説明

有機エレクトロルミネッセンス表示装置

【課題】有機EL表示装置において、視野角特性を維持しつつ、光の利用効率を高めた表示装置を提供する。
【解決手段】有機EL素子17を有する画素18の一部の発光領域にレンズ16を配置し、発光面側から見た場合に、複数のレンズ16が千鳥状に配置した有機EL表示装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子を用いた表示装置に関し、特に、光の正面の利用効率を高めることが可能な有機EL素子を用いた表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子の課題として、光取り出し効率が悪いことが知られている。これは、有機EL素子では、発光層から光が様々な角度で出射するため、保護層と外部空間との境界面で全反射成分が多く発生し、発光光が素子内部に閉じ込められてしまうからである。この課題を解決するために、様々な構成が提案されている。例えば、特許文献1には、有機EL素子を封止する酸化窒化シリコン(SiNxy)膜上に樹脂からなるレンズアレイを配置して正面への光取り出し効率を向上させる構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−39500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1で示される有機EL素子の上にレンズアレイを配置する構成の場合、全反射していた成分を取り出すことができるという効果に加え、集光の効果が期待できる。これらの効果によって、有機EL素子を用いた表示装置の正面輝度(発光効率)の向上が実現できる。その一方で、特許文献1の形態では、表示装置の斜め方向の輝度は減少してしまうため、広い視野角特性が得られない。
【0005】
本発明の目的は、有機EL表示装置において、視野角特性を維持しつつ、光の利用効率を高めた表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子と、レンズと、を有する複数の画素を備え、
各画素は、レンズが配置された発光領域と、レンズが配置されていない発光領域と、を有し、
前記複数の画素それぞれにあるレンズの配置が、千鳥状であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、レンズを有する有機EL表示装置において、レンズ径を大きく設定することができ、レンズの集光効果を高めることができる。よって、レンズによって視野角特性を維持しつつ、光の利用効率を高めた有機EL表示装置を提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の有機EL表示装置の画素構成を示す断面模式図である。
【図2】本発明の有機EL表示装置におけるレンズ有無による輝度の視野角依存性を示す図である。
【図3】本発明の有機EL表示装置の一実施形態のレンズの配置の効果を示す平面模式図である。
【図4】本発明の有機EL表示装置の他の実施形態の平面模式図である。
【図5】本発明の有機EL表示装置の一実施形態の平面概略図と画素回路図である。
【図6】本発明の有機EL表示装置の他の実施形態の平面概略図と画素回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス表示装置(有機EL表示装置)は、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)と、レンズと、を有する複数の画素を備えている。各画素は、レンズが配置された発光領域と、レンズが配置されていない発光領域とを有し、前記複数の画素それぞれにあるレンズの配置が、千鳥状であることを特徴とする。本発明においては、レンズと有機EL素子との対応関係から、以下の2構成に大別される。
【0010】
第1の形態:1画素が1個の有機EL素子によって構成される。即ち、有機EL素子毎に、レンズを配置した発光領域と、レンズを配置しない発光領域を有する。
【0011】
第2の形態:1画素が、同じ色を発光する複数の有機EL素子を有している。そして、複数の有機EL素子のうち1つは、前記レンズが配置された発光領域にあり、その他の有機EL素子のうち1つは、前記レンズが配置されていない発光領域にある。
【0012】
尚、レンズは有機EL素子の発光面側に配置されるが、該発光面とは、有機EL素子の発光を取り出す側を意味する。また、一般的に有機EL表示装置において、階調に応じた表示信号が有機EL素子に印加されるが、同じ表示信号が印加される最小単位が1画素である。通常、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色を組み合わせてフルカラー表示し、有機EL素子は上記R,G,Bのいずれかの色を発光する発光層を備えている。よって、表示単位である画素は、上記R,G,Bのいずれかを表示する表示信号が印加される最小単位であり、R表示のR画素、G表示のG画素、B表示のB画素の3画素が一組で所定の色相が表示される。
【0013】
以下、本発明の有機EL表示装置について、実施形態を挙げて説明する。
【0014】
図1は、本発明の有機EL表示装置の実施形態に係る1画素に相当する部分を示す部分断面図であり、(a)は第1の形態、(b)は第2の形態を示す。いずれの形態も、基板10と、有機EL素子17a,17b,17と、素子間を分離する隔壁12とを有している。そして、隔壁12により、有機EL素子17a,17b,17が個々に分割され、その開口(発光領域)が規定される。また、本発明の第1の形態では、図1(a)に示すように、1画素18が有機EL素子17で構成される。第2の形態では、1画素18が複数の有機EL素子で構成され、図1(b)の例では、1画素18が2つの有機EL素子17a、17bで構成されている。
【0015】
有機EL素子17a,17b,17は、一対の電極11,14間に挟まれた、発光層を含む有機化合物層13を備えたものである。具体的には、基板10の上に設けられた第1電極11と、第1電極11上に設けられた有機化合物層13と、有機化合物層13の上に設けられた第2電極14とを有しているものである。ここで、有機化合物層13とは、発光層を含む単層又は複数の層からなる積層体である。例えば、正孔輸送層、発光層、電子輸送層及び電子注入層からなる4層構成や、正孔輸送層、発光層及び電子輸送層からなる3層構成等が挙げられる。有機化合物層13を構成する材料(有機発光材料、正孔輸送材料、電子輸送材料、電子注入材料等)は、公知の材料を使用することができる。また発光層に赤色発光材料、緑色発光材料、青色発光材料を形成することで、カラー表示が可能となる。
【0016】
有機EL素子17a,17b,17において、第1電極11は、基板10において基板面内方向に素子毎に設けられており、第2電極14は複数の有機EL素子にわたって連続して設けられている。有機化合物層13については、発光色毎に発光層の構成が異なるため、隣接する有機EL素子が同色の発光色の場合には発光層が共通して、発光層以外の層については全体で共通して形成される。例えば、後述するように、R,G,Bの各画素をそれぞれ一方向にストライプ状に配置する場合には、発光層は係るストライプに沿って形成される。また、隣接する有機EL素子の発光色が互いに異なる配置の場合には、素子毎に発光層が形成される。
【0017】
また、基板10には有機EL素子17a,17b,17をアクティブに駆動する駆動回路(不図示)が設けられている。また、第2電極14の上には保護膜15が設けられている。保護膜15は光透過性であって、SiOやSiNなどの無機材料、熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂などの有機材料を用いることができる。
【0018】
図1における有機EL素子17a,17b,17は、基板10の上面側に発光を取り出す形態、即ちトップエミッション型であり、第1電極11は光を反射する電極材料、第2電極14は光透過性又は半透過性の特性を有する電極材料が好ましく選択される。尚、本発明は基板10の裏面から発光を取り出すボトムエミッション型の有機EL素子にも適用可能である。この場合、第1電極11が光透過性又は半透過性の電極となり、第2電極14が反射電極となり、基板10側にレンズ16を形成する。
【0019】
本発明の有機EL表示装置は、既知の製造方法により製造され、図1のレンズ16は、保護膜15を介して発光面側に配置される。レンズの形状は、球状、蒲鉾状など適宜選択できる。レンズ16の材料としては、透明な熱硬化型樹脂、光硬化型樹脂、または、熱可塑性樹脂などが選択でき、樹脂材料を加工することにより形成される。具体的には、レンズ16は、型押しなどの方法により形成可能である。それ以外にも、下記(i)乃至(v)のいずれかの方法によっても作製可能である。
(i)フォトリソなどによってパターニングされた樹脂層を熱処理し、リフローによって樹脂層をレンズ形状に変形させる方法。
(ii)均一の厚さに形成された光硬化型樹脂層を、面内方向に分布を持った光で露光し、この樹脂層を現像することによってレンズを形成する方法。
(iii)イオンビーム或いは電子ビーム、レーザー等を用いて、均一の厚さに形成された樹脂材料の表面をレンズ形状に加工する方法。
(iv)各画素に適量の樹脂を滴下して自己整合的にレンズを形成する方法。
(v)有機EL素子が形成された基板とは別個に、レンズが予め形成された樹脂シートを用意し、両者をアライメントした後、貼り合せることによりレンズを形成する方法。
【0020】
また、封止構造としては、保護膜15に封止性能を持たせても良く、レンズ16の上面に封止膜を形成した構造でも良い。また、別体の封止筐体を基板10と貼り合わせた中空封止構造を用いることもできる。
【0021】
有機EL素子17,17aにおいて、有機化合物層13から出射された光は、第2電極14を通過し、次いで保護膜15、レンズ16を透過して、有機EL表示装置の外へ出射する。図2は、図1(a)の有機EL素子17上にレンズ16を配置した領域(レンズ発光領域)とレンズを配置しない発光領域(非レンズ領域)のそれぞれの輝度の視野角分布を示した図である。レンズ16を介して最外層から外部に光を出射する方が、レンズ16が無い場合に比べて、出射角度が基板垂直方向に近づく。従って、非レンズ領域に比較して、レンズ領域の方が垂直方向への光を集光する効果が高い。即ち、有機EL表示装置に対して正面方向における光の利用効率を高めることができる。尚、光の集光の程度は、レンズの形態、曲率、発光面からレンズまでの距離、発光面積に依存する。
【0022】
一方、有機EL素子17において、有機化合物層13から斜め方向に出射された光は、さらに斜めになって出射されるため、斜めからの視野に対する輝度を上げることに寄与する。
【0023】
図3(a)は図1(b)の画素構成を有する有機EL表示装置の平面模式図である。本例では、R,G,Bの3色でフルカラー表示の構成を示し、紙面上下方向に延びるストライプ状に、各色を発光する画素が配列している。図中、17Ra,17RbはR表示の有機EL素子を、17Ga,17GbはG表示の有機EL素子を、17Ba,17BbはB表示の有機EL素子を示している。そして、17Raと17Rb、17Gaと17Gb、17Baと17Bbとでそれぞれ1画素を構成している。
【0024】
本発明においては、図3(a)に示すように、レンズ16は千鳥状に配置されている。ここで、千鳥状配置とは、任意のp列目の画素に配されたレンズ、p+1列目の画素に配されたレンズ、p+2列目の画素に配されたレンズ、に着目した時、これら3つのレンズの重心位置が直線状になく、互い違いに位置する配置を言う。
【0025】
図3(b)は、比較として図3(a)と同じ配列で有機EL素子が形成された基板上に直線状にレンズ16を配置した有機EL表示装置の平面模式図である。図3(a)ではレンズ16を千鳥状に配置することで、図3(b)と比較してレンズ径を約1.6倍とすることができ、レンズ16による集光に寄与する範囲を約2.5倍にすることができる。即ち、レンズ16の集光効果を高めることができる。
【0026】
また、図4(a)は図1(a)の画素構成を有する有機EL表示装置の平面模式図である。本例においても、R,G,Bの各画素は紙面上下方向に延びるストライプ状に配置されている。図中、17RはR表示の有機EL素子を、17GはG表示の有機EL素子を、17BはB表示の有機EL素子を示している。図4(a)に示すように、本例では1画素につき1個の有機EL素子を有し、その一部の発光面側にレンズ16が形成されている。本例においては、有機EL素子17R,17G,17B上に形成されるレンズ16の位置を、隣接する画素間でずらせる(図4(a)では上下方向に)ことにより、全体で千鳥状に配置している。尚、レンズ16が配置された発光領域とレンズ16が配置されていない発光領域とは分離されていてもよい。この構成により、レンズ16の端部が隔壁12の上に形成されることになり、レンズ端部の段差が減って、レンズ形状の歪みが抑制される。
【0027】
また、図4(b)は図1(b)の画素構成を有する有機EL表示装置の他の実施形態の平面模式図である。本例のように、レンズ16を形成した有機EL素子17Ra,17Ga,17Baと、レンズ16を形成しない有機EL素子17Rb,17Gb,17Bbの開口形状を互いに異ならせることも可能である。具体的には、図4(b)で示すように、レンズが配置された発光領域の面積は、レンズが配置されていない発光領域の面積より小さいほうが好ましい。この構成により、レンズによる集光効果をより高めることができる。
【0028】
次に、図5(a)に、図1(a)の画素構成を有する有機EL表示装置の平面概略図を、図5(b)に該有機EL表示装置の1画素の回路図を示す。図中、C1は容量、M1,M2はTFT(薄膜トランジスタ)である。本例の有機EL表示装置21は、n本の走査線26と、m本の情報線25の交点に画素回路24を有している(xは走査線番号、yは情報線番号)。走査線26は走査線駆動回路23によって駆動され、情報線25は情報線駆動回路22より所定の情報信号(表示信号)が印加され、該情報線25から情報信号が画素回路24に印加される。
【0029】
本例の有機EL表示装置において、各画素の構成は図1(a)に示したように、画素18毎に有機EL素子17が対応している。よって、図5(b)に示すように、画素回路24には有機EL素子17が1個接続されている。
【0030】
次に、図6(a)に、図1(b)の画素構成を有する有機EL表示装置の平面概略図を、図6(b)に該有機EL表示装置の1画素の回路図を示す。図中、C1は容量、M1乃至M4はTFT(薄膜トランジスタ)である。本例においては、図5(a)の構成にさらに、走査線26と平行に選択制御線37,38と、これらを駆動する選択制御線駆動回路34が付加され、画素回路24に2個の有機EL素子17a,17bが接続されてそれぞれ独立駆動可能に構成されている。
【0031】
尚、図1(b)の画素構成を有する有機EL表示装置においても、図5(b)に示した画素回路を1本の情報線25を中心に左右に1回路ずつ形成し、一方で有機EL素子17を、他方で有機EL素子17bを駆動する形態とすることも可能である。また、図1(b)のように、隔壁12によって分離された有機EL素子17a、17bのそれぞれの第1電極11同士を電気的に接続し、一方を図5(b)の画素回路に接続して、有機EL素子17a、17bを同時に駆動する本発明第1の形態としてもよい。このように、レンズ領域と非レンズ領域とを隔壁13によって分離することにより、レンズ16の端部が隔壁12の上に形成されることになり、レンズ端部の段差が減って、レンズ形状の歪みが抑制される。
【0032】
次に、本発明の有機EL表示装置11の動作について述べる。
【0033】
本発明第1の形態では、レンズ領域と非レンズ領域とが同時に駆動される。一方第2の形態では、レンズを有する有機EL素子とレンズを持たない有機EL素子とを第1の形態と同様に一体として同時に駆動することもでき、また、独立して駆動することもできる。以下、便宜上、第2の形態において、レンズを形成した有機EL素子をレンズ領域、レンズを形成していない有機EL素子を非レンズ領域として一体駆動と独立駆動について説明する。
【0034】
レンズ領域と非レンズ領域の2領域を一体となって駆動する場合、図3に示した光学特性により、レンズ領域によって正面輝度を高めつつ、非レンズ領域によって斜め方向への輝度の低下が抑制され、視野角特性が改善される。即ち、視野角特性を維持しつつ、光の利用効率を高めることが可能である。
【0035】
一方、2領域を独立して駆動する場合、例えば、非レンズ領域のみを点灯させた場合、有機EL表示装置は視野角特性の広い性能が得られる。また、レンズ領域のみを点灯させた場合、視野角特性は狭くなるが、正面の輝度は高い性能が得られる。さらに、レンズ領域の輝度を非レンズ領域と同程度とする場合には、非レンズ領域よりも低電流で駆動することができ、低消費電力になる。従って、必要に応じて、有機EL表示装置の特性として、「広い視野角特性」、「正面輝度優先の特性」、「低消費電力優先の特性」のいずれかを選択できる。
【0036】
以下に、具体的な駆動方法について説明する。
【0037】
〔第1の駆動方法〕
図1(a)の画素構成と図5(b)の画素回路を備えた図5(a)の有機EL表示装置の駆動方法の一例である。尚、図5(b)の回路においては、M1、M2がnMOSの場合を述べている。pMOSの場合には、HIGHレベル(Hレベル)とLOWレベル(Lレベル)とを逆にする必要ある。
【0038】
図5(b)において、走査線26より走査選択信号が入力され、該走査選択信号に同期して、情報線25に所定の階調を示す情報信号(電圧データ、Vdata)が入力される。有機EL素子17の第1電極11はM2のドレイン端子に接続されており、第2電極14は接地電位CGNDに接続されている。
【0039】
当該回路が選択される時、走査線26より走査信号としてHレベルの信号がM1のゲート端子に入力され、VdataによりM1の電流駆動能力に応じた電圧が、M2のゲート端子と電源電位V1の間に配置されたC1に生じる。次に、書き込まれたVdataに従って有機EL素子17に電流を供給する時、走査線26にはLレベル信号が入力される。その結果、M1がOFFとなり、C1に生じた電圧により、M2の電流駆動能力に応じた電流が有機EL素子に供給され、その供給された電流に応じた輝度で有機EL素子17が発光する。
【0040】
本例では、レンズ領域と非レンズ領域、2領域を一体となって駆動するため、図3に示した光学特性により、レンズ領域によって正面輝度を高めつつ、非レンズ領域が存在することによって斜め方向への輝度の低下が抑制され、視野角特性が改善される。即ち、視野角特性を維持しつつ、光の利用効率を高めることが可能である。
【0041】
〔第2の駆動方法〕
図1(b)の画素構成と図6(b)の画素回路を備えた図6(a)の有機EL表示装置の駆動方法の一例である。M1、M3、M4はnMOSの場合を述べている。pMOSの場合には、Hレベル、Lレベルを逆にする必要ある。
【0042】
図6(b)において、走査線26に走査選択信号が入力され、該走査選択信号に同期して、情報線25に所定の階調を示す情報信号(電圧データVdata)が入力される。有機EL素子17aの第1電極11はM3のドレイン端子に接続されており、第2電極は接地電位CGNDに接続されている。有機EL素子17bの第1電極11はM4のドレイン端子に接続されており、第2電極14は接地電位CGNDに接続されている。
【0043】
当該回路が選択される時、選択制御線37,38にはLレベルの信号が入力され、M1がON、M3,M4はOFFである。この時、M3,M4は導通状態でないため、有機EL素子17a,17bには電流が流れない。そして、情報線25より印加されたVdataによりM1の電流駆動能力に応じた電圧が、M2のゲート端子と電源電位V1の間に配置されたC1に生じる。
【0044】
次に、書き込まれたVdataに従って有機EL素子17aに電流を供給する時は、走査線25はLレベル、選択制御線37にはHレベル、選択制御線38にはLレベルの信号が入力される。この時、M1がOFF、M3がON、M4がOFFとなる。M3のみが導通状態であるため、C1に生じた電圧により、M2の電流駆動能力に応じた電流が有機EL素子17aに供給され、その供給された電流に応じた輝度で有機EL素子17aが発光する。
【0045】
また、逆に有機EL素子17bにのみ電流を供給する時は、走査線25はLレベル、選択制御線37にはLレベル、選択制御線38にはHレベルの信号が入力される。この時、M1がOFF、M3がOFF、M4がONとなる。M4のみが導通状態であるため、C1に生じた電圧により、M2の電流駆動能力に応じた電流が有機EL素子17bに供給され、その供給された電流に応じた輝度で有機EL素子17bが発光する。
【0046】
このように、選択制御線37,38に入力する信号としてHレベル、Lレベルを選択することにより、有機EL素子17a,17bを独立して制御することができる。
【0047】
従って、有機EL表示装置11を、「広い視野角特性」か「正面輝度優先の特性」のどちらかを選択して制御することが可能となる。尚、本例の場合、有機EL素子17a、17bに供給される電流値は同じである。
【0048】
さらに、本例において、図4(b)に示すように、非レンズ領域の有機EL素子17Rb,17Gb,17Bbの開口面積を、レンズ領域の有機EL素子17Ra,17Ga,17Baの開口面積よりも大きくなるように、互いに開口形状を変えることができる。この場合、有機EL素子17Rb,17Gb,17Bbから所望の輝度を得るための電流を小さくできるため、有機EL素子の長寿命化を図ることができる。
【符号の説明】
【0049】
10:基板、11:第1電極、12:隔壁、13:有機化合物層、14:第2電極、16:レンズ、17,17a,17b:有機EL素子、18:画素、21:有機EL表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機エレクトロルミネッセンス素子と、レンズと、を有する複数の画素を備え、
各画素は、レンズが配置された発光領域と、レンズが配置されていない発光領域と、を有し、
前記複数の画素それぞれにあるレンズの配置が、千鳥状であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項2】
前記各画素は、同じ色を発光する複数の有機エレクトロルミネッセンス素子を有し、
前記複数の有機エレクトロルミネッセンス素子のうち1つは、前記レンズが配置された発光領域にあり、その他の有機エレクトロルミネッセンス素子のうち1つは、前記レンズが配置されていない発光領域にあることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項3】
前記各画素が有する有機エレクトロルミネッセンス素子は1つであることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項4】
前記有機エレクトロルミネッセンス素子が、発光層の発光色毎に、ストライプ状に配置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項5】
前記レンズが配置された発光領域の面積と、前記レンズが配置されていない発光領域の面積とが異なっていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−38631(P2012−38631A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−179136(P2010−179136)
【出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】