説明

有機ケイ素化合物をベースとする架橋性組成物

【課題】有機ケイ素化合物をベースとする架橋性組成物、該架橋性組成物の製造方法ならびに使用を提供する。
【解決手段】有機ケイ素化合物をベースとする架橋性組成物が、少なくとも1の式
H(OCH2CH2n(OCHCH3CH2p(OCH2CH2mOH (III)
[式中、
nは 0または1〜30の整数であり、
mは、0または1〜30の整数であり、かつ
n+mの合計は5より大であり、ならびに
pは、1、2または3である]の化合物および/または該化合物と、加水分解可能な有機ケイ素化合物との反応生成物を含有する。
【効果】製造が容易であり、かつ変形に対して抵抗性であり、適用の際に極めて良好な取り扱い性を有しており、かつ多数の適用の際に優れた加工特性を有する。また、極めて高い貯蔵安定性を有し、かつ高い架橋速度により優れており、適用の際に糸引きが短く、かつ硬化した状態で弾性率が低い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、適用の際に極めて良好な取り扱い性を有する、有機ケイ素化合物をベースとする架橋性組成物、該架橋性組成物の製造方法ならびに使用に関する。
【背景技術】
【0002】
水の排除下で貯蔵可能であり、水が加わると室温で加硫してエラストマーになる一成分系シーラントは公知である。該生成物は、たとえば建築産業において大量に使用される。これらの混合物のベースは、シリル基を末端に有し、反応性の置換基、たとえばOH基または加水分解可能な基、たとえばアルコキシ基またはアセトキシ基を有するポリマーである。さらに該シーラントは、充填材、可塑剤、架橋剤、触媒ならびに添加剤を含有していてもよい。添加剤はシーラントの場合、硬化した生成物の選択された適用技術的な特性のみでなく、硬化の間の、それどころか、すでに適用の間のシーラントの特殊な特性もまた改善することができる。
【0003】
通常、シーラントはチューブ、カートリッジまたはチューブ状のバッグ(Schlauchbeutel)から押し出され、次いで指または補助手段で継ぎ目に平滑に伸ばされる。シーラントはこの継ぎ目中で実質的に形状を変化させることなく完全に硬化する。まだ硬化していないシーラントの耐用寿命に作用するレオロジー添加剤は、たとえばUS−A4,304,897に記載されている。この場合、記載されているポリエーテル−シリコーン−コポリマーは、シリコーンシーラントの流動性を低減するので、重力の作用下、つまりごくわずかな剪断力の作用下では流れないか、または最小限流れるにとどまる。
【0004】
適用の間、ペースト状のシーラントでは多くの場合、実質的にさらに高い要求が課される。たとえばシーラントは平らに伸ばすときに指に、または伸ばすための道具にできる限り大きく抵抗して継ぎ目を最適な状態に形成することができるべきである。この抵抗は、規定の成形体を一定の深さまで押し込むために必要とされる力を測定することにより測定技術的に把握することができる。平らに伸ばす時の抵抗は、専門用語では、「ボディ(body)」とも呼ばれる。しばしばシーラントの加工業者は低すぎる「ボディ」に対して苦情を呈する。平らに伸ばすのが終わると、シーラントは一般に短い糸引き(Fadenzug)で伸ばすための道具から分離し、かつ継ぎ目のきれいな遮断が可能となるべきである。
【0005】
EP−A−857760には、シリコーンシーラントの糸引きを低減するための多数の非イオン性化合物、特にポリエチレン−ポリプロピレン−ブロック−コポリマーが記載されている。しかし、いわゆる「ボディ」、つまり上記の継ぎ目におけるシーラントの抵抗は、改善されないか、またはほとんど改善されない。シーラントの変形に対する十分な抵抗を得るために、公知の非イオン性化合物は、下地へのシーラントの接着を著しく悪化させるような量で含有されていなくてはならない。従ってこのような量で使用することは実地では不可能である。
【0006】
硬化していないシーラントの、変形に対する抵抗を高めるもう1つの公知の可能性は、通常、いずれにしても含有される高分散性の充填材の割合を高めることである。しかし、満足のいく加工特性を達成するために、硬化したゴムが充填材の割合が高すぎることに基づいて、継ぎ目シーラントとしての適用のために不十分な機械的特性、たとえば高すぎる硬度または低すぎる延性を有するような量で高分散性充填材を混合物に配合しなくてはならない。
【0007】
総じてシリコーンシーラントの最適な加工特性は多くの場合、従来技術に相応して、シーラント中で非シリコーン可塑剤が含有されていることにより達成が困難になる。通常は、石油の蒸留および相応するフラクションの後処理から得られる有機炭化水素を使用する。該炭化水素は、シーラントを平らに伸ばすときに工具に抵抗するその抵抗を著しく低減する。
【特許文献1】US−A4,304,897
【特許文献2】EP−A−857760
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って本発明の課題は、上記の欠点を有していない、有機ケイ素化合物をベースとする架橋性組成物、該組成物の製造方法およびその使用を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は本発明により、少なくとも1の式
H(OCH2CH2n(OCHCH3CH2p(OCH2CH2mOH (III)
[式中、
nは 0または1〜30の整数、有利には1〜15の整数であり、
mは、0または1〜30の整数、有利には1〜15の整数であり、かつ
n+mの合計は5より大であり、ならびに
pは、1、2または3、有利には1または2、特に有利には1である]の化合物および/または該化合物と、加水分解可能な有機ケイ素化合物との反応生成物を含有している有機ケイ素化合物をベースとする架橋性組成物により解決されることが判明した。
【0010】
架橋性組成物とは、有利には縮合反応により架橋可能な組成物である。
【0011】
本発明の範囲では、「縮合反応」という名称は、場合により先行する加水分解工程も包含すべきである。
【0012】
本発明の範囲では、「縮合可能な基」という名称は、場合により先行する加水分解工程を一緒に含む基であると理解すべきである。
【0013】
特に有利には本発明による組成物は、
(A)少なくとも2つの縮合可能な基を有する有機ケイ素化合物、
(B)式(III)の化合物および/または該化合物と、加水分解可能な有機ケイ素化合物との反応生成物および場合により
(C)架橋剤
を使用して製造することができるものである。
【0014】
架橋反応に関与した、使用した有機ケイ素化合物を含有する縮合可能な基とは、任意の基、たとえばヒドロキシ基、オキシマト基、アミノ基およびオルガニルオキシ基であってよい。
【0015】
本発明により使用される有機ケイ素化合物(A)は、少なくとも2つの縮合可能な基を有する全ての有機ケイ素化合物であってよい。このような化合物はこれまでも縮合反応により架橋可能な組成物中で使用されている。これは、純粋なシロキサン、つまり≡Si−O−Si≡構造であっても、またシルカルバン(Silcarban)、つまり≡Si−R″−Si≡構造[式中、R″は、場合により置換された、もしくはヘテロ原子による中断されている二価の炭化水素基である]であっても、または任意の有機ケイ素基を有するコポリマーであってよい。
【0016】
有利には、本発明により使用される有機ケイ素化合物(A)は、式
abSiO(4-a-b)/2 (I)
[式中、
Rは、同じであるか、または異なっていてよく、かつ置換されていてもよい炭化水素基であり、該基は酸素原子により中断されていてもよく、
Yは、同じであるか、または異なっていてよく、かつヒドロキシル基または加水分解可能な基を表し、
aは、0、1、2または3であり、有利には1または2であり、かつ
bは、0、1、2または3であり、有利には0、1または2であり、特に有利には0であり、ただしその際、a+bの合計は、4以下であり、かつ1分子あたり、少なくとも2つの基Yが存在している]の単位を有する化合物である。
【0017】
有利にはa+bの合計は3以下である。
【0018】
有利には基Rは、1〜18個の炭素原子を有する一価の炭化水素基であり、これは場合によりハロゲン原子、アミノ基、エーテル基、エステル基、エポキシ基、メルカプト基、シアノ基または(ポリ)グリコール基により置換されており、その際、(ポリ)グリコール基は、オキシエチレン単位および/またはオキシプロピレン単位から構成されており、特に有利であるのは1〜12個の炭素原子を有するアルキル基、特にメチル基である。あるいはまた基Rは、たとえば二つのシリル基を相互に結合する二価の基であってもよい。
【0019】
基Rのための例は、アルキル基、たとえばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソ−プロピル基、1−n−ブチル基、2−n−ブチル基、イソ−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソ−ペンチル基、ネオ−ペンチル基、t−ペンチル基;ヘキシル基、たとえばn−ヘキシル基;ヘプチル基、たとえばn−ヘプチル基;オクチル基、たとえばn−オクチル基およびイソ−オクチル基、たとえば2,2,4−トリメチルペンチル基;ノニル基、たとえばn−ノニル基;デシル基、たとえばn−デシル基;ドデシル基、たとえばn−ドデシル基;オクタデシル基、たとえばn−オクタデシル基;シクロアルキル基、たとえばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基およびメチルシクロヘキシル基;アルケニル基、たとえばビニル基、1−プロペニル基および2−プロペニル基;アリール基、たとえばフェニル基、ナフチル基、アントリル基およびフェナントリル基;アルカリール基、たとえばo−、m−、p−トリル基;キシリル基およびエチルフェニル基;およびアラルキル基、たとえばベンジル基、α−およびβ−フェニルエチル基である。
【0020】
置換された基Rのための例は、メトキシエチル基、エトキシエチル基およびエトキシエトキシエチル基である。
【0021】
二価の基Rのための例は、ポリイソブチレンジイル基およびプロパンジイル末端のポリプロピレングリコール基である。
【0022】
基Yのための例は、ヒドロキシル基ならびに全ての従来公知の加水分解可能な基、たとえば酸素原子または窒素原子を介してケイ素原子に結合している、場合により置換された炭化水素基である。
【0023】
有利には基Yは、ヒドロキシル基、基−OR1であり、その際、R1は場合により置換された炭化水素基であり、これは酸素原子により中断されていてもよく、たとえばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基および2−メトキシエトキシ基、アシルオキシ基、たとえばアセトキシ基、アミノ基、たとえばメチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基およびシクロヘキシルアミノ基、アミド基、たとえばN−メチルアセトアミド基およびベンズアミド基、アミノオキシ基、たとえばジエチルアミノオキシ基、オキシモ基、たとえばメチルエチルケトキシモ−およびメチルイソブチルケトキシモ基、およびエトキシ基、たとえば2−プロペンオキシ基である。
【0024】
基R1のための例は、基Rに関して記載した一価の基である。
【0025】
有利には基R1は、1〜12個の炭素原子を有するアルキル基であり、特に有利にはメチル基またはエチル基である。
【0026】
特に有利には基Yは、ヒドロキシル基、基−OR1(R1は、上記のものを表す)、アセトキシ基およびオキシモ基、特にヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基、アセトキシ基およびメチルエチルケトキシモ基、とりわけ有利にはアセトキシ基である。
【0027】
特に有利には本発明により使用される有機ケイ素化合物(A)は、式
3-ffSi−(SiR2−O)e−SiRf3-f (II)
[式中、
RおよびYはそのつど同じであるか、または異なっていてよく、かつ上記のものを表し、
eは、30〜3000であり、かつ
fは、0、1または2である]の化合物である。
【0028】
有利にはfは、Yが−OHである場合には2であり、かつfは、Yがメトキシ基、エトキシ基またはアセトキシ基である場合には1または0である。
【0029】
有機ケイ素化合物(A)のための例は、
(MeO)2MeSiO[SiMe2O]200-2000SiMe(OMe)2
(AcO)2MeSiO[SiMe2O]200-2000SiMe(OAc)2
(HO)2MeSiO[SiMe2O]200-2000SiMe2(OH)、
(EtO)2MeSiO[SiMe2O]200-2000SiMe(OEt)2
(HO)MeViSiO[SiMe2O]200-2000SiMeVi(OH)、
(MeO)2ViSiO[SiMe2O]200-2000SiVi(OMe)2
(AcO)2ViSiO[SiMe2O]200-2000SiVi(OAc)2
(AcO)2EtSiO[SiMe2O]200-2000SiEt(OAc)2
(Ox)2MeSiO[SiMe2O]200-2000SiMe(Ox)2
(Ox)2ViSiO[SiMe2O]200-2000SiVi(OMe)2
(Ox)2EtSiO[SiMe2O]200-2000SiEt(Ox)2
(Ox)3SiO[SiMe2O]200-2000Si(Ox)3および
(EtO)2ViSiO[SiMe2O]200-2000SiVi(OEt)2
その際、Meはメチル基、Etはエチル基、Viはビニル基、Acはアセトキシ基およびOxはメチルエチルケトキシモ基を表す。
【0030】
本発明により使用される有機ケイ素化合物(A)は、そのつど、25℃で有利に100〜106mPas、特に有利には103〜3500000mPasの粘度を有する。
【0031】
有機ケイ素化合物(A)は、市販の製品であるか、もしくはケイ素化学において通例の方法により製造することができる。
【0032】
本発明により使用される成分(B)は、有利には式(III)の化合物であり、その際、OH基はすでに混合の際に、組成物の残りの成分と、特に架橋剤(C)と、完全に、または部分的に反応することができる。しかし成分(B)として、式(III)の化合物と、加水分解可能な有機ケイ素化合物、たとえば架橋剤(C)との反応生成物を使用することも可能である。
【0033】
本発明により使用される成分(B)は、有利には式中でn+mの合計が5〜25である式(III)の化合物であり、特に有利であるのは、式中でn+mの合計が10〜15、特に12〜14の値である化合物である。
【0034】
本発明により使用される化合物(B)のための例は、H(OCH2CH25(OCHCH3CH2)(OCH2CH210OH、
H(OCH2CH26(OCHCH3CH2)(OCH2CH27OH、
H(OCH2CH25(OCHCH3CH2)(OCH2CH220OH、
H(OCH2CH27(OCHCH3CH2)(OCH2CH27OH、
H(OCH2CH22(OCHCH3CH2)(OCH2CH212OH、
H(OCH2CH25(OCHCH3CH22(OCH2CH210OH、
H(OCH2CH26(OCHCH3CH22(OCH2CH26OHおよび/またはこれらの化合物と架橋剤(C)との反応生成物であり、その際、H(OCH2CH25(OCHCH3CH2)(OCH2CH210OH、
H(OCH2CH26(OCHCH3CH2)(OCH2CH27OH、
H(OCH2CH25(OCHCH3CH2)(OCH2CH220OH、
H(OCH2CH27(OCHCH3CH2)(OCH2CH27OH、
H(OCH2CH22(OCHCH3CH2)(OCH2CH212OHおよび/またはこれらの化合物と架橋剤(C)との反応生成物は有利であり、かつH(OCH2CH26(OCHCH3CH2)(OCH2CH27OH、
H(OCH2CH27(OCHCH3CH2)(OCH2CH27OH、
H(OCH2CH22(OCHCH3CH2)(OCH2CH212OHおよび/またはこれらの化合物と架橋剤(C)との反応生成物は特に有利である。
【0035】
化合物(B)は市販の製品であるか、もしくは有機化学において通例の方法により製造することができる。
【0036】
本発明による組成物は、成分(B)を、そのつど、有機ケイ素化合物(A)100質量部に対して、有利には0.01〜5質量部、特に有利には0.05〜1.0質量部、特に0.1〜0.7質量部の量で含有している。
【0037】
本発明による組成物中で場合により使用される架橋剤(C)は、任意の、従来公知の、少なくとも3つの縮合可能な基を有する架橋剤、たとえば少なくとも3つのオルガニルオキシ基を有するシランまたはシロキサンであってよい。
【0038】
本発明による組成物中で場合により使用される架橋剤(C)は、有利には式
cSiR2(4-c) (IV)
[式中、
2は、同じであるか、または異なっていてよく、かつ置換されていてもよい一価の炭化水素基であり、これは酸素原子により中断されていてもよく、
Zは、同じであるか、または異なっていてよく、かつ上記でYに関して記載したものを表すが、ただしヒドロキシル基は除外され、かつ
cは、3または4である]の有機ケイ素化合物ならびにその部分加水分解物である。
【0039】
部分加水分解物は、部分ホモ加水分解物(Teilhomohydrolysate)、つまり式(IV)の有機ケイ素化合物の1種の部分加水分解物であっても、式(IV)の有機ケイ素化合物の少なくとも2つの異なった種類の部分加水分解物であってもよい。
【0040】
式(IV)中で記載されていないとしても、本発明によれば場合により使用される有機ケイ素化合物は製造条件によってわずかな割合のヒドロキシル基、有利には全てのSi結合基の最大で5%までのヒドロキシル基を有していてよい。
【0041】
本発明による組成物中で場合により使用される架橋剤(C)が、式(IV)の有機ケイ素化合物の部分加水分解物である場合、6個までのケイ素原子を有する化合物が有利である。
【0042】
基R2のための例は、上記で基Rに関して記載した例であり、その際、1〜12個の炭素原子を有する炭化水素基が有利であり、かつメチル基およびビニル基が特に有利である。
【0043】
Zのための例は、Yに関して記載した例であり、ヒドロキシル基は除外される。
【0044】
有利には本発明による組成物中で場合により使用される架橋剤(C)は、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3−シアノプロピルトリメトキシシラン、3−シアノプロピルトリエトキシシラン、3−(グリシドキシ)プロピルトリエトキシシラン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、メチルトリス(メチルエチルケトキシモ)シラン、ビニルトリス(メチルエチルケトキシモ)シラン、テトラキス−(メチルエチルケトキシモ)シラン、メチルトリアセトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、メチルビニルジアセトキシシランならびに前記の有機ケイ素化合物の部分加水分解物、たとえばヘキサエトキシジシロキサンである。
【0045】
特に有利には本発明による組成物中で場合により使用される架橋剤(C)は、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、メチルトリス(メチルエチルケトキシモ)シラン、ビニルトリス(メチルエチルケトキシモ)シラン、メチルトリアセトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、ビニルトリアセトキシシランならびにこれらの部分加水分解物、特にメチルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メチルトリス(メチルエチルケトキシモ)シラン、ビニルトリス(メチルエチルケトキシモ)シラン、メチルトリアセトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、ビニルトリアセトキシシランならびにこれらの部分加水分解物である。
【0046】
本発明による組成物中で場合により使用される架橋剤(C)は、市販の製品であるか、もしくはケイ素化学において公知の方法により製造することができる。
【0047】
本発明による組成物が架橋剤(C)を含有している場合、これはそのつど、有機ケイ素化合物(A)100質量部に対して、有利には0.01〜20質量部、特に有利には0.5〜10質量部、特に3〜8質量部の量である。
【0048】
上記の成分(A)、(B)および場合により(C)に加えて、本発明による組成物は、従来、縮合反応により架橋可能な組成物において使用されてきた全てのその他の物質、たとえば硬化促進剤(D)、可塑剤(E)、充填材(F)、接着促進剤(G)および添加剤(H)を含有していてよい。
【0049】
硬化促進剤(D)として、従来縮合反応により架橋することができる組成物中で使用される全ての硬化促進剤を使用することができる。硬化促進剤(D)のための例は、チタン化合物および有機スズ化合物、たとえばジ−n−ブチルスズジラウレートおよびジ−n−ブチルスズジアセテート、ジ−n−ブチルスズオキシド、ジオクチルスズジアセテート、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズオキシドならびにこれらの化合物とアルコキシシランとの反応生成物、たとえばテトラエトキシシランであり、その際、ジ−n−ブチルスズジアセテートおよびジブチルスズオキシドが、テトラエチルシリケート加水分解物中で有利であり、かつジ−n−ブチルスズオキシドがテトラエチルシリケート加水分解物中で特に有利である。
【0050】
本発明による組成物が、硬化促進剤(D)を含有している場合、これはそのつど成分(A)100質量部に対して、有利には0.01〜3質量部、0.05〜2質量部の量である。
【0051】
可塑剤(E)のための例は室温で液状の、トリメチルシロキシ基により末端がブロックされた、特に25℃で50〜1000mPasの範囲の粘度を有するジメチルポリシロキサン、室温および大気圧で液状の、実質的に−SiO3/2−およびSiO1/2−単位、いわゆるT単位およびM単位からなるオルガノポリシロキサン、ならびに高沸点の炭化水素、たとえば実質的にナフテンおよびパラフィン単位からなるパラフィン油または鉱油である。
【0052】
有利には可塑剤(E)は、高沸点の炭化水素である。
【0053】
本発明による組成物は、そのつど有機ケイ素化合物(A)100質量部に対して有利には0〜300質量部、特に有利には10〜200質量部、特に20〜100質量部の量で可塑剤(E)を含有している。
【0054】
充填材(F)のための例は、非強化充填材、つまり50m2/gまでのBET表面積を有する充填材、たとえば石英、ケイソウ土、ケイ酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、ゼオライト、金属酸化物粉末、たとえば酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化鉄または酸化亜鉛もしくはこれらの混合酸化物、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、セッコウ、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ホウ素、ガラス粉末およびプラスチック粉末、たとえばポリアクリロニトリル粉末;強化充填材、つまり、50m2/gより大きいBET表面積を有する充填材、たとえば熱分解法により製造されたシリカ、沈降シリカ、沈降白亜、カーボンブラック、たとえばファーネスブラックおよびアセチレンブラックおよび大きな表面積を有するケイ素−アルミニウム−混合酸化物;繊維状の充填材、たとえばアスベストならびにプラスチック繊維である。前記の充填材は、たとえばオルガノシランもしくはオルガノシロキサンによるか、またはステアリン酸による処理により、またはヒドロキシル基をアルコキシ基へとエーテル化することにより疎水化されていてもよい。充填材(F)を使用する場合には、有利であるのは親水性の熱分解法シリカおよび沈降もしくは粉砕された炭酸カルシウムである。
【0055】
本発明による組成物は、そのつど、有機ケイ素化合物(A)100質量部に対して、充填材(F)を有利には0〜300質量部、特に有利には1〜200質量部、特に5〜200質量部の量で含有している。
【0056】
本発明による組成物中で使用される接着促進剤(G)のための例は、官能基を有するシランおよびオルガノポリシロキサンであり、たとえば、グリシドキシプロピル基、アミノプロピル基またはメタクリルオキシプロピル基を有するものである。しかしすでにその他の成分、たとえば有機ケイ素化合物(A)または架橋剤(C)が前記の官能基を有している場合には、接着促進剤の添加は断念することができる。
【0057】
本発明による組成物は、そのつど、有機ケイ素化合物(A)100質量部に対して、接着促進剤(G)を有利には0〜50質量部、特に有利には1〜20質量部、とりわけ1〜10質量部の量で含有している。
【0058】
添加剤(H)のための例は、顔料、着色剤、香料、酸化防止剤、電気的な特性に影響を与えるための添加剤、たとえば導電性カーボンブラック、難燃剤、光安定剤、殺菌剤、皮膜形成時間を延長するための添加剤、たとえばSiC結合したメルカプトアルキル基を有するシラン、気泡形成剤、たとえばアジドジカルボンアミド、熱安定剤、捕捉剤、たとえばSi−Nを含有するシラザンまたはシリルアミド、助触媒、たとえばルイス酸およびブレンステッド酸、たとえばスルホン酸、リン酸、リン酸エステル、ホスホン酸およびホスホン酸エステル、チキソトロープ剤、たとえばリン酸エステル、有機溶剤、たとえばアルキル芳香族化合物、ならびに成分(A)とは異なる任意のシロキサンである。
【0059】
成分(H)として使用することができるシロキサンのための例は、式(I)の単位からなるものであり、これは分子あたり、正確に1つの基Yを有しており、たとえばモノヒドロキシジオルガノポリシロキサンである。このような一官能性のシロキサンは、有利には弾性率を制御するために有利である。
【0060】
本発明による組成物が添加剤(H)を含有している場合には有利であり、該添加剤(H)は、そのつど有機ケイ素化合物(A)100質量部に対して、有利には0.01〜100質量部、特に有利には0.1〜30質量部、特に0.3〜10質量部の量である。
【0061】
特に有利であるのは、
(A)式(I)の単位を有する有機ケイ素化合物、
(B)式(III)の化合物および/または該化合物と、加水分解可能な有機ケイ素化合物との反応生成物、
場合により
(C)式(IV)の架橋剤、
場合により
(D)硬化促進剤、
場合により
(E)可塑剤
場合により
(F)充填材
場合により
(G)接着促進剤および
場合により
(H)添加剤
からなる本発明による組成物である。
【0062】
本発明による組成物は、有利には粘性ないしペースト状の組成物である。
【0063】
本発明による組成物を製造するために、全ての成分を任意の順序で相互に混合することができる。この混合は、室温および周囲雰囲気の圧力で、つまり約900〜1100hPaで行うことができる。あるいはまた、この混合は、所望の場合には、より高い温度で、たとえば35℃〜135℃の範囲の温度で行うこともできる。さらに、時々、または常時、揮発性化合物または空気を除去するために、減圧下で、たとえば30〜500hPa絶対圧力で混合することも可能である。
【0064】
本発明による組成物の個々の成分は、そのつど、このような成分の1種であっても、このような成分の少なくとも2種類からなる混合物であってもよい。
【0065】
本発明による組成物の架橋のために、空気の通常の含水率で十分である。本発明による組成物の架橋は有利には室温で行う。これは、所望の場合には、室温より高いか、もしくはより低い温度で、たとえば−5℃〜15℃で、または30℃〜50℃でおよび/または空気の通常の含水率を超える水の濃度で実施することができる。
【0066】
有利には、架橋は100〜1100hPaの圧力で、特に周囲の雰囲気の圧力で、つまり約900〜1100hPaで実施する。
【0067】
本発明のもう1つの対象は、本発明による組成物を架橋することにより製造される成形体である。
【0068】
本発明による組成物は、水を排除して貯蔵することができ、水が加わった時に室温で架橋してエラストマーになる組成物のために使用することができる全ての使用目的のために使用することができる。
【0069】
従って本発明による組成物は、建築物、車両、船舶および航空機の、たとえば垂直方向の継ぎ目を含めた継ぎ目およびたとえば内径10〜40mmの類似の空隙のためのシーラントとして、またはたとえば窓建築における、もしくはガラス戸棚を製造する際の接着剤もしくはパテ材料として、ならびに淡水または海水により常に影響を受ける表面を含む保護用被覆、または平滑化を妨げる被覆を製造するため、またはゴム弾性の成形体を製造するため、ならびに電気的もしくは電子的なデバイスを絶縁するために優れている。
【0070】
本発明による組成物は、容易に製造することができ、かつ高い抵抗による変形に抵抗するという利点を有する。
【0071】
さらに本発明による組成物は、適用の際に極めて良好な取り扱い性を有しており、かつ多数の適用の際に優れた加工特性を有するという利点を有する。
【0072】
本発明による架橋性組成物は、極めて高い貯蔵安定性を有し、かつ高い架橋速度により優れているという利点を有する。
【0073】
さらに本発明による組成物は、適用の際に糸引きが短く、かつ硬化した状態で低い弾性率を特徴とするという利点を有する。
【0074】
以下に記載する例において、全ての粘度の記載は、その他の記載がない限り、温度25℃に対する。以下の実施例は、その他の記載がない限り、周囲雰囲気の圧力、つまり約1000hPaで、および室温、つまり約23℃で、もしくは室温で反応相手を添加した時に付加的な加熱または冷却なしで調整される温度で、ならびに約50%の相対空気湿度で実施する。さらに部およびパーセントの全ての記載は、その他の記載がない限り、質量に対する。
【実施例】
【0075】
例1
粘度80000mPa・sを有するα,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン520gおよび40℃で6.2mm2/sの動粘度、粘度−密度−係数0.79および300〜370℃の沸点範囲を有する炭化水素混合物190gを、遊星型ミキサー中で、エチルトリアセトキシシラン22gおよびメチルトリアセトキシシラン10gと共に5分間、混合した。引き続き、比表面積150m2/gを有する熱分解法シリカ(Wacker−Chemie AG社、D−Muenchenから商標HDK(R) V15で市販)60gを配合した。真空下で20分間均質化した後に、約13のエチレンオキシド単位および1のプロピレンオキシド単位からなり、約600g/モルの分子量を有するポリアルキレングリコール2.4gおよびジブチルスズジアセテート0.4gを真空下で混合した。製造された生成物を貯蔵するために、水密容器に充填した。
【0076】
比較例1A
粘度80000mPa・sを有するα,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン520gおよび40℃で6.2mm2/sの動粘度、粘度−密度−係数0.79および300〜370℃の沸点範囲を有する炭化水素混合物190gを、遊星型ミキサー中で、エチルトリアセトキシシラン22gおよびメチルトリアセトキシシラン10gと共に5分間、混合した。引き続き、比表面積150m2/gを有する熱分解法シリカ(Wacker−Chemie AG社、D−Muenchenから商標HDK(R) V15で市販)60gを配合した。真空下で20分間均質化した後に、ジブチルスズジアセテート0.4gを真空下で混合した。製造された生成物を貯蔵するために、水密容器に充填した。
【0077】
比較例1B
粘度80000mPa・sを有するα,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン520gおよび40℃で6.2mm2/sの動粘度、粘度−密度−係数0.79および300〜370℃の沸点範囲を有する炭化水素混合物190gを、遊星型ミキサー中で、エチルトリアセトキシシラン22gおよびメチルトリアセトキシシラン10gと共に5分間、混合した。引き続き、比表面積150m2/gを有する熱分解法シリカ(Wacker−Chemie AG社、D−Muenchenから商標HDK(R) V15で市販)60gを配合した。真空下で20分間均質化した後に、分子量約600g/モルを有するポリエチレングリコール2.4gおよびジブチルスズジアセテート0.4gを真空下で混合した。製造された生成物を貯蔵するために、水密容器に充填した。
【0078】
比較例1C
粘度80000mPa・sを有するα,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン520gおよび40℃で6.2mm2/sの動粘度、粘度−密度−係数0.79および300〜370℃の沸点範囲を有する炭化水素混合物190gを、遊星型ミキサー中で、エチルトリアセトキシシラン22gおよびメチルトリアセトキシシラン10gと共に5分間、混合した。引き続き、比表面積150m2/gを有する熱分解法シリカ(Wacker−Chemie AG社、D−Muenchenから商標HDK(R) V15で市販)60gを配合した。真空下で20分間均質化した後に、分子量約725g/モルを有するポリプロピレングリコール2.4gおよびジブチルスズジアセテート0.4gを真空下で混合した。製造された生成物を貯蔵するために、水密容器に充填した。
【0079】
製造した全てのシーラントは20分の被膜形成時間(25℃、相対湿度50%)を有しており、かつ7日間以内に硬化(25℃、相対空気湿度50%)して、ショアーA硬度20(ISO868)を有するゴム弾性材料を形成した。
【0080】
硬化していない試験体を適用技術的に25℃で特性決定した。結果は第1表に記載されている。
【0081】
押出量の測定は、310mlのPEカートリッジから、押出圧力2.5バールおよびノズル直径3.0mmで行った。
【0082】
変形に対するシーラントの抵抗を確認するために、ツヴィック(Zwick)試験装置を用いて、直径25mmおよび円筒部分の長さ5mmの半球を、50mlのPEビーカーに押し込んだ。測定は、そのつど、ビーカーに気泡が含まれないように硬化していないシーラントを充てんし、かつ表面をならした直後に開始した。
【0083】
糸引きとして、半球をシーラント中に20mmまで押し込んだ後に取り出した時に、付着しているシーラントが切れて戻るまでの長さを測定した。
【0084】
【表1】

【0085】
例1の混合物は、高い押し込み力と同時に所望の短い糸引きを有し、その際、押出量もまた所望の低い値を有している。
【0086】
例2
粘度80000mPa・sを有するα,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン470gおよび粘度1000mPa・sを有する、トリメチルシリル末端ブロックされたポリジメチルシロキサン240gを、遊星型ミキサー中で、エチルトリアセトキシシラン24gおよびメチルトリアセトキシシラン12gと共に5分間、混合した。引き続き、比表面積150m2/gを有する熱分解法シリカ(Wacker−Chemie AG社、D−Muenchenから商標HDK(R) V15で市販)60gを配合した。真空下で20分間均質化した後に、約13のエチレンオキシド単位および1のプロピレンオキシド単位からなり、約600g/モルの分子量を有するポリアルキレングリコール2.4gおよびジブチルスズジアセテート0.4gを真空下で混合した。製造された生成物を貯蔵するために、水密容器に充填した。
【0087】
比較例A2
粘度80000mPa・sを有するα,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン470gおよび粘度1000mPa・sを有する、トリメチルシリル末端ブロックされたポリジメチルシロキサン240gを、遊星型ミキサー中で、エチルトリアセトキシシラン24gおよびメチルトリアセトキシシラン11gと共に5分間、混合した。引き続き、比表面積150m2/gを有する熱分解法シリカ(Wacker−Chemie AG社、D−Muenchenから商標HDK(R) V15で市販)60gを配合した。真空下で20分間均質化した後に、ジブチルスズジアセテート0.4gを真空下で混合した。製造された生成物を貯蔵するために、水密容器に充填した。
【0088】
製造した両方のシーラントは、20分の被膜形成時間(25℃、相対空気湿度50%)を有しており、かつ7日間以内に硬化(25℃、相対空気湿度50%)して、ショアーA硬度(ISO868)21を有するゴム弾性材料を形成した。
【0089】
硬化していない試験体を適用技術的に25℃で、例1に記載されているように特性決定した。結果は第2表に記載されている。
【0090】
【表2】

【0091】
例2の混合物は、所望のとおり、最小限の押出量で高い押し込み力を有している。
【0092】
例3
シロキサンがジメトキシメチルシリル基および/またはジメトキシビニルシリル基を末端に有し、かつジメトキシメチルシリル末端基対ジメトキシビニルシリル末端基の比が約1:1である、粘度80000mPa・sを有するポリジメチルシロキサン混合物480g、トリメチルシリルにより末端ブロックされ、粘度1000mPa・sを有するポリジメチルシロキサン175g、40℃での動粘度6.2mm2/s、粘度−密度−係数0.79および300〜370℃の沸点範囲を有する炭化水素混合物40g、メチルトリメトキシシラン25g、アミノプロピルトリエトキシシラン1部と、メチルトリエトキシシラン−加水分解物1部との反応により製造されたエトキシ含有率37%を有する接着促進剤20g、およびアミノプロピルトリメトキシシラン7gを、遊星型ミキサー中で、相互に混合し、かつ15分間、攪拌した。引き続き、比表面積150m2/gを有する熱分解法シリカ63g、オクチルホスホン酸1.5g、約13のエチレンオキシド単位および1のプロピレンオキシド単位からなり、約600g/モルの分子量を有するポリアルキレングリコール2.4g、およびジ−n−ブチルスズジアセテートとテトラエトキシシランとの反応により製造されたスズ触媒2.8gを均質に配合することによりバッチを完成した。製造された生成物を貯蔵するために、水密容器に充填した。
【0093】
比較例3A
シロキサンがジメトキシメチルシリル基および/またはジメトキシビニルシリル基を末端に有し、かつジメトキシメチルシリル末端基対ジメトキシビニルシリル末端基の比が約1:1である、粘度80000mPa・sを有するポリジメチルシロキサン混合物560g、トリメチルシリルにより末端ブロックされ、粘度1000mPa・sを有するポリジメチルシロキサン90g、40℃での動粘度6.2mm2/s、粘度−密度−係数0.79および300〜370℃の沸点範囲を有する炭化水素混合物40g、メチルトリメトキシシラン25g、アミノプロピルトリエトキシシラン1部と、メチルトリエトキシシラン−加水分解物1部との反応により製造されたエトキシ含有率37%を有する接着促進剤20g、およびアミノプロピルトリメトキシシラン7gを、遊星型ミキサー中で、相互に混合し、かつ15分間、攪拌した。引き続き、比表面積150m2/gを有する熱分解法シリカ63g、オクチルホスホン酸1.5gおよびジ−n−ブチルスズジアセテートとテトラエトキシシランとの反応により製造されたスズ触媒2.8gを均質に配合することによりバッチを完成した。製造された生成物を貯蔵するために、水密容器に充填した。
【0094】
製造された両方のシーラントは、10分間の皮膜形成時間(25℃、相対空気湿度50%)を有しており、かつ7日間以内に硬化(25℃、相対空気湿度50%)して、ショアーA硬度19(ISO868)を有するゴム弾性材料を形成した。
【0095】
硬化していない試験体を適用技術的に25℃で例1に記載されているように特性決定した。結果は第3表に記載されている。
【0096】
【表3】

【0097】
例3の混合物は、所望のとおり最小限の押出量で高い押し込み力を有している。
【0098】
例4
シロキサンがジメトキシメチルシリル基および/またはジメトキシビニルシリル基を末端に有し、かつジメトキシメチルシリル末端基対ジメトキシビニルシリル末端基の比が約1:1である、粘度300000mPa・sを有するポリジメチルシロキサン混合物300g、トリメチルシリルにより末端ブロックされ、粘度1000mPa・sを有するポリジメチルシロキサン180g、メチルトリメトキシシラン25gおよびアミノプロピルトリエトキシシラン1部と、メチルトリエトキシシラン−加水分解物1部との反応により製造されたエトキシ含有率37%を有する接着促進剤20gを、遊星型ミキサー中で、相互に混合し、かつ15分間、攪拌した。引き続き、平均粒径5μmを有する粉砕された炭酸カルシウム240g、比表面積150m2/gを有する熱分解法シリカ40g、オクチルホスホン酸1.5g、約13のエチレンオキシド単位および1のプロピレンオキシド単位からなり、約600g/モルの分子量を有するポリアルキレングリコール2.4g、およびジ−n−ブチルスズジアセテートとテトラエトキシシランとの反応により製造されたスズ触媒2.8gを均質に配合することによりバッチを完成した。製造された生成物を貯蔵するために、水密容器に充填した。
【0099】
比較例4A
シロキサンがジメトキシメチルシリル基および/またはジメトキシビニルシリル基を末端に有し、かつジメトキシメチルシリル末端基対ジメトキシビニルシリル末端基の比が約1:1である、粘度300000mPa・sを有するポリジメチルシロキサン混合物300g、トリメチルシリルにより末端ブロックされ、粘度1000mPa・sを有するポリジメチルシロキサン180g、メチルトリメトキシシラン25g、アミノプロピルトリエトキシシラン1部と、メチルトリエトキシシラン−加水分解物1部との反応により製造されたエトキシ含有率37%を有する接着促進剤20gを、遊星型ミキサー中で、相互に混合し、かつ15分間、攪拌した。引き続き、平均粒径5μmを有する粉砕された炭酸カルシウム240g、比表面積150m2/gを有する熱分解法シリカ40g、オクチルホスホン酸2.0gおよびジ−n−ブチルスズジアセテートとテトラエトキシシランとの反応により製造されたスズ触媒2.0gを均質に配合することによりバッチを完成した。製造された生成物を貯蔵するために、水密容器に充填した。
【0100】
製造された両方のシーラントは、10分間の皮膜形成時間(25℃、相対空気湿度50%)を有し、かつ7日間以内に硬化(25℃、相対空気湿度50%)して、ショアーA硬度(ISO868)20を有するゴム弾性材料を形成した。
【0101】
硬化していない試験体を適用技術的に25℃で例1に記載されているとおりに特性決定した。その結果は第4表に記載されている。
【0102】
【表4】

【0103】
例4の混合物は、所望のとおり、最小限の押出量で高い押し込み力およびわずかな糸引きを有していた。
【0104】
例5
粘度80000mPa・sを有するα,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン420gおよび粘度1000mPa・sを有するトリメチルシリル末端ブロックされたポリジメチルシロキサン260gを、遊星型ミキサー中で、メチルトリブタノンオキシモシラン36gおよびテトラブタノンオキシモシラン4gと共に5分間、混合した。引き続き、比表面積150m2/gを有する熱分解法シリカ(Wacker−Chemie AG社、D−Muenchenから商標HDK(R) V15で市販)64gを配合した。真空下で20分間均質化した後に、約13のエチレンオキシド単位および1のプロピレンオキシド単位からなり、約600g/モルの分子量を有するポリアルキレングリコール2.4g、アミノプロピルトリエトキシシラン1部と、メチルトリエトキシシラン−加水分解物1部とを反応させることにより製造され、エトキシ含有率37%を有する接着促進剤15g、およびジ−n−ブチルスズジアセテートとテトラエトキシシランとの反応により製造されたスズ触媒0.4gを真空下で混合した。製造された生成物を貯蔵するために、水密容器に充填した。
【0105】
比較例5A
粘度80000mPa・sを有するα,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン420gおよび粘度1000mPa・sを有するトリメチルシリル末端ブロックされたポリジメチルシロキサン260gを、遊星型ミキサー中で、メチルトリブタノンオキシモシラン36gおよびテトラブタノンオキシモシラン4gと共に5分間、混合した。引き続き、比表面積150m2/gを有する熱分解法シリカ(Wacker−Chemie AG社、D−Muenchenから商標HDK(R) V15で市販)64gを配合した。真空下で20分間均質化した後に、アミノプロピルトリエトキシシラン1部と、メチルトリエトキシシラン−加水分解物1部とを反応させることにより製造され、エトキシ含有率37%を有する接着促進剤15g、およびジ−n−ブチルスズジアセテートとテトラエトキシシランとの反応により製造されたスズ触媒0.4gを真空下で混合した。製造された生成物を貯蔵するために、水密容器に充填した。
【0106】
製造された両方のシーラントは、15分間の皮膜形成時間(25℃、相対空気湿度50%)を有し、かつ7日間以内に硬化(25℃、相対空気湿度50%)して、ショアーA硬度(ISO868)20を有するゴム弾性材料を形成した。
【0107】
硬化していない試験体を適用技術的に25℃で例1に記載されているように特性決定した。結果は第5表に記載されている。
【0108】
【表5】

【0109】
例5の混合物は、所望のとおり、低い押出量およびわずかな糸引きで高い押し込み力を有している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機ケイ素化合物をベースとする架橋性組成物において、該組成物は少なくとも1の式
H(OCH2CH2n(OCHCH3CH2p(OCH2CH2mOH (III)
[式中、
nは 0または1〜30の整数であり、
mは、0または1〜30の整数であり、かつ
n+mの合計は5より大であり、ならびに
pは、1、2または3である]の化合物および/または該化合物と、加水分解可能な有機ケイ素化合物との反応生成物を含有していることを特徴とする、有機ケイ素化合物をベースとする架橋性組成物。
【請求項2】
pが、1または2であることを特徴とする、請求項1記載の架橋性組成物。
【請求項3】
pが、1であることを特徴とする、請求項1または2記載の架橋性組成物。
【請求項4】
縮合反応により架橋可能な組成物であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の架橋性組成物。
【請求項5】
(A)少なくとも2つの縮合可能な基を有する有機ケイ素化合物、
(B)式(III)の化合物および/または該化合物と、加水分解可能な有機ケイ素化合物との反応生成物および場合により
(C)架橋剤
を使用して製造することができることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の架橋性組成物。
【請求項6】
成分(B)を、有機ケイ素化合物(A)100質量部に対して、0.01〜5質量部の量で含有していることを特徴とする、請求項5記載の架橋性組成物。
【請求項7】
(A)式(I)の単位を有する有機ケイ素化合物、
(B)式(III)の化合物および/または該化合物と、加水分解可能な有機ケイ素化合物との反応生成物、
場合により
(C)式(IV)の架橋剤、
場合により
(D)硬化促進剤、
場合により
(E)可塑剤
場合により
(F)充填材
場合により
(G)接着促進剤および
場合により
(H)添加剤
からなることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の架橋性組成物。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか1項記載の架橋性組成物を架橋することにより製造される成形体。

【公開番号】特開2007−169637(P2007−169637A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−341114(P2006−341114)
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【出願人】(390008969)ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト (417)
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】