説明

有機発光表示装置

【課題】不良率が低下して生産性が向上した共振構造を有する両面発光が可能な有機発光表示装置を提供する。
【解決手段】複数個の画素領域に区画された基板101と、基板上のそれぞれの画素領域に形成され、第1発光領域111aと第2発光領域111bとに区画される第1電極111と、第1電極の第1発光領域上に形成される第1中間層113と、第1電極の第2発光領域上に形成される第2中間層114と、第1電極と第2中間層との間に配される第2電極112と、第1中間層及び第2中間層上に形成される第3電極117と、を具備し、第1中間層で発せられた光は、第1電極と第3電極とを透過し、第2中間層で発せられた光は、第3電極を透過することを特徴とする有機発光表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、平板表示装置(flat display device)は、発光型と受光型とに大別される。発光型としては、平板陰極線管(flat cathode ray tube)、プラズマディスプレイパネル(plasma display panel)、電界発光素子(electroluminescent device)、発光ダイオード(light emitting diode)などがある。受光型としては、液晶ディスプレイ(LED:liquid crystal display)を挙げることができる。このうち、電界発光素子は、視野角が広く、コントラストにすぐれるだけではなく、応答速度が速いという長所を有しており、次世代表示素子として注目を集めている。このような電子発光素子は、発光層を形成する物質によって、無機電界発光素子と有機電界発光素子とに区分される。
【0003】
このうち、有機電界発光素子は、蛍光性有機化合物を電気的に励起(excitation)させて発光させる自発光型ディスプレイであり、低い電圧での駆動が可能であり、薄型化が容易であり、広視野角、速い応答速度など、液晶ディスプレイにおいて問題点として指摘されているところを解決することができる次世代ディスプレイとして注目されている。
【0004】
有機電界発光素子は、アノード電極とカソード電極との間に、有機物からなる発光層を具備している。有機電界発光素子は、それら電極に正極電圧及び負極電圧がそれぞれ印加されることにより、アノード電極から注入された正孔(hole)が正孔輸送層を経由して発光層に移動し、電子は、カソード電極から電子輸送層を経由して発光層に移動し、発光層で電子と正孔とが再結合して励起子(exciton)を生成する。
【0005】
前記励起子が励起状態から基底状態に変化することにより、発光層の蛍光性分子が発光して画像を形成する。フルカラー(full color)型有機電界発光素子の場合では、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の三色を発光する画素(pixel)を具備することによってフルカラーを具現する。
【0006】
このような有機電界発光素子で、アノード電極の両端部には、画素定義膜(pixel define layer)が形成される。そして、この画素定義膜に所定の開口を形成した後、開口が形成されて外部に露出されたアノード電極の上部に、発光層及びカソード電極が順に形成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の主な目的は、共振構造を有する有機発光表示装置の不良率を低下させ、生産性を向上させるところにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態による有機発光表示装置は、複数個の画素領域に区画された基板と、前記基板上の前記それぞれの画素領域に形成され、第1発光領域と第2発光領域とに区画される第1電極と、前記第1電極の前記第1発光領域上に形成される第1中間層と、前記第1電極の前記第2発光領域上に形成される第2中間層と、前記第1電極と前記第2中間層との間に配される第2電極と、前記第1中間層及び第2中間層の上に形成される第3電極と、を具備し、前記第1中間層で発せられた光は、前記第1電極と前記第3電極とを透過し、前記第2中間層で発せられた光は、前記第3電極を透過することができる。
【0009】
本発明において、前記基板は、前記第1中間層で発せられた光を透過させることができる。
【0010】
本発明において、前記第1電極は、前記第1中間層で発せられた光を透過させることができる。
【0011】
本発明において、前記第1電極は、透明電極でありうる。
【0012】
本発明において、前記第1電極は、ITO、IZO、ZnO及びInのうちいずれか一つからなりうる。
【0013】
本発明において、前記第1電極は、結晶化されたITOからなりうる。
【0014】
本発明において、前記第2電極は、前記第2中間層で発せられた光を反射させることができる。
【0015】
本発明において、前記第2電極は、前記第1電極上に積層された複数層の金属層からなりうる。
【0016】
本発明において、前記第2電極は、前記第1電極上に積層された第1金属層と第2金属層とからなりうる。
【0017】
本発明において、前記第1金属層は、前記第2中間層で発せられた光を反射させる金属からなり、前記第2金属層は、前記第2中間層で発せられた光を透過させる金属からなりうる。
【0018】
本発明において、前記第1金属層は、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、それらの化合物、及びそれらの混合物のうちいずれか一つからなり、前記第2金属層は、ITO、IZO、ZnO及びInのうちいずれか一つからなりうる。
【0019】
本発明において、前記第2電極は、第1電極と前記第1金属層との間に、第3金属層をさらに具備することができる。
【0020】
本発明において、前記第3金属層は、ITO、IZO、ZnO及びInのうちいずれか一つからなりうる。
【0021】
本発明において、前記第1電極は、前記第2金属層及び前記第3金属層より厚みがさらに厚く形成されうる。
【0022】
本発明において、前記第1中間層及び前記第2中間層のそれぞれで発せられた光は、同じ共振効果を奏するように光学距離が同一でありうる。
【0023】
本発明において、前記第1中間層の厚みは、前記第2中間層の厚みと同一でありうる。
【0024】
本発明において、前記第3電極は、透明電極または透過電極でありうる。
【0025】
本発明において、前記透過電極は、MgAgでありうる。
【0026】
本発明において、前記第3電極の厚みは、100Åないし200Åでありうる。
【0027】
本発明において、前記基板上に配され、前記画素領域を密封する密封部材をさらに具備することができる。
【0028】
本発明において、前記密封部材は、前記第1中間層及び前記第2中間層で発せられた光を透過させることができる。
【0029】
本発明において、前記基板上に配され、前記第1電極を露出させる開口を有する画素定義膜と、前記基板と前記第1電極との間に配され、前記第1電極と電気的に連結される画素回路部と、前記画素回路部と前記第1電極との間に配される絶縁層と、をさらに具備することができる。
【0030】
本発明において、前記画素回路部は、薄膜トランジスタでありうる。
【0031】
本発明において、前記画素回路部が前記画素定義膜に対応するように、前記基板上に配されうる。
【0032】
本発明において、前記第1中間層及び前記第2中間層は、同じ物質からなりうる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、有機発光表示装置は、共振構造を有しつつ、両面発光が可能であり、有機発光表示装置の生産性が向上して不良率が低下する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施形態による有機発光表示装置を概略的に示す断面図である。
【図2】図1に図示された有機発光部の画素領域を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、添付された図面を参照にしつつ、本発明の望ましい実施形態について、さらに詳細に説明する。
【0036】
図1は、本発明の一実施形態による有機発光表示装置を概略的に示す断面図である。図2は、図1に図示された有機発光部の画素領域を概略的に示す断面図である。
【0037】
図1を参照すれば、本発明の一実施形態による有機発光表示装置100は、基板101、密封部材102、接合部材103及び有機発光部110を具備することができる。
【0038】
基板101は、SiOを主成分とする透明なガラス材質からなりうる。基板101は、必ずしもこれに限定されるものではなく、透明なプラスチック材質から形成することもできる。プラスチック材質は、絶縁性有機物であるポリエーテルスルホン(PES)、ポリアクリレート(PAR)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリアリレート(polyallylate)、ポリイミド(polyimide)、ポリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)からなるグループから選択される有機物でありうる。基板101は、複数個の画素領域に区画され、画素領域上には、有機電界発光素子OLEDが配されうる。
【0039】
密封部材102は、基板101のような透明なガラス材質や、プラスチック材質からなりうる。密封部材102と基板101は、そのエッジで、接合部材103によって結合され、基板101と密封部材102との間の空間105が密封されうる。前記空間105には、吸湿剤や充填材などが位置しうる。密封部材102は、これに限定されるものではなく、有機発光部110上に形成される薄膜フィルムでありうる。密封部材102の薄膜フィルムは、酸化シリコンまたは窒化シリコンのような無機物からなる膜と、エポキシ、ポリイミドのような有機物からなる膜とが交互に成膜された構造を取ることができる。
【0040】
第1基板101と密封部材102は、いずれも透明な材質から形成され、有機発光部110から発せられた光によって画像が具現され、有機発光部110への外気及び水分の浸透を遮断することができる。
【0041】
接合部材103は、第1基板101と密封部材102とを接合させる働きをする。接合部材103は、エポキシのような有機シーラントからなりうる。また、接合部材は、フリット(frit)でありうる。フリットは、粉末状のガラスという意味で使われるが、本発明でのフリットは、粉末状の有機物を添加したゲル状のガラス、及びレーザを照射して硬化された固状のガラスを通称して使用される。フリットでもって基板101と密封部材102とを接合する方法は、フリットを密封部材102のエッジに塗布し、基板101上に密封部材102を配した後、レーザ照射装置が稼働中に、フリットにレーザを照射し、フリットを硬化させてシーリングする段階を含む。
【0042】
有機発光部110は、複数個の有機電界発光素子OLEDと、画素回路部50とからなりうる。図2を参照すれば、基板101上に、バッファ層51が形成されており、この上に、画素回路部50と、有機電界発光素子OLEDとが形成されうる。画素回路部50は、トップゲート(top gate)、ボトムゲート(bottom gate)など多様な形態の薄膜トランジスタでありうる。画素回路部50は、画素定義膜116に対応するように、基板101上に配されうる。これについては後述する。
【0043】
基板101のバッファ層51上に、所定パターンの活性層52が備わる。活性層52の上部には、ゲート絶縁膜53が備わり、ゲート絶縁膜53上部の所定領域には、ゲート電極54が形成されうる。ゲート電極54は、薄膜トランジスタのオン/オフ信号を印加するゲートライン(図示せず)と連結されうる。ゲート電極54の上部には、層間絶縁膜55が形成され、コンタクトホール56a,57aを介して、ソース/ドレイン電極56,57がそれぞれ活性層52のソース/ドレイン領域52b,52cに接するように形成される。ソース/ドレイン電極56,57の上部には、絶縁層が形成されうる。絶縁層は、SiO、SiNなどからなるパッシベーション膜58、及びパッシベーション膜58の上部に配されるアクリル、ポリイミド(polyimide)、BCB(benzocyclobutene)などの有機物質からなる平坦化膜59でありうる。
【0044】
基板101の画素領域Pに対応するように、平坦化膜59の上部に、第1電極111が形成されうる。第1電極111は、複数個の画素領域Pそれぞれに対応するように、パターニングされうる。第1電極111は、アノード電極またはカソード電極でありうる。第3電極117は、第1電極111に対向して配され、第1電極111がアノード電極であるとき、第3電極117はカソード電極になり、第1電極111がカソード電極であるとき、第3電極117はアノード電極になりうる。
【0045】
第1電極111は、透明電極でありうる。従って、第1電極111は、第1中間層113で発せられた光を透過させることができる。基板101もやはり、光を透過させるので、第1中間層113で発せられた光は、第1電極111と基板101とを透過し、基板101側に画像が具現されうる。第1電極111がアノードである場合、仕事関数の大きい酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、ZnOまたはInなどから形成されうる。
【0046】
第1電極111がITOである場合、第1電極111は、多結晶ITOでありうる。多結晶ITOは、非晶質ITOに比べて緻密な組織を有し、耐久性にすぐれる。従って、多結晶ITOの第1電極111は、後続工程、例えば、第2電極112を形成するためのエッチング工程中にも、表面損傷を防止することができる。多結晶ITOの第1電極111は、表面損傷が最小化されるので、第1電極111上に配される第1中間層113との接合特性が向上しうる。多結晶ITOは、非晶質ITOを、200ないし400℃で熱処理して形成することができる。
【0047】
第1電極111は、第1発光領域111aと第2発光領域111bとに区画されうる。第1発光領域111a上には、第1中間層113が形成され、第2発光領域111b上には、第2電極112が形成されうる。第2電極112は、反射電極でありうる。第1電極111の第2発光領域111b上には、第2電極112と第2中間層114とが積層されるので、第2中間層114で発せられた光は、第2電極112で反射され、密封部材102に向かって放出されうる。従って、第2発光領域111bでは、前面発光型(top emission type)が具現されうる。また、第1発光領域111aでは、第1中間層113で発せられた光が第1電極111を透過し、基板101側に画像を具現し、かつ第3電極117を透過し、密封部材102側に画像を具現することができる。従って、第1発光領域111aでは、前面発光型と背面発光型(bottom emission type)とがいずれも具現可能である。
【0048】
第2電極112は、複数層の金属層からなりうる。一例として、図2に図示されているように、第2電極112は、3層の金属層から形成されうる。第2電極112は、第1電極111上に積層された、第3金属層112a、第1金属層112b及び第2金属層112cからなりうる。他の変形例として、第2電極112は、第1電極111上に積層された第1金属層112b及び第2金属層112cからなりうる。
【0049】
第2金属層112cと第3金属層112aは、透過電極または透明電極であり、第1金属層112bは、第2中間層114で発せられる光を反射させることができる金属でありうる。第2金属層112cと第3金属層112aは、ITO、IZO、ZnOまたはInなどから形成され、第1金属層112bは、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca、またはそれらの混合物または合金などから形成されうる。
【0050】
第1電極111の厚みt1は、第3金属層112aの厚みt2よりさらに厚く形成されうる。一例として、第1電極111の厚みt1は、第3金属層112aの厚みt2の2倍以上でありうる。第1電極111を第3金属層112aに比べて厚く形成することによって、エッチングによって第2電極112を形成するとき、第1電極111の損傷を低減させることができる。すなわち、第2電極112は、第1電極111上に金属を積層させた後、エッチングによってパターニングし、特に第2電極112の第3金属層112aと第1電極111は、同じITOから形成されうるので、第1電極111を厚く形成することによって、第2電極112形成のためのエッチング工程時に、第1電極111が損傷されることを防止することができる。
【0051】
平坦化膜59上には、第1電極111と第2電極112とを露出させる開口116aを有する画素定義膜116が形成されうる。画素定義膜116は、有機物からなりうる。画素定義膜116に対応する基板101上に、画素回路部50が形成されうる。前述のように、第1中間層113で発せられた光は、第1電極111を透過し、基板101に向かって放出されるが、画素回路部50が基板101の画素領域ではない画素定義膜116に対応するように配されることによって、第1中間層113で発生し、第1電極111を透過する光の光取り出し効率を向上させることができる。
【0052】
画素定義膜116の開口116aによって露出された第1電極111と第2電極112との上には、第1中間層113及び第2中間層114が形成されうる。第1中間層113及び第2中間層114は、発光層を含むことができる。
【0053】
有機電界発光素子OLEDは、電流の流れによって、赤色、緑色、青色の光を発光して所定の画像情報を表示するものであり、薄膜トランジスタのドレイン電極57に連結され、それからプラス(+)電源を供給される第1電極111、全体画素を覆うように備わり、マイナス(−)電源を供給される第3電極117、及びそれら第1電極111と第3電極117との間に配されて発光する第1中間層113並びに第2中間層114から構成されうる。第1電極111と第3電極117との間に、第1中間層113及び第2中間層114が配され、第1中間層113及び第2中間層114に、互いに異なる極性の電圧を加え、第1中間層113及び第2中間層114で発光を行わせる。
【0054】
ここで、第1中間層113及び第2中間層114としては、低分子有機層または高分子有機層が使われうるが、低分子有機層を使用する場合、ホール注入層(HIL:hole injection layer)、ホール輸送層(HTL:hole transport layer)、発光層(EML:emission layer)、電子輸送層(ETL:electron transport layer)、電子注入層(EIL:electron injection layer)などが、単一あるいは複合の構造で積層されることで形成され、使用可能な有機材料としては、銅フタロシアニン(CuPc)、N,N−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン(NPB)、トリス−8−ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq3)などを始めとした多様な材料が適用可能である。それら低分子有機層は、真空蒸着の方法で形成される。
【0055】
高分子有機層の場合は、概して、ホール輸送層(HTL)及び発光層(EML)を備える構造を有することができ、このとき、ホール輸送層としてポリエチレンジヒドロキシチオフェン(PEDOT)を使用し、発光層としてPPV(ポリフェニレンビニレン)系及びポリフルオレン系の高分子有機物質を使用し、これをスクリーン印刷法やインクジェット印刷法で形成することができる。また、第1中間層113及び第2中間層114は、インキジェット方式で形成されうる。更に、第1中間層113及び第2中間層114は、スピンコーティング法で形成されうる。
【0056】
このような第1中間層113及び第2中間層114は、必ずしもこれらに限定されるものではなく、多様な実施形態が適用されうることは言うまでもない。
【0057】
第1中間層113は、第1電極111の第1発光領域111a上に形成され、第2中間層114は、第1電極111の第2発光領域111b上に形成された第2電極112上に形成されうる。前述のように、第1電極111及び第3電極117は、透明電極であり、第2電極112は、反射電極であるから、第1中間層113で発せられた光は、第1電極111と第3電極117とを透過し、基板101と密封部材102とで画像を具現し、第2中間層114で発せられた光は、第3電極117を透過し、また第2電極112に反射され、密封部材102で画像を具現することができる。すなわち、本発明の一実施形態は、1つの副画素で、前面発光と背面発光とがなされうる。1つのトランジスタによって、前面発光と背面発光とが制御されうる。
【0058】
第1中間層113及び第2中間層114のそれぞれで発せられた光は、同じ共振効果を有することができる。第1中間層113で発せられた光は、第1電極111と第3電極117との間で反射されて放出され、第2中間層114で発せられた光は、第2電極112と第3電極117との間で反射されて放出される。第1電極111と第3電極117との間の距離t3と、第2電極112と第3電極117との間の距離t4とによって、前記光は共振現象を発生させる。本発明の一実施形態は、1画素内で、第1中間層113と第2中間層114とがいずれも前面発光を行うが、第1中間層113及び第2中間層114のそれぞれで発せられた光は、同じ色相を具現するので、前記光は同じ共振効果を有することになる。従って、第1電極111と第3電極117との間の距離t3、及び第2電極112と第3電極117との間の距離t4、すなわち光学的距離は、同一に形成される。第1発光領域111aと第2発光領域111bとで、同じ光学的距離を有するために、第1中間層113の厚みt3と、第2中間層114の厚みt4とを同一に形成する。第1中間層113の厚みt3と、第2中間層114の厚みt4とを同一に形成するために、第1中間層113と第2中間層114とを同じ工程で形成することができる。これにより、第1中間層113と第2中間層114とを異なって形成することによって発生しうる不良率を低下させることができ、第1中間層113と第2中間層114とを同一工程で同じ厚みに形成するので、生産性を向上させることができる。
【0059】
第3電極117は、第1中間層113及び第2中間層114上に形成されうる。第3電極117は、透過電極または透明電極でありうる。第3電極117は、仕事関数の小さい導電性の金属であり、Mg、Ca、Al、Ag及びそれらの合金からなる群から選択された一種の物質から形成されうる。一例として、第3電極117は、MgAgでありうる。この場合、第3電極117は、光取り出し効率を極大化するために、100Åないし200Åの厚みに形成されうる。
【0060】
本発明は、図面に図示された実施形態を参考にして説明したが、それらは例示的なものに過ぎず、本技術分野の当業者であるならば、これらから多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解することが可能であろう。従って、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって決まるものである。
【符号の説明】
【0061】
50 画素回路部
51 バッファ層
52 活性層
52a チャネル領域
52b,52c ソース/ドレイン領域
53 ゲート絶縁膜
54 ゲート電極
55 層間絶縁膜
56,57 ソース/ドレイン電極
58 パッシベーション層
59 平坦化膜
100 有機発光表示装置
101 基板
102 密封部材
103 接合部材
105 空間
110 有機発光部
111 第1電極
111a 第1発光領域
111b 第2発光領域
112 第2電極
112a 第3金属層
112b 第1金属層
112c 第2金属層
113 第1中間層
114 第2中間層
116 画素定義膜
116a 開口
117 第3電極
t1 第1電極の厚み
t2 第3金属層の厚み
t3 第1中間層の厚み
t4 第2中間層の厚み

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の画素領域に区画された基板と、
前記基板上のそれぞれの前記画素領域に形成され、第1発光領域と第2発光領域とに区画される第1電極と、
前記第1電極の前記第1発光領域上に形成される第1中間層と、
前記第1電極の前記第2発光領域上に形成される第2中間層と、
前記第1電極と前記第2中間層との間に配される第2電極と、
前記第1中間層及び前記第2中間層上に形成される第3電極と、を具備し、
前記第1中間層で発せられた光は、前記第1電極と前記第3電極とを透過し、
前記第2中間層で発せられた光は、前記第3電極を透過することを特徴とする有機発光表示装置。
【請求項2】
前記基板は、前記第1中間層で発せられた光を透過させることを特徴とする請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項3】
前記第1電極は、前記第1中間層で発せられた光を透過させることを特徴とする請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項4】
前記第1電極は、透明電極であることを特徴とする請求項3に記載の有機発光表示装置。
【請求項5】
前記第1電極は、ITO、IZO、ZnO及びInのうちいずれか一つからなることを特徴とする請求項4に記載の有機発光表示装置。
【請求項6】
前記第1電極は、結晶化されたITOからなることを特徴とする請求項4に記載の有機発光表示装置。
【請求項7】
前記第2電極は、前記第2中間層で発せられた光を反射させることを特徴とする請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項8】
前記第2電極は、前記第1電極上に積層された複数層の金属層からなることを特徴とする請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項9】
前記第2電極は、前記第1電極上に積層された第1金属層と第2金属層とからなることを特徴とする請求項8に記載の有機発光表示装置。
【請求項10】
前記第1金属層は、前記第2中間層で発せられた光を反射させる金属からなり、前記第2金属層は、前記第2中間層で発せられた光を透過させる金属からなることを特徴とする請求項9に記載の有機発光表示装置。
【請求項11】
前記第1金属層は、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、それらの化合物、及びそれらの混合物のうちいずれか一つからなり、前記第2金属層は、ITO、IZO、ZnO及びInのうちいずれか一つからなることを特徴とする請求項10に記載の有機発光表示装置。
【請求項12】
前記第2電極は、第1電極と前記第1金属層との間に、第3金属層をさらに具備することを特徴とする請求項8に記載の有機発光表示装置。
【請求項13】
前記第3金属層は、ITO、IZO、ZnO及びInのうちいずれか一つからなることを特徴とする請求項12に記載の有機発光表示装置。
【請求項14】
前記第1電極は、前記第2金属層及び前記第3金属層より厚みがさらに厚く形成されることを特徴とする請求項12に記載の有機発光表示装置。
【請求項15】
前記第1中間層及び前記第2中間層のそれぞれで発せられた光は、同じ共振効果を奏するように光学距離が同じであることを特徴とする請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項16】
前記第1中間層の厚みは、前記第2中間層の厚みと同じであることを特徴とする請求項15に記載の有機発光表示装置。
【請求項17】
前記第3電極は、透明電極または透過電極であることを特徴とする請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項18】
前記透過電極は、MgAgであることを特徴とする請求項17に記載の有機発光表示装置。
【請求項19】
前記第3電極の厚みは、100Åないし200Åであることを特徴とする請求項18に記載の有機発光表示装置。
【請求項20】
前記基板上に配され、前記画素領域を密封する密封部材をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項21】
前記密封部材は、前記第1中間層及び前記第2中間層で発せられた光を透過させることを特徴とする請求項20に記載の有機発光表示装置。
【請求項22】
前記基板上に配され、前記第1電極を露出させる開口を有する画素定義膜と、
前記基板と前記第1電極との間に配され、前記第1電極と電気的に連結される画素回路部と、
前記画素回路部と前記第1電極との間に配される絶縁層と、をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項23】
前記画素回路部は、薄膜トランジスタであることを特徴とする請求項22に記載の有機発光表示装置。
【請求項24】
前記画素回路部が前記画素定義膜に対応するように、前記基板上に配されることを特徴とする請求項22に記載の有機発光表示装置。
【請求項25】
前記第1中間層及び前記第2中間層は、同じ物質からなることを特徴とする請求項1に記載の有機発光表示装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−94513(P2012−94513A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229645(P2011−229645)
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Mobile Display Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】San #24 Nongseo−Dong,Giheung−Gu,Yongin−City,Gyeonggi−Do 446−711 Republic of KOREA
【Fターム(参考)】