説明

有機廃棄物を処理するための方法及び装置

ビール粕、低濃度廃水及び高濃度廃水を受け取ることを含む醸造廃棄物の処理方法を提供する。このビール粕、低濃度廃水及び高濃度廃水を栓流嫌気性消化装置で処理して第1排出物を生成させる。この第1排出物の一部分を上向流嫌気性スラッジブランケット消化装置で処理して第2排出物を生成させる。この第2排出物の一部分を固定膜嫌気性消化装置で処理して第3排出物を生成させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、有機廃棄物を処理するための方法及び装置に関するものである。より具体的には、本発明は、醸造廃棄物を処理するための方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
背景
嫌気性消化は、産業や地上自治体による有機副産物又は有機基質をクリーンで再生可能なエネルギーに変換するために使用される方法であり、酸素の非存在下で微生物を使用して生分解性物質を分解させるものである。これは、一般的には、廃水及び有機廃棄物を処理するために使用されている。嫌気性消化は、ガス (例えば、メタン)及び栄養分に富んだ固形物(これらは、回収及び使用が可能である)を生成する。つまり、嫌気性消化の副産物は、例えば化石燃料の代わりに使用できる再生可能なエネルギー源である。さらに、消化過程の副産物である栄養分に富んだ固形物は、土壌改良のために使用できる (例えば、肥料)。
【0003】
醸造所で使用される商業用嫌気性消化装置では、ビール粕や高濃度廃水は消化されないのが普通である。醸造所で使用される消化装置は、約5000ppmの化学的酸素要求量 (「COD」)レベルの実質的に液体である廃棄物への適用に制限されている。ビール粕及び高濃度廃水は、通常、現場から離れたところで取り出され、そして豚及び牛用の飼料添加剤として使用されている。これは、再生可能エネルギー生産を、高濃度廃水及びビール粕も効率的に嫌気性消化された場合に達成されるであろう潜在的再生可能エネルギー生産の約5%に制限する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、有機廃棄物、特に醸造廃棄物を処理するための改良されたシステム及び方法に対する要望がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
従来、消化装置は醸造所で使用されてきたが、いずれもビール粕及び高濃度廃水(例えば、約5000ppmを有意に超えるCODレベルを有する廃水)を効率的には消化していなかった。一般に、ある物質(例えば水)中における有機化合物の量を間接的に測定するために、COD試験が使用されている。COD値は、化学的プロセスによって酸化されたときに、物質1リットル当たりに消費される酸素の量の測定値である(100万分の1(ppm)或いはミリグラム/リットル(mg/L)で表される)。
【0006】
本発明は、一態様では、醸造廃棄物の処理方法を特徴とする。この方法は、ビール粕、低濃度廃水及び高濃度廃水を受け取ることを含む。また、この方法は、該ビール粕、低濃度廃水及び高濃度廃水を栓流嫌気性消化装置で処理して第1排出物を生成させることを含む。また、この方法は、該第1排出物の一部分を上向流嫌気性スラッジブランケット消化装置で処理して第2排出物を生成することを含む。この方法は、該第2排出物の一部分を固定膜嫌気性消化装置で処理して第3排出物を生成させることを含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、この方法は、ビール粕、低濃度廃水及び高濃度廃水を栓流消化装置に供給する前に該ビール粕、低濃度廃水及び高濃度廃水を混合させることを含む。上記第1排出物は、気体、液体及び固体を含むことができる。いくつかの実施形態では、該第1排出物の液体は、上向流嫌気性スラッジブランケット消化装置で処理された第1排出物の一部分である。
【0008】
いくつかの実施形態では、上記第2排出物は気体、液体及び固体を含む。いくつかの実施形態では、該第2排出物の液体は、固定膜嫌気性消化装置で処理された第2排出物の一部分である。いくつかの実施形態では、上記第3排出物は気体、液体及び固体を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、この方法は、第3排出物の液体の一部分を栓流嫌気性消化装置に再循環させることを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、第3排出物の液体を処理して酸素要求量の低い液体を生成させることを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、第1排出物及び第2排出物の固体を処理して土壌改良材料(例えば肥料)を生成させることを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、第1、第2及び第3排出物の気体を集めることを含む。この集めた気体はメタンを含むことができる。いくつかの実施形態では、該メタンの一部をボイラー内で燃焼させて栓流嫌気性消化装置、上向流嫌気性スラッジブランケット消化装置及び固定膜嫌気性消化装置に熱を供給する。いくつかの実施形態では、該メタンの一部は、熱を発生する発電機装置又は熱電併給システムによって消費され、該発電機装置又は熱電併給システムによって生じた熱の少なくとも一部分を栓流嫌気性消化装置、上向流嫌気性スラッジブランケット消化装置又は固定膜嫌気性消化装置の少なくとも一つに供給する。
【0010】
本発明は、別の態様では、醸造廃棄物の処理方法を特徴とする。この方法は、ビール粕、低濃度廃水及び高濃度廃水を受け取ることを含む。また、この方法は、高濃度廃水を上向流嫌気性スラッジブランケット消化装置で処理して第1排出物を生成させることを含む。また、この方法は、該第1排出物の一部分を固定膜嫌気性消化装置で処理して第2排出物を生成させることを含む。また、この方法は、該ビール粕及び低濃度廃水を栓流嫌気性消化装置で処理して第3排出物を生成させることを含む。また、この方法は、該第3排出物の一部分を上向流嫌気性スラッジブランケット消化装置で処理して第4排出物を生成させることを含む。また、この方法は、該第4排出物の一部分を固定膜嫌気性消化装置で処理して第5排出物を生成させることを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、この方法は、該第1、第2、第3、第4又は第5排出物の少なくとも一つの液体を処理して酸素要求量の低い液体を生成させることを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、該第1、第2、第3、第4又は第5排出物の少なくとも一つの固体を処理して土壌改良材料を生成させることを含む。
【0012】
本発明は、別の態様では、醸造廃棄物を処理するための3段階嫌気性消化システムを特徴とする。このシステムは、ビール粕、低濃度廃水又は高濃度廃水の少なくとも一つを受け取るための少なくとも1個の入口を備える。また、このシステムは、ビール粕、低濃度廃水又は高濃度廃水の少なくとも一つを処理して第1排出物を生成させるための該少なくとも1個の入口に連結された栓流嫌気性消化装置を備える。また、このシステムは、該第1排出物を処理して第2排出物を生成させるための該栓流消化装置の出口に連結された上向流嫌気性スラッジブランケット消化装置を備える。また、このシステムは、該第2排出物を処理して固体、液体及び気体を含む第3排出物を生成させるための該上向流嫌気性スラッジブランケット消化装置の出口に連結された固定膜嫌気性消化装置を備える。
【0013】
いくつかの実施形態では、該栓流嫌気性消化装置、上向流嫌気性スラッジブランケット消化装置及び固定膜嫌気性消化装置は、単一の消化装置構造体に組み込まれている。
【0014】
本発明、別の態様では、醸造廃棄物の処理方法を特徴とする。この方法は、ビール粕、低濃度廃水及び高濃度廃水を受け取ることを含む。また、この方法は、該低濃度廃水及び高濃度廃水を上向流嫌気性スラッジブランケット消化装置で処理して第1排出物を生成させることを含む。また、この方法は、該第1排出物の一部分を固定膜嫌気性消化装置で処理して第2排出物を生成させることを含む。また、この方法は、該ビール粕を栓流嫌気性消化装置で処理して第3排出物を生成させることを含む。また、この方法は、該第3排出物の一部分を上向流嫌気性スラッジブランケット消化装置で処理して第4排出物を生成させることを含む。また、この方法は、該第4排出物の一部分を固定膜嫌気性消化装置で処理して第5排出物を生成させることを含む。
【0015】
本発明は、別の態様では、醸造廃棄物の処理方法を特徴とする。この方法は、ビール粕、低濃度廃水及び高濃度廃水を受け取ることを含む。また、この方法は、低濃度廃水を上向嫌気性スラッジブランケット消化装置で処理して第1排出物を生成させることを含む。また、この方法は、該第1排出物の一部分を固定膜嫌気性消化装置で処理して第2排出物を生成させることを含む。また、この方法は、ビール粕及び高濃度廃水を栓流嫌気性消化装置で処理して第3排出物を生成させることを含む。また、この方法は、該第3排出物の一部分を上向流嫌気性スラッジブランケット消化装置で処理して第4排出物を生成させることを含む。また、この方法は、該第4排出物の一部分を固定膜嫌気性消化装置で処理して第5排出物を生成させることを含む。
【0016】
本発明は、別の態様では、有機廃棄物の処理方法を特徴とする。この方法は、有機廃棄固形物、低濃度廃水及び高濃度廃水を受け取ることを含む。また、この方法は、有機廃棄固形物、低濃度廃水及び高濃度廃水を栓流嫌気性消化装置で処理して第1排出物を生成させることを含む。また、この方法は、該第1排出物の一部分を上向流嫌気性スラッジブランケット消化装置で処理して第2排出物を生成することを含む。また、この方法は、該第2排出物の一部分を固定膜嫌気性消化装置で処理して第3排出物を生成させることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図面の簡単な説明
本発明の前述及び他の目的、特徴及び利点、並びに本発明自体は、添付した図面(必ずしもスケールに従っていない)と共に、次の例示的説明を読めば完全に理解できるであろう。
【図1】図1は、本発明の例示実施形態に従う有機廃棄物処理システムの略図である。
【図2】図2は、本発明の例示実施形態に従う醸造廃棄物を処理するためのシステム及び方法の略図である。
【図3】図3は、本発明の例示実施形態に従う醸造廃棄物処理システムの略図である。
【図4】図4は、本発明の例示実施形態に従う醸造廃棄物処理システムの略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
例示実施形態の詳細な説明
図1は、本発明の例示実施形態に従う、有機廃棄物を処理するための嫌気性消化装置システム116の略図である。高濃度(高COD)廃水104、低濃度(低COD)廃水108及び有機廃棄固形物112(例えば、ビール粕)をシステム116に供給する。高濃度廃水104、低濃度廃水108及び有機廃棄固形物112をシステム116で処理して気体120、液体124及び固体128を生成させる。気体120は、通常、メタンと、二酸化炭素と、数種の微量ガスとの混合物を含む。液体124は、有機化合物の濃度が低いので、その後公営処理場で処理するために排出される場合が多い。固体128は、土壌改良材料として使用できる。土壌改良材料とは、栄養分として土壌に加えることのできる材料(例えば肥料)や、その物理的性質(例えば、保水性、浸透性、水分浸透、水はけ、通気及び組成)を改良するための材料のことである。
【0019】
水(例えば、自然水路又は工業廃水廃水)中に存在する酸化性材料は、いずれも生化学的プロセス(例えば、細菌によるプロセス)又は化学的プロセスによって酸化される。自然水路の全ては、細菌と栄養分とを含有しており、このような水路に持ち込まれたほとんどの廃棄化合物により生化学反応が始まる。生化学反応は、生物化学的酸素要求量(BOD)として測定されるものを創り出す。自然水路に持ち込まれた酸化性化学物質により、同様に化学反応が始まる。化学反応は、化学的酸素要求量(COD)として測定されるものを創り出す。このBOD試験もCOD試験も、廃棄汚染物質についての相対的な酸素欠乏の影響を測定するものである。BOD試験は、生分解性汚染物質の酸素要求量を測定するものであり、COD試験は、生分解性汚染物質の酸素要求量+非生分解性酸化性汚染物質の酸素要求量を測定するものである。
【0020】
図2は、本発明の例示実施形態に従う、醸造廃棄物を処理するためのシステム216及び方法の略図である。醸造廃棄物は、高濃度廃水204、低濃度廃水208及び及びビール粕212(まとめて醸造廃棄物280)を含む。ビールの醸造カスは、ビール醸造過程の副産物であり、煮沸された大麦麦芽から本質的になり、典型的には約100000ppmを超えるCODを有する。ビール醸造カスは、概して20〜30%の固形分であり、残りは液体(例えば水)である。低濃度廃水208は、通常、瓶詰めラインにおいて、装置を洗浄するときの醸造ホースで生じ、典型的には約5000ppmのCODを有する。高濃度廃水は、概して、使用済み酵母及び沈殿物(すなわち、発酵過程の間に生成される、ビール発酵器の底部で集められるほぼ死滅した又は不活性な酵母である沈殿物)を含み、典型的には約50000ppm〜約100000ppmのCODを有する。高濃度廃水には、ビール底部液及びビール粕も含まれる。
【0021】
高濃度廃水204、低濃度廃水208及び及びビール粕212は、システム216に供給される。高濃度廃水204、低濃度廃水208及び及びビール粕212は、プレミックスタンク246内で混合される。プレミックスタンク246内での混合により、醸造廃棄物280が均質化され、醸造所のバッチプロセスが準連続プロセスに変わる。均質化された醸造廃棄物(基質)を、ポンプ232を使用してプレミックスタンク246から嫌気性消化装置242の入口234に汲み上げる。ポンプ速度は、このポンプ速度へのフィードバックとしてのプレミックスタンク内の基質量を用いて制御される。プレミックスタンク246の過剰充填を防止するため、プレミックスタンク246が一杯になったときにポンプ速度を増加することができる。同様に、プレミックスタンク246が空になったときにポンプ速度を減少させることができる。所定の水準でポンプ232を止める。ポンプ232の操作を制御するために使用されるフィードバックアルゴリズムの例は、PID(比例積分微分:proportional,integral,derivative)コントローラである。ポンプ232の操作を制御すると、醸造所のバッチプロセスよりも連続的な準連続プロセスとなる。
【0022】
この実施形態では、嫌気性消化装置242は3段階嫌気性消化装置である。この嫌気性消化装置242の容器222は、栓流消化装置284と、上向流嫌気性スラッジブランケット消化装置288と、固定膜嫌気性消化装置292とを収容している。この実施形態では、栓流消化装置284、上向流嫌気性スラッジブランケット消化装置288及び固定膜嫌気性消化装置292は、全て、単一の消化装置構造(すなわち、容器222)に組み込まれている。栓流嫌気性消化装置284の出口は、上向流嫌気性スラッジブランケット消化装置288の入口に、例えば、導管、チューブその他の構造を介して連結されている。上向流嫌気性スラッジブランケット消化装置288の出口は、固定膜嫌気性消化装置292の入口に、例えば導管、チューブその他の構造を介して連結されている。いくつかの実施形態では、独立した消化装置の1個以上が別個の容器内に収容されており、そして互いに連結されている。
【0023】
いくつかの実施形態では、栓流嫌気性消化装置284の排出物が嫌気性消化装置242の容器222から出口226を介して固体分離モジュール228に排出され、固体分離モジュール228の排出物の液体部分が上向流嫌気性スラッジブランケット消化装置288の入口に供給される。いくつかの実施形態では、上向流嫌気性スラッジブランケット消化装置288の排出物が嫌気性消化装置242の容器222から出口226を介して固体分離モジュール228に排出され、固体分離モジュール228の排出物の液体部分が上向流嫌気性スラッジブランケット消化装置288の入口に供給される。
【0024】
基質(高濃度廃水204と、低濃度廃水208と、ビール粕212との混合物)が栓流嫌気性消化装置284に供給される。栓流嫌気性消化装置において、有機物質は入口から導入され、該物質は重力により出口方向に流れる。基質、特に高濃度の不溶性固形物は、栓流嫌気性消化装置284を通ってゆっくりと流れ、当該装置内において、該基質は可溶性の酸に分解する。栓流嫌気性消化装置284は、固体と、液体と、気体との組合せを排出する。栓流嫌気性消化装置284排出物の気体部分は、後の使用及び処理のために、最初に嫌気性消化装置242の容器のヘッドスペースで貯蔵される。栓流嫌気性消化装置284の排出物の固体部分は、追加の処理又は廃棄のために、嫌気性消化装置242の容器22から出口226を介して排出される。栓流嫌気性消化装置284の排出物の液体部分(いくらかの懸濁物と共に)は、追加の処理のために、上向流嫌気性スラッジブランケット消化装置288に供給される。いくつかの実施形態では、栓流嫌気性消化装置284は、例えば、外部高固体ループ通路12を備える、米国特許第6982035号に記載された消化装置の一部である(米国特許第6982035号の全内容を引用により含めるものとする)。
【0025】
上向流嫌気性スラッジブランケット消化装置288は、栓流嫌気性消化装置284から受け取った液体を処理して固体と、液体と、気体との組合せを含む排出物を生成する。いくつかの実施形態では、上向流嫌気性スラッジブランケット消化装置288も、固体と、液体と、気体との組合せを含む排出物を生成するために処理される、固体分離モジュール228からの液体を受け取る。上向流嫌気性スラッジブランケット消化装置288は、消火装置288内で懸濁される粒状スラッジのブランケットとなる。栓流嫌気性消化装置284の排出物の液体部分は、このブランケットを介して上方向に流れ、そして上向流嫌気性スラッジブランケット消化装置288内に存在する嫌気性細菌により処理(分解)される。この分解プロセスにより、固体、液体及び気体が生成する。栓流嫌気性消化装置284の気体部分排出物は、まず最初に、後の使用及び処理のために、嫌気性消化装置242の容器のヘッドスペースに、このプロセスの他の工程で生成されたガスと共に貯蔵される。上向流嫌気性スラッジブランケット消化装置288の排出物の固体部分は、追加の処理又は廃棄のために、嫌気性消化装置242の容器222から出口226を介して排出される。いくつかの実施形態では、追加の処理(例えば、固体分離モジュール228による処理)により、上向流嫌気性スラッジブランケット消化装置288の入口に向かう液体部分が生じる。上向流嫌気性スラッジブランケット消化装置288の排出物の液体部分(いくらかの懸濁物と共に)は、追加の処理のために、固定膜嫌気性消化装置292に供給される。
【0026】
固定膜嫌気性消化装置292は、上向流嫌気性スラッジブランケット消化装置288から受け取った液体を処理して固体と、液体と、気体との組合せを含む排出物を生成する。固定膜嫌気性消化装置292は、メタン生成細菌がバイオフィルムを成長させる表面積を創り出すかなりの量の媒体を有する。この細菌が有機物質を代謝するときに、この細菌はバイオフィルムを生成する。バイオフィルムが成長すると、これが分離し、容器222の底部に沈殿する。固定膜媒体上で形成するバイオフィルムに加えて、容器内に生じる浮遊細菌が沈降し、スラッジブランケットとなり得る。さらに、固定膜から分離し、沈降したバイオフィルムにより、スラッジブランケットが増える。スラッジブランケットの形成により、該システムの上向流嫌気性スラッジブランケット(UASB)部材が形成される。スラッジブランケットの容量を制御することができることが重要である。というのは、これがあまりにも多く蓄積すると媒体が詰まるし、また追加のバイオフィルムが分離するのが妨げられるからである。一実施形態では、この媒体は、容器222の底部よりも上で懸濁され、そしてスラッジブランケットの容量は、容器222の外側にあるスラッジブランケットの一部分を出口226を介して固体分離モジュール228にポンプで汲み上げることにより制御される。いくつかの実施形態では、固定膜嫌気性消化装置292は、例えば、内部低固体チャンバー13を備える米国特許第6982035号に記載された消化装置の一部である(米国特許第6982035号の全内容を引用によりここに含めるものとする)。
【0027】
固定膜嫌気性消化装置292排出物の気体部分は、まず最初に、嫌気性消化装置242の容器のヘッドスペースに、このプロセスの他の工程で生じた気体と共に、後の使用及び処理のために貯蔵される。固定膜嫌気性消化装置292の排出物の固体部分は、追加の処理又は廃棄のために、嫌気性消化装置242の容器222から出口226を介して排出される。固定膜嫌気性消化装置292の排出物の液体部分の一部が栓流嫌気性消化装置284に再循環される。
【0028】
この液体部分を栓流嫌気性消化装置284に再循環させることで、栓流嫌気性消化装置284で使用する細菌が補充される。固定膜嫌気性消化装置292の排出物の液体部分の別の部分が容器222の出口238からポンプ290で液体処理後モジュール264に汲み出される。ポンプ速度は、フィードバックとしての嫌気性消化装置242内におけるスラリーの容量(ガス、有機肥料、及び添加されるスラリーの容量とバランスしなければならない消化装置から除去される液体排出物の容量)により制御される。液体処理後モジュール264は液体を処理し、地域排出要件を満たす液体124を生成する。
【0029】
いくつかの実施形態では液体124は、公営処理場244に供給される。いくつかの実施形態では、液体124は土壌利用される(例えば、灌漑用)。いくつかの実施形態では、液体処理後モジュール264は、液体の酸素要求量を減少させる曝気槽を備える。いくつかの実施形態では、液体処理後モジュール264は、残留浮遊固体が排出液からろ過できるように該固体を凝集又は集塊させる凝集化過程を備える。いくつかの実施形態では、液体処理後モジュール264に緩衝材料を添加して液体124のpHを許容できるレベルの範囲内とする。
【0030】
嫌気性消化装置242からの気体排出物は、バイオガススクラブモジュール250に出口210を介して供給される。これらの気体は、バイオガススクラビングプロセスによって処理される。この気体から湿気が除去される。H2Sが除去できる。CO2が除去できる。正確なスクラビングプロセスは、バイオガスの最終用途に依存する。このガスをボイラーの燃焼に用いようとする場合には、最低限のスクラビングしか必要とされない。天然ガス流通システム(例えば、公益事業会社)に供給しようとする場合には、さらに多くのスクラビングが必要となる。生成されるバイオガスは、消化装置242のヘッドスペースに蓄積し、その後消化装置242から排出される。いくつかの実施形態では、このガスは、まず、随意の外部補助貯蔵容器(図示しない)に排出される。いくつかの実施形態では、バイオガスの構成成分は、配送されたバイオガスのBtuをガスメーター248により計量できるようにガス分析器を使用して同定及び定量される。
【0031】
システム216の貯蔵容量又は回収能力を超えて生成されたバイオガスは、いずれもフレア装置252内で燃焼される。フレア装置252は、過剰のガス(例えば、メタン)を燃やす。メタンは、二酸化炭素と水に転化され、その後大気に排出されるが、これは、メタンにはCO2と比較して20倍を超える温室ガス効果があるため、重要である。
【0032】
嫌気性消化装置242によって生成された気体は、主としてメタンガスを含み、残りはCO2ガスと微量ガスである。この気体中にはいくらか湿気が存在するが、これは、通常凝縮器で除去される。微量ガスとしてのH2Sの濃度がかなりのものである(例えば、約1000ppmを超える)場合には、H2Sを減少させることができる。H2Sは、ボイラー又は燃焼機関内で燃焼するが、ただし、これが最終的に大気に排出されると酸化し、腐食性のH2SO4(硫酸)を生成するであろう。バイオガスにおけるH2S濃度を減少させるための当業者に周知の方法がいくつか存在する。いくつかの実施形態では、バイオガススクラブモジュール212は、H2Sを分離する活性炭ろ過システムを備える。いくつかの実施形態では、最初の段階で塩化第二鉄を醸造副産物と共に導入してH2S形成を防止する。
【0033】
この実施形態では、嫌気性消化装置242で生成された気体の一部分は、ボイラー224で使用される。ボイラー224は、この気体を燃やして、醸造廃棄物280を処理する際に嫌気性消化装置242により使用される熱206を生成する。嫌気性消化装置242の温度を制御して嫌気性細菌の代謝を最適にすることが望ましい。熱交換器220がボイラー224から熱を受け取る。ボイラー224からの熱206は、嫌気性消化装置242及び/又は固体分離モジュール228から受け取った液体を熱する。続いて、加熱された液体212は、熱交換器220から嫌気性消化装置242の容器222の入口234に排出される。加熱された液体212は、嫌気性消化装置242の容器222で行われる嫌気性消化過程で使用される。いくつかの実施形態では、ボイラー224は、醸造所において他の目的(例えば、ビール醸造過程や設備の加熱)で使用される醸造ボイラーである。いくつかの実施形態では、ボイラー224は、専ら嫌気性消化装置システム216のために使用される専用ボイラーである。
【0034】
消化装置242によって生成されたバイオガスの全部が醸造工程及びボイラー224では消費されない場合には、余剰のガスを、後にガスの利用者に流通させるためガス公益事業者に販売することができる。ガス公益事業者に提供するためのガスは、そのバイオガスから湿気、H2S及びCO2を除去する必要がある。ガスからこれらの物質を除去するために利用できる、当業者に周知の様々な技術が存在する。例えば、バイオガスからこれらの物質を除去するスキッド装着ユニットが市販されている(例えば、米国マサチューセッツ州ピッツフィールドのニュー・エナジー・ソルーションズ社が販売するNEO−Gas(TM)プラント)。いくつかの実施形態では、余剰のガスは、該余剰のガスを消費する発電機装置を使用して電気に変換され、或いは熱電併給システムを使用して熱と電気に変換される。いくつかの実施形態では、気体は圧縮され、保存される。いくつかの実施形態では、余剰のガスは、フレア装置252内で燃やされる。
【0035】
いくつかの実施形態では、バイオガスのいくらか又は全てを使用して発電機装置や熱電併給システムにより電気を発生させる。いくつかの実施形態では、バイオガスから発電機装置や熱電併給システムにより熱を生成させ、そしてこの熱を回収する。いくつかの実施形態では、回収された熱を消化装置に供給し、そしてこの熱を使用して消化装置の温度を制御する。いくつかの実施形態では、回収された熱は、消化装置内でバイオガスに変換される有機廃棄物をもたらしたプロセスにおけるプロセス加熱といった他の目的のために使用される。
【0036】
嫌気性消化装置242によって生成された固体は、ポンプにより固体分離モジュール228に汲み出される。嫌気性消化装置242は、ポンプ298により固体を固体分離モジュール228に送り出す。一実施形態では、固体分離モジュール228は、固形物から水を絞るねじプレスを備えるものであり、そして、該モジュールは、土壌改良材料128を生成し、該土壌改良材料は、固体装填容器256にポンプ260により送り出される。土壌改良材料128は、トラックで敷地外に運び出される。固形物から絞られた液体は、ポンプ240を使用して嫌気性消化装置242に戻される。いくつかの実施形態では、ポンプ240で汲み上げられた液体は、熱交換器220から容器222の入口234に再循環する液体と混合される。
【0037】
図3は、本発明の例示実施形態に従う、醸造廃棄物280を処理するためのシステム316の略図である。高濃度(高COD)廃水204、低濃度(低COD)廃水208及び有機廃棄固形物212(例えば、ビール粕又はチーズ製造工程の副産物)がシステム316に供給される。高濃度廃水204、低濃度廃水208及び有機廃棄固形物212をシステム316で処理して気体120、液体124及び固体128を生成する。気体120は、典型的には、メタンと、二酸化炭素と、数種の微量ガスとの混合物を含む。生成された液体124は、有機化合物を実質的に含んでいないため、後で公営処理場(例えば、図2の公営処理場244)で処理するために排出される場合もある。固体128は、例えば土壌改良材料として使用できる。
【0038】
システム316は、複数の嫌気性消化装置342a及び342b(例えば、図2の3段階嫌気性消化装置232を2個)備える。複数の嫌気性消化装置は、プロセスを水平的拡大縮小することや二重化により嫌気性消化装置の故障というリスクを軽減するために有益だと考えられる。高濃度廃水204、低濃度廃水208及び廃棄固形物212は、嫌気性消化装置342a及び342bの両方に供給される。システム316は、醸造廃棄物280の処理を促進させるための、2個の嫌気性消化装置342a及び342bに連結される一連の処理装置370を備える。処理装置370は、嫌気性消化装置342a及び342bの排出物を処理するのに必要な各種部材及びモジュール(例えば、図2のシステム216の部材及びモジュール)を備える。例えば、処理装置370は、嫌気性消化装置342a及び342bによって生成された固体を処理するための1個以上の固体分離モジュール(例えば、図2の固体分離モジュール228)を備える。さらに、該処理装置は、液体処理後モジュール(例えば、図2の液体処理後モジュール264)を備える。このように、単一系列の処理装置群を使用して嫌気性消化装置342a及び342bの排出物を処理することができる。
【0039】
図4は、本発明の例示実施形態に従う、醸造廃棄物280を処理するためのシステム416の略図である。高濃度廃水204、低濃度廃水208及び有機廃棄固形物212がシステム416に供給される。高濃度廃水204、低濃度廃水208及び有機廃棄固形物212をシステム416で処理して気体120、液体124及び固体128を生成する。気体120は、典型的には、メタンと、二酸化炭素と、数種の微量ガスとの混合物を含む。生成された液体124は、有機化合物を実質的に含んでいないので、後で公営処理場(例えば、図2の公営処理場244)で処理するために排出される場合がある。固体128は、例えば土壌改良材料として使用できる。
【0040】
システム416は、2個の嫌気性消化装置404及び480を備える。嫌気性消化装置404は、2段階嫌気性消化装置である。嫌気性消化装置404の第1段階は上向流嫌気性スラッジブランケット消化装置を備え、第2段階は固定膜嫌気性消化装置を備える。嫌気性消化装置480は3段階嫌気性消化装置である。嫌気性消化装置480の第1段階は栓流嫌気性消化装置を備え、第2段階は上向流スラッジブランケット嫌気性消化装置を備え、第3段階は固定膜嫌気性消化装置を備える(例えば、図2の嫌気性消化装置204の栓流消化装置284、上向流嫌気性スラッジブランケット消化装置288及び固定膜嫌気性消化装置292)。
【0041】
高濃度廃水204を嫌気性消化装置404の上向流嫌気性消化装置に供給して第1排出物を生成させる。第1排出物の一部分(例えば、液体部分)を嫌気性消化装置404の固定膜嫌気性消化装置に供給して第2排出物を生成させる。
【0042】
低濃度廃水208及びビール粕212を嫌気性消化装置480の栓流嫌気性消化装置に供給して第3排出物を生成させる。第3排出物の一部分(例えば、液体部分)を嫌気性消化装置480の上向流嫌気性スラッジブランケット消化装置に供給して第4排出物を生成させる。第4排出物の一部分(例えば、液体部分)を固定膜嫌気性消化装置に供給して第5排出物を生成させる。
【0043】
システム416は、醸造廃棄物280の処理を促進させるための、2個の嫌気性消化装置404及び480に連結した一連の処理装置470を備える。処理装置470は、嫌気性消化装置404及び480の排出物を処理するのに必要な各種部材及びモジュール(例えば、図2のシステム216の部材及びモジュール)を備える。このように、単一系列の処理装置群を使用して嫌気性消化装置404及び480の排出物を処理することができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、第1、第2、第3、第4又は第5排出物の少なくとも一つの液体を処理(例えば、図2の液体処理後モジュール264を使用して)して酸素要求量の低い液体(例えば、低CODの液体)を生成する。いくつかの実施形態では、第1、第2、第3、第4又は第5排出物の少なくとも一つの固体を処理(例えば、図2の固体分離モジュール264を使用して)土壌改良材料を生成する。
【0045】
米国特許第6982035号には、原理を本発明の原理に適用できる嫌気性消化装置用の各種システム、部材及びプロセスが記載されている。したがって、この米国特許の全内容を引用により本明細書に含めるものとする。
【0046】
当業者であれば、複数の容器、重複容器及び/又は他の消化装置技術を使用することを含め、本明細書において説明したもののバリエーション、変更及び他の実施は、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく当業者の実施範囲内にあり、かつ、本発明に包含されるものとみなす。したがって、本発明は、先の例示的説明にのみ規定されるものではない。
【符号の説明】
【0047】
104 高濃度廃水
108 低濃度廃水
112 有機廃棄固形物
116 嫌気性消化装置システム
120 気体
124 液体
128 固体/土壌改良材料
204 高濃度廃水
206 熱
208 低濃度廃水
210 出口
212 ビール粕/有機廃棄固形物
216 嫌気性消化装置システム
220 熱交換器
222 容器
224 ボイラー
226 出口
228 固体分離モジュール
232 ポンプ
234 入口
238 出口
240 ポンプ
242 嫌気性消化装置
244 公営処理場
246 プレミックスタンク
248 ガスメーター
250 バイオガススクラブモジュール
252 フレア装置
256 固体装填容器
260 ポンプ
264 液体処理後モジュール
280 醸造廃棄物
284 栓流嫌気性消化装置
288 上向流嫌気性スラッジブランケット消化装置
290 ポンプ
292 固定膜嫌気性消化装置
298 ポンプ
316 システム
342a 嫌気性消化装置
342b 嫌気性消化装置
370 処理装置
404 嫌気性消化装置
416 システム
480 嫌気性消化装置
470 処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
醸造廃棄物の処理方法であって、
ビール粕、低濃度廃水及び高濃度廃水を受け取り;
該ビール粕、低濃度廃水及び高濃度廃水を栓流嫌気性消化装置で処理して第1排出物を生成させ;
該第1排出物の一部分を上向流嫌気性スラッジブランケット消化装置で処理して第2排出物を生成させ;そして
該第2排出物を固定膜嫌気性消化装置で処理して第3排出物を生成させること
を含む醸造廃棄物の処理方法。
【請求項2】
前記ビール粕、低濃度廃水及び高濃度廃水を前記栓流消化装置に供給する前に該ビール粕、低濃度廃水及び高濃度廃水を混合させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1排出物が気体、液体及び固体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1排出物の液体が前記上向流嫌気性スラッジブランケット消化装置で処理された第1排出物の一部分である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第2排出物が気体、液体及び固体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第2排出物の液体が前記固定膜嫌気性消化装置で処理された第2排出物の一部分である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第3排出物が気体、液体及び固体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第3排出物の液体の一部分を前記栓流嫌気性消化装置に再循環させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第3排出物の液体を処理して酸素要求量の低い液体を生成させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1排出物及び第2排出物の固体を処理して土壌改良材料を生成させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第1、第2及び第3排出物の気体を集めることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記集めた気体がメタンを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記メタンの一部をボイラー内で燃焼させて前記栓流嫌気性消化装置、上向流嫌気性スラッジブランケット消化装置及び固定膜嫌気性消化装置に熱を供給することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記メタンの一部を、熱を発生する発電機装置又は熱電併給システムによって消費させ、該発電機装置又は熱電併給システムによって生じた熱の少なくとも一部分を前記栓流嫌気性消化装置、上向流嫌気性スラッジブランケット消化装置又は固定膜嫌気性消化装置の少なくとも一つに供給することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
醸造廃棄物の処理方法であって、
ビール粕、低濃度廃水及び高濃度廃水を受け取り;
該高濃度廃水を上向流嫌気性スラッジブランケット消化装置で処理して第1排出物を生成させ;
該第1排出物の一部分を固定膜嫌気性消化装置で処理して第2排出物を生成させ;
該ビール粕及び低濃度廃水を栓流嫌気性消化装置で処理して第3排出物を生成させ;
該第3排出物の一部分を上向流嫌気性スラッジブランケット消化装置で処理して第4排出物を生成させ;そして
該第4排出物の一部分を固定膜嫌気性消化装置で処理して第5排出物を生成させること
を含む醸造廃棄物の処理方法。
【請求項16】
前記第1、第2、第3、第4又は第5排出物の少なくとも一つの液体を処理して酸素要求量の低い液体を生成させることを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1、第2、第3、第4又は第5排出物の少なくとも一つの固体を処理して土壌改良材料を生成させることを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
醸造廃棄物を処理するための3段階嫌気性消化システムであって、
麦芽ガス、低濃度廃水又は高濃度廃水の少なくとも一つを受け取るための少なくとも1個の入口と、
該ビール粕、低濃度廃水又は高濃度廃水の少なくとも一つを処理するための少なくとも1個の入口に連結された、第1排出物を生成させるための栓流嫌気性消化装置と、
該第1排出物を処理して第2排出物を生成させるための該栓流消化装置の出口に連結された上向流嫌気性スラッジブランケット消化装置と、
該第2排出物を処理して固体、液体及び気体を含む第3排出物を生成させるための該上向流嫌気性スラッジブランケット消化装置の出口に連結された固定膜嫌気性消化装置と
を備える3段階嫌気性消化システム。
【請求項19】
前記栓流嫌気性消化装置、上向流嫌気性スラッジブランケット消化装置及び固定膜嫌気性消化装置が単一の消化装置構造体に組み込まれている、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
醸造廃棄物の処理方法であって、
ビール粕、低濃度廃水及び高濃度廃水を受け取り;
該低濃度廃水及び高濃度廃水を上向流嫌気性スラッジブランケット消化装置で処理して第1排出物を生成させ;
該第1排出物の一部分を固定膜嫌気性消化装置で処理して第2排出物を生成させ;
該麦芽ガスを栓流嫌気性消化装置で処理して第3排出物を生成させ;
該第3排出物の一部分を上向流嫌気性スラッジブランケット消化装置で処理して第4排出物を生成させ;そして
該第4排出物の一部分を固定膜嫌気性消化装置で処理して第5排出物を生成させること
を含む醸造廃棄物の処理方法。
【請求項21】
醸造廃棄物の処理方法であって、
ビール粕、低濃度廃水及び高濃度廃水を受け取り;
該低濃度廃水を上向嫌気性スラッジブランケット消化装置で処理して第1排出物を生成させ;
該第1排出物の一部分を固定膜嫌気性消化装置で処理して第2排出物を生成させ;
該ビール粕及び高濃度廃水を栓流嫌気性消化装置で処理して第3排出物を生成させ;
該第3排出物の一部分を上向流嫌気性スラッジブランケット消化装置で処理して第4排出物を生成させ;そして
該第4排出物の一部分を固定膜嫌気性消化装置で処理して第5排出物を生成させること
を含む醸造廃棄物の処理方法。
【請求項22】
有機廃棄物の処理方法であって、
有機廃棄固形物、低濃度廃水及び高濃度廃水を受け取り;
該有機廃棄固形物、低濃度廃水及び高濃度廃水を栓流嫌気性消化装置で処理して第1排出物を生成させ;
該第1排出物の一部分を上向流嫌気性スラッジブランケット消化装置で処理して第2排出物を生成させ;そして
該第2排出物の一部分を固定膜嫌気性消化装置で処理して第3排出物を生成させること
を含む有機廃棄物の処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−528986(P2011−528986A)
【公表日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−520098(P2011−520098)
【出願日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際出願番号】PCT/US2009/050801
【国際公開番号】WO2010/011554
【国際公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(511020977)パーパスエナジー・インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】PURPOSEENERGY,INC.
【住所又は居所原語表記】251 Pleasant St.,Arlington,MA 02476 U.S.A.
【Fターム(参考)】