説明

有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法、有機エレクトロルミネッセンス装置および電子機器

【課題】湿式塗布法を用いて有機発光層を好適に形成することが可能な有機EL装置の製造方法を提供する。
【解決手段】第1の有機発光層30Aを形成する工程と、少なくとも第1の有機発光層30Aの表面全面を覆って、仕事関数が4.3eVよりも大きい電子受容性の金属酸化物と、仕事関数が4.3eV以下の電子供与性の金属と、の混合物を主体とする中間電極層40を形成する工程と、中間電極層40の上に、第2の機能液を塗布し第2の有機発光層30Bを形成する工程と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法、有機エレクトロルミネッセンス装置および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、情報機器の多様化等に伴い、消費電力が少なく軽量化された表示装置のニーズが高まっている。この様な表示装置の一つとして、有機発光層を備えた有機エレクトロルミネッセンス(以下、有機EL)装置が知られている。
【0003】
有機EL装置では、有機発光層に対し陽極から正孔が、また陰極から電子がそれぞれ送り込まれ、これらが有機発光層中で結合することによって発光する。そのため、同じ有機EL装置を用いて高輝度発光を得るためには、正孔と電子の結合量を増やすこと、換言すれば駆動電流量を増やすことが必要である。しかし、駆動電流量を増やすと配線等における電気抵抗により発生するジュール熱が増大し、有機発光層の温度が上昇するため、有機発光層の寿命が低下するという懸念がある。
【0004】
そこで、有機発光層を直列に複数積層し輝度を高める、マルチフォトンと呼ばれる方式の有機EL装置が開発されている。マルチフォトン方式の有機EL装置では、複数の有機発光層がそれぞれ中間電極層と呼ばれる層を介して積層している。「中間電極層」は、一成分として電気抵抗の高い金属酸化物を備えており、配線が接続されていなくても電圧印加時に一方の面から電子を受容(正孔を注入)し、他方の面からは電子を供与(電子を注入)し、かつ、層内には略等電位を保つという性質を有している。そのため、電圧印加時には、隣接する有機発光層に対し両面から正孔または電子を注入することができ、この中間電極層の性質を利用することで、積層する有機発光層を効率的に発光させることができる(例えば、特許文献1から4参照)。
【0005】
このようなマルチフォトン方式の有機EL装置では、単層構造に比べて高い電流でより高い輝度を示すことが可能となり、高い発光効率を実現することができる。また、同じ輝度を達成しようとする場合に、単層構造に比べて少ない電流で良いことになり、有機発光層の寿命を延ばすことが可能となる。
【特許文献1】特開2006−24791号公報
【特許文献2】特開2006−269351号公報
【特許文献3】特開2006−32315号公報
【特許文献4】再表05/020643号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、有機EL素子は、有機発光層の形成材料に低分子材料を用いるか、又は高分子材料を用いるかによってその製造方法が異なる。低分子材料の場合には、剛直な骨格を有する分子が多く、有機溶媒に対する溶解性が低いものが多い。そのため、例えば真空蒸着法のような気相反応が用いられる。一方で、高分子材料の場合には、有機溶媒に対する溶解性が比較的高いものが多い。そのため、有機発光層の形成材料を含む液状体(機能液)を所定の位置に塗布・配置し、溶媒を蒸発させることで所望の形成材料の膜(機能膜)を成膜する、湿式塗布法が用いられる。
【0007】
湿式塗布法を用いてマルチフォトン方式の有機EL装置を製造する場合には、有機発光層の成膜は大気中で実施される。そのため、有機発光層を蒸着法で形成する場合と異なり、中間電極層には良好な電子受容性や電子供与性といった電気的性質に加えて、大気中で取り扱っても品質が劣化しない大気安定性が必要となる。しかしながら、上記特許文献では、いずれも有機発光層に低分子材料を用い、蒸着により有機発光層を形成しているため、このような湿式塗布法に特有の課題についての対策は特に言及されていない。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、電子受容性(正孔注入性)及び電子供与性(電子注入性)に優れ、且つ大気に安定な中間電極層を形成し、湿式塗布法を用いて有機発光層を好適に形成することが可能な有機EL装置の製造方法を提供することを目的とする。また、大気に安定な中間電極層を備えた高品質な有機EL装置および該装置を備えた電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明は、第1電極と第2電極との間に挟持された複数の有機発光層を備える発光素子が、複数配設されてなる有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、前記第1電極上に、第1の有機発光層を形成する工程と、少なくとも前記第1の有機発光層の表面全面を覆って、仕事関数が4.3eVよりも大きい電子受容性の金属酸化物と、仕事関数が4.3eV以下の電子供与性の金属と、の混合物を主体とする中間電極層を形成する工程と、前記中間電極層の上に、有機発光層の形成材料を溶媒に溶解または分散させた機能液を塗布し、第2の有機発光層を形成する工程と、を備えることを特徴とする。
この方法によれば、中間電極層は、大気に安定な電子受容性の金属酸化物と、大気に不安定な電子供与性の金属との混合物となっている。中間電極層に含まれる金属酸化物は、同じく中間電極層に含まれる金属を大気から保護する被膜の役割を果たし、金属の大気による変質を防ぐことができる。したがって、湿式塗布法による機能液の塗布を大気中で良好に行うことができ、容易に高性能な有機EL装置を製造することができる。
【0010】
本発明においては、前記中間電極層に含まれる前記金属酸化物の体積が、前記金属の体積以上であることが望ましい。更に、前記金属に対する前記金属酸化物の体積比が1以上20以下であることがより望ましい。
この方法によれば、良好な大気安定性と良好な電子注入性を両立する中間電極層とすることができる。
【0011】
本発明においては、前記電子受容性の金属酸化物は、酸化モリブデンであることが望ましい。
酸化モリブデンは、人体に対する危険性が少なく取り扱いが簡単であるため、大気中で行う湿式塗布法では取り扱いや操作が簡便になり、容易に有機EL装置を製造することができる。
【0012】
本発明においては、前記電子供与性の金属は、アルカリ金属、アルカリ土類金属からなる群から選択されることが望ましい。
この方法によれば、上記の効果が得られるだけでなく、隣接する有機発光層に良好に電子を供与(電子を注入)することができる中間電極層を実現することができる。
【0013】
本発明においては、前記中間電極層は、膜厚が1nm以上100nm以下であることが望ましい。
この方法によれば、第2の有機発光層を形成する際に塗布する機能液から第1の有機発光層を確実に遮蔽し、両有機発光層が混在することなく良好な機能液の塗布ができると共に、透光性を損なわない良好な発光を両立して実現することができる。
【0014】
本発明においては、前記第1の有機発光層を形成する工程に先立って、少なくとも前記第1電極を覆う無機正孔注入層を形成する工程を備え、前記無機正孔注入層は、仕事関数が4.3eVよりも大きい電子受容性の金属酸化物を用いて形成することが望ましく、中でも、前記無機正孔注入層の形成材料が、前記中間電極層が備える前記金属酸化物と同じであることが望ましい。
この方法によれば、中間電極層の形成材料と共通する材料で無機正孔注入層を形成することができるため、必要な材料・設備を減らすことができる。そのため、上記の効果が得られるだけでなく、製造工程が簡便になる。
【0015】
本発明においては、前記第2電極の形成材料が、前記中間電極層が備える前記金属と同じ材料を含むことが望ましい。
この方法によれば、中間電極層の形成材料と共通する材料で第2電極を形成することができるため、必要な材料・設備を減らすことができる。そのため、上記の効果が得られるだけでなく、製造工程が簡便になる。
【0016】
また、本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置は、一対の電極に挟持される電子受容性の金属酸化物と電子供与性の金属との混合物を主体として構成された中間電極層と、前記一対の電極のうちの一方の電極と前記中間電極層との間に配置された第1の有機発光層と、前記一対の電極のうちの他方の電極と前記中間電極層との間に湿式成膜法で形成された第2の有機発光層と、を備えることを特徴とする。
この構成によれば、中間電極層に含まれる金属酸化物が金属の保護膜として機能するため、大気中で行う湿式成膜法にて第2の有機発光層が容易に形成され、高い発光効率を実現した有機EL装置とすることができる。また、本構成によれば、中間電極層が、電子受容性の金属酸化物と電子供与性の金属との混合物で形成されており、1層で両方の性質を兼ね備えた層となっている。そのため、中間電極層内には複数の異なる材料が積層する際に生じる界面が存在しない。そのため、界面での反射・散乱による光の損失がなく、各有機発光層から射出される光を効率的に取り出すことができ、性能を保ったまま信頼性が高い有機EL装置を実現することができる。
【0017】
本発明の電子機器は、上述の有機エレクトロルミネッセンス装置を備えていることを特徴とする。
この構成によれば、高い発光効率を実現し信頼性の高い有機EL装置を使用することで、小型化が可能で高性能な電子機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
[第1実施形態]
以下、図1〜図3を参照しながら、本発明の第1実施形態に係る有機EL装置について説明する。ここで、図1は有機EL装置1を模式的に示す断面図であり、図2から図3は有機EL装置1の製造方法を示す工程図である。なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の膜厚や寸法の比率などは適宜異ならせてある。
【0019】
ここで、有機EL装置には、有機EL素子が放つ光を有機EL素子が形成された基板側とは反対側から取り出すトップエミッション方式と、有機EL素子が形成された基板側から基板を介して取り出すボトムエミッション方式の2種類の発光方式がある。本発明はこのどちらの方式に適用しても良好な結果が得られるため、以下の説明においては形成材料などに限定があるものを除き、発光方式に限定をせずに記載する。
【0020】
図1に示すように、有機EL装置1は、基板本体20Aと、基板本体20A上に形成され配線や駆動素子等を備える素子層20Bとを備える基板20と、基板20上に形成される画素電極(第1電極、陽極)10と、画素電極10と平面的に重なる開口部を備えた画素隔壁層22と、画素隔壁層22の上に形成された共通隔壁層24とを備えている。また、共通隔壁層24に囲まれた領域には、共通隔壁層24の頂面24aおよび側壁24bを覆って発光部30が形成されており、更にその上には、共通隔壁層24の頂面24aおよび側壁24bを覆って発光部30の上面の全面を覆う共通電極50が形成されている。画素電極10と発光部30と共通電極50とで有機EL素子(発光素子)70を形成している。
【0021】
発光部30には、画素電極10からの正孔の注入を容易にする正孔注入層32と、第1の有機発光層30Aと、中間電極層40と、第2の有機発光層30Bを備えており、画素電極10上にこの順に積層されている。中間電極層40は、第1の有機発光層30Aと接する面から第1の有機発光層30Aに対して電子を注入し、第2の有機発光層30Bと接する面から第2の有機発光層30Bに対して正孔を注入する性質を備えている。
【0022】
また、共通電極50は、共通隔壁層24の頂面24a、側壁24b、を覆って第2の有機発光層30Bの上面の全面を覆う電子注入陰極50Aと、電子注入陰極50Aの表面全面を覆う陰極50Bを備えている。以下の説明においては、基板20の配置している側を下側、共通電極50が配置している側を上側として、各構成の上下関係、積層関係を示すこととする。以下、各構成要素について順に説明する。
【0023】
基板本体20Aは、透明基板及び不透明基板のいずれも用いることができる。不透明基板としては、例えばアルミナ等のセラミックス、ステンレススチール等の金属シートに表面酸化などの絶縁処理を施したもの、また熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂、さらにはそのフィルム(プラスチックフィルム)などが挙げられる。透明基板としては、例えばガラス、石英ガラス、窒化ケイ素等の無機物や、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の有機高分子(樹脂)を用いることができる。また、光透過性を備えるならば、前記材料を積層または混合して形成された複合材料を用いることもできる。本実施形態では、基板本体20の材料としてガラスを用いる。
【0024】
素子層20Bは、有機EL装置1を駆動させるための各種配線や駆動素子、及び無機物または有機物の絶縁膜などを備えている。各種配線や駆動素子はフォトリソグラフィによりパターニングした後エッチングすることにより、また、絶縁膜は蒸着法やスパッタ法など通常知られた方法により適宜形成することができる。
【0025】
素子層20Bの上には、画素電極10が形成されている。画素電極10の形成材料には、仕事関数が5eV以上の材料を用いることができる。このような材料は、正孔注入効果が高いため画素電極60の形成材料として好ましい。このような材料としては、例えばITO(Indium Thin Oxide:インジウム錫酸化物)等の金属酸化物を挙げることができる。本実施形態ではITOを用いる。
【0026】
また、素子層20Bの上には、画素電極10の端部に一部が乗り上げるように、画素隔壁層22が形成されている。画素隔壁層22は画素電極10に対応する開口部を備えており、該開口部内に画素電極10が露出している。画素隔壁層22は、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)等の無機絶縁材料で形成されており、開口部の位置に対応するマスクを介したエッチング等の公知の方法で形成することができる。本実施形態では、SiOを用いて形成する。
【0027】
画素隔壁層22上には、画素電極10の周囲を囲むように共通隔壁層24が形成されている。共通隔壁層24は、断面形状が順テーパ状に形成されている。そのため、共通隔壁層24で囲まれた空間は、下部よりも上部が広く開口している。共通隔壁層24の頂面24aは、後述する有機発光層の形成材料を含む機能液に対して親液性を示すように形成されている。共通隔壁層24は、例えば光硬化性のアクリル樹脂やポリイミド樹脂で形成することができる。本実施形態では、アクリル樹脂で共通隔壁層24を形成した後に、Oプラズマ処理による親液処理を施すこととしている。
【0028】
画素電極10、画素隔壁層22、共通隔壁層24の上には、これらの表面を覆って全面に、画素電極10からの電子の受容(正孔の注入)を容易にする電荷移動層として正孔注入層32が形成されている。正孔注入層32は、正孔注入層の形成材料の溶液(機能液)を塗布し、溶媒を蒸発させて形成する。正孔注入層32の形成材料は、ポリマー前駆体がポリテトラヒドロチオフェニルフェニレンであるポリフェニレンビニレン、1,1−ビス−(4−N,N−ジトリルアミノフェニル)シクロヘキサン、トリス(8−ヒドロキシキノリノール)アルミニウム、ポリスチレンスルフォン酸、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルフォン酸との混合物(PEDOT/PSS)等の公知の材料を例示することができる。また、塗布時にこれらを溶かしておく溶媒としては、水、イソプロピルアルコール、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−イミダゾリノン等の極性溶媒を例示することができる。本実施形態ではPEDOT/PSSを用いる。
【0029】
正孔注入層32の上には、正孔注入層32の表面全面を覆って第1の有機発光層30Aが形成されている。有機発光層30Aも、有機発光層の形成材料の溶液(機能液)を塗布し、溶媒を蒸発させて形成する。第1の有機発光層30Aの形成材料としては、蛍光あるいは燐光を発光することが可能な公知の高分子発光材料を好適に用いることができる。このような材料としては、ポリフルオレン(PF)、ポリパラフェニレンビニレン(PPV)、ポリフェニレン(PP)、ポリパラフェニレン(PPP)、ポリビニルカルバゾール(PVK)、ポリチオフェン、ポリジアルキルフルオレン(PDAF)、ポリフルオレンベンゾチアジアゾール(PFBT)、ポリアルキルチオフェン(PAT)や、ポリメチルフェニルシラン(PMPS)等のポリシランなどの各誘導体を例示することができる。また、これらの発光材料に、ペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素などの高分子系材料や、ルブレン、ペリレン、9,10−ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン等の低分子材料をドープして用いることもできる。
【0030】
該溶媒には、水、メタノール、エタノール等の水と相溶性のあるアルコール、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルイミダゾリン(DMI)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、2,3−ジヒドロベンゾフラン、等が挙げられ、これらの溶媒を2種以上適宜混合したものであっても良い。また、これらの溶媒にシクロヘキシルベンゼン等を適宜加えて粘度を調整しても構わない。
【0031】
第1の有機発光層30Aの上には、第1の有機発光層30Aの表面全面を覆って中間電極層40が形成されている。中間電極層40は、一方の面からは正孔を注入し、他方の面からは電子を注入する役割を備えた電気的絶縁層である。マルチフォトン方式の有機EL装置では、中間電極層が複数の有機発光層に挟持されて形成されており、透光性を備える程度に薄く形成されている。
【0032】
本発明の有機EL装置では、この中間電極層40の構造が特に特徴的なものとなっている。すなわち中間電極層40は、仕事関数が4.3eVよりも大きい電子受容性(正孔注入性)の金属酸化物と、仕事関数が4.3eV以下の電子供与性(電子注入性)の金属と、の混合物を主体として1層で構成されている。中間電極層内には複数の異なる材料が積層する際に生じる界面が存在しないため、中間電極層の内部で反射・散乱による光の損失がなく、各有機発光層から射出される光を効率的に取り出すことができる構成となっている。
【0033】
中間電極層40が含む金属酸化物は、電子を放出しにくく(仕事関数が大きく)、第2の有機発光層40Bから電子を受容する(正孔を注入する)性質を備えた材料である。このような材料としては、例えば、MoO(仕事関数:5.5eV),V(同5.6eV),RuO(同5.0eV)をあげることができる(仕事関数出典:宮田清蔵,『有機EL素子とその工業化最前線』(エヌティーエス出版)(4−90−083029−1))。本実施形態ではMoOを用いる。
【0034】
中間電極層40が含む金属は、電子を放出しやすく(仕事関数が小さく)、第1の有機発光層30Aに電子を供与する(電子を注入する)性質を備えた材料である。このような材料としては、例えば、Li(仕事関数:2.9eV),Cs(同1.95eV)など周期律表で1族に属するアルカリ金属、Mg(同3.6eV),Ca(同2.9eV),Ba(同2.5eV),Sr(同2.6eV)など周期律表で2族に属するアルカリ土類金属が挙げられる(仕事関数出典:『化学便覧』改訂4版,基礎編II,II−489頁)。酸化物には、SrOx,CaOなどが挙げられる。本実施形態ではCaを用いる。
【0035】
中間電極層40に含まれる金属酸化物と金属との体積比は、1:1から20:1の範囲に含まれる比となっている。例えば、金属酸化物と金属との体積比を0.5:1とし金属酸化物を少なくすると、中間電極層40に含まれる金属が大気中で酸化されやすくなり、大気安定性が低下する。また、金属が多くなると中間電極層の透明性も低下するため好ましくない。一方で、金属酸化物と金属との体積比を30:1とし金属酸化物を多くすると、第1の有機発光層30Aへの電子注入性が低く、発光効率が低下する。本実施形態では、金属酸化物と金属との体積比は10:1である。
【0036】
中間電極層40は、1nm以上であり100nm以下となるように形成している。1nmより薄くなると成膜が困難となる。また、100nmより厚くなると中間電極層40の透光性が不足する。
【0037】
中間電極層40の厚みは、より好ましくは5nm以上であり20nm以下である。電子受容性の層と電子供与性の層を別々に設けて積層して中間電極層40を形成する場合には、通常は2層合わせて50nm以上の膜厚とすることが多い。マルチフォトン方式の有機EL装置では、有機EL素子で発光する光が中間電極層を介して射出されるため、中間電極層の透光性は高いほうが良い。中間電極層40を薄くすると透光性が向上するため、高性能な有機EL装置を実現できることが分かっているが、各層の確実な成形や性質の異なる層同士の確実な密着を考慮すると、この程度の膜厚が必要となる。しかし本発明の構成では、1層で中間電極層40を形成することができ、複数層の密着を考慮する必要がないため、複数層で構成される中間電極層40では困難な20nm以下の膜厚とすることができる。また、5nm以上の膜厚であると確実な成膜が行いやすく、また、後述する方法にて第2の有機発光層30Bを形成する際に、第2の有機発光層30Bを形成する機能液から第1の有機発光層30Aを確実に遮蔽することができる。本実施形態では10nmである。
【0038】
中間電極層40の上には、中間電極層40の表面全面を覆って第2の有機発光層30Bが形成されている。第2の有機発光層30Bも、有機発光層の形成材料を含む機能液を塗布し、溶媒を蒸発させて形成する。第2の有機発光層30Bは、設計に応じて形成材料を選択することができ、第1の有機発光層30Aと同じ材料で形成しても良く、異なっても良い。本実施形態では、第1の有機発光層30Aと同じ材料で形成する。
【0039】
第2の有機発光層30Bの上には、第2の有機発光層30Bの表面全面を覆って電子注入陰極50Aが形成されている。電子注入陰極50Aは、上述した中間電極層40に含まれる金属を用いて形成することができる。本実施形態ではCaを材料として形成する。電子注入陰極50Aの厚みは5nmである。
【0040】
電子注入陰極層50Aの上には、電子注入陰極層50Aの表面全面を覆って陰極50Bが形成されている。陰極50Bは、AlやCuなど導電性の良い金属材料で形成されている。陰極50Bの厚みは200nmとなっている。このように、陰極50Bを導電性の良い材料で厚く形成することで、薄く形成することが多い電子注入陰極層50Aの導通を補助する役割を担う。陰極50Bは、不図示の陰極取り出し端子へとつながる陰極コンタクト部へ接続されている。
【0041】
このような有機EL装置1に印加すると、中間電極層40は第1の有機発光層30Aに電子を注入し、第2の有機発光層30Bに正孔を注入する。これに加えて、画素電極10からは第1の有機発光層30Aに正孔を注入し、電子注入性陰極50Aからは第2の有機発光層30Bに電子を注入するため、各有機発光層30A,30Bはそれぞれに発光するマルチフォトン方式の有機EL装置となる。
【0042】
次いで、図2および図3を用い、有機EL装置1の製造方法を説明する。図2には第1の有機発光層30Aを形成するまでを、図3には第2の共通電極50を形成し有機EL装置1を形成するまでをそれぞれ示す。
【0043】
まず図2(a)に示すように、基板本体20A上に素子層20Bを形成した基板20に、画素電極10を形成する。更に、画素電極10の上に画素隔壁22を形成した後、順テーパ状の断面形状を備えた共通隔壁層24を形成する。これらはいずれも従来公知の方法を用いて形成することができる。共通隔壁22を形成した後に、基板20をOガス下でプラズマによる表面処理を行う。このOプラズマ処理により、基板20及び基板20上に形成された各構成要素の表面は、表面の不純物が除去され親液化される。
【0044】
次いで図2(b)に示すように、共通隔壁層24で囲まれた領域(開口部26)に、スピンコート法を用いて不図示の機能液(PEDOT/PSS分散液)を塗布し、乾燥および焼成することにより正孔注入層32を形成する。開口部26の底部は親液処理されているため、機能液は良好に濡れ広がり、開口部26の底部では均一な膜の正孔注入層32を形成することができる。また、スピンコート法を用いて機能液を塗布するため、共通隔壁層24の頂面24aおよび側壁24bにも正孔注入層32の膜が形成される。
【0045】
次いで図2(c)に示すように、正孔注入層32の上に第1の有機発光層30Aを形成する。第1の有機発光層30Aは、スピンコート法を用いて不図示の機能液(有機発光層の形成材料を含む機能液)を塗布し、乾燥およびアニール処理して形成する。スピンコート法を用いて機能液を塗布するため、第1の有機発光層30Aは正孔注入層32の表面全面を覆って形成される。
【0046】
次いで図3(a)に示すように、第1の有機発光層30Aの上に中間電極層40を形成する。中間電極層40は、先述した群から選ばれる金属酸化物と、同じく先述した群から選ばれる金属とを真空蒸着法を用いて同時に蒸着(共蒸着)することで形成する。この共蒸着を行う際に、金属酸化物と金属とをそれぞれ独立に温度を制御して加熱し、蒸着量を制御することで、成膜される中間電極層40の金属酸化物と金属との混合比(体積比)を制御することが可能である。中間電極層40は、金属酸化物にMoOを、金属にCaを用い、これらの体積比が10:1の混合層となっている。大気に安定な金属酸化物であるMoOが大気に不安定なCaよりも多く(ここでは10倍)含まれているため、形成される中間電極層40は、全体として大気に安定な層となっている。このようにして形成する中間電極層40は、第1の有機発光層30A上に積層され、第1の有機発光層30Aの表面を覆って全面に形成される。
【0047】
次いで図3(b)に示すように、中間電極層40の上に第2の有機発光層30Bを形成する。第2の有機発光層30Bは、スピンコート法を用いて機能液を塗布し、乾燥およびアニール処理することで形成する。ここで、中間電極層40が第1の有機発光層30Aの表面を覆って形成されているため、第2の有機発光層30Bを形成するための機能液は、第1の有機発光層30Aに接触しない。そのため、機能液が第1の有機発光層30Aを溶解することなく、良好な機能液の塗布および第2の有機発光層30Bの形成が可能となる。
【0048】
次いで図3(c)に示すように、真空蒸着法にて基板20の上面全面に電子注入陰極50Aと陰極50Bとをこの順に形成する。以上のようにして製造を行って有機EL素子70を形成し、有機EL装置1が完成する。
【0049】
以上のような構成の有機EL装置の製造方法によれば、中間電極層40は、大気に安定な電子受容性の金属酸化物であるMoOと、大気に不安定な電子供与性の金属であるCaとの混合物となっている。これらの混合比は体積比で10:1となっており、金属酸化物よりも金属の方が少なくなっている。そのため、この中間電極層を大気中に曝しても、より多く含まれる金属酸化物が大気から中間電極層40を保護する被膜の役割を果たし、中間電極層40が備える金属の変質を防ぐことができる。このような、良好な大気安定性と良好な電子注入性を両立した中間電極層40を備えることで、湿式塗布法による機能液の塗布を大気中で良好に行うことができ、容易に高性能な有機EL装置1を製造することが可能となる。
【0050】
また、本実施形態では、中間電極層40に含まれる電子供与性(正孔注入性)の金属酸化物としてMoOを用いている。MoOは、人体に対する危険性が少なく取り扱いが簡単であるため、大気中で行う湿式塗布法では取り扱いや操作が簡便になり、容易に有機EL装置を製造することができる。
【0051】
また、本実施形態では、中間電極層40に含まれる電子供与性(電子注入性)の金属としてCaを用いている。そのため、隣接する第2の有機発光層30Bに良好に電子を注入することができ、高性能な有機EL装置を製造することができる。
【0052】
また、本実施形態では、中間電極層40が10nmとなっている。そのため、第2の有機発光層30Bを形成する際に塗布する機能液から第1の有機発光層30Aを保護し、第1の有機発光層30Aが機能液に溶解することを防ぐことができ、同時に、透光性を損なわない良好な発光を実現することができる。
【0053】
また、以上のような構成の有機EL装置1によれば、中間電極層40が、電子受容性の金属酸化物と、電子供与性の金属との混合物で形成されており、1層で両方の性質を兼ね備えた層となっている。そのため、電子受容性の層と電子供与性の層を別々に設けて積層し中間電極層40を形成する場合と比べて、性能を保ったまま信頼性の高い有機EL装置1を実現することができる。
【0054】
なお、本実施形態においては、正孔注入層32はPEDOT/PSSで形成することとしたが、仕事関数が4.3eVよりも大きい電子受容性の金属酸化物を用いて形成することとしても構わない。
その場合は、中間電極層40Aが備える金属酸化物と同じ金属酸化物を用いることが望ましい。この方法によれば、共通する材料で正孔注入層を形成することができるため、必要な材料・設備を減らすことができ、製造工程が簡便になる。
【0055】
また、本実施形態においては、電子注入性の金属としてアルカリ金属、アルカリ土類金属を用いることとし、それらの中からCaを選択したが、電子注入性の金属としてアルミニウムを使用することもできる。アルミニウムの仕事関数は4.3eVである。
【0056】
また、本実施形態においては、中間電極層は1種の金属酸化物(MoO)と1種の金属(Ca)の混合物としたが、各々複数種の金属酸化物および/または金属を用いることとしても構わない。
【0057】
また、本実施形態においては、共通隔壁層24を形成した後に親液処理を行い、その後の各層の形成を行ったが、親液処理後にCFガス下でプラズマによる表面処理を行い、表面全体を撥液処理しても構わない。
その場合は、機能液は発光に関与しない共通隔壁層24の頂面24aや側壁24bに配置されず、良好に開口部26に流れ込み、無駄なく塗布することができる
【0058】
また、本実施形態においては、第1の有機発光層30Aと第2の有機発光層30Bとを同じ材料で形成することとしたが、異なる材料で形成することとしても構わない。その様な場合には、例えば青色と黄色に発色する2層を形成することで全体として白色光を射出する有機EL装置とすることができる。
【0059】
また、本実施形態においては、有機発光層は2層であったが、更に多数の有機発光層を備えることとしても良い。その場合には、各有機発光層の間には同様に中間電極層を形成することが望ましい。
【0060】
また、画素電極10と第1の有機発光層30Aとの間、または中間電極層40と第2の有機発光層30Bとの間に、有機発光層での発光効率を向上させる機能を備えたインターレイヤ層を形成することとしても良い。インターレイヤ層の形成材料には、例えばアミン系の導電性高分子を用いることができ、該形成材料を含む機能液を液滴吐出法で塗布して形成することができる。インターレイヤ層を設けると、画素電極10と第1の有機発光層30Aとの界面、または中間電極層40と第2の有機発光層30Bとの界面での有機発光層の失活を防止でき、発光効率を上げ有機EL装置を長寿命化することができる。
【0061】
また、本実施形態においては、スピンコート法を用いて機能液の塗布を行うこととしたが、他にも液滴吐出法、スクリーン印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、ディスペンサ法など、機能液を配置して機能膜を形成する他の湿式塗布法を用いることもできる。
【0062】
[第2実施形態]
図4は、本発明の第2実施形態に係る有機EL装置2の説明図である。本実施形態の有機EL装置は、第1実施形態と一部共通している。異なるのは、共通隔壁層が囲む領域に複数の有機EL素子(図では3つ)が配置されていることである。したがって、本実施形態において第1実施形態と共通する構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0063】
図に示すように、有機EL装置2は基板20の上に形成された3つの画素電極10の周囲を取り囲んで共通隔壁層24が形成されている。そのため、共通隔壁部24で囲まれる領域内には3つの有機EL素子70が配置されている。共通隔壁層24の配置以外は第1実施形態と違いは無く同様の製造方法で製造することができる。このような有機EL装置2では、画素開口率が上がるため高輝度化が可能となる。
【0064】
本実施形態では、共通隔壁部24で囲まれる領域内に有機EL素子70が3つ配置されている例を示したが、更に多くの有機EL素子70を配置することとしても良い。
【0065】
[電子機器]
次に、本発明の製造方法で製造された有機EL装置を備える電子機器について、例を挙げて説明する。図5は、上記有機EL装置をラインヘッドとして備えた画像形成装置(光プリンタ)1000を示す概略構成図である。
【0066】
光プリンタ1000は、転写媒体220の走行経路の近傍に、像担持体としての感光体ドラム160を備えている。感光体ドラム160の周囲には、感光体ドラム160の回転方向(図中の矢印方向)に沿って、露光装置100L、現像装置180及び転写ローラ210が順次配設されている。感光体ドラム160は、回転軸170の周りに回転可能に設けられており、その外周面には、回転軸方向中央部に感光面160Aが形成されている。露光装置100L及び現像装置180は感光体ドラム160の回転軸170に沿って長軸状に配置されており、その長軸方向の幅は、感光面160Aの幅と概ね一致している。
【0067】
露光装置100Lには、複数の有機EL素子100Aを有するラインヘッド(有機EL装置)100と、該ラインヘッド100から放射された光を正立等倍結像させる複数のレンズ素子120Aを有する結像光学素子120とを備えている。ラインヘッド100と結像光学素子120とは、互いにアライメントされた状態で図示略のヘッドケースによって保持され、感光体ドラム160上に固定されている。ここで、有機EL素子100Aは、上述した製造方法で製造され、マルチフォトン方式の構造を有している。そのため、この光プリンタ1000は、ラインヘッド100の小型化が可能であり、且つ発光輝度が高く露光不良の生じ難いものとなっている。
【0068】
なお、電子機器としては、上述したものに限られることなく、種々のものに適用することができる。例えば、携帯電話、ディスクトップ型コンピュータ、マルチメディア対応のパーソナルコンピュータ(PC)及びエンジニアリング・ワークステーション(EWS)、ページャ、ワードプロセッサ、テレビ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、電子手帳、電子卓上計算機、カーナビゲーション装置、POS端末、タッチパネルを備えた装置等の画像表示手段として好適に用いることができ、かかる構成とすることで、表示品質が高い表示部を備えた電子機器を提供することができる。
【0069】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の第1実施形態の有機EL装置を示す断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態の有機EL装置の製造方法を示す工程図である。
【図3】本発明の第1実施形態の有機EL装置の製造方法を示す工程図である。
【図4】本発明の第2実施形態の有機EL装置を示す断面図である。
【図5】本発明の製造方法で製造された有機EL装置を備える電子機器を示す図である。
【符号の説明】
【0071】
1,2…有機エレクトロルミネッセンス装置、10…画素電極(第1電極)、20…基板、24…共通隔壁層(隔壁層)、24a…頂面、24b…側壁、30A,30B…有機発光層、34…無機正孔注入層、40…中間電極層、50…共通電極(第2電極)、70…有機EL素子(発光素子)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と第2電極との間に挟持された複数の有機発光層を備える発光素子が、複数配設されてなる有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、
前記第1電極上に、第1の有機発光層を形成する工程と、
少なくとも前記第1の有機発光層の表面全面を覆って、仕事関数が4.3eVよりも大きい電子受容性の金属酸化物と、仕事関数が4.3eV以下の電子供与性の金属と、の混合物を主体とする中間電極層を形成する工程と、
前記中間電極層の上に、有機発光層の形成材料を溶媒に溶解または分散させた機能液を塗布し、第2の有機発光層を形成する工程と、を備えることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項2】
前記中間電極層に含まれる前記金属酸化物の体積が、前記金属の体積以上であることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項3】
前記中間電極層は、前記金属に対する前記金属酸化物の体積比が1以上20以下であることを特徴とする請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項4】
前記電子受容性の金属酸化物は、酸化モリブデンであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項5】
前記電子供与性の金属は、アルカリ金属、アルカリ土類金属からなる群から選択されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項6】
前記中間電極層の膜厚が、1nm以上100nm以下であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項7】
前記第1の有機発光層を形成する工程に先立って、少なくとも前記第1電極を覆う無機正孔注入層を形成する工程を備え、
前記無機正孔注入層は、仕事関数が4.3eVよりも大きい電子受容性の金属酸化物を用いて形成することを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項8】
前記無機正孔注入層の形成材料が、前記中間電極層が備える前記金属酸化物と同じであることを特徴とする請求項7に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項9】
前記第2電極の形成材料が、前記中間電極層が備える前記金属と同じ材料を含むことを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項10】
一対の電極に挟持される、電子受容性の金属酸化物と電子供与性の金属との混合物を主体として構成された中間電極層と、
前記一対の電極のうちの一方の電極と前記中間電極層との間に配置された第1の有機発光層と、
前記一対の電極のうちの他方の電極と前記中間電極層との間に湿式成膜法で形成された第2の有機発光層と、を備えることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項11】
請求項10に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−135057(P2009−135057A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−312064(P2007−312064)
【出願日】平成19年12月3日(2007.12.3)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】