説明

有機発光素子、光源装置および有機発光素子の製造方法

【課題】有機発光装置の高効率化には、表面プラズモンポラリトンの励起を除く電子正孔対の非発光再結合の影響を減らし、励起子エネルギーの大半を可視光に変換し、有機発光素子の発光効率を飛躍的に向上することが必要である。
【解決手段】本発明の有機発光素子は、反射電極と、透明電極と、前記反射電極と前記透明電極との間に配置された発光層とを有する有機発光素子であって、前記発光層にはホスト、第一のドーパントが含まれ、前記第一のドーパントについて、遷移双極子モーメントの平均値の基板面に対する垂直方向成分が、水平方向成分より大きく、前記反射電極の前記発光層側に凹凸構造を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光素子、光源装置および有機発光素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来例として、特許文献1には次のような技術が開示されている。即ち、「発光層を構成する有機分子を発光面に平行に配向させて」発光効率が向上した有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することを目的とし、アノード電極層とカソード電極層で有機化合物からなる発光層を挟持してなる有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記発光層が真空中でのドライプロセスによって形成され、かつ前記発光層を構成する有機化合物分子が発光層の面方向に対して平行に配向してなる有機EL発光素子である。
【0003】
又、特許文献2には次のような技術が開示されている。即ち、有機発光素子の課題である信頼性(長寿命化)を向上させるために様々な不良モードの発生を低減または除去することを目的とし、「発光層を構成する有機分子を発光面に垂直に配向させる」、換言すれば、電流の流れる方向に合わせて有機化合物分子を配向させたことを特徴とする有機薄膜EL装置である。
【0004】
又、非特許文献1には次のような技術が開示されている。即ち、有機発光素子の発光効率を向上することを目的として、「配向制御を特に行っていない発光層」に隣接する金属電極に2次元のナノ構造を形成することにより、表面プラズモンポラリトンのエネルギーを可視光に変換していることを特徴とする有機薄膜EL装置である。
【0005】
又、特許文献3には次のような技術が開示されている。即ち、発光層からの光を高い効率で外部に取り出すことを目的とし、有機EL材料からなる発光層を少なくとも一層含む有機材料層が第1の電極層と第2の電極層との間に配置され、前記有機材料層が発光する光を前記第1の電極層と前記第2の電極層の少なくともいずれかの前記電極層側に取り出すように構成された発光素子において、金属微粒子が誘電体内部に分散された金属微粒子層を更に備え、前記光が前記金属微粒子層内を伝搬することにより前記金属微粒子層の前記金属微粒子がプラズモン共鳴を励起することを特徴とする有機薄膜EL装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−102783号公報
【特許文献2】特開2004−342336号公報
【特許文献3】特開2007−35430号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】OPTICS LETTERS Vol.30、No.17、p2302(2005).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の構成及び配向制御法では、製造工程が複雑、成膜速度が遅いといった課題がある。また、水平配向した有機分子を増やしても、表面プラズモンポラリトンの励起を除く電子正孔対の非発光再結合は減らすことができないため、内部量子効率の向上には限界がある。
【0009】
また、特許文献2に記載の構成では、発光層を構成する有機分子を発光面に垂直に配向させているため、一般的に発光面に垂直な方向に荷電粒子の波動関数の重なりが大きくなるため、電流を流れ易くすることが可能である。しかしながら、上述したように垂直配向した有機分子における励起有機分子エネルギーの大半は表面プラズモンポラリトンの励起に消費される。従って、発光面に対して垂直配向した有機分子を用いて最終的な発光効率を向上することは非常に難しい。
【0010】
また非特許文献1に記載の構成では、表面プラズモンポラリトンの励起に消費されるエネルギーの一部を可視光に変換することができるが、発光層の有機分子の配向制御を特に行っていないため、水平配向した有機分子のエネルギーは表面プラズモンポラリトンに移行しないため殆ど取出すことができない。更に水平配向した有機分子のエネルギーは一部が表面プラズモンポラリトンの励起を除く電子正孔対の非発光再結合に費やされる。以上により、発光効率の向上効果は限定的である。
【0011】
更に特許文献3の構成では、電極間に高抵抗な誘電体層を挟んでおり、効率的な電流注入を行うことが難しく、従って、発光効率の向上には限界がある。
【0012】
以上を踏まえ、本発明の目的は、表面プラズモンポラリトンの励起以外の電子正孔対の非発光再結合の影響を減らし内部量子効率を向上する、即ち励起子エネルギーの大半を可視光に変換し、有機発光素子の発光効率を飛躍的に向上することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の有機発光素子は、反射電極と、透明電極と、前記反射電極と前記透明電極との間に配置された発光層とを有する有機発光素子であって、前記発光層にはホスト、第一のドーパントが含まれ、前記第一のドーパントについて、遷移双極子モーメントの平均値の基板面に対する垂直方向成分が、水平方向成分より大きく、前記反射電極の前記発光層側に凹凸構造を有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の目的は、表面プラズモンポラリトンの励起を除く電子正孔対の非発光再結合の影響を減らし、励起子エネルギーの大半を可視光に変換し、有機発光素子の発光効率を飛躍的に向上することである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の光源装置の一実施の形態における断面図である。
【図2】本発明の有機発光素子の一実施の形態における断面図である。
【図3】本発明の光源装置の一実施の形態における断面図である。
【図4】本発明の第一の実施例の構造の白色発光素子である。
【図5】比較例の有機発光素子の態における断面図である。
【図6】本発明の有機発光素子で垂直成分の割合に応じた発光効率の変化を調べた結果である。
【図7】本発明の光源装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<プラズモン吸収による有機発光装置の発光効率低下>
有機発光装置はディスプレイ、光源、照明用装置として有望な技術である。有機発光装置では外部電源から得られる電気エネルギーが有機発光装置における発光層の有機分子に励起子(電子正孔対)を形成し、励起子が緩和する(電子正孔対が結合する)際の余剰エネルギーが可視光となり、この可視光が装置から空気へと出射される。しかしながら、有機発光装置内で有機分子のエネルギーは効率よく光に変換されず、従って外部への光取出し効率を低下させている。この励起有機分子から可視光への変換を妨げるメカニズムは以下のとおりである。
【0017】
一般的な有機発光装置では金属電極から250nm以内に発光層が存在することが多い。このとき金属電極表面近傍に励起子、即ち電気双極子が存在することになる。このような状況では電気双極子の放射場と金属表面での反射場に含まれるエバネッセント波同士が近接場相互作用する。この近接場相互作用により電気双極子のエネルギーは、金属へトンネルエネルギーとして流れ込み、金属表面プラズモンポラリトンの励起エネルギーに消費される。表面プラズモンポラリトンの励起エネルギーは表面プラズモンポラリトンの有限な寿命のためにジュール熱として散逸する。以上の機構により、励起有機分子から可視光への変換は妨げられてしまう(内部量子効率が低下してしまう)。
【0018】
例えば金属電極と発光層における発光位置の距離を75nmとした場合、表面プラズモンポラリトンの励起に消費されるエネルギーは励起子エネルギーの約25%である。
【0019】
<遷移双極子モーメントの方向制御>
上記した議論では、発光層内の有機分子における遷移双極子モーメントの方向がランダム(等方的)であると仮定している。しかしながら、表面プラズモンポラリトンの励起に消費されるエネルギーは、有機分子における遷移双極子モーメントの方向が基板に対して水平の場合の方が、基板に対して垂直の場合に比べて少ない。例えば、金属電極と発光層における発光位置の距離を75nmとした場合、表面プラズモンポラリトンの励起に消費されるエネルギーは、有機分子における遷移双極子モーメントの方向が垂直の場合、励起子エネルギーの80%にも及ぶが、有機分子における遷移双極子モーメントの方向が水平の場合は5%以下となる。
【0020】
ここで、有機分子内における遷移双極子モーメントの方向は分子骨格により制御できる。例えば、分子を構成する原子がすべて同一平面内にあれば(平板上)、遷移双極子モーメントも分子面内に方向を持つ。また、分子内の、遷移に関わる電子正孔対の分布する一部の原子の配置を同一面内にすることによっても遷移双極子モーメントの方向を制御できる。この場合は、分子を構成する原子がすべて同一平面内にある必要はない。このようにして分子内で遷移双極子モーメントの方向を制御し、これらの有機分子の配向を制御する(垂直(水平)にする)ことにより発光層の平均的な遷移双極子モーメントの方向を制御する(垂直(水平)にする)ことができる。
【0021】
<補足>
尚、上記した議論では簡単化のため、励起子エネルギーの転換経路として、電子正孔対の発光再結合及び表面プラズモンポラリトンの励起のみを考えており、表面プラズモンポラリトンの励起を除く電子正孔対の非発光再結合は考慮していない。
【0022】
又、遷移双極子モーメントとは、分子の電気双極子遷移を構成する遷移双極子行列要素のうち、非対角要素である遷移モーメントのことを示し、その絶対値は振動子強度に比例し、その方向は光の放射方向や偏光方向を規定している。より具体的に言うと、電気双極子とはある距離だけ隔たった位置にある異符号の電荷の対(今の場合電子正孔対)を示し、遷移双極子行列要素とは、双極子放射を伴う量子状態間の遷移確率を計算する時に現れる量で、演算子としての双極子モーメントpの始状態ψiと終状態ψfの行列要素Pfi=<ψf|p|ψi>のことを示すが、このうち始状態と終状態が異なる電子状態間の遷移(つまり、ψi≠ψf)を遷移モーメントという。特に、本発明における遷移双極子モーメントとは、有機発光装置の発光に関わる遷移の平均的な遷移双極子モーメントを意味する。
【0023】
以下、図面等により本発明を詳細に説明する。以下の説明は本願発明の内容の具体例を示すものであり、本願発明がこれらの説明に限定されるものではなく、本明細書に開示される技術的思想の範囲内において当業者による様々な変更および修正が可能である。また、本発明を説明するための全図において、同一の機能を有するものは、同一の符号を付け、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0024】
有機発光素子の発光効率を飛躍的に向上するために、鋭意検討を重ねた結果、以下のような知見を得た。即ち、発光層の有機分子を垂直配向させることで、大半のエネルギーは表面プラズモンポラリトンの励起に費やされる。これだけでは内部量子効率が低下するため、外部への光取出し効率は向上しない。そのため、通常は有機分子を水平配向させるようなプロセスを用いることが考えられている。しかしながら、一般的に水平配向した有機分子内では表面プラズモンポラリトン励起以外の非発光再結合確率(速度)が有限の値を持つため、内部量子効率及び発光効率の向上には限界がある。
【0025】
ここで、故意に発光層の有機分子を垂直配向させることで、表面プラズモンポラリトン励起以外の非発光再結合を起こす前に、表面プラズモンポラリトン励起にエネルギーを散逸させた上で、表面プラズモンポラリトンエネルギーを可視光に変換させるナノ凹凸構造を形成してみたところ、従来の方法に比べ、発光効率が顕著に高められることがわかった。つまり、表面プラズモンポラリトンエネルギーを可視光に変換させるナノ凹凸構造を設けない場合、発光効率がかえって低下する(発光層の有機分子を垂直配向した)素子構成を形成した上で、表面プラズモンポラリトンエネルギーを可視光に変換させるナノ凹凸構造を設けると、従来の(発光層の有機分子が等方(ランダム)配向した)素子構成に表面プラズモンポラリトンエネルギーを可視光に変換させるナノ凹凸構造を設ける場合の限界を超えて、さらに飛躍的に発光効率が向上した有機エレクトロルミネッセンス素子を得られることがわかった。これは等方的に有機分子が移行している場合は、水平配向した有機分子のエネルギーが一部表面プラズモンポラリトン励起以外の非発光再結合に失われるのに対して、本発明の構成では全ての励起有機分子のエネルギーを表面プラズモンポラリトン励起以外の非発光再結合に費やされることなく可視光に変換できるためである。
【0026】
このような飛躍的な発光効率の向上は、従来の発光層の有機分子を垂直配向した構成、発光層の有機分子を水平配向した構成、並びに配向制御を特に行っていない発光層に隣接する金属電極にナノ構造を形成した構成では決して得ることができない。
【0027】
図1は、本発明における光源装置の一実施の形態における断面図である。図1は、上部電極102側から光を取り出すトップエミッション型の光源装置である。図1では、基板100上に下部電極101、第一のバンク104、第二のバンク105、有機層103、上部電極102、樹脂層106、封止基板107、光取り出し層108が上記の順で配置されている。図1に図示されていない駆動回路および筐体などが備えられることで光源装置となる。有機発光素子は、上部電極102、下部電極101および有機層103を有する。
【0028】
下部電極101は陽極である。下部電極101として陰極でも良い。下部電極101はホトリソグラフィーによりパターニングして形成される。
【0029】
下部電極101が陽極の場合、上部電極102は陰極となる。下部電極101が陰極の場合、上部電極102は陽極となる。上部電極102がITOまたはIZOであるとき、ITOまたはIZOをスパッタ法で形成する際には、スパッタによるダメージを緩和するため、有機層103および上部電極102の間にバッファ層を設けることがある。バッファ層には、酸化モリブデン、酸化バナジウムなどの金属酸化物を用いる。上部電極102は隣接する発光部の下部電極101と接続される。これにより、発光部を直列接続することができる。
【0030】
有機発光素子の側面に形成された第一のバンク104は順テーパとなっており、パターンニングされた下部電極101の端部を覆い、発光部の部分的なショート故障を防止する。バンク形成材料を塗布した後、所定のフォトマスクを用いて現像露光することにより、第一のバンク104が形成される。第一のバンク104の有機層103が存在する側の表面に撥水性処理を施してもよい。例えば、第一のバンク104の表面にフッ素系ガスのプラズマ処理を行い、第一のバンク104の表面をフッ素化することで撥水性処理を行う。
これにより、第一のバンク104の表面には撥水層が形成される。第一のバンク104として、感光性ポリイミドが好ましい。また、第一のバンク104として、アクリル樹脂、ノボラック樹脂、フェノール樹脂、非感光性材料なども用いることができる。
【0031】
第二のバンク105は第一のバンク104の上に形成される。第二のバンク105は逆テーパとなっており、隣接する発光部の上部電極102が導通しないようにするために用いられる。バンク形成材料を塗布した後、所定のフォトマスクを用いて現像露光することにより、第二のバンク105が形成される。第二のバンク105の有機層103が存在する側の表面には撥水性処理を施してもよい。例えば、第二のバンク105の表面にフッ素系ガスのプラズマ処理を行い、第二のバンク105の表面をフッ素化することで撥水性処理を行う。これにより、第二のバンク105の表面には撥水層が形成される。第二のバンク105として、ネガ型フォトレジストを用いることが好ましい。また、第二のバンク105として、アクリル樹脂、ノボラック樹脂、フェノール樹脂、非感光性材料なども用いることができる。
【0032】
樹脂層106は、上部電極102および第二のバンク105の上に形成される。樹脂層106は、発光部を封止し、前記発光素子の劣化の要因となるガスや水分の浸入を防ぐために用いられる。樹脂層106として、エポキシ樹脂などの各種ポリマーを用いることができる。封止性能を向上させるために、樹脂層106として上部電極102上の無機パッシベーション膜を用いることもできる。
【0033】
封止基板107は樹脂層106の上に形成される。封止基板107はガラス基板である。但し、ガラス基板以外でも、適切なガスバリア膜を有するプラスチック基板も用いることができる。
【0034】
光取出し層108は封止基板107に形成される。光取出し層108は、有機層103で発光した光を効率よく取出すために用いられる。光取出し層108として、例えば、マイクロレンズなどの構造体や、散乱性、拡散反射性を有するフィルムが用いられる。
【0035】
ここで用いる有機発光素子は、単一の素子でも、複数に分割された素子でもかまわない。複数の素子を接続する方法は、各素子を直列、並列またはそれらを組み合わせた方法が挙げられる。また、有機発光素子を複数に分割した場合には、以下の態様が考えられる。
第一のドーパント、第二のドーパントおよび第三のドーパントについては後述する。
(1)第一のドーパント、第二のドーパントおよび第三のドーパントを含む単一の有機発光素子が複数存在する。
(2)第一のドーパントおよび第二のドーパントを含む有機発光素子、第三のドーパントを含む有機発光素子が存在する。
(3)第一のドーパントを含む有機発光素子、第二のドーパントを含む有機発光素子、第三のドーパントを含む有機発光素子が存在する。
【0036】
上記(2)において、赤色ドーパントおよび緑色ドーパントを含む有機発光素子と、青色ドーパントを含む有機発光素子とを組み合わせた場合、エネルギー移動の影響を最小限にし、青色ドーパントを含む有機発光素子を効率的に光らせることができる。上記(3)において、第一のドーパント、第二のドーパントおよび第三のドーパントを赤色ドーパント、緑色ドーパントおよび青色ドーパントとすれば、複数の有機発光素子からの発光が混じりあい、白色光が出射される。
【0037】
図2は本発明における有機発光素子の一実施の形態における断面図である。有機層103は発光層303のみの単層構造、あるいは電子注入層305、電子輸送層304、正孔輸送層302及び正孔注入層301のいずれか一層以上を含む多層構造でも構わない。電子注入層305および電子輸送層304、電子輸送層304および発光層303、発光層303および正孔輸送層302、正孔輸送層302および正孔注入層301はそれぞれ接していても構わず、各層の間に上述の他の層を介在させてもよい。また、発光層303はホスト分子(以下ホストと称す)及びドーパント分子(以下ドーパントと称す)を含む。
図1における有機発光素子に駆動回路および筐体などが備えられることで光源装置となる。
【0038】
図3は、本発明における光源装置の一実施の形態における断面図である。第一の有機発光素子202および第二の有機発光素子203は第二のバンク105で分割されている。
第一の有機発光素子202および第二の有機発光素子203から光が取り出される方向には、拡散板201が配置されている。上記(2)の構成を用いる場合、図3では、第一の有機発光素子202が赤色ドーパントおよび緑色ドーパントを含む有機発光素子となり、第二の有機発光素子203が青色ドーパントを含む有機発光素子となる。上記(3)の構成を用いる場合、図3では、第一の有機発光素子202および第二の有機発光素子203が、赤色ドーパントを含む有機発光素子、緑色ドーパントを含む有機発光素子、青色ドーパントを含む有機発光素子のいずれかとなる。各有機発光素子の配置は、図3に示すようなストライプ状のほかに千鳥格子状でもかまわない。有機発光素子を塗布で作製する場合、図3に示すように有機発光素子をストライプ状に配置した方が容易に作製できる。
【0039】
異なる色の素子を組み合わせた場合には、良好な白色光を得るために、図3のように、有機発光素子の光取り出し面の上部に拡散板201を取り付けてもかまわない。拡散板201としては、樹脂やガラス中に散乱体を分散させたものや、表面に凹凸構造を形成したものなどが考えられる。
【0040】
<発光ドーパント>
青色ドーパントは400nmから500nmの間に室温(25℃)におけるPLスペクトルの最大強度が存在する。緑色ドーパントは500nmから590nmの間に室温におけるPLスペクトルの最大強度が存在する。赤色ドーパント5は590nmから780nmの間に室温におけるPLスペクトルの最大強度が存在する。
【0041】
本発明にかかる発光ドーパントとしては、蛍光ドーパントおよび燐光ドーパント骨格に機能性基を付加したものを用いることができる。
【0042】
蛍光ドーパント骨格としては、ペリレン、ナフタレン、アントラセン、ピレン、フェナントレン、ペンタセン、テトラセン、クリセン、クマリン、コロネン、ペリノン、およびこれらの誘導体などの縮合多環芳香族化合物である平面分子などが挙げられる。
【0043】
燐光ドーパント骨格としては金属ポルフィリン誘導体、一般式(1)で示される4配位金属錯体が挙げられる。
【0044】
【化1】

【0045】
(式中、N−L1−X1およびX2−L2−X3はそれぞれ2座の配位子を表し、X1、X2、X3は各々独立に炭素原子、酸素原子または窒素原子を表す。L1およびL2はN、X1およびX2、X3とともに2座の配位子を形成する原子群を表す。中心金属MはNi、Pd、Pt、Au、Ag、Rh、Irを表す。)一般式(1)におけるL1はベンゾキノリン、フェナントロリンなどの縮合多環芳香族誘導体や、一般式(2)で表される化合物である。
【0046】
【化2】

【0047】
Y1で表わされる芳香族ヘテロ環としては、キノリン環、イソキノリン環、ピリジン環、キノキサリン環、チアゾール環、ピラゾール環、ピリミジン環、ベンゾチアゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、インドール環、イソインドール環などがあげられる。X2で表わされる芳香族炭化水素環または芳香族ヘテロ環としては、Y1にある芳香族ヘテロ環のほかに、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、フラン環、ベンゾフラン環、フルオレン環、ベンゾピラン環などがあげられる。前記芳香族ヘテロ環や芳香族炭化水素環に機能性基以外の置換基が付加されても構わない。置換基はたとえば、アルキル基(メチル基、エチル基)、置換アルキル基(トリフルオロメチル基)、アルコキシ基(メトキシ基)、ハロゲン原子(フッ素、塩素)、アミノ基、フェニル基などである。
【0048】
一般式(1)におけるL2はL1に含まれるものでもよいが、そのほかにアセチルアセトナート誘導体、ピコリネート誘導体、テトラキスピラゾリルボレート誘導体があげられる。
【0049】
青色ドーパントの固形分の濃度は10wt%以上30wt%以下が望ましく、緑色ドーパントの固形分の濃度は10wt%未満が望ましく、また、赤色ドーパントの固形分の濃度は10wt%未満が望ましい。発光ドーパントの重量平均分子量は500以上3000以下が望ましい。
【0050】
<機能性基>
発光ドーパントの分子には、平面状、棒状、正四面体状、正八面体状、球状など様々な形状の分子が存在する。これらの分子に適切な機能性基を付加することで、基板面に対し略垂直に配向させることができる。分子を配向させることによって、遷移双極子モーメントの配向を制御する。
【0051】
「略垂直に配向」とは、分子の平均値の基板面に対する垂直方向成分が、水平方向成分より大きくなることをいう。このとき、例えば平面状分子に注目した場合、平面状分子の平均値の基板面に対する垂直方向成分が、水平方向成分より大きくなっている。また、棒状分子に注目した場合、棒状分子の長軸の平均値の基板面に対する垂直方向成分が、水平方向成分より大きくなっている。なお、平面状分子とは例えば前記した縮合多環芳香族化合物や、一般式(1)で示される4配位金属錯体、また棒状分子とは短辺長と長辺長とのアスペクト比(短辺/長辺)が0.05〜0.3の範囲にあるものをいう。
【0052】
発光ドーパントである平面分子または棒状分子に適切な機能性基を付加することで、基板面に対し略垂直に配向させることができる。
【0053】
一般式(1)で示される金属錯体においては、2座配位子L1、L2のいずれか一方または両方に機能性基を付加する。機能性基としては表面エネルギーが小さいものもしくは下地層との相互作用が大きいものが好ましい。表面エネルギーが小さい機能性基を用いた場合には、成膜中に機能性基としては表面エネルギーが小さいフルオロアルキル基、パーフルオロアルキル基、アルキル基(ただしCの数が10以上)、パーフルオロポリエーテル基、シロキシ基(−Si−O−Si−)が挙げられる。表面エネルギーを考慮すれば、フルオロアルキル基、パーフルオロポリエーテル基が望ましく、パーフルオロアルキル基がさらに望ましい。フッ素を有する置換基では、フッ素の数が多いほど膜表面へと移動する作用が強い。具体的には、置換基に存在するフッ素の数が7以上であることが望ましい。これらの基は(化3)のように主骨格に直接導入してもよいが、結合角を考慮すると(化4)のようにアミド結合やエステル結合などを介して導入した方がより好ましい。
【0054】
【化3】

【0055】
【化4】

【0056】
また下地層との相互作用が大きい機能性基としてはフェニルアミノ基、オキサゾール基、カルバゾール基、ヒドラゾン部位といった下地層(例えば正孔輸送層や電子輸送層など)と類似の構造であるものや、ヒドロキシ基(−OH)、チオール基(−SH)、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SO3H)、I、Br、Cl、F、SCN、CN、NH2、NO2、ビピリジル基があげられる。これらの基は、(化5)のように主骨格に直接導入してもよいが、分子の大きさや結合角を考慮し、アルキル鎖などを介して導入したほうが好ましい。
【0057】
【化5】

【0058】
上記機能性基はドーパントに1つ以上付加する必要がある。機能性基は棒状分子の場合には分子の片末端に付加する。平面分子の場合には例えば、(化6)のように一方の配位子にのみ機能性基を付加する。より垂直に配向させるために棒状分子では片方の末端に表面エネルギーが低い機能性基を付加し、もう一方の末端に下地層と相互作用の強い機能性基を付加することが好ましい。また平面分子では、(化7)のように一方の配位子に表面エネルギーの低い機能性基を付加し、もう一方の配位子に下地層と相互作用の強い機能性基を付加することが好ましい。
【0059】
【化6】

【0060】
【化7】

【0061】
<配向制御原理>
物質の表面は一般に内部(バルク)と異なり片側に同種の分子が存在しないため引力が働かずエネルギーが高く不安定である。そのため、表面エネルギーを低下させるために表面積を小さくするように変形させる力(表面張力)が働く。また、物質内に表面エネルギーの低い官能基を有する分子がある場合には、その官能基を表面に出すことで表面エネルギーを低下させ、安定化する。例えば、水と界面活性剤(両親媒性分子)の場合、界面活性剤は表面エネルギーの低い官能基である疎水基を分子内に有し、その疎水基を水面から出す形で水面に単分子膜を形成することで水面の表面エネルギー低下させている。
【0062】
本発明の分子は分子内にフルオロアルキル基などの表面エネルギーが低い官能基を有している。ベンゼン環などの部位はそれよりも表面エネルギーが高い。膜が形成される際には、表面エネルギーを小さくするために、上記表面エネルギーの低い官能基を表面に出すように力が働く。(化4)のように機能性基を付加した分子ではこの作用により表面エネルギーの低い官能基を膜表面に移動させることで分子面を基板面に対しおおむね垂直に配向させることができる。
【0063】
また下地層と相互作用を利用する場合には、下地層と機能性基の間に働く、分子間力、水素結合、配位結合の作用により機能性基が下地層に引き寄せられる。(化5)のように機能性基を付加した場合にはこの作用により分子面を基板面に対しておおむね垂直に配向させることができる。
【0064】
また、(化7)のように、表面エネルギーの低い機能性基と下地層と相互作用の強い基の両方を付加することでより垂直に配向させることができる。
【0065】
配向状態は、入射角を変化させながらIRスペクトル、あるいはラマンスペクトルを測定することで調べることができる。
【0066】
有機分子の配向状態は、入射角を変化させながらIRスペクトル、あるいはラマンスペクトルを測定することで調べることができる。
【0067】
また遷移双極子モーメントの方向は、公知の方法で評価することができる。例えば(APPLIED PHYSICS LETTERS 96,073302(2010).)、フォトルミネッセンスのP偏光成分の放射角度依存性を、有機発光装置に光学接触させた半球レンズ・シリンドリカルレンズを用いて、薄膜デバイスの干渉効果を除いた上で、実験的に測定し、計算機シミュレーションと比較することで、遷移双極子モーメントにおける水平方向成分と垂直方向成分の各々の割合を求めることができる。これはP偏光強度の角度依存性が水平成分と垂直成分の割合により決まることによる(S偏光は水平成分のみから成る)。通常の発光層を構成する有機分子の配向はランダム(等方的)であり、そのため、遷移双極子モーメントの構成成分の割合は水平成分・垂直成分共に50%である。
【0068】
<ホスト>
ホストとして、カルバゾール誘導体、フルオレン誘導体またはアリールシラン誘導体などを用いることが好ましい。効率の良い発光を得るためには青色ドーパントの励起エネルギーよりも、ホストの励起エネルギーが十分大きいことが好ましい。なお、励起エネルギーは発光スペクトルを用いて測定される。
【0069】
<正孔注入層>
正孔注入層301とは発光効率や寿命を改善する目的で使用される。また、特に必須ではないが、陽極の凹凸を緩和する目的で使用される。正孔注入層301を単層もしくは複数層設けてもよい。正孔注入層301としては、PEDOT(ポリ(3、4−エチレンジオキシチオフェン)):PSS(ポリスチレンスルホネート)等の導電性高分子が好ましい。その他にも、ポリピロール系やトリフェニルアミン系のポリマー材料を用いることができる。また、低分子(重量平均分子量10000以下)材料系と組み合わせてよく用いられる、フタロシアニン類化合物やスターバーストアミン系化合物も適用可能である。
【0070】
<正孔輸送層>
正孔輸送層302とは正孔を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で正孔注入層301、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層302を単層もしくは複数層設けてもよい。正孔輸送層302としては、スターバーストアミン系化合物やスチルベン誘導体、ヒドラゾン誘導体、チオフェン誘導体などを用いることができる。また、これらの材料に限られるものではなく、これらの材料を2種以上併用しても差し支えない。
【0071】
<電子輸送層>
電子輸送層304は発光層303に電子を供給する層である。広い意味で電子注入層305、正孔阻止層も電子輸送層304に含まれる。電子輸送層304を単層もしくは複数層設けてもよい。この電子輸送層304の材料としては、例えば、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−(フェニルフェノラト)アルミニウム(以下、BAlq)や、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(以下、Alq3)、Tris(2、4、6−trimethyl−3−(pyridin−3−yl)phenyl)borane(以下、3TPYMB)、1、4−Bis(triphenylsilyl)benzene(以下、UGH2)、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フラーレン誘導体、フェナントロリン誘導体、キノリン誘導体などを用いることができる。
【0072】
<電子注入層>
電子注入層305は陰極から電子輸送層304への電子注入効率を向上させる。具体的には、弗化リチウム、弗化マグネシウム、弗化カルシウム、弗化ストロンチウム、弗化バリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムが望ましい。また、もちろんこれらの材料に限られるわけではなく、また、これらの材料を2種以上併用しても差し支えない。
【0073】
<基板>
基板100として、ガラス基板、金属基板、SiO2、SiNx、Al23等の無機材料を形成したプラスチック基板等が挙げられる。金属基板材料としては、ステンレス、42アロイなどの合金が挙げられる。プラスチック基板材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリサルフォン、ポリカーボネート、ポリイミド等が挙げられる。
【0074】
<陽極>
陽極材料としては、透明性と高い仕事関数を有する材料であれば用いることができる。
具体的には、ITO、IZOなどの導電性酸化物や、薄いAgなどの仕事関数の大きい金属が挙げられる。電極のパターン形成は、一般的にはガラス等の基板上にホトリソグラフィーなどを用いて行うことができる。
【0075】
<プラズモン取出しナノ構造を含む陰極>
また陰極は、表面プラズモンポラリトンを誘起・散乱できる凹凸構造を有することが必要である。凹凸の最大の高さ、幅及びピッチは発光波長より小さい大きさであればよいため、5nm以上、800nm以下が望ましい。発光波長は可視光であるため、380nmから800nmの範囲である。また凹凸のサイズが10nmより小さいと作成が困難となる、高コスト化する、可視領域より短波長側を増幅する、等の問題が出てくる。また800nmよりも大きいと可視光を散乱し難くなる。このような膜を本明細書ではプラズモン取出しナノ構造と称す。具体的には、表面が粒状の粒状膜、或いは金属微粒子を膜状に非周期的に或いは周期的な配列パターン状に分散させ、微粒子間に空隙が存在する島状構造膜が好適である。陰極が島状構造膜であることにより、発光光により陰極に誘起された表面プラズモンポラリトンが、再度、可視光に変換され、内部量子効率及び発光効率が向上する。
【0076】
陰極材料としては、Al、Ag、Au、Cu並びにLiFとAlの積層体やMg:Ag合金等が好適に用いられる。また、これらの材料に限定されるものではなく、例えばLiFの代わりとして、Cs化合物、Ba化合物、Ca化合物などを用いることができる。またプラズモン取出しナノ構造の高さは、励起有機分子の作る近接場と表面プラズモンポラリトン共鳴が強く生じるようにするために、40nmから120nmであることが望ましい。材料面では、特に励起有機分子の作る近接場と表面プラズモンポラリトン共鳴が強く生じるものであればより望ましく、Ag、Au、Cu及びAlの金属のいずれかを主成分(80%以上)とする合金が適用可能である。なお、特に、発光光が可視域波長であれば、Agが望ましい。プラズマ周波数から、Agは可視域での表面プラズモン共鳴が起こせるためである。発光光が可視域以外の波長、たとえば赤外であれば、Auが望ましい。
【0077】
なお、上述のような有機発光素子は、例えば、基板上に陰極側から順次積層されて、陽極側から光が取り出させるように構成される。陰極は、例えば、スパッタ法、真空蒸着法などを用いて形成することができる。又プラズモン取出しナノ構造は公知のホトリソグラフィーやロールを用いたエンボス加工等を陰極に施すことにより作成することができる。
また下地基板に又プラズモン取出しナノ構造と同程度のサイズの凹凸を形成し、その上に、発光層等を形成することにより、下地の凹凸を上層に反映させる形でプラズモン取出しナノ構造を形成してもよい。また、プラズモン取出しができるようなサイズの金属ナノ粒子を平坦な金属電極の上に塗布して形成してもよい。また、SAM(自己組織化単分子膜)を用いて、金奥ナノ粒子を金属電極上に固定化してもよい。また、金属電極薄膜を蒸着した後、大気圧或いは還元雰囲気中で加熱する方法や、金属電極薄膜を蒸着する際に不均一な島状構造が自発的に形成する現象を用いてもよい。また基板にポリスチレンなどの直径100nm程度のナノスフィアを塗布・堆積させ、その上に金属を蒸着することで、ナノスフィア上部に帽子状に金属薄膜が堆積した構造を作製してもよい。
【0078】
なお、表面プラズモンポラリトンの励起及び可視光の散乱の寿命は一般的に通常の発光再結合速度及び非発光再結合速度よりも早いことが多く、従って、発光寿命を測定することにより、表面プラズモンポラリトンを介した発光であることの確認ができる。
【0079】
<上部電極と下部電極並びに透明電極と反射電極の関係>
有機発光素子には基板/透明電極(陽極)/有機層/反射電極(陰極)として有機層からの発光を基板側(透明電極のある側)から取り出すボトムエミッション型と、基板/反射電極(陰極)/有機層/透明電極(陽極)として有機層からの発光を基板とは反対の側(透明電極のある側)から取り出すトップエミッション型とがある。ボトムエミッション型の場合、透明電極(陽極)が下部電極、反射電極(陰極)が上部電極となる。またトップエミッション型の場合、反射電極(陰極)が下部電極、透明電極(陽極)が上部電極となる。本発明ではボトムエミッション型のとき、上部電極にプラズモン取出しナノ構造を設けることが重要である。またトップエミッション型のとき、下部電極にプラズモン取出しナノ構造を設けることが重要である。どちらの型の場合も反射電極の発光層側の表面にプラズモン取出しナノ構造を設けることが重要である。
【0080】
<塗液>
塗液は発光層303を形成する材料を適切な溶媒に溶解させたものである。以下の説明では、発光層303を形成する材料としてホスト、赤色ドーパント、緑色ドーパント及び青色ドーパントが含まれえる場合について述べる。
【0081】
ここで用いる溶媒は、例えばトルエンなど芳香族炭化水素系溶媒、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、アルコール類、フッ素系溶媒など各材料が溶解するものであればよい。また、各材料の溶解度や、乾燥速度の調整のために前述の溶媒を複数混合した混合溶媒でもかまわない。例えば、沸点の異なる溶媒を2種類(第一の溶媒及び第二の溶媒)用意し、そのうち高沸点である第二の溶媒を緑色または青色ドーパントに対し溶媒とすることで緑色ドーパントまたは青色ドーパントの膜表面への移動を促進できる。溶媒の溶解度は液体クロマトグラム法によって測定される。
【0082】
発光層303を成膜法としては乾式法では真空蒸着法など、湿式法(塗布法)としては、スピンコート法、キャスト法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法、スロットダイコート法、グラビアコート法、バーコート法などを挙げることができる。これらの方法のうち1つを用いて、発光層303を形成する。
【0083】
塗布法は乾式法に比べて大面積の成膜が容易、材料の利用効率が高いなどの利点がある。
【実施例1】
【0084】
<三色白色(赤緑上+青下)>
本発明の第一の実施例として図4に示す構造の白色発光素子を作製した。
【0085】
基板100は以下のように作製した。石英基板上にフォトレジスト(東京応化製:THMR−iP3300)を塗布し、He−Cdレーザー(波長:325nm)による2光子干渉縞を60°角度を変えて2重露光の後、現像し、反応性イオンエッチングにより基板をエッチングした、その後にフォトレジストを除去し、基板上に凹凸を形成した。このときの凹凸の深さは70nm、凹凸のピッチは420nmであった。この基板の上に、下記の通り成膜を行うことによって、基板の凹凸を保ったまま、有機発光素子が形成でき、最終的に蒸着したAl膜も下地の凹凸を反映した、プラズモン取出しナノ構造を作製できる。
【0086】
下部電極(透明電極)としてITO電極をスパッタで形成した。正孔注入層301にはPEDOTをスピンコート法にて形成した。正孔輸送層302にはポリマー系の材料を用いた。発光層303はホストとしてmCP(1、3−ビス(カルバゾル−9−イル)ベンゼン)、青色ドーパントには(化7)、赤色ドーパントには(化3)、緑色ドーパントには(化6)を用いた。青色ドーパントの発光波長は460nmである。それぞれの材料の重量比は100:10:0.5:0.5とした。これらのホスト、青色、赤色、緑色ドーパントをトルエンに溶解させて塗液を作製した。塗液の固形成分濃度は1wt%に設定した。この塗液を用いて、スピンコート法により有機発光層を形成した。続いて電子輸送層304としてUGH2および3TPYMBの層を真空蒸着法で形成した。次にLiFとAlの積層体を上部電極(反射電極)として形成した。先述のように、上部電極(反射電極)は基板の凹凸を保持しているため、プラズモン取出しナノ構造が形成できている。このようにして、ボトムエミッション型の有機発光素子を作製した。発光位置は各色ドーパントとも上部電極(反射電極)から75nm近傍となるようにした。
【0087】
作製した有機発光素子に電圧を印加したところ、3つのドーパントからの発光がELスペクトルから確認され、白色発光が確認できた。また、比較例1−1として機能性基を付加しないドーパントを用いた素子を作製し、比較例1−2として石英基板にプラズモン取出しナノ構造を作製していない素子を作製した。比較例1−2の構成を図5に示す。比較例1−1の発光効率を1とすると、実施例1は1.31倍高い発光効率を示し、又比較例1−2の発光効率は比較例1−1の0.15倍であった。
【0088】
なお、実施例1と同様の構成の発光層を別途試作し、フォトルミネッセンス測定において、P偏光強度の角度依存性を測定し、各色ドーパントの遷移双極子モーメントの構成成分の割合を調べたところ、各色とも垂直成分が95%であった。他方で、比較例1−1においては各色とも水平成分が50%であった。比較例1−2は機能性基を付加したドーパントを用いているため、実施例1と同じく、各色とも垂直成分が95%であった。
【0089】
なお本明細書の前半部で説明したように、遷移双極子モーメントの方向が等方的である場合、励起子エネルギーの約75%が可視光に変換され、25%が表面プラズモンポラリトンに由来する損失となる。従って遷移双極子モーメントの方向が等方的である比較例1−1に対して、遷移双極子モーメントの方向が略垂直であり、かつプラズモン取出しナノ構造を有する実施例1の発光効率が1.31(<(25+75)/75≒1.33)倍であるということは、表面プラズモンポラリトンによる損失の大半が、プラズモン取出しナノ構造により可視光に変換されたためと考えられ、効率向上としては上限に近い十分大きな値である。他方で比較例2では大きく発光効率が低下した。これは機能性基により各色のドーパントの遷移双極子モーメントの方向が略垂直となったために、大半の励起子エネルギーが表面プラズモンポラリトンによる損失となったためと考えられる。
【0090】
また発光寿命を以下のようにして測定した。窒素レーザー光(波長337nm、パルス幅1ns)を励起光として各素子に照射し、それぞれの発光材料からの発光寿命をストリークカメラ(浜松ホトニクス社製C4334)により測定した。その結果、実施例1の発光寿命が24nsだったのに対して、比較例1−1の発光寿命は30ns、比較例1−2の発光寿命は624nsであった。従って、実施例1及び比較例1−2では確かに表面プラズモンポラリトンを介した発光が観測されていると考えられる。また特に実施例1ではプラズモン取出しナノ構造による発光効率の向上効果が比較例1−2の場合よりも大きく得られている。
【実施例2】
【0091】
<RG(赤上+緑下)+B(青上)素子>
本発明の第2の実施例として、複数の有機発光素子を接続した光源装置を作製した。作製した素子は、実施例1と同様の基板、層構成で、発光層にホストと赤色ドーパントとして(化3)、緑色ドーパントとして(化5)を含む素子(RG素子)と発光層にホストと青色ドーパントとして(化4)を含む素子(B素子)を面内に作りわけ、各素子を直列および並列に接続した。青色ドーパントの発光波長は450nmである。塗布膜の作製にはインクジェット法を用いた。発光位置は各色ドーパントとも上部電極(反射電極)から75nm近傍となるようにした。均質な白色光を得るために、作製した素子の発光面に拡散板を取り付けた。作製した光源装置では良好な白色光が得られた。また、比較例2として機能性基を付加しないドーパントを用いた素子を作製した。実施例2は比較例2と比較して1.18倍高い発光効率を示した。なお、実施例2と同様の構成の発光層を別途試作し、フォトルミネッセンス測定において、P偏光強度の角度依存性を測定し、各色ドーパントの遷移双極子モーメントの構成成分の割合を調べたところ、各色とも垂直成分が84%以上であった。他方で、比較例2においては各色とも垂直成分が約50%であった。
【0092】
実施例1と同様に、発光効率が1.18倍であるということは、表面プラズモンポラリトンによる損失のかなりの割合が、プラズモン取出しナノ構造により可視光に変換されたためと考えられ、効率向上としては十分大きな値である。
【0093】
また拡散板をつけることにより、発光層において励起子エネルギーからプラズモン取出しナノ構造を介して発生した可視光の内の、より多くを外部(空気)へと取出すことができる。従って、遷移双極子モーメントの方向が略垂直であり、プラズモン取出しナノ構造を有することによる効率向上効果がさらに増幅され、より発光効率の高い光源装置を得ることができる。
【実施例3】
【0094】
<単色(上移動)×3>
本発明の第三の実施例として、複数の有機発光素子を接続した光源装置を作製した。作製した素子は、実施例1と同様の基板、層構成で、発光層にホストと赤色ドーパントとして(化3)を含む素子(R素子)と、発光層にホスト材料と緑色ドーパントとして(化6)を含む素子(G素子)と発光層にホストと青色ドーパントとして(化4)を含む素子(B素子)を面内に作りわけ、各素子を直列および並列に接続した。青色ドーパントの発光波長は455nmである。塗布膜の作製にはインクジェット法を用いた。発光位置は各色ドーパントとも上部電極(反射電極)から75nm近傍となるようにした。均質な白色光を得るために、作製した素子の発光面に拡散板を取り付けた。作製した光源装置では良好な白色光が得られた。また、比較例3として機能性基を付加しないドーパントを用いた素子を作製した。実施例3は比較例3と比較して1.23倍高い発光効率を示した。なお、実施例3と同様の構成の発光層を別途試作し、フォトルミネッセンス測定において、P偏光強度の角度依存性を測定し、各色ドーパントの遷移双極子モーメントの構成成分の割合を調べたところ、各色とも垂直成分が90%以上であった。他方で、比較例2においては各色とも垂直成分が約50%であった。
【0095】
実施例1と同様に、発光効率が1.23倍であるということは、表面プラズモンポラリトンによる損失のかなりの割合がプラズモン取出しナノ構造により可視光に変換されたためと考えられ、効率向上としては十分大きな値である。
【0096】
また拡散板をつけることにより、発光層において励起子エネルギーからプラズモン取出しナノ構造を介して発生した可視光の内の、より多くを外部(空気)へと取出すことができる。従って、遷移双極子モーメントの方向が略垂直であり、プラズモン取出しナノ構造を有することによる効率向上効果がさらに増幅され、より発光効率の高い光源装置を得ることができる。
【実施例4】
【0097】
実施例1と同様の基板・層構成の白色発光素子を作製した。但し、発光層のドーパントとしては、機能性基を有する青色ドーパントには(化7)、赤色ドーパントには(化3)、緑色ドーパントには(化6)及び、これらに対応して機能性基を付加しない各色のドーパント(比較例1−1で用いたもの)を用いた。これらを適切な割合で混合することにより、垂直成分の割合を変えることができる。例えば(a)機能性基があるものを50%、(b)機能性基が無いものを50%入れた場合には、前者((a))は垂直成分が95%(水平成分が5%)、後者((b))は等方的なので垂直成分が50%(水平成分も50%)であるため、垂直成分と水平成分の比が(95+50):(5+50)=145:55=72.5:27.5とすることができる。即ち垂直成分を72.5%(水平成分を27.5%)とすることができる。
【0098】
このようにして、実施例1の素子(プラズモン取出しナノ構造を有する)で、垂直成分の割合を変えたときに、発光効率の変化を調べた結果を図6に示す。なお、機能性基を用いない場合でも垂直成分は50%存在するため、垂直成分を50%より少ない割合にすることは上記ドーパントの混合ではできないため垂直成分が50%の場合から95%の場合を示した。
【0099】
図6より、垂直成分が50%の時の発光効率の値を1とすると、垂直成分が50%より大きい(好ましくは60%以上)場合に、垂直成分が95%になるまで単調に増大した。
これは垂直成分の遷移双極子モーメントをもたらす電気双極子放射場が表面プラズモンポラリトンを強く励起し、このエネルギーがプラズモン取出しナノ構造により効率的に取出されることからも妥当な結果である。
【0100】
発光位置(金属電極からの距離、0nmから250nm)や波長(380nmから780nm)を変化させると垂直成分が50%の時の発光効率の値は増減するが何れの場合も垂直成分が50%より大きい(好ましくは60%以上)場合に、垂直成分が95%になるまで単調に発光効率が増大した。100%の場合は、上記した原理から発光効率はさらに上昇すると容易に推測されるため、垂直成分が50%より大きい(好ましくは60%以上)あることが効率向上には好ましい。
【0101】
なお、実施例1〜実施例4において、発光層303のドーパントが、例えばフルオロアルキル基、パーフルオロアルキル基、アルキル基(Cの数は10以上)、パーフルオロポリエーテル基及びシロキシ基のうちから1つ以上選ばれる機能性基を有することにより、発光層303のドーパントの濃度は、発光層303における電子輸送層304及び上部電極102が存在しない側よりも発光層303における電子輸送層304及び上部電極102が存在する側の方が高くなっている。これは、ドーパントが発光層303における電子輸送層304及び上部電極102が存在する側へ移動することにより生じるものである。
【0102】
また、実施例1〜実施例4において、発光層303のドーパントが、例えば−OH、−SH、−COOH、−SO3H、I、Br、Cl、F、SCN、CN、NH2、NO2及びビピリジル基、フェニルアミノ基、オキサゾール基、カルバゾール基及びヒドラゾン部位のうちから1つ以上選ばれる機能性基を有することにより、発光層303のドーパントの濃度は、発光層303における正孔輸送層302及び下部電極101が存在しない側よりも発光層303における正孔輸送層302及び下部電極101が存在する側の方が高くなっている。これは、ドーパントが発光層303における正孔輸送層302及び下部電極101が存在する側へ移動することにより生じるものである。
【0103】
ここで、発光層303における電子輸送層304及び上部電極102が存在する側とは、それぞれ電子輸送層304及び上部電極102が位置する方向に向かって中央より端部の領域を指す。発光層303における電子輸送層304及び上部電極102が存在しない側とは、それぞれ電子輸送層304及び上部電極102が位置する方向と反対の方向に向かって中央より端部の領域を指す。
【0104】
また、発光層303における正孔輸送層302及び下部電極101が存在する側とは、それぞれ正孔輸送層302及び下部電極101が位置する方向に向かって中央より端部の領域を指す。また、発光層303における正孔輸送層302及び下部電極101が存在しない側とは、それぞれ正孔輸送層302及び下部電極101が位置する方向と反対の方向に向かって中央より端部の領域を指す。
【実施例5】
【0105】
本発明の実施例として、図7に示す光源装置を作製した。光源装置の構成要素である有機発光素子は実施例1と同様の基板100、下部電極101、有機層103、上部電極102からなる。有機発光素子は有機層103が外気から遮断されるように、乾燥剤付きの封止管ガラス501で封止されている。また下部電極101及び上部電極102は、それぞれ配線502を通じて駆動回路503に接続されている。そして、封止管ガラス501付きの有機発光素子及び駆動回路503は筺体505により覆われ、全体として光源装置506となる。なお、駆動回路503はプラグ504を通じて外部電源に接続されることで点灯する。実施例1の有機発光素子を用いた光源装置A及び比較例1の有機発光素子を用いた光源装置Bを作製したところ、光源装置Aは光源装置Bに対して22%の低消費電力化が出来た。
【符号の説明】
【0106】
100 基板
101 下部電極
102 上部電極
103 有機層
104 第一のバンク
105 第二のバンク
106 樹脂層
107 封止基板
201 拡散板
202 第一の有機発光素子
203 第二の有機発光素子
301 正孔注入層
302 正孔輸送層
303 発光層
304 電子輸送層
305 電子注入層
501 封止管ガラス
502 配線
503 駆動回路
504 プラグ
505 筐体
506 光源装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射電極と、
透明電極と、
前記反射電極と前記透明電極との間に配置された発光層とを有する有機発光素子であって、
前記発光層にはホスト、第一のドーパントが含まれ、
前記第一のドーパントについて、遷移双極子モーメントの平均値の基板面に対する垂直方向成分が、水平方向成分より大きく、
前記反射電極の前記発光層側に凹凸構造を有する有機発光素子。
【請求項2】
請求項1において、
前記第一のドーパントには第一の機能性基が含まれ、
前記第一のドーパントの濃度について、前記発光層において前記上部電極が存在する側の領域と、前記下部電極が存在する側の領域のうちいずれか一方が、他方の領域より高い有機発光素子。
【請求項3】
請求項1または2において
前記発光層には第二のドーパントが含まれ、
前記第二のドーパントの発光色は前記第一のドーパントと異なり、
前記第二のドーパントについて、遷移双極子モーメントの平均値の基板面に対する垂直方向成分が、水平方向成分より大きい有機発光素子。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかにおいて
前記発光層には第三のドーパントが含まれ、
前記第三のドーパントの発光色は、前記第一のドーパントおよび第二のドーパントと異なり、
前記第二のドーパントについて、遷移双極子モーメントの平均値の基板面に対する垂直方向成分が、水平方向成分より大きい有機発光素子。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかにおいて、
前記第一のドーパントについて、遷移双極子モーメントの平均値の基板面に対する垂直方向成分が60%以上である有機発光素子。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかにおいて、
前記発光層に含まれるドーパントのうちいずれか1つは平面状分子であり、
前記平面状分子の平均値の基板面に対する垂直方向成分が、水平方向成分より大きい有機発光素子。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれかにおいて
前記発光層に含まれるドーパントのうちいずれか1つは棒状分子であり、
前記棒状分子の長軸の平均値の基板面に対する垂直方向成分が、水平方向成分より大きい有機発光素子。
【請求項8】
請求項2において、
前記第一機能性基は、フルオロアルキル基、パーフルオロアルキル基、アルキル基(Cの数は10以上)、パーフルオロポリエーテル基及びシロキシ基、−OH、−SH、−COOH、−SO3H、I、Br、Cl、F、SCN、CN、NH2、NO2及びビピリジル基、フェニルアミノ基、オキサゾール基、カルバゾール基及びヒドラゾン部位のうちから1つ以上選ばれる有機発光素子。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかにおいて、
前記第一のドーパントは4配位の中心金属からなる金属錯体である有機発光素子。
【請求項10】
請求項9において、
前記第一のドーパントは一般式(1)で示される有機発光素子。
【化1】

【請求項11】
請求項1において、
前記凹凸構造はAg、Au、CuまたはAlのいずれかを主成分とする有機発光素子。
【請求項12】
請求項1において
前記凹凸構造は凹凸の高さ、幅及びピッチが発光波長より小さい有機発光素子。
【請求項13】
請求項12において、
前記凹凸の高さは10〜800nmの範囲にある有機発光素子。
【請求項14】
請求項1において、
前記透明電極から見て、前記反射電極が存在する位置とは反対側に光取出し層を有する有機発光素子。
【請求項15】
請求項1の有機発光素子を備える光源装置。
【請求項16】
反射電極と、透明電極と、前記反射電極と前記透明電極との間に配置された発光層とを有する有機発光素子の製造方法であって、
前記発光層にはホスト、第一のドーパントが含まれ、
前記第一のドーパントについて、遷移双極子モーメントの平均値の基板面に対する垂直方向成分が、水平方向成分より大きく、
前記発光層は塗布で作製され、
前記反射電極の前記発光層側に凹凸構造が形成される有機発光素子の製造方法。
【請求項17】
第一の有機発光素子および第二の有機発光素子を備えた光源装置であって、
前記第一の有機発光素子および第二の有機発光素子は、それぞれ、反射電極と、透明電極と、前記反射電極と前記透明電極との間に配置された発光層とを有し、
前記第一の有機発光素子の発光層には第一のホストおよび第一のドーパントが含まれ、 前記第二の有機発光素子の発光層には第ニのホスト、第二のドーパントおよび第三のドーパントが含まれ、
前記第一のドーパント、第二のドーパントおよび第三のドーパントについて、遷移双極子モーメントの平均値の基板面に対する垂直方向成分が、水平方向成分より大きく、
前記反射電極の前記発光層側に凹凸構造を有する光源装置。
【請求項18】
請求項17の光源装置において
前記第一のドーパントは青色ドーパントであり、
前記第二のドーパントおよび第三のドーパントは、一方が赤色ドーパントであり、他方が緑色ドーパントである光源装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−26300(P2013−26300A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−157417(P2011−157417)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】