説明

有機EL照明システム及び有機EL照明システムの制御方法

【課題】複数の電力制御回路を有する場合でも全体の回路を簡略化しつつ電力制御回路を効率よく制御して必要な電力を精度よく供給することのできる有機EL照明システム及び有機EL照明システムの制御方法を提供する。
【解決手段】各発光ユニットに共通する発光色の発光単位群毎に対応して設けられた複数の電力制御回路(10R,10G,10B)と、制御周期を分割した点灯期間毎に発光単位を切り換えながら電力を供給する給電切換回路(SWr,SWg,SWb)と、各発光単位に供給すべき目標電力量を定める電力量演算手段(12)と、電流検出手段が検出した電流に基づき、電力制御回路に対応する発光単位群の各発光単位に供給される電力が目標電力となるように電力制御回路のそれぞれが出力する電流及びデューティ比の少なくとも一方をフィードバック制御して電力供給制御を行う制御手段(12)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL照明システム及びこのような照明システムの点灯制御を行うための制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LEDや有機EL素子から構成される半導体照明装置が開発されている。このような半導体照明装置は、複数色の発光色を備えて構成されることが多く、このような場合には発光色の異なる素子を組み合わせて発光させることにより、照明色を調光することができる。これに加えて、有機EL素子は平面発光体であるので、このような素子から構成される有機EL照明装置は、他の半導体照明装置に比べて薄型にすることが可能である。
【0003】
このような有機EL照明装置として、例えば有機EL素子が配置されたパネルケースを直列に接続し、パネルケースの端部に電源モジュールを含む回路基板を接続して、制御ユニットによって回路基板を制御することによりパネルケースの調光を制御する構成が開示されている(特許文献1参照)。また、複数の有機EL素子のそれぞれにスイッチング素子が接続され、制御回路が与える信号でスイッチング素子を交互に切り換えて電圧を間欠的に印加し、各有機EL素子の点灯時間が重ならないように制御する構成が開示されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−177048号公報
【特許文献2】特開2007−265806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、有機EL素子からなる照明パネルを有する照明システムは、各有機EL素子の輝度を変更したり、各有機EL素子の発光を調整して合成した合成光を調光したりするために、各有機EL素子に対応する電力制御回路が各照明パネルに設けられている。この電力制御回路は、有機EL照明装置に配置された有機EL素子の数に応じて複雑になり、そのために電力制御回路が大型化してしまうことがある。このために、薄型の照明パネルを有する照明システムの実現が困難になる。
【0006】
この点に関し、上記特許文献1では、パネルケース毎に電力制御回路が必要となるため、上記と同様の問題が残っている。また、上記特許文献2の手法を用いて切り替えた場合に、電力制御回路で電圧を可変にして供給電力を制御した場合には、供給電力の細かい制御が行えなくなってしまうため、輝度の細かい調整や、大幅に輝度を下げる制御が行えないという問題がある。また、電力制御回路で各素子の点灯/非点灯の制御周期と商用電源周波数との関係で、各素子がちらついて見えるフリッカー現象が発生することがある。
【0007】
上記特許文献2による各有機EL素子の明るさの制御は、点灯時間及び供給電圧の大きさを変化させて行うが、これでは有機EL素子の輝度の微調整や輝度を低くする調光が困難であるという問題がある。これは、点灯時間を変える制御方式や供給電圧の大きさを可変にする制御方式では、輝度の細かい調整や輝度を下げて点灯させる場合に安定した制御を行うことができないため、これらの制御方式を組み合わせてもこの問題は依然として残る。
【0008】
また、電力制御回路に接続される発光素子数が増えると、各発光素子に割り当てられる電力供給時間がさらに分割されるため、各発光素子への電力供給時間はより短くなる。さらに、発光素子が有機EL素子の場合には、印加電圧に対する輝度の応答速度が遅くなってしまう。従って、上記特許文献2のように有機EL素子を使用した照明装置では、点灯時間の可変範囲が限られてしまうため、精度のよい調光が難しい。
【0009】
さらに、輝度は有機EL素子に印加される電圧に対して2次関数に従った変化を生じるため、輝度の制御を行う場合において高精度な電圧制御が求められるものの、輝度の変化は温度の変化に大きく依存する。例えば、輝度を大きく下げて点灯させる場合には印加電圧を小さくして点灯させるが、温度が上昇した場合には輝度が急激に上がり、逆に温度が低下した場合には輝度が下がり、場合によっては有機EL素子が消灯してしまうという問題が発生する。
【0010】
本発明は、上述した課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、複数の電力制御回路を有する場合でも全体の回路を簡略化しつつ電力制御回路を効率よく制御して必要な電力を精度よく供給することのできる有機EL照明システム及び有機EL照明システムの制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するべく、本発明の有機EL照明システムは、発光色の異なる複数の発光単位をそれぞれが有する複数の発光ユニットと、各発光ユニットに共通する発光色の発光単位群毎に対応して設けられ、それぞれが対応する発光単位群に電力を供給する複数の電力制御回路と、前記電力制御回路毎に対応して設けられ、前記電力制御回路から該電力制御回路に対応する発光単位群の各発光単位に対し、商用電源に同期させることにより生成した商用電源周波数の整数倍の周波数に相当する周期に設定された制御周期、または前記商用電源に同期させずに商用電源周波数の整数倍の周波数とは異なる周波数に相当する周期に設定された制御周期を分割した点灯期間毎に発光単位を切り換えながら前記電力制御回路からの電力を供給する給電切換回路と、前記発光ユニットのそれぞれに要求される発光特性に基づいて、各発光単位に供給すべき目標電力量を定める電力量演算手段と、前記電力制御回路から、該電力制御回路に対応する発光単位群に供給される電流を検出する電流検出手段と、前記給電切換回路を制御すると共に、前記給電切換回路による発光単位の切換に対応して、前記電流検出手段が検出した電流に基づき、前記電力制御回路のそれぞれから、該電力制御回路に対応する発光単位群の各発光単位に供給される電力が目標電力となるように、前記電力制御回路のそれぞれが出力する電流及び前記点灯期間において実際に電流を供給する期間のデューティ比の少なくとも一方をフィードバック制御して電力供給制御を行う制御手段とを備え、前記発光単位は、同一の発光色の1つ以上の有機EL素子からなることを特徴とする。
【0012】
このような構成にすることにより、各電力制御回路に対応して設けられた給電切換回路は、点灯期間毎に各電力制御回路に対応する発光単位群の各発光単位を切り換えると共に、この切り換えに対応し、各発光単位に供給される電力が目標電力となるように各電力制御回路を制御する。このとき、検出した電流値に基づいて、電流またはデューティ比をフィードバック制御する。
【0013】
また、前記給電切換回路は、前記発光ユニットの少なくともいずれか1つに配置されるようにしてもよい。
【0014】
また、前記電力制御回路は、前記発光ユニットのいずれか1つに配置されるようにしてもよい。
【0015】
また、上記目的を達成するため、それぞれが1つ以上の有機EL素子から構成される複数の発光単位と、該複数の発光単位に電力を供給する複数の電力制御回路と、商用電源に同期させることにより生成した商用電源周波数の整数倍の周波数に相当する周期に設定された制御周期、または前記商用電源に同期させずに商用電源周波数の整数倍の周波数とは異なる周波数に相当する周期に設定された制御周期を分割した点灯期間毎に前記複数の発光単位と前記電力制御回路との接続を切り換える給電切換回路と、要求された前記発光単位の発光特性に基づいて前記発光単位毎に供給すべき目標電力量を定める電力量演算手段と、前記発光単位毎の目標電力量に基づき、前記各発光単位への供給電力がそれぞれ目標値となるように、制御周期毎に前記給電切換回路及び前記電力制御回路を制御し、1制御周期内に前記電力制御回路のいずれかから前記発光単位のそれぞれに電力が供給されるよう、前記点灯期間毎に前記給電切換回路の接続を切り換えながら、前記電力制御回路のそれぞれが出力する電流及び前記点灯期間において実際に電流を供給する期間のデューティ比の少なくとも一方を制御して電力供給制御を行う制御手段とを備え、前記制御手段は、前記電力制御回路が供給するそれぞれの合計電力が均等に近付くように、前記電力制御回路のそれぞれが出力する電力を前記目標電力量に応じて前記点灯期間毎に割り振って、前記電力供給制御を行うことを特徴とする。
【0016】
このような構成とすることにより、制御手段は、制御周期毎に給電切換回路及び電力制御回路を制御して、1制御周期内にいずれかの電力制御回路から各発光単位に電力が供給されるよう切り換え回路を切り換えながら、各電力制御回路が出力する電力を、電力制御回路毎のそれぞれの合計電力が均等に近付くように、目標電力量に応じて点灯期間毎に割り振って電力供給制御を行う。
【0017】
このような有機EL照明システムにおいて、前記制御手段は、さらに、前記発光単位毎に求めた目標電力量に基づき、前記発光単位毎に、前記点灯期間の長さを調整して制御するようにしてもよい。
【0018】
このような有機EL照明システムで使用される前記発光単位は、同一の発光色の1つ以上の有機EL素子からなるのが好ましい。
【0019】
一方、前記発光単位と前記電力制御回路とは、ツイストペアケーブルを介して接続されるようにしてもよい。
【0020】
このような有機EL照明システムの前記制御周期は、50Hz以上の周波数に相当する周期であるようにするのが好ましい。
【0021】
また、前記制御周期は、15kHz以下の周波数に相当する周期とするのが好ましい。
【0022】
また、このような有機EL照明システムにおいて、前記給電切換回路は、それぞれに1つずつ前記発光単位を接続可能な接続端子を複数有し、前記制御手段は、前記接続端子のそれぞれについて前記発光単位の接続状態を探査し、前記発光単位が接続されていない接続端子を除外して前記電力供給制御を行うようにするのが好ましい。
【0023】
また、前記商用電源周波数の整数倍の周波数とは異なる周波数とは、前記商用電源周波数の整数倍の周波数からの偏差が5%以上の周波数であるようにするのが好ましい。
【0024】
また、上記目的を達成するため、本発明の有機EL照明システムの制御方法は、発光色の異なる複数の前記発光単位をそれぞれが有する複数の発光ユニットと、各発光ユニットに共通する発光単位群毎に対応して設けられ、それぞれが対応する発光単位群に電力を供給する複数の電力制御回路と、前記電力制御回路毎に対応して設けられ、該電力制御回路に対応する発光単位群の各発光単位に対し、商用電源に同期させることにより生成した商用電源周波数の整数倍の周波数に相当する周期に設定された制御周期、または前記商用電源に同期させずに商用電源周波数の整数倍の周波数とは異なる周波数に相当する周期に設定された制御周期を区分した点灯期間毎に切り換えながら電力を供給する給電切換回路とを備え、前記発光単位は同一の発光色の1つ以上の有機EL素子からなる有機EL照明システムの制御方法であって、前記発光ユニットのそれぞれに要求される発光特性に基づき、各発光単位に供給すべき目標電力量を定める電力演算ステップと、前記電力制御回路から、該電力制御回路に対応する発光単位群に供給される電流を電流検出手段により検出する電流検出ステップと、前記給電切換回路を制御すると共に、前記給電切換回路による発光単位の切り換えに対応して、前記電流検出ステップで検出された電流に基づき、前記電力制御回路のそれぞれから、該電力制御回路に対応する発光単位群の各発光単位に供給される電力が目標電力となるように、前記電力制御回路のそれぞれが出力する電流及び制御周期を区分した点灯期間において実際に電流を供給する期間のデューティ比の少なくとも一方をフィードバック制御して電力供給制御を実行する電力供給制御ステップとを備えることを特徴とする。
【0025】
このような有機EL照明システムの制御方法によれば、点灯期間毎に各電力制御回路に対応する発光単位群の各発光単位を切り換えると共に、この切り換えに対応して、各発光単位に供給される電力が目標電力となるように、電力供給制御をおこなう。このとき、検出した電流値に基づいて、電流の大きさ及びデューティ比の少なくとも一方をフィードバック制御する。
【0026】
さらに、上記目的を達成するため、本発明の有機EL照明システムの制御方法は、それぞれが1つ以上の有機EL素子から構成される複数の発光単位と、該複数の発光単位に電力を供給する複数の電力制御回路と、商用電源に同期させることにより生成した商用電源周波数の整数倍の周波数に相当する周期に設定された制御周期、または前記商用電源に同期させずに商用電源周波数の整数倍の周波数とは異なる周波数に相当する周期に設定された制御周期を分割した点灯期間毎に前記複数の発光単位と前記電力制御回路のそれぞれとの接続を切り換える給電切換回路とを備えた有機EL照明システムの制御方法であって、要求された前記発光単位の発光特性に基づいて前記発光単位毎に供給すべき目標電力量を定める電力演算ステップと、前記発光単位毎の目標電力量に基づき、前記各発光単位への供給電力がそれぞれ目標値となるように制御周期毎に前記給電切換回路及び前記電力制御回路を制御し、1制御周期内に前記電力制御回路のいずれかから前記発光単位のそれぞれに電力が供給されるよう、前記制御周期を分割した点灯期間毎に前記給電切換回路の接続を切り換えながら、前記電力制御回路のそれぞれが出力する電流及び前記点灯期間において実際に電流を供給する期間のデューティ比の少なくとも一方を制御して電力供給制御を行う電力供給制御ステップとを備え、該電力供給制御ステップは、前記電力制御回路が供給するそれぞれの合計電力が均等に近付くように、前記電力制御回路のそれぞれが出力する電力を前記目標電力量に応じて前記点灯期間毎に割り振って、前記電力供給制御を行うことを特徴とする。
【0027】
このような有機EL照明システムの制御方法によれば、制御周期毎に給電切換回路及び電力制御回路を制御して、1制御周期内にいずれかの電力制御回路から各発光単位に電力が供給されるよう切り換え回路を切り換えながら、各電力制御回路の合計電力が均等に近付くように、目標電力量に応じて各電力制御回路が出力する電力を点灯期間毎に割り振って電力供給する。
【0028】
このような有機EL照明システムの制御方法において、前記電力供給制御ステップは、さらに、前記発光単位毎に求めた目標電力量に基づき、前記発光単位毎に、前記点灯期間の長さを調整するようにしてもよい。
【0029】
また、前記給電切換回路は、それぞれに1つずつ前記発光単位を接続可能な接続端子を複数有し、前記電力供給制御ステップの前に、前記接続端子のそれぞれについて前記発光単位との接続状態を探査する接続状態探査ステップをさらに備え、前記電力供給制御ステップは、前記接続状態探査ステップで探査された前記発光単位が接続されていない接続端子を除外して行われるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0030】
本発明の有機EL照明システムによれば、共通する発光色の発光単位群毎に対応して設けられた電力制御回路には、それぞれに対応して給電切換回路が設けられており、給電切換回路は点灯期間毎に各電力制御回路に対応する発光単位群の各発光単位を切り換え、給電切換回路に対応する電力制御回路が、各発光単位の目標電力となるように電力を供給するよう制御する。これにより、電力制御回路の数を低減すると共に各電力制御回路に対応する発光単位群の間の回路が簡略化されるので、薄型の発光ユニットを有する有機EL照明システムを実現することが可能となる。
【0031】
また、上述した特許文献2では、精度がよく、広い範囲の輝度を調光制御するには、高精度な制御回路と温度補償回路または輝度センサーが必要となるが、本願発明では電流を制御するため、これらを使用する必要はなく、簡易な回路構成となる。これは、有機EL素子の輝度と電流とは比例関係にあり、温度変化に伴う輝度の変動は、電圧と輝度との関係に比べて格段に小さいためである。従って、電流を可変に制御することにより、高精度且つ変化幅の大きい輝度制御を簡易な回路構成で行うことができる。
【0032】
また、商用電源に同期させることによって生成した商用電源周波数の整数倍の周波数に相当する周期に設定された制御周期、または前記商用電源に同期させずに商用電源周波数の整数倍の周波数とは異なる周波数に相当する周期の制御周期を分割した点灯期間で各発光単位への電力の供給の切り換えを行うようにするので、商用電源周波数と、制御周期に相当する周波数のと関係によって有機EL素子がちらついて見えるフリッカー現象を抑制することができる。
【0033】
また、各電力制御回路に対応する発光単位群に供給される電流を検出し、検出された電流をフィードバックして目標電力となるように電力供給制御を行うので、各発光単位群を精度よく点灯制御することができる。
【0034】
さらに、各電力制御回路は、点灯期間において出力する電流及び実際に電流を供給する期間のデューティ比の少なくとも一方を制御して各発光単位へ電力供給を行うようにするので、供給する電力の調整範囲を拡大することができる。このように、電流制御とデューティ比制御とを組み合わせて制御することによって、精度よく輝度を調整すると共に輝度の制御範囲を広くすることができる。
【0035】
また、制御手段は、制御周期毎に給電切換回路及び電力制御回路を制御して、電力制御回路毎のそれぞれの合計電力が均等に近付くように、各電力制御回路が出力する電力を目標電力量に応じて点灯期間毎に割り振って電力供給制御を行うようにするので、複数の電力制御回路を設けても、各電力制御回路における負荷の偏りが低減されて、各電力制御回路を効率よく使用することができる。
【0036】
また、上述した発光単位と電力制御回路とは、ツイストペアケーブルを介して接続するようにすれば、給電時に給電線から放射される電磁放射が抑制されると共に、外部からのノイズの影響を受けにくくなるので給電時の伝送波形の崩れを低減することができる。
【0037】
上述した制御周期は、15kHz以下の周波数に相当する周期であるようにすれば、フィードバック制御時の応答特性を積分特性とし、この積分特性の時定数等を可変にすることで、制御電力パルスの高調波成分やリンギングによる高調波成分が、容易にCISPR15の規格に入りやすくなり、当該規格を満足することができる。
【0038】
また、制御手段は、給電切換回路の各接続端子のうち、発光単位が接続されていない接続端子を除外して電力供給制御を行うようにすれば、発光単位が接続されていない接続端子への給電による不要な消灯期間をなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の第1実施例に係る有機EL照明システムの概略構成を示す斜視図である。
【図2】図1のII-II線に沿う断面の拡大図である。
【図3】本発明の第1実施例に係る有機EL照明システムの回路図のブロック図である。
【図4】電力制御回路の一部を抜粋した構成を示す回路図である。
【図5】本発明の第1実施例に係る有機EL照明システムの電力供給制御を示すフローチャートである。
【図6】図5に示す電力供給制御で実行される供給制御ルーチンのフローチャートである。
【図7】発光色が赤色、緑色、青色の発光グループにそれぞれ接続されている電力制御回路が出力する直流電流の一例を示すタイミングチャートである。
【図8】発光色が赤色、緑色、青色の発光グループにそれぞれ接続されている電力制御回路が出力する直流電流の一例を示すタイミングチャートである。
【図9】各発光モジュールの点灯期間を変更する場合における、発光色が赤色、緑色、青色の発光グループにそれぞれ接続されている電力制御回路が出力する直流電流の一例を示すタイミングチャートである。
【図10】デューティ比50%のパルス波の基本波成分を基準としたパルス波の高調波スペクトル特性を示すグラフである。
【図11】CISPR15による磁界放射の許容値を示すグラフである。
【図12】有機EL照明システムの電力供給制御方法の変形例を示すフローチャートである。
【図13】図12に示す電力供給制御で行われる接続状態探索ルーチンのフローチャートである。
【図14】本発明の第2実施例に係る有機EL照明システムの回路図のブロック図である。
【図15】本発明の第2実施例に係る有機EL照明システムの電力供給制御を示すフローチャートである。
【図16】(A)は各電力制御回路が出力する直流電流の一例を示すタイミングチャート、(B)〜(D)は、照明パネル毎の発光色の異なる発光グループに供給される直流電流の一例を示すタイミングチャートである。
【図17】図15に示す電力供給制御で、一方の電力制御回路で行われる電力の供給制御ルーチンのフローチャートである。
【図18】図15に示す電力供給制御で、他方の電力制御回路で行われる電力の供給制御ルーチンのフローチャートである。
【図19】(A)は各電力制御回路が出力する直流電流の他の例を示すタイミングチャート、(B)〜(D)は、照明パネル毎の発光色の異なる発光グループに供給される直流電流の他の例を示すタイミングチャートである。
【図20】(A)は電力制御回路が出力する直流電流のさらに他の例を示すタイミングチャート、(B)〜(D)は、照明パネル毎の発光色の異なる発光グループに供給される直流電流のさらに他の例を示すタイミングチャートである。
【図21】第2実施例の電力供給制御の変形例を示すフローチャートである。
【図22】図21に示す電力供給制御で行われる接続状態探索ルーチンのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の実施形態について、いくつかの実施例に基づいて図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は以下に記載する内容に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施することが可能である。また、以下の説明に用いる図面は、何れも本発明に係る照明システム等を模式的に示すものであって、理解を深めるべく部分的な強調、拡大、縮小、または省略などを行っている場合があり、各構成部材の縮尺や形状等を正確に表すものとはなっていないことがある。さらに、以下の説明で用いる様々な数値は、いずれも一例を示すものであり、必要に応じて様々に変更することが可能である。
【0041】
<第1実施例>
図1は本発明の第1実施例に係る有機EL照明システム1の概略構成を示す斜視図、図
2は図1のII−II線に沿う断面の拡大図をそれぞれ示しており、この図から以下に説明する。図1に示すように、有機EL照明システム1は複数の発光ユニット、即ち照明パネル2から構成される。本実施例では、有機EL照明システム1は3つの照明パネル2から構成される。各照明パネル2には、細長く形成された複数の有機EL素子4が基板6上に互いに平行に設けられている。
【0042】
(基板)
本実施例において基板6は、ガラス製で板状の透明基板である。なお、基板6には金属板やセラミックス、プラスチックフィルム等が用いられてもよい。基板6は特に、本実施例で使用するガラス製の透明基板や、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、またはポリスルホン等の透明な樹脂基板が望ましい。また、基板6には、各有機EL素子4に給電するための配線が形成されている(図示省略)。
【0043】
(有機EL素子)
本実施例において基板6上には、発光色の異なる複数の有機EL素子4が配置される。例えば、本実施例では有機EL素子4の発光色を赤色、緑色、及び青色とし、これらの発光色に対応し、有機EL素子4の符号を区別して用いる。即ち、発光色が赤色の有機EL素子4R、発光色が緑色の有機EL素子4G、及び発光色が青色の有機EL素子4Bがこの記載の順に平行で等間隔に繰り返し基板6上に配置される。このように配置された有機EL素子4R、有機EL素子4G、有機EL素子4Bが発した赤色、緑色、青色のそれぞれの光が合成されて、合成光として白色光が外部へ照射される。
【0044】
有機EL素子4R、4G、4Bは、基板6上に電極層として陽極4aが形成され、電荷輸送層である有機層4bが陽極4aに積層され、陽極4aと一対となる陰極4cが有機層4bに積層されて構成される。
【0045】
陽極4aは有機層4bに正孔を注入する機能を有しており、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物等の金属酸化物、アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金等の金属、ヨウ化銅等のハロゲン化金属、カーボンブラック、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリピロール等の導電性高分子等により構成される。陽極4aの形成はスパッタリング法や真空蒸着法等により行われる。陽極4aを形成した後に陽極4aに付着した不純物を除去し、イオン化ポテンシャルを調整して正孔注入性を向上させるために紫外線照射やオゾン処理をすることが好ましい。
【0046】
有機層4bは通常、発光層、または正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、及び電子注入層から構成されてもよく、さらにそれ以外の層から構成されてもよい。有機層4bは正孔注入層は陽極4aからの正孔注入を容易にするものであり、正孔輸送層は発光層へ正孔を輸送する機能を有している。正孔輸送層は、例えば芳香族アミン誘導体、ポリアニリン誘導体、ポリピロール誘導体等の正孔輸送材料から形成される。また、上述した発光層として使用される発光材料として以下が挙げられる。
【0047】
青色発光を与える発光材料としては、例えば、ナフタレン、ペリレン、ピレン、アントラセン、クマリン、p−ビス(2−フェニルエテニル)ベンゼン及びそれらの誘導体等が挙げられる。緑色発光を与える発光材料としては、例えば、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体、Al(CNO)等のアルミニウム錯体等が挙げられる。そして、赤色発光を与える発光材料としては、例えば、DCM(4−(dicyanomethylene)−2−methyl−6−(p−dimethylaminostyryl)−4H−pyran)系化合物、ベンゾピラン誘導体、ローダミン誘導体、ベンゾチオキサンテン誘導体、アザベンゾチオキサンテン等が挙げられる。なお、このような発光材料は、いずれか1種類のみを用いてもよく、2種類以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
【0048】
なお、発光色の種類は上述した色に限られず、照明パネル2に求められる発光色に応じ、適宜選択すればよい。また、照明パネル2から合成光として白色光を得るには、上記組み合わせの他に、例えば、上述の3色の光に加えて黄色光を用いてもよいし、青色光と黄色光、赤色光と青緑色光(シアン色光)、或いは緑色光と赤紫色光(マゼンダ色光)等の組み合わせを採用してもよい。また、有機EL素子4の形状は上述した形状に限られず、適宜変更可能であり、例えば、小さな正方形状に形成して基板6にマトリクス状に配置するようにしてもよい。
【0049】
(照明システムの構成)
図3は、本発明の第1実施例に係る有機EL照明システム1の概略を示すブロック図である。上述したように、本実施例では、有機EL照明システム1が3つの照明パネル2を有しているので、これらを識別するため、図3ではこれらを照明パネル2a〜2cとして示している。各照明パネル2a〜2cに配置された有機EL素子4は、同一の発光色の有機EL素子4が1つ以上接続されて1つの発光単位、即ち発光グループGを構成する。発光グループGは、赤色の有機EL素子4Rが1つ以上接続された発光グループGr、発光色が緑色の有機EL素子4Gが1つ以上接続された発光グループGg、発光色が青色の有機EL素子4Bが1つ以上接続された発光グループGbから構成される。
【0050】
照明パネル2a〜2cに配置された発光グループGrのそれぞれは、給電切換回路、即ち切り換え回路SWrを介して電力制御回路10Rに接続される。同様に、発光グループGgは、切り換え回路SWgを介して電力制御回路10Gに接続され、発光グループGbは、切り換え回路SWbを介して電力制御回路10Bに接続される。従って、本実施例において、照明パネル2a〜2cに配置された全ての発光グループGrが、本発明の発光単位群を構成する。同様に、照明パネル2a〜2cに配置された全ての発光グループGg、及び全ての発光グループGbも、それぞれが本発明の発光単位群を構成する。本実施例では、電力制御回路10R、10G、10Bは、照明パネル2aに設けられている。
【0051】
CPU(制御手段、電力量演算手段、電流検出手段)12から入力される信号によって、切り換え回路SWrは、その接続端子に接続され、照明パネル2a〜2cに配置されている各発光グループGrのいずれかに接続を切り換えて、電力制御回路10Rと接続する。同様に、CPU12から入力される信号によって、切り換え回路SWgは、その接続端子に接続され、照明パネル2a〜2cに配置されている各発光グループGgのいずれかに接続を切り換えて、電力制御回路10Gと接続する。また、CPU12から入力される信号によって、切り換え回路SWbは、その接続端子に接続され、照明パネル2a〜2cに配置されている各発光グループGbのいずれかに接続を切り換えて、電力制御回路10Bと接続する。また、図示しないハードウェアによってCPU12に割り込み信号が入力される。割り込み信号は、所定の条件、例えば照明パネル2a〜2cのうち、いずれか1つの要求発光特性の変更が検出された場合等に出力される。なお、切り換え回路SWr、SWg、SWbは、例えばMOS FETやバイポーラトランジスタ等の半導体素子を組み合わせてスイッチング回路を実現することができる。
【0052】
切り換え回路SWrの切り換えによって照明パネル2a〜2cの発光グループGrのいずれかは、電力制御回路10Rと接続され、当該発光グループGrを構成する各有機EL素子4Rに電力制御回路10Rから電流が供給され、各有機EL素子4Rが発光する。同様に、切り換え回路SWgの切り換えによって照明パネル2a〜2cの発光グループGgのいずれかは、電力制御回路10Gに接続され、当該発光グループGgを構成する各有機EL素子4Gに電力制御回路10Gから電流が供給され、各有機EL素子4Gが発光する。また、切り換え回路SWbの切り換えによって照明パネル2a〜2cの発光グループGbのいずれかは、電力制御回路10Bに接続され、当該発光グループ発光グループGbを構成する各有機EL素子4Bに電力制御回路10Bから電流が供給され、各有機EL素子4Bが発光する。
【0053】
図3はブロック図のため単線で示されているが、切り換え回路SWr、SWg、SWbを介して電力制御回路10R、10G、10Bと各発光グループGr、Gg、Gbとを接続する給電線路14は、ツイストペアケーブルにするのが好ましい。これにより、給電線路14から外部への電磁放射を抑制することができると共に、外部からの電磁波の影響を受けにくくなるので給電時の伝送波形の崩れを低減することができ、安定した電力制御を行うことができる。
【0054】
(電力制御回路)
図4は、電力制御回路の構成を示す回路図である。代表として、電力制御回路10Rについて説明する。なお、電力制御回路10G、10Bも電力制御回路10Rと同様に構成される。図4に示すように、電力制御回路10Rは、直流電源Eと、直流電源Eに接続されたスイッチング素子Q1、インダクタL1、及びコンデンサC1の直列回路と、スイッチング素子Q1とインダクタL1との接続点側にカソードを接続するようにインダクタL1及びコンデンサC1の直列回路の両端側に接続されたダイオードD1と、コンデンサC1と切り換え回路SWrとの間に接続された微小抵抗である電流検出用の抵抗R1と、スイッチング素子Q1をオン/オフ制御する駆動部20とを備えて構成される。ここで、直流電源Eは、50Hzまたは60Hzの周波数の商用交流電源を整流、平滑したものを用いているが、これに限定されない。
【0055】
コンデンサC1の両端に生じる電力制御回路10の出力電圧は、駆動部20によるスイッチング素子Q1のオン/オフに応じて制御される。駆動部20は、スイッチング素子Q1にパルス波状のスイッチング信号S1を出力する。なお、スイッチング素子Q1はMOS FETを用いている。
【0056】
また、電力制御回路は、各発光グループに供給される直流電流Imが実際に流れているときの直流電流Imの瞬時の大きさ(以下、振幅という)を調整する振幅制御部22と、発光グループGに直流電流Imを所定の周期で間欠的に供給すると共に、当該所定周期のうちで実際に直流電流Imを供給する期間のデューティ比を調整するPWM制御部24とを有する。振幅制御部22及びPWM制御部24は、CPU12から入力される制御信号によって制御される。
【0057】
CPU12は、要求されている照明パネル2a〜2c毎の発光特性から、照明パネル2a〜2cに配置されている各発光グループGr、Gg、Gbの目標電力量を求める。この目標電力量に基づいて、CPU12は、振幅制御部22で調整する直流電流Imの大きさと、PWM制御部24で調整するデューティ比との組み合わせを決定する。振幅制御部22及びPWM制御部24は、CPU12から指示される直流電流Imの大きさ及びデューティ比に従って、それぞれ動作する。
【0058】
また、CPU12には抵抗R1の両端の電圧が入力され、CPU12は当該電圧から発光グループGrに供給される直流電流Imを検出し、検出した電流値に基づいて、各発光グループGrに供給される電力が目標電力になるように、各発光グループGrに供給する電力を振幅制御部22及びPWM制御部24を使用して制御する。
【0059】
このように構成された電力供給制御回路10Rの動作について以下に説明する。直流電流Imの振幅を制御する場合、振幅制御部22からの信号を受けた駆動回路20は、スイッチング信号S1を連続的に出力し、スイッチング信号S1に基づいてスイッチング素子Q1がオン/オフの動作をする。スイッチング素子Q1に接続されているインダクタL1には、スイッチング素子Q1の動作に伴い、三角波状のインダクタ電流ILが流れ、コンデンサC1の平滑作用により発光グループGrには直流電流Imが連続的に供給される。
【0060】
一方、デューティ比を制御する場合、PWM制御部24からの信号を受けた駆動回路20は、スイッチング信号S1を間欠的に出力し、スイッチング信号S1に基づいてスイッチング素子Q1がオン/オフの動作をする。インダクタL1には、スイッチング素子Q1の動作に伴い、スイッチング素子Q1がオン/オフ動作をしているときだけ、インダクタ電流ILが流れ、発光グループGrには直流電流Imが供給される。スイッチング素子Q1がオン/オフ動作を停止しているときには、発光グループGrには直流電流Imが供給されない。従って、スイッチング信号S1の間欠的な出力に応じて、直流電流Imが間欠的に供給される。
【0061】
(照明システムの電力供給制御)
次に、このように構成された本発明の第1実施例に係る有機EL照明システム1の電力供給制御について、以下に説明する。電力供給制御は、CPU12が指示する電力に見合う直流電流Imを電力制御回路10R、10G、10Bのそれぞれが出力することによって行われる。詳しくは、図5から説明する。図5は、CPU12及び各電力制御回路10R、10G、10Bが、各発光グループGr、Gg、Gbの電力供給制御を共通の制御周期で行うフローチャートである。本フローチャートは、スイッチやリモコン等の遠隔操作手段によって有機EL照明システム1の作動操作が行われることにより、即ち有機EL照明システム1の点灯モードがオンになることによって開始される。まず、1つの電力制御回路に接続されている発光グループの、1制御周期における点灯期間を略均等に区分して電力供給を行う電力供給制御について、以下に述べる。
【0062】
ステップS11では、CPU12が照明パネル2a〜2cのそれぞれの要求発光特性を取得する。要求発光特性は、リモコンなどの遠隔操作手段によって指示されてもよく、指示された要求発光特性をメモリ等に記憶しておき、本ステップで記憶された要求発光特性を取得するようにしてもよい。ここで、要求発光特性は、例えば各照明パネル2a〜2cに求められる合成色の輝度や色温度等である。
【0063】
ステップS12では、上記ステップS11でCPU12が取得した各照明パネル2a〜2cの要求発光特性に基づいて、CPU12が照明パネル2a〜2cに配置された各発光グループGr、各発光グループGg、及び各発光グループGbのそれぞれに供給すべき目標電力量を求める(電力演算ステップ)。ここで、個々の照明パネルの発光特性を予めメモリ等に記憶しておき、この発光特性に基づいて、要求発光特性を得られるように目標電力量を求めるようにしてもよい。
【0064】
ステップS13では、3つの発光色の発光グループGr、Gg、Gbについて、それぞれ個別に、1制御周期を略均等な3つの点灯期間に区分する。続くステップS14では、供給制御ルーチンを実行し、上記ステップS12で求めた目標電力量、及び上記ステップS13で求めた点灯期間に基づいて、切り換え回路SWr、SWg、SWb及び電力制御回路10R、10G、10Bにそれぞれ指令信号をCPU12が入力し、発光グループGr、Gg、Gbに供給される電力が目標電力量となるように電力供給を行う(電力供給制御ステップ)。当該ステップの供給制御ルーチンの詳細について、図6に基づいて、代表として電力制御回路10Rを使用して説明する。
【0065】
ステップS141では、カウンタiを初期化する。カウンタiは、電力制御回路10Rが制御する照明パネルの数をカウントすると共に照明パネルの識別番号であり、ここでは1に初期化する。ステップS142では、カウンタiが、照明パネルの総数M以下、即ち3以下であるか否かを判定する。当該判定結果が真(Yes)の場合はステップS143へ進み、偽(No)と判定された場合には、ステップS141へ戻る。
【0066】
ステップS143では、CPU12に割り込み信号が入力されたか否かを判定する。当該判定結果が偽(No)の場合、ステップS144へ進む。ステップS144では、電力制御回路10Rに接続されている発光グループGrに供給されている直流電流Imが実際に流れているときの直流電流Imの振幅をCPU12が検出する。ステップS145では、上記ステップS12で求めた目標電力量、上記ステップS13で求めた点灯期間、及び上記ステップS144で検出した直流電流Imに基づいて、i番目の照明パネルに配置されている発光グループGrと電力制御回路10Rとの接続をCPU12が切り換えながら、電力制御回路10Rが目標電力に対応した直流電流Imを供給する。続くステップS146では、カウンタiをインクリメントする。一方、上記ステップS143で真(Yes)と判定された場合には、本供給制御ルーチンを終了する。
【0067】
目標電力に対応した直流電流Imの供給について、詳しくは、発光グループGrを例に挙げて説明する。なお、以下の説明は、発光グループGg、Gbについても同様である。CPU12は、照明パネル2a〜2cのそれぞれに配置された発光グループGrに、順次切り換え回路SWrを切り換えながら、供給される電力が目標電力となるように電力供給制御を行う。ここで、照明パネル2aに配置された発光グループGrについて、上記ステップS12で求められた目標電力量が予め定められた規定値以上の場合、CPU12は点灯期間におけるデューティ比を100%に固定し、発光グループGrに供給される直流電流が実際に流れているときの直流電流Imの振幅を調整して、発光グループGrに供給される電力が目標電力となるように、振幅制御部22及びPWM制御部24に指令信号を入力する。一方、上記ステップS12で求められた目標電力量が規定値未満の場合、CPU12は発光グループGrに供給される直流電流Imが実際に流れているときの直流電流Imの振幅は所定値とし、上記ステップS13で求められた点灯期間におけるデューティ比を調整して、発光グループGrに供給される電力が目標電力となるように、振幅制御部22及びPWM制御部24に指令信号を入力する。なお、上述した規定値は、上記のように直流電流Imの振幅の調整とデューティ比の調整とを切り換えるための基準値として、使用する有機EL照明システム1の性能に応じて予め規定される。
【0068】
そして、切り換え回路SWr及び電力制御回路10Rは、入力された指令信号に基づいて動作し、電力供給制御が行われる。ここで、電力制御回路10Rに接続されている発光グループGrに供給されている直流電流Imが実際に流れているときの直流電流Imの振幅をCPU12が検出し、検出した直流電流Imに基づいて、発光グループGrに供給される電力が上記ステップS12で求めた目標電力量となるように、振幅制御部22及びPWM制御部24に指令信号をCPU12が出力してフィードバック制御を行う。そして、点灯期間が経過すると、CPU12は電力制御回路10Rと発光グループGrとの接続を切り換え回路SWrで切り換えて、供給される電力が目標電力となるように、同様に制御する。
【0069】
なお、目標電力量が規定値未満の場合であっても、検出した直流電流Imに基づいて制御するデューティ比を100%としたときに供給される電力が何らかの理由により目標電力量に達しない場合には、デューティ比を100%に固定して直流電流Imの振幅を調整するように、CPU12が振幅制御部22及びPWM制御部24に指令信号を入力する。
【0070】
ここで、例として、照明パネル2a〜2cへ供給する直流電流Imの一例を示すタイミングチャートを図7、図8に示す。まず、図7に基づいて説明する。図7の上段は、電力制御回路10Rから各発光グループGrに供給される直流電流Imの一例を示すタイミングチャートである。図7の上段に示すように、照明パネル2aの発光グループGrに点灯期間t2a_r、照明パネル2bの発光グループGrに点灯期間t2b_r、照明パネル2cの発光グループGbに点灯期間t2c_rがそれぞれ割り当てられている。ここで、照明パネル2a〜2cの目標電力量に基づき、各発光グループGrに対する目標電力がいずれも規定値未満なので、発光グループGrに略均等に割り当てられた点灯期間t2a_r〜t2c_rにおいて、供給される電力が目標電力となるように、PWM制御部24でそれぞれのデューティ比を制御して、当該デューティ比で直流電流Imが発光グループGrに供給されている。
【0071】
図7の中段は、発光グループGgに供給される直流電流Imのタイミングチャートである。図7の中段に示すように、照明パネル2aの発光グループGgに点灯期間t2a_g、照明パネル2bの発光グループGgに点灯期間t2b_g、照明パネル2cの発光グループGgに点灯期間t2c_gがそれぞれ割り当てられている。このように、各発光グループGgに対して略均等に割り当てられた点灯期間t2a_g〜t2c_gで、供給される電力が目標電力となるように、デューティ比100%で直流電流Imが供給されている。図7の下段は、発光グループGbに供給される直流電流Imのタイミングチャートである。図7の下段に示すように、照明パネル2aの発光グループGbに点灯期間t2a_b、照明パネル2bの発光グループGbに点灯期間t2b_b、照明パネル2cの発光グループGbに点灯期間t2c_bがそれぞれ割り当てられている。このように、略均等に割り当てられた点灯期間t2a_b〜t2c_bで、それぞれのデューティ比で直流電流Imが供給されている。
【0072】
また、目標電力量が規定値以上であり、略均等に割り当てられた点灯期間におけるデューティ比を100%にしても目標電力量に足りない場合、振幅制御部22で発光グループに供給する直流電流Imが実際に流れているときの直流電流Imの振幅を変更するように、CPU12が指令信号を出力する。例えば、図7の中段の照明パネル2aにおける発光グループGgに供給される直流電流Imでは実際の電力が目標電力に到達しない場合、デューティ比を100%とした上で振幅制御部22を制御して照明パネル2aに配置された発光グループGgに供給する直流電流Imが実際に流れているときの直流電流Imの振幅を大きくすることで、図8の中段に示すように、目標電力量が規定値を上回る場合でも、目標電力量を供給することができる。このように供給される電流を制御することによって、広い範囲で供給電力を調整することができる。
【0073】
また、他の制御方法として、要求される目標電力量に応じ、1制御周期における点灯期間の長さを発光グループ毎に変えてもよい。図5に基づき、点灯期間の長さを変えて行う電力供給制御について以下に説明する。なお、ステップS11、S12については上述した内容と同様であるため説明を省略し、ステップS13以降を説明する。
【0074】
ステップS13では、3つの発光色の発光グループGr、Gg、Gbについてそれぞれ個別に1制御周期を発光グループ毎に点灯期間として分割する。詳しくは、例えば発光色が赤色の発光グループGrについては、上記ステップS12で求めた、各照明パネル2a〜2cのそれぞれに配置された各発光グループGrの個々の目標電力量に応じて、照明パネル2a〜2cに対応して1制御周期を3つの点灯期間に区分する。この際、目標電力量の大きい発光グループGrほど点灯期間が長くなるように1制御周期を比例配分してもよいし、各発光グループGrに供給される目標電力量の大小関係に基づいて、比較的大、中、小の3つの点灯期間に区分してもよい。発光グループGg、Gbについても同様に、個々の目標電力量に応じて、それぞれ1制御周期を3つの点灯期間として区分する。
【0075】
続くステップS14では、上記ステップS12で求めた目標電力量、及び上記ステップS13で求めた点灯期間に基づいて、切り換え回路SWr、SWg、SWb及び電力制御回路10R、10G、10BにCPU12がそれぞれ指令信号を入力する。一例として、発光グループGrについては、電力制御回路10Rに接続されている発光グループGrが電力制御回路10Rから目標電力量を供給されるように、CPU12が振幅制御部22及びPWM制御部24に指令信号を入力する。発光グループGg、Gbについても同様に制御される。
【0076】
詳しくは、発光グループGrを例に挙げて説明する。なお、以下の説明は発光グループGg、Gbについても同様である。照明パネル2a〜2cのそれぞれに配置された発光グループGrに、順次切り替え回路SWrを切り換えながら供給電力が目標電力量になるようにCPU12が制御する。ここで、照明パネル2aに配置された発光グループGrについて、上記ステップS12で求められた目標電力量が規定値以上の場合、CPU12は点灯期間におけるデューティ比を100%に固定し、発光グループGrに供給される直流電流Imが実際に流れているときの直流電流Imの振幅を調整して、発光グループGrに供給される電力が目標電力となるように、振幅制御部22及びPWM制御部24に指令信号を入力する。一方、上記ステップS12で求められた目標電力量が規定値未満であった場合、CPU12は発光グループGrに供給される直流電流Imが実際に流れているときの直流電流Imの振幅は所定値とし、上記ステップS13で求められた点灯期間におけるデューティ比を調整して、発光グループGrに供給される電力が目標電力となるように、振幅制御部22及びPWM制御部24に指令信号を入力する。
【0077】
ここで、上記ステップS144、S145で述べたように、電力制御回路10Rに接続されている発光グループGrに供給されている直流電流Imが実際に流れているときの直流電流Imの振幅をCPU12が検出し、検出した直流電流Imに基づいて、各発光グループGr、Gg、Gbに供給される電力が上記ステップS12で求めた目標電力量となるように、振幅制御部22及びPWM制御部24にCPU12が指令信号を出力する。そして、点灯期間が経過する毎に、電力制御回路10Rと発光グループGrとの接続を切り換え回路SWrで切り換えて、供給される電力が目標電力となるように、同様に制御する。発光グループGg、Gbについても同様に制御する。このように、制御周期毎に、点灯期間に応じて切り換えを行い、電力供給制御を行う。
【0078】
なお、目標電力量が規定値未満の場合であっても、検出した直流電流Imに基づいて制御するデューティ比を100%としたときに供給される電力が何らかの理由により目標電力量に達しない場合、CPU12は振幅制御に切り換え、デューティ比100%に固定の上、直流電流Imの振幅を調整する。
【0079】
このような電力供給制御の例として、図9に各発光グループGr、Gg、Gbに供給される直流電流Imの一例を示すタイミングチャートを示す。図9に示すように、共通の制御周期において、照明パネル2a〜2cにそれぞれ配置されている発光グループGr、Gg、Gbの点灯期間の長さをそれぞれの目標電力量に応じて設定し、それぞれの発光グループGr、Gg、Gbに供給される電力が目標電力となるように、それぞれに供給される直流電流Imが実際に流れているときの振幅を振幅制御部22で、デューティ比をPWM制御部24でそれぞれ制御して、各発光グループGr、Gg、Gbに直流電流Imを供給する。なお、上述した各制御は、デューティ比が100%未満の場合でも同様に行うことができる。
【0080】
このように、直流電流Imとデューティ比とを制御することにより、各有機EL素子4R、4G、4Bの点灯時に流れるピーク電流が抑制され、各有機EL素子4R、4G、4Bの瞬時の温度上昇を抑えることができるので、各有機EL素子4R、4G、4Bの寿命を長くすることができる。また、ピーク電流を抑制することによって、各電力制御回路10Rと各発光グループGr、電力制御回路10Gと各発光グループGg、電力制御回路10Bと各発光グループGbの間の配線における電力損失や発熱を抑えることができ、各有機EL素子4R、4G、4Bの点灯制御を安定して行うことができる。
【0081】
また、各有機EL素子4R、4G、4Bの輝度を低くして点灯する場合、直流電流Imを制御して点灯制御すると温度変化に応じて輝度が大きく変化することはないものの、輝度を大きく低下させる場合、例えば最大輝度の1/20まで低下させる場合には、電力制御回路10R、10G、10Bの精度により輝度の制御精度を維持することが難しくなるが、デューティ比を制御することで、輝度を広範囲且つ高精度に制御することができる。
【0082】
ところで、上述した制御周期は、50Hz以上の周波数に相当すると共に、商用電源に同期させる場合には、商用電源に同期させることにより生成した商用電源周波数の整数倍の周波数に相当する周期、または、商用電源に同期させない場合には、商用電源周波数(例えば50Hzまたは60Hz)の整数倍の周波数とは異なる周波数に相当する周期である。ここで、商用電源周波数の整数倍の周波数とは異なる周波数に相当する周期として、商用電源周波数の整数倍の周波数からの偏差が5%以上、好ましくは10%以上とするのがよい。これにより、点灯期間毎に発光グループGr、Gg、Gbへの電力の供給を切り換えることによって発光グループGを構成する有機EL素子4がちらつく、いわゆるフリッカー現象を抑制することができる。
【0083】
フリッカー現象とは、電源電圧の変動に対して即応性のあるLEDや有機EL素子のような半導体発光素子を使用した場合に発生する、発光素子がちらついて見える現象である。フリッカー現象は、照明としての見栄えが悪くなるだけでなく、フリッカー現象を引き起こす照明を使用すると気分が悪くなるというような体調不良を引き起こす原因になり得るため、好ましくない。
【0084】
このようなフリッカー現象は、半導体照明においては次に挙げる2つの原因が考えられる。まず1つの原因として、商用電源周波数と点灯周期による周波数が近い場合に、電気的または光学的な干渉が発生することが挙げられる。
【0085】
詳しくは、静電結合や電磁結合等の理由によって、商用電源が電源制御回路や給電ラインに回り込み、CPUの出力となるパルス制御電圧またはパルス制御電流に対してゆらぎを与え、その結果発光素子の光が揺らぐことがある。また、パルス制御で調光している照明パネルと商用電源を直流化せずに点灯させている照明装置とを併用すると、商用電源周波数、または商用電源周波数の2倍の周波数で輝度が変化するため、パルス制御で調光している照明パネルでの商用電源周波数の整数倍の周波数とパルス制御の点灯周期に相当する周波数との差分に相当する周波数で光源の揺らぎが発生することがある。これらの光の揺らぎが原因となってフリッカー現象が引き起こされることもある。上述した周波数差の光源の揺らぎは、周波数差がない場合には発生しないため、この場合フリッカー現象は発生しない。しかし、周波数差が小さい場合、例えば2.5Hz以下の場合の光源の揺らぎは、半導体照明の点灯がちらついて見えるフリッカー現象として認識されるため、問題となる。
【0086】
もう1つの原因として、発光素子に印加される電源電圧や電流等の変動が挙げられる。この場合、電源電圧や電流等の変動周期が小さい場合に、点灯光の輝度の点滅がフリッカー現象として体感されるため、問題になる。
【0087】
このフリッカー現象を抑制するために、上述した商用電源周波数の整数倍の周波数と等しい周波数に相当する制御周期で各有機EL素子4R、4G、4Bを制御することが有効である。しかしながら、商用電源周波数は誤差が発生したり変動したりすることがある。商用電源周波数の誤差や変動を考慮しないで制御した場合には周波数差が発生し、フリッカー現象が発生してしまう。
【0088】
フリッカー現象を抑制する手段として、周波数の同期を行うことが挙げられる。詳しくは、商用電源周波数または商用電源の位相に同期させることによって生成した商用電源周波数の整数倍に等しい周波数に相当する周期を制御周期として点灯制御することで、点灯光の揺らぎは発生しなくなるため、商用電源周波数に誤差や変動が発生することがあってもフリッカー現象は発生しなくなる。上述した制御周期は、例えば商用電源周波数に対し、逓倍、或いは分周を伴う位相同期または周波数同期を行うことで生成してもよい。
【0089】
フリッカー現象を抑制するもう1つの手段として、上述した商用電源周波数の整数倍の周波数とは所定差離れた周波数に相当する制御周期で各有機EL素子4R、4G、4Bを制御することが有効である。視覚で感じる光の揺らぎは、周波数が低いほど感じ方が強く、周波数が高くなると感じにくくなる。従って、揺らぎの周波数となる周波数差を上げることによって、光の揺らぎに起因するちらつきを感じにくくすることができる。例えば、周波数差を2.5Hz以上とすると、光源の揺らぎはちらついて見えにくくなるため、問題とはならない。
【0090】
また、50Hz以上の周波数で制御することで、各有機EL素子4R、4G、4Bをパルス制御することによって引き起こされる各有機EL素子4R、4G、4Bの点灯光の輝度の点滅がちらつきとして発生するフリッカー現象を抑制することができる。
【0091】
また、制御周期は15kHz以下の周波数に相当する周期とするのがよい。これは、各発光グループGにパルス状の電流を供給することで、その制御周期及び高調波成分が照明パネル2から電磁放射として発生するものの、15kHz以下の周波数とすることで、各電力制御回路10R、10G、10Bの周波数応答特性を可変とし、発生する電磁放射特性を容易にCISPR15の規格に入れ、周囲の機器に影響を及ぼすことを回避できる。
【0092】
詳しくは、図10、図11から説明する。図10は、デューティ比50%のパルス波の基本波成分を基準としたパルス波の高調波スペクトル特性を示すグラフ、図11は、上述したCISPR15による磁界放射の許容値を示すグラフである。図10に示されているように、同一の制御周期であれば、点灯期間におけるデューティ比を変更しても、印加電圧に対する高調波特性は、高調波比10に対してDecade当たり約−40dBの傾きで減衰するという特性を有している。照明パネルに加わる高調波成分として、電力制御回路10と各発光グループGr、Gg、Gbとを接続する給電線路14の伝送特性により、5倍程度の高調波がリンギングとして発生しやすい傾向にあるため、この高調波は図10に示す値よりも大きな値となる。ここで、制御周期を15kHz以下にすると、電力供給制御ステップのフィードバック制御の周波数応答特性を変えるだけで照明パネルから放射される磁界及びその高調波成分が図11に示す規格に入りやすくなり、当該規格を満足させることができる。この際のフィードバック制御の周波数応答特性は、例えば積分特性とし、この時定数を可変し、高調波成分のレベルを可変することができる。
【0093】
高調波放射は、特定の周波数の高調波成分が突出してしまうことが多いものの、この特定の高調波成分を抑えるために、点灯制御の周波数応答特性を大きく落とす必要がある。その結果、パルス制御時に波形立ち上がりが非常に遅くなり、パルス幅制御時の調光範囲が狭くなってしまうことがあるものの、点灯制御の周期を15kHz以下とすると、規格値に対して突出した高調波が発生しにくくなり、パルスの立ち上がりの遅延が最小の範囲で電磁界放射を抑えることができる。
【0094】
このように、本実施例によれば、各照明パネル2a〜2cの発光特性に応じて、各照明パネル2a〜2cにそれぞれ配置された発光グループGr、Gg、Gbの目標電力量がそれぞれ求められる。求めた目標電力量に応じて、発光グループGrについては1制御周期を発光グループGrの個数に応じて点灯期間として区分し、発光グループGgについては1制御周期を発光グループGgの個数に応じて点灯期間として区分し、発光グループGbについては1制御周期を発光グループGbの個数に応じて点灯期間として区分する。そして、制御周期毎に、点灯期間に対応して切り換え回路SWr、SWg、SWbにより電力制御回路10Rと発光グループGr、電力制御回路10Gと発光グループGg、電力制御回路10Bと発光グループGbとの接続をそれぞれ切り換えると共に、電力制御回路10Rと接続されている発光グループGrに供給されている直流電流Im、電力制御回路10Gと接続されている発光グループGgに供給されている直流電流Im、電力制御回路10Bと接続されている発光グループGbに供給されている直流電流Imをそれぞれ検出し、検出した各直流電流Imに基づいて、発光グループGr、Gg、Gbにそれぞれ目標電力が供給されるように、供給する電力をCPU12が制御する。これにより、複数の照明パネル2a、2b、2cを複数の電力制御回路10R、10G、10Bで効率よく制御することができる。また、電力制御回路の数を低減すると共に各電力制御回路に対応する発光グループの間の回路が簡略化されるので、薄型の照明パネル2を有する有機EL照明システムを実現することが可能になる。
【0095】
また、同一の発光色の発光グループ、例えば赤色の発光色の発光グループGrに対して電力制御回路10Rから電力を供給するようにするので、発光グループ毎に電力制御回路を設ける必要はなくなるため、全体の回路構成が簡略化され、上記と同様に、薄型の照明パネル2を有する有機EL照明システムを実現することが可能になる。
【0096】
また、発光グループGr、Gg、Gbについて個別に検出される直流電流Imの大きさに基づいて、各発光グループに供給される電力が目標電力量となるように直流電流Imの大きさ及び点灯期間におけるデューティ比の組み合わせを発光グループGr、Gg、Gbのそれぞれに対応して求めるようにするので、精度よく電力制御を行うことができる。
【0097】
なお、上記実施例では電力制御回路10R、10G、10Bを照明パネル2aに配置しているが、照明パネル2とは別に電力制御回路10R、10G、10Bを1つの装置として集約してもよい。
【0098】
また、上記実施例では、切り換え回路SWr、SWg、SWbは電力制御回路10R、10G、10Bが配置されている照明パネル2aに配置しているが、これに限られず、電力制御回路10R、10G、10Bとは異なる照明パネルに配置してもよい。
【0099】
(電力供給制御の変形例)
上記第1実施例の変形例について以下に説明する。この変形例では、第1実施例に対して、各電力制御回路に接続されている発光グループの有無を調査するという点が異なっており、その他の制御は共通している。従って、共通の制御については説明を省略し、相違点についてのみ説明する。図12には、有機EL照明システム1の電力供給制御方法の変形例のフローチャート、図13には、図12で行われる接続状態探索ルーチンのフローチャートを示す。以下、図12に示すフローチャートを用いて以下に説明する。なお、各接続端子には、個々を識別するためのアドレス等の個体情報が予め付与されているものとする。
【0100】
ステップS100では、各切り換え回路SWr、SWg、SWbが有する接続端子について、当該接続端子の接続をそれぞれ切り換えて、発光グループが接続されていない接続端子を探索する(接続状態探査ステップ)。詳しくは、図13に示すフローチャートから説明する。
【0101】
ステップS1001では、電力制御回路10Rに対応する切り換え回路SWr、電力制御回路10Gに対応する切り換え回路SWg、電力制御回路10Bに対応する切り換え回路SWbの接続をCPU12が順次切り替えて接続端子に電流を供給し、それぞれの接続端子の電圧を検出する。代表として、電力制御回路10Rに対応する切り換え回路SWrの接続状態について以下のステップで述べる。なお、以下に述べる処理は、電力制御回路10Gに対応する切り換え回路SWg、及び電力切り換え回路10Bに対応する切り換え回路SWbについても同様に行われる。
【0102】
ステップS1002では、上記ステップS1001で検出した切り換え回路SWrの接続端子の電圧が規定値以下であるか否かをCPU12が判定する。当該判定結果が真(Yes)の場合にはステップS1004へ進み、当該判定結果が偽(No)の場合にはステップS1003へ進む。ステップS1003では、切り換え回路SWrの接続端子に発光グループGrが接続されていないとして、CPU12が切り換え回路SWrの未接続端子の個体情報をメモリ等の記憶手段に登録し、ステップS1004へ進む。
【0103】
ステップS1004では、切り換え回路SWrが有する接続端子のうち、接続状態の探索が行われていない接続端子の有無をCPU12が判定する。当該判定結果が真(Yes)の場合には、切り換え回路SWrが有する接続端子に、接続状態の探索が行われていない接続端子があるとしてステップS1001へ戻り、接続状態の探索が行われていない接続端子にCPU12が接続を切り換えて、上述した処理を行う。一方、当該判定結果が偽(No)の場合には、切り換え回路SWrが有する全ての接続端子の探索が終了したとして、接続状態探索ルーチンを終了する。
【0104】
そして、ステップS14では、CPU12が制御周期毎に点灯期間に応じて、電力制御回路10Rと発光グループGr、電力制御回路10Gと発光グループGg、電力制御回路10Bと発光グループGbとの接続をそれぞれ切り換える際に、記憶手段に記憶されている未接続端子には接続しないようにCPU12が制御すると共に、電力の供給制御を行う。このように、切り換え回路SWr、SWg、SWbのそれぞれが有する接続端子の接続状態をCPU12が探索し、発光グループが接続されていない接続端子を検出した場合には、CPU12が当該接続端子に接続しないように切り換えを制御しつつ、電力供給制御を行う。これにより、発光グループが接続されていない接続端子へ給電することにより発生する不要な消灯期間をなくすことができる。
【0105】
<第2実施例>
次に、第2実施例に係る有機EL照明システムについて以下に説明する。本実施例に係る照明システムでは、第1実施例に対して、各電力制御回路は、切り換え回路を介して全ての発光グループに選択的に接続可能である点が異なり、その他の構成は共通している。従って、共通箇所の説明は省略し、相違点について説明する。以下に説明する実施例では、電力制御回路の数と照明パネルの数とが異なる場合について説明する。なお、本実施例で説明する発光グループは、上述した第1実施例と同様に発光単位のことを表している。
【0106】
(照明システムの構成)
図14に、本発明の第2実施例に係る有機EL照明システム101の概略構成図を示す。図14に示すように、有機EL照明システム101は3つの照明パネル201a〜201cを有している。照明パネル201aには、発光グループGrに対応して切り換え回路SW1r、発光グループGgに対応して切り換え回路SW1g、発光グループGbに対応して切り換え回路SW1bが配置されている。切り換え回路SW1rは、電力制御回路110a及び電力制御回路110bと発光グループGrとの接続を行ったり切断したりする。切り換え回路SW1gは、電力制御回路110a及び電力制御回路110bと発光グループGgとの接続を行ったり切断したりする。そして、切り換え回路SW1bは、電力制御回路110a及び電力制御回路110bと発光グループGbとの接続を行ったり切断したりする。
【0107】
照明パネル201bには、切り換え回路SW2rに対応して発光グループGr、切り換え回路SW2gに対応して発光グループGg、切り換え回路SW2bに対応して発光グループGbが配置されている。切り換え回路SW2rは、電力制御回路110a及び電力制御回路110bと発光グループGrとの接続を行ったり切断したりする。切り換え回路SW2gは、電力制御回路110a及び電力制御回路110bと発光グループGgとの接続を行ったり切断したりする。切り換え回路SW2bは、電力制御回路110a及び電力制御回路110bと発光グループGbとの接続を行ったり切断したりする。
【0108】
照明パネル201cには、切り換え回路SW3rに対応して発光グループGr、切り換え回路SW3gに対応して発光グループGg、切り換え回路SW3bに対応して発光グループGbが配置されている。切り換え回路SW3rは、電力制御回路110a及び電力制御回路110bと発光グループGrとの接続を行ったり切断したりする。切り換え回路SW3gは、電力制御回路110a及び電力制御回路110bと発光グループGgとの接続を行ったり切断したりする。切り換え回路SW3bは、電力制御回路110a及び電力制御回路110bと発光グループGbとの接続を行ったり切断したりする。なお、切り換え回路SW1r〜SW3r、SW1g〜SW3g、SW1b〜SW3bは、例えばMOS FETやバイポーラトランジスタ等の半導体スイッチを組み合わせて実現することができる。
【0109】
照明パネル201aには、切り換え回路SW1r、SW1g、SW1bのそれぞれの切り換えを指示する制御信号を出力する制御回路130aが設けられている。制御回路130aは、CPU(制御手段)120からの指令信号に基づき、各切り換え回路SW1r、SW1g、SW1bに制御信号を入力する。制御回路130aの制御信号が切り換え回路SW1rに入力されることによって、電力制御回路110aまたは電力制御回路110bと照明パネル201aの発光グループGrとの接続または切断が行われる。同様に、制御回路130aの制御信号が切り換え回路SW1g、SW1bに入力されることによって、電力制御回路110aまたは電力制御回路110bと照明パネル201aの発光グループGg、Gbとの接続または切断がそれぞれ行われる。
【0110】
同様に、照明パネル201bには制御回路130bが設けられている。制御回路130bは、CPU120からの指令信号に基づき、切り換え回路SW2r、SW2g、SW2bにそれぞれ制御信号を入力して、電力制御回路110aまたは電力制御回路110bと、照明パネル201bの発光グループGr、Gg、Gbとの接続または切断がそれぞれ行われる。また、照明パネル201cには制御回路130cが設けられている。制御回路130cは、CPU120からの指令信号に基づき、切り換え回路SW3r、SW3g、SW3bにそれぞれ制御信号を入力して、電力制御回路110aまたは電力制御回路110bと、照明パネル201cの発光グループGr、Gg、Gbとの接続または切断がそれぞれ行われる。
【0111】
従って、切り換え回路SW1r〜SW3r、SW1g〜SW3g、SW1b〜SW3bを適宜切り換えることにより、照明パネル201a〜201cの各発光グループGr、Gg、Gbは、いずれも電力制御回路110aと電力制御回路110bとのいずれかに選択的に接続可能になっている。
【0112】
電力制御回路110a、110bは、上述した第1実施例と同様に、図4に示したように構成されている。電力制御回路110aに備えられている振幅制御部(図示省略)及びPWM制御部(図示省略)、及び電力制御回路110bに備えられている振幅制御部(図示省略)及びPWM制御部(図示省略)は、CPU120から入力される制御信号によって制御される。
【0113】
(照明システムの電力供給制御)
このように構成された本発明の第2実施例に係る有機EL照明システム101の電力供給制御について、図15、図16に基づいて説明する。図15は、切り換え回路SW1r〜SW3rにより各発光グループGrと各電力制御回路110a、110bとの接続または切断、切り換え回路SW1g〜SW3gにより各発光グループGgと各電力制御回路110a、110bとの接続または切断、及び切り換え回路SW1b〜SW3bにより各発光グループGbと各電力制御回路110a、110bとを接続したり切断したりしながら、各発光グループGr、Gg、Gbの電力供給制御を制御周期毎に繰り返し行うフローチャートであり、図16は、電力供給制御を行ったときの各電力制御回路110a、110bの出力電流、及び各発光グループGr、Gg、Gbに供給される直流電流Imの一例を示すタイミングチャートである。まず、図15のフローチャートに基づいて以下に説明する。
【0114】
ステップS11では、CPU120が照明パネル201a〜201cのそれぞれの要求発光特性を取得する。照明パネル201a〜201cの要求発光特性は、リモコンなどの遠隔操作手段によって指示されてもよく、指示された要求発光特性をメモリ等に記憶しておき、本ステップで記憶された要求発光特性を取得するようにしてもよい。ここで、要求発光特性は、例えば各照明パネル201a〜201cに求められる合成色の輝度や色温度等である。
【0115】
ステップS12では、上記ステップS11でCPU120が取得した各照明パネル201a〜201cの要求発光特性に基づいて、照明パネル201a〜201cに配置された各発光グループGr、Gg、Gbの要求発光特性を求め、求めた各発光グループGr、Gg、Gbの要求発光特性に基づいて、電力制御回路110a及び電力制御回路110bが照明パネル201a〜201cに配置された各発光グループGr、各発光グループGg、及び各発光グループGbのそれぞれに供給する目標電力量を求める(電力演算ステップ)。ここで、照明パネル201a〜201cの要求発光特性が決まると、照明パネル201a〜201cの各発光グループGr、Gg、Gbに要求される発光特性も決まるので、各発光グループGr、Gg、Gbの要求発光特性を求めることができる。また、個々の発光グループの発光特性を予めメモリ等に記憶しておき、この発光特性に基づいて、要求発光特性を得られるように目標電力量を求めるようにしてもよい。
【0116】
ステップS130では、照明パネル2a〜2cの発光グループGr、Gg、Gbのそれぞれについて、上述したステップS12で求められた目標電力量に基づいて、1制御周期における点灯期間を求める。本実施例では、1制御周期で照明パネル201a〜201cのそれぞれの発光グループGr、Gg、Gbの全てに給電するため、まず1制御周期を照明パネルの数で略均等に区分して、各照明パネル201a〜201cに配分する。この際に、1制御周期内で同時に同一の照明パネルに給電することのないように、電力制御回路110aと電力制御回路110bとはそれぞれ異なる照明パネルへ電力を供給するように配分が行われる。ここで、このように照明パネル毎に区分した期間を照明パネルの割当期間と定義する。
【0117】
図16(A)の上段は、電力制御回路110aが出力する直流電流Imの一例を示すタイミングチャートであって、割当期間t201aを照明パネル201a、割当期間t201bを照明パネル201b、割当期間t201cを照明パネル201cに割り当てて区分する。そして、略均等に区分された照明パネル毎の割当期間を、上記ステップS12で求めた個々の目標電力量に応じて区分し、それぞれ対応する照明パネルの発光グループGr、Gg、Gbに点灯期間としてそれぞれ配分する。例えば、図16(A)の上段に示すように、照明パネル201aの割当期間t201aは、照明パネル201aの発光グループGr、Gg、Gbのそれぞれの目標電力量に応じて、発光グループGrに対応する点灯期間t201a_r、発光グループGgに対応する点灯期間t201a_g、発光グループGbに対応する点灯期間t201a_bにそれぞれCPU120が配分する。なお、本実施例では、点灯期間は各発光グループの個々の目標電力量に応じてCPU120が比例配分する。
【0118】
続くステップS140では、上記ステップS130で配分した点灯期間で動作するように、電力制御回路110a、110b及び各発光グループGr、Gg、Gbの接続を制御周期毎の点灯期間に応じて切り換えるように、CPU120が制御回路130a〜130cに指令信号を入力する(電力供給制御ステップ)。制御回路130aは各切り換え回路SW1r、SW1g、SW1bに制御信号をそれぞれ入力し、制御信号に基づいて切り換え回路SW1r、SW1g、SW1bがそれぞれの接続を切り換えると共に、この切り換え回路に対応し、そのとき電力制御回路110a、110bに接続されているそれぞれの発光グループに、上記ステップS12で求めた目標電力量が供給されるように、CPU120が電力制御回路110a及び電力制御回路110bに指令信号を入力する。電力制御回路110a及び電力制御回路110bは、入力された指令信号に基づいて、電力の供給制御を行う。制御回路130b、130cについても同様に制御される。このように、照明パネル201a、201b、201cを順次切り換えて電力の供給制御を行う。
【0119】
詳しくは、図16(B)〜(D)に示すタイミングチャートから説明する。電力制御回路110aは、切り換え回路の切り換えに対応し、略均等に区分された照明パネルの割当期間毎に、電力を供給する照明パネルを照明パネル201a、201b、201cの順に変更し、さらにそれぞれの割当期間においては、それぞれ対応する点灯期間毎に、照明パネル201aに配置された発光グループGr、Gg、Gb、照明パネル201bに配置された発光グループGr、Gg、Gb、照明パネル201cに配置された発光グループGr、Gg、Gbへ順次直流電流Imを供給する。
【0120】
一方、電力制御回路110bは、切り換え回路の切り換えに対応し、電力制御回路110aが直流電流Imを供給する照明パネルと重複しないように、照明パネルの割当期間毎に、電力を供給する照明パネルを照明パネル201c、201a、201bの順に変更し、さらにそれぞれの割当期間においては、それぞれ対応する点灯期間毎に、照明パネル201cに配置された発光グループGr、Gg、Gb、照明パネル201aに配置された発光グループGr、Gg、Gb、照明パネル201bに配置された発光グループGr、Gg、Gbへ順次直流電流Imを供給する。このように、電力制御回路110a、110bの負荷が偏ることのないよう、供給する電力のそれぞれの合計電力が均等に近付くように、CPU120で制御する。
【0121】
図17、図18にCPU120が行う供給制御ルーチンのフローチャートを示す。図17は、電力制御回路110aの点灯制御ルーチンであり、図18は電力制御回路110bの点灯制御ルーチンである。まず、図17のフローチャートに基づいて説明する。なお、各照明パネルには識別番号が予め付与されているものとする。
【0122】
ステップS1401では、カウンタiを初期化する。カウンタiは、電力制御回路110aが制御する照明パネルの数をカウントすると共に照明パネルの識別番号であり、ここでは1に初期化する。ステップS1402では、カウンタiが、照明パネルの総数M以下、即ち3以下であるか否かを判定する。当該判定結果が真(Yes)の場合はステップS1403へ進み、偽(No)の場合にはステップS1401へ戻る。
【0123】
ステップS1403では、CPU120に割り込み信号が入力されたか否かを判定する。当該判定結果が偽(No)の場合は、ステップS1404へ進む。ステップS1404では、上記ステップS12で求めた目標電力量及び上記ステップS13で求めた点灯期間に基づいて、識別番号i番目の照明パネルに配置されている発光グループGr、Gg、Gbと電力制御回路110aとの接続をCPU120が切り換えながら、電力制御回路110aが目標電力に対応した直流電流Imを供給する。続くステップS1405では、カウンタiをインクリメントする。一方、上記ステップS1403で真(Yes)と判定された場合、本供給制御ルーチンを終了する。
【0124】
次に、電力制御回路110bの点灯制御ルーチンについて図18に基づいて説明する。ステップS1411では、カウンタi、jを初期化する。カウンタiは、電力制御回路110bが制御する照明パネルの数をカウントするためのものであり、カウンタjは、選択する照明パネルの識別番号をカウントするためのものである。カウンタjは、電力制御回路110aが選択している照明パネルと重複しないように、3で初期化する。なお、電力制御回路110aが選択している照明パネルと重複しなければ、いずれの識別番号で初期化してもよい。
【0125】
ステップS1412では、カウンタiが、照明パネルの総数M以下、即ち3以下であるか否かを判定する。当該判定結果が真(Yes)の場合にはステップS1413へ進み、当該判定結果が偽(No)の場合には、本供給制御ルーチンを終了する。ステップS1413では、カウンタjが、照明パネルの総数M以下、即ち3以下であるか否かを判定する。当該判定結果が真(Yes)の場合にはステップS1415へ進み、偽(No)と判定された場合にはステップS1414へ進む。ステップS1414では、カウンタjを1に設定し、ステップS1415へ進む。
【0126】
ステップS1415では、CPU120に割り込み信号が入力されたか否かを判定する。当該判定結果が偽(No)の場合には、ステップS1416へ進む。ステップS1416では、上記ステップS12で求めた目標電力量及び上記ステップS13で求めた点灯期間に基づいて、CPU120が識別番号j番目の照明パネルに配置されている発光グループGr、Gg、Gbと電力制御回路110bとの接続をCPU120が切り換えながら、電力制御回路110bが目標電力に対応した直流電流Imを供給する。続くステップS1417では、カウンタi、jをインクリメントする。一方、上記ステップS1415で真(Yes)と判定された場合には、本供給制御ルーチンを終了する。
【0127】
上述したステップS1404及びステップS1416で行う目標電力に対応した直流電流Imの供給について、説明する。なお、以下の説明は、照明パネル201a〜201cのそれぞれの発光グループGr、Gg、Gbについても同様である。
【0128】
照明パネル201a〜201cのそれぞれに配置された発光グループGrに、切り替え回路SW1r、SW2r、SW3rをそれぞれ切り替えながら、供給電力が目標電力量になるように、CPU120からの指令信号に基づいて制御回路130a〜130cが制御する。ここで、照明パネル201aに配置された発光グループGrについて、上記ステップS12で求められた目標電力量が予め定められた規定値以上の場合、CPU120は点灯期間におけるデューティ比を100%に固定し、発光グループGrに供給される直流電流Imが実際に流れているときの直流電流Imの振幅を調整して、発光グループGrに供給される電力が目標電力となるように、電力制御回路110aの振幅制御部及びPWM制御部、及び電力制御回路110bの振幅制御部及びPWM制御部に指令信号を入力する。
【0129】
一方、上記ステップS12で求められた目標電力量が規定値未満であった場合、CPU120は、発光グループGrに供給される直流電流Imが実際に流れているときの直流電流Imの振幅を所定とし、上記ステップS13で求められた点灯期間におけるデューティ比を調整して、発光グループGrに供給される電力が目標電力となるように、電力制御回路110aの振幅制御部及びPWM制御部、及び電力制御回路110bの振幅制御部及びPWM制御部に指令信号を入力する。なお、上述した規定値は、第1実施例の場合と同様に、上記のように直流電流Imの振幅の調整とデューティ比の調整とを切り換えるための基準値として、使用する有機EL照明システム101の性能に応じて予め規定される。
【0130】
このような電力供給制御の例として、図19に電力制御回路110a、110bから各照明パネル201a〜201cに配置された各発光グループGr、Gg、Gbにそれぞれ供給される直流電流Imの一例を示すタイミングチャートを示す。図19(A)の上段は、電力制御回路110aが出力する直流電流Imの一例を示すタイミングチャートであって、割当期間t201aを照明パネル201a、割当期間t201bを照明パネル201b、割当期間t201cを照明パネル201に割り当てられる。そして、略均等に区分された証明パネル毎の割り当て期間を、略均等に点灯期間として区分し、それぞれ対応する照明パネルの発光グループGr、Gg、Gbに配分する。例えば、照明パネル201aの割当期間t201aは、照明パネル201aの発光グループGr、Gg、Gbのそれぞれに対し、発光グループGrに対応する点灯期間t201a_r、発光グループGgに対応する点灯期間t201a_g、発光グループGbに対応する点灯期間t201a_bにCPU120がそれぞれ配分する。同様に、照明パネル201bの割当期間t201bを略均等に点灯期間として区分し、発光グループGrに対応する点灯期間t201b_r、発光グループGgに対応する点灯期間t201b_g、発光グループGbに対応する点灯期間t201b_bにCPU120がそれぞれ配分する。また、照明パネル201cの割当期間t201cを略均等に点灯期間として区分し、発光グループGrに対応する点灯期間t201c_r、発光グループGgに対応する点灯期間t201c_g、発光グループGbに対応する点灯期間t201c_bにCPU120がそれぞれ配分する。
【0131】
図19(A)の下段には、1制御周期において電力制御回路110bが出力する直流電流Imの一例を示すタイミングチャートである。図19(A)の下段に示すように、照明パネル201cの割当期間t201cを略均等に点灯期間として区分し、発光グループGrに対応する点灯期間t201c_r、発光グループGgに対応する点灯期間t201c_g、発光グループGbに対応する点灯期間t201c_bにCPU120がそれぞれ配分する。同様に、照明パネル201aの割当期間t201aは、照明パネル201aの発光グループGr、Gg、Gbのそれぞれに対し、発光グループGrに対応する点灯期間t201a_r、発光グループGgに対応する点灯期間t201a_g、発光グループGbに対応する点灯期間t201a_bにCPU120がそれぞれ配分する。また、照明パネル201bの割当期間t201bを略均等に点灯期間として区分し、発光グループGrに対応する点灯期間t201b_r、発光グループGgに対応する点灯期間t201b_g、発光グループGbに対応する点灯期間t201b_bにCPU120がそれぞれ配分する。
【0132】
図19(B)は、照明パネル201aの各発光グループGr、Gg、Gbに供給される直流電流Imのタイミングチャートである。図19(B)の上段に示すように、照明パネル201aの発光グループGrには、電力制御回路110aから点灯期間t201a_r及び電力制御回路110bから点灯期間t201a_rの間、それぞれ直流電流Imが供給されている。ここで、照明パネル201aの要求発光特性から求められた発光グループGrの目標電力量に基づき、発光グループGrに対する目標電力となるように、電力制御回路110aの点灯期間t201a_r、及び電力制御回路110bの点灯期間t201a_rで、デューティ比100%で直流電流Imが供給されている。
【0133】
図19(B)の中段は、照明パネル201aの発光グループGgに供給される直流電流Imのタイミングチャートである。図19(B)の中段に示すように、発光グループGgに電力制御回路110aの点灯期間t201a_g、及び電力制御回路110bから点灯期間t201a_g、それぞれ直流電流Imが供給されている。ここで、照明パネル201aの要求発光特性から求められた発光グループGgの目標電力量に基づき、発光グループGgに対する目標電力が規定値未満なので、発光グループGgに割り当てられた電力制御回路110aの点灯期間t201a_g、及び電力制御回路110bの点灯期間t201a_gにおいて、電力制御回路110aのPWM制御部、及び電力制御回路110bのPWM制御部でそれぞれのデューティ比を制御して、当該デューティ比で直流電流Imが発光グループGgに供給されている。
【0134】
図19(B)の下段は、照明パネル201aの発光グループGbに供給される直流電流Imのタイミングチャートである。図19(B)の下段に示すように、発光グループGbに電力制御回路110aの点灯期間t201a_b、及び電力制御回路110bから点灯期間t201a_bの間、それぞれ直流電流Imが供給されている。ここで、照明パネル201aの発光グループGbの要求発光特性から求められた発光グループGbの目標電力量に基づき、発光グループGbに割り当てられた電力制御回路110aの点灯期間t201a_b、及び電力制御回路110bの点灯期間t201a_bにおいて、供給される電力が目標電力となるように、デューティ比100%で直流電流Imが供給されている。
【0135】
図19(C)は、照明パネル201bの発光グループGr、Gg、Gbにそれぞれ供給される直流電流Imのタイミングチャートである。図19(C)の上段に示すように、発光グループGrに、電力制御回路110aから点灯期間t201b_r及び電力制御回路110bから点灯期間t201b_rの間、それぞれ直流電流Imが供給されている。ここで、照明パネル201bの発光グループGrの要求発光特性から求められた発光グループGrの目標電力に基づき、発光グループGrに割り当てられた電力制御回路110aの点灯期間t201b_r、電力制御回路110bの点灯期間t201b_rにおいて、供給される電力が目標電力となるように、デューティ比100%で直流電流Imが供給されている。
【0136】
図19(C)の中段は、照明パネル201bの発光グループGgに供給される直流電流Imのタイミングチャートである。図19(C)の中段に示すように、発光グループGgに、電力制御回路110aから点灯期間t201b_g及び電力制御回路110bから点灯期間t201b_gの間、それぞれ直流電流Imが供給されている。ここで、照明パネル201bの発光グループGgの要求発光特性から求められた発光グループGgの目標電力に基づき、発光グループGgに対する目標電力が規定値未満なので、発光グループGgに割り当てられた電力制御回路110aの点灯期間t201b_g及び電力制御回路110bの点灯期間t201b_gにおいて、供給される電力が目標電力となるように、電力制御回路110aのPWM制御部、及び電力制御回路110bのPWM制御部でそれぞれのデューティ比を制御して、当該デューティ比で直流電流Imが発光グループGgに供給されている。また、図19(C)の下段は、照明パネル201bの発光グループGbに供給される直流電流Imのタイミングチャートである。図19(C)の下段に示すように、照明パネル201bの発光グループGbの要求発光特性から求められた発光グループGbの目標電力に基づき、発光グループGbに割り当てられた電力制御回路110aの点灯期間t201b_b及び電力制御回路110bの点灯期間t201b_bにおいて、電力制御回路110aのPWM制御部、及び電力制御回路110bのPWM制御部でそれぞれのデューティ比を制御して、当該デューティ比で直流電流Imが発光グループGbに供給されている。
【0137】
図19(D)は、照明パネル201cの発光グループGr、Gg、Gbにそれぞれ供給される直流電流Imのタイミングチャートである。図19(D)の上段に示すように、照明パネル201cの発光グループGrの要求発光特性から求められた発光グループGrの目標電力に基づき、発光グループGrに割り当てられた電力制御回路110aの点灯期間t201c_r、電力制御回路110bの点灯期間t201c_rにおいて、供給される電力が目標電力となるように、デューティ比100%で直流電流Imが供給されている。
【0138】
図19(D)の中段は、照明パネル201cの発光グループGgに供給される直流電流Imのタイミングチャートである。図19(D)の中段に示すように、照明パネル201cの発光グループGgの要求発光特性から求められた発光グループGgの目標電力に基づき、発光グループGgに対する目標電力が規定値未満なので、発光グループGgに割り当てられた電力制御回路110aの点灯期間t201c_g、電力制御回路110bの点灯期間t201c_gにおいて、供給される電力が目標電力となるように、電力制御回路110aのPWM制御部、及び電力制御回路110bのPWM制御部でそれぞれのデューティ比を制御して、当該デューティ比で直流電流Imが発光グループGgに供給されている。また、図19(D)の下段は、照明パネル201cの発光グループGbに供給される直流電流Imのタイミングチャートである。図19(D)の下段に示すように、照明パネル201cの発光グループGbの要求発光特性から求められた発光グループGbの目標電力に基づき、発光グループGbに割り当てられた電力制御回路110aの点灯期間t201c_b、電力制御回路110bの点灯期間t201c_bにおいて、供給される電力が目標電力となるように、デューティ比100%で直流電流Imが供給されている。
【0139】
また、目標電力量が規定値以上であり、略均等に割り当てられた点灯期間におけるデューティ比を100%にしても目標電力量に足りない場合、電力制御回路110a及び電力制御回路110bの振幅制御部で発光グループに供給する直流電流Imが実際に流れているときの直流電流Imの振幅を変更するように、CPU120が指令信号を出力する。例えば、図19(B)の上段の照明パネル201aにおける発光グループGrに、電力制御回路110a、110bから供給される直流電流Imでは実際の電力が目標電力に到達しない場合、電力制御回路110a及び電力制御回路110bはデューティ比を100%とした上で振幅制御部を制御して、照明パネル201aに配置された発光グループGrに供給する直流電流Imが実際に流れているときの直流電流Imの振幅を大きくすることで、図20(B)の上段に示すように、目標電力量が規定値を上回る場合でも、目標電力量を供給することができる。このように制御することで、上述した第1実施例と同様の効果を得ることができる。なお、各発光グループGr、Gg、Gbの目標電力量に応じて点灯期間を区分し、上述したデューティ比の制御及び直流電流Imが実際に流れているときの直流電流Imの振幅の制御を組み合わせて制御するようにしてもよい。
【0140】
このように、本実施例によれば、1制御周期を照明パネルの数に応じて略均等に区分して各照明パネルに割当期間を割り当て、さらにこの割当期間を対応する照明パネルに配置された発光グループGr、Gg、Gbのそれぞれに定められた目標電力量に対応して点灯期間に区分する。そして、点灯期間に応じて電力制御回路110a、110bと発光グループGr、Gg、Gbとの接続を切り換え回路SW1r〜SW3r、SW1g〜SW3g、SW1b〜SW3bで切り換えながら、各発光グループGr、Gg、Gbに供給される電力が目標電力となるように、電力制御回路110a、110bが出力する直流電流Imを制御する。このとき、電力制御回路110aと電力制御回路110bとから電力を供給するために選択される照明パネルが重複しないようにずらした上で、1制御周期内に全ての照明パネル2a〜2cに電力を供給するようCPU120が制御するので、電力制御回路110a、110bのそれぞれの負荷の偏りが低減されて、電力制御回路110a、110bを効率よく使用することができる。
【0141】
なお、本実施例では照明パネル201aに切り換え回路SW1r、SW1g、SW1b、照明パネル201bに切り換え回路SW2r、SW2g、SW2b、照明パネル202cに切り換え回路SW3r、SW3g、SW3bをそれぞれ配置しているが、切り換え回路SW1r〜SW3r、SW1g〜SW3g、SW1b〜SW3bを1つの照明パネル、例えば照明パネル201aに配置するようにしてもよい。
【0142】
また、本実施例では、CPU120が制御回路130a〜130cに指令信号を入力し、制御回路130aから切り換え回路SW1r、SW1g、SW1b、制御回路130bから切り換え回路SW2r、SW2g、SW2b、制御回路130cから切り換え回路SW3r、SW3g、SW3bにそれぞれ制御信号を入力するようにしているが、CPU120に制御回路130a〜130cの機能を組み込み、CPU120から切り換え回路SW1r〜SW3r、SW1g〜SW3g、SW1b〜SW3bへ直接指令信号を入力するようにしてもよい。
【0143】
また、本実施例では、照明パネル201a〜201cの割当期間を全ての照明パネルで略均等になるように1制御周期を区分したが、照明パネル201a〜201c毎の要求発光特性や発光グループGr、Gg、Gbの目標電力量等に応じて、照明パネル201a〜201cの割当期間の長さを照明パネル毎に変えるようにしてもよい。
【0144】
また、本実施例では、各発光グループGr、Gg、Gb毎に割当期間を区分した点灯期間は比例配分としたが、各発光グループGr、Gg、Gbの目標電力量に応じて、点灯期間の長さを変えてもよい。さらに、前述した第1実施例と同様に、各発光グループGr、Gg、Gbの目標電力量に応じて、点灯期間におけるデューティ比、及び各発光グループGr、Gg、Gbにそれぞれ供給される直流電流Imが実際に流れている直流電流Imの振幅の少なくとも一方を変えるようにしてもよい。
【0145】
また、電力制御回路110a、110bが出力する直流電流Imが実際に流れているときの直流電流Imの振幅を検出し、検出した直流電流Imに基づいて、各発光グループGr、Gg、Gbに供給される電力が目標電力となるようにCPU120がフィードバック制御するようにしてもよい。
【0146】
また、上記実施例では、電力供給制御において、上述したステップS1404やステップS1416で、目標電力に対応した直流電流Imを、電力制御回路110aのPWM制御部及び振幅制御部、及び電力制御回路110bのPWM制御部及び振幅制御部を制御して各発光グループに供給するとしたが、照明パネル201a〜201cの各発光グループGr、Gg、Gbの目標電力及び点灯期間が算出された後、各発光グループGr、Gg、Gbに供給する直流電流Imのデューティ比及び直流電流Imが実際に流れるときの直流電流Imの振幅の大きさを求めてメモリ等に記憶し、上述したステップS1404やステップS1416では、メモリに記憶したデューティ比及び直流電流Imの振幅の大きさを使用して、各発光グループGr、Gg、Gbに供給する直流電流Imを制御するようにしてもよい。
【0147】
また、上記実施例では、電力制御回路110a、110bから照明パネル201a〜201c毎に、各発光グループGr、Gg、Gbへ電力の供給制御を行うようにしたが、何れの照明パネルに配置されているかに関わりなく、発光グループ毎に電力の供給制御を行うようにしてもよい。
【0148】
(電力供給制御の変形例)
上記第2実施例の変形例について以下に説明する。この変形例では、第2実施例に対して、各電力制御回路に接続されている発光グループの有無を調査するという点が異なり、また、前述した第1実施例の変形例に対して、1つの電力制御回路のみで全ての切り換え回路の接続状態を探索するという点が異なっており、その他の制御は共通している。従って、共通の制御については説明を省略し、相違点についてのみ説明する。
【0149】
図21には、有機EL照明システム101の電力供給制御方法の変形例のフローチャート、図22には図21に示す接続状態探索ルーチンのフローチャートをそれぞれ示しており、当該フローチャートを用いて以下に説明する。なお、上記第1実施例の変形例と同様に、各接続端子には、個々を識別するためのアドレス等の個体情報が予め付与されているものとする。また、切り換え回路SW1r〜SW3r、SW1g〜SW3g、SW1b〜SW3bのそれぞれにも予め個体情報が付与されているものとする。また、接続状態探索ルーチンで切り換え回路の接続端子に電流を供給するために使用する電力制御回路は、電力制御回路110a、110bのいずれか一方でよく、本実施例では電力制御回路110aを使用する。
【0150】
ステップS101では、有機EL照明システム101を構成する全ての照明パネルに配置されている切り換え回路SW1r〜SW3r、SW1g〜SW3g、SW1b〜SW3bの各接続端子に接続されている各発光グループGr、Gg、Gbの接続状態を探索する接続状態探索ルーチンを実行する(接続状態探査ステップ)。接続状態探索ルーチンの詳細は、図21に基づき以下に説明する。
【0151】
ステップS1011では、カウンタnが切り換え回路SW1〜SW3の総数N以下であるか否かを判定する。ここで、カウンタnは、全ての切り換え回路SW1〜SW3の数をカウントするためのものであり、本ルーチンが開始される前に0に初期化されているものとする。当該判定結果が真(Yes)の場合にはステップS1012へ進む。
【0152】
ステップS1012では、n番目の切り換え回路の所定の接続端子と電力制御回路110aとの接続を切り換えて、接続端子に電力制御回路110aが電流を供給し、当該接続端子の電圧をCPU120が検出する。続くステップS1013では、上記ステップS1012で検出した接続端子の電圧が規定値以下であるか否かを判定する。当該判定結果が真(Yes)の場合にはステップS1015へ進み、偽(No)の場合には、ステップS1014へ進む。
【0153】
ステップS1014では、接続端子に発光グループが接続されていないとして、CPU120が当該接続端子の個体情報をメモリ等の記憶手段に登録し、ステップS1015へ進む。ステップS1015では、n番目の切り換え回路の接続端子うち、接続状態を確認していない接続端子の有無を判定する。当該判定結果が真(Yes)の場合には、未探索の接続端子が存在するとしてステップS1012へ戻る。一方、当該判定結果が偽(No)の場合には、n番目の切り換え回路の接続端子は全て接続状態の確認が終了したとして、ステップS1016へ進む。ステップS1016では、切り換え回路のカウンタnをインクリメントして、次の切り換え回路の接続状態を探索するためにステップS1011へ戻る。
【0154】
このように、全ての切り換え回路SW1r〜SW3r、SW1g〜SW3g、SW1b〜SW3bのそれぞれが有する接続端子の接続状態を探索し、発光グループが接続されていない接続端子を検出した場合には、当該接続端子を除外して電力供給制御を行うことにより、上記第1実施例と同様の効果を得ることができる。
【0155】
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。
【0156】
上記第1実施例では、有機EL照明システム1が照明パネル2a〜2cの3つから構成しているが、照明パネルの枚数はこれに限られるものではなく、多くても少なくてもよい。
【0157】
また、上記第2実施例では、電力制御回路と照明パネルとの数が異なる構成としているが、電力制御回路と照明パネルとの数が同じであってもよい。但し、照明パネルの数が電力制御回路の数以上であることとする。
【0158】
また、上記各実施例は、有機EL照明システムとして説明したが、本発明はディスプレイのバックライトに使用されるものではない。
【符号の説明】
【0159】
1、101 有機EL照明システム
2a〜2c、201a〜201c 照明パネル(発光ユニット)
4 有機EL素子
10R、10G、10B、110a、110b 電力制御回路
12、120 CPU(制御手段、電力量演算手段、電流検出手段)
14 給電線路
22 振幅制御部
24 PWM制御部
Gr、Gg、Gb 発光グループ(発光単位)
SWr、SWg、SWb、SW1r〜SW3r、SW1g〜SW3g、SW1b〜SW3b 切り換え回路(切換手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光色の異なる複数の発光単位をそれぞれが有する複数の発光ユニットと、
各発光ユニットに共通する発光色の発光単位群毎に対応して設けられ、それぞれが対応する発光単位群に電力を供給する複数の電力制御回路と、
前記電力制御回路毎に対応して設けられ、前記電力制御回路から該電力制御回路に対応する発光単位群の各発光単位に対し、商用電源に同期させることにより生成した商用電源周波数の整数倍の周波数に相当する周期に設定された制御周期、または前記商用電源に同期させずに商用電源周波数の整数倍の周波数とは異なる周波数に相当する周期に設定された制御周期を分割した点灯期間毎に発光単位を切り換えながら前記電力制御回路からの電力を供給する給電切換回路と、
前記発光ユニットのそれぞれに要求される発光特性に基づいて、各発光単位に供給すべき目標電力量を定める電力量演算手段と、
前記電力制御回路から、該電力制御回路に対応する発光単位群に供給される電流を検出する電流検出手段と、
前記給電切換回路を制御すると共に、前記給電切換回路による発光単位の切換に対応して、前記電流検出手段が検出した電流に基づき、前記電力制御回路のそれぞれから、該電力制御回路に対応する発光単位群の各発光単位に供給される電力が目標電力となるように、前記電力制御回路のそれぞれが出力する電流及び前記点灯期間において実際に電流を供給する期間のデューティ比の少なくとも一方をフィードバック制御して電力供給制御を行う制御手段とを備え、
前記発光単位は、同一の発光色の1つ以上の有機EL素子からなることを特徴とする有機EL照明システム。
【請求項2】
前記給電切換回路は、前記発光ユニットの少なくともいずれか1つに配置されることを特徴とする請求項1に記載の有機EL照明システム。
【請求項3】
前記電力制御回路は、前記発光ユニットの少なくともいずれか1つに配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の有機EL照明システム。
【請求項4】
それぞれが1つ以上の有機EL素子から構成される複数の発光単位と、
該複数の発光単位に電力を供給する複数の電力制御回路と、
商用電源に同期させることにより生成した商用電源周波数の整数倍の周波数に相当する周期に設定された制御周期、または前記商用電源に同期させずに商用電源周波数の整数倍の周波数とは異なる周波数に相当する周期に設定された制御周期を分割した点灯期間毎に前記複数の発光単位と前記電力制御回路との接続を切り換える給電切換回路と、
要求された前記発光単位の発光特性に基づいて前記発光単位毎に供給すべき目標電力量を定める電力量演算手段と、
前記発光単位毎の目標電力量に基づき、前記各発光単位への供給電力がそれぞれ目標値となるように、制御周期毎に前記給電切換回路及び前記電力制御回路を制御し、1制御周期内に前記電力制御回路のいずれかから前記発光単位のそれぞれに電力が供給されるよう、前記点灯期間毎に前記給電切換回路の接続を切り換えながら、前記電力制御回路のそれぞれが出力する電流及び前記点灯期間において実際に電流を供給する期間のデューティ比の少なくとも一方を制御して電力供給制御を行う制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記電力制御回路が供給するそれぞれの合計電力が均等に近付くように、前記電力制御回路のそれぞれが出力する電力を前記目標電力量に応じて前記点灯期間毎に割り振って、前記電力供給制御を行うことを特徴とする有機EL照明システム。
【請求項5】
前記制御手段は、さらに、前記発光単位毎に求めた目標電力量に基づき、前記発光単位毎に、前記点灯期間の長さを調整して制御することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の有機EL照明システム。
【請求項6】
前記発光単位は、同一の発光色の1つ以上の有機EL素子からなることを特徴とする請求項4または5に記載の有機EL照明システム。
【請求項7】
前記発光単位と前記電力制御回路とは、ツイストペアケーブルを介して接続されることを特徴とする請求項1、2、及び4乃至6のいずれかに記載の有機EL照明システム。
【請求項8】
前記制御周期は、50Hz以上の周波数に相当する周期であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の有機EL照明システム。
【請求項9】
前記制御周期は、15kHz以下の周波数に相当する周期であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の有機EL照明システム。
【請求項10】
前記給電切換回路は、それぞれに1つずつ前記発光単位を接続可能な接続端子を複数有し、
前記制御手段は、前記接続端子のそれぞれについて前記発光単位の接続状態を探査し、前記発光単位が接続されていない接続端子を除外して前記電力供給制御を行うことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の有機EL照明システム。
【請求項11】
前記商用電源周波数の整数倍の周波数とは異なる周波数とは、前記商用電源周波数の整数倍の周波数からの偏差が5%以上の周波数であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の有機EL照明システム。
【請求項12】
発光色の異なる複数の前記発光単位をそれぞれが有する複数の発光ユニットと、各発光ユニットに共通する発光単位群毎に対応して設けられ、それぞれが対応する発光単位群に電力を供給する複数の電力制御回路と、前記電力制御回路毎に対応して設けられ、該電力制御回路に対応する発光単位群の各発光単位に対し、商用電源に同期させることにより生成した商用電源周波数の整数倍の周波数に相当する周期に設定された制御周期、または前記商用電源に同期させずに商用電源周波数の整数倍の周波数とは異なる周波数に相当する周期に設定された制御周期を区分した点灯期間毎に切り換えながら電力を供給する給電切換回路とを備え、前記発光単位は同一の発光色の1つ以上の有機EL素子からなる有機EL照明システムの制御方法であって、
前記発光ユニットのそれぞれに要求される発光特性に基づき、各発光単位に供給すべき目標電力量を定める電力演算ステップと、
前記電力制御回路から、該電力制御回路に対応する発光単位群に供給される電流を電流検出手段により検出する電流検出ステップと、
前記給電切換回路を制御すると共に、前記給電切換回路による発光単位の切り換えに対応して、前記電流検出ステップで検出された電流に基づき、前記電力制御回路のそれぞれから、該電力制御回路に対応する発光単位群の各発光単位に供給される電力が目標電力となるように、前記電力制御回路のそれぞれが出力する電流及び制御周期を区分した点灯期間において実際に電流を供給する期間のデューティ比の少なくとも一方をフィードバック制御して電力供給制御を実行する電力供給制御ステップと、
を備えることを特徴とする有機EL照明システムの制御方法。
【請求項13】
それぞれが1つ以上の有機EL素子から構成される複数の発光単位と、該複数の発光単位に電力を供給する複数の電力制御回路と、商用電源に同期させることにより生成した商用電源周波数の整数倍の周波数に相当する周期に設定された制御周期、または前記商用電源に同期させずに商用電源周波数の整数倍の周波数とは異なる周波数に相当する周期に設定された制御周期を分割した点灯期間毎に前記複数の発光単位と前記電力制御回路のそれぞれとの接続を切り換える給電切換回路とを備えた有機EL照明システムの制御方法であって、
要求された前記発光単位の発光特性に基づいて前記発光単位毎に供給すべき目標電力量を定める電力演算ステップと、
前記発光単位毎の目標電力量に基づき、前記各発光単位への供給電力がそれぞれ目標値となるように制御周期毎に前記給電切換回路及び前記電力制御回路を制御し、1制御周期内に前記電力制御回路のいずれかから前記発光単位のそれぞれに電力が供給されるよう、前記制御周期を分割した点灯期間毎に前記給電切換回路の接続を切り換えながら、前記電力制御回路のそれぞれが出力する電流及び前記点灯期間において実際に電流を供給する期間のデューティ比の少なくとも一方を制御して電力供給制御を行う電力供給制御ステップとを備え、
該電力供給制御ステップは、前記電力制御回路が供給するそれぞれの合計電力が均等に近付くように、前記電力制御回路のそれぞれが出力する電力を前記目標電力量に応じて前記点灯期間毎に割り振って、前記電力供給制御を行うことを特徴とする有機EL照明システムの制御方法。
【請求項14】
前記電力供給制御ステップは、さらに、前記発光単位毎に求めた目標電力量に基づき、前記発光単位毎に、前記点灯期間の長さを調整することを特徴とする請求項12または13に記載の有機EL照明システムの制御方法。
【請求項15】
前記給電切換回路は、それぞれに1つずつ前記発光単位を接続可能な接続端子を複数有し、
前記電力供給制御ステップの前に、前記接続端子のそれぞれについて前記発光単位との接続状態を探査する接続状態探査ステップをさらに備え、
前記電力供給制御ステップは、前記接続状態探査ステップで探査された前記発光単位が接続されていない接続端子を除外して行われることを特徴とする請求項12乃至14のいずれかに記載の有機EL照明システムの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−243723(P2012−243723A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115903(P2011−115903)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【Fターム(参考)】