説明

有機電子デバイス

本発明は、スキーム1におけるような式(1)〜(4)の電子輸送材料を用いる、有機電子デバイス、特に蛍光エレクトロルミネセンスデバイスの改善に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、有機電子デバイスにおけるある種の化合物の新たな使用を記載する。
【0002】
有機半導体の使用は、最も広い意味において電子産業とみなされ得る多くの様々なアプリケーションにおいてかねてから実現されており、あるいは、近い将来に期待される。可視スペクトル領域において光を放射することができる半導体有機化合物の使用は、例えば、有機エレクトロルミネセンスデバイスにおいて、市場への導入が始まったところである。OLEDを含む簡単なデバイスについては、「有機ディスプレイ」を有する、パイオニア社製のカーラジオ、パイオニア社およびSNMD社製の携帯電話、およびコダック社製のデジタルカメラにより確認されるように、市場への導入が既に行われている。このタイプの他の製品は、導入されているところである。有機太陽電池(O−SC)、有機電界効果トランジスタ(O−FET)、有機薄膜トランジスタ(O−TFT)、有機集積回路(O−IC)、有機光増幅器、または有機レーザーダイオード(O−laser)は、研究段階において非常に進歩しており、将来重要なものとなるはずである。
【0003】
有機エレクトロルミネセンスデバイス(OLED)の一般構造は、例えば、US 4,539,507、US 5,151,629、EP 0676461、WO 98/27136 および WO 04/058911 に記載されており、ここで、これらのデバイスは、一般に、複数の層から成る。有機太陽電池(例えば、WO 98/48433、WO 94/05045)、有機電界効果トランジスタ(例えば、US 5705826、US 5596208、WO 00/42668)、有機薄膜トランジスタ、有機集積回路(例えば、WO 95/31833、WO 99/10939)、有機光増幅器、または有機レーザーダイオード(例えば、WO 98/03566)は、同様の一般構造を有する。
【0004】
しかしながら、早急の改善を要するかなりの問題がなお存在する:
1.効率は近年改善されているが、特に蛍光OLEDにおいて未だに低く、改善される必要がある。
【0005】
2.特に蛍光OLEDにおいて、駆動電圧および駆動電流はかなり高く、従って、パワー効率を改善するためにさらに低減させる必要がある。このことは、とりわけ携帯アプリケーションにおいて非常に重要である。
【0006】
3.電子デバイスの駆動寿命は未だに短く、これは、今日までは、簡単なアプリケーションを商業的に得ることができるのみであることを意味する。
【0007】
4.多くのアプリケーションについて、今日用いられている材料を用いて得ることができるものよりも、より厚い電子輸送層が必要とされる。これらの材料の電荷担体移動度が不十分であるためである。
【0008】
5.最もよく使われる電子伝導体AIQは、以下に詳細に記載する種々の不利点を有する。
【0009】
多くのアプリケーションについて、電子輸送材料の比較的厚い層を使用できることが所望されることだろう。これによって、短絡の発生が低減され得る、または完全に防止され得るという利点を有し得る。さらに、このことは、蛍光青色OLEDおよびリン光赤色と緑色OLEDの組み合わせが、ディスプレイにおいて用いられる場合に特に当てはまる。リン光OLEDは、一般的に、より厚い層構造を有するために、各種のOLEDが同一の厚さを有するという目的で、蛍光青色OLEDは、より厚い電子輸送層を含む必要がある。しかしながら、従来技術に従う電子輸送化合物の電子移動度は、この目的に不十分であるため、実際のところは未だに可能ではない。
【0010】
電子伝導体としてAIQを用いる蛍光エレクトロルミネセンスデバイスは、かねてから既に知られており、US 4,539,507 において1993年に既に記載されている。これ以来、AIQは、殆どのOLEDにおいて電子輸送材料として用いられている。上記した明細書において、これは、発光層における電子輸送材料として用いられる。しかしながら、AIQは、多くの不利点を有する。すなわち、これは、昇華温度において部分的に分解するために、残渣を残すことなく蒸着することができず、このことは、特に製造プラントにおける主要な問題である。このことは、蒸着源を絶えず浄化するか、交換する必要があるという結果を有する。さらに、AIQの分解生成物はOLEDに入り込み、ここで、これらは、寿命の短縮および量子効率とパワー効率の低下の一因となる。重大な実用上の不利点は、AIQの高い吸湿性である。通常条件下で合成し貯蔵すると、ヒドロキシキノリン配位子に加えて、AIQは、さらに、錯体分子につき1モルの水を含み(H.シュミットバウアー(Schmidbaur)等、Z. Naturforsch. 1991, 46b, 901−911)、これは、除去することが極めて困難である。従って、OLEDにおける使用のために、AIQは、複雑な、多工程の昇華プロセスにおいて、複雑な方法で精製する必要があり、続いて、水を排除しながら保護ガス雰囲気下で貯蔵し、取り扱う必要がある。さらに、個々のAIQのバッチの質における大きなばらつきと、低い貯蔵安定性が観察されている(S.カルク(Karg)、 E-MRS Conference 30.5.00-2.6.00、シュトラスブルグ)。加えて、AIQは低い電子移動度を有し、これは、より高い電圧と、それ故のより低いパワー効率を結果として招く。ディスプレイにおける短絡を防止するために、層の厚さを増すことが所望され得るが、AIQでは、低い電荷担体移動度とこれに伴う電圧の上昇のために、このことは可能ではない。他の電子伝導体(US 4,539,507)の電荷担体移動度は、比較的厚い層を形成するためには同様に低く、OLEDの寿命は、AIQを用いるよりもさらに悪い。他の非常に好ましくない因子は、AIQの固有の色(固体状態において黄色)であることが判明し、これは、特に青色OLEDにおいて、再吸収および弱い再発光に起因するカラーシフトを招く。ここでは、効率におけるかなりの低下およびカラー位置におけるシフトを伴って、青色OLEDを製造することができるのみである。AIQの使用のさらなる不利点は、正孔に対する不安程な性質であり(Z.ポポビッチ(Popovic)等、Proceedings of SPIE 1999, 3797, 310−315)、これは、長時間の使用において、常に、部品における問題をもたらし得る。
【0011】
上記の不利点にも関わらず、AIQは、今日まで、OLEDにおける電子輸送材料の種々の要件についての最も優れた妥協を示す。満足のいく電子輸送材料は、上記した他のアプリケーションについても同様に、今日まで発見されていない。
【0012】
従って、有機電子デバイスにおいて、良好な効率と同時に長い寿命をもたらす電子輸送材料についての要求が存在し続けている。驚くべきことに、電子輸送材料として、以下に記載する、ある種の化合物を含む有機電子デバイスは、従来技術に対するかなりの改善を有することがここに見出された。これらの材料は、高い効率と長い寿命を同時に得ることを可能にし、これは、従来技術に従う材料では不可能である。加えて、駆動電圧もまた、有意に低減することができることが見出され、これは、より高いパワー効率に相当し、またさらに、より厚い電子輸送層を用いることができ、これは、短絡の頻度を低減するかまたはこれらを防止し、既に上記した他の利点をもたらす。
【0013】
本発明は、陰極、陽極、および少なくとも1つの有機層を含み、該有機層が、化学構造単位Y=X(式中、用いられる記号には以下が適用される。すなわち、
Yは、出現毎に同一であるか異なり、P、As、Sb、Bi、S、SeまたはTeであり、
Xは、出現毎に同一であるか異なり、O、S、Se、TeまたはNRであり、
Rは、出現毎に同一であるか異なり、1〜22個の炭素原子を有する有機基またはOHまたはNHである)
を含有する少なくとも1種の定義化合物Aを含むことを特徴とし、但し、化合物Aは、≧150g/モルであり且つ≦10,000g/モルである分子量を有し、およびデバイスは、リン光エミッタを含まず、さらに、以下の化合物が本発明から除かれる有機電子デバイスに関する。
【化4】

【0014】
本明細書中で用いられる記号「=」は、ルイス表記の意味における二重結合を表す。
【0015】
本発明の目的のために、「定義化合物」とは、正確に記載される組成および構造を有する化合物を意味するものと解釈する。従って、ポリマー、または一般に、分子量分布を有する化合物を意味するものと解釈されない。しかしながら、有機材料の使用の際に通常起こることであるが、比較的小さい割合の不純物が、「定義化合物」という語の価値を減じるべきではない。
【0016】
式(1)〜(4)(スキーム1)、すなわち
【化5】

【0017】
(式中、用いられる記号は、以下の意味を有する。すなわち、
Yは、出現毎に同一であるか異なり、式(1)と(3)においてはP、As、SbまたはBiであり、および式(2)と(4)においてはS、SeまたはTeであり、
Xは、出現毎に同一であるか異なり、NR、O、S、SeまたはTeであり、
、R、Rは、出現毎に同一であるか異なり、N(R、1〜40個のC原子を有する直鎖の、分岐の若しくは環状のアルキル基(これは、Rにより置換されていてもよく、または置換されない)(ここで、1以上の非隣接のCH基は、−RC=CR−、−C≡C−、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、−O−、−S−、−NR−または−CONR−により置き換えられてもよく、および1以上のH原子は、F、Cl、Br、I、CNまたはNOにより置き換えられてもよい)であり、複数のR、Rおよび/またはR基は、互いに、単環若しくは多環の脂肪族環構造若しくは芳香族環構造を形成していてもよく、または1〜40個の芳香族C原子を有する芳香族系または複素環式芳香族系(これは、1以上のR基により置換されていてもよい)であり、ここで、複数のR、Rおよび/またはR基は、互いに、単環または多環の脂肪族環構造または芳香族環構造を形成していてもよく、または二価の基−Z−により結合されている1〜40個の芳香族C原子を有する芳香族系若しくは複素環式芳香族系(ここで、1以上のH原子は、F、Cl、BrまたはIにより置き換えられてもよい)(または、これは、1以上のR基により置換されていてもよい)であり、ここで、複数の置換基R、Rおよび/またはRは、さらなる単環または多環の脂肪族環構造または芳香族環構造を形成していてもよく、
は、出現毎に同一であるか異なり、1〜22個のC原子を有する直鎖の、分岐の若しくは環状のアルキル鎖またはアルコキシ鎖(ここで、1以上の非隣接のC原子は、−RC=CR−、−C≡C−、Si(R、Ge(R、Sn(R、−NR−、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−により置き換えられてもよく、また、1以上のH原子は、フッ素により置き換えられてもよい)、または1〜40のC原子を有するアリール、ヘテロアリール若しくはアリールオキシ基(これは、1以上のR基により置換されていてもよい)、またはOH、NH、NH(R)またはN(Rであり、
は、出現毎に同一であるか異なり、RまたはCN、B(R、またはSi(Rであり、
は、出現毎に同一であるか異なり、H、または1〜20個のC原子を有する脂肪族炭化水素基若しくは芳香族炭化水素基であり、
Zは、出現毎に同一であるか異なり、1〜40個のC原子を有する共役基(これは、好ましくは、2つの他の置換基と共役する)であり、ここで、基Y=Xと芳香族基を結合するZの原子の数は、好ましくは偶数であり、1以上のC原子は、R基または水素により置換されていてもよい)
の化合物Aを含むことを特徴とし、但し、化合物Aの分子量が、150g/モルよりも大きく且つ10,000g/モル未満であり、さらに、以下の化合物を本発明から除かれる有機電子デバイスが好ましい。
【化6】

【0018】
本発明の目的のために、芳香族系または複素環式芳香族系とは、必ずしも芳香族基または複素環式芳香族基のみを含む系ではなく、2以上の芳香族基または複素環式芳香族基は、例えば、sp混成のC、NまたはO原子のような短い非芳香族単位(H以外の好ましくは<10%の原子)により中断されていてもよい系を意味するものと解釈され得る。つまり、例えば、9,9’−スピロビフルオレン、9,9−ジアリールフルオレン、トリアリールアミン等も、本明細書の目的上、芳香族系と解釈するものである。
【0019】
本発明の目的のために、C〜C22−アルキル基(ここで、さらに、個々のH原子またはCH基は、上記した基により置換されていてもよい)は、特に好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、2−メチルブチル、n−ペンチル、s−ペンチル、シクロペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、n−ヘプチル、シクロヘプチル、n−オクチル、シクロオクチル、2−エチルヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニル、シクロオクテニル、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルまたはオクチニル基を意味するものと解釈される。C〜C22−アルコキシ基は、特に好ましくは、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、または2−メチルブトキシを意味するものと解釈される。C〜C40−芳香族環構造または複素環式芳香族環構造(これは、いずれの場合にも、上記したR基により置換されていてもよい)は、特に、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニレン、テルフェニレン、フルオレン、スピロビフルオレン、ジヒドロフェナントレン、テトラヒドロピレン、シス若しくはトランス−インデノフルオレン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾ−5,6−キノリン、ベンゾ−6,7−キノリン、ベンゾ−7,8−キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、フェナントロイミダゾール、ピリジイミダゾール(pyridimidazole)、ピラジンイミダゾール(pyrazinimidazole)、キノキサリンイミダゾール(quinoxalinimidazole)、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール(anthroxazole)、フェナントロオキサゾール、イソオキサゾール、1,2−チアゾール、1,3−チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、ピラジン、フェナジン、ナフチリジン、アザカルバゾール(azacarbazole)、ベンゾカルボリン(benzocarboline)、フェナントロリン、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,2,5−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,2,3−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,2,5−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾール、1,3,5−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,2,3−トリアジン、テトラゾール、1,2,4,5−テトラジン、1,2,3,4−テトラジン、1,2,3,5−テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジン、およびベンゾチアジアゾールから誘導される基を意味するものと解釈される。
【0020】
本発明の目的のために、電子デバイスは、好ましくは、有機エレクトロルミネセンスデバイス(有機発光ダイオード、OLED)、有機薄膜トランジスタ(O−TFT)、有機電界効果トランジスタ(O−FET)、有機太陽電池(O−SC)、有機光受容体、または有機レーザー(O−laser)であり、特に、有機エレクトロルミネセンスデバイスである。
【0021】
YがPまたはSを表すことを特徴とする有機電子デバイスが特に好ましい。
【0022】
さらに、XがOを表すことを特徴とする有機電子デバイスが特に好ましい。
【0023】
さらに、R、Rおよび/またはR基の少なくとも1つが、芳香族系または複素環式芳香族系を表す、特に、R、Rおよび/またはR基の少なくとも2つが、芳香族系または複素環式芳香族系を表すことを特徴とする有機電子デバイスが特に好ましい。
【0024】
、Rおよび/またはR基の1つがアルキル基を表す場合には、基Y=Xに対してα位に水素原子を有さないことが好ましい。この位置のプロトンの高められた酸性度、それに伴う高い反応性のためである。つまり、好ましいアルキル基は、例えば、tert−ブチル、アダマンチル、ノルボルニル等である。
【0025】
式(1)、(2)、(3)、および(4)の単位を含む化合物が、炭素、水素、酸素およびリンまたは硫黄元素のみから成ることを特徴とする有機電子デバイスが非常に特に好ましい。
【0026】
化合物Aが、1を超える単位Y=X、または式(1)〜(4)の1を超える単位を含むこともまた、好ましい。従って、RまたはRまたはR基は、2以上の単位Y=Xを架橋し得る。
【0027】
式(1)〜(4)の特に適切な化合物は、平面構造を有さない化合物であると判明した。とりわけ、対応する置換基R、Rおよび/またはRは、全体として構造の平面からのずれを確実にすることができる。これは、特に、置換基R、R、Rおよび/またはRのうちの少なくとも1つが、少なくとも1つのsp混成炭素原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子および/または窒素原子(ほぼ四面体結合形状を有し、または窒素原子の場合には、ピラミッド形の結合形状を有する)を含有する場合である。
【0028】
平面からの大きなずれを達成するために、sp混成原子のうちの少なくとも1つが、二級、三級または四級原子であることが好ましく、三級または四級原子が特に好ましく、炭素、ケイ素またはゲルマニウムの場合には、四級原子が非常に特に好ましい。
【0029】
二級、三級、または四級原子とは、それぞれ、水素以外の2つの、3つのまたは4つの置換基を有する原子を意味するものと解釈される。
【0030】
さらに、基R〜Rのうちの少なくとも1つにおいて、好ましくは2−、および/または2,7−、および/または2,2’−、および/または2,2’,7−、および/または2,2’,7,7’位により結合された9,9’−スピロビフルオレン誘導体、好ましくは2−、および/または2,7位により結合された9,9−二置換フルオレン、6,6−および/または12,12−二置換または四置換インデノフルオレン誘導体、好ましくは9−および/または10位により結合されたトリプチセン誘導体、好ましくは2−および/または2,7位により結合されたジヒドロフェナントレン誘導体、または好ましくは芳香環上のp位により結合されたヘキサアリールベンゼン誘導体を含む化合物が好ましい。
【0031】
〜R基のうちの少なくとも1つにおいて、9,9’−スピロビフルオレン誘導体を含む化合物が特に好ましい。
【0032】
さらに好ましい態様において、置換基R、Rおよび/またはRのうちの少なくとも1つは、アリール−アリール軸に関する回転のために、非平面構造を有するビアリール化合物である。これは、特に、アリール基の少なくとも1つ、好ましくは双方が、アリール−アリール結合に対するオルト位において置換されている、例えば、オルト結合されたビフェニルまたは1,1’−ビナフチルである場合である。
【0033】
さらに、樹枝状構造を有する化合物も好ましい。1,3,5−三置換ベンゼンも好ましい。
【0034】
適切な構造の例は、以下の例1〜52である。
【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【0035】
電子輸送材料としての化合物Aの使用が好ましい。電子輸送材料は、電子デバイスにおいて、主に電子を伝導する材料である。
【0036】
さらに、化合物Aを含む層が、少なくとも50%の、好ましくは少なくとも80%の当該化合物から成り、非常に特に好ましくは純粋な層として化合物Aのみから成ることを特徴とする有機電子デバイスが好ましい。しかしながら、化合物Aと他の化合物の混合物の使用もまた、好ましい。ここでの他の化合物は、例えば、例えばアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属のような非貴金属をドープした、または例えばCo(Cp)またはNi(Cp)のような有機金属化合物をドープした有機物または無機物のいずれかであり得る。
【0037】
さらに、化合物Aがアモルファスであり、且つ該化合物Aのガラス転移温度Tが、100℃よりも高い、特に好ましくは130℃よりも高い、特に160℃よりも高いことを特徴とする有機電子デバイスが好ましい。
【0038】
化合物Aを含む層に加えて、有機電子デバイスは、さらなる層を含み得る。これらは、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔障壁層、電子輸送層、および/または電子注入層であり得る。しかしながら、ここで、これらの層のそれぞれは、必ずしも存在する必要はないということを指摘しておく。有機エレクトロルミネセンスデバイスにおいては、発光層は、必ず存在する。
【0039】
本発明の好ましい側面は、蛍光発光層と陰極との間に少なくとも1つの電子輸送層を含み、電子輸送材料が、少なくとも1種の化合物Aを含むことを特徴とする本発明による有機エレクトロルミネセンスデバイスである。
【0040】
電子輸送層の厚さは、好ましくは、5〜500nm、特に好ましくは10〜100nm、非常に特に好ましくは20〜70nmである。
【0041】
本発明による電子輸送材料は、例えばAIQのような既知の電子輸送材料と比較して、より高い電荷移動度を有し、そのため、この材料のより大きな層の厚さを用いることができるという技術的な利点を示すということが観察された。
【0042】
本発明のさらに好ましい側面は、発光層が、少なくとも1種の蛍光エミッタと少なくとも1種の電子輸送材料を含み、ここで、電子輸送材料は、少なくとも1種の化合物Aを含むことを特徴とする、本発明による有機エレクトロルミネセンスデバイスである。ここで、化合物Aが、層のホストとして高い割合で存在することが絶対に必要であるというわけではない。わずかな割合の化合物Aであっても、発光層の電子伝導性を有意に改善することができる。
【0043】
有機エレクトロルミネセンスデバイスにおいて、少なくとも1種の化合物Aを含む電子輸送層と少なくとも1種の化合物Aを含む発光層(これらは、同一であるか異なり得る)の双方が存在することも、好ましい。
【0044】
さらに、化合物Aを含む発光層が、別個の電子輸送層を用いない有機エレクトロルミネセンスデバイスにおいて、電子注入層または陰極に直接的に隣接していることが好ましい。同様に、化合物Aを含む発光層が、有機エレクトロルミネセンスデバイスにおいて、正孔注入層と直接的に隣接していることが好ましい。
【0045】
さらに、エミッタが、可視スペクトル領域において、適切な励起状態で、380nm〜750nm間で1以上の最大値を伴って蛍光を発することを特徴とする有機エレクトロルミネセンスデバイスが好ましい。ここで、エミッタが、複数の異なる発光最大値を有し、従って、全体として、白色発光が生じることが好ましい。
【0046】
さらに、1以上の層が、昇華プロセスによりコーティングされることを特徴とする有機電子デバイスが好ましい。ここでは材料を、10−5mbar以下、好ましくは10−6mbar以下、特に好ましくは10−7mbar以下の圧力で、真空昇華装置において蒸着させる。
【0047】
同様に、1以上の層が、OVPD(有機気相成長)プロセスにより、またはキャリアガス昇華を用いてコーティングされることを特徴とする有機電子デバイスが好ましい。ここでは材料は、10−5mbar〜1barの圧力で適用される。
【0048】
さらに、1以上の層が、溶液から、例えば、スピンコーティングにより、または例えばスクリーン印刷、フレキソ印刷またはオフセット印刷、特に好ましくはLITI(光有機熱画像化、熱転写印刷)またはインクジェット印刷のような所望の印刷法により製造されることを特徴とする有機電子デバイスが好ましい。
【0049】
上記した発光デバイスは、従来技術に対して以下の驚くべき利点を有する。
【0050】
1.対応するデバイスの効率は、電子輸送材料としてAIQを含む従来技術に従う系と比較して向上する。
【0051】
2.対応するデバイスの安定度は、電子輸送材料としてAIQを含む従来技術に従う系と比較して向上する。
【0052】
3.駆動電圧は有意に低減される。その結果、パワー効率は向上する。このことは、とりわけ、別個の電子輸送層を用いない場合に当てはまる。
【0053】
4.とりわけ青色OLEDを、より優れた色純度で製造することができる。化合物Aは無色であり、且つ再吸収と再発光に起因するOLEDの効率と色を損なわないためである。
【0054】
5.化合物Aは一般的に吸湿性でないために、より容易に、且つAIQと比較して技術的な複雑さを伴わずに処理することができる。
【0055】
6.化合物Aは、例えばAIQのような従来技術に従う電子輸送材料と比較して、より高い電荷移動度を有するために、より厚い電子輸送層を用いることができる。このことは、既に述べた通り、短絡を防止するために重要なことであり、またさらに、特にディスプレイにおける蛍光OLEDとリン光OLEDの組み合わせに必須である。リン光OLEDのより厚い層の厚さは、蛍光OLEDのより厚い電子輸送層によりバランスをとる必要があるためである。
【0056】
本明細書および以下のさらなる例は、特に、有機発光ダイオードと対応するディスプレイに関する。この記載の制限に関わらず、当業者は、さらなる発明を必要とすることなく、化合物Aまたは式(1)〜(4)の化合物を、関連するデバイス、例えば、有機太陽電池、有機薄膜トランジスタ、有機電界効果トランジスタ、または有機レーザーダイオードにも用いることが可能である。
【0057】

以下の合成を、他に断らない限り、保護ガス雰囲気下で行った。出発材料は、アルドチッチ社またはABCR社(溶媒、マグネシウム、n−BuLi、三塩化リン、塩化チオニル)から購入した。2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノイル)−1,1’−ビナフチル(H.タカヤ等、有機合成(Organic Synthesis)、1989、67、20)を、文献の方法により調製し、以下に記載する通り精製した。ビス(9,9’−スピロビフルオレン−2−イル)フェニルホスフィンオキシド(E1)およびビス(9,9’−スピロビフルオレン−2−イル)スルホキシド(E3)を、WO 05・003253 に記載されるように合成した。
【0058】
合成例1:rac−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノイル)−1,1’−ビナフチル(E2)
上記した手法により得た2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノイル)−1,1’−ビナフチルを以下の通り精製した;先ず、50gの粗生成物を、ソックスレー抽出器に入れ、クロロホルムを用いて、ガラス繊維円筒ろ紙(ポアサイズ0.1μm)を通して抽出した。クロロホルムを100mlの体積にまで濃縮し、500mlのエタノールを加えた。生じる沈殿を吸引しながらろ過し、エタノールで洗浄した。続いて沈殿を、1000mlの酢酸エチルと撹拌しながら5回、それぞれ還流下で洗浄した。昇華を、T=325℃、p=5×10−mbarで、静的真空(static vacuum)中で行った。T=308℃、T=138℃。純粋な2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノイル)−1,1’−ビナフチルの収量は37.3gであり、純度は>99.9%(HPLCによる)であった。
【0059】
合成例2:トリス(9,9’−スピロビフルオレン−2−イル)ホスフィンオキシド(E4)
対応するグリニャール試薬の溶液を、14.10g(580mmol)のマグネシウム(加熱により乾燥済み)、および1500mgのTHF、300mlのジメトキシエタンと4.8ml(50mmol)の1,2−ジクロロメタンの混合物中の197.65g(500mmol)の2−ブロモ−9,9’−スピロビフルオレンの溶液から調製した。200mlのTHF中の12.2ml(140mmol)の三塩化リンの混合物を、グリニャール試薬に20℃で、30分に渡って滴下して加えた。続いて、混合物を還流下でさらに3時間撹拌し、および室温で16時間撹拌した。5mlの水を加えた後、この反応混合物を、回転エバポレータ(1mbar、90℃)において乾燥するまで蒸発させた。残渣を1000mlのジクロロメタン中に溶解させ、500mlの水を用いて3回洗浄した。21mlの過酸化水素(35重量%)と80mlの水の混合物を、ジクロロメタン層に、激しく撹拌しながら滴下して加えた。24時間撹拌した後、水層を分離した。有機層を、毎回500mlの水を用いて3回洗浄した後、200mlの体積にまで濃縮した。1000mlのエタノールを加えた後、微晶質の沈殿を吸引しながらろ過し、200mlのエタノールで洗浄した。精製を、DMSOからの再結晶(約10ml/g)を繰り返すことによって行った。最終的に、生成物を1000mlのNMP中に溶解し、結晶格子中に含まれるDMSOを除去するために、1000mlのエタノールを加えることにより100℃で沈殿させる。昇華を、T=445℃、p=5×10−5mbarで、静的真空中で行った。T=433℃、T=137℃。トリス(9,9’−スピロビフルオレン−2−イル)ホスフィンオキシドの収量は76.0g(76mmol)であり、理論の54.6%に対応し、>99.9%(HPLCによる)の純度であった。
【0060】
H−NMR(CDCl):δ[ppm]=7.80(d,3H),7.73(dd,6H),7.64(dd,3H),7.35(dd,3H),7.28(dd,6H),7.13(dd,3H),7.09(dd,6H),7.02(dd,6H),6.69(d,3H),6.55(d,6H)。31P{H}−NMR(CDCl):δ[ppm]=31.6(s)。
【0061】
OLEDの製造
OLEDを、WO 05/003253 に記載される一般方法(これは、詳細な状況(例えば、最適の効率と色を達成するための層の厚さの変化)に対する個々の場合において適合させる必要がある)により製造した。
【0062】
種々のOLEDの結果を、以下の例に示す。発光層と電子輸送層を除いた基本構造と層の厚さは、より良い比較のために同一であった。以下の構造を有するOLEDは、上記の一般方法と同様に製造した。
【0063】
正孔注入層(HIL):60nmのPEDOT(水からスピンコーティング;H.C.シュターク(Starck)社から購入;ポリ(3,4−エチレンジオキシ−2,5−チオフェン)、
正孔輸送層(HTL):20nmのNaphDATA(蒸着;SynTec社から購入;4,4’,4’’−トリス(N−1−ナフチル−N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン、
正孔輸送層(HTL):20nmのS−TAD(蒸着;WO 99/12888 に従って調製;2,2’,7,7’−テトラキス(ジフェニルアミノ)スピロ−9,9’−ビフルオレン)、
発光層(EML):30nm〜40nm(正確な構造は、表1における例を参照)、
電子伝導体(ETC):10nm〜50nm(正確な構造は、表1における例を参照)(蒸着:SynTec社から購入したAIQ;トリス(キノリナト)アルミニウム(III)、またはビス(9,9’−スピロビフルオレン−2−イル)フェニルホスフィンオキシド)(未公開特許 DE 10330761.3 に従って合成)、
Ba/Al(陰極):3nmのBaの上の150nmのAl。
【0064】
これらの未だ最適化していないOLEDを、標準方法により特性決定した。この目的のために、エレクトロルミネセンススペクトル、効率(cd/Aで測定)、電流−電圧−輝度特性線(IUL特性線)から計算した、輝度の関数としてのパワー効率(Im/Wで測定)、および寿命を測定した。寿命を、OLEDの初期輝度が、10mA/cmの一定の電流密度において半分にまで低下した後の時間として定義する。電子輸送層について、層の厚さを、それぞれの材料について別個に最適化した。しかしながらより良い比較のために、E1〜E4の層の厚さと直接比較できる、より厚いAIQの層の厚さも示す。
【0065】
表1は、いくつかの例の結果を示し、層の厚さを含むETCの組成を、いずれの場合も示す。ETCは、例えば、電子輸送材料として、化合物E1のビス(9,9’−スピロビフルオレン−2−イル)フェニルホスフィンオキシド、または他の電子輸送材料E2〜E4を含む。あるいは、または加えて、これらの材料を発光層において用いる。用いられる比較例は、従来技術に従う、電子伝導体としてAIQを含むOLEDである。より明瞭にするために、用いられる電子輸送化合物の対応する構造式を以下に示す。
【化11】

【0066】
加えて、用いられるエミッタの構造(または、発光層のさらなる成分)を以下に示す。
【化12】

【表1−1】

【表1−2】

【表1−3】

全てのOLEDは、蛍光エミッタEM1〜EM7からの青色発光を示す。より高い光度測定効率が、電子伝導体AIQが本発明による電子伝導体により置き換えられたデバイスにおいて得られる。一定の輝度を達成するために必要とされる電圧は低いために、非常に良好なパワー効率が得られる。さらに、寿命も延長する。
【0067】
特に、効率、パワー効率、寿命、および色は、ETCの同じ層の厚さについて、標準的な電子伝導体AIQを用いるよりも、本発明による電子輸送材料を用いると、より良好である。
【0068】
まとめると、新規の設計原理に従って製造されるOLEDは、表1から明白であるが、より低い電圧においてより高い効率、およびより長い寿命を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陰極、陽極、および少なくとも1つの有機層を含む電子デバイスであって、前記有機層が、化学構造単位Y=X(式中、用いられる記号には以下が適用される。すなわち、
Yは、出現毎に同一であるか異なり、P、As、Sb、Bi、S、SeまたはTeであり、
Xは、出現毎に同一であるか異なり、O、S、Se、TeまたはNRであり、
Rは、出現毎に同一であるか異なり、1〜22個の炭素原子を有する有機基またはOHまたはNHである)
を含有する少なくとも1種の定義化合物Aを含むことを特徴とし、但し、前記化合物Aは、≧150g/モルであり且つ≦10,000g/モルである分子量を有し、および前記デバイスは、リン光エミッタを含まず、さらに、以下の化合物が本発明から除かれる電子デバイスに関する。
【化1】

【請求項2】
式(1)〜(4)(スキーム1)、すなわち
【化2】

(式中、用いられる記号は、以下の意味を有する。すなわち、
Yは、出現毎に同一であるか異なり、式(1)と(3)においてはP、As、SbまたはBiであり、および式(2)と(4)においてはS、SeまたはTeであり、
Xは、出現毎に同一であるか異なり、NR、O、S、SeまたはTeであり、
、R、Rは、出現毎に同一であるか異なり、N(R、1〜40個のC原子を有する直鎖の、分岐の若しくは環状のアルキル基(これは、Rにより置換されていてもよく、または置換されない)(ここで、1以上の非隣接の−CH−基は、−RC=CR−、−C≡C−、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、−O−、−S−、−NR−または−CONR−により置き換えられてもよく、および1以上のH原子は、F、Cl、Br、I、CNまたはNOにより置き換えられてもよい)であり、複数のR、Rおよび/またはR基は、互いに、単環若しくは多環の脂肪族環構造若しくは芳香族環構造を形成していてもよく、または1〜40個の芳香族C原子を有する芳香族系または複素環式芳香族系(これは、1以上のR基により置換されていてもよい)であり、ここで、複数のR、Rおよび/またはR基は、互いに、単環または多環の脂肪族環構造または芳香族環構造を形成していてもよく、または二価の基−Z−により結合されている1〜40個の芳香族C原子を有する芳香族系若しくは複素環式芳香族系(ここで、1以上のH原子は、F、Cl、BrまたはIにより置き換えられてもよい)(または、これは、1以上のR基により置換されていてもよい)であり、ここで、複数の置換基R、Rおよび/またはRは、さらなる単環または多環の脂肪族環構造または芳香族環構造を形成していてもよく、
は、出現毎に同一であるか異なり、1〜22個のC原子を有する直鎖の、分岐の若しくは環状のアルキル鎖またはアルコキシ鎖(ここで、1以上の非隣接のC原子は、−RC=CR−、−C≡C−、Si(R、Ge(R、Sn(R、−NR−、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−により置き換えられてもよく、また、1以上のH原子は、フッ素により置き換えられてもよい)、または1〜40個のC原子を有するアリール、ヘテロアリール若しくはアリールオキシ基(これは、1以上のR基により置換されていてもよい)、またはOH、NH、NH(R)またはN(Rであり、
は、出現毎に同一であるか異なり、RまたはCN、B(R、またはSi(Rであり、
は、出現毎に同一であるか異なり、H、または1〜20個のC原子を有する脂肪族炭化水素基若しくは芳香族炭化水素基であり、
Zは、出現毎に同一であるか異なり、1〜40個のC原子を有する共役基(ここで、1以上のC原子は、R基または水素により置換されていてもよい)
の化合物Aを含むことを特徴とし、但し、前記化合物Aの分子量が、150g/モルよりも大きく、且つ10,000g/モル未満であり、さらに、以下の化合物が本発明から除かれる電子デバイス。
【化3】

【請求項3】
Yが、PまたはSを表すことを特徴とする請求項1および/または2に記載の電子デバイス。
【請求項4】
Xが、Oを表すことを特徴とする請求項1〜3の一項以上に記載の電子デバイス。
【請求項5】
、Rおよび/またはR基の少なくとも1つが、芳香族系または複素環式芳香族系を表すことを特徴とする請求項2〜4の一項以上に記載の電子デバイス。
【請求項6】
前記化合物Aが、1を超える単位Y=X、または式(1)〜(4)の1を超える単位を含むことを特徴とする請求項1〜5の一項以上に記載の有機電子デバイス。
【請求項7】
前記式(1)〜(4)の化合物が、平面構造を持たないことを特徴とする請求項1〜6の一項以上に記載の電子デバイス。
【請求項8】
置換基R、R、Rおよび/またはRのうちの少なくとも1つが、少なくとも1つのsp混成炭素原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子および/または窒素原子を含有することを特徴とする請求項7に記載の電子デバイス。
【請求項9】
sp混成原子のうちの少なくとも1つが、二級原子、三級原子または四級原子であることを特徴とする請求項8に記載の電子デバイス。
【請求項10】
sp混成原子のうちの少なくとも1つが、四級原子であることを特徴とする請求項9に記載の電子デバイス。
【請求項11】
9,9’−スピロビフルオレン誘導体、9,9−二置換フルオレン誘導体、6,6−および/若しくは12,12−二置換若しくは四置換インデノフルオレン誘導体、トリプチセン誘導体、ジヒドロフェナントレン誘導体、またはヘキサアリールベンゼン誘導体が、R〜R基の少なくとも1つの中に存在することを特徴とする請求項1〜10の一項以上に記載の電子デバイス。
【請求項12】
9,9’−スピロビフルオレン誘導体が、R〜R基の少なくとも1つの中に存在することを特徴とする請求項11に記載の電子デバイス。
【請求項13】
前記非平面であるRまたはRまたはR基が、ビアリール基を表すことを特徴とする請求項7に記載の電子デバイス。
【請求項14】
前記式(1)〜(4)の化合物が、例示構造1〜52から選択されることを特徴とする請求項1〜13の一項以上に記載の電子デバイス。
【請求項15】
前記化合物Aがアモルファスであり、および前記化合物Aのガラス転移温度が100℃よりも高いことを特徴とする請求項1〜14の一項以上に記載の電子デバイス。
【請求項16】
前記化合物Aが、電子輸送材料として用いられることを特徴とする請求項1〜15の一項以上に記載の電子デバイス。
【請求項17】
前記化合物Aを含む層が、少なくとも50%の当該化合物から成ることを特徴とする請求項1〜16の一項以上に記載の電子デバイス。
【請求項18】
前記化合物Aを含む層が、純粋な層として、当該化合物のみから成ることを特徴とする請求項17に記載の電子デバイス。
【請求項19】
有機エレクトロルミネセンスデバイス、有機薄膜トランジスタ、有機電界効果トランジスタ、有機太陽電池、有機光受容体、または有機レーザーであることを特徴とする請求項1〜18の一項以上に記載の電子デバイス。
【請求項20】
前記化合物Aを含む層に加えて、さらなる層が存在することを特徴とする請求項1〜19の一項以上に記載の電子デバイス。
【請求項21】
これらのさらなる層が、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔障壁層、電子輸送層、および/または電子注入層から選択されることを特徴とする請求項20に記載の電子デバイス。
【請求項22】
少なくとも1種の化合物Aを含む少なくとも1つの電子輸送層が、蛍光発光層と前記陰極との間に存在することを特徴とする請求項1〜21の一項以上に記載の電子デバイス。
【請求項23】
前記発光層が、少なくとも1種の蛍光エミッタと少なくとも1種の電子輸送材料を含み、ここで、前記電子輸送材料が、少なくとも1種の前記化合物Aを含むことを特徴とする請求項1〜22の一項以上に記載の電子デバイス。
【請求項24】
同一であるか異なり得る、少なくとも1種の前記化合物Aを含む電子輸送層および少なくとも1種の前記化合物Aを含む発光層の双方が存在することを特徴とする請求項1〜23の一項以上に記載の電子デバイス。
【請求項25】
別個の電子輸送層を用いずに、前記化合物Aを含む前記発光層が、前記電子注入層または前記陰極に直接的に隣接していることを特徴とする請求項1〜24の一項以上に記載の電子デバイス。
【請求項26】
前記化合物Aを含む前記発光層が、前記正孔注入層に直接的に隣接していることを特徴とする請求項1〜25の一項以上に記載の電子デバイス。
【請求項27】
前記エミッタが、適切な励起状態において、380nm〜750nmの間に1以上の最大値を伴って、可視スペクトル領域において蛍光を発する有機エレクトロルミネセンスデバイスであることを特徴とする請求項1〜26の一項以上に記載の電子デバイス。

【公表番号】特表2007−527116(P2007−527116A)
【公表日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−553552(P2006−553552)
【出願日】平成17年2月18日(2005.2.18)
【国際出願番号】PCT/EP2005/001710
【国際公開番号】WO2005/084082
【国際公開日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(597035528)メルク パテント ゲーエムベーハー (209)
【Fターム(参考)】