説明

有機物ガスの濃度測定方法、その濃度測定装置、アミンガスの濃度測定方法及びその濃度測定装置

【課題】測定対象雰囲気中の有機物ガスの濃度をリアルタイムで測定することができる有機物ガスの測定装置を提供する。
【解決手段】有機物ガスの濃度を測定する有機物ガスの濃度測定装置において、測定対象雰囲気を導入する気体導入口を有する捕集容器20と、捕集容器内に収容されて有機物ガスを捕集する捕集剤22と、この有機物ガスを脱離させるために捕集剤を加熱する加熱手段24と、有機物ガスを捕集する際に捕集容器内の雰囲気を排出させるための排気ポンプが介設された排気系36と、捕集剤から脱離した有機物ガスを搬送するためのキャリアガスを供給するキャリアガス供給系32と、脱離した有機物ガスをキャリアガスと共に搬送する混合ガス搬送系38と、混合ガス搬送系に設けられてキャリアガス中の脱離した有機物ガスの濃度を測定する濃度測定部56と、装置全体の動作を制御する制御部58とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造装置内やクリーンルーム内の雰囲気などの測定対象雰囲気中の有機物ガスやアミンガスの濃度を測定し、併せて有機物ガス除去フィルタやアミンガス除去フィルタの寿命も判断することができる有機物ガスの濃度測定方法、その濃度測定装置、アミンガスの濃度測定方法及びその濃度測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体集積回路を形成するには、半導体製造装置において半導体ウエハ等の被処理体に対して、成膜処理、エッチング処理、酸化拡散処理等の各種の処理が施される。この場合、サブミクロン単位の微細加工が行われている製品ウエハの歩留まりを向上させるために、半導体製造装置が設置されているクリーンルーム内の雰囲気はもとより、半導体製造装置内におけるウエハ搬送領域の雰囲気も高度に管理されており、雰囲気中の製品不良の原因となる微細粒子状のパーティクルや有機物ガスやアミンガスを除去することが行われる(特許文献1、2参照)。
【0003】
具体的には、上記微細粒子であるパーティクルは、一般的にはULPA(Ultra Low Penetration Air−filter)フィルタによって除去され、有機物ガスは活性炭のようなケミカルフィルタよりなる有機物ガス除去フィルタによって除去される。例えば半導体製造装置が収容されるクリーンルームには、その天井部にケミカルフィルタやULPAフィルタを設けて、清浄空気のダウンフローを形成している。また半導体製造装置内には、ウエハを処理チャンバ内へ移載する前段部分にウエハをハンドリングするハンドリングスペースや、ウエハを保管するストックスペース等があり、これらのスペースには一般的にその天井部、または側面部に上記したケミカルフィルタやULPAフィルタを設けて清浄気体(空気やN ガス等)のラミナーフロー(層流)を形成して清浄雰囲気になされている。
【0004】
ところで、上記ULPAフィルタや有機物ガス除去フィルタはそれぞれ所定の吸着量に達すると、その吸着捕集能力が急激に低下するので、製品ウエハの歩留まりを高く維持するためにフィルタを交換するための寿命を的確に判断しなければならない。例えば有機物ガス除去フィルタを例にとってその寿命を管理する方法を説明すると、クリーンルームや半導体製造装置における有機物ガス除去フィルタを通過した雰囲気を、有機物ガスの捕集剤に一定の時間、或いは一定の流量の雰囲気を通過させて、この雰囲気中に残留する有機物ガスを捕集剤により完全に吸着して捕集する。そして、この有機物ガスが吸着した捕集剤を測定業者に持って行き、この捕集剤を加熱することによってこれに吸着していた有機物ガスを完全に脱離させてこの時に脱離した有機物ガスの濃度を測定する。そして、その測定結果によって上記有機物ガス除去フィルタが寿命に至ったか否かを判断するようになっている。例えばこの測定時の有機物ガスの濃度が基準値よりも高ければ、有機物ガスが上記フィルタによって十分に除去されていないことを意味するので、フィルタの寿命が到来しているものと判断することになる。上記した点はアミンガス除去フィルタも同様である。
【0005】
【特許文献1】特開2002−75844号公報
【特許文献2】特開2002−151372号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記したような従来の有機物ガスの濃度測定方法、或いはフィルタの寿命判断方法にあっては、捕集剤への有機物ガスの吸着捕集操作と、この有機物ガスの加熱脱離による測定操作とを異なる場所で行うことから、有機物ガス除去フィルタの通過雰囲気のモニタリング操作を定期的に行うしかなく、リアルタイムで有機物ガス除去フィルタが寿命に至ったか否か、すなわち破過状態に至ったか否かを判断することができない。
この場合、有機物ガス除去フィルタを、その寿命に至る前に能力的に余裕を持った状態で交換しなければならず、ランニングコストが高騰していた。また、上記したように、有機物ガスの吸着捕集操作と測定操作とを異なる場所で行うことから、全体としての操作が煩雑になるのみならず、測定コストも大幅に増大する、という問題もあった。
【0007】
また従来の有機物ガスの濃度測定方法にあっては、半導体ウエハに付着し易いか否かに係わらず、全ての有機物ガスの濃度を測定するようにしているため、フィルタの実質的な寿命よりも早目に寿命に至ったものと判断する傾向にあり、この点よりも、ランニングコストの高騰を招く、といった問題があった。
またアミンに関しては種類が多く、明確にはフィルタの寿命計算ができないため、寿命を判断することが困難であった。しかもアミンは分解し易く、雰囲気中の濃度を測定することは困難であった。
【0008】
本発明は、以上のような問題点に着目し、これを有効に解決すべく創案されたものである。本発明の目的は、測定対象雰囲気中の有機物ガスの濃度をリアルタイムで測定することができ、併せて有機物ガスの中でも被処理体に付着し易い傾向を有する有機物ガスの濃度のみを測定することにより有機物ガス除去フィルタの実質的な寿命を的確に判断することが可能な有機物ガスの濃度測定方法及びその濃度測定装置を提供することにある。
【0009】
また本発明の他の目的は、測定対象雰囲気中のアミンガスの濃度をリアルタイムで測定することができ、アミンガス除去フィルタの実質的な寿命を的確に判断することが可能なアミンガスの濃度測定方法及びその濃度測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、測定対象雰囲気中の有機物ガスの濃度を測定する有機物ガスの濃度測定装置において、前記測定対象雰囲気を導入する気体導入口を有する捕集容器と、前記捕集容器内に収容されて前記有機物ガスを捕集する捕集剤と、前記捕集剤に捕集された有機物ガスを脱離させるために前記捕集剤を必要に応じて加熱する加熱手段と、前記有機物ガスを捕集する際に前記捕集容器内の雰囲気を排出させるための排気ポンプが介設された排気系と、前記捕集剤から脱離した有機物ガスを搬送するためのキャリアガスを供給するキャリアガス供給系と、前記脱離した有機物ガスを前記キャリアガスと共に搬送する混合ガス搬送系と、前記混合ガス搬送系に設けられて前記キャリアガス中の前記脱離した有機物ガスの濃度を測定する濃度測定部と、装置全体の動作を制御する制御部と、を備えたことを特徴とする有機物ガスの濃度測定装置である。
【0011】
このように、捕集剤を収容した捕集容器内に測定対象雰囲気を流して有機物ガスを捕集し、この後に捕集剤を加熱して上記捕集した有機物ガスを加熱して脱離させてこの有機物ガスの濃度を測定するようにしたので、測定対象雰囲気中の有機物ガスをリアルタイムで測定することができる。
【0012】
この場合、例えば請求項2に規定するように、前記制御部は、前記捕集剤に捕集された有機物ガスを脱離させる際に、前記捕集剤を第1の温度で所定時間加熱し、その時に前記脱離した有機物ガスの濃度を測定するように制御する。
また例えば請求項3に規定するように、前記制御部は、前記捕集剤に捕集された有機物ガスを脱離させる際に、前記捕集剤を第1の濃度で所定時間加熱し、その後、前記第1の温度よりも高い第2の温度で加熱すると共に、前記第2の温度の加熱時に前記脱離した有機物ガスの濃度を測定するように制御する。
このように、捕集剤を第1の温度で加熱した時に脱離した有機物ガスの濃度は測定せず、第2の温度で加熱した時に脱離した有機物ガスの濃度のみを測定するようにしたので、特定の物性を有する有機物ガスの濃度のみを測定することができる。
【0013】
例えば請求項4に規定するように、前記第1の温度は、比較的沸点の低い有機物のガスとして脱離するような所定の温度範囲内の温度である。
例えば請求項5に規定するように、前記第1の温度の温度範囲は、60〜200℃未満の範囲内である。
例えば請求項6に規定するように、前記制御部は、前記有機物ガスを捕集する際に前記捕集剤を第3の温度に加熱し、前記捕集剤に捕集された有機物ガスを脱離させる際に前記捕集剤を前記第3の温度よりも高い第2の温度に加熱するように制御する。
このように、有機物ガスの捕集時に捕集剤を第3の温度に加熱することにより、特性の物性を有する有機物ガスを捕集しないようにして上記物性とは逆の物性を有する有機物ガスのみを捕集することができる。
【0014】
この場合、例えば請求項7に規定するように、前記第3の温度は、比較的沸点の低い有機物のガスが前記捕集剤に捕集されないような温度である。
また例えば請求項8に規定するように、前記第2の温度は、前記捕集剤に捕集された全ての有機物ガスが脱離するような温度である。
また例えば請求項9に規定するように、前記第2の温度は、200〜400℃の範囲内である。
また例えば請求項10に規定するように、前記排気系と前記キャリアガス供給系と前記混合ガス搬送系とには、それぞれ必要に応じて開閉される開閉弁が介設されている。
また例えば請求項11に規定するように、前記処理容器の気体導入口には開閉弁が設けられており、該開閉弁は前記キャリアガスを供給する時には閉じられる。
【0015】
また例えば請求項12に規定するように、前記混合ガス搬送系には、該混合ガス搬送系に流れる有機物ガスの液化を防止するための加温機構が設けられている。
また例えば請求項13に規定するように、前記捕集容器の気体導入口には、半導体製造装置内における被処理体を搬送するための大気圧の搬送領域の雰囲気、或いはクリーンルーム内の雰囲気を取り込んで導くための単数、または複数の雰囲気導出管が共通に連通されており、前記雰囲気導出管には、選択的に開閉される選択開閉弁が設けられている。
このように、複数の異なる領域の測定対象雰囲気を選択的に取り込んで、その測定対象雰囲気中の有機物ガスの濃度を選択的に、且つリアルタイムで測定することができる。
【0016】
この場合、例えば請求項14に規定するように、前記選択開閉弁は、前記雰囲気導出管が共通に連結される部分に設けられる多方弁よりなる。
また例えば請求項15に規定するように、前記雰囲気導出管には、該雰囲気導出管に流れる有機物ガスの液化を防止するための加温機構が設けられている。
また例えば請求項16に規定するように、前記測定対象雰囲気は、有機物ガスを除去する有機物ガス除去フィルタを通過した後の雰囲気であり、前記制御部は、前記濃度測定部の測定結果に応じて前記有機物ガス除去フィルタの寿命を判断する寿命判断機能を有している。
このように、濃度測定部の測定結果に応じて有機物ガス除去フィルタの寿命を判断することができる。
この場合、例えば請求項17に規定するように、前記制御部は、前記判断結果が寿命の到来を示した時にはその旨をオペレータに知らせるアラーム部を有する。
【0017】
請求項18に係る発明は、測定対象雰囲気中のアミンガスの濃度を測定するアミンガスの濃度測定装置において、前記測定対象雰囲気を導入する気体導入口を有する捕集容器と、前記捕集容器内に収容されて前記アミンガスを捕集する捕集剤と、前記捕集剤に捕集されたアミンガスを脱離させるために前記捕集剤を必要に応じて加熱する加熱手段と、前記アミンガスを捕集する際に前記捕集容器内の雰囲気を排出させるための排気ポンプが介設された排気系と、前記捕集剤から脱離したアミンガスを搬送するためのキャリアガスを供給するキャリアガス供給系と、前記脱離したアミンガスを前記キャリアガスと共に搬送する混合ガス搬送系と、前記混合ガス搬送系に設けられて前記キャリアガス中の前記脱離したアミンガスの濃度を測定する濃度測定部と、装置全体の動作を制御する制御部と、を備えたことを特徴とするアミンガスの濃度測定装置である。
【0018】
このように、捕集剤を収容した捕集容器内に測定対象雰囲気を流してアミンガスを捕集し、この後に捕集剤を加熱して上記捕集したアミンガスを加熱して脱離させてこのアミンガスの濃度を測定するようにしたので、測定対象雰囲気中のアミンガスをリアルタイムで測定することができる。
この場合、例えば請求項19に規定するように、前記アミンガスの捕集時に前記捕集容器を冷却する冷却手段が設けられる。
【0019】
請求項20に係る発明は、測定対象雰囲気中のアミンガスの濃度を測定するアミンガスの濃度測定装置において、 前記測定対象雰囲気を導入する気体導入口を有する捕集容器と、前記アミンガスの捕集時に前記捕集容器を冷却する冷却手段と、前記前記捕集容器に捕集された前記アミンガスを脱離させるために前記捕集容器を必要に応じて加熱する加熱手段と、前記アミンガスを捕集する際に前記捕集容器内の雰囲気を排出させるための排気ポンプが介設された排気系と、前記捕集容器から脱離したアミンガスを搬送するためのキャリアガスを供給するキャリアガス供給系と、前記脱離したアミンガスを前記キャリアガスと共に搬送する混合ガス搬送系と、前記混合ガス搬送系に設けられて前記キャリアガス中の前記脱離したアミンガスの濃度を測定する濃度測定部と、装置全体の動作を制御する制御部と、を備えたことを特徴とするアミンガスの濃度測定装置である。
【0020】
このように、捕集剤を収容した捕集容器内に測定対象雰囲気を流してアミンガスを捕集し、この後に捕集剤を加熱して上記捕集したアミンガスを加熱して脱離させてこのアミンガスの濃度を測定するようにしたので、測定対象雰囲気中のアミンガスをリアルタイムで測定することができる。
また、この場合には、特に低沸点のアミンガスを捕集してその濃度をリアルタイムで測定することができる。
この場合、例えば請求項21に規定するように、前記冷却手段は、0℃以下に冷却する。
【0021】
また例えば請求項22に規定するように、前記制御部は、前記捕集されたアミンガスを脱離させる際に、所定の温度で所定時間加熱し、その時に前記脱離したアミンガスの濃度を測定するように制御する。
また例えば請求項23に規定するように、前記捕集されたアミンガスを脱離させる時の前記所定の温度の最大値は300℃である。
また例えば請求項24に規定するように、前記冷却手段と前記加熱手段とは、熱電変換手段により兼用される。
【0022】
また例えば請求項25に規定するように、前記排気系と前記キャリアガス供給系と前記混合ガス搬送系とには、それぞれ必要に応じて開閉される開閉弁が介設されている。
また例えば請求項26に規定するように、前記処理容器の気体導入口には開閉弁が設けられており、該開閉弁は前記キャリアガスを供給する時には閉じられる。
また例えば請求項27に規定するように、前記混合ガス搬送系には、該混合ガス搬送系に流れるアミンガスの液化を防止するための加温機構が設けられている。
【0023】
また例えば請求項28に規定するように、前記捕集容器の気体導入口には、半導体製造装置内における被処理体を搬送するための大気圧の搬送領域の雰囲気、或いはクリーンルーム内の雰囲気を取り込んで導くための単数、または複数の雰囲気導出管が共通に連通されており、前記雰囲気導出管には、選択的に開閉される選択開閉弁が設けられている。
また例えば請求項29に規定するように、前記選択開閉弁は、前記雰囲気導出管が共通に連結される部分に設けられる多方弁よりなる。
【0024】
また例えば請求項30に規定するように、前記雰囲気導出管には、該雰囲気導出管に流れるアミンガスの液化を防止するための加温機構が設けられている。
また例えば請求項31に規定するように、前記測定対象雰囲気は、アミンガスを除去するアミンガス除去フィルタを通過した後の雰囲気であり、前記制御部は、前記濃度測定部の測定結果に応じて前記アミンガス除去フィルタの寿命を判断する寿命判断機能を有している。
また例えば請求項32に規定するように、前記制御部は、前記判断結果が寿命の到来を示した時にはその旨をオペレータに知らせるアラーム部を有する。
【0025】
請求項33に係る発明は、測定対象雰囲気中の有機物ガスの濃度を測定する有機物ガスの濃度測定方法において、前記測定対象雰囲気を捕集剤に所定の時間だけ接触させて前記測定対象雰囲気中の有機物ガスを捕集する捕集工程と、前記捕集剤にキャリアガスを流しつつ前記捕集剤を第1の温度に加熱して前記捕集剤に捕集されている沸点が比較的低い有機物のガスを脱離させる工程と、前記捕集剤にキャリアガスを流しつつ前記捕集剤を前記第1の温度よりも高い第2の温度に加熱して前記捕集剤に捕集されている全ての有機物ガスを脱離させて前記キャリアガス中の有機物ガスの濃度を測定する測定工程と、を備えたことを特徴とする有機物ガスの濃度測定方法である。
【0026】
請求項34に係る発明は、測定対象雰囲気中の有機物ガスの濃度を測定する有機物ガスの濃度測定方法において、前記測定対象雰囲気を捕集剤に所定の時間だけ接触させて前記測定対象雰囲気中の有機物ガスを捕集する捕集工程と、前記捕集剤にキャリアガスを流しつつ前記捕集剤を第1の温度に加熱して前記捕集剤に捕集されている沸点が比較的低い有機物のガスを脱離させて前記キャリアガス中の有機物ガスの濃度を測定する測定工程と、を備えたことを特徴とする有機物ガスの濃度測定方法である。
【0027】
請求項35に係る発明は、測定対象雰囲気中の有機物ガスの濃度を測定する有機物ガスの濃度測定方法において、前記捕集剤を比較的沸点の低い有機物の多くが捕集されないような第3の温度に加熱しつつ前記測定対象雰囲気を捕集剤に所定の時間だけ接触させて前記測定対象雰囲気中の有機物ガスを捕集する捕集工程と、前記捕集剤にキャリアガスを流しつつ前記捕集剤を前記第3の温度よりも高い第2の温度に加熱して前記捕集剤に捕集されている全ての有機物ガスを脱離させて前記キャリアガス中の有機物ガスの濃度を測定する測定工程と、を備えたことを特徴とする有機物ガスの濃度測定方法である。
【0028】
この場合、例えば請求項36に規定するように、前記測定対象雰囲気は、有機物ガスを除去する有機物ガス除去フィルタを通過した後の雰囲気であり、前記測定工程の後に、前記測定工程の測定結果に基づいて前記有機物ガス除去フィルタの寿命を判断する寿命判断工程を有する。
【0029】
請求項37に係る発明は、測定対象雰囲気中のアミンガスの濃度を測定するアミンガスの濃度測定方法において、前記測定対象雰囲気を捕集剤に所定の時間だけ接触させて前記測定対象雰囲気中のアミンガスを捕集する捕集工程と、前記捕集剤にキャリアガスを流しつつ前記捕集剤を所定の温度に加熱して前記捕集剤に捕集されているアミンガスを脱離させて前記キャリアガス中のアミンガスの濃度を測定する測定工程と、を備えたことを特徴とするアミンガスの濃度測定方法である。
【0030】
請求項38に係る発明は、測定対象雰囲気中のアミンガスの濃度を測定するアミンガスの濃度測定方法において、前記測定対象雰囲気を冷却された捕集容器に所定の時間だけ流通させて前記測定対象雰囲気中のアミンガスを捕集する捕集工程と、前記捕集容器にキャリアガスを流しつつ前記捕集容器を所定の温度に加熱して前記捕集容器に捕集されているアミンガスを脱離させて前記キャリアガス中のアミンガスの濃度を測定する測定工程と、を備えたことを特徴とするアミンガスの濃度測定方法である。
この場合、例えば請求項39に規定するように、前記測定対象雰囲気は、アミンガスを除去するアミンガス除去フィルタを通過した後の雰囲気であり、前記測定工程の後に、前記測定工程の測定結果に基づいて前記アミンガス除去フィルタの寿命を判断する寿命判断工程を有する。
【発明の効果】
【0031】
本発明に係る有機物ガスの濃度測定方法、その濃度測定装置、アミンガスの濃度測定方法及びその濃度測定装置によれば、次のように優れた作用効果を発揮することができる。
請求項1、2、10〜12に係る発明によれば、捕集剤を収容した捕集容器内に測定対象雰囲気を流して有機物ガスを捕集し、この後に捕集剤を加熱して上記捕集した有機物ガスを脱離させてこの有機物ガスの濃度を測定するようにしたので、測定対象雰囲気中の有機物ガスの濃度をリアルタイムで測定することができる。
請求項3〜5、8、9、33、34に係る発明によれば、捕集剤を第1の温度で加熱した時に脱離した有機物ガスの濃度は測定せず、第2の温度で加熱した時に脱離した有機物ガスの濃度のみを測定するようにしたので、特定の物性を有する有機物ガスの濃度のみをリアルタイムに測定することができる。
【0032】
請求項6、7、35に係る発明によれば、有機物ガスの捕集時に捕集剤を第3の温度に加熱することにより、特定の物性を有する有機物ガスを捕集しないようにして上記物性とは逆の物性を有する有機物ガスのみを捕集することができる。
請求項13〜15に係る発明によれば、複数の異なる領域の測定対象雰囲気を選択的に取り込んで、その測定対象雰囲気中の有機物ガスの濃度を選択的に、且つリアルタイムで測定することができる。
【0033】
請求項16、17、36に係る発明によれば、濃度測定部の測定結果に応じて有機物ガス除去フィルタの寿命を判断することができる。
請求項18〜32及び37〜39に係る発明によれば、測定対象雰囲気中からアミンガスを捕集し、この後に脱離させてこのアミンガスの濃度を測定するようにしたので、測定対象雰囲気中のアミンガスの濃度をリアルタイムで測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下に、本発明に係る有機物ガスの濃度測定方法、その濃度測定装置、アミンガスの濃度測定方法及びその濃度測定装置の一実施例を添付図面に基づいて詳述する。
<有機物ガスの濃度測定>
まず、有機物ガスの濃度測定について説明する。
図1は本発明に係る有機物ガスの濃度測定装置と半導体製造装置を設置したクリーンルームとの関係を示す構成図、図2は有機物ガスの濃度測定装置を示す構成図である。
図1に示すように、この有機物ガスの濃度測定装置2は、ここで半導体製造装置内やこれを設置するクリーンルーム4内の雰囲気の有機物ガスの濃度を検出するものであり、まず上記クリーンルーム4について説明する。
【0035】
まず、このクリーンルーム4の天井部には、部分的に、或いは全面的に活性炭等よりなるケミカルフィルタである有機物ガス除去フィルタ6と、その下部にパーティクルを除去するULPAフィルタ8とが積層して設けられている。
そして、上記有機物ガス除去フィルタ6の上方には送風ファン10が設けられており、このクリーンルーム4内に、パーティクルや有機物ガスが除去された清浄度の高い清浄空気のダウンフローを形成するようになっている。この清浄空気は、床面に形成した多数の排気穴(図示せず)より排出されて行く。
【0036】
そして、このクリーンルーム4内には、単数、或いは複数の半導体製造装置が設置されている。図示例では4つの半導体製造装置12A、12B、12C、12Dが設置されており、各半導体製造装置には図示しない処理チャンバがそれぞれ設けられており、所定の処理を半導体ウエハに対して施すようになっている。尚、この半導体製造装置の設置台数はこれに限定されない。そして、各半導体製造装置12A、12B、12C、12Dには、ウエハをハンドリングするハンドリングスペースやウエハを保管するストックスペース等のウエハを搬送する大気圧の搬送領域があり、各搬送領域には、ウエハWを搬送する搬送アーム17A〜17D等がそれぞれ設けられている。
【0037】
そして、これらの搬送領域の天井部には、上記したクリーンルーム4と同様に、活性炭等のケミカルフィルタよりなる有機物ガス除去フィルタ14A〜14DとULPAフィルタ16A〜16Dとが積層させてそれぞれ設けられている。そして、各有機物ガス除去フィルタ14の上部には、送風ファン18A〜18Dがそれぞれ設けられており、上記各搬送領域に、パーティクルや有機物ガスが除去された清浄度の高い清浄空気、或いは窒素などの清浄気体のダウンフローを形成し得るようになっている。そして、上記各半導体製造装置12A〜12Dの各搬送領域の雰囲気やクリーンルーム4内の雰囲気が測定対象雰囲気となって、後述するようにその雰囲気中に含まれる有機物ガスが測定されることになる。
【0038】
次に、上記有機物ガスの濃度測定装置2について説明する。この濃度測定装置2は、例えばガラス等よりなる筒体状の捕集容器20を有しており、この捕集容器20内には、有機物ガスを吸着して捕集するための捕集剤22が収容乃至充填されている。この捕集剤22としては、例えばTENAX−TA(商品名)を用いることができる。そして、この捕集容器20の側壁には、例えば抵抗加熱ヒータ等よりなる加熱手段24が設けられており、必要に応じてこの捕集容器20内の上記捕集剤22を加熱して、例えば吸着したガスを脱離させたり、或いは特定の物性の有機物ガスを吸着させないようにしている。
【0039】
上記捕集容器20の天井部には、気体導入管26が接続されており、この気体導入管26の上端部が気体導入口28として形成され、この気体導入口28より測定対象雰囲気を導入するようになっている。そして、この気体導入口28の近傍の気体導入管26には、必要に応じてこれを開閉する開閉弁30が介設されている。そして、この気体導入管26には、上記捕集剤22から脱離した有機物ガスを搬送するためのキャリアガスを供給するキャリアガス供給系32が設けられている。このキャリアガス供給系32は、上記開閉弁30と捕集容器20との間の気体導入管26に接続されたキャリアガス管34を有しており、このキャリアガス管34の途中には開閉弁36が介設されて、必要に応じて一定圧力のキャリアガスを上記捕集容器20側へ供給できるようになっている。このキャリアガスとしては、例えば清浄度の高いN ガスを用いることができるが、他に清浄度の高いHeやAr等の不活性ガス、或いは清浄度の高い空気を用いることができる。
【0040】
また上記捕集容器20の底部には、有機物ガスを捕集する際に上記捕集容器20内の雰囲気を排出させるための排気系36と、上記捕集剤22から脱離した有機物ガスを上記キャリアガスと共に搬送する混合ガス搬送系38とが接続されている。具体的には、上記捕集容器20の底部には、排気口40が設けられており、この排気口40に排出管42が接続されている。そして、この排出管42は排気系36の一部を形成する排気管44と、混合ガス搬送系38の一部を形成する混合ガス管46とに、途中で2つに分岐されている。尚、上記排出管42を設けることなく、上記排気管44と混合ガス管46とをそれぞれ捕集容器20の底部に直接的に接続するようにしてもよい。
【0041】
上記排気管44には、その途中に開閉弁50及び排気ポンプ52が下流側に向けて順次介設されており、必要に応じて、すなわち有機物ガスの捕集時に上記捕集容器20内の雰囲気を排気するようになっている。また上記混合ガス管46の途中には開閉弁54が介設されると共に、その端部には、上記キャリアガス中の脱離した有機物ガスの濃度を測定するための濃度測定部56が設けられており、この濃度測定部56にて有機物ガスの濃度を測定するようになっている。また、この混合ガス管46及び排出管42には加熱用のテープヒータのような加温機構57が設けられており、これに流れる有機物ガスが途中で液化するのを防止するようになっている。そして、この装置全体の動作は、例えばマイクロコンピュータ等よりなる制御部58により制御される。この制御部58は、上記濃度測定部56による測定結果を記憶する記憶部(図示せず)や表示する表示部60を有しており、その測定結果をオペレータに、例えば視覚的に認識させ得るようになっている。
【0042】
また上記制御部58は、上記濃度測定部56の測定結果に応じて前記有機物ガス除去フィルタの寿命を判断するための寿命判断機能を有しており、有機物ガス除去フィルタの寿命が到来したか否かを判断するようになっている。この判断のために、有機物ガス除去フィルタの寿命の基準値である寿命基準値を上記制御部58に入力し、これを記憶できるようになっている。またこの制御部58には、上記判断の結果、上記有機物ガス除去フィルタの寿命が到来した時には、その旨をオペレータに知らせるアラーム部62有しており、音声、或いはランプの点灯等により、聴覚的、或いは視覚的またはその両方でオペレータに知らせるようになっている。尚、上記制御部58における寿命判断機能は、必要に応じて設けられればよく、測定結果をオペレータが参照して有機物ガス除去フィルタの寿命の到来をオペレータ自身が参照判断するようにしてもよい。
【0043】
一方、上記各半導体製造装置12A〜12D及びクリーンルーム4からは雰囲気導出管64A〜64Eがそれぞれ延びており、4本の雰囲気導出管64A〜64Dは、各半導体製造装置12A〜12Dの搬送領域の雰囲気をそれぞれ導出し、残りの雰囲気導出管64Eはクリーンルーム4内の雰囲気を導出するようになっている。そして、各雰囲気導出管64A〜64Eは、上記気体導入管26の気体導入口28に共通に連通されている。
【0044】
ここで各雰囲気導出管64A〜64Eが共通に連結される部分には、選択開閉弁として例えばここで6方弁よりなる多方弁66が設けられており、この多方弁66を適宜切り替えることによって、上記雰囲気導出管64A〜64Eを気体導入管26側へ選択的に連通させるようになっている。そして、6方弁66を含む上記雰囲気導出管64A〜64E及び上記気体導入管26にも加熱用のテープヒータのような加温機構68が設けられており、これに流れる有機物ガスの液化を防止するようになっている。
【0045】
次に、上述のように構成された有機物ガスの濃度測定装置の動作について説明する。
まず上記濃度測定装置2の動作の概略について説明すると、測定対象雰囲気中の有機物ガスを捕集する場合には、図2に示す矢印Aに示すように、排気系36の排気ポンプ52を駆動することにより、気体導入管26から導入した測定対象雰囲気を捕集容器20内の捕集剤22中に通過させ、この雰囲気を排気系36を介して排出する。そして、上記捕集剤22中に測定対象雰囲気が通過する時に有機物ガスが捕集剤22に吸着除去される。
この場合、各雰囲気導出管64A〜64Eの共通連結部に設けた6方弁66を適宜選択することにより、測定すべき雰囲気を、各半導体製造装置12A〜12D及びクリーンルーム4の内から選択する。尚、この際、キャリアガス供給系32の開閉弁36を閉じてキャリアガスは供給せず、また混合ガス搬送系38の開閉弁54を閉じて雰囲気が濃度測定部56へ流れないようにする。
【0046】
次に、上記捕集剤22に吸着除去された有機物ガスの濃度を測定する場合には、上記加熱手段24により捕集剤22を加熱して先に吸着した有機物ガスを脱離させつつ、図2に示す矢印Bに示すように、キャリアガス供給系32よりN ガスよりなるキャリアガスを供給してこれを捕集容器20内の捕集剤22中に通過させ、ここでキャリアガスに脱離した有機物ガスを随伴させて排出される混合ガスを混合ガス搬送系38を介して濃度測定部56へ搬送し、ここで有機物ガスの濃度を測定することになる。
【0047】
<第1実施例>
次に、本発明方法の第1実施例について説明する。
図3は有機物ガス除去フィルタの除去率の有機物沸点の依存性を示すグラフ、図4は有機物ガスの濃度と検査体シリコンウエハ上に付着した有機物ガスの付着総量との関係を示すグラフ、図5は有機物ガスのリテンション時間(有機物の沸点に対応)とシリコンウエハへの有機物ガスの付着レートとの関係を示すグラフ、図6は捕集剤の加熱温度と有機物ガスの残存比率との関係の有機物の沸点依存性を示すグラフ、図7は本発明方法の第1実施例の流れを示す工程図である。
【0048】
この第1実施例の発明は、上記測定対象雰囲気を導入する気体導入口28を有する捕集容器20と、上記捕集容器20内に収容されて上記有機物ガスを捕集する捕集剤22と、上記捕集剤22に捕集された有機物ガスを脱離させるために上記捕集剤22を必要に応じて加熱する加熱手段24と、上記有機物ガスを捕集する際に上記捕集容器20内の雰囲気を排出させるための排気ポンプ52が介設された排気系36と、上記捕集剤22から脱離した有機物ガスを搬送するためのキャリアガスを供給するキャリアガス供給系32と、上記脱離した有機物ガスを前記キャリアガスと共に搬送する混合ガス搬送系38と、上記混合ガス搬送系38に設けられて上記キャリアガス中の上記脱離した有機物ガスの濃度を測定する濃度測定部56と、装置全体の動作を制御する制御部58とを備える。
【0049】
まず、上記のように捕集剤22から有機物ガスを脱離させる際に、この捕集剤22を、第1の温度と第2の温度の2段階で加熱する理由について説明する。
一般に、有機物ガス除去フィルタは、有機物ガスを吸着してトラップする際に、その有機物自体の沸点に関係なく、沸点が比較的低い有機物ガスも沸点が比較的高い有機物ガスも全てが吸着されてトラップされる。しかし、有機物ガス除去フィルタの寿命に関しては、有機物の沸点が異なることにより、大きく異なる。図3は経過日数と有機物ガス除去フィルタの有機物ガスの除去率との関係を示すグラフであり、特性曲線Lに示すように、沸点が比較的低い有機物のガスに対しては比較的早目に除去率が劣化して破過に到り、寿命は短い。
【0050】
これに対して、特性曲線Mに示すように沸点が比較的高い有機物のガスに対しては、比較的長く除去率が高く維持されており、破過に到るまでの寿命は長い。
ここで半導体ウエハの表面に付着する有機物ガスに関しては、沸点が比較的高い有機物のガスは濃度に応じてウエハ表面に付着し易く、沸点が比較的低い有機物のガスは濃度に関係なくウエハ表面には付着し難い、という特性を有している。換言すれば、ウエハ表面に付着し易い沸点が比較的高い有機物のガスの吸着量、或いは濃度を測定すれば、その測定結果によって有機物ガス除去フィルタの寿命を的確に判断できることになる。すなわち、沸点が比較的低い有機物のガスに関しては、測定の対象外とすればよいことになる。
【0051】
上記したような有機物ガスの沸点の相異によるウエハ表面への付着性の難易について検証実験を行ったので、その検証結果について説明する。
ここでは有機物ガスを捕集するために、清浄度がクラス10のクリーンルーム雰囲気中(風速0.3m/sec)に検査体シリコンウエハを設置し、この近傍に有機物ガスを捕集する有機物ガス捕集剤(本実施例の捕集剤22と同種のもの)を配置して空気中の有機物ガスのサンプリングを行っている。
【0052】
図4は有機物ガスの濃度と検査体シリコンウエハ74上に付着した有機物ガスの付着総量との関係を示すグラフである。ここで図4において点線Xで囲んだXグループは沸点が比較的低い各種の有機物ガスグループであり、点線Yで囲んだYグループは沸点が比較的高い各種の有機物ガスグループである。このグラフから明らかなように、Xグループに属するような沸点が比較的低い有機物のガスに関しては、雰囲気中の有機物ガスの濃度に関係なく、検査体シリコンウエハ上にはほとんど付着せずに歩留まり低下の要因にはなっていないことが判明した。これに対して、Yグループに属すような沸点が比較的高い有機物のガスに関しては、雰囲気中の有機物ガスの濃度に応じて、検査体シリコンウエハ上の有機物ガスの付着総量が増減していることが判明した。このことは、換言すれば、沸点の比較的高い有機物のガスを十分に吸着できるか否かを検証することにより、有機物ガス除去フィルタの寿命の判断を行うべきであることを意味する。
【0053】
図5は有機物ガスのリテンション時間とシリコンウエハへの有機物ガスの付着レートとの関係を示すグラフである。尚、リテンション時間は、ガスクロマトグラフィ分析装置の溶出時間であり、これは有機物の沸点に対応する。このグラフから明らかなように、沸点が比較的低いXグループの有機物ガスは吸着レートが非常に小さくて検査体シリコンウエハ上に非常に付着し難いことが確認できた。これに対して、沸点が比較的高いYグループの有機物ガスは吸着レートが、上記Xグループのものよりも大きくて検査体シリコンウエハ上に付着し易いことが確認できた。
【0054】
図6は有機物ガスを捕集した有機物ガス捕集剤の加熱温度と有機物ガスの残存比率との関係を示すグラフである。このグラフでは有機物ガスを捕集した有機物ガス捕集剤を加熱して脱離させる際、どの程度の有機物ガスが脱離せずに捕集剤中に残存しているかを示すグラフである。グラフ中ではガスA〜ガスHの8種類の沸点が異なる有機物について示されている。尚、ここでは捕集剤を横軸の各温度で10分間加熱してその温度で脱離する有機物ガスを飛ばしてしまい、その後に、捕集剤を280℃に加熱することにより残留する全ての有機物ガスを飛ばしてその時のガス濃度を測定し、これにより各温度での残存量を求めている。
【0055】
この図6から明らかなように、有機物の沸点が低い程、低い加熱温度でガスとして脱離する傾向にあり、加熱温度が110℃程度で、沸点の低い有機物(ガスAとガスB)の大部分がそれぞれ脱離し、170℃程度では沸点の比較的低い有機物(ガスC〜ガスG)はほとんど脱離してしまっている。
【0056】
これに対して、沸点が比較的高い有機物(ガスH)は、加熱温度170℃程度はほとんど脱離しておらず、200℃程度以上でほとんど脱離している。このことは、捕集剤に付着させて捕集した有機物ガスを脱離させる場合、捕集剤の加熱温度を上述したように2段階で変えることにより、沸点の比較的低い有機物のガスと沸点の比較的高い有機物のガスとを分離できることを意味する。すなわち、捕集剤を最初は例えば60℃〜200℃未満の範囲内の第1の温度で所定時間で加熱し、次に、例えば200℃以上の第2の温度で加熱することにより、沸点の比較的低い有機物ガスと高い有機物ガスとを分離できることを意味する。
そして、本発明方法の第1実施例では、上記特性を利用して沸点の比較的大きい有機物のガス濃度のみを測定し、この測定結果に基づいて有機物ガス除去フィルタが寿命に至ったか否かを判断している。
【0057】
次に、図1、図2及び図7を参照して第1実施例の工程を具体的に説明する。
まず、各雰囲気導出管64A〜64Eが共通に接続されている6方弁を適宜切り替えることにより、測定対象の装置を選択する(S1)。これにより半導体処理装置12A〜12D及びクリーンルーム4の内から、1つの測定対象雰囲気が選択される。
次に、排気系36の排気ポンプ52を駆動し、上記選択した装置内の測定対象雰囲気を吸引し、これを捕集容器20内の捕集剤22中に通過させて雰囲気中に含まれる有機物ガスを全て吸着して捕集(トラップ)し、捕集後の雰囲気を排気管44より系外へ排出する(S2)。そして、この捕集操作を所定の時間、例えば雰囲気を10リットル程度排気するに要する時間、例えば30分間程度行ったならば(S3)、排気ポンプ52の駆動を停止して上記測定対象雰囲気の吸引を停止する(S4)。
【0058】
次に、加熱手段24により捕集容器20内の捕集剤22を第1の温度で加熱し、沸点が比較的低い有機物のガスを脱離させる(S5)。この第1の温度は、図6を参照して説明したように、60〜200℃未満の範囲内の一定の温度である。またこの温度範囲内で加熱しつつ温度を変化させるようにしてもよい。これと同時に、キャリアガス系32よりキャリアガスとして例えばN ガスを捕集容器20内に流して脱離した有機物ガスをキャリアガスと共に混合ガスとして混合ガス搬送系38の混合ガス管46内を流して排出する(S6)。尚、キャリアガスを流す時は、気体導入管26の開閉弁30を閉じ、キャリアガスが装置側へ逆流しないようにする。この際、まだ濃度測定部56は動作させないでおき、この時の有機物ガスはその濃度を測定せずに排出する。
【0059】
尚、この混合ガスを混合ガス搬送系38へ流さないで、排気系36から直接的に外部へ排出するようにしてもよい。このような捕集剤22の第1の温度での加熱を所定時間、例えば10分間程度行う(S7)。
この第1の温度での加熱により、図6に示したように、第1の温度の設定温度にもよるが、沸点の比較的低い有機物の大部分がガスとなって脱離して排出されるようになる。
【0060】
次に、上記捕集剤22の加熱温度を上げて、これを第2の温度で加熱し、この捕集剤22に捕集されて残留している全ての有機物ガスを脱離させる(S8)。ここでもキャリアガスの供給は継続して行い、上記第2の温度への昇温と同時に、濃度測定部56を作動して有機物ガスの濃度の測定を開始し(S9)、この測定動作を所定の時間、例えば10分間程度行う(S10)。この第2の温度は、沸点が比較的高い有機物も含めて全ての有機物ガスが脱離できるような温度であり、図6に示すように、この第2の温度は例えば200℃以上である。この場合、有機物ガスの脱離効率は、第2の温度が高ければ高い程よいが、脱離効率が飽和する温度は400℃程度なので、第2の温度の上限は400℃程度となる。このように、有機物ガスの濃度測定を行ったならば、キャリアガスの供給を停止して測定工程を完了する(S11)。
【0061】
次に、制御部58は、上記濃度測定部56で得られた測定結果に基づいて、現在測定の対象になっている有機物ガス除去フィルタの寿命を判断する(S12)。この場合、上記測定結果と予め外部より入力されている寿命基準値とを比較することにより判断する。この寿命基準値は、例えば図3に示すグラフにおいて、沸点が高い有機物ガスの特性曲線Mの除去率が例えば80%まで低下した時のガス濃度になるように予め定めておけばよく、例えば測定結果の濃度が上記寿命基準値よりも低ければ寿命は到来しておらず、寿命基準値以上ならば寿命が到来したことになる。
【0062】
次に上記判断結果は、メモリ等に記憶されると共に、表示部60等に表示されてオペレータが認識できるようにし(S14)、また、判断結果が寿命到来を示した時にはアラーム部62を作動させて、オペレータにその旨を知らせる(S14)。そして、上記した一連の操作を全ての装置の有機物ガス除去フィルタに対して行い(S15のNO)、全ての装置の有機物ガス除去フィルタに対する測定が完了したならば(S15のYES)、濃度測定操作を終了する。このような濃度測定操作は例えば一日1回程度行えばよい。
このように、捕集剤22を収容した捕集容器20内に測定対象雰囲気を流して有機物ガスを捕集し、この後に捕集剤を加熱して上記捕集した有機物ガスを加熱して脱離させてこの有機物ガスの濃度を測定するようにしたので、測定対象雰囲気中の有機物ガスをリアルタイムで測定することができる。
【0063】
また、捕集剤22を第1の温度で加熱した時に脱離した有機物ガスの濃度は測定せず、第2の温度で加熱した時に脱離した有機物ガスの濃度のみを測定するようにしたので、特定の物性を有する有機物ガスの濃度のみを測定することができる。
この場合、特定の物性を有する有機物ガスは、沸点が比較的高くてウエハ表面に付着し易い傾向のある有機物のガスであり、この有機物ガスの濃度を測定することにより、有機物ガス除去フィルタの寿命が到来したか否か、すなわち破過状態になったか否かをリアルタイムで判断することができる。
上記のように有機物ガス濃度の測定操作及び有機物ガス除去フィルタの寿命の判断操作を、人手を煩わすことなく簡単に行うことができるので、装置コストやランニングコストを大幅に削減することができる。
【0064】
従来の有機物ガスの濃度測定方法では、沸点の高低に関係なく、捕集剤に捕集した全ての有機物ガスの濃度を測定してこの測定結果に基づいて有機物ガス除去フィルタの寿命を判断しているので、例えばウエハ表面にはほとんど付着することがない沸点の低い有機物ガスの濃度も測定値にカウントされてしまい、この結果、有機物ガス除去フィルタが実質的な寿命に至っていないにもかかわらず、寿命に至ったものと誤って判断してしまう。そして、これがために有機物ガス除去フィルタの交換頻度が増してランニングコストを押し上げていたが、本発明ではこのようなことが生じないので、この点よりもランニングコストを抑制することができる。
【0065】
<第2実施例>
次に、本発明方法の第2実施例について説明する。
先の第1実施例では捕集剤22で全ての有機物ガスを捕集し、ガス濃度の測定時に脱離したガスの内の沸点が比較的高い有機物ガスのみの濃度を測定するようにしたが、この第2実施例では有機物ガスの捕集時に捕集剤22を所定の温度に加熱しておき、特定の物性のガス、すなわち沸点が比較的高い有機物ガスのみを捕集するようにしている。
【0066】
すなわち、この第2実施例では、上記捕集剤を比較的沸点の低い有機物の多くが捕集されないような第3の温度に加熱しつつ上記測定対象雰囲気を捕集剤に所定の時間だけ接触させて上記測定対象雰囲気中の有機物ガスを捕集する捕集工程と、上記捕集剤にキャリアガスを流しつつ前記捕集剤を上記第3の温度よりも高い第2の温度に加熱して上記捕集剤に捕集されている全ての有機物ガスを脱離させて上記キャリアガス中の有機物ガスの濃度を測定する測定工程とを備えている。
具体的には、有機物ガスの捕集時に、捕集剤22を第3の温度に加熱維持しておき、これに沸点の比較的低い有機物のガスが捕集されないで、沸点の比較的高い有機物のガスのみの捕集がなされるようにする。この第3の温度は、例えば60〜200℃の範囲内である。
【0067】
次に、図8を参照して第2実施例の具体的流れについて説明する。図8は本発明方法の第2実施例のフローを示す工程図である。尚、図7中の各ステップと同一、或いは類似のステップには、同一のステップ番号を付している。
まず、第1実施例の場合と同様に、6方弁を適宜切り替えることによって、測定対象の装置を選択する(S1)。次に加熱手段24により捕集容器20内の捕集剤22を第3の温度で加熱する(S1−1)。この第3の温度は例えば60〜200℃であり、この捕集剤22に沸点が比較的低い有機物のガスがトラップされないようにし、且つ沸点が比較的高い有機物のガスがトラップされるようにする。
【0068】
次に、排気系36の排気ポンプ52を駆動し、上記選択した装置内の測定対象雰囲気を吸引し、これを捕集容器20内の捕集剤22中に通過させて雰囲気中に含まれる沸点の比較的高い有機物のガスのみを吸着して捕集し、捕集後の雰囲気を排気管44より系外へ排出する(S2)。そして、この捕集操作を所定の時間、例えば雰囲気を10リットル程度排気するに要する時間、例えば30分間程度行ったならば(S3)、排気ポンプ52の駆動を停止して上記測定対象雰囲気の吸引を停止する(S4)。
【0069】
次に、キャリアガス供給系32よりキャリアガスを流してキャリアガスを捕集容器20内に通過させ、このキャリアガスを混合ガス搬送系38へ排出させる(S4−1)。尚、キャリアガスを流す時は、気体導入管26の開閉弁30を閉じ、キャリアガスが装置側へ逆流しないようにする。上記キャリアガスの供給と同時に、上記捕集剤22を第2の温度(200〜400℃)で加熱し、この捕集剤22に捕集されている全ての有機物ガス、ここでは沸点の比較的高い有機物ガスを離脱させる(S8)。
【0070】
以後、この有機物ガスの濃度を測定して有機物ガス除去フィルタの寿命を判断する等の各工程(S9〜S15)は先の第1実施例の対応する各工程(図7中のS9〜S15)と同様である。
この第2実施例の場合にも、先の第1実施例の場合と同様な作用効果を発揮することができる。
【0071】
<第3実施例>
また先の第1及び第2実施例では、捕集剤22を2段階の温度で加熱し、沸点の比較的高い有機物ガスの濃度を測定するようにしたが、これに代えて第3実施例に示すように沸点の比較的低い有機物ガスの濃度を測定するようにしてもよい。すなわち、第3実施例では、排気系36の排気ポンプ52を駆動して、測定対象雰囲気を吸引し、雰囲気中に含まれる有機物ガスを全て捕集剤22でトラップする。そして、加熱手段24により捕集剤22を第1の温度(60〜200℃未満)で加熱してこの捕集剤22から沸点が比較的低い有機物ガスのみを脱離させ、脱離した有機物ガスをキャリアガスと共に、濃度測定部56に導いて、有機物ガスの濃度を測定する。このように、沸点の低い有機物ガスの濃度を測定することができるので、例えば現像液のような有機溶媒の濃度を管理したり、有機溶媒の漏れを検出するのに用いることができる。
【0072】
<第4実施例>
また、第4実施例として有機物ガス除去フィルタ6、14A〜14Dの寿命を判断する必要がない場合、つまり、例えばクリーンルーム4内の雰囲気中の有機物濃度を測定したい場合には、次のようにして実現することができる。すなわち、例えばクリーンルーム4内の雰囲気中に含まれる有機物ガスを全て捕集剤22でトラップした後、加熱手段24により捕集剤22を第2の温度(例えば200℃以上)で加熱し、全ての有機物ガスを脱離させて、濃度測定部56で濃度を測定する。
【0073】
尚、以上の各実施例では、各雰囲気導出管64A〜64Eの中から1つを選択するために選択開閉弁として6方弁66を用いたが、これに限定されず、例えば図9に示すように各雰囲気導出管64A〜64Eにそれぞれ選択開閉弁80A〜80Eを介設させて、これらを選択的に開閉させるようにして1つの雰囲気導出管を選択するようにしてもよい。
【0074】
また、排気系36の開閉弁50と混合ガス搬送系36の開閉弁54とをまとめて、例えば1つの3方弁で構成するようにしてもよい。
またここでは、5つの測定対象雰囲気から1つずつ選択的に選んでその有機物ガス除去フィルタの寿命を判断するようにしたが、1つの測定対象雰囲気のみを専用に測定する場合には、雰囲気導出管や6方弁は設けないで、この捕集容器20に連結されている気体導入管26の気体導入口28を、その測定対象領域に望ませて設置すればよい。
【0075】
<アミンガスの濃度測定>
次にアミンガスの濃度測定について説明する。
アミンは一般的には、IC等の半導体装置の製造工程で使用される現像液等に含まれているが、このアミン成分は、特に化学増幅型レジストの解像度を劣化させるので、クリーンルーム内や半導体製造装置内からは除去する必要がある。このアミンの種類としては、例えばトリメチルアミンやジメチルアミン等が挙げられる。
図10は本発明に係るアミンガスの濃度測定装置と半導体製造装置を設置したクリーンルームとの関係を示す構成図である。尚、図1及び図2に示す構成部分と同一構成部分については同一参照符号を付してその説明を省略する。
【0076】
まず、図10に示す装置の構成は、アミンガスを捕集して測定する部分を除いて、基本的には図1に示す装置の構成と全く同じである。すなわち、ここではアミンガスを取り除くことから、クリーンルーム4側では、図1中の有機物ガス除去フィルタが6、14A〜14Dに代えて、アミンガス除去フィルタ82、84A〜84Dがそれぞれ設けられている。尚、これらのアミンガス除去フィルタ82、84A〜84Dは、実際には、活性炭等のベースにアミンの捕集を目的とした処理が施されたケミカルフィルタが用いられる。
【0077】
またアミンガスの濃度測定装置86においては、図1に示す濃度測定部56に代えて、アミンに含まれる−CN基を検出するための濃度測定部88が用いられる。また、アミンガスを捕集するためのユニットは、図1に示す場合と同様に構成されており、すなわち捕集容器20中に捕集剤22を収容し、その捕集容器20の外側の周囲に一旦捕集したアミンガスを脱離させる時に加熱する加熱手段24を設けている。ここで上記濃度測定部88としては、周知の窒素リン検出器を用いることができる。
【0078】
ここでアミンは分解し易く、クロマトグラフィーでの分析が困難であるが、分解したアミンを1つのピークとするこの手法は全アミン量を測定することができる。
【0079】
また、アミンガスは、有機物ガスと比較して捕集が比較的困難なので、捕集時に捕集容器20及びその内部の捕集剤22を冷却して捕集を促進させるようにしてもよい。このような濃度測定装置の捕集容器の第1変形例を図11に示す。図11(A)に示す場合には、捕集容器20の外側に、加熱手段24とは別体で冷却手段90を設けている。この冷却手段90を設けることにより、アミンガスの捕集時に捕集容器20及び捕集剤22を冷却して、アミンガスを効率的に捕集することができる。この場合には、特に沸点が比較的低いアミンガスを効率的に捕集することができる。
この場合、冷却温度は、使用する冷媒にもよるが、例えば0℃以下に設定すればよく、特に冷媒をして液体窒素を用いれば、−160℃程度まで冷却することができる。
【0080】
また、図11(A)に示す場合には、捕集容器20の外側に設けた加熱手段24と冷却手段90とは別体として設けたが、これに限定されず、図11(B)に示すように、これらの加熱手段24と冷却手段90の両機能を併せ持って一体化された熱電変換手段92を捕集容器20の外側に設けるようにしてもよい。この熱電変換手段92としては、例えばペルチェ素子を用いることができる。このような熱電変換手段92では、流す電流の方向を切り替えることにより、加熱手段24として機能させたり、或いは冷却手段90として機能させたりすることができる。上記したように、熱電変換手段92としてペルチェ素子を用いた場合には、冷却時には−35〜−50℃程度まで冷却でき、逆に加熱時には70〜150℃程度まで加熱することができる。
【0081】
また上記各実施例における捕集容器20は、内部容量を大きくして、この内部に捕集剤22を収容した場合を例にとって説明したが、これに限定されない。例えば図12に示す第2変形例のように、気体導入管22、或いは排気管42自体の一部を捕集容器20として用い、この外側の周囲に、図11(B)で説明した熱電変換手段92を設けて、加熱手段24と冷却手段90の機能に併せ持たせるようにしている。
【0082】
この場合には、捕集容器20を形成する管壁にアミンが付着して捕集されることになる。この構成によれば、捕集剤22が不要になり、且つ配管自体を捕集容器20として用いることができるので、装置自体の構成を簡単化することができる。
【0083】
またここでは被処理体として半導体ウエハを例にとって説明したが、これに限定されず、LCD基板、ガラス基板、セラミックス基板等にも本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明に係る有機物ガスの濃度測定装置と半導体製造装置を設置したクリーンルームとの関係を示す構成図である。
【図2】有機物ガスの濃度測定装置を示す構成図である。
【図3】有機物ガス除去フィルタの除去率の有機物沸点の依存性を示すグラフである。
【図4】有機物ガスの濃度と検査体シリコンウエハ上に付着した有機物ガスの付着総量との関係を示すグラフである。
【図5】有機物ガスのリテンション時間(有機物の沸点に対応)とシリコンウエハへの有機物ガスの付着レートとの関係を示すグラフである。
【図6】捕集剤の加熱温度と有機物ガスの残存比率との関係の有機物の沸点依存性を示すグラフである。
【図7】本発明方法の第1実施例の流れを示す工程図である。
【図8】本発明方法の第2実施例のフローを示す工程図である。
【図9】選択開閉弁の他の設置例を示す図である。
【図10】本発明に係るアミンガスの濃度測定装置と半導体製造装置を設置したクリーンルームとの関係を示す構成図である。
【図11】本発明の濃度測定装置の捕集容器の第1変形例を示す図である。
【図12】本発明の濃度測定装置の捕集容器の第2変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0085】
2 濃度測定装置(有機物ガス用)
4 クリーンルーム
6 有機物ガス除去フィルタ
8 ULPAフィルタ
10 送風ファン
12A〜12D 半導体製造装置
14A〜14D 有機物ガス除去フィルタ
16A〜16D ULPAフィルタ
18A〜18D 送風ファン
20 捕集容器
22 捕集剤
24 加熱手段
26 気体導入管
28 気体導入口
32 キャリアガス供給系
36 排気系
38 混合ガス搬送系
42 排出管
44 排気管
46 混合ガス管
52 排気ポンプ
56 濃度測定部
58 制御部
62 アラーム部
64A〜64E 雰囲気導出管
66 6方弁(多方弁)
82,84A〜84D アミンガス除去フィルタ
86 濃度測定装置(アミンガス用)
88 濃度測定部
90 冷却手段
92 熱電変換手段
W 半導体ウエハ(被処理体)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象雰囲気中の有機物ガスの濃度を測定する有機物ガスの濃度測定装置において、
前記測定対象雰囲気を導入する気体導入口を有する捕集容器と、
前記捕集容器内に収容されて前記有機物ガスを捕集する捕集剤と、
前記捕集剤に捕集された有機物ガスを脱離させるために前記捕集剤を必要に応じて加熱する加熱手段と、
前記有機物ガスを捕集する際に前記捕集容器内の雰囲気を排出させるための排気ポンプが介設された排気系と、
前記捕集剤から脱離した有機物ガスを搬送するためのキャリアガスを供給するキャリアガス供給系と、
前記脱離した有機物ガスを前記キャリアガスと共に搬送する混合ガス搬送系と、
前記混合ガス搬送系に設けられて前記キャリアガス中の前記脱離した有機物ガスの濃度を測定する濃度測定部と、
装置全体の動作を制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする有機物ガスの濃度測定装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記捕集剤に捕集された有機物ガスを脱離させる際に、前記捕集剤を第1の温度で所定時間加熱し、その時に前記脱離した有機物ガスの濃度を測定するように制御することを特徴とする請求項1記載の有機物ガスの濃度測定装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記捕集剤に捕集された有機物ガスを脱離させる際に、前記捕集剤を第1の温度で所定時間加熱し、その後、前記第1の温度よりも高い第2の温度で加熱すると共に、前記第2の温度の加熱時に前記脱離した有機物ガスの濃度を測定するように制御することを特徴とする請求項1記載の有機物ガスの濃度測定装置。
【請求項4】
前記第1の温度は、比較的沸点の低い有機物のガスとして脱離するような所定の温度範囲内の温度であることを特徴とする請求項2または3記載の有機物ガスの濃度測定装置。
【請求項5】
前記第1の温度の温度範囲は、60〜200℃未満の範囲内であることを特徴とする請求項4記載の有機物ガスの濃度測定装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記有機物ガスを捕集する際に前記捕集剤を第3の温度に加熱し、前記捕集剤に捕集された有機物ガスを脱離させる際に前記捕集剤を前記第3の温度よりも高い第2の温度に加熱するように制御することを特徴とする請求項1記載の有機物ガスの濃度測定装置。
【請求項7】
前記第3の温度は、比較的沸点の低い有機物のガスが前記捕集剤に捕集されないような温度であることを特徴とする請求項6記載の有機物ガスの濃度測定装置。
【請求項8】
前記第2の温度は、前記捕集剤に捕集された全ての有機物ガスが脱離するような温度であることを特徴とする請求項3乃至7のいずれかに記載の有機物ガスの濃度測定装置。
【請求項9】
前記第2の温度は、200〜400℃の範囲内であることを特徴とする請求項8記載の有機物ガスの濃度測定装置。
【請求項10】
前記排気系と前記キャリアガス供給系と前記混合ガス搬送系とには、それぞれ必要に応じて開閉される開閉弁が介設されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の有機物ガスの濃度測定装置。
【請求項11】
前記処理容器の気体導入口には開閉弁が設けられており、該開閉弁は前記キャリアガスを供給する時には閉じられることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の有機物ガスの濃度測定装置。
【請求項12】
前記混合ガス搬送系には、該混合ガス搬送系に流れる有機物ガスの液化を防止するための加温機構が設けられていることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の有機物ガスの濃度測定装置。
【請求項13】
前記捕集容器の気体導入口には、半導体製造装置内における被処理体を搬送するための大気圧の搬送領域の雰囲気、或いはクリーンルーム内の雰囲気を取り込んで導くための単数、または複数の雰囲気導出管が共通に連通されており、前記雰囲気導出管には、選択的に開閉される選択開閉弁が設けられていることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の有機物ガスの濃度測定装置。
【請求項14】
前記選択開閉弁は、前記雰囲気導出管が共通に連結される部分に設けられる多方弁よりなることを特徴とする請求項13記載の有機物ガスの濃度測定装置。
【請求項15】
前記雰囲気導出管には、該雰囲気導出管に流れる有機物ガスの液化を防止するための加温機構が設けられていることを特徴とする請求項13または14記載の有機物ガスの濃度測定装置。
【請求項16】
前記測定対象雰囲気は、有機物ガスを除去する有機物ガス除去フィルタを通過した後の雰囲気であり、前記制御部は、前記濃度測定部の測定結果に応じて前記有機物ガス除去フィルタの寿命を判断する寿命判断機能を有していることを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の有機物ガスの濃度測定装置。
【請求項17】
前記制御部は、前記判断結果が寿命の到来を示した時にはその旨をオペレータに知らせるアラーム部を有することを特徴とする請求項16記載の有機物ガスの濃度測定装置。
【請求項18】
測定対象雰囲気中のアミンガスの濃度を測定するアミンガスの濃度測定装置において、
前記測定対象雰囲気を導入する気体導入口を有する捕集容器と、
前記捕集容器内に収容されて前記アミンガスを捕集する捕集剤と、
前記捕集剤に捕集されたアミンガスを脱離させるために前記捕集剤を必要に応じて加熱する加熱手段と、
前記アミンガスを捕集する際に前記捕集容器内の雰囲気を排出させるための排気ポンプが介設された排気系と、
前記捕集剤から脱離したアミンガスを搬送するためのキャリアガスを供給するキャリアガス供給系と、
前記脱離したアミンガスを前記キャリアガスと共に搬送する混合ガス搬送系と、
前記混合ガス搬送系に設けられて前記キャリアガス中の前記脱離したアミンガスの濃度を測定する濃度測定部と、
装置全体の動作を制御する制御部と、
を備えたことを特徴とするアミンガスの濃度測定装置。
【請求項19】
前記アミンガスの捕集時に前記捕集容器を冷却する冷却手段が設けられることを特徴とする請求項18記載のアミンガスの濃度測定装置。
【請求項20】
測定対象雰囲気中のアミンガスの濃度を測定するアミンガスの濃度測定装置において、
前記測定対象雰囲気を導入する気体導入口を有する捕集容器と、
前記アミンガスの捕集時に前記捕集容器を冷却する冷却手段と、
前記前記捕集容器に捕集された前記アミンガスを脱離させるために前記捕集容器を必要に応じて加熱する加熱手段と、
前記アミンガスを捕集する際に前記捕集容器内の雰囲気を排出させるための排気ポンプが介設された排気系と、
前記捕集容器から脱離したアミンガスを搬送するためのキャリアガスを供給するキャリアガス供給系と、
前記脱離したアミンガスを前記キャリアガスと共に搬送する混合ガス搬送系と、
前記混合ガス搬送系に設けられて前記キャリアガス中の前記脱離したアミンガスの濃度を測定する濃度測定部と、
装置全体の動作を制御する制御部と、
を備えたことを特徴とするアミンガスの濃度測定装置。
【請求項21】
前記冷却手段は、0℃以下に冷却することを特徴とする請求項19又は20記載のアミンガスの濃度測定装置。
【請求項22】
前記制御部は、前記捕集されたアミンガスを脱離させる際に、所定の温度で所定時間加熱し、その時に前記脱離したアミンガスの濃度を測定するように制御することを特徴とする請求項18乃至21のいずれかに記載のアミンガスの濃度測定装置。
【請求項23】
前記捕集されたアミンガスを脱離させる時の前記所定の温度の最大値は300℃であることを特徴とする請求項22記載のアミンガスの濃度測定装置。
【請求項24】
前記冷却手段と前記加熱手段とは、熱電変換手段により兼用されることを特徴とする請求項19乃至23のいずれかに記載のアミンガスの濃度測定装置。
【請求項25】
前記排気系と前記キャリアガス供給系と前記混合ガス搬送系とには、それぞれ必要に応じて開閉される開閉弁が介設されていることを特徴とする請求項18乃至24のいずれかに記載のアミンガスの濃度測定装置。
【請求項26】
前記処理容器の気体導入口には開閉弁が設けられており、該開閉弁は前記キャリアガスを供給する時には閉じられることを特徴とする請求項18乃至25のいずれかに記載のアミンガスの濃度測定装置。
【請求項27】
前記混合ガス搬送系には、該混合ガス搬送系に流れるアミンガスの液化を防止するための加温機構が設けられていることを特徴とする請求項18乃至26のいずれかに記載のアミンガスの濃度測定装置。
【請求項28】
前記捕集容器の気体導入口には、半導体製造装置内における被処理体を搬送するための大気圧の搬送領域の雰囲気、或いはクリーンルーム内の雰囲気を取り込んで導くための単数、または複数の雰囲気導出管が共通に連通されており、前記雰囲気導出管には、選択的に開閉される選択開閉弁が設けられていることを特徴とする請求項18乃至27のいずれかに記載のアミンガスの濃度測定装置。
【請求項29】
前記選択開閉弁は、前記雰囲気導出管が共通に連結される部分に設けられる多方弁よりなることを特徴とする請求項28記載のアミンガスの濃度測定装置。
【請求項30】
前記雰囲気導出管には、該雰囲気導出管に流れるアミンガスの液化を防止するための加温機構が設けられていることを特徴とする請求項28または29記載のアミンガスの濃度測定装置。
【請求項31】
前記測定対象雰囲気は、アミンガスを除去するアミンガス除去フィルタを通過した後の雰囲気であり、前記制御部は、前記濃度測定部の測定結果に応じて前記アミンガス除去フィルタの寿命を判断する寿命判断機能を有していることを特徴とする請求項18乃至30のいずれかに記載のアミンガスの濃度測定装置。
【請求項32】
前記制御部は、前記判断結果が寿命の到来を示した時にはその旨をオペレータに知らせるアラーム部を有することを特徴とする請求項31記載のアミンガスの濃度測定装置。
【請求項33】
測定対象雰囲気中の有機物ガスの濃度を測定する有機物ガスの濃度測定方法において、
前記測定対象雰囲気を捕集剤に所定の時間だけ接触させて前記測定対象雰囲気中の有機物ガスを捕集する捕集工程と、
前記捕集剤にキャリアガスを流しつつ前記捕集剤を第1の温度に加熱して前記捕集剤に捕集されている沸点が比較的低い有機物のガスを脱離させる工程と、
前記捕集剤にキャリアガスを流しつつ前記捕集剤を前記第1の温度よりも高い第2の温度に加熱して前記捕集剤に捕集されている全ての有機物ガスを脱離させて前記キャリアガス中の有機物ガスの濃度を測定する測定工程と、
を備えたことを特徴とする有機物ガスの濃度測定方法。
【請求項34】
測定対象雰囲気中の有機物ガスの濃度を測定する有機物ガスの濃度測定方法において、
前記測定対象雰囲気を捕集剤に所定の時間だけ接触させて前記測定対象雰囲気中の有機物ガスを捕集する捕集工程と、
前記捕集剤にキャリアガスを流しつつ前記捕集剤を第1の温度に加熱して前記捕集剤に捕集されている沸点が比較的低い有機物のガスを脱離させて前記キャリアガス中の有機物ガスの濃度を測定する測定工程と、
を備えたことを特徴とする有機物ガスの濃度測定方法。
【請求項35】
測定対象雰囲気中の有機物ガスの濃度を測定する有機物ガスの濃度測定方法において、
前記捕集剤を比較的沸点の低い有機物の多くが捕集されないような第3の温度に加熱しつつ前記測定対象雰囲気を捕集剤に所定の時間だけ接触させて前記測定対象雰囲気中の有機物ガスを捕集する捕集工程と、
前記捕集剤にキャリアガスを流しつつ前記捕集剤を前記第3の温度よりも高い第2の温度に加熱して前記捕集剤に捕集されている全ての有機物ガスを脱離させて前記キャリアガス中の有機物ガスの濃度を測定する測定工程と、
を備えたことを特徴とする有機物ガスの濃度測定方法。
【請求項36】
前記測定対象雰囲気は、有機物ガスを除去する有機物ガス除去フィルタを通過した後の雰囲気であり、前記測定工程の後に、前記測定工程の測定結果に基づいて前記有機物ガス除去フィルタの寿命を判断する寿命判断工程を有することを特徴とする請求項33乃至35のいずれかに記載の有機物ガスの濃度測定方法。
【請求項37】
測定対象雰囲気中のアミンガスの濃度を測定するアミンガスの濃度測定方法において、
前記測定対象雰囲気を捕集剤に所定の時間だけ接触させて前記測定対象雰囲気中のアミンガスを捕集する捕集工程と、
前記捕集剤にキャリアガスを流しつつ前記捕集剤を所定の温度に加熱して前記捕集剤に捕集されているアミンガスを脱離させて前記キャリアガス中のアミンガスの濃度を測定する測定工程と、
を備えたことを特徴とするアミンガスの濃度測定方法。
【請求項38】
測定対象雰囲気中のアミンガスの濃度を測定するアミンガスの濃度測定方法において、
前記測定対象雰囲気を冷却された捕集容器に所定の時間だけ流通させて前記測定対象雰囲気中のアミンガスを捕集する捕集工程と、
前記捕集容器にキャリアガスを流しつつ前記捕集容器を所定の温度に加熱して前記捕集容器に捕集されているアミンガスを脱離させて前記キャリアガス中のアミンガスの濃度を測定する測定工程と、
を備えたことを特徴とするアミンガスの濃度測定方法。
【請求項39】
前記測定対象雰囲気は、アミンガスを除去するアミンガス除去フィルタを通過した後の雰囲気であり、前記測定工程の後に、前記測定工程の測定結果に基づいて前記アミンガス除去フィルタの寿命を判断する寿命判断工程を有することを特徴とする請求項37又は38記載のアミンガスの濃度測定方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−17427(P2007−17427A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−127206(P2006−127206)
【出願日】平成18年5月1日(2006.5.1)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】