説明

有機過酸化物開始剤で硬化される複合体のための重合調節剤

バルク成形組成物、シート成形組成物、および引抜き成形物などの熱硬化性材料の製造において使用される遊離ラジカル硬化樹脂系を調節するためのニトロキシドの使用が開示される。本発明はまた、反応速度の調節が、接着剤配合物、固体表面組成物、およびある種のポリエステルキャスティング樹脂などにおいて望ましい、他の樹脂系に用いることもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱硬化性樹脂組成物をラジカル開始剤で硬化させる調節に関する。特に、本発明は、バルク成形組成物、シート成形組成物、および引抜き成形物などの熱硬化性材料の製造に使用される遊離ラジカル硬化系を調節するためのニトロキシドの使用に関する。反応速度を調節することから利益を受け得る他の潜在的樹脂系には、接着剤配合物、固体表面複合体、およびある種のポリエステルキャスティング樹脂が含まれる。
【背景技術】
【0002】
調製段階中の早期硬化は、熱硬化性材料を硬化させる際の遊離ラジカル化合物の使用における大きな問題である。本発明者らは、遊離ラジカル化合物またはラジカル開始剤に、温和な条件下でラジカル化学種を生成しラジカル重合反応を促進し得る分子を含める。過酸化物はその好ましい遊離ラジカル化合物である。その調製段階は一般に、その成分をブレンドし、それらに構造を与えることからなる。この調製段階の操作条件は、過酸化物開始剤をきわめてしばしば分解させ、その結果、硬化反応を誘導し、ブレンドのバルク中にゲル粒子の形成をもたらす。これらのゲル粒子の存在は、最終製品の欠陥(不均一性または表面粗さ)を生じる。この調製段階の硬化反応は、重合促進をもたらし、使用できない樹脂混合物または硬化前の不完全な型充填を生じ、廃棄部分の原因にもなり得る。
【0003】
いくつかの解決法がこの欠点を克服するために提案されている。高温でより長い半減期を有する開始剤を使用することが提案されている。この手法の欠点は、長い硬化時間および高いエネルギーコストによる低い生産効率である。従来、抗酸化防止剤が調製段階の安定剤として使用されている。これらの物質には、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ヒドロキノンおよび誘導体、ならびにカテコールが含まれる。これらの物質は全て、過酸化物分解から生成した遊離ラジカルを捕捉し、それらを安定で非反応性の形態に転化することによって作用する。これらの物質を多く使用し過ぎることから生じる不利益は、時間とともに、抑制剤とも呼ばれる「ラジカルスカベンジャー」への吸収により、生成したラジカルがその系から失われることである。この不可逆的抑制は、硬化に利用できるラジカルの数を減少させる。
【0004】
この重合の傾向を低減させるためにある種の添加剤を取り込むことも提案されている。したがって、その一方が不飽和モノマーの遊離ラジカル重合に対する抑制剤としての2,2,6,6−テトラメチル1,1−ピペリジニルオキシ(TEMPO)である、異なる2つの抑制剤の混合物の使用が、米国特許第6,660,181号明細書に記載されている。早期重合からエチレン性不飽和モノマーまたはオリゴマー組成物を安定化するためのTEMPOの使用は、米国特許第5,290,888号明細書に開示されている。TEMPOおよびTEMPO誘導体に対する主な欠点は、その高い平衡温度である。完全スチレン樹脂におけるTEMPOの使用は、TEMPO−スチレン付加物の平衡温度を乗り越えるのに必要とされる高い反応温度のために制限される。
【0005】
しかし、添加剤の従来の使用は、不飽和複合体樹脂の硬化を抑制することを目的とし、最終の熱誘導硬化に影響を与えずに不飽和複合体樹脂を硬化させる温度および速度を調節することを目的としていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6660181号明細書
【特許文献2】米国特許第5290888号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、架橋時間または温度に対してマイナスの影響を与えることなく、熱硬化性樹脂の架橋を調節することを可能にする。これは、遊離ラジカル系硬化システムと組み合わせて独特のニトロキシドを使用することによって達成される。これらのニトロキシドは、アクリル類、アクリルアミド類、ジエン類、ビニル類およびそれらの混合物を含む熱硬化性樹脂の他の反応成分との有利な温度平衡も有する。
【0008】
本発明の1つの目的は、少なくとも1種のニトロキシドおよび少なくとも1種の遊離ラジカル源を含む熱硬化性樹脂重合調節組成物を提供することである。遊離ラジカル源は、好ましくは過酸化物である。ニトロキシドは好ましくは、過酸化物:ニトロキシド 1:0.001から1:0.5、有利には1:0.01から1:0.25の範囲の重量割合で使用される。
【0009】
本発明ではまた、有機過酸化物およびニトロキシドの組合せを含む遊離ラジカル開始剤系によって架橋され得る熱硬化性樹脂を含む架橋性組成物(B)が提供される。遊離ラジカル開始剤系は好ましくは、ポリマーの重量で100重量部当たり0.2から5部、有利には0.5から3部に相当する。
【0010】
不飽和ポリエステルおよびビニルエステル樹脂の製造において、少量の従来の抗酸化防止剤が、早期重合を防止し、樹脂の保存寿命を向上させるために添加される。しかし、使用者が樹脂を硬化させたいと思うと、抑制剤は樹脂の反応性を遅延させる傾向があるのでこれらは控えめに使用しなければならない。ポリエステル樹脂内でのニトロキシドの使用に対するさらなる利益は、硬化中の樹脂の反応性に影響せずに保存安定性のさらなる水準を与えることである。
【0011】
本発明ではまた、過酸化物およびニトロキシドを含む架橋組合せで製造されるバルク成形組成物、シート成形組成物、現場硬化管、および引抜き成形物などの成形物品または引抜き成形物品が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
バルク成形またはシート成形組成物などの複合体で使用される主な樹脂は、ポリエステルおよびビニルエステルである。これらの樹脂は、世界中の複合体総生産の95%を超えて使用されている。
【0013】
不飽和ポリエステル樹脂は、特に海洋産業において、最も広範に使用される樹脂系である。不飽和ポリエステル樹脂は、熱硬化性樹脂であり、適当な条件に置かれたとき、液体または固体状態から硬化させることができる。不飽和ポリエステル樹脂を「ポリエステル樹脂」または単に「ポリエステル」と呼ぶことが通常である。種々の酸、グリコールおよびモノマーから製造されるあらゆる種類のポリエステルがあり、全ては、当業者に明らかであるように様々な特性を有する。いくつかの一般的なクラスを以下に説明するが、限定的であることを意味しない。
【0014】
大部分のポリエステル樹脂は、通常はスチレンであるモノマーなどの反応性希釈剤中のポリエステルの溶液からなる粘性の、淡い色の液体である。最大50%の量でスチレンを添加すると、その粘性を減少させてその樹脂を取り扱い易くさせるのに役立つ。スチレンはまた、副生成物を全く生じることなくポリエステルの分子を「架橋する」ことによって、その樹脂を液体から固体に硬化させ得る極めて重要な機能も果す。したがって、これらの樹脂は、圧力を用いることなく成形することができ、「接触」または「低圧」樹脂と呼ばれる。ポリエステル樹脂は、長期間にわたってそれら自体で硬化または「ゲル化」するので限定された保存寿命を有する。しばしば、少量の抑制剤がこのゲル化作用を遅らせるために樹脂製造中に添加される。
【0015】
本発明で使用されるポリエステルの一例は、そこにおいてその構造単位(構成要素とも呼ばれる)の1つが構造式:
H−[−CHR−(CH2x−O−]y−H
(式中、Rは、水素またはメチルであり、xは1〜4の整数であり、yは2〜50の整数である)
を有する長鎖ポリオールである不飽和ポリエステルである。
【0016】
これらポリオールの1種または複数が使用され得る。好ましいポリオールは、約400から約2900、好ましくは約600から約800の分子量を有するポリ(1,2−プロピレングリコール)である。これらのポリオールの2種以上のコポリマーも使用され得る。
【0017】
本発明で有用な不飽和ポリエステル(時に、ポリエステルアルキドと呼ばれる)は、主ポリマー鎖に沿って繰返し単位としてカルボン酸エステル基および炭素−炭素二重結合の両方を含む、可溶性の線状低分子量(約5,000から約15,000)物質のクラスである。これらのポリエステルは、長鎖ポリオール(上記のとおり)、ジオール、エチレン性不飽和ジカルボン酸または無水物(不飽和を与えるための)および飽和ジカルボン酸(ポリマーを変性するための)の縮合によって調製され得る。長鎖ポリオールを使用することにより、ポリエステルに柔軟性を与える。
【0018】
ビニルエステル樹脂は、それらの分子構造がポリエステルと同様であるが、主にそれらの反応部位の位置が異なり、これらは分子鎖の末端においてのみ位置している。分子鎖の全体長が衝撃負荷を吸収するのに利用できるので、これはビニルエステル樹脂をポリエステルより強靭および弾性にさせる。ビニルエステル分子はまた、エステル基が少ないことも特徴とする。これらのエステル基は加水分解による水分解の影響を受け易く、これは、それらのポリエステル相当物よりビニルエステルが水および他の多くの化学物質に対して良好な耐性を示し、パイプラインおよび化学貯蔵タンクなどの用途にしばしば見られることを意味する。
【0019】
複合体のための遊離ラジカル開始剤として使用され得る化合物には、熱分解後に硬化/架橋反応を促進する遊離ラジカルを発生させる有機過酸化物などの化合物が含まれる。架橋剤として使用される遊離ラジカル開始剤の中で、ジアシルペルオキシド、ペルオキシジカーボネート、ペルオキシケタールおよびペルオキシエステル開始剤が好ましい。これらの化合物の詳しい説明は、Encyclopedia of Chemical Technology、第3版、第17巻、27から90頁(1982年)に見られる。
【0020】
ペルオキシジカーボネートの具体的な例には、ジエチルペルオキシジカーボネート、ジ−n−ブチルペルオキシジカーボネート、ジイソブチルペルオキシジカーボネート、およびジ−4−tert−ブチルシクロヘキシルペルオキシジカーボネートが含まれる。好ましくは、ペルオキシジカーボネートは、ジ−sec−ブチルペルオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルペルオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルペルオキシジカーボネートまたはジイソプロピルペルオキシジカーボネートである。
【0021】
ジアシルペルオキシドの具体的な例には、ベンゾイルペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、ジデカノイルペルオキシド、ジアセチルペルオキシド、およびジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)ペルオキシドが含まれる。
【0022】
ペルオキシエステルの具体的な例には、t−ブチルペルネオデカノエート、t−ブチルおよびt−アミルペルオキシ2−エチルヘキサノエート、およびt−ブチルペルベンゾエートが含まれる。さらに、t−ブチルおよびt−アミルモノペルオキシ2−エチルヘキシルカーボネートをベースとしたモノペルオキシカーボネートが、この実施形態に適用できる。
【0023】
ジペルオキシケタールの具体的な例には、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン;1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン;n−ブチル4,4−ジ(t−アミルペルオキシ)バレラート;エチル−3,3−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブチラート;2,2−ジ(t−アミルペルオキシ)プロパン;3,6,6,9,9−ペンタメチル−3−エトキシカルボニルメチル−1,2,4,5−テトラオキサシクロノナン;n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルペルオキシ)バレラート;エチル−3,3−ジ(t−アミルペルオキシ)ブチラート;およびそれらの混合物が含まれる。
【0024】
過酸化物化合物は、対称であっても非対称であってもよい。過酸化物は、対称過酸化物、非対称過酸化物(イソプロピル−sec−ブチルペルオキシジカーボネートまたは2−メチルプロピオニル−3−メチルペンタノイルペルオキシド)あるいは、対称および非対称の過酸化物の混合物(ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルペルオキシジカーボネートおよびイソプロピル−sec−ブチルペルオキシジカーボネートの混合物など)を含む均一な混合物であってもよい。
【0025】
ペルオキシジカーボネート化合物およびジアシルペルオキシド化合物は、当業者によく知られている従来の技術によって合成され得る。ペルオキシジカーボネートは、典型的には、対応するアルキルクロロホルメートを過酸化ナトリウム水溶液と低温0℃〜20℃で反応させることによって調製される。米国特許第2,370,588号明細書を参照されたい。ジアシルペルオキシドは、典型的には、当業者によく知られている合成技術を用いて酸クロリドから製造される。
【0026】
好ましくは、本発明がそれによって有用であるペルオキシジカーボネートおよびジアシルペルオキシドには、0℃で液体、より好ましくは−5℃で液体であるものが含まれる。−20℃まで下がって液体であるペルオキシジカーボネートおよびジアシルペルオキシドがさらにより好ましい。固体のペルオキシジカーボネートおよびジアシルペルオキシドも使用できる。
【0027】
本発明は特に、バルクでのエチレン性不飽和物質の遊離ラジカル重合における開始剤として有用であるペルオキシジカーボネートおよびジアシルペルオキシドの水性分散液に適用できる。
【0028】
過酸化物による複合体材料の架橋の開始は、標準的な機構で起こる。ニトロキシドは、ニトロキシド−モノマー対によって規定される平衡温度未満の温度で成長ラジカルを「キャップする」ように作用することによって成長ポリマー鎖の反応性を変更させる。ニトロキシド−モノマー対の平衡温度を超えると、ニトロキシドは分解して、成長ラジカルは、ポリマー鎖成長において再び活性になる。この正味の効果は、周囲温度で、ニトロキシドがポリマー鎖成長を停止させ、実質的に反応を抑制するように作用することである。真の抑制剤と対照的に、ニトロキシドは、活性ラジカルが加熱後に再度生じる際、ラジカルをキャップするのみである。ニトロキシド−モノマー対の分解温度に到達すると、ポリマー鎖は、ニトロキシドの平衡反応速度によって支配された調節様式で成長し始める。これは、真の抑制剤ではラジカルは特定の温度での使用のために「保存された」ままであり、一方抑制剤はラジカルを永久的に不活性な化学種に転化する点で、真の抑制剤とは異なる。本発明による過酸化物開始剤およびニトロキシド調節剤の組合せにより、室温で長期安定性を示すが、高温で非常に良好な反応性を保持する樹脂組成物を使用者が処方することが可能になる。本発明の独特のニトロキシドは、従来技術のニトロキシド抑制剤よりかなり低い温度で分解する。したがって、本発明の独特のニトロキシドは、室温で安定性を与えるが、通常の複合体成形(forming/molding)温度で分解し、架橋調節を可能にする。さらに、この開示されたニトロキシドは、当業者に明らかであるように、スチレン類、アクリル類、アクリルアミド類、ジエン類、ビニル類およびそれらの混合物を含む広範で種々の反応性モノマークラスの使用も可能にする。
【0029】
ニトロキシドの調節能力の一例は、ベース樹脂から製造された成形化合物内のその官能性内にある。成形化合物がいかに良く働くかの主要な指標は、ゲルからピークまでの時間、すなわち、初期ゲルの形成と硬化サイクルの最後に起こるピーク発熱温度発生の間の時間量である。この特性は、ゲル化が起こる前にどのくらいの時間で化合物が型に完全に充填しなければならないかを決定することのために成形化合物にとって重要である。これは、型における未充填の可能性を減少させる。この用途でのニトロキシドは、全体の硬化時間または温度を実質的に遅らせることなくゲル化時間を遅らせる。この調節局面では、使用される調節剤ニトロキシドの量を変化させることによって、ゲル化時間とピーク発熱時間とをどの程度すぐ近くに起こるようにさせるかを、使用者が実際に操作することができるようになる。これは、ニトロキシド基の真の「調節」能力を示す。これは、ニトロキシドがゲル化の開始を遅らせるが、ピーク発熱時間および温度にあまり劇的な影響は与えないことから生じる。この影響についての理由付けは、ゲル化時間は、ニトロキシド−ポリマー対の平衡温度に達するのに要する活性化の最小エネルギーにより遅れるが、一方ピーク発熱では、平衡は既に確立されており、したがって、ニトロキシドによって最小限に影響されるのみであるということである。ピーク発熱時間および温度への影響を最小にすることは、生産効率およびエネルギーコストに影響を与えないので重要な利点である。
【0030】
本発明の架橋調節成分は、式:
【化1】

(式中、RL基は、15を超えるモル質量を有する)
のβ−置換安定遊離ラジカル(ニトロキシド)型である。一価RL基は、ニトロキシド基の窒素原子に関してβ位にあるといわれる。式(1)中の炭素原子および窒素原子の残りの原子価は、水素原子、または1から10個の炭素原子を含む、アルキル、アリールまたはアラルキル基などの炭化水素基などの種々の基に結合することができる。式(1)における炭素原子および窒素原子は、環を形成するように、二価基を介して互いに連結されてもよい。しかし、式(1)における炭素原子および窒素原子の残りの原子価は、好ましくは、一価基に結合する。RL基は、好ましくは、30を超えるモル質量を有する。例えば、RL基は、40から450のモル質量を有する。一例として、RL基は、ホスホリル基を含む基であることもでき、RLは、式:
【化2】

(式中、R1およびR2は、同一であっても異なっていてもよく、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アリール、アラルキルオキシ、ペルフルオロアルキルおよびアラルキル基から選択することができ、かつ1から20個の炭素原子を含むことができる)
によって示され得る。R1および/またはR2は、塩素または臭素またはフッ素またはヨウ素原子などのハロゲン原子であることもできる。RL基は、少なくとも1つの芳香族環、例えば、フェニル基またはナフチル基を含むこともでき、後者は、例えば、1から4個の炭素原子を含むアルキル基で置換されていてもよい。
【0031】
一例として、安定な遊離ラジカルは、tert−ブチル1−フェニル−2−メチルプロピルニトロキシド;tert−ブチル1−(2−ナフチル)−2−メチルプロピルニトロキシド;tert−ブチル1−ジエチルホスホノ−2,2−ジメチルプロピルニトロキシド;tert−ブチル1−ジベンジルホスホノ−2,2−ジメチルプロピルニトロキシド;フェニル1−ジエチルホスホノ−2,2−ジメチルプロピルニトロキシド;フェニル1−ジエチルホスホノ−1−メチルエチルニトロキシド;1−フェニル−2−メチルプロピル1−ジエチルホスホノ−1−メチルエチルニトロキシドから選択され得る。
【0032】
好ましいβ−置換ニトロキシドは、式:
【化3】

(式中、R1およびR2は、同一または異なっており、水素原子、1から10の範囲の炭素原子の数を有する線状、分岐もしくは環状のアルキル基、アリール基、または1から10の範囲の炭素原子の数を有するアラルキル基を表し、あるいはR1およびR2は、前記R1およびR2を担う炭素原子を含む環を形成するために互いに連結されており、前記環は3から8の範囲の、このR1およびR2基を担う炭素を含む炭素原子の数を有し;R3は、少なくとも1つの環を含み得る線状または分岐の、および飽和また不飽和の炭化水素系基を表し、この基は、1から30の範囲の炭素原子の数を有し;R4およびR5は、同一または異なっており、1から20の範囲の炭素原子の数を有する線状または分岐のアルキル基、またはシクロアルキル、アリール、アルコキシル、アリールオキシル、アラルキルオキシル、ペルフルオロアルキル、アラルキル、ジアルキル−もしくはジアリールアミノ、アルキルアリールアミノもしくはチオアルキル基を表し、あるいは、R4およびR5は、リン原子を含む環を形成するために互いに連結されており、このヘテロ環は2から4の範囲の炭素原子の数を有し、さらに、1個または複数の酸素、硫黄または窒素原子を含むことができる)
のβ−リンである。このクラスの好ましいβ−リンニトロキシドを調製する方法は、米国特許第6,624,322号明細書および米国特許第6,255,448号明細書に開示されている。
【0033】
本発明の安定な遊離ラジカル架橋調節成分はまた、β−置換アルコキシアミンを含み得る。β−置換アルコキシアミンは、Aが一価または多価構造を表し、RLが15を超えるモル重量を示し、かつ一価の基であり、n≧1である、式(I)で例示される。
【化4】

【0034】
式(I)(式中、n≧2)の多官能アルコキシアミンを用いることができる。ニトロキシドは、式(I)(式中、nはゼロでない整数である)の配列を含むいくつかのアルコキシアミンを含むことができ、このアルコキシアミンは異なる値のnを示す。上記されたとおりのアルコキシアミンおよびニトロキシル(このニトロキシルは、対応するアルコキシアミンから知られている方法によって別個に調製することもできる)は、当技術分野でよく知られている。これらの合成は、例えば、米国特許第6,255,448号明細書および米国特許第6,624,322号明細書に記載されている。式(I)のポリアルコキシアミンは、文献で知られている方法によって調製され得る。最も一般的に用いられる方法には、炭素系基をニトロキシド基とカップリングさせることが含まれる。カップリングは、Macromolecule 1996年、29、7661〜7670頁においてD.Gresztaらによって記載されたとおりのATRA[原子移動ラジカル付加(Atom Transfer Radical Addition)]タイプの反応によって、有機金属系、例えば、CuX/リガンド(X=ClまたはBr)の存在下でハロ誘導体A(X)nを用いて行うことができる。好ましいリガンドは、−N,N,N’,N’,N’’−ペンタメチルジエチレンジアミン(PMDETA):
【化5】

である。
【0035】
これらの合成は、例えば、米国特許出願公開第2006/142511号明細書に記載されている。
【0036】
好ましいアルコキシアミンは、分解後にN−tert−ブチル−N−[1−ジエチルホスホノ−(2,2−ジメチルプロピル)]ニトロキシド(DEPN)ラジカルを発生させるものである。1つの特に有効なクラスのニトロキシド源には、以下に示されるiBA−DEPNなどの化合物が含まれ、ここで、DEPNラジカルはイソ酪酸基またはそのエステルもしくはアミドに連結されている。エステルまたはアミドが使用される場合、それらは好ましくは、それぞれ、低級アルキルアルコールまたはアミンから誘導される。
【化6】

【0037】
本発明の過酸化物開始剤系およびニトロキシド調節剤の組合せにより、室温で長い安定性を示すが、高温で非常に良好な反応性を示す樹脂組成物を、使用者が処方することが可能になる。本発明のニトロキシドは、TEMPOなどの従来技術のニトロキシドよりかなり低い温度で分解する。TEMPOニトロキシドに対するさらなる利点は、当業者に明らかなように、スチレン類、アクリレート類、アクリルアミド類、ジエン類、ビニル類およびそれらの混合物を含む広範で種々の反応性モノマークラスの使用を可能にする開示されたニトロキシドの能力である。したがって、本発明のニトロキシドは、複合体樹脂の処理/成形の通常の温度で分解し、架橋抑制剤として働かないが、樹脂プロファイルなどを向上させるために室温で架橋調節を与える。
【0038】
ニトロキシド架橋調節剤は、複合体樹脂への添加前または添加時に過酸化物開始剤系に添加され得る。ニトロキシドそれ自体は、「パッケージ」として過酸化物開始剤の1つに直接添加され得る。これは、ニトロキシドが酸素ラジカルに不活性であるが、炭素ラジカルに活性であるというニトロキシドの独特の特性により可能である。次いで、このブレンドは、通常の過酸化物開始剤を樹脂系に取り込むように、樹脂に添加し、混合することができる。ニトロキシドは、さらに樹脂溶液に別個に添加することもでき、架橋時間または温度にマイナスの影響を与えずにポリエステル樹脂のより長い保存寿命を与え、樹脂処方者に対して柔軟性をさらにもたらすことができる。過酸化物および開始剤の組合せは、1つのパッケージに開始および調節の特徴の両方を含む一構成要素の開始剤としても使用され得る。
【0039】
成形または押出物品への架橋組成物の転化は、架橋の間または後で行うことができる。
【実施例】
【0040】
実施例1
第1の実施例において、引抜き成形浴樹脂は、以下のように処方する。
イソフタル酸ポリエステル樹脂:61.50ポンド
過酸化物:0.615ポンド
(以下のブレンド:ジ(2−エチルヘキシル)ペルオキシジカーボネート(Luperox 223 V75*)、
t−アミルペルオキシ2−エチルヘキサノエート(Luperox 575*)、
OO−(t−アミル)O(2−エチルヘキシル)モノペルオキシカーボネート(Luperox MC*
比約0.3/0.4/0.3)
ステアリン酸エステル:0.460ポンド
炭酸カルシウム:12.10ポンド
ニトロキシド:0.031ポンド
(tert−ブチル1−ジエチルホスホノ−2,2−ジメチルプロピルニトロキシド)
合計:75.0ポンド
*Arkema Inc.(Philadelphia、PA)から入手可能
【0041】
これらの原料を、カウレスブレンダーを用いて添加し、ラジカル調節剤を含む他の添加剤全てを添加し、均一になるまで中でせん断させ、その後最後に過酸化物を添加する。次いで、この樹脂を引抜き成形樹脂浴に移し、通常どおり使用することができ、非常に長い使用可能な樹脂寿命を与える。
【0042】
代わりとして、この調節剤を樹脂中、または構成成分の過酸化物の1つの中に予めブレンドし、このような少量の添加を容易にすることができる。調節剤は、可塑剤中に希釈形態で添加して、添加の精度を増すこともできる。
【0043】
実施例2
SMC処方において、成形化合物を以下のとおりブレンドする:
UPR樹脂:60ポンド
ポリ酢酸ビニル:40ポンド
CaCO3フィラー:150ポンド
ステアリン酸亜鉛:4ポンド
酸化マグネシウムペースト:2ポンド
過酸化物:1.5ポンド
(OO−(t−アミル)O(2−エチルヘキシル)モノペルオキシカーボネート(Luperox MC*))
ニトロキシド:8〜32グラム
(tert−ブチル1−ジエチルホスホノ−2,2−ジメチルプロピルニトロキシド)
チョップドガラス:85.8ポンド
*Arkema Inc.(Philadelphia、PA)から入手可能
【0044】
SMC樹脂ペーストを混合し(ガラスなしで)、SMC機械の樹脂トラフ中に注ぎ入れる。次いで、このペーストをフィルム上に分布させ、ガラスを添加し、圧縮ローラで混合し、その後の成形化合物をマンドレル上にローラで伸ばし、適当な粘度まで熟成する。成形化合物を使用する場合、より多くの調節剤を使用すると、型充填に効果がもたらされるはずである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊離ラジカル重合開始剤;および
β−置換ニトロキシド重合調節剤
を含む熱硬化性樹脂重合開始系。
【請求項2】
前記ラジカル開始剤遊離ラジカルが、ジアシルペルオキシド、ペルオキシジカーボネート、ジペルオキシケタールおよびペルオキシエステルからなる群から選択される、請求項1に記載の熱硬化性樹脂重合開始系。
【請求項3】
前記ペルオキシジカーボネートが、ジエチルペルオキシジカーボネート、ジ−n−ブチルペルオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルペルオキシジカーボネート、ジイソブチルペルオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルペルオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルペルオキシジカーボネート、ジイソプロピルペルオキシジカーボネートおよびジ−4−tert−ブチルシクロヘキシルペルオキシジカーボネートからなる群から選択される、請求項2に記載の熱硬化性樹脂重合開始系。
【請求項4】
前記ジアシルペルオキシドが、ベンゾイルペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、ジデカノイルペルオキシド、ジアセチルペルオキシドおよびジ(3,5,5,−トリメチルヘキサノイル)ペルオキシドからなる群から選択される、請求項2に記載の熱硬化性樹脂重合開始系。
【請求項5】
前記ジペルオキシケタールが、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン;1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン;n−ブチル4,4−ジ(t−アミルペルオキシ)バレラート;エチル−3,3−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブチラート;2,2−ジ(t−アミルペルオキシ)プロパン;3,6,6,9,9−ペンタメチル−3−エトキシカルボニルメチル−1,2,4,5−テトラオキサシクロノナン;n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルペルオキシ)バレラート;エチル−3,3−ジ(t−アミルペルオキシ)ブチラート;およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項2に記載の熱硬化性樹脂重合開始系。
【請求項6】
前記ペルオキシエステルが、t−ブチルペルネオデカノエート、t−ブチルペルオキシ2−エチルヘキサノエート、OO−(t−ブチル)O−(2−エチルヘキシル)モノペルオキシカーボネート、t−アミルペルオキシ2−エチルヘキサノエート、OO−(t−アミル)O−(2−エチルヘキシル)モノペルオキシカーボネート、およびt−ブチルペルベンゾエートからなる群から選択される、請求項2に記載の熱硬化性樹脂重合開始系。
【請求項7】
前記β−置換ニトロキシド重合調節剤が、式
【化1】

(式中、RL基は、15を超えるモル質量を有する)
で表される、請求項1に記載の熱硬化性樹脂重合開始系。
【請求項8】
Lがホスホリル基を含む、請求項7に記載の熱硬化性樹脂重合開始系。
【請求項9】
Lが、式
【化2】

(式中、R1およびR2は、同一であっても異なっていてもよく、ハロゲン、またはアルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アリール、アラルキルオキシ、ペルフルオロアルキルもしくはアラルキル基からなる群から選択することができる)
で表される、請求項8に記載の熱硬化性樹脂重合開始系。
【請求項10】
Lが少なくとも1つの芳香族環を含む、請求項7に記載の熱硬化性樹脂重合開始系。
【請求項11】
β−置換ニトロキシド重合調節剤が、tert−ブチル1−ジエチルホスホノ−2,2−ジメチルプロピルニトロキシドおよびtert−ブチル1−フェニル−2−メチルプロピルニトロキシドからなる群から選択される、請求項1に記載の熱硬化性樹脂重合開始系。
【請求項12】
樹脂;
遊離ラジカル重合開始剤;および
β−置換ニトロキシド重合調節剤
を含む熱硬化性樹脂組合せ。
【請求項13】
前記樹脂が、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項12に記載の熱硬化性樹脂組合せ。
【請求項14】
前記有機過酸化物遊離ラジカルが、ジアシルペルオキシド、ペルオキシジカーボネート、ジペルオキシケタールおよびペルオキシエステルからなる群から選択される、請求項12に記載の熱硬化性樹脂組合せ。
【請求項15】
前記ペルオキシジカーボネートが、ジエチルペルオキシカーボネート、ジ−n−ブチルペルオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルペルオキシカーボネート、ジイソブチルペルオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルペルオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルペルオキシジカーボネート、ジイソプロピルペルオキシジカーボネートおよびジ−4−tert−ブチルシクロヘキシルペルオキシジカーボネートからなる群から選択される、請求項14に記載の熱硬化性樹脂組合せ。
【請求項16】
前記ジアシルペルオキシドが、ベンゾイルペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、ジデカノイルペルオキシド、ジアセチルペルオキシドおよびジ(3,5,5,−トリメチルヘキサノイル)ペルオキシドからなる群から選択される、請求項14に記載の熱硬化性樹脂組合せ。
【請求項17】
前記ジペルオキシケタールが、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン;1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン;n−ブチル4,4−ジ(t−アミルペルオキシ)バレラート;エチル−3,3−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブチラート;2,2−ジ(t−アミルペルオキシ)プロパン;3,6,6,9,9−ペンタメチル−3−エトキシカルボニルメチル−1,2,4,5−テトラオキサシクロノナン;n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルペルオキシ)バレラート;エチル−3,3−ジ(t−アミルペルオキシ)ブチラート;およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項14に記載の熱硬化性樹脂組合せ。
【請求項18】
前記ペルオキシエステルが、t−ブチルペルネオデカノエート、t−ブチルおよびt−アミルペルオキシ2−エチルヘキサノエート、ならびにt−ブチルペルベンゾエートからなる群から選択される、請求項14に記載の熱硬化性樹脂組合せ。
【請求項19】
前記β−置換ニトロキシド重合調節剤が、式
【化3】

(式中、RL基は、15を超えるモル質量を有する)
で表される、請求項12に記載の熱硬化性樹脂組合せ。
【請求項20】
Lがホスホリル基を含む、請求項19に記載の熱硬化性樹脂組合せ。
【請求項21】
Lが、式
【化4】

(式中、R1およびR2は、同一であっても異なっていてもよく、ハロゲン、またはアルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アリール、アラルキルオキシ、ペルフルオロアルキルもしくはアラルキル基からなる群から選択することができる)
で表される、請求項20に記載の熱硬化性樹脂組合せ。
【請求項22】
Lが少なくとも1つの芳香族環を含む、請求項19に記載の熱硬化性樹脂組合せ。
【請求項23】
前記β−置換ニトロキシド重合調節剤が、tert−ブチル1−ジエチルホスホノ−2,2−ジメチルプロピルニトロキシドおよびtert−ブチル1−フェニル−2−メチルプロピルニトロキシドからなる群から選択される、請求項12に記載の熱硬化性樹脂組合せ。
【請求項24】
樹脂;
β−置換ニトロキシド重合調節剤;および
反応性希釈剤
を含む熱硬化性樹脂組合せ。
【請求項25】
前記反応性希剤が、スチレンである、請求項24に記載の熱硬化性樹脂組合せ。
【請求項26】
前記β−置換ニトロキシド重合調節剤が、式
【化5】

(式中、RL基は、15を超えるモル質量を有する)
で表される、請求項24に記載の熱硬化性樹脂重合開始系。
【請求項27】
前記β−置換ニトロキシド重合調節剤が、tert−ブチル1−ジエチルホスホノ−2,2−ジメチルプロピルニトロキシドおよびtert−ブチル1−フェニル−2−メチルプロピルニトロキシドからなる群から選択される、請求項24に記載の熱硬化性樹脂組合せ。
【請求項28】
熱硬化性樹脂および遊離ラジカル重合開始剤の組合せの重合を調節する方法であって、前記組合せに重合調節量のβ−置換ニトロキシド重合調節剤を添加する工程を含む方法。
【請求項29】
前記ラジカル開始剤遊離ラジカルが、ジアシルペルオキシド、ペルオキシジカーボネート、ジペルオオキシケタールおよびペルオキシエステルからなる群から選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記ペルオキシジカーボネートが、ジエチルペルオキシジカーボネート、ジ−n−ブチルペルオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルペルオキシジカーボネート、ジイソブチルペルオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルペルオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルペルオキシジカーボネート、ジイソプロピルペルオキシジカーボネートおよびジ−4−tert−ブチルシクロヘキシルペルオキシジカーボネートからなる群から選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記ジアシルペルオキシドが、ベンゾイルペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、ジデカノイルペルオキシド、ジアセチルペルオキシドおよびジ(3,5,5,−トリメチルヘキサノイル)ペルオキシドからなる群から選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記ジペルオキシケタールが、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン;1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン;n−ブチル4,4−ジ(t−アミルペルオキシ)バレラート;エチル−3,3−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブチラート;2,2−ジ(t−アミルペルオキシ)プロパン;3,6,6,9,9−ペンタメチル−3−エトキシカルボニルメチル−1,2,4,5−テトラオキサシクロノナン;n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルペルオキシ)バレラート;エチル−3,3−ジ(t−アミルペルオキシ)ブチラート;およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項29に記載の熱硬化性樹脂重合開始系。
【請求項33】
前記ペルオキシエステルが、1−ブチルペルネオデカノエート、t−ブチルペルオキシ2−エチルヘキサノエート、OO−(t−ブチル)O−(2−エチルヘキシル)モノペルオキシカーボネート、t−アミルペルオキシ2−エチルヘキサノエート、OO−(t−アミル)O−(2−エチルヘキシル)モノペルオキシカーボネート、およびt−ブチルペルベンゾエートからなる群から選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記β−置換ニトロキシド重合調節剤が、式
【化6】

(式中、RL基は、15を超えるモル質量を有する)
で表される、請求項28に記載の方法。
【請求項35】
Lがホスホリル基を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
Lが、式
【化7】

(式中、R1およびR2は、同一であっても異なっていてもよく、ハロゲン、またはアルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アリール、アラルキルオキシ、ペルフルオロアルキルもしくはアラルキル基からなる群から選択することができる)
で表される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
Lが少なくとも1種の芳香族環を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記β−置換ニトロキシド重合調節剤が、tert−ブチル1−ジエチルホスホノ−2,2−ジメチルプロピルニトロキシドおよびtert−ブチル1−フェニル−2−メチルプロピルニトロキシドからなる群から選択される、請求項28に記載の方法。

【公表番号】特表2010−539286(P2010−539286A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−524906(P2010−524906)
【出願日】平成20年8月19日(2008.8.19)
【国際出願番号】PCT/US2008/073537
【国際公開番号】WO2009/035821
【国際公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(500307340)アーケマ・インコーポレイテッド (119)
【Fターム(参考)】