説明

有機EL表示装置用カラーフィルタ、及びそれを具備する有機EL表示装置

【課題】「白色EL+CF方式」の有機ELディスプレイにおいて、NTSC規格を満たす表示が可能なカラーフィルタを提供すること。
【解決手段】白色発光の有機EL素子と少なくとも赤色、緑色、青色の画素を持つカラーフィルタを組み合わせた有機EL表示装置に用いられるカラーフィルタであって、該カラーフィルタの緑色画素の475nmと595nmにおける透過率が2.0%以下であり、かつ400nm乃至700nmにおける最大透過率が40%以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルタ及びそれを具備する有機EL表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置としては、近年有機エレクトロルミネッセンス(以下、有機EL)が注目を浴びている。液晶表示装置と比較すると、より薄型で消費電力も少ないことが特徴である。
【0003】
有機ELをフルカラーの表示装置として用いる方法には3つの方法が挙げられる。即ち、第一に、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の画素をそれぞれの色の発光体で画素を形成し、フルカラー表示する「RGB塗りわけ方式」がある。この第一の方法は、最も構造が単純であり、既に携帯電話用などの小型表示装置で実用化されているが、大型化が困難であり、テレビなどの用途には不向きである。(特許文献1)。
【0004】
第二に青色有機ELの発光層を形成し、緑色画素、赤色画素は、それぞれ青色有機ELの光吸収しより長波長の緑色、赤色の発光を取り出すことで、三原色を取り出す「色変換(CCM)方式」がある。この第二の方法は、青色発光層の直上に色変換層を形成する必要があり、そのプロセスの煩雑さから実用化は困難である(特許文献2)。
【0005】
第三に白色に発光する有機EL層を形成し、その上にRGB各色のカラーフィルタ(CF)を載せることで、三原色を取り出す「白色EL+CF方式」がある。この第三の方法では、発光層である、白色有機EL層がその他の方式と比較して容易に形成できる点、さらにフルカラー化に必要なカラーフィルタは液晶表示装置用途で技術確立されており、容易に製造が可能であるため、テレビ受像機などの大型ディスプレイ用途に最も有望視されている(特許文献3)。
【0006】
以上の点から、今後のテレビ受像機として、白色LEDを光源とした液晶表示装置や「白色EL+CF方式」が有力になっていく。いずれの表示装置においても、色再現域の向上が強く望まれており、特にNTSC規格(National Television Standards Committee:アメリカテレビジョン標準化委員会が定めた地上波アナログカラーテレビ放送の規格)の色再現域を満たす表示装置に対する要望が強いが、白色LEDを用いた液晶表示装置においても、「白色EL+CF方式」の有機EL装置においても困難であった。
【0007】
なぜなら、赤色や青色はこれまで用いられている材料でも、容易にNTSC規格の色度を満たすことが可能であるが、緑色は、液晶表示装置用とで一般的な材料、例えば緑色顔料であるC.I.Pigment Green36、58、黄色顔料では、C.I.Pigment Yellow 138、139、150、185などを用いた場合、黄色味が強い(CIE1931のXYZ表色系における色度座標上でxの数値が比較的大きい)緑色になってしまい、NTSCの緑色のxy色度座標(0.21、0.71)という青味の強い(CIE1931のXYZ表色系における色度座標上でxの数値が比較的小さい)緑色を再現するのは非常に困難であった。
【0008】
また、カラーフィルタGBの三原色とシアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)の補色を加えた多元色カラーフィルタを用いることで色再現域を拡張する発明がなされているが、この方法では再現できる範囲は広がり、NTSC規格と同程度の色再現範囲が得られるが、NTSC規格の緑色を表現できる訳ではない(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平3−214593号公報
【特許文献2】特開平9−208944号公報
【特許文献3】特開平11−185955号公報
【特許文献4】特開2008-287926公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
以上の点から、これら表示装置に置いてNTSC規格の色度座標に近い緑色を表示できるカラーフィルタの開発が強く望まれており、本発明は、上記事情にかんがみてなされ、「白色EL+CF方式」の有機ELディスプレイにおいて、NTSC規格を満たす表示が可能なカラーフィルタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、白色発光の有機EL素子と少なくとも赤色、緑色、青色の画素を持つカラーフィルタを組み合わせた有機EL表示装置に用いられるカラーフィルタであって、該カラーフィルタの緑色画素の475nmと595nmにおける透過率が2.0%以下であり、且つ400nm乃至700nmにおける最大透過率が40%以上であることを特徴とする有機EL表示装置用カラーフィルタである。
【0012】
また、請求項2に記載の発明は、前記緑色の画素を形成するために用いる緑色着色組成物が、少なくともC.I.Pigment Green7とC.I.Pigment Blue 15:3と黄色顔料を含むことを特徴とする請求項1に記載の有機EL表示装置用カラーフィルタである。
【0013】
また、請求項3に記載の発明は前記黄色顔料が、C.I.Pigment Yellow 138、C.I.Pigment Yellow 139及びC.I.Pigment Yellow 150の中から選ばれる少なくともひとつを含むことを特徴とする請求項2に記載の有機EL表示装置用カラーフィルタである。
【0014】
また、請求項4に記載の発明は、白色発光の有機EL素子と少なくとも赤色、緑色、青色の画素を持つカラーフィルタを組み合わせた有機EL表示装置に用いられるカラーフィルタであって、該カラーフィルタの緑色画素が、C光源で計算したCIE1931のXYZ表色系における(x、y)色度座標が(0.17、0.65)、(0.20、0.65)、(0.17、0.70)、(0.20、0.70)の4点に囲まれた範囲に入ることを特徴とする有機EL表示装置用カラーフィルタである。
【0015】
また、請求項5に記載の発明は、前記緑色の画素を形成するために用いる緑色着色組成物が、少なくともC.I.Pigment Green7とC.I.Pigment Blue 15:3と黄色顔料を含むことを特徴とする請求項4に記載の有機EL表示装置用カラーフィルタである。
【0016】
また、請求項6に記載の発明は、前記黄色顔料が、C.I.Pigment Yellow 138、C.I.Pigment Yellow 139及びC.I.Pigment Yellow 150の中から選ばれる少なくともひとつを含むことを特徴とする請求項5に記載の有機EL表示装置用カラーフィルタである。
【0017】
また、請求項7に記載の発明は、有機EL素子の発光スペクトルと、カラーフィルタの緑色画素の分光透過率スペクトルから算出したCIE1931表色系(XYZ表色系)における色度(x、y)が(0.20、0.65)、(0.22、0.69)、(0.20、0.72)、(0.22、0.72)の4点に囲まれる範囲に入ることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の有機EL表示装置用カラーフィルタである。
【0018】
また、請求項8に記載の発明は、請求項1から7のいずれか一項に記載の有機EL表示装置用カラーフィルタを具備したことを特徴とする有機EL表示装置である。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、高い色純度の緑色を表示可能な有機ELディスプレイ用のカラーフィルタが提供され、さらに、NTSC規格の色度範囲の包含率が高い「白色EL+CF方式」の有機ELディスプレイが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】カラーフィルタの構造の一例を示す概略断面図である。
【図2】白色発光有機EL素子におけるトップエミッション型の構造の一例を示す概略断面図である。
【図3】白色発光有機EL素子におけるボトムエミッション型の構造の一例を示す概略断面図である。
【図4】有機EL表示装置の一例を示す概略断面図である。
【図5】有機EL表示装置の一例を示す概略断面図である。
【図6】有機EL表示装置の一例を示す概略断面図である。
【図7】本発明の実施例にかかわる有機EL素子、及び有機EL表示装置の概略断面図である。
【図8】本発明の実施例にかかる有機EL素子の発光スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下本発明を実施するための形態を、詳細に説明する。本発明にかかわる第一の実施形態は、「白色EL+CF方式」の有機EL表示装置30に用いる有機EL表示装置用カラーフィルタ10であって、該有機EL表示装置用カラーフィルタ10の緑色画素3Gに使用する色材が、少なくともC.I.Pigment Green7、C.I.Pigment Blue15:3及び黄色顔料を含み、且つ該有機EL表示装置用カラーフィルタ10における緑色画素3Gの透過率スペクトルにおいて、475nmにおける透過率が2.0%以下であり、さらに595nmにおける透過率が2.0%以下であり、さらに400nmから700nmの範囲での最大透過率波長が500nmから550nmの範囲に入る有機EL表示装置用カラーフィルタ10である。
【0022】
上記白色とは、光の三原色である、赤色、緑色、青色の成分を含むことを意味する。したがって、可視領域に幅広く発光スペクトルが分布する有機EL素子20であり、発光ピークは2つあるいはそれ以上有するものである。外観上、白色に見えるものであれば良く、例えば青色と黄色の発光成分を持つ有機EL素子でも、擬似的に白色が再現しても良い。
【0023】
該有機EL表示装置用カラーフィルタ10における着色材料は、少なくともC.I.Pigment Green 7とC.I.Pigment Blue 15:3及び黄色顔料を含む。該有機EL表示装置用カラーフィルタ10の緑色の着色画素3を形成するために用いる着色組成物において、顔料の質量濃度は、好ましくは0.1%乃至50%、より好ましくは1%乃至45%、さらに好ましくは10%乃至40%である。
【0024】
0.1%未満では、顔料濃度が薄いため、有機EL表示装置用カラーフィルタ10として十分な色の着色画素3を形成するためには、着色画素3の膜厚を非常に厚くしなくてはならないため、画素形成が困難であり、生産性も悪化するため実用上難点があり、50%を越えると、顔料を分散化するための樹脂の量が少なくなり、不安定になり、顔料の凝集による増粘やコントラストの低下(粗大粒子による光の散乱)の原因となる。
【0025】
C.I.PigmentBlue15:3は全顔料中の質量比率で0.1%乃至50%が好ましく、より好ましくは0.5%乃至40%、さらに好ましくは0.5%乃至30%である。C.I.Pigment Blue15:3の質量比率が0.1%未満では有機EL表示装置用カラーフィルタ10の色相の黄味が強くNTSCのGreenを再現することが難しい。一方、50%を越えると透過率が低くなりすぎるため本発明の有機EL表示装置用カラーフィルタ10を使用した有機EL表示装置30における光源の利用効率が悪化する。
【0026】
C.I.Pigment Green7は全顔料中の質量比率は3%乃至70%であることが好ましい。より好ましくは10%乃至65%、さらに好ましくは15%乃至65%である。質量比率は3%未満では色の調整に必要なC.I.Pigment Blue15:3と黄色顔料の量が多く必要になるため、顔料全体の濃度が高くなってしまう。一方、70%以上では色の調整に用いるC.I.Pigment Blue15:3と黄色顔料の量が少なすぎるため、NTSCを満たすだけの十分な色の濃さを得られない。
【0027】
黄色顔料としては例えばC.I. Pigment Yellow 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、86、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、125、126、127、128、129、137、138、139、144、146、147、148、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、199、213、214等が挙げられるが、特にC.I. PigmentYellow138、139、150、185が好適に用いられる。
【0028】
これらの顔料のほかにも、色相が大きく変わらず、透過率の大幅な低減がない範囲であればその他の着色材料を含んでも良い。着色材料としては、特に限定しないが公知の顔料若しくは染料を特に制限なく使用することができる。
【0029】
緑色顔料としては、例えばC.I. Pigment Green10、36、37、58等の緑色顔料を用いることができるが、特にC.I. Pigment Green7、36、58が好適に用いられる。
【0030】
青色顔料としては、例えばC.I. Pigment Blue1、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、80等が挙げられるが、特にC.I. Pigment Blue 1、15:3を用いることができる。
【0031】
染料としては、C.I.AcidGreen25、27、C.I.AcidBlue22、25、40、78、92、113、129、167、230、C.I.AcidYellow17、23、25、36、38、42、44、72、78、C.I.SolventYellow2、3、7、12、13、14、16、18、19、21、25、25:1、27、28、29、30、33、34、36、42、43、44、47、56、62、72、73、77、79、81、82、83、83:1、88、89、90、93、94、96、98、104、107、114、116、117、124、130、131、133、135、141、143、145、146、157、160:1、161、162、163、167、169、172、174、175、176、179、180、181、182、183、184、185、186、187、189、190、191、C.I.SolventBlue2、3、4、5、7、18、25、26、35、36、37、38、43、44、45、48、51、58、59、59:1、63、64、67、68、69、70、78、79、83、94、97、98、100、101、102、104、105、111、112、122、124、128、129、132、136、137、138、139、143、C.I.SolventGreen1、3、4、5、7、28、29、32、33、34、35、C.I.BasicGreen3、4、C.I.BasicBlue3、7、9、17、41、66、C.I.BasicViolet1、3、18、39、66、C.I.BasicYellow11、23、25、28、41、C.I.DisperseBlue3、24、79、82、87、106、125、165、183、C.I.DisperseViolet1、6、12、26、27、28、C.I.DisperseYellow3、4、5、7、23、33、42、60、64、などが挙げられる。
【0032】
着色組成物中における染料の質量濃度は、好ましくは0.1%乃至20%、より好ましくは0.5%乃至18%、さらに好ましくは0.5%乃至15%である。染料の濃度が0.1%未満では、染料濃度が薄いため、有機EL表示装置用カラーフィルタ10として十分な色の着色画素3を形成するためには、着色画素3の膜厚を非常に厚くしなくてはならないため、画素形成が困難であり、生産性も悪化するため実用上難点がある。また、20%を越えると、濃度が高すぎるため、染料が十分に溶解せず、結晶が析出する恐れがあり、さらに着色画素3の形成のために着色組成物を基板上に塗布し、有機溶剤を乾燥する際にも、染料が析出する恐れがある。これらの顔料、染料は所望する色相を発現するために、一種あるいは複数用いることができる。
【0033】
本発明にかかわる有機EL表示装置用カラーフィルタ10には、緑色画素3Gのほかに、赤色、青色及び必要に応じてその他の色(例えば補色であるシアン、マゼンダ、黄色)の着色画素3を有している。これらの着色画素3に用いられる着色材料は特に制限はなく、公知の顔料あるいは染料を用いることができる。
【0034】
例えば、これまでに例示した顔料あるいは染料のほかに、赤色顔料として、C.I.Pigment Red 7、9、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、97、122、123、146、149、168、177、178、179、180、184、185、187、192、200、202、208、210、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、242、246、254、255、264、272、279等が挙げられるが、特にC.I.Pigment Red177、242、254が好適に用いられる。
【0035】
橙色顔料としては例えばC.I. Pigment Orange 36、43、51、55、59、61、71、73等が挙げられるが、C.I.Pigment Orange36が好適に用いられる。また、紫色顔料として、C.I. Pigment Violet 1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50等が用いられるが、特にC.I. Pigment Violet 23が好適に用いられる。
【0036】
また、無機顔料としては、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミ
ウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑等の金属酸化物粉、金属硫化物粉、金属粉等が挙げられる。無機顔料は、彩度と明度のバランスを取りつつ良好な塗布性、感度、現像性等を確保するために、有機顔料と組み合わせて用いられる。
【0037】
これまでに述べてきた顔料は、有機EL表示装置用カラーフィルタ10の高透過率化を実現させるため、微細化処理されていることが好ましく、また一次粒子径が小さいことが好ましい。顔料の一次粒子径は、顔料を透過型電子顕微鏡で撮り、その写真の画像解析を行い算出した。ここでいう一次粒子径は、個数粒度分布の積算曲線において積算量が全体の50%に相当する粒子径(円相当径)を表す。
【0038】
顔料の一次粒子径は、150nm以下であることが好ましく、より好ましくは100nm以下であり、さらに好ましくは40nm以下である。また、一次粒子径は5nm以上であることが好ましい。
【0039】
顔料の一次粒子径が上限値より大きい場合には、顔料による光散乱によって透過率が低下する。また、下限値より小さい場合は、顔料分散が難しくなり、着色組成物としての安定性を保ち、流動性を確保することが困難になる。その結果、有機EL表示装置用カラーフィルタ10の輝度、色特性が悪化する。
【0040】
顔料の一次粒子径を制御する手段としては、顔料を機械的に粉砕して一次粒子径を制御する方法(磨砕法と呼ぶ)、良溶媒に溶解したものを貧溶媒に投入して所望の一次粒子径の顔料を析出させる方法(析出法と呼ぶ)、及び合成時に所望の一次粒子径の顔料を製造する方法(合成析出法と呼ぶ)等がある。使用する顔料の合成法や化学的性質等により、個々の顔料について適当な方法を選択して行うことができる。
【0041】
以下にそれぞれの方法について説明するが、本発明に用いる着色組成物に含まれる顔料の一次粒子径の制御方法は、上記方法のいずれを用いてもよい。磨砕法は、顔料をボールミル、サンドミル又はニーダーなどを用いて、食塩等の水溶性の無機塩などを、磨砕剤及びそれを溶解しない水溶性有機溶剤とともに機械的に混練(以下、この処理をソルトミリングと呼ぶ)した後、無機塩と有機溶剤を水洗除去し、乾燥することにより所望の一次粒子径の顔料を得る方法である。ただし、ソルトミリング処理により、顔料が結晶成長する場合があるため、処理時に上記有機溶剤に少なくとも一部溶解する固形の樹脂や顔料分散剤を加えて、結晶成長を防ぐ方法が有効である。
【0042】
顔料と無機塩の比率は、無機塩の比率が多くなると顔料の微細化効率は良くなるが、顔料の処理量が少なくなるために生産性が低下する。一般的には、顔料が1重量部に対して無機塩を1〜30重量部、好ましくは2〜20重量部用いるのが良い。また、上記水溶性有機溶剤は、顔料と無機塩とが均一な固まりとなるように加えるもので、顔料と無機塩との配合比にもよるが、通常は顔料1重量部に対して0.5〜30重量部の量で用いられる。
【0043】
上記磨砕法についてさらに具体的には、顔料と水溶性の無機塩の混合物に湿潤剤として少量の水溶性有機溶剤を加え、ニーダー等で強く練り込んだ後、この混合物を水中に投入し、ハイスピードミキサー等で攪拌しスラリー状とする。次に、このスラリーを濾過、水洗して乾燥することにより、所望の一次粒子径の顔料を得ることができる。
【0044】
析出法は、顔料を適当な良溶媒に溶解させたのち、貧溶媒と混ぜ合わせて、所望の一次粒子径の顔料を析出させる方法で、溶媒の種類や量、析出温度、析出速度などにより一次粒子径の大きさが制御できる。一般に顔料は溶媒に溶けにくいため、使用できる溶媒は限られるが、例として濃硫酸、ポリリン酸、クロロスルホン酸などの強酸性溶媒または液体
アンモニア、ナトリウムメチラートのジメチルホルムアミド溶液などの塩基性溶媒などが知られている。
【0045】
本法の代表例としては、酸性溶剤に顔料を溶解させた溶液を他の溶媒中に注入し、再析出させて微細粒子を得るアシッドペースティング法がある。工業的にはコストの観点から硫酸溶液を水に注入する方法が一般的である。硫酸濃度は特に限定されないが、95〜100重量%が好ましい。顔料に対する硫酸の使用量は特に限定されないが、少ないと溶液粘度が高くハンドリングが悪くなり、逆に多すぎると顔料の処理効率が低下するため、顔料に対して3〜10重量倍の硫酸を用いることが好ましい。
【0046】
なお、顔料は完全溶解している必要はない。溶解時の温度は0〜50℃が好ましく、これ以下では硫酸が凍結する恐れがあり、かつ溶解度も低くなる。温度が高すぎると副反応が起こりやすくなる。注入される水の温度は1〜60℃が好ましく、この温度以上で注入を始めると硫酸の溶解熱で沸騰して作業が危険である。これ以下の温度では凍結してしまう。注入にかける時間は顔料1部に対して0.1〜30分が好ましい。時間が長くなるほど一次粒子径は大きくなる傾向がある。
【0047】
顔料の一次粒子径の制御は、アシッドペースティング法などの析出法とソルトミリング法などの磨砕法を組み合わせた手法を選択することにより、顔料の整粒度合いを考慮しつつ行うことができ、さらにはこの時分散体としての流動性も確保できることからより好ましい。
【0048】
ソルトミリング時あるいはアシッドペースティング時には、一次粒子径制御に伴う顔料の凝集を防ぐために、下記に示す色素誘導体や樹脂型顔料分散剤、界面活性剤等の分散助剤を併用することもできる。また、一次粒子径制御を2種類以上の顔料を共存させた形で行うことにより、単独では分散が困難な顔料であっても安定な分散体として仕上げることができる。
【0049】
特殊な析出法としてロイコ法がある。フラバントロン系、ペリノン系、ペリレン系、インダントロン系等の建染染料系顔料は、アルカリ性ハイドロサルファイトで還元すると、キノン基がハイドロキノンのナトリウム塩(ロイコ化合物)になり水溶性になる。この水溶液に適当な酸化剤を加えて酸化することにより、水に不溶性の一次粒子径の小さな顔料を析出させることができる。
【0050】
合成析出法は、顔料を合成すると同時に所望の一次粒子径の顔料を析出させる方法である。しかし、生成した微細顔料を溶媒中から取り出す場合、顔料粒子が凝集して大きな二次粒子になっていないと一般的な分離法である濾過が困難になるため、通常、二次凝集がおきやすい水系で合成されるアゾ系等の顔料に適用されている。
【0051】
さらに、顔料の一次粒子径を制御する手段として、顔料を高速のサンドミル等で長時間分散すること(顔料を乾式粉砕する、いわゆるドライミリング法)により、顔料の一次粒子径を小さくすると同時に分散することも可能である。
【0052】
染料は、特に限定しないが公知の有機溶剤に可溶な染料を使用することができる。上記公知の染料としては、例えば、特開昭64−90403号公報、特開昭64−91102号公報、特開平1−94301号公報、特開平6−11614号公報、特登2592207号、米国特許第4,808,501号明細書、米国特許第5,667,920号明細書、米国特許第5,059,500号明細書、特開平5−333207号公報、特開平6−35183号公報、特開平6−51115号公報、特開平6−194828号公報等に記載の色素が挙げられる。
【0053】
これらの染料としては、酸性染料、油溶性染料、分散染料、反応性染料、直接染料等が挙げられる。例えば、アゾ系染料、ベンゾキノン系染料、ナフトキノン系染料、アントラキノン系染料、シアニン系染料、スクアリリウム系染料、クロコニウム系染料、メロシアニン系染料、スチルベン系染料、ジアリールメタン系染料、トリアリールメタン系染料、フルオラン系染料、スピロピラン系染料、フタロシアニン系染料、インジゴ系染料、フルギド系染料、ニッケル錯体系染料、及びアズレン系染料が挙げられる。具体的には、これまでに例示した染料のほかに、カラーインデックス番号で以下のものが挙げられる。
【0054】
C.I.SolventOrange1、2、3、4、5、7、11、14、20、23、25、31、40:1、41、45、54、56、58、60、62、63、70、75、77、80、81、86、99、102、103、105、106、107、108、109、110、111、112、113、C.I.SolventRed1、2、3、4、8、16、17、18、19、23、24、25、26、27、30、33、35、41、43、45、48、49、52、68、69、72、73、83:1、84:1、89、90、90:1、91、92、106、109、110、118、119、122、124、125、127、130、132、135、141、143、145、146、149、150、151、155、160、161、164、164:1、165、166、168、169、172、175、179、180、181、182、195、196、197、198、207、208、210、212、214、215、218、222、223、225、227、229、230、233、234、235、236、238、239、240、241、242、243、244、245、247、248、C.I.SolventViolet2、8、9、11、13、14、21、21:1、26、31、36、37、38、45、46、47、48、49、50、51、55、56、57、58、59、60、61、C.I.Solvent Brown1、3、4、5、12、20、22、28、38、41、42、43、44、52、53、59、60、61、62、63、C.I.SolventBlack3、5、5:2、7、13、22、22:1、26、27、28、29、34、35、43、45、46、48、49、50、C.I.AcidRed6、11、26、60、88、111、186、215、C.I.BasicRed1、2、13、14、22、27、29、39、C.I.DirectRed4、23、31、75、76、79、80、81、83、84、149、224、C.I.DirectGreen26、28、C.I.DirectBlue71、78、98、106、108、192、201、C.I.DirectViolet51、C.I.DirectYellow26、27、28、33、44、50、86、142、C.I.DirectOrange26、29、34、37、72、C.I.SulphurRed5、6、7、C.I.SulphurGreen2、3、6、C.I.SulphurBlue2、3、7、9、13、15、C.I.SulphurViolet2、3、4、C.I.SulphurYellow4、C.I.VatRed13、21、23、28、29、48、C.I.VatGreen3、5、8、C.I.VatBlue6、14、26、30、C.I.VatViolet1、3、9、13、15、16、C.I.VatYellow2、12、20、33、C.I.VatOrange2、5、11、15、18、20、C.I.AzoicCouplingComponent2、3、4、5、7、8、9、10、11、13、32、37、41、48、C.I.ReactiveRed8、22、46、120、C.I.ReactiveBlue1、2、7、19、C.I.ReactiveViolet2、4、C.I.ReactiveYellow1、2、4、14、16、C.I.ReactiveOrange1、4、7、13、16、20、C.I.DisperseRed4、11、54、55、58、65、73、127、129、141、196、210、229、354、356、C.I.DisperseOrange13、29、30。これらの染料は、所望の分光スペクトルを発現させるために、単独で用いることも、2種類以上組み合わせて用いることもできる。
【0055】
着色組成物中における染料の質量濃度は、好ましくは0.1%乃至20%、より好ましくは0.5%乃至18%、さらに好ましくは0.5%乃至15%である。染料の濃度が0.1%未満では、染料濃度が薄いため、カラーフィルタとして十分な色の着色画素を形成するためには、着色画素3の膜厚を非常に厚くしなくてはならないため、画素形成3が困難であり、生産性も悪化するため実用上難点がある。また、20%を越えると、濃度が高すぎるため、染料が十分に溶解せず、結晶が析出する恐れがあり、さらに着色画素3の形成のために着色組成物を基板上に塗布し、有機溶剤を乾燥する際にも、染料が析出する恐れがある。
【0056】
本発明の有機EL表示装置用カラーフィルタ10の着色画素3を形成するために用いる着色組成物には、顔料担体としてバインダー樹脂及び樹脂の前駆体(以下、モノマー)を含有する。バインダー樹脂は、透明樹脂、その前駆体またはそれらの混合物により構成される。透明樹脂は、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の樹脂である。
【0057】
透明樹脂には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、及び感光性樹脂が含まれ、その前駆体には、放射線照射により硬化して透明樹脂を生成するモノマー若しくはオリゴマーが含まれ、これらを単独で又は2種以上混合して用いることができる。
【0058】
バインダー樹脂は、着色組成物中の顔料100重量部に対して、30〜700重量部、好ましくは60〜450重量部の量で用いることができる。また、透明樹脂とその前駆体との混合物をバインダー樹脂として用いる場合には、透明樹脂は、着色組成物中の顔料100重量部に対して、20〜400重量部、好ましくは50〜250重量部の量で用いることができる。また、透明樹脂の前駆体は、着色組成物中の顔料100重量部に対して、10〜300重量部、好ましくは10〜200重量部の量で用いることができる。
【0059】
熱可塑性樹脂としては、例えば、ブチラール樹脂、スチレン-マレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン、ポリブタジエン、ポリイミド樹脂などが挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。中でも透明性の観点からアクリル系樹脂が好適に用いられる。
【0060】
活性エネルギー線硬化性樹脂としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基などの反応性の置換基を有する線状高分子にイソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等の反応性置換基を有する(メタ)アクリル化合物やケイヒ酸を反応させて、(メタ)アクリロイル基、スチリル基等の光架橋性基を該線状高分子に導入した樹脂が用いられる。また、スチレン-無水マレイン酸共重合物やα-オレフィン-無水マレイン酸共重合物などの酸無水物を含む線状高分子をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなどの水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化したものも用いられる。
【0061】
透明樹脂を生成するモノマー及びオリゴマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β-カルキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレートなどの各種アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ビニルホルムアミド、アクリロニトリルなどが挙げられる。これらは、単独または2種類以上混合して用いることができる。
【0062】
モノマーとしては、公知のもの、市販のものを特に制限なく用いることができる。特に3官能以上のアクリルあるいはメタクリルモノマーが好適に用いられる。例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート及びウレタンアクリレートを、トリメチロールプロパントリアクリレートを用いて多官能化したものなどが好適に用いられる。
【0063】
本発明に係る着色画素3を形成するための着色組成物には熱硬化性化合物を用いることもできる。熱硬化性化合物を用いることで、耐薬品、耐環境性を付与することができる。熱硬化性化合物としては、エポキシ、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン化合物、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、イソシアネート化合物などが挙げられる。中でもエポキシ化合物、メラミン並びにメラミンを縮合したメラミン化合物、及びイソシアネート化合物並びにイソシアネート基をブロック剤で保護したブロックイソシアネート化合物が好適である。いずれも熱反応性官能基は一分子あたり二つ以上ある多官能化合物が好ましく、より好ましくは四官能以上の化合物である。
【0064】
エポキシ化合物は特に制限なく使用することができ、公知のものから選択することができる。エポキシ基の数は特に制限はないが、二つ以上の官能基を有するものが好ましく、より好ましくは4官能以上である。例えば、セロキサイド2021P、セロキサイド3000、EHPE‐3150(ダイセル化学工業株式会社製)、AK601、EPPNシリーズ(日本化薬株式会社製)などが挙げられる。
【0065】
メラミンは特に制限なく使用することができ、公知のメラミンから選択することができる。例えば以下にメラミン化合物を例示する。
【0066】
【化1】

式中、R1、R2、R3はそれぞれ水素原子、メチロール基、アルコキシメチル基、アルコキシn−ブチル基、R4、R5、R6はそれぞれメチロール基、アルコキシメチル基、アルコキシn−ブチル基であるが、R1からR6はアルコキシメチル基、アルコキシn−ブチル基であることがより好ましい。
【0067】
二種類以上の繰り返し単位を組み合わせたコポリマーを用いてもよい。二種類以上のホモポリマー又はコポリマーを併用してもよい。また、上記以外に1,3,5−トリアジン環を有する化合物で例えば特開2001−166144公報に記載のものを使用することができる。また下記一般式(2)に示す化合物も好んで用いられる。
【0068】
【化2】

R7からR14はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基又は複素環基であり、水素原子であることが特に好ましい。
【0069】
さらには、メラミン樹脂とイソシアネート基を含有する化合物、(及び/又は)酸無水物とを反応させてなるメラミン化合物であり、該メラミン化合物の質量平均分子量が2500以上かつ固形分酸価が60mgKOH/g以下であるとより好適である。従来のメラミン樹脂を多量に配合すると、感光性樹脂組成物の感度が低下して、十分な硬化に必要な露光時間が長くなり、生産性が悪くなるという問題があった。さらに、感光性樹脂組成物のアルカリ現像性が悪化し、現像速度が適度に調整できず現像時間が長くなることや、逆に現像速度が速すぎて塗膜が基板から剥がれやすくなるといった不具合を生じることから、メラミン樹脂の添加量には限度があり、十分な熱硬化性樹脂の効果を発揮させることが難しくなる。
【0070】
イソシアネート化合物は特に制限なく使用することができ、公知のものから選択することができる。イソシアネート基の数は特に制限はなく、脂肪族、芳香族あるいは脂環式のモノあるいはジイソシアネート、トリイソシアネート化合物が挙げられる。
【0071】
イソシアネートは反応性が高いため、ポッドライフを考慮すれば、イソシアネート基をブロック化剤で保護したブロックイソシアネートが好適である。ブロックイソシアネートは、イソシアネート基に対して、フェノール基、イミダゾール基、ピラゾール基、オキシム基、ラクタム基、アルコール基などを有するブロック化剤を用いてイソシアネート基をブロックした化合物が挙げられる。
【0072】
当該ブロック化剤としては、上記水溶性ビニル系樹脂が水溶液中において安定で、100℃から200℃程度でイソシアネート基のブロックが外れるものであればいずれでもよく、フェノール基を含有するサリチル酸メチル、イミダゾール基を含有するイミダゾール、ピラゾール基を含有する3,5−ジメチルピラゾール、オキシム基を含有するメチルエチルケトンオキシム、ラクタム基を含有するε−カプロラクタム、アルコール基を含有するエチルヘキサノールなどが挙げられるが、この限りではない。例えば、BURNOCKDB−980K(株式会社DIC社製)、デュラネート TPA−B80E(旭化成ケミカルズ社製)、KA−1000(三洋化成社製)などが挙げられる。
【0073】
以上の熱硬化性化合物はバインダー樹脂と一体となっていても良い。例えば、エポキシ基やイソシアネート基などがバインダー樹脂中の単位構造として組み込まれているものである。どのような形で組み込まれていても構わないが例として、アクリル樹脂に組み込む例を示す。
【0074】
アクリル樹脂にエポキシ基を導入する例としては、エポキシ基を持つアクリルモノマーとして、グリシジルアクリレートやグリシジル(メタ)クリレート、又はビニルシクロヘキセンモノオキサイド 1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン(セロキサイド2000 Z ダイセル化学工業社製)などを用いる方法が挙げられる。イソシアネート基又はブロックイソシアネート基を導入する例としては、これらの官能基を持つアクリルモノマーとして2−イソシアトエチル(メタ)クリレート(カレンズMOI 昭和電工社製)やカレンズMOI−EG(昭和電工社製)、ブロックイソシアネート基を含有するメタクリル酸2−(0−[1′−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル(カレンズMOI−BM 昭和電工社製)などを用いる方法が挙げられる。これらの熱硬化性化合物と顔料分散樹脂一体の化合物は前述の熱硬化性化合物と合わせて用いることもできる。
【0075】
これら熱硬化性化合物の含有量は、着色組成物の固形分中で5質量%乃至50質量%が
好適である。より好ましくは5%乃至40%であり、さらに好ましくは10質量%乃至40質量%である。熱硬化性化合物が5質量%未満では熱硬化性化合物の量が少なすぎるため、有機EL表示装置用カラーフィルタ10の製造工程におけるポストベーク工程において十分に着色画素3が十分に硬化しないため、その後の透明導電層27の成膜工程における加熱(スパッタリング中の加熱やその後のアニールのための加熱)の際に着色画素3が熱により収縮し、透明導電層27との間で応力が発生してシワの発生やクラックの発生の原因となる。
【0076】
一方、熱硬化性化合物の含有量が50質量%を超えると、透明導電層27の成膜工程における加熱によって熱硬化性化合物が熱反応し、それに伴う黄変によって透過率の低下がおきる。さらに、多くの熱硬化性化合物はフォトリソ工程における現像性を考慮した分子設計になっていない(具体的にはアルカリ可溶性を付与するための酸性基を持っていない、など)ため、感光性着色組成物として用いる際には現像性が劣り、残渣などの原因となる。
【0077】
本発明にかかわる有機EL表示装置用カラーフィルタ10の着色画素3を形成するために用いる着色組成物には、乾燥膜厚が0.2〜5μmとなるように塗布するために1種または2種類以上の有機溶剤を用いることができる。有機溶剤は、着色組成物を塗布する際の塗布性、乾燥性、膜厚均一性、濡れ性などの観点から粘度、表面張力、沸点、溶解度パラメータなどを考慮して選択される。例えばシクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、1-メトキシ-2-プロピルアセテート、1-エトキシ-2-プロピルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジメチルエーテル、乳酸エチル、乳酸メチル、エチルベンゼン、キシレン、エチルセロソルブ、メチル-nアミルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルトルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸イソアミル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルケトン、石油系溶剤などが挙げられるが、これらに限らない。有機溶剤は、着色組成物中の色材の合計100重量部に対して、800〜4000重量部、好ましくは1000〜2500重量部の量で用いることができる。
【0078】
本発明に係る有機EL表示装置用カラーフィルタ10の着色画素3を形成するために用いる着色組成物は、感光性組成物でも構わない。例えば、前述の有機EL表示装置用カラーフィルタ10に用いる着色組成物にさらに、少なくとも1種の光重合開始剤、及び少なくとも1種の光重合性化合物を用いた有機EL表示装置用カラーフィルタ10にも用いる含染料着色感光性組成物である。
【0079】
光重合開始剤としては、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オンなどのアセトフェノン系化合物、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタールなどのベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物、チオキサントン、2-クロルチオキサントン、2-メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントンなどのチオキサントン系化合物、2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ピペロニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシ-ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(ピペロニル)-6-トリアジン、2,4-トリクロロメチル(4’-メトキシスチリル)-6-トリアジンなどのトリアジン系化合物、1,2-オクタンジオン,1-〔4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)〕、O-(アセチル)-N-(1-フェニル-2-オキソ-2-(4’-メトキシ-ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミンなどのオキシムエステル系化合物、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドなどのホスフィン系化合物、9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノンなどのキノン系化合物、ボレート系化合物、カルバゾール系化合物、イミダゾール系化合物、チタノセン系化合物などが用いられる。これらの光重合開始剤は1種又は2種以上混合して用いることができる。光重合開始剤は、着色組成物中の顔料の合計100重量部に対して、5〜200重量部、好ましくは10〜150重量部の量で用いることができる。
【0080】
上記光重合開始剤は、単独あるいは2種以上混合して用いるか、増感剤として、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2-ジメチルアミノエチル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、N,N-ジメチルパラトルイジン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノンなどのアミン系化合物を併用することもできる。
【0081】
これらの増感剤は1種又は2種以上混合して用いることができる。増感剤は、着色組成物中の光重合開始剤100重量部に対して、0.1〜60重量部の量で用いることができる。
【0082】
さらに、連鎖移動剤としての働きをする多官能チオールを含有させることができる。多官能チオールは、チオール基を2個以上有する化合物であればよく、例えば、ヘキサンジチオール 、デカンジチオール 、1,4-ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4-ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4-ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6-トリメルカプト-s-トリアジン、2-(N,N-ジブチルアミノ)-4,6-ジメルカプト-s-トリアジンなどが挙げられる。
【0083】
これらの多官能チオールは、1種又は2種以上混合して用いることができる。多官能チオールの含有量は、着色組成物中の顔料の合計100重量部に対して、0.05〜100重量部が好ましく、好ましくは0.1〜60重量部の量で用いることができる。
【0084】
光重合性化合物は、光照射により光重合開始剤から発生した活性ラジカルや酸などによって重合し得る化合物である。光重合性化合物としては、例えば、重合性の炭素−炭素不飽和結合を有する化合物などが挙げられる。
【0085】
光重合性化合物としては、公知の光重合性化合物を特に制限なく、用いることができる。光重合性化合物としては、少なくとも1つの付加重合可能なエチレン性二重結合を有し、常圧下での沸点が100℃以上である化合物が好ましい。(メタ)アクリル化合物であることがより好ましい。感度と高硬化の観点から、前記光重合性化合物が多官能(メタ)アクリル化合物であることがさらに好ましい。
【0086】
光重合性化合物の例としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の単官能のアクリレートやメタアクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリス(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリス(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、グリセリンやトリメチロールエタン等の多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後に(メタ)アクリレート化したものなどが挙げられる。
【0087】
本発明に係る有機EL表示装置用カラーフィルタ10の着色画素3を形成するために用いる着色組成物には、組成物の経時粘度を安定化させるために、貯蔵安定剤を含有させることができ、また、透明な基板1との密着性を高めるためにシランカップリング剤などの密着向上剤を含有させることもできる。貯蔵安定剤としては、例えば、ベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸及びそのメチルエーテル、t-ブチルピロカテコール、テトラエチルホスフィン、テトラフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩などが挙げられる。
【0088】
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニルシラン類、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどの(メタ)アクリルシラン類、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどのエポキシシラン類、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノシラン類、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシランなどのチオシラン類などが挙げられる。
【0089】
本発明にかかわる有機EL表示装置用カラーフィルタ10は、本発明にかかわる緑色画素3Gのほかに、必要に応じて赤色画素3R、及び青色画素3Bを含み、さらに必要に応じて本発明の範囲外の緑色画素3G、黄色画素、シアン色画素、マゼンタ色画素、及び透明画素等が、他の色の画素を含んでいてもよい。本発明にかかわる着色画素3以外は、色顔料を含有する、色染料を含有する、若しくは、色顔料及び色染料の両方を含有する、公知の着色組成物を用いて形成して構わない。
【0090】
本実施形態にかかわる有機EL表示装置用カラーフィルタ10において、着色画素3は、好ましくは0.1μm乃至5.0μm、より好ましくは0.5μm乃至4.0μm、さらに好ましくは1.0μm乃至3.5μmの膜厚を有する。すなわち、本発明にかかわわる青色画素をフォトリソグラフィー法で形成する場合、膜厚が0.1μm未満であると画素の形成が困難になり、また、膜厚が5μmより厚くなると、組成物を塗膜として塗布形成するのが困難となるためである。
【0091】
本実施形態にかかわる有機EL表示装置用カラーフィルタ10は、透明な基板1上に、上述したカラーフィルタ用着色組成物を用いて形成された着色塗膜からなる着色画素3を具備するものである。すなわち、図1に示すように、カラーフィルタは、ガラス等の透明な基板1上に、遮光膜であるブラックマトリクス2、及び着色画素3を備えている。着色画素3は、上述した青色着色組成物を用いて形成された青色画素3B、赤色画素3R、及び緑色画素3Gからなる。
【0092】
透明な基板1としては、ソーダ石灰ガラス、低アルカリ硼珪酸ガラス、無アルカリアルミノ硼珪酸ガラスなどのガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂板が用いられる。
【0093】
各色着色画素3の形成は、例えば、印刷法、インクジェット法、フォトリソグラフィー法等により行うことができる。印刷法による各色着色画素の形成は、上記各種の印刷インキとして調製した着色組成物の印刷と乾燥をくりかえすだけでパターン化ができるため、カラーフィルタの製造法としては、低コストで量産性に優れている。さらに、印刷技術の発展により高い寸法精度及び平滑度を有する微細パターンの印刷を行うことができる。印刷を行うためには、印刷の版上にて、あるいはブランケット上にてインキが乾燥、固化しないような組成とすることが好ましい。また、印刷機上でのインキの流動性の制御も重要であり、分散剤や体質顔料によるインキ粘度の調整を行うこともできる。
【0094】
インクジェット法を用いた有機EL表示装置用カラーフィルタ10の製造方法として、ガラス基板上にブラックマトリクスを形成し、インクジェット印刷装置を用いてブラックマトリクスの開口部にインクを付与して着色部を形成する方法が提案されている。さらに、この方法において、インクが所定の開口部に正確に充填され、隣接する着色部間でインクが混じり合う混色が発生しないように、ブラックマトリクスを構成する材料にフッ素化合物やケイ素化合物等の撥水材を含ませてもよい。
【0095】
インクジェットに用いる装置としては、インク吐出方法の相違によりピエゾ変換方式と熱変換方式がある。また、インクジェット装置におけるインクの粒子化周波数は、5〜100KHz程度である。また、インクジェット装置におけるノズル径は5〜80μm程度が望ましい。また、インクジェット装置はヘッドを複数個配置し、1ヘッドにノズルを60〜500個程度組み込んだものを用いることができる。
【0096】
インクジェット法により着色部パターンを形成した後は、コンベクションオーブン、IRオーブン、ホットプレートなどを使用して、加熱処理し、着色層パターンを形成する。インクジェット法によれば、複数色のインキを同時に塗布することができることから、簡易なプロセスで安価に有機EL表示装置用カラーフィルタ10を製造することが可能である。
【0097】
フォトリソグラフィー法により各色着色画素3を形成する場合は、上記溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジストとして調製した着色組成物を、透明な基板1上に、スプレーコートやスピンコート、スリットコート、ロールコート等の塗布方法により、乾燥膜厚が0.2〜10μmとなるように塗布する。塗布膜を乾燥させる際には、減圧乾燥機、
コンベクションオーブン、IRオーブン、ホットプレートなどを使用してもよい。必要により乾燥された膜には、この膜と接触あるいは非接触状態で設けられた所定のパターンを有するパターン露光用フォトマスクを介して膜に紫外線露光を行う。
【0098】
その後、溶剤又はアルカリ現像液に浸漬するか若しくはスプレーなどにより現像液を噴霧して未硬化部を除去して所望のパターンを形成したのち、同様の操作を他色についてくりかえしてカラーフィルタを製造することができる。着色組成物の現像に際しては、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウムなどの水溶液が使用され、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミンなどの有機アルカリを用いることもできる。また、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。現像処理方法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法などを適用することができる。
【0099】
なお、紫外線露光時の膜の感度を上げるために、上記着色レジストを塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ水溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂などを塗布乾燥し、酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、紫外線露光を行うこともできる。
【0100】
電着法は、透明な基板1上に形成した透明導電層27を利用して、コロイド粒子の電気泳動により各色着色画素3を透明導電層27の上に電着形成することでカラーフィルタを製造する方法である。転写法は、剥離性の転写ベースシートあるいは転写胴の表面に、あらかじめ着色画素3を形成しておき、この着色画素3を所望の透明な基板1に転写させる方法である。
【0101】
透明な基板1あるいは反射基板上に各色着色画素3を形成する前に、あらかじめブラックマトリックスを形成しておくと、表示パネルのコントラストを一層高めることができる。ブラックマトリックスとしては、クロムやクロム/酸化クロムの多層膜、窒化チタニウムなどの無機膜や、遮光剤を分散した樹脂膜を用いることもできる。
【0102】
透明導電層27の材料は特に制限なく公知のものを用いることができる。中でも特にITOが好適に用いられる。透明導電層27の多くはスパッタ法などでカラーフィルタ上に成膜されるが、多くは加熱しながら成膜するか、成膜後にアニール工程が必要となる。透明導電層27を成膜する際の加熱は、スパッタリングの際に同時に加熱する方法(加熱スパッタリング)とスパッタリング後の後加熱する方法(アニーリング)があると前述したが、この両方を用いる方法もある。すなわち、加熱スパッタリングにより透明導電層27を形成し、その後にさらにアニールングを実施する方法である。
【0103】
本発明にかかわる有機EL表示装置用カラーフィルタ10の緑色画素3Gの透過率スペクトルにおいて、475nmにおける透過率が2.0%以下であり、かつ595nmにおける透過率が2.0%以下であり、さらに400nmから700nmの範囲での最大透過率波長が500nmから550nmの範囲に入る有機EL表示装置用カラーフィルタ10である。475nmの透過率が2.0%を越えてしまうと白色有機ELの発光のうち、青色の成分が多く透過してしまうために、色味が青くなりすぎる上に、色純度も低下する。より好ましくは1.5%以下であり、さらに好ましくは1.0%以下である。
【0104】
595nmの透過率が2.0%を越えてしまうと白色有機ELの発光のうち、赤色の成分が多く透過してしまうために、色味が黄色くなりすぎる上に、色純度も低下する。より好ましくは1.5%以下であり、さらに好ましくは1.0%以下である。
【0105】
本発明にかかる有機EL表示装置用カラーフィルタ10の緑色画素3Gの400nm乃
至700nmにおける最大透過率は40%以上であることが好ましい。より好ましくは50%以上であり、さらに好ましくは55%以上である。40%未満では光の利用効率が悪くなり表示装置の輝度が低くなる場合や、利用効率が悪い分、白色有機EL素子の発光を強くする必要があるため、その分、発光素子の寿命が短くなるため都合が悪い。また、この時の波長は500nm乃至550nmの範囲に入ることが好ましく、より好ましくは500nm乃至530nmである。550nm以上では、色味が黄色くなるため、表示装置の色再現域が狭まる。一方、500nm未満では色味が青くなり、輝度が低下する。
【0106】
該着色画素3の透過率スペクトルは、顕微分光装置によって測定される。顕微分光装置は市販されている装置を用いることができる。例えば、オリンパス社製OSP-SP2000、TFCAM−7000又は大塚電子社製LCF-1100などが挙げられる。
【0107】
本発明に係る有機EL表示装置用カラーフィルタ10の緑色画素3Gは、C光源を用いて計算したCIE1931におけるXYZ表色系における色度(x、y)の範囲が(0.17、0.65)、(0.20、0.65)、(0.17、0.70)、(0.20、0.70)の4点に囲まれた範囲に入る。より好ましくは、(0.18、0.65)、(0.20、0.65)、(0.17、0.68)、(0.20、0.68)の4点である。
【0108】
C光源とは、CIE1931で定義された標準光源のひとつである。xがこの値より小さい場合、透過率スペクトルにおいて400nm乃至475nmの範囲の青色の領域における透過率が高くなっていると推測することができる。一方、xの値がこの範囲よりも大きい範囲では600nm乃至700nmの赤色領域における透過率が高くなっていると推測することがで、いずれの場合においても緑色以外の領域の透過率が高くなることは色純度の低下、すなわち彩度の低下を招くため好ましくない。さらにyの値が上述の範囲よりも小さい場合、有機EL表示装置30にしたときの緑色の色再現性が大幅に悪化するため好ましくなく、一方で、上述の範囲よりも大きくなる場合、色再現性の観点からは好ましいが、色が濃くなりすぎるためカラーフィルタの透過率が大幅に低下するため該カラーフィルタからなる有機ELディスプレイの消費電力が大きくなり、好ましくない。
【0109】
本発明に係る有機EL表示装置用カラーフィルタの緑色画素3Gは、本発明に係る白色有機ELの発光スペクトルを用いて計算した色度(x、y)の範囲が(0.20、0.69)、(0.22、0.69)、(0.20、0.72)、(0.22、0.72)の4点に囲まれた範囲に入る。より好ましくは、(0.205、0.70)、(0.215、0.70)、(0.205、0.71)、(0.215、0.71)の4点である。
【0110】
該色度の計算をするには、使用する光源の発光スペクトルを取得する必要がある。白色ELの発光スペクトルは、市販の放射輝度計などを用いて測定することができる。例えば、コニカミノルタ社製分光放射輝度計「CS−2000」や「CS−1000A」、トプコン社製分光放射計「SR-3AR」、「SR−UL1R」、「SR−UL2R」などが挙げられる。
【0111】
該着色画素3の白色有機ELの発光スペクトルを用いて計算するには、等色関数を用いて計算する。等色関数はCIE(国際照明委員会International Commission on Illumination CIE1931など)やJIS(日本工業標準調査会 JIS Z87071など)によって2°視野と10°視野の分光感度が規定されており、これを用いて算出する方法が記されている。本発明における色度の算出には2°視野の等色関数を用いて計算する。
【0112】
色度(x、y)のうち、xが上述の範囲よりも小さくなる場合、該有機EL表示装置用カラーフィルタ10からなる有機EL表示素子20の緑色表示が青味になるがかりか、黄
色や橙色など、緑色画素3Gと赤色画素3Rを用いて表示される色の再現性が悪化する。一方、xが上述の範囲よりも大きくなる場合、該有機EL表示装置用カラーフィルタ10からなる有機EL表示装置30の緑色表示が黄色味になってしまう上、シアン色のような緑色画素3Gと青色画素3Bを用いて表示される色の再現性が悪化する。yが上述の範囲より小さいと緑色の色再現性が悪化する。
【0113】
本発明にかかわる有機EL表示装置用カラーフィルタ10を表示装置に組み込む場合、前記の透明基板あるいは反射基板上に電極(薄膜トランジスター:TFT17)をあらかじめ形成しておき、その後に着色画素3を形成することもできる。電極基板上に着色画素3を形成することにより、開口率を高め、輝度を向上させることができる。
【0114】
本実施形態に係る有機EL表示装置用カラーフィルタ10上には、必要に応じてオーバーコート膜や柱状スペーサー、などを形成して構わない。本発明に係る有機EL表示装置30について説明する。本発明に係る有機EL表示装置30は、白色に発光する有機EL素子20と、その光取り出し面に本発明に係る有機EL表示装置用カラーフィルタ10を有する白色に発光する有機EL素子20は公知のものを用いることができる。
【0115】
以下、本発明の有機EL素子20の構成を図面に基づいて詳細に説明する。図2及び図3は、本発明の有機EL素子20を模式的に示す断面図である。
【0116】
図2,3に示す有機EL素子20は、基板1側から順に、陽極4、有機層5及び陰極6を積層してなり、保護膜7で気密に覆われた構成となっている。図2に示す有機EL素子20は、この有機EL素子20で発光した発光光23を基板1と反対側から取り出す、いわゆるトップエミッション型として構成されている。一方、図3に示す有機EL素子20は、この有機EL素子20で発光した発光光23を基板1側から取り出す、いわゆるボトムエミッション型として構成されている。
【0117】
なお、基板1上に陽極4を設け、この陽極4上に有機層5及び陰極6を積層した構成の有機EL素子20の構成を説明した。しかしながら、本発明は、基板1上に陰極6を設け、この陰極6上に有機層5及び陽極4をこの順に積層した構成の有機EL素子20にも適用可能である。このような構成の場合でも、陰極6及び陽極4の材料や膜厚を適宜選択することで、トップエミッション型及びボトムエミッション型の両方の構成が可能であり、上述した有機EL素子20と同様の効果を得ることができる。
【0118】
次に、これらの有機EL素子20を構成する各部の詳細な構成を、基板1、陽極4、陽極4と対をなす陰極6、これらの陽極4と陰極6との間に狭持された有機層5の順に説明する。
【0119】
<基板>基板1は、ガラス、シリコン、プラスチック基板、さらにはTFT(thinfilm transistor)17が形成されたTFT基板などからなり、特に図3に示すボトムエミッション型の有機EL素子20の場合には、この基板1は光透過性を有する材料で構成されることとする。また、有機EL素子20を他の表示素子と組み合わせて用いる場合には、他の表示素子と基板1を共用することもできる。
【0120】
<陽極>陽極4は、基板1上に設けられ、仕事関数の大きな導電性材料で構成される。仕事関数の大きな導電性材料としては、たとえば、ニッケル、銀、金、白金、パラジウム、セレン、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、レニウム、タングステン、モリブデン、クロム、タンタル、ニオブやこれらの合金、あるいは酸化錫(SnO)、酸化インジウム錫(ITO:Indium tin oxide)、酸化亜鉛、酸化チタン等がある。
【0121】
<陰極>陰極6は、電源8を介して接続されており、仕事関数が小さな導電性材料を用いて構成されている。このような導電性材料としては、例えば、Li、Mg、Ca等の活性な金属とAg、Al、In等の金属との合金、或いはこれらを積層した構造を使用できる。また、有機層14との間に例えば、Li、Mg、Ca等の活性な金属とフッ素、臭素等のハロゲンや酸素等との化合物層を薄く挿入した構造としても良い。
【0122】
これらの陽極4及び陰極6のうち、この有機層5で生じた発光光23を取り出す側となる電極は、上述した材料の中から光透過性を有する材料を適宜選択して用いることとし、用途に合った光透過率が得られるようにその膜厚を調整することが必要である。一方、他方の電極には、反射率の良好な材料を適宜選択して用いることができる。
【0123】
陽極4及び陰極6は、有機EL素子20によって構成される表示装置の駆動方式によって適する形状にパターニングされる。例えば、有機EL表示装置30の駆動方式が単純マトリックス型である場合には、この陽極4及び陰極6は互いに交差するストライプ状に形成され、これらが交差した部分が有機EL素子20となる。
【0124】
有機EL表示装置30の駆動方式が画素毎にTFT17を備えたアクティブマトリックス型である場合には、陽極3は複数配列された着色画素3に対応させてパターン形成され、同様に着色画素3に設けられたTFT17に対して、これらのTFT17を覆う隔壁24に形成されたコンタクトホール(図示省略)を介してそれぞれが接続される状態で形成されることとする。一方、陰極15は、基板12上の一面を覆う状態で成膜されたベタ膜状に形成されて良く、各画素に共通の電極として用いられることとする。ただし、表示装置の駆動方式としてアクティブマトリックス型を採用する場合には、図2に示したトップエミッション型の有機EL素子20を用いることで素子の開口率を向上させることが好ましい。
【0125】
<有機層>本発明の有機層5は、少なくとも白色の発光層13を有するものであるが、通常、複数層の有機層5から構成されるものであり、正孔注入層や電子注入層といった電荷注入層や、白色の発光層3に正孔を輸送する正孔輸送層11、白色の発光層13に電子を輸送する電子輸送層14といった電荷輸送層を有するものとすることができる。
【0126】
本発明に係る白色の発光層3は、白色の発光光23が得られれば良く、公知のものを用いることができる。白色の発光光23の特性は、少なくとも赤色領域(600nm〜780nm)と緑色領域(475nm〜600nm)及び青色領域(380nm〜475nm)の3つの領域に発光光23があればよい。発光ピークは必ずしも3つあるいはそれ以上の数を必要とするのではなく、例えば2つの発光ピークでも上記の領域に発光光23があればよい。しかし、広い色再現性を得るためには3つ以上の発光ピークがある白色発光層13を用いることが好ましく、さらに好ましくは、上記3つの色領域のひとつ以上に発光ピークがあることが好ましい。
【0127】
このような白色の発光層13を構成する材料としては、蛍光又は燐光を発するものであれば特に限定されるものではない。また、発光材料は、正孔輸送性や電子輸送性を有していていもよい。発光材料としては、色素系材料、金属錯体系材料、及び高分子系材料を挙げることができる。
【0128】
上記色素系発光材料としては、シクロペンダミン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾ−ル誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、シロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、トリフマニルアミン誘導体、オキサジアゾールダイマー、及びピラゾリンダイマー等
を挙げることができる。
【0129】
上記金属錯体系発光材料としては、アルミキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾール亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、及びユーロピウム錯体、あるいは、中心金属に、Al、Zn、Be等又はTb、Eu、Dy等の希土類金属を有し、配位子に、オキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、およびキノリン構造等を有する金属錯体などを挙げることができる。
【0130】
上記高分子系発光材料としては、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体等、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、並びに上記の色素系材料及び金属錯体系材料を高分子化したもの等を挙げることができる。
【0131】
上記白色の発光層13の形成方法としては、例えば蒸着法、印刷法、インクジェット法、又はスピンコート法、キャスティング法、ディッピング法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコート法、グラビアコート法、フレキソ印刷法、スプレーコート法、及び自己組織化法(交互吸着法、自己組織化単分子膜法)等を挙げることができる。特に、蒸着法、スピンコート法、及びインクジェット法を用いることが好ましく、白色の発光層13の膜厚は、通常5nm〜5μm程度である。
【0132】
<正孔注入層>本発明においては、白色の発光層13と陽極4(透明電極層27もしくは背面側電極21)との間に正孔注入層が形成されていても良い。正孔注入層を設けることにより、白色の発光層3への正孔の注入が安定化し、発光効率を高めることができるからである。本発明に用いられる正孔注入層の形成材料としては、一般的に有機EL素子20の正孔注入層に使用されている材料を用いることができる。また、正孔注入層の形成材料は、正孔の注入性若しくは電子の障壁性のいずれかを有するものであれば良い。
【0133】
具体的に、正孔注入層の形成材料としては、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、ポリシラン系、アニリン系共重合体、及びチオフェンオリゴマー等の導電性高分子オリゴマー等を例示することができる。
【0134】
さらに、正孔注入層の形成材料としては、ポルフィリン化合物、芳香族第三級アミン化合物、及びスチリルアミン化合物等を例示することができる。また、正孔注入層の膜厚は、通常5nm〜1μm程度である。
【0135】
<電子注入層>本発明においては、白色の発光層3と陰極6(透明電極層27もしくは背面電極層)との間に電子注入層が形成されていても良い。電子注入層を設けることにより、白色発光層13への電子の注入が安定化し、発光効率を高めることができるからである。
【0136】
本発明に用いられる電子注入層の形成材料としては、例えばニトロ置換フルオレン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体のオキサジアゾール環の酸素原子をイオウ原子に置換したチアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有したキノキサリ
ン誘導体、トリス(8−キノリノール)アルミニウム等の8−キノリノール誘導体の金属錯体、フタロシアニン、金属フタロシアニン、並びにジスチリルピラジン誘導体等を例示することができる。
【0137】
<隔壁>本発明における隔壁24は、透明電極層27と背面電極層21とが直接接触することを防ぐために形成されるものである。本発明に用いられる隔壁24の形成材料としては、例えば感光性ポリイミド樹脂、アクリル系樹脂等の光硬化型樹脂、及び熱硬化型樹脂、並びに無機材料などを用いることができる。
【0138】
隔壁24のパターンは、通常、線状であり、例えばマトリクス状又はストライプ状等の開口部を有するパターンが例示される。また、隔壁24の形成方法としては、上記材料を塗布して、フォトリソグラフィー法によりパターニングする方法が挙げられる。また、印刷法等を用いることもできる。
【0139】
<シール剤>本発明に用いられるシール剤25は、上記有機EL表示装置用カラーフィルタ10及び有機EL素子側基板26の周縁部に形成され、上記有機EL素子20を封止するものである。このようなシール剤25の構成材料としては、上記有機EL素子20を、大気中の水分等と接触することを抑制することができるものであれば良く、有機EL表示装置30に一般的に用いられるものを使用することができる。
【0140】
次に、本発明に係る有機EL表示装置30の構成について説明する。本発明に係る有機表示装置30は、公知の「白色EL+CF型」の有機EL表示装置30の構成からなっている。
【0141】
本発明にかかわる有機EL表示装置30は、図4、図5、図6、図7に示すように、基板1上に形成され、開口部を備えるブラックマトリックス2、及び上記開口部に形成された着色画素3を有する有機EL表示装置用カラーフィルタ10と、基板1及び上記基板上に形成された有機EL素子20を有する有機EL素子側基板26とを有し、上記有機EL表示装置用カラーフィルタ10と、上記有機EL素子側基板26とが、上記着色層16及び上記有機EL素子20が対向するように配置されている。
【0142】
図5に示すように透明な基板1、上に形成され、開口部を備えるブラックマトリックス2、及び上記開口部に形成された着色画素3R、3G、3Bを有する有機EL表示装置用カラーフィルタ10と、上記有機EL表示装置用カラーフィルタ10上に直接形成された有機EL素子20とを有する。
【0143】
図6は、基板1上に形成された有機EL素子20を有する有機EL素子側基板26と、上記有機EL素子側基板上に直接形成された有機EL層22とを有する構成と有機EL表示装置用カラーフィルタ10の3つの構成を示している。
【0144】
3構成のいずれの方法を用いても構わないが、有機EL素子20と有機EL表示装置用カラーフィルタ10を別に作製し、その後にシール剤を用いてひとつになす第一の構成が最も簡便であり、好適である。以下に第一の構成を用いた有機EL表示装置の製造方法を例示する。
【0145】
本態様の有機EL表示装置30は、上述した有機EL表示装置30であって、基板1、上に形成され、開口部を備える遮光部となるブラックマトリックス2、及び上記開口部に形成された着色画素3を有する有機EL表示装置用カラーフィルタ10と、基板1上に形成された有機EL素子20を有する有機EL素子側基板26とを有し、上記有機EL表示装置用カラーフィルタ10と、上記有機EL素子側基板26とが、記着色画素3及び有機
EL素子20が対向するように配置された態様である。
【0146】
このような構成の有機EL表示装置30としては、既に説明した図4,5,6と同様とすることができる。本態様の有機EL表示装置30は、上記有機EL素子側基板26と、上記有機EL表示装置用カラーフィルタ10とを少なくとも有するものであり、通常、上記有機EL素子を封止するシール剤25を有するものである。
【0147】
本態様の有機EL表示装置30の製造方法としては、上記各構成が密着性良く積層されたものとする方法であれば良く、一般的な有機EL表示装置30の製造方法を用いることができる。具体的には、図3に例示するように、有機EL素子側基板26及び有機EL表示装置用カラーフィルタ16及び有機EL表示装置用カラーフィルタ10の周縁部をシール剤25により封止する方法を挙げることができる。
【0148】
なお、図4、5、6中の符号については、図1と同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。上記有機EL素子側基板26の形成方法としては、有機EL表示装置30の製造に一般的に用いられる方法を使用することができる。
【0149】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0150】
本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例における「部」及び「%」は、「質量部」及び「質量%」をそれぞれ表す。また、顔料の記号はカラーインデックスナンバーを示し、例えば、「PR254」は「C.I.PigmentRed254」を、「PB15:6」は「C.I.PigmentBlue15:6」を表す。
【0151】
<着色組成物>カラーフィルタ作製に用いる着色組成物を着色するための着色剤には以下のものを使用した。赤色顔料としては、C.I.Pigment Red 254(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガーフォーレッド B−CF」)、C.I.Pigment Red 177(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「クロモフタールレッド A2B」)を用いた。
【0152】
緑色顔料としては、本願発明に用いるC.I.Pigment Green 7(東洋インキ製造社製「LIONOL GREEN YS−7」; G−1)、と比較例としてC.I.Pigment Green 58 ((株)DIC社製「Phthalocyanine Green A110」; G−2)を用いた。
【0153】
青色顔料としては、C.I.Pigment Blue 15:6(東洋インキ製造(株)製「リオノールブルーES」)、及び本願発明に用いるC.I.Pigment Blue 15:3(東洋インキ製造社製「LIONOL BLUE FG−7351」)を用いた。
【0154】
黄色顔料としては、C.I.Pigment Yellow 138、C.I.Pigment Yellow 139、C.I.Pigment Yellow 150LANXESS社製「YELLOW PIGMENT E4GN」; Y−1)及びC.I.Pigment Yellow 185を用いた。
【0155】
赤レジストとしては、ジケトピロロピロール系赤色顔料PR254(チバスペシャリティケミカルズ社製「イルガフォアレッドB-CF」)100部、色素誘導体(D-1)10
部、粉砕した食塩1000部、及びジエチレングリコール120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、60℃で10時間混練した。この混合物を温水2000部に投入し、約80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、微細化顔料(R-1)を得た。得られた顔料の平均粒子径は25nmであった。
【0156】
また、アントラキノン系赤色顔料PR177(チバスペシャリティケミカルズ社製「クロモフタールレッドA2B」)100部、色素誘導体(D-2)8部、粉砕した食塩700部、及びジエチレングリコール180部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で4時間混練した。この混合物を温水4000部に投入し、約80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、微細化顔料(R-2)を得た。得られた顔料の平均粒子径は30nmであった。
【0157】
青レジストとしては、青色顔料(C.I.PigmentBlue15:6、東洋インキ製造社製「LIONOLBLUEES」)200部、塩化ナトリウム1600部、およびジエチレングリコール(東京化成社製)100部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、70℃で12時間混練した。次に、この混合物を約5リットルの温水に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間撹拌してスラリー状とした後、濾過し、水洗して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除き、80℃で24時間乾燥し、198部のソルトミリング処理顔料を得た。
【0158】
緑レジストに添加される、青色顔料としては(C.I.Pigment Blue 15:3(東洋インキ製造社製「LIONOL BLUE FG−7351」))200部、塩化ナトリウム1600部、およびジエチレングリコール(東京化成社製)100部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、70℃で12時間混練した。次に、この混合物を約5リットルの温水に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間撹拌してスラリー状とした後、濾過し、水洗して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除き、80℃で24時間乾燥し、198部のソルトミリング処理顔料を得た。
実施例及び比較例で用いたアクリル樹脂溶液の調製について説明する。樹脂の分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量である。
【0159】
反応容器にシクロヘキサノン370部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら80℃に加熱して、同温度でメタクリル酸(MAA)20.0部、メチルメタクリレート(MMA)10.0部、ベンジルメタクリレート(BzMA)55.0部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)15.0部、及び2,2’-アゾビスイソブチロニトリル4.0部の混合物を1時間かけて滴下し、重合反応をいった。
【0160】
滴下終了後、さらに80℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル1.0部をシクロヘキサノン50部に溶解させた溶液を加え、さらに80℃で1時間反応を続けて、アクリル樹脂の溶液を得た。アクリル樹脂の重量平均分子量は、約40000であった。
【0161】
室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにシクロヘキサノンを添加して、アクリル樹脂溶液(P−1)を調製した。表1に示す組成の混合物を均一に撹拌混合した後、直径0.1mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミルで2時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し顔料分散体を作製した。
【0162】
【表1】

なお、顔料誘導体D−1からD−3の構造を表2に記載する。
【0163】
【表2】

分散剤としてはとしてはシクロヘキサノンを用いた。
【0164】
着色組成物は下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、5μmのフィルタで濾過して緑色着色組成物を得た。顔料分散体 PG−1:7.5質量部、顔料分散体 PB−1:6.5質量部、顔料分散体 PY−1:36.0質量部、アクリル樹脂溶液(P−1):7.2質量部、モノマー: 1.5質量部 (東亞合成社製 「アロニックス M402」)、光重合開始剤(Int−1) 0.4質量部、(チバガイギー社製「イルガキュア−OXE02」、有機溶剤: 40.9質量部 (プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)である。
【0165】
【表3】

光重合開始剤(Int−2): チバガイギー社製「Irg.OXE02」光増感剤:
保土ヶ谷化学社製「EAB−F」)
<カラーフィルタの作成方法>表3に示した緑レジストG1からG10までの10種類及び赤レジストR1、青レジストB1を用い、実施例1から実施例6までの6種類のカラーフィルタ、比較例1から比較例4までの4種類のカラーフィルタ作製した。まず、赤レジストであるR1として、赤色着色組成物を、硬化後の膜厚が3μmとなるように、スピンコート法によりブラックマトリクス(BM:2)を形成してあるガラス基板1に塗布し、乾燥した後、ネガ像を有するフォトマスクを介して超高圧水銀ランプを用いて紫外線で露光した。その後、23℃の炭酸ナトリウム水溶液を用いてスプレー現像した後、イオン交換水で洗浄し、風乾した。その後、クリーンオーブン中で、200℃で30分のポストベークを行い、赤色着色パターン3(R)を有するガラス基板を得た。その後、
青レジストであるB1として、青色着色組成物を用いて同様に青色着色パターン3(B)を得る。さらにG1からG10の緑色着色組成物を用いて緑色着色パターンを得た。着色材料の組み合わせを表4に示す。
【0166】
【表4】

<有機EL素子の作製>次に有機EL素子を作製した。最初に0.7mmの無アルカリガラス(基材1)に、にスイッチング素子であるTFT17を形成したものを用意した。この上にITO/Ag/ITOの積層構造からなる陽極4を形成した。次いでポジレジストを使用した隔壁9を形成した。これは発光層13を区切るためのものである。次いで発光層13を隔壁9の間に形成し、この上に陰極6をMgAgを用いて形成した。最後に保護層7として窒化ケイ素膜を形成して白色有機EL素子50を得た。白色有機EL素子の構造の図7に示した。
【0167】
発光層13は以下の手順で作製した。まず正孔注入層として、ビス(N−(1−ナフチル−N-フェニル)ベンジジン):α−NPDとMoO3の共蒸着膜を隔壁24の間に形成した。さらに正孔輸送層としてα−NPDを形成した。その上に発光層13として、赤色発光用として、4,4−N,N‘−ジカルバゾール−ビフェニル(CBP)とトリス(1-フェニルイソキノリン)イリジウム(III)錯体(Ir(piq)3)を、緑色発光用として、4,4−N,N‘−ジカルバゾール−ビフェニル(CBP)とトリス(1-フェニルピリジン)イリジウム(III)錯体(Ir(ppy)3)を、青色発光用として9,10−ジ−2−ナフチルアントラセン(DNA)と1−tert−ブチル−ペリレン(TBP)を用いて形成した。次いで、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3)からなる電子輸送層14、及びLiFからなる電子注入層をこの順で形成した。
【0168】
以上の方法で作製した白色の有機EL素子20の分光スペクトルを図8に示す。測定にはオリンパス社製「分光放射輝度計 CS−1000」を用いた。
【0169】
<有機EL表示装置>有機EL表示装置30は得られた、有機EL表示装置用カラーフィルタ10と白色の有機EL素子20を、接着層15(日東電工社製 NT−01UV)を介して張り合わせ得た。有機EL表示装置30の構造を図5に示した。図7の構造は、1画素の中のひとつの色の構造を示している。該有機EL表示装置30では、赤色画素3R、緑色画素3G、青色画素3Bの3色でひとつの着色層16を構成している。したがって、本発明のひとつの着色層16は図7のカラーフィルタの着色画素3の色がそれぞれ色である3つが並んでいる構造になっている。同様の方法で、CF−2乃至CF−10と白色有機EL素子を張り合わせて、実施例1から実施例6及び比較例1から比較例4を用いた有機EL表示装置30を得た。
【0170】
作製したカラーフィルタの評価としては、色度及び透過率からいった。作製したG1〜G10の緑色及び、R1、B1の赤色、青色着色画素の色度、分光透過率を測定し、C光源での色度(Y,x,y)を計算した。なお、測定の際にリファレンスはガラスを用いた。その結果を表5に示す。
【0171】
【表5】

G1からG6の緑色着色組成物はC.I.Pigment Green7及びC.IPigmentBlue 15:3と黄色顔料からなる着色組成物である。この緑色着色組成物から作製した緑色画素の分光透過率は、475nm及び595nmにおける透過率が2.0%以下であった。一方、G7、G8はC.I.PigmentGreen58と黄色顔料からなる緑色着色組成物であり、この着色組成物からなる緑色画素の分光透過率は475nm及び595nmの透過率は2.0%以上であった。これらG7、G8では、C.I.Pigmentreen7とC.I.PigmentBlue15:3を用いていないことから、着色組成物中の顔料濃度を固形分中の質量濃度で50%と、非常に高濃度にしたにもかかわらず、475nmと595nmにおける透過率を2.0%以下にすることができなかった。G9及びG10の緑色着色組成物はC.I.Pigmentreen7とC.I.PigmentBlue15:3使用したものであるが、G9は475nmの透過率が2.0%を超える場合、G10は595nmの透過率が2.0%を超える例である。
【0172】
<有機ELディスプレイの色度>実施例1〜6及び比較例1〜4の有機EL表示装置30における赤色表示時、緑色表示時、青色表示時の色度をオリンパス社製「分光放射輝度計 CS−1000」を用いて測定した。結果を下記表6に示す。
【0173】
【表6】

G1〜G6のレジストからなる緑色画素3Gを有するCF−1乃至CF−6を用いた有機EL表示装置、実施例1から実施例6は、緑色表示における色度が一方、(0.20、0.69)、(0.22、0.69)、(0.20、0.72)、(0.22、0.72)に囲まれた範囲に入る色純度の高い緑色であった。また、該表示装置におけるNTSC規格の色再現域の包含率は、97%以上であり、特に実施例1、2、3及び実施例6では99%以上を包含していることから、NTSC規格の色をほぼ正確に再現することができる。
【0174】
一方、比較例1及び比較例2の表示装置は、カラーフィルタの緑色画素における透過率が本発明の範囲ではないため、色純度が低い。それゆえ、NTSC規格の色再現域の包含率も93%乃至94%にとどまる。この範囲では、NTSC規格の色を正確に再現してい
るとはいえない。また、比較例3の表示装置は、カラーフィルタの緑色画素における475nmの透過率が本発明の範囲に入っていない例であり、緑色表示における色度はNTSC規格の緑色の色度からは大きく青色にずれている。比較例4の表示装置はカラーフィルタの緑色画素における595nmの透過率が本発明の範囲に入っていない例であり、緑色表示における色度はNTSC規格の緑色の色度からは大きく黄色にずれている。比較例3及び比較例4の表示装置におけるNTSC規格の色再現域の包含率は96%程度であり、本発明にかかる表示装置と比較するとその色再現性は劣る。
【符号の説明】
【0175】
1・・・基板
2・・・ブラックマトリクス
3・・・着色画素
3B・・・青色画素
3R・・・赤色画素
3G・・・緑色画素
4・・・陽極
5・・・有機層
6・・・陰極
7・・・保護層
8・・・電源
10・・・有機EL表示装置用カラーフィルタ
11・・・正孔輸送層
12・・・赤色発光層
13・・・発光層
13B・・・青色発光層
13R・・・赤色発光層
13G・・・緑色発光層
14・・・電子輸送層
15・・・接着層
16・・・着色層
17・・・TFT
18・・・平坦化層
20・・・有機EL素子
21・・・背面側電極層
22・・・有機EL層
23・・・発光光
23B・・・青色発光光
23R・・・赤色発光光
23G・・・緑色発光光
24・・・隔壁
25・・・シール剤
26・・・有機EL素子側基板
27・・・透明導電層
30・・・有機EL表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
白色発光の有機EL素子と少なくとも赤色、緑色、青色の画素を持つカラーフィルタを組み合わせた有機EL表示装置に用いられるカラーフィルタであって、該カラーフィルタの緑色画素の475nmと595nmにおける透過率が2.0%以下であり、且つ400nm乃至700nmにおける最大透過率が40%以上であることを特徴とする有機EL表示装置用カラーフィルタ。
【請求項2】
前記緑色の画素を形成するために用いる緑色着色組成物が、少なくともC.I.Pigment Green7とC.I.Pigment Blue 15:3と黄色顔料を含むことを特徴とする請求項1に記載の有機EL表示装置用カラーフィルタ。
【請求項3】
前記黄色顔料が、C.I.Pigment Yellow 138、C.I.Pigment Yellow 139及びC.I.Pigment Yellow 150の中から選ばれる少なくともひとつを含むことを特徴とする請求項2に記載の有機EL表示装置用カラーフィルタ。
【請求項4】
白色発光の有機EL素子と少なくとも赤色、緑色、青色の画素を持つカラーフィルタを組み合わせた有機EL表示装置に用いられるカラーフィルタであって、該カラーフィルタの緑色画素が、C光源で計算したCIE1931のXYZ表色系における(x、y)色度座標が(0.17、0.65)、(0.20、0.65)、(0.17、0.70)、(0.20、0.70)の4点に囲まれた範囲に入ることを特徴とする有機EL表示装置用カラーフィルタ。
【請求項5】
前記緑色の画素を形成するために用いる緑色着色組成物が、少なくともC.I.Pigment Green7とC.I.Pigment Blue 15:3と黄色顔料を含むことを特徴とする請求項4に記載の有機EL表示装置用カラーフィルタ。
【請求項6】
前記黄色顔料が、C.I.Pigment Yellow 138、C.I.Pigment Yellow 139及びC.I.Pigment Yellow 150の中から選ばれる少なくともひとつを含むことを特徴とする請求項5に記載の有機EL表示装置用カラーフィルタ。
【請求項7】
有機EL素子の発光スペクトルと、カラーフィルタの緑色画素の分光透過率スペクトルから算出したCIE1931表色系(XYZ表色系)における色度(x,y)が(0.20,0.65)、(0.22,0.69)、(0.20,0.72)、(0.22,0.72)の4点に囲まれる範囲に入ることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の有機EL表示装置用カラーフィルタ。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の有機EL表示装置用カラーフィルタを具備したことを特徴とする有機EL表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−177735(P2012−177735A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−39434(P2011−39434)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】