説明

有機基材保護型光触媒の製造方法

【課題】 防汚、脱臭、抗菌を始めとする光触媒機能を充分に保持しつつ、その使用に際して、基材となる有機重合物の劣化を抑制可能な光触媒を提供すること。
【解決手段】 光触媒活性を有する基体と、該基体を被覆する、酸化珪素膜を含む光触媒を、2段階からなる酸化珪素膜被覆工程を経て製造することにより、基材保護型光触媒が提供可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機重合物からなる基材を光分解作用から保護することを特徴とする光触媒、及び該光触媒を含有する光触媒分散液、さらには該光触媒を含有する光触媒塗料組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
結晶性酸化チタンにバンドギャップ以上のエネルギーを有する波長の光を照射すると、光励起されて電子と正孔が生成する。この電子及び正孔により酸化チタン表面にスーパーオキシドイオンや水酸化ラジカル等の活性酸素種が発生し、強い酸化力が発現する。この光触媒反応を利用して、酸化チタンに吸着された汚染成分や悪臭成分を酸化分解し無害化したり、さらには油等の有機物を分解して二酸化炭素と水に変えるといういわゆる防汚効果や殺菌効果を基材に付与することが知られている。
ここで、汚染物質や臭気成分とは、窒素酸化物、アンモニア等の無機化合物、有機ハロゲン、アルデヒド類、低級脂肪酸等の有機化合物などが挙げられる。
【0003】
このように結晶性酸化チタン、特にアナターゼ型の酸化チタンは、光触媒反応に基づいて種々の優れた作用を示す。これらの作用は、建材、タイル、レンガ等の外装材、壁紙、カーテン、天井材等の内装材、あるいは衣服、カーテン等の繊維製品に代表される基材の表面に、バインダー等を用いて光触媒を固定させた状態で発現させることが一般的である。その為、防汚、脱臭、抗菌作用を維持し、かつ長期間にわたって、剥離、欠落が生じない、光触媒の基材への固定化技術、が開発されている。
【0004】
しかしながら、基材が樹脂板、フィルムあるいは繊維等の有機重合体の場合には、光触媒作用により、基材自体が酸化的に分解されてしまう。これら基材が分解、劣化すると、ひび割れ、き裂が生じて光触媒が基材から剥離し、光触媒作用が消失する、基材自身の物性が低減する、表面がチョーキングあるいは虫食い状の穴の生成により景観を損ねる、等の悪影響が生じる。
【0005】
従って、塗料の白色顔料など、光触媒作用を必要としない用途では、光触媒活性が低いルチル型の酸化チタンを使用したり、ルチル型の酸化チタンに対して、表面をシリカやアルミナで被覆することにより光触媒作用の発現を防止するような工夫がなされている。
【0006】
一方、防汚、脱臭、抗菌を目的とする、すなわち、光触媒作用の発現を必要とする場合は、光触媒の使用に際し、様々な工夫がなされている。例えば、多孔質無機物質、あるいは結晶性無機物質を光触媒の表面上に被覆し、有機基材と光触媒の直接接触を防止し、有機基材の分解を抑制する方法が報告されている(特許文献1及び2)。これらの報告例では、確かに、有機基材の分解が抑制されるものの、多孔質無機物質あるいは結晶性無機物質により、酸化チタンが吸収する紫外線量の減少、また、酸化チタン上の活性点の減少を招くこととなり、結果的に光触媒作用が低下する。
【0007】
また、有機基材と光触媒層の間に、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、その他無機化合物等からなる活性遮断層を設置し、有機基材と光触媒が直接接触することを防止することで、有機基材の劣化を抑制する方法も検討されている(特許文献3及び4)。この方法は、確かに有機基材の劣化は抑制可能であるが、多層構造となる為、加工費が高価となることに懸念がある。
さらに、有機基材と活性遮断層、活性遮断層と光触媒層の接着安定性にも課題を残す。
【0008】
また、バインダーを含む光触媒層を有機基材上に塗布する際に、バインダーを含む光触媒層中に含まれる光触媒を傾斜配置することにより、基材の分解・劣化を抑制する方法も報告されている(特許文献5及び6)。すなわち、基材との接着面から外表面に近づくに従い、光触媒濃度を高め、基材の安定性を向上させる方法である。この方法においても、基材と光触媒との接触を完全に防止するわけではなく、従って、有機基材の劣化を完全に抑制可能しているとは言い難い。
【特許文献1】特開平09−276706号公報
【特許文献2】特開2003−24797号公報
【特許文献3】特開平08−141503号公報
【特許文献4】特開平09−229493号公報
【特許文献5】特開平11−010803号公報
【特許文献6】特開2000−071360号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、以上のような状況を鑑みてなされたものであり、防汚、脱臭、抗菌を始めとする光触媒機能を充分に保持しつつ、その使用に際して、基材となる有機重合物の劣化を抑制可能な光触媒、及び該光触媒を含有する光触媒分散液、さらには該光触媒を含有する光触媒塗料組成物を供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、前記の課題を解決するため鋭意検討した結果、光触媒活性を有する基体を一旦、酸化珪素膜により被覆した後、さらに前工程とは異なる条件にて、酸化珪素膜をさらに被覆することにより、光触媒活性を有する基体に2種の酸化珪素膜を被覆した基材保護型光触媒を製造することが可能となる。このように製造した光触媒は、外装材・内装材・繊維製品等へ使用した際に、充分な光触媒機能を保持しつつ、かつ、基材となる有機重合物の劣化を抑制可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は
(1)光触媒活性を有する基体と、該基体を被覆する、酸化珪素膜を含むことを特徴とする光触媒を製造するにあたり、2段階からなる酸化珪素膜被覆工程を含むことを特徴とする、基材保護型光触媒の製造方法;
(2)前記2段階からなる酸化珪素膜被覆工程の各々に、焼成工程を含むことを特徴とする、上記(1)記載の基材保護型光触媒の製造方法;
(3)前記焼成工程における温度が200℃以上1200℃以下であることを特徴とする、上記(2)に記載の基材保護型光触媒の製造方法;
(4)前記2段階からなる酸化珪素膜被覆工程の各々に、酸化珪素の熟成工程を含むことを特徴とする、上記(1)乃至(3)いずれかに記載の基材保護型光触媒の製造方法;
(5)1段階目の酸化珪素膜被覆工程に含まれる熟成工程におけるpHが常時5以下を維持しており、かつ、2段階目の酸化珪素膜被覆工程に含まれる熟成工程における最終的なpHが5より高いことを特徴とする、上記(4)に記載の基材保護型光触媒の製造方法;
(6)前記光触媒の表面積1m当りの珪素担持量が、0.10mg以上、2.0mg以下である上記(1)乃至(5)いずれかに記載の基材保護型光触媒の製造方法;
(7)前記光触媒活性を有する基体が、アナターゼ型、ルチル型、あるいはこれらの混合物を含む酸化チタンである上記(1)乃至(6)いずれかに記載の基材保護型光触媒の製造方法;
(8)前記酸化珪素膜の原料として、珪酸塩を用いることを特徴とする上記(1)乃至(7)いずれかに記載の基材保護型光触媒の製造方法;
である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、酸化チタンからなる市販光触媒、あるいは既存技術を用いた際には困難とされる、
・有害な有機物質に対する光分解能力
・光触媒と接触する有機重合物の分解、劣化を抑制する能力
それぞれの能力を高いレベルでバランス良く保有する光触媒の製造方法を提供することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
「酸化珪素膜を被覆した光触媒」とは、光触媒機能を有する基体の表面を酸化珪素からなる膜で被覆したものを意味する。したがって、酸化珪素の存在下で後から光触媒を形成して製造される、酸化珪素に光触媒を固定化したものや、酸化珪素と光触媒を同一容器中で並行して形成させた複合体は、含まれない。
【0013】
ここで、酸化珪素膜とは、未焼成の膜および焼成後の膜いずれの形態でも良い。本発明においては、焼成後の酸化珪素の焼成膜が好ましい。
光触媒活性を有する基体(以下、適宜「基体」と略記する。)としては、金属化合物光半導体を用いることができる。金属化合物光半導体としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化タングステンおよびチタン酸ストロンチウムなどがあり、このうち、光触媒活性に優れており、無害かつ安定性にも優れる酸化チタンが好ましい。
【0014】
酸化チタンとしては、例えば、非晶質、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型等が挙げられる。このうち、光触媒活性に優れているアナターゼ型あるいはルチル型、または、これらの混合物がより好ましく、これらに非晶質が少量含まれていてもかまわない。
また、基体として、金属化合物光半導体に1種以上の遷移金属を添加したもの、金属化合物半導体に14族、15族、および/または16族の典型元素を1種以上添加したもの、2種以上の金属化合物からなる光半導体、2種以上の金属化合物半導体の混合物も使用できる。
【0015】
さらに、基体としては、金属化合物光半導体の粒子を用いることが好ましいが、例えば、金属化合物光半導体の表面の一部が露出している成形体、繊維、および塗膜等を用いることも可能である。また、基体としては、比表面積が30m/g以上の金属化合物光半導体を含有するものが好ましい。比表面積の上限は特に限定するものではないが、500m/g以下が好ましい。
【0016】
なお、基体が粒子として明確に認識できる場合を除き、成形体、繊維、塗膜等に固定化された基体の比表面積は、比表面積測定法として一般的なBET法に供することが出来ない。このような場合には、X線回折分析とシェラー式による算出、あるいは電子顕微鏡を用いた一次粒子の観察から求まる一次粒子径を元にして、球形換算で「表面積」を算出し、かつ、X線や電子線の回折分析から結晶相を把握してその結晶相の真密度と前記球形換算から求まる体積とから「重量」を算出することによって、比表面積を求めることが可能である。
【0017】
本発明に係る酸化珪素膜を被覆した光触媒の表面積1m当りの珪素担持量は、酸化珪素膜を被覆した光触媒が含有する珪素量と、酸化珪素膜を被覆した光触媒の表面積から算出される計算値である。酸化珪素膜を被覆した光触媒の表面積1m当りの珪素担持量は、その表面積1m当りの珪素担持量が0.10mg以上、2.0mg以下であり、好ましくは0.12mg以上、1.5mg以下、より好ましくは0.16mg以上、1.25mg以下、さらに好ましくは0.18mg以上、1.25mg以下である。0.10mg未満では、酸化珪素膜による光触媒活性向上効果が小さく、また、有機基材劣化抑制能も十分に発揮されない。一方、2.0mgを超えると、酸化珪素膜を被覆した光触媒に占める基体の割合が低下しすぎるので、光触媒機能がほとんど向上しない。珪素担持量を上記範囲とすることで、酸化珪素膜による光触媒活性向上効果および有機基材劣化抑制効果の両立が顕著になる。
【0018】
本発明における「2段階からなる酸化珪素膜被覆工程」は、基体に対して酸化珪素膜の被覆工程を異なる条件で、2回に渡って施すことを特徴とする。「酸化珪素膜被覆工程」の被覆方法をより具体的に示すと、
(工程a)基体を含む水系媒体と珪素化合物、珪素化合物を含む水系媒体と基体、および基体を含む水系媒体と珪素化合物を含む水系媒体、の少なくともいずれか一組を混合する工程、
(工程b)前記基体に対して酸化珪素膜を固定化する為、この混合液を熟成する工程、
(工程c)酸化珪素膜を被覆した光触媒を水系媒体から分離する工程、
(工程d)酸化珪素膜を被覆した光触媒を水系媒体を用いて洗浄する工程、
(工程e)酸化珪素膜を被覆した光触媒を乾燥および/または焼成する工程、
である。
【0019】
すなわち、本発明においては(工程a)から(工程e)までのサイクルを2度、繰り返して行うことを特徴とする。
【0020】
本発明における一段階目の被覆工程を構成する各工程をさらに具体的に説明する。
【0021】
(工程a)、すなわち混合工程においては、
(i)基体を含む水系媒体と珪素化合物、
(ii)珪素化合物を含む水系媒体と基体、
(iii)基体を含む水系媒体と珪素化合物を含む水系媒体、
の少なくともいずれか一組を混合する工程である。
水系媒体としては、水、あるいは水を主成分とし、脂肪族アルコール類、脂肪族エーテル類等のうち、水に溶解可能な有機溶媒を含む混合液が挙げられる。水系媒体を具体的に例示するとすれば、水、並びに、水とメチルアルコール、水とエチルアルコール、水とイソプロパノール等の混合液が挙げられる。これらの中では水が好ましい。また、これらの水および混合液は、1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。更に、水系媒体には、基体の分散性あるいは溶解性を向上させるために、脂肪族アルコール類、脂肪族エーテル類等のうち、水に溶解可能な有機溶媒、並びに脂肪族アミン類、脂肪族ポリエーテル類およびゼラチン類等の界面活性剤を混ぜることもできる。
【0022】
珪素化合物としては、珪酸塩、コロイダルシリカ、シリコーン樹脂、アルコキシシランおよびその部分加水分解物、炭化水素基で一部置換されたアルコキシシランであるオルガノアルコキシシラン、といった珪素化合物を任意で用いることが可能である。経済性、生産性の観点から珪酸塩を用いることが望ましい。
珪酸塩としては、珪酸および/またはそのオリゴマーの塩を用い、2種以上を混合して用いても良い。ナトリウム塩およびカリウム塩は、工業的に入手容易である点から好ましく、溶解工程を省略できるので珪酸ナトリウム水溶液(JIS K1408“水ガラス”)がさらに好ましい。
(工程b)、すなわち熟成工程においては、基体に対する酸化珪素膜の被覆が徐々に進むこととなる。この際、基体および珪酸塩の両方を含む水系媒体のpHを常時5以下に維持することが必要であり、pH4以下の酸性領域とすることがより好ましい。
基体の非存在下でpH5以下を維持した場合、珪酸、珪酸イオンおよび/またはこれらのオリゴマーから、珪酸化合物の縮合物が単独では析出しにくい。一方、基体の存在下でpH5以下を維持した場合、基体の表面が珪酸化合物の縮合触媒として作用し、酸化珪素膜が基体の表面にのみ速やかに生成される。すなわち、pHが5以下の酸性領域は、珪酸化合物を含む溶液を安定に存在させることができ、かつ、基体の表面に酸化珪素を膜状に形成可能な領域である。
水系媒体中にアルコール等の有機媒体が存在する場合には、水用のpH電極ではpHを正確に測定できないので、有機媒体を含む水溶液用のpH電極を用いて測定する。別途、有機媒体を同体積の水で置き換えてpHを測定することも可能である。
基体と珪酸塩の両方を含む混合液を、pH5以下に維持する方法としては、基体、珪酸塩、水系溶媒の混合および熟成を行う際、水系媒体のpHを常時測定し、適宜、酸および塩基を加えて調整する方法でも構わない。しかし、製造に用いる珪酸塩に含まれる塩基成分の総量を中和した上でpH5以下となるに十分な量の酸を予め水系媒体中に存在させておくことが簡便である。
【0023】
酸は、どのような酸でも使用可能であるが、塩酸、硝酸、硫酸等の鉱酸が好適に用いられる。酸は、1種のみを用いても、2種以上を混合して用いても良い。この中で塩酸、硝酸が好ましい。硫酸を使用する場合、光触媒中の硫黄含有量が多く残存すると、吸着効率が経時劣化することがある。光触媒中の硫黄含有量は、光触媒の全重量を基準として、0.5重量%以下が好ましく、0.4重量%以下がより好ましい。
【0024】
塩基は、珪酸塩に含まれる塩基成分の総量を中和した上でpH5以下となるのに十分な量の酸を予め水系媒体中に存在させておく、前述した方法を使用する場合には、特に別途用いる必要は無い。しかしながら、塩基を用いる場合は、どのような塩基でも使用可能である。なかでも、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物が好適に用いられる。
【0025】
熟成工程における反応温度および反応時間等の反応条件は、目的とする酸化珪素膜の生成に悪影響を与えない条件であれば特に限定されない。反応温度は10℃以上200℃以下であることが好ましく、20℃以上80℃以下であることがより好ましい。10℃未満であると、珪酸化合物の縮合が進行し難くなることにより、酸化珪素膜の生成が著しく遅延し、生産性の悪化を招くことがある。200℃より高温であると、珪酸化合物の縮合物、すなわち、酸化珪素微粒子および/またはゲル等が生じやすいため、酸化珪素膜が多孔質となったり、基体表面上で局所的に酸化珪素が形成されてしまうことがある。熟成時間は、10分以上、500時間以下であることが好ましく、1時間以上、100時間以下であることがより好ましい。10分未満であると、酸化珪素膜による被覆が充分に進行せず、被膜による光分解活性の向上効果が充分に得られない場合がある。500時間より長時間であると、光触媒活性を有する基体は、酸化珪素膜により充分に被覆され、光分解活性も向上するが、生産性が悪化することがある。また、混合液中に含まれる基体の濃度は1重量%以上50重量%以下であることが好ましく、5重量%以上30重量%以下であることがより好ましい。1重量%未満であると、生産性が悪くなり、50重量%より高濃度であると基体に対する酸化珪素膜の被覆が均一に進行せず、光分解活性の向上効果が充分に得られないことがある。混合液中に含まれる珪素の濃度は0.05重量%以上5重量%以下であることが好ましく、0.1重量%以上3重量%以下であることがより好ましい。珪素濃度が0.05重量%未満であると、珪酸化合物の縮合が遅延し、基体に対する酸化珪素膜の被覆が充分でなくなることがある。珪素濃度が5重量%より高濃度であると、基体に対する酸化珪素膜の被覆が均一に進行しないことがある。
(工程c)、すなわち分離工程における具体的手法は特に限定されないが、例えば、自然濾過法、減圧濾過法、加圧濾過法、遠心分離法などの公知の方法が好適に利用できる。
(工程d)、すなわち洗浄工程における具体的手法は特に限定されないが、例えば、純水への再分散化とろ過の繰り返し、イオン交換処理による脱塩洗浄、などが好適に利用できる。
(工程c)、及び、(工程d)は数回繰り返し実施することも可能である。また、酸化珪素膜を被覆した光触媒の用途によっては、(工程d)を省略することも可能である。
(工程e)、すなわち焼成工程における具体的な手法は特に限定されないが、例えば、減圧焼成、空気焼成、窒素焼成等が好適に利用できる。通常、焼成は200℃以上1200℃以下の温度で実施できるが、400℃以上1000℃以下が好ましく、400℃以上800℃以下がより好ましい。焼成温度が200℃未満であると、基体表面上に所望する酸化珪素の焼成膜が生成せず、充分な光分解活性が得られない。焼成温度が1200℃より高温であると、酸化珪素膜を被覆した光触媒の焼結が進行し、充分な光分解活性が得られない。また、(工程e)の前に乾燥工程を実施しても良い。乾燥工程における具体的手法は特に限定されないが、例えば、風乾、減圧乾燥、加熱乾燥、噴霧乾燥、などが好適に利用できる。
【0026】
本発明における二段階目の被覆工程を構成する各工程をさらに具体的に説明する。
【0027】
(工程a)、すなわち混合工程においては、
(i)1段階目の被覆工程を経て得られた光触媒を含む水系媒体と珪素化合物、
(ii)珪素化合物を含む水系媒体と1段階目の被覆工程を経て得られた光触媒、
(iii)1段階目の被覆工程を経て得られた光触媒を含む水系媒体と珪素化合物を含む水系媒体、
の少なくともいずれか一組を混合する工程である。
水系媒体としては、水、あるいは水を主成分とし、脂肪族アルコール類、脂肪族エーテル類等のうち、水に溶解可能な有機溶媒を含む混合液が挙げられる。水系媒体を具体的に例示するとすれば、水、並びに、水とメチルアルコール、水とエチルアルコール、水とイソプロパノール等の混合液が挙げられる。これらの中では水が好ましい。また、これらの水および混合液は、1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。更に、水系媒体には、基体の分散性あるいは溶解性を向上させるために、脂肪族アルコール類、脂肪族エーテル類等のうち、水に溶解可能な有機溶媒、並びに脂肪族アミン類、脂肪族ポリエーテル類およびゼラチン類等の界面活性剤を混ぜることもできる。
【0028】
珪素化合物としては、珪酸塩、コロイダルシリカ、シリコーン樹脂、アルコキシシランおよびその部分加水分解物、炭化水素基で一部置換されたアルコキシシランであるオルガノアルコキシシラン、といった珪素化合物を任意で用いることが可能であるが、経済性、生産性の観点から珪酸塩を用いることが望ましい。
珪酸塩としては、珪酸および/またはそのオリゴマーの塩を用い、2種以上を混合して用いても良い。ナトリウム塩およびカリウム塩は、工業的に入手容易である点から好ましく、溶解工程を省略できるので珪酸ナトリウム水溶液(JIS K1408“水ガラス”)がさらに好ましい。
(工程b)、すなわち熟成工程においては、1段階目の被覆工程を経て得られた光触媒に対する2段階目の酸化珪素膜の被覆が進むこととなる。2段階目の熟成工程においては、最終的なpHが5より高いことが必要である。pHが5以下であると、1段階目の被覆工程を経て得られた光触媒に対して、酸化珪素膜が被覆されないこととなり、有機基材に対する保護効果が充分ではなくなる。pH5より高い領域では、珪酸、珪酸イオンおよび/またはこれらのオリゴマーから、珪酸化合物の縮合物が単独で析出可能であり、1段階目の被覆工程を経て得られた光触媒に対して、さらに酸化珪素膜を被覆可能である。水系媒体中にアルコール等の有機媒体が存在する場合には、水用のpH電極ではpHを正確に測定できないので、有機媒体を含む水溶液用のpH電極を用いて測定する。別途、有機媒体を同体積の水で置き換えてpHを測定することも可能である。
1段階目の被覆工程を経て得られた光触媒と珪酸塩の両方を含む混合液を、pHを5より高くする為には、基体、珪酸塩、水系溶媒の混合および熟成を行う際、水系媒体のpHを常時測定し、適宜、塩基を加えて調整する方法でも構わない。この際に用いる塩基は、どのような塩基でも使用可能である。なかでも、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物が好適に用いられる。
【0029】
熟成工程における反応温度および反応時間等の反応条件は、目的とする酸化珪素膜の生成に悪影響を与えない条件であれば特に限定されない。反応温度は10℃以上200℃以下であることが好ましく、20℃以上80℃以下であることがより好ましい。10℃未満であると、珪酸化合物の縮合が進行し難くなることにより、酸化珪素膜の生成が著しく遅延し、生産性の悪化を招くことがある。200℃より高温であると、珪酸化合物の縮合物、すなわち、酸化珪素微粒子および/またはゲル等が生じやすいため、酸化珪素膜が多孔質となったり、基体表面上で局所的に酸化珪素が形成されてしまうことがある。
熟成時間は、10分以上、500時間以下であることが好ましく、1時間以上、100時間以下であることがより好ましい。10分未満であると、酸化珪素膜による被覆が充分に進行せず、被膜による光分解活性の向上効果が充分に得られない場合がある。500時間より長時間であると、光触媒活性を有する基体は、酸化珪素膜により充分に被覆され、光分解活性も向上するが、生産性が悪化することがある。
【0030】
また、混合液中に含まれる光触媒活性を有する基体の濃度は1重量%以上50重量%以下であることが好ましく、5重量%以上30重量%以下であることがより好ましい。1重量%未満であると、生産性が悪くなり、50重量%より高濃度であると基体に対する酸化珪素膜の被覆が均一に進行せず、光分解活性の向上効果が充分に得られないことがある。混合液中に含まれる珪素の濃度は0.05重量%以上5重量%以下であることが好ましく、0.1重量%以上3重量%以下であることがより好ましい。珪素濃度が0.05重量%未満であると、珪酸化合物の縮合が遅延し、基体に対する酸化珪素膜の被覆が充分でなくなることがある。珪素濃度が5重量%より高濃度であると、基体に対する酸化珪素膜の被覆が均一に進行しないことがある。
(工程c)、すなわち分離工程における具体的手法は特に限定されないが、例えば、自然濾過法、減圧濾過法、加圧濾過法、遠心分離法などの公知の方法が好適に利用できる。
(工程d)、すなわち洗浄工程における具体的手法は特に限定されないが、例えば、純水への再分散化とろ過の繰り返し、イオン交換処理による脱塩洗浄、などが好適に利用できる。(工程c)、及び、(工程d)は数回繰り返し実施することも可能である。また、酸化珪素膜を被覆した光触媒の用途によっては、(工程d)を省略することも可能である。
(工程e)、すなわち焼成工程における具体的な手法は特に限定されないが、例えば、減圧焼成、空気焼成、窒素焼成等が好適に利用できる。通常、焼成は200℃以上1200℃以下の温度で実施できるが、400℃以上1000℃以下が好ましく、400℃以上800℃以下がより好ましい。焼成温度が200℃未満であると、基体表面上に所望する酸化珪素の焼成膜が生成せず、充分な光分解活性が得られない。焼成温度が1200℃より高温であると、酸化珪素膜を被覆した光触媒の焼結が進行し、充分な光分解活性が得られない。焼成後の光触媒に含有される水分含有量は、7重量%以下であることが好ましい。5重量%以下がさらに好ましく、4重量%以下が最も好ましい。水分含有量が7重量%以上であると、多量の水が酸化珪素周辺に存在することにより、ガスに対する吸着性能が充分に発揮されず、同時に充分な光分解活性も得られない。また、(工程e)の前に乾燥工程を実施しても良い。乾燥工程における具体的手法は特に限定されないが、例えば、風乾、減圧乾燥、加熱乾燥、噴霧乾燥、などが好適に利用できる。
【0031】
本発明の製造方法において、光触媒活性を有する基体および珪酸塩の使用量の比率は、前記基体の表面積1m当りの珪素原子として、0.01mg/m以上、0.50mg/m以下であることが好ましい。この範囲の比率で製造すれば、前記基体の表面に酸化珪素膜を形成する工程、すなわち、前記基体を含む水系媒体と珪酸塩、珪酸塩を含む水系媒体と前記基体、および前記基体を含む水系媒体と珪酸塩を含む水系媒体、の少なくともいずれか一組を混合し熟成する工程において、基体の表面に所望の酸化珪素膜を形成できると共に、基体の表面で縮合せずに未反応で残った、珪酸、珪酸イオン、および/またはこれらのオリゴマーの量を少なく抑えられるので、細孔を有する酸化珪素膜が形成されることが少ない。0.50mg/m以上、5.0mg/m以下の範囲では、比率が大きくなるほど、未反応物の量が増え、細孔を有する酸化珪素膜が形成されることがあるが、未反応物の縮合が進行して細孔が生じることに対して、処理時間を短くすることで回避することが可能である。
本発明により製造される有機基材保護型光触媒は、保有する有機基材保護能力から、次のような用途に用いることが可能である。但し、記載した用途は、適用可能な例であって、本発明を限定するものではない。
【0032】
抗菌性を目的とするものとしては、自動車のシート地、シートカバー、カーペット、ハンドル、ハンドルカバー、シフトノブ、ダッシュボード、ルームランプ、電車のつり革、網棚、内張り、メーターパネル、ドアノブ、内壁、床、天井、室内のフローリング等床材、畳、ブラインド、ロールスクリーン、家具、化粧板、すだれ、浴室用部材、手すり、テーブルクロス、壁紙、壁材、ロックウール等の天井材、ふすま、障子、冷蔵庫、調理器、手乾燥器、パソコン、マウス、キーボード等の電化製品、めがね部材、人工観葉植物、医療用器具、照明器具の蛍光灯カバー、シーリング材、建築用ゴム等の左官材料、カーテン、クロス、衣類、寝具、敷物、椅子張り、のれん、糸、布、ロープ、網等の繊維製品、上着、ズボン、シャツ、靴下等の衣類、シーツ、ふとん、毛布等の寝具類、カーテン、シートカバー、ハンカチ、タオル、書道用紙、障子紙、新聞用紙、非塗工印刷用紙(上級印刷紙、中級印刷紙、下級印刷紙、薄葉印刷紙)、塗工印刷用紙(アート紙、コート紙、軽量コート紙など)、特殊印刷用紙(色上質紙、その他特殊印刷用紙)、情報用紙(コピー用紙、ノーカーボンペーパーなど)、包装用紙(未晒し包装紙、晒し包装紙)、衛生用紙(ティシュペーパー、ちり紙など)、雑種紙(工業用雑種紙、家庭用雑種紙)、不織布等へ適用することができる。また、防汚を目的として自動車、電車のランプカバー、自動二輪メーター、ヘルメットシールド、外装用サイジング材として適用することができる。上記の用途には、有機材に直接光触媒を含有させても良いし、あるいは、フェノール樹脂、ビニル樹脂、エポキシ樹脂等の接着剤や、ペンキ、インク、コート剤、壁紙表面仕上げ剤、天井用建材仕上げ剤、等の塗料に光触媒を混合させた後、各機材に光触媒層を被覆させて用いても良い。
また、本発明に係る光触媒は必要に応じ、分散液、および塗料組成物の形態で、利用することも可能である。更に、高活性化、可視光応答性付与、抗菌性金属化合物との複合化、表面変性による分散性付与、あるいは光触媒として不活性な化合物との複合化による光触媒含有材料の劣化抑制など、公知の光触媒改良法の原料として用いることも可能である。
【0033】
本発明に係る光触媒を含む光触媒分散液は、本発明に係る光触媒、液状媒体、および分散安定剤を含有する。この分散液を使用する方法は特に限定しないが、光触媒機能を付与させたい対象である基材に混ぜ込んだ後に成形し用いても良いし、基材の表面に塗布、及び任意の乾燥及び/または焼成処理を施した後に用いても良い。あるいは基材に対して、スプレー状に噴霧した後に用いることも可能である。対象とする基材としては、陶磁器、ガラス、フィルム、壁紙、建材、カーテン、衣料、天井材及び食器等に用いることができるが、本発明に係る光触媒は有機基材を保護可能であることから、主として有機重合体からなる、壁紙、カーテン、衣料、不織布、クロス、フィルム、有機系塗料、有機系内装材、有機系建材その他繊維製品、等に用いることが望ましい。また、光触媒含有材料及び光触媒塗料組成物等の原料として用いることも可能である。
【0034】
液状媒体としては、例えば、水、メチルアルコール及びエチルアルコール等のアルコール類、ベンゼン、トルエン及びキシレン等の芳香族類、酢酸エチル等のエステル類、アセトン等のケトン類が挙げられ、用途に合わせ好適に使用できるが、環境調和の観点から、水を用いることがより望ましい。
【0035】
分散安定剤としては、イオン性界面活性剤、湿潤剤、増粘剤、酸、及び塩基等を好適に使用可能である。これらの分散安定剤のうち、1種を含んでいてもよいし、2種以上を含んでいても良い。界面活性剤としては、分散性の観点から、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩、アルキルアミン塩及び4級アンモニウム塩等のイオン性界面活性剤であることがより望ましい。
【0036】
分散液中に含まれる光触媒の濃度は特に限定しないが、2重量%以上50重量%以下であることが望ましく、5重量%以上30重量%以下であることがより望ましい。2重量%以下であると、分散液中に含まれる光触媒の濃度が低下し、経済性が悪化することがある。50重量%以上であると、分散液中に含まれる光触媒の分散性が悪化することがある。
【0037】
光触媒分散液中に含まれる分散安定剤の濃度は特に限定しないが、分散安定剤の総量が、光触媒に対して1重量%以上1000重量%以下であることが望ましく、2重量%以上200重量%以下であることがより望ましい。1重量%未満であると、分散安定剤による光触媒の分散が充分に進行しないことがある。1000重量%を超えると、分散液を実際に使用する際に、光触媒作用を示す有効成分が低下することがある。
【0038】
本発明に係る光触媒の分散に際しては、使用する機器を特に限定はしないが、ボールミル粉砕機、ビーズミル粉砕機、超音波粉砕機、高圧湿式微粒化装置等の湿式分散機器が好適に使用可能である。分散に際してはこれらの湿式分散機器を単独で用いても良いし、複数の機器を連続して使用しても良い。また、湿式粉砕機器にて分散を施す前に、乾式粉砕機器等の粉砕機器により粗粉砕を行っても良い。
【0039】
本発明に係る光触媒を含む光触媒塗料組成物は、本発明に係る光触媒、液状媒体、および結着剤を含む。この光触媒塗料組成物を使用する方法は特に限定しないが、光触媒機能を付与させたい対象である基材の表面に塗布、及び任意の乾燥及び/または焼成処理を施した後に用いても良い。この際、対象となる基材に対し直接塗布してもよいし、また、接着性の改善や、基材の保護のために一層以上の中間層を塗膜した上に、塗布しても構わない。あるいは、基材に対して、スプレー状に噴霧した後に用いることも可能である。
対象とする基材としては、陶磁器、ガラス、フィルム、壁紙、建材、カーテン、衣料、天井材及び食器等に用いることができるが、本発明に係る光触媒は有機基材を保護可能であることから、主として有機重合体からなる、壁紙、カーテン、衣料、不織布、クロス、フィルム、有機系塗料、有機系内装材、有機系建材その他繊維製品、等に用いることが望ましい。
【0040】
液状媒体としては、例えば、水、メチルアルコール及びエチルアルコール等のアルコール類、ベンゼン、トルエン及びキシレン等の芳香族類、酢酸エチル等のエステル類、アセトン等のケトン類が挙げられ、用途に合わせ1種のみあるいは2種以上を混合して好適に使用できる。しかしながら、環境調和の観点から、液状媒体として水を用いることが好ましい。
【0041】
結着剤としては、例えばコロイダルシリカ、シリコーン樹脂、アルコキシシランおよびその部分加水分解物、炭化水素基で一部置換されたアルコキシシランであるオルガノアルコキシシラン、といった珪素化合物、オルトチタン酸、過酸化チタン、チタンアルコキシド、チタンのアセチルアセトネート、酸化チタンのゾル等のチタン化合物、アクリル、ウレタン、フッ素樹脂等の有機重合物、などを1種単独で使用してもよく、また、2種以上を混用しても良い。また、一分子内に2種以上の部分構造を持つブロックポリマー体や傾斜ポリマー等を用いることもできる。このうちチタン化合物、珪素化合物、並びにフッ素樹脂は、難分解性なので好ましい。特に、チタン化合物および珪素化合物は、塗布後の加熱処理に対する制約が広いので好ましい。特に環境調和の観点から完全に無機物のみである、コロイダルシリカ、オルトチタン酸、過酸化チタン、酸化チタンゾルがより好ましい。
【0042】
本発明に係る光触媒塗料組成物は、特に製造方法に制限は無く、分散や粉砕効果を有する湿式の処理方法であればどのような方法でも構わない。また、構成成分を一度に混合した後に、分散、粉砕処理に供しても、段階的に処理を行っても良く、前記の光触媒分散液に結着剤を混合する方法も利用できる。
【実施例】
【0043】
以下、本発明を実施例、比較例によって更に詳述するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
はじめに、実施例で用いた評価方法について説明する。
(i)珪素含有量
珪素含有量は、蛍光X線分析法(LAB CENTER XRE−1700,島津製作所)を用いて定量した。
(ii)比表面積
比表面積はBET法比表面積測定装置により測定した。
(iii)カルシウム含有量
カルシウム含有量は、蛍光X線分析法(LAB CENTER XRE−1700,島津製作所)を用いて定量した。
(iv)リン含有量
リン含有量は、蛍光X線分析法(LAB CENTER XRE−1700,島津製作所)を用いて定量した。
【0044】
[実施例1]
<1段階目の被覆>
ガラスフラスコに水;200.0gと1規定塩酸水溶液;66.9gを加え、二酸化チタン(ST−01、石原産業株式会社、吸着水分量9重量%、BET法比表面積測定装置による比表面積300m/g);24.5gを分散させて、A液とした。ビーカー内に水;100.0gと水ガラス1号(SiO含有量35〜38重量%、JIS−K1408);10.7gを加え、攪拌しB液とした。A液を35℃に保持し、攪拌しているところに、B液を2ml/分で滴下し、混合液Cを得た。この時点における混合液CのpHは2.3であった。混合液Cを35℃に保持したまま3日間攪拌を継続した。この後、混合液Cを減圧ろ過し、得られた濾物を、500mLの水への再分散化、および減圧ろ過を4回繰り返して洗浄した後、室温で2日間放置した。得られた固形物を乳鉢で粉砕した後、600℃、3時間焼成処理を施し、光触媒1を得た。
この光触媒1の珪素含有量は4.5重量%であった。また、この光触媒1の比表面積は189.9m/gであった。よって、光触媒1の表面積1m当りの珪素担持量は0.24mgであった。
<2段階目の被覆>
ガラスフラスコに水;90.0gと1規定塩酸水溶液;16.9gを加え、光触媒1;20.0gを分散させて、D液とした。ビーカー内に水;35.0gと水ガラス1号(SiO含有量35〜38重量%、JIS−K1408);4.1gを加え、攪拌しE液とした。D液を35℃に保持し、攪拌しているところに、E液を2ml/分で滴下し、混合液Fを得た。この時点における混合液FのpHは3.8であった。混合液Fを35℃に保持したまま3日間攪拌を継続した。攪拌終了後、4規定水酸化ナトリウム水溶液を加え、pHを7.0とした。その後、混合液Fを減圧ろ過し、得られた濾物を、500mLの水への再分散化、および減圧ろ過を4回繰り返して洗浄した後、室温で2日間放置した。得られた固形物を乳鉢で粉砕した後、600℃、3時間焼成処理を施し、光触媒2を得た。
この光触媒2の珪素含有量は6.5重量%であった。また、この光触媒1の比表面積は164.6m/gであった。よって、光触媒1の表面積1m当りの珪素担持量は0.39mgであった。
【0045】
[実施例2]
<1段階目の被覆>
実施例1記載と同様の方法にて、光触媒1を得た。
<2段階目の被覆>
ガラスフラスコに水;190.0gと1規定塩酸水溶液;33.7gを加え、光触媒1;20.0gを分散させて、G液とした。ビーカー内に水;80.0gと水ガラス1号;8.2gを加え、攪拌しH液とした。G液を35℃に保持し、攪拌しているところに、H液を2ml/分で滴下し、混合液Iを得た。この時点における混合液IのpHは3.7であった。混合液Iを35℃に保持したまま3日間攪拌を継続した。攪拌終了後、4規定水酸化ナトリウム水溶液を加え、pHを7.0とした。その後、混合液Iを減圧ろ過し、得られた濾物を、500mLの水への再分散化、および減圧ろ過を4回繰り返して洗浄した後、室温で2日間放置した。得られた固形物を乳鉢で粉砕した後、600℃、3時間焼成処理を施し、光触媒3を得た。
この光触媒3の珪素含有量は9.2重量%であった。また、この光触媒3の比表面積は174.5m/gであった。よって、光触媒3の表面積1m当りの珪素担持量は0.53mgであった。
【0046】
[実施例3]
<1段階目の被覆>
実施例1記載と同様の方法にて、光触媒1を得た。
<2段階目の被覆>
ガラスフラスコに水;350.0gと1規定塩酸水溶液;143.0gを加え、光触媒1;20.0gを分散させて、J液とした。ビーカー内に水;168.0gと水ガラス1号(SiO含有量35〜38重量%、JIS−K1408);17.3gを加え、攪拌しK液とした。J液を35℃に保持し、攪拌しているところに、K液を2ml/分で滴下し、混合液Lを得た。この時点における混合液LのpHは4.0であった。混合液Lを35℃に保持したまま3日間攪拌を継続した。攪拌終了後、4規定水酸化ナトリウム水溶液を加え、pHを7.0とした。その後、混合液Lを減圧ろ過し、得られた濾物を、500mLの水への再分散化、および減圧ろ過を4回繰り返して洗浄した後、室温で2日間放置した。得られた固形物を乳鉢で粉砕した後、600℃、3時間焼成処理を施し、光触媒4を得た。
この光触媒4の珪素含有量は14.0重量%であった。また、この光触媒4の比表面積は245.6m/gであった。よって、光触媒4の表面積1m当りの珪素担持量は0.57mgであった。
【0047】
[比較例1]
二酸化チタン(ST−01、石原産業株式会社、吸着水分量9重量%、比表面積300m/g)を、空気中、200℃で乾燥して光触媒5とした。
この光触媒5の珪素含有量は0.0重量%であった。また、この光触媒5の比表面積は214.3m/gであった。よって、光触媒5の表面積1m当りの珪素担持量は0.0mgであった。
[比較例2]
擬似体液として、NaCl、NaHCO、KCl、KHPO・3HO、MgCl・6HO、CaClと、NaSO、HCl、HNC(CHOH)と、蒸留水とを用いて、Na:147mM、K:5mM、Ca2+:2.5mM、Mg2+:1.5mM、Cl:147mM、HCO:4.2mM、HPO2−:1.0mM、SO2−:0.5mMの組成の水溶液を調整し、その中に光触媒5を添加し、50℃で14日間放置した。放置後、濾別し、100℃で3時間、焼成処理を施すことにより、光触媒6を得た。
この光触媒6のリン含有量は1.9重量%、カルシウム含有量は4.3重量%、珪素含有量は0.0重量%であった。また、この光触媒6の比表面積をBET法比表面積測定装置により測定したところ、188.2m/gであった。よって、光触媒6の表面積1m当りの珪素担持量は0.0g/mであった。
【0048】
(光分解活性評価用光触媒試料版の作成)
100mLポリエチレン製広口瓶中に、光触媒2を5.0g、直径1mmのガラスビーズ50.0g、エタノール44.0g、1規定塩酸0.5g、並びに、界面活性剤(Triton X−100、ユニオン・カーバイド社登録商標)0.5gを加え、密封した。これを、内容積300mLのステンレス製ボールミルポットに入れ、広口瓶がボールミルポットの中央になるように、隙間に布を詰めた。そして、ボールミルポットを密封した後、ボールミル回転台に載せて、毎分60回転の速度で18時間分散化処理を施した。処理後、広口瓶を取り出し、ナイロン製メッシュシートでガラスビーズをろ別して、光触媒2のエタノール分散液Aを得た。次に、予め重量を測定したスライドガラス(2.6cm×7.6cm,厚さ1mm)の光触媒2のエタノール分散液Aに対する浸漬および引き上げを行なった。90秒毎に、毎秒0.4cmの速度で10回、スライドガラスの3分の2が浸るようにした。
【0049】
その後、このスライドガラスを室温で乾燥した。次に、スライドガラスの2.6cm×7.6cmの一方の面(スライドガラスの一方の表面)を除き、他の面に付着した光触媒2を、ガラス板で擦って全て除去した。
【0050】
さらに、電気炉で空気雰囲気下、400℃、3時間焼成処理をスライドガラスに対して行なうことによって、光触媒試料板2を作製した。
【0051】
光触媒固定化の前後の重量測定、並びに光触媒2を固定化した部分の長さ寸法の計測をしたところ、光触媒2の塗布重量は6.6mg、塗布面積は13.3cm、面積当りの塗布重量は、5.0g/mであった。
【0052】
光触媒2のかわりに光触媒3を用い、浸漬および引き上げを9回とした以外は上記と同様にして、光触媒試料板3を作製した。光触媒固定化の前後の重量測定、並びに光触媒3を固定化した部分の長さ寸法の計測をしたところ、光触媒3の塗布重量は6.8mg、塗布面積は13.7cm、面積当りの塗布重量は、5.0g/mであった。
【0053】
光触媒2のかわりに光触媒4を用い、浸漬および引き上げを23回とした以外は上記と同様にして、光触媒試料板4を作製した。光触媒固定化の前後の重量測定、並びに光触媒4を固定化した部分の長さ寸法の計測をしたところ、光触媒4の塗布重量は6.3mg、塗布面積は12.9cm、面積当りの塗布重量は、4.9g/mであった。
【0054】
光触媒2のかわりに光触媒5を用い、浸漬および引き上げを1回とした以外は上記と同様にして、光触媒試料板5を作製した。光触媒固定化の前後の重量測定、並びに光触媒5を固定化した部分の長さ寸法の計測をしたところ、光触媒5の塗布重量は5.9mg、塗布面積は11.8cm、面積当りの塗布重量は、5.0g/mであった。
【0055】
光触媒2のかわりに光触媒6を用い、浸漬および引き上げを4回とした以外は上記と同様にして、光触媒試料板6を作製した。光触媒固定化の前後の重量測定、並びに光触媒6を固定化した部分の長さ寸法の計測をしたところ、光触媒6の塗布重量は5.8mg、塗布面積は11.8cm、面積当りの塗布重量は、4.9g/mであった。
【0056】
光触媒2のかわりに光触媒1を用い、浸漬および引き上げを7回とした以外は上記と同様にして、光触媒試料板1を作製した。光触媒固定化の前後の重量測定、並びに光触媒1を固定化した部分の長さ寸法の計測をしたところ、光触媒1の塗布重量は6.1mg、塗布面積は11.7cm、面積当りの塗布重量は、5.2g/mであった。
【0057】
(アセトアルデヒド光分解試験)
上記(光触媒試料板の調製)で作製した光触媒試料板1、2、3、4、5、および6に、空気雰囲気下、5.4mW/cmの紫外線を3時間照射した。光源には27Wのブラックライトブルー灯(三共電気、FPL27BLB)を用い、紫外線強度測定には、UVA−365(カスタム社製)を用いた。
【0058】
そして、シリコンパッキン付きコネクターおよびミニコックが一箇所ずつ付属した、容積1リットルのテドラー(デュポン社登録商標)バッグを6つ用意し、このテドラー(デュポン社登録商標)バッグの一辺を切り、先に紫外線照射処理を施した光触媒試料板1、2、3、4、5、および6をそれぞれ入れ、5mm角の両面テープでバッグの中央に貼付けた。そして、ヒートシーラーで密封した。続いて、真空ポンプを用いてミニコックから内部の空気を抜き出してからコックを閉じ、暗所に一晩放置した。
【0059】
次に、酸素20%、窒素80%の混合ガスを15℃のイオン交換水に潜らせた湿潤混合ガスと、1%アセトアルデヒド/窒素混合ガスとを、混合して、アセトアルデヒド濃度101ppmのガスを調製した。このガスを600mL採取して、光触媒試料板入りのバッグに注入した後、バッグを暗所に20時間放置した。その後、バッグ内部のガスのアセトアルデヒド濃度および二酸化炭素濃度を測定した。濃度測定には、メタナイザー付きのガスクロマトグラフ(島津製作所、GC−14)を使用した。分析後、バッグに収納された光触媒試料板に対し、フルホワイト蛍光灯(松下電工製、10W、FL10N)を用いて光照射を行い、光照射2時間毎にバッグ内部のガスの分析を行った。この時、光触媒試料板の光触媒を固定化してある面は、蛍光灯から4cmの距離に置いた。バッグと同じフィルム1枚をフィルターとして同一の場所で測定した紫外線強度は、11μW/cmであった。
【0060】
図1に、バッグ内部のガス中のアセトアルデヒド濃度の経時変化を示す。光触媒試料板2、3、及び4を用いた場合のアセトアルデヒド濃度減少速度は、光触媒試料板1を用いた場合と同等であり、光触媒試料板5、及び6を用いた場合に比較すると、速いことがわかる。
【0061】
また、図2にバッグ内部のガス中の二酸化炭素濃度の経時変化を示す。光触媒試料板2、3、及び4を用いた場合の二酸化炭素生成速度は、光触媒試料板1を用いた場合には劣るものの、光触媒試料板5、及び6を用いた場合に比較すると、速いことがわかる。
すなわち、光触媒2、3、及び4は光触媒5、及び6に比較して、高い光分解能力を保持している。
【0062】
(有機基材劣化評価用試料版の作成)
100mlポリエチレン製広口瓶中に、光触媒2を5g、直径1mmのガラス製ボール50g、エタノール45g、を順に加え、密閉した。これを、内容積300mLのステンレス製ボールミルポットに入れ、広口瓶がボールミルポットの中央になるように、隙間に布を詰めた。そして、ボールミルポットを密封した後、ボールミル回転台に載せて、毎分60回転の速度で18時間分散化処理を施した。処理後、広口瓶を取り出し、ナイロン製メッシュシートでガラスビーズをろ別して、光触媒2のエタノール分散液を得た。
100mlガラス製ビーカー中に、ポリアクリル酸25000(平均分子量:25000)5g、エタノール45gを加えた後、30分間スターラー攪拌し、ポリアクリル酸溶液を得た。
【0063】
上記の光触媒2のエタノール分散液とポリアクリル酸溶液を等量混合した後、30分間スターラー攪拌し、光触媒−ポリアクリル酸塗布液を得た。
次に、予め重量を測定したスライドガラス(2.6cm×7.6cm,厚さ1mm)の光触媒−ポリアクリル酸塗布液に対する浸漬および引き上げを行なった。90秒毎に、毎秒0.4cmの速度で4回、スライドガラスの3分の2が浸るようにした。
【0064】
その後、このスライドガラスを室温で風乾し、次に、スライドガラスの2.6cm×7.6cmの一方の面(スライドガラスの一方の表面)を除き、他の面に付着した光触媒及びポリアクリル酸を、ガラス板で擦って全て除去し、光触媒含有樹脂板2を得た。光触媒固定化の前後の重量測定を行ったところ、光触媒2、及びポリアクリル酸の合計塗布重量は7.5mgであった。
【0065】
光触媒2のかわりに光触媒3を用い、浸漬および引き上げを4回とした以外は上記と同様にして、光触媒含有樹脂板3を作製した。光触媒固定化の前後の重量測定を行ったところ、光触媒3、及びポリアクリル酸の合計塗布重量は7.2mgであった。
【0066】
光触媒2のかわりに光触媒4を用い、浸漬および引き上げを12回とした以外は上記と同様にして、光触媒含有樹脂板4を作製した。光触媒固定化の前後の重量測定を行ったところ、光触媒4、及びポリアクリル酸の合計塗布重量は9.9mgであった。
【0067】
光触媒2のかわりに光触媒5を用い、浸漬および引き上げを3回とした以外は上記と同様にして、光触媒含有樹脂板5を作製した。光触媒固定化の前後の重量測定を行ったところ、光触媒5、及びポリアクリル酸の合計塗布重量は8.4mgであった。
【0068】
光触媒2のかわりに光触媒6を用い、浸漬および引き上げを7回とした以外は上記と同様にして、光触媒含有樹脂板6を作製した。光触媒固定化の前後の重量測定を行ったところ、光触媒6、及びポリアクリル酸の合計塗布重量は7.8mgであった。
【0069】
光触媒2のかわりに光触媒1を用い、浸漬および引き上げを6回とした以外は上記と同様にして、光触媒含有樹脂板1を作製した。光触媒固定化の前後の重量測定を行ったところ、光触媒1、及びポリアクリル酸の合計塗布重量は8.6mgであった。
【0070】
(有機基材劣化抑制能評価試験)
上記(有機基材劣化評価用試料版の作成)で作製した光触媒含有樹脂板1、2、3、4、5、および6に、空気雰囲気下、4.0mW/cmの紫外線を所定時間照射した。光源には27Wのブラックライトブルー灯(三共電気、FPL27BLB)を用い、紫外線強度測定には、UVA−365(カスタム社製)を用いた。
【0071】
各、光触媒含有樹脂板に対し、紫外線照射前後の塗布重量変化を秤量した。
【0072】
図3に、塗布重量残存率の経時変化を示す。光触媒含有樹脂板2、3、及び4を用いた場合の塗布重量減少速度は、光触媒含有樹脂板6を用いた場合よりも速いが、光触媒含有樹脂板1、及び5を用いた場合に比較すると遅い。すなわち、光触媒2、3、及び4は光触媒1、及び5に比較して、高い有機基材劣化抑制能を保持している。
【0073】
図4に、アセトアルデヒド分解反応における4時間経過時の二酸化炭素生成量、に対するポリアクリル酸分解反応における12時間経過後の塗布重量残存率、を示す。光触媒2、3、及び4は従来の光触媒に比較して、光分解能力と有機基材劣化抑制能のバランスに優れた光触媒であることを示している。
表1に実施例、及び比較例にて説明した数値を示す。
【0074】
【表1】


【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明における基材保護型光触媒を供することにより、光分解能力と基材劣化抑制能を両立した光触媒含有材料が提供可能となり、主として、有機重合物を基材とした内装材分野において応用が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】光触媒1〜6を用いて調製した光触媒試料板1〜6の、アセトアルデヒド光分解活性におけるアセトアルデヒドの濃度変化を示す図である。
【図2】光触媒1〜6を用いて調製した光触媒試料板1〜6の、アセトアルデヒド光分解活性における二酸化炭素の生成量を示す図である。
【図3】光触媒1〜6を用いて調製した光触媒含有樹脂板1〜6の、ポリアクリル酸分解反応における塗布重量残存率を示す図である。
【図4】アセトアルデヒド分解反応における、光触媒試料板1〜6の4時間経過時の二酸化炭素生成量、に対するポリアクリル酸分解反応における、光触媒含有樹脂板1〜6の12時間経過後の塗布重量残存率、を示した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光触媒活性を有する基体と、該基体を被覆する、酸化珪素膜を含むことを特徴とする光触媒を製造するにあたり、2段階からなる酸化珪素膜被覆工程を含むことを特徴とする、基材保護型光触媒の製造方法
【請求項2】
前記2段階からなる酸化珪素膜被覆工程の各々に、焼成工程を含むことを特徴とする、請求項1記載の基材保護型光触媒の製造方法
【請求項3】
前記焼成工程における温度が200℃以上1200℃以下であることを特徴とする、請求項2に記載の基材保護型光触媒の製造方法
【請求項4】
前記2段階からなる酸化珪素膜被覆工程の各々に、酸化珪素の熟成工程を含むことを特徴とする、請求項1乃至3いずれかに記載の基材保護型光触媒の製造方法
【請求項5】
1段階目の酸化珪素膜被覆工程に含まれる熟成工程におけるpHが常時5以下を維持しており、かつ、2段階目の酸化珪素膜被覆工程に含まれる熟成工程における最終的なpHが5より高いことを特徴とする、請求項4に記載の基材保護型光触媒の製造方法
【請求項6】
前記光触媒の表面積1m当りの珪素担持量が、0.10mg以上、2.0mg以下である請求項1乃至5いずれかに記載の基材保護型光触媒の製造方法
【請求項7】
前記光触媒活性を有する基体が、アナターゼ型、ルチル型、あるいはこれらの混合物を含む酸化チタンである請求項1乃至6いずれかに記載の基材保護型光触媒の製造方法
【請求項8】
前記酸化珪素膜の原料として、珪酸塩を用いることを特徴とする請求項1乃至7いずれかに記載の基材保護型光触媒の製造方法

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2008−253930(P2008−253930A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−100005(P2007−100005)
【出願日】平成19年4月6日(2007.4.6)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】