説明

有機微粒子およびその分散液の製造方法、ならびにそれにより得られる有機微粒子およびその分散液

【課題】 粒径が小さく、粒度分布のシャープな有機微粒子の製造方法を提供する。さらに、有機微粒子の生産の効率化、スケールアップを可能とした、新しい有機微粒子の製造方法を提供する。さらには、層流を用いるフロー反応により、反応時間、反応温度を精密に制御して有機微粒子を製造する方法を提供し、粒径が小さくかつ揃った有機微粒子を量産製造することができる製造方法を提供する。
【解決手段】 有機化合物の溶液を層流とし、その層流過程で有機化合物を不溶化析出させる有機微粒子の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規な有機微粒子の製造方法に関する。さらには層流過程で有機微粒子を不溶化析出させる有機微粒子の製造方法、その方法によって得られる有機微粒子、およびそれを含有する分散液に関する。
【背景技術】
【0002】
無機・半導体ナノ粒子の研究は1980年代に始り、現在バイオ標識用蛍光性半導体ナノ粒子や局面表面プラズモンによる電場効果を期待した金・銀ナノ粒子等研究が広範に行われている。しかしながら、これらに比べ、有機・高分子材料分野では明確なナノサイズの粒子に関する研究は遅れていた。その主な理由は、無機・半導体ナノ粒子の製造で用いられるような高温加熱操作(真空蒸着法、溶融析出法など)が、一般的に熱に不安定な有機化合物には適用できないため、コントロールされたナノサイズの有機微粒子の合成が困難だったことによる。
【0003】
一方、従来のバルクと分子サイズの中間領域を構成するナノメーターサイズの超微粒子材料に関して、エレクトロニクス材料としての期待が以前にもまして高まっている。その理由は、それらの材料が、そのサイズ効果により、光物性や非線系光学特性等において、極めて興味深い性質を発現するためである。
そこで、特にこれまで遅れていた有機微粒子材料に関しても、その研究の促進が期待されている。
【0004】
その他の分野として、インクジェット用インクについてみると、その色材として染料が用いられてきた。しかしその耐水性や耐光性の面で問題があり、それを改良するために顔料が用いられるようになってきている。顔料インクにより得られた画像は、染料系のインクによる画像に較べて耐光性、耐水性に優れるという特筆すべき利点を有する。しかしながら、紙表面の空隙に染み込むことが可能なナノメートルサイズに均一に微細化することは難しく、紙への密着性に劣るという問題がある。
【0005】
また、デジタルカメラの高画素化についてみると、CCDセンサーに用いるカラーフィルターの薄層化が望まれている。このカラーフィルターには有機顔料が用いられているが、フィルターの厚さは有機顔料の粒子径に大きく依存するため、ナノメートルサイズレベルでの安定な微粒子の製造が望まれている。
このように様々な分野で有機微粒子の研究および実用化を可能とする効果的な製造方法への期待は高まっている。
【0006】
このような期待に応えるべく開発された有機微粒子の製造法として「再沈法」と呼ばれる方法がある(特許文献1、2、および非特許文献1参照)。この方法は電子・光特性に興味が持たれるπ−共役系有機・高分子物質(たとえばポリジアセチレン、ペリレン、フラーレンなどの低分子芳香族化合物、有機イオウ性色素)や有機顔料のナノ結晶化に適用可能な点で汎用性が高く、優れた方法である。再沈法には、さらに幾つかの方法があり、微粒子化したい有機化合物をよく溶かす溶媒(良溶媒)に該有機化合物を溶かし、その溶液を該有機化合物をほとんど溶かさない溶媒(貧溶媒)中に激しく攪拌しながら注入し再沈殿・析出させる方法、該有機化合物を通常の条件下では溶解しにくい溶媒に超臨界状態で溶解させ、冷却用溶媒との混合でナノ結晶化させる方法(超臨界再沈法)などがある。
しかし、いずれの方法も、溶液の攪拌下に微粒子化するものである。そのためスケールアップ時に、攪拌効果が不均一となり、粒度分布の点から小スケール時の再現が極めて難しいという問題があり、その改良が望まれていた。
【0007】
近年、微小な流路断面積の反応路を用いて化学反応をおこなう技術、いわゆる「マイクロ化学プロセス技術」が注目されている(非特許文献2)。「マイクロ化学プロセス技術」とは、マイクロ加工技術などにより固体基板上に作成された幅数μm〜数百μmのマイクロ流路内で発現する化学・物理現象を利用した物質生産・化学分析技術である。
【0008】
マイクロ空間ではレイノルズ数が小さいので層流支配であり、混合は界面を通じた分子拡散により行われる。そしてマイクロ空間では界面の比表面積は大きく、分子移動距離は少なくてすむので界面を通じた分子拡散により瞬時に混合が行われる。よって通常のマクロなスケールでの攪拌装置による乱流混合に比べて精密高速混合が可能となる。また、一般にフローで反応を行うので流速も精密コントロールでき、従って、精密に反応時間の制御が行える。更に熱移動が容易であるため、精密温度コントロールも可能である。
【0009】
【特許文献1】特開平6−79168号公報
【特許文献2】特開2004−91560号公報
【非特許文献1】NANOSCIENCE AND TECHNOLOGY,”Single Organic Nanoparticles”, Chap.2,14,29, Spring-Verlag,Berlin(2003).
【非特許文献2】W. Ehrfeld, V. Hessel, H. Loewe, “Microreactor”, 1Ed.(2000), WILEY-VCH.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、粒径が小さく、揃った、すなわち粒度分布のシャープな有機微粒子の製造方法の提供を目的とする。さらに本発明は、従来の再沈法の問題点であったスケールアップ時の問題を解決した、新しい有機微粒子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の課題は、以下の手段に達成された。
(1)有機化合物の溶液を層流とし、その層流過程で有機化合物を不溶化析出させることを特徴とする有機微粒子の製造方法。
(2)層流過程で微粒子を析出させるに際し、前記有機化合物の溶液に対し、前記溶液のものと異種でかつ少なくとも一部が拡散可能な溶媒を接触させることを特徴とする(1)記載の有機微粒子の製造方法。
(3)前記の有機化合物の溶液に少なくとも一部が拡散可能な溶媒が、前記有機化合物に対する貧溶媒であることを特徴とする(2)記載の有機微粒子の製造方法。
(4)前記有機化合物の溶液および前記貧溶媒のいずれか一方、または両方に、分散剤を少なくとも1種含有させたことを特徴とする(3)記載の有機微粒子の製造方法。
(5)前記有機化合物が有機色素化合物であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の有機微粒子の製造方法。
(6)(1)〜(5)のいずれか1項に記載の方法で製造された有機微粒子。
(7)前記有機微粒子がその分散液として得られることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載の有機微粒子分散液の製造方法。
(8)(7)に記載の方法で製造された有機微粒子分散液。
【発明の効果】
【0012】
本発明の製造方法よれば、層流過程で粒子形成を行うことにより、粒径が揃った粒度分布のシャープな有機微粒子を効率的に製造できる。また本発明の製造方法によれば、層流を用いるフロー反応により、反応時間、反応温度を精密に制御して有機微粒子を製造することができ、粒径が小さくかつ揃った有機微粒子を量産製造することができる。さらにまた、ナンバリングアップ(装置の並列化)により、再現性よく有機微粒子を製造することができ、製品化にかかる検討時間を激減できる。
また、本発明の製造方法により得られた有機微粒子およびその分散液は、より精密な単分散状態を実現できるので、分散液または含まれる微粒子において新たな機能を発現させることも期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明者らは、層流を形成する流路(マイクロメートルサイズが好ましい)中での界面分子拡散混合を用いて再沈法を行うことにより、従来のフラスコ中で行う方法に比べて粒径が揃った有機顔料微粒子およびその分散液が得られることを見いだした。さらにマイクロ化学プロセス技術のスケールアップ手法であるナンバリングアップの手法を用いることにより、再現性よく量産できることを見出した。
すなわち、本発明は、溶媒に溶解した有機化合物の溶液から、層流過程で微粒子を析出する有機微粒子の製造方法である。
【0014】
以下、本発明の製造方法に関し詳しく説明する。
本発明の製造方法に用いられる装置は、等価直径10mm以下の流路(チャンネル)を有する装置であり、好ましくは等価直径1mm以下の流路を有する装置である。まず、等価直径について以下に説明する。
等価直径(equivalent diameter)は相当(直)径、とも呼ばれ、機械工学の分野で用いられる用語である。任意断面形状の配管(本発明の製造方法では流路)に対し等価な円管を想定するとき、その等価円管の直径を等価直径という。等価直径(deq)は、A:配管の断面積、p:配管のぬれぶち長さ(周長)を用いて、deq=4A/pと定義される。円管に適用した場合、この等価直径は円管直径に一致する。等価直径は等価円管のデータを基に、その配管の流動あるいは熱伝達特性を推定するのに用いられ、現象の空間的スケール(代表的長さ)を表す。等価直径は、一辺aの正四角形管ではdeq=4a/4a=a、一辺aの正三角形管では下式のとおりとなる。
【0015】
【数1】

さらに、流路高さhの平行平板間の流れではdeq=2hとなる(例えば、(社)日本機械学会編「機械工学事典」1997年、丸善(株)参照)。
【0016】
管の中に水を流し、その中心軸状に細い管を挿入し着色した液を注入すると、水の流速が遅い間は、着色液は一本の線となって流れ水は管壁に平行にまっすぐに流れる。しかし、流速を上げ、ある一定の流速に達すると急に水流の中に乱れが生じ、着色液は水流と混じって全体が着色した流れになる。前者の流れを層流(laminar flow)、後者を乱流(turbulent flow)という。
流れが層流になるか乱流になるかは流れの様子を示す無次元数であるレイノルズ数(Reynolds number)が、ある臨界値以下であるかによって決まる。すなわちレイノルズ数が小さいほど層流を形成しやすい。管内の流れのレイノルズ数Reは次式で表される。
Re=D<υx>ρ/μ
Dは管の等価直径、<υx>は断面平均速度、ρは流体の密度、μは流体の粘度を表す。この式からわかるように等価直径が小さいほどレイノルズ数は小さくなるので、μmサイズの等価直径の場合は安定な層流を形成しやすくなる。また、密度や粘度の液物性もレイノルズ数に影響し、密度が小さく、粘度が大きいほどレイノルズ数は小さくなるので層流を形成しやすいことがわかる。
臨界値を示すレイノルズ数を臨界レイノルズ数(critical Reynolds number)と呼ぶが、臨界レイノルズ数は必ずしも一定とはいえないが、凡そ次の値が基準となる。
Re<2300 層流
Re>3000 乱流
3000>Re>2300 過渡状態
【0017】
流路の等価直径が小さくなるにつれ、単位体積あたりの表面積(比表面積)は大きくなるが、流路が好ましいサイズであるマイクロスケールになると比表面積は格段に大きくなり、流路の器壁を通じた熱伝達効率は非常に高くなる。流路を流れる流体中の熱伝達時間(t)は、t=deq/α(α:液の熱拡散率)で表されるので、等価直径が小さくなるほど熱伝達時間は短くなる。すなわち、等価直径が1/10になれば熱伝達時間は1/100になることになり、等価直径がマイクロスケールである。
【0018】
本発明の製造方法において、好ましいサイズであるマイクロスケールの流路(チャンネル)を有する反応装置は、一般に「マイクロリアクター」と総称され、最近大きな発展を遂げている。マイクロリアクターには、その断面を円形に換算した場合の等価直径が数μm〜数百μm程度の複数本のマイクロ流路、及びこれらのマイクロ流路と繋がる混合空間が設けられており、このマイクロリアクターでは、複数本のマイクロ流路を通して複数の溶液をそれぞれ混合空間へ導入することで、複数の溶液を混合し、又は混合と共に化学反応を生じさせる。
【0019】
次に、上記のようなマイクロリアクターによる反応がタンク等を用いたバッチ方式と異なる点を説明する。すなわち、液相の化学反応は、一般に反応液の界面において分子同士が出会うことによって反応が起こるので、微小空間(マイクロ流路)内で反応を行うと相対的に界面の面積が大きくなり、反応効率は著しく増大する。また前記のように分子の拡散そのものも拡散時間は距離の二乗に比例する。このことは、スケールを小さくするに従って、反応液を能動的に混合しなくても、分子の拡散によって混合が進み、反応が起こり易くなることを意味している。また、微小空間においては、スケールが小さいために層流支配の流れとなり、溶液同士が層流状態となって互いに拡散し、混合されて行く。
【0020】
上記のような特徴を有するマイクロリアクーを用いれば、反応の場として大容積のタンク等を用いた従来のバッチ方式と比較し、溶液同士の反応時間及び温度の精密な制御が可能になる。またバッチ方式の場合には、特に、反応速度が速い溶液間では混合初期の反応接触面で反応が進行し、さらに溶液間の反応により生成された一次生成物が容器内で引き続き反応を受けてしまうことから、生成物が不均一になったり、混合容器内で凝集や析出が生じてしまうおそれがある。これに対して、マイクロリアクターによれば、溶液が混合容器内に殆ど滞留することなく連続的に流通するので、溶液間の反応により生成された一次生成物が混合容器内に滞留する間に引き続き反応を受けてしまうことを抑止でき、従来では取り出すことが困難であった純粋な一次生成物を取り出すことも可能になり、また混合容器内での凝集や析出も生じ難くなる。
【0021】
また、実験的な製造設備により製造された少量の化学物質を大規模の製造設備により多量に製造(スケールアップ)する際には、従来、実験的な製造設備に対し、バッチ方式による大規模の製造設備での再現性を得るために多大の労力及び時間を要していたが、必要となる製造量に応じてマイクロリアクーを用いた製造ラインを並列化することにより、このような再現性を得るための労力及び時間を大幅に減少できる可能性がある。
【0022】
本発明の製造方法に用いられる層流の流路の作製方法を以下に説明する。流路が1mm以上のサイズの場合は従来の機械加工技術を用いることで比較的容易に作成可能であるが、サイズが1mm以下のマイクロサイズ、特に500μm以下になると格段に作製が難しくなる。マイクロサイズの流路(マイクロ流路)は固体基板上に微細加工技術を用いて作成される場合が多い。基板材料としては腐食しにくい安定な材料であれば何でもよい。例えば、金属(例えば、ステンレス、ハステロイ(Ni−Fe系合金)、ニッケル、アルミニウム、銀、金、白金、タンタルまたはチタン)、ガラス、プラスチック、シリコーン、テフロン(登録商標)またはセラミックスなどである。
【0023】
マイクロ流路を作製するための微細加工技術として代表的なものを挙げれば、X線リソグラフィを用いるLIGA(Roentgen−Lithographie Galvanik Abformung)技術、EPON SU−8(商品名)を用いた高アスペクト比フォトリソグラフィ法、マイクロ放電加工法(μ−EDM(Micro Electro Discharge Machining))、Deep RIE(Reactive Ion Etching)によるシリコンの高アスペクト比加工法、Hot Emboss加工法、光造形法、レーザー加工法、イオンビーム加工法、およびダイアモンドのような硬い材料で作られたマイクロ工具を用いる機械的マイクロ切削加工法などがある。これらの技術を単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。好ましい微細加工技術は、X線リソグラフィを用いるLIGA技術、EPON SU−8を用いた高アスペクト比フォトリソグラフィ法、マイクロ放電加工法(μ−EDM)、および機械的マイクロ切削加工法である。また、近年では、エンジニアリングプラスチックへの微細射出成型技術の適用が検討されている。
【0024】
マイクロ流路を作成する際、よく接合技術が用いられる。通常の接合技術は大きく固相接合と液相接合に分けられ、一般的に用いられている接合方法は、固相接合として圧接や拡散接合、液相接合として溶接、共晶接合、はんだ付け、接着等が代表的な接合方法である。さらに、組立に際しては高温加熱による材料の変質や大変形による流路等の微小構造体の破壊を伴わない寸法精度を保った高度に精密な接合方法が望ましいが、そのような技術としてはシリコン直接接合、陽極接合、表面活性化接合、水素結合を用いた直接接合、HF水溶液を用いた接合、Au−Si共晶接合、ボイドフリー接着などがある。
【0025】
本発明の製造方法に用いられる装置における流路の等価直径は、10mm以下であり、好ましくは1mm以下である。より好ましくは10μm〜1mmであり、特に好ましくは20〜300μmである。また流路の長さには特に制限はないが、好ましくは1mm以上10m以下であり、更に好ましくは5mm以上10m以下で、特に好ましくは10mm以上5m以下である。
【0026】
本発明の製造方法において有機微粒子分散液の調製は、流路の中を流れながら、すなわち連続フロー法で行われる。
本発明の製造方法に用いられる流路の数量は、適宜反応装置にそなえられるものであり、勿論、1つでも構わないが、必要に応じて流路を何本も並列化し(ナンバーリングアップ)、その処理量を増大させることができる。並列本数は、製造する微粒子の種類、目的とする生産量などによるが、5〜1000本が好ましく、10〜100本がより好ましい。
本発明の製造方法に用いられる流路は、固体基板上に微細加工技術を用いて作成されたものに限らず、例えば、入手可能な数μm〜数百μmの内径を有する各種ヒューズドシリカキャピラリーチューブでもよい。高速液体クロマトグラフ用、ガスクロマトグラフ用部品として市販されている数μm〜数百μmの内径を有する各種シリコンチューブ、フッ素樹脂製管、ステンレス管、PEEK管(ポリエーテルエーテルケトン管)も同様に利用可能である。
これまでにマイクロリアクターに関しては、反応の効率向上などを目指したデバイスに関する報告がなされている。例えば、特開2003−210960号、特開2003−210963号、特開2003−210959号はマイクロミキサーに関するものであり、本発明はこれらのマイクロデバイスを利用することもできる。
【0027】
本発明の製造方法で用いる流路は目的に応じて表面処理してもよい。特に水溶液を操作する場合、ガラスやシリコンへの試料の吸着が問題になることがあるので表面処理は重要である。マイクロサイズの流路内における流体制御では、複雑な製作プロセスを要する可動部品を組み込むことなくこれを実現することが望ましい。例えば、流路内に表面処理により親水性と疎水性の領域を作製し、その境界に働く表面張力差を利用して流体を操作することが可能である。ガラスやシリコンの表面処理する方法として多用されるのはシランカップリング剤を用いた疎水または親水表面処理である。
【0028】
流路中へ試薬やサンプルなどを導入して混合するためには、流体制御機能が必要である。特に、マイクロ流路内における流体の挙動は、マクロスケールとは異なる性質を持つため、マイクロスケールに適した制御方式を考えなければならない。流体制御方式は形態分類すると連続流動方式と液滴(液体プラグ)方式があり、駆動力分類すると電気的駆動方式と圧力駆動方式がある。
【0029】
これらの方式を以下に詳しく説明する。流体を扱う形態として、最も広く用いられるのが連続流動方式である。連続流動式の流体制御では、マイクロ流路内は全て流体で満たされ、外部に用意したシリンジポンプなどの圧力源によって、流体全体を駆動するのが一般的である。この方法は、デッドボリュームが大きいことなどが難点であるが比較的簡単なセットアップで制御システムを実現できることが大きな利点である。
【0030】
連続流動方式とは異なる方式として、液滴(液体プラグ)方式がある。この方式では、リアクター内部やリアクターに至る流路内で、空気で仕切られた液滴を動かすものであり、個々の液滴は空気圧によって駆動される。その際、液滴と流路壁あるいは液滴同士の間の空気を必要に応じて外部に逃がすようなベント構造、および分岐した流路内の圧力を他の部分と独立に保つためのバルブ構造などを、リアクターシステム内部に用意する必要がある。また、圧力差を制御して液滴の操作を行うために、外部に圧力源や切り替えバルブからなる圧力制御システムを構築する必要がある。このように液滴方式では、装置構成やリアクターの構造がやや複雑になるが、複数の液滴を個別に操作して、いくつかの反応を順次行うなどの多段階の操作が可能で、システム構成の自由度は大きくなる。
【0031】
流体制御を行うための駆動方式として、流路(チャンネル)両端に高電圧をかけて電気浸透流を発生させ、これによって流体移動させる電気的駆動方法と、外部に圧力源を用意して流体に圧力をかけて移動させる圧力駆動方法が一般に広く用いられている。両者の違いは、たとえば流体の挙動として、流路断面内で流速プロファイルが電気的駆動方式の場合にはフラットな分布となるのに対して、圧力駆動方式では双曲線状に、流路中心部が速くて、壁面部が遅い分布となることが知られており、サンプルプラグなどの形状を保ったまま移動させるといった目的には、電気的駆動方式の方が適している。電気的駆動方式行う場合には、流路内が流体で満たされている必要があるため、連続流動方式の形態をとらざるを得ないが、電気的な制御によって流体の操作を行うことができるため、例えば連続的に2種類の溶液の混合比率を変化させることによって、時間的な濃度勾配をつくるといった比較的複雑な処理も実現されている。圧力駆動方式の場合には、流体の電気的な性質にかかわらず制御可能であること、発熱や電気分解などの副次的な効果を考慮しなくてよいことなどから、基質に対する影響がほとんどなく、その適用範囲は広い。その反面、外部に圧力源を用意しなければならないこと、圧力系のデッドボリュームの大小に応じて、操作の応答特性が変化することなど、複雑な処理を自動化する必要がある。
本発明の製造方法における流体制御方法として用いられる方法はその目的によって適宜選ばれるが、好ましくは連続流動方式の圧力駆動方式である。
【0032】
本発明の製造方法に用いられる流路内の温度制御は、流路を持つ装置全体を温度制御された容器中に入れることにより制御してもよいし、金属抵抗線やポリシリコンなどのヒーター構造を装置内に作り込み、加熱についてはこれを使用し、冷却については自然冷却でサーマルサイクルを行ってもよい。温度のセンシングは、金属抵抗線を使用する場合はヒーターと同じ抵抗線をもう一つ作り込んでおき、その抵抗値の変化に基づいて温度検出を行うのが好ましく、ポリシリコンを使用する場合は熱電対を用いて検出を行うのが好ましい。また、ペルチェ素子を流路に接触させることによって外部から加熱、冷却を行ってもよい。どの方法を用いるかは用途や流路本体の材料などに合わせて選択される。
【0033】
本発明の製造方法に用いられる、好ましい反応装置の例を概略的に図1−1〜図4に示した。尚、本発明がこれらに限定されないことはいうまでもない。
図1−1はY字型流路を有する反応装置(10)の説明図であり、図1−2はそのI−I線の断面図である。流路の長さ方向に直交する断面の形は使用される微細加工技術により異なるが、台形または矩形に近い形である。流路幅・深さ(特にC,H)がマイクロサイズにて作られている場合、導入口11及び12からポンプなどにより注入された溶液は導入流路13aまたは13bを経由して流体合流点13dにて接触し、安定な層流を形成して反応流路13cを流れる。そして層流として流れる間に層流間の界面における分子拡散により互いの層流に含まれる溶質の混合または反応が行われる。拡散の極めて遅い溶質は、層流間での拡散混合が起きず、排出口14に達した後に初めて混合する場合もある。注入される2つの溶液がフラスコ中で容易に混合するような場合には、流路長Eを長く取れば排出口では液の流れは均一な流れになりうるが、流路長Eが短い時には排出口まで層流が保たれる。注入される2つの溶液がフラスコ中で混合せず層分離する場合は、当然ながら2つの溶液は層流として流れて排出口14に到達する。
【0034】
図2−1は片側に挿通した流路を設けた円筒管型流路を有する反応装置(20)の説明図であり、図2−2は同装置のIIa−IIa線の断面図であり、図2−3は同装置のIIb−IIb線の断面図である。流路の長さ方向に直交する断面の形は円かそれに近い形である。円筒管の流路直径(D,E)がマイクロサイズの場合、導入口21及び導入口22からポンプなどにより注入された溶液は導入流路23aと導入流路23bを通じて流体合流点23dにて接触し、安定な円筒層流を形成して反応流路23cを流れる。そして円筒層流として流れる間に層流間の界面における分子拡散により互いの層流に含まれる溶質の混合または反応が行われるのは上記図1−1の装置と同じである。円筒管型流路をもつ本装置は、上記図1−1の装置に比べて2液の接触界面を大きく取れること、更に接触界面が装置壁面に接触する部分がないため、固体(結晶)が反応により生成する場合など壁面との接触部分からの結晶成長などがなく、流路を閉塞する可能性が低いのが特徴である。
【0035】
図3−1および図4は、2液の流れが層流のまま出口まで到達する場合、それらを分離できるように図1−1および図2−1の装置に改良を加えたものである。これらの装置を用いると反応と分離が同時にできる。また、最終的に2液が混合してしまって反応が進みすぎたり、結晶が粗大化したりすることを避けることができる。一方の液中に選択的に生成物や結晶が存在する場合には、生成物や結晶を2液が混合してしまう場合に比べて高濃度の状態で得ることができる。また、これらの装置を幾つか連結することにより、生成微粒子の精製操作が可能になるなどのメリットがある。
【0036】
本発明の製造方法では、溶媒に均一に溶解した有機化合物の溶液を、前記流路中を層流として流通させる。そして、その過程で有機化合物の溶解度を変化させて有機微粒子およびそれを含有する分散液を製造するものである。以下、さらに詳しく説明する。
【0037】
本発明の製造方法に用いられる有機化合物は、微粒子化するとサイズ効果の発現が期待される化合物であり、特に制限はないが、好ましくは有機電子材料(電荷輸送剤、非線形光学材料など)や機能性有機色素化合物(増感色素、光電変換色素、光記録用色素、画像記録用色素等)である。より好ましくは電荷輸送剤、光記録用色素、画像記録用色素である。特に好ましくは光記録用色素、画像記録用色素などの有機色素化合物である。
また、本発明の製造方法により得られる微粒子は、サイズがそろっているので、溶媒への溶解性が向上し、溶解時の温度を低下し、溶解に必要な時間を短縮することが可能になり、結果として溶解工程において有機化合物が熱分解することを防止することができるので好ましい。
【0038】
本発明の製造方法に用いられる電荷輸送剤の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0039】
【化1】

【0040】
【化2】

【0041】
本発明の製造方法に用いられる光記録用色素の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0042】
【化3】

【0043】
【化4】

画像記録用色素を具体的に述べれば、好ましくは顔料色素である。顔料色素はマゼンタ顔料、イエロー顔料、またはシアン顔料であることができる。詳しくは、ペリレン、ペリノン、キナクリドン、キナクリドンキノン、アントラキノン、アントアントロン、ベンズイミダゾロン、ジスアゾ縮合、ジスアゾ、アゾ、インダントロン、フタロシアニン、トリアリールカルボニウム、ジオキサジン、アミノアントラキノン、ジケトピロロピロール、チオインジゴ、イソインドリン、イソインドリノン、ピラントロンまたはイソビオラントロン系顔料またはそれらの混合物などのマゼンタ顔料、イエロー顔料、またはシアン顔料である。
【0044】
更に詳しくは、たとえば、C.I.ピグメントレッド190(C.I.番号71140)、C.I.ピグメントレッド224(C.I.番号71127)、C.I.ピグメントバイオレット29(C.I.番号71129)等のペリレン系顔料、C.I.ピグメントオレンジ43(C.I.番号71105)、もしくはC.I.ピグメントレッド194(C.I.番号71100)等のペリノン系顔料、C.I.ピグメントバイオレット19(C.I.番号73900)、C.I.ピグメントバイオレット42、C.I.ピグメントレッド122(C.I.番号73915)、C.I.ピグメントレッド192、C.I.ピグメントレッド202(C.I.番号73907)、C.I.ピグメントレッド207(C.I.番号73900、73906)、もしくはC.I.ピグメントレッド209(C.I.番号73905)のキナクリドン系顔料、C.I.ピグメントレッド206(C.I.番号73900/73920)、C.I.ピグメントオレンジ48(C.I.番号73900/73920)、もしくはC.I.ピグメントオレンジ49(C.I.番号73900/73920)等のキナクリドンキノン系顔料、C.I.ピグメントイエロー147(C.I.番号60645)等のアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントレッド168(C.I.番号59300)等のアントアントロン系顔料、C.I.ピグメントブラウン25(C.I.番号12510)、C.I.ピグメントバイオレット32(C.I.番号12517)、C.I.ピグメントイエロー180(C.I.番号21290)、C.I.ピグメントイエロー181(C.I.番号11777)、C.I.ピグメントオレンジ62(C.I.番号11775)、もしくはC.I.ピグメントレッド185(C.I.番号12516)等のベンズイミダゾロン系顔料、C.I.ピグメントイエロー93(C.I.番号20710)、C.I.ピグメントイエロー94(C.I.番号20038)、C.I.ピグメントイエロー95(C.I.番号20034)、C.I.ピグメントイエロー128(C.I.番号20037)、C.I.ピグメントイエロー166(C.I.番号20035)、C.I.ピグメントオレンジ34(C.I.番号21115)、C.I.ピグメントオレンジ13(C.I.番号21110)、C.I.ピグメントオレンジ31(C.I.番号20050)、C.I.ピグメントレッド144(C.I.番号20735)、C.I.ピグメントレッド166(C.I.番号20730)、C.I.ピグメントレッド220(C.I.番号20055)、C.I.ピグメントレッド221(C.I.番号20065)、C.I.ピグメントレッド242(C.I.番号20067)、C.I.ピグメントレッド248、C.I.ピグメントレッド262、もしくはC.I.ピグメントブラウン23(C.I.番号20060)等のジスアゾ縮合系顔料、C.I.ピグメントイエロー13(C.I.番号21100)、C.I.ピグメントイエロー83(C.I.番号21108)、もしくはC.I.ピグメントイエロー188(C.I.番号21094)等のジスアゾ系顔料、C.I.ピグメントレッド187(C.I.番号12486)、C.I.ピグメントレッド170(C.I.番号12475)、C.I.ピグメントイエロー74(C.I.番号11714)、C.I.ピグメントレッド48(C.I.番号15865)、C.I.ピグメントレッド53(C.I.番号15585)、C.I.ピグメントオレンジ64(C.I.番号12760)、もしくはC.I.ピグメントレッド247(C.I.番号15915)等のアゾ系顔料、C.I.ピグメントブルー60(C.I.番号69800)等のインダントロン系顔料、C.I.ピグメントグリーン7(C.I.番号74260)、C.I.ピグメントグリーン36(C.I.番号74265)、ピグメントグリーン37(C.I.番号74255)、ピグメントブルー16(C.I.番号74100)、C.I.ピグメントブルー75(C.I.番号74160:2)、もしくは15(C.I.番号74160)等のフタロシアニン系顔料、C.I.ピグメントブルー56(C.I.番号42800)、もしくはC.I.ピグメントブルー61(C.I.番号42765:1)等のトリアリールカルボニウム系顔料、C.I.ピグメントバイオレット23(C.I.番号51319)、もしくはC.I.ピグメントバイオレット37(C.I.番号51345)等のジオキサジン系顔料、C.I.ピグメントレッド177(C.I.番号65300)等のアミノアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントレッド254(C.I.番号56110)、C.I.ピグメントレッド255(C.I.番号561050)、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド272(C.I.番号561150)、C.I.ピグメントオレンジ71、もしくはC.I.ピグメントオレンジ73等のジケトピロロピロール系顔料、C.I.ピグメントレッド88(C.I.番号73312)等のチオインジゴ系顔料、C.I.ピグメントイエロー139(C.I.番号56298)、C.I.ピグメントオレンジ66(C.I.番号48210)等のイソインドリン系顔料、C.I.ピグメントイエロー109(C.I.番号56284)、もしくはC.I.ピグメントオレンジ61(C.I.番号11295)等のイソインドリノン系顔料、C.I.ピグメントオレンジ40(C.I.番号59700)、もしくはC.I.ピグメントレッド216(C.I.番号59710)等のピラントロン系顔料、またはC.I.ピグメントバイオレット31(60010)等のイソビオラントロン系顔料である。
【0045】
本発明の製造方法においては、有機化合物を単独で用いても、2種類以上組み合わせてもよく、例えば、有機顔料、有機顔料の固溶体、無機顔料などを組み合わせて使用することもできる。 好ましい顔料は、キナクリドン、ジケトピロロピロール、ジスアゾ縮合、またはフタロシアニン系顔料であり、特に好ましくはキナクリドン、ジスアゾ縮合、またはフタロシアニン系顔料である。
【0046】
本発明の製造方法に用いられる有機化合物は、溶剤(以下、良溶媒ともいう)に均一に溶解されなければならない(本発明において、「均一に溶解」とは、可視光線下で観測した場合に濁りが観測されないことをいい、その溶液とは、一般に1μm以下のミクロフィルターを通して得られる溶液、または1μmのフィルターを通した場合に濾過される物を含まない溶液をいう。)。
用いられる溶剤は有機化合物により異なるが、一般に用いられる溶剤は極性溶媒である。好ましくはフッ素系アルコール(2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノールなど)、アミド系溶媒(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなど)、スルホキシド系溶媒(ジメチルスルホキシド、スルホランなど)、エーテル系溶媒(テトラヒドロフランなど)、ハロゲン系溶媒(クロロホルム、ジクロロメタンなど)、またはイオン性液体(1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレートなど)である。特に好ましくはアミド系溶媒、またはスルホキシド系溶媒である。尚、これらの溶媒は単独で用いてもよいし、混合して用いてもよい。
使用される溶剤の量は、有機化合物を均一に溶解可能な量であり、特に限定されないが、好ましくは有機化合物に対して重量比で10〜500倍量であり、好ましくは20〜100倍量である。
【0047】
次に有機化合物を溶解した溶液に層流過程で接触し、界面を通じて該溶液中に拡散して有機化合物を微粒子として析出させる溶媒(以下、析出溶媒ともいう)について説明する。
析出溶媒の種類などは、上述の良溶媒、有機化合物の種類などによって決まるものであり、それだけで一義的に定め難い。ただし析出溶媒と良溶媒の関係ないしは組合せとして、良溶媒を有機化合物の溶解度が1以上の溶媒として、析出溶媒を有機化合物の溶解度が0.1以下の溶媒とすることが好ましい(溶解度は飽和溶液中における溶質の濃度をいい、溶液100g中の溶質の量(グラム数)で表す)。また、本発明の製造方法においては、良溶媒と析出溶媒が互いに少なくとも一部が拡散可能であることが好ましい(本発明において、少なくとも一部が拡散可能とは、互いの溶媒が少なくとも10質量%均一混合する溶媒であると定義する)。すなわち本発明の製造方法においては、良溶媒に対して10質量%以上均一混合する貧溶媒を析出溶媒として用いることが好ましい。
具体的には、例えば、良溶媒がアミド系やスルホキシド系溶媒などの水性媒体の場合は、水、アルコール系溶媒(メタノール、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、もしくはジエチレングリコール等)、低級アルキルエーテル系溶媒(エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、もしくはトリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテル等)、ケトン系溶媒(アセトン、メチルエチルケトン、もしくはシクロキサノン等)、が析出溶媒として機能する。
良溶媒が水性でない場合、例えばハロゲン系溶媒の場合は、水以外の上記溶媒をはじめ、炭化水素系溶媒(n-へキサンやトルエンなど)やエステル系溶媒(酢酸エチルなど)が析出溶媒として機能する。好ましくは水、アルコール系溶媒、炭化水素系溶媒である。尚、良溶媒および析出溶媒は単独で用いてもよいし、混合して用いてもよい。また、上記有機化合物を溶解した溶液および/または析出溶媒は、必要に応じて無機もしくは有機の、塩、酸、またはアルカリ等を含有していてもよい。
また、析出溶媒は、溶剤に溶解した有機化合物に対する貧溶媒であることが好ましい(本発明において、貧溶媒とは、溶質(本発明では有機化合物)に対して溶解度が小さい溶媒、例えば溶解度が0.1以下の溶媒をいう。)。
【0048】
良溶媒(もしくは有機化合物の溶液)と析出溶媒の混合比であるが、微粒子化する有機化合物の種類にもよるし、どのようなサイズの微粒子を製造するかでも異なる。一般には析出溶媒/良溶媒(もしくは有機化合物の溶液)は0.01〜100であり、好ましくは0.05〜10である。層流とするときの流速の比の範囲もこれと同様である。
本発明の製造方法では、有機化合物を均一に溶解した溶液を流路に投入することが好ましい。懸濁液を投入すると粒子サイズが大きくなったり、その分布が広い微粒子になったりする。場合によっては容易に流路を閉塞してしまう。
【0049】
本発明の製造方法では、流路中を流通する過程で溶解度を変化させて微粒子を製造するが、その方法は有機化合物の均一溶液の導入口とは異なる導入口を有する流路、例えば図1−1、又は図2−1に示されるような少なくとも2つの導入口を有する流路を用いて行われる。詳しくは、図1−1の導入口11、または図2−1の導入口21に有機化合物の均一溶液を導入し、図1−1の導入口12、または図2−1の導入口22に貧溶媒を導入し、両液を流路13c又は23c中で接触させることにより有機化合物を含む溶液の溶解度を変化させる。流路の等価直径がマイクロスケールの場合は、レイノルズ数が小さいため安定な層流(図2−1では円筒層流)を形成する。このとき両層の溶媒は、その層間の安定界面を介して、拡散移動する。すると、有機化合物を含む溶液層において、徐々に有機化合物の溶解度が下がる。これにより有機化合物は溶解しにくくなり、不溶化して微粒子として析出する。
【0050】
マイクロスケールの流路中で生成した有機微粒子は、拡散せず一方の層流に含まれたまま出口へと流れるので、図3−1または図4に示されるように設計された出口を持つ流路装置を用いると、有機微粒子を含む層流を分離することができる。この方法を用いると、濃厚な有機微粒子分散液を得ることができると同時に、過剰な分散剤等を除去できるので有利である。また、最終的に2液が混合してしまうことにより、微粒子が粗大化したり、顔料の結晶が変質することを避けることができる。
【0051】
本発明の有機微粒子の製造方法において、流路内における反応温度は、用いる圧力において溶媒が凝固、あるいは気化しない範囲内であれば時に制限はないが、好ましくは、−20〜90℃、より好ましくは0〜50℃である。特に好ましくは5〜30℃である。
本発明の顔料微粒子の製造方法において、流路内を流れる流体の速度(流速)は、有利には0.1mL〜300L/hr、好ましくは0.2mL〜30L/hr、更に好ましくは0.5mL〜15L/hr、特に好ましくは1.0mL〜6L/hrである。
【0052】
本発明の有機微粒子の製造方法では、有機化合物を含む溶液の中、または/および溶解度変化させるための貧溶媒の中に分散剤を添加することができる。分散剤は(1)析出した有機微粒子表面に素早く吸着して、微細な粒子を形成し、かつ(2)これらの粒子が再び凝集することを防ぐ作用を有するものである。本発明の製造方法では、このような分散剤として、アニオン性、カチオン性、両イオン性、ノニオン性もしくは顔料性の低分子または高分子分散剤を使用することができる。これらの分散剤は、単独あるいは併用して使用することができる。
【0053】
アニオン性分散剤(アニオン性界面活性剤)としては、N−アシル−N−メチルタウリン塩、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等を挙げることができる。なかでも、N−アシル−N−メチルタウリン塩が好ましい。これらアニオン性分散剤は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0054】
カチオン性分散剤(カチオン性界面活性剤)には、四級アンモニウム塩、アルコキシル化ポリアミン、脂肪族アミンポリグリコールエーテル、脂肪族アミン、脂肪族アミンと脂肪族アルコールから誘導されるジアミンおよびポリアミン、脂肪酸から誘導されるイミダゾリンおよびこれらのカチオン性物質の塩が含まれる。これらカチオン性分散剤は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0055】
両イオン性分散剤は、前記アニオン性分散剤が分子内に有するアニオン基部分とカチオン性分散剤が分子内に有するカチオン基部分を共に分子内に有する分散剤である。
【0056】
ノニオン性分散剤(ノニオン性界面活性剤)としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステルなどを挙げることができる。なかでも、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルが好ましい。これらノニオン性分散剤は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0057】
有機化合物が有機顔料の場合、分散剤として顔料性分散剤を用いることができる。顔料性分散剤とは、親物質としての有機顔料から誘導され、その親構造を化学修飾することで製造される顔料性分散剤と定義する。例えば、糖含有顔料分散剤、ピペリジル含有顔料分散剤、ナフタレンまたはペリレン誘導顔料分散剤、メチレン基を介して顔料親構造に連結された官能基を有する顔料分散剤、ポリマーで化学修飾された顔料親構造、スルホン酸基を有する顔料分散剤、スルホンアミド基を有する顔料分散剤、エーテル基を有する顔料分散剤、あるいはカルボン酸基、カルボン酸エステル基またはカルボキサミド基を有する顔料分散剤などがある。
【0058】
高分子分散剤としては、具体的には、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアクリルアミド、ビニルアルコール−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール−部分ホルマール化物、ポリビニルアルコール−部分ブチラール化物、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロック共重合体、ポリアクリル酸塩、ポリビニル硫酸塩、ポリ(4−ビニルピリジン)塩、ポリアミド、ポリアリルアミン塩、縮合ナフタレンスルホン酸塩、スチレン−アクリル酸塩共重合物、スチレン−メタクリル酸塩共重合物、アクリル酸エステル−アクリル酸塩共重合物、アクリル酸エステル−メタクリル酸塩共重合物、メタクリル酸エステル−アクリル酸塩共重合物、メタクリル酸エステル−メタクリル酸塩共重合物、スチレン−イタコン酸塩共重合物、イタコン酸エステル−イタコン酸塩共重合物、ビニルナフタレン−アクリル酸塩共重合物、ビニルナフタレン−メタクリル酸塩共重合物、ビニルナフタレン−イタコン酸塩共重合物、セルロース誘導体、澱粉誘導体などが挙げられる。その他、アルギン酸塩、ゼラチン、アルブミン、カゼイン、アラビアゴム、トンガントゴム、リグニンスルホン酸塩などの天然高分子類も使用できる。なかでも、ポリビニルピロリドンが好ましい。これら高分子は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0059】
好ましい態様として、析出溶媒が水やアルコール系溶媒の場合、アニオン性分散剤を析出溶媒に含有させ、かつノニオン性分散剤および/または高分子分散剤を、有機化合物を溶解した溶液に含有させる態様を挙げることができる。また本発明の製造方法において、本発明の効果を害さなければ、有機化合物の溶液または析出溶媒中に、その他の化合物を添加することを妨げるものではない。
【0060】
分散剤の量は、有機微粒子の均一分散性および保存安定性をより一層向上させるために、有機化合物100質量部に対して0.1〜250質量部の範囲であることが好ましく、より好ましくは1〜100質量部の範囲である。
【0061】
微粒子の計測法において、数値化して集団の平均の大きさを表現する方法があるが、よく使用されるものとして、分布の最大値を示すモード径、積分分布曲線の中央置に相当するメジアン径、および各種の平均径(長さ平均、体積平均、面積平均、重量平均、個数平均など)がある。本発明の製造方法で製造される有機微粒子の粒径サイズは流路を閉塞しない範囲で任意であるが、メジアン径で1μm以下が好ましい。特に好ましくは3nm〜800nmである。
【0062】
微粒子の粒子サイズが揃っていること、すなわち微粒子の単分散性を表す指標としてPolydispersityがあり、これは体積平均径(MV)を個数平均径(MN)で除したものである。このMV/MN値が1に近ければ非常にシャープな分布を示し(いわゆる単分散)、値が大きくなれば幅広い分布となる。本発明の製造方法において、有機微粒子はこの値が1.2〜2.5であり、好ましくは1.2〜1.6である。
【0063】
本発明の有機微粒子の製造方法においては、層流を形成する条件下で流路を用いるフロー反応を行い、反応時間を制御し、さらに狭い空間での反応温度制御の精密さを利用して有機微粒子を製造することにより、従来の再沈法に比べて粒径が小さくかつ揃った有機微粒子を製造でき、また、従来のスケールアップとは異なりナンバリングアップ(装置の並列化)により再現性よく製造できることから製品化にかかる検討時間を激減できる。
【実施例】
【0064】
以下に本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例に示す粒径分布は日機装(株)社製のマイクロトラックUPA150で測定した。
【0065】
(実施例1)
例示化合物(I−1)の電荷輸送剤1.0gをテトラヒドロフラン100gに加熱攪拌して溶解し室温にもどし、これを0.45μmのミクロフィルター(富士写真フイルム社製)を通すことでごみ等の不純物を除きIA液とした。流路幅A;100μm、流路幅B;100μm、流路幅C;200μm、流路長F;12cm、流路深さH;40μmを有するガラスで作製した図1−1記載のY字型流路を有する反応装置(ガラスチップ)において、テフロン(登録商標)チューブ2本をコネクタを用いて導入口11、および導入口12に接続し、その先にそれぞれIA液とメタノールのみを入れたシリンジを繋ぎ、ポンプにセットした。排出口14にもコネクタを用いてテフロン(登録商標)チューブを接続した。室温(約20℃)下、IA液を20μL/min、メタノールを200μL/minの送液速度にて送り出すと層流を形成し、流路13C内で例示化合物(I−1)の微粒子分散液が得られたので、1時間継続してこれをチューブの先端より捕集した。得られた分散液中の微粒子の粒径分布を、動的光散乱粒径測定装置を用いて測定したところ、メジアン径は30nmであった。また単分散性の指標であるMV/MN値は1.40であった。
【0066】
上記の反応で用いたガラスチップを10枚並べ、2つのシリンジの先に10個に分流できるマニホールドをつけ、各ガラスチップの導入口11、12に送液した。室温(約20℃)下、IA液を200μL/min、メタノールを2000μL/minの送液速度にて送り出すと層流を形成し、各チップの流路13C内で例示化合物(I−1)の微粒子分散液が得られたので、これを10個の排出口14に付けたチューブの先端より、1時間継続してまとめて捕集した。これにより単位時間あたりの生産量は10倍になった。得られた分散液中の微粒子の粒径分布を、動的光散乱粒径測定装置を用いて測定したところ、メジアン径は31nmであり、また単分散性の指標であるMV/MN値は1.39であった。スケールアップしたことにより粒径分布の変動はほとんど観測されなかった。
【0067】
(比較例1)
実施例1で調製したIA液1.2mlをメタノール12mlの中に激しく攪拌しながら1時間かけて滴下した。これの粒径分布を動的光散乱粒径測定装置を用いて測定したところ、メジアン径は45nmであった。また単分散性の指標であるMV/MN値は1.60であった。
【0068】
次に、上記の反応を10倍にスケールアップした。すなわちIA液12mlをメタノール120mlの中に1時間かけて滴下した。得られた分散液の粒径分布を動的光散乱粒径測定装置を用いて測定したところ、メジアン径は57nmであり、また単分散性の指標であるMV/MN値は1.75であった。スケールアップしたことにより粒径分布の変動は大きくなった。
【0069】
(実施例2)
例示化合物(II−1)のシアニン色素1.0gを2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール100gに室温で溶解した(IIA液)。これらを0.45μmのミクロフィルター(富士写真フイルム社製)を通すことでごみ等の不純物を除いた。流路幅I、J、L,M;100μm、流路幅K;200μm、流路流路長Q;10cm、流路深さS;40μmを有するガラスで作製した図3−1記載の出口分離型Y字流路を有する反応装置(ガラスチップ)において、テフロン(登録商標)チューブ2本をコネクタを用いて導入口31、および導入口32に接続し、その先にそれぞれIIA液と酢酸エチルのみを入れたシリンジを繋ぎ、ポンプにセットした。排出口34,35にもコネクタを用いてテフロン(登録商標)チューブを接続した。室温(約20℃)下、IIA液を20μL/min、酢酸エチルを200μL/minの送液速度にて送り出すと層流を形成し、流路33C内で例示化合物(II−1)の微粒子が流路Q中で生成し、層流を維持したまま33eに到達し、微粒子を含む液のほとんどは排出口34から排出された。この液を1時間継続してチューブの先端より捕集した。得られた分散液中の微粒子の粒径分布を動的光散乱粒径測定装置を用いて測定したところ、メジアン径は50nmであった。また単分散性の指標であるMV/MN値は1.30であった。
【0070】
上記の反応で用いたガラスチップを10枚並べ、2つのシリンジの先に10個に分流できるマニホールドをつけ、各ガラスチップの導入口31、32に送液した。室温(約20℃)下、IIA液を200μL/min、酢酸エチルを2000μL/minの送液速度にて送り出すと層流を形成し、各チップの流路33C内で例示化合物(II−1)の微粒子分散液が得られたのでこれを10個の排出口14に付けたチューブの先端よりまとめて捕集した。これにより単位時間あたりの生産量は10倍になった。得られた分散液中の微粒子の粒径分布を、動的光散乱粒径測定装置を用いて測定したところ、メジアン径は49nmであり、また単分散性の指標であるMV/MN値は1.31であった。スケールアップしたことによる粒径分布の変動はほとんど観測されなかった。
【0071】
(比較例2)
実施例2で調製したIIA液1.2mlを酢酸エチル12mlの中に激しく攪拌しながら1時間かけて滴下した。これの粒径分布を動的光散乱粒径測定装置を用いて測定したところ、メジアン径は66nmであった。また単分散性の指標であるMV/MN値は1.40であった。
【0072】
次に、上記の反応を10倍にスケールアップした。すなわちIIA液12mlを酢酸エチル120mlの中に1時間かけて滴下した。得られた分散液の粒径分布を動的光散乱粒径測定装置を用いて測定したところ、メジアン径は75nmであり、また単分散性の指標であるMV/MN値は1.65であった。スケールアップしたことにより粒径分布の変動は大きくなった。
【0073】
(実施例3)
2,9−ジメチルキナクリドン(ピグメントレッド122)0.01gをN−メチルピロリドン10mLに超音波を用いて溶解し、その中に高分子分散剤ポリビニルピロリドン(K30)0.05gを加え室温で混合した。この液はやや濁っていたが、0.45μmのミクロフィルター(富士写真フイルム社製)を通し、均一溶媒としてIIIA液を得た。流路直径D;100μm、流路直径E;400μm、流路長G;20cmを有する図2−1記載の円筒流路を有する反応装置において、流路長Gの部分を25℃に保てるように定温水を循環できるジャケットを装着した。そしてテフロン(登録商標)チューブ2本をコネクタを用いて導入口21、および導入口22に接続した。導入口21に上記IIIA液を入れたシリンジを繋ぎ、シリンジポンプにセットした。導入口22に界面活性剤N−オレイル−N−メチルタウリンナトリウム塩の0.1重量%水溶液(IIIB液)を入れたシリンジを繋ぎ、シリンジポンプにセットした。導入口21から1.0ml/h、導入口22から10.0ml/hの送液速度にて送り出して層流を形成し、排出口24より得られる2,9−ジメチルキナクリドン微粒子の分散液を1時間継続して捕集した。得られた分散液中の微粒子の粒径分布を、動的光散乱粒径測定装置を用いて測定したところ、メジアン径は20nmであり、また単分散性の指標であるMV/MN値は1.42であった。
【0074】
上記の反応で用いた円筒流路装置を10枚並べ、2つのシリンジの先に10個に分流できるマニホールドをつけ、各装置の導入口21、22に送液した。25℃に各流路長Gを保ち、IIIA液を10ml/h、IIIB液を100ml/hの送液速度にて送り出して層流を形成し、各装置の排出口24から得られる2,9−ジメチルキナクリドンの微粒子分散液を一つにまとめて1時間継続して捕集した。これにより単位時間あたりの生産量は10倍になった。得られた分散液中の微粒子の粒径分布を、動的光散乱粒径測定装置を用いて測定したところ、メジアン径は21nmであり、また単分散性の指標であるMV/MN値は1.41であった。スケールアップしたことによる粒径分布の変動はほとんど観測されなかった
【0075】
(比較例3)
実施例3で調製したIIIA液1mlをIIIB液10mlの中に激しく攪拌しながら1時間かけて滴下した。これの粒径分布を動的光散乱粒径測定装置を用いて測定したところ、メジアン径は25nmであった。また単分散性の指標であるMV/MN値は1.44であった。
【0076】
次に、上記の反応を10倍にスケールアップした。すなわちIIIA液10mlをIIIB液100mlの中に1時間かけて滴下した。得られた分散液の粒径分布を動的光散乱粒径測定装置を用いて測定したところ、メジアン径は35nmであり、また単分散性の指標であるMV/MN値は1.70であった。スケールアップしたことにより粒径分布の変動は大きくなった。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1−1】片側にY字型流路を有する反応装置の説明図である。
【図1−2】図1−1のI−I線の断面図である。
【図2−1】片側に挿通した流路を設けた円筒管型流路を有する反応装置の説明図である。
【図2−2】図2−1のIIa−IIa線の断面図である。
【図2−3】図2−1のIIb−IIb線の断面図である。
【図3−1】両側にY字型流路を有する反応装置の説明図である。
【図3−2】図3−1のIII−III線の断面図である。
【図4】両側に挿通した流路を設けた円筒管型流路を有する反応装置の説明図である。
【符号の説明】
【0078】
10、20、30、40 反応装置本体
11、12、21、22、31、32、41、42 導入口
13、33 流路
13a、13b、23a、23b、33a、33b、43a、43b 導入流路
13c、23c、33c、43c 反応流路
13d、23d、33d、43d 流体合流点
33e、43e 流体分流点
33f、33g、43f、43g 排出流路
14、24、34、35、44、45 排出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機化合物の溶液を層流とし、その層流過程で有機化合物を不溶化析出させることを特徴とする有機微粒子の製造方法。
【請求項2】
層流過程で微粒子を析出させるに際し、前記有機化合物の溶液に対し、前記溶液のものと異種でかつ該溶液中に少なくとも一部が拡散可能な溶媒を接触させることを特徴とする請求項1記載の有機微粒子の製造方法。
【請求項3】
前記の有機化合物の溶液に少なくとも一部が拡散可能な溶媒が、前記有機化合物に対する貧溶媒であることを特徴とする請求項2記載の有機微粒子の製造方法。
【請求項4】
前記有機化合物の溶液および前記貧溶媒のいずれか一方、または両方に、分散剤を少なくとも1種含有させたことを特徴とする請求項3記載の有機微粒子の製造方法。
【請求項5】
前記有機化合物が有機色素化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機微粒子の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法で製造された有機微粒子。
【請求項7】
前記有機微粒子がその分散液として得られることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機微粒子分散液の製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法で製造された有機微粒子分散液。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図2−3】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−263538(P2006−263538A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−83421(P2005−83421)
【出願日】平成17年3月23日(2005.3.23)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】