説明

有機性廃棄物の処理方法及び処理設備

【課題】 可溶化成分を含む処理液の流入による生物処理設備へのアンモニア、リン負荷を増大させることなく、汚泥の減容化を可能とする有機性廃棄物の処理方法及び処理設備を提供する。
【解決手段】 有機性廃棄物20を生物処理する生物処理設備12と、該生物処理後の生物処理液21を可溶化して可溶化汚泥23を得る可溶化設備13と、を備えるとともに、前記可溶化後の可溶化成分を含む処理液の少なくとも一部を、前記生物処理設備12、若しくは該生物処理設備12より上流側に返送する返送ラインを備えた有機性廃棄物の処理設備において、前記可溶化汚泥23の他の一部を固液分離して分離液24と分離汚泥25を得る固液分離装置14と、該分離液24の窒素除去を行う窒素除去装置18と、を備え、前記窒素除去装置18が前記分離液24中に次亜塩素酸36を供給する次亜塩素酸供給手段30を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機性廃棄物を生物処理する技術に関し、特に、生ごみ、食品加工残渣、家畜糞尿等の有機性固形物を多く含む高濃度の有機性廃棄物であっても、可溶化処理を備えることにより効率良く生物処理し、汚泥減容化を達成できる有機性廃棄物の処理方法及び処理設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、有機性廃棄物の処理方法として、環境負荷が小さく且つ比較的低コストで処理を行うことができることから生物処理が広く用いられている。生物処理は、微生物の分解作用により有機性廃棄物中の汚濁物質を分解、除去する方法であり、例えば、活性汚泥法、メタン発酵法、生物学的脱窒素法等が挙げられる。
生物処理を用いた一般的な処理プロセスを図7に示す。この処理プロセスでは、まず前処理設備11にて大径の有機性廃棄物20の破砕・夾雑物除去等を行った後に、生物処理設備12にて前記有機性廃棄物20に含有されるSS、BOD等を分解除去して生物処理液21を得る。そして、該生物処理液21を可溶化設備13にて可溶化し、可溶化汚泥23の少なくとも一部を前記生物処理設備12若しくは前記前処理設備11に返送する。前記可溶化汚泥21の他の一部は固液分離装置14にて固液分離し、固液分離液24は凝集分離装置16にて凝集剤の添加により凝集分離し、凝集分離液26は活性炭吸着等の高度処理を施し、処理液28として放流する。一方、固液分離汚泥25及び凝集分離汚泥27は、汚泥処理設備17に導入され、焼却、堆肥化等の処理がなされる。
【0003】
このような生物処理を備えた処理プロセスにおいては、汚泥発生量が多く、汚泥処理設備が大型化し処理費用が嵩むため、汚泥の減容化が求められている。そこで、生物処理後の生物処理液を可溶化処理して汚泥発生量を低減する方法が、提案、実用化されている。可溶化処理は、オゾン酸化、加熱、アルカリ添加等の方法によって消化汚泥中の有機物を低分子化し、生物処理での有機物分解率を向上させて汚泥の減容化を図るものである。
例えば特許文献1(特開平9−122682号公報)には、汚水を最初沈殿池にて固液分離し、分離した有機性SSを活性汚泥法により生物処理し、該生物処理からの活性汚泥を固液分離して生物処理液を得る汚水処理方法が開示されており、この処理方法では、最初沈殿池にて分離した生汚泥と前記生物処理から引き抜かれた生物汚泥をメタン発酵させた後、オゾン酸化し、前記生物処理に返送するようにしている。
この方法によれば、メタン発酵後の消化汚泥をオゾン酸化して汚泥中の有機物を可溶化した後に生物処理するため、汚泥の減容化が達成できるとともに処理液性状を向上させることが可能である。
【0004】
また、特許文献2(特開2003−88895号公報)では、有機性廃棄物をメタン発酵させ、該メタン発酵により発生した消化汚泥をオゾン酸化して可溶化した後に、可溶化汚泥を固液分離し、分離した分離液を廃水処理するとともに、前記可溶化汚泥の一部をメタン発酵槽に返送する方法が開示されている。
このように、メタン発酵後の消化汚泥中に含有される難分解性物質をオゾン酸化により可溶化し、再びメタン発酵させることでメタン発酵の分解効率を向上させることが可能となる。
【0005】
【特許文献1】特開平9−122682号公報
【特許文献2】特開2003−88895号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の可溶化を備えた生物処理においては、汚泥の可溶化の過程でアンモニア性窒素が生成され、メタン発酵槽のアンモニア阻害や生物学的脱窒素処理設備に流入する汚濁物負荷が増加し、処理困難性を引き起こす惧れがある。
また、汚泥の可溶化の過程で、溶解性のリン酸態リンが生成され、生物処理及び凝集分離設備において、リン負荷が増大し、設備が大型化するとともに凝集剤使用量が増加するという問題もある。
さらに、可溶化による効果として汚泥発生量は低減できるが、凝集汚泥は増加してしまうという問題もある。
従って、本発明は上記従来技術の問題点に鑑み、可溶化成分を含む処理液の流入による生物処理設備へのアンモニア、リン負荷を増大させることなく、汚泥の減容化を可能とする有機性廃棄物の処理方法及び処理設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明はかかる課題を解決するために、有機性廃棄物を生物処理する生物処理工程と、該生物処理後の生物処理液を可溶化して可溶化汚泥を得る可溶化工程と、を備え、前記可溶化工程後の可溶化成分を含む処理液の少なくとも一部を、前記生物処理工程、若しくは該生物処理工程より上流側に返送するようにした有機性廃棄物の処理方法において、
前記可溶化工程にて、前記可溶化汚泥に次亜塩素酸を供給し、該次亜塩素酸により窒素成分を除去するとともに可溶化を促進するようにしたことを特徴とする。
【0008】
本発明は、前記可溶化工程により生物処理液中に含有される有機物を低分子化し、該低分子化した可溶化成分を含む処理液の少なくとも一部を、前記生物処理工程、若しくは該生物処理工程より上流側に返送する構成より、生物処理が効率良く行われ、汚泥発生量を低減することができる。前記可溶化成分を含む処理液とは、前記可溶化汚泥、該可溶化汚泥を固液分離した分離液等の可溶化工程より後段側に配置される処理工程から排出される処理液をいう。また、前記生物処理とは、微生物の作用により処理液中の汚濁物質を分解除去する処理であり、例えば、活性汚泥処理、メタン発酵処理、生物学的脱窒素処理などが挙げられる。
また、本発明によれば、前記可溶化汚泥に次亜塩素酸を供給する構成であるため、生物処理液中に含有されるアンモニア性窒素が次亜塩素酸との反応により分解し、窒素ガスとして無害化することができるともに、次亜塩素酸の酸化作用により可溶化が促進される。
さらに、前記生物処理工程がメタン発酵処理である場合、アンモニア性窒素を除去した可溶化処理液がメタン発酵槽に返送されることで、メタン発酵槽内のアンモニア性窒素濃度が希釈により低減され、アンモニア阻害の防止を図ることができる。
さらにまた、前記生物処理工程が硝化脱窒素処理である場合、アンモニア性窒素を除去した可溶化処理液が硝化脱窒素処理設備に返送されることで、生物処理における窒素負荷を低減できるとともに、C/N比が増加することで、メタノールなどの栄養分添加量を低減することができる。
【0009】
また、有機性廃棄物を生物処理する生物処理工程と、該生物処理後の生物処理液を可溶化して可溶化汚泥を得る可溶化工程と、を備え、前記可溶化工程後の可溶化成分を含む処理液の少なくとも一部を、前記生物処理工程、若しくは該生物処理工程より上流側に返送するようにした有機性廃棄物の処理方法において、
前記可溶化汚泥を固液分離して分離液と分離汚泥を得る固液分離工程と、該分離液に次亜塩素酸を供給して窒素除去を行う窒素除去工程と、を設け、前記窒素除去した処理液の少なくとも一部を前記返送するようにしたことを特徴とする。
本発明によれば、上記した効果と同様の効果を得られるとともに、前記可溶化汚泥を固液分離したSS濃度の低い分離液を、前記生物処理工程、若しくは該生物処理工程より上流側に返送するようにしたため、生物処理の負荷を軽減することが可能である。
【0010】
またこれらの発明において、前記次亜塩素酸が、塩素含有溶液を電気分解することにより生成されることが好ましい。前記塩素含有溶液は、外部より供給した溶液であっても良いが、前記可溶化汚泥若しくは前記固液分離液であることが好適である。
このように、前記可溶化汚泥若しくは前記分離液を電気分解して次亜塩素酸を生成することにより、外部から次亜塩素酸を供給する必要がなく、処理対象中に含有される物質を有効利用でき、コスト削減にもつながる。
【0011】
さらにまた、これらの発明において、前記可溶化工程或いは前記窒素除去工程などの前記次亜塩素酸を供給する工程より後段側に、処理液中のリン成分を分離、回収するリン回収工程を設けるようにしても良く、このとき該リン回収工程は、鉄電解によりリンを回収する工程であることが好適である。
このように、処理過程で発生したリン酸態リンを不溶化ないしは、回収することで、後段の凝集分離設備を小型化若しくは不要化することができるとともに、次亜塩素酸の供給により、遊離塩素、結合塩素が残留した場合でも鉄イオンによる還元作用により、一部無害化されるためである。
【0012】
さらに、有機性廃棄物を生物処理する生物処理工程と、該生物処理後の生物処理液を可溶化して可溶化汚泥を得る可溶化工程と、を備え、前記可溶化工程後の可溶化成分を含む処理液の少なくとも一部を、前記生物処理工程、若しくは該生物処理工程より上流側に返送するようにした有機性廃棄物の処理方法において、
前記可溶化工程の後段側に、前記処理液中のリン成分を分離、回収するリン回収工程を設けたことを特徴とする。
本発明によれば、前記可溶化工程により、発生したリン酸態リンを不溶化ないしは、回収することで、後段の凝集分離設備を小型化若しくは不要化することができる。
【0013】
さらにまた、前記可溶化工程と前記リン回収工程との間に、前記可溶化汚泥を固液分離して分離液と分離汚泥を得る固液分離工程を設け、前記分離液を前記リン回収工程に導入するようにしたことを特徴とする。
これにより、SS濃度の低い分離液がリン回収工程に導入されるため、リン回収効率が向上する。
【0014】
また、有機性廃棄物を生物処理する生物処理装置と、該生物処理後の生物処理液を可溶化して可溶化汚泥を得る可溶化装置と、を備えるとともに、前記可溶化後の可溶化成分を含む処理液の少なくとも一部を、前記生物処理装置、若しくは該生物処理装置より上流側に返送する返送ラインを備えた有機性廃棄物の処理設備において、
前記可溶化装置に次亜塩素酸を供給する次亜塩素酸供給手段を設け、該次亜塩素酸により窒素成分を除去するとともに可溶化を促進するようにしたことを特徴とする。
【0015】
また、有機性廃棄物を生物処理する生物処理装置と、該生物処理後の生物処理液を可溶化して可溶化汚泥を得る可溶化装置と、を備えるとともに、前記可溶化後の可溶化成分を含む処理液の少なくとも一部を、前記生物処理装置、若しくは該生物処理装置より上流側に返送する返送ラインを備えた有機性廃棄物の処理設備において、
前記可溶化汚泥を固液分離して分離液と分離汚泥を得る固液分離装置と、該分離液の窒素除去を行う窒素除去装置と、を備え、前記窒素除去装置が前記分離液中に次亜塩素酸を供給する次亜塩素酸供給手段を有することを特徴とする。
さらに、前記次亜塩素酸供給手段が、塩素含有溶液が導入される電解槽と、該電解槽内の溶液に浸漬され、電源に接続された陽極と陰極を有する電解装置からなり、前記陽極と前記陰極間に通電することにより電気分解を行い、前記次亜塩素酸を発生させる構成であることが好ましい。
電解の処理液の少なくとも一部は、前記生物処理装置、若しくは該生物処理装置より上流側に返送される為、電解槽にて、副生成物として陰極で製造される、Hガスは、生物処理にて脱窒素の栄養源もしくは、メタンガス発生の原料として利用することができる。
また、これらの処理設備において、前記次亜塩素酸供給手段を備えた装置(可溶化装置若しくは窒素除去装置)の後段側に、処理液中のリン成分を分離、回収するリン回収装置を設けるようにしても良く、このとき、該リン回収装置は、鉄電解装置であることが好ましい。
【0016】
また、有機性廃棄物を生物処理する生物処理装置と、該生物処理後の生物処理液を可溶化して可溶化汚泥を得る可溶化装置と、を備えるとともに、前記可溶化後の可溶化成分を含む処理液の少なくとも一部を、前記生物処理装置、若しくは該生物処理装置より上流側に返送する返送ラインを備えた有機性廃棄物の処理設備において、
前記可溶化装置の後段側に、前記処理液中のリン成分を分離、回収するリン回収装置を設けたことを特徴とする。
さらに、前記可溶化装置と前記リン回収装置との間に、前記可溶化汚泥を固液分離して分離液と分離汚泥を得る固液分離装置を設け、前記分離液を前記リン回収装置に導入する構成としたことを特徴とする。
【0017】
さらにまた、前記リン回収装置が、鉄電解装置、MAP(リン酸マグネシウムアンモニウム)回収装置、ヒドロキシアパタイト回収装置のうち少なくとも何れか一であることを特徴とする。
これは、前記生物処理装置をメタン発酵槽とするとともに、前記リン回収装置として鉄電解装置を用いた場合、可溶化汚泥に鉄が混入した状態でメタン発酵槽に返送されることで、メタン発酵槽内における硫化水素の発生を抑制することができる。さらに、不溶化されたリンは最終的には汚泥処理設備へ投入されるが、汚泥処理設備にてコンポスト化する場合は、肥効成分であるリンと鉄を豊富に含む良質なコンポストが製造できる。
鉄イオンには、COD、色度の低減効果も有り、凝集分離装置の凝集剤使用量、高度処理装置における活性炭使用量低減が期待できる。
鉄電解槽の処理液の少なくとも一部は、前記生物処理装置、若しくは該生物処理装置より上流側に返送される為、鉄電解装置において、副生成物として陰極で製造される、Hガスは、生物処理にて脱窒素の栄養源もしくは、メタンガス発生の原料として利用することができる。
また、MAP回収、ヒドロキシアパタイト回収を行った場合は、リンを有価物回収することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上記載のごとく本発明によれば、可溶化設備を設けることにより発生する問題を解消し、生物処理の効率化及び汚泥減容化が達成できる。
即ち、可溶化工程(装置)に次亜塩素酸を供給する構成としたため、可溶化が促進されるとともに、可溶化により発生するアンモニア性窒素を除去することができ、生物処理におけるアンモニア阻害若しくは負荷増大を回避できる。
また、可溶化工程(装置)の後段側にて窒素除去を行うようにしたため、同様に可溶化により発生するアンモニア性窒素を除去でき、生物処理におけるアンモニア阻害若しくは負荷増大を回避できる。
さらに、可溶化工程(装置)の後段側にてリン回収を行うようにしたため、可溶化によるリン負荷の増大を防止し、汚泥の減容化を可能とする設備を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
本実施例の処理対象としては、例えば、生ごみ、食品加工残渣、畜産廃棄物、及び下水処理等の水処理により発生する汚泥などの有機性廃棄物が挙げられるが、本実施例では何れも可溶化設備を備えた構成であるため、高濃度の有機性廃棄物の処理において特に好適に用いられる。
図1は本発明の実施例1に係る処理設備の概略を示すフロー図、図2は図1の次亜塩素酸供給手段の一例を示す構成図、図3は本発明の実施例2に係る処理設備の概略を示すフロー図、図4は本発明の実施例3に係る処理設備の概略を示すフロー図、図5は図4のリン回収設備の一例を示す構成図、図6は本発明の実施例4に係る処理設備の概略を示すフロー図である。
【実施例1】
【0020】
図1に示すように本実施例1に係る有機性廃棄物の処理設備は、ライン上流から下流に向かって、有機性廃棄物20が投入される前処理設備11と、前処理された有機性廃棄物が導入され、生物処理を行って生物処理液21を得る生物処理設備12と、該生物処理液21を可溶化して可溶化汚泥23を得る可溶化設備13と、該可溶化汚泥を固液分離して固液分離液24と固液分離汚泥25を得る固液分離装置14と、該固液分離液24を凝集分離して凝集分離液26と凝集分離汚泥27を得る凝集分離装置15と、該凝集分離液26を高度処理して処理液28を得る高度処理装置16と、前記固液分離汚泥25と前記凝集分離汚泥27とを処理する汚泥処理設備17と、を備えている。
【0021】
前記前処理設備11は、大径の有機性廃棄物を破砕する破砕手段、及び夾雑物等を除去する分別手段等からなる。
前記生物処理設備12は、微生物の作用により有機物を分解し、有機性廃棄物20に含有されるSS、BOD、窒素成分等を除去する設備であり、活性汚泥方式、メタン発酵方式、生物学的脱窒素方式などの何れの方法でも適用できる。
前記可溶化設備13は、物理化学的可溶化、生物学的可溶化、機械的可溶化等の何れの方法でも良く、例えばオゾン酸化手段、超音波手段、水熱を含む加熱手段、溶菌酵素供給手段、キャビテーション発生手段、酸化剤添加手段、電気分解手段、アルカリ剤添加手段、機械的せん断・摩擦手段等が挙げられ、これらの少なくとも1若しくは2以上を組み合わた手段を有する。好適には、前記可溶化設備13は、生物処理液21のコロイド化工程と、コロイド状物質の液状化工程とからなる2工程を備えていると良く、さらに好ましくは、コロイド化工程にてオゾン酸化を行い生物処理液をコロイド化した後に、液状化工程にてコロイド状物質中にキャビテーションを発生させて液状化すると良い。
【0022】
前記固液分離装置14は、前記可溶化汚泥23を固液分離液24と固液分離汚泥25とに分離する装置であり、重力沈降方式、遠心分離方式、膜分離方式、凝集分離方式、浮上分離方式等が用いられる。
前記凝集分離装置15は、凝集剤を添加することにより溶解性汚濁物質を沈降除去する装置であり、前記凝集剤としては、無機凝集剤、高分子凝集剤等が用いられる。
前記高度処理装置16としては活性炭吸着塔等が挙げられ、前記凝集分離後の分離液26が放流基準に満たない場合に必要に応じて設置すると良い。
前記汚泥処理設備17は、前記分離汚泥26の脱水、乾燥、焼却、堆肥化等を行なう設備である。
【0023】
さらに、本実施例の特徴的な構成として、前記可溶化設備13に次亜塩素酸を供給する次亜塩素酸供給手段30を備えている。
前記次亜塩素酸供給手段30は、次亜塩素酸を貯留する貯留タンクと、該貯留された次亜塩素酸を適宜、所定量ずつ前記可溶化設備13に供給するポンプとを備えた構成としても良いし、又、電解装置を備え、該電解装置にて塩素含有溶液を電気分解することにより生成した次亜塩素酸を所定量ずつ前記可溶化設備13に供給する構成であっても良い。前記塩素含有溶液は、外部から供給する溶液であっても良いが、好適には前記可溶化設備13から可溶化汚泥を引き抜き、前記電解装置内に導入する。
前記電解装置の一例を図2に示す。同図に示されるように、前記次亜塩素酸供給手段30を構成する電解装置31は、前記塩素含有溶液を受け入れる電解槽32と、該電解槽32の溶液内に浸漬されるように対向配置された陽極33と陰極34からなる電極と、該電極に接続される電源装置35と、を有している。
【0024】
そして、各電極での代表的な反応として、溶液中に含有される塩素イオン、水及び硝酸イオンにより下記の反応が引き起こされる。
(陽極) 2Cl → Cl+2e
Cl+HO → HClO+HCl
(陰極) NO+6HO+8e → NH+9OH
2HO+2e → 2OH+H
陽極では塩素が発生し、さらにその塩素が水と反応し、強力な酸化力を有する次亜塩素酸(HClO)が生成される。一方、陰極では溶液中に硝酸イオンが含まれる場合は、アンモニアへ還元される。また、硝酸イオンが含まれない場合は、水の電解により水素が発生する。前記次亜塩素酸36を含む溶液は前記可溶化設備13に導入され、該可溶化設備13にて、可溶化汚泥中に存在するアンモニア性窒素は下記反応式により反応し、窒素ガスとして除去される。
2NH+3HClO → N↑+3HCl+3H
また、前記次亜塩素酸36は、その酸化作用により可溶化を促進する作用も有する。
尚、前記電解装置31では、電極の付着物質を除去するために、一定時間毎に逆電圧をかけたり、処理を停止して洗浄したりして電解効率を維持することが好ましい。
前記可溶化設備13から引き抜いた可溶化汚泥を前記電解装置31に導入する場合には、希釈水や、後段の固液分離装置14からの分離液24、若しくは凝集分離装置15からの分離液26等により可溶化汚泥を希釈して導入するようにしても良い。
【0025】
以上の構成を有する処理設備について、その作用を処理方法とともに説明する。
まず、有機性廃棄物20を前処理設備11に投入し、該前処理設備11にて夾雑物除去、破砕・分別処理等の前処理を行なった後に前記生物処理設備12に供給し、該生物処理設備12内にて微生物の分解作用により廃棄物中のSS、BOD、窒素成分等を除去して生物処理液21を得る。そして、該生物処理液21を可溶化設備13に導入し、該可溶化設備13にて各種可溶化手段により処理液を可溶化するとともに、次亜塩素酸供給手段30により前記可溶化設備13に次亜塩素酸を供給し、該次亜塩素酸の酸化作用により有機物の低分子化を促進させるとともに窒素除去を行い、可溶化汚泥23を得る。
前記可溶化汚泥23の少なくとも一部は、前記生物処理設備12若しくは前記前処理設備11に返送し、他の一部は固液分離装置14に導入して分離液24と分離汚泥25を得る。該分離液24は、凝集分離装置15にて凝集剤の添加により凝集分離し、分離液26と汚泥27を得る。該分離液27は高度処理装置16にて高度処理を行い、浄化された処理液28として放流する。一方、前記分離汚泥25、27は汚泥処理設備17に送給し、該汚泥処理設備17にて焼却、堆肥化等の処理を行う。
【0026】
本実施例によれば、前記可溶化設備13に次亜塩素酸36を供給することにより、発生したアンモニア性窒素を次亜塩素酸36との反応により分解し、窒素ガスとして無害化することができるとともに、次亜塩素酸36の酸化作用により可溶化をさらに促進することができる。
また、前記生物処理設備12にてメタン発酵を行う場合、次亜塩素酸36との反応によりアンモニア性窒素を除去した可溶化汚泥23がメタン発酵槽に返送されるため、メタン発酵槽内のアンモニア性窒素濃度が希釈により低減され、アンモニア阻害の防止を図ることができる。
前記生物処理設備12にて硝化脱窒素処理を行う場合、アンモニア性窒素を除去した可溶化汚泥23が硝化脱窒素処理設備に返送されることで、硝化脱窒素処理設備における窒素負荷が低減できるとともに、C/N比が増加することで、メタノールなどの栄養分添加量を低減することができる。
このように本実施例によれば、可溶化設備13に次亜塩素酸36を供給することにより、可溶化汚泥23の流入による生物処理設備12でのアンモニア負荷を増大させることなく汚泥の減容化が可能となる。
【実施例2】
【0027】
図3に本実施例2に係る有機性廃棄物の処理設備の概略フローを示す。以下、本実施例2及び実施例3において、前記実施例1と略同様の構成についてはその詳細な説明を省略する。
本実施例2に係る処理設備は、ライン上流から下流に向かって、有機性廃棄物20が投入される前処理設備11と、前処理された有機性廃棄物が導入され、生物処理を行って生物処理液21を得る生物処理設備12と、該生物処理液21を可溶化して可溶化汚泥23を得る可溶化設備13と、該可溶化汚泥を固液分離して固液分離液24と固液分離汚泥25を得る固液分離装置14と、該固液分離液24から窒素除去する窒素除去装置18と、窒素除去した処理液29を凝集分離して凝集分離液26と凝集分離汚泥27を得る凝集分離装置15と、該凝集分離液26を高度処理して処理液28を得る高度処理装置16と、前記固液分離汚泥25と前記凝集分離汚泥27とを処理する汚泥処理設備17と、を備え、前記窒素除去装置18から排出される処理液29の少なくとも一部を、前記生物処理設備12若しくは前記前処理設備11に返送する構成とする。
【0028】
前記窒素除去装置18は、次亜塩素酸供給手段30を備えている。該次亜塩素酸供給手段30は、前記実施例とほぼ同様の構成とし、次亜塩素酸を外部より添加する構成としても良いし、電解装置を具備し、塩素含有溶液、好適には前記窒素除去装置18から引き抜いた処理液の一部を電解装置内に導入し、電気分解することにより次亜塩素酸を生成し、前記窒素除去装置18に戻す構成としても良い。
前記固液分離装置14にて固液分離された固液分離液24は、前記窒素除去装置18に導入され、該窒素除去装置18にて次亜塩素酸36の供給によりアンモニア性窒素が窒素ガスとして除去され、無害化される。
このように、固液分離液24を窒素除去装置18に導入する構成とすることにより、SS濃度の低い分離液が生物処理に返送されるため、生物処理の負荷を軽減することが可能である。
【実施例3】
【0029】
図4に本実施例3に係る有機性廃棄物の処理設備の概略フローを示す。
本実施例3に係る処理設備は、ライン上流から下流に向かって、有機性廃棄物20が投入される前処理設備11と、前処理された有機性廃棄物が導入され、生物処理を行って生物処理液21を得る生物処理設備12と、該生物処理液21を可溶化して可溶化汚泥23を得る可溶化設備13と、該可溶化汚泥からリンを回収するリン回収設備40と、リン成分が除かれた処理液22を固液分離して固液分離液24と固液分離汚泥25を得る固液分離装置14と、前記固液分離液24を凝集分離して凝集分離液26と凝集分離汚泥27を得る凝集分離装置15と、該凝集分離液26を高度処理して処理液28を得る高度処理装置16と、前記固液分離汚泥25と前記凝集分離汚泥27とを処理する汚泥処理設備17と、を備え、前記リン回収設備40にて得られた処理液22の少なくとも一部を、前記生物処理設備12若しくは前記前処理設備11に返送する構成となっている。
【0030】
前記リン回収設備40は、前段側に設けられた可溶化設備13にて発生したリン酸態リンを不溶化ないしは回収する設備である。該リン回収設備40としては、生物学的方法、凝集沈殿法、晶析法、吸着法等の何れの方法を用いることもできるが、特に、本実施例では凝集沈殿法若しくは晶析法が好ましい。
前記凝集沈殿法としては、硫酸バンド、塩化鉄(III)等の無機凝集剤、又は高分子凝集剤など周知の凝集剤を単独或いは併用して用い、リン酸態リンを不溶化して処理液より沈降分離する。好適には、前記リン回収設備40が鉄電解装置を備え、溶出した鉄イオンによってリン酸態リンを凝集させる方法であると良い。
前記晶析法としては、処理液中のリン酸イオン(PO3−)をヒドロキシアパタイト(Ca(POOH)として晶析させて分離し、晶析物として回収する方法(参考文献;特開平11−309464号公報)、又は処理液中のリン酸イオンをMAP(リン酸マグネシウムアンモニウム;MgHPO)として晶析させて分離し、晶析物として回収する方法(参考文献;特開2004−290862号公報)等が挙げられる。
【0031】
ここで、リン回収設備40の具体的な構成の一例を図5に示す。同図に示されるように、前記リン回収設備40は、鉄電解装置41と、凝集剤タンク46と、凝集沈殿槽47と、から構成され、前記鉄電解装置41は前記可溶化汚泥23を受け入れる電解槽42と、該電解槽42内の可溶化汚泥23に浸漬されるように、対向配置された陽極43と陰極44からなる電極と、該電極に接続される電源装置45と、を有している。このとき前記陽極43は、鉄電極とする。前記電解槽42に導入される可溶化汚泥23は、希釈水若しくは前記固液分離装置14からの分離液24、前記凝集沈殿装置15からの分離液26により希釈されていることが好ましい。該鉄電解装置41にて溶出した鉄イオン(Fe2+、Fe3+)は、溶解性のリン酸イオンと反応し、リン酸鉄(Fe(PO、FePO)として不溶化し、前記凝集沈殿槽46にて分離される。
一方、前記鉄電解装置41とは異なる他の凝集剤添加手段を併用しても良く、前記凝集剤タンク46に貯留した凝集剤を前記凝集沈殿槽46に適宜添加するようにしても良い。
【0032】
本実施例によれば、前記リン回収設備40を設け、前記可溶化設備13により発生したリン酸態リンを不溶化ないしは回収することで、後段の凝集分離装置15を小型化若しくは不要化することができ、固液分離装置14と凝集分離装置15を一元化することも可能である。
また、前記生物処理設備12をメタン発酵槽とするとともに、前記リン回収設備として鉄電解装置41を用いた場合、可溶化汚泥23に鉄が混入した状態でメタン発酵槽に返送されることで、メタン発酵槽内における硫化水素の発生を抑制することができる。この場合、不溶化されたリンは最終的には汚泥処理設備へ投入されるが、汚泥処理設備にてコンポスト化する場合は、肥効成分であるリンと鉄を豊富に含むコンポストが製造できる。
さらに、MAP回収、ヒドロキシアパタイト回収を行った場合は、リンを有価物回収することができる。
さらにまた、固形物の凝集剤として鉄を添加すると有機物により鉄が消費されてしまう場合があるが、前記鉄電解を行った場合、鉄イオンとして添加されるため溶解性のリン酸イオンの除去が効果的に行われることとなる。
このように本実施例によれば、リン回収設備40を設けることにより、可溶化設備13を起因とするリン負荷の増大を防止し、汚泥の減容化を可能とする設備を実現することができる。
尚、実施例に示したリン回収設備40を、実施例1若しくは実施例2に適用しても良いことは勿論である。このとき、該リン回収設備40としては、鉄電解装置が好ましい。これにより、処理過程で発生したリン酸態リンを不溶化ないしは、回収することで、後段の凝集分離設備を小型化若しくは不要化することができるとともに、前記可溶化設備13若しくは前記窒素除去装置18にて次亜塩素酸の供給により、遊離塩素、結合塩素が残留した場合でも鉄イオンによる還元作用により、一部無害化されるためである。
【実施例4】
【0033】
図6に本実施例4に係る有機性廃棄物の処理設備の概略フローを示す。
本実施例4に係る処理設備は、ライン上流から下流に向かって、有機性廃棄物20が投入される前処理設備11と、前処理された有機性廃棄物が導入され、生物処理を行って生物処理液21を得る生物処理設備12と、該生物処理液21を可溶化して可溶化汚泥23を得る可溶化設備13と、該可溶化汚泥を固液分離して固液分離液24と固液分離汚泥25を得る固液分離装置14と、該固液分離液24からリンを除去するリン回収設備40と、リン成分が除かれた処理液22を凝集分離して凝集分離液26と凝集分離汚泥27を得る凝集分離装置15と、該凝集分離液26を高度処理して処理液28を得る高度処理装置16と、前記固液分離汚泥25と前記凝集分離汚泥27とを処理する汚泥処理設備17と、を備え、前記固液分離液24の少なくとも一部を、前記生物処理設備12若しくは前記前処理設備11に返送する構成となっている。
【0034】
前記リン回収設備40の構成は、前記実施例3と同様の構成である。
本実施例では前記実施例3と同様の効果に加えて、前記固液分離装置14にて固液分離し、SS濃度の低い分離液24に対してリン回収処理を行っているため、非常に効率良くリン除去、回収が行われる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、高効率で以って生物処理を行うことができ、且つ汚泥の減容化が可能であるため、有機物下水道処理、し尿処理、浄化槽汚泥処理、畜産排水処理、水産加工排水処理、洗浄排水処理、工場排水処理等の何れの処理にも有効に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施例1に係る処理設備の概略を示すフロー図である。
【図2】図1の次亜塩素酸供給手段の一例を示す構成図である。
【図3】本発明の実施例2に係る処理設備の概略を示すフロー図である。
【図4】本発明の実施例3に係る処理設備の概略を示すフロー図である。
【図5】図4のリン回収設備の一例を示す構成図である。
【図6】本発明の実施例4に係る処理設備の概略を示すフロー図である。
【図7】従来の有機性廃棄物の処理設備の概略を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0037】
11 前処理設備
12 生物処理設備
13 可溶化設備
14 固液分離装置
15 凝集分離装置
16 高度処理装置
17 汚泥処理設備
18 窒素除去装置
20 有機性廃棄物
30 次亜塩素酸供給手段
31 電解装置
36 次亜塩素酸
40 リン回収設備
41 電解装置
45 凝集剤タンク
46 凝集沈殿槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機性廃棄物を生物処理する生物処理工程と、該生物処理後の生物処理液を可溶化して可溶化汚泥を得る可溶化工程と、を備え、前記可溶化工程後の可溶化成分を含む処理液の少なくとも一部を、前記生物処理工程、若しくは該生物処理工程より上流側に返送するようにした有機性廃棄物の処理方法において、
前記可溶化工程にて、前記可溶化汚泥に次亜塩素酸を供給し、該次亜塩素酸により窒素成分を除去するとともに可溶化を促進するようにしたことを特徴とする有機性廃棄物の処理方法。
【請求項2】
有機性廃棄物を生物処理する生物処理工程と、該生物処理後の生物処理液を可溶化して可溶化汚泥を得る可溶化工程と、を備え、前記可溶化工程後の可溶化成分を含む処理液の少なくとも一部を、前記生物処理工程、若しくは該生物処理工程より上流側に返送するようにした有機性廃棄物の処理方法において、
前記可溶化汚泥を固液分離して分離液と分離汚泥を得る固液分離工程と、該分離液に次亜塩素酸を供給して窒素除去を行う窒素除去工程と、を設け、前記窒素除去した処理液の少なくとも一部を前記返送するようにしたことを特徴とする有機性廃棄物の処理方法。
【請求項3】
前記次亜塩素酸が、塩素含有溶液を電気分解することにより生成されることを特徴とする請求項1若しくは2記載の有機性廃棄物の処理方法。
【請求項4】
請求項1若しくは2記載の有機性廃棄物の処理方法であって、
前記次亜塩素酸を供給する工程より後段側に、処理液中のリン成分を分離、回収するリン回収工程を設けたことを特徴とする有機性廃棄物の処理方法。
【請求項5】
有機性廃棄物を生物処理する生物処理工程と、該生物処理後の生物処理液を可溶化して可溶化汚泥を得る可溶化工程と、を備え、前記可溶化工程後の可溶化成分を含む処理液の少なくとも一部を、前記生物処理工程、若しくは該生物処理工程より上流側に返送するようにした有機性廃棄物の処理方法において、
前記可溶化工程の後段側に、前記処理液中のリン成分を分離、回収するリン回収工程を設けたことを特徴とする有機性廃棄物の処理方法。
【請求項6】
前記可溶化工程と前記リン回収工程との間に、前記可溶化汚泥を固液分離して分離液と分離汚泥を得る固液分離工程を設け、前記分離液を前記リン回収工程に導入するようにしたことを特徴とする請求項5記載の有機性廃棄物の処理方法。
【請求項7】
有機性廃棄物を生物処理する生物処理装置と、該生物処理後の生物処理液を可溶化して可溶化汚泥を得る可溶化装置と、を備えるとともに、前記可溶化後の可溶化成分を含む処理液の少なくとも一部を、前記生物処理装置、若しくは該生物処理装置より上流側に返送する返送ラインを備えた有機性廃棄物の処理設備において、
前記可溶化装置に次亜塩素酸を供給する次亜塩素酸供給手段を設け、該次亜塩素酸により窒素成分を除去するとともに可溶化を促進するようにしたことを特徴とする有機性廃棄物の処理設備。
【請求項8】
有機性廃棄物を生物処理する生物処理装置と、該生物処理後の生物処理液を可溶化して可溶化汚泥を得る可溶化装置と、を備えるとともに、前記可溶化後の可溶化成分を含む処理液の少なくとも一部を、前記生物処理装置、若しくは該生物処理装置より上流側に返送する返送ラインを備えた有機性廃棄物の処理設備において、
前記可溶化汚泥を固液分離して分離液と分離汚泥を得る固液分離装置と、該分離液の窒素除去を行う窒素除去装置と、を備え、前記窒素除去装置が前記分離液中に次亜塩素酸を供給する次亜塩素酸供給手段を有することを特徴とする有機性廃棄物の処理設備。
【請求項9】
前記次亜塩素酸供給手段が、塩素含有溶液が導入される電解槽と、該電解槽内の溶液に浸漬され、電源に接続された陽極と陰極を有する電解装置からなり、前記陽極と前記陰極間に通電することにより電気分解を行い、前記次亜塩素酸を発生させる構成であること特徴とする請求項7若しくは8記載の有機性廃棄物の処理設備。
【請求項10】
請求項7若しくは8記載の有機性廃棄物の処理設備であって、
前記次亜塩素酸供給手段を備えた装置の後段側に、処理液中のリン成分を分離、回収するリン回収装置を設けたことを特徴とする有機性廃棄物の処理設備。
【請求項11】
有機性廃棄物を生物処理する生物処理装置と、該生物処理後の生物処理液を可溶化して可溶化汚泥を得る可溶化装置と、を備えるとともに、前記可溶化後の可溶化成分を含む処理液の少なくとも一部を、前記生物処理装置、若しくは該生物処理装置より上流側に返送する返送ラインを備えた有機性廃棄物の処理設備において、
前記可溶化装置の後段側に、前記処理液中のリン成分を分離、回収するリン回収装置を設けたことを特徴とする有機性廃棄物の処理設備。
【請求項12】
前記可溶化装置と前記リン回収装置との間に、前記可溶化汚泥を固液分離して分離液と分離汚泥を得る固液分離装置を設け、前記分離液を前記リン回収装置に導入する構成としたことを特徴とする請求項11記載の有機性廃棄物の処理設備。
【請求項13】
前記リン回収装置が、鉄電解装置、MAP(リン酸マグネシウムアンモニウム)回収装置、ヒドロキシアパタイト回収装置のうち少なくとも何れか一であることを特徴とする請求項10、11若しくは12記載の有機性廃棄物の処理設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−239624(P2006−239624A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−61197(P2005−61197)
【出願日】平成17年3月4日(2005.3.4)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】