説明

有機性廃棄物エネルギーの利用方法、利用装置、有機性廃棄物処理装置

【課題】有機廃棄物をメタン発酵させることによって得られた消化ガスをボイラにて高圧蒸気に変換し、該高圧蒸気を蒸気アキュームレータに貯留することで、設備が簡単で小型化が可能で、且つ設置スペースが小さく、低いイニシャルコストで済む有機性廃棄物エネルギーの利用方法、利用装置、有機性廃棄物処理装置を提供すること。
【解決手段】有機性廃棄物をメタン発酵槽10内でメタン発酵させることにより得られる消化ガス1を、ボイラ12で燃焼させ、発生した蒸気2を1.5MPa以上の蒸気圧で蒸気アキュームレータ13に貯留した後、該蒸気を蒸気消費設備16に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品廃棄物、汚泥、し尿、家畜糞尿、高濃度有機性廃水などの有機性廃棄物の有するエネルギーを有効に利用する有機性廃棄物エネルギーの利用方法、利用装置、及び有機性廃棄物処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記有機性廃棄物をメタン発酵処理する方法は、処理設備の運転コストが低いこと、発酵残渣が生物化学的に安定していること、発生した消化ガスをエネルギーとして利用することができること等、多くのメリットがある。
【0003】
上記メタン発酵で発生した消化ガスの利用方法としては、ガス発電を行うか、温水或いは蒸気に変換して熱源として利用する方法が一般的である。ガス発電はエネルギーを電気として利用できるため、用途が広く、余ったエネルギーも売電することができるので、使用する側から見て非常に使用しやすい。その反面、エネルギー変換効率が悪く、燃料電池など高効率の発電装置を用いても、電気として利用できるのは投入エネルギーの3割程度である。
【0004】
これに対して、上記メタン発酵槽で発生した消化ガスのエネルギーを温水或いは蒸気の熱エネルギーに変換する場合には、ガスボイラによって80%以上の効率でエネルギー変換することができる。したがって、変換した温水或いは蒸気を使用する用途があれば、消化ガスのエネルギーを熱として使用する方が、エネルギー変換効率の点からメリットが大きい。
【0005】
上記温水或いは蒸気の熱の利用先としては、工場の製造ライン、暖房、温水プール等が考えられる。しかしながら、多くの場合、熱エネルギーを使用する時間帯と、使用しない時間帯がある。一方で、メタン発酵は生物反応であるため、メタン発酵槽内でメタン発酵細菌を安定的に作用させるために、有機性廃棄物のメタン発酵槽内への供給は連続的に行う必要があり、その場合消化ガスも連続的に発生するため、エネルギーの需要と供給の間に時間差が生じることになる。
【0006】
通常、エネルギーを使用しない時にはメタン発酵槽から発生する消化ガスを一時的にガスホルダに貯留するのが一般的である。例えばエネルギーを日中しか使用しない場合は、メタン発酵槽から発生する消化ガスの半日分(夜間に発生する消化ガス量分)をガスホルダに貯留する必要が生じる。しかしこの方法は、後に詳述するように巨大なガスホルダが必要になり、設備が大型となり、且つ大きな設置スペースを必要とする。
【0007】
この解決策として、発生した消化ガスを高圧で貯留する方法がある。これは主に欧州などで行われている方法であるが、取り扱いに注意が必要である。日本国内で行う場合は高圧ガス取扱事業者の認定が必要になる。また、最近では吸着材を用いメタンを濃縮・貯留する方法も提案されているが、装置が複雑になるため、高いイニシャルコストがかかるなどのデメリットがある。
【特許文献1】特開2002−204953号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、有機廃棄物をメタン発酵させることによって得られた消化ガスをボイラにて高圧蒸気に変換し、該高圧蒸気を蒸気アキュームレータに貯留することで、設備が簡単で小型化が可能で、且つ設置スペースが小さく、低いイニシャルコスト済む有機性廃棄物エネルギーの利用方法、利用装置、及び有機性廃棄物処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため請求項1に記載の発明は、有機性廃棄物をメタン発酵させることにより得られる消化ガスを、ボイラで燃焼させ、発生した蒸気を1.5MPa以上の蒸気圧で蒸気アキュームレータに貯留した後、該蒸気を蒸気消費設備に供給することを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の有機性廃棄物エネルギーの利用方法において、 前記蒸気消費設備の稼動時間帯は前記メタン発酵槽内でのメタン発酵時間帯の一部時間帯及び/又は該メタン発酵時間帯と異なる時間帯であることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、有機性廃棄物をメタン発酵させるメタン発酵槽と、該メタン発酵槽で発生した消化ガスを燃焼させ1.5MPa以上の蒸気圧の蒸気を供給するボイラと、該ボイラからの蒸気を貯留する蒸気アキュームレータを備え、該蒸気アキュームレータに貯留された蒸気を蒸気消費設備に供給するように構成したことを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の有機性廃棄物エネルギーの利用装置において、前記蒸気消費設備は、前記蒸気アキュームレータが配置された建屋内又は該蒸気アキュームレータに近傍に設置されていることを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載の有機性廃棄物エネルギーの利用装置において、前記蒸気消費設備の稼動時間帯は前記メタン発酵槽内でのメタン発酵時間帯の一部時間帯及び/又は該メタン発酵時間帯と異なる時間帯であることを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項3乃至5のいずれか1項に記載の有機性廃棄物エネルギーの利用装置において、前記蒸気アキュームレータの容量は、少なくとも前記蒸気消費設備の稼動時間帯以外に発生した消化ガスを前記ボイラ燃焼させて発生した蒸気を貯留することが可能な容量を有することを特徴とする。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項3乃至6のいずれか1項に記載の有機性廃棄物エネルギーの利用装置を備え、前記メタン発酵槽内でメタン発酵した有機性廃棄物の残渣を処理するメタン発酵残渣処理装置を備えたことを特徴とする有機性廃棄物処理装置にある。
【0016】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の有機性廃棄物処理装置において、当該有機性廃棄物処理装置内の廃水を処理する廃水処理装置を備えたことを特徴とする。
【0017】
請求項9に記載の発明は、請求項7又は8に記載の有機性廃棄物処理装置において、当該有機性廃棄物処理装置の各部から排出される臭気を含む排気を脱臭する脱臭装置を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1乃至6に記載の発明によれば、有機性廃棄物をメタン発酵させることにより得られる消化ガスを、ボイラで燃焼させ、発生した蒸気を1.5MPa以上の蒸気圧で蒸気アキュームレータに貯留するので、消化ガスをガス状態で貯留するガスアキュームレータに比べて、大幅な小型化が可能となる。
【0019】
請求項7に記載の発明によれば、有機性廃棄物のエネルギーを高効率で蒸気の熱エネルギーに変換できると共に、有機性廃棄物をメタン発酵させるので、発酵残渣が生物化学的に安定しているから、メタン発酵残渣処理装置から得られた処理残渣は生物化学的に安定したものとなり、例えば肥料や土地改良剤として有効利用できる。
【0020】
請求項8に記載の発明によれば、廃水処理装置を備えるので、処理水を装置内で使用することができ、余剰分は放水しても周囲環境に悪影響を与えることがない。
【0021】
請求項9に記載の発明によれば、脱臭装置を備えので、有機性廃棄物処理装置を設置しても悪臭等により周囲環境に悪影響を与えることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本願発明の実施の形態例を図面に基いて説明する。ここでは有機性廃棄物を発生する食品加工工場、該食品加工工場内(同一建屋内又は隣接する建屋内)又は近傍(近隣)に蒸留や器具滅菌用等の蒸気を使用する蒸気消費(使用)設備がある場合を例に説明する。図1は本発明に係る有機性廃棄物エネルギーの利用装置の概略構成例を示す図である。図1において、10はメタンガス発酵槽、11はガスホルダ、12はボイラ、13は蒸気アキュームレータ、14はフレアスタック、15は脱硫塔、16は蒸気消費設備である。
【0023】
食品加工工場で発生した有機性廃棄物はメタンガス発酵槽10内に投入され、メタン発酵細菌によりメタン発酵させる。メタン発酵によって発生した消化ガス1は脱硫塔15に送られ、脱硫され、ガスホルダ11に一時的に貯留される。該ガスホルダ11に貯留された消化ガス1はボイラ12に連続的に供給され、燃焼する。これにより消化ガス1のエネルギーは1.5MPa以上、好ましくは2.0MPa以上の高圧の蒸気2の熱エネルギーに変換され、該高圧の蒸気2は蒸気アキュームレータ13に貯留される。
【0024】
上記のようにメタン発酵槽10内でのメタン発酵は生物反応であり、メタン発酵細菌を安定的に作用させるため、メタン発酵槽10内への有機性廃棄物の供給は連続的に行われる必要がある。その結果、メタン発酵槽10内で消化ガス1は連続的に発生する。この連続的に発生する消化ガス1を上記のように脱硫塔15に送り脱硫して、ボイラ12に送り燃焼させ、発生した高圧蒸気を蒸気アキュームレータ13に貯留し、蒸気消費設備16の運転(稼動)時間帯に該蒸気消費設備16に供給する。
【0025】
上記のようにメタン発酵槽10内でのメタン発酵は一日中連続的である一方、蒸気消費設備16の運転時間帯は一日内の所定の時間帯である。このようにメタン発酵の時間帯と蒸気消費設備20の運転時間帯の間に時間差がある場合、図2に示すように、メタン発酵槽10内で連続的に発生する消化ガスを脱硫塔15で脱硫し、該脱硫した消化ガス1を大容量の低圧ガスホルダ17に貯留しておき、蒸気消費設備16の運転時間帯に該低圧ガスホルダ17内に貯留している消化ガス1をボイラ12に送り燃焼させて蒸気を発生させ、蒸気消費設備16に供給する方法もある。下記に、図1に示す本発明に係る有機性廃棄物エネルギーの利用装置のガスホルダ11及び蒸気アキュームレータ13の大きさと、図2に示す有機性廃棄物エネルギーの利用装置の低圧ガスホルダ17の大きさの比較例を説明する。
【0026】
ここでは食品加工工場で発生する加工残渣や戻り製品等の有機性廃棄物が1日当たり最大3.5t発生し、メタン発酵槽10内でメタン発酵により1日当たり最大300m3(NTP)/日の消化ガス1が発生する。消化ガス1中のメタン濃度は60〜65%であるので、メタンの発生量としては最大195m3(NTP)/日となる。
【0027】
本食品加工工場では、惣菜調理や器具滅菌用として蒸気を使用しており、ボイラ燃料として重油を約250kg/日使用している。蒸気を使用する蒸気消費設備の運転時間帯(蒸気消費設備の稼動時間帯)が8:30〜17:30の9時間のみであるとすると、この時間帯内にメタン発酵槽10内で発生する消化ガス1の量は113m3(NTP)のみとなり、上記1日当たり最大300m3(NTP)/日の38%弱にすぎない。これは重油換算で87kgであり、使用量を賄うことができない。そのため、夜間の15時間にメタン発酵槽10内で発生する187m3(NTP)/日の消化ガス1を貯留することとした。
【0028】
図2の場合は、低圧ガスホルダ17の容量は気温25℃として、187m3(NTP)×(273+25)/273≒205m3が必要になる。これに対して図1に示す本発明に係る有機性廃棄物エネルギーの利用装置で、メタン発酵槽10内で発生する消化ガス1を順次ボイラ12で燃焼させ、1.5MPa以上、好ましくは2.0MPa以上の高圧蒸気に変換する。夜間に発生する消化ガス1の量187m3(NTP)を高圧蒸気に変換すると、1640kgの蒸気となる。ボイラ12から蒸気アキュームレータ13への蒸気供給圧力19.6MPa、蒸気アキュームレータ13から蒸気消費設備16への蒸気供給圧力0.74MPaとすると、図1の蒸気アキュームレータ13の所要容量としては保水量として10m3となり、容量としては図2の低圧ガスホルダ17の1/9、即ち22m3となり、敷地面積として1/6、即ち12.6m2となる。
【0029】
図3は図2の低圧ガスホルダ17と図1のガスホルダ11及び蒸気アキュームレータ13の寸法の比較例を示す図で、図示するように、図2の低圧ガスホルダ17の場合は直径10m、高さ9.5mの球形タンクとなるのに対して、図1のガスホルダ11及び蒸気アキュームレータ13の場合は設置面積が5m×2.5m、高さ5.2m内の空間内に収まる。なお、図3の(a)は低圧ガスホルダ17、ガスホルダ11及び蒸気アキュームレータ13の平面構成を示す図、図3の(b)は側面構成を示す図である。
【0030】
図4は上記有機性廃棄物エネルギーの利用装置を備えた有機性廃棄物処理装置の構成例を示す図である。ここでは、有機性廃棄物として蒸留酒製造工程において発生する蒸留粕を処理する処理装置について説明する。なお、蒸留酒製造工程を実施する工場内やその近隣には、例えば8:30〜17:30の時間帯に蒸留や器具滅菌用等として蒸気を使用する設備があるものとする。図4において、21は受入槽である。受入槽21に投入された有機性廃棄物である蒸留粕23はここで攪拌空気供給ノズル26から攪拌空気が供給されて攪拌されると共に、熱交換器25で、図示しない冷却塔等を具備する冷却水製造設備からの冷却水27との間で熱交換が行われ、メタン発酵処理に適する所定の温度に冷却される。
【0031】
受入槽21で所定の温度に冷却された蒸留粕23は投入ポンプ28により、メタン発酵槽30に供給される。メタン発酵槽30内で蒸留粕23はメタン発酵槽攪拌機31で攪拌されながらメタン発酵し、発生した消化ガス(メタン(CH4)が約60%含まれる)1はガス配管32を通って、脱硫塔33に送られ、脱硫される。脱硫された消化ガス1はガス配管35を通ってガスホルダ34に送られ、一時的に貯留される。ガスホルダ34に貯留された消化ガス1はガス配管36を通ってボイラ38に供給され燃焼する。ボイラ38で発生した蒸気は1.5MPa以上、好ましくは2.0MPa以上となると、蒸気配管39を通って、蒸気アキュームレータ40に送られ、貯留される。なお、ガス配管36にはフレアスタック37が取付けられており、過剰な消化ガス1は焼却処理される。
【0032】
図示しない蒸気消費設備の稼動時間帯になると蒸気アキュームレータ40から所定流量の蒸気が蒸気配管41、蒸気ヘッダ42を通して、蒸気消費設備に送られ、蒸留や器具の滅菌等に使用される。このメタン発酵槽30、脱硫塔33、ガスホルダ34、ボイラ38、及び蒸気アキュームレータ40で構成される部分が本発明に係る有機性廃棄物エネルギーの利用装置である。
【0033】
メタン発酵槽30でメタン発酵した蒸留粕23の残渣は発酵残渣引抜ポンプ43により、メタン発酵槽30から引き抜かれ発酵残渣配管44を通って凝集混和槽45に送られる。凝集混和槽45には無機凝集剤貯留槽46から無機凝集剤注入ポンプ47により、無機凝集剤が注入され、更にポリマー溶解装置48からポリマー注入ポンプ49によりポリマーが注入される。無機凝集剤とポリマーが注入され混合された発酵残渣は発酵残渣脱水機50に送られ、含水率85%の固形物Mとなって装置外に搬出される。また、発酵残渣脱水機50には洗浄水79が供給されるようになっている。凝集混和槽45及び発酵残渣脱水機50からの脱水分離液は脱水配管51を通って、廃水処理槽60の廃水槽61に流入する。
【0034】
廃水処理槽60は、廃水槽61と脱窒槽62と硝化槽63からなる。また、硝化槽63には硝化液循環ポンプ64、余剰汚泥ポンプ65、膜分離ユニット66が配置されている。硝化槽63内の液は膜分離ユニット66を通って処理水となり、該処理水は処理水ポンプ70により、処理水槽71に送られ、貯留される。処理水槽71の処理水は給水ユニット72を通して、前記発酵残渣脱水機50の洗浄水79として使用されたり、工場内の水利用場所に送られる。処理水槽71内の水位が所定レベルを超えた場合は、余剰処理水として放水される。
【0035】
また、硝化槽63内には、攪拌空気供給ノズル73、熱交換器74、曝気ノズル75、曝気ノズル76が配置され、攪拌空気供給ノズル73、曝気ノズル75、曝気ノズル76には曝気ブロワ77から空気が供給されるようになっている。また、熱交換器74では硝化槽63内液と冷却水27との間で熱交換が行われ、硝化槽63内液の液温を所定の温度に維持するようになっている。また、硝化槽63内の液は余剰汚泥ポンプ65でメタン発酵槽30に送られるようになっている。また、硝化槽63内の液は硝化液循環ポンプ64により脱窒槽62に送られ、脱窒槽62をオーバーフローした液は脱窒槽62に流入するようになっている。
【0036】
受入槽21内から排出される排気A、凝集混和槽45から排出される排気A、発酵残渣脱水機50から排出される排気A等臭気を有する排気は、誘引ブロワ81で吸引され脱臭塔80を通して脱臭され空気が大気中に放出される。
【0037】
上記のように本有機性廃棄物処理装置は、有機性廃棄物である蒸留粕23の有するエネルギーを効率良く高圧蒸気の熱エネルギーに変換し、蒸気アキュームレータ13に貯留し、蒸気消費設備の稼動時間帯に各蒸気消費設備に供給する。また、蒸留粕23をメタン発酵処理した生物化学的に安定した発酵残渣を固形物Mとし装置外に排出し、肥料等に使用する。更に発生した廃水は処理して工場内で使用し、余剰の処理水は放流し、更に発生する臭気を含む排気は脱臭して大気に放出する。従って、蒸留粕23の有するエネルギーを効率良く利用できると共に、処理により環境に悪影響を与えることが全くない。
【0038】
なお、上記有機性廃棄物処理装置では、有機性廃棄物として蒸留粕23をメタン発酵させて処理する例を示したが、有機性廃棄物としてはこれに限定されるものではなく、食品廃棄物、汚泥、し尿、家畜糞尿、高濃度有機性廃水等のメタン発酵できる有機性廃棄物であれば、処理することが可能である。
【0039】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。例えば、上記例では、蒸気消費設備の稼動時間帯が、メタン発酵による硝化ガスの時間帯の一部の時間帯(8:30〜17:30)となっているが、メタン発酵時間帯と蒸気消費設備の稼動時間帯が異なる時間帯(例えばメタン発酵が夜間で蒸気消費設備の稼動時間帯が昼)であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係る有機性廃棄物エネルギーの利用装置の概略構成例を示す図である。
【図2】低圧ガスホルダを備えた有機性廃棄物エネルギーの利用装置の概略構成例を示す図である。
【図3】図1に示す装置のガスホルダ及び蒸気アキュームレータと図2に示す装置の低圧ガスホルダの大きさの比較例を示す図である。
【図4】本発明に係る有機性廃棄物処理装置の構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0041】
1 消化ガス
2 高圧の蒸気
10 メタン発酵槽
11 ガスホルダ
12 ボイラ
13 蒸気アキュームレータ
14 フレアスタック
15 脱硫塔
16 蒸気消費設備
17 低圧ガスホルダ
21 受入槽
23 蒸留粕
25 熱交換器
26 攪拌空気供給ノズル
27 冷却水
28 投入ポンプ
30 メタン発酵槽
31 メタン発酵槽攪拌機
32 ガス配管
33 脱硫塔
34 ガスホルダ
35 ガス配管
36 ガス配管
37 フレアスタック
38 ボイラ
39 蒸気配管
40 蒸気アキュームレータ
41 蒸気配管
42 蒸気ヘッダ
43 発酵残渣引抜ポンプ
44 発酵残渣配管
45 凝集混和槽
46 無機凝集剤貯留槽
47 無機凝集剤注入ポンプ
48 ポリマー溶解装置
49 ポリマー注入ポンプ
50 発酵残渣脱水機
51 脱水分離液配管
60 廃水処理槽
61 廃水槽
62 脱窒槽
63 硝化槽
64 硝化液循環ポンプ
65 余剰汚泥ポンプ
66 膜分離ユニット
70 処理水ポンプ
71 処理水槽
72 給水ユニット
73 攪拌空気供給ノズル
74 熱交換器
75 曝気ノズル
76 曝気ノズル
77 曝気ブロワ
79 洗浄水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機性廃棄物をメタン発酵させることにより得られる消化ガスを、ボイラで燃焼させ、発生した蒸気を1.5MPa以上の蒸気圧で蒸気アキュームレータに貯留した後、該蒸気を蒸気消費設備に供給することを特徴とする有機性廃棄物エネルギーの利用方法。
【請求項2】
請求項1記載の有機性廃棄物エネルギーの利用方法において、
前記蒸気消費設備の稼動時間帯は前記メタン発酵槽内でのメタン発酵時間帯の一部時間帯及び/又は該メタン発酵時間帯と異なる時間帯であることを特徴とする有機性廃棄物エネルギーの利用方法。
【請求項3】
有機性廃棄物をメタン発酵させるメタン発酵槽と、該メタン発酵槽で発生した消化ガスを燃焼させ1.5MPa以上の蒸気圧の蒸気を供給するボイラと、該ボイラからの蒸気を貯留する蒸気アキュームレータを備え、該蒸気アキュームレータに貯留された蒸気を蒸気消費設備に供給するように構成したことを特徴とする有機性廃棄物エネルギーの利用装置。
【請求項4】
請求項3に記載の有機性廃棄物エネルギーの利用装置において、
前記蒸気消費設備は、前記蒸気アキュームレータが配置された建屋内又は該蒸気アキュームレータに近傍に設置されていることを特徴とする有機性廃棄物エネルギーの利用装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の有機性廃棄物エネルギーの利用装置において、
前記蒸気消費設備の稼動時間帯は前記メタン発酵槽内でのメタン発酵時間帯の一部時間帯及び/又は該メタン発酵時間帯と異なる時間帯であることを特徴とする有機性廃棄物エネルギーの利用装置。
【請求項6】
請求項3乃至5のいずれか1項に記載の有機性廃棄物エネルギーの利用装置において、
前記蒸気アキュームレータの容量は、少なくとも前記蒸気消費設備の稼動時間帯以外に発生した消化ガスを前記ボイラで燃焼させて発生した蒸気を貯留することが可能な容量を有することを特徴とする有機性廃棄物エネルギーの利用装置。
【請求項7】
請求項3乃至6のいずれか1項に記載の有機性廃棄物エネルギーの利用装置を備え、
前記メタン発酵槽内でメタン発酵した有機性廃棄物の残渣を処理するメタン発酵残渣処理装置を備えたことを特徴とする有機性廃棄物処理装置。
【請求項8】
請求項7に記載の有機性廃棄物処理装置において、
当該有機性廃棄物処理装置内の廃水を処理する廃水処理装置を備えたことを特徴とする有機性廃棄物処理装置。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の有機性廃棄物処理装置において、
当該有機性廃棄物処理装置の各部から排出される臭気を含む排気を脱臭する脱臭装置を備えたことを特徴とする有機性廃棄物処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−212776(P2008−212776A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−50033(P2007−50033)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】