有機発光装置
【課題】低抵抗特性を示し、透過率が高い電極を含む有機発光装置を提供する。
【解決手段】有機発光装置は、第1電極、それと対向する第2電極、及び第1電極及び第2電極の間に位置する発光層を含み、第1電極は、下記化学式1で示されるイッテルビウム(Yb)合金を含む:
式中、Mは銀(Ag)、カルシウム(Ca)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、インジウム(In)、タングステン(W)及びこれらの組み合わせからなる群より選択される金属である。
【解決手段】有機発光装置は、第1電極、それと対向する第2電極、及び第1電極及び第2電極の間に位置する発光層を含み、第1電極は、下記化学式1で示されるイッテルビウム(Yb)合金を含む:
式中、Mは銀(Ag)、カルシウム(Ca)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、インジウム(In)、タングステン(W)及びこれらの組み合わせからなる群より選択される金属である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年では、モニターまたはテレビなどの軽量化及び薄型化が要求されており、このような要求によって、陰極線管(cathode ray tube、CRT)が液晶表示装置(liquid−crystal−display、LCD)によって代替されている。
【0003】
しかし、液晶表示装置は、受発光素子であって、別途バックライト(back light)が必要であり、応答速度及び視野角などに限界がある。
【0004】
最近では、このような限界を克服することができる表示装置として、有機発光装置(organic light emitting diode display、OLED display)が注目されている。
【0005】
有機発光装置は、二つの電極及びその間に位置する発光層を含み、一つの電極から注入された電子(electron)及び他の電極から注入された正孔(hole)が発光層で結合して励起子(exciton)を形成し、励起子がエネルギーを放出しながら発光する。
【0006】
そして、発光層から発光した光は、二つの電極のうちの少なくとも一つを通過して外部に放出される。このときに、発光層から発光した光が電極によって失われるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、低抵抗特性を示し、透過率が高い電極を含む有機発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態によれば、第1電極、前記第1電極と対向する第2電極、並びに前記第1電極及び前記第2電極の間に位置する発光層を含み、前記第1電極は、下記化学式1:
【0009】
【化1】
【0010】
式中、Mは銀(Ag)、カルシウム(Ca)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、インジウム(In)、タングステン(W)及びこれらの組み合わせからなる群より選択される金属である、
で示されるイッテルビウム(Yb)合金を含む、有機発光装置が提供される。
【0011】
前記イッテルビウム合金は、Yb:Mの比率が約20:1〜約1:20である。
【0012】
または、前記イッテルビウム合金は、Yb:Mの比率が約5:1〜約1:6である。
【0013】
または、前記イッテルビウム合金は、Yb:Mの比率が約1:1である。
【0014】
前記第1電極は、可視光線領域で光透過率が約40%以上である。
【0015】
好ましくは、前記第1電極は、可視光線領域で光透過率が約40〜95%である。
【0016】
前記第1電極は、約50〜500Åの厚さの範囲で面抵抗が約500Ω/cm2以下である。
【0017】
好ましくは、前記第1電極は、約50〜500Åの厚さの範囲で面抵抗が約1〜500Ω/cm2である。
【0018】
前記第1電極は、厚さが約50〜500Åである。
【0019】
前記イッテルビウム合金は、イッテルビウム−銀合金(YbAg)である。
【0020】
本発明の他の実施形態によれば、前記第1電極は、前記化学式1で示されるイッテルビウム(Yb)合金を含む第1層、及び銀(Ag)、カルシウム(Ca)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、インジウム(In)、タングステン(W)、これらの合金、またはこれらの組み合わせを含む第2層を含む、有機発光装置が提供される。
【0021】
前記第1層は、厚さが約5〜200Åであり、前記第2層は、厚さが約50〜300Åである。
【0022】
前記第1層は、イッテルビウム−銀合金(YbAg)を含み、前記第2層は、銀(Ag)または銀合金を含む。
【0023】
前記第2電極は、透明導電層を含む。
【0024】
前記第2電極は、反射層を含み、前記発光層は、白色発光する。
【0025】
前記第2電極は、透明導電層をさらに含む。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、低抵抗特性を示し、透過率が高い電極を含む有機発光装置を提供しうる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態である有機発光装置を示した断面図である。
【図2】本発明の他の実施形態である有機発光装置を示した断面図である。
【図3】本発明の他の実施形態である有機発光装置を示した断面図である。
【図4】実施例1−1〜1−9及び比較例1及び2によって製作された有機発光素子の面抵抗を示した棒グラフである。
【図5】実施例2−1〜2−4及び比較例3によって製作された有機発光素子の面抵抗を示した棒グラフである。
【図6A】実施例によって製造された有機発光素子の光透過率を示したグラフである。図6Aは実施例1−4によって製作された有機発光素子の光透過率を示したグラフである。
【図6B】実施例によって製造された有機発光素子の光透過率を示したグラフである。図6Bは実施例2−1によって製作された有機発光素子の光透過率を示したグラフである。
【図6C】比較例によって製造された有機発光素子の光透過率を示したグラフである。図6Cは比較例3によって製作された有機発光素子の光透過率を示したグラフである。
【図7A】実施例によって製造された有機発光素子の反射率を示したグラフである。図7Aは実施例1−4によって製作された有機発光素子の反射率を示したグラフである。
【図7B】実施例によって製造された有機発光素子の反射率を示したグラフである。図7Bは実施例2−1によって製作された有機発光素子の反射率を示したグラフである。
【図7C】比較例によって製造された有機発光素子の反射率を示したグラフである。図7Cは比較例3によって製作された有機発光素子の反射率を示したグラフである。
【図8A】実施例によって製造された有機発光素子の吸収率を示したグラフである。図8Aは実施例1−4によって製作された有機発光素子の吸収率を示したグラフである。
【図8B】実施例によって製造された有機発光素子の吸収率を示したグラフである。図8Bは実施例2−1によって製作された有機発光素子の吸収率を示したグラフである。
【図8C】比較例によって製造された有機発光素子の吸収率を示したグラフである。図8Cは比較例3によって製作された有機発光素子の吸収率を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態について、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳細に説明する。しかし、本発明は多様な相異した形態で実施されうるため、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0029】
なお、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。例えば、本明細書の図面では、多様な層及び領域を明確に示すために、厚さを拡大して示した。明細書全体を通して同一の要素については、同一の符号を付し、重複する説明を省略する。層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上」にあるとするとき、これは他の部分の「直上」にある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も意味する。反対に、ある部分が他の部分の「直上」にあるとするとき、これはその中間に他の部分がないことを意味する。
【0030】
ここで、図1を参照して、本発明の一実施形態である有機発光装置について説明する。
【0031】
図1は本発明の一実施形態である有機発光装置を示した断面図である。
【0032】
図1の実施形態によれば、有機発光装置は、基板110、前記基板110上に形成されている下部電極191、前記下部電極191と対向する上部電極270、並びに下部電極191及び上部電極270の間に介在されている発光部材370を含む。
【0033】
基板110は、ガラス基板、シリコンウエハ、高分子膜などで形成される。
【0034】
下部電極191及び上部電極270の一方はカソード(cathode)であり、他方はアノード(anode)である。
【0035】
下部電極191及び上部電極270の少なくとも一方は透明電極であり、下部電極191が透明電極である場合には、基板110側に光を放出する背面発光(bottom emission)である。これに対し、上部電極270が透明電極である場合には、基板110の反対側に光を放出する前面発光(top emission)である。また、下部電極191及び上部電極270の両方が透明電極である場合には、基板110側及び基板110の反対側に両面発光することができる。
【0036】
前記透明電極は、イッテルビウム(Yb)合金で形成される。
【0037】
イッテルビウム(Yb)合金は、下記化学式1で示され、
【0038】
【化2】
【0039】
化学式1において、Mは銀(Ag)、カルシウム(Ca)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、インジウム(In)、タングステン(W)、これらの合金及びこれらの組み合わせからなる群より選択される金属である。
【0040】
イッテルビウム(Yb)は、仕事関数(work function)が約2.6程度と比較的低く、発光層への電子の注入が容易であり、可視光線領域での屈折率及び吸収率が低く、光透過率が高い。また、イッテルビウム(Yb)は、厚さを薄く形成する場合にもバルク特性を示して、安定した薄膜を形成することができる。
【0041】
銀(Ag)、カルシウム(Ca)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、インジウム(In)及びタングステン(W)は、比抵抗が約15μΩcm以下の低抵抗金属で、前記イッテルビウム(Yb)と合金を構成することによって、電極の抵抗を低くすることができる。さらに、低抵抗の観点から、これらのうち、銀(Ag)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)が好ましく、銀(Ag)、銅(Cu)がより好ましく、銀(Ag)がさらに好ましい。
【0042】
このようなイッテルビウム(Yb)及び低抵抗金属を含むイッテルビウム合金を透明電極として使用すると、厚さを薄く積層する場合にも低い屈折率及び吸収率が維持され、光透過率を高くすることができると同時に、低抵抗特性を示すことができる。
【0043】
イッテルビウム合金を含む透明電極は、可視光線領域で光透過率が約40%以上であり、好ましくは約40〜95%である。
【0044】
また、イッテルビウム合金は、このように光透過率が高いにもかかわらず、約50〜500Åの厚さを基準にして面抵抗が約500Ω/cm2以下と低い。イッテルビウム合金の面抵抗は、前記厚さの範囲で約1〜500Ω/cm2である。また、イッテルビウム合金の面抵抗は、前記厚さの範囲で、好ましくは、約1〜400Ω/cm2であり、より好ましくは約1〜300Ω/cm2であり、さらに好ましくは約1〜200Ω/cm2である。イッテルビウム合金の面抵抗が、前記厚さの範囲で、1〜500Ω/cm2の範囲にある場合、電極の抵抗を低くして導電性を改善することができる。
【0045】
イッテルビウム合金は、イッテルビウム及び金属の比率が約20:1〜約1:20の範囲で組み合わせられ、この中でも好ましくは約5:1〜約1:6の範囲で組み合わせられる。Yb:Mの比率が20:1〜1:20の範囲にある場合、光透過率を高くすると共に、低抵抗特性を維持することができる。このような光透過率および低抵抗特性を同時に満たすためには、前記範囲内でYb:Mの比率が約5:1〜約1:6の範囲であるのが好ましく、前記範囲内でもYb:Mの比率が1:1の場合がさらに好ましい。
【0046】
なお、本明細書において、イッテルビウム及び金属の比率(Yb:Mの比率)は、モル比率を意味する。
【0047】
イッテルビウム合金で形成された透明電極は、厚さが約50〜500Åである。また、好ましくは厚さが50〜300Åであり、さらに好ましくは50〜200Åである。厚さが50〜500Åの範囲であることによって、光透過率及び低抵抗特性を同時により満たすことができる。
【0048】
下部電極191及び上部電極270の両方が透明電極である場合には、これらの一方は前記イッテルビウム合金で形成された電極であり、他方は透明導電性酸化物で形成された電極でありうる。透明導電性酸化物は、例えば、インジウム錫酸化物(indium tin oxide、ITO)またはインジウム亜鉛酸化物(indium zin coxide、IZO)などがある。
【0049】
下部電極191及び上部電極270の一方が透明電極である場合には、透明電極は前記イッテルビウム合金で形成され、他方は不透明導電層である。不透明導電層は、例えばアルミニウム(Al)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、銀(Ag)またはこれらの組み合わせなどの金属で形成される。
【0050】
発光部材370は、通常、発光層(emitting layer)及び発光層の発光効率を改善させるための補助層(auxiliary layer)を含む多層構造からなる。
【0051】
発光層は、赤色、緑色、青色の三原色などの基本色(primary color)のうちのいずれか一つの光を固有に放出する有機物質または有機物質及び無機物質の混合物で形成され、例えばポリフルオレン(polyfluorene)誘導体、(ポリ)パラフェニレンビニレン((poly)paraphenylenevinylene)誘導体、ポリフェニレン(polyphenylene)誘導体、ポリフルオレン(polyfluorene)誘導体、ポリビニルカルバゾール(polyvinylcarbazole)誘導体、ポリチオフェン(polythiophene)誘導体、またはこれらの高分子材料にペリレン(perylene)、ペリレン系色素、クマリン(coumarin)、クマリン系色素、ローダミン系色素、ルブレン(rubrene)、9,10−ジフェニルアントラセン(9,10−diphenylanthracene)、テトラフェニルブタジエン(tetraphenylbutadiene)、ナイルレッド(Nile red)、キナクリドン(quinacridone)などをドーピングした化合物を含む。有機発光装置は、発光層から放出される基本色の光の空間的な合計によって所望の画像を表示する。
【0052】
補助層としては、電子及び正孔の均衡を合わせるための電子輸送層(electron transport layer)及び正孔輸送層(hole transport layer)、そして電子及び正孔の注入を強化するための電子注入層(electroninjection layer)及び正孔注入層(hole injection layer)などがあり、これらの中から選択された一つまたは二つ以上の層を含む。
【0053】
以下、図2を参照して、本発明の他の実施形態である有機発光装置について説明する。前述した実施形態と重複する説明は省略する。
【0054】
図2は本発明の他の実施形態である有機発光装置を示した断面図である。
【0055】
図2を参照すれば、本実施形態である有機発光装置は、基板110、前記基板110上に形成されている下部電極191、前記下部電極191と対向して、下部層270a及び上部層270bを含む上部電極270、並びに下部電極191及び上部電極270の間に介在されている発光部材370を含む。
【0056】
本実施形態による有機発光装置は、前述した実施形態とは異なって、上部電極270が下部層270a及び上部層270bを含む複数の層で形成されている。
【0057】
下部層270aは、イッテルビウム(Yb)合金で形成される。
【0058】
イッテルビウム(Yb)合金は、下記化学式1で示され、
【0059】
【化3】
【0060】
化学式1において、Mは銀(Ag)、カルシウム(Ca)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、インジウム(In)、タングステン(W)及びこれらの組み合わせからなる群より選択される金属である。
【0061】
イッテルビウム合金を用いることで、厚さを薄く積層する場合にも低い屈折率及び吸収率が維持され、光透過率を高くすることができると同時に、低抵抗特性を示すことができる。
【0062】
上部層270bは、銀(Ag)、カルシウム(Ca)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、インジウム(In)、タングステン(W)、これらの合金、またはこれらの組み合わせで形成される。このような金属は、各々比抵抗が約15μΩcm以下の低抵抗金属で、電極の抵抗を低くすることができる。
【0063】
低抵抗の観点から、前記上部層270bは、Mが銀(Ag)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)であるイッテルビウム(Yb)合金が好ましい。
【0064】
下部層270a及び上部層270bは、厚さが各々約5〜200Å及び約50〜300Åである。よって、上部電極270が下部層270a及び上部層270bを含む場合、上部電極270の厚さは、55〜500Åである。下部層270aの厚さは、5〜150Åが好ましく、5〜100Åがより好ましい。また、上部層270bは、50〜200Åが好ましく、50〜100Åがより好ましい。上部電極270が下部層270a及び上部層270bを含む場合、上部電極270の厚さが55〜500Åの範囲であることによって、光透過率及び低抵抗特性を同時により満たすことができる。
【0065】
このように、イッテルビウム合金で形成された下部層270a及び低抵抗金属で形成された上部層270bを含むことによって、イッテルビウム合金による高い光透過率を確保しつつ、低抵抗金属による低抵抗特性を示すことができる。
【0066】
本実施形態では、上部電極270が透明電極である場合を例示して説明したが、これに限定されず、下部電極191が透明電極であってもよく、この場合には、下部電極191がイッテルビウム合金で形成された層及び低抵抗金属で形成された層を含む複数の層で形成されることができる。
【0067】
また、上部電極270及び下部電極191の両方が透明電極である場合には、上部電極270及び下部電極191の一方はイッテルビウム合金で形成された層及び低抵抗金属で形成された層を含む複数の層で形成され、他方は透明導電性酸化物などのまた他の透明導電体で形成される。
【0068】
以下、図3を参照して、本発明のさらに他の実施形態である有機発光装置について説明する。前述した実施形態と重複する説明は省略する。
【0069】
図3は本発明のまた他の実施形態である有機発光装置を示した断面図である。
【0070】
図3を参照すれば、本実施形態である有機発光装置は、基板110、前記基板110上に形成されて、反射層191a及び透明導電層191bを含む下部電極191、前記下部電極191と対向する上部電極270、並びに下部電極191及び上部電極270の間に介在されている発光部材370を含む。
【0071】
本実施形態による有機発光装置は、前述した実施形態とは異なって、下部電極191が反射層191a及び透明導電層191bを含む複数の層で形成され、上部電極270は前述したイッテルビウム合金で形成される。
【0072】
反射層191aは、例えばアルミニウム(Al)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、銀(Ag)、またはこれらの組み合わせなどの不透明金属で形成され、透明導電層191bは、例えばインジウム錫酸化物(ITO)またはインジウム亜鉛酸化物(IZO)で形成される。
【0073】
反射層191aは、イッテルビウム合金で形成された上部電極270と共に微細共振(microcavity)効果を発生させることができる。微細共振効果は、光が所定の距離だけ離れている反射層及び透明層(半透明層)で反復的に反射することによって、特定の波長の光を増幅させるものである。
【0074】
反射層191aを含む下部電極191は、発光層から放出される光の発光特性を大きく改質する微細空洞を形成し、微細共振の共鳴波長に相応する波長付近の光は上部電極270を通じて強化され、他の波長の光は抑制される。このとき、特定の波長の光の強化及び抑制は、下部電極191及び上部電極270の間の距離によって決定される。下部電極191及び上部電極270の間の距離は、例えば発光部材370の厚さの調節によって制御することができ、これによって特定の波長の光を強化及び抑制することができる。しかし、これに限定されず、多様な方法で下部電極191及び上部電極270の間の距離を制御することができる。
【0075】
発光部材370に含まれている発光層は、白色発光することができる。白色発光は、例えば赤色、緑色、及び青色発光層を組み合わせて実現することができる。
【0076】
本発明において、イッテルビウム(Yb)合金は、市販品として入手することができる。
【0077】
本発明において、イッテルビウム(Yb)合金を含む電極を作成する方法は、公知の方法を用いて、蒸着を行い、得ることができる。
【実施例】
【0078】
以下、実施例を通して本発明をより詳細に説明する。しかし、下記の実施例は単に説明を目的とするものであり、本発明の範囲を制限するものではない。
【0079】
<有機発光素子の製作>
[実施例1−1]
ガラス基板上にITOを積層してパターニングした後、電子伝達層としてAlq3(トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム)を蒸着し、その上に発光層としてAlq3にクマリン6(coumarin6)を1重量%ドーピングして共蒸着し、正孔注入層及び正孔伝達層としてNPB(N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン)を蒸着した。次に、その上にイッテルビウム(Yb)−銀(Ag)合金(Yb:Ag=5:1)を100Åの厚さに熱蒸着した。
【0080】
[実施例1−2]
イッテルビウム(Yb)−銀(Ag)合金をYb:Ag=3:1となるように蒸着したことを除いては、実施例1−1と同様の方法で有機発光素子を製作した。
【0081】
[実施例1−3]
イッテルビウム(Yb)−銀(Ag)合金をYb:Ag=2:1となるように蒸着したことを除いては、実施例1−1と同様の方法で有機発光素子を製作した。
【0082】
[実施例1−4]
イッテルビウム(Yb)−銀(Ag)合金をYb:Ag=1:1となるように蒸着したことを除いては、実施例1−1と同様の方法で有機発光素子を製作した。
【0083】
[実施例1−5]
イッテルビウム(Yb)−銀(Ag)合金をYb:Ag=1:1.5となるように蒸着したことを除いては、実施例1−1と同様の方法で有機発光素子を製作した。
【0084】
[実施例1−6]
イッテルビウム(Yb)−銀(Ag)合金をYb:Ag=1:2となるように蒸着したことを除いては、実施例1−1と同様の方法で有機発光素子を製作した。
【0085】
[実施例1−7]
イッテルビウム(Yb)−銀(Ag)合金をYb:Ag=1:3となるように蒸着したことを除いては、実施例1−1と同様の方法で有機発光素子を製作した。
【0086】
[実施例1−8]
イッテルビウム(Yb)−銀(Ag)合金をYb:Ag=1:4となるように蒸着したことを除いては、実施例1−1と同様の方法で有機発光素子を製作した。
【0087】
[実施例1−9]
イッテルビウム(Yb)−銀(Ag)合金をYb:Ag=1:6となるように蒸着したことを除いては、実施例1−1と同様の方法で有機発光素子を製作した。
【0088】
[実施例2−1]
ガラス基板上にITOを積層してパターニングした後、電子伝達層としてAlq3(トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム)を蒸着し、その上に発光層としてAlq3にクマリン6(coumarin6)を1重量%ドーピングして共蒸着し、正孔注入層及び正孔伝達層としてNPB(N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン)を蒸着した。次に、イッテルビウム(Yb)−銀(Ag)合金(Yb:Ag=5:1)を40Åの厚さに蒸着し、その上に銀(Ag)を70Åの厚さに蒸着した。
【0089】
[実施例2−2]
イッテルビウム(Yb)−銀(Ag)合金をYb:Ag=3:1となるように蒸着したことを除いては、実施例2−1と同様の方法で有機発光素子を製作した。
【0090】
[実施例2−3]
イッテルビウム(Yb)−銀(Ag)合金をYb:Ag=2:1となるように蒸着したことを除いては、実施例2−1と同様の方法で有機発光素子を製作した。
【0091】
[実施例2−4]
イッテルビウム(Yb)−銀(Ag)合金をYb:Ag=1:1となるように蒸着したことを除いては、実施例2−1と同様の方法で有機発光素子を製作した。
【0092】
[比較例1]
イッテルビウム(Yb)−銀(Ag)合金の代わりに純粋なイッテルビウム(pureYb)を100Åの厚さに蒸着したことを除いては、実施例1−1と同様の方法で有機発光素子を製作した。
【0093】
[比較例2]
イッテルビウム(Yb)−銀(Ag)合金の代わりに純粋なアルミニウム(pureAl)を100Åの厚さに蒸着したことを除いては、実施例1−1と同様の方法で有機発光素子を製作した。
【0094】
[比較例3]
イッテルビウム(Yb)−銀(Ag)合金及び銀(Ag)を順次に蒸着する代わりに、純粋なイッテルビウム(Yb)を40Åの厚さに蒸着し、その上に純粋なアルミニウム(Al)を70Åの厚さに蒸着したことを除いては、実施例2−1と同様の方法で有機発光素子を製作した。
【0095】
<評価−1>
前記実施例1−1〜1−9及び比較例1及び2によって製作された有機発光素子の抵抗特性を評価した。ここで、抵抗は、面抵抗を測定し、面抵抗は、4端子測定(4 point probe)法で測定した。
【0096】
これについて、図4及び表1を参照して説明する。
【0097】
図4は、実施例1−1〜1−9並びに比較例1及び2によって製作された有機発光素子の面抵抗を示した棒グラフである。
【0098】
【表1】
【0099】
表1及び図4を参照すれば、イッテルビウム(Yb)−銀(Ag)合金を使用すると、純粋なイッテルビウムを使用した場合に比べて面抵抗が顕著に減少することが分かる。また、純粋なアルミニウムを100Å程度の厚さに非常に薄く形成すると、抵抗が無限大に高くなって、面抵抗の測定が不可能であることが分かる。
【0100】
<評価−2>
前記実施例2−1〜2−4及び比較例3によって製作された有機発光素子の抵抗特性を評価した。ここで、抵抗は、前記と同様な方法で測定した。
これについて、図5及び表2を参照して説明する。
【0101】
図5は実施例2−1〜2−4及び比較例3によって製作された有機発光素子の面抵抗を示した棒グラフである。
【0102】
【表2】
【0103】
表2及び図5を参照すれば、イッテルビウム(Yb)−銀(Ag)合金を使用すると、イッテルビウム(Yb)層/銀(Ag)層が積層された構造を適用した場合に比べて面抵抗が減少することが分かる。
【0104】
<評価−3>
実施例1−4、実施例2−1、及び比較例3による有機発光素子について、光透過率、反射率、及び吸収率を測定した。
【0105】
これについて図6A〜図8Cを参照して説明する。
【0106】
図6A〜図6Cは各々実施例1−4、実施例2−1、及び比較例3による有機発光素子の光透過率を示したグラフであり、図7A〜図7Cは各々実施例1−4、実施例2−1、及び比較例3による有機発光素子の反射率を示したグラフであり、図8A〜図8Cは各々実施例1−4、実施例2−1、及び比較例3による有機発光素子の吸収率を示したグラフである。
【0107】
図6A〜図6Cを参照すれば、実施例1−4(図6A)及び実施例2−1(図6B)による有機発光素子は、可視光線領域で約70%以上の光透過率を示す反面、比較例3(図6C)による有機発光素子は、可視光線領域で50〜60%の範囲の比較的低い光透過率を示すことが分かる。特に、実施例1−4による有機発光素子、つまりイッテルビウム(Yb)及び銀(Ag)が1:1に蒸着された場合に、透過率が最も高いことが分かる。
【0108】
図7A〜図7Cを参照すれば、実施例1−4(図7A)及び実施例2−1(図7B)による有機発光素子は、可視光線領域、特に長い波長領域で約10%以下の低い反射率を示す反面、比較例2による有機発光素子(図7C)は、長い波長領域で約15〜20%の比較的高い反射率を示すことが分かる。電極の反射率が低いということは、電極の表面で反射される光の量を減少させて、効率を改善する可能性があることを意味する。
【0109】
図8A〜図8Cを参照すれば、実施例1−4(図8A)及び実施例2−1(図8B)による有機発光素子は、低い光吸収率を示す反面、比較例2(図8C)による有機発光素子は、これらより高い吸収率を示すことが分かる。電極の吸収率が低いということは、電極によって吸収される光の量を減少させて、効率を改善する可能性があることを意味する。
【0110】
このように、本実施例による有機発光素子は、比較例による有機発光素子に比べて反射率及び吸収率が低く、光透過率が高いので、効率を改善することができることが分かる。
【0111】
以上で、本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の多様な変形及び改良形態も、本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0112】
110 基板、
191 下部電極、
191a 反射層、
191b 透明導電層、
270 上部電極、
270a 下部層、
270b 上部層、
370 発光部材。
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年では、モニターまたはテレビなどの軽量化及び薄型化が要求されており、このような要求によって、陰極線管(cathode ray tube、CRT)が液晶表示装置(liquid−crystal−display、LCD)によって代替されている。
【0003】
しかし、液晶表示装置は、受発光素子であって、別途バックライト(back light)が必要であり、応答速度及び視野角などに限界がある。
【0004】
最近では、このような限界を克服することができる表示装置として、有機発光装置(organic light emitting diode display、OLED display)が注目されている。
【0005】
有機発光装置は、二つの電極及びその間に位置する発光層を含み、一つの電極から注入された電子(electron)及び他の電極から注入された正孔(hole)が発光層で結合して励起子(exciton)を形成し、励起子がエネルギーを放出しながら発光する。
【0006】
そして、発光層から発光した光は、二つの電極のうちの少なくとも一つを通過して外部に放出される。このときに、発光層から発光した光が電極によって失われるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、低抵抗特性を示し、透過率が高い電極を含む有機発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態によれば、第1電極、前記第1電極と対向する第2電極、並びに前記第1電極及び前記第2電極の間に位置する発光層を含み、前記第1電極は、下記化学式1:
【0009】
【化1】
【0010】
式中、Mは銀(Ag)、カルシウム(Ca)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、インジウム(In)、タングステン(W)及びこれらの組み合わせからなる群より選択される金属である、
で示されるイッテルビウム(Yb)合金を含む、有機発光装置が提供される。
【0011】
前記イッテルビウム合金は、Yb:Mの比率が約20:1〜約1:20である。
【0012】
または、前記イッテルビウム合金は、Yb:Mの比率が約5:1〜約1:6である。
【0013】
または、前記イッテルビウム合金は、Yb:Mの比率が約1:1である。
【0014】
前記第1電極は、可視光線領域で光透過率が約40%以上である。
【0015】
好ましくは、前記第1電極は、可視光線領域で光透過率が約40〜95%である。
【0016】
前記第1電極は、約50〜500Åの厚さの範囲で面抵抗が約500Ω/cm2以下である。
【0017】
好ましくは、前記第1電極は、約50〜500Åの厚さの範囲で面抵抗が約1〜500Ω/cm2である。
【0018】
前記第1電極は、厚さが約50〜500Åである。
【0019】
前記イッテルビウム合金は、イッテルビウム−銀合金(YbAg)である。
【0020】
本発明の他の実施形態によれば、前記第1電極は、前記化学式1で示されるイッテルビウム(Yb)合金を含む第1層、及び銀(Ag)、カルシウム(Ca)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、インジウム(In)、タングステン(W)、これらの合金、またはこれらの組み合わせを含む第2層を含む、有機発光装置が提供される。
【0021】
前記第1層は、厚さが約5〜200Åであり、前記第2層は、厚さが約50〜300Åである。
【0022】
前記第1層は、イッテルビウム−銀合金(YbAg)を含み、前記第2層は、銀(Ag)または銀合金を含む。
【0023】
前記第2電極は、透明導電層を含む。
【0024】
前記第2電極は、反射層を含み、前記発光層は、白色発光する。
【0025】
前記第2電極は、透明導電層をさらに含む。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、低抵抗特性を示し、透過率が高い電極を含む有機発光装置を提供しうる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態である有機発光装置を示した断面図である。
【図2】本発明の他の実施形態である有機発光装置を示した断面図である。
【図3】本発明の他の実施形態である有機発光装置を示した断面図である。
【図4】実施例1−1〜1−9及び比較例1及び2によって製作された有機発光素子の面抵抗を示した棒グラフである。
【図5】実施例2−1〜2−4及び比較例3によって製作された有機発光素子の面抵抗を示した棒グラフである。
【図6A】実施例によって製造された有機発光素子の光透過率を示したグラフである。図6Aは実施例1−4によって製作された有機発光素子の光透過率を示したグラフである。
【図6B】実施例によって製造された有機発光素子の光透過率を示したグラフである。図6Bは実施例2−1によって製作された有機発光素子の光透過率を示したグラフである。
【図6C】比較例によって製造された有機発光素子の光透過率を示したグラフである。図6Cは比較例3によって製作された有機発光素子の光透過率を示したグラフである。
【図7A】実施例によって製造された有機発光素子の反射率を示したグラフである。図7Aは実施例1−4によって製作された有機発光素子の反射率を示したグラフである。
【図7B】実施例によって製造された有機発光素子の反射率を示したグラフである。図7Bは実施例2−1によって製作された有機発光素子の反射率を示したグラフである。
【図7C】比較例によって製造された有機発光素子の反射率を示したグラフである。図7Cは比較例3によって製作された有機発光素子の反射率を示したグラフである。
【図8A】実施例によって製造された有機発光素子の吸収率を示したグラフである。図8Aは実施例1−4によって製作された有機発光素子の吸収率を示したグラフである。
【図8B】実施例によって製造された有機発光素子の吸収率を示したグラフである。図8Bは実施例2−1によって製作された有機発光素子の吸収率を示したグラフである。
【図8C】比較例によって製造された有機発光素子の吸収率を示したグラフである。図8Cは比較例3によって製作された有機発光素子の吸収率を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態について、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳細に説明する。しかし、本発明は多様な相異した形態で実施されうるため、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0029】
なお、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。例えば、本明細書の図面では、多様な層及び領域を明確に示すために、厚さを拡大して示した。明細書全体を通して同一の要素については、同一の符号を付し、重複する説明を省略する。層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上」にあるとするとき、これは他の部分の「直上」にある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も意味する。反対に、ある部分が他の部分の「直上」にあるとするとき、これはその中間に他の部分がないことを意味する。
【0030】
ここで、図1を参照して、本発明の一実施形態である有機発光装置について説明する。
【0031】
図1は本発明の一実施形態である有機発光装置を示した断面図である。
【0032】
図1の実施形態によれば、有機発光装置は、基板110、前記基板110上に形成されている下部電極191、前記下部電極191と対向する上部電極270、並びに下部電極191及び上部電極270の間に介在されている発光部材370を含む。
【0033】
基板110は、ガラス基板、シリコンウエハ、高分子膜などで形成される。
【0034】
下部電極191及び上部電極270の一方はカソード(cathode)であり、他方はアノード(anode)である。
【0035】
下部電極191及び上部電極270の少なくとも一方は透明電極であり、下部電極191が透明電極である場合には、基板110側に光を放出する背面発光(bottom emission)である。これに対し、上部電極270が透明電極である場合には、基板110の反対側に光を放出する前面発光(top emission)である。また、下部電極191及び上部電極270の両方が透明電極である場合には、基板110側及び基板110の反対側に両面発光することができる。
【0036】
前記透明電極は、イッテルビウム(Yb)合金で形成される。
【0037】
イッテルビウム(Yb)合金は、下記化学式1で示され、
【0038】
【化2】
【0039】
化学式1において、Mは銀(Ag)、カルシウム(Ca)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、インジウム(In)、タングステン(W)、これらの合金及びこれらの組み合わせからなる群より選択される金属である。
【0040】
イッテルビウム(Yb)は、仕事関数(work function)が約2.6程度と比較的低く、発光層への電子の注入が容易であり、可視光線領域での屈折率及び吸収率が低く、光透過率が高い。また、イッテルビウム(Yb)は、厚さを薄く形成する場合にもバルク特性を示して、安定した薄膜を形成することができる。
【0041】
銀(Ag)、カルシウム(Ca)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、インジウム(In)及びタングステン(W)は、比抵抗が約15μΩcm以下の低抵抗金属で、前記イッテルビウム(Yb)と合金を構成することによって、電極の抵抗を低くすることができる。さらに、低抵抗の観点から、これらのうち、銀(Ag)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)が好ましく、銀(Ag)、銅(Cu)がより好ましく、銀(Ag)がさらに好ましい。
【0042】
このようなイッテルビウム(Yb)及び低抵抗金属を含むイッテルビウム合金を透明電極として使用すると、厚さを薄く積層する場合にも低い屈折率及び吸収率が維持され、光透過率を高くすることができると同時に、低抵抗特性を示すことができる。
【0043】
イッテルビウム合金を含む透明電極は、可視光線領域で光透過率が約40%以上であり、好ましくは約40〜95%である。
【0044】
また、イッテルビウム合金は、このように光透過率が高いにもかかわらず、約50〜500Åの厚さを基準にして面抵抗が約500Ω/cm2以下と低い。イッテルビウム合金の面抵抗は、前記厚さの範囲で約1〜500Ω/cm2である。また、イッテルビウム合金の面抵抗は、前記厚さの範囲で、好ましくは、約1〜400Ω/cm2であり、より好ましくは約1〜300Ω/cm2であり、さらに好ましくは約1〜200Ω/cm2である。イッテルビウム合金の面抵抗が、前記厚さの範囲で、1〜500Ω/cm2の範囲にある場合、電極の抵抗を低くして導電性を改善することができる。
【0045】
イッテルビウム合金は、イッテルビウム及び金属の比率が約20:1〜約1:20の範囲で組み合わせられ、この中でも好ましくは約5:1〜約1:6の範囲で組み合わせられる。Yb:Mの比率が20:1〜1:20の範囲にある場合、光透過率を高くすると共に、低抵抗特性を維持することができる。このような光透過率および低抵抗特性を同時に満たすためには、前記範囲内でYb:Mの比率が約5:1〜約1:6の範囲であるのが好ましく、前記範囲内でもYb:Mの比率が1:1の場合がさらに好ましい。
【0046】
なお、本明細書において、イッテルビウム及び金属の比率(Yb:Mの比率)は、モル比率を意味する。
【0047】
イッテルビウム合金で形成された透明電極は、厚さが約50〜500Åである。また、好ましくは厚さが50〜300Åであり、さらに好ましくは50〜200Åである。厚さが50〜500Åの範囲であることによって、光透過率及び低抵抗特性を同時により満たすことができる。
【0048】
下部電極191及び上部電極270の両方が透明電極である場合には、これらの一方は前記イッテルビウム合金で形成された電極であり、他方は透明導電性酸化物で形成された電極でありうる。透明導電性酸化物は、例えば、インジウム錫酸化物(indium tin oxide、ITO)またはインジウム亜鉛酸化物(indium zin coxide、IZO)などがある。
【0049】
下部電極191及び上部電極270の一方が透明電極である場合には、透明電極は前記イッテルビウム合金で形成され、他方は不透明導電層である。不透明導電層は、例えばアルミニウム(Al)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、銀(Ag)またはこれらの組み合わせなどの金属で形成される。
【0050】
発光部材370は、通常、発光層(emitting layer)及び発光層の発光効率を改善させるための補助層(auxiliary layer)を含む多層構造からなる。
【0051】
発光層は、赤色、緑色、青色の三原色などの基本色(primary color)のうちのいずれか一つの光を固有に放出する有機物質または有機物質及び無機物質の混合物で形成され、例えばポリフルオレン(polyfluorene)誘導体、(ポリ)パラフェニレンビニレン((poly)paraphenylenevinylene)誘導体、ポリフェニレン(polyphenylene)誘導体、ポリフルオレン(polyfluorene)誘導体、ポリビニルカルバゾール(polyvinylcarbazole)誘導体、ポリチオフェン(polythiophene)誘導体、またはこれらの高分子材料にペリレン(perylene)、ペリレン系色素、クマリン(coumarin)、クマリン系色素、ローダミン系色素、ルブレン(rubrene)、9,10−ジフェニルアントラセン(9,10−diphenylanthracene)、テトラフェニルブタジエン(tetraphenylbutadiene)、ナイルレッド(Nile red)、キナクリドン(quinacridone)などをドーピングした化合物を含む。有機発光装置は、発光層から放出される基本色の光の空間的な合計によって所望の画像を表示する。
【0052】
補助層としては、電子及び正孔の均衡を合わせるための電子輸送層(electron transport layer)及び正孔輸送層(hole transport layer)、そして電子及び正孔の注入を強化するための電子注入層(electroninjection layer)及び正孔注入層(hole injection layer)などがあり、これらの中から選択された一つまたは二つ以上の層を含む。
【0053】
以下、図2を参照して、本発明の他の実施形態である有機発光装置について説明する。前述した実施形態と重複する説明は省略する。
【0054】
図2は本発明の他の実施形態である有機発光装置を示した断面図である。
【0055】
図2を参照すれば、本実施形態である有機発光装置は、基板110、前記基板110上に形成されている下部電極191、前記下部電極191と対向して、下部層270a及び上部層270bを含む上部電極270、並びに下部電極191及び上部電極270の間に介在されている発光部材370を含む。
【0056】
本実施形態による有機発光装置は、前述した実施形態とは異なって、上部電極270が下部層270a及び上部層270bを含む複数の層で形成されている。
【0057】
下部層270aは、イッテルビウム(Yb)合金で形成される。
【0058】
イッテルビウム(Yb)合金は、下記化学式1で示され、
【0059】
【化3】
【0060】
化学式1において、Mは銀(Ag)、カルシウム(Ca)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、インジウム(In)、タングステン(W)及びこれらの組み合わせからなる群より選択される金属である。
【0061】
イッテルビウム合金を用いることで、厚さを薄く積層する場合にも低い屈折率及び吸収率が維持され、光透過率を高くすることができると同時に、低抵抗特性を示すことができる。
【0062】
上部層270bは、銀(Ag)、カルシウム(Ca)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、インジウム(In)、タングステン(W)、これらの合金、またはこれらの組み合わせで形成される。このような金属は、各々比抵抗が約15μΩcm以下の低抵抗金属で、電極の抵抗を低くすることができる。
【0063】
低抵抗の観点から、前記上部層270bは、Mが銀(Ag)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)であるイッテルビウム(Yb)合金が好ましい。
【0064】
下部層270a及び上部層270bは、厚さが各々約5〜200Å及び約50〜300Åである。よって、上部電極270が下部層270a及び上部層270bを含む場合、上部電極270の厚さは、55〜500Åである。下部層270aの厚さは、5〜150Åが好ましく、5〜100Åがより好ましい。また、上部層270bは、50〜200Åが好ましく、50〜100Åがより好ましい。上部電極270が下部層270a及び上部層270bを含む場合、上部電極270の厚さが55〜500Åの範囲であることによって、光透過率及び低抵抗特性を同時により満たすことができる。
【0065】
このように、イッテルビウム合金で形成された下部層270a及び低抵抗金属で形成された上部層270bを含むことによって、イッテルビウム合金による高い光透過率を確保しつつ、低抵抗金属による低抵抗特性を示すことができる。
【0066】
本実施形態では、上部電極270が透明電極である場合を例示して説明したが、これに限定されず、下部電極191が透明電極であってもよく、この場合には、下部電極191がイッテルビウム合金で形成された層及び低抵抗金属で形成された層を含む複数の層で形成されることができる。
【0067】
また、上部電極270及び下部電極191の両方が透明電極である場合には、上部電極270及び下部電極191の一方はイッテルビウム合金で形成された層及び低抵抗金属で形成された層を含む複数の層で形成され、他方は透明導電性酸化物などのまた他の透明導電体で形成される。
【0068】
以下、図3を参照して、本発明のさらに他の実施形態である有機発光装置について説明する。前述した実施形態と重複する説明は省略する。
【0069】
図3は本発明のまた他の実施形態である有機発光装置を示した断面図である。
【0070】
図3を参照すれば、本実施形態である有機発光装置は、基板110、前記基板110上に形成されて、反射層191a及び透明導電層191bを含む下部電極191、前記下部電極191と対向する上部電極270、並びに下部電極191及び上部電極270の間に介在されている発光部材370を含む。
【0071】
本実施形態による有機発光装置は、前述した実施形態とは異なって、下部電極191が反射層191a及び透明導電層191bを含む複数の層で形成され、上部電極270は前述したイッテルビウム合金で形成される。
【0072】
反射層191aは、例えばアルミニウム(Al)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、銀(Ag)、またはこれらの組み合わせなどの不透明金属で形成され、透明導電層191bは、例えばインジウム錫酸化物(ITO)またはインジウム亜鉛酸化物(IZO)で形成される。
【0073】
反射層191aは、イッテルビウム合金で形成された上部電極270と共に微細共振(microcavity)効果を発生させることができる。微細共振効果は、光が所定の距離だけ離れている反射層及び透明層(半透明層)で反復的に反射することによって、特定の波長の光を増幅させるものである。
【0074】
反射層191aを含む下部電極191は、発光層から放出される光の発光特性を大きく改質する微細空洞を形成し、微細共振の共鳴波長に相応する波長付近の光は上部電極270を通じて強化され、他の波長の光は抑制される。このとき、特定の波長の光の強化及び抑制は、下部電極191及び上部電極270の間の距離によって決定される。下部電極191及び上部電極270の間の距離は、例えば発光部材370の厚さの調節によって制御することができ、これによって特定の波長の光を強化及び抑制することができる。しかし、これに限定されず、多様な方法で下部電極191及び上部電極270の間の距離を制御することができる。
【0075】
発光部材370に含まれている発光層は、白色発光することができる。白色発光は、例えば赤色、緑色、及び青色発光層を組み合わせて実現することができる。
【0076】
本発明において、イッテルビウム(Yb)合金は、市販品として入手することができる。
【0077】
本発明において、イッテルビウム(Yb)合金を含む電極を作成する方法は、公知の方法を用いて、蒸着を行い、得ることができる。
【実施例】
【0078】
以下、実施例を通して本発明をより詳細に説明する。しかし、下記の実施例は単に説明を目的とするものであり、本発明の範囲を制限するものではない。
【0079】
<有機発光素子の製作>
[実施例1−1]
ガラス基板上にITOを積層してパターニングした後、電子伝達層としてAlq3(トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム)を蒸着し、その上に発光層としてAlq3にクマリン6(coumarin6)を1重量%ドーピングして共蒸着し、正孔注入層及び正孔伝達層としてNPB(N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン)を蒸着した。次に、その上にイッテルビウム(Yb)−銀(Ag)合金(Yb:Ag=5:1)を100Åの厚さに熱蒸着した。
【0080】
[実施例1−2]
イッテルビウム(Yb)−銀(Ag)合金をYb:Ag=3:1となるように蒸着したことを除いては、実施例1−1と同様の方法で有機発光素子を製作した。
【0081】
[実施例1−3]
イッテルビウム(Yb)−銀(Ag)合金をYb:Ag=2:1となるように蒸着したことを除いては、実施例1−1と同様の方法で有機発光素子を製作した。
【0082】
[実施例1−4]
イッテルビウム(Yb)−銀(Ag)合金をYb:Ag=1:1となるように蒸着したことを除いては、実施例1−1と同様の方法で有機発光素子を製作した。
【0083】
[実施例1−5]
イッテルビウム(Yb)−銀(Ag)合金をYb:Ag=1:1.5となるように蒸着したことを除いては、実施例1−1と同様の方法で有機発光素子を製作した。
【0084】
[実施例1−6]
イッテルビウム(Yb)−銀(Ag)合金をYb:Ag=1:2となるように蒸着したことを除いては、実施例1−1と同様の方法で有機発光素子を製作した。
【0085】
[実施例1−7]
イッテルビウム(Yb)−銀(Ag)合金をYb:Ag=1:3となるように蒸着したことを除いては、実施例1−1と同様の方法で有機発光素子を製作した。
【0086】
[実施例1−8]
イッテルビウム(Yb)−銀(Ag)合金をYb:Ag=1:4となるように蒸着したことを除いては、実施例1−1と同様の方法で有機発光素子を製作した。
【0087】
[実施例1−9]
イッテルビウム(Yb)−銀(Ag)合金をYb:Ag=1:6となるように蒸着したことを除いては、実施例1−1と同様の方法で有機発光素子を製作した。
【0088】
[実施例2−1]
ガラス基板上にITOを積層してパターニングした後、電子伝達層としてAlq3(トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム)を蒸着し、その上に発光層としてAlq3にクマリン6(coumarin6)を1重量%ドーピングして共蒸着し、正孔注入層及び正孔伝達層としてNPB(N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン)を蒸着した。次に、イッテルビウム(Yb)−銀(Ag)合金(Yb:Ag=5:1)を40Åの厚さに蒸着し、その上に銀(Ag)を70Åの厚さに蒸着した。
【0089】
[実施例2−2]
イッテルビウム(Yb)−銀(Ag)合金をYb:Ag=3:1となるように蒸着したことを除いては、実施例2−1と同様の方法で有機発光素子を製作した。
【0090】
[実施例2−3]
イッテルビウム(Yb)−銀(Ag)合金をYb:Ag=2:1となるように蒸着したことを除いては、実施例2−1と同様の方法で有機発光素子を製作した。
【0091】
[実施例2−4]
イッテルビウム(Yb)−銀(Ag)合金をYb:Ag=1:1となるように蒸着したことを除いては、実施例2−1と同様の方法で有機発光素子を製作した。
【0092】
[比較例1]
イッテルビウム(Yb)−銀(Ag)合金の代わりに純粋なイッテルビウム(pureYb)を100Åの厚さに蒸着したことを除いては、実施例1−1と同様の方法で有機発光素子を製作した。
【0093】
[比較例2]
イッテルビウム(Yb)−銀(Ag)合金の代わりに純粋なアルミニウム(pureAl)を100Åの厚さに蒸着したことを除いては、実施例1−1と同様の方法で有機発光素子を製作した。
【0094】
[比較例3]
イッテルビウム(Yb)−銀(Ag)合金及び銀(Ag)を順次に蒸着する代わりに、純粋なイッテルビウム(Yb)を40Åの厚さに蒸着し、その上に純粋なアルミニウム(Al)を70Åの厚さに蒸着したことを除いては、実施例2−1と同様の方法で有機発光素子を製作した。
【0095】
<評価−1>
前記実施例1−1〜1−9及び比較例1及び2によって製作された有機発光素子の抵抗特性を評価した。ここで、抵抗は、面抵抗を測定し、面抵抗は、4端子測定(4 point probe)法で測定した。
【0096】
これについて、図4及び表1を参照して説明する。
【0097】
図4は、実施例1−1〜1−9並びに比較例1及び2によって製作された有機発光素子の面抵抗を示した棒グラフである。
【0098】
【表1】
【0099】
表1及び図4を参照すれば、イッテルビウム(Yb)−銀(Ag)合金を使用すると、純粋なイッテルビウムを使用した場合に比べて面抵抗が顕著に減少することが分かる。また、純粋なアルミニウムを100Å程度の厚さに非常に薄く形成すると、抵抗が無限大に高くなって、面抵抗の測定が不可能であることが分かる。
【0100】
<評価−2>
前記実施例2−1〜2−4及び比較例3によって製作された有機発光素子の抵抗特性を評価した。ここで、抵抗は、前記と同様な方法で測定した。
これについて、図5及び表2を参照して説明する。
【0101】
図5は実施例2−1〜2−4及び比較例3によって製作された有機発光素子の面抵抗を示した棒グラフである。
【0102】
【表2】
【0103】
表2及び図5を参照すれば、イッテルビウム(Yb)−銀(Ag)合金を使用すると、イッテルビウム(Yb)層/銀(Ag)層が積層された構造を適用した場合に比べて面抵抗が減少することが分かる。
【0104】
<評価−3>
実施例1−4、実施例2−1、及び比較例3による有機発光素子について、光透過率、反射率、及び吸収率を測定した。
【0105】
これについて図6A〜図8Cを参照して説明する。
【0106】
図6A〜図6Cは各々実施例1−4、実施例2−1、及び比較例3による有機発光素子の光透過率を示したグラフであり、図7A〜図7Cは各々実施例1−4、実施例2−1、及び比較例3による有機発光素子の反射率を示したグラフであり、図8A〜図8Cは各々実施例1−4、実施例2−1、及び比較例3による有機発光素子の吸収率を示したグラフである。
【0107】
図6A〜図6Cを参照すれば、実施例1−4(図6A)及び実施例2−1(図6B)による有機発光素子は、可視光線領域で約70%以上の光透過率を示す反面、比較例3(図6C)による有機発光素子は、可視光線領域で50〜60%の範囲の比較的低い光透過率を示すことが分かる。特に、実施例1−4による有機発光素子、つまりイッテルビウム(Yb)及び銀(Ag)が1:1に蒸着された場合に、透過率が最も高いことが分かる。
【0108】
図7A〜図7Cを参照すれば、実施例1−4(図7A)及び実施例2−1(図7B)による有機発光素子は、可視光線領域、特に長い波長領域で約10%以下の低い反射率を示す反面、比較例2による有機発光素子(図7C)は、長い波長領域で約15〜20%の比較的高い反射率を示すことが分かる。電極の反射率が低いということは、電極の表面で反射される光の量を減少させて、効率を改善する可能性があることを意味する。
【0109】
図8A〜図8Cを参照すれば、実施例1−4(図8A)及び実施例2−1(図8B)による有機発光素子は、低い光吸収率を示す反面、比較例2(図8C)による有機発光素子は、これらより高い吸収率を示すことが分かる。電極の吸収率が低いということは、電極によって吸収される光の量を減少させて、効率を改善する可能性があることを意味する。
【0110】
このように、本実施例による有機発光素子は、比較例による有機発光素子に比べて反射率及び吸収率が低く、光透過率が高いので、効率を改善することができることが分かる。
【0111】
以上で、本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の多様な変形及び改良形態も、本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0112】
110 基板、
191 下部電極、
191a 反射層、
191b 透明導電層、
270 上部電極、
270a 下部層、
270b 上部層、
370 発光部材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極、
前記第1電極と対向する第2電極、並びに
前記第1電極及び前記第2電極の間に位置する発光層を含み、
前記第1電極は、下記化学式1で示されるイッテルビウム(Yb)合金を含む、有機発光装置:
【化1】
式中、Mは、銀(Ag)、カルシウム(Ca)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、インジウム(In)、タングステン(W)及びこれらの組み合わせからなる群より選択される金属である。
【請求項2】
前記イッテルビウム合金のYb:Mの比率が、20:1〜1:20である、請求項1に記載の有機発光装置。
【請求項3】
前記イッテルビウム合金のYb:Mの比率が、5:1〜1:6である、請求項2に記載の有機発光装置。
【請求項4】
前記イッテルビウム合金のYb:Mの比率が、1:1である、請求項3に記載の有機発光装置。
【請求項5】
前記第1電極の可視光線領域の光透過率が40%以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機発光装置。
【請求項6】
前記第1電極の可視光線領域の光透過率が40〜95%である、請求項5に記載の有機発光装置。
【請求項7】
前記第1電極の厚さが50〜500Åである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機発光装置。
【請求項8】
前記第1電極の面抵抗が500Ω/cm2以下である、請求項7に記載の有機発光装置。
【請求項9】
前記第1電極の面抵抗が1〜500Ω/cm2である、請求項8に記載の有機発光装置。
【請求項10】
前記イッテルビウム合金が、イッテルビウム−銀合金(YbAg)である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の有機発光装置。
【請求項11】
前記第1電極が、前記化学式1で示されるイッテルビウム(Yb)合金を含む第1層、及び銀(Ag)、カルシウム(Ca)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、インジウム(In)、タングステン(W)、これらの合金、またはこれらの組み合わせを含む第2層を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の有機発光装置。
【請求項12】
前記第1層の厚さが5〜200Åであり、前記第2層の厚さが50〜300Åである、請求項11に記載の有機発光装置。
【請求項13】
前記第1層が、イッテルビウム−銀合金(YbAg)を含み、前記第2層が、銀(Ag)または銀合金を含む、請求項11または12に記載の有機発光装置。
【請求項14】
前記第2電極が、透明導電層を含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の有機発光装置。
【請求項15】
前記第2電極が反射層を含み、前記発光層が白色発光する、請求項1〜13のいずれか1項に記載の有機発光装置。
【請求項16】
前記第2電極が、透明導電層をさらに含む、請求項15に記載の有機発光装置。
【請求項1】
第1電極、
前記第1電極と対向する第2電極、並びに
前記第1電極及び前記第2電極の間に位置する発光層を含み、
前記第1電極は、下記化学式1で示されるイッテルビウム(Yb)合金を含む、有機発光装置:
【化1】
式中、Mは、銀(Ag)、カルシウム(Ca)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、インジウム(In)、タングステン(W)及びこれらの組み合わせからなる群より選択される金属である。
【請求項2】
前記イッテルビウム合金のYb:Mの比率が、20:1〜1:20である、請求項1に記載の有機発光装置。
【請求項3】
前記イッテルビウム合金のYb:Mの比率が、5:1〜1:6である、請求項2に記載の有機発光装置。
【請求項4】
前記イッテルビウム合金のYb:Mの比率が、1:1である、請求項3に記載の有機発光装置。
【請求項5】
前記第1電極の可視光線領域の光透過率が40%以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機発光装置。
【請求項6】
前記第1電極の可視光線領域の光透過率が40〜95%である、請求項5に記載の有機発光装置。
【請求項7】
前記第1電極の厚さが50〜500Åである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機発光装置。
【請求項8】
前記第1電極の面抵抗が500Ω/cm2以下である、請求項7に記載の有機発光装置。
【請求項9】
前記第1電極の面抵抗が1〜500Ω/cm2である、請求項8に記載の有機発光装置。
【請求項10】
前記イッテルビウム合金が、イッテルビウム−銀合金(YbAg)である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の有機発光装置。
【請求項11】
前記第1電極が、前記化学式1で示されるイッテルビウム(Yb)合金を含む第1層、及び銀(Ag)、カルシウム(Ca)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、インジウム(In)、タングステン(W)、これらの合金、またはこれらの組み合わせを含む第2層を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の有機発光装置。
【請求項12】
前記第1層の厚さが5〜200Åであり、前記第2層の厚さが50〜300Åである、請求項11に記載の有機発光装置。
【請求項13】
前記第1層が、イッテルビウム−銀合金(YbAg)を含み、前記第2層が、銀(Ag)または銀合金を含む、請求項11または12に記載の有機発光装置。
【請求項14】
前記第2電極が、透明導電層を含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の有機発光装置。
【請求項15】
前記第2電極が反射層を含み、前記発光層が白色発光する、請求項1〜13のいずれか1項に記載の有機発光装置。
【請求項16】
前記第2電極が、透明導電層をさらに含む、請求項15に記載の有機発光装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【公開番号】特開2011−124210(P2011−124210A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−176433(P2010−176433)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Mobile Display Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】San #24 Nongseo−Dong,Giheung−Gu,Yongin−City,Gyeonggi−Do 446−711 Republic of KOREA
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Mobile Display Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】San #24 Nongseo−Dong,Giheung−Gu,Yongin−City,Gyeonggi−Do 446−711 Republic of KOREA
【Fターム(参考)】
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