有機電界発光装置
【課題】発光動作を行うために設けられる有機電界発光素子に逆バイアスを印加する有機電界発光装置を提供する。
【解決手段】走査ライン103とデータライン105が交差する領域に形成された有機電界発光装置において,第1電源ライン107に連結され,前記走査ライン103から走査信号を受け,前記データライン105から受信したデータ信号に相応する駆動電流を形成する画素駆動部101と,前記画素駆動部101と第2電源ライン109との間に連結され,前記駆動電流によって発光動作を行う有機電界発光素子OLEDと,前記有機電界発光素子OLEDのアノード電極と逆バイアス電源との間に連結された逆バイアストランジスタMRと,を含むことを特徴とする,有機電界発光装置が提供される。
【解決手段】走査ライン103とデータライン105が交差する領域に形成された有機電界発光装置において,第1電源ライン107に連結され,前記走査ライン103から走査信号を受け,前記データライン105から受信したデータ信号に相応する駆動電流を形成する画素駆動部101と,前記画素駆動部101と第2電源ライン109との間に連結され,前記駆動電流によって発光動作を行う有機電界発光素子OLEDと,前記有機電界発光素子OLEDのアノード電極と逆バイアス電源との間に連結された逆バイアストランジスタMRと,を含むことを特徴とする,有機電界発光装置が提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機電界発光装置に係り,より詳しくはそれぞれの画素に設けられた有機電界発光素子に逆バイアスを印加するための画素回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機電界発光装置は,自発光動作を行う有機電界発光素子にデータ信号を供給して所定の映像を表示するディスプレイ装置であり,駆動方式によって,受動(Passive Matrix)型と能動(Active Matrix)型に分けられる。
【0003】
受動型は,画面表示領域に陽極と陰極をマトリックス方式で交差配置し,陽極と陰極が交差する部位に画素を形成する方式である。
【0004】
これに対し,能動型は,各画素に薄膜トランジスタを配置し,それぞれの画素を薄膜トランジスタで制御する。
【0005】
能動型と受動型の最大の違いは,有機電界発光装置の発光時間の差にある。すなわち,受動型の場合,瞬間的に有機発光層を高輝度で発光させるが,能動型の場合,有機発光層を低輝度で続いて発光させる。
【0006】
受動型の場合,解像度が高くなれば,瞬間発光輝度が高くならなければならない。また,高輝度の光を出すため,有機電界発光装置の劣化に大きい影響を及ぼすことになる。これに対し,能動型の場合,薄膜トランジスタを用いて駆動し,一フレームの間,画素で継続して光を発するので,低電流で駆動が可能である。よって,能動型の方が受動型に比べて寄生キャパシタンスが少なく,電力の消費量が少ない利点を有する。
【0007】
しかし,能動型は輝度不均一の欠点を有する。能動型は,能動素子として能動LTPS(Low Temperature Poly Silicon)薄膜トランジスタを使用する場合が大部分を占める。LTPS薄膜トランジスタは,低温状態で形成された非晶質シリコンをレーザーにより決定化する。このとき,決定化によってトランジスタの特性が変わる。すなわち,トランジスタのスレッショルド電圧などが画素別に一定でない特性不均一が発生する。したがって,同一画面信号に対し,それぞれの画素は相違なる輝度を表し,これを画面全体的に見ると,輝度の不均一として見えることになる。このような輝度不均一の問題を解決するために多様な試みがなされている。
【0008】
輝度不均一の問題は駆動トランジスタの特性を補償する方法で解決する。駆動トランジスタの特性を補償する方法は,駆動方式によって,大きく2種に分けられる。すなわち,電圧書き込み方式を用いる方法,電流書き込み方式を用いる方法がある。
【0009】
電圧書き込み方式を用いる方法は,駆動トランジスタのスレッショルド電圧をキャパシタに格納し,格納された駆動トランジスタのスレッショルド電圧を補償する方法である。
【0010】
電流書き込み方式を用いる方法は,映像信号を電流で供給し,映像信号電流に相応する駆動トランジスタのソース−ゲート間の電圧差をキャパシタに格納する。その後,駆動トランジスタを電圧源に連結して,映像信号電流と同一電流が駆動トランジスタに流れるようにする。すなわち,駆動トランジスタの素子特性差にかかわらずに,有機発光層に印加される電流の値は映像信号として入る電流の値となる。よって,輝度の不均一性が改善される。
【0011】
ただ,上述した輝度の不均一現象を改善する方法は,有機発光層を有する有機電界発光素子が正常である状況を前提とするものである。製造工程で有機発光層がピンホール(Pin Hole)などの欠陥を有する場合,駆動トランジスタの特性差を補償するとしても,有機電界発光装置は正常な発光を行うことができなくなる。
【0012】
有機電界発光素子が欠陥を有する場合,これを確認する方法は,有機電界発光装置を正常に動作させて,表示される画面を観察する方法を用いる。しかし,このような方法は,有機電界発光素子が有する進行性不良を感知することができないし,画素を構成する多数のトランジスタを動作させなければならない負担を有する。
【0013】
したがって,有機電界発光装置には,画面を表示しないで,電気的に有機電界発光素子の正常動作を確認することができる有機電界発光装置が要求されると言える。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
そこで,本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので,本発明の目的は,有機電界発光素子に逆バイアスを印加するための有機電界発光装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために,本発明のある観点によれば,走査ラインとデータラインが交差する領域に形成された有機電界発光装置において,第1電源ラインに連結され,前記走査ラインから走査信号を受け,前記データラインから受信されたデータ信号に相応する駆動電流を形成するための画素駆動部と;前記画素駆動部と第2電源ラインとの間に連結され,前記駆動電流によって発光動作を行うための有機電界発光素子と;前記有機電界発光素子のアノード電極と逆バイアス電源との間に連結された逆バイアストランジスタと;を含むことを特徴とする有機電界発光装置が提供される。
【0016】
上記逆バイアストランジスタは,逆バイアス制御信号に応じてオン/オフ動作を行い,上記逆バイアストランジスタがターンオンされた場合,上記画素駆動部は駆動電流を発生しないようにしてもよい。
【0017】
上記逆バイアストランジスタがターンオンされた場合,上記有機電界発光素子には逆バイアスが印加されるようにしてもよい。
【0018】
上記有機電界発光素子のアノード電極とカソード電極との間の逆バイアス電圧差は−14V〜−10Vであるようにしてもよい。ここで,Vは電位(Volt)を表す。
【0019】
上記画素駆動部は,上記データラインに連結され,走査信号に応答してオン/オフ動作を行うスイッチングトランジスタと,スイッチングトランジスタに連結され,スイッチングトランジスタを介して受信される上記データ信号を格納するキャパシタと,スイッチングトランジスタと上記第1電源ラインに連結され,上記キャパシタに格納された上記データ信号に相応する上記駆動電流を発生する駆動トランジスタと,を含んでいてもよい。
【0020】
上記データ信号は電圧で表してもよい。
【0021】
上記画素駆動部は,上記駆動トランジスタと上記有機電界発光素子との間に連結され,発光制御信号に応じてオン/オフ動作を行う発光制御トランジスタをさらに含んでいてもよい。
【0022】
上記画素駆動部は,上記データラインに連結され,上記走査信号に応じてオン/オフ動作を行う第1スイッチングトランジスタと,第1スイッチングトランジスタと上記第1電源ラインとの間に連結され,データ電流に相応する電圧を格納するキャパシタと,第1スイッチングトランジスタと上記第1電源ラインに連結され,上記キャパシタに格納された電圧に相応する駆動電流を発生する駆動トランジスタと,駆動トランジスタと上記データラインとの間に連結され,上記走査信号に応じて上記データ電流を上記データラインに供給する第2スイッチングトランジスタと,駆動トランジスタと上記有機電界発光素子との間に連結され,発光制御信号に応じて駆動電流を上記有機電界発光素子に供給する発光制御トランジスタと,を含んでいてもよい。
【0023】
また,上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,第1電源ラインに連結され,走査ラインを介して走査信号を受け,データラインから受信されるデータ信号に相応する駆動電流を形成するための画素駆動部と,前記画素駆動部と第2電源ラインとの間に連結され,前記駆動電流によって発光動作を行うための有機電界発光素子と,前記有機電界発光素子のアノード電極と前記第1電源ラインとの間に連結され,前記有機電界発光素子に逆バイアスを印加するための逆バイアストランジスタと,を含むことを特徴とする,有機電界発光装置が提供される。
【0024】
上記逆バイアストランジスタは逆バイアス制御信号に応じてオン/オフ動作を行い,上記逆バイアストランジスタがターンオンされた場合,上記画素駆動部は駆動電流を発生しないようにしてもよい。
【0025】
上記逆バイアストランジスタがターンオンされた場合,上記有機電界発光素子には逆バイアスが印加されるようにしてもよい。
【0026】
上記有機電界発光素子のアノード電極とカソード電極との間の逆バイアス電圧差は−14V〜−10Vであるようにしてもよい。
【0027】
また,上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,第1電源ラインに連結され,走査ラインを介して走査信号を受け,データラインから受信されるデータ信号に相応する駆動電流を形成するための画素駆動部と;前記画素駆動部と第2電源ラインとの間に連結され,前記駆動電流によって発光動作を行うための有機電界発光素子と;前記有機電界発光素子のアノードと前記データラインとの間に連結され,前記有機電界発光素子に逆バイアスを印加するための第1逆バイアストランジスタと;前記データラインと逆バイアス電源との間に連結され,前記第1逆バイアストランジスタに前記逆バイアスを供給するための第2逆バイアストランジスタと;を含むことを特徴とする,有機電界発光装置が提供される。
【0028】
上記第1逆バイアストランジスタおよび上記第2逆バイアストランジスタは逆バイアス制御信号に応じてオン/オフ動作を行い,上記第1逆バイアストランジスタおよび上記第2逆バイアストランジスタがターンオンされた場合,上記画素駆動部は駆動電流を発生しないようにしてもよい。
【0029】
上記第1逆バイアストランジスタおよび上記第2逆バイアストランジスタがターンオンされた場合,上記逆バイアス電源から上記有機電界発光素子に逆バイアスが印加されるようにしてもよい。
【0030】
上記有機電界発光素子のアノード電極とカソード電極との間の逆バイアス電圧差は−14V〜−10Vであるようにしてもよい。
【0031】
上記画素駆動部は,上記データラインに連結され,走査信号に応答してオン/オフ動作を行うスイッチングトランジスタと,スイッチングトランジスタに連結され,スイッチングトランジスタを介して受信される上記データ信号を格納するキャパシタと,スイッチングトランジスタと上記第1電源ラインに連結され,キャパシタに格納された上記データ信号に相応する上記駆動電流を発生する駆動トランジスタと,を含んでいてもよい。
【0032】
上記データ信号は電圧で表してもよい。
【0033】
上記画素駆動部は,上記駆動トランジスタと上記有機電界発光素子との間に連結され,発光制御信号に応じてオン/オフ動作を行う発光制御トランジスタをさらに含んでいてもよい。
【0034】
上記画素駆動部は,上記データラインに連結され,上記走査信号に応じてオン/オフ動作を行う第1スイッチングトランジスタと,第1スイッチングトランジスタと上記第1電源ラインとの間に連結され,データ電流に相応する電圧を格納するキャパシタと,第1スイッチングトランジスタと上記第1電源ラインに連結され,キャパシタに格納された電圧に相応する駆動電流を発生する駆動トランジスタと,駆動トランジスタと上記データラインとの間に連結され,上記走査信号に応じて上記データ電流を上記データラインに供給する第2スイッチングトランジスタと,駆動トランジスタと上記有機電界発光素子との間に連結され,発光制御信号に応じて上記駆動電流を上記有機電界発光素子に供給する発光制御トランジスタと,を含んでいてもよい。
【0035】
また,上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,第1電源ラインに連結され,1つ前の走査信号の制御によって,初期化ラインを介して初期化信号を受け,現在の走査信号に応じてデータラインからデータ信号を受信し,受信されるデータ信号に相応する駆動電流を形成するための画素駆動部と;前記画素駆動部と第2電源ラインとの間に連結され,前記駆動電流によって発光動作を行うための有機電界発光素子と;前記初期化ラインと前記有機電界発光素子のアノード電極との間に連結され,前記有機電界発光素子に逆バイアスを印加するための逆バイアストランジスタと;を含むことを特徴とする,有機電界発光装置が提供される。
【0036】
上記逆バイアストランジスタは逆バイアス制御信号に応じてオン/オフ動作を行い,上記逆バイアストランジスタがターンオンされた場合,上記画素駆動部は駆動電流を発生しないようにしてもよい。
【0037】
上記逆バイアストランジスタがターンオンされた場合,上記有機電界発光素子には上記初期化ラインを介して逆バイアスが印加されるようにしてもよい。
【0038】
上記有機電界発光素子のアノード電極とカソード電極との間の逆バイアス電圧差は−14V〜−10Vであるようにしてもよい。
【0039】
上記画素駆動部は,上記初期化ラインに連結され,上記1つ前の走査信号に応じて初期化信号を受信する初期化トランジスタと,上記データラインに連結され,上記現在の走査信号に応じて上記データラインからデータ信号を受信する第1スイッチングトランジスタと,第1スイッチングトランジスタと初期化トランジスタとの間に連結され,ダイオード連結された構造を有し,スレッショルド電圧を補償する補償トランジスタと,補償トランジスタと上記第1電源ラインとの間に連結され,上記初期化信号を受信して初期化動作を行うか,または第1スイッチングトランジスタおよび補償トランジスタを介して伝達されるデータ信号を格納するキャパシタと,上記第1電源ラインに連結され,キャパシタに格納された上記データ信号に相応する上記駆動電流を発生する駆動トランジスタと,駆動トランジスタと上記有機電界発光素子との間に連結され,発光制御信号に応じて上記駆動電流を上記有機電界発光素子に供給する発光制御トランジスタと,を含んでいてもよい。
【0040】
上記画素駆動部は,上記初期化ラインに連結され,上記1つ前の走査信号に応じて初期化信号を受信する初期化トランジスタと,上記データラインに連結され,上記現在の走査信号に応じて上記データラインからデータ信号を受信する第1スイッチングトランジスタと,第1スイッチングトランジスタに連結され,上記データ信号に相応する駆動電流を発生する駆動トランジスタと,駆動トランジスタのゲート端子とドレイン端子との間に連結され,上記現在の走査信号に応じてオン/オフ動作を行う第2スイッチングトランジスタと,駆動トランジスタと上記第1電源ラインとの間に連結され,発光制御信号に応じてオン/オフ動作を行う第3スイッチングトランジスタと,上記第1電源ラインと初期化トランジスタとの間に連結され,初期化信号に応じて初期化動作を行い,駆動トランジスタの駆動電流形成に要求されるデータ信号を格納するキャパシタと,駆動トランジスタと上記有機電界発光素子との間に連結され,発光制御信号に応じて駆動電流を上記有機電界発光素子に供給する発光制御トランジスタと,を含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0041】
このような本発明によれば,映像を表示し,表示される映像信号を観察して有機電界発光素子の正常動作を確認する方法ではなく,有機電界発光装置に逆バイアスを印加して,逆バイアスが印加された状態で有機電界発光素子で発生する漏洩電流を検出して有機電界発光素子の正常動作を確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下に添付図面を参照しながら,本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書及び図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0043】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態による有機電界発光装置を示すブロック図である。
【0044】
図1に示すように,本実施形態による有機電界発光装置は,画素駆動部101,有機電界発光素子OLED,および逆バイアストランジスタMRを有する。
【0045】
画素駆動部101は,複数のトランジスタおよびキャパシタ(図示せず)からなる。また,画素駆動部101は,走査ライン103とデータライン105が交差する領域に形成される。走査ライン103から供給される走査信号SCAN[n](nは1以上の整数)が活性化されると,画素駆動部101は選択され,選択された画素駆動部101にデータ信号DATA[m](mは1以上の整数)が印加される。データ信号DATA[m]は,データライン105を介して画素駆動部101に印加される。画素駆動部101に印加されたデータ信号DATA[m]は,画素駆動部101に設けられたキャパシタに電圧の形態として格納される。また,データ信号DATA[m]は電圧の形態として画素駆動部101に印加されることができ,電流の形態として画素駆動部101に印加されるか,あるいは所定の電流を画素駆動部101からシンク(sink)する形態となることができる。
【0046】
また,画素駆動部101は,正の電源電圧ELVDDを供給する第1電源ライン107に連結される。画素駆動部101は,第1電源ライン107を介して,駆動電流の発生に必要な電力を受ける。
【0047】
また,画素駆動部101は,発光制御信号を受信して,駆動電流が有機電界発光素子OLEDに印加されることを制御することができる。
【0048】
有機電界発光素子OLEDは,画素駆動部101と負の電源電圧ELVSSを供給する第2電源ライン109との間に連結される。有機電界発光素子OLEDは,画素駆動部101に供給されたデータ信号DATA[m]に相応する駆動電流を受けて所定の輝度で発光する。
【0049】
逆バイアストランジスタMRは,有機電界発光素子OLEDのアノード電極と逆バイアス電源Vrとの間に連結される。また,逆バイアストランジスタMRのゲート端子には逆バイアス制御信号Vctlが印加される。
【0050】
有機電界発光装置にデータ信号DATA[m]が印加されて有機電界発光素子OLEDが発光動作を開始する前または後に,有機電界発光素子OLEDに逆バイアスが印加されることができる。すなわち,有機電界発光装置が映像を表示する時間区間を除いた残り区間である非表示区間で有機電界発光素子OLEDには逆バイアスが印加されることができる。すなわち,非表示区間で逆バイアス制御信号Vctlがローレベルで活性化されると,逆バイアストランジスタMRはターンオンされ,逆バイアストランジスタMRを介して,逆バイアスが有機電界発光素子OLEDのアノード電極に印加される。有機電界発光素子OLEDのアノード電極とカソード電極との間の電圧差は−14V〜−10Vが維持されるようにする。この−14V〜−10Vの電圧差は,OLEDに逆バイアスを印加する際に,発生する漏洩電流を確認するためのものである。逆バイアスが極端に小さい場合には漏洩電流を確認することが難しく,逆バイアスがあまりにも大きいと,正常なOLEDが破壊される恐れがある。望ましくは,有機電界発光素子OLEDのアノード電極とカソード電極との間の電圧差はおよそ−12Vである。この−12Vの電圧差は,電源の電圧およびOLEDの特性を反映させて設定した値である。
【0051】
また,逆バイアス電圧は,有機電界発光装置の正常発光動作が開始される以前に有機電界発光素子OLEDの不良有無を前もって検出するために印加されることもできる。
【0052】
たとえば,有機電界発光素子OLEDが正常特性を有する場合,逆バイアス電圧が印加される有機電界発光素子OLEDで流れる漏洩電流は実質的に0Aである。しかし,有機電界発光素子OLEDが欠陥を有する場合,逆バイアス電圧によって漏洩電流が発生することになる。よって,逆バイアス電圧が印加される漏洩電流によって有機電界発光素子OLEDが正常かどうかを確認することができる。
【0053】
図2aおよび図2bは本発明の第1の実施形態による有機電界発光装置の回路を示す説明図である。
【0054】
図2aに示すように,有機電界発光装置は,画素駆動部201,有機電界発光素子OLED,および逆バイアストランジスタMRを有する。
【0055】
画素駆動部201は,スイッチングトランジスタM11,キャパシタC1,および駆動トランジスタM12を有する。
【0056】
スイッチングトランジスタM11の第1電極はデータライン205に連結され,第2電極は駆動トランジスタM12のゲートに連結される。また,スイッチングトランジスタM11のゲートは走査ライン203に連結される。よって,走査ライン203を介して印加される走査信号SCAN[n]によって,スイッチングトランジスタM11はオン/オフ動作を行う。走査信号SCAN[n]によってスイッチングトランジスタM11がターンオンされる場合,データライン205からのデータ電圧Vdataは駆動トランジスタM12およびキャパシタC1に印加される。
【0057】
キャパシタC1はスイッチングトランジスタM11の第2電極および第1電源ライン207との間に連結される。スイッチングトランジスタM11を介して印加されるデータ電圧VdataはキャパシタC1に格納され,格納されたデータ電圧Vdataによって駆動電流が発生する。
【0058】
駆動トランジスタM12は,第1電源ライン207と有機電界発光素子OLEDとの間に連結される。また,駆動トランジスタM12のゲートはキャパシタC1およびスイッチングトランジスタM11の第2電極に連結される。すなわち,駆動トランジスタM12の第1電極は第1電源ライン207に連結され,駆動トランジスタM12の第2電極は有機電界発光素子OELDのアノード電極に連結される。よって,駆動トランジスタM12のソース−ゲートとの間の電圧差Vgsは,キャパシタC1両端に印加される電圧の差となる。
【0059】
有機電界発光素子OLEDは,画素駆動部201の駆動トランジスタM12の第2電極と負の電源電圧ELVSSが印加される第2電源ライン209との間に連結される。有機電界発光素子OLEDは,画素駆動部201の駆動トランジスタM12から発生した駆動電流によって発光動作を行う。
【0060】
逆バイアストランジスタMRは,逆バイアス電源Vrと有機電界発光素子OELDのアノード電極との間に連結される。逆バイアストランジスタMRのゲート電極には逆バイアス制御信号Vctlが印加される。逆バイアス制御信号Vctlは,有機電界発光素子OLEDが発光動作を行わない区間で逆バイアストランジスタMRをターンオンさせることができる。すなわち,有機電界発光装置が正常の発光動作を開始する以前に,有機電界発光素子OLEDの不良有無を確認するために逆バイアスを印加することができ,垂直同期信号の非表示区間の間に逆バイアスを印加することができる。
【0061】
図2bは,電流書き込み型有機電界発光装置を示す。図2bに示す有機電界発光装置は,データドライバにシンク(sink)されるデータ電流Idataに相応するVgsを画素駆動部211のキャパシタC2に格納し,有機電界発光素子OLEDの発光動作時,データ電流(Idata)と同一の電流が有機電界発光素子OLEDに印加される動作形態を有する。
【0062】
電流書き込み型有機電界発光装置は,画素駆動部211,有機電界発光素子OLED,および逆バイアストランジスタMRを有する。
【0063】
画素駆動部211は,第1スイッチングトランジスタM21,キャパシタC2,駆動トランジスタM22,第2スイッチングトランジスタM23,および発光制御トランジスタM24を有する。
【0064】
第1スイッチングトランジスタM21は,走査ライン213を介して伝送される走査信号SCAN[n](nは1以上の整数)の制御によってオン/オフ動作を行う。また,第1スイッチングトランジスタM21の第1電極はデータライン215に連結され,第1スイッチングトランジスタM21の第2電極はキャパシタC2および駆動トランジスタM22に連結される。
【0065】
キャパシタC2は,正の電源電圧ELVDDを供給する第1電源ライン217と,第1スイッチングトランジスタM21の第2電極との間に配置される。
【0066】
また,駆動トランジスタM22は第1電源ライン217と発光制御トランジスタM24との間に連結され,駆動トランジスタM22のゲートは第1スイッチングトランジスタM21の第2電極およびキャパシタC2に連結される。駆動トランジスタM22の第1電極は第1電源ライン217に連結され,駆動トランジスタM22の第2電極は発光制御トランジスタM24に連結される。
【0067】
第2スイッチングトランジスタM23は走査信号SCAN[n]の制御によってオン/オフ動作を行う。また,第2スイッチングトランジスタM23の第1電極は駆動トランジスタM22の第2電極に連結され,第2スイッチングトランジスタM23の第2電極はデータライン215に連結される。
【0068】
画素駆動部211にデータ電流Idataが書き込まれる場合,走査信号SCAN[n]によって第1スイッチングトランジスタM21および第2スイッチングトランジスタM23はターンオンされる。また,データドライバによってデータ電流Idataはシンクされる。よって,第2スイッチングトランジスタM23を介してデータライン215にデータ電流Idataが流れる。データ電流Idataは,第1電源ライン217および駆動トランジスタM22を介して供給される。よって,キャパシタC2にはデータ電流Idataに相応するVgsが格納される。
【0069】
発光制御トランジスタM24は駆動トランジスタM22と有機電界発光素子OLEDとの間に連結される。発光制御トランジスタM24はゲートに印加される発光制御信号EMI[n]によってオン/オフされ,発光制御トランジスタM24の第1電極は駆動トランジスタM22および第2スイッチングトランジスタM23に連結され,発光制御トランジスタM24の第2電極は有機電界発光素子OLEDのアノード端子に連結される。発光制御信号EMI[n]によって発光制御トランジスタM24がターンオンされる場合,キャパシタC2に電圧形態として格納されたデータ信号Idataは有機電界発光素子OLEDに流れ,有機電界発光素子OLEDは発光動作を開始する。
【0070】
有機電界発光素子OLEDは発光制御トランジスタM24の第2電極と負の電源電圧ELVSSを供給する第2電源ライン219との間に連結され,駆動電流によって発光動作を行う。
【0071】
また,逆バイアストランジスタMRは有機電界発光素子OLEDのアノード電極と逆バイアス電源Vrとの間に連結される。逆バイアストランジスタMRのゲート端子には逆バイアス制御信号Vctlが印加され,逆バイアス制御信号Vctlによって逆バイアストランジスタMRはオン/オフ動作を行う。
【0072】
有機電界発光装置が正常の発光動作を行う以前に,逆バイアストランジスタMRはターンオンされ,有機電界発光素子OLEDに逆バイアスが印加されることにより,有機電界発光素子OLEDの不良有無を確認することができる。また,垂直同期信号が印加される期間の間に,非表示区間でも逆バイアスは有機電界発光素子OLEDに印加されることができる。
【0073】
(第2の実施形態)
図3は本発明の第2の実施形態による有機電界発光装置を示すブロック図である。
【0074】
図3に示すように,本実施形態による有機電界発光装置は,画素駆動部301,有機電界発光素子OLED,および逆バイアストランジスタMRを有する。
【0075】
画素駆動部301は複数のトランジスタおよびキャパシタからなる。また,画素駆動部301は,走査ライン303とデータライン305が交差する領域に形成される。走査ライン303から供給される走査信号SCAN[n](nは1以上の整数)が活性化されると,画素駆動部301は選択され,選択された画素駆動部301にデータ信号DATA[m](mは1以上の整数)が印加される。データ信号DATA[m]はデータライン305を介して画素駆動部301に印加される。画素駆動部301に印加されたデータ信号DATA[m]は,画素駆動部301に設けられたキャパシタ(図示せず)に電圧の形態として格納される。また,データ信号DATA[m]は電圧の形態として画素駆動部301に印加されることができ,電流の形態として画素駆動部301に印加されるか,あるいは所定の電流を画素駆動部301からシンク(sink)する形態となることができる。
【0076】
また,画素駆動部301は正の電源電圧ELVDDを供給する第1電源ライン307に連結される。画素駆動部301は,第1電源ライン307を介して,駆動電流の発生に必要な電力を受ける。
【0077】
また,画素駆動部301は発光制御信号を受信して,駆動電流が有機電界発光素子OLEDに印加されることを制御することができる。
【0078】
有機電界発光素子OLEDは,画素駆動部301と負の電源電圧ELVSSを供給する第2電源ライン309との間に連結される。有機電界発光素子OLEDは,画素駆動部301に供給されたデータ信号DATA[m]に相応する駆動電流を受けて所定の輝度で発光する。
【0079】
逆バイアストランジスタMRは有機電界発光素子OLEDのアノード電極と第1電源ライン307との間に連結される。また,逆バイアストランジスタMRのゲート端子には逆バイアス制御信号Vctlが印加される。たとえば,逆バイアストランジスタMRが逆バイアス制御信号Vctlによってターンオンされた場合,第1電源ライン307には正の電源電圧ELVDDの代わりに,アノード電極に印加される電圧よりカソード電極に印加される電圧のほうが低いレベルを有する電圧が印加され,第2電源ライン309には負の電源電圧ELVSSの代わりに,アノード電極に印加される電圧よりカソード電極に印加される電圧のほうが高いレベルを有する電圧が印加される。よって,逆バイアストランジスタMRがターンオンされる場合,有機電界発光素子OLEDには逆バイアスが印加される。
【0080】
有機電界発光装置に走査信号SCAN[n]が活性化され,データ信号DATA[m]が印加されて有機電界発光素子OLEDが発光動作を開始する以前または以後に,有機電界発光素子OLEDに逆バイアスを印加することができる。すなわち,有機電界発光装置が映像を表示する時間区間を除いた残り区間である非表示区間で,有機電界発光素子OLEDには逆バイアスを印加することができる。すなわち,非表示区間で逆バイアス制御信号Vctlがローレベルで活性化されると,逆バイアストランジスタMRはターンオンされ,逆バイアストランジスタMRを介して,逆バイアスが有機電界発光素子OLEDに印加される。有機電界発光素子OLEDのアノード電極とカソード電極との間の電圧差は−14V〜−10Vが維持されるようにする。この−14V〜−10Vの電圧差は,OLEDに逆バイアスを印加する際に,発生する漏洩電流を確認するためのものである。逆バイアスが極端に小さい場合には漏洩電流を確認することが難しく,逆バイアスがあまりにも大きいと,正常なOLEDが破壊される恐れがある。望ましくは,前記有機電界発光素子OLEDのアノード電極とカソード電極との間の電圧差はおよそ−12Vである。この−12Vの電圧差は,電源の電圧およびOLEDの特性を反映させて設定した値である。
【0081】
また,逆バイアス電圧は,有機電界発光装置の正常の発光動作が開始される以前に,有機電界発光素子OLEDの不良を前もって検出するために印加することもできる。
【0082】
たとえば,有機電界発光素子OLEDが正常の特性を有する場合,逆バイアス電圧が印加された時に有機電界発光素子OLEDを流れる漏洩電流は,実質的に0Aである。しかし,有機電界発光素子OLEDが欠陥を有している場合,逆バイアス電圧によって漏洩電流が発生することになる。よって,逆バイアス電圧が印加された時に漏洩電流が発生するかどうかによって,有機電界発光素子OLEDが正常かどうかを確認することができる。
【0083】
図4aおよび図4bは本発明の第2の実施形態による有機電界発光装置の回路を示す説明図である。
【0084】
図4aに示すように,有機電界発光装置は,画素駆動部401,有機電界発光素子OLED,および逆バイアストランジスタMRを有する。
【0085】
画素駆動部401は,スイッチングトランジスタM31,キャパシタC3,および駆動トランジスタM32を有する。図4aに示す画素駆動部401の構成および動作は図2aに基づいて説明したものと同一である。したがって,走査ライン403を介して走査信号SCAN[n]が活性化され,データライン405を介してデータ電圧Vdataが印加されると,キャパシタC3にはデータ電圧Vdataが格納される。
【0086】
有機電界発光素子OLEDは,画素駆動部401の駆動トランジスタと第2電源ライン409との間に連結される。有機電界発光素子OLEDが正常の発光動作を行う場合,第2電源ライン409には負の電源電圧ELVSSが印加され,画素駆動部401に格納されたデータ電圧Vdataに相応する駆動電流によって,有機電界発光素子OLEDは発光動作を開始する。
【0087】
逆バイアストランジスタMRは,第1電源ライン407と有機電界発光素子OLEDのアノード電極との間に連結され,逆バイアス制御信号Vctlによってオン/オフ動作を行う。有機電界発光素子OLEDが正常の発光動作を行う場合,第1電源ライン407には正の電源電圧ELVDDが印加され,第2電源ライン409には負の電源電圧ELVSSが印加される。しかし,逆バイアス制御信号Vctlの活性化によって逆バイアストランジスタMRがターンオンされる場合,第1電源ライン407には正の電源電圧ELVDDより低い電圧が印加され,第2電源ライン409には負の電源電圧ELVSSより高い電圧が印加されることにより,有機電界発光素子OLEDに逆バイアス電圧が印加される。
【0088】
図4bに示すように,有機電界発光装置は,データ電流Idataを電圧の形態として格納し,これに相応する駆動電流を発生するための画素駆動部411,画素駆動部411に連結され,発光動作を行うための有機電界発光素子OLED,および有機電界発光素子OLEDのアノード電極と第1電源ライン417との間に連結された逆バイアストランジスタMRを有する。
【0089】
画素駆動部411は,第1スイッチングトランジスタM41,キャパシタC4,駆動トランジスタM42,第2スイッチングトランジスタM43,および発光制御トランジスタM44を有する。図4bに示す画素駆動部411の構成および動作は,図2bに示す画素駆動部211の構成および動作と同一である。したがって,走査ライン413を介して印加される走査信号SCAN[n]に応じて,第1スイッチングトランジスタM41および第2スイッチングトランジスタM43はターンオンされ,駆動トランジスタM42からデータライン415を介してデータ電流Idataはシンクされる。よって,キャパシタC4には,データ電流Idataに相応するVgsが格納される。発光制御信号EMI[n]が活性化される場合,発光制御トランジスタM44はターンオンされ,データ電流Idataと実質的に同一な駆動電流が有機電界発光素子OLEDに流れることになる。
【0090】
発光動作を行う有機電界発光素子OLEDは,発光制御トランジスタM44と第2電源ライン419との間に連結される。正常動作の場合,有機電界発光素子OLEDのカソード電極には第2電源ライン419を介して負の電源電圧ELVSSが印加され,駆動電流が流れて発光動作を行う。有機電界発光装置が正常動作を行う以前,または非表示期間の間,有機電界発光素子OLEDには逆バイアスが印加される。
【0091】
逆バイアストランジスタMRは,有機電界発光素子OLEDのアノード電極と第1電源ライン417との間に連結される。逆バイアストランジスタMRは逆バイアス制御信号Vctlによってオン/オフ動作を行う。逆バイアストランジスタMRがオフ状態であるうちに,有機電界発光素子OLEDは正常の発光動作を行い,逆バイアストランジスタMRがターンオンされた場合,有機電界発光素子OLEDには逆バイアス電圧が印加される。
【0092】
(第3の実施形態)
図5は本発明の第3の実施形態による有機電界発光装置を示すブロック図である。
【0093】
図5に示すように,本実施形態による有機電界発光装置は,画素駆動部501,有機電界発光素子OLED,第1逆バイアストランジスタMR1,および第2逆バイアストランジスタMR2を有する。
【0094】
画素駆動部501は,走査ライン503を介して印加される走査信号SCAN[n](nは1以上の整数)によって選択されて,データライン505を介して印加されるデータ信号DATA[m](mは1以上の整数)を受信する。データ信号DATA[m]はデータ電圧またはデータ電流である。また,画素駆動部501は第1電源ライン507に連結され,有機電界発光素子OLEDが発光動作を行う場合,第1電源ライン507から正の電源電圧ELVDDを受けて,有機電界発光素子OLEDの発光に要求される電力を供給する。
【0095】
有機電界発光素子OLEDは画素駆動部501と第2電源ライン509との間に配置される。すなわち,有機電界発光素子OLEDのアノード電極は画素駆動部501に連結され,有機電界発光素子OLEDのカソード電極は第2電源ライン509に連結される。有機電界発光素子OLEDが発光動作を行う場合,第2電源ライン509を介して負の電源電圧ELVSSが印加される。
【0096】
第1逆バイアストランジスタMR1は,有機電界発光素子OLEDのアノード電極とデータライン505との間に連結される。また,第1逆バイアストランジスタMR1のゲート端子には逆バイアス制御信号Vctlが印加される。逆バイアス制御信号Vctlがローレベルで活性化される場合,第1逆バイアストランジスタMR1はターンオンされ,データライン505と有機電界発光素子OLEDのアノード電極は電気的に連結される。
【0097】
第2逆バイアストランジスタMR2は,逆バイアス電源Vrとデータライン505の間に連結される。また,第2逆バイアストランジスタMR2のゲート端子には逆バイアス制御信号Vctlが印加される。したがって,逆バイアス制御信号Vctlがローレベルで活性化される場合,第2逆バイアストランジスタMR2はターンオンされ,データライン505と逆バイアス電源Vrは電気的に連結される。すなわち,逆バイアス制御信号Vctlは第1逆バイアストランジスタMR1および第2逆バイアストランジスタMR2に共通して連結される。
【0098】
有機電界発光装置が映像を表示する場合,第1逆バイアストランジスタMR1および第2逆バイアストランジスタMR2はオフ状態を維持する。また,走査ライン503を介して走査信号SCAN[n]が画素駆動部501に印加され,データ信号DATA[m]はデータライン505を介して画素駆動部501に印加される。画素駆動部501は,印加されたデータ信号DATA[m]によって駆動電流を発生し,発生された駆動電流は有機電界発光素子OLEDに流れ,有機電界発光素子OLEDは発光動作を開始する。
【0099】
しかし,有機電界発光装置が映像を表示する以前に有機電界発光素子OLEDの不良有無を検出しようとするか,あるいは非表示期間の間に有機電界発光素子OLEDの不良有無を検出しようとする場合,第1逆バイアストランジスタMR1および第2逆バイアストランジスタMR2はターンオンされる。したがって,ターンオンされた第1逆バイアストランジスタMR1および第2逆バイアストランジスタMR2を介して有機電界発光素子OLEDには逆バイアスが印加される。すなわち,有機電界発光素子OLEDのアノード電極には逆バイアス電源Vrが印加され,画素駆動部501は駆動電流を発生しない。
【0100】
逆バイアスが印加される場合,有機電界発光素子OLEDのアノード電極とカソード電極との間の電圧差は−14V〜−10Vが維持されるようにする。この−14V〜−10Vの電圧差は,OLEDに逆バイアスを印加する際に,発生する漏洩電流を確認するためのものである。逆バイアスが極端に小さい場合には漏洩電流を確認することが難しく,逆バイアスがあまりにも大きいと,正常なOLEDが破壊される恐れがある。望ましくは,有機電界発光素子OLEDのアノード電極とカソード電極との間の電圧差はおよそ−12Vである。この−12Vの電圧差は,電源の電圧およびOLEDの特性を反映させて設定した値である。
【0101】
また,実施の形態によって,画素駆動部501は,発光制御信号が入力されて,発光制御信号に応じて駆動電流を有機電界発光素子OLEDに供給することができる。
【0102】
図6aおよび図6bは本発明の第3の実施形態よる有機電界発光装置の回路を示す説明図である。
【0103】
図6aに示すように,有機電界発光装置は,画素駆動部601,有機電界発光素子OLED,第1逆バイアストランジスタMR1,および第2逆バイアストランジスタMR2を有する。
【0104】
画素駆動部601は,正の電源電圧ELVDDを供給する第1電源ライン607と有機電界発光素子OLEDとの間に連結され,スイッチングトランジスタM51,キャパシタC5,および駆動トランジスタM52を有する。図6aに示す画素駆動部601の構成および動作は,図2aに基づいて説明したものと同一である。したがって,走査ライン603を介して走査信号SCAN[n](nは1以上の整数)が活性化され,データライン605を介してデータ電圧Vdataが印加されると,キャパシタC5にはデータ電圧Vdataが格納される。
【0105】
有機電界発光素子OLEDは,画素駆動部601の駆動トランジスタM52と第2電源ライン609との間に連結される。有機電界発光素子OLEDが正常の発光動作を行う場合,第2電源ライン609には負の電源電圧ELVSSが印加され,画素駆動部601に格納されたデータ電圧Vdataに相応する駆動電流によって有機電界発光素子OLEDは発光動作を開始する。
【0106】
第1逆バイアストランジスタMR1は,データライン605と有機電界発光素子OLEDのアノード電極との間に連結され,第2逆バイアストランジスタMR2はデータライン605と逆バイアス電源Vrとの間に連結される。
【0107】
有機電界発光素子OLEDが正常の発光動作を行う場合,逆バイアス制御信号Vctlはハイレベルを維持し,第1逆バイアストランジスタMR1および第2逆バイアストランジスタMR2はオフ状態を維持する。したがって,逆バイアス電源Vrと有機電界発光素子OLEDとの間の電気的連結は遮断され,走査信号SCAN[n]およびデータ電圧Vdataによって有機電界発光素子OLEDは発光動作を行う。
【0108】
有機電界発光装置が映像を表示する以前に有機電界発光素子OLEDの不良有無を検出しようとするか,あるいは非表示期間の間に有機電界発光素子OLEDの不良有無を検出しようとする場合,逆バイアス制御信号Vctlに応じて第1逆バイアストランジスタMR1および第2逆バイアストランジスタMR2はターンオンされる。また,画素駆動部601は駆動電流を発生しない。逆バイアストランジスタのターンオンによって,有機電界発光素子OLEDのアノード電極には逆バイアス電源Vrが印加され,有機電界発光素子OLEDには逆バイアスが印加される。
【0109】
図6bに示すように,有機電界発光装置は,画素駆動部611,有機電界発光素子OLED,第1逆バイアストランジスタMR1,および第2逆バイアストランジスタMR2を有する。
【0110】
画素駆動部611は,図2bに示す画素駆動部とその構成および動作が同一である。したがって,有機電界発光素子OLEDが発光動作を行う場合,走査ライン613を介して走査信号SCAN[n](nは1以上の整数)が印加され,第1スイッチングトランジスタM61および第2スイッチングトランジスタM63はターンオンされる。また,データライン615で流れるデータ電流Idataに相応する駆動トランジスタM62のVgsはキャパシタC6に格納される。また,発光制御信号EMI[n]の活性化によって,発光制御トランジスタM64はターンオンされ,有機電界発光素子OLEDの発光動作が行われる。
【0111】
有機電界発光装置が発光動作を行う以前に有機電界発光素子OLEDの不良有無を確認するか,非表示期間の間に有機電界発光素子OLEDの不良有無を確認しようとする場合,画素駆動部611は駆動電流を発生しない。また,逆バイアス制御信号Vctlに応じて第1逆バイアストランジスタMR1および第2逆バイアストランジスタMR2はターンオンされ,有機電界発光素子OLEDのアノード電極には逆バイアス電源Vrが印加される。よって,有機電界発光素子OLEDには逆バイアスが印加される。
【0112】
(第4の実施形態)
図7は本発明の第4の実施形態による有機電界発光装置を示すブロック図である。
【0113】
図7に示すように,本実施形態による有機電界発光装置は,初期化動作を行ってデータ信号DATA[m](mは1以上の整数)に相応する駆動電流を発生するための画素駆動部701,画素駆動部701から発生した駆動電流によって発光動作を行うための有機電界発光素子OLED,および初期化ライン709を介して有機電界発光素子OLEDに逆バイアスを印加するための逆バイアストランジスタMRを有する。
【0114】
画素駆動部701は正の電源電圧ELVDDを供給する第1電源ライン707と有機電界発光素子OLEDのアノード電極との間に連結される。有機電界発光素子OLEDが発光動作を行う場合,画素駆動部701には,1つ前の走査信号SCAN[n−1](nは2以上の整数)が活性化されて印加され,初期化ライン709を介して初期化信号Vinitが印加される。また,現在の走査ライン703を介して現在の走査信号SCAN[n]が画素駆動部701に印加される。活性化された現在の走査信号SCAN[n]に応じてデータ信号DATA[m]は画素駆動部701に入力され,データライン705を介して入力されたデータ信号DATA[m]は画素駆動部701のキャパシタ(図示せず)に格納される。続いて,発光制御信号EMI[n]が活性化されると,画素駆動部701から発生した駆動電流は有機電界発光素子OLEDに流れ,有機電界発光素子OLEDは発光動作を開始する。
【0115】
有機電界発光素子OLEDは,画素駆動部701と負の電源電圧ELVSSを供給する第2電源ライン708との間に連結される。有機電界発光素子OLEDのアノード電極は画素駆動部701に連結され,有機電界発光素子OLEDのカソード電極は第2電源ライン708に連結される。
【0116】
逆バイアストランジスタMRは,初期化ライン709と有機電界発光素子OLEDのアノード電極との間に連結される。また,逆バイアストランジスタMRのゲート端子には逆バイアス制御信号Vctlが印加される。
【0117】
有機電界発光装置が発光動作を行う場合,逆バイアス制御信号Vctlはハイレベルを維持し,逆バイアストランジスタMRはオフ状態を維持する。したがって,初期化ライン709と有機電界発光素子OLEDとの間の電気的連結は遮断される。また,1つ前の走査信号SCAN[n−1]および現在の走査信号SCAN[n]が連続して入力され,画素駆動部701はデータ信号DATA[m]を格納し,画素駆動部701から発生した駆動電流は発光制御信号EMI[n]に応じて有機電界発光素子OLEDに流れる。駆動電流によって有機電界発光素子OLEDは発光動作を行う。
【0118】
有機電界発光装置が発光動作を行う以前に,または非表示期間の間に有機電界発光素子OLEDの不良有無を確認する場合,逆バイアス制御信号Vctlはローレベルで活性化され,逆バイアストランジスタMRはターンオンされる。また,画素駆動部701は駆動電流を発生しない。ターンオンされた逆バイアストランジスタMRによって,有機電界発光素子OLEDのアノード電極は初期化ライン709と電気的に連結される。初期化ライン709を介して逆バイアスが印加されると,有機電界発光素子OLEDには逆バイアスが印加される。有機電界発光素子OLEDのアノード電極とカソード電極との間の電圧差は−14V〜−10Vが維持されるようにする。この−14V〜−10Vの電圧差は,OLEDに逆バイアスを印加する際に,発生する漏洩電流を確認するためのものである。逆バイアスが極端に小さい場合には漏洩電流を確認することが難しく,逆バイアスがあまりにも大きいと,正常なOLEDが破壊される恐れがある。望ましくは,有機電界発光素子OLEDのアノード電極とカソード電極との間の電圧差はおよそ−12Vである。この−12Vの電圧差は,電源の電圧およびOLEDの特性を反映させて設定した値である。
【0119】
すなわち,有機電界発光素子OLEDが所定の原因によって特性不良を起こす場合,逆バイアスが印加された有機電界発光素子OLEDには漏洩電流が流れることになるので,有機電界発光素子の不良有無が検出される。
【0120】
図8aおよび図8bは本発明の第4の実施形態による有機電界発光装置の回路を示す説明図である。
【0121】
図8aに示すように,有機電界発光装置は,画素駆動部801,有機電界発光素子OLED,および逆バイアストランジスタMRを有する。
【0122】
画素駆動部801は,初期化トランジスタM71,スイッチングトランジスタM72,補償トランジスタM73,駆動トランジスタM74,キャパシタC7,および発光制御トランジスタM75を有する。
【0123】
初期化トランジスタM71は初期化ライン809と補償トランジスタM73との間に連結される。初期化トランジスタM71は,1つ前の走査信号SCAN[n−1](nは2以上の整数)によってオン/オフ動作を行い,ターンオンされた場合,初期化ライン809を介して受信される初期化信号VinitをキャパシタC7に伝達する。
【0124】
スイッチングトランジスタM72はデータライン805と補償トランジスタM73との間に連結される。また,スイッチングトランジスタM72は,現在の走査ライン803を介して受信される現在の走査信号SCAN[n]に応じてオン/オフ動作を行う。スイッチングトランジスタM72がターンオンされた場合,データライン805を介して伝送されるデータ電圧Vdataは補償トランジスタM73に印加される。
【0125】
補償トランジスタM73は,スイッチングトランジスタM72と初期化トランジスタM71との間に連結される。補償トランジスタM73は駆動トランジスタM74が有するスレッショルド電圧を補償する。また,補償トランジスタM73は,ゲート電極とドレイン電極が電気的に連結されたダイオード構造を有する。スイッチングトランジスタM72のターンオンによってデータ電圧Vdataが補償トランジスタM73に印加され,補償トランジスタM73のスレッショルド電圧をVth1とすると,ダイオード連結された構造によって,補償トランジスタM73のゲート端子に印加される電圧はVdata−|Vth1|である。
【0126】
キャパシタC7は,正の電源電圧ELVDDを供給する第1電源ライン807と補償トランジスタM73のゲート端子との間に連結される。スイッチングトランジスタM71がターンオンされた場合,補償トランジスタM73のゲート端子に印加される電圧Vdata−|Vth1|は,キャパシタC7に格納される。すなわち,キャパシタC7はELVDD−(Vdata−|Vth1|)の電圧差を格納する。
【0127】
駆動トランジスタM74は第1電源ライン807と発光制御トランジスタM75との間に連結され,駆動トランジスタM74のゲート端子は補償トランジスタM73のゲート端子およびキャパシタC7の一側端子に共通して連結される。駆動トランジスタM74は,キャパシタC7の両端に印加された電圧差ELVDD−(Vdata−|Vth1|)に相応する駆動電流を形成する。駆動トランジスタM74のスレッショルド電圧をVth2,駆動トランジスタM74のゲート電圧を基準としたソース−ゲート間の電圧差をVsgとすると,駆動電流は(Vsg−|Vth2|)2に比例する。したがって,駆動電流Iは次の数1によって求められる。
【0128】
【数1】
【0129】
発光制御トランジスタM75は,駆動トランジスタM74と有機電界発光素子OLEDとの間に連結される。また,発光制御トランジスタM75のゲート端子には発光制御信号EMI[n]が印加される。発光制御信号EMI[n]がローレベルで活性化される場合,駆動トランジスタM74から発生した駆動電流は有機電界発光素子OLEDに流れ,有機電界発光素子OLEDは発光動作を開始する。
【0130】
有機電界発光素子OLEDは発光制御トランジスタM75と負の電源電圧ELVSSを供給する第2電源ライン808との間に連結される。発光制御トランジスタM75のターンオンによって有機電界発光素子OLEDは発光動作を行う。また,逆バイアストランジスタMRがターンオンされる場合,有機電界発光素子OLEDには逆バイアスが印加される。
【0131】
逆バイアストランジスタMRは有機電界発光素子OLEDのアノード電極と初期化ライン809との間に連結される。また,逆バイアストランジスタMRのゲート端子には逆バイアス制御信号Vctlが印加される。
【0132】
有機電界発光装置が映像を表示するために発光動作を行う場合,逆バイアストランジスタMRは逆バイアス制御信号Vctlに応じてオフ状態を維持する。
【0133】
しかし,有機電界発光装置が発光動作を行う以前に,または非表示区間で有機電界発光素子OLEDの不良有無を確認する場合に,逆バイアス制御信号Vctlに応じて逆バイアストランジスタMRはターンオンされる。また,画素駆動部801は駆動電流を発生しない。逆バイアストランジスタMRがターンオンされた場合,有機電界発光素子OLEDのアノード電極と初期化ライン809との間には電気的連結がなされ,有機電界発光素子OLEDには逆バイアスが印加される。逆バイアスの印加は,第2電源ライン808に負の電源電圧ELVSSより高い電圧を印加し,初期化ライン809に初期化信号Vinitより低い電圧を印加することにより達成される。
【0134】
図8bに示すように,有機電界発光装置は,画素駆動部811,有機電界発光素子OLED,および逆バイアストランジスタMRを有する。
【0135】
画素駆動部811は,初期化トランジスタM81,第1スイッチングトランジスタM82,第2スイッチングトランジスタM83,駆動トランジスタM84,第3スイッチングトランジスタM85,キャパシタC8,および発光制御トランジスタM86を有する。
【0136】
初期化トランジスタM81は,初期化ライン819とキャパシタC8との間に連結される。初期化トランジスタM81は,1つ前の走査信号SCAN[n−1](nは2以上の整数)に応じてオン/オフ動作を行い,ターンオンされた場合,初期化ライン819を介して受信される初期化信号VinitをキャパシタC8に伝達する。
【0137】
第1スイッチングトランジスタM82は,データライン815と駆動トランジスタM84との間に連結される。現在の走査ライン813を介して現在の走査信号SCAN[n]がローレベルで活性化されると,第1スイッチングトランジスタM82はターンオンされ,データライン815上のデータ電圧Vdataは駆動トランジスタM84に印加される。
【0138】
第2スイッチングトランジスタM83は,発光制御トランジスタM86と駆動トランジスタM84のゲート端子との間に連結される。第2スイッチングトランジスタM83は現在の走査信号SCAN[n]に応じてオン/オフ動作を行う。よって,現在の走査信号SCAN[n]によって第2スイッチングトランジスタM83がターンオンされた場合,駆動トランジスタM84のゲート端子とドレイン端子は電気的に短絡される構造を有する。
【0139】
駆動トランジスタM84は,第1スイッチングトランジスタM82と発光制御トランジスタM86との間に連結される。駆動トランジスタM84は,現在の走査信号SCAN[n]がローレベルで活性化されると,第2スイッチングトランジスタM83のターンオンによってダイオード連結されたトランジスタとなる。また,第1スイッチング素子を介してデータ電圧Vdataが印加されるので,駆動トランジスタM84のスレッショルド電圧をVthとすると,駆動トランジスタM84のゲート端子電圧はVdata−|Vth|となる。したがって,キャパシタC8の一側端子にはVdata−|Vth|の電圧が印加される。
【0140】
第3スイッチングトランジスタM85は,第1スイッチングトランジスタM82および駆動トランジスタM84が共通して連結されたノードと正の電源電圧ELVDDを供給する第1電源ライン817との間に連結される。また,第3スイッチングトランジスタM85のゲート端子には発光制御信号EMI[n]が入力される。したがって,第3スイッチングトランジスタM85は発光制御信号EMI[n]に応じてオン/オフ動作を行う。第3スイッチングトランジスタM85がターンオンされた場合,第1電源ライン817から供給される正の電源電圧ELVDDは駆動トランジスタM84に印加され,駆動トランジスタは駆動電流を発生する。
【0141】
キャパシタC8は,第1電源ライン817と初期化トランジスタM81との間に連結される。また,キャパシタC8は駆動トランジスタM84のゲート端子にも連結される。現在の走査信号SCAN[n]がローレベルで活性化された場合,第2スイッチングトランジスタM83のターンオン動作によって,駆動トランジスタM84はダイオード連結された構造を有し,第1スイッチングトランジスタM82のターンオン動作によって,データライン815上のデータ電圧Vdataは駆動トランジスタM84に印加される。したがって,駆動トランジスタM84のゲート端子およびキャパシタC8の一側端子にはVdata−|Vth|が印加される。すなわち,現在の走査信号SCAN[n]が印加されるうちに,キャパシタC8はELVDD−(Vdata−|Vth|)の電圧差を格納する。
【0142】
発光制御トランジスタM86は,駆動トランジスタM84と有機電界発光素子OLEDとの間に連結される。また,発光制御トランジスタM86のゲート端子には,発光制御信号EMI[n]が印加される。すなわち,発光制御信号EMI[n]は第3スイッチングトランジスタM85と発光制御トランジスタM86のゲート端子に共通に印加される。発光制御信号EMI[n]がローレベルで活性化される場合,第3スイッチングトランジスタM85および発光制御トランジスタM86はターンオンされる。第3スイッチングトランジスタM85のターンオンによって正の電源電圧ELVDDは駆動トランジスタM84に印加され,駆動トランジスタM84はスレッショルド電圧を補償しつつ,データ電圧Vdataに相応する駆動電流を生成する。駆動トランジスタM84から発生した駆動電流は,発光制御トランジスタM86を介して有機電界発光素子OLEDに流れ,有機電界発光素子OLEDは発光動作を開始する。
【0143】
有機電界発光素子OLEDは,発光制御トランジスタM86と負の電源電圧ELVSSを供給する第2電源ライン818との間に連結される。有機電界発光素子OLEDのアノード電極は,発光制御トランジスタM86および逆バイアストランジスタMRに連結され,有機電界発光素子OLEDのカソード電極は,負の電源電圧ELVSSを供給する第2電源ライン818に連結される。
【0144】
逆バイアストランジスタMRは,初期化ライン819と有機電界発光素子OLEDのアノード電極との間に連結される。また,逆バイアストランジスタMRのゲート端子には逆バイアス制御信号Vctlが印加される。したがって,逆バイアストランジスタMRは逆バイアス制御信号Vctlに応じてオン/オフ動作を行う。
【0145】
有機電界発光装置が映像を表示する場合,逆バイアストランジスタはオフ状態を維持する。よって,初期化ライン819と有機電界発光素子OLEDとの間の電気的連結は遮断された状態となる。すなわち,有機電界発光素子OLEDには逆バイアスが印加されずに,キャパシタの初期化,データ電圧Vdataの格納および発光動作を順次行う。
【0146】
有機電界発光装置が映像を表示する以前に,または非表示期間の間に有機電界発光素子OLEDの不良の有無を検出しようとする場合に,逆バイアストランジスタMRはターンオンされる。また,画素駆動部811は駆動電流を発生しない。逆バイアストランジスタMRのターンオンによって,初期化ライン819と有機電界発光素子OLEDのアノード電極との間には電気的経路が形成され,有機電界発光素子OLEDには逆バイアスが印加される。逆バイアスの印加は,第2電源ライン818に負の電源電圧ELVSSより高い電圧を印加し,初期化ライン819に初期化信号Vinitより低い電圧を印加することにより,達成される。
【0147】
したがって,上述した実施形態によれば,映像を表示する動作が行われる以前に,または非表示期間の間に,逆バイアストランジスタを用いて有機電界発光素子OLEDに逆バイアスを印加する。有機電界発光素子OLEDが所定の原因によって特性不良を起こす場合,逆バイアスが印加された有機電界発光素子OLEDには漏洩電流が流れることになるので,有機電界発光素子の不良の有無が検出される。
【0148】
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0149】
本発明は,有機電界発光素子に逆バイアスを印加するための有機電界発光装置に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0150】
【図1】本発明の第1実施形態による有機電界発光装置を示すブロック図である。
【図2a】本発明の第1実施形態による有機電界発光装置の回路を示す説明図である。
【図2b】本発明の第1実施形態による有機電界発光装置の回路を示す説明図である。
【図3】本発明の第2実施形態による有機電界発光装置を示すブロック図である。
【図4a】本発明の第2実施形態よる有機電界発光装置の回路を示す説明図である。
【図4b】本発明の第2実施形態よる有機電界発光装置の回路を示す説明図である。
【図5】本発明の第3実施形態による有機電界発光装置を示すブロック図である。
【図6a】本発明の第3実施形態よる有機電界発光装置の回路を示す説明図である。
【図6b】本発明の第3実施形態よる有機電界発光装置の回路を示す説明図である。
【図7】本発明の第4実施形態による有機電界発光装置を示すブロック図である。
【図8a】本発明の第4実施形態よる有機電界発光装置の回路を示す説明図である。
【図8b】本発明の第4実施形態よる有機電界発光装置の回路を示す説明図である。
【符号の説明】
【0151】
101,301,501,701 画素駆動部
103,303,503 走査ライン
105,305,505,705 データライン
107,307,507,707 第1電源ライン
109,309,509,708 第2電源ライン
709,809,819 初期化ライン
OLED 有機電界発光素子
MR 逆バイアストランジスタ
ELVDD 正の電源電圧
ELVSS 負の電源電圧
Vr 逆バイアス電源
Vctl 逆バイアス制御信号
【技術分野】
【0001】
本発明は有機電界発光装置に係り,より詳しくはそれぞれの画素に設けられた有機電界発光素子に逆バイアスを印加するための画素回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機電界発光装置は,自発光動作を行う有機電界発光素子にデータ信号を供給して所定の映像を表示するディスプレイ装置であり,駆動方式によって,受動(Passive Matrix)型と能動(Active Matrix)型に分けられる。
【0003】
受動型は,画面表示領域に陽極と陰極をマトリックス方式で交差配置し,陽極と陰極が交差する部位に画素を形成する方式である。
【0004】
これに対し,能動型は,各画素に薄膜トランジスタを配置し,それぞれの画素を薄膜トランジスタで制御する。
【0005】
能動型と受動型の最大の違いは,有機電界発光装置の発光時間の差にある。すなわち,受動型の場合,瞬間的に有機発光層を高輝度で発光させるが,能動型の場合,有機発光層を低輝度で続いて発光させる。
【0006】
受動型の場合,解像度が高くなれば,瞬間発光輝度が高くならなければならない。また,高輝度の光を出すため,有機電界発光装置の劣化に大きい影響を及ぼすことになる。これに対し,能動型の場合,薄膜トランジスタを用いて駆動し,一フレームの間,画素で継続して光を発するので,低電流で駆動が可能である。よって,能動型の方が受動型に比べて寄生キャパシタンスが少なく,電力の消費量が少ない利点を有する。
【0007】
しかし,能動型は輝度不均一の欠点を有する。能動型は,能動素子として能動LTPS(Low Temperature Poly Silicon)薄膜トランジスタを使用する場合が大部分を占める。LTPS薄膜トランジスタは,低温状態で形成された非晶質シリコンをレーザーにより決定化する。このとき,決定化によってトランジスタの特性が変わる。すなわち,トランジスタのスレッショルド電圧などが画素別に一定でない特性不均一が発生する。したがって,同一画面信号に対し,それぞれの画素は相違なる輝度を表し,これを画面全体的に見ると,輝度の不均一として見えることになる。このような輝度不均一の問題を解決するために多様な試みがなされている。
【0008】
輝度不均一の問題は駆動トランジスタの特性を補償する方法で解決する。駆動トランジスタの特性を補償する方法は,駆動方式によって,大きく2種に分けられる。すなわち,電圧書き込み方式を用いる方法,電流書き込み方式を用いる方法がある。
【0009】
電圧書き込み方式を用いる方法は,駆動トランジスタのスレッショルド電圧をキャパシタに格納し,格納された駆動トランジスタのスレッショルド電圧を補償する方法である。
【0010】
電流書き込み方式を用いる方法は,映像信号を電流で供給し,映像信号電流に相応する駆動トランジスタのソース−ゲート間の電圧差をキャパシタに格納する。その後,駆動トランジスタを電圧源に連結して,映像信号電流と同一電流が駆動トランジスタに流れるようにする。すなわち,駆動トランジスタの素子特性差にかかわらずに,有機発光層に印加される電流の値は映像信号として入る電流の値となる。よって,輝度の不均一性が改善される。
【0011】
ただ,上述した輝度の不均一現象を改善する方法は,有機発光層を有する有機電界発光素子が正常である状況を前提とするものである。製造工程で有機発光層がピンホール(Pin Hole)などの欠陥を有する場合,駆動トランジスタの特性差を補償するとしても,有機電界発光装置は正常な発光を行うことができなくなる。
【0012】
有機電界発光素子が欠陥を有する場合,これを確認する方法は,有機電界発光装置を正常に動作させて,表示される画面を観察する方法を用いる。しかし,このような方法は,有機電界発光素子が有する進行性不良を感知することができないし,画素を構成する多数のトランジスタを動作させなければならない負担を有する。
【0013】
したがって,有機電界発光装置には,画面を表示しないで,電気的に有機電界発光素子の正常動作を確認することができる有機電界発光装置が要求されると言える。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
そこで,本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので,本発明の目的は,有機電界発光素子に逆バイアスを印加するための有機電界発光装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために,本発明のある観点によれば,走査ラインとデータラインが交差する領域に形成された有機電界発光装置において,第1電源ラインに連結され,前記走査ラインから走査信号を受け,前記データラインから受信されたデータ信号に相応する駆動電流を形成するための画素駆動部と;前記画素駆動部と第2電源ラインとの間に連結され,前記駆動電流によって発光動作を行うための有機電界発光素子と;前記有機電界発光素子のアノード電極と逆バイアス電源との間に連結された逆バイアストランジスタと;を含むことを特徴とする有機電界発光装置が提供される。
【0016】
上記逆バイアストランジスタは,逆バイアス制御信号に応じてオン/オフ動作を行い,上記逆バイアストランジスタがターンオンされた場合,上記画素駆動部は駆動電流を発生しないようにしてもよい。
【0017】
上記逆バイアストランジスタがターンオンされた場合,上記有機電界発光素子には逆バイアスが印加されるようにしてもよい。
【0018】
上記有機電界発光素子のアノード電極とカソード電極との間の逆バイアス電圧差は−14V〜−10Vであるようにしてもよい。ここで,Vは電位(Volt)を表す。
【0019】
上記画素駆動部は,上記データラインに連結され,走査信号に応答してオン/オフ動作を行うスイッチングトランジスタと,スイッチングトランジスタに連結され,スイッチングトランジスタを介して受信される上記データ信号を格納するキャパシタと,スイッチングトランジスタと上記第1電源ラインに連結され,上記キャパシタに格納された上記データ信号に相応する上記駆動電流を発生する駆動トランジスタと,を含んでいてもよい。
【0020】
上記データ信号は電圧で表してもよい。
【0021】
上記画素駆動部は,上記駆動トランジスタと上記有機電界発光素子との間に連結され,発光制御信号に応じてオン/オフ動作を行う発光制御トランジスタをさらに含んでいてもよい。
【0022】
上記画素駆動部は,上記データラインに連結され,上記走査信号に応じてオン/オフ動作を行う第1スイッチングトランジスタと,第1スイッチングトランジスタと上記第1電源ラインとの間に連結され,データ電流に相応する電圧を格納するキャパシタと,第1スイッチングトランジスタと上記第1電源ラインに連結され,上記キャパシタに格納された電圧に相応する駆動電流を発生する駆動トランジスタと,駆動トランジスタと上記データラインとの間に連結され,上記走査信号に応じて上記データ電流を上記データラインに供給する第2スイッチングトランジスタと,駆動トランジスタと上記有機電界発光素子との間に連結され,発光制御信号に応じて駆動電流を上記有機電界発光素子に供給する発光制御トランジスタと,を含んでいてもよい。
【0023】
また,上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,第1電源ラインに連結され,走査ラインを介して走査信号を受け,データラインから受信されるデータ信号に相応する駆動電流を形成するための画素駆動部と,前記画素駆動部と第2電源ラインとの間に連結され,前記駆動電流によって発光動作を行うための有機電界発光素子と,前記有機電界発光素子のアノード電極と前記第1電源ラインとの間に連結され,前記有機電界発光素子に逆バイアスを印加するための逆バイアストランジスタと,を含むことを特徴とする,有機電界発光装置が提供される。
【0024】
上記逆バイアストランジスタは逆バイアス制御信号に応じてオン/オフ動作を行い,上記逆バイアストランジスタがターンオンされた場合,上記画素駆動部は駆動電流を発生しないようにしてもよい。
【0025】
上記逆バイアストランジスタがターンオンされた場合,上記有機電界発光素子には逆バイアスが印加されるようにしてもよい。
【0026】
上記有機電界発光素子のアノード電極とカソード電極との間の逆バイアス電圧差は−14V〜−10Vであるようにしてもよい。
【0027】
また,上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,第1電源ラインに連結され,走査ラインを介して走査信号を受け,データラインから受信されるデータ信号に相応する駆動電流を形成するための画素駆動部と;前記画素駆動部と第2電源ラインとの間に連結され,前記駆動電流によって発光動作を行うための有機電界発光素子と;前記有機電界発光素子のアノードと前記データラインとの間に連結され,前記有機電界発光素子に逆バイアスを印加するための第1逆バイアストランジスタと;前記データラインと逆バイアス電源との間に連結され,前記第1逆バイアストランジスタに前記逆バイアスを供給するための第2逆バイアストランジスタと;を含むことを特徴とする,有機電界発光装置が提供される。
【0028】
上記第1逆バイアストランジスタおよび上記第2逆バイアストランジスタは逆バイアス制御信号に応じてオン/オフ動作を行い,上記第1逆バイアストランジスタおよび上記第2逆バイアストランジスタがターンオンされた場合,上記画素駆動部は駆動電流を発生しないようにしてもよい。
【0029】
上記第1逆バイアストランジスタおよび上記第2逆バイアストランジスタがターンオンされた場合,上記逆バイアス電源から上記有機電界発光素子に逆バイアスが印加されるようにしてもよい。
【0030】
上記有機電界発光素子のアノード電極とカソード電極との間の逆バイアス電圧差は−14V〜−10Vであるようにしてもよい。
【0031】
上記画素駆動部は,上記データラインに連結され,走査信号に応答してオン/オフ動作を行うスイッチングトランジスタと,スイッチングトランジスタに連結され,スイッチングトランジスタを介して受信される上記データ信号を格納するキャパシタと,スイッチングトランジスタと上記第1電源ラインに連結され,キャパシタに格納された上記データ信号に相応する上記駆動電流を発生する駆動トランジスタと,を含んでいてもよい。
【0032】
上記データ信号は電圧で表してもよい。
【0033】
上記画素駆動部は,上記駆動トランジスタと上記有機電界発光素子との間に連結され,発光制御信号に応じてオン/オフ動作を行う発光制御トランジスタをさらに含んでいてもよい。
【0034】
上記画素駆動部は,上記データラインに連結され,上記走査信号に応じてオン/オフ動作を行う第1スイッチングトランジスタと,第1スイッチングトランジスタと上記第1電源ラインとの間に連結され,データ電流に相応する電圧を格納するキャパシタと,第1スイッチングトランジスタと上記第1電源ラインに連結され,キャパシタに格納された電圧に相応する駆動電流を発生する駆動トランジスタと,駆動トランジスタと上記データラインとの間に連結され,上記走査信号に応じて上記データ電流を上記データラインに供給する第2スイッチングトランジスタと,駆動トランジスタと上記有機電界発光素子との間に連結され,発光制御信号に応じて上記駆動電流を上記有機電界発光素子に供給する発光制御トランジスタと,を含んでいてもよい。
【0035】
また,上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,第1電源ラインに連結され,1つ前の走査信号の制御によって,初期化ラインを介して初期化信号を受け,現在の走査信号に応じてデータラインからデータ信号を受信し,受信されるデータ信号に相応する駆動電流を形成するための画素駆動部と;前記画素駆動部と第2電源ラインとの間に連結され,前記駆動電流によって発光動作を行うための有機電界発光素子と;前記初期化ラインと前記有機電界発光素子のアノード電極との間に連結され,前記有機電界発光素子に逆バイアスを印加するための逆バイアストランジスタと;を含むことを特徴とする,有機電界発光装置が提供される。
【0036】
上記逆バイアストランジスタは逆バイアス制御信号に応じてオン/オフ動作を行い,上記逆バイアストランジスタがターンオンされた場合,上記画素駆動部は駆動電流を発生しないようにしてもよい。
【0037】
上記逆バイアストランジスタがターンオンされた場合,上記有機電界発光素子には上記初期化ラインを介して逆バイアスが印加されるようにしてもよい。
【0038】
上記有機電界発光素子のアノード電極とカソード電極との間の逆バイアス電圧差は−14V〜−10Vであるようにしてもよい。
【0039】
上記画素駆動部は,上記初期化ラインに連結され,上記1つ前の走査信号に応じて初期化信号を受信する初期化トランジスタと,上記データラインに連結され,上記現在の走査信号に応じて上記データラインからデータ信号を受信する第1スイッチングトランジスタと,第1スイッチングトランジスタと初期化トランジスタとの間に連結され,ダイオード連結された構造を有し,スレッショルド電圧を補償する補償トランジスタと,補償トランジスタと上記第1電源ラインとの間に連結され,上記初期化信号を受信して初期化動作を行うか,または第1スイッチングトランジスタおよび補償トランジスタを介して伝達されるデータ信号を格納するキャパシタと,上記第1電源ラインに連結され,キャパシタに格納された上記データ信号に相応する上記駆動電流を発生する駆動トランジスタと,駆動トランジスタと上記有機電界発光素子との間に連結され,発光制御信号に応じて上記駆動電流を上記有機電界発光素子に供給する発光制御トランジスタと,を含んでいてもよい。
【0040】
上記画素駆動部は,上記初期化ラインに連結され,上記1つ前の走査信号に応じて初期化信号を受信する初期化トランジスタと,上記データラインに連結され,上記現在の走査信号に応じて上記データラインからデータ信号を受信する第1スイッチングトランジスタと,第1スイッチングトランジスタに連結され,上記データ信号に相応する駆動電流を発生する駆動トランジスタと,駆動トランジスタのゲート端子とドレイン端子との間に連結され,上記現在の走査信号に応じてオン/オフ動作を行う第2スイッチングトランジスタと,駆動トランジスタと上記第1電源ラインとの間に連結され,発光制御信号に応じてオン/オフ動作を行う第3スイッチングトランジスタと,上記第1電源ラインと初期化トランジスタとの間に連結され,初期化信号に応じて初期化動作を行い,駆動トランジスタの駆動電流形成に要求されるデータ信号を格納するキャパシタと,駆動トランジスタと上記有機電界発光素子との間に連結され,発光制御信号に応じて駆動電流を上記有機電界発光素子に供給する発光制御トランジスタと,を含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0041】
このような本発明によれば,映像を表示し,表示される映像信号を観察して有機電界発光素子の正常動作を確認する方法ではなく,有機電界発光装置に逆バイアスを印加して,逆バイアスが印加された状態で有機電界発光素子で発生する漏洩電流を検出して有機電界発光素子の正常動作を確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下に添付図面を参照しながら,本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書及び図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0043】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態による有機電界発光装置を示すブロック図である。
【0044】
図1に示すように,本実施形態による有機電界発光装置は,画素駆動部101,有機電界発光素子OLED,および逆バイアストランジスタMRを有する。
【0045】
画素駆動部101は,複数のトランジスタおよびキャパシタ(図示せず)からなる。また,画素駆動部101は,走査ライン103とデータライン105が交差する領域に形成される。走査ライン103から供給される走査信号SCAN[n](nは1以上の整数)が活性化されると,画素駆動部101は選択され,選択された画素駆動部101にデータ信号DATA[m](mは1以上の整数)が印加される。データ信号DATA[m]は,データライン105を介して画素駆動部101に印加される。画素駆動部101に印加されたデータ信号DATA[m]は,画素駆動部101に設けられたキャパシタに電圧の形態として格納される。また,データ信号DATA[m]は電圧の形態として画素駆動部101に印加されることができ,電流の形態として画素駆動部101に印加されるか,あるいは所定の電流を画素駆動部101からシンク(sink)する形態となることができる。
【0046】
また,画素駆動部101は,正の電源電圧ELVDDを供給する第1電源ライン107に連結される。画素駆動部101は,第1電源ライン107を介して,駆動電流の発生に必要な電力を受ける。
【0047】
また,画素駆動部101は,発光制御信号を受信して,駆動電流が有機電界発光素子OLEDに印加されることを制御することができる。
【0048】
有機電界発光素子OLEDは,画素駆動部101と負の電源電圧ELVSSを供給する第2電源ライン109との間に連結される。有機電界発光素子OLEDは,画素駆動部101に供給されたデータ信号DATA[m]に相応する駆動電流を受けて所定の輝度で発光する。
【0049】
逆バイアストランジスタMRは,有機電界発光素子OLEDのアノード電極と逆バイアス電源Vrとの間に連結される。また,逆バイアストランジスタMRのゲート端子には逆バイアス制御信号Vctlが印加される。
【0050】
有機電界発光装置にデータ信号DATA[m]が印加されて有機電界発光素子OLEDが発光動作を開始する前または後に,有機電界発光素子OLEDに逆バイアスが印加されることができる。すなわち,有機電界発光装置が映像を表示する時間区間を除いた残り区間である非表示区間で有機電界発光素子OLEDには逆バイアスが印加されることができる。すなわち,非表示区間で逆バイアス制御信号Vctlがローレベルで活性化されると,逆バイアストランジスタMRはターンオンされ,逆バイアストランジスタMRを介して,逆バイアスが有機電界発光素子OLEDのアノード電極に印加される。有機電界発光素子OLEDのアノード電極とカソード電極との間の電圧差は−14V〜−10Vが維持されるようにする。この−14V〜−10Vの電圧差は,OLEDに逆バイアスを印加する際に,発生する漏洩電流を確認するためのものである。逆バイアスが極端に小さい場合には漏洩電流を確認することが難しく,逆バイアスがあまりにも大きいと,正常なOLEDが破壊される恐れがある。望ましくは,有機電界発光素子OLEDのアノード電極とカソード電極との間の電圧差はおよそ−12Vである。この−12Vの電圧差は,電源の電圧およびOLEDの特性を反映させて設定した値である。
【0051】
また,逆バイアス電圧は,有機電界発光装置の正常発光動作が開始される以前に有機電界発光素子OLEDの不良有無を前もって検出するために印加されることもできる。
【0052】
たとえば,有機電界発光素子OLEDが正常特性を有する場合,逆バイアス電圧が印加される有機電界発光素子OLEDで流れる漏洩電流は実質的に0Aである。しかし,有機電界発光素子OLEDが欠陥を有する場合,逆バイアス電圧によって漏洩電流が発生することになる。よって,逆バイアス電圧が印加される漏洩電流によって有機電界発光素子OLEDが正常かどうかを確認することができる。
【0053】
図2aおよび図2bは本発明の第1の実施形態による有機電界発光装置の回路を示す説明図である。
【0054】
図2aに示すように,有機電界発光装置は,画素駆動部201,有機電界発光素子OLED,および逆バイアストランジスタMRを有する。
【0055】
画素駆動部201は,スイッチングトランジスタM11,キャパシタC1,および駆動トランジスタM12を有する。
【0056】
スイッチングトランジスタM11の第1電極はデータライン205に連結され,第2電極は駆動トランジスタM12のゲートに連結される。また,スイッチングトランジスタM11のゲートは走査ライン203に連結される。よって,走査ライン203を介して印加される走査信号SCAN[n]によって,スイッチングトランジスタM11はオン/オフ動作を行う。走査信号SCAN[n]によってスイッチングトランジスタM11がターンオンされる場合,データライン205からのデータ電圧Vdataは駆動トランジスタM12およびキャパシタC1に印加される。
【0057】
キャパシタC1はスイッチングトランジスタM11の第2電極および第1電源ライン207との間に連結される。スイッチングトランジスタM11を介して印加されるデータ電圧VdataはキャパシタC1に格納され,格納されたデータ電圧Vdataによって駆動電流が発生する。
【0058】
駆動トランジスタM12は,第1電源ライン207と有機電界発光素子OLEDとの間に連結される。また,駆動トランジスタM12のゲートはキャパシタC1およびスイッチングトランジスタM11の第2電極に連結される。すなわち,駆動トランジスタM12の第1電極は第1電源ライン207に連結され,駆動トランジスタM12の第2電極は有機電界発光素子OELDのアノード電極に連結される。よって,駆動トランジスタM12のソース−ゲートとの間の電圧差Vgsは,キャパシタC1両端に印加される電圧の差となる。
【0059】
有機電界発光素子OLEDは,画素駆動部201の駆動トランジスタM12の第2電極と負の電源電圧ELVSSが印加される第2電源ライン209との間に連結される。有機電界発光素子OLEDは,画素駆動部201の駆動トランジスタM12から発生した駆動電流によって発光動作を行う。
【0060】
逆バイアストランジスタMRは,逆バイアス電源Vrと有機電界発光素子OELDのアノード電極との間に連結される。逆バイアストランジスタMRのゲート電極には逆バイアス制御信号Vctlが印加される。逆バイアス制御信号Vctlは,有機電界発光素子OLEDが発光動作を行わない区間で逆バイアストランジスタMRをターンオンさせることができる。すなわち,有機電界発光装置が正常の発光動作を開始する以前に,有機電界発光素子OLEDの不良有無を確認するために逆バイアスを印加することができ,垂直同期信号の非表示区間の間に逆バイアスを印加することができる。
【0061】
図2bは,電流書き込み型有機電界発光装置を示す。図2bに示す有機電界発光装置は,データドライバにシンク(sink)されるデータ電流Idataに相応するVgsを画素駆動部211のキャパシタC2に格納し,有機電界発光素子OLEDの発光動作時,データ電流(Idata)と同一の電流が有機電界発光素子OLEDに印加される動作形態を有する。
【0062】
電流書き込み型有機電界発光装置は,画素駆動部211,有機電界発光素子OLED,および逆バイアストランジスタMRを有する。
【0063】
画素駆動部211は,第1スイッチングトランジスタM21,キャパシタC2,駆動トランジスタM22,第2スイッチングトランジスタM23,および発光制御トランジスタM24を有する。
【0064】
第1スイッチングトランジスタM21は,走査ライン213を介して伝送される走査信号SCAN[n](nは1以上の整数)の制御によってオン/オフ動作を行う。また,第1スイッチングトランジスタM21の第1電極はデータライン215に連結され,第1スイッチングトランジスタM21の第2電極はキャパシタC2および駆動トランジスタM22に連結される。
【0065】
キャパシタC2は,正の電源電圧ELVDDを供給する第1電源ライン217と,第1スイッチングトランジスタM21の第2電極との間に配置される。
【0066】
また,駆動トランジスタM22は第1電源ライン217と発光制御トランジスタM24との間に連結され,駆動トランジスタM22のゲートは第1スイッチングトランジスタM21の第2電極およびキャパシタC2に連結される。駆動トランジスタM22の第1電極は第1電源ライン217に連結され,駆動トランジスタM22の第2電極は発光制御トランジスタM24に連結される。
【0067】
第2スイッチングトランジスタM23は走査信号SCAN[n]の制御によってオン/オフ動作を行う。また,第2スイッチングトランジスタM23の第1電極は駆動トランジスタM22の第2電極に連結され,第2スイッチングトランジスタM23の第2電極はデータライン215に連結される。
【0068】
画素駆動部211にデータ電流Idataが書き込まれる場合,走査信号SCAN[n]によって第1スイッチングトランジスタM21および第2スイッチングトランジスタM23はターンオンされる。また,データドライバによってデータ電流Idataはシンクされる。よって,第2スイッチングトランジスタM23を介してデータライン215にデータ電流Idataが流れる。データ電流Idataは,第1電源ライン217および駆動トランジスタM22を介して供給される。よって,キャパシタC2にはデータ電流Idataに相応するVgsが格納される。
【0069】
発光制御トランジスタM24は駆動トランジスタM22と有機電界発光素子OLEDとの間に連結される。発光制御トランジスタM24はゲートに印加される発光制御信号EMI[n]によってオン/オフされ,発光制御トランジスタM24の第1電極は駆動トランジスタM22および第2スイッチングトランジスタM23に連結され,発光制御トランジスタM24の第2電極は有機電界発光素子OLEDのアノード端子に連結される。発光制御信号EMI[n]によって発光制御トランジスタM24がターンオンされる場合,キャパシタC2に電圧形態として格納されたデータ信号Idataは有機電界発光素子OLEDに流れ,有機電界発光素子OLEDは発光動作を開始する。
【0070】
有機電界発光素子OLEDは発光制御トランジスタM24の第2電極と負の電源電圧ELVSSを供給する第2電源ライン219との間に連結され,駆動電流によって発光動作を行う。
【0071】
また,逆バイアストランジスタMRは有機電界発光素子OLEDのアノード電極と逆バイアス電源Vrとの間に連結される。逆バイアストランジスタMRのゲート端子には逆バイアス制御信号Vctlが印加され,逆バイアス制御信号Vctlによって逆バイアストランジスタMRはオン/オフ動作を行う。
【0072】
有機電界発光装置が正常の発光動作を行う以前に,逆バイアストランジスタMRはターンオンされ,有機電界発光素子OLEDに逆バイアスが印加されることにより,有機電界発光素子OLEDの不良有無を確認することができる。また,垂直同期信号が印加される期間の間に,非表示区間でも逆バイアスは有機電界発光素子OLEDに印加されることができる。
【0073】
(第2の実施形態)
図3は本発明の第2の実施形態による有機電界発光装置を示すブロック図である。
【0074】
図3に示すように,本実施形態による有機電界発光装置は,画素駆動部301,有機電界発光素子OLED,および逆バイアストランジスタMRを有する。
【0075】
画素駆動部301は複数のトランジスタおよびキャパシタからなる。また,画素駆動部301は,走査ライン303とデータライン305が交差する領域に形成される。走査ライン303から供給される走査信号SCAN[n](nは1以上の整数)が活性化されると,画素駆動部301は選択され,選択された画素駆動部301にデータ信号DATA[m](mは1以上の整数)が印加される。データ信号DATA[m]はデータライン305を介して画素駆動部301に印加される。画素駆動部301に印加されたデータ信号DATA[m]は,画素駆動部301に設けられたキャパシタ(図示せず)に電圧の形態として格納される。また,データ信号DATA[m]は電圧の形態として画素駆動部301に印加されることができ,電流の形態として画素駆動部301に印加されるか,あるいは所定の電流を画素駆動部301からシンク(sink)する形態となることができる。
【0076】
また,画素駆動部301は正の電源電圧ELVDDを供給する第1電源ライン307に連結される。画素駆動部301は,第1電源ライン307を介して,駆動電流の発生に必要な電力を受ける。
【0077】
また,画素駆動部301は発光制御信号を受信して,駆動電流が有機電界発光素子OLEDに印加されることを制御することができる。
【0078】
有機電界発光素子OLEDは,画素駆動部301と負の電源電圧ELVSSを供給する第2電源ライン309との間に連結される。有機電界発光素子OLEDは,画素駆動部301に供給されたデータ信号DATA[m]に相応する駆動電流を受けて所定の輝度で発光する。
【0079】
逆バイアストランジスタMRは有機電界発光素子OLEDのアノード電極と第1電源ライン307との間に連結される。また,逆バイアストランジスタMRのゲート端子には逆バイアス制御信号Vctlが印加される。たとえば,逆バイアストランジスタMRが逆バイアス制御信号Vctlによってターンオンされた場合,第1電源ライン307には正の電源電圧ELVDDの代わりに,アノード電極に印加される電圧よりカソード電極に印加される電圧のほうが低いレベルを有する電圧が印加され,第2電源ライン309には負の電源電圧ELVSSの代わりに,アノード電極に印加される電圧よりカソード電極に印加される電圧のほうが高いレベルを有する電圧が印加される。よって,逆バイアストランジスタMRがターンオンされる場合,有機電界発光素子OLEDには逆バイアスが印加される。
【0080】
有機電界発光装置に走査信号SCAN[n]が活性化され,データ信号DATA[m]が印加されて有機電界発光素子OLEDが発光動作を開始する以前または以後に,有機電界発光素子OLEDに逆バイアスを印加することができる。すなわち,有機電界発光装置が映像を表示する時間区間を除いた残り区間である非表示区間で,有機電界発光素子OLEDには逆バイアスを印加することができる。すなわち,非表示区間で逆バイアス制御信号Vctlがローレベルで活性化されると,逆バイアストランジスタMRはターンオンされ,逆バイアストランジスタMRを介して,逆バイアスが有機電界発光素子OLEDに印加される。有機電界発光素子OLEDのアノード電極とカソード電極との間の電圧差は−14V〜−10Vが維持されるようにする。この−14V〜−10Vの電圧差は,OLEDに逆バイアスを印加する際に,発生する漏洩電流を確認するためのものである。逆バイアスが極端に小さい場合には漏洩電流を確認することが難しく,逆バイアスがあまりにも大きいと,正常なOLEDが破壊される恐れがある。望ましくは,前記有機電界発光素子OLEDのアノード電極とカソード電極との間の電圧差はおよそ−12Vである。この−12Vの電圧差は,電源の電圧およびOLEDの特性を反映させて設定した値である。
【0081】
また,逆バイアス電圧は,有機電界発光装置の正常の発光動作が開始される以前に,有機電界発光素子OLEDの不良を前もって検出するために印加することもできる。
【0082】
たとえば,有機電界発光素子OLEDが正常の特性を有する場合,逆バイアス電圧が印加された時に有機電界発光素子OLEDを流れる漏洩電流は,実質的に0Aである。しかし,有機電界発光素子OLEDが欠陥を有している場合,逆バイアス電圧によって漏洩電流が発生することになる。よって,逆バイアス電圧が印加された時に漏洩電流が発生するかどうかによって,有機電界発光素子OLEDが正常かどうかを確認することができる。
【0083】
図4aおよび図4bは本発明の第2の実施形態による有機電界発光装置の回路を示す説明図である。
【0084】
図4aに示すように,有機電界発光装置は,画素駆動部401,有機電界発光素子OLED,および逆バイアストランジスタMRを有する。
【0085】
画素駆動部401は,スイッチングトランジスタM31,キャパシタC3,および駆動トランジスタM32を有する。図4aに示す画素駆動部401の構成および動作は図2aに基づいて説明したものと同一である。したがって,走査ライン403を介して走査信号SCAN[n]が活性化され,データライン405を介してデータ電圧Vdataが印加されると,キャパシタC3にはデータ電圧Vdataが格納される。
【0086】
有機電界発光素子OLEDは,画素駆動部401の駆動トランジスタと第2電源ライン409との間に連結される。有機電界発光素子OLEDが正常の発光動作を行う場合,第2電源ライン409には負の電源電圧ELVSSが印加され,画素駆動部401に格納されたデータ電圧Vdataに相応する駆動電流によって,有機電界発光素子OLEDは発光動作を開始する。
【0087】
逆バイアストランジスタMRは,第1電源ライン407と有機電界発光素子OLEDのアノード電極との間に連結され,逆バイアス制御信号Vctlによってオン/オフ動作を行う。有機電界発光素子OLEDが正常の発光動作を行う場合,第1電源ライン407には正の電源電圧ELVDDが印加され,第2電源ライン409には負の電源電圧ELVSSが印加される。しかし,逆バイアス制御信号Vctlの活性化によって逆バイアストランジスタMRがターンオンされる場合,第1電源ライン407には正の電源電圧ELVDDより低い電圧が印加され,第2電源ライン409には負の電源電圧ELVSSより高い電圧が印加されることにより,有機電界発光素子OLEDに逆バイアス電圧が印加される。
【0088】
図4bに示すように,有機電界発光装置は,データ電流Idataを電圧の形態として格納し,これに相応する駆動電流を発生するための画素駆動部411,画素駆動部411に連結され,発光動作を行うための有機電界発光素子OLED,および有機電界発光素子OLEDのアノード電極と第1電源ライン417との間に連結された逆バイアストランジスタMRを有する。
【0089】
画素駆動部411は,第1スイッチングトランジスタM41,キャパシタC4,駆動トランジスタM42,第2スイッチングトランジスタM43,および発光制御トランジスタM44を有する。図4bに示す画素駆動部411の構成および動作は,図2bに示す画素駆動部211の構成および動作と同一である。したがって,走査ライン413を介して印加される走査信号SCAN[n]に応じて,第1スイッチングトランジスタM41および第2スイッチングトランジスタM43はターンオンされ,駆動トランジスタM42からデータライン415を介してデータ電流Idataはシンクされる。よって,キャパシタC4には,データ電流Idataに相応するVgsが格納される。発光制御信号EMI[n]が活性化される場合,発光制御トランジスタM44はターンオンされ,データ電流Idataと実質的に同一な駆動電流が有機電界発光素子OLEDに流れることになる。
【0090】
発光動作を行う有機電界発光素子OLEDは,発光制御トランジスタM44と第2電源ライン419との間に連結される。正常動作の場合,有機電界発光素子OLEDのカソード電極には第2電源ライン419を介して負の電源電圧ELVSSが印加され,駆動電流が流れて発光動作を行う。有機電界発光装置が正常動作を行う以前,または非表示期間の間,有機電界発光素子OLEDには逆バイアスが印加される。
【0091】
逆バイアストランジスタMRは,有機電界発光素子OLEDのアノード電極と第1電源ライン417との間に連結される。逆バイアストランジスタMRは逆バイアス制御信号Vctlによってオン/オフ動作を行う。逆バイアストランジスタMRがオフ状態であるうちに,有機電界発光素子OLEDは正常の発光動作を行い,逆バイアストランジスタMRがターンオンされた場合,有機電界発光素子OLEDには逆バイアス電圧が印加される。
【0092】
(第3の実施形態)
図5は本発明の第3の実施形態による有機電界発光装置を示すブロック図である。
【0093】
図5に示すように,本実施形態による有機電界発光装置は,画素駆動部501,有機電界発光素子OLED,第1逆バイアストランジスタMR1,および第2逆バイアストランジスタMR2を有する。
【0094】
画素駆動部501は,走査ライン503を介して印加される走査信号SCAN[n](nは1以上の整数)によって選択されて,データライン505を介して印加されるデータ信号DATA[m](mは1以上の整数)を受信する。データ信号DATA[m]はデータ電圧またはデータ電流である。また,画素駆動部501は第1電源ライン507に連結され,有機電界発光素子OLEDが発光動作を行う場合,第1電源ライン507から正の電源電圧ELVDDを受けて,有機電界発光素子OLEDの発光に要求される電力を供給する。
【0095】
有機電界発光素子OLEDは画素駆動部501と第2電源ライン509との間に配置される。すなわち,有機電界発光素子OLEDのアノード電極は画素駆動部501に連結され,有機電界発光素子OLEDのカソード電極は第2電源ライン509に連結される。有機電界発光素子OLEDが発光動作を行う場合,第2電源ライン509を介して負の電源電圧ELVSSが印加される。
【0096】
第1逆バイアストランジスタMR1は,有機電界発光素子OLEDのアノード電極とデータライン505との間に連結される。また,第1逆バイアストランジスタMR1のゲート端子には逆バイアス制御信号Vctlが印加される。逆バイアス制御信号Vctlがローレベルで活性化される場合,第1逆バイアストランジスタMR1はターンオンされ,データライン505と有機電界発光素子OLEDのアノード電極は電気的に連結される。
【0097】
第2逆バイアストランジスタMR2は,逆バイアス電源Vrとデータライン505の間に連結される。また,第2逆バイアストランジスタMR2のゲート端子には逆バイアス制御信号Vctlが印加される。したがって,逆バイアス制御信号Vctlがローレベルで活性化される場合,第2逆バイアストランジスタMR2はターンオンされ,データライン505と逆バイアス電源Vrは電気的に連結される。すなわち,逆バイアス制御信号Vctlは第1逆バイアストランジスタMR1および第2逆バイアストランジスタMR2に共通して連結される。
【0098】
有機電界発光装置が映像を表示する場合,第1逆バイアストランジスタMR1および第2逆バイアストランジスタMR2はオフ状態を維持する。また,走査ライン503を介して走査信号SCAN[n]が画素駆動部501に印加され,データ信号DATA[m]はデータライン505を介して画素駆動部501に印加される。画素駆動部501は,印加されたデータ信号DATA[m]によって駆動電流を発生し,発生された駆動電流は有機電界発光素子OLEDに流れ,有機電界発光素子OLEDは発光動作を開始する。
【0099】
しかし,有機電界発光装置が映像を表示する以前に有機電界発光素子OLEDの不良有無を検出しようとするか,あるいは非表示期間の間に有機電界発光素子OLEDの不良有無を検出しようとする場合,第1逆バイアストランジスタMR1および第2逆バイアストランジスタMR2はターンオンされる。したがって,ターンオンされた第1逆バイアストランジスタMR1および第2逆バイアストランジスタMR2を介して有機電界発光素子OLEDには逆バイアスが印加される。すなわち,有機電界発光素子OLEDのアノード電極には逆バイアス電源Vrが印加され,画素駆動部501は駆動電流を発生しない。
【0100】
逆バイアスが印加される場合,有機電界発光素子OLEDのアノード電極とカソード電極との間の電圧差は−14V〜−10Vが維持されるようにする。この−14V〜−10Vの電圧差は,OLEDに逆バイアスを印加する際に,発生する漏洩電流を確認するためのものである。逆バイアスが極端に小さい場合には漏洩電流を確認することが難しく,逆バイアスがあまりにも大きいと,正常なOLEDが破壊される恐れがある。望ましくは,有機電界発光素子OLEDのアノード電極とカソード電極との間の電圧差はおよそ−12Vである。この−12Vの電圧差は,電源の電圧およびOLEDの特性を反映させて設定した値である。
【0101】
また,実施の形態によって,画素駆動部501は,発光制御信号が入力されて,発光制御信号に応じて駆動電流を有機電界発光素子OLEDに供給することができる。
【0102】
図6aおよび図6bは本発明の第3の実施形態よる有機電界発光装置の回路を示す説明図である。
【0103】
図6aに示すように,有機電界発光装置は,画素駆動部601,有機電界発光素子OLED,第1逆バイアストランジスタMR1,および第2逆バイアストランジスタMR2を有する。
【0104】
画素駆動部601は,正の電源電圧ELVDDを供給する第1電源ライン607と有機電界発光素子OLEDとの間に連結され,スイッチングトランジスタM51,キャパシタC5,および駆動トランジスタM52を有する。図6aに示す画素駆動部601の構成および動作は,図2aに基づいて説明したものと同一である。したがって,走査ライン603を介して走査信号SCAN[n](nは1以上の整数)が活性化され,データライン605を介してデータ電圧Vdataが印加されると,キャパシタC5にはデータ電圧Vdataが格納される。
【0105】
有機電界発光素子OLEDは,画素駆動部601の駆動トランジスタM52と第2電源ライン609との間に連結される。有機電界発光素子OLEDが正常の発光動作を行う場合,第2電源ライン609には負の電源電圧ELVSSが印加され,画素駆動部601に格納されたデータ電圧Vdataに相応する駆動電流によって有機電界発光素子OLEDは発光動作を開始する。
【0106】
第1逆バイアストランジスタMR1は,データライン605と有機電界発光素子OLEDのアノード電極との間に連結され,第2逆バイアストランジスタMR2はデータライン605と逆バイアス電源Vrとの間に連結される。
【0107】
有機電界発光素子OLEDが正常の発光動作を行う場合,逆バイアス制御信号Vctlはハイレベルを維持し,第1逆バイアストランジスタMR1および第2逆バイアストランジスタMR2はオフ状態を維持する。したがって,逆バイアス電源Vrと有機電界発光素子OLEDとの間の電気的連結は遮断され,走査信号SCAN[n]およびデータ電圧Vdataによって有機電界発光素子OLEDは発光動作を行う。
【0108】
有機電界発光装置が映像を表示する以前に有機電界発光素子OLEDの不良有無を検出しようとするか,あるいは非表示期間の間に有機電界発光素子OLEDの不良有無を検出しようとする場合,逆バイアス制御信号Vctlに応じて第1逆バイアストランジスタMR1および第2逆バイアストランジスタMR2はターンオンされる。また,画素駆動部601は駆動電流を発生しない。逆バイアストランジスタのターンオンによって,有機電界発光素子OLEDのアノード電極には逆バイアス電源Vrが印加され,有機電界発光素子OLEDには逆バイアスが印加される。
【0109】
図6bに示すように,有機電界発光装置は,画素駆動部611,有機電界発光素子OLED,第1逆バイアストランジスタMR1,および第2逆バイアストランジスタMR2を有する。
【0110】
画素駆動部611は,図2bに示す画素駆動部とその構成および動作が同一である。したがって,有機電界発光素子OLEDが発光動作を行う場合,走査ライン613を介して走査信号SCAN[n](nは1以上の整数)が印加され,第1スイッチングトランジスタM61および第2スイッチングトランジスタM63はターンオンされる。また,データライン615で流れるデータ電流Idataに相応する駆動トランジスタM62のVgsはキャパシタC6に格納される。また,発光制御信号EMI[n]の活性化によって,発光制御トランジスタM64はターンオンされ,有機電界発光素子OLEDの発光動作が行われる。
【0111】
有機電界発光装置が発光動作を行う以前に有機電界発光素子OLEDの不良有無を確認するか,非表示期間の間に有機電界発光素子OLEDの不良有無を確認しようとする場合,画素駆動部611は駆動電流を発生しない。また,逆バイアス制御信号Vctlに応じて第1逆バイアストランジスタMR1および第2逆バイアストランジスタMR2はターンオンされ,有機電界発光素子OLEDのアノード電極には逆バイアス電源Vrが印加される。よって,有機電界発光素子OLEDには逆バイアスが印加される。
【0112】
(第4の実施形態)
図7は本発明の第4の実施形態による有機電界発光装置を示すブロック図である。
【0113】
図7に示すように,本実施形態による有機電界発光装置は,初期化動作を行ってデータ信号DATA[m](mは1以上の整数)に相応する駆動電流を発生するための画素駆動部701,画素駆動部701から発生した駆動電流によって発光動作を行うための有機電界発光素子OLED,および初期化ライン709を介して有機電界発光素子OLEDに逆バイアスを印加するための逆バイアストランジスタMRを有する。
【0114】
画素駆動部701は正の電源電圧ELVDDを供給する第1電源ライン707と有機電界発光素子OLEDのアノード電極との間に連結される。有機電界発光素子OLEDが発光動作を行う場合,画素駆動部701には,1つ前の走査信号SCAN[n−1](nは2以上の整数)が活性化されて印加され,初期化ライン709を介して初期化信号Vinitが印加される。また,現在の走査ライン703を介して現在の走査信号SCAN[n]が画素駆動部701に印加される。活性化された現在の走査信号SCAN[n]に応じてデータ信号DATA[m]は画素駆動部701に入力され,データライン705を介して入力されたデータ信号DATA[m]は画素駆動部701のキャパシタ(図示せず)に格納される。続いて,発光制御信号EMI[n]が活性化されると,画素駆動部701から発生した駆動電流は有機電界発光素子OLEDに流れ,有機電界発光素子OLEDは発光動作を開始する。
【0115】
有機電界発光素子OLEDは,画素駆動部701と負の電源電圧ELVSSを供給する第2電源ライン708との間に連結される。有機電界発光素子OLEDのアノード電極は画素駆動部701に連結され,有機電界発光素子OLEDのカソード電極は第2電源ライン708に連結される。
【0116】
逆バイアストランジスタMRは,初期化ライン709と有機電界発光素子OLEDのアノード電極との間に連結される。また,逆バイアストランジスタMRのゲート端子には逆バイアス制御信号Vctlが印加される。
【0117】
有機電界発光装置が発光動作を行う場合,逆バイアス制御信号Vctlはハイレベルを維持し,逆バイアストランジスタMRはオフ状態を維持する。したがって,初期化ライン709と有機電界発光素子OLEDとの間の電気的連結は遮断される。また,1つ前の走査信号SCAN[n−1]および現在の走査信号SCAN[n]が連続して入力され,画素駆動部701はデータ信号DATA[m]を格納し,画素駆動部701から発生した駆動電流は発光制御信号EMI[n]に応じて有機電界発光素子OLEDに流れる。駆動電流によって有機電界発光素子OLEDは発光動作を行う。
【0118】
有機電界発光装置が発光動作を行う以前に,または非表示期間の間に有機電界発光素子OLEDの不良有無を確認する場合,逆バイアス制御信号Vctlはローレベルで活性化され,逆バイアストランジスタMRはターンオンされる。また,画素駆動部701は駆動電流を発生しない。ターンオンされた逆バイアストランジスタMRによって,有機電界発光素子OLEDのアノード電極は初期化ライン709と電気的に連結される。初期化ライン709を介して逆バイアスが印加されると,有機電界発光素子OLEDには逆バイアスが印加される。有機電界発光素子OLEDのアノード電極とカソード電極との間の電圧差は−14V〜−10Vが維持されるようにする。この−14V〜−10Vの電圧差は,OLEDに逆バイアスを印加する際に,発生する漏洩電流を確認するためのものである。逆バイアスが極端に小さい場合には漏洩電流を確認することが難しく,逆バイアスがあまりにも大きいと,正常なOLEDが破壊される恐れがある。望ましくは,有機電界発光素子OLEDのアノード電極とカソード電極との間の電圧差はおよそ−12Vである。この−12Vの電圧差は,電源の電圧およびOLEDの特性を反映させて設定した値である。
【0119】
すなわち,有機電界発光素子OLEDが所定の原因によって特性不良を起こす場合,逆バイアスが印加された有機電界発光素子OLEDには漏洩電流が流れることになるので,有機電界発光素子の不良有無が検出される。
【0120】
図8aおよび図8bは本発明の第4の実施形態による有機電界発光装置の回路を示す説明図である。
【0121】
図8aに示すように,有機電界発光装置は,画素駆動部801,有機電界発光素子OLED,および逆バイアストランジスタMRを有する。
【0122】
画素駆動部801は,初期化トランジスタM71,スイッチングトランジスタM72,補償トランジスタM73,駆動トランジスタM74,キャパシタC7,および発光制御トランジスタM75を有する。
【0123】
初期化トランジスタM71は初期化ライン809と補償トランジスタM73との間に連結される。初期化トランジスタM71は,1つ前の走査信号SCAN[n−1](nは2以上の整数)によってオン/オフ動作を行い,ターンオンされた場合,初期化ライン809を介して受信される初期化信号VinitをキャパシタC7に伝達する。
【0124】
スイッチングトランジスタM72はデータライン805と補償トランジスタM73との間に連結される。また,スイッチングトランジスタM72は,現在の走査ライン803を介して受信される現在の走査信号SCAN[n]に応じてオン/オフ動作を行う。スイッチングトランジスタM72がターンオンされた場合,データライン805を介して伝送されるデータ電圧Vdataは補償トランジスタM73に印加される。
【0125】
補償トランジスタM73は,スイッチングトランジスタM72と初期化トランジスタM71との間に連結される。補償トランジスタM73は駆動トランジスタM74が有するスレッショルド電圧を補償する。また,補償トランジスタM73は,ゲート電極とドレイン電極が電気的に連結されたダイオード構造を有する。スイッチングトランジスタM72のターンオンによってデータ電圧Vdataが補償トランジスタM73に印加され,補償トランジスタM73のスレッショルド電圧をVth1とすると,ダイオード連結された構造によって,補償トランジスタM73のゲート端子に印加される電圧はVdata−|Vth1|である。
【0126】
キャパシタC7は,正の電源電圧ELVDDを供給する第1電源ライン807と補償トランジスタM73のゲート端子との間に連結される。スイッチングトランジスタM71がターンオンされた場合,補償トランジスタM73のゲート端子に印加される電圧Vdata−|Vth1|は,キャパシタC7に格納される。すなわち,キャパシタC7はELVDD−(Vdata−|Vth1|)の電圧差を格納する。
【0127】
駆動トランジスタM74は第1電源ライン807と発光制御トランジスタM75との間に連結され,駆動トランジスタM74のゲート端子は補償トランジスタM73のゲート端子およびキャパシタC7の一側端子に共通して連結される。駆動トランジスタM74は,キャパシタC7の両端に印加された電圧差ELVDD−(Vdata−|Vth1|)に相応する駆動電流を形成する。駆動トランジスタM74のスレッショルド電圧をVth2,駆動トランジスタM74のゲート電圧を基準としたソース−ゲート間の電圧差をVsgとすると,駆動電流は(Vsg−|Vth2|)2に比例する。したがって,駆動電流Iは次の数1によって求められる。
【0128】
【数1】
【0129】
発光制御トランジスタM75は,駆動トランジスタM74と有機電界発光素子OLEDとの間に連結される。また,発光制御トランジスタM75のゲート端子には発光制御信号EMI[n]が印加される。発光制御信号EMI[n]がローレベルで活性化される場合,駆動トランジスタM74から発生した駆動電流は有機電界発光素子OLEDに流れ,有機電界発光素子OLEDは発光動作を開始する。
【0130】
有機電界発光素子OLEDは発光制御トランジスタM75と負の電源電圧ELVSSを供給する第2電源ライン808との間に連結される。発光制御トランジスタM75のターンオンによって有機電界発光素子OLEDは発光動作を行う。また,逆バイアストランジスタMRがターンオンされる場合,有機電界発光素子OLEDには逆バイアスが印加される。
【0131】
逆バイアストランジスタMRは有機電界発光素子OLEDのアノード電極と初期化ライン809との間に連結される。また,逆バイアストランジスタMRのゲート端子には逆バイアス制御信号Vctlが印加される。
【0132】
有機電界発光装置が映像を表示するために発光動作を行う場合,逆バイアストランジスタMRは逆バイアス制御信号Vctlに応じてオフ状態を維持する。
【0133】
しかし,有機電界発光装置が発光動作を行う以前に,または非表示区間で有機電界発光素子OLEDの不良有無を確認する場合に,逆バイアス制御信号Vctlに応じて逆バイアストランジスタMRはターンオンされる。また,画素駆動部801は駆動電流を発生しない。逆バイアストランジスタMRがターンオンされた場合,有機電界発光素子OLEDのアノード電極と初期化ライン809との間には電気的連結がなされ,有機電界発光素子OLEDには逆バイアスが印加される。逆バイアスの印加は,第2電源ライン808に負の電源電圧ELVSSより高い電圧を印加し,初期化ライン809に初期化信号Vinitより低い電圧を印加することにより達成される。
【0134】
図8bに示すように,有機電界発光装置は,画素駆動部811,有機電界発光素子OLED,および逆バイアストランジスタMRを有する。
【0135】
画素駆動部811は,初期化トランジスタM81,第1スイッチングトランジスタM82,第2スイッチングトランジスタM83,駆動トランジスタM84,第3スイッチングトランジスタM85,キャパシタC8,および発光制御トランジスタM86を有する。
【0136】
初期化トランジスタM81は,初期化ライン819とキャパシタC8との間に連結される。初期化トランジスタM81は,1つ前の走査信号SCAN[n−1](nは2以上の整数)に応じてオン/オフ動作を行い,ターンオンされた場合,初期化ライン819を介して受信される初期化信号VinitをキャパシタC8に伝達する。
【0137】
第1スイッチングトランジスタM82は,データライン815と駆動トランジスタM84との間に連結される。現在の走査ライン813を介して現在の走査信号SCAN[n]がローレベルで活性化されると,第1スイッチングトランジスタM82はターンオンされ,データライン815上のデータ電圧Vdataは駆動トランジスタM84に印加される。
【0138】
第2スイッチングトランジスタM83は,発光制御トランジスタM86と駆動トランジスタM84のゲート端子との間に連結される。第2スイッチングトランジスタM83は現在の走査信号SCAN[n]に応じてオン/オフ動作を行う。よって,現在の走査信号SCAN[n]によって第2スイッチングトランジスタM83がターンオンされた場合,駆動トランジスタM84のゲート端子とドレイン端子は電気的に短絡される構造を有する。
【0139】
駆動トランジスタM84は,第1スイッチングトランジスタM82と発光制御トランジスタM86との間に連結される。駆動トランジスタM84は,現在の走査信号SCAN[n]がローレベルで活性化されると,第2スイッチングトランジスタM83のターンオンによってダイオード連結されたトランジスタとなる。また,第1スイッチング素子を介してデータ電圧Vdataが印加されるので,駆動トランジスタM84のスレッショルド電圧をVthとすると,駆動トランジスタM84のゲート端子電圧はVdata−|Vth|となる。したがって,キャパシタC8の一側端子にはVdata−|Vth|の電圧が印加される。
【0140】
第3スイッチングトランジスタM85は,第1スイッチングトランジスタM82および駆動トランジスタM84が共通して連結されたノードと正の電源電圧ELVDDを供給する第1電源ライン817との間に連結される。また,第3スイッチングトランジスタM85のゲート端子には発光制御信号EMI[n]が入力される。したがって,第3スイッチングトランジスタM85は発光制御信号EMI[n]に応じてオン/オフ動作を行う。第3スイッチングトランジスタM85がターンオンされた場合,第1電源ライン817から供給される正の電源電圧ELVDDは駆動トランジスタM84に印加され,駆動トランジスタは駆動電流を発生する。
【0141】
キャパシタC8は,第1電源ライン817と初期化トランジスタM81との間に連結される。また,キャパシタC8は駆動トランジスタM84のゲート端子にも連結される。現在の走査信号SCAN[n]がローレベルで活性化された場合,第2スイッチングトランジスタM83のターンオン動作によって,駆動トランジスタM84はダイオード連結された構造を有し,第1スイッチングトランジスタM82のターンオン動作によって,データライン815上のデータ電圧Vdataは駆動トランジスタM84に印加される。したがって,駆動トランジスタM84のゲート端子およびキャパシタC8の一側端子にはVdata−|Vth|が印加される。すなわち,現在の走査信号SCAN[n]が印加されるうちに,キャパシタC8はELVDD−(Vdata−|Vth|)の電圧差を格納する。
【0142】
発光制御トランジスタM86は,駆動トランジスタM84と有機電界発光素子OLEDとの間に連結される。また,発光制御トランジスタM86のゲート端子には,発光制御信号EMI[n]が印加される。すなわち,発光制御信号EMI[n]は第3スイッチングトランジスタM85と発光制御トランジスタM86のゲート端子に共通に印加される。発光制御信号EMI[n]がローレベルで活性化される場合,第3スイッチングトランジスタM85および発光制御トランジスタM86はターンオンされる。第3スイッチングトランジスタM85のターンオンによって正の電源電圧ELVDDは駆動トランジスタM84に印加され,駆動トランジスタM84はスレッショルド電圧を補償しつつ,データ電圧Vdataに相応する駆動電流を生成する。駆動トランジスタM84から発生した駆動電流は,発光制御トランジスタM86を介して有機電界発光素子OLEDに流れ,有機電界発光素子OLEDは発光動作を開始する。
【0143】
有機電界発光素子OLEDは,発光制御トランジスタM86と負の電源電圧ELVSSを供給する第2電源ライン818との間に連結される。有機電界発光素子OLEDのアノード電極は,発光制御トランジスタM86および逆バイアストランジスタMRに連結され,有機電界発光素子OLEDのカソード電極は,負の電源電圧ELVSSを供給する第2電源ライン818に連結される。
【0144】
逆バイアストランジスタMRは,初期化ライン819と有機電界発光素子OLEDのアノード電極との間に連結される。また,逆バイアストランジスタMRのゲート端子には逆バイアス制御信号Vctlが印加される。したがって,逆バイアストランジスタMRは逆バイアス制御信号Vctlに応じてオン/オフ動作を行う。
【0145】
有機電界発光装置が映像を表示する場合,逆バイアストランジスタはオフ状態を維持する。よって,初期化ライン819と有機電界発光素子OLEDとの間の電気的連結は遮断された状態となる。すなわち,有機電界発光素子OLEDには逆バイアスが印加されずに,キャパシタの初期化,データ電圧Vdataの格納および発光動作を順次行う。
【0146】
有機電界発光装置が映像を表示する以前に,または非表示期間の間に有機電界発光素子OLEDの不良の有無を検出しようとする場合に,逆バイアストランジスタMRはターンオンされる。また,画素駆動部811は駆動電流を発生しない。逆バイアストランジスタMRのターンオンによって,初期化ライン819と有機電界発光素子OLEDのアノード電極との間には電気的経路が形成され,有機電界発光素子OLEDには逆バイアスが印加される。逆バイアスの印加は,第2電源ライン818に負の電源電圧ELVSSより高い電圧を印加し,初期化ライン819に初期化信号Vinitより低い電圧を印加することにより,達成される。
【0147】
したがって,上述した実施形態によれば,映像を表示する動作が行われる以前に,または非表示期間の間に,逆バイアストランジスタを用いて有機電界発光素子OLEDに逆バイアスを印加する。有機電界発光素子OLEDが所定の原因によって特性不良を起こす場合,逆バイアスが印加された有機電界発光素子OLEDには漏洩電流が流れることになるので,有機電界発光素子の不良の有無が検出される。
【0148】
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0149】
本発明は,有機電界発光素子に逆バイアスを印加するための有機電界発光装置に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0150】
【図1】本発明の第1実施形態による有機電界発光装置を示すブロック図である。
【図2a】本発明の第1実施形態による有機電界発光装置の回路を示す説明図である。
【図2b】本発明の第1実施形態による有機電界発光装置の回路を示す説明図である。
【図3】本発明の第2実施形態による有機電界発光装置を示すブロック図である。
【図4a】本発明の第2実施形態よる有機電界発光装置の回路を示す説明図である。
【図4b】本発明の第2実施形態よる有機電界発光装置の回路を示す説明図である。
【図5】本発明の第3実施形態による有機電界発光装置を示すブロック図である。
【図6a】本発明の第3実施形態よる有機電界発光装置の回路を示す説明図である。
【図6b】本発明の第3実施形態よる有機電界発光装置の回路を示す説明図である。
【図7】本発明の第4実施形態による有機電界発光装置を示すブロック図である。
【図8a】本発明の第4実施形態よる有機電界発光装置の回路を示す説明図である。
【図8b】本発明の第4実施形態よる有機電界発光装置の回路を示す説明図である。
【符号の説明】
【0151】
101,301,501,701 画素駆動部
103,303,503 走査ライン
105,305,505,705 データライン
107,307,507,707 第1電源ライン
109,309,509,708 第2電源ライン
709,809,819 初期化ライン
OLED 有機電界発光素子
MR 逆バイアストランジスタ
ELVDD 正の電源電圧
ELVSS 負の電源電圧
Vr 逆バイアス電源
Vctl 逆バイアス制御信号
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走査ラインとデータラインが交差する領域に形成された有機電界発光装置において,
第1電源ラインに連結され,前記走査ラインから走査信号を受け,前記データラインから受信したデータ信号に相応する駆動電流を形成する画素駆動部と;
前記画素駆動部と第2電源ラインとの間に連結され,前記駆動電流によって発光動作を行う有機電界発光素子と;
前記有機電界発光素子のアノード電極と逆バイアス電源との間に連結された逆バイアストランジスタと;
を含むことを特徴とする,有機電界発光装置。
【請求項2】
前記逆バイアストランジスタは,逆バイアス制御信号に応じてオン/オフ動作を行い,前記逆バイアストランジスタがターンオンされた場合,前記画素駆動部は駆動電流を発生しないことを特徴とする,請求項1に記載の有機電界発光装置。
【請求項3】
前記逆バイアストランジスタがターンオンされた場合,前記有機電界発光素子には逆バイアスが印加されることを特徴とする,請求項1または2に記載の有機電界発光装置。
【請求項4】
前記有機電界発光素子のアノード電極とカソード電極との間の逆バイアス電圧差は−14V〜−10Vであることを特徴とする,請求項1〜3のいずれかに記載の有機電界発光装置。
【請求項5】
前記画素駆動部は,
前記データラインに連結され,走査信号に応答してオン/オフ動作を行うスイッチングトランジスタと;
前記スイッチングトランジスタに連結され,前記スイッチングトランジスタを介して受信される前記データ信号を格納するキャパシタと;
前記スイッチングトランジスタと前記第1電源ラインに連結され,前記キャパシタに格納された前記データ信号に相応する前記駆動電流を発生する駆動トランジスタと;
を含むことを特徴とする,請求項4に記載の有機電界発光装置。
【請求項6】
前記データ信号は電圧で表すことを特徴とする,請求項5に記載の有機電界発光装置。
【請求項7】
前記画素駆動部は,前記駆動トランジスタと前記有機電界発光素子との間に連結され,発光制御信号に応じてオン/オフ動作を行う発光制御トランジスタをさらに含むことを特徴とする,請求項5または6に記載の有機電界発光装置。
【請求項8】
前記画素駆動部は,
前記データラインに連結され,前記走査信号に応じてオン/オフ動作を行う第1スイッチングトランジスタと;
前記第1スイッチングトランジスタと前記第1電源ラインとの間に連結され,データ電流に相応する電圧を格納するキャパシタと;
前記第1スイッチングトランジスタと前記第1電源ラインに連結され,前記キャパシタに格納された電圧に相応する駆動電流を発生する駆動トランジスタと;
前記駆動トランジスタと前記データラインとの間に連結され,前記走査信号に応じて前記データ電流を前記データラインに供給する第2スイッチングトランジスタと;
前記駆動トランジスタと前記有機電界発光素子との間に連結され,発光制御信号に応じて前記駆動電流を前記有機電界発光素子に供給する発光制御トランジスタと;
を含むことを特徴とする,請求項4に記載の有機電界発光装置。
【請求項9】
第1電源ラインに連結され,走査ラインを介して走査信号を受け,データラインから受信されるデータ信号に相応する駆動電流を形成する画素駆動部と;
前記画素駆動部と第2電源ラインとの間に連結され,前記駆動電流によって発光動作を行う有機電界発光素子と;
前記有機電界発光素子のアノード電極と前記第1電源ラインとの間に連結され,前記有機電界発光素子に逆バイアスを印加する逆バイアストランジスタと;
を含むことを特徴とする,有機電界発光装置。
【請求項10】
前記逆バイアストランジスタは逆バイアス制御信号に応じてオン/オフ動作を行い,前記逆バイアストランジスタがターンオンされた場合,前記画素駆動部は駆動電流を発生しないことを特徴とする,請求項9に記載の有機電界発光装置。
【請求項11】
前記逆バイアストランジスタがターンオンされた場合,前記有機電界発光素子には逆バイアスが印加されることを特徴とする,請求項9または10に記載の有機電界発光装置。
【請求項12】
前記有機電界発光素子のアノード電極とカソード電極との間の逆バイアス電圧差は−14V〜−10Vであることを特徴とする,請求項9〜11のいずれかに記載の有機電界発光装置。
【請求項13】
第1電源ラインに連結され,走査ラインを介して走査信号を受け,データラインから受信されるデータ信号に相応する駆動電流を形成する画素駆動部と;
前記画素駆動部と第2電源ラインとの間に連結され,前記駆動電流によって発光動作を行う有機電界発光素子と;
前記有機電界発光素子のアノード電極と前記データラインとの間に連結され,前記有機電界発光素子に逆バイアスを印加する第1逆バイアストランジスタと;
前記データラインと逆バイアス電源との間に連結され,前記第1逆バイアストランジスタに前記逆バイアスを供給する第2逆バイアストランジスタと;
を含むことを特徴とする,有機電界発光装置。
【請求項14】
前記第1逆バイアストランジスタおよび前記第2逆バイアストランジスタは逆バイアス制御信号に応じてオン/オフ動作を行い,前記第1逆バイアストランジスタおよび前記第2逆バイアストランジスタがターンオンされた場合,前記画素駆動部は駆動電流を発生しないことを特徴とする,請求項13に記載の有機電界発光装置。
【請求項15】
前記第1逆バイアストランジスタおよび前記第2逆バイアストランジスタがターンオンされた場合,前記逆バイアス電源から前記有機電界発光素子に逆バイアスが印加されることを特徴とする,請求項13または14に記載の有機電界発光装置。
【請求項16】
前記有機電界発光素子のアノード電極とカソード電極との間の逆バイアス電圧差は−14V〜−10Vであることを特徴とする,請求項13〜15のいずれかに記載の有機電界発光装置。
【請求項17】
前記画素駆動部は,
前記データラインに連結され,走査信号に応答してオン/オフ動作を行うスイッチングトランジスタと;
前記スイッチングトランジスタに連結され,前記スイッチングトランジスタを介して受信される前記データ信号を格納するキャパシタと;
前記スイッチングトランジスタと前記第1電源ラインに連結され,前記キャパシタに格納された前記データ信号に相応する前記駆動電流を発生する駆動トランジスタと;
を含むことを特徴とする,請求項16に記載の有機電界発光装置。
【請求項18】
前記データ信号は電圧で表すことを特徴とする,請求項17に記載の有機電界発光装置。
【請求項19】
前記画素駆動部は,前記駆動トランジスタと前記有機電界発光素子との間に連結され,発光制御信号に応じてオン/オフ動作を行う発光制御トランジスタをさらに含むことを特徴とする,請求項17または18に記載の有機電界発光装置。
【請求項20】
前記画素駆動部は,
前記データラインに連結され,前記走査信号に応じてオン/オフ動作を行う第1スイッチングトランジスタと;
前記第1スイッチングトランジスタと前記第1電源ラインとの間に連結され,データ電流に相応する電圧を格納するキャパシタと;
前記第1スイッチングトランジスタと前記第1電源ラインに連結され,前記キャパシタに格納された電圧に相応する駆動電流を発生する駆動トランジスタと;
前記駆動トランジスタと前記データラインとの間に連結され,前記走査信号に応じて前記データ電流を前記データラインに供給する第2スイッチングトランジスタと;
前記駆動トランジスタと前記有機電界発光素子との間に連結され,発光制御信号に応じて前記駆動電流を前記有機電界発光素子に供給する発光制御トランジスタと;
を含むことを特徴とする,請求項16に記載の有機電界発光装置。
【請求項21】
第1電源ラインに連結され,1つ前の走査信号の制御によって,初期化ラインを介して初期化信号を受け,現在の走査信号に応じてデータラインからデータ信号を受信し,受信されるデータ信号に相応する駆動電流を形成する画素駆動部と;
前記画素駆動部と第2電源ラインとの間に連結され,前記駆動電流によって発光動作を行う有機電界発光素子と;
前記初期化ラインと前記有機電界発光素子のアノード電極との間に連結され,前記有機電界発光素子に逆バイアスを印加する逆バイアストランジスタと;
を含むことを特徴とする,有機電界発光装置。
【請求項22】
前記逆バイアストランジスタは逆バイアス制御信号に応じてオン/オフ動作を行い,前記逆バイアストランジスタがターンオンされた場合,前記画素駆動部は駆動電流を発生しないことを特徴とする,請求項21に記載の有機電界発光装置。
【請求項23】
前記逆バイアストランジスタがターンオンされた場合,前記有機電界発光素子には前記初期化ラインを介して逆バイアスが印加されることを特徴とする,請求項21または22に記載の有機電界発光装置。
【請求項24】
前記有機電界発光素子のアノード電極とカソード電極との間の逆バイアス電圧差は−14V〜−10Vであることを特徴とする,請求項21〜23のいずれかに記載の有機電界発光装置。
【請求項25】
前記画素駆動部は,
前記初期化ラインに連結され,前記1つ前の走査信号に応じて初期化信号を受信する初期化トランジスタと;
前記データラインに連結され,前記現在の走査信号に応じて前記データラインからデータ信号を受信する第1スイッチングトランジスタと;
前記第1スイッチングトランジスタと前記初期化トランジスタとの間に連結され,ダイオード連結された構造を有し,スレッショルド電圧を補償する補償トランジスタと;
前記補償トランジスタと前記第1電源ラインとの間に連結され,前記初期化信号を受信して初期化動作を行うか,または前記第1スイッチングトランジスタおよび前記補償トランジスタを介して伝達されるデータ信号を格納するキャパシタと;
前記第1電源ラインに連結され,前記キャパシタに格納された前記データ信号に相応する前記駆動電流を発生する駆動トランジスタと;
前記駆動トランジスタと前記有機電界発光素子との間に連結され,発光制御信号に応じて前記駆動電流を前記有機電界発光素子に供給する発光制御トランジスタと;
を含むことを特徴とする,請求項24に記載の有機電界発光装置。
【請求項26】
前記画素駆動部は,
前記初期化ラインに連結され,前記1つ前の走査信号に応じて初期化信号を受信する初期化トランジスタと;
前記データラインに連結され,前記現在の走査信号に応じて前記データラインからデータ信号を受信する第1スイッチングトランジスタと;
前記第1スイッチングトランジスタに連結され,前記データ信号に相応する駆動電流を発生する駆動トランジスタと;
前記駆動トランジスタのゲート端子とドレイン端子との間に連結され,前記現在の走査信号に応じてオン/オフ動作を行う第2スイッチングトランジスタと;
前記駆動トランジスタと前記第1電源ラインとの間に連結され,発光制御信号に応じてオン/オフ動作を行う第3スイッチングトランジスタと;
前記第1電源ラインと前記初期化トランジスタとの間に連結され,前記初期化信号に応じて初期化動作を行い,前記駆動トランジスタの駆動電流形成に要求される前記データ信号を格納するキャパシタと;
前記駆動トランジスタと前記有機電界発光素子との間に連結され,前記発光制御信号に応じて前記駆動電流を前記有機電界発光素子に供給する発光制御トランジスタと;
を含むことを特徴とする,請求項24に記載の有機電界発光装置。
【請求項1】
走査ラインとデータラインが交差する領域に形成された有機電界発光装置において,
第1電源ラインに連結され,前記走査ラインから走査信号を受け,前記データラインから受信したデータ信号に相応する駆動電流を形成する画素駆動部と;
前記画素駆動部と第2電源ラインとの間に連結され,前記駆動電流によって発光動作を行う有機電界発光素子と;
前記有機電界発光素子のアノード電極と逆バイアス電源との間に連結された逆バイアストランジスタと;
を含むことを特徴とする,有機電界発光装置。
【請求項2】
前記逆バイアストランジスタは,逆バイアス制御信号に応じてオン/オフ動作を行い,前記逆バイアストランジスタがターンオンされた場合,前記画素駆動部は駆動電流を発生しないことを特徴とする,請求項1に記載の有機電界発光装置。
【請求項3】
前記逆バイアストランジスタがターンオンされた場合,前記有機電界発光素子には逆バイアスが印加されることを特徴とする,請求項1または2に記載の有機電界発光装置。
【請求項4】
前記有機電界発光素子のアノード電極とカソード電極との間の逆バイアス電圧差は−14V〜−10Vであることを特徴とする,請求項1〜3のいずれかに記載の有機電界発光装置。
【請求項5】
前記画素駆動部は,
前記データラインに連結され,走査信号に応答してオン/オフ動作を行うスイッチングトランジスタと;
前記スイッチングトランジスタに連結され,前記スイッチングトランジスタを介して受信される前記データ信号を格納するキャパシタと;
前記スイッチングトランジスタと前記第1電源ラインに連結され,前記キャパシタに格納された前記データ信号に相応する前記駆動電流を発生する駆動トランジスタと;
を含むことを特徴とする,請求項4に記載の有機電界発光装置。
【請求項6】
前記データ信号は電圧で表すことを特徴とする,請求項5に記載の有機電界発光装置。
【請求項7】
前記画素駆動部は,前記駆動トランジスタと前記有機電界発光素子との間に連結され,発光制御信号に応じてオン/オフ動作を行う発光制御トランジスタをさらに含むことを特徴とする,請求項5または6に記載の有機電界発光装置。
【請求項8】
前記画素駆動部は,
前記データラインに連結され,前記走査信号に応じてオン/オフ動作を行う第1スイッチングトランジスタと;
前記第1スイッチングトランジスタと前記第1電源ラインとの間に連結され,データ電流に相応する電圧を格納するキャパシタと;
前記第1スイッチングトランジスタと前記第1電源ラインに連結され,前記キャパシタに格納された電圧に相応する駆動電流を発生する駆動トランジスタと;
前記駆動トランジスタと前記データラインとの間に連結され,前記走査信号に応じて前記データ電流を前記データラインに供給する第2スイッチングトランジスタと;
前記駆動トランジスタと前記有機電界発光素子との間に連結され,発光制御信号に応じて前記駆動電流を前記有機電界発光素子に供給する発光制御トランジスタと;
を含むことを特徴とする,請求項4に記載の有機電界発光装置。
【請求項9】
第1電源ラインに連結され,走査ラインを介して走査信号を受け,データラインから受信されるデータ信号に相応する駆動電流を形成する画素駆動部と;
前記画素駆動部と第2電源ラインとの間に連結され,前記駆動電流によって発光動作を行う有機電界発光素子と;
前記有機電界発光素子のアノード電極と前記第1電源ラインとの間に連結され,前記有機電界発光素子に逆バイアスを印加する逆バイアストランジスタと;
を含むことを特徴とする,有機電界発光装置。
【請求項10】
前記逆バイアストランジスタは逆バイアス制御信号に応じてオン/オフ動作を行い,前記逆バイアストランジスタがターンオンされた場合,前記画素駆動部は駆動電流を発生しないことを特徴とする,請求項9に記載の有機電界発光装置。
【請求項11】
前記逆バイアストランジスタがターンオンされた場合,前記有機電界発光素子には逆バイアスが印加されることを特徴とする,請求項9または10に記載の有機電界発光装置。
【請求項12】
前記有機電界発光素子のアノード電極とカソード電極との間の逆バイアス電圧差は−14V〜−10Vであることを特徴とする,請求項9〜11のいずれかに記載の有機電界発光装置。
【請求項13】
第1電源ラインに連結され,走査ラインを介して走査信号を受け,データラインから受信されるデータ信号に相応する駆動電流を形成する画素駆動部と;
前記画素駆動部と第2電源ラインとの間に連結され,前記駆動電流によって発光動作を行う有機電界発光素子と;
前記有機電界発光素子のアノード電極と前記データラインとの間に連結され,前記有機電界発光素子に逆バイアスを印加する第1逆バイアストランジスタと;
前記データラインと逆バイアス電源との間に連結され,前記第1逆バイアストランジスタに前記逆バイアスを供給する第2逆バイアストランジスタと;
を含むことを特徴とする,有機電界発光装置。
【請求項14】
前記第1逆バイアストランジスタおよび前記第2逆バイアストランジスタは逆バイアス制御信号に応じてオン/オフ動作を行い,前記第1逆バイアストランジスタおよび前記第2逆バイアストランジスタがターンオンされた場合,前記画素駆動部は駆動電流を発生しないことを特徴とする,請求項13に記載の有機電界発光装置。
【請求項15】
前記第1逆バイアストランジスタおよび前記第2逆バイアストランジスタがターンオンされた場合,前記逆バイアス電源から前記有機電界発光素子に逆バイアスが印加されることを特徴とする,請求項13または14に記載の有機電界発光装置。
【請求項16】
前記有機電界発光素子のアノード電極とカソード電極との間の逆バイアス電圧差は−14V〜−10Vであることを特徴とする,請求項13〜15のいずれかに記載の有機電界発光装置。
【請求項17】
前記画素駆動部は,
前記データラインに連結され,走査信号に応答してオン/オフ動作を行うスイッチングトランジスタと;
前記スイッチングトランジスタに連結され,前記スイッチングトランジスタを介して受信される前記データ信号を格納するキャパシタと;
前記スイッチングトランジスタと前記第1電源ラインに連結され,前記キャパシタに格納された前記データ信号に相応する前記駆動電流を発生する駆動トランジスタと;
を含むことを特徴とする,請求項16に記載の有機電界発光装置。
【請求項18】
前記データ信号は電圧で表すことを特徴とする,請求項17に記載の有機電界発光装置。
【請求項19】
前記画素駆動部は,前記駆動トランジスタと前記有機電界発光素子との間に連結され,発光制御信号に応じてオン/オフ動作を行う発光制御トランジスタをさらに含むことを特徴とする,請求項17または18に記載の有機電界発光装置。
【請求項20】
前記画素駆動部は,
前記データラインに連結され,前記走査信号に応じてオン/オフ動作を行う第1スイッチングトランジスタと;
前記第1スイッチングトランジスタと前記第1電源ラインとの間に連結され,データ電流に相応する電圧を格納するキャパシタと;
前記第1スイッチングトランジスタと前記第1電源ラインに連結され,前記キャパシタに格納された電圧に相応する駆動電流を発生する駆動トランジスタと;
前記駆動トランジスタと前記データラインとの間に連結され,前記走査信号に応じて前記データ電流を前記データラインに供給する第2スイッチングトランジスタと;
前記駆動トランジスタと前記有機電界発光素子との間に連結され,発光制御信号に応じて前記駆動電流を前記有機電界発光素子に供給する発光制御トランジスタと;
を含むことを特徴とする,請求項16に記載の有機電界発光装置。
【請求項21】
第1電源ラインに連結され,1つ前の走査信号の制御によって,初期化ラインを介して初期化信号を受け,現在の走査信号に応じてデータラインからデータ信号を受信し,受信されるデータ信号に相応する駆動電流を形成する画素駆動部と;
前記画素駆動部と第2電源ラインとの間に連結され,前記駆動電流によって発光動作を行う有機電界発光素子と;
前記初期化ラインと前記有機電界発光素子のアノード電極との間に連結され,前記有機電界発光素子に逆バイアスを印加する逆バイアストランジスタと;
を含むことを特徴とする,有機電界発光装置。
【請求項22】
前記逆バイアストランジスタは逆バイアス制御信号に応じてオン/オフ動作を行い,前記逆バイアストランジスタがターンオンされた場合,前記画素駆動部は駆動電流を発生しないことを特徴とする,請求項21に記載の有機電界発光装置。
【請求項23】
前記逆バイアストランジスタがターンオンされた場合,前記有機電界発光素子には前記初期化ラインを介して逆バイアスが印加されることを特徴とする,請求項21または22に記載の有機電界発光装置。
【請求項24】
前記有機電界発光素子のアノード電極とカソード電極との間の逆バイアス電圧差は−14V〜−10Vであることを特徴とする,請求項21〜23のいずれかに記載の有機電界発光装置。
【請求項25】
前記画素駆動部は,
前記初期化ラインに連結され,前記1つ前の走査信号に応じて初期化信号を受信する初期化トランジスタと;
前記データラインに連結され,前記現在の走査信号に応じて前記データラインからデータ信号を受信する第1スイッチングトランジスタと;
前記第1スイッチングトランジスタと前記初期化トランジスタとの間に連結され,ダイオード連結された構造を有し,スレッショルド電圧を補償する補償トランジスタと;
前記補償トランジスタと前記第1電源ラインとの間に連結され,前記初期化信号を受信して初期化動作を行うか,または前記第1スイッチングトランジスタおよび前記補償トランジスタを介して伝達されるデータ信号を格納するキャパシタと;
前記第1電源ラインに連結され,前記キャパシタに格納された前記データ信号に相応する前記駆動電流を発生する駆動トランジスタと;
前記駆動トランジスタと前記有機電界発光素子との間に連結され,発光制御信号に応じて前記駆動電流を前記有機電界発光素子に供給する発光制御トランジスタと;
を含むことを特徴とする,請求項24に記載の有機電界発光装置。
【請求項26】
前記画素駆動部は,
前記初期化ラインに連結され,前記1つ前の走査信号に応じて初期化信号を受信する初期化トランジスタと;
前記データラインに連結され,前記現在の走査信号に応じて前記データラインからデータ信号を受信する第1スイッチングトランジスタと;
前記第1スイッチングトランジスタに連結され,前記データ信号に相応する駆動電流を発生する駆動トランジスタと;
前記駆動トランジスタのゲート端子とドレイン端子との間に連結され,前記現在の走査信号に応じてオン/オフ動作を行う第2スイッチングトランジスタと;
前記駆動トランジスタと前記第1電源ラインとの間に連結され,発光制御信号に応じてオン/オフ動作を行う第3スイッチングトランジスタと;
前記第1電源ラインと前記初期化トランジスタとの間に連結され,前記初期化信号に応じて初期化動作を行い,前記駆動トランジスタの駆動電流形成に要求される前記データ信号を格納するキャパシタと;
前記駆動トランジスタと前記有機電界発光素子との間に連結され,前記発光制御信号に応じて前記駆動電流を前記有機電界発光素子に供給する発光制御トランジスタと;
を含むことを特徴とする,請求項24に記載の有機電界発光装置。
【図1】
【図2a】
【図2b】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図2a】
【図2b】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【公開番号】特開2006−309119(P2006−309119A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−255921(P2005−255921)
【出願日】平成17年9月5日(2005.9.5)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月5日(2005.9.5)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】
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