説明

有機汚泥の処理

有機汚泥の処理方法は、有機汚泥と粒子状滅菌有機物とを混合して有機混合物を形成する混合工程を含む。この混合物は、乾燥工程において乾燥され、均一な粒子状有機産物が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機汚泥の処理に関するものである。特に、有機汚泥を処理する方法、並びに、該方法に好適な粒子状滅菌有機物の生産物に関するものである。
【発明の開示】
【0002】
本発明の第一の側面によれば、有機汚泥の処理方法であって、有機汚泥と粒子状滅菌有機物とを混合して有機混合物を形成する混合工程と、該有機混合物を乾燥し均一な粒子状有機産物を得る乾燥工程とを含む有機汚泥の処理方法が提供される。
【0003】
有機汚泥は、液体又は泥状有機肥料であり得る。有機肥料は、滅菌された無菌濃縮汚泥であり得る。
【0004】
本発明の一形態において、有機肥料又は滅菌された濃縮無菌汚泥は、本明細書において参照により取り込まれるZA89/6160の方法により得られるものであり得る。したがって、質量基準で2%から50%、典型的には2%から25%の固形汚物を含有する未処理下水、活性汚泥、消化スラッジ中に、無水アンモニアガスを導入して下水汚泥中間体を形成し、充分な量の無水アンモニアガスを加えて下水汚泥のpHを約11.6まで上げ、且つ温度を30℃から60℃に上げ、アンモニアを下水汚泥中間体と少なくとも5分間、典型的には少なくとも11分間反応させる。アンモニア及び/又は下水汚泥中に形成されたアンモニウム複合体/中間体と発熱反応することができる充分な量の無機酸を加えてアンモニア(中間体)を約pH7に中和し、加えられたアンモニアガスとの化学両論的反応に必要とされる量よりも少ない量の酸を用い、中間体の温度を少なくとも65℃に上げることにより得ることができる。したがって、アンモニアは滅菌及び無菌剤として作用する。
【0005】
しかしながら、代わりに、他のいずれの好適な有機物をも使用することができる。例えば、有機物は、汚泥が製紙用パルプのような紙系であってもよいし、家畜(例えば豚)の液状糞尿であってもよい。
【0006】
原則として、好適なすべての粒子状滅菌有機物を使用することができる。したがって、本発明の一形態において、粒子状滅菌有機物は、均一な粒子状有機生産物であり得る。換言すれば、均一な粒子状有機生産物の一部は再循環され、汚泥と混合される。このように、滅菌有機物は、乾燥した固形物の粒子形態である。
【0007】
しかしながら、本発明の他の形態において、粒子状滅菌有機物は、代わりとしてあるいは追加として、特に開始状態においては、好適な滅菌有機汚泥を乾燥し、得られる乾燥有機物を粉砕して得られる粒子状滅菌有機物であってもよい。そのときの有機物は下水であってもよいし、代わりに、汚泥が製紙用パルプの形態である場合の紙や、家畜(例えば、豚)の糞尿など何れの好適な有機物をも使用することができる。滅菌有機汚泥は、好ましくは用途に適したpHにされ、滅菌剤を未処理の有機汚泥に加えることにより得られたものであり得る。汚泥の乾燥は、天日乾燥床においてなされ得、天候や床の表面積に応じて2日から6ヶ月の期間において実行される。乾燥有機物は、例えばミルを通過させるなどにより粉砕することができる。
【0008】
粒子状滅菌有機物の粒子は、汚泥を凝固させ凝集させるための核として作用し、故に汚泥は成分が混合される際に核を被覆する。存在する滅菌剤は、凝固及び凝集において直接的又は間接的に、すなわち中間体として、役立ち得る。混合により、乾燥前に成分がむらなく且つ均一に確実に混合される。
【0009】
有機汚泥は、質量基準において、典型的には16%〜30%の固形分を含有し得る。有機汚泥と粒子状滅菌有機物との質量比は、1:1〜7:3であり得る。
【0010】
混合工程には、好適な混合器のいずれもが含まれ得、故に、混合器は標準的な混合器であってもよいし、高せん断混合器であってもよい。混合器中における有機汚泥と粒子状滅菌有機物の保持時間は、5秒〜2分であり得る。保持時間は、とりわけ汚泥と粒子状有機物の割合に依存し得る。
【0011】
乾燥工程には、回転式ドラム乾燥器、流動床乾燥器、又は噴霧乾燥器など、好適な乾燥器のいずれもが含まれ得る。本発明の一形態において、乾燥は、乾燥剤として空気が混合物に対して逆流して通過する回転式ドラム乾燥器内で行われ得る。しかしながら、代わりに、空気及び混合物が並流して乾燥器中を通過してもよい。
【0012】
乾燥温度は、例えば回転式ドラム乾燥器で用いられる温風の場合、90℃を超えるものではなく、好ましくは75℃を超えず、そのため、産物に内在する生物価は危険にさらされない。したがって、乾燥剤として空気が使用される場合には、空気温度は、50℃〜75℃であり得、その相対湿度は、5%〜0.05%(質量基準)であり得る。
【0013】
均一な有機産物は、このように固形の粒子形状であり、肥料としての使用に好適である。
【0014】
本発明の第二の側面によれば、粒子状滅菌有機物の製造方法であって、有機汚泥に滅菌剤を加えて滅菌有機汚泥を形成すること、該滅菌有機汚泥を乾燥して乾燥滅菌有機物を得ること、該乾燥滅菌物質を粉砕し粒子状滅菌有機物を得ることを含む方法が提供される。
【0015】
このようにして得られる粒子状滅菌有機物は、本発明の第一の側面による方法における使用に好適である。
滅菌剤、汚泥へのその添加、汚泥の乾燥、及び乾燥有機物の粉砕は上記に記載の通りである。
【0016】
以下に、添付の図面を参照しながら本発明をより詳細に説明する。
図1において、参照番号10は、液体又は泥状の有機肥料を処理するための本発明による方法を概略的に示す。プロセス10は、混合器14に通じる有機肥料のフローライン12を含む。フローライン16は、混合器14から回転式ドラム乾燥器18に通じ、回転式ドラム乾燥器18は、該ドラム18から通じている粒子状有機産物の回収ライン20を備える。
【0017】
フローライン20は、篩い及び仕分け工程22に通じ、該工程22は、該工程22から通じている産物の回収ライン24を備える。
産物の再循環ライン26が工程22からミル28に通じ、ミル28は、混合器14に通じるライン30を備える。
【0018】
温風ライン32が熱源34(例えば、ヒートポンプシステム)から乾燥器18に通じ、該乾燥器18は、ヒートポンプシステムへ戻る使用済み空気ライン36を備える。
有機肥料はプロセス10において処理される。該有機肥料は、液体又は泥状である。
【0019】
有機肥料は、本明細書において参照により取り込まれるZA89/6160に記載の方法により製造されるような、滅菌された濃縮無菌汚泥であり得る。このように、本発明の一形態において、有機肥料は、以下により得られるものであり得る。すなわち、0.01〜5質量%の固体濃度から約15質量%の固体濃度まで下水汚泥を濃縮し、得られた濃縮下水汚泥を、パイプ反応装置内で1〜3バール(g)の圧力において緊密混合剤と共に充分なガス状アンモニアを加えて処理し、汚泥温度を約40℃まで上げながらそのpHを約11.6まで上げる。汚泥をアンモニアと約10分間反応させた後、任意に過酸化水素又はオゾンなどの滅菌剤を添加し、次いで緊密混合剤と共に充分なリン酸を加え、アンモニアとリン酸の発熱反応により少なくとも65℃〜70℃に汚泥温度を上げながら、スラリー中のアンモニアをpHが約7になるよう中和し、滅菌された濃縮無菌汚泥又は有機肥料を得る。任意に、有機肥料に硝酸塩などの栄養剤を添加してもよい。
【0020】
上述したように液体又は泥状の有機肥料は、使用の際に、フローライン12に沿い混合器14に入る。有機肥料は固形物の含有率が約5質量%〜30質量%である。混合器14中で、有機肥料は、フローライン26、ミル28、及びフローライン30に沿い混合器に再循環される均一な粒子状有機産物と共に混合される。有機肥料と再利用される有機産物との質量比は、典型的には6:4である。混合器14中における保持時間は、典型的には約10〜20秒である。
【0021】
混合器14中において再利用される、上記のように実質的に固体粒子形態である均一な粒子状有機産物は、該有機産物粒子を有機肥料が覆うことにより、有機肥料の核として作用する。本明細書に記載したように、有機粒子は、このように有機肥料を凝固し凝集する核として作用する。混合器により、成分が確実にむらなく均一に混合される。
【0022】
得られる混合物は、フローライン16に沿い回転式乾燥器18を通り、ここで、温度が約65℃〜75℃且つ相対湿度が約2%〜0.5%である、ライン32に沿い入ってくる温風と向流的に接触する。使用済み空気は、ライン36に沿って乾燥器18から回収され、熱源34(典型的にはヒートポンプシステム)において再加熱される。
乾燥器18に入る混合物は、水分含有率が約40質量%〜50質量%である。
【0023】
均一であり(すなわち、均一な組成を有する)、且つ微粒子状又は粒子状形態である有機産物は、乾燥器18内で製造され、フローライン20に沿い、篩い及び仕分け工程22を通る。ドラム乾燥器18の使用により、粒子は丸められ、これによりその篩い及び仕分けが促進されることが理解されよう。
【0024】
3mmから5mmの範囲にある正しいサイズの製品粒子は、フローライン24から回収され、肥料として袋詰めされ、貯蔵され、市販される。
【0025】
標準より小さい製品粒子、すなわち約3mmより小さい粒子は、ライン26に沿って回収され、標準より大きい製品粒子、すなわち約5mmより大きい粒子も同様である。標準より大きな粒子はミルを通過し、そこで粒子は、典型的には約0.5mm〜0.05mmの大きさに挽かれ、その後混合器14に再循環され、上述したように核として作用する。当然ながら、篩い及び仕分け工程22から回収された標準より小さな粒子は、ミル28を通過する必要はなく、代わりに直接混合器14を通る。
【0026】
混合器14に再循環される粒子産物は、有機肥料を凝固し凝集させるのに役立つ滅菌剤(アンモニア)を含有するだけでなく、乾燥器18中で粒子を形成するのに役立つ好適な混合剤とする内在的な化学/生物成分を有すると考えられる。したがって、予期されるよりも水分含有率が多い混合物を、乾燥器18の壁に混合物が付着する可能性を高めることなく乾燥器18に送り込むことが可能となり、故に乾燥粒子状肥料として使用するのに好適な質の高い又は付加価値のある最終製品を生産する。
【0027】
必要に応じ、起動又は通常操作の間に、追加的に外部から粒子状滅菌有機物を、破線で示されるようにライン38に沿い混合器14に加えてもよい。したがって、この粒子状滅菌有機物は、混合器14中の汚泥に加えられる合計粒子状滅菌有機物の一部となる。
【0028】
上述したように使用される外部からの粒子状滅菌有機物は、図2に示されるプロセス50により得られ得る。
【0029】
プロセス50には、混合工程54に導く未処理有機汚泥ライン52、また混合工程54に滅菌剤を導く追加ライン56が含まれる。滅菌有機物移送ライン58は、混合器54から天日乾燥床60に導く。回収ライン62は、乾燥器60からミル64へ導き、そこから粒子状滅菌有機物ライン38を導く。使用時に、未処理の有機汚泥、すなわち未処理の下水汚泥、製紙用パルプ、ブタ糞尿及び水などは、ライン52に沿い混合器54に導入される。アンモニアや無機酸などの充分な滅菌剤が、汚泥を滅菌するためにライン56に沿い混合器54に導入される。滅菌された汚泥は、ライン58に沿い天日乾燥床60に導入され、典型的には約10週間、天日乾燥される。汚泥の水成分が実質的に蒸発し残渣乾燥産物が残ったとき、乾燥産物はミルを通り、典型的には約0.5mm〜0.05mmの大きさの粒子状滅菌有機物に粉砕され、次いで混合器14に送られる。
【0030】
このように思いがけず、プロセス10により、液体有機肥料を脱水し粒子状にする、すなわち、液体有機肥料を固体粒子状有機肥料に転換するのに特に有効な方法が見出された。特に、乾燥固体粒子又は核を有機汚泥に加えることにより、汚泥の水含有率が減少し、また、汚泥が乾燥したときに通常は到達し、且つ使用される乾燥装置の障害となる高い粘度となることは大きく回避される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、本発明に係る有機肥料の処理方法を示す簡略化した流れ図である。
【図2】図2は、図1の方法における使用に好適な粒子状滅菌有機物の製造方法を示す簡略化した流れ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機汚泥の処理方法であって、有機汚泥と粒子状滅菌有機物とを混合して有機混合物を形成する混合工程と、該有機混合物を乾燥し均一な粒子状有機産物を得る乾燥工程とを含む、処理方法。
【請求項2】
有機汚泥が有機肥料である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
有機汚泥が製紙用パルプ、又は液体家畜糞尿である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
均一な粒子状有機産物の一部を混合工程に再循環させ、これにより再循環した均一な粒子状有機産物の形態において粒子状滅菌有機物と一緒になることを含む、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
粒子状滅菌有機物が、有機汚泥に滅菌剤を加えて滅菌有機汚泥を形成し、該滅菌有機汚泥を乾燥して乾燥滅菌有機物を得、該乾燥滅菌物質を粉砕することにより得られる、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
有機汚泥における固形分含有率が、質量基準で16%から30%である、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
有機汚泥と粒子状滅菌有機物との質量比が1:1から7:3である、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
混合工程が混合器を含み、該混合器中の有機汚泥と粒子状滅菌有機物の保持時間が5秒から2分である、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
乾燥工程が乾燥器を含み、乾燥温度が90℃を超えない、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
乾燥温度が75℃を超えない、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
乾燥器が、有機混合物を乾燥する温風が送り込まれる回転式ドラム乾燥器であり、温風は注入口における空気温度が50℃から75℃である、請求項9又は10に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−501075(P2009−501075A)
【公表日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−521025(P2008−521025)
【出願日】平成18年7月14日(2006.7.14)
【国際出願番号】PCT/IB2006/052408
【国際公開番号】WO2007/007299
【国際公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(507418924)カペンシス・インベストメンツ・497・(プロプライエタリー)・リミテッド (1)
【Fターム(参考)】