説明

有機性汚泥ならびに汚染土壌の光触媒を利用した浄化処理方法

【課題】多量の水を含む有機性汚泥に、石炭灰と酸化ナトリウムなどの固化剤を添加撹拌して固化した含水固化物の中まで十分に均一に処理して環境負荷を低減できる有機性汚泥の浄化処理方法および汚染土壌の浄化処理方法の提供。
【解決手段】有機性汚泥に、SiO2 とAl23 を主成分とする多孔質廃棄物および酸化ナトリウムを主材とする固化剤を添加攪拌し、養生して固化させて含水固化物9を作り、得られた含水固化物9の上方を、光触媒を備えたシートおよび/またはフィルム14で覆い、そして上方から光を照射し、前記光触媒を励起し、含水固化物9に含まれた揮発性有機物質を揮発させ、前記光触媒に接触させて分解することにより目的を達成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機性汚泥ならびに汚染土壌の光触媒を利用した浄化処理方法に関するものであり、さらに詳しくは、豚、馬、鶏などの畜産の排泄物からなる畜産糞尿汚泥、湖沼底に生じる有機性汚泥、あるいは、下水消化汚泥、下水余剰汚泥、工業排水の生物処理汚泥、パルプスラッジから選択される有機性汚泥を脱水処理して得られる水を含むケーキを容易に固化し、固化した固化物に含まれる揮発性有機物質を分解して環境負荷を低減できる有機性汚泥の光触媒を利用した浄化処理方法および畜産糞尿などで汚染された汚染土壌の光触媒を利用した浄化処理方法関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下水消化汚泥、下水余剰汚泥、工業排水の生物処理汚泥、パルプスラッジなどの有機性汚泥は、固形分含有量が小さいため無機凝集剤や高分子凝集剤を添加して凝集させてフロックを形成させた後、デカンター、フィルタープレス、ベルトプレス、スクリュープレスなどを用いて脱水して脱水ケーキを作り、焼却処理されていたが、この脱水ケーキは、未だ70質量%以上、あるいは80質量%以上の多量の水を含むため、取り扱い難く、焼却には大きなエネルギーを要するという問題があった。
【0003】
そのため一般的にセメント系固化剤を添加して固化して、一定の強度を有する有機質土にする方法が提案されている。しかし有機質性汚泥はセメントの固化作用を阻害するため、様々な金属塩や炭酸塩を配合し混練することによって固化する方法が用いられる。この方法は六価クロム等の有害物質の問題があり、無害な土壌として再び農地用の土壌資材や肥料として再利用するには不向きである。
【0004】
他方、畜産分野における畜産の排泄物からなる有機性汚泥は堆肥として再利用さることはなく、素堀の池にそのまま投入し野ざらしにして放置・堆積したりされる。しかしその結果、地域周辺に悪臭の問題が生じたり、地下水を汚染する問題が生じたり、台風や大雨などで池から汚泥が溢れ出るなどによる地域周辺の環境に悪影響を及ぼすという問題があった。
【0005】
そこで本発明者は先に畜産の排泄物の主に豚の排泄物からなる豚糞尿汚泥に、石炭灰と酸化ナトリウムを主材とする固化剤を添加撹拌して固化する方法を提案した(特許文献1参照)。
この方法によれば、豚糞尿汚泥を農地用土壌資材または肥料として再利用可能な状態に固化することができる。
豚糞尿汚泥に、石炭灰と酸化ナトリウムを主材とする固化剤を添加撹拌した当初はpH10〜13程度で強アルカリ性であるので、カビなどの真菌類や放線菌などの菌類、大腸菌などの細菌類は死滅しているが、死骸は有害物質となる他、排泄物、餌などの有機物の腐敗物なども、水を汚す問題があるとともに、アンモニア臭などの悪臭を発散させる有害物質となるが、前記固化方法によると、環境に悪影響を及ぼす恐れのあるこれらの物質は、固化した固化物中の石炭灰に吸着、吸収されるなどして保持されるため環境への悪影響を防止ないし抑制することができた。
【0006】
しかしこの方法で固化した固化物中には、未だ多量の水が含まれている他に揮発性有機物質などが石炭灰に吸着、吸収されるなどして含まれているため、夏場などに太陽光線により加熱されると揮発したりするので環境負荷が大きくなる恐れがあった。
【0007】
一方、酸化チタンなどの光触媒にそのバンドギャップエネルギーよりも大きなエネルギーを持つ紫外線などの波長の光を照射すると光励起により、その結晶中で伝導帯に電気的に負である電子を、価電子帯に電気的に正である正孔を生じ、価電子帯近傍では水の水酸基はヒドロキシラジカル(・OH)に酸化され、伝導帯近傍では酸素が1電子還元を受けて、スーパーオキサイドアニオンラジカル(O2-)が生成するなど、光励起して生じた電子の持つ強い還元力や正孔の持つ強い酸化力を利用して殺菌したり、有機物を分解したりあるいは脱臭する方法が多く提案されている。
【0008】
例えば、充填材に酸化チタンを付着した光触媒体を配置した固定床光触媒反応器に有害物質を含有する水を送り、紫外線を照射する水の浄化装置(特許文献2参照)、基材が光触媒作用によって侵され易い有機物からなる場合には基材/接着層/光触媒層の3層構造として基材が侵されるのを防止した積層体(特許文献3、4参照)、ガラスなど透光性を要求される基材の上に透光性を付与した光触媒膜を形成した積層体(特許文献5参照)、光触媒粒子を光不活性物質からなる多孔物質で内包した紙、繊維などの光触媒作用によって侵され易い基材にも固着できる光触媒粉体(特許文献6参照)などが提案されている。
【特許文献1】特開2004−174400
【特許文献2】特開平08−047687号公報
【特許文献3】国際公開WO97/00134号公報
【特許文献4】国際公開WO96/13327号公報
【特許文献5】国際公開WO96/13327号公報
【特許文献6】特開平10−005598号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記固化方法により固化した固化物は、土木などで用いる様な一定の強度を持った永久的な固化の状態を示すものではなく、例えば竹串などを差し込んで持ち上げた場合に、固化物が崩れ落ちたり、割れたりしない程度に固化した状態の固化物である上、前記のように未だ多量の水が含まれている他に環境負荷を大きくする恐れのある物質が固化物中の石炭灰に吸着、吸収されるなどして保持されている。
そのため、この固化物を従来の酸化チタンなどの光触媒を利用して分解することが考えられるが、従来の方法では固化物の表面近傍は例え処理して分解できたとしても、固化物の中まで十分に均一に処理できず、環境負荷を大きくする恐れが未だ残っていた。
【0010】
一方、畜産糞尿などの過剰散布で畑が高濃度の硝酸性窒素で汚染されるなどで汚染土壌が発生すると、栽培する植物の生育が遅いとか収穫が少ないなど各種悪影響が発生する問題があり、この汚染を解消するためには数年放置する必要があるなどの問題があった。
【0011】
本発明の第1の目的は、従来の有機性汚泥の浄化処理方法の問題を解決して、豚、馬、鶏などの畜産の排泄物からなる畜産糞尿汚泥、湖沼底に生じる有機性汚泥、下水消化汚泥などの脱水ケーキなどの多量の水を含む有機性汚泥に、石炭灰と酸化ナトリウムなどの固化剤を添加撹拌して固化した固化物の中まで十分に均一に処理して炭酸ガスや水などに分解して、環境への負荷を低減できる簡単で容易なかつ経済的な有機性汚泥の浄化処理方法を提供することであり、
本発明の第2の目的は、汚染土壌の処理に関する従来の問題を解決し、簡単に容易に経済的にかつ短時間で浄化処理でき、再使用できるような汚染土壌の浄化処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するための本発明の請求項1記載の発明は、次の工程(1)〜(6)を含むことを特徴とする有機性汚泥の光触媒を利用した浄化処理方法である。
(1)有機性汚泥を準備する。
(2)準備した有機性汚泥に、SiO2 とAl23 を主成分とする多孔質廃棄物および酸化ナトリウムを主材とする固化剤を添加攪拌し、養生して固化させて含水固化物を作る。
(3)工程(2)で得られた含水固化物の上方を、光触媒を備えたシートおよび/またはフィルムで覆い、そして上方から光を照射し、あるいはさらに加熱するか、あるいは空気を送ることにより、前記含水固化物に含まれた揮発性有機物質を揮発させて前記光触媒に接触させて分解する。
(4)工程(3)で得られた固化物は、そのまま製品とするか、あるいは高温焼成して人工資材とする。
(5)工程(3)で得られた固化物は、必要に応じて工程(2)へリサイクルして前記有機性汚泥に必要量配合して使用する。
(6)工程(3)で揮発した水分を凝縮して回収して利用するか、あるいは必要に応じて工程(1)へ必要量リサイクルして使用する。
【0013】
本発明の請求項2記載の発明は、請求項1記載の有機性汚泥の光触媒を利用した浄化処理方法において、
前記工程(3)の後に、前記含水固化物に含まれた揮発性有機物質を揮発させて前記光触媒に接触させて分解した後、上方から光を照射し、あるいはさらに加熱するか、あるいは空気を送ることを継続しつつ、覆っていた前記光触媒を備えたシートおよび/またはフィルムを取り除き、水分の揮発を促進する工程(3’)を含むことを特徴とする。
【0014】
前記課題を解決するための本発明の請求項3記載の発明は、次の工程(1)〜(6)を含むことを特徴とする有機性汚泥の光触媒を利用した浄化処理方法である。
(1)有機性汚泥を準備する。
(2)準備した有機性汚泥に、SiO2 とAl23 を主成分とする多孔質廃棄物および酸化ナトリウムを主材とする固化剤を添加攪拌し、養生して固化させて含水固化物を作る。
(3)工程(2)で得られた含水固化物に光触媒を担持した粒状物を有効量添加攪拌混合し、そして必要に応じて攪拌混合を継続しつつ光を照射し、あるいはさらに加熱するか、あるいは空気を送ることにより、前記含水固化物に含まれた揮発性有機物質を揮発させて前記光触媒に接触させて分解する。
(4)工程(3)で得られた固化物は、そのまま製品とするか、あるいは高温焼成して人工資材とする。
(5)工程(3)で得られた固化物は、必要に応じて工程(2)へリサイクルして前記有機性汚泥に必要量配合して使用する。
(6)工程(3)で揮発した水分を凝縮して回収して利用するか、あるいは必要に応じて工程(1)へ必要量リサイクルして使用する。
【0015】
前記課題を解決するための本発明の請求項4記載の発明は、次の工程(1)〜(6)を含むことを特徴とする有機性汚泥の光触媒を利用した浄化処理方法である。
(1)有機性汚泥を準備する。
(2)準備した有機性汚泥に、SiO2 とAl23 を主成分とする多孔質廃棄物および酸化ナトリウムを主材とする固化剤を添加攪拌し、養生して固化させて含水固化物を作る。
(3)工程(2)で得られた含水固化物に光触媒を担持した粒状物を有効量混合し、そしてその上方を、光触媒を備えたシートおよび/またはフィルムで覆い、そして必要に応じて攪拌混合を継続しつつ上方から光を照射し、あるいはさらに加熱するか、あるいは空気を送ることにより、前記含水固化物に含まれた揮発性有機物質を揮発させて前記光触媒に接触させて分解する。
(4)工程(3)で得られた固化物は、そのまま製品とするか、あるいは高温焼成して人工資材とする。
(5)工程(3)で得られた固化物は、必要に応じて工程(2)へリサイクルして前記有機性汚泥に必要量配合して使用する。
(6)工程(3)で揮発した水分を凝縮して回収して利用するか、あるいは必要に応じて工程(1)へ必要量リサイクルして使用する。
【0016】
本発明の請求項5記載の発明は、請求項4記載の有機性汚泥の光触媒を利用した浄化処理方法において、
前記工程(3)の後に、前記含水固化物に含まれた揮発性有機物質を揮発させて前記光触媒に接触させて分解した後、上方から光を照射し、あるいはさらに加熱するか、あるいは空気を送ることを継続しつつ、覆っていた前記光触媒を備えたシートおよび/またはフィルムを取り除き、水分の揮発を促進する工程(3’)を含むことを特徴とする。
【0017】
本発明の請求項6記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれかに記載の有機性汚泥の光触媒を利用した浄化処理方法において、
前記有機性汚泥が、畜産の排泄物からなる畜産糞尿汚泥、湖沼底に生じる有機性汚泥、あるいは下水消化汚泥、下水余剰汚泥、工業排水の生物処理汚泥、パルプスラッジから選択される有機性汚泥を脱水処理して得られるケーキであることを特徴とする。
【0018】
本発明の請求項7記載の発明は、請求項1から請求項6のいずれかに記載の有機性汚泥の光触媒を利用した浄化処理方法において、
SiO2 とAl23 を主成分とする前記多孔質廃棄物が石炭灰、パルプ灰から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする。
【0019】
本発明の請求項8記載の発明は、請求項1から請求項7のいずれかに記載の有機性汚泥の光触媒を利用した浄化処理方法において、
光照射に用いる光源が、太陽光の自然光源、あるいは可視波長ないし紫外波長を有する人工光源、あるいはこれらの組み合わせであることを特徴とする。
【0020】
本発明の請求項9記載の発明は、請求項1から請求項8のいずれかに記載の有機性汚泥の光触媒を利用した浄化処理方法において、
前記有機性汚泥(固形分)100質量部に対して、SiO2 とAl23 を主成分とする前記多孔質廃棄物20〜100質量部、酸化ナトリウム9〜24質量%含有する水ガラス2〜20質量部配合することを特徴とする。
【0021】
前記課題を解決するための本発明の請求項10記載の発明は、
有機性汚染物質で汚染された汚染土壌に光触媒を担持した粒状物を有効量混合し、そして必要に応じて攪拌混合を行いつつ、あるいはさらに加熱するか、あるいはさらに空気を送りつつ、上方から光を照射して、前記汚染土壌に含まれた前記汚染物質を前記光触媒に接触させて分解することを特徴とする汚染土壌の光触媒を利用した浄化処理方法である。
【0022】
本発明の請求項11記載の発明は、請求項10記載の汚染土壌の光触媒を利用した浄化処理方法において、
土壌が汚染された現場で浄化処理するか、あるいは汚染土壌を処理できる所へ汚染土壌を移送して浄化処理するか、あるいは両者を組み合わせて浄化処理することを特徴とする。
【0023】
本発明の請求項12記載の発明は、請求項10あるいは請求項11記載の汚染土壌の光触媒を利用した浄化処理方法において、
光照射に用いる光源が、太陽光の自然光源、あるいは可視波長ないし紫外波長を有する人工光源、あるいはこれらの組み合わせであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明の請求項1記載の有機性汚泥の光触媒を利用した浄化処理方法によれば、豚、馬、鶏などの畜産の排泄物からなる畜産糞尿汚泥、湖沼底に生じる有機性汚泥、あるいは、下水消化汚泥などを脱水処理して得られる多量の水を含むケーキを容易に固化でき、しかも工程(2)で得られた含水固化物の上方を、光触媒を備えたシートおよび/またはフィルムで覆い、そして上方から光を照射し、あるいはさらに加熱するか、あるいは空気を送ることにより、光触媒を励起し、かつ前記含水固化物に含まれた揮発性有機物質を揮発させて前記光触媒に接触させて炭酸ガスや水などに容易にかつ経済的に分解できるので、固化物の中まで十分に均一に処理でき、環境への負荷を低減できるという顕著な効果を奏する。
固化物はそのまま製品としたり、あるいは高温焼成して人工資材としたり、必要に応じて工程(2)へリサイクルして前記有機性汚泥に必要量配合して使用することもでき、
また、前記含水固化物中に含まれていた多量の水分の半分以上を揮発させ、そして凝縮させてきれいな水として回収して有効に利用するか、あるいは必要に応じて工程(1)へ必要量リサイクルして系外に排出せずに有効に使用することができるという顕著な効果を奏する。
【0025】
本発明の請求項2記載の発明は、請求項1記載の有機性汚泥の光触媒を利用した浄化処理方法において、前記工程(3)の後に、前記含水固化物に含まれた揮発性有機物質を揮発させて前記光触媒に接触させて分解した後、上方から光を照射し、あるいはさらに加熱するか、あるいは空気を送ることを継続しつつ、覆っていた前記光触媒を備えたシートおよび/またはフィルムを取り除き、水分の揮発を促進する工程(3’)を含むので、水分の揮発が促進されて容易に揮発させることができ、そして凝縮させてきれいな水として回収するなどして有効に利用というさらなる顕著な効果を奏する。
【0026】
本発明の請求項3記載の有機性汚泥の光触媒を利用した浄化処理方法によれば、豚、馬、鶏などの畜産の排泄物からなる畜産糞尿汚泥、湖沼底に生じる有機性汚泥、あるいは、下水消化汚泥などを脱水処理して得られる多量の水を含むケーキを容易に固化でき、しかも工程(2)で得られた含水固化物に光触媒を担持した粒状物を有効量添加攪拌混合し、そして必要に応じて攪拌混合を継続しつつ光を照射し、あるいはさらに加熱するか、あるいは空気を送ることにより、光触媒を励起し、かつ前記含水固化物に含まれた揮発性有機物質を揮発させて前記光触媒に接触させて炭酸ガスや水などに容易にかつ経済的に分解できるので、固化物の中まで十分に均一に処理でき、環境への負荷を低減できるという顕著な効果を奏する。
固化物はそのまま製品としたり、あるいは高温焼成して人工資材としたり、必要に応じて工程(2)へリサイクルして前記有機性汚泥に必要量配合して使用することもでき、
また、前記含水固化物中に含まれていた多量の水分の半分以上を揮発させ、そして凝縮させてきれいな水として回収して有効に利用するか、あるいは必要に応じて工程(1)へ必要量リサイクルして系外に排出せずに有効に使用することができるという顕著な効果を奏する。
【0027】
本発明の請求項4記載の有機性汚泥の光触媒を利用した浄化処理方法によれば、豚、馬、鶏などの畜産の排泄物からなる畜産糞尿汚泥、湖沼底に生じる有機性汚泥、あるいは、下水消化汚泥などを脱水処理して得られる多量の水を含むケーキを容易に固化でき、しかも工程(2)で得られた含水固化物に光触媒を担持した粒状物を有効量混合し、そしてその上方を、光触媒を備えたシートおよび/またはフィルムで覆い、そして必要に応じて攪拌混合を継続しつつ上方から光を照射し、あるいはさらに加熱するか、あるいは空気を送ることにより、光触媒を励起し、かつ前記含水固化物に含まれた揮発性有機物質を揮発させて、前記光触媒に接触させて炭酸ガスや水などに容易にかつ経済的に分解して無害化できるので、固化物の中まで十分に均一に処理でき、環境への負荷を低減できるという顕著な効果を奏する。
固化物はそのまま製品としたり、あるいは高温焼成して人工資材としたり、必要に応じて工程(2)へリサイクルして前記有機性汚泥に必要量配合して使用することもでき、
また、前記含水固化物中に含まれていた多量の水分の半分以上を揮発させ、そして凝縮させてきれいな水として回収して有効に利用するか、あるいは必要に応じて工程(1)へ必要量リサイクルして系外に排出せずに有効に使用することができるという顕著な効果を奏する。
【0028】
本発明の請求項5記載の発明は、請求項4記載の有機性汚泥の光触媒を利用した浄化処理方法において、前記工程(3)の後に、前記含水固化物に含まれた揮発性有機物質を揮発させて前記光触媒に接触させて分解した後、上方から光を照射し、あるいはさらに加熱するか、あるいは空気を送ることを継続しつつ、覆っていた前記光触媒を備えたシートおよび/またはフィルムを取り除き、水分の揮発を促進する工程(3’)を含むので、水分の揮発が促進されて容易に揮発させることができ、そして凝縮させてきれいな水として回収するなどして有効に利用というさらなる顕著な効果を奏する。
【0029】
本発明の請求項6記載の有機性汚泥の光触媒を利用した浄化処理方法によれば、畜産の排泄物からなる畜産糞尿汚泥、湖沼底に生じる有機性汚泥、あるいは下水消化汚泥、下水余剰汚泥、工業排水の生物処理汚泥、パルプスラッジから選択される有機性汚泥を脱水処理して得られる水を含むケーキを容易に固化でき、しかも揮発性有機物質を揮発させて前記励起された光触媒に接触させて炭酸ガスや水などに容易にかつ経済的に分解できるので、固化物の中まで十分に均一に処理でき、環境への負荷を低減できるというさらなる顕著な効果を奏する。
【0030】
本発明の請求項7記載の有機性汚泥の光触媒を利用した浄化処理方法によれば、SiO2 とAl23 を主成分とする前記多孔質廃棄物が石炭灰、パルプ灰から選ばれる少なくとも1つであるので、安価で入手も容易であり、廃棄物を有効利用できるというさらなる顕著な効果を奏する。
【0031】
本発明の請求項8記載の有機性汚泥の光触媒を利用した浄化処理方法によれば、光照射に用いる光源が、太陽光の自然光源、あるいは可視波長ないし紫外波長を有する人工光源、あるいはこれらの組み合わせであるので、天気の日には太陽光を用いるか人工光源を組み合わせて用い、雨天や曇天や夜間などには人工光源を用いてバッチ式であるいは連続式あるいは両者を組み合わせて揮発性有機物質を揮発させて前記光触媒に接触させて容易にかつ経済的に分解できるというさらなる顕著な効果を奏する。
【0032】
本発明の請求項9記載の有機性汚泥の光触媒を利用した浄化処理方法によれば、前記有機性汚泥(固形分)100質量部に対して、SiO2 とAl23 を主成分とする前記多孔質廃棄物20〜100質量部、酸化ナトリウム9〜24質量%含有する水ガラス2〜20質量部配合するので、確実に前記有機性汚泥を固化して処理できるというさらなる顕著な効果を奏する。
【0033】
本発明の請求項10記載の汚染土壌の光触媒を利用した浄化処理方法によれば、有機性汚染物質で汚染された汚染土壌に光触媒を担持した粒状物を有効量混合し、そして必要に応じて攪拌混合を行いつつ、あるいはさらに加熱するか、あるいはさらに空気を送りつつ、上方から光を照射して、前記汚染土壌に含まれた前記汚染物質を前記光触媒に接触させて分解するので、簡単に容易に経済的にかつ短時間で浄化処理でき、浄化処理した土壌を再使用できるという顕著な効果を奏する。
【0034】
本発明の請求項11記載の汚染土壌の光触媒を利用した浄化処理方法によれば、土壌が汚染された現場で浄化処理するか、あるいは汚染土壌を処理できる所へ汚染土壌を移送して浄化処理するか、あるいは両者を組み合わせて浄化処理するので、一層容易に経済的にかつ短時間で浄化処理できるというさらなる顕著な効果を奏する。
例えば汚染された畑の現場において、その汚染された表層の汚染土壌に光触媒を担持した粒状物を有効量混合し、そして必要に応じて攪拌混合を行いつつ、あるいはさらに加熱するか、あるいはさらに空気を送りつつ、上方から光を照射して、前記汚染土壌に含まれた前記汚染物質を前記光触媒に接触させて分解するようにすれば、大量の汚染土壌を処理工場などに移送しないで容易に経済的にかつ短時間で浄化処理できる。
また例えば汚染された畑の表層の汚染土壌のみを処理工場などに移送し、処理工場で光触媒を担持した粒状物を有効量混合し、そして必要に応じて攪拌混合を行いつつ、あるいはさらに加熱するか、あるいはさらに空気を送りつつ、上方から光を照射して、前記汚染土壌に含まれた前記汚染物質を前記光触媒に接触させて分解し、そして再度畑に戻すか、あるいは表層の汚染土壌を移送した残りの土壌は汚染がないか少ない場合は、処理した土壌を他の用途に有効利用できる。
【0035】
本発明の請求項12記載の汚染土壌の光触媒を利用した浄化処理方法によれば、光照射に用いる光源が、太陽光の自然光源、あるいは可視波長ないし紫外波長を有する人工光源、あるいはこれらの組み合わせであるので、天気の日には太陽光を用いるか人工光源を組み合わせて用い、雨天や曇天や夜間などには人工光源を用いてバッチ式であるいは連続式あるいは両者を組み合わせて前記汚染土壌に含まれた前記汚染物質を前記光触媒に接触させて分解するので容易にかつ経済的に分解できるというさらなる顕著な効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
次に本発明の内容を詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態の有機性汚泥の浄化処理方法を説明するための説明図である。
図2は、本発明の第2の実施の形態の有機性汚泥の浄化処理方法を説明するための説明図である。
図3は、本発明の第3の実施の形態の有機性汚泥の浄化処理方法を説明するための説明図である。
図4は、本発明の第4の実施の形態の有機性汚泥の浄化処理方法を説明するための説明図である。
図5は、本発明の第5の実施の形態の有機性汚泥の浄化処理方法を説明するための説明図である。
図6は、本発明の第6の実施の形態の有機性汚泥の浄化処理方法を説明するための説明図である。
【0037】
(第1の実施の形態)
図1において、1は豚舎を示し、豚舎1内で多くの豚が飼育されている。2は豚舎1で発生した豚糞尿汚泥をラインaを経て移送して、攪拌して貯溜するための貯溜槽を示す。3は貯溜槽2中の豚糞尿汚泥を攪拌して均一にするための攪拌機を示す。4は移送用のポンプを示す。
【0038】
5は混練機を示す。石炭灰と酸化ナトリウムを蓄える貯槽6から供給されてコンベア7によって混練機5に所定量移送される石炭灰と酸化ナトリウムを、貯溜槽2からラインbを経て混練機5に所定量移送される豚糞尿汚泥に、添加して混練機5で混合する。混練機5で混合された混合物は、コンベア8によって移送され、堆積、養生され、固化して含水固化物9となる。
【0039】
これらの配合量は、豚糞尿汚泥(固形分)100質量部に対し、SiO2 とAl23 を主成分とする多孔質廃棄物(この例では石炭灰)20〜100質量部、酸化ナトリウム9〜24質量%含有する水ガラス2〜20質量部配合することが良好な含水固化物が得られるので好ましい。
多孔質廃棄物が20質量部未満では吸水作用や吸着作用が不十分となる恐れがあり、100質量部を超えると固化を行うためには水ガラスの配合割合が大くなり不経済となり、また固化物の量が増す。酸化ナトリウムの含有割合が9〜24質量%の範囲にある水ガラスが取り扱い性および入手容易性の点から好ましく、水ガラスが2質量部未満では固化が不十分となる恐れがあり、20質量部を超えるとpHが高い状態が続き、軟粘状態となって固化が遅れ、養生期間が長くなる問題があるとともに、水ガラスは高価なため不経済となる。
【0040】
豚の排泄物からなる豚糞尿汚泥に石炭灰(フライアッシュ)を加え撹拌すると、豚糞尿汚泥は塑性状態になる。豚糞尿汚泥は水分を多く含むため(例えば水分85質量%、有機性固形分15質量%)石炭灰の吸水作用と吸着作用により豚糞尿汚泥中に含有する水分が吸収され、豚糞尿汚泥が塑性状態になり、その状態で酸化ナトリウムを含有する水ガラスを添加撹拌することによって、石炭灰と酸化ナトリウムが化学反応して豚糞尿汚泥は固化し始める。
【0041】
上記の石炭灰および酸化ナトリウムを主材とする固化剤を添加撹拌した後、少なくとも1時間以上の好ましくは3日以上の養生期間を経ることによって、豚糞尿汚泥は十分な固化状態となる。
【0042】
このようにして固化した豚糞尿汚泥の含水固化物9の固化状態は、永久的に固化した豚糞尿汚泥ではなく、雨水等にさらされると固化した豚糞尿汚泥は徐々に溶解する。従って、素堀の池などの外地に保存する場合は、雨水に触れない程度に防水シート等で固化した豚糞尿汚泥を覆う程度でよく、特別にプールのような防水施設を設ける必要はない。
【0043】
本発明においては、この含水固化物9をラインcを経て光触媒処理装置10に移送して処理する。
【0044】
光触媒処理装置10は、装置上方がポリ塩化ビニルなどの透明なプラスチックスやガラスなどからなる透光性の天蓋11で密閉して覆われており、下方には結露した水を集めて収容し、そして外部に排出する底部12が設置されている。
底部12の上方に少し間隔を置いて含水固化物9を配設するための配設台13が備えられている。そして含水固化物9の上方を光触媒を備えた透光性を有するシート14で覆う。光触媒を備えた透光性を有するシート14は公知のものを使用でき、市販品を使用することもできる。
【0045】
そして光触媒処理装置10の外部から太陽光が照射されると、光は天蓋11を通って内部に入り、内部を加熱し、含水固化物9を加熱して、含水固化物9に含まれた揮発性有機物質を揮発させるとともに、シート14に備えられた光触媒が光照射により励起される。
揮発した揮発性有機物質は、励起された光触媒に接触して、炭酸ガスや水などに分解される。
また、含水固化物9中に含まれていた多量の水分の約半分以上が揮発して水蒸気となり、天蓋11内面やシート14に接触して結露する。凝縮した水は天蓋11内面やシート14を経て下方に流れ、底部12上に溜り、回収される。
【0046】
回収された水はラインdを経てタンク15に蓄えられる。タンク15に蓄えた水はラインeを経て豚舎1へ送って、豚の飲料にしたり、豚舎1の洗浄用水として有効利用することができる。
豚舎1の洗浄用水として有効利用した水は豚舎1で発生した豚の排泄物からなる豚糞尿汚泥に混入し、上記の工程をリサイクルして使用される。
【0047】
豚糞尿汚泥に、石炭灰と酸化ナトリウムを主材とする固化剤を添加撹拌した当初はpH10〜13程度で強アルカリ性であるが、養生して、固化する過程で硝酸性物質などの酸性物質により中和され、含水固化物9はpH8程度になる。
したがって光触媒処理装置10において含水固化物9を処理して得られる固化物もpH8程度であるので、pH調整せずに肥料や土壌改良資材などとして利用できる製品とすることができる。
【0048】
また、農地用等の土壌資材として用いる場合は、固化物を800℃乃至1000℃の高温燃焼によりケイ酸を溶解しリンを添加した後、急激な冷却によって粒状物質を作り出し、肥料分を含んだ良質な人工土壌資材として利用することもできる。
【0049】
また、光触媒処理装置10において処理した固化物は、光触媒処理装置10からラインfを経て再生タンク16にリサイクルして蓄え、混練機5で石炭灰と酸化ナトリウムを豚糞尿汚泥に添加混合する際に必要に応じてコンベア7によって混練機5に所定量移送して添加することができる。
【0050】
混練機5で豚糞尿汚泥に石炭灰と酸化ナトリウムを添加して混合する際や、混練機5で混合された混合物を堆積、養生する際などには、揮発性有機物が揮発したり、水分の一部が蒸発したり、一部が地面に流れたりする恐れがあるが、光触媒処理装置10において処理した固化物をラインfを経て再生タンク16にリサイクルして蓄え、混練機5で石炭灰と酸化ナトリウムを豚糞尿汚泥に添加混合する際にコンベア7によって混練機5に移送して添加することにより、その添加量により、これらの水や揮発性有機物の揮発や、地面への流出を防止したり、抑制することができる。
【0051】
以上の本発明の第1の実施の形態の構成において有機性汚泥を次のようにして浄化処理する。
まず多くの豚が飼育されている豚舎1で発生した豚の排泄物からなる豚糞尿汚泥をラインaを経て貯溜槽2へ移送し、攪拌機3で攪拌して均一に混合して準備する。
【0052】
そして準備した豚糞尿汚泥の必要量を貯溜槽2のポンプ4によりラインbを経て混練機5へ移送し、貯槽6から供給されてコンベア7によって混練機5に所定量移送される石炭灰と酸化ナトリウムおよび、再生タンク16に蓄えた処理済み固化物を必要に応じてコンベア7によって混練機5に所定量移送して、添加して混合する。混練機5で混合された混合物は、コンベア8によって移送して、堆積、1時間〜3日程度養生して固化させ含水固化物9とする。
【0053】
そしてこの含水固化物9をラインcを経て光触媒処理装置10に移送して処理する。含水固化物9を配設台13上に所定量配設し、配設した含水固化物9の上方を光触媒を備えた透光性を有するシート14で覆う。
光触媒処理装置10の外部から太陽光が照射されると、内部が加熱され、含水固化物9が加熱され、含水固化物9に含まれた揮発性有機物質が揮発し、シート14に備えられた光触媒が光照射により励起され、揮発した揮発性有機物質は、励起された光触媒に接触して、炭酸ガスや水などに分解される。
【0054】
そして含水固化物9中に含まれていた多量の水分の約半分以上は揮発して水蒸気となり、天蓋11内面やシート14に接触して結露し、凝縮した水は天蓋11内面やシート14を経て下方に流れ、底部12上に溜り回収される。回収された水はラインdを経てタンク15に蓄えられる。タンク15に蓄えた水はラインeを経て豚舎1へ送って、豚の飲料にしたり、豚舎1の洗浄用水として有効利用することができる。
豚舎1の洗浄用水として有効利用した水は豚舎1で発生した豚の排泄物からなる豚糞尿汚泥に混入し、上記の工程をリサイクルして使用される。
そして光触媒処理装置10において処理した固化物は、光触媒処理装置10からラインfを経て再生タンク16にリサイクルされ前記のようにして混練機5で石炭灰と酸化ナトリウムを豚糞尿汚泥に添加混合する際に必要に応じてコンベア7によって混練機5に所定量移送して添加することができる。
【0055】
(第2の実施の形態)
図2は、本発明の第2の実施の形態の有機性汚泥の浄化処理方法を説明するための説明図である。図2において、図1の符号と同じ符号のものは図1に示したものと同じものである。
本発明の第2の実施の形態においては、混練機5において、貯溜槽2のポンプ4によりラインbを経て移送される豚糞尿汚泥に、貯槽6から供給されてコンベア7によって移送される石炭灰と酸化ナトリウムを添加して混合する際に、光触媒を担持した粒状物Bの有効量を加攪拌混合し、堆積し、1時間〜3日程度養生して固化させ含水固化物9とする点、
および光触媒を担持した粒状物Bを混合した含水固化物9を配設台13上に設置した複数の攪拌機21を備えた処理槽22内に所定量入れて、攪拌機21を作動させてよく攪拌しながら、光触媒処理装置10の外部から太陽光を照射して内部および含水固化物9を加熱し、含水固化物9に含まれた揮発性有機物質を揮発させ、粒状物Bに担持した光触媒が光照射により励起され、揮発した揮発性有機物質が、励起された光触媒に接触して、炭酸ガスや水などに分解されるようにした点、以外は第1の実施の形態と同様になっている。
光触媒を砂などに担持した粒状物Bは公知のものを使用でき、市販品を使用することもできる。
【0056】
以上の本発明の第2の実施の形態の構成において有機性汚泥を次のようにして浄化処理する。
まず多くの豚が飼育されている豚舎1で発生した豚の排泄物からなる豚糞尿汚泥をラインaを経て貯溜槽2へ移送し、攪拌機3で攪拌して均一に混合して準備する。
【0057】
そして準備した豚糞尿汚泥の必要量を貯溜槽2のポンプ4によりラインbを経て混練機5へ移送し、貯槽6から供給されてコンベア7によって石炭灰と酸化ナトリウムを所定量混練機5へ移送し、そして再生タンク16に蓄えた処理済み固化物を必要に応じてコンベア7によって混練機5に所定量移送して、添加して混合する際、光触媒を担持した粒状物Bの有効量を添加して攪拌混合する。混練機5で混合された混合物は、コンベア8によって移送して、堆積、1時間〜3日程度養生して固化させ含水固化物9とする。
【0058】
そしてこの含水固化物9をラインcを経て光触媒処理装置10に移送して処理する。
含水固化物9を配設台13上に設置した複数の攪拌機21を備えた処理槽22内に所定量入れて、攪拌機21を作動させてよく攪拌しながら、光触媒処理装置10の外部から太陽光を照射して内部および含水固化物9を加熱し、含水固化物9に含まれた揮発性有機物質を揮発させ、粒状物Bに担持した光触媒が光照射により励起され、揮発した揮発性有機物質が、励起された光触媒に接触して、炭酸ガスや水などに分解される。
【0059】
そして含水固化物9中に含まれていた多量の水分の約半分以上は揮発して水蒸気となり、天蓋11内面に接触して結露し、凝縮した水は天蓋11内面を経て下方に流れ、底部12上に溜り回収される。回収された水はラインdを経てタンク15に蓄えられる。
タンク15に蓄えた水はラインeを経て豚舎1へ送って、豚の飲料にしたり、豚舎1の洗浄用水として有効利用することができる。豚舎1の洗浄用水として有効利用した水は豚舎1で発生した豚の排泄物からなる豚糞尿汚泥に混入し、上記の工程をリサイクルして使用される。
そして光触媒処理装置10において処理した固化物は、光触媒処理装置10からラインfを経て再生タンク16にリサイクルされ前記のようにして混練機5で石炭灰と酸化ナトリウムを豚糞尿汚泥に添加混合する際に必要に応じてコンベア7によって混練機5に所定量移送して添加することができる。
【0060】
(第3の実施の形態)
図3は、本発明の第3の実施の形態の有機性汚泥の浄化処理方法を説明するための説明図である。図3において、図1、2の符号と同じ符号のものは図1、2に示したものと同じものである。
本発明の第3の実施の形態は、第1の実施の形態および第2の実施の形態を組み合わせたものである。
図3に示したように混練機5において、貯溜槽2のポンプ4によりラインbを経て移送される豚糞尿汚泥に、貯槽6から供給されてコンベア7によって移送される石炭灰と酸化ナトリウムを添加して混合する際に、光触媒を担持した粒状物Bの有効量を加攪拌混合し、堆積し、1時間〜3日程度養生して固化させ含水固化物9とし、光触媒を担持した粒状物Bを混合した含水固化物9を配設台13上に設置した複数の攪拌機21を備えた処理槽22内に所定量入れて、かつその上方を光触媒を備えた透光性を有するシート14で覆い、そして攪拌機21を作動させてよく攪拌しながら、光触媒処理装置10の外部から太陽光を照射して内部および含水固化物9を加熱し、含水固化物9に含まれた揮発性有機物質を揮発させ、粒状物Bに担持した光触媒およびシート14に備えた光触媒が光照射により励起され、揮発した揮発性有機物質が、励起されたこれらの光触媒に接触して、炭酸ガスや水などに分解されるようにした、以外は第1および第2の実施の形態と同様になっている。
【0061】
以上の本発明の第3の実施の形態の構成において有機性汚泥を次のようにして浄化処理する。
まず多くの豚が飼育されている豚舎1で発生した豚の排泄物からなる豚糞尿汚泥をラインaを経て貯溜槽2へ移送し、攪拌機3で攪拌して均一に混合して準備する。
【0062】
そして準備した豚糞尿汚泥の必要量を貯溜槽2のポンプ4によりラインbを経て混練機5へ移送し、貯槽6からコンベア7によって石炭灰と酸化ナトリウムを所定量混練機5へ所定量移送し、そして再生タンク16に蓄えた処理済み固化物を必要に応じてコンベア7によって混練機5に所定量移送して、添加して混合する際、光触媒を担持した粒状物Bの有効量を添加して攪拌混合する。混練機5で混合された混合物は、コンベア8によって移送して、堆積、1時間〜3日程度養生して固化させ含水固化物9とする。
【0063】
そしてこの含水固化物9をラインcを経て光触媒処理装置10に移送して処理する。
含水固化物9を配設台13上に設置した複数の攪拌機21を備えた処理槽22内に所定量入れて、かつその上方を光触媒を備えた透光性を有するシート14で覆い、そして攪拌機21を作動させてよく攪拌しながら、光触媒処理装置10の外部から太陽光を照射して光触媒処理装置10の内部および含水固化物9を加熱し、含水固化物9に含まれた揮発性有機物質を揮発させ、粒状物Bに担持した光触媒およびシート14に備えた光触媒が光照射により励起され、揮発した揮発性有機物質が、励起されたこれらの光触媒に接触して、炭酸ガスや水などに分解される。
【0064】
そして含水固化物9中に含まれていた多量の水分の約半分以上は揮発して水蒸気となり、天蓋11内面およびシート14に接触して結露し、凝縮した水は天蓋11内面およびシート14を経て下方に流れ、底部12上に溜り回収される。
回収された水はラインdを経てタンク15に蓄えられる。タンク15に蓄えた水はラインeを経て豚舎1へ送って、豚の飲料にしたり、豚舎1の洗浄用水として有効利用することができる。
豚舎1の洗浄用水として有効利用した水は豚舎1で発生した豚の排泄物からなる豚糞尿汚泥に混入し、上記の工程をリサイクルして使用される。
そして光触媒処理装置10において処理した固化物は、光触媒処理装置10からラインfを経て再生タンク16にリサイクルされ前記のようにして混練機5で石炭灰と酸化ナトリウムを豚糞尿汚泥に添加混合する際に必要に応じてコンベア7によって混練機5に所定量移送して添加することができる。
【0065】
(第4の実施の形態)
図4(イ)、(ロ)は、本発明の第4の実施の形態の有機性汚泥の浄化処理方法を説明するための説明図である。図4において、図1〜3の符号と同じ符号のものは、図1〜3に示したものと同じものである。
本発明の第4の実施の形態は図4(イ)、(ロ)に示したように揮発性有機物質を分解した後、覆っていたシート14を取り除き、水分の揮発を促進するようにした以外は本発明の第1の実施の形態と同様になっている。
【0066】
すなわち、図4(イ)に示したように、本発明の第1の実施の形態と同様にして、先ず、含水固化物9をラインcを経て光触媒処理装置10に移送して、配設台13上に所定量配設し、配設した含水固化物9の上方を光触媒を備えた透光性を有するシート14で覆う。
【0067】
そして本発明の第1の実施の形態と同様にして、光触媒処理装置10の外部から太陽光が照射すると、同時に必要に応じて図示しないボイラー、ヒーターなどの加熱手段を用いてさらに加熱するか、あるいはさらに空気を送ると、光触媒処理装置10の内部が加熱され、含水固化物9が加熱され、含水固化物9に含まれた揮発性有機物質が揮発し、シート14に備えられた光触媒が光照射により励起され、揮発した揮発性有機物質は、励起された光触媒に接触して、炭酸ガスや水などに分解される。含水固化物9中に含まれていた水分の一部は揮発して水蒸気となり、天蓋11内面やシート14に接触して結露する。
【0068】
次いで図4(ロ)に示したように、揮発性有機物質を分解した後、上方から光を照射し、あるいはさらに加熱するか、あるいはさらに空気を送ることを継続しつつ、覆っていたシート14を取り除き、水分の揮発を促進する。含水固化物9中に含まれていた水分の残りの大部分は揮発して水蒸気となり、天蓋11内面に接触して結露する。凝縮した水は天蓋11内面を経て下方に流れ、底部12上に溜り回収される。回収された水はラインdを経てタンク15に蓄えられる。タンク15に蓄えた水はラインeを経て豚舎1へ送って、豚の飲料にしたり、豚舎1の洗浄用水として有効利用することができる。
【0069】
(第5の実施の形態)
図5(イ)、(ロ)は、本発明の第5の実施の形態の有機性汚泥の浄化処理方法を説明するための説明図である。図5において、図1〜4の符号と同じ符号のものは、図1〜4に示したものと同じものである。
本発明の第5の実施の形態は図5(イ)、(ロ)に示したように揮発性有機物質を分解した後、覆っていたシート14を取り除き、光触媒を担持した粒状物Bによる揮発性有機物質の分解を継続しつつ、水分の揮発を促進するようにした以外は本発明の第3の実施の形態と同様になっている。
【0070】
すなわち、図5(イ)に示したように、本発明の第3の実施の形態と同様にして、先ず、光触媒を担持した粒状物Bを混合した含水固化物9を配設台13上に設置した複数の攪拌機21を備えた処理槽22内に所定量入れて、かつその上方を光触媒を備えた透光性を有するシート14で覆い、そして攪拌機21を作動させてよく攪拌しながら、光触媒処理装置10の外部から太陽光を照射して内部および含水固化物9を加熱し、あるいはさらにボイラーやヒーターなどの加熱手段を用いて加熱するか、あるいはさらに空気を送りつつ、含水固化物9に含まれた揮発性有機物質を揮発させ、粒状物Bに担持した光触媒およびシート14に備えた光触媒が光照射により励起され、揮発した揮発性有機物質が、励起されたこれらの光触媒に接触して、炭酸ガスや水などに分解される。含水固化物9中に含まれていた水分の一部は揮発して水蒸気となり、天蓋11内面やシート14に接触して結露する。
【0071】
次いで図5(ロ)に示したように、揮発性有機物質を分解した後、上方から光を照射し、あるいはさらにボイラーやヒーターなどの加熱手段を用いて加熱するか、あるいはさらに空気を送ることを継続しつつ、覆っていたシート14を取り除き、光触媒を担持した粒状物Bによる揮発性有機物質の分解を継続しつつ、水分の揮発を促進する。含水固化物9中に含まれていた水分の残りの大部分は揮発して水蒸気となり、天蓋11内面に接触して結露する。凝縮した水は天蓋11内面を経て下方に流れ、底部12上に溜り回収される。回収された水はラインdを経てタンク15に蓄えられる。タンク15に蓄えた水はラインeを経て豚舎1へ送って、豚の飲料にしたり、豚舎1の洗浄用水として有効利用することができる。
【0072】
(第6の実施の形態)
図6は、本発明の第6の実施の形態の有機性汚泥の浄化処理方法を説明するための説明図である。図6において、図1〜5の符号と同じ符号のものは、図1〜5に示したものと同じものである。
本発明の第6の実施の形態は図6に示したように、光触媒処理装置10は装置内部に向かって傾斜を有する天蓋11を備えており、2つの傾斜が最下点で接する箇所から底部12にわたって天蓋11と同じ材質であるいは異なる材質で形成された壁11−1を備え、2つの傾斜の最上点から底部12にわたって天蓋11と同じ材質であるいは異なる材質で形成された壁11−2、11−3を備えた点および、混練機5で混合された混合物をコンベア8によって移送して、光触媒処理装置10の隣に併せて設置された部屋10−1内に堆積して、1時間〜3日程度養生して固化させ含水固化物9とするようにした点、以外は本発明の第4の実施の形態と同様になっている。
部屋10−1内に堆積して固化させるようにすれば、風、雨水などの影響を避けることができる。
【0073】
光触媒処理装置10内で揮発性有機物質を分解した後、上方から光を照射し、あるいはさらに加熱するか、あるいは空気を送ることを継続しつつ、覆っていたシート14を取り除き、水分の揮発を促進させ、含水固化物9中に含まれていた水分の残りの大部分を揮発して水蒸気として、天蓋11内面や壁11−1、11−2、11−3面に接触して結露させる。凝縮した水は天蓋11内面や壁11−1、11−2、11−3シート内面を経て下方に流れ、底部12上に溜り回収される。回収された水はラインdを経てタンク15に蓄えられる。タンク15に蓄えた水はラインeを経て豚舎1へ送って、豚の飲料にしたり、豚舎1の洗浄用水として有効利用することができる。
【0074】
傾斜を有する天蓋11を備え、壁11−1、11−2、11−3を備えたので揮発した水蒸気を天蓋11内面や壁11−1、11−2、11−3面に接触して結露させ易く、また容易に下方に流して底部12上に回収できる。
【0075】
なお、上記実施形態の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮するものではない。又、本発明の各部構成は上記実施形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
【0076】
例えば、上記の実施の形態においては、含水固化物9を太陽光により加熱して含水固化物9に含まれる揮発性有機物質を揮発させて、太陽光照射により励起された光触媒に接触させて分解する例を示したが、図示しないボイラーなどの加熱手段で含水固化物9を加熱したり、図示しない送風手段で空気を含水固化物9に送って含水固化物9に含まれた揮発性有機物質や水の揮発を促進したり、揮発性有機物質の分解を促進することもできる。
【0077】
また上記の実施の形態においては、光照射に用いる光源が、太陽光である例を示したが、可視波長ないし紫外波長を有する人工光源を用いることもでき、また太陽光と人工光源を組み合わせて用いることもできる。人工光源を用いることにより太陽光がない時や不足する時でも本発明の方法を実施できる。
【0078】
上記の実施の形態においては、バッチ式で処理する例を示したが、連続的に処理したり、バッチ式と連続式を組み合わせて処理することもできる。
【実施例】
【0079】
次に実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の主旨を逸脱しない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
豚糞尿汚泥10,000gに対し石炭灰8,000g質量部を添加撹拌する。撹拌している豚糞尿汚泥が塑性した状態において酸化ナトリウム9質量%含有量の水ガラス300gを添加撹拌する。水ガラスを添加後30分後より固化し始める。3日程度の養生を経ると豚糞尿汚泥は十分な固化状態となり含水固化物が得られた。
このようにして得られた含水固化物(19mmフルイパス)9,650gに、暗室中で10質量%光触媒を担持した粒状物(粒径75μ〜2mm程度)965gをよく混合した後、トレイ(幅50cm×長さ80cm×高さ20cm)中に入れ(トレイ内の含水固化物の深さ約5cm)光が入らないように蓋をした。
蓋をしたままこのトレーを暗室から日光の当たる場所へ移動し、蓋を開け、トレー内の含水固化物に日光が照射されるようにセットし実験をスタートした。
スタート後、1時間、4.5時間、14時間の時点でトレー内の含水固化物を採取(各1kg)し、採取した試料のpH、有機態窒素を下記の測定法により測定した。
【0080】
測定法:
pH: 肥料分析法3.3.1
有機態窒素:肥料分析法4.1.1.1
【0081】
測定結果: スタート時 1時間 4.5時間 14時間
pH(21.2℃): 7.4 7.5 7.5 7.5
有機態窒素(mg/kg):3800 14 15 6.8
【0082】
有機態窒素(mg/kg)の経時変化を図7に示す。
図7から含水固化物中の有機態窒素が実験スタート後1時間で速やかに分解され低レベルになったことが判る。
【0083】
(実施例2)
実施例1で得られた含水固化物に、10質量%光触媒を担持した粒状物を混合した後、トレイ中に入れ、このトレーの上方を光触媒を備えたシートで覆って日光を照射した以外は実施例1と同様にして実験した。
含水固化物中の有機態窒素は実験スタート後1時間で速やかに分解され低レベルになるとともに、実験スタート後数時間で含水固化物中のアンモニア態窒素および硝酸性窒素も分解され低レベルになった。
【0084】
(実施例3)
畜産糞尿の過剰散布で畑が高濃度の硝酸性窒素で汚染され、植物の生育が遅く収穫が少なくなった汚染土壌1kgに、実施例1で使用した10質量%光触媒を担持した粒状物100gをよく混合した後、実施例1で使用したトレイ中に入れ実施例1と同様にして暗室から日光の当たる場所へ移動し、蓋を開け、トレー内の10質量%光触媒を担持した粒状物を混合した汚染土壌に日光が照射されるようにセットし実験し、実施例と同様にして有機態窒素を測定した。有機態窒素は実験スタート後1時間で速やかに分解され植物の生育などに適する低レベルになった。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明の有機性汚泥の浄化処理方法によれば、豚、馬、鶏などの畜産の排泄物からなる畜産糞尿汚泥、湖沼底に生じる有機性汚泥、あるいは、下水消化汚泥、下水余剰汚泥、工業排水の生物処理汚泥、パルプスラッジから選択される有機性汚泥を脱水処理して得られる水を含むケーキを容易に固化でき、しかも光触媒の利用により揮発させた揮発性有機物質を炭酸ガスや水などに容易にかつ経済的に分解できるので、固化物の中まで十分にかつ均一に処理でき、環境負荷を低減できるという顕著な効果を奏するので、産業上の利用価値は甚だ大きい。
また本発明の汚染土壌の光触媒を利用した浄化処理方法によれば、有機性汚染物質で汚染された汚染土壌に光触媒を担持した粒状物を有効量混合し、上方から光を照射して、前記汚染土壌に含まれた前記汚染物質を前記光触媒に接触させて分解するので、簡単に容易に経済的にかつ短時間で浄化処理でき、浄化処理した土壌を再使用できるという顕著な効果を奏するので、産業上の利用価値は甚だ大きい。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の第1の実施の形態の有機性汚泥の浄化処理方法を説明するための説明図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態の有機性汚泥の浄化処理方法を説明するための説明図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態の有機性汚泥の浄化処理方法を説明するための説明図である。
【図4】本発明の第4の実施の形態の有機性汚泥の浄化処理方法を説明するための説明図である。
【図5】本発明の第5の実施の形態の有機性汚泥の浄化処理方法を説明するための説明図である。
【図6】本発明の第6の実施の形態の有機性汚泥の浄化処理方法を説明するための説明図である。
【図7】含水固化物の有機態窒素の経時変化を示すグラフである。
【符号の説明】
【0087】
1 豚舎
2 貯溜槽
5 混練機
9 含水固化物
10 光触媒処理装置
14 光触媒を備えた透光性を有するシート
16 再生タンク
B 光触媒を担持した粒状物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の工程(1)〜(6)を含むことを特徴とする有機性汚泥の光触媒を利用した浄化処理方法。
(1)有機性汚泥を準備する。
(2)準備した有機性汚泥に、SiO2 とAl23 を主成分とする多孔質廃棄物および酸化ナトリウムを主材とする固化剤を添加攪拌し、養生して固化させて含水固化物を作る。
(3)工程(2)で得られた含水固化物の上方を、光触媒を備えたシートおよび/またはフィルムで覆い、そして上方から光を照射し、あるいはさらに加熱するか、あるいは空気を送ることにより、前記含水固化物に含まれた揮発性有機物質を揮発させて前記光触媒に接触させて分解する。
(4)工程(3)で得られた固化物は、そのまま製品とするか、あるいは高温焼成して人工資材とする。
(5)工程(3)で得られた固化物は、必要に応じて工程(2)へリサイクルして前記有機性汚泥に必要量配合して使用する。
(6)工程(3)で揮発した水分を凝縮して回収して利用するか、あるいは必要に応じて工程(1)へ必要量リサイクルして使用する。
【請求項2】
前記工程(3)の後に、前記含水固化物に含まれた揮発性有機物質を揮発させて前記光触媒に接触させて分解した後、上方から光を照射し、あるいはさらに加熱するか、あるいは空気を送ることを継続しつつ、覆っていた前記光触媒を備えたシートおよび/またはフィルムを取り除き、水分の揮発を促進する工程(3’)を含むことを特徴とする請求項1記載の有機性汚泥の光触媒を利用した浄化処理方法。
【請求項3】
次の工程(1)〜(6)を含むことを特徴とする有機性汚泥の光触媒を利用した浄化処理方法。
(1)有機性汚泥を準備する。
(2)準備した有機性汚泥に、SiO2 とAl23 を主成分とする多孔質廃棄物および酸化ナトリウムを主材とする固化剤を添加攪拌し、養生して固化させて含水固化物を作る。
(3)工程(2)で得られた含水固化物に光触媒を担持した粒状物を有効量添加攪拌混合し、そして必要に応じて攪拌混合を継続しつつ光を照射し、あるいはさらに加熱するか、あるいは空気を送ることにより、前記含水固化物に含まれた揮発性有機物質を揮発させて前記光触媒に接触させて分解する。
(4)工程(3)で得られた固化物は、そのまま製品とするか、あるいは高温焼成して人工資材とする。
(5)工程(3)で得られた固化物は、必要に応じて工程(2)へリサイクルして前記有機性汚泥に必要量配合して使用する。
(6)工程(3)で揮発した水分を凝縮して回収して利用するか、あるいは必要に応じて工程(1)へ必要量リサイクルして使用する。
【請求項4】
次の工程(1)〜(6)を含むことを特徴とする有機性汚泥の光触媒を利用した浄化処理方法。
(1)有機性汚泥を準備する。
(2)準備した有機性汚泥に、SiO2 とAl23 を主成分とする多孔質廃棄物および酸化ナトリウムを主材とする固化剤を添加攪拌し、養生して固化させて含水固化物を作る。
(3)工程(2)で得られた含水固化物に光触媒を担持した粒状物を有効量混合し、そしてその上方を、光触媒を備えたシートおよび/またはフィルムで覆い、そして必要に応じて攪拌混合を継続しつつ上方から光を照射し、あるいはさらに加熱するか、あるいは空気を送ることにより、前記含水固化物に含まれた揮発性有機物質を揮発させて前記光触媒に接触させて分解する。
(4)工程(3)で得られた固化物は、そのまま製品とするか、あるいは高温焼成して人工資材とする。
(5)工程(3)で得られた固化物は、必要に応じて工程(2)へリサイクルして前記有機性汚泥に必要量配合して使用する。
(6)工程(3)で揮発した水分を凝縮して回収して利用するか、あるいは必要に応じて工程(1)へ必要量リサイクルして使用する。
【請求項5】
前記工程(3)の後に、前記含水固化物に含まれた揮発性有機物質を揮発させて前記光触媒に接触させて分解した後、上方から光を照射し、あるいはさらに加熱するか、あるいは空気を送ることを継続しつつ、覆っていた前記光触媒を備えたシートおよび/またはフィルムを取り除き、水分の揮発を促進する工程(3’)を含むことを特徴とする請求項4記載の有機性汚泥の光触媒を利用した浄化処理方法。
【請求項6】
前記有機性汚泥が、畜産の排泄物からなる畜産糞尿汚泥、湖沼底に生じる有機性汚泥、あるいは下水消化汚泥、下水余剰汚泥、工業排水の生物処理汚泥、パルプスラッジから選択される有機性汚泥を脱水処理して得られるケーキであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の有機性汚泥の光触媒を利用した浄化処理方法。
【請求項7】
SiO2 とAl23 を主成分とする前記多孔質廃棄物が石炭灰、パルプ灰から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の有機性汚泥の光触媒を利用した浄化処理方法。
【請求項8】
光照射に用いる光源が、太陽光の自然光源、あるいは可視波長ないし紫外波長を有する人工光源、あるいはこれらの組み合わせであることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の有機性汚泥の光触媒を利用した浄化処理方法。
【請求項9】
前記有機性汚泥(固形分)100質量部に対して、SiO2 とAl23 を主成分とする前記多孔質廃棄物20〜100質量部、酸化ナトリウム9〜24質量%含有する水ガラス2〜20質量部配合することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の有機性汚泥の光触媒を利用した浄化処理方法。
【請求項10】
有機性汚染物質で汚染された汚染土壌に光触媒を担持した粒状物を有効量混合し、そして必要に応じて攪拌混合を行いつつ、あるいはさらに加熱するか、あるいはさらに空気を送りつつ、上方から光を照射して、前記汚染土壌に含まれた前記汚染物質を前記光触媒に接触させて分解することを特徴とする汚染土壌の光触媒を利用した浄化処理方法。
【請求項11】
土壌が汚染された現場で浄化処理するか、あるいは汚染土壌を処理できる所へ汚染土壌を移送して浄化処理するか、あるいは両者を組み合わせて浄化処理することを特徴とする請求項10記載の汚染土壌の光触媒を利用した浄化処理方法。
【請求項12】
光照射に用いる光源が、太陽光の自然光源、あるいは可視波長ないし紫外波長を有する人工光源、あるいはこれらの組み合わせであることを特徴とする請求項10あるいは請求項11記載の汚染土壌の光触媒を利用した浄化処理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2006−255564(P2006−255564A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−75317(P2005−75317)
【出願日】平成17年3月16日(2005.3.16)
【出願人】(599024274)アース建設コンサルタント株式会社 (7)
【出願人】(500263415)アースアイプラッツ株式会社 (6)
【Fターム(参考)】