説明

有機物質処理用組成物

本出願は、有機基材、特にリグノセルロース基材の処理に使用する組成物に関する。本組成物は、水、揮発性水混和性溶媒、及び殺生物剤などの有機基材処理用化合物を含有する。本出願は、基材に処理用組成物を送達する方法にも関する。本方法は、有害生物の増殖を阻止する目的、又は例えば基材に特定の特性を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、有機基材の処理において使用するための組成物、及び組成物を有機基材へ送達する方法に関する。特に本発明は、処理用化合物を、リグノセルロース系基材、例えば材木(lumber)へ送達するための組成物、及び方法に関する。これらの方法は、例えば有害生物の増殖の防止を目的とするか、又は基材に特異的特性を提供することができる。
【背景技術】
【0002】
背景
多くの樹木種からの材木は、耐久力を欠き、物理特性が劣ることが多い。これらの欠点は、人工植林された森林から伐採された材木に生じる可能性がより多い。耐久性及び増強された物理特性が必要であるので、材木処理業者が、材木特性を変更することはよくあることである。
これらの欠点は、保存剤、ポリマーなどの材木への注入により、より大きく又はより小さく改善することができることは、当業者には周知である。このような注入プロセスは、何十年も使用されており、処理液による注入が最も頻繁に関与している。
【0003】
比較的最近の傾向は、材木の最終的な直ぐ使用される形態での材木の処理である。このことは、別のやり方で未加工型で処理された材木の引き続きの加工処理時に生じる汚染された廃棄物流れ(鋸くず、かんなくずなど)を排除する。
材木を処理する場合、材木は既に乾燥している、すなわちその細胞は空であることが好ましい。これは、侵入する処理液には空間が必要であることが理由である。
【0004】
典型的には、材木は、水系保存剤によるか、又は揮発油(LOSPプロセス)などの非極性有機溶媒をベースにした溶媒液によるかのいずれかで処理される。両プロセスは、真空及び加圧の変形が使用される点が類似している。
公知の水系プロセスの欠点は、完全な浸透を実現するためには、実質的取り込みが必要なことである。これは一部、細胞壁の再湿潤、及び水の細胞壁の内部又は上への吸着が原因である。従って、この吸着を克服し、及び完全な浸透を確実にするために、取り込みは、使用されるプロセスに応じ、150L/m3〜600L/m3を変動することができる。水系溶液による現在の処理法は、望ましくない膨潤を引き起こす。この材木は一旦処理されると、再乾燥されなければならず、これには経費がかかる。しかし、水系プロセスは、安価な十分に実績のある無機殺生物剤の使用が可能である。
【0005】
水系プロセスを使用し、重大な問題点が生じる。これらの保存剤は水に必ず可溶性であるので、これらは、時には引き続きの処理に対し移動性を依然残している。すなわちこれらは、地下水との接触時又は雨に曝された場合に、環境へ溶出する可能性があり、危険を生じる可能性がある。最新のプロセスは、保存剤と木の間の相互作用が速まる加熱工程を使用することができる。このことは、時間がかかり、基材温度を上昇するための追加のプラント及びエネルギー手段を必要とし、熱源は典型的には蒸気又は熱水であるので、重金属に汚染された廃棄物流れを生じる。
【0006】
非極性有機溶媒を使用するLOSPプロセスは、膨潤の問題点を克服し、かつ約30〜40L/m3の極めて低い取り込みを有する。これは、溶媒と細胞壁の間に重大な相互作用が存在しないことが理由である。すなわち、この溶媒は、非極性であり、極性があるセルロース又はリグニンとは相互作用しないか、又はこれらに吸着しない。取り込みは、30〜50L/m3と低い。通常の意味での乾燥は必要ないが、溶媒は蒸発されなければならない。このプロセスは乾燥材木の処理には効果的であるが、溶媒の経費は高く、事実上全ての溶媒は大気中に流出し、従って環境問題となり始めている。更にこの溶媒は、石油原料から製造され、従ってこれは再生可能な資源ではなく、大きい価格変動に曝されている。しかしLOSPの好ましい点は、溶媒の回収及び再使用の選択肢があることである。
【0007】
LOSPプロセスの大きい欠点は、これらは非極性溶媒に可溶性の殺生物剤システムを使用しなければならない点である。これらは例えば、錯体トリアゾール及び合成ピレトロイドなどを含み、典型的には非常に高価であり、及び高価な溶媒又は配合技術を必要とする。典型的には、環境には毒物であるトリブチルスズ化合物も使用される。
【0008】
材木の注入について、多くのプロセスが公知である。これらのプロセスは、「Industrial Timber Preservation」(1979, J G Wilkinson, Associated Business Press)において適切に説明されている。
このようなプロセスのいくつかは、1)Rueping:気体による予備加圧、それに続く保存剤又は化学溶液による加圧;2)Lowry:保存剤又は化学溶液による加圧注入;並びに、3)Bethel:真空、それに続く保存剤又は化学溶液による加圧注入;を含む。
【0009】
Ruepingプロセスは、保存剤液体による処理前に、気体による予備加圧を適用する。この気体による予備加圧は、細胞に、圧縮可能な媒体を充填し、その結果液体による処理後、この気体は膨張し、余計な液体を強制的に外に送り出す。しかしこれは、保存剤で汚染された液体の継続的キックバックを生じ、このことは危険であることがあり、及びキックバック液体は保存剤化学の妨げとなる抽出物を含み得る。
Ruepingプロセス及びLowryプロセスは、基材内の空隙中に気体を保持する。従って注入プロセスは、空隙内の気体の戻し圧に対し、液体を基材へ強制的に送るポンプを必要とする。
【0010】
Bethelプロセスは、真空の適用により、全ての気体を細胞から除去し、次に細胞は、保存剤液体により完全に充填され始める。この方法には、水性液体を使用する場合、材木は完全に充填され、再度吸引することはできないという欠点がある。従ってこの材木は、乾燥するのにかなり時間がかかる。
別のプロセスは、国際公開公報第2004/054765号に開示されており、これは結合水の蒸気への変化を引き起こし、従って細胞内に空隙を作製する、基材の放射線照射に関与している。
【0011】
LOSP保存剤は、Stoddard溶媒として公知の溶媒、そうでなければ脂肪族揮発油又は軽油として一般に公知の溶媒を使用する。これの最新の変形は、臭気を改善しかつ毒性を低下するために芳香族化合物を除去するよう洗練された。更にLOSP配合物の適用に使用される注入プロセスが開発され、及び実質的浸透を確実にしながら、木材に移される溶媒の量を制限するように洗練されている。このひとつの例は、木材が真空排気され、その後保存剤にオーバーフロー(flood)され、真空が短時間で大気圧に戻され、その後保存剤が木材から移動し、二次真空が適用され、過剰な保存剤を除去する、「複合真空注入(Double-Vacuum)」プロセスである。
これらの改善にもかかわらず、経費は上昇し続け、及び環境上の懸念のために、LOSP保存剤を使用する製品から離れる傾向が増しつつある。しかし基材の再乾燥は不要であるので、特に残留溶媒が回収されかつ再使用される場合には、市場の可能性が依然存在する。
【0012】
研究者及び実務者は、多くの溶媒及びそれらの木材との相互作用に注目している。一般に高い極性の溶媒、例えば水及びメタノールは、木材と強力に相互作用し、細胞壁の内部及び上に吸収され、膨潤を引き起こす。揮発油などの非極性溶媒は、膨潤を引き起こさない。同様に、キシレン、石油エーテル、ケトン、例えばシクロヘキサノン、塩化メチレン、トリクロロエタンなどは、膨潤を生じない。これらは典型的には水に混和しない。例えば、メタノールのような極性溶媒は、材木に容易に浸透しないが、これらは膨潤に負の影響を有し得る。
【0013】
揮発油は、高度に可燃性であり、従って可能性のある有害な結果を最小化するために、適切なプラントデザイン及び操作手法が使用されなければならない。代替の有機溶媒が利用可能であるが、これらは経費がかかるか又は毒性があるかのいずれかのために、実行可能な経済的選択肢ではない。単純なアルコール、例えばメタノール及びエタノールは、比較的経済的であるが、揮発油よりもより高度に可燃性であり、そのため商業的には使用されていない。メタノールは、毒性もあり、材木の著しい膨潤を引き起こすことが知られている。
【0014】
米国特許第5871817号は、「ホウ酸又は酸化ホウ素の、メタノール及びエタノールからなる群より選択される1種又は複数の溶媒との混合により、混合物からのあらゆる反応副産物の除去をせずに形成される、液体ホウ素ベースの保存剤配合物」の使用を開示している。このような混合物は、ある割合の反応性化合物、特にホウ酸メチル及びホウ酸エチルのエステルを形成しかつ含有するであろう。このような反応性化合物は、米国特許第5871817号に開示されたように揮発性でありかつ水又は水分に対し反応性であるが、これらは、容易に乾燥した木材に浸透し、かつその木材の残留水分と反応するという点において、その特許の実施(working)の基礎を提供する。
【0015】
米国特許第5871817号の発明は、使用者に代替法をもたらすことができるが、基材への適用後にホウ素化合物のアルコールとの相互作用は継続する点において、重大な問題点が存在する。ある状況において、これは、可燃性及び毒性のある有機ホウ素化合物の放出を生じることがある。この揮発性は、真空又はRF支援した真空プロセスのいずれかにより、あらゆる残留溶媒を抽出する試みを排除し、その理由は、これらのプロセスは更に有機ホウ素化合物を直ちに引き出す(withdraw)からである。
【0016】
材木は、その中に保存剤を移すことができる実質的空隙を有さなければならないので、水系保存剤について又はLOSP保存剤についてであっても、材木は、実質的に乾燥していなければならない。LOSP保存剤プロセスは、材木は、その最終含水量、すなわち質量ベースで約12〜15%に乾燥されなければならないことを指示している。
水系プロセスのための材木は、より大きい含水量を有する、すなわち繊維飽和(ほぼ30%)を上回ることができる。従ってLOSP処理された材木は処理後依然「乾燥」し、及び従来の意味での再乾燥は不要であるが、これは、著しい量の溶媒(VOC−揮発性有機化合物)を廃棄するので、依然高価なプロセスである。水系プロセスは、より高い予備処理された含水量を可能にするが、依然再乾燥プロセスに経費がかかる。
【0017】
最新の乾燥の実践は、高温プロセスを使用することが多い。これらは、巨大なボイラーからの実質的エネルギーを使用する。エネルギーは、迅速に移動する熱風流れにより、材木に供給される。各材木片は、この熱風流れに取り囲まれなければならないので、各片の間には空間がなければならない。高いエネルギーは、材木のゆがみを引き起こすので、材木は巨大な重い重りにより拘束される。このことは、窯が、当初の高い空隙容量にもかかわらず、極めて限られた容積(capacity)を有することを意味する。高温乾燥プロセスは、非常に迅速であることができるが、材木片の間で生じる含水量の著しい変動のために、再状態調整プロセス(reconditioning process)が適用される。これは、実質的に最終的な望ましい含水量を下回る、恐らく6〜8%までの乾燥、それに続く平衡を促進するための水分の再供給を必要とするであろう。このことは、実質的により高いエネルギーが使用され、その大半は最終的に廃棄されることを意味する。収縮及びゆがみは、大きい問題点であり得る。
【0018】
従来の繊維飽和点への乾燥は、主として質量流れ(mass flow)機構であり、使用される時間及びエネルギーは両方とも比較的低い。しかし繊維飽和を下回るエネルギー経費は、単に断熱作用による材木に移動するエネルギーの遅さのためではなく、更に結合水の除去はより多くのエネルギーを必要とすることによっても、急激に上昇している。従って環境へのエネルギー喪失は、繊維飽和を下回る乾燥時に、より低い装置効率のために増大している。加えて、最終含水量を実現するために必要なエネルギー及び時間の両方は、実質的に繊維飽和をはるかに下回る。更にこの期間に、材木内に応力の大半が形成される。
【0019】
材木を含む有機基材の乾燥の初期相は、質量流れに関与するにもかかわらず、多くの水は、基材に結合している。このことは、乾燥した材木中の繊維飽和を下回る保持水で例証することができる。RFエネルギーは、材木を含む有機基材に適用することができ、このRFエネルギーは、結合水へ直接影響を及ぼし、かつ結合水により吸収されることができる。RFエネルギーは、基材を通り容易に浸透することができるので、エネルギー流れは迅速である。しかしRFエネルギーの吸収は、そのエネルギーを吸収する能力を有する基材内の材料又は化合物により左右される。このプロセスに潜在する特性は、誘電損失と称される。従来のLOSP溶媒系において使用されるStoddard溶媒のような、低い誘電損失を伴う材料は、ほとんどエネルギーを吸収しないのに対し、水、高い極性溶媒、例えばDMSO、N-メチルピロリドンなど、又はグリコール、例えばエチレンもしくはプロピレングリコールもしくはグリセロールのような高い誘電損失を伴う材料は、エネルギーを容易に吸収するであろう。基材が既に実質的に乾燥している場合に、基材に対する作用を考慮することも重要である。例えば、処理前の材木の平衡含水量がおよそ12〜15%である場合、RF加熱は、その含水量を更に低下するであろう。このことは、縮み、恐らく浅割れを引き起こし、並びに制御できない場合は、外観及び強度の崩壊を引き起こし得る。
【0020】
保存剤は、処理された基材に固定するのに時間を必要とすることは、当業者に周知である。これは特に、六価クロム又は銅アミンシステムを含有する保存剤に当てはまる。固定速度は、温度を上昇することにより増強することができる;が、ある条件を考慮しなければならないことも公知である。例えば、六価クロム含有システムの固定は、高湿で維持されなければならず、他方でこの反応は変更し、かつこれは材木強度の低下又は保存剤性能の低下を引き起こす。銅アミンシステムにより、より高温は、酸化状態の銅の還元を生じ、その結果生体-効能を低下し、かつ望ましくない木材の色の著しい暗色化を生じ得る。
【発明の開示】
【0021】
目的
本発明の目的は、組成物、及び組成物を有機基材へ、特にリグノセルロース系基材へ送達する方法を提供するか、又は少なくとも有用な選択を一般(public)に提供することである。
【0022】
発明の説明
第一の広範な態様において、本発明は、水、揮発性水混和性溶媒及び有機基材処理用化合物を含有する有機基材処理用組成物を提供する。
好ましくは、有機基材はリグノセルロース系である。
好ましくは、リグノセルロース系基材は材木である。
好ましくは、揮発性水混和性溶媒は揮発性水混和性有機溶媒である。
好ましくは、揮発性水混和性溶媒は真空凝縮法により容易に回収可能である。
【0023】
好ましくは、揮発性水混和性溶媒は、低分子量のアルコール、ケトン、エーテル又はジエーテルである。
好ましくは、揮発性水混和性溶媒は、メタノール、エタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル又はジエチレングリコールジメチルエーテルの1種又は複数から選択される。
より好ましくは、水混和性有機溶媒は、メタノール又はエタノールである。
最も好ましくは、水混和性有機溶媒は、エタノールである。
【0024】
好ましくは、水:溶媒の比は、約4:96である。
好ましくは、水:溶媒の比は、少なくとも20:80、より好ましくは最大25:75まで、より好ましくは最大約50:50までである。
好ましくは、水:アルコールの比は、約25:75である。
【0025】
好ましくは、有機基材処理用化合物は、殺生物剤である。
好ましくは、殺生物剤は、有機殺生物剤、無機殺生物剤又はそれらの組合せである。
好ましくは、有機基材処理用化合物は、基材の物理特性を変更する。
【0026】
好ましくは、有機基材処理用化合物は、樹脂、ポリマー、樹脂となり得る成分又はポリマーとなり得る成分から選択される。
好ましくは、該樹脂又はポリマーは、注入プロセスに続き反応又は重合される。
好ましくは、該樹脂又はポリマーは、引き続きのRF真空溶媒回収スケジュールの間に、反応される。
【0027】
好ましくは、有機基材処理用化合物は、不揮発性である。
好ましくは、組成物は、更に色素、顔料、撥水剤、難燃剤などを含有する。
好ましくは、有機基材処理用化合物は、アミン銅錯体である。
好ましくは、アミン銅錯体は、アミン錯化剤としてアルカノールアミンを使用することにより形成される。
好ましくは、アルカノールアミンは、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン又はプロパノールアミンである。
好ましくは、有機基材処理用化合物は、アゾール又はアゾール混合物である。
好ましくは、有機基材処理用化合物は、アゾール又はアゾール混合物及びアミン銅錯体である。
【0028】
好ましくは、有機基材が、繊維飽和点又はそれを下回る実質的に乾燥した材木である。
好ましくは、有機基材は、繊維飽和点をわずかに上回る。
好ましくは、組成物は、難燃剤を含有する。
好ましくは、難燃剤は、殺生物剤と組合せられている。
【0029】
好ましくは、組成物は、エマルジョン又はマイクロエマルジョンである。
好ましくは、ひとつの成分が他の成分と不相溶性である場合、ひとつ又は他の成分は、マイクロカプセル封入され、その後その他と組合せることができる。
【0030】
本発明は、先に本発明の第一の態様において説明された組成物が、浸漬、吹き付け又は真空圧注入により、基材に適用され、及び任意に国際公開公報第2004/054765号に開示された処理プロセスの使用を含む、有機基材を処理するプロセスにも関する。
【0031】
好ましくは、組成物からの残留溶媒は、基材から蒸発させられる。
好ましくは、残留溶媒の基材からの除去は、高周波(RF)曝露の使用により増強される。
好ましくは、基材から除去された溶媒は、回収される。
好ましくは、溶媒回収は、真空凝縮の使用を含む。
好ましくは、水性溶媒系は、水を50%又はそれ以上含有する。
【0032】
好ましくは、組成物は、浸漬、放水(deluge)、吹き付け、又ははけ塗りにより、基材に適用される。加えて、真空又は陽圧注入の変形を使用してもよい。
好ましくは、組成物は、周囲温度〜100℃の間で適用される。
好ましくは、組成物は、周囲温度で適用される。
好ましくは、組成物は、真空圧注入を用い、基材へ適用され、引き続き溶媒が基材から蒸発させられる。
好ましくは、組成物は、1回の真空注入を用い、基材へ適用され、引き続き溶媒が基材から蒸発させられる。
好ましくは、溶媒の蒸発は、RFエネルギーを用いて促進され、放出された溶媒は、凝縮により回収される。
好ましくは、有機基材が、溶媒水に加え水を含有する場合、これは同じくRFエネルギーの使用による蒸発がし向けられる。
好ましくは、保存剤を必要とする固定が使用される場合、固定は、溶媒回収プロセス時に増強される。
好ましくは、回収工程時に除去される水分の量は、処理時に適用された水分と実質的に同じである。
好ましくは、蒸発された溶媒の回収は、乾燥型プロセスにおける真空の使用により補助することができる。
【0033】
好ましくは、組成物は、繊維飽和点又はそれを下回る基材に適用される。
好ましくは、組成物は、繊維飽和点を上回る基材に適用される。
好ましくは、溶媒回収工程は、基材内の温度の上昇を実現する。
好ましくは、溶媒回収工程の結果としての基材内の温度の上昇は、組成物により基材へ運搬された殺生物剤の固定を改善する。
好ましくは、基材に付与されるあらゆる膨潤は、溶媒回収プロセスにより少なくとも最小化される。
【0034】
別の本発明の態様において、本発明は、水に加え、低分子量のアルコール、ケトン、グリコールエーテル及びグリコールジエーテルから選択された溶媒を;有機処理用化合物と一緒に含有する、有機基材処理用組成物を提供する。
好ましくは、有機基材処理用化合物は、殺生物組成物である。
好ましくは、有機基材処理用化合物は、基材の少なくとも標的ゾーンにより高い密度又は強度の特性を付与することができるものである。
好ましくは、有機基材処理用化合物は、ポリマー性又はプレポリマー性の性質を有する。
【0035】
別の態様において、本発明は、素材(timber)処理のための組成物の調製法を提供し、ここで組成物は、活性素材処理用化合物を含有し、ここでこの方法は、水混和性溶媒及び水の組合せを含む素材処理用化合物のための溶媒系の使用を含む。
好ましくは、水:溶媒の比は、少なくとも4:96である。
好ましくは、水:溶媒の比は、少なくとも20:80、より好ましくは最大25:75まで、より好ましくは少なくとも最大約50:50までである。
好ましくは、水:アルコール比は、約25:75である。
好ましくは、水混和性溶媒は、アルコールである。
好ましくは、溶媒系は、水であるか、又は主に水を含有し、並びに溶媒は、高周波曝露及び真空を用いて除去される。
【0036】
別の態様において、本発明は、水及び有機基材処理用化合物を含有する有機基材処理用組成物を使用する、有機基材を処理する方法であり、この組成物は、浸漬、吹き付け又は真空圧注入により基材へ適用され、並びに任意に国際公開公報第2004/054765号に開示された処理プロセスを含み、ここで水は、RF真空支援した溶媒回収により回収される方法を提供する。
別の広範な態様において、本発明は、組成物が、本発明の方法に従いそれへ送達される、有機基材を提供する。
【0037】
本発明は概して、部品、要素及び特徴のいずれか又は2種もしくはそれよりも多い全ての組合せにおいて、個別に又は集合的に、本願明細書において言及又は指摘される該部品、要素及び特徴で構成されると述べることができ、ここで具体的な整数は、本発明が関連する技術分野において公知の同等物を有することを意味し、このような公知の同等物は、個別に言及されるように、本明細書に組み込まれると見なされる。
本発明のこれら及び他の態様は、全てその新規態様とみなされるべきであるが、これらは、添付図面を参照し、単なる例として示される、以下の説明から明らかになるであろう。
これらの図面から、本発明のプロセスは、保存剤の品質を損なわずに、本明細書に説明された関連した恩恵をもたらすことを認めることができる。
【0038】
発明の詳細な説明
以下は、新規方法の適用に関連して、一般論で示された本発明の好ましい形の説明である。この説明は特に組成物の材木又は原木(log)への送達に焦点を当てているが、本方法は、他の有機基材にも適用可能であることは理解されなければならない。
一般論として、本発明は、組成物、及び組成物を有機基材、好ましくはリグノセルロース系基材へ送達する方法に関する。この方法は、非極性溶媒のみ伴うシステムの使用を必要とすることなく、処理化合物による有機基材の吸収又は注入を可能にする。
【0039】
本発明の方法は、揮発性水混和性溶媒/水の組合せ中に可溶性である成分を含有する液体組成物を、基材へ送達するために使用することができる。本組成物は、好ましくは水性/有機溶媒溶液であり、及び適用時の基材の温度では不揮発性である活性成分を有する。本発明が特に新規である点は、実質的に基材を再湿潤することなく、それ以外は従来の有機基材処理用化合物、例えば無機殺生物剤又は殺生物剤組合せの使用を可能にすることである。本発明が関係する技術分野の業者は、本発明に適用することができる様々な組成物を疑いなく理解するであろう。しかし例として、有害生物による感染又は予備感染を処理又は予防することが望ましい場合、殺生物(例えば、殺真菌、殺菌、殺虫)特性又は保存特性を有する組成物(殺生物剤組成物)を使用することができる。基材が増加した密度又は強度特性を有することが望ましい場合、ある種のポリマー成分又はプレポリマー成分を含有する組成物が有用であり得る。樹脂又はポリマー、又は樹脂もしくはポリマーとなる成分を、使用することができる。同様に、組成物は、基材の耐水化又は難燃特性の提供において使用する化合物を含むことができる。処理用化合物(例えば、殺生物剤及び難燃剤)の組合せは、基材に明らかに有益な特性を提供するであろう。加えて、これらの組成物は、基材を着色するために使用することができる、ある種の色素を含むことができる。好適な殺生物剤及びポリマー/プレポリマー化合物は、当業者に公知である。
【0040】
制限を意図するものではないが、殺生物剤は、以下を含む:銅化合物、第4級アンモニウム化合物、有機ヨウ素化合物、トリアゾール、金属キレート、例えばオキシン銅、ホウ素化合物、殺虫剤、例えば合成ピレスロイドなど、又はこれらの混合物。難燃剤は、リン化合物、グアニジン化合物、メラミン化合物、ホウ素化合物又はこれらの混合物を含む。樹脂又はポリマーは、フェノール-ホルムアルデヒド、尿素-ホルムアルデヒド、メラミン-ホルムアルデヒドなどを含む。場合によっては、無機もしくは有機リン化合物又はホウ素化合物と組合せたメラミン-尿素-ホルムアルデヒド樹脂のように、これらを一緒にすることが都合がよいことがある。ある状況においては、殺生物剤及び/又は難燃剤を使用することができ、ここでこの組成物は、溶媒組合せ中にエマルションを調製するために、追加された乳化剤又は界面活性剤を含有する。フェノール-ホルムアルデヒド樹脂との組合せにおけるホウ素化合物の場合のように、樹脂又はポリマーが、殺生物剤又は難燃剤と非混和性である場合、ひとつ又は他の成分をマイクロカプセル封入し、その後他の成分と一緒にすることができる。
【0041】
本明細書において使用される「有機基材」は、ある性質の組成物の送達に必要とされる任意の有機物質を意味するとみなされるべきであり;例えば、有害生物の増殖を防止又は改善するための、保護又は処理を目的としている。このような基材は、リグノセルロース系、例えば、生木、木材製品、材木又は原木が好ましい。本発明は、水分レベルを含む基材、又は実質的に乾燥している、繊維飽和であるかもしくはそれを下回る基材に適用することができる。
再度、少なくともリグノセルロース系基材の場合、「実質的に乾燥」している基材は、従来の方法で乾燥された材木を含む。このような材木は、材木乾燥質量の約1〜約30質量%(per cent as a weight proportion)の水分を含むことができる。実質的に乾燥したリグノセルロース系基材は、窯乾燥、RF真空乾燥などにより加工処理された材木を含み、並びに最終製品又はほぼ最終製品まで切削され、及び例えば、材木複合材を含むことができる。
【0042】
本明細書で言及される「害虫」又は「有害生物」は、木材などの有機基材に感染することができる任意の生物を含むことができる。本発明は、特に真菌に適用可能であるが、有害生物は、昆虫なども含むことができる。真菌及び害虫は、当業者には周知であろう。
本明細書において使用される場合用語「処理」は、その最も広範に可能な内容と見なされなければならない。基材は、有害生物が完全に除去されるように処理されることを暗示するものと見なされるものではないが、これが望ましい。有害生物の増殖の防止及び改善も、本発明に包含される。
【0043】
用語「含有する(comprise)(複数)」は、特に明確に別に指定しない限りは、「含む(includes)」又は「含んでいる(including)」と同義語であると見なされるべきである。
ひとつの好ましい実施態様において、本方法は、少なくとも水に加え、揮発性水混和性溶媒、及び殺生物剤又は基材改質化学物質を含有する組成物を、有機基材の表面に適用する工程少なくとも含む。
【0044】
本明細書において使用される揮発性水混和性溶媒は、低分子量アルコール、低分子量ケトン、低分子量グリコールモノエーテル又は低分子量グリコールジエーテルを含む。好ましくはこれらは、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル又はジエチレングリコールジメチルエーテルのいずれか1種又は複数から選択することができる。
特に好ましい本発明の実施態様において、組成物は、水に加え、エタノールを含む溶媒混合物含有する。
【0045】
この溶媒組成物は、含まれる殺生物剤(複数)又はいずれか他の含まれる添加剤の物理化学特性により左右されることは、明らかであろう。殺生物剤(複数)及び他の成分の適用と同時の基材からの水分の抽出のような、必要とされる他の特性に応じ、有機成分は、溶媒の97%と高くてもよい。純粋な有機殺生物剤を使用する場合、溶媒の有機成分は、75〜80%の範囲内又はそれよりも多いのに対し、主要な無機殺生物剤システムについて、溶媒の有機成分は、およそ5〜20%と低い。このプロセスの目的の間には釣り合いが必要であり;より高い有機溶媒比は、基材中のより低い残留水分が好ましく、及び更に有機殺生物剤の溶解の助けとなることは理解されるであろう。溶媒系中のより高い含水量は、経費を削減し、殺生物剤の無機成分の安定性を増強するが、望ましいよりもはるかに多く含水量を増加することがある。同様により高い有機溶媒比は、もし溶媒回収が適用される場合には、効率を向上する。このような事柄は、本発明の知識を身につけた業者の技術及び知識の範囲内である。処理用組成物は、一旦形成されると、組成物内に含まれる成分の組合せに応じて、エマルション又はマイクロエマルジョンの形を取ることができる。マイクロカプセル封入された1種又は複数の成分の形をとることもできる。
【0046】
本組成物は、組成物を物質と接触させる公知の手段のいずれかを用い、基材の表面に適用することができる。例として、この組成物は、浸漬、放水、吹き付け又ははけ塗りにより適用される。本発明者らは、本発明の組成物の送達を実現するために積極的圧力を加えることは必要であるとは考えなかったが、送達を補助するために、積極的圧力システム(陽圧又は真空)を使用される場合であってもよい。例としてこれに関して国際公開公報第2004/054765号に開示された送達システムが、参照される。
【0047】
本組成物の操作温度は、例えば、その溶解度などの基材処理用化合物(例えば殺生物剤)の性質に応じて変動することができるが、この組成物は、周囲温度で又はその近くで適用されることが好ましい。最高100℃の温度を、組成物の成分に応じて使用することができる。より高い温度は、溶媒及び恐らくは適用前に組成物から処理用化合物を喪失する可能性のために、余り好ましくない。
前述のように、本発明の方法は、実質的に乾燥している(すなわち、繊維飽和又はそれを下回る)である基材に適用可能である。
【0048】
公知の技術分野において、水溶性である組成物は、典型的には基材を著しく再湿潤する完全な水溶液として適用される。この湿潤が生じる場合、引き続きのこの水の除去は問題が多い。本発明の新規特徴は、基材の再湿潤を制御又は制限する目的で、そうでなければ有機溶媒に不溶性の組成物、例えば、アンモニア性銅第4級アンモニウム塩(ACQ)又は銅アゾールなどの前述のもののような保存剤溶液の調製の選択肢を提供することである。この処理用化合物は、アゾール、又はアゾールの混合物であり、任意にACQを含むこともできる。溶媒系の無機成分も有機成分も、基材には強力に結合せず、蒸発、抽出、又はその他の溶媒除去もしくは回収プロセスにより除去されることができる、揮発性である。従って有機基材処理用化合物は、例えばアミン銅錯体である。好ましくはこの錯体は、アミン錯化剤としてアルカノールアミン(例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミンなど)を使用し形成され、ここでこのアミンは、銅の可溶化のような、遷移金属化合物の可溶化を補助するためのリガンドを提供するであろう。
【0049】
典型的には、LOSP溶媒は可燃性であるが、しかしこの特性は、適宜デザインされたプラントにおける使用に関して許容範囲内である。メタノール及びエタノールなどの溶媒は、より揮発性でありかつより可燃性である。従ってこれらは、使用のためには通常許容されず、これのためにLOSP溶媒と交換するようには使用されない。しかしこれらの溶媒の可燃性及び揮発性は、水の添加により低下することができる。これは、水がこれらの溶媒と効果的に水和し、揮発性及び可燃性の両方を許容できる範囲に低下するからである。
下記表は、水によるアルコールの希釈により実現可能な引火点の低下を示している。








【0050】
メタノール/水混合物

【0051】
エタノール/水混合物

【0052】
イソプロパノール/水混合物

【0053】
メタノール、エタノール及びイソプロパノールの引火点は、各々、13、13及び12℃である。N-プロパノールは、23℃の引火点を有する。従って、これらは非常に可燃性である。しかし水で約20〜30%に希釈した場合、引火点は、30〜40℃の間に軽減される(reduced)(メタノール又はエタノールに関して)。これらの引火点は、35℃以下の引火点を有する揮発油と同等である。N-プロパノールを許容できる易燃性の範囲にするために、これは水によるごくわずかな希釈を必要とする。従って、水/アルコール混合に関して必要とされる予防策は、揮発油と同等であろう。従って水に加え、メタノール、エタノール、イソプロパノール、N-プロパノールなどのような化合物を使用する本発明の溶媒の組合せは、LOSP溶媒に類似した様式で使用することができる。
【0054】
エタノールの水に対する適当な比が使用される場合、一連の殺生物剤を、安定した溶液へ混入することができる。水:溶媒(例えばエタノール)の比は、最も好ましくは4:96又はそれ以上である。少なくとも50:50又は少なくとも20:80もしくは25:75の比も使用することができる。好ましい比は、25:75又は50:50であるが、これはある程度は使用される殺生物剤の溶解度によって決まるであろう。これらは、典型的にはそれ以外は水ベースのシステムにおいて使用され、及び現在のLOSPプロセスにおいて使用することができない、殺生物剤を含む。例えば、アンモニア性銅第4級アンモニウム塩、銅アゾール及び多くのホウ素エステルのような、より最近開発された保存剤配合物は、水に可溶性である。しかし本発明者らは、これらは、使用前に水/エタノール混合物であることは意識していない。六価クロムのアルコールとの相互作用のために、クロム化ヒ酸銅(CCA)が使用されることは、推奨されない。しかしCCAの場合、グリコールジエーテルなどの代替物は、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテルを使用することができる。
【0055】
いずれか特定の理論に結びつけることを意図するものではないが、本発明者らは、本発明は、適用直後の水基材相互作用のある程度の低下を通じて作用すると考えている。これは、残留溶媒の迅速な回収も促進する。
本発明者らは、水混和性可溶性溶媒/水(例えば、アルコール/水)の溶媒系の一連の殺生物剤を安定した溶液へ混入する能力は、その溶媒系のより少ない極性特性の作出のためであることを仮定する。
【0056】
この作用は、水に由来した自由水素結合に結合し、その結果遮蔽作用を生じる、アルコール(例えば、エタノール)又は他の水混和性揮発性溶媒に起因することは可能である。水との比較においてより多くのアルコールが、このシステムにおいて使用されると、遮蔽作用はより大きくなる。この仮説は、少なくとも一部、M. Ageno及びC. Frontaliの論文(Physics Laboratory, Instituto Superiore De Sanita, ローマ)の内容を基にしており、彼等は水とプロトン性溶媒の相互作用を説明する論文を1967年に発表した。彼等は、例えば、アルコールは水と様々な化合物を生成し、及び溶媒の水に対する正確な比で、水から得られる水素結合の利用可能性は、実質的に低下されることを結論付けた。このことは、「化合物」は、著しく少ない極性を生じたことを意味する。この仮説を木材処理に使用する溶媒系の作製に適用し、本発明のシステムがいかにそれらの作用を実現するかを説明することができる。しかしこのことの最終的な決定にはより多くの研究が必要である。
【0057】
本発明者らは、Ageno及びFrontaliにより提唱されたように、引火点の低下は、水とアルコールの様々な分子間の化学的相互作用及び結合によってももたらされることを主張している。この結合は、抑制された蒸気圧も生じ、これは同様の恩恵を有するであろう。
【0058】
しかし本当に無機殺生物剤システム、例えばヒ酸銅などは、エタノール又はエタノール/水混合物(又は他の水混和性揮発性)中で非常に低い溶解度を有する。従って、このようなシステムは、不安定であり、無機塩の沈殿を生じることを予測することができる。
同等に重要なことに、それ以外トリアゾール(ヘキサコナゾール、テブコナゾール、プロピコナゾール及びそれらの混合物が例である)などのLOSPシステムにかなり可溶性である化合物、又は合成ピレスロイドも、溶媒成分の比に応じ、エタノール/水混合物中に可溶性である。このような比は、当業者により決定されるであろう。加えて、殺生物剤/溶媒特性は、例えば酸の添加により変更することができる。これらは、窒素含有有機殺生物剤の溶解度を増大することがわかっている。従って、酸の添加により溶解度は増大されるが、この作用は、pHの上昇により酸度が低下した場合に逆転される。木材は、pH4〜5で緩衝する基材であり、追加の固定機構、すなわち基材それ自身によるpHの増加を可能にすることができる。
【0059】
本発明者らは、これらの溶媒の組合せは、材木処理業者が、有機、無機又は有機/無機組合せの殺生物剤システムである、望ましい特定の危険曝露に適合するよう最適の殺生物剤又は殺生物剤の組合せを選択するか、又は物理特性を変更し得る他の成分、例えばフェノール系樹脂などを添加することができるような、「ユニバーサル」溶媒である、従って選択は著しく拡大することを前提としている。
非常に高いアルコール対水の比が使用される場合、例えば、無機殺生物剤のように、ある種の殺生物剤システムは、安定性がより低くなる。同様に有機殺生物剤は、低いアルコール対水比で安定性がより低くなる。
【0060】
場合によっては、より高いアルコール濃度の必要性が利点であることがある。例えば、特定の必要要件を実現するために、トリアゾールのより多くのエタノール性溶液を使用することができる。当業者は、適度以上に乾燥した木材(含水量およそ15%を下回る木材)を処理することができるが、繊維飽和での木材を処理することもでき、並びに溶媒抽出プロセスにより、このアルコールを、最終の規格に合致する範囲、例えば含水量が20%を下回るまで、最終の含水量を低下させることができる。残留溶媒は、基材から蒸発させてもよい。この後者のプロセスは、溶媒回収により、及びより特定するとRFエネルギーにより支援された溶媒回収により、物理的及び経済的に強化することができる。その後放出された溶媒は、真空凝縮又は公知の同様の技術により回収することができる。
【0061】
より特定の場合、すなわち本発明の溶媒系が国際公開公報第2004/054765号に開示された技術と組み合わせられる場合において、材木中に保持される残留エネルギーは、単純な真空蒸発による溶媒回収を可能にするであろう。
【0062】
本組成物は、真空注入(例えば単独の真空)を用いて基材へ適用されることが好ましく、その後溶媒は基材から蒸発させられるが、しかし真空圧スケジュールの多くの変形を使用することができる。これらは、当業者に周知である。溶媒回収は、凝縮技術による回収を伴い、RFエネルギーを用い、促進される。RFエネルギーの使用は、基材が溶媒に加え水を含む場合に好ましい。典型例は、真空適用と同時にRFエネルギーが適用される場合であり、従って溶媒系の沸点は低下し、その結果溶媒除去は促進する。
この組成物は、使用に望ましい、色素、顔料、撥水剤、難燃剤などの、他の成分も含むことができる。
【0063】
実施例
本発明を更に、以下の非限定的実施例を参照し説明する。
本発明者らは、本発明において説明される原理を使用し、本発明は、水及び揮発性有機溶媒が組合せて使用される殺生物剤の安定した組成物の調製に適用可能であるかどうかを研究することを設定する。
【0064】
実施例1
水中に83%m/mホウ素トリエタノールアミンを含有する溶液を、調製した。様々な試料を、エタノール、水又は一連の水/エタノール混合物のいずれかで希釈した。本発明者らは、全ての割合で安定した完全に混和した溶液が作製されたことを認めた。
表1は、この安定性のウィンドウを示している。
【0065】

【0066】
ホウ素トリエタノールアミンのような中和されたホウ酸塩は、周囲温度又はわずかに上回る温度では、揮発しないことはわかっている。従って真空又はRF支援した真空を用い溶媒を回収する機会が利用される本発明のひとつの態様において、選択されたホウ素化合物は揮発性でないので、これはうまく実行することができる。
窯乾燥したラジアータパイン(pinus radiata)試料は、断面45mm x 90mmのかんな削りし標準寸法とした(planer gauged)。具体的実施例に、最大平面を横切る年輪を伴う平らな挽材を選択した。試料は長さに切断し、末端をアクリル塗料の2面コーティングでシーリングした。
ホウ素トリエタノールアミンの25%m/m溶液を、水及び50:50水エタノール混合液中に調製した。
【0067】
実施例1a. 末端がコーティングされた試料を、-85kPaの真空に5分間適用し、その後保存剤液体でオーバーフローし、真空を解放することにより処理した。30秒後、液体を取り外した。
【0068】
実施例1b. 真空-85kPaを適用した同様のスケジュールを試み、基材及びチャンバーを、処理液でオーバーフローし、真空を-70kPaに低下した。その後過剰な液体を除去し、真空を完全に解放した。
前述の両方の方法において、エタノール又は50:50エタノール水混合液中の保存剤で処理した試料は、完全な浸透をもたらした(図1及び2参照)。しかし、水中の保存剤は、図3に示したように、試料へ距離で1/3浸透したのみであった。
実施例1aの試料は、48L/m3の取り込みを有し、及び1bは28L/m3の取り込みを有することが決定された。
先の実施例において最も顕著な総取り込みは、30L/m3未満であり、依然完全な浸透を実現している。従って、水は、基材の必要以上の再湿潤を伴わずに、そのような液体を含むことができることを見ることができる。
【0069】
本発明者らは、この取り込みは、使用される真空又は部分真空の変動、オーバーフロー時間、更に使用されるならば最終真空により変更されることを認めた。
重要な商業的結果は、水/エタノール混合液が使用される場合、目標とする保存性能は、5〜10L/m3と少ないエタノールで達成され、及び経費は約10ドル/m3であることである。これは、少なくとも30L/m3が必要であり、30ドル以上の経費がかかる、LOSPで通常直面する経費と比べ、非常に好ましい。すなわち、溶媒の経費は、60%以上削減することができる。
【0070】
実施例2
アルカリ銅第4級アンモニウム化合物保存剤(ACQ)を含有する溶液を調製した。この保存剤は、活性成分銅(アンモニア又はアミンキレートとして)及び第4級アンモニウム塩、この場合は塩化ジデシルジメチルアンモニウムを含有する。
本発明者らは、水/アルコール混合液として調製される場合、安定性は、最終の活性成分含量に左右される、すなわち活性成分の濃度が高い場合、この組成物は、高いアルコール含量に対する耐性が低いのに対し、活性の含量がより低い場合、比較的高いアルコール濃度を耐えることができることを認めた。しかし、アミンリガンドがアルカノールアミンを含んだ場合、安定性は実質的に増強される。
【0071】
接地規格(ground contact specification)を実現するために、ACQは、約1〜2kg/m3で基材に混入されることが必要である。通常の処理プロセスが適用される場合、例えばそれらが200L/m3から高くは600L/m3までを運搬する場合、基材内の適当な保持を実現するために、ACQは、水を用い1%〜5%に希釈することができる。ACQはこれまで、140L/m3未満が必要なプロセスにおいて使用されていないが、浸透の実質的深度を実現する。
従っておよそ140L又はそれ未満の低い液体保持が必要である場合、ACQ濃縮物は、わずかに50%まで希釈されなければならない。本発明者らは、水/アルコール混合液及びそのような高度に濃縮された組成物を使用する場合;最終組成物の水含量は、25%を下回らず、そうではなく、アンモニアベースのACQ組成物を使用する場合は、無機成分の沈殿が生じることを認めた。しかしそのような沈殿は、アンモニアの代わりにアルコールアミン化合物を使用する場合には、生じない。
ACQは、酸化第2銅及び塩化ジデシルジメチルアンモニウムとして表される活性成分を典型的には8%含有する一方で、アンモニア、アミン及び炭酸塩などの他の成分は、20%又はそれ以上の溶解した固形物総量などを占める。
【0072】
従って低い液体保持で注入される4kgの活性成分が必要である場合、溶解した固形物総量は、10%であろう。これは、アルコール濃度が非常に高い場合には、水アルコール混合液中の溶解度を超えるであろう。しかしより高い液体保持に耐えられ及び活性成分4kgがおよそ300〜400Lに溶解する場合には、より高いアルコール濃度に耐えることもできる。
驚くべきことに本発明者らは、安定性のレベルは、溶液中の銅を錯化するために使用される錯化剤に左右されることも認めた。従来の錯化剤は、アンモニアであるが、これを含有することは、エタノール又はエタノール−水混合液中に、高度に安定した溶液を生じない。しかし、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン又はトリエタノールアミンなど又はプロパノールアミン(normal)もしくはイソプロパノールアミンの含有は、驚くべきことにそれ以外は同様の条件下で安定した溶液を生じる。当業者は、金属部分、この場合は銅への1個又は複数のリガンドに寄与する錯化剤を認めるであろう。
従って本発明は、水、揮発性水溶性有機溶媒(例えばエタノール)、銅、及びアルカノールアミン(例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン又はイソプロパノールアミン)から選択された銅錯化剤を含有する組成物にも関する。
表2は、これらの知見を示す。















【0073】
表2

【0074】
本発明者らは、エチレングリコール及びプロピレングリコール中のエタノールアミンベースのACQの安定した溶液も調製し、この組合せは、エタノールをメチルエチルケトンのようなケトンとの共溶媒として使用することが必要な場合、又は例えば使用する場合に、使用することができることを発見した。
本発明者らは、エタノールアミンベースにより、銅原子上の少なくとも1個のリガンドは、エタノールアミンであることを暗示している。当業者は、1個よりも多い及び最大4個のリガンドは、エタノールアミンであることができるが、1、2、又は3個のリガンドがエタノールアミンである場合、その他はアンモニアであってよいことを認めるであろう。これは、説明されたアルカノールアミンの範囲に適用し、それらの混合物を含むことができる。
【0075】
実施例3
プロピレングリコール中に溶解した10%テブコナゾール、10%プロピコナゾール及び5%ペルメトリンを含有する溶液を調製した。一部は、75%エタノール、25%水混合物中に希釈した。得られる液体は、透明なそのまま使用することができる液体であった。
【0076】
実施例4
そのような処理プロセスからの溶媒回収の効率を明らかにするために、本発明者らは、ACQ保存剤でラジアータパイン材木の多くの標本を、従来の水のみの溶媒を、75:25エタノール:水混合液と交換して処理した。保存剤の取り込み及び浸透を測定し、その後溶媒を、RF支援した真空回収により回収した。この回収は、2.45GHzのRFエネルギーを断続的に適用しながら、真空-85kPaを15分間適用することにより行った。総エネルギーは、ほぼ65kWh/m3に達した。下記表は、取り込み及び回収効率を示している。







【0077】

【0078】
従って、材木の浸透は、本新規溶媒系の使用により実現することができることを認めることができ、並びにこれは、溶媒は再使用のために経済的に回収することができ、その結果全般的化学物質の経費が削減されることを、明確に明らかにしている。
【0079】
実施例5
かんな削りし標準寸法とした窯乾燥した材木の商業的サイズの束(packet)を、水:エタノール比25:75を含有する溶媒中のACQ型配合物で、変更された処理スケジュールを使用し、処理した。
処理の前後に、全ての小片は秤量し、断面を測定した。次にこれらの標本には、RFエネルギー真空回収スケジュールを供した。
これらのプロセスの完了に続けて、全ての断面は、残留膨潤が発生せず、正常限界内であること、及び適用された液体の88%は木材から除去され、回収されたことがわかった。
【0080】
実施例6
ビスエチレングリコールスピロボロン酸ナトリウムは、Boracolを含む多くの商品名を持つ商業上公知の製品であり、及び八ホウ酸二ナトリウム又はそれらの同等物をエチレングリコール中へ溶解することにより調製される。これは若干の水を含有することができる。
この製品の溶液を、実施例1のようにエタノール及び水の混合物を含む溶媒系を用い、調製した。
木材試料を、実施例1のように処理し、断面のスポットを試験した。ホウ素成分の分布は、ホウ素トリエタノールアミンの分布に類似していることがわかった。
この組成物に、RF真空支援した溶媒回収が施され、その溶媒組合せの約95%が回収された。
【0081】
実施例7
実施例6を、主に水(50%水)を含む水性溶媒系を用い繰り返し、取り込みは若干より高い一方で、RF真空支援した溶媒回収は、許容できる特性の木材製品を提供した。
当業者は、本発明の溶媒系の恩恵を認めるであろう。RFエネルギーをStoddard溶媒で処理された材木へ適用するならば、Stoddard溶媒は低い誘電体喪失を有するので、エネルギーは、木材中の結合水により優先的に吸収されるであろう。このエネルギーは、一部水からStoddard溶媒へ移されるが、Stoddard溶媒は高い沸点を有するので、水が優先的に材木から除去される。従ってこの木は、過乾燥され、このことは、縮み、浅割れを引き起こし、及び外観の劣化を引き起こし得る。
本発明のこの態様の水性溶媒系は水を含むので、処理された材木の最終含水量は、平衡を維持することができる。実際に膨潤が発生することが予想されるが、本発明者らは、この水性溶媒系で処理された材木、及び溶媒がRF真空支援した溶媒回収を用いて回収されることに由来した材木は;処理前の材木と、事実上同じであることを認めた。
【0082】
ある幅の板幅を超えるこの膨潤回復の詳細は、図4に示されている。
この場合の水性溶媒系は、エタノール:水50%:50%であった。膨潤回復は、本明細書に開示された先に本発明を所有する業者に公知であるように、一連の揮発性水混和性溶媒(エタノール):水比を超えて生じることが予想される。
本発明者らは、本発明のプロセスにより処理された材木を採用することを開始し、及び溶媒回収プロセスの適用により、材木から更なる水分を除去する。最初にこれは、前記表の試料を用いて行い(すなわち、図4)、すなわち、これらの試料は、RFエネルギー及び真空の再適用が施される。わずかな更なるエネルギーの添加により、含水量は、当初の含水量を下回るように低下することができる。
【0083】
実施例8
驚くべきことに、膨潤回復は、溶媒回収がRF真空による場合で、組成物が溶媒として水のみの使用を含む場合に、適用可能であることがわかり、これは本発明の別の発明的態様を形成している。
そのような処理プロセスからであるが水のみを使用することによる溶媒回収の効率を明らかにするために、本発明者らは、実施例4のように、ACQ保存剤により、ラジアータパイン材木の多くの標本を処理した。保存剤の取り込み及び浸透を測定し、その後溶媒を、RF支援した真空回収により回収した。この回収は、真空-85kPaの60分間の適用、同時にRFエネルギーを15MHzで断続的に適用することにより実行した。総エネルギーは、約65kWh/m3に達した。溶媒を効率的に除去し、膨潤を当初の寸法に回復し、そのチャートを図5に示す。
完全な辺材の浸透が得られた。
【0084】
実施例9
このプロセスのための代わりの溶媒の使用を明らかにするために、ACQ保存剤溶液を、実施例4のように、しかし従来の水のみの溶媒を以下と交換して調製した:
a)総液体容量の65%のアセトン、
b)総液体容量の65%の1-プロパノール。
注入による正味の溶液取り込みは、アセトン修飾した溶液について182L/m3であり、及びプロパノール修飾した溶液について109L/m3であった。その後溶媒を、実施例8のように、RF及び真空支援した抽出により除去した。正味の寸法変化は、当初のサイズの0.5%以内であった。保存剤浸透の例は、図6及び7に示している。
本発明者らは、本発明のプロセスにより処理された材木を採用することを進行し、及び溶媒回収プロセスの適用により、材木から更なる水分を除去する。最初にこれは、前掲の表の試料を用いて行い(すなわち、図4)、すなわち、これらの試料は、RFエネルギー及び真空の再適用が施される。わずかな更なるエネルギーの添加により、含水量は、当初の含水量を下回るように低下することができる。
【0085】
実施例8に示されるように、驚くべきことに膨潤回復は、溶媒回収がRF真空による場合で、組成物が溶媒として水のみの使用を含む場合に、適用可能であることがわかり、これは本発明の別の発明的態様を形成している。
「水のみ」の使用の選択肢は、可燃性溶媒の使用を排除し及び経費を削減するので、これは有益であろう。しかし、これは木材から水を除去するために、より多くのエネルギーを要する(従ってより経費がかかる)。これを試みる場合に、木材分解及び/又は可変性の膨潤プロファイルに寄与する様々な木材含水量が生じることは一般に認められる。
従って、水のみの溶媒の使用(好ましくは水溶性処理用化合物と一緒に)をもたらす方法が提供される場合に、恩恵があるであろう。実施例8に示されたように、これは、RF支援した真空回収技術が使用される場合に実現可能である。他の回収技術の使用を基に適当な結果が達成されることは、予想外であるので、これを実現することができるということは驚きである。
【0086】
繊維飽和を下回る乾燥の経費が1m3当たり30〜40ドルの桁であることを認める場合、本発明のプロセスへの溶媒回収の適用は、実質的経費削減をもたらし、エネルギー経費は、1m3当たり約10〜15ドルである。更なる恩恵として、材木はより均質に乾燥され、より少ない応力が、材木内に形成される。
従って本発明の適用は、本来繊維飽和又はそれを上回る、単一プロセスで処理及び乾燥される材木を提供する。
【0087】
追加の驚きとして、本発明者らは、材木が、本発明を使用し、素材処理用組成物(例えばACQ)により処理される場合、回収及び/又は再乾燥プロセスの終点に向かい材木から最終的に外へ出る液体は、事実上銅を含まないことに気づいた。このことは、この溶媒回収プロセスが生じると同時に、素材内の保存剤の固定が同時に生じることを意味する。これは驚くべきことであるが、溶媒系及び溶媒回収プロセスの有益な態様である。
固定は通常60℃で1時間又はそれよりも長くかかるが、本発明による溶媒の回収は、15分以内に生じる一方、固定が事実上同時に生じる。これは、固定の4倍の増加であり、より迅速かつ効率的加工処理時間を可能にする。従って、基材内の温度を上昇する溶媒回収プロセスの使用は、その溶媒系の殺生物剤の固定の改善のために、好ましい。典型的温度は、40〜70℃の桁であることができる。
このプロセス及び組成物の恩恵は、処理を、同じ溶媒系を用い、従来の水系又はLOSP型保存剤のいずれかで実現することができることである。この溶媒は、再使用のために経済的に回収することができ、材木含水量は材木に過度な応力の発生の原因を伴わずに経済的に低下することができ、同時に保存剤の固定を実現することができる。この全プロセスは、同じ処理容器で進行することができ、従って追加の操作経費を削減する。
【0088】
従って、本発明者らは、基材の経済的かつ完全な処理を実現し、かつ更に使用者が揮発性で回収可能である溶媒を使用することを可能にする組合せを含む溶媒系を発見したことを認めることができる。このプロセス時に、基材内の化学物質の追加の乾燥及び/又は固定を実現することができる。水系システム又は完全に非極性システムのいずれかを上回る重要な恩恵は、基材の著しい再湿潤の懸念のない、経費の削減である。同時に、新規溶媒系は、そうでなければ高度に可燃性の溶媒の引火点を、LOSPシステムを使用する処理者により使用され及び容易に許容されるそれらの溶媒と同じレベルへ、上昇することを認めることができる。従って、この使用者の選択は、欠点ではない。本発明者らは、RF真空支援した溶媒回収を使用する場合に、水又は主に水を含有する水性溶媒系は、揮発性水混和性溶媒と一緒に、使用することができ、許容できる結果を伴うことも発見した。
【0089】
前述の説明において、成分が公知の同等物を有することが言及される場合、そのような同等物は、個別に言及されるように、本明細書に参照として組入れられている。
先行技術の文書及び開示の言及は、これらが特定の管轄権(jurisdiction)において必ず共通の知識であることの承認を構成するものではない。
本発明は好ましい実施態様を参照し例として説明されているが、添付された「特許請求の範囲」に規定されたような、本発明の範囲又は精神を逸脱しない限りは、本発明に修飾及び変更を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】図1は、水/エタノール組成物の使用により実現される、ホウ素トリエタノールアミンベースの独自のホウ酸殺生物剤の分布を図示する。
【図2】図2は、水/エタノール組成物の使用により実現される、アンモニア性銅第4殺生物剤の分布を図示する。
【図3】図3は、水のみの溶媒中の保存剤の浸透を図示する(比較例)。
【図4】図4は、板幅の範囲にわたる膨潤回復を図示している。
【図5】図5は、板幅の範囲にわたる膨潤回復を図示している。
【図6】図6は、水:アセトン及び水:1プロパノール成分を使用する、ACQの分布を図示している。
【図7】図7は、水:アセトン及び水:1プロパノール成分を使用する、ACQの分布を図示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水、揮発性水混和性溶媒及び有機基材処理用化合物を含有する有機基材処理用組成物。
【請求項2】
前記有機基材がリグノセルロース系である、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記揮発性水混和性溶媒が揮発性水混和性有機溶媒である、請求項1又は2記載の組成物。
【請求項4】
前記揮発性水混和性溶媒が真空凝縮法により回収可能である、請求項1〜3のいずれか1項記載の組成物。
【請求項5】
前記揮発性水混和性溶媒が、低分子量のアルコール、ケトン、エーテル又はジエーテルである、請求項1〜4のいずれか1項記載の組成物。
【請求項6】
前記揮発性水混和性溶媒が、メタノール、エタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル又はジエチレングリコールジメチルエーテルの1種又は複数から選択される、請求項5記載の組成物。
【請求項7】
前記水混和性溶媒が、メタノール又はエタノールである、請求項5記載の組成物。
【請求項8】
水:溶媒の比が、約4:96である、請求項1〜7のいずれか1項記載の組成物。
【請求項9】
水:溶媒の比が、少なくとも20:80、より好ましくは最大25:75まで、より好ましくは最大約50:50までである、請求項1〜8のいずれか1項記載の組成物。
【請求項10】
水:アルコールの比が約25:75である、請求項9記載の組成物。
【請求項11】
前記有機基材処理用化合物が殺生物剤である、請求項1〜10のいずれか1項記載の組成物。
【請求項12】
前記殺生物剤が、有機殺生物剤、無機殺生物剤又はそれらの組合せである、請求項11記載の組成物。
【請求項13】
前記有機基材処理用化合物が基材の物理特性を変更する、請求項1〜10のいずれか1項記載の組成物。
【請求項14】
前記有機基材処理用化合物が、樹脂、ポリマー、樹脂になり得る成分又はポリマーとなり得る成分から選択される、請求項13記載の組成物。
【請求項15】
前記基材処理用化合物が不揮発性である、請求項1〜14のいずれか1項記載の組成物。
【請求項16】
前記組成物が更に、色素、顔料、撥水剤、難燃剤などを含有する、請求項1〜15のいずれか1項記載の組成物。
【請求項17】
前記有機基材処理用化合物がアミン銅錯体である、請求項1〜12のいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
前記アミン銅錯体が、アミン錯化剤としてアルカノールアミンを使用することにより形成される、請求項17記載の組成物。
【請求項19】
前記アルカノールアミンが、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン又はプロパノールアミンである、請求項18記載の組成物。
【請求項20】
前記有機基材処理用化合物が、アゾール又はアゾール混合物である、請求項1〜12のいずれか1項記載の組成物。
【請求項21】
前記有機基材処理用化合物が、アゾール又はアゾール混合物及びアミン銅錯体である、請求項1〜12のいずれか1項記載の組成物。
【請求項22】
前記有機基材が、繊維飽和点又はそれを下回る実質的に乾燥した材木である、請求項1〜21のいずれか1項記載の組成物。
【請求項23】
前記組成物が、難燃剤を含有する、請求項1〜22のいずれか1項記載の組成物。
【請求項24】
前記難燃剤が、殺生物剤と組合せられている、請求項23記載の組成物。
【請求項25】
ひとつの成分が他の成分と不相溶性である場合、ひとつ又は他の成分は、マイクロカプセル封入され、その後その他と組合せることができる、請求項1〜24のいずれか1項記載の組成物。
【請求項26】
請求項1〜25のいずれか1項記載の組成物が、浸漬、吹き付け又は真空圧注入により基材に適用される工程を含み、国際公開公報第2004/054765号に開示された処理プロセスを使用する工程を含んでいてもよい、有機基材の処理方法。
【請求項27】
前記組成物からの残留溶媒が、基材から蒸発させられる、請求項25記載の方法。
【請求項28】
前記残留溶媒の基材からの除去が、高周波(RF)曝露の使用により増強される、請求項25記載の方法。
【請求項29】
前記基材から除去された溶媒が回収される、請求項25〜28のいずれか1項記載の方法。
【請求項30】
前記溶媒回収が、真空凝縮の使用を含む、請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記組成物が、水を50%又はそれ以上含有する水性溶媒系を含む、請求項25〜30のいずれか1項記載の方法。
【請求項32】
前記組成物が、浸漬、放水、吹き付け、又ははけ塗りにより基材に適用される、請求項25〜31のいずれか1項記載の方法。
【請求項33】
前記組成物が、周囲温度〜100℃の間で適用される、請求項25〜32のいずれか1項記載の方法。
【請求項34】
前記組成物が、周囲温度で適用される、請求項25〜32のいずれか1項記載の方法。
【請求項35】
前記組成物が、真空圧注入を用い、基材へ適用され、引き続き溶媒が基材から蒸発させられる、請求項25記載の方法。
【請求項36】
前記組成物が、1回の真空注入を用い、基材へ適用され、引き続き溶媒が基材から蒸発させられる、請求項25記載の方法。
【請求項37】
前記溶媒の蒸発がRFエネルギーを用いて促進され、放出された溶媒が凝縮により回収される、請求項35又は36記載の方法。
【請求項38】
前述の回収工程時に除去される水分の量が、処理時に適用された水分と実質的に同じである、請求項25〜37のいずれか1項記載の方法。
【請求項39】
前記組成物が、繊維飽和点又はそれを下回る基材に適用される、請求項25〜37のいずれか1項記載の方法。
【請求項40】
前記組成物が、繊維飽和点を上回る基材に適用される、請求項25〜38のいずれか1項記載の方法。
【請求項41】
前述の溶媒回収工程が、基材内の温度の上昇を実現する、請求項25〜40のいずれか1項記載の方法。
【請求項42】
前述の溶媒回収工程の結果としての基材内の温度の上昇が、組成物により基材へ運搬された殺生物剤の固定を改善する、請求項41記載の方法。
【請求項43】
水に加え、低分子量のアルコール、ケトン、グリコールエーテル及びグリコールジエーテルから選択された溶媒を有機処理用化合物と一緒に含有する、有機基材処理用組成物。
【請求項44】
前記有機基材処理用化合物が殺生物組成物である、請求項43記載の組成物。
【請求項45】
前記有機基材処理用化合物が、基材の少なくとも標的ゾーンにより高い密度又は強度の特性を付与することができるものである、請求項43記載の組成物。
【請求項46】
前記有機基材処理用化合物が、ポリマー性又はプレポリマー性の性質を有する、請求項43記載の組成物。
【請求項47】
素材処理のための組成物の調製方法であって、前記組成物が活性素材処理用化合物を含有し、水混和性溶媒及び水の組合せを含む素材処理用化合物のための溶媒系の使用を含む前記方法。
【請求項48】
水:溶媒の比が少なくとも4:96である、請求項47記載の組成物。
【請求項49】
水:アルコール比が約25:75である、請求項47記載の方法。
【請求項50】
水混和性溶媒が、アルコールである、請求項46〜49のいずれか1項記載の方法。
【請求項51】
前記溶媒系が、水であるか又は主に水を含有し、並びに溶媒が、高周波曝露及び真空を用いて除去される、請求項47記載の方法。
【請求項52】
水及び有機基材処理用化合物を含有する有機基材処理用組成物を使用する、有機基材を処理する方法であって、前記組成物が、浸漬、吹き付け又は真空圧注入により基材へ適用される工程を含み、国際公開公報第2004/054765号に開示された処理プロセスを含んでいてもよく、前記水はRF真空支援した溶媒回収により回収される、前記方法。
【請求項53】
請求項1又は請求項43記載の組成物が送達される有機基材。
【請求項54】
請求項25、47又は52記載の方法又はプロセスにより処理される場合の有機基材。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2008−538730(P2008−538730A)
【公表日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−556991(P2007−556991)
【出願日】平成18年2月22日(2006.2.22)
【国際出願番号】PCT/NZ2006/000027
【国際公開番号】WO2006/091113
【国際公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(508252619)マタースミスス テクノロジーズ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】