説明

有機金属化合物およびかかる化合物で形成された素子

本発明は、一般に、式I、式II、または式IIIを有する有機金属化合物、および少なくとも一つのこれらの化合物を含む層を有する素子に関する。
【化1】


(式中、L1はアリール−N−複素環配位子およびヘテロアリール−N−複素環配位子から選択され、L2はアニオン性配位子であり、L3はノニオン性配位子であり、L4はL1およびL2から選択され、MはRe、Ru、Os、Rh、Ir、Pd、PtおよびAuから選択される金属であり、Fwは少なくとも2個の(L4−Ye)基を担持可能な部分であり、Yはアルキレン、ヘテロアルキレン、アルケニレン、ヘテロアルケニレンおよびアルキニレンから選択される基であり、aは1および2から選択され、bは0および1から選択され、cは0、1および2から選択され、dは0および、1から8の整数から選択され、eは0および1から選択され、fは0および1から選択され、gは1から4の整数であり、ならびに、hは1および2から選択され、ただし、a、b、およびcは、MがAu、Pd、またはPtであるとき金属は4配位であり、およびMがRe、Ru、Os、RhまたはIrであるとき金属は6配位であるよう選択され、ならびに、ただし、f=0であるとき、e=0であり、および少なくとも1個の置換基R1が少なくとも1個の配位子にあり、ここでR1は溶剤可溶化性である)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機金属化合物に関し、より詳細には、電気的に活性な有機金属化合物に関する。本発明はまた、活性層が少なくとも一種のこのような有機金属化合物を包含する電子素子に関する。
【0002】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2004日6月9日に出願された米国仮特許出願第60/545,596号に基づく優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
ディスプレイを構成する発光ダイオードなどの発光する有機電子素子が、多数の異なる種類の電子機器中に存在する。このような素子のすべてにおいては、有機活性層が2層の電気接触層の間にサンドイッチされている。少なくとも1つの電気接触層は透光性であり、この電気接触層を光が透過することが可能である。有機活性層は、電気接触層を通して通電されると、透光性電気接触層を介して光を放射する。
【0004】
有機エレクトロルミネッセント化合物を活性構成成分として発光ダイオードにおいて用いることは周知である。アントラセン、チアジアゾール誘導体、およびクマリン誘導体などの単純な有機分子がエレクトロルミネッセンスを示すことが公知である。例えば、(フレンド(Friend)ら)、(特許文献1)、(ヒーガー(Heeger)ら)、(特許文献2)、および(ナカノ(Nakano)ら)(特許文献3)において開示されてきているように、共役ポリマー半導体もまたエレクトロルミネッセント構成成分として用いられてきている。例えば、(タン(Tang)ら)、(特許文献4)において開示されてきているように、三価金属イオン(特にアルミニウム)を備えた8−ヒドロキシキノレートの錯体が、エレクトロルミネッセント構成成分として広範に用いられてきている。
【0005】
バローズおよびトンプソン(Burrows and Thompson)が、fac−トリス(2−フェニルピリジン)イリジウムが活性構成成分として有機発光素子において用いることが可能であることを報告している。((非特許文献1))この性能は、イリジウム化合物がホスト導電性材料中に存在する場合に最大化される。トンプソン(Thompson)は、さらに、活性層がfac−トリス[2−(4’,5’−ジフルオロフェニル)ピリジン−C’2,N]イリジウム(III)でドープされたポリ(N−ビニルカルバゾール)である素子を報告している。((非特許文献2))フッ素化フェニルピリジン、フェニルピリミジン、またはフェニルキノリン配位子を有するエレクトロルミネッセントイリジウム錯体が、(特許文献5)に開示されている。
【0006】
しかしながら、エレクトロルミネッセント化合物に対する継続的な要求が存在する。
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,247,190号明細書
【特許文献2】米国特許第5,408,109号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第443 861号明細書
【特許文献4】米国特許第5,552,678号明細書
【特許文献5】国際公開第02/02714号パンフレット
【特許文献6】国際公開第0340256号パンフレット
【特許文献7】英国特許第615523号明細書
【非特許文献1】応用物理誌(Appl.Phys.Lett.)1999年、75,4
【非特許文献2】ポリマー予稿集(Polymer Preprints)2000年、41(1)、770
【非特許文献3】Izv.AN USSR.Ser.Khim.1980年、2827
【非特許文献4】無機化学(Inorg.Chem.)1985年、第24巻、第3680頁
【非特許文献5】フッ素化学誌(J.Fluorine Chem.)2002年、117、121
【非特許文献6】O.ローゼ(Lohse)、P.テベニン(Thevenin)、E.Waldvogel Synlett、1999年、45〜48頁
【非特許文献7】「可溶性導電性ポリマーから形成された可撓性発光ダイオード(Flexible light−emitting diodes made from soluble conducting polymer)」、ネイチャー(Nature)357巻、477〜479頁(1992年6月11日)
【非特許文献8】カーク−オスマー化学技術の百科事典(Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology)、第4版、第18巻、837〜860頁、1996年
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、式I、式II、または式III
【0009】
【化1】

【0010】
(式中、
1はアリール−N−複素環配位子およびヘテロアリール−N−複素環配位子から選択され、
2はアニオン性配位子であり、
3はノニオン性配位子であり、
4はL1およびL2から選択され、
MはRe、Ru、Os、Rh、Ir、Pd、PtおよびAuから選択される金属であり、
FWは少なくとも2個の(L4−Ye)基を担持可能な部分であり、
Yはアルキレン、ヘテロアルキレン、アルケニレン、ヘテロアルケニレンおよびアルキニレンから選択される基であり、
aは1および2から選択され、
bは0および1から選択され、
cは0、1および2から選択され、
dは1から8の整数から選択され、
eは0および1から選択され、
fは0および1から選択され、
gは1から4の整数であり、および
hは1および2から選択され、
ただし、a、b、およびcは、MがAu、Pd、またはPtであるとき金属は4配位であり、およびMがRe、Ru、Os、RhまたはIrであるとき金属は6配位であるよう選択され、ならびに
ただし、f=0であるとき、e=0であり、および少なくとも1個の置換基R1が少なくとも1個の配位子にあり、ここでR1は溶剤可溶化性である)
を有する化合物に関する。
【0011】
他の実施形態において、組成物は、式I、II、またはIIIの少なくとも1種の上記化合物を含む。
【0012】
他の実施形態においては、少なくとも1種の本発明の化合物を含む少なくとも一つの活性層を含有する電子素子が提供される。
【0013】
他の実施形態においては、少なくとも1種の本発明の化合物を包含する少なくとも一つの活性層を含有する有機発光ダイオード(OLED)が提供される。
【0014】
他の実施形態においては、少なくとも1種の本発明の化合物を包含する少なくとも一つの活性層を含有するエレクトロルミネッセント素子が提供される。
【0015】
さらなる実施形態においては、エレクトロルミネッセント有機金属化合物の溶液処理性を改善する方法が提供される。一実施形態においては、このような方法は、少なくとも2個の単金属基を構成組織構造に共有結合的に結合させることにより、単金属基を多金属化合物に集合させることによって行われ、ここで、これらの単金属基は、配位子を介して構成組織構造に直接的に結合されているか、または連鎖を介して非直接的に結合されており、これにより溶液処理性が改善される。一実施形態において、かかる方法は、少なくとも1個の溶剤可溶化性置換基を有機単金属化合物の少なくとも1個の配位子に結合させることにより行われる。
【0016】
前述の一般的な記載および以下の詳細な記載は一例でありおよび単に説明的であり、これらは、添付の特許請求の範囲により規定される本発明を限定するものではない。
【0017】
本発明は、実施例によって例示されおよび添付の図において限定されない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
上記式I、IIまたはIIIの化合物、これらの化合物を含有する組成物および上記の式の一つを含む少なくとも一つの活性層を含有する電子素子が提供される。一実施形態においては、上記の式の少なくとも1種の化合物を包含する少なくとも一つの活性層を含有する有機発光ダイオード(OLED)が提供されている。他の実施形態において、上記の式の化合物を包含する少なくとも一つの活性層を含有する光活性素子が提供されている。
【0019】
有機電子素子の調製において、溶液処理技術を用いて1つまたは複数の層を形成することが多くの場合に望ましい。OLEDの分野において、高効率および長寿命の多層溶液処理された素子の形成は、困難な課題である。この領域で直面されたいくつかの問題点は、有機材料の熱的および形態学的安定性ならびにフィルム形成能である。特に関連性のあるのは、活性層、(例えば、放射)層に用いられる材料の溶解度およびフィルム形成能である。一定の実施形態においては、主要な素子性能は、堆積されたフィルムの質に依存する。OLED実施形態の一つにおいて、放射層は、<20重量%でエレクトロルミネッセンス材料がドープされたホスト輸送材料を含む。一実施形態において、優れた混和性がホストおよびエレクトロルミネッセンス材料の間にあり、良質のフィルムが液相成長技術によって堆積され得る。
【0020】
本発明の化合物は上記の式I、式II、または式IIIを有する。
【0021】
Mは、Re、Ru、Os、Rh、Ir、Pd、PtおよびAuから選択される金属である。Pd、Pt、およびAuは+2の酸化状態を有し、典型的には4配位である。下記のL1配位子は、配位位置の2つを占領する。他の2つはL4によって占領され、L4が単座の場合には、L3によっても占領される。Re、Ru、Os、Rh、およびIrは+3の酸化状態を有し、典型的には6配位である。下記のL1配位子は、配位位置の2つまたは4つを占領する。他の位置はL4および、いくつかの場合、L2およびL3の組み合わせによって占領される。一実施形態においては、MはOs、Ir、およびPtから選択される。
【0022】
1は、アリール−N−複素環配位子およびヘテロアリール−N−複素環配位子から選択される。配位子は、N−芳香族複素環に、単結合によって接続された芳香族または芳香族複素環を有する。芳香族または芳香族複素環は、単環または縮合環系を含み得る。芳香族環の例としては、限定されないが、フェニル、ナフチル、およびアントラセニルが挙げられる。芳香族複素環の例としては、限定されないが、チオフェンに由来の環、ジチオールピリジンに由来の環が挙げられる。N−芳香族複素環は、単環または縮合環系を含み得る。N−複素環式芳香族化合物基の例としては、限定されないが、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、およびキノリンが挙げられる。一実施形態においては、L1はフェニル−ピリジン、フェニル−ピリミジン、フェニル−キノリン、ビピリジンおよびチエニル−ピリジンから選択される。配位子L1は、2つの結合点によって金属に配位しており、これはモノアニオン性、二座配位子である。2つの結合点は、N−芳香族複素環の窒素原子を介して、芳香族または芳香族複素環の炭素に対してである。
【0023】
2はモノアニオン性配位子である。L2は単座、二座または三座であることができる。単座L2配位子の例としては、限定されないが、H−(「水素化物」)およびC、OまたはSを配位原子として有する配位子が挙げられる。配位基としては、限定されないが、アルコキシド、カルボキシレート、チオカルボキシレート、ジチオカルボキシレート、スルホネート、チオレート、ニトリル、アリール、カルバメート、ジチオカルバメート、チオカルバゾーンアニオン、スルホンアミドアニオン等が挙げられる。いくつかの場合において、β−エノレートおよびフォスフィノアルコキシドなどの、二座として以下で考察されている配位子は、単座配位子として作用することができる。単座配位子はまた、ハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、ヘキサハロアンチモン酸塩等などの配位アニオンであることができる。これらの配位子は一般に市販されている。
【0024】
二座L2配位子は、一般にN、O、P、またはSを配位原子として有し、および金属に配位した場合には5員環または6員環を形成する。好適な配位基としては、アミノ、イミノ、アミド、アルコキシド、カルボキシレート、フォスフィノ、チオレート等が挙げられる。これらの配位子のための好適な親化合物の例としては、限定されないが、β−ジカルボニル(β−エノレート配位子)およびこれらのNおよびSアナログ、アミノカルボン酸(アミノカルボキシレート配位子)、ピリジンカルボン酸(イミノカルボキシレート配位子)、サリチル酸誘導体(サリチレート配位子)、ヒドロキシキノリン(ヒドロキシキノリネート配位子)およびこれらのSアナログ、ならびにフォスフィノアルカノール(フォスフィノアルコキシド配位子)が挙げられる。
【0025】
このβ−エノレート配位子は一般に式IV
【0026】
【化2】

【0027】
(式中、R2は各出現において同一または異なる)を有する。R2基は、水素、ハロゲン、置換されたまたは置換されていないアルキル、アリール、アルキルアリールまたは複素環基であることができる。隣接するR2およびR3基は接続されて、置換されることが可能である、五員環および六員環を形成することができる。一実施形態においては、R2基はCn(H+F)2n+1、−C65、c−C43S、およびc−C43O(式中、nは1から20の整数である)から選択される。R3基は、H、置換されたまたは置換されていない、アルキル、アリール、アルキルアリール、複素環基またはフッ素であることができる。
【0028】
好適なβ−エノレート配位子の例としては、以下に列挙された化合物が挙げられる。β−エノレートフォームの略記が以下に括弧内に記されている。
【0029】
2,4−ペンタンジオネート[acac]
1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオネート[DI]
2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート[TMH]
4,4,4−トリフルオロ−1−(2−チエニル)−1,3−ブタンジオネート[TTFA]
7,7−ジメチル−1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロ−4,6−オクタンジオネート[FOD]
1,1,1,3,5,5,5−ヘプタフルオロ−2,4−ペンタンジオネート[F7acac]
1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ペンタンジオネート[F6acac]
1−フェニル−3−メチル−4−i−ブチリル−ピラゾリノネート[FMBP]
【0030】
β−ジカルボニル親化合物は、一般に市販されている。親化合物1,1,1,3,5,5,5−ヘプタフルオロ−2,4−ペンタンジオン(CF3C(O)CFHC(O)CF3)は、パーフルオロペンテン−2とアンモニアとの反応、これに続く、(非特許文献3)において公開された手法による加水分解ステップに基づく二ステップ合成を用いて調製することが可能である。この化合物は、加水分解されやすいため無水条件下にて保管されおよび反応されるべきである。
【0031】
ヒドロキシキノリネート配位子は、部分的にまたは完全にフッ素化されていてもよい、アルキルまたはアルコキシ基などの基で置換されることができる。好適なヒドロキシキノリネート配位子の例としては(略記が括弧内に提供されている)、
8−ヒドロキシキノリネート[8hq]
2−メチル−8−ヒドロキシキノリネート[Me−8hq]
10−ヒドロキシベンゾキノリネート[10−hbq]
が挙げられる。
親ヒドロキシキノリン化合物は一般に市販されている。
【0032】
フォスフィノアルコキシド配位子は、一般に式V
【0033】
【化3】

【0034】
(式中、
4は各出現において同一であっても異なっていてもよく、ならびにHおよびCn(H+F)2n+1から選択され、
5は各出現において同一であっても異なっていてもよく、ならびにCn(H+F)2n+1およびC6(H+F)5、またはC65-m(R6mから選択され、
6=CF3、C25、n−C37、i−C37、C49、CF3SO2および
Φは2または3であり、
mは0または1から5の整数であり、ならびに
nは1から20の整数である)を有する。
【0035】
好適なフォスフィノアルコキシド配位子の例としては(略記が括弧内に提供されている)、
3−(ジフェニルフォスフィノ)−1−オキシプロパン[dppO]、
1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2−(ジフェニルフォスフィノ)−エトキシド[tfmdpeO]、
1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2−(ビス(3’5’−ジトリフルオロメチルフェニル)フォスフィノ)エトキシド[PO−2]、
1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2−(ビス(4’−トリフルオロメチルフェニル)フォスフィノ)エトキシド[PO−3]、および
1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2−(ビス(ペンタフルオロフェニル)フォスフィノ)エトキシド[PO−4]
が挙げられる。
【0036】
親フォスフィノアルカノール化合物のいくつかは市販されているか、または、例えば、(非特許文献4)または(非特許文献5)においてtfmdpeOについて報告されている手法などの公知の手法を用いて調製することができる。
【0037】
一実施形態においては、L2は、芳香族基の一部である炭素原子を介して配位されている配位子である。この配位子は式VI
Ar[−(CH2q−Q]p (VI)
【0038】
(式中、Arはアリールまたはヘテロアリール基であり、Qは金属に配位可能なヘテロ原子を有する基、qは0または1から20の整数、pは1から5の整数であり、および、さらにここで、(CH2q中の炭素の1つまたは複数はヘテロ原子で置き換えられることが可能であり、および(CH2q中の水素の1つまたは複数はDまたはFで置き換えられることが可能である)を有することができる。
【0039】
一実施形態においては、QはN(R72、OR7、SR7、およびP(R82(式中、R7は各出現において同一であっても異なっていてもよく、これはH、Cn2n+1またはCn(H+F)2n+1であり、R8は各出現において同一であっても異なっていてもよく、これはH、R7、Arおよび置換Arから選択される)から選択される。
【0040】
一実施形態においては、Arはフェニルであり、qは1、QはP(Ar)2およびpは1または2である。
【0041】
三座L2配位子は、二座配位子に類似するが、金属に配位可能な追加のノニオン性基を包含する。ノニオン性基の例としては、限定されないが、アミノ、イミノ、およびフォスフィノ基が挙げられる。
【0042】
3配位子は、非イオン性でありおよび単座または二座であることができる。L3配位子の例としては、限定されないが、CO、一座−および二座ホスフィン配位子、イソニトリル、イミン、およびジイミンが挙げられる。ホスフィン配位子は式VIIまたは式VIII
PAr3 (VII)
Ar2P−Z−PAr2 (VIII)
【0043】
(式中、Arはアリールまたはヘテロアリール基を示し、およびZは、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレンまたはヘテロアリーレン基を示す)を有することができる。Ar基は、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロゲン化物、カルボキシル、スルホキシル酸塩、またはアミノ基で置換されていなくても置換されていてもよい。ホスフィン配位子は、一般に市販されている。
【0044】
4はアニオン性配位子である。式Iにおいて、e=1であるとき、および式IIおよびIIIにおいて、L4もまた中心構成組織に結合されている。L4は、L1と同一であるかまたは異なっているアリールN−複素環であることができる。L4は、上記されたようにL2のためのアニオン性配位子であることができる。式Iにおいて、e=1であるとき、式IIおよびIIIにおいて、L4は金属に対する配位および中心構成組織への結合の両方が可能でなければならないことが理解されるであろう。この場合、L4は、例えば、水酸化物であることはできない。
【0045】
一実施形態においては、電気的に活性な有機金属化合物の溶液処理性が単金属基を多金属化合物に集合させることによって増加される。Fwは、それに1つの、または1つ以上の、金属単位が結合することが可能である化学的構成組織を示す。無数の可能な構成組織構造が、本発明の化合物の構成に用いるために存在している。構成組織構造に結合し得る金属単位の数が、式Iにおいて「d」として、式IIにおいて「g」として、および式IIIにおいて「h」として示されている。この数は、構成組織構造の種類、L4配位子の性質、および金属上の他の配位子の性質に応じて変化する。いくつかの実施形態においては、構成組織に結合された金属単位の数は、2から約6までで変化する。他の実施形態においては、構成組織に結合された金属単位の数は、分枝点を備えた構成組織が用いられるならば、6より大きいことができる。
【0046】
一実施形態においては、構成組織構造は、少なくとも1つのアリール環を有するヒドロカルビル部分である。アリール環を含有する例示的な構成組織構造が以下に規定されており、ここで、「−−−−−−」は、金属単位のための結合点を示す。
【0047】
【化4】

【0048】
他の実施形態において、構成組織構造はシクロヘキシル環などの環状脂肪族部分である。
【0049】
多種の無機材料もまた、構成組織構造として本発明の多金属錯体中に用い得る。一実施形態においては、本発明の化合物はシロキサンである。他の実施形態において、構成組織構造はシルセスキオキサンである。アルキニレン連鎖を有する例示的なシルセスキオキサンが以下の式
【0050】
【化5】

【0051】
(式中、「−−−−−−−」は、金属単位のための結合点を示す。上記構造において、Si−SiはSi−O−Siを表す)に規定されている。
【0052】
上記構成組織構造のいずれもさらに置換されていることができる。置換基の例としては、限定されないが、アルキル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、アルコキシ、およびアリールオキシなどの基が挙げられ、ここで、このような基は部分的にまたは完全にフッ素化されていてもよい。「フッ素化」とは、基中の1つまたは複数の水素がフッ素によって置き換えられることを意味する。
【0053】
Yは、構成組織構造および結合する配位子L4の間の任意の連結基を示す。本発明の化合物において用いられた場合には、連鎖は、金属化合物の所望の特性に不利益に作用しない基のいずれであることができる。例としては、限定されないが、O、S、アルキレン、ヘテロアルキレン、アルケニレン、ヘテロアルケニレン、アルキニレン、およびヘテロアルキニレンが挙げられる。例えば、発光用途のためには、連結基は、構成組織に結合するエレクトロルミネッセント金属中心の各々の放射特性を摂動するべきではない。連鎖は、各金属基が、エレクトロルミネッセント効率が最適化されるように空隙に配向されるよう、選択されることができる。いくつかの実施形態において、連鎖は、または1〜6個の炭素を有する、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン部分である。
【0054】
一実施形態においては、溶液処理性は、少なくとも1個の溶剤可溶化性置換基、R1を、少なくとも1個のアリールまたはヘテロアリール基に組み込むことにより増加される。一実施形態において、R1は、アルキル、フルオロアルキル、アリール、フルオロアリール、アルキルアリール、アルコキシ、アリールオキシ、フルオロアルコキシ、フルオロアリールオキシ、およびこれらのヘテロ−アナログから選択される。一実施形態において、R1は、フェニル、フルオロフェニル、アルキルフェニル、フルオロアルキルフェニル、アルコキシフェニル、およびフルオロアルコキシフェニルから選択される。一実施形態において、R1は、アリール置換アリール基である。一実施形態において、R1は、テトラフェニルフェニル基である。
【0055】
以下に規定された構造は、CH2連結基を介してアリール構成組織構造に連結されたL4配位子としての例示的なβ−エノレートを示す。また、以下に、酸素原子を介してシクロヘキシル構成組織構造に結合したβ−エノレート配位子の例を示す。
【0056】
【化6】

【0057】
金属としてIr、L1としてフェニル−ピリジンまたはフェニル−キノリン、L4配位子としてβ−エノレート、およびFwとしてアリール環を有する例示的な本発明の化合物が図1に規定されている。
【0058】
一実施形態において、化合物は、e=f=0であり、および少なくとも1個の置換基、R1が、少なくとも1個の配位子にある(ここで、R1は溶剤可溶化性である)式Iを有する。一実施形態において、R1は、アルキル、フルオロアルキル、アリール、フルオロアリール、アルキルアリール、アルコキシ、アリールオキシ、フルオロアルコキシ、フルオロアリールオキシ、およびこれらのヘテロ−アナログから選択される。一実施形態において、R1はフェニル、フルオロフェニル、アルキルフェニル、フルオロアルキルフェニル、アルコキシフェニル、およびフルオロアルコキシフェニルから選択される。一実施形態において、R1はアリール−置換アリール基である。
【0059】
e=f=0であり、金属としてIrおよびL1としてフェニル−ピリジンを備える式Iを有する例示的な本発明の化合物が、図2〜4に記載されている。
【0060】
本発明の有機金属化合物は非イオン性である。これらは従来の手段のいずれかによってフィルムに形成されることが可能である。これらは純粋なフィルムに形成されることが可能であるが、またはフィルム中において他の材料と組み合わされることができる。低分子量化合物は、いくつかの場合、無処置に昇華されることができる。これらの材料の薄膜は、真空蒸着により得ることができる。しかしながら、溶液処理によって化合物を蒸着することが、有利であることが多い。公知の液相成長技術のいずれをも用いることができる。新規の有機金属化合物の溶液処理のための液体媒体は、化合物を溶解または分散させることができる、有機または部分的に有機液体のいずれかであることができる。一般に、液体媒体は、非水性である。液体媒体として用いることができる好適な有機液体の例としては、限定されないが、トルエン、フッ素化トルエン、キシレン、フッ素化キシレン、塩化炭化水素、エチルアセテート,および4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0061】
新規の有機金属化合物は、当業者に周知の有機合成技術および有機金属合成技術を用いる種々の方法で合成され得る。MがIrである化合物の、いくつかの例示的な合成が以下に規定されている。アナログ反応を他の金属について行うことができる。
【0062】
【化7】

【0063】
【化8】

【0064】
ステップAおよびステップBは、4個の好適な二座、モノアニオン性配位子L4を有しているアリール構成組織構造の合成を記述している。2,4−ペンタンジオンの1,2,4,5−テトラ−ブロモメチルベンゼンとの、リチウムジイソプロピルアミド(「LDA」)などの強塩基の存在下における反応は、1,2,4,5−テトラ−(3,5−ジオキソ−ヘキシル)ベンゼンをもたらす。この構成組織構造は、β−ジエノレートを形成するための脱プロトン化の後、4個以下の単金属基が配位するために好適な4個のβ−ジカルボニル部分を有している。これは、例えば、ステップBに示されるように達成される。4個のβ−ジカルボニル部分を備えた構成組織構造はNaHと反応して、アセチルアセトネート部分、L4を製造し、これは、次いで前駆体Ir錯体と反応して、本発明の化合物の例を形成する。
【0065】
前駆体有機金属錯体は、
【0066】
【化9】

【0067】
(式中、Lは同一または異なり、および典型的には、種類L1の配位子であり、およびZはClまたはOR9であり、ここで、R9はH、CH3、またはC25である)などの中間体二量体を介して調製することが可能である。イリジウム二量体は、一般に、先ず三塩化イリジウム水和物を配位子L1と反応させ、および任意によりNaOR9を添加することにより調製することができる。
【0068】
式I(式中、e=f=0、a=2であり、およびL4=L1である)を有する化合物は、三塩化イリジウム水和物と、過剰量の配位子と、トリフルオロ酢酸銀との反応により調製することができる。
【0069】
アリール−N−複素環およびヘテロアリール−N−複素環配位子は、一般に、(非特許文献6)に記載されている通り構成成分基のスズキカップリングを用いて調製することができる。
【0070】
本発明の化合物は、単離し、精製し、ならびに、元素分析、1Hおよび19FNMRスペクトルデータ、および、好適な結晶性化合物については単結晶X線回折により、完全に特徴付けることができる。いくつかの場合において、異性体の混合物が得られる。多くの場合、混合物は、個々の異性体を単離することなく用いることができる。個々の異性体が所望の場合には、これらは、標準的な技術を用いる、シリカまたはアルミナ媒体での液体クロマトグラフィにより、分離可能であることが多い。
【0071】
(電子素子)
他の実施形態は、上記有機金属化合物を含む少なくとも1つの層を含む新規の有機電子素子である。有機金属化合物は、個別の層中にあることができ、または素子中の他の活性または非活性材料と組み合わすことができる。
【0072】
有機電子素子構造の1種類の例示が図5に示されている。素子100は、陽極層110および陰極層150を有する。陽極には、正孔輸送材料を含む層120が隣接している。陰極には、電子輸送材料を含む層140が隣接している。正孔輸送層および電子輸送層の間に光活性層130がある。
【0073】
素子100の用途に応じて、光活性層130は、印加電圧によって活性化される発光層(発光ダイオードまたは発光電気化学セル、発光ディスプレイ中のものなどの)、放射エネルギーに応答し、印加バイアス電圧と共にもしくは印加バイアス電圧無しで信号を生成する(受光器中のものなどの)材料層であることができる。本願明細書において開示された化合物について実用性を有する電子素子としては、
(1)電気エネルギーを放射線に転換する素子(例えば、発光ダイオード、発光ダイオードディスプレイ、またはダイオードレーザー)、(2)電子処理を介して信号を検知する素子(例えば、受光器(例えば、光導電セル、光抵抗器、光スイッチ、フォトトランジスタ、光電管)、IR検知器)、(3)放射線を電気エネルギーに転換する素子(例えば、光起電素子または太陽電池)、および(4)1つまたは複数の有機半導体層を包含する1つまたは複数の電子構成成分を包含する素子(例えば、トランジスタまたはダイオード)が挙げられる。
【0074】
本発明の化合物は、層130における光活性材料として、または層130または層140における電子輸送材料として特に有用である。一実施形態において、本発明の化合物は、ダイオード中の発光材料として用いられる。一実施形態においては、層の総重量を基準にして、20重量%を超える新規の化合物、100%以下が新規の化合物である層を放射層として用いることができる。追加の材料が、本発明の化合物と共に、放射層中に存在し得る。例えば、蛍光染料が放射の色を変化させるために存在し得る。希釈剤もまた添加されてもよく、このような希釈剤は、電荷輸送材料または非活性マトリックスであり得る。希釈剤は、高分子材料、低分子またはこれらの混合物を含み得る。希釈剤は、加工助剤として作用し得、金属化合物を含有するフィルムの物理的特性または電気的特性を改善し得、本願明細書に記載の金属化合物における自己消光を低減し得、および/または本願明細書に記載の金属化合物の凝集を低減し得る。
【0075】
一定の実施形態において、本願明細書において記載された新規の化合物は、ホスト材料中のゲスト材料として存在する。用語「ゲスト材料」とは、ホスト材料を含有する層中における、層の電子的特徴または、放射線放射、受光、またはフィルタリングの目標波長を、このような材料が存在しない層の電子的特徴または放射線放射、受光、またはフィルタリングの波長に比較して、変化させる材料を意味すると意図される。用語「ホスト材料」は、通常は、ゲスト材料が添加され得るまたはされ得ない層の形態にある材料を意味すると意図される。ホスト材料は、電子的特徴を有し得、あるいは有し得ず、または放射線を放射し、受光しまたはフィルタすることが可能であり得、あるいはあり得ない。
【0076】
好適な高分子ホスト材料の限定されない例としては、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、共役ポリマー、およびポリシラン、ならびにこれらの混合物が挙げられる。好適な小分子ホスト材料の限定されない例としては、4,4’−N,N’−ジカルバゾールビフェニル(CBP)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(BAlQ)または第3級芳香族アミンおよびこれらの混合物が挙げられる。好適な共役ポリマーの例としては、ポリアリーレンビニレン、ポリフルオレン、ポリオキサジアゾール、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリフェニレン、これらのコポリマーおよびこれらの組み合わせが挙げられる。共役ポリマーは、例えば、アクリル系、メタクリル系、またはビニルモノマー単位といった非共役部分を有するコポリマーであることができる。一実施形態においては、希釈剤は、フルオレンおよび置換フルオレンのホモポリマーおよびコポリマーを含む。希釈剤が用いられる場合には、本発明の化合物は、一般に少量で存在する。一実施形態においては、金属化合物は、層の総重量を基準にして20重量%未満である。一実施形態においては、金属化合物は、層の総重量を基準にして10重量%未満である。
【0077】
いくつかの場合において、本発明の化合物は、2つ以上の異性体の形態で存在し得、または異なる錯体の混合物が存在し得る。OLEDの上記考察において、用語「本発明の化合物」とは、化合物および/または異性体の混合物を含むことを意図していると理解されるであろう。
【0078】
高効率LEDを実現するために、正孔輸送材料のHOMO(最高被占分子軌道)が陽極の仕事関数と位置合せされているべきであり、電子輸送材料のLUMO(最低非占有分子軌道)が陰極の仕事関数と位置合せされているべきである。化学的な親和性および材料の昇華温度がまた、電子および正孔輸送材料の選択において重要な要件である。
【0079】
OLED中の他の層は、このような層において有用であると公知であるいずれ材料からも形成することができる。陽極110は、正電荷キャリアを注入するために特に効率的な電極である。これは、例えば、金属、混合金属、合金、金属酸化物または混合−金属酸化物を含有する材料から形成することができ、またはこれは、導電性ポリマーであることができる。好適な金属としては、11族金属、4、5、および6族の金属、および8〜10族遷移金属が挙げられる。陽極が透光性であるべきである場合には、インジウム−スズ−酸化物などの12、13および14族金属の混合−金属酸化物が一般に用いられる。IUPAC番号方式が一貫して用いられており、ここで周期律表からの族は左から右に1〜18として番号付けされている(化学および物理のCRCハンドブック(CRC Handbook of Chemistry and Physics)、81版、2000年)。陽極110は、(非特許文献7)に記載されている通り、ポリアニリンなどの有機材料をも含み得る。陽極および陰極の少なくとも1つは、発生した光を観測することができるよう少なくとも部分的に透明であるべきである。
【0080】
層120のための正孔輸送材料の例は、例えば、Y.ワン(Y.Wang)による(非特許文献8)に要約されている。正孔輸送分子およびポリマーの両方を用いることができる。通例用いられる正孔輸送分子は、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(TPD)、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(NPB、NPD)、1,1−ビス[(ジ−4−トリルアミノ)フェニル]シクロヘキサン(TAPC)、N,N’−ビス(4−メチルフェニル)−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)−[1,1’−(3,3’−ジメチル)ビフェニル]−4,4’−ジアミン(ETPD)、テトラキス−(3−メチルフェニル)−N,N,N’,N’−2,5−フェニレンジアミン(PDA)、a−フェニル−4−N,N−ジフェニルアミノスチレン(TPS)、p−(ジエチルアミノ)ベンズアルデヒドジフェニルヒドラゾン(DEH)、トリフェニルアミン(TPA)、ビス[4−(N,N−ジエチルアミノ)−2−メチルフェニル](4−メチルフェニル)メタン(MPMP)、1−フェニル−3−[p−(ジエチルアミノ)スチリル]−5−[p−(ジエチルアミノ)フェニル]ピラゾリン(PPRまたはDEASP)、1,2−トランス−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)シクロブタン(DCZB)、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(TTB)、および銅フタロシアニンなどのポルフィリン系化合物である。通例用いられる正孔輸送ポリマーはポリビニルカルバゾール、(フェニルメチル)ポリシラン、およびポリアニリンである。上述したものなどの正孔輸送分子をポリスチレンおよびポリカーボネートなどのポリマーにドープすることにより正孔輸送ポリマーを得ることも可能である。
【0081】
層140のための他の電子輸送材料の例としては、トリス(8−ヒドロキシキノラト)アルミニウム(Alq3)、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(DDPA)または4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(DPA)などのフェナントロリンベースの化合物、および2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)および3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(TAZ)などのアゾール化合物などの金属キレート化オキシノイド化合物が挙げられる。層140は、電子輸送を容易にし、および層境界面での励起の消光を防止するために緩衝層または閉じ込め層としても役立つ、両方に機能することができる。好ましくは、この層は、電子移動性を促進しおよび励起消光を低減する。
【0082】
陰極150は、電子または負印加キャリアの注入のために特に効率的である電極である。陰極は、陽極より低い仕事関数を有するいかなる金属または非金属であってもよい。陰極のための材料は、1族のアルカリ金属(例えば、Li、Cs)、2族(アルカリ土類)金属、希土類元素およびランタノイドを包含する12族金属、およびアクチニドから選択することができる。アルミニウム、インジウム、カルシウム、バリウム、サマリウムおよびマグネシウム、ならびに組み合わせなどの材料を用いることができる。Li含有有機金属化合物もまた、作動電圧を低減するために有機層および陰極層の間に堆積されることができる。
【0083】
有機電子素子には他の層があることが知られている。例えば、陽極層110および活性層130の間には、正電荷輸送および/または層のバンドギャップマッチングを容易にするために、または保護層として機能するために、追加の層(図示せず)があってもよい。同様に、活性層130および陰極層150の間には、負印輸送および/または層間のバンドギャップマッチングを容易にするために、または保護層として機能するために、追加の層(図示せず)があってもよい。技術分野において周知である層を用いることができる。追加で、上記層のいずれも、2つ以上の層で形成されていることができる。または、いくつかのまたはすべての無機陽極層110、正孔輸送層120、活性層130、および陰極層150は、電荷キャリア輸送効率を増大するために表面処理され得る。各構成成分層のための材料の選択は、高素子効率の素子を提供するという目標とのつりあいによって決定されることが好ましい。
【0084】
各機能層は、2つ以上の層から構成され得ることが理解される。
【0085】
素子は、個々の層を好適な基材の上に順次に蒸着することによって調製することができる。ガラスおよび高分子フィルムなどの基材を用いることができる。熱蒸発、化学蒸着等などの、従来の蒸着技術を用いることができる。または、有機層は、好適な溶剤中の溶液または分散体から、いずれかの従来のコーティング技術を用いてコートすることができる。普通、異なる層は、以下の厚さの範囲を有するであろう。陽極110、500〜5000Å、好ましくは1000〜2000Å、正孔輸送層120、50〜1000Å、好ましくは200〜800Å、発光層130、10〜1000Å、好ましくは100〜800Å、電子輸送層140、50〜1000Å、好ましくは200〜800Å、陰極150、200〜10000Å、好ましくは300〜5000Å。素子における電子−正孔再結合ゾーンの位置、およびすなわち素子の放射スペクトルは、各層の相対的な厚さによって影響される可能性がある。したがって、電子輸送層の厚さは、電子−正孔再結合ゾーンが発光層中にあるように選択されるべきである。層厚の望ましい比は、用いられる材料の正確な性質に依存するであろう。
【0086】
本発明の化合物で形成された素子の効率は、素子中の他の層を最適化することによってさらに改善することが可能であることが理解される。例えば、Ca、BaまたはLiFなどのより効率的な陰極を用いることができる。成形された基材および動作電圧の低減または量子効率を増大させる結果となる新規の正孔輸送材料もまた適用可能である。追加の層もまた、種々の層エネルギーレベルを調整するためにおよびエレクトロルミネッセンスを促進するために追加することができる。
【0087】
本発明の化合物は多くの場合燐光性および光輝性であり、ならびにOLED以外の用途においても有用であり得る。例えば、燐光性有機金属化合物は、感酸素インジケータとして、バイオアッセイにおける燐光性インジケータとして、および触媒として用いられてきている。
【0088】
本願明細書において用いられている、用語「化合物」は、分子から形成される電気的に無電荷の物質を意味すると意図され、分子はさらに原子(ここで、原子は物理的な方法によっては分離することができない)からなる。用語「配位子」は、金属イオンの配位圏に結合されている、分子、イオン、または原子を意味すると意図される。用語「錯体」は、名詞として用いられたときは、少なくとも1つの金属イオンおよび少なくとも1つの配位子を有する化合物を意味すると意図される。用語「単座配位子」は、金属イオンの配位圏における1つの配位サイトを占領する配位子を指す。類似して、用語「二座配位子」および「三座配位子」は、金属イオンの配位圏におけるそれぞれ2つおよび3つの配位サイトを占領する配位子を指す。
【0089】
用語「基」は、有機化合物における置換基または錯体における配位子のような化合物の部分を意味すると意図される。用語「6配位」は、6個の基または結合点が中心金属に配位していることを意味すると意図される。用語「4配位」は、4個の基または結合点が中心金属に配位していること意味すると意図される。句「に隣接している」は、素子中の層を指すために用いられているときは、1つの層が直接的に他の層に続いていることを必ずしも意味しない。他方で、句「隣接するR基」は、化学式において相互に隣接する(すなわち、原子に結合により接続されたR基)R基を指すために用いられる。
【0090】
用語「光活性な」は、エレクトロルミネッセンスまたは感光性を示す材料のいずれかを意味すると意図される。
【0091】
用語「活性な」または「電気的に活性な」は、層または材料を指しているとき、電子的または電子照射特性を示す層または材料を意味すると意図される。活性層材料は、放射線を放射し得または、放射線を受けたときに電子−正孔対の濃度の変化を示し得る。
【0092】
式において、符号L、M、Q、R、Y、ZおよびFwが、ここに定義される原子または基を称するために用いられている。他のすべての符号が従来の原子記号を称するために用いられている。
【0093】
本願明細書において用いられている、「液体または溶液処理または溶液堆積」は、液体媒体からの均一なフィルムの形成を指す。一実施形態においては、フィルムは頑強である。堆積技術としては、液体媒体の形態にある材料を堆積する連続的方法または非連続的方法のいずれかが挙げられる。用語「層」は、用語「フィルム」と区別なく用いられ、および所望の領域を被覆するコーティングを指す。用語は、サイズによっては限定されない。例えば、いくつかの実施形態において、領域は、素子全体と同程度に大きくてもよい。他の実施形態においては、領域は、実際のビジュアルディスプレイなどの特定の機能性領域と同程度に小さくてもよく、または単一のサブピクセルと同程度に小さくてもよい。追加で、領域は、連続的であっても非連続的であってもよい。層は、特に限定されないが、蒸着、液相成長、および熱転写を包含する、従来の堆積技術のいずれかによって形成することができる。例えば、いくつかの実施形態において、層は、スピンコーティング、グラビアコーティング、カーテンコーティング、浸漬被覆、スロット−ダイコーティング、スプレー被覆、連続ノズルコーティング、および、インクジェット印刷、コンタクトプリント(グラビア印刷、スクリーン印刷等など)などの非連続堆積技術、または実に、層を実在化させるのに効果的な他の手法のいずれかによって形成し得る。
【0094】
本願明細書において用いられている、用語「アルキル」は、一つの結合点を有する脂肪族炭化水素に由来する基を意味すると意図され、この基は直鎖、分岐または環状であり得る。用語「アルキレン」は、アルキル基に由来し、2つ以上の結合点を有する基を意味すると意図される。
【0095】
本願明細書において用いられている、用語「アルケニル」は、1つまたは複数の炭素−炭素二重結合を有する炭化水素に由来し、一つの結合点を有する基を意味すると意図され、この基は、直鎖、分岐または環状であり得る。用語「アルケニレン」は、アルケニル基に由来し、1つまたは複数の炭素−炭素二重結合を有しおよび2つ以上の結合点を有する基を意味すると意図される。
【0096】
本願明細書において用いられている、用語「アルキニル」は、1つまたは複数の炭素−炭素三重結合を有する炭化水素に由来し、一つの結合点を有する基を意味すると意図され、この基は、直鎖、分岐または環状であり得る。用語「アルキニレン」は、アルキニル基に由来し、2つ以上の結合点を有する基を意味すると意図される。
【0097】
本願明細書において用いられている、用語「アリール」は、一つの結合点を有する芳香族炭化水素に由来する基を意味すると意図される。用語「アリーレン」は、アリール基に由来し、および二つの結合点を有する基を意味すると意図される。
【0098】
本願明細書において用いられている、用語「アリールアルキレン」は、アリール置換基を有するアルキル基に由来する基を意味すると意図される。
【0099】
本願明細書において用いられている、用語「アリーレンアルキレン」は、アリール基およびアルキル基の両方を有し、一つの結合点をアリール基におよび一つの結合点をアルキル基に有する基を意味すると意図される。
【0100】
本願明細書において用いられている、「ヒドロカルビル」は、主に炭素原子および水素原子から組成されている部分を指す。本願明細書において用いられている、「ヒドロカルビル」部分はまた、ヘテロ原子、例えば、N、O、P等を含有し得る。
【0101】
本願明細書において用いられている、「無機」は、主に炭素以外の原子から組成されている部分を指す。
【0102】
本願明細書において用いられている、用語「溶剤可溶化性」は、少なくとも1種の有機溶剤における材料の溶解度または分散度が増大されたことを示す。
【0103】
本願明細書において用いられている、接頭語「フルオロ」は、1つまたは複数の水素が、完全に水素化された、部分的にフッ素化および過フッ素化された置換基を包含するフッ素によって置き換えられていることを意味すると意図される。
【0104】
本願明細書において用いられている、接頭語「ヘテロ」は、基を形成する少なくとも1つの炭素原子が、ヘテロ原子によって置き換えられていることを示す。このようなヘテロ原子としては、例えば、N、O、P等が挙げられる。
【0105】
第16頁を参照のこと 他に示されていない限り、すべての基は非置換または置換であることができる。
【0106】
本願明細書において用いられている、用語「含む、」「含んでいる、」「包含する、」「包含している、」「有する、」「有している」またはこれらの他のいかなる変形は、非排他的な包含を包括することを意図している。例えば、要因の列挙を含む処理、方法、物品、または装置は、これらの要因のみに必ずしも限定されず、明示的に列挙されていないまたはこのような処理、方法、物品、または装置に本質的である他の要因を包含し得る。さらに、明示的に反対に明言されていない限り、「または」は、包括的なまたはを指し、および排他的なまたはを指さない。例えば、条件AまたはBは以下のいずれかの一つによって充足される。Aが真であり(または存在し)およびBが偽である(または存在しない)、Aが偽であり(または存在せず)およびBが真である(または存在する)、およびAおよびBの両方が真である(または存在する)。
【0107】
また、単数形(「a」または「an」)の使用は、本発明の要因および構成成分を記載するために用いられている。これは、単に、簡便さおよび本発明の一般的な観念を与えるためになされている。この記載は、1つまたは少なくとも1つを包含するとして読むべきであり、および単数形は、それがそうではないことを意味することが明白でない限り、複数形をも包含する。
【0108】
他に定義されていない限り、本願明細書において用いられたすべての技術および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって通例理解されるのと同一の意味を有する。本願明細書において記載されたものと類似または均等な方法および材料を本発明の実施または試験において用いることができるが、好適な方法および材料が以下に記載されている。本願明細書において言及されたすべての公報、特許出願、特許および他の参考文献は、それらの全体が参照により援用される。抵触する場合には、定義を包含する本明細書が優先するであろう。
【0109】
追加で、材料、方法、および実施例は、単なる例示であり限定的であることは意図しない。個別の実施形態のコンテクストにおいて、明確性のために以上および以下に記載した本発明の一定の特質はまた、単一実施形態において組み合わされて提供され得ることが、評価されるべきである。逆に、簡潔さのために単一実施形態のコンテクストにおいて記載された本発明の種々の特質はまた、別個にまたはいずれかの副次的な組み合わせで提供され得る。さらに、範囲中に規定された値への参照は、その範囲内の各およびすべての値を包含する。
【実施例】
【0110】
以下の実施例は本発明の一定の特徴および利益を例示する。これらは本発明の例示であり限定ではないことが意図される。すべてのパーセントは、特に明記されていない限り重量当たりである。
【0111】
(実施例1)
この実施例は、式I(式中、d=4である)を有する新規の有機金属化合物、化合物1の調製を例示する。
【0112】
【化10】

【0113】
アセチルアセトネート(acac)を配位子(Y)として備えたアリール構成組織構造を、以下のようにして調製した。N2−充填されたグローブボックス内において、滴下漏斗、ゴム被覆ストッパーおよび攪拌棒を備えた100ccガラスポットに3.20g(32当量)の2,4−ペンタンジオンおよび35ccのTHFを充填した。セプタムシールを備えたガラスボトルに、1.83g(4.17当量)の1,2,4,5−テトラ−ブロモメチルベンゼンおよび25ccのTHFを充填した。バルブを備えたガラスシリンジに、35ccの、2M(70当量)のLDA(リチウムジイソプロピルアミド)のエチルベンゼン/THF/ヘプタン溶液を充填した。ポット、ボトルおよびシリンジを換気フードに移し、ポットを所定位置にクランプしおよびN2パージを滴下漏斗の頂部に配設した。ドライアイス−アセトン冷却浴を用いてポットを冷却しおよび攪拌を開始した。15分後、低圧N2をカニューレと共に用いて溶液をボトルからポットに移した。シリンジ中の溶液をポットに約15分かけて攪拌しながら注入した。ドライアイス−アセトン冷却と共に攪拌を1時間継続した。滴下漏斗中の溶液をポットに、10〜15分の時間をかけて、攪拌およびドライアイス−アセトン冷却しながら添加し、および追加の時間継続した。冷却を濡れた氷に変更しおよび攪拌を3時間続けた。濡れた氷を、攪拌を継続しながら、一晩かけて徐々に溶解させた。45ccの氷水および15ccの濃HClから急冷溶液を調製した。ポットの内容物を徐々に急冷溶液に注ぎいれ、続いて得られた混合物を分液漏斗中で振盪した。反応混合物を、約50cc分量の塩化メチレンで三回抽出し、MgSO4で乾燥させおよび真空ストリップして2.67gの粗生成物を得た。1.03g分量の粗生成物を、シリカゲルの2cm直径×4cmカラムで、塩化メチレン、塩化メチレン/酢酸エチル(50/50)、酢酸エチル、および最後にメタノールを順次に用いて溶離することにより精製した。溶剤の蒸発の際、塩化メチレンが0.062gの最終生成物をもたらし、および塩化メチレン/酢酸エチル画分が0.233gの最終生成物を溶離した。0.295gの最終生成物の組み合わせた収率は、出発1,2,4,5−テトラ−ブロモメチルベンゼンを基準として28%であった。1H NMR(CD2Cl2、20℃)、δ:6.8(4H)、5.4(1H)、3.5(2H)、2.8(2H)、2.5(2H)、2.1(3H)、および1.9(3H)。
【0114】
結合した配位子(L4)を備えたアリール構成組織構造を、有機金属Ir化合物(すでに、これに配位した2つの配位子(L1)を有している)に、以下のように錯化した。0.11g(約0.21当量)の1,2,4,5−テトラ−(3,5−ジオキソ−ヘキシル)ベンゼン(上で調製されたとおり)と、0.21g(0.87当量)のNaHおよび25ccの1,2−ジメトキシエタンとの混合物をN2下で攪拌した。10分後、(特許文献5)中の手法に基づいて形成した、0.594g(0.42当量)のビス−2−(4−フルオロフェニル)−5−トリフルオロメチルピリジン−イリジウム−クロリド架橋型二量体を添加し、および85℃(油浴)で一晩攪拌した。次に、0.10g(0.72当量)のK2CO3および0.050ccのH2Oを混合物に添加した。攪拌および85℃での加熱を一晩継続した。得られた透明なオレンジの溶液と淡い黄色の固体との混合物を濾過し、および濾液を蒸発させて0.59gのオレンジの固体をもたらした。0.142gのオレンジの固体のサンプルを、シリカゲルの2cm直径×7cmカラムで、塩化メチレン、続いて塩化メチレン/メタノール(50/50)を用いて溶離することにより精製した。塩化メチレン溶離液の早い画分を蒸発させて0.075gの黄色の固体をもたらした。テトラ−Ir−置換化合物の全体の収率は、出発1,2,4,5−テトラ−(3,5−ジオキソ−ヘキシル)ベンゼン(化合物E103291−125)を基準にして46%であった。1H NMR(CD2Cl2、20℃),1H NMR(CD2Cl2、20℃)、δ:8.6(2H)、7.9(2H)、7.75(2H)、7.6(2H)、7.45(4H)、6.6(2H)、6.45(1H)、5.85(2H)、2.3(2H)、2.0(2H)、および1.7(3H)。19FNMR(CD2Cl2、20℃)、109.3(1F)、63.2(3F)および63.0(3F)。
【0115】
(実施例2)
この実施例は、式I(式中、e=f=0である)を有する新規の有機金属化合物、化合物2の調製を例示する。
【0116】
【化11】

【0117】
3つの窒素がすべて隣接している、すなわちIrの周りの八面体の一面のコーナーにある、fac型異性体として、2−(3−ブロモフェニル)−ピリジンを、2−ブロモピリジンの、パラジウムテトラキス−トリフェニルホスフィン触媒の存在下におけるエチレングリコールジメチルエーテル中の3−ブロモフェニルボロン酸との縮合を経由した標準的なスズキカップリング条件を用いて調製した。蒸留後の分離された収率は40%であった。3−トリフルオロメチルフェニルボロン酸と共にパラジウムホスフィン触媒をも用いたこの第1の材料の第2のスズキカップリングは、所望のL1配位子を98%の収率で与えた。
【0118】
0.9gの上記のフェニルピリジン化合物および0.38gの塩化イリジウムを、0.75gのトリフルオロ酢酸銀と共に、2mLの2−エトキシエタノールおよび0.5mLの水中にて混合した。混合物を攪拌し、および4時間窒素下で還流し、次いで室温まで冷却した。溶液を、窒素流中での穏やかな加熱によって乾燥するまで蒸発させ、および得られた固体を塩化メチレン(大量)中に抽出し、および濾過して銀を含有する色の濃い固体を除去した。残渣を追加の塩化メチレンで、さらなる黄色が溶出しなくなるまで洗浄した。明るい黄色の溶液を乾燥するまで蒸発させおよびTLCで検査した。黄色の固体を、シリカゲルでのクロマトグラフィで、トルエンを溶離液として用いて精製し、および一番速く流出する黄色帯を回収した。回収した黄色の溶液を蒸発させおよびメタノール/塩化メチレン1:1から再結晶化した。塩化メチレン中のこの黄色の結晶のNMRは、fac異性体としての所望の材料に対する予想通りのスペクトル(19F1重線−63.25ppmで)を示した。回収した固体は、トルエン、塩化メチレン、酢酸エチル等にかなり可溶性であった。収率35%。
【0119】
(実施例3)
この実施例は、式I(式中、e=f=0である)を有する新規の有機金属化合物、化合物3を例示する。
【0120】
【化12】

【0121】
(化合物3a、R=4−F)
これは、配位子合成において3−トリフルオロメチルボロン酸を4−フルオロフェニルボロン酸に置き換えて、上記化合物2について記載したものと同じ方法で調製した。最終生成物のNMRは、それがfac異性体として所望の化合物(19F3重線の3重線−118.65ppmで)であることを示した。
【0122】
(化合物3b、R=4−n−ブチル)
これは、配位子合成において、3−トリフルオロメチルボロン酸を4−n−ブチル−フェニルボロン酸に置き換えて、上記化合物2について記載したものと同じ方法で調製した。最終生成物のNMRは、それがfac異性体として所望の化合物(1H:δ:7.9(1H)d、7.8(1H)d、7.55(1H)t、7.52(1H)d、7.42(2H)d、7.11(2H)d、7.0(1H)d、6.85(2H)m、2.52(2H)m、1.50(2H)m、1.25(2H)m、0.90(3H)t.)であることを示した。
【0123】
(化合物3c、R=4−t−ブチル)
これは、配位子合成において、3−トリフルオロメチルボロン酸を4−t−ブチル−フェニルボロン酸に置き換えて、上記化合物2について記載したものと同じ方法で調製した。最終生成物のNMRは、それがfac異性体として所望の化合物(1Hδ:7.9(1H)d、7.78(1H)d、7.55(1H)t、7.50(1H)d、7.40(2H)d、7.23(2H)d、6.93(1H)d、6.80(2H)m、1.19(9H)s.)であることを示した。
【0124】
(化合物3d、R=3,5−CF3
これは、配位子合成において、3−トリフルオロメチルボロン酸を3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニルボロン酸に置き換えて、上記化合物2について記載したものと同じ方法で調製した。最終生成物のNMRは、それがfac異性体として所望の化合物(19F1重線−63.56ppmで)であることを示した。
【0125】
(実施例4)
この実施例は、式I(式中、e=f=0である)を有する新規の有機金属化合物、化合物4の調製を例示する。
【0126】
【化13】

【0127】
式中、rは1または2である。
【0128】
1.0gのフェニルピリジン配位子2−(3−フェニル)−フェニルピリジン(3−トリフルオロメチルボロン酸をフェニルボロン酸に置き換えたこと以外、上記実施例2の通り調製した)を、0.76gの塩化イリジウムと共に、10mLの2−エトキシエタノールおよび1mLの水中で混合した。この混合物を、30分窒素下で還流し、次いで室温に冷却しおよび窒素流中において乾燥するまで蒸発させた。黄色の固体を塩化メチレン中に抽出しおよび濾過した。得られた黄色の溶液を乾燥するまで蒸発させてクロロ二量体を85%収率で単離した。
【0129】
クロロ二量体(0.69g)を、2当量(0.58g)の、上記実施例3cにおいて調製した配位子2−(3−(4−t−ブチルフェニル))−フェニルピリジンおよび1qトリフルオロ酢酸銀と共に、2−エトキシエタノール中で混合した。混合物を2時間還流し次いで乾燥するまで蒸発させおよび塩化メチレン中に抽出した。塩化メチレンを溶離液として用いたシリカでのクロマトグラフィは、速く流出する緑の発光帯を生成した。この帯の回収、蒸発および塩化メチレン/メタノールからの再結晶化は、明るい黄色の粉状固体をもたらした。塩化メチレン中でのNMRは、これが示した構造の2種の材料のfac異性体の混合物(ここで、r=1(化合物4a)であり、およびr=2(化合物4b)であり、1:10の概略比であった)であることを示した。
【0130】
(実施例5)
この実施例は中間体構成組織−配位子、化合物5の調製を例示する。
【0131】
【化14】

【0132】
メチルtert−ブチルケトンの無水THF(10mL)溶液(0.907g、9.08mmol)を、NaH(0.218g、9.08mmol)と、ジメチル−1,4−キュバンジカルボキシレートとの50mLの無水THF中の還流混合物に滴下し、次いで16時間還流させた。オレンジの混合物を室温に冷却しおよび攪拌しながら氷/水に注ぎ、続いて、エチルエーテル(2×100mL)で抽出した。水性層を酸性化した結果、白色の沈殿物を得た。エーテルで抽出した固体を水、塩水で洗浄しおよび硫酸マグネシウム上で乾燥させた。乾燥エーテル溶液を真空下に蒸発させて化合物5を黄褐色の固体として46%の収率(740mg)で得た。
【0133】
(実施例6)
この実施例は、式I(式中、d=2である)を有する新規の有機金属化合物、化合物6の調製を例示する。
【0134】
【化15】

【0135】
窒素の不活性雰囲気下において、実施例5からのアセチルアセトネート配位子(0.120g、0.34mmol)および[IrOH{1−(4−tert−ブチル−フェニル)−イソキノリン}22(0.500g、0.340mmol)の25mLの無水THF中の混合物を3日間還流した。揮発分を蒸発により除去して色の濃い残渣を得た。この残渣をヘキサンで洗浄して濃い赤色の粉末を得、これをさらにフラッシュクロマトグラフィ(シリカ、酢酸エチル)により精製して所望の生成物(0.213g、35%収率)を得た。
【0136】
(実施例7)
この実施例は、式I(式中、d=2である)を有する新規の有機金属化合物、化合物7の生成を例示する。
【0137】
【化16】

【0138】
実施例6において要点を記載した手法を用いて、[IrOH{2−(4−フルオロ−フェニル)−(5−トリフルオロメチル)ピリジン}22(0.500g、0.353mmol)および実施例1からのアセチルアセトネート配位子(0.126g、0.353mmol)で開始した。所望のイリジウム化合物を、黄色粉末(0.107g、17.5%収率)として、フラッシュクロマトグラフィ(シリカ、CH2Cl219F NMR(CD2Cl2):−63.13(F),−109.9(CF3)を用いて精製した後に単離した。
【0139】
(実施例8)
この実施例は、構成組織−配位子前駆体、化合物8の調製を例示する。
【0140】
【化17】

【0141】
冷却(−78℃)した2,4−ペンタンジオン(2.13mL、20.82mmol)のTHF(35mL)溶液に、窒素下において、2.0Mリチウムジイソプロピルアミド(20.8ml、41.6mmol)を徐々に添加した。この混合物を−78℃で1時間攪拌し、その後、ジブロモ−p−キシレン(2.199g、8.33mmol)のTHF(25mL)溶液。反応を−78℃で30分維持し、および徐々に室温に温めた。混合物を4MHClで急冷し、Et2Oで抽出し、および硫酸ナトリウム上で乾燥させた。生成物を蒸留によっておよびフラッシュクロマトグラフィを用いることにより精製して生成物をオイルとして32%の収率(0.8グラム)で得た。
【0142】
(実施例9)
この実施例は、式I(式中、d=2である)を有する新規の有機金属化合物、化合物9の調製を例示する。
【0143】
【化18】

【0144】
実施例6のための手法を、[IrOH{1−(4−tert−ブチル−フェニル)−イソキノリン}22(0.483g、0.33mmol)および実施例8からのアセチルアセトネート配位子(0.100g、0.33mmol)と共に用いた。粗生成物をCH2Cl2/ヘキサンからの結晶化で精製して、生成物を濃い赤色の固体(0.125g、22%収率)として得た。
【0145】
(実施例10)
この実施例は、式I(式中、d=2である)を有する新規の有機金属化合物、化合物10の調製を例示する。
【0146】
【化19】

【0147】
実施例6のための手法を、[IrOH{2−(4−フルオロ−フェニル)−(5−トリフルオロメチル)ピリジン}22(0.456g、0.33mmol)および実施例8からのアセチルアセトネート配位子(0.100g、0.33mmol)と共に用いた。粗生成物をクロマトグラフィ(CH2Cl2)により精製して生成物を黄色の粉末(0.270g、50%収率)として得た。19FNMR(CD2Cl2、376.8MHz)δ−63.04(CF3)、−63.22(CF3)、109.45(F)。
【0148】
(実施例11)
この実施例は、式I(式中、e=f=0である)を有する新規の有機金属化合物、化合物11の調製を例示する。
【0149】
【化20】

【0150】
窒素の雰囲気下で、{IrCl[4−t−Bu−フェニル)−イソキノリン]22((特許文献6)において要点が記載された手法に従って合成した、3.00g、2.01mmol)のエトキシエタノール(50mL)溶液およびNa(5−エチル−ノナン−2,4−ジオン)(NaHと5−エチル−ノナン−2,4−ジオン((特許文献7))との反応により合成した、0.867g、4.21mmol)を120℃で45分攪拌した。混合物を乾燥するまで蒸発させおよび残渣をCH2Cl2に溶解させ、および、CH2Cl2を溶離溶剤として用いてシリカのパッドを通過させた。粗生成物を蒸発により単離し、次いでクロマトグラフィ(シリカ、CH2Cl2)を用いてさらに精製して、生成物を54%の収率(1.95g)で得た。1H NMR(CD2Cl2、500MHz)δ0.44(3H)、0.58(3H)、0.92(9H)、1.03(9H)、1.03−1.25(12H)、5.25(1H)、6.16(1H)、6.52(1H)、7.03(2H)、7.50(2H)、7.73(4H)、7.93(2H)、8.12(2H)、8.47(2H)、8.94(2H)。
【0151】
(実施例12)
この実施例は、式I(式中、e=f=0である)を有する新規の有機金属化合物、化合物12の調製を例示する。
【0152】
【化21】

【0153】
実施例11のための手法を、{IrCl[2−フェニルキノリン]22((特許文献6)において要点が記載された手法に従って合成した、2.25g、3.5mmol)およびNa(5−エチル−ノナン−2,4−ジオン)(NaHと5−エチル−ノナン−2,4−ジオン((特許文献7))との反応により合成した、1.08g、5.25mmol)を使用して、用いた。化合物12を明るい赤色の結晶性固体として、68%の収率(1.86g)で単離した。
【0154】
(実施例13)
この実施例は、式I(式中、d=2である)を有する新規の有機金属化合物、化合物13の調製を例示する。
【0155】
【化22】

【0156】
実施例6のための手法を、[IrOH{2−(4−フルオロ−フェニル)−(5−トリフルオロメチル)ピリジン}22(0.250g、0.171mmol)およびアセチルアセトネート配位子A(実施例8において要点が記載された手法に従って合成した、0.065g、0.171mmol)と共に用いた。粗生成物を、塩化メチレン/ヘキサン(9:1)を用いたフラッシュクロマトグラフィにより精製し、所望の生成物を赤色の粉末として30.5%の収率(0.094g)で得た。
【0157】
(実施例14)
この実施例は、式I(式中、d=2である)を有する新規の有機金属化合物、化合物14の調製を例示する。
【0158】
【化23】

【0159】
実施例6において要点を記載した手法を用いて、[IrOH{2−(4−フルオロ−フェニル)−(5−トリフルオロメチル)ピリジン}22(0.250g、0.177mmol)およびアセチルアセトネート配位子A(実施例8において要点が記載された手法に従って合成した、0.067g、0.177mmol)で開始した。所望のイリジウム化合物を黄色−オレンジの粉末(0.100g、32%収率)として、CH2Cl2/ヘキサンからの結晶化により単離した。19FNMR(CD2Cl2、376.8MHz)δ−63.04,−63.08,−63.18,−63.19,109.45。分析計算値:C,49.18、H,2.76、N,3.17。実測値:C,50.17、H,2.86、N,3.49。
【0160】
(実施例15)
この実施例は、式I(式中、d=2である)を有する新規の有機金属化合物、化合物15の調製を例示する。
【0161】
【化24】

【0162】
実施例6において要点を記載した手法を用いて、[IrOH{2−(4−フルオロ−フェニル)−(5−トリフルオロメチル)ピリジン}22(0.250g、0.177mmol)およびアセチルアセトネート配位子C(実施例8において要点が記載された手法に従って合成した、0.074g、0.177mmol)で開始した。所望のイリジウム化合物を黄色−オレンジの粉末(0.214g、67%収率)として、CH2Cl2/ヘキサンからの結晶化により単離した。19FNMR(CD2Cl2、376.8MHz)δ−63.1,109.44。分析計算値:C,50.03、H,3.03、N,3.11。実測値:C,50.27、H,2.88、N,3.00。
【0163】
(実施例16)
この実施例は、多金属赤色放射材料(実施例9からの化合物9、以下に例示した)をドーパントとして、ポリ(フルオレン)マトリックス中で用いる、有機発光ダイオード(OLED)の製造を例示する。得られたブレンドは、OLEDにおける活性赤色−放射層として用いられる。この素子の電気的性能を、第2の素子が類似する単金属化合物(実施例11からの化合物11、以下に例示した)を多金属化合物の代わりの赤色ドーパントとして含有すること以外は同じOLEDと比較する。
【0164】
【化25】

【0165】
(多金属赤色放射化合物を備えたOLED)
このOLED実施例中の有機フィルム構成成分は、すべて溶液処理された。素子アセンブリは以下の通りである。ITO/ガラス基材(適用されたフィルム)をパターン化し(素子活性領域=25mm2の全体)および水性洗浄剤続いてイソプロパノールを用いて超音波的に洗浄した。基材を、次いで、300W酸素プラズマオーブン中に15分置くことによりさらに洗浄した。ポリ(エチレンジオキシチオフェン)−ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT−PSSA、バイエル社(Bayer Corp.))緩衝層(すなわち正孔輸送/注入層)を、次いで、60nmの厚さにスピンコートした。フィルムを200℃のホットプレート上で3分乾燥させた。基材を、次いで、窒素充填グローブボックスに移し、この時点でポリ(フルオレン)溶液(75mg)、赤色放射多金属化合物(1.5mg)、および無水トルエン(7.5mL)を70nmの厚さで基材上にスピンコートした。基材を、次いで、高真空室に移し、ここでLiF(2.0nm)続いてCa(20.0nm)および次いでAl(400nm)を2.0×10-6torrで熱的に堆積した。得られたOLED素子を、次いでガラススライドを陰極の頂部にUV硬化性エポキシ樹脂を用いて接着することにより空気からシールした。
【0166】
素子を、電流−電圧、輝度−電圧、輝度−電流、効率−電圧、および効率−電流プロファイルを取得することにより完全に特徴付けた。コンピュータ動作される(ラブビューソフトウェア(Labview software))キースレイソースメジャメントユニット(Keithley Source−Measurement Unit)および光ダイオードの使用によって達成された。この光ダイオードは、25mm2の全素子活性領域にわたって積分光を出力する。エレクトロルミネッセンススペクトルもまた取得して、このOLEDからの光出力が色座標u’=0.49、v’=0.52を有することを示した。7つの別個の素子からの平均性能は以下の通りである。電源入(10cd/m2で)=5.0V、動作電圧(200cd/m2で)=5.9V、効率=2.0cd/A、200cd/m2で。
【0167】
(類似する単金属赤色放射化合物を備えたOLED)
このOLED実施例中の有機フィルム構成成分は、すべて溶液処理された。素子アセンブリは以下の通りである。ITO/ガラス基材(適用されたフィルム)をパターン化し(素子活性領域=25mm2の全体)および水性洗浄剤続いてイソプロパノールを用いて超音波的に洗浄した。基材を、次いで、300W酸素プラズマオーブン中に15分置くことによりさらに洗浄した。ポリ(エチレンジオキシチオフェン)−ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT−PSSA、バイエル社(Bayer Corp.))緩衝層(すなわち正孔輸送/注入層)を、次いで60nmの厚さにスピンコートした。フィルムを200℃のホットプレート上で3分乾燥させた。基材を、次いで、窒素充填グローブボックスに移し、この時点でポリ(フルオレン)溶液(75mg)、赤色放射単金属化合物(1.5mg)、および無水トルエン(7.5mL)を70nmの厚さで基材上にスピンコートした。基材を、次いで、高真空室に移し、ここでLiF(2.0nm)続いてCa(20.0nm)および次いでAl(400nm)を2.0×10-6torrで熱的に堆積した。得られたOLED素子を、次いでガラススライドを陰極の頂部にUV硬化性エポキシ樹脂を用いて接着することにより空気からシールした。
【0168】
素子を、電流−電圧、輝度−電圧、輝度−電流、効率−電圧、および効率−電流プロファイルを取得することにより完全に特徴付けた。コンピュータ動作される(ラブビューソフトウェア(Labview software))キースレイソースメジャメントユニット(Keithley Source−Measurement Unit)および光ダイオードの使用によって達成された。この光ダイオードは、25mm2の全素子活性領域にわたって積分光を出力する。エレクトロルミネッセンススペクトルもまた取得して、このOLEDからの光出力が色座標u’=0.49、v’=0.52を有することを示した。7つの別個の素子からの平均性能は以下の通りである。電源入(10cd/m2で)=4.6V、動作電圧(200cd/m2で)=5.3V、効率=1.9cd/A、200cd/m2で。
【0169】
(実施例17)
この実施例は、式I(式中、e=f=0、およびa=3である)を有する新規の有機金属化合物、化合物17の調製を例示する。
【0170】
【化26】

【0171】
イリジウム(III)トリス(2−(5’−ブロモフェニル)ピリジナト−N,C2')(0.250g、0.28mmol)、4−(N−ブトキシフェニル)ボロン酸(0.181g、0.93mmol)、カリウムカーボネートの2M溶液(20.5mL)およびPd(PPh34(0.024g、0.021mmol)のTHF(34mL)、トルエン(27mL)およびエタノール(10mL)中の懸濁液を窒素下に置き、および還流下に24時間加熱した。混合物をCH2Cl2(25mL)および水(25mL)で希釈し、および黄色の有機層を分離しならびに水で2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過しおよび乾燥させた。粗材料を75%CH2Cl2/ヘキサンを用いた短いシリカカラムを通過させ、濃縮し、および減圧下で乾燥させて、化合物17(85mg、27%)を黄色の粉末としてもたらした。
【0172】
(実施例18)
この実施例は、式I(式中、e=f=0、およびa=2である)を有する新規の有機金属化合物、化合物18の調製を例示する。
【0173】
【化27】

【0174】
化合物178の合成に用いた手法を、イリジウム(III)トリス(2−(5’−ブロモフェニル)ピリジナト−N,C2')(0.015g、0.016mmol)、3,5−ジ(2−エチルヘキシルオキシ)フェニルボロン酸(0.029g、0.054mmol)、カリウムカーボネート(0.6mL)の2M溶液およびPd(PPh34(0.126g、0.011mmol)を使用して、用いた。化合物18を無色のオイルとして89%の収率(31mg)で単離した。
【図面の簡単な説明】
【0175】
【図1】本発明のいくつかの化合物の例を示す。
【図2】本発明のいくつかの化合物の例を示す。
【図3A】本発明のいくつかの化合物の例を示す。
【図3B】本発明のいくつかの化合物の例を示す。
【図3C】本発明のいくつかの化合物の例を示す。
【図3D】本発明のいくつかの化合物の例を示す。
【図3E】本発明のいくつかの化合物の例を示す。
【図4】本発明のいくつかの化合物の例を示す。
【図5】1つの例示的な発光素子の例の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I、式II、または式III
【化1】

(式中、
1はアリール−N−複素環配位子およびヘテロアリール−N−複素環配位子から選択され、
2はアニオン性配位子であり、
3はノニオン性配位子であり、
4はL1およびL2から選択され、
MはRe、Ru、Os、Rh、Ir、Pd、PtおよびAuから選択される金属であり、
FWは少なくとも2個の(L4−Ye)基を担持可能な部分であり、
Yはアルキレン、ヘテロアルキレン、アルケニレン、ヘテロアルケニレンおよびアルキニレンから選択される基であり、
aは1および2から選択され、
bは0および1から選択され、
cは0、1および2から選択され、
dは1から8の整数から選択され、
eは0および1から選択され、
fは0および1から選択され、
gは1から4の整数から選択され、および
hは1および2から選択され、
ただし、a、b、およびcは、MがAu、Pd、またはPtであるとき金属は4配位であり、およびMがRe、Ru、Os、RhまたはIrであるとき金属は6配位であるよう選択され、ならびに
ただし、f=0であるとき、e=0であり、および少なくとも1個の置換基R1が少なくとも1個の配位子にあり、ここでR1は溶剤可溶化性である)
から選択される式を有する化合物を含む少なくとも1つの層を含むことを特徴とする有機電子素子。
【請求項2】
MがOs、Ir、およびPtから選択されることを特徴とする請求項1に記載の素子。
【請求項3】
1がフェニル−ピリジン、フェニル−ピリミジン、フェニル−キノリン、ビピリジン、およびチエニル−ピリジンから選択されることを特徴とする請求項1に記載の素子。
【請求項4】
式Iを有し、a=2、b=0、c=0であり、およびL4が二座モノアニオン性配位子であることを特徴とする請求項1に記載の素子。
【請求項5】
4が、β−エノレート配位子、β−エノレート配位子のNアナログ、β−エノレート配位子のSアナログ、アミノカルボキシレート配位子、イミノカルボキシレート配位子、サリチレート配位子、ヒドロキシキノリネート配位子、ヒドロキシキノリネート配位子のSアナログおよびフォスフィノアルコキシド配位子から選択されることを特徴とする請求項4に記載の素子。
【請求項6】
アリールまたはヘテロアリール環に少なくとも1個のR1置換基があり、およびR1がアルキル、フルオロアルキル、アリール、フルオロアリール、アルキルアリール、アルコキシ、アリールオキシ、フルオロアルコキシ、フルオロアリールオキシ、ヘテロアルキル、フルオロヘテロアルキル、ヘテロアリール、フルオロヘテロアリール、ヘテロアルキルアリール、ヘテロアルコキシ、ヘテロアリールオキシ、フルオロヘテロアルコキシ、およびフルオロヘテロアリールオキシから選択されることを特徴とする請求項1に記載の素子。
【請求項7】
式Iを有し、e=0、f=0であり、およびR1がアルキル、フルオロアルキル、アリール、フルオロアリール、アルキルアリール、アルコキシ、アリールオキシ、フルオロアルコキシ、フルオロアリールオキシ、ヘテロアルキル、フルオロヘテロアルキル、ヘテロアリール、フルオロヘテロアリール、ヘテロアルキルアリール、ヘテロアルコキシ、ヘテロアリールオキシ、フルオロヘテロアルコキシ、およびフルオロヘテロアリールオキシから選択されることを特徴とする請求項1に記載の素子。
【請求項8】
1がフェニル、フルオロフェニル、アルキルフェニル、フルオロアルキルフェニル、アルコキシフェニル、およびフルオロアルコキシフェニルから選択されることを特徴とする請求項7に記載の素子。
【請求項9】
a=2、b=0、c=0、およびL4=L1であることを特徴とする請求項7に記載の素子。
【請求項10】
a=2、b=0、c=0であり、およびL4が、β−エノレート配位子、β−エノレート配位子のNアナログ、β−エノレート配位子のSアナログ、アミノカルボキシレート配位子、イミノカルボキシレート配位子、サリチレート配位子、ヒドロキシキノリネート配位子、ヒドロキシキノリネート配位子のSアナログ、およびフォスフィノアルコキシド配位子から選択されることを特徴とする請求項7に記載の素子。
【請求項11】
前記少なくとも1つの層が発光層であることを特徴とする請求項1に記載の素子。
【請求項12】
前記発光層は希釈剤をさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の素子。
【請求項13】
前記希釈剤は高分子あるいは低分子材料、またはそれらの混合物を含むことを特徴とする請求項12に記載の素子。
【請求項14】
【化2】

から選択されることを特徴とする化合物。
【請求項15】
【化3】

【化4】

から選択されることを特徴とする化合物。
【請求項16】
【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

から選択されることを特徴とする化合物。
【請求項17】
請求項14に記載の化合物を含む少なくとも1つの層を含むことを特徴とする有機電子素子。
【請求項18】
請求項15に記載の化合物を含む少なくとも1つの層を含むことを特徴とする有機電子素子。
【請求項19】
請求項16に記載の化合物を含む少なくとも1つの層を含むことを特徴とする有機電子素子。
【請求項20】
請求項1に記載の化合物の少なくとも一種を含むことを特徴とする組成物。
【請求項21】
ホストをさらに含むことを特徴とする請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記ホストは、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、共役ポリマー、ポリシラン、第3級芳香族アミン、およびそれらの混合物から選択されることを特徴とする請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
前記ホストがポリアリーレンビニレン、ポリフルオレン、ポリオキサジアゾール、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリフェニレン、それらのコポリマー、およびそれらの混合物から選択されることを特徴とする請求項20に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−504371(P2008−504371A)
【公表日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−527757(P2007−527757)
【出願日】平成17年6月8日(2005.6.8)
【国際出願番号】PCT/US2005/020412
【国際公開番号】WO2005/124889
【国際公開日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】