説明

有機化合物

患者がIAP阻害化合物に応答し得るかどうかを予測する方法であって、a)IAP阻害化合物を患者に投与する工程、およびb)TNF−αまたはIL−8レベルを測定する工程を含む、予測方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
腫瘍壊死因子α(TNF−α)は、炎症により、および免疫刺激物質に応答して単核食細胞により、最初に放出されるサイトカインである。TNF−αは、分化、動員、増殖、およびタンパク質分解のような、ほとんどの細胞過程を増強し得る。低レベルにおいて、TNF−αは、感染体、腫瘍、および組織損傷に対する保護を与える。しかしながら、TNF−αはまた、多くの疾患において役割を有する。ヒトのような哺乳動物に投与されるとき、TNF−αは、急性感染およびショック状態中に見られる症状と同様の、炎症、熱、心血管作用、出血、凝固、および急性期反応を引き起こすか、または悪化させる。TNF−α産生の増大または無制御は、多くの疾患および医学的状態、例えば、固形腫瘍および血液伝播性腫瘍のような癌;鬱血性心不全のような心疾患;ならびに、ウイルス性、遺伝性、炎症性、アレルギー性、および自己免疫性疾患に関与している。
【0002】
単剤として、IAP(アポトーシス阻害タンパク質)へのSmacタンパク質の結合を阻害する化合物(以下、“IAP阻害化合物”)に高感受性(IC50<500nM)である腫瘍細胞株において、抗腫瘍活性が、アポトーシス促進性自己分泌TNF−αシグナル伝達ループの阻害剤の放出によりもたらされることが見出された。この阻害剤の放出の調整の影響は、TNFαの産生の増大およびTNFα仲介アポトーシスの促進である。本発明の範囲内の増殖性疾患は、TNFαシグナル伝達が構成的に活性である疾患である。
【0003】
IAP阻害化合物がTNF−αのレベルをどのように制御するかは、現時点では知られていない。しかしながら、サイトカインIL−8がTNF−αに応答して産生されるため、血流中のサイトカインレベル(すなわち、IL−8)は、IAP阻害化合物の治療効果を反映し、故に、バイオマーカーとして用いられ得る。
【0004】
本発明はまた、TNF−α応答性疾患を有する患者の、IAP阻害化合物に対する応答性を予測する方法に関する。特に、本発明は、TNF−αレベルを、可能であれば処置前および処置後に測定することにより、IAP阻害化合物に対する患者の応答を予測することに関する。
【発明の概要】
【0005】
発明の概要
以下に記載のとおり、本発明は、構成的TNF−αシグナル伝達により特徴付けられる疾患を有する個体が、IAP阻害化合物での処置に応答し得るかどうかを決定する方法を提供することにより、IAP阻害化合物の使用の欠点を克服する。
【0006】
別の態様において、本発明は、構成的TNF−αシグナル伝達により特徴付けられる疾患の処置のための、IAPへのSmacタンパク質の結合を阻害する化合物(“IAP阻害剤”)の使用、構成的TNF−αシグナル伝達により特徴付けられる疾患を処置するための医薬の製造方法、およびヒトを含む温血動物の処置方法であって、IAP阻害剤を、構成的TNF−αシグナル伝達により特徴付けられる疾患、とりわけ癌、関節炎、敗血症、カヘキシーと関係する癌、クローン疾患および他の炎症性障害のようなサイトカイン産生によりもたらされる増殖性疾患を有する温血動物に投与する方法、に関する。
【0007】
発明の詳細な説明
本発明の一態様は、構成的TNF−αシグナル伝達により特徴付けられる疾患を有する患者において、患者が、IAP阻害化合物に応答するかどうかを予測する方法であって、
a)患者にIAP阻害化合物を投与する工程、および
b)該患者において、TNF−αおよび/またはIL−8レベルを測定する工程
を含む、方法を提供する。
【0008】
患者におけるTNF−αレベルがIAP阻害化合物の投与により増大するとき、このことは、該化合物が作用することを示唆する。
【0009】
別の態様において、本発明は、構成的TNF−αシグナル伝達により特徴付けられる疾患の処置のための医薬を製造するための、IAPへのSmacタンパク質の結合を阻害する化合物(“IAP阻害剤”)の使用に関する。
【0010】
本発明はまた、IAP阻害剤と、TNF−α、インターフェロン−αもしくはインターフェロン−γ、またはTNF−αシグナル伝達を調節する他の物質を併用投与することにより、構成的TNF−αシグナル伝達により特徴付けられる疾患を処置する方法に関する。
【0011】
本発明における使用のためのIAP阻害剤の例には、式I:
【化1】


[式中、
は、H、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−CアルキニルまたはC−C10シクロアルキルであり、ここで、Rは、非置換または置換されていてよく;
は、H、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−C10シクロアルキルであり、ここで、Rは、非置換または置換されていてよく;
は、H、CF、C、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、CH−Zであるか、またはRおよびRは、それらが結合する窒素原子と一体となって、ヘテロ環式環を形成し、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニルまたはhet環は、非置換または置換されていてよく;
Zは、H、OH、F、Cl、CH、CHCI、CHFまたはCHOHであり;
は、C0−10アルキル、C−C10シクロアルキルであり、ここで、C0−10アルキルまたはシクロアルキル基は、非置換または置換されていてよく;
Aは、非置換または置換されていてよいhetであり;
Dは、C−CアルキレンまたはC−Cアルケニレン、C(O)、O、NR、S(O)r、C(O)−C−C10アルキル、O−C−C10アルキル、S(O)r−C−C10アルキル、C(O)C−C10アリールアルキル、O−C−C10アリールアルキル、またはS(O)r−C−C10アリールアルキルであり、ここで、アルキルおよびアリール基は、非置換または置換されていてよく;
rは、0、1または2であり;
は、置換アリール、または非置換もしくは置換されていてよいhetであり、ここで、アリールおよびhet上の置換基は、ハロ、低級アルコキシ、NR、CN、NOまたはSRであり;
【0012】
Qは、それぞれ独立して、H、C−C10アルキル、C−C10アルコキシ、アリールC−C10アルコキシ、OH、O−C−C10−アルキル、(CH0−6−C−Cシクロアルキル、アリール、アリールC−C10アルキル、O−(CH0−6アリール、(CH1−6het、het、O−(CH1−6het、−OR11、C(O)R11、−C(O)N(R11)(R12)、N(R11)(R12)、SR11、S(O)R11、S(O)11、S(O)−N(R11)(R12)、またはNR11−S(O)−(R12)であり、ここでアルキル、シクロアルキルおよびアリールは、非置換または置換されていてよく;
nは、0、1、2、3、4、5、6または7であり;
hetは、N、OおよびSから選択される1−4個のヘテロ環原子を含む5−7員の単環式ヘテロ環式環、またはN、OおよびSから選択される1、2または3個のヘテロ環原子を含む1個の5−7員の単環式ヘテロ環式環を含む8−12員の縮合環系であり、ここでhetは、非置換または置換されていてよく;
11およびR12は、独立して、H、C−C10アルキル、(CH0−6−C−Cシクロアルキル、(CH0−6−(CH)0−1(アリール)1−2、C(O)−C−C10アルキル、−C(O)−(CH1−6−C−Cシクロアルキル、−C(O)−O−(CH0−6−アリール、−C(O)−(CH0−6−O−フルオレニル、C(O)−NH−(CH0−6−アリール、C(O)−(CH0−6−アリール、C(O)−(CH1−6−het、−C(S)−C−C10アルキル、−C(S)−(CH1−6−C−Cシクロアルキル、−C(S)−O−(CH0−6−アリール、−C(S)−(CH0−6−O−フルオレニル、C(S)−NH−(CH0−6−アリール、−C(S)−(CH0−6−アリール、C(S)−(CH1−6−het、C(O)R11、C(O)NR1112、C(O)OR11、S(O)nR11、S(O)NR1112(ここで、m=1または2である。)、C(S)R11、C(S)NR1112、またはC(S)OR11であり、ここでアルキル、シクロアルキルおよびアリールは、非置換または置換されていてよいか;または、R11およびR12は、細胞膜を通過する分子の輸送を促進する置換基であるか;または、R11およびR12は、窒素原子と一体となって、hetを形成し;ここで、R11およびR12のアルキル置換基は、非置換であるか、またはC−C10アルキル、ハロゲン、OH、O−C−Cアルキル、−S−C−Cアルキル、CFまたはNR1112から選択される1個以上の置換基により置換されていてよく;
11およびR12の置換シクロアルキル置換基は、C−C10アルケン;C−Cアルキル;ハロゲン;OH;O−C−Cアルキル;または、NR1112から選択される1個以上の置換基により置換され、そして
【0013】
11およびR12の置換hetまたは置換アリールは、ハロゲン、ヒドロキシ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ニトロ、CN、O−C(O)−C−CアルキルおよびC(O)−O−C−Cアルキルから選択される1個以上の置換基により置換され;
、RおよびRは、独立して、水素、低級アルキル、アリール、アリール低級アルキル、シクロアルキル、またはシクロアルキル低級アルキルであり、
ここで、R、R、R、R、Q、AおよびA基上の置換基は、独立して、ハロ、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、低級アルカノイル、低級アルコキシ、アリール、アリール低級アルキル、アミノ、アミノ低級アルキル、ジ低級アルキルアミノ、低級アルカノイル、アミノ低級アルコキシ、ニトロ、シアノ、シアノ低級アルキル、カルボキシ、低級カルバルコキシ、低級アルカノイル、アリーロイル(aryloyl)、低級アリールアルカノイル、カルバモイル、N−モノまたはN,N−ジ低級アルキルカルバモイル、低級アルキルカルバミン酸エステル、アミジノ、グアニジン、ウレイド、メルカプト、スルホ、低級アルキルチオ、スルホアミノ、スルホンアミド、ベンゾスルホンアミド、スルホネート、スルファニル低級アルキル、アリールスルホンアミド、ハロゲン置換アリールスルホネート、低級アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル;アリール−低級アルキルスルフィニル、低級アルキルアリールスルフィニル、低級アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アリール−低級アルキルスルホニル、低級アリールアルキル、低級アルキルアリールスルホニル、ハロゲン−低級アルキルメルカプト、ハロゲン−低級アルキルスルホニル、ホスホノ(−P(=O)(OH))、ヒドロキシ−低級アルコキシホスホリルまたはジ低級アルコキシホスホリル、(R)NC(O)−NR1013、低級アルキルカルバミン酸エステルまたはカルバメートまたは−NR14(ここで、RおよびR14は、同一か、または異なっていてよく、独立して、Hまたは低級アルキルであるか、または、RおよびR14は、N原子と一体となって、窒素ヘテロ環原子を含み、かつ窒素、酸素および硫黄から選択される1個または2個のさらなるヘテロ環原子を含んでいてよい、3ないし8員のヘテロ環式環を形成し、ここで、ヘテロ環式環は、非置換か、または低級アルキル、ハロ、低級アルケニル、低級アルキニル、ヒドロキシ、低級アルコキシ、ニトロ、アミノ、低級アルキル、アミノ、ジ低級アルキルアミノ、シアノ、カルボキシ、低級カルバルコキシ、ホルミル、低級アルカノイル、オキソ、カルバモイル、N−低級もしくはN,N−ジ低級アルキルカルバモイル、メルカプト、または低級アルキルチオで置換されていてよい。)であり、そして
、R10およびR13は、独立して、水素、低級アルキル、ハロゲン置換低級アルキル、アリール、アリール低級アルキル、ハロゲン置換アリール、ハロゲン置換アリール低級アルキルである。]
で示される化合物、またはその薬学的に許容される塩が含まれる。
【0014】
式(I)の範囲内の化合物およびその製造方法は、参照により本明細書中に包含されるUS60/835,000に記載される。好ましい化合物は、(S)−N−((S)−1−シクロヘキシル−2−{(S)−2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2−オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(化合物II);(S)−N−[(S)−シクロヘキシル−(エチル−{(S)−1−[5−(4−フルオロ−ベンゾイル)−ピリジン−3−イル]−プロピル}カルバモイル)−メチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(化合物III);(S)−N−((S)−1−シクロヘキシル−2−{(S)−2−[5−(4−フルオロ−フェノキシ)−ピリジン−3−イル]−ピロリジン−1−イル}−2−オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミド;ならびに、N−[1−シクロヘキシル−2−(2−{2−[(4−フルオロフェニル)−メチル−アミノ]−ピリジン−4−イル}ピロリジン−1−イル)−2−オキソ−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミドおよびそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される。
【0015】
他のIAP阻害剤の例には、参照により本明細書中に包含される、2005年10月20日刊行のWO05/097791に記載の化合物が含まれる。式(I)の範囲内の好ましい化合物は、N−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(以下、化合物II)である。
【0016】
IAP阻害剤には、WO04/005284、PCT/US2006/013984、PCT/US2006/021850(それらは全て、参照により本明細書中に包含される。)に記載の化合物がさらに含まれる。
【0017】
本発明の使用のための他のIAP阻害化合物には、WO06/069063、WO05/069888、US2006/0014700、WO04/007529、US2006/0025347、WO06/010118、WO05/069894、WO06/017295、WO04/007529、WO05/094818に記載のものが含まれる。
【0018】
特許出願の引用文献が上記で記載されるそれぞれの場合において、化合物に関する対象は、参照により本明細書中に包含される。上記の化合物の、その薬学的に許容される塩、対応するラセミ体、ジアステレオ異性体、エナンチオマー、互変異性体、ならびに対応する結晶修飾体、存在するとき、例えば、その中で記載される溶媒和物、水和物および多形体もさらに包含される。本発明の組合せ剤において活性成分として用いられる化合物は、それぞれ該引用文献に記載の通りに製造および投与され得る。上記の通り、3個以上の個々の活性成分の組合せ剤もまた、本発明の範囲内であり、すなわち、本発明の範囲内の医薬組合せ剤は、3個以上の活性成分を包含し得る。
【0019】
用語(とりわけ、チロシンタンパク質キナーゼ依存性疾患または障害の)“処置”または“治療”は、該疾患の、とりわけ、以下に記載の疾患の予防的、または好ましくは治療的(一時的緩和、治癒、症状−緩和、症状−軽減、キナーゼ−制御および/またはキナーゼ−阻害を含むが、これらに限定されない)処置を意味する。
【0020】
温血動物(または、患者)は、好ましくは哺乳動物、とりわけヒトである。
【0021】
下記または上記に用語“使用”が、(動詞または名詞として)記載されるとき(IAP阻害剤の使用と関係して)、これは、(文脈中、他に示されないか、または他に示唆されないとき)、それぞれ、何れか1個以上の本発明の以下の態様(他に特に記載がないとき):適当かつ便宜であって、他に記載がないとき、疾患(とりわけ、過剰なTNF−αにより仲介されるか、もしくは悪化する疾患、または構成的TNF−αシグナル伝達により特徴付けられる疾患)の処置における使用、過剰なTNF−αにより仲介されるか、もしくは悪化する疾患、または構成的TNF−αシグナル伝達により特徴付けられる疾患の処置における使用のための医薬組成物の製造を目的とした使用、過剰なTNF−αにより仲介されるか、もしくは悪化する疾患、または構成的TNF−αシグナル伝達により仲介される疾患の処置における1個以上のIAP阻害剤の使用方法、過剰なTNF−αにより仲介されるか、もしくは悪化する該疾患、または構成的TNF−αシグナル伝達により特徴付けられる該疾患の処置のための1個以上のIAP阻害剤を含む医薬品の用途、ならびに過剰なTNF−αにより仲介されるか、もしくは悪化する該疾患、または構成的TNF−αシグナル伝達により特徴付けられる該疾患の処置における1個以上のIAP阻害剤、を包含する。特に、処置すべき疾患および故に、IAP阻害剤の“使用”に好適な疾患は、過剰なTNF−αにより仲介されるか、もしくは悪化する疾患、または構成的TNF−αシグナル伝達により特徴付けられる疾患から選択される。
【0022】
腫瘍もしくは癌疾患から選択される増殖性障害(とりわけ、それは、構成的TNF−αシグナル伝達により特徴付けられる)の、とりわけ好ましくは、良性、またはとりわけ悪性腫瘍もしくは癌疾患、より好ましくは固形腫瘍、例えば脳、腎臓、肝臓、副腎腺、膀胱、胸部、胃(とりわけ、胃腫瘍)、卵巣、結腸、直腸、前立腺、膵臓、肺(例えば、小細胞もしくは大細胞肺癌腫)、膣、甲状腺の癌腫、肉腫、神経膠芽腫、多発性骨髄腫(MM)または消化器癌、とりわけ結腸癌腫もしくは結腸直腸腺腫、または頭頸部の腫瘍、例えば頭頸部の扁平上皮癌腫、例えば乳癌腫の場合、とりわけ上皮性の新生物を含み;上皮過形成(癌以外)、とりわけ乾癬;前立腺肥大;または、白血病、とりわけ急性骨髄性白血病(AML)および慢性骨髄性白血病(CML)に対する、治療(予防を含む)におけるIAP阻害剤の使用が好ましい。
【0023】
用いるべきIAP阻害化合物の正確な投与量は、宿主、処置すべき状態の性質および重症度、投与方法を含むいくつかの因子によって変化する。IAP阻害化合物は、経口的、非経腸的、例えば腹腔内、静脈内、筋肉内、皮下、腫瘍内もしくは直腸内、または経腸的投与を含む何らかの経路により投与され得る。好ましくは、IAP阻害化合物は、好ましくは1−300mg/kg体重の一日投与量で、またはより大きな哺乳動物について、50−5000、好ましくは500−3000mgの一日投与量で経口的に投与される。好ましい一日経口投与量は、1−75mg/kg体重であるか、またはより大きな哺乳動物について、10−2000mgの一日投与量であり、一回用量で投与されるか、または複数回用量で、例えば一日2回に分割して投与される。
【0024】
通常、少量が最初に投与され、投与量は、処置下の宿主に最適な投与量が決定されるまで、徐々に増加される。投与量の上限は、副作用により定めされ、そして処置される宿主の臨床試験により決定され得る。
【0025】
投与量レジメンは、特定の適応症、患者の年齢、体重、および一般的健康状態、ならびに所望の応答性により漸増されるべきであるが、一般的に、用量は、一回または複数回一日投与において、必要に応じて、約10ないし約500mg/日であり得る。一般的に、初期処置レジメンは、本発明の化合物により他のTNF−α仲介疾患状態に対してTNF−α活性を妨げるのに有効であるとして公知のものからコピーされ得る。処置した個体は、T細胞数およびT4/T8比、ならびに/または逆転写酵素もしくはウイルスタンパク質のレベルのようなウイルス血症対策について、および/またはカヘキシーまたは筋肉変性のような問題と関係するサイトカイン仲介疾患の進行について定期的に検査され得る。通常の処置レジメン後に直ちに効果がないとき、投与されるサイトカイン活性阻害剤の量を、例えば1週間で50%増大させる。
【0026】
IAP阻害化合物は、1個以上の薬学的に許容される担体、および所望により、1個以上の他の常套の薬学的アジュバントと組み合わされてよく、経腸的、例えば錠剤、カプセル剤、カプレット剤などの形態で経口的に、または非経腸的、例えば滅菌注射溶液もしくは懸濁液の形態で腹腔内もしくは静脈内に、投与され得る。経腸および非経腸組成物は、常套法により製造され得る。
【0027】
IAP阻害化合物でのTNF−αの産生は、抗TNF−α抗体を用いて常套的にアッセイされ得る。例えば、プレート(Nunc Immunoplates, Roskilde, DK)は、5μg/mLの精製したウサギ抗TNF−α抗体で、4℃で12ないし14時間、処理される。その後、該プレートを、5mg/mL BSA含有PBS/0.05% Tweenで、25℃にて2時間、ブロッキングする。洗浄後、100μLの未知物質ならびに対象を適用し、該プレートを、4℃にて12ないし14時間、インキュベートする。該プレートを洗浄し、ペルオキシダーゼ(西洋わさび)とマウス抗TNF−αモノクローナル抗体の複合体でアッセイして、0.012%過酸化水素を含むリン酸−クエン酸緩衝液中、o−フェニレンジアミンで発色させて、492nmで読み取る。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図面の説明
【図1】図1は、(a)腫瘍細胞株のパネル内の、化合物IIに対する感受性およびTNF mRNAレベルの相関関係、(b)IAP阻害化合物に対して感受性の腫瘍細胞株が、その応答の一部として、TNF mRNAレベルの増大をもたらすこと、を示す。
【図2】図2は、用量依存的方法での、SKOV−3細胞における化合物IIおよびIIIに対応するTNFα mRNAの増大を示す。
【実施例】
【0029】
以下の実施例は、説明のために提供され、本発明の範囲を制限することを意図しない。
実施例1
N−[1−シクロヘキシル−2−(2−{2−[(4−フルオロフェニル)−メチル−アミノ]−ピリジン−4−イル}ピロリジン−1−イル)−2−オキソ−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(以下、化合物II)を、図Iに示した細胞株数で試験した。示した腫瘍細胞株それぞれを、1uMの化合物IIで18時間処理した。mRNAを、QiagenのTurboCapture mRNA単離キットを用いて集めた。cDNAを、BioRad iScript cDNA合成キットを用いて合成した。次いで、cDNAによりコード化されるTNFαに特異的なプライマーを用いて、Applied Biosystems TaqMan Universal PCR Master Mixを用いて各サンプルからTNF cDNAをPCR増幅させた。データをB−アクチン mRNAで標準化し、TNF mRNAの相対レベルとして表した。
【0030】
図1は、感受性細胞株(72時間 IC50<1uM)が、より高いベースラインレベルでTNF mRNAを発現し、TNF mRNAの発現増加により化合物II処理に応答することを示す。これらの発見により、TNFレベルが、Smac模倣化合物に対する感受性を予測するのに用いられ得ること、および上昇するTNFレベルの評価が、治療応答をモニターするための方法として可能性を有し得ることが示される。
【0031】
図2は、SKOV−3細胞において、どのように化合物IIおよびIIIにより、用量依存的方法でTNFα mRNAが誘導されるかを示す。TNFα誘導は、MG132(Pl)により阻害されるため、プロテオソーム活性を必要とした。TNFα誘導は、カスパーゼ活性を必要としない(ZVADにより阻害されない)が、可溶性TNFα受容体(STR)で阻害されるため、自己分泌TNFαシグナル伝達を必要とする。
【0032】
化合物IIによるTNF誘導を示す図は、未処理細胞と比較してTNFの倍数増加についての9つのバーを含む。左から右へ見ると、第一のバーは、未処理細胞を示す(およそ0−1倍)。第二のバーは、1000nMの化合物II処理を示す(およそ120−130倍増加)。第三のバーは、100nMの化合物II処理を示す(およそ50倍増加)。第四のバーは、1000nMの化合物II+Plを示す(およそ25−30倍増加)。第五のバーは、100nMの化合物II+Plを示す(およそ15−20倍増加)。第六のバーは、1000nMの化合物II+ZVADを示す(およそ125−130倍増加)。第七のバーは、100nMの化合物II+ZVADを示す(およそ95−100倍増加)。第八のバーは、1000nMの化合物II+sTNFRを示す(およそ0−5倍増加)。第九のバーは、100nMの化合物II+sTNFRを示す(およそ0−1倍増加)。
【0033】
化合物IIIによるTNF誘導を示す図は、未処理細胞と比較してTNFの倍数増加についての9つのバーを含む。左から右へ見ると、第一のバーは、未処理細胞を示す(およそ0−1倍増加)。第二のバーは、1000nMの化合物IIIを示す(およそ105−115倍増加)。第三のバーは、100nMの化合物IIIを示す(およそ85−95倍増加)。第四のバーは、1000nMの化合物III+Plを示す(およそ30−40倍増加)。第五のバーは、100nMの化合物III+Plを示す(およそ15−20倍増加)。第六のバーは、1000nMの化合物III+ZVADを示す(およそ75−80倍増加)。第七のバーは、100nMの化合物III+ZVADを示す(およそ85−95倍増加)。第八のバーは、1000nMの化合物III+sTNFRを示す(およそ0−1倍増加)。第九のバーは、100nMの化合物III+sTNFRを示す(およそ0−3倍増加)。
【0034】
本明細書に記載される変形、修飾、および他の実施は、本発明の教示の精神および本質的特徴から逸脱することなく、当業者に行われ得る。従って、本発明の範囲は、上記の説明的記載によって定義されるべきではなく、代わりに添付の特許請求の範囲により定義され、そして、特許請求の範囲と同等の意味および範囲内に含まれるすべての変化が、本明細書に包含されることを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者が、IAP阻害化合物に応答し得るかどうかを予測する方法であって、
a)IAP阻害化合物を患者に投与する工程、および
b)TNF−αおよび/またはIL−8レベルを測定する工程
を含む、方法。
【請求項2】
D)該患者が、相関係数が−未満であるとき、非応答者であり得ることを決定する工程
をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
該IAP阻害化合物が、式I:
【化1】


[式中、
は、H、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−CアルキニルまたはC−C10シクロアルキルであり、ここで、Rは、非置換または置換されていてよく;
は、H、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−C10シクロアルキルであり、ここで、Rは、非置換または置換されていてよく;
は、H、CF、C、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、CH−Zであるか、またはRおよびRは、それらが結合する窒素原子と一体となって、ヘテロ環式環を形成し、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニルまたはhet環は、非置換または置換されていてよく;
Zは、H、OH、F、Cl、CH、CHCI、CHFまたはCHOHであり;
は、C0−10アルキル、C−C10シクロアルキルであり、ここで、C0−10アルキルまたはシクロアルキル基は、非置換または置換されていてよく;
Aは、非置換または置換されていてよいhetであり;
Dは、C−CアルキレンまたはC−Cアルケニレン、C(O)、O、NR、S(O)r、C(O)−C−C10アルキル、O−C−C10アルキル、S(O)r−C−C10アルキル、C(O)C−C10アリールアルキル、O−C−C10アリールアルキル、またはS(O)r−C−C10アリールアルキルであり、ここで、アルキルおよびアリール基は、非置換または置換されていてよく;
rは、0、1または2であり;
は、置換アリール、または非置換もしくは置換されていてよいhetであり、ここで、アリールおよびhet上の置換基は、ハロ、低級アルコキシ、NR、CN、NOまたはSRであり;
Qは、それぞれ独立して、H、C−C10アルキル、C−C10アルコキシ、アリールC−C10アルコキシ、OH、O−C−C10−アルキル、(CH0−6−C−Cシクロアルキル、アリール、アリールC−C10アルキル、O−(CH0−6アリール、(CH1−6het、het、O−(CH1−6het、−OR11、C(O)R11、−C(O)N(R11)(R12)、N(R11)(R12)、SR11、S(O)R11、S(O)11、S(O)−N(R11)(R12)、またはNR11−S(O)−(R12)であり、ここでアルキル、シクロアルキルおよびアリールは、非置換または置換されていてよく;
nは、0、1、2、3、4、5、6または7であり;
hetは、N、OおよびSから選択される1−4個のヘテロ環原子を含む5−7員の単環式ヘテロ環式環、またはN、OおよびSから選択される1、2または3個のヘテロ環原子を含む1個の5−7員の単環式ヘテロ環式環を含む8−12員の縮合環系であり、ここでhetは、非置換または置換されていてよく;
11およびR12は、独立して、H、C−C10アルキル、(CH0−6−C−Cシクロアルキル、(CH0−6−(CH)0−1(アリール)1−2、C(O)−C−C10アルキル、−C(O)−(CH1−6−C−Cシクロアルキル、−C(O)−O−(CH0−6−アリール、−C(O)−(CH0−6−O−フルオレニル、C(O)−NH−(CH0−6−アリール、C(O)−(CH0−6−アリール、C(O)−(CH1−6−het、−C(S)−C−C10アルキル、−C(S)−(CH1−6−C−Cシクロアルキル、−C(S)−O−(CH0−6−アリール、−C(S)−(CH0−6−O−フルオレニル、C(S)−NH−(CH0−6−アリール、−C(S)−(CH0−6−アリール、C(S)−(CH1−6−het、C(O)R11、C(O)NR1112、C(O)OR11、S(O)nR11、S(O)NR1112(ここで、m=1または2である。)、C(S)R11、C(S)NR1112、またはC(S)OR11であり、ここでアルキル、シクロアルキルおよびアリールは、非置換または置換されていてよいか;または、R11およびR12は、細胞膜を通過する分子の輸送を促進する置換基であるか;または、R11およびR12は、窒素原子と一体となって、hetを形成し;ここで、R11およびR12のアルキル置換基は、非置換であるか、またはC−C10アルキル、ハロゲン、OH、O−C−Cアルキル、−S−C−Cアルキル、CFまたはNR1112から選択される1個以上の置換基により置換されていてよく;
11およびR12の置換シクロアルキル置換基は、C−C10アルケン;C−Cアルキル;ハロゲン;OH;O−C−Cアルキル;または、NR1112から選択される1個以上の置換基により置換され、そして
11およびR12の置換hetまたは置換アリールは、ハロゲン、ヒドロキシ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ニトロ、CN、O−C(O)−C−CアルキルおよびC(O)−O−C−Cアルキルから選択される1個以上の置換基により置換され;
、RおよびRは、独立して、水素、低級アルキル、アリール、アリール低級アルキル、シクロアルキル、またはシクロアルキル低級アルキルであり、
ここで、R、R、R、R、Q、AおよびA基上の置換基は、独立して、ハロ、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、低級アルカノイル、低級アルコキシ、アリール、アリール低級アルキル、アミノ、アミノ低級アルキル、ジ低級アルキルアミノ、低級アルカノイル、アミノ低級アルコキシ、ニトロ、シアノ、シアノ低級アルキル、カルボキシ、低級カルバルコキシ、低級アルカノイル、アリーロイル(aryloyl)、低級アリールアルカノイル、カルバモイル、N−モノまたはN,N−ジ低級アルキルカルバモイル、低級アルキルカルバミン酸エステル、アミジノ、グアニジン、ウレイド、メルカプト、スルホ、低級アルキルチオ、スルホアミノ、スルホンアミド、ベンゾスルホンアミド、スルホネート、スルファニル低級アルキル、アリールスルホンアミド、ハロゲン置換アリールスルホネート、低級アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル;アリール−低級アルキルスルフィニル、低級アルキルアリールスルフィニル、低級アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アリール−低級アルキルスルホニル、低級アリールアルキル、低級アルキルアリールスルホニル、ハロゲン−低級アルキルメルカプト、ハロゲン−低級アルキルスルホニル、ホスホノ(−P(=O)(OH))、ヒドロキシ−低級アルコキシホスホリルまたはジ低級アルコキシホスホリル、(R)NC(O)−NR1013、低級アルキルカルバミン酸エステルまたはカルバメートまたは−NR14(ここで、RおよびR14は、同一か、または異なっていてよく、独立して、Hまたは低級アルキルであるか、または、RおよびR14は、N原子と一体となって、窒素ヘテロ環原子を含み、かつ窒素、酸素および硫黄から選択される1個または2個のさらなるヘテロ環原子を含んでいてよい、3ないし8員のヘテロ環式環を形成し、ここで、ヘテロ環式環は、非置換か、または低級アルキル、ハロ、低級アルケニル、低級アルキニル、ヒドロキシ、低級アルコキシ、ニトロ、アミノ、低級アルキル、アミノ、ジ低級アルキルアミノ、シアノ、カルボキシ、低級カルバルコキシ、ホルミル、低級アルカノイル、オキソ、カルバモイル、N−低級もしくはN,N−ジ低級アルキルカルバモイル、メルカプト、または低級アルキルチオで置換されていてよい。)であり、そして
、R10およびR13は、独立して、水素、低級アルキル、ハロゲン置換低級アルキル、アリール、アリール低級アルキル、ハロゲン置換アリール、ハロゲン置換アリール低級アルキルである。]
で示される構造を有する化合物、またはその薬学的に許容される塩である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
構成的TNF−αシグナル伝達により特徴付けられる疾患を有する個体の、IAP阻害化合物での処置に対する反応性を決定するための方法であって、
a)IAP阻害化合物を患者に投与する工程、および
b)TNF−αまたはIL−8レベルを測定する工程
を含む、方法。
【請求項5】
構成的TNF−αシグナル伝達により特徴付けられる疾患の処置方法であって、
a)IAP阻害化合物を投与する工程、およびb)TNF−αレベルを測定する工程、を含む、方法。
【請求項6】
該IAP阻害化合物が、式I:
【化2】


[式中、
が、H、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−CアルキニルまたはC−C10シクロアルキルであり、ここでRが、非置換または置換されていてよく;
が、H、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−C10シクロアルキルであり、ここでRが、非置換または置換されていてよく;
が、H、CF、C、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、CH−Zであるか、またはRおよびRが、それらが結合する窒素原子と一体となって、ヘテロ環式環を形成し、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニルまたはhet環が、非置換または置換されていてよく;
Zが、H、OH、F、Cl、CH、CHCl、CHFまたはCHOHであり;
が、C0−10アルキル、C−C10シクロアルキルであり、ここでC0−10アルキルまたはシクロアルキル基が、非置換または置換されていてよく;
Aが、非置換または置換されていてよいhetであり;
Dが、C−CアルキレンもしくはC−Cアルケニレン、C(O)、O、NR、S(O)r、C(O)−C−C10アルキル、O−C−C10アルキル、S(O)r−C−C10アルキル、C(O)C−C10アリールアルキル、O−C−C10アリールアルキル、またはS(O)rC−C10アリールアルキルであり、ここでアルキルおよびアリール基が、非置換または置換されていてよく;
rが、0、1または2であり;
が、置換アリールまたは非置換もしくは置換されていてよいhetであり、ここでアリールおよびhet上の置換基が、ハロ、低級アルコキシ、NR、CN、NOまたはSRであり;
Qが、それぞれ独立して、H、C−C10アルキル、C−C10アルコキシ、アリールC−C10アルコキシ、OH、O−C−C10−アルキル、(CH0−6−C−Cシクロアルキル、アリール、アリールC−C10アルキル、O−(CH0−6アリール、(CH1−6het、het、O−(CH1−6het、−OR11、C(O)R11、−C(O)N(R11)(R12)、N(R11)(R12)、SR11、S(O)R11、S(O)11、S(O)−N(R11)(R12)、またはNR11−S(O)−(R12)であり、ここでアルキル、シクロアルキルおよびアリールが、非置換または置換されていてよく;
nが、0、1、2、3、4、5、6または7であり;
hetが、N、OおよびSから選択される1−4個のヘテロ環原子を含む5−7員の単環式ヘテロ環式環、またはN、OおよびSから選択される1、2または3個のヘテロ環原子を含む1個の5−7員の単環式ヘテロ環式環を含む8−12員の縮合環系であって、ここでhetが、非置換または置換されていてよく;
11およびR12が、独立して、H、C−C10アルキル、(CH0−6−C−Cシクロアルキル、−(CH0−6−(CH)0−1(アリール)1−2、C(O)−C−C10アルキル、−C(O)−(CH1−6−C−Cシクロアルキル、−C(O)−O−(CH0−6−アリール、−C(O)−(CH0−6−O−フルオレニル、C(O)−NH−(CH0−6−アリール、C(O)−(CH0−6−アリール、C(O)−(CH1−6−het、−C(S)−C−C10アルキル、−C(S)−(CH1−6−C−Cシクロアルキル、−C(S)−O−(CH0−6−アリール、−C(S)−(CH0−6−O−フルオレニル、C(S)−NH−(CH0−6−アリール、−C(S)−(CH0−6−アリール、C(S)−(CH1−6−het、C(O)R11、C(O)NR1112、C(O)OR11、S(O)nR11、S(O)NR1112(ここで、m=1または2である。)、C(S)R11、C(S)NR1112、またはC(S)OR11であり、ここで、アルキル、シクロアルキルおよびアリールが、非置換または置換されていてよいか;または、R11およびR12が、細胞膜を通過する分子の輸送を促進する置換基であるか;または、R11およびR12が、窒素原子と一体となって、hetを形成し;ここで、R11およびR12のアルキル置換基が、非置換であるか、またはC−C10アルキル、ハロゲン、OH、O−C−Cアルキル、−S−C−Cアルキル、CFまたはNR1112から選択される1個以上の置換基により置換されていてよく;
11およびR12の置換シクロアルキル置換基が、C−C10アルケン;C−Cアルキル;ハロゲン;OH;O−C−Cアルキル;S−C−Cアルキル;CF;または、NR1112から選択される1個以上の置換基により置換され、そして
11およびR12の置換hetまたは置換アリールが、ハロゲン、ヒドロキシ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ニトロ、CN、O−C(O)−C−CアルキルおよびC(O)−O−C−C−アルキルから選択される1個以上の置換基により置換されており;
、RおよびRが、独立して、水素、低級アルキル、アリール、アリール低級アルキル、シクロアルキル、またはシクロアルキル低級アルキルであり、
ここで、R、R、R、R、Q、AおよびA基上の置換基が、独立して、ハロ、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、低級アルカノイル、低級アルコキシ、アリール、アリール低級アルキル、アミノ、アミノ低級アルキル、ジ低級アルキルアミノ、低級アルカノイル、アミノ低級アルコキシ、ニトロ、シアノ、シアノ低級アルキル、カルボキシ、低級カルバルコキシ、低級アルカノイル、アリーロイル(aryloyl)、低級アリールアルカノイル、カルバモイル、N−モノまたはN,N−ジ低級アルキルカルバモイル、低級アルキルカルバミン酸エステル、アミジノ、グアニジン、ウレイド、メルカプト、スルホ、低級アルキルチオ、スルホアミノ、スルホンアミド、ベンゾスルホンアミド、スルホネート、スルファニル低級アルキル、アリールスルホンアミド、ハロゲン置換アリールスルホネート、低級アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル;アリール−低級アルキルスルフィニル、低級アルキルアリールスルフィニル、低級アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アリール−低級アルキルスルホニル、低級アリールアルキル、低級アルキルアリールスルホニル、ハロゲン−低級アルキルメルカプト、ハロゲン−低級アルキルスルホニル、ホスホノ(−P(=O)(OH))、ヒドロキシ−低級アルコキシホスホリルまたはジ低級アルコキシホスホリル、(R)NC(O)−NR1013、低級アルキルカルバミン酸エステルまたはカルバメートまたは−NR14(ここで、RおよびR14が、同一か、または異なっていてよく、独立して、Hまたは低級アルキルであるか、または、RおよびR14が、N原子と一体となって、窒素ヘテロ環原子を含み、かつ窒素、酸素および硫黄から選択される1個または2個のさらなるヘテロ環原子を含んでいてよい、3ないし8員のヘテロ環式環を形成し、ここで、ヘテロ環式環が、非置換か、または低級アルキル、ハロ、低級アルケニル、低級アルキニル、ヒドロキシ、低級アルコキシ、ニトロ、アミノ、低級アルキル、アミノ、ジ低級アルキルアミノ、シアノ、カルボキシ、低級カルバルコキシ、ホルミル、低級アルカノイル、オキソ、カルバモイル、N−低級もしくはN,N−ジ低級アルキルカルバモイル、メルカプト、または低級アルキルチオで置換されていてよい。)であり、そして
、R10およびR13が、独立して、水素、低級アルキル、ハロゲン置換低級アルキル、アリール、アリール低級アルキル、ハロゲン置換アリール、ハロゲン置換アリール低級アルキルである。]
で示される構造を有するか、またはその薬学的に許容される塩である、請求項4または5記載の方法。
【請求項7】
該IAP阻害化合物が、N−1−シクロヘキシル−2−{2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2−オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミド;N−[シクロヘキシル−(エチル−{1−[5−(4−フルオロ−ベンゾイル)−ピリジン−3−イル]−プロピル}カルバモイル)−メチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミド;N−(1−シクロヘキシル−2−{2−[5−(4−フルオロ−フェノキシ)−ピリジン−3−イル]−ピロリジン−1−イル}−2−オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミド;および、N−[1−シクロヘキシル−2−(2−{2−[(4−フルオロフェニル)−メチル−アミノ]−ピリジン−4−イル}ピロリジン−1−イル)−2−オキソ−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミド、およびその薬学的に許容される塩である、請求項1、4または5記載の方法。
【請求項8】
構成的TNF−αシグナル伝達により特徴付けられる増殖性疾患の処置における、IAP阻害化合物の使用。
【請求項9】
構成的TNF−αシグナル伝達により特徴付けられる疾患の処置における、式Iの化合物、またはそのN−オキシドもしくは薬学的に許容される塩の使用であって、ここで式Iの化合物が、以下の構造:
【化3】


[式中、
は、H、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−CアルキニルまたはC−C10シクロアルキルであり、ここでRは、非置換または置換されていてよく;
は、H、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−C10シクロアルキルであり、ここでRは、非置換または置換されていてよく;
は、H、CF、C、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、CH−Zであるか、またはRおよびRは、それらが結合する窒素原子と一体となって、ヘテロ環式環を形成し、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニルまたはhet環は、非置換または置換されていてよく;
Zは、H、OH、F、Cl、CH、CHCl、CHFまたはCHOHであり;
は、C0−10アルキル、C−C10シクロアルキルであり、ここでC0−10アルキルまたはシクロアルキル基は、非置換または置換されていてよく;
Aは、非置換または置換されていてよいhetであり;
Dは、C−CアルキレンもしくはC−Cアルケニレン、C(O)、O、NR、S(O)r、C(O)−C−C10アルキル、O−C−C10アルキル、S(O)r−C−C10アルキル、C(O)C−C10アリールアルキル、O−C−C10アリールアルキル、またはS(O)rC−C10アリールアルキルであり、ここで、アルキルおよびアリール基は、非置換または置換されていてよく;
rは、0、1または2であり;
は、置換アリールまたは非置換もしくは置換されていてよいhetであり、ここでアリールおよびhet上の置換基は、ハロ、低級アルコキシ、NR、CN、NOまたはSRであり;
Qは、それぞれ独立して、H、C−C10アルキル、C−C10アルコキシ、アリールC−C10アルコキシ、OH、O−C−C10−アルキル、(CH0−6−C−Cシクロアルキル、アリール、アリールC−C10アルキル、O−(CHアリール、(CH1−6het、het、O−(CH1−6het、−OR11、C(O)R11、−C(O)N(R11)(R12)、N(R11)(R12)、SR11、S(O)R11、S(O)11、S(O)−N(R11)(R12)、またはNR11−S(O)−(R12)であり、ここでアルキル、シクロアルキルおよびアリールは、非置換または置換されていてよく;
nは、0、1、2、3、4、5、6または7であり;
hetは、N、OおよびSから選択される1−4個のヘテロ環原子を含む5−7員の単環式ヘテロ環式環であるか、またはN、OおよびSから選択される1、2または3個のヘテロ環原子を含む1個の5−7員の単環式ヘテロ環式環を含む8−12員の縮合環系であって、ここでhetは、非置換または置換されていてよく;
11およびR12は、独立して、H、C−C10アルキル、(CH0−6−C−Cシクロアルキル、−(CH0−6−(CH)0−1(アリール)1−2、C(O)−C−C10アルキル、−C(O)−(CH1−6−C−Cシクロアルキル、−C(O)−O−(CH0−6−アリール、−C(O)−(CH0−6−O−フルオレニル、C(O)−NH−(CH0−6−アリール、C(O)−(CH0−6−アリール、C(O)−(CH1−6−het、−C(S)−C−C10アルキル、−C(S)−(CH1−6−C−Cシクロアルキル、−C(S)−O−(CH0−6−アリール、−C(S)−(CH0−6−O−フルオレニル、C(S)−NH−(CH0−6−アリール、−C(S)−(CH0−6−アリール、C(S)−(CH1−6−het、C(O)R11、C(O)NR1112、C(O)OR11、S(O)nR11、S(O)NR1112(ここで、m=1または2である。)、C(S)R11、C(S)NR1112、またはC(S)OR11であり、ここで、アルキル、シクロアルキルおよびアリールは、非置換または置換されていてよいか;または、R11およびR12は、細胞膜を通過する分子の輸送を促進する置換基であるか;または、R11およびR12は、窒素原子と一体となって、hetを形成し;ここで、R11およびR12のアルキル置換基は、非置換であるか、またはC−C10アルキル、ハロゲン、OH、O−C−Cアルキル、−S−C−Cアルキル、CFまたはNR1112から選択される1個以上の置換基により置換されていてよく;
11およびR12の置換シクロアルキル置換基は、C−C10アルケン;C−Cアルキル;ハロゲン;OH;O−C−Cアルキル;S−C−Cアルキル;CF;または、NR1112から選択される1個以上の置換基により置換され、そして
11およびR12の置換hetまたは置換アリールは、ハロゲン、ヒドロキシ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ニトロ、CN、O−C(O)−C−CアルキルおよびC(O)−O−C−C−アルキルから選択される1個以上の置換基により置換されており;
、RおよびRは、独立して、水素、低級アルキル、アリール、アリール低級アルキル、シクロアルキル、またはシクロアルキル低級アルキルであり、
ここで、R、R、R、R、Q、AおよびA基上の置換基は、独立して、ハロ、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、低級アルカノイル、低級アルコキシ、アリール、アリール低級アルキル、アミノ、アミノ低級アルキル、ジ低級アルキルアミノ、低級アルカノイル、アミノ低級アルコキシ、ニトロ、シアノ、シアノ低級アルキル、カルボキシ、低級カルバルコキシ、低級アルカノイル、アリーロイル(aryloyl)、低級アリールアルカノイル、カルバモイル、N−モノまたはN,N−ジ低級アルキルカルバモイル、低級アルキルカルバミン酸エステル、アミジノ、グアニジン、ウレイド、メルカプト、スルホ、低級アルキルチオ、スルホアミノ、スルホンアミド、ベンゾスルホンアミド、スルホネート、スルファニル低級アルキル、アリールスルホンアミド、ハロゲン置換アリールスルホネート、低級アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル;アリール−低級アルキルスルフィニル、低級アルキルアリールスルフィニル、低級アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アリール−低級アルキルスルホニル、低級アリールアルキル、低級アルキルアリールスルホニル、ハロゲン−低級アルキルメルカプト、ハロゲン−低級アルキルスルホニル、ホスホノ(−P(=O)(OH))、ヒドロキシ−低級アルコキシホスホリルまたはジ低級アルコキシホスホリル、(R)NC(O)−NR1013、低級アルキルカルバミン酸エステルまたはカルバメートまたは−NR14(ここで、RおよびR14は、同一か、または異なっていてよく、独立して、Hまたは低級アルキルであるか、または、RおよびR14は、N原子と一体となって、窒素ヘテロ環原子を含み、かつ窒素、酸素および硫黄から選択される1個または2個のさらなるヘテロ環原子を含んでいてよい、3ないし8員のヘテロ環式環を形成し、ここで、ヘテロ環式環は、非置換か、または低級アルキル、ハロ、低級アルケニル、低級アルキニル、ヒドロキシ、低級アルコキシ、ニトロ、アミノ、低級アルキル、アミノ、ジ低級アルキルアミノ、シアノ、カルボキシ、低級カルバルコキシ、ホルミル、低級アルカノイル、オキソ、カルバモイル、N−低級もしくはN,N−ジ低級アルキルカルバモイル、メルカプト、または低級アルキルチオで置換されていてよい。)であり、そして
、R10およびR13は、独立して、水素、低級アルキル、ハロゲン置換低級アルキル、アリール、アリール低級アルキル、ハロゲン置換アリール、ハロゲン置換アリール低級アルキルである。]
で示される構造を有するか、またはその薬学的に許容される塩である、使用。
【請求項10】
構成的TNF−αシグナル伝達により特徴付けられる疾患の処置のための医薬組成物の製造を目的とした、請求項9記載の式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩の使用。
【請求項11】
薬学的に有効量の、請求項9記載の式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を、かかる処置を必要とする温血動物、とりわけヒトに投与することを含む、構成的TNF−αシグナル伝達により特徴付けられる疾患の処置方法。
【請求項12】
該式Iの化合物が、N−1−シクロヘキシル−2−{2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2−オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミド;N−[シクロヘキシル−(エチル−{1−[5−(4−フルオロ−ベンゾイル)−ピリジン−3−イル]−プロピル}カルバモイル)−メチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミド;N−(1−シクロヘキシル−2−{2−[5−(4−フルオロ−フェノキシ)−ピリジン−3−イル]−ピロリジン−1−イル}−2−オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミド;および、N−[1−シクロヘキシル−2−(2−{2−[(4−フルオロフェニル)−メチル−アミノ]−ピリジン−4−イル}ピロリジン−1−イル)−2−オキソ−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミド、およびそれらの薬学的に許容される塩から選択される、請求項9記載の使用。
【請求項13】
該式Iの化合物が、N−(1−シクロヘキシル−2−{2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2−オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミド;N−[シクロヘキシル−(エチル−{1−[5−(4−フルオロ−ベンゾイル)−ピリジン−3−イル]−プロピル}カルバモイル)−メチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミド;N−(1−シクロヘキシル−2−{2−[5−(4−フルオロ−フェノキシ)−ピリジン−3−イル]−ピロリジン−1−イル}−2−オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミド;および、N−[1−シクロヘキシル−2−(2−{2−[(4−フルオロフェニル)−メチル−アミノ]−ピリジン−4−イル}ピロリジン−1−イル)−2−オキソ−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミド、およびそれらの薬学的に許容される塩から選択される、請求項10記載の使用。
【請求項14】
式Iの化合物が、N−(1−シクロヘキシル−2−{2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2−オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミド;N−[シクロヘキシル−(エチル−{1−[5−(4−フルオロ−ベンゾイル)−ピリジン−3−イル]−プロピル}カルバモイル)−メチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミド;N−(1−シクロヘキシル−2−{2−[5−(4−フルオロ−フェノキシ)−ピリジン−3−イル]−ピロリジン−1−イル}−2−オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミド;および、N−[1−シクロヘキシル−2−(2−{2−[(4−フルオロフェニル)−メチル−アミノ]−ピリジン−4−イル}ピロリジン−1−イル)−2−オキソ−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミド、およびそれらの薬学的に許容される塩から選択される、請求項11記載の方法。
【請求項15】
該疾患が増殖性疾患である、請求項9記載の使用。
【請求項16】
該疾患が、固形腫瘍および血液伝播性腫瘍のような癌;鬱血性心不全のような心疾患;ならびに、ウイルス性、遺伝性、炎症性、アレルギー性、および自己免疫性疾患から選択される、請求項9記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−507096(P2010−507096A)
【公表日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−533355(P2009−533355)
【出願日】平成19年10月17日(2007.10.17)
【国際出願番号】PCT/US2007/022125
【国際公開番号】WO2008/057172
【国際公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】