説明

有機化学物質の分析方法及び分析装置

有機化学物質の分析に際し、その精度向上のために液体クロマトグラフィとガスクロマトグラフィの組み合わせが考えられたが、液体クロマトグラフィからの溶離液に水分や高極性の溶媒が含まれているため、ガスクロマトグラフィに注入することができなかった。従って、この組合せを実現する分析方法及びその装置を開発することが課題であった。
分析対象試料より予め有機化学物質を抽出及び調製した分析用試料を液体クロマトグラフィにより分画しながら、分画された分析対象物質を含む溶離液を、連続的に固相カートリッジに吸着させ、固相カートリッジに吸着された分析対象物質を溶出液により溶出し、ガスクロマトグラフの貯留室に移す定量分析方法並びにその分析装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機化学物質の分析において、分析対象試料より予め有機化学物質を抽出及び調製した分析用試料を液体クロマトグラフィにより分画しながら、それにより分画された分析対象物質をガスクロマトグラフィにより定量分析する有機化学物質の分析方法及び分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機化学物質、特に農薬の分析については、液体クロマトグラフィによる分析法が採用されてきた(例えば、特許文献1参照。)。また、ゴルフ場において使用される農薬の分析についても液体クロマトグラフィが応用されてきた(例えば、特許文献2参照。)。その後、農作物に付着している残留農薬の安全性が問題となり、液体クロマトグラフィのみではなく、ガスクロマトグラフィも利用されるようになってきた。さらには、ガスクロマトグラフィと赤外吸収スペクトルを併用する方法あるいはガスクロマトグラフィの前処理としてマイクロトラップを使用する方法も提案された(例えば、特許文献3および特許文献4参照。)。一方、環境問題がクローズアップされるにつれて、ダイオキシンなどの分析方法も検討されてきた(例えば、特許文献5参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開平6−331618号公報
【特許文献2】特開平5−306998号公報
【特許文献3】特開平8−170941号公報
【特許文献4】特開2002−328121号公報
【特許文献5】特開2002−48688号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、残留農薬、環境ホルモンなどの有機化学物質を分析するに際して、その精度を上げるために液体クロマトグラフィ及びガスクロマトグラフィの組み合わせが考えられたが、液体クロマトグラフィからの溶離液には水分が含まれているため、直接該溶離液をガスクロマトグラフィに注入することができなかった。従って、液体クロマトグラフィ及びガスクロマトグラフィの組み合わせを如何にして実現し、有機化学物質を迅速に、しかも精密に分析することを目的として、その分析方法及び分析装置を開発することが課題であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明を提案するに至った。すなわち、有機化学物質の分析において、分析対象試料より予め有機化学物質を抽出及び調製した分析用試料を液体クロマトグラフィにより分画しながら、該分画した分析対象物質を含む溶離液に異なる溶液を加え、連続的に該分析対象物質を液体クロマトグラフより固相カートリッジに吸着させ、該固相カートリッジに吸着された分析対象物質を溶出液により、直接、ガスクロマトグラフの貯留室へ溶出し、ガスクロマトグラフィにより分析することを特徴とする有機化学物質の分析方法であって、前記固相カートリッジに吸着された分析対象物質を溶出液により溶出し、直接、ガスクロマトグラフィの貯留室へ溶出するに際し、該溶出液に誘導体化試薬を溶解し、分析対象物質と共にガスクロマトグラフの貯留室へ注入し、貯留室にて分析対象物質を誘導体化した後、該誘導体をガスクロマトグラフィにより分析することが好ましく、前記固相カートリッジに吸着された分析対象物質を溶出液により溶出し、該溶出液を次いで別個の固相カートリッジに通液し、夾雑物を除去した流出液を、ガスクロマトグラフの貯留室へ注入し、ガスクロマトグラフィにより分析することが好ましく、前記固相カートリッジに吸着された分析対象物質を溶出液により溶出し、該溶出液を次いで別個の固相カートリッジに通液し、夾雑物を除去した流出液を、ガスクロマトグラフの貯留室へ注入するに際し、該流出液に誘導体化試薬を溶解し、分析対象物質と共にガスクロマトグラフの貯留室へ注入し、貯留室にて分析対象物質を誘導体化した後、該誘導体をガスクロマトグラフィにより分析することが好ましく、前記分析対象物質が1種乃至20種であることが特に好ましい。
【0006】
本発明の第二は、有機化学物質の分析において、分析対象試料より予め有機化学物質を抽出及び調製した分析用試料を液体クロマトグラフィにより分画しながら、該分画した分析対象物質を含む溶離液を固相カートリッジに通し、連続的に該分析対象物質を該固相カートリッジに吸着させ、該固相カートリッジに吸着された分析対象物質を溶出液により、直接、ガスクロマトグラフの貯留室へ溶出し、ガスクロマトグラフィにより分析することを特徴とする有機化学物質の分析方法であって、前記固相カートリッジに吸着された分析対象物質を溶出液により溶出し、直接、ガスクロマトグラフィの貯留室へ溶出するに際し、該溶出液に誘導体化試薬を溶解し、分析対象物質と共にガスクロマトグラフの貯留室へ注入し、貯留室にて分析対象物質を誘導体化した後、該誘導体をガスクロマトグラフィにより分析することが好ましく、前記固相カートリッジに吸着された分析対象物質を溶出液により溶出し、該溶出液を次いで別個の固相カートリッジに通液し、夾雑物を除去した流出液を、ガスクロマトグラフの貯留室へ注入し、ガスクロマトグラフィにより分析することが好ましく、前記固相カートリッジに吸着された分析対象物質を溶出液により溶出し、該溶出液を次いで別個の固相カートリッジに通液し、夾雑物を除去した流出液を、ガスクロマトグラフの貯留室へ注入するに際し、該流出液に誘導体化試薬を溶解し、分析対象物質と共にガスクロマトグラフの貯留室へ注入し、貯留室にて分析対象物質を誘導体化した後、該誘導体をガスクロマトグラフィにより分析することが好ましく、前記分析対象物質が1種乃至20種であることが特に好ましい。
【0007】
本発明の第三は、分析対象試料に含まれている有機化学物質を抽出及び調製した分析用試料を導入して分画するための液体クロマトグラフと、この液体クロマトグラフにて分画した分析対象物質を含む溶離液に該分析対象物質の溶離時間に基づいて該溶離液とは異なる第1の溶液を自動供給するための第1供給手段と、前記第1の溶液と液体クロマトグラフにより分画した溶離液との混合液にて移動してきた分析対象物質を吸着させるための固相カートリッジと、この固相カートリッジに吸着された分析対象物質を溶出させるための溶出液を自動供給するための第2供給手段と、前記溶出された分析対象物質をガスクロマトグラフに導入するために前記固相カートリッジの流出口に連通接続されたシリンジ針とから構成したことを特徴とする有機化学物質の分析装置であって、前記第1の溶液と液体クロマトグラフにより分画した溶離液との混合液にて移動してきた分析対象物質を前記固相カートリッジにて吸着させるための第1経路に対して、前記固相カートリッジに吸着された分析対象物質を溶出して前記ガスクロマトグラフに導入する第2経路を別に設け、前記固相カートリッジを2つの経路のそれぞれに取り付け及び取り外し自在に構成してなることが好ましく、前記第1の溶液と液体クロマトグラフにより分画した溶離液との混合液にて移動してきた分析対象物質を前記固相カートリッジに供給して該固相カートリッジに吸着させるための第1供給状態と、前記固相カートリッジに前記溶出液を供給して該固相カートリッジに吸着された分析対象物質を溶出して前記ガスクロマトグラフに導入する第2供給状態とに供給状態を切り替えるための切替バルブを設けてなることが好ましく、前記ガスクロマトグラフが、前記シリンジ針から導入される分析対象物質を一旦、貯留させることができる捕集剤を含まない貯留室を、気化室内に設けたものからなることが特に好ましい。
【0008】
本発明の第四は、分析対象試料に含まれている有機化学物質を抽出及び調製した分析用試料を導入して分画するための液体クロマトグラフと、この液体クロマトグラフにて分画して移動してきた分析対象物質を検出するための検出手段と、この検出手段からの分析対象物質検出信号に基づいて排出経路側からメインの経路側へ排出先を切り替えるための排出先切替バルブと、前記排出先切替バルブにてメインの経路側へ切り替えられて溶離液と共に移動してきた分析対象物質を吸着させるために該メインの経路に備えさせた固相カートリッジと、この固相カートリッジに吸着された分析対象物質をガスクロマトグラフに導入するために溶出液を供給するための供給手段と、前記溶出液と共に溶出した分析対象物質をガスクロマトグラフに導入するために前記固相カートリッジの流出口に連通接続された上下動作可能なシリンジ針とから構成したことを特徴とする有機化学物質の分析装置であって、前記溶離液と共に移動してきた分析対象物質を前記固相カートリッジにて吸着させるための第1経路に対して、前記固相カートリッジに吸着された分析対象物質を前記供給手段からの溶出液にて溶出して前記ガスクロマトグラフに導入する第2経路を別に設け、前記固相カートリッジを前記2つの経路のそれぞれに取り付け及び取り外し自在に構成してなることが好ましく、前記溶離液と共に移動してきた分析対象物質を前記固相カートリッジに供給して該固相カートリッジに吸着させるための第1供給状態と、前記固相カートリッジに前記溶出液を供給して該固相カートリッジに吸着された分析対象物質を溶出して前記ガスクロマトグラフに導入する第2供給状態とに供給状態を切り替えるための供給状態切替バルブを設けてなることが好ましく、前記ガスクロマトグラフが、前記シリンジ針から導入される分析対象物質を一旦、貯留させることができる捕集剤を含まない貯留室を、気化室内に設けたものからなることが特に好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の分析方法は、夾雑物を含む有機化学物質を精度よく分析することに優れており、特に有機化学物質が1種乃至20種のときに、その効果を最も発揮し、分析対象物質を精度よく迅速に分析することができる。
【0010】
本発明は、分析用試料を逆相液体クロマトグラフィにより分画しながら、その溶離液を固相カートリッジに通液し、分析対象物質を吸着させることによって、液体クロマトグラフィ(LC)から水や高極性の溶媒を伴うことなく、分析対象物質をガスクロマトグラフィ(GC)に供給することができるので、多種類の有機化学物質を精度よく分析することができる。
【0011】
本発明は、固相カートリッジの流出口に上下動作可能なシリンジ針が連通接続されているため、固相カートリッジからの分析対象物質を無駄なく簡単にガスクロマトグラフィへ注入することができる。また、ガスクロマトグラフとして、シリンジ針から導入される分析対象物質を一旦、貯留させることができる貯留室を、気化室内に設けたものを用いることによって、固相カートリッジからの全溶出量をガスクロマトグラフに注入することができる。さらに、液体クロマトグラフィ(LC)−ガスクロマトグラフィ(GC)からなる分析方法の液体クロマトグラフィ(LC)は、クリーンアップ機能として作用するため、クリーンアップを行う前処理を省いた分析が可能となる。
【0012】
本発明は、固相カートリッジに吸着された分析対象物質を溶出液により溶出し、直接、ガスクロマトグラフの貯留室へ注入するに際して、溶出液に誘導体化試薬を溶解し、分析対象物質と共にガスクロマトグラフの貯留室へ注入し、分析対象物質の誘導体を作製した後、ガスクロマトグラフィにより分析することができるので、分析対象物質の種類が増加し、その分析精度を高めることができる。
【0013】
本発明は、固相カートリッジへ第1の溶離液を供給する第1供給状態と溶出液を供給する第2供給状態とに切り替えるための切替バルブを設けることによって、固相カートリッジを第1経路から取り外して第2経路に取り付ける作業が不要になり、分析作業をより一層迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】分析装置の概略図である。
【図2】検出器にて検出した結果を示すクロマトグラムである。
【図3】添加回収試験の結果を示すクロマトグラムである。
【図4】別の添加回収試験の結果を示すクロマトグラムである。
【図5】切替バルブにて固相カートリッジへの供給流路を変更可能にした他の分析装置の概略図である。
【図6】図5で示した分析装置の要部の拡大図を示し、(a)は固相カートリッジに分析対象物質を吸着させる第1供給状態を示し、(b)は吸着された分析対象物質を溶出させてクロマトグラフへ供給する第2供給状態を示している。
【図7】第2のポンプを省略した分析装置の概略図である。
【図8】クリーンアップ用の固相カートリッジを装着した別の分析装置の概略図である。
【図9】複数の固相カートリッジを装着した別の分析装置の概略図である。
【図10】2つの貯留室へそれぞれ分析対象物質を流出させることができる構成の別の分析装置の概略図である。
【図11】3つの固相カートリッジをカートリッジホルダーに保持させた別の分析装置の概略図である。
【図12】誘導体化試薬を用いた場合のクロマトグラムである。
【符号の説明】
【0015】
1 液体クロマトグラフ
2 ガスクロマトグラフ
3 インターフェース
4 注入口
5 ポンプ
6 プレカラム
7 LCカラム
8 検出器
9 排出経路
10 第1経路
11 バルブ
12 ポンプ
13 ミキサー
14 固相カートリッジ
15 排出口
16,16A 第2経路
17,17A 第2ポンプ
18,18A シリンジ針
19,19A 貯留室
20,20A 気化室
21A エトプロホスのピーク
21B クロルピリフォスのピーク
22 切替バルブ
22A,22B,22C 流路
23〜27 固相カートリッジ
28 カートリッジホルダー
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明にいう有機化学物質とは、残留農薬、環境ホルモン、香料などを含む有機化学物質であって、特に限定されるものではない。残留農薬としては、アシュラム、オキシン銅、メコプロップ、チウラム、シデュロン、イプロジオン、クロロタロニル、ペンシクロン、ベンスリド、クロルピリフォス、エトプロホスなどを例示することができる。また、環境ホルモンとしては、ノニルフェノール、ビスフェノールAなどのフェノール類、フタル酸エステル、PCBやダイオキシン類など、トリブチル錫、トリフェニル錫などの有機錫化合物、エチルエストラジオール、エストリオールなどの合成エストロゲンなど、香料としては、リモネン、ジペンテン、テルピノーレン、アロオシメン、オシメン、リナロール、ゲラニオール、ネロール、シトロネロール、ムゴールなどを例示することができる。
【0017】
本発明にいう分析対象試料は、特に限定されるものではないが、植物性及び動物性の食品の成分として含まれている有機化学物質及び食品の表面に付着している有機化学物質などの分析すべき対象の試料が含まれる。例えば、野菜類の表面に付着している残留農薬あるいは環境ホルモンなどの分析を行うべき野菜類などが分析対象試料として適している。
【0018】
ここで分析対象試料は、分析を行うべき有機化学物質を溶剤により抽出し、その濃度を調整し、液体クロマトグラフィに供する分析用試料を調製する。例えば、野菜、果実類は細切りとし、穀類、豆類は粉砕後、水を加え十分に膨潤させた後、溶剤としてアセトニトリル、アセトン、メタノール、エーテル、酢酸エチル、水などを加え、ホモジナイズした後、ろ別し有機化学物質の抽出を行う。この有機化学物質抽出液を分析用試料という。
【0019】
本発明にいう分析対象物質とは、分析対象試料中に含有されている有機化学物質であって、その含有量を分析しようとする対象の物質ある。本発明においては、分析対象物質の種類については、特に限定されないが、1種乃至20種である場合が、分析精度及び分析の迅速性の上から望ましい。
【0020】
本発明にいう誘導体化試薬とは、分析対象物質をそのままガスクロマトグラフにより分析した場合に、その分析精度が十分に得られない場合、誘導体化試薬により分析対象物質の誘導体を得ることにより、その分析精度を高めるものであって、N,O−Bis(trimethylsilyl)trifluoroacetamide(BSTFA)、Trimethylsilyl−diazomethane(TMS−Diazomethane)などを例示することができる。
【0021】
また、分析用試料を液体クロマトグラフィにより分画する前に固相カートリッジを置き、夾雑物を除去することができる。このとき、夾雑物の種類により固相カートリッジの充填剤の種類を変えることができる。
【0022】
図1に、液体クロマトグラフ1とガスクロマトグラフ2とがインターフェース3を介して接続されている、分析装置の構成を示している。
前記液体クロマトグラフ1は、分析用試料をLCカラム側へ導入するための注入口4に溶液を供給するためのポンプ5と、分析用試料に含まれるLCカラムを劣化させてしまう夾雑物を除去するためのプレカラム6及び夾雑物と分析対象物質を分離させるためのLCカラム7と、LCカラム7を通して分画された溶離液を含む分析対象物質を検出するための検出器8とを備えている。
【0023】
前記インターフェース3は、前記検出器8が所望の分析対象物質を検出したときに、排出経路9側から第1経路10側へ検出器8からの分析対象物質を含む溶離液の排出先を切り替えるバルブ11と、第1経路10側へ導入された前記分析対象物質を含む溶離液に対して該溶離液に含まれる溶液とは異なる第1の溶液を前記分析対象物質の溶離時間、つまり前記バルブ11の切り替え信号に基づいて自動供給するための第1供給手段としての第1ポンプ12と、前記ポンプ12からの第1の溶液と前記バルブ11からの溶離液とを混ぜ合わせるためのミキサー13と、前記ミキサー13からの流出液のうちの分析対象物質を吸着させるための固相カートリッジ14とを備えており、前記固相カートリッジ14に吸着されなかった水分などが下方の排出口15から排出されることになる。又、前記固相カートリッジ14に吸着された分析対象物質を溶出するための溶出液を前記第1経路10とは異なる第2経路16へ自動供給するための第2供給手段としての第2ポンプ17を前記インターフェース3に備えている。
【0024】
そして、前記固相カートリッジ14は、第1経路10に対して着脱自在に構成されていると共に、前記第2経路16の終端に着脱自在に構成されている。従って、分析対象物質が吸着された固相カートリッジ14を第1経路10から取り外して、第2経路16の終端へ取り付けることができるようになっている。分析対象物質を吸着させた固相カートリッジ14を前記第1経路10から取り外して前記第2経路16に該固相カートリッジ14を取り付けたことがセンサなどの検出器により検出されたときの検出信号に基づいて前記第2ポンプ17を作動させることによって、固相カートリッジ14に吸着された分析対象物質を溶出させて、ガスクロマトグラフ2へ導入されて分析が行われるように構成している。なお、固相カートリッジの充填剤としては、C18、C8、CN、ジオール、NH2、アルミナ、フロリジル、シリカ、活性炭などを例示することができる。
前記固相カートリッジ14の下方の流出口にはシリンジ針18が連通接続されており、固相カートリッジ14を第2経路16に取り付けることによって、固相カートリッジ14から流出された分析対象物質がシリンジ針18を介して無駄なく簡単に注入されることができるようになっている。このとき、誘導体化試薬を含む溶液を固相カートリッジ14から流出された分析対象物質と共に貯留室19へ注入し、貯留室19内で分析対象物質を誘導体化することができる。
ガスクロマトグラフ2は、前記シリンジ針18から導入される分析対象物質を一旦、貯留させることができる貯留室19を、気化室20内に設けたもので構成されている。
【0025】
図2には、前記注入口4から注入された分析用試料がポンプ5からの溶液により時間経過に伴って溶出している状態を示すクロマトグラムを示しており、図2の2箇所において分析対象物質が流出している時間を示し、その流出していることを前記検出器8にて検出している間中(又は予め調べた分析対象物質が流出している時間中)、バルブ11を第1経路10へ流す状態へ切り替えるように制御手段にて制御されるようになっている。
【0026】
図1では、分析対象物質が吸着された固相カートリッジ14を第1経路10から取り外して第2経路16へ取り付けるようにしているが、図5に示すように、第1経路10と第2経路16とが合流する箇所に、切替バルブ(図ではロータリバルブを示しているが、例えばスライドさせて切り替える他の形式のものであってもよい)22を設け、この切替バルブ22を手動力又は自動的に切り替えることによって、固相カートリッジ14を着脱することなく、固相カートリッジ14に吸着された分析対象物質をガスクロマトグラフ2へ供給することができるように構成してもよい。
詳述すれば、前記切替バルブ22の可動側(回転側)のスプール(スプールの外周を覆うケーシングとなるスリーブは省略している)に、前記ミキサー13からの第1の溶液又は第2ポンプ17からの溶出液を取り込んで固相カートリッジ14への供給流路22Dへ流すための第1流路22Aと、この第1流路22Aからの流出液を供給流路22Dを介して前記排出口15側へ供給するための第2流路22Cと、前記供給流路22Dから流出した分析対象物質をシリンジ針18(ガスクロマトグラフ2)へ供給するための第3流路22Bの3つを形成し、前記第1の溶液にて移動してきた分析対象物質を、第1流路22A、供給流路22Dを介して前記固相カートリッジ14に供給して該固相カートリッジ14に吸着させ、固相カートリッジ14に吸着されなかった水分などを第2流路22Cを介して下方の排出口15へ排出させる第1供給状態(図6(a)参照)と、前記スプール22を手動力又は電動力を用いて図6(a)の矢印の方向へ60度回転させることにより、前記固相カートリッジ14に第1流路22A、供給流路22Dを介して前記流出液を供給して該固相カートリッジ14に吸着された分析対象物質を溶出して第3流路22Bを介してシリンジ針18(ガスクロマトグラフ2)に導入する第2供給状態(図5及び図6(b)参照)とに供給状態を切り替えることができるようにしている。前記切替バルブ22を第2供給状態にした場合には、それと同時にシリンジ針18を下方へ移動させてシリンジ針18をガスクロマトグラフ2内へ挿入した状態にすることになる。尚、図6(b)の第2供給状態からスプール22を図に示す矢印の方向(逆方向)へ60度回転させることにより、前記第1供給状態に戻すようにしている。このとき、誘導体化試薬を含む溶液を固相カートリッジ14から流出された分析対象物質と共にガスクロマトグラフ2内へ注入し、貯留室19内で分析対象物質を誘導体化することができる。
【0027】
図1では、液体クロマトグラフ2にて分画した分析対象物質を含む溶離液に対して第1の溶液を供給するためのポンプ12を設けたものを示したが、図7では、第1の溶液を溶離液に供給しない分析装置を示している。他の説明しなかった部分は、図1のものと同一である。
【0028】
図8に示すように、第2経路16の前記固相カートリッジ14の下端の排出側箇所に、該固相カートリッジ14から溶出される分析対象物質を含む溶出液中の夾雑物を吸着させるための夾雑物除去用の固相カートリッジ23を備えさせている。これによって、クリーンアップを行う前処理を省いた分析が可能になり、分析時間の短縮化を図ることができる利点がある。他の説明しなかった部分は、図1のものと同一である。
【0029】
図9に示すように、前記固相カートリッジ14にて吸着できなかった分析対象物質を再度吸着させるための同一構成でなる他の固相カートリッジ24を第1経路10に着脱自在に取り付けて実施してもよい。図9では2個の固相カートリッジ14,24を示しているが、3個以上の固相カートリッジを第1経路10に着脱自在に取り付けてもよい。従って、複数(図8では2つ)の固相カートリッジ14,24にて分析対象物質を吸着させてから、それら固相カートリッジ14,24を取り外して第2経路16に取り付けて、溶出液にて分析対象物質を溶出させることによって、1個の固相カートリッジ14のみで分析対象物質を吸着させる場合に比べて、分析対象物質を多く吸着させることができ、分析を確実にすることができる。他の説明しなかった部分は、図1のものと同一である。
【0030】
図10に示すように、前記固相カートリッジ14で吸着することができない他の分析対象物質を吸着するための第2の固相カートリッジ25を第1経路10に着脱自在に取り付けて実施してもよい。このように異なる2種類の分析対象物質を吸着した固相カートリッジ14,25に対して異なる溶出液を供給するための第2ポンプ17,17Aを第2経路16,16Aにそれぞれ取り付けて、それぞれの固相カートリッジ14,25から異なる分析対象物質を溶出して異なる2つの気化室20,20Aへそれぞれ供給することによって、異なる分析対象物質を一挙に分析することができるようにしている。図10では2個の固相カートリッジ14,24を設けたものを示しているが、3個以上の固相カートリッジを設けて3種類以上の分析対象物質を分析することができるようにしてもよい。尚、図10では、異なる気化室20,20Aを設けた場合を示したが、同一の気化室に異なる分析対象物質を時間差を持たせて溶出させることにより、分析を可能とするようにしてもよい。他の説明しなかった部分は、図1のものと同一である。
【0031】
図11に示すように、カートリッジホルダ28に複数(図では3個であるが、2個又は4個以上でもよい)の固相カートリッジ14,26,27を備えさせて、複数のピークを持つ分析対象物質の各ピーク時に流出してくる分析対象物質のタイミングに合わせて(時間経過やセンサからの検出信号に基づいて)カートリッジホルダ28を電動モータなどの駆動機構を用いてカートリッジホルダ28の長手方向に移動させることによって、複数のピークを持つ分析対象物質を吸着することができるようにしてもよい。そして、分析対象物質を吸着した固相カートリッジ14,26,27を保持したカートリッジホルダ28を第1経路10から第2経路16に付け替えて、電動モータなどの駆動機構を用いてカートリッジホルダ28の長手方向に移動させることによって、複数のピークの分析対象物質を分析することができるようにしている。前記固相カートリッジ14,26,27にて異なる分析対象物質を吸着する場合には、異なる溶出液にて溶出し、異なる気化室にて複数の分析対象物質の分析を行うことになる。又、同一種類の分析対象物質を複数の固相カートリッジ14,26,27で吸着した場合には、第2経路16に複数の固相カートリッジ14,26,27を直列に連結した状態で単一のポンプからの溶出液を流して分析対象物質を溶出することになる。他の説明しなかった部分は、図1のものと同一である。
【0032】
図1、図7、図8で示している固相カートリッジ14を、第1経路10及び第2経路16の両方に実線で示しているが、実際は第1経路10に有る場合には、第2経路16には無く、第2経路16に有る場合には、第1経路10には無く、いずれか一方の経路にのみ固相カートリッジ14が接続されている状態になる。又、図9〜図11に記載の固相カートリッジ14,24,25,26,27においても同様に、いずれか一方の経路にのみ固相カートリッジ(図9では14,24、図10では14,25、図11では14,26,27)が接続された状態になる。
【実施例1】
【0033】
ホウレンソウ中の残留農薬の分析を添加回収試験により行った。
(試料の調製)
ホウレンソウ20gを計量し、アセトニトリル100mlを加え、エトプロホスを0.02mg添加した後、ホモジナイズし、これを吸引ろ過したろ液をホウレンソウ抽出液とした。
(分析装置)
液体クロマトグラフ(HPLC)
カラム;ODS2.1×100mm
移動相;70%アセトニトリル水
流速;0.2ml/min
注入量;5μl
測定波長;254nm
ガスクロマトグラフ(GC/MS)
貯留室;大量注入用(胃袋型ライナーを使用)
貯留室温度;60℃−100℃/min−250℃(20min)
カラムオーブン温度;60℃(4min)−10℃/min−260℃(5min)
インターフェイス
固相カートリッジ;固相C18
加入液;水、2ml/min
溶出液;アセトン、50μl
(分析方法)
HPLCにホウレンソウ抽出液10μlを注入し、液体クロマトグラフで分離した。予め、調べておいたエトプロホスの溶出時間にバルブを切り換え、水を加えながら固相カートリッジに通した。このときエトプロホスはこの固相カートリッジに吸着される。この固相カートリッジにシリンジを取り付け、溶出液アセトンで直接ガスクロマトグラフ貯留室へ溶出させ、GC/MSにより分析した。その結果、エトプロホスは90%以上の回収率と図3に示すように良好なクロマトグラムが得られた。図3の21Aは、エトプロホスのピークを示している。
【実施例2】
【0034】
ホウレンソウ中の残留農薬の分析を添加回収試験により行った。
(試料の調製)
ホウレンソウ20gを計量し、アセトニトリル100mlを加え、クロルピリフォスを0.02mg添加した後、ホモジナイズし、これを吸引ろ過したろ過液をホウレンソウ抽出液とした。
(分析装置)
液体クロマトグラフ(HPLC)
カラム;C2 3.0mm i.d.×100mm
分離液;50%アセトニトリル水
流速;0.5ml/min
注入量;100μl
測定波長;210nm
インターフェース
固相カートリッジ;固相スチルジビニルベンゼン
溶出液;ヘキサン溶液
ガスクロマトグラフ(GC/MS)
貯留室;大量注入用(胃袋型インサートを使用)
貯留室温度;70℃−120℃/min−220℃(3min)−50℃/min−260℃(10min)
カラムオーブン温度;70℃(3min)−20℃/min−280℃(4min)
MSメソッド;SCAN
(分析方法)
HPLCにホウレンソウ抽出液100μlを注入し、液体クロマトグラフで分離した。予め調べておいたクロルピリフォスの溶出時間にバルブを切り替え、固相カートリッジに通した。このときクロルピリフォスはこの固相カートリッジに吸着される。この固相カートリッジにシリンジを取り付け、溶出液ヘキサンで直接ガスクロマトグラフ貯留室に溶出させ、GC/MSにより分析した。その結果、クロルピリフォスは90%以上の回収率で図4に示したような良好なSCANクロマトグラムが得られた。図4に示す21Bは、クロルピリフォスのピークである。
【実施例3】
【0035】
試料と誘導体化試薬を連続して貯留室に注入し、貯留室の中で誘導体化させた上で分析する試験を実施した。
(試料及び誘導体試薬の調製)
試料には、ペンタクロロフェノールとピスフェノールAとをアセトンで希釈したものを用いた。誘導体試薬には、N,O−Bis(trimethylsilyl)trifluoroacetamide(BSTFA)をアセトンで希釈したものを用いた。
(分析装置)
ガスクロマトグラフ(GC/MS)
カラム;DB−5ms 0.25mm i.d.×30m,df=0.25μm
気化室温度;50℃−30℃/min−180℃(2min)
オーブン温度;50℃(5min)−20℃/min−240℃(4min)
キャリヤガス;He
スプリット初期流量;30ml/min
スプリットレス時間;5min
試料注入量;2μl
BSTFA注入量;1μl
(分析方法)
試料を注入して、気化室20の貯留室19の中に保持する。次に、誘導体化試薬(BSTFA)を気化室19に注入する。気化室20の温度を適温に設定し、濃縮しながら誘導体化を図る。この誘導体物質をガスクロマトグラフに導入する。この分析によるクロマトグラムが図12に示されている。この結果から、誘導体化が確実に行われているのが分かった。この誘導体化試薬注入法を用いれば、予め誘導体化させるという前処理操作を省くことができ、また、人体に悪影響を与える誘導体化試薬に手を触れることなく誘導体化させることができ、さらに、誘導体化後すぐに分析できるという利点がある。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の有機化学物質の分析方法は、1種乃至20種程度の特定の残留農薬および環境ホルモンを速やかに、しかも精密に測定することが可能であり、対象とする食品などの安全性を迅速に評価するのに適している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機化学物質の分析において、分析対象試料より予め有機化学物質を抽出及び調製した分析用試料を液体クロマトグラフィにより分画しながら、該分画した分析対象物質を含む溶離液に異なる溶液を加え、連続的に該分析対象物質を液体クロマトグラフより固相カートリッジに吸着させ、該固相カートリッジに吸着された分析対象物質を溶出液により、直接、ガスクロマトグラフの貯留室へ溶出し、ガスクロマトグラフィにより分析することを特徴とする有機化学物質の分析方法。
【請求項2】
有機化学物質の分析において、分析対象試料より予め有機化学物質を抽出及び調製した分析用試料を液体クロマトグラフィにより分画しながら、該分画した分析対象物質を含む溶離液を固相カートリッジに通し、連続的に該分析対象物質を該固相カートリッジに吸着させ、該固相カートリッジに吸着された分析対象物質を溶出液により、直接、ガスクロマトグラフの貯留室へ溶出し、ガスクロマトグラフィにより分析することを特徴とする有機化学物質の分析方法。
【請求項3】
前記固相カートリッジに吸着された分析対象物質を溶出液により溶出し、直接、ガスクロマトグラフィの貯留室へ溶出するに際し、該溶出液に誘導体化試薬を溶解し、分析対象物質と共にガスクロマトグラフの貯留室へ注入し、貯留室にて分析対象物質を誘導体化した後、該誘導体をガスクロマトグラフィにより分析することを特徴とする請求項1または2に記載の有機化学物質の分析方法。
【請求項4】
前記固相カートリッジに吸着された分析対象物質を溶出液により溶出し、該溶出液を次いで別個の固相カートリッジに通液し、夾雑物を除去した流出液を、ガスクロマトグラフの貯留室へ注入し、ガスクロマトグラフィにより分析することを特徴とする請求項1または2に記載の有機化学物質の分析方法。
【請求項5】
前記固相カートリッジに吸着された分析対象物質を溶出液により溶出し、該溶出液を次いで別個の固相カートリッジに通液し、夾雑物を除去した流出液を、ガスクロマトグラフの貯留室へ注入するに際し、該流出液に誘導体化試薬を溶解し、分析対象物質と共にガスクロマトグラフの貯留室へ注入し、貯留室にて分析対象物質を誘導体化した後、該誘導体をガスクロマトグラフィにより分析することを特徴とする請求項4に記載の有機化学物質の分析方法。
【請求項6】
前記分析対象物質が1種乃至20種であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の有機化学物質の分析方法。
【請求項7】
分析対象試料に含まれている有機化学物質を抽出及び調製した分析用試料を導入して分画するための液体クロマトグラフと、この液体クロマトグラフにて分画した分析対象物質を含む溶離液に該分析対象物質の溶離時間に基づいて該溶離液とは異なる第1の溶液を自動供給するための第1供給手段と、前記第1の溶液と液体クロマトグラフにより分画した溶離液との混合液にて移動してきた分析対象物質を吸着させるための固相カートリッジと、この固相カートリッジに吸着された分析対象物質を溶出させるための溶出液を自動供給するための第2供給手段と、前記溶出された分析対象物質をガスクロマトグラフに導入するために前記固相カートリッジの流出口に連通接続されたシリンジ針とから構成したことを特徴とする有機化学物質の分析装置。
【請求項8】
前記第1の溶液と液体クロマトグラフにより分画した溶離液との混合液にて移動してきた分析対象物質を前記固相カートリッジにて吸着させるための第1経路に対して、前記固相カートリッジに吸着された分析対象物質を溶出して前記ガスクロマトグラフに導入する第2経路を別に設け、前記固相カートリッジを2つの経路のそれぞれに取り付け及び取り外し自在に構成してなる請求項7に記載の有機化学物質の分析装置。
【請求項9】
前記第1の溶液と液体クロマトグラフにより分画した溶離液との混合液にて移動してきた分析対象物質を前記固相カートリッジに供給して該固相カートリッジに吸着させるための第1供給状態と、前記固相カートリッジに前記溶出液を供給して該固相カートリッジに吸着された分析対象物質を溶出して前記ガスクロマトグラフに導入する第2供給状態とに供給状態を切り替えるための切替バルブを設けてなる請求項8に記載の有機化学物質の分析装置。
【請求項10】
前記ガスクロマトグラフが、前記シリンジ針から導入される分析対象物質を一旦、貯留させることができる捕集剤を含まない貯留室を、気化室内に設けたものからなる請求項7乃至9のいずれか1項に記載の有機化学物質の分析装置。
【請求項11】
分析対象試料に含まれている有機化学物質を抽出及び調製した分析用試料を導入して分画するための液体クロマトグラフと、この液体クロマトグラフにて分画して移動してきた分析対象物質を検出するための検出手段と、この検出手段からの分析対象物質検出信号に基づいて排出経路側からメインの経路側へ排出先を切り替えるための排出先切替バルブと、前記排出先切替バルブにてメインの経路側へ切り替えられて溶離液と共に移動してきた分析対象物質を吸着させるために該メインの経路に備えさせた固相カートリッジと、この固相カートリッジに吸着された分析対象物質をガスクロマトグラフに導入するために溶出液を供給するための供給手段と、前記溶出液と共に溶出した分析対象物質をガスクロマトグラフに導入するために前記固相カートリッジの流出口に連通接続された上下動作可能なシリンジ針とから構成したことを特徴とする有機化学物質の分析装置。
【請求項12】
前記溶離液と共に移動してきた分析対象物質を前記固相カートリッジにて吸着させるための第1経路に対して、前記固相カートリッジに吸着された分析対象物質を前記供給手段からの溶出液にて溶出して前記ガスクロマトグラフに導入する第2経路を別に設け、前記固相カートリッジを前記2つの経路のそれぞれに取り付け及び取り外し自在に構成してなる請求項11に記載の有機化学物質の分析装置。
【請求項13】
前記溶離液と共に移動してきた分析対象物質を前記固相カートリッジに供給して該固相カートリッジに吸着させるための第1供給状態と、前記固相カートリッジに前記溶出液を供給して該固相カートリッジに吸着された分析対象物質を溶出して前記ガスクロマトグラフに導入する第2供給状態とに供給状態を切り替えるための供給状態切替バルブを設けてなる請求項11に記載の有機化学物質の分析装置。
【請求項14】
前記ガスクロマトグラフが、前記シリンジ針から導入される分析対象物質を一旦、貯留させることができる捕集剤を含まない貯留室を、気化室内に設けたものからなる請求項11乃至13のいずれか1項に記載の有機化学物質の分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【国際公開番号】WO2005/071398
【国際公開日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【発行日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−517195(P2005−517195)
【国際出願番号】PCT/JP2004/018014
【国際出願日】平成16年12月3日(2004.12.3)
【出願人】(000173706)財団法人雑賀技術研究所 (11)