、アクリレート系樹脂、メタクリレート系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエポキシ系樹脂、ポリ桂皮酸ビニル系樹脂、環化ゴム等の反応性ビニル基を有する樹脂が挙げられる。本実施例では、屈折率1.58のポリイミドから形成されている。また、画素分離膜5の側面5aの基板面方向に対してなす角度は45°になるように形成されている。
【0046】
陽極4及び画素分離膜5を覆うようにホール注入層が全体の領域上に形成されている。ホール注入層は、例えば厚さ1nmのフッ化炭素(CFx)からなる。
【0047】
ホール注入層上に、ホール輸送層、オレンジ色発光層を順に形成する。ホール輸送層は、例えばトリアリールアミン誘導体から形成されており、ここでは厚さ60nmの式(1)に示されるNPB(N,N′−Di(naphthalene−1−yl)−N,N′−diphenyl benzidine)からなる。
【0048】
【化1】
【0049】
オレンジ発光層は、ホスト材料に第1のドーパント及び第2のドーパントがドープされた構成を有する。なお、オレンジ発光層は、例えば厚さ30nmを有する。
【0050】
オレンジ発光層のホスト材料としては、例えば、ホール輸送層の材料と同じNPBを用いることができる。
【0051】
オレンジ発光層の第1のドーパントとしては、例えば、式(2)に示されるtBuDPN(5,12−Bis(4−tert−butylphenyl)naphthacene)を用いることができる。この第1のドーパントをオレンジ発光層に対して20重量%となるようにドープする。
【0052】
【化2】
【0053】
オレンジ発光層の第2のドーパントとしては、例えば、式(3)に示されるDBzR(5,12−Bis(4−(6−methylbenzothiazol−2−yl)phenyl)−6,11−diphenylnaphthacene)を用いることができる。この第2のドーパントをオレンジ発光層に対して3重量%となるようにドープする。
【0054】
【化3】
【0055】
オレンジ発光層の第2のドーパントは発光し、第1のドーパントは、その最高被占有分子軌道(HOMO)レベルと最低空分子軌道(LUMO)レベルが共に、ホスト材料と第2のドーパントの中間値を持つため、ホスト材料から第2のドーパントへのエネルギー移動を促進することにより第2のドーパントの発光を補助する役割を担う。それにより、オレンジ発光層は、500nmよりも大きく650nmよりも小さいピーク波長を有するオレンジ色光を発生する。
【0056】
次に、オレンジ発光層上に青色発光層を形成する。青色発光層は、ホスト材料に第1のドーパント及び第2のドーパントがドープされた構成を有する。なお、青色発光層は、例えば厚さ40nmを有する。
【0057】
青色発光層のホスト材料としては、例えば、式(4)に示されるTBADN(2−tert Butyl−9,10−di(2−naphtyl)anthracene)を用いることができる。
【0058】
【化4】
【0059】
青色発光層の第1のドーパントとしては、例えば、ホール輸送層の材料と同じNPBを用いることができる。この第1のドーパントを青色発光層に対して10重量%となるようにドープする。
【0060】
青色発光層の第2のドーパントとしては、例えば、式(5)に示されるTBP(1,4,7,10−Tetra-tert butyl perylene)を用いることができる。この第2のドーパントを青色発光層に対して2.5重量%となるようにドープする。
【0061】
【化5】
【0062】
青色発光層の第2のドーパントは発光し、第1のドーパントは、ホール輸送性材料からなり、ホールの輸送を促進することにより青色発光層内でのキャリアの再結合を促進することで、第2のドーパントの発光を補助する役割を担う。それにより、青色発光層は、400nmよりも大きく500nmよりも小さいピーク波長を有する青色光を発生する。
【0063】
次に、青色発光層の上に、電子輸送層、電子注入層及び陰極7を形成する。
【0064】
電子輸送層は、例えば厚さ10nmの式(6)に示されるAlq3(Tris(8−hydroxyquinolinato)aluminum)からなる。
【0065】
【化6】
【0066】
電子注入層は、例えば厚さ1nmのリチウム(Li)からなり、陰極7は、例えば厚さ20nmの銀(Ag)と、さらにその上に形成する例えば厚さ200nmの補助電極としてのIZOとの積層構造のものを形成した。陰極7の上には、SiNxからなる保護膜8が形成されている。
【0067】
保護膜8の上には、光硬化性樹脂層9を介して封止パネルが取り付けられている。
【0068】
封止パネルは、ガラスなどの透光性封止基板10の上に、カラーフィルタ層11を設けることにより構成されている。カラーフィルタ層11は、有機EL素子パネル側に形成されている。カラーフィルタ層11として、赤色画素に対応した赤色カラーフィルタ層11R、緑色画素に対応した緑色カラーフィルタ層11G、及び青色画素に対応した青色カラーフィルタ層11Bが設けられている。カラーフィルタ層11の周りの画素間の領域には、ブラックマトリックス層12が形成されている。ブラックマトリックス層12は、画素分離膜5の上方に位置している。
【0069】
本実施例において、カラーフィルタ層11は、顔料を含有した感光性フィルム(レジストフィルム)を用いて作製している。レジストフィルムをラミネータを用いて貼り合わせた後、マスクアライメント露光装置を用いて、それぞれのカラーフィルタ層のパターンとなるように露光し、その後アルカリ水溶液で現像して不要部分を除去する。カラーフィルタ層は、例えば、赤色、緑色、及び青色の順でそれぞれ形成する。
【0070】
ブラックマトリックス層12は、カラーフィルタ層11と同様にして、ブラックマトリックス用のレジストフィルムをラミネートした後、露光し、現像して形成する。
【0071】
図1に示すように、ブラックマトリックス層12には、開口部13が形成されている。開口部13は、露光する際に開口部に相当する部分を露光することにより形成することができる。
【0072】
カラーフィルタ層11の厚みは、2.5μmであり、ブラックマトリックス層12の厚みは1.5μmである。
【0073】
また、開口部13は、実施例1においては、図6に示すように、格子状に形成されたブラックマトリックス層12の交差する位置に4μm×4μmの正方形状に形成している。
【0074】
なお、光硬化性樹脂層9は、最も厚みのある部分で6μm、最も厚みの薄い部分で5μmとなるように有機EL素子パネルと封止パネルとを貼り合わせている。
【0075】
実施例2においては、図7に示すように、幅4μmのストライプ状となるように開口部13を形成している。
【0076】
実施例3においては、図8に示すように、幅4μmの格子状となるように開口部13を形成している。
【0077】
本発明における開口部13は、種々の形状で形成することができ、例えば、図9、図10及び図11に示すような形状の開口部13を形成してもよい。
【0078】
(実施例4)
図2は、本発明に従う実施例4の有機EL表示装置を示す断面図である。図2に示すように、本実施例においては、封止パネルのマトリックス層12の開口部13に、ブルーフィルタ14を設けている。ブルーフィルタ14は、紫外域及び青色域の波長を透過し、緑色域及び赤色域の波長をカットするフィルタである。開口部13にブルーフィルタ14を形成することにより、有機EL素子の発光層からの光が開口部を通り外部に出射されるのを低減することができる。従って、光漏れを防止することがき、良好な表示コントラストを保つことができる。
【0079】
(実施例5)
図3は、本発明に従う実施例5の有機EL表示装置を示す断面図である。
【0080】
図3に示すように、本実施例においては、ブラックマトリックス層12の開口部13に、赤色カラーフィルタ11Rまたは青色カラーフィルタ11Bを開口部用カラーフィルタとして設けている。これらの開口部用カラーフィルタは、画素領域において設けられるカラーフィルタ層よりも厚みが薄くなるように形成されている。これは、厚みを薄くすることにより、紫外線が透過し易くするためである。
【0081】
カラーフィルタ層の形成は、上述のように、ポジ型レジストフィルムを用いて形成しているが、開口部用フィルタを形成させる際には、この部分における露光量を多くすることにより、膜厚を薄くしている。
【0082】
開口部13に開口部用カラーフィルタを設けることにより、有機EL素子の発光層から発光された光が外部に漏れたり、反射電極で反射した光が外部に漏れたりするのを抑制することができる。
【0083】
(実施例6〜8)
実施例6〜8においては、画素分離膜5の基板の面方向に対する角度θを実施例1における45°から、75°(実施例6)、60°(実施例7)、及び30°(実施例8)に変化させる以外は、実施例1と同様にして有機EL表示装置を作製した。
【0084】
図12及び図13は、有機EL素子の発光層から出射した光が表示装置内で画素分離膜に入射したときの入射光の角度と反射光及び透過光の関係を説明するための模式図である。図12及び図13において、有機層6の屈折率をn1とし、画素分離膜5の屈折率をn2とし、画素分離膜5の側面5aの基板の面方向に対する傾斜角をθとしている。また、θcは、傾斜面5aに入射したときに全反射となる全反射角を示している。
【0085】
図12は、有機層6からの光が傾斜面5aに対し相対的に上方から入射したときの状態を示しており、図12(a)は、入射角が90−θcの範囲内で入射したときの状態を示しており、図12(b)は入射角がθc−θ'の範囲内で入射したときの状態を示しており、図12(c)は、入射角がθ'の範囲内で入射したときの状態を示している。
【0086】
図13は、有機層6からの光が、傾斜面5aに対して相対的に下方から入射したときの状態を示している。図13(d)は、入射角がθ'のときの状態を示しており、図13(e)は、入射角がθc−θ'の範囲内であるときの状態を示しており、図13(f)は、入射角が90−θcの範囲内のときの状態を示している。
【0087】
全反射角θcは、上述のように、傾斜面5aに入射した光が全反射する入射角を示しており、
θc=asin(n2/n1)である。
【0088】
また、画素分離膜5に透過する光が水平方向に放射する角度θ'は、以下のようになる。
θ'=asin(n2/n1sin(90°−θ))
【0089】
図12に示すように、傾斜面5aに対し上方から光が入射した場合には、傾斜面5aで反射した反射光及び傾斜面5aを透過した透過光は、いずれも下方に進行するため、上方の開口部から漏れることはない。
【0090】
図13(d)に示すように、入射角θが、
0<θ<asin(n2/n1sin(90°−θ))
のとき、傾斜面5aに入射した光は、透過光となるが、透過光は、基板内側に放射されるので、外部に光が放射されることはない。
【0091】
図13(e)に示すように、入射角θが、
asin(n2/n1sin(90°−θ))<θ<asin(n2/n1)
のとき、傾斜面5aへの入射光の一部は透過光と画素分離膜5中を伝搬し、その他の光は傾斜面5aで反射され上方に向かう。従って、これらの光は開口部13を通過する。
【0092】
図13(f)に示すように、入射角θが、
asin(n2/n1)<θ
のとき、傾斜面5aで全反射され、全反射された反射光は開口部側に向かい開口部から出射される。
【0093】
以上のように、有機EL素子の有機層から出射した光が開口部を通り外部に出射されるか否かに関し、画素分離膜5の側面である傾斜面5aに対する入射角が影響する。有機層6からは種々の角度で光が出射されているので、どの程度の光が開口部から外部に漏れるかは、画素分離膜5の側面5aの傾斜角が影響する。本実施例では、実施例1における傾斜角45°を、75°、50°、及び30°に変化させて、傾斜角の影響を検討している。なお、光硬化性接着剤層の膜厚を5μm(実施例6)、5μm(実施例7)、2μm(実施例8)としている。なお、実施例1では5μmとしている。
【0094】
(実施例9)
本実施例では、画素分離膜5を屈折率1.49のアクリル樹脂から形成する以外は、実施例1と同様にして有機EL表示装置を作製した。有機層の屈折率は1.8であるので、屈折率1.49のアクリル樹脂を用いることにより、実施例1に比べ、有機層との屈折率差を大きくすることができ、開口部から外部に出射する光を低減することができる。
【0095】
(実施例10)
図4は、本発明に従う実施例10の有機EL表示装置を示す模式図である。
【0096】
図4に示すように、本実施例では、画素分離膜5として、黒色の画素分離膜5を形成している。このような黒色の画素分離膜5は、画素分離膜を形成する樹脂中にカーボン粒子なとの黒色顔料を含有させることにより形成することができる。
【0097】
また、図5に示すように、画素分離膜5を、カラーフィルタ層の積層構造から形成してもよい。図5に示す実施例においては、赤色カラーフィルタ層11R、緑色カラーフィルタ層11G、青色カラーフィルタ層11Bをこの順序で積層することにより画素分離膜5が形成されている。
【0098】
(比較例1)
実施例1において、開口部13を形成しない以外は、実施例1と同様にして有機EL表示装置を作製した。
【0099】
〔有機EL表示装置の評価〕
作製した各有機EL表示装置について、以下の点について評価した。
【0100】
<光硬化性樹脂層の硬化状態>
有機EL素子パネルと封止パネルを貼り合わせた後、光硬化性樹脂層を紫外線照射して硬化させ、硬化後の硬化状態を評価した。光硬化性樹脂を硬化させた後、カッターナイフなど鋭利なものを用いて、有機EL素子パネルと封止パネルとの間を剥がし、露出した光硬化性接着剤層が硬化しているか否かで評価した。硬化しているものを〇とし、半固体状態、ゲル状態、液体状態のものを×として評価した。
【0101】
<開口部からの色漏れ>
有機EL表示装置を発光させ、開口部からの発光色の漏れがあるか否かで評価した。発光色の漏れが認められるものを「有り」とし、認められないものを「なし」とした。
【0102】
<コントラスト比の測定>
明るい場所において、パネルの表示面輝度と非発光時の表示面輝度を測定することにより、以下の式からコントラストを算出した。
【0103】
コントラスト=発光パネルの正面輝度/非発光パネルの正面輝度
上記の評価結果を表1に示した。
【0104】
表1において、「フィルタ」は、開口部にフィルタを設けたものを「有り」とし、設けていなものを「なし」としている。
【0105】
「開口パターン」は、開口部のパターン形状を示している。□は正方形形状であることを示している。
【0106】
「画素分離膜」は、画素分離膜が透明であるか黒色であるかを示している。
【0107】
「角度」は、画素分離膜の側面の基板面に対する角度を示している。
【0108】
「n1」は、有機層の屈折率を示し、「n2」は、画素分離膜の屈折率を示している。
【0109】
「θc−θ'」は、asin(n2/n1)―asin(n2/n1sin(90°−θ))を示している。
【0110】
【表1】
【0111】
表1に示す結果から明らかなように、本発明に従う実施例1〜10においては、比較例1に比べ、光硬化性樹脂層の硬化状態が良好であることが分かる。従って、本発明に従いブラックマトリックス層に開口部を設けることにより、光硬化性樹脂を十分に硬化させることができる。
【0112】
実施例1〜3の比較から明らかなように、開口部の形状により、コントラスト比が変化する。これは基板に形成されたTFTまたは配線による反射が原因の1つと考えられる。そのため、開口部に位置する基板上には、TFTや配線など反射性のものを配置しないようにすることでコントラストの低下を抑制できる。また、実施例4及び5から明らかなように、開口部にフィルタを設けることによりコントラスト比を上げることができる。
【0113】
また、実施例10から明らかなように、画素分離膜を着色し、光吸収性の画素分離膜にすることにより、コントラスト比を上げることができる。
【0114】
また、θc−θ'の結果から明らかなように、この値が35°以下であると、開口部からの色漏れがなくなっており、この値を35°以下にすることが好ましいことがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本発明に従う一実施例の有機EL表示装置を示す断面図。
【図2】本発明に従う実施例4の有機EL表示装置を示す断面図。
【図3】本発明に従う実施例5の有機EL表示装置を示す断面図。
【図4】本発明に従う実施例10の有機EL表示装置を示す断面図。
【図5】本発明に従う他の実施例の有機EL表示装置を示す断面図。
【図6】本発明に従う実施例1の有機EL表示装置におけるブラックマトリックス層及び開口部の形状を示す平面図。
【図7】本発明に従う実施例2の有機EL表示装置におけるブラックマトリックス層及び開口部の形状を示す平面図。
【図8】本発明に従う実施例3の有機EL表示装置におけるブラックマトリックス層及び開口部の形状を示す平面図。
【図9】本発明におけるブラックマトリックス部及び開口部の他の例を示す平面図。
【図10】本発明におけるブラックマトリックス部及び開口部の他の例を示す平面図。
【図11】本発明におけるブラックマトリックス部及び開口部の他の例を示す平面図。
【図12】画素分離膜への入射光と反射光及び透過光との関係を示す模式図。
【図13】画素分離膜への入射光と反射光及び透過光との関係を示す模式図。
【符号の説明】
【0116】
1…基板
2…駆動回路
3…平坦化膜
4…陽極
5…画素分離膜
5a…画素分離膜の側面
6…有機層
7…陰極
8…保護膜
9…光硬化性樹脂層
10…封止基板
11…カラーフィルタ層
11R…赤色カラーフィルタ層
11G…緑色カラーフィルタ層
11B…青色カラーフィルタ層
12…ブラックマトリックス層
13…ブラックマトリックス層の開口部
14…ブルーフィルタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の主面上に複数の有機EL素子を配置してなる有機EL素子パネルと、前記有機EL素子パネルの主面側と対向して配置される封止パネルであって、前記有機EL素子に対応して設けられたカラーフィルタ層または色変換層、及び該カラーフィルタ層または色変換層の周囲に設けられるブラックマトリックス層が透光性の封止基板の対向側の面上に設けられた封止パネルとを、
光硬化性樹脂で貼り合わせた構造を有する有機エレクトロルミネッセンス表示装置において、
前記ブラックマトリックス層に、前記光硬化性樹脂を硬化させる紫外線を導入するための開口部が形成されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項2】
基板上に各画素を駆動するための駆動回路を設け、該駆動回路の上に第1の電極を各画素毎に設け、該第1の電極間を覆うように画素分離膜を形成し、該第1の電極及び該画素分離膜の上に、発光層を含む有機層、透光性の第2の電極、及び保護膜を順次積層して形成される有機EL素子パネルと、
前記有機EL素子パネルの前記保護膜に対向して配置される封止パネルであって、各画素に対応して設けられるカラーフィルタ層または色変換層、及び該カラーフィルタ層または色変換層の周囲に設けられるブラックマトリックス層が透光性の封止基板の対向側の面の上に設けられた封止パネルとを、
光硬化性樹脂で貼り合わせた構造を有する有機エレクトロルミネッセンス表示装置において、
前記ブラックマトリックス層に、前記光硬化性樹脂を硬化させる紫外線を導入するための開口部が形成されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項3】
前記ブラックマトリックス層の前記開口部が、前記画素分離膜の側面の延長線上に位置しないように設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項4】
前記ブラックマトリックス層の前記開口部に、紫外域及び青色域の波長を透過し、緑色域及び赤色域の波長をカットするブルーフィルタが設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項5】
前記カラーフィルタ層として、赤色画素に対応した赤色カラーフィルタ層、緑色画素に対応した緑色カラーフィルタ層、及び青色画素に対応した青色カラーフィルタ層が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項6】
前記ブラックマトリックス層の前記開口部に、前記青色カラーフィルタ層または前記赤色カラーフィルタ層と同じ材料からなる開口部用カラーフィルタが設けられていることを特徴とする請求項5に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項7】
前記開口部用カラーフィルタと同じ材料からなる前記青色カラーフィルタ層または前記赤色カラーフィルタ層をポジ型レジスト材料から形成し、前記開口部用カラーフィルタを形成する際の透光量を調整することにより、前記開口部用カラーフィルタの膜厚を前記青色カラーフィルタ層または前記赤色カラーフィルタ層の膜厚よりも薄くしたことを特徴とする請求項6に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項8】
前記有機EL素子パネルの前記有機層の屈折率をn1、前記画素分離膜の屈折率をn2とし、前記画素分離膜の側面が前記基板の面方向に対してなす角度をθとしたとき、角度θが以下の式を満足するように前記画素分離膜が形成されていることを特徴とする請求項2〜7のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
asin(n2/n1)−asin(n2/n1sin(90°−θ))≦35°
【請求項9】
前記有機EL素子パネルの前記有機層の屈折率と、前記画素分離膜の屈折率とが異なることを特徴とする請求項2〜8のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項10】
前記画素分離膜が、黒色の光吸収性材料から形成されていることを特徴とする請求項2〜9のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置を製造する方法であって、
前記有機EL素子パネルと、前記封止パネルを前記光硬化性樹脂を介して貼り合わせた後、前記ブラックマトリックス層の前記開口部に紫外線を照射して前記光硬化性樹脂を硬化させることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法。
【請求項1】
基板の主面上に複数の有機EL素子を配置してなる有機EL素子パネルと、前記有機EL素子パネルの主面側と対向して配置される封止パネルであって、前記有機EL素子に対応して設けられたカラーフィルタ層または色変換層、及び該カラーフィルタ層または色変換層の周囲に設けられるブラックマトリックス層が透光性の封止基板の対向側の面上に設けられた封止パネルとを、
光硬化性樹脂で貼り合わせた構造を有する有機エレクトロルミネッセンス表示装置において、
前記ブラックマトリックス層に、前記光硬化性樹脂を硬化させる紫外線を導入するための開口部が形成されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項2】
基板上に各画素を駆動するための駆動回路を設け、該駆動回路の上に第1の電極を各画素毎に設け、該第1の電極間を覆うように画素分離膜を形成し、該第1の電極及び該画素分離膜の上に、発光層を含む有機層、透光性の第2の電極、及び保護膜を順次積層して形成される有機EL素子パネルと、
前記有機EL素子パネルの前記保護膜に対向して配置される封止パネルであって、各画素に対応して設けられるカラーフィルタ層または色変換層、及び該カラーフィルタ層または色変換層の周囲に設けられるブラックマトリックス層が透光性の封止基板の対向側の面の上に設けられた封止パネルとを、
光硬化性樹脂で貼り合わせた構造を有する有機エレクトロルミネッセンス表示装置において、
前記ブラックマトリックス層に、前記光硬化性樹脂を硬化させる紫外線を導入するための開口部が形成されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項3】
前記ブラックマトリックス層の前記開口部が、前記画素分離膜の側面の延長線上に位置しないように設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項4】
前記ブラックマトリックス層の前記開口部に、紫外域及び青色域の波長を透過し、緑色域及び赤色域の波長をカットするブルーフィルタが設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項5】
前記カラーフィルタ層として、赤色画素に対応した赤色カラーフィルタ層、緑色画素に対応した緑色カラーフィルタ層、及び青色画素に対応した青色カラーフィルタ層が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項6】
前記ブラックマトリックス層の前記開口部に、前記青色カラーフィルタ層または前記赤色カラーフィルタ層と同じ材料からなる開口部用カラーフィルタが設けられていることを特徴とする請求項5に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項7】
前記開口部用カラーフィルタと同じ材料からなる前記青色カラーフィルタ層または前記赤色カラーフィルタ層をポジ型レジスト材料から形成し、前記開口部用カラーフィルタを形成する際の透光量を調整することにより、前記開口部用カラーフィルタの膜厚を前記青色カラーフィルタ層または前記赤色カラーフィルタ層の膜厚よりも薄くしたことを特徴とする請求項6に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項8】
前記有機EL素子パネルの前記有機層の屈折率をn1、前記画素分離膜の屈折率をn2とし、前記画素分離膜の側面が前記基板の面方向に対してなす角度をθとしたとき、角度θが以下の式を満足するように前記画素分離膜が形成されていることを特徴とする請求項2〜7のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
asin(n2/n1)−asin(n2/n1sin(90°−θ))≦35°
【請求項9】
前記有機EL素子パネルの前記有機層の屈折率と、前記画素分離膜の屈折率とが異なることを特徴とする請求項2〜8のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項10】
前記画素分離膜が、黒色の光吸収性材料から形成されていることを特徴とする請求項2〜9のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置を製造する方法であって、
前記有機EL素子パネルと、前記封止パネルを前記光硬化性樹脂を介して貼り合わせた後、前記ブラックマトリックス層の前記開口部に紫外線を照射して前記光硬化性樹脂を硬化させることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法。
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2007−103027(P2007−103027A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−287558(P2005−287558)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
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