説明

有機EL表示装置

【課題】トップエミッション型有機EL表示装置において画面の輝度を維持しつつ、画面内の輝度傾斜を小さくする。
【解決手段】下部電極11の下には反射膜10が形成されており、有機EL層14からの光は上部電極15を通って放出される。上部電極15の光吸収は短波長側で大きい。画面内における輝度傾斜を小さくするために上部電極15の膜厚を厚くする際、青画素17Bの上部電極の膜厚は厚くせず、赤画素17R、緑画素17Gの上部電極15の膜厚を大きくする。これによって、上部電極15による光吸収を抑えつつ、輝度傾斜を小さくすることが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機EL表示装置に係り、特に画面の輝度が大きく、かつ画面内で輝度が均一なトップエミッション型有機EL表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL表示装置には、有機EL層から発光した光を、有機EL層等が形成されたガラス基板方向に取り出すボトムエミッション型と、有機EL層等が形成されたガラス基板と逆の方向に取り出すトップエミッション型とがある。トップエミッション型は有機EL層の面積を多く取ることが出来るのでディスプレイの明るさを大きくすることが出来るという利点がある。
【0003】
有機EL表示装置では下部電極と上部電極との間に有機EL層を挟持し、上部電極に一定電圧を印加し、下部電極にデータ信号電圧を印加して有機EL層の発光を制御することによって画像を形成する。下部電極へのデータ信号電圧の供給は薄膜トランジスタ(TFT)を介して行われる。トップエミッション型有機EL表示装置では、このTFT等の上にも有機EL層を形成することが出来るので発光面積を大きくすることが出来る。
【0004】
有機EL表示装置では上部電極から有機EL層に電流を供給する必要がある。トップエミッション型有機EL表示装置は上部電極を通して光を取り出す必要があるので、上部電極は透明でなければならない。透明電極としては、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、ZnO(酸化亜鉛)、SnO(酸化錫)等が存在するが、これらの金属酸化物導電膜は抵抗が高い。上部電極の抵抗を小さくするために、上部電極の膜厚を大きくすると、次の問題が生ずる。
【0005】
その一つは、上部電極が厚くなることによって、有機EL層からの光が
吸収され、輝度が低下することである。他の問題は、上部電極を厚くした場合、上部電極内における光の干渉によって、特定波長の光を外部に取り出すことが困難になるという現象が存在するということである。
【0006】
「特許文献1」には、液晶表示装置において、TFTや画素が形成されたTFT基板に対向して設置される対向基板に形成された対向電極の膜厚を色毎に変化させることにより、光の透過率を上昇させる構成が記載されている。
【0007】
【特許文献1】特開2007−328141号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
「特許文献1」に記載の技術は液晶表示装置において、特定波長ごとに最適な対向電極の膜厚を設定するものである。液晶表示装置では、TFTや画素電極が形成されたTFT基板に対して、液晶層を挟んでカラーフィルタが形成された対向基板が設置される。対向基板には画素電極に対向して液晶に電圧を印加するための対向電極が形成されている。また、対向基板には画素毎に赤、緑、青等のカラーフィルタが形成されている。各カラーフィルタを通過する光は波長が異なるが、対向電極の厚さによっては、特定波長が干渉を起こして、外部への取り出し効率が低下する場合がある。このために、「特許文献1」では、インクジェットによって上部電極を形成して色毎に対向電極の厚さを設定している。
【0009】
液晶表示装置は電圧駆動であるから、対向電極における電圧降下はあまり問題にならない。これに対して有機EL表示装置は電流駆動であるから上部電極における電圧降下が問題となる。上部電極は基板全体にわたって形成されるが、上部電極において電圧降下が生ずると、画面の輝度が場所によって変化する。この現象を輝度傾斜あるいはシェーディングと称する。したがって、有機EL表示装置では、上部電極の膜厚の設定においては、上部電極の抵抗を考慮しなければならない。なお、輝度傾斜あるいはシェーディングは画面内で10%以内に抑えられれば、許容範囲となる。
【0010】
一方、上部電極は、画面の輝度を確保する点から、透明度を確保する必要がある。透明電極としては、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、ZnO(酸化亜鉛)、SnO(酸化錫)等が存在するが、これらの金属酸化物導電膜は抵抗が高い。上部電極に低効率の低い金属膜を使用することも出来るが、金属膜は透明度を維持するためには極端に薄くしなければならず、結局上部電極の抵抗を下げることにはならない。
【0011】
本発明の課題は、シェーディングを抑え、かつ、画面輝度の高いトップエミッションタイプの有機EL表示装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は上記課題を解決するものであり、具体的な手段は次のとおりである。
【0013】
(1)上部電極と下部電極によって挟持された赤色発光をする有機EL層を有する複数の赤画素と、上部電極と下部電極によって挟持された緑色発光をする有機EL層を有する複数の緑画素と、上部電極と下部電極によって挟持された青色発光をする有機EL層を有する複数の青画素とが形成された画面有するトップエミッション型有機EL表示装置であって、前記複数の赤画素に流す電流の合計を50mA、前記複数の緑画素に流す電流の合計を50mA、前記複数の青画素に流す電流の合計を50mAとしたときに、前記画面における輝度の傾斜が10%以内であり、前記赤画素の前記上部電極の膜厚と、前記緑画素の前記上部電極の膜厚は等しく、前記青画素の前記上部電極の膜厚は前記赤画素および前記緑画素の前記上部電極の膜厚よりも小さいことを特徴とする有機EL表示装置。
【0014】
(2)前記青画素における前記上部電極の膜厚は、前記赤画素の前記上部電極の膜厚または前記緑画素の前記上部電極の膜厚の1/10以下であることを特徴とする(1)に記載の有機EL表示装置。
【0015】
(3)上部電極と下部電極によって挟持された赤色発光をする有機EL層を有する複数の赤画素と、上部電極と下部電極によって挟持された緑色発光をする有機EL層を有する複数の緑画素と、上部電極と下部電極によって挟持された青色発光をする有機EL層を有する複数の青画素とが形成された画面を有するトップエミッション型有機EL表示装置であって、前記複数の赤画素に流す電流の合計を50mA、前記複数の緑画素に流す電流の合計を50mA、前記複数の青画素に流す電流の合計を50mAとし、前記赤画素、前記緑画素、前記青画素の前記上部電極の厚さが等しいときに、前記画面における輝度の傾斜が10%以内となる場合の各画素における前記上部電極の膜厚をTとし、前記青画素の前記上部電極の膜厚をTB、前記赤画素の前記上部電極の膜厚をTR、前記青画素の前記上部電極の膜厚をTGとしたとき、TRおよびTGは等しく、かつ、TRおよびTGは、3T/2―TB/3と同じがそれよりも大きいことを特徴とする有機EL表示装置。
【0016】
(4)前記青画素の前記上部電極の膜厚をTB、前記赤画素の前記上部電極の膜厚をTR、前記青画素の前記上部電極の膜厚をTGとしたとき、TRおよびTGはTBの10倍以上であることを特徴とする(3)に記載の有機EL表示装置。
【0017】
(5)上部電極と下部電極によって挟持された赤色発光をする有機EL層を有する複数の赤画素と、上部電極と下部電極によって挟持された緑色発光をする有機EL層を有する複数の緑画素と、上部電極と下部電極によって挟持された青色発光をする有機EL層を有する複数の青画素とが形成された画面を有するトップエミッション型有機EL表示装置であって、前記複数の赤画素に流す電流の合計を50mA、前記複数の緑画素に流す電流の合計を50mA、前記複数の青画素に流す電流の合計を50mAとし、前記赤画素、前記緑画素、前記青画素の前記上部電極の厚さが等しいときに、前記画面における輝度の傾斜が10%以内となる場合の各画素における前記上部電極の膜厚をTとし、前記青画素の前記上部電極の膜厚をTB、前記赤画素の前記上部電極の膜厚をTR、前記青画素の前記上部電極の膜厚をTGとしたとき、TB<TG<TRで、かつ、3T≦TG+TR+TBの関係があることを特徴とする有機EL表示装置。
【0018】
(6)上部電極と下部電極によって挟持された赤色発光をする有機EL層を有する複数の赤画素と、上部電極と下部電極によって挟持された緑色発光をする有機EL層を有する複数の緑画素と、上部電極と下部電極によって挟持された青色発光をする有機EL層を有する複数の青画素とが形成された画面を有するトップエミッション型有機EL表示装置であって、
前記複数の赤画素に流す電流の合計を50mA、前記複数の緑画素に流す電流の合計を50mA、前記複数の青画素に流す電流の合計を50mAとし、前記赤画素、前記緑画素、前記青画素の前記上部電極の厚さが等しいときに、前記画面における輝度の傾斜が10%以内となる場合の各画素における前記上部電極の膜厚をTとし、
前記青画素の前記上部電極の膜厚をTB、前記赤画素の前記上部電極の膜厚をTR、前記青画素の前記上部電極の膜厚をTGとし、
TB=TG<TRであり、TB=TG=TT1としたとき、
3T−2TT1≦TRであって、
かつ、前記赤画素における膜厚は、光の干渉効果によって光の取り出しを妨げられないような膜厚となっていることを特徴とする有機EL表示装置。
【0019】
(7)上部電極と下部電極によって挟持された赤色発光をする有機EL層を有する複数の赤画素と、上部電極と下部電極によって挟持された緑色発光をする有機EL層を有する複数の緑画素と、上部電極と下部電極によって挟持された青色発光をする有機EL層を有する複数の青画素とが形成された画面を有するトップエミッション型有機EL表示装置であって、前記複数の赤画素に流す電流の合計を50mA、前記複数の緑画素に流す電流の合計を50mA、前記複数の青画素に流す電流の合計を50mAとし、前記赤画素、前記緑画素、前記青画素の前記上部電極の厚さが等しいときに、前記画面における輝度の傾斜が10%以内となる場合の各画素における前記上部電極の膜厚をTとし、
前記青画素の前記上部電極の膜厚をTB、前記赤画素の前記上部電極の膜厚をTR、前記青画素の前記上部電極の膜厚をTGとし、
TB=TR<TGあり、TB=TR=TT1としたとき、
3T−2TT1≦TGであって、
かつ、前記青画素における膜厚は、光の干渉効果によって光の取り出しを妨げられないような膜厚となっていることを特徴とする有機EL表示装置。
【0020】
(8)前記上部電極はIn、Zn、またはSnを主成分とする酸化物によって形成されていることを特徴とする(1)〜(7)に記載の有機EL表示装置。
【0021】
(9)前記上部電極はIZOによって形成されていることを特徴とする(1)〜(7)に記載の有機EL表示装置。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、画素毎に上部電極の膜厚を変えることによって、画面の輝度を維持しつつ、シェーディング現象を緩和した有機EL表示装置を実現することが出来る。また、本発明によれば、青画素のみ上部電極の膜厚を小さく抑え、赤画素および緑画素の上部電極の膜厚を大きくするので、全体として、上部電極による光の吸収を抑え、高い輝度の有機EL表示装置を実現することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の具体的な実施例を説明する前に、本発明が適用されるトップエミッション型有機EL表示装置の構成について説明する。図1は本発明によるトップエミッション型の有機EL表示装置の断面図である。トップエミッション型有機EL表示装置は、有機EL層14の上にアノードが存在するトップアノード型と、有機EL層14の上にカソードが存在するトップカソード型とが存在する。図1はトップカソード型の場合であるが、トップアノード型の場合も本発明は同様に適用することが出来る。
【0024】
図1において、ガラス基板1の上にはSiNからなる第1下地膜101と、SiOからなる第2下地膜102が形成されている。ガラス基板からの不純物が半導体層2を汚染することを防止するためである。第2下地膜102の上には半導体層2が形成される。半導体層2はCVDによってa−Si膜が形成されたあと、レーザー照射によってpoly−Si膜に変換する。
【0025】
半導体層2を覆って、SiOからなるゲート絶縁膜3が形成される。ゲート絶縁膜3を挟んで、半導体層2と対向する部分にゲート電極4が形成される。ゲート電極4はTFTにゲート電圧を供給するためのゲート配線等と同層で形成される。
【0026】
ゲート電極4をマスクにして、半導体層2にリンあるいはボロン等の不純物をイオンインプランテーションによって打ち込み、導電性を付与して、半導体層2にソース部あるいはドレイン部を形成する。
【0027】
ゲート電極4を覆って層間絶縁膜5がSiOによって形成される。ゲート電極4とドレイン電極7あるいはソース電極6を絶縁するためである。層間絶縁膜5の上にはドレイン電極7とソース電極6が形成される。ドレイン電極7とソース電極6は同層で形成される。また、ドレイン電極7は、画素に映像信号を供給する映像信号線、有機EL素子に電流を供給する電源線18等と同層で形成される。
【0028】
ドレイン電極7は層間絶縁膜5およびゲート絶縁膜3にスルーホールを形成して半導体層2のドレイン部と接続する。また、ソース電極6は層間絶縁膜5およびゲート絶縁膜3にスルーホールを形成して半導体層2のソース部と接続する。
【0029】
その後、TFTを保護するために、SiNからなる無機パッシベーション膜8が被着される。無機パッシベーション膜8の上には、有機パッシベーション膜9が形成される。有機パッシベーション膜9は無機パッシベーション膜8とともに、TFTをより完全に保護する役割を有するとともに、有機EL層14が形成される面を平坦にする役割を有する。したがって、有機パッシベーション膜9は1〜4μmと、厚く形成される。
【0030】
有機パッシベーション膜9の上には反射膜10がAlまたはAl合金によって形成される。AlまたはAl合金は反射率が高いので、反射膜10として好適である。反射膜10の上には、有機EL層14の下部電極11となるITOが被着される。下部電極11を形成するITOは200℃程度のアニールによって抵抗率を大幅に下げることが出来る。
【0031】
下部電極11は、有機パッシベーション膜9および無機パッシベーション膜8に形成されたスルーホールを介してTFTのソース電極6と接続する。本実施例はトップカソードであるから、下部電極11であるITOはアノードとなる。
【0032】
下部電極11の上には有機EL層14が形成される。有機EL層14は、下層からホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層の5層から成っている。有機EL層14は発光する光の色毎にマスク蒸着によって形成される。
【0033】
有機EL層14の上にはアノードとなる上部電極15が形成される。本実施例では上部電極15としてはIZOを用いている。IZOはマスクを用いず、表示領域全体に蒸着される。IZOの厚さは光の透過率を維持するために、30nm程度に形成される。ただし、本発明では、後で説明するように、上部電極の膜厚を赤画素17R、緑画素17G、青画素17B毎に変えている。
【0034】
ITOは200℃程度にアニールすれば、抵抗率を小さくすることが出来るが、有機EL層14を形成した後では、200℃程度にまで温度を上げると有機EL層14が破壊されてしまう。そこで、上部電極15にはアニールを必要としないIZOが使用される。なお、IZOはアニールしない状態ではITOよりも抵抗が低い。
【0035】
なお、有機EL層14が端部において段切れによって破壊することを防止するために、画素と画素の間にバンク13が形成される。バンク13は有機材料で形成する場合もあるし、SiNのような無機材料で形成する場合もある。有機材料を使用する場合は、一般にはアクリル樹脂またはポリイミド樹脂によって形成される。本実施例ではバンク13にアクリル樹脂を使用している。
【0036】
なお、TFTとは別の場所に、有機EL層14に電流を供給するための電源線18がドレイン電極7あるいはソース電極6と同層で形成される。電源線18の上に形成されている無機パッシベーション膜8および有機パッシベーション膜9にスルーホールを形成して上部電極15と電源線18の導通をとる。スルーホール部分には、接続電極12がITOによって下部電極11と同時に形成される。スルーホール部分には接続電極12に重ねて上部電極15が被着される。このように、スルーホール部のコンタクトを2層構造とすることによってスルーホール部での導通を確実にとることが出来る。
【0037】
図2は図1におけるトップエミッション型有機EL表示装置の画素部のみを取り出した断面図である。図2(a)は青画素17Bの断面図、図2(b)は緑画素17Gの断面図、図2(c)は赤画素17Rの断面図である。図2(a)、図2(b)、図2(c)とも層構造は同一であるが、有機EL層14の発光層の材料が異なる。
【0038】
発光層材料としては電子、ホールの輸送能力を有するホスト材料に、それらの再結合により蛍光もしくはりん光を発するドーパントを添加したもので共蒸着により発光層として形成できるものであれば特に限定は無く、例えば、ホストとしてはトリス(8−キノリノラト)アルミニウム、ビス(8−キノリノラト)マグネシウム、ビス(ベンゾ{f}−8−キノリノラト)亜鉛、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウムオキシド、トリス(8−キノリノラト)インジウム、トリス(5−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム、8−キノリノラトリチウム、トリス(5−クロロ−8−キノリノラト)ガリウム、ビス(5−クロロ−8−キノリノラト)カルシウム、5,7−ジクロル−8−キノリノラトアルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−ヒドロキシキノリノラト)アルミニウム、ポリ[亜鉛(II)−ビス(8−ヒドロキシ−5−キノリニル)メタン]のような錯体、アントラセン誘導体、カルバゾール誘導体、等であっても良い。
【0039】
また、ドーパントとしてはホスト中で電子とホールを捉えて再結合させ発光するものであって、例えば赤ではピラン誘導体、緑ではクマリン誘導体、青ではアントラセン誘導体などの蛍光を発光する物質やもしくはイリジウム錯体、ピリジナート誘導体などりん光を発する物質であっても良い。
【0040】
有機EL層14の上には上部電極15が形成されている。上部電極15はIZOによって形成されている。上部電極15は有機EL層14が形成された後、被着されるので、高温でのアニールが出来ないために、アニールをしない状態ではITOよりも抵抗率が低いIZOを使用している。また、光の吸収を出来るだけ抑えるために、上部電極15は薄く形成される。そうすると上部電極15における電圧降下が生じ、シェーディングあるいは輝度傾斜の問題が生ずる。
【0041】
上部電極15での電圧降下を軽減するために、画像を形成しないバンク13上に補助電極16を形成することも出来る。図7は補助電極16をバンク13上に形成した例を示す断面図である。補助電極16は抵抗を下げることが目的であるから、抵抗率の低い金属を比較的厚く形成する。したがって、光に対しては不透明である。
【0042】
図8は補助電極16を画素と画素の間にストライプ状に形成した例である。画素ピッチが大きければ、補助電極16を形成するバンク13の幅も大きくすることが出来るが、画面が高精細になって、画素ピッチが小さくなると、補助電極16を形成することは容易ではない。
【0043】
画面が高精細になった場合、図8において、画素の横方向のピッチPxは例えば、42μm、画素の縦ピッチPyは94.5μm、画素の横径Wは24μm、画素の縦径Hは60μmである。この場合は、バンク13の横方向の幅Bxは18μmとなる。したがって、補助電極16は18μmの幅の中に形成しなければならない。補助電極16は蒸着によって形成するが、蒸着マスクによってこのような細い膜を正確な位置に形成することは容易ではない。また、補助電極16は厚く形成され、不透明なので、蒸着の位置精度が十分でなく、補助電極16が画素領域に形成されると、画素からの光の取り出し効率が直接影響を受けることになる。すなわち、補助電極16によってシェーディングを抑えることは、特に高精細画面においては難しい。
【0044】
一方、図9に示すように、上部電極15を厚くすれば、上部電極15における電圧降下を抑えることが出来るが、この場合は、上部電極15における光の吸収が大きく、画面輝度が低下してしまう。なお、図8における膜厚Tは画面内でシェーディングが10%以下となる膜厚である。以下で説明する本発明の実施例はこのような問題を解決するものである。
【実施例1】
【0045】
図3は本発明の第1の実施例を示す断面模式図である。図3(a)は青画素17Bの断面図、図3(b)は緑画素17Gの断面図、図3(c)は赤画素17Rの断面図である。本実施例の特徴は、青画素17Bにおける上部電極15よりも赤画素17Rおよび緑画素17Gの上部電極15のほうが厚いという点である。
【0046】
上部電極15として使用されるIZOにおける光の吸収は、光の波長が短いほうが大きい。図4はIZOによる光の透過率を波長毎に示すものであり、横軸は光の波長、縦軸は光の透過率である。膜厚が特定値Bの場合の透過率を黒丸で示し、膜厚が特定値Bの10倍となった場合の透過率を白丸で示す。図4において、比較的膜が薄い場合は光の吸収が小さく、また、光の吸収の波長依存性も小さい。一方、膜厚が大きくなると、特に波長が短くなった場合の光の吸収が大きくなる。図4はIZOに対する特性であるが、このような特性はITO、ZnO、等の他の透明電極についても同様の傾向である。
【0047】
本発明は上部電極15のこの吸収特性を利用して、上部電極15の膜厚を大きくしても透過率の低下が少ない緑画素17Gおよび赤画素17Rの上部電極15の膜厚を大きくして、透過率の膜厚による影響が大きい、青画素17Bにおいては、上部電極15の膜厚を大きくしない構成とする。これによって、明るさの低下を抑えつつ、シェーディングを防止することが出来る。
【0048】
シェーディングは上部電極15に流す電流によっても変わる。すなわち、電流が大きいほど電圧降下が大きく、シェーディングが目立つ。したがって、シェーディングの評価は各画素に流す電流を決めて行う必要がある。一般には、シェーディングの評価は、全ての赤画素17Rに合計で50mAの電流を流し、全ての緑画素17Gに合計で50mAの電流を流し、全ての青画素17Bに合計で50mAの電流を流した場合にシェーディングが画面内で10%以下とできるか否かによって行う。なお、上記のような電流を赤画素17R、緑画素17G、青画素17Bに流した場合、画面輝度はおよそ250cd/mとなる。
【0049】
実際に、どの程度の膜厚に設定するかは次のようにして決めることが出来る。図9に示すように、各画素全ての上部を厚くした場合に、シェーディングが画面内で10%以下に出来る膜厚をTとする。ただし、図9の構成では青画素17Bにおける透過率が小さくなってしまう。本発明では、青画素17Bの上部電極15の膜厚は大きくせずに、赤画素17Rおよび青画素17Bの上部電極15を厚くすることによって、青画素17Bにおいて上部電極15を厚くしない分を補う。
【0050】
すなわち、上部電極15は連続しているので、電圧降下は青画素17B、緑画素17G、赤画素17Rの平均の膜厚によって決まると考えて良い。したがって、赤画素17Rおおび緑画素17Gにおける上部電極15の厚さはTよりも大きくなる。図3において、青画素17Bにおける上部電極15の膜厚をTBとし、赤画素17Rまたは緑画素17Gの上部電極15の膜厚をTTとした場合、3T/2−TB/2≦TTの関係とする。この式において、Tは全ての画素の上部電極15を厚くすることによってシェーディングを画面内で10%以下にする場合の膜厚である。
【0051】
上式は図5のような考え方によって導くことが出来る。図5(a)および図5(b)において、15B、15G、15Rは各々青画素17B、緑画素17G、赤画素17Rにおける上部電極15である。図5(a)において、膜厚Tは全ての画素の上部電極15を厚くすることによってシェーディングを画面内で10%以内とする場合の膜厚である。図5(b)において、TBは膜厚を大きくしない青画素17Bの上部電極15の膜厚、TTは赤画素17Rおよび緑画素17Gの上部電極15の膜厚である。図5において、3T≦2TT+TBの関係がある。すなわち、上部電極15を全画素均一に厚くした場合の上部電極15の全体積に対して、青画素17Bのみ厚くしない場合の上部電極15全体の体積を同じがそれよりも大きくしている。こうすれば、図5(a)の場合の上部電極15の電圧降下に対して図5(b)の場合の上部電極15の電圧降下を同じがそれよりも小さくすることが出来る。
【0052】
図5において、例えば、図5(a)のTが300nm、図5(b)のTBが30nmの場合は、TTは435nm以上となる。詳細な評価によれば、Tとしてシェーディングが画面内で10%以内になるように設定されている場合、図5(b)におけるTTがTBの値の10倍以上となる。
【0053】
図6は本実施例を示す平面図である。図6において、赤画素17R、緑画素17G、青画素17Bが各々縦方向に配列している。緑画素17Gおよび赤画素17Rのみに上部電極15が厚く形成されている。もちろん、青画素17Bにも上部電極15は形成されているが、赤画素17Rおよび緑画素17Gよりも上部電極15の厚さは薄い。
【0054】
このような上部電極15は次のようにして形成することが出来る。すなわち、まず、全面に上部電極15を青画素17Bにおける上部電極15と同じ膜厚にスパッタリングによって形成する。その後、マスクを使用して、緑画素17Gおよび赤画素17Rの部分にさらに上部電極15を必要膜厚までスパッタリングする。この場合、スパッタリングはイオンビームスパッタリングのように、指向性の高いスパッタリングを行うことが望ましい。
【0055】
本実施例におけるスパッタリングのためのマスクの開口の幅は、図6に示すように、3C+2Dであり、比較的大きい。ここで、Cはバンク13の幅で、Dは画素の幅である。図8のように補助電極16を形成する場合のマスクの開口の幅はCである。したがって、本実施例のスパッタリングのためのマスクの開口は補助電極16の場合よりもはるかに大きく、高精細の画素配置にも十分に対応することが出来る。
【0056】
また、本実施例における、赤画素17Rおよび緑画素17Gへの追加スパッタリングは透明電極のスパッタリングであるから、例え、スパッタリングの精度が悪く、青画素17B上の一部にまでスパッタリングされるIZOが回り込んでも、明るさには重大な影響を及ぼすことは無い。
【0057】
以上のように、本実施例によれば、明るさの実質的な低下をもたらすことなく、シェーディングを軽減することが出来る。
【実施例2】
【0058】
実施例1は青画素17Bにおける上部電極15の膜厚を大きくすることなく、赤画素17Rおよび緑画素17Gの上部電極15の膜厚を大きくすることによってシェーディングを軽減している。実施例1においては、赤画素17Rと緑画素17Gの膜厚は等しい。実施例1の利点は、赤画素17Rと緑画素17Gの膜厚が等しいので、一回のスパッタリングの追加だけで、実質的に輝度低下をもたらすことなく、シェーディングを軽減できることである。
【0059】
一方、図4に示すように、上部電極15の透過率は短波長領域でより大きい。したがって、特性上は、赤画素17Rの上部電極15を、緑画素17Gの上部電極15よりも厚くすることが最も合理的である。この場合も青画素17Bについては、上部電極15を厚くしないので、青画素17Bが最も薄くなることは同じである。
【0060】
この場合の各画素における上部電極15の膜厚は図10のような考え方で決めることが出来る。図10(a)および図10(b)において、15B、15G、15Rは各々青画素17B、緑画素17G、赤画素17Rにおける上部電極15である。図10(a)において、膜厚Tは全ての画素の上部電極15を厚くすることによってシェーディングを画面内で10%以下とする場合の膜厚である。図10(b)において、TBは膜厚を大きくしない青画素17Bの上部電極15の膜厚、TTGは緑画素17Gの上部電極15の膜厚、TTRは赤画素17Rの上部電極15の膜厚である。図10において、3T≦TTG+TTR+TBの関係がある。すなわち、上部電極15の全体積を、全画素均一の厚くした場合と比較して、青画素17Bのみ厚くしない場合において等しいか大きくしている。こうすれば、図5(a)の場合の上部電極15の電圧降下に対し、図5(b)の場合の上部電極15の電圧降下を等しいか、それよりも小さくすることが出来る。この考え方は実施例1と同様である。
【0061】
本実施例では、先ず、青画素17Bの上部電極15と同じ厚さにIZOを全面にスパッタリングする。その後、実施例2で使用したと同じマスクを用いて緑画素17Gと赤画素17RにIZOをスパッタリングし、その後赤画素17Rのみに、マスクを用いてIZOをスパッタリングする。
【0062】
本実施例によれば、輝度低下をよりおさえつつ、シェーディングを軽減することが出来る。
【実施例3】
【0063】
本実施例は赤画素17Rあるいは緑画素17Gのうちの一つの画素について、上部電極15の膜厚を大きくする場合である。上部電極15の膜厚を変えると、光の干渉効果が異なってくる。光を取り出しやすい最適な膜厚は光の波長によって異なる。したがって、赤画素17R、緑画素17G、青画素17Bの全ての画素について、上部電極15の膜厚を大きくしてしまうと、色によって干渉の効果が異なることになる。
【0064】
また、実施例1で説明したように、青画素17Bについて上部電極15も膜厚を大きくすると、輝度が低下することになる。また、実施例2のように、赤画素17Rと緑画素17Gについて、膜厚を各々変化させると、追加のスパッタリングを2回おこなう必要がある。本実施例では、追加のスパッタリングを1回に抑え、上部電極15の膜厚を大きくする画素を光の干渉の効果を考慮して赤画素17Rか緑画素17Gのいずれかに選定する。
【0065】
図11は赤画素17Rのみ上部電極15の膜厚を大きくした場合の例を示す断面図である。図11(a)は青画素17Bの断面図であり、上部電極15の膜厚はTT1である。図11(b)は緑画素17Gの断面図であり、上部電極15の膜厚はTT1である。図11(c)は赤画素17Rの断面図であり、上部電極15の膜厚はTT2である。赤画素17Rの上部電極15の膜厚だけ厚くなっている。
【0066】
図11において、赤画素17Rか緑画素17Gのいずれかの画素のみの上部電極15の膜厚を厚くしてシェーディングが画面内で10%以内とする条件は、3T−2TT1≦TT2である。
【0067】
上式において、TT2は赤画素17Rの上部電極15の膜厚である。Tは全ての画素の上部電極15を厚くすることによってシェーディングを画面内で10%以下とする場合の膜厚、TT1は膜厚を大きくしない青画素17Bおよび緑画素17Gの上部電極15の膜厚である。上式は図12のような考え方によって導くことが出来る。
【0068】
図12(a)および図12(b)において、15B、15G、15Rは各々青画素17B、緑画素17G、赤画素17Rにおける上部電極15である。図12(a)において、膜厚Tは全ての画素の上部電極15を厚くすることによってシェーディングを画面内で10%以下とする場合の膜厚である。図12(b)において、TT1は膜厚を大きくしない青画素17Bおよび緑画素17Gの上部電極15の膜厚、TT2は赤画素17Rの上部電極15の膜厚である。
【0069】
図12において、3T≦TT2+2TT1の関係がある。すなわち、全画素均一に厚くした場合の上部電極15の全体積に対して、赤画素17Rのみ厚くした場合の上部電極15の全体積を同じか大きくしている。こうすれば、図12(a)の場合の上部電極15の電圧降下と図12(b)の場合の上部電極15の電圧降下を同じがそれよりも小さくすることが出来る。
【0070】
赤画素17Rにおける上部電極15をこのように厚くする場合は、上部電極15において、赤の光が干渉によって外部に取り出しにくくなるような膜厚は避ける必要がある。このような条件は式(1)によって与えられる。
【0071】
【数1】

式(1)において、λmaxは赤画素17Rにおける発光スペクトルのピーク波長、n(λmax)は、λmaxにおける上部電極15の屈折率、dは透明電極の膜厚である。また、画素には上部電極15のみでなく、発光層、下部電極11等も存在している。光の干渉はこれらの膜の影響も受ける。n(λmax)はこれらのいずれかの膜のλmaxにおける屈折率である。また、dはこれらのいずれかの層の膜厚である。
【0072】
図11の平面図を図13に示す。図13において、赤画素17R、青画素17B、緑画素17Gが縦方向に配列している。全面に上部電極15がスパッタリングによって形成されている。赤画素17Rの上には全体に形成される上部電極15に加えてさらに第2層の上部電極15がスパッタリングによって形成されている。赤画素17Rの上に形成される第2層のスパッタリングの幅は2C+Dである。この幅は、実施例1における3C+2Dに比べると狭いが、補助電極16の幅Cに比べればはるかに大きい。したがって、高精細画面においても十分に対応可能である。
【0073】
図14は緑画素17Gの上部電極15の膜厚のみを大きくした場合の例を示す断面図である。図14(a)は青画素17Bの断面図であり、上部電極15の膜厚はTT1である。図14(b)は緑画素17Gの断面図であり、上部電極15の膜厚はTT2である。図14(c)は赤画素17Rの断面図であり、上部電極15の膜厚はTT1である。緑画素17Gの上部電極15の膜厚だけ厚くなっている。
【0074】
図14における各画素の上部電極15の膜厚の設定のしかたは、図12において説明したのと同様である。図12における赤画素17Rと緑画素17Gの関係を交換すればよい。また、干渉効果を考慮した緑画素17Gの上部電極15の膜厚の設定も式(1)で説明したのと同様である。式(1)におけるλmaxは、緑画素17Gにおける発光スペクトルのピーク波長となる。
【0075】
図14に対応する画素配置の平面図を図15に示す。図15において、赤画素17R、青画素17B、緑画素17Gが各々縦方向に配列している。図15において、全面に上部電極15がスパッタリングによって形成されている。緑画素17Gの上には全面に形成される上部電極15に加えてさらに第2層の上部電極15がスパッタリングによって被着されている。緑画素17Gの上に形成される第2層のスパッタリングに幅は2C+Dである。この幅は、実施例1における3C+2Dに比べると狭いが、補助電極16の幅Cに比べればはるかに大きい。したがって、高精細画面においても十分に対応可能である。
【0076】
以上のように、本実施例によれば、画面輝度の実質的な低下を下げつつ、シェーディングを軽減することが出来る。さらに、光の干渉効果による光の取り出しの効率低下を効果的に防止することが出来るので、明るい画面の有機EL表示装置を実現することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】トップエミッション型有機EL表示装置の断面図である。
【図2】トップエミッション型有機EL表示装置の上部電極付近の断面図である。
【図3】実施例1の上部電極付近の断面図である。
【図4】上部電極の光波長に対する透過率である。
【図5】実施例1の上部電極膜厚設定の説明図である。
【図6】実施例1の平面図である。
【図7】補助電極を用いる従来例の断面図である。
【図8】補助電極を用いる従来例の平面図である。
【図9】全画素の上部電極を厚くする場合の断面図である。
【図10】実施例2の上部電極膜厚設定の説明図である。
【図11】実施例3の断面図である。
【図12】実施例3の上部電極膜厚設定の説明図である。
【図13】実施例3の平面図である。
【図14】実施例3の他の断面図である。
【図15】実施例3の他の平面図である。
【符号の説明】
【0078】
1…ガラス基板、 2…半導体層、 3…ゲート絶縁膜、 4…ゲート電極、 5…層間絶縁膜、 6…ソース電極、 7…ドレイン電極、 8…無機パッシベーション膜、 9…有機パッシベーション膜、 10…反射膜、 11…下部電極、 12…接続電極、 13…バンク、 14…有機EL層、 15…上部電極、 16…補助電極、 17R…赤画素、 17G…緑画素、 17B…青画素、 18…電源線、 101…第1下地膜、 102…第2下地膜。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部電極と下部電極によって挟持された赤色発光をする有機EL層を有する複数の赤画素と、上部電極と下部電極によって挟持された緑色発光をする有機EL層を有する複数の緑画素と、上部電極と下部電極によって挟持された青色発光をする有機EL層を有する複数の青画素とが形成された画面有するトップエミッション型有機EL表示装置であって、
前記複数の赤画素に流す電流の合計を50mA、前記複数の緑画素に流す電流の合計を50mA、前記複数の青画素に流す電流の合計を50mAとしたときに、前記画面における輝度の傾斜が10%以内であり、前記赤画素の前記上部電極の膜厚と、前記緑画素の前記上部電極の膜厚は等しく、前記青画素の前記上部電極の膜厚は前記赤画素および前記緑画素の前記上部電極の膜厚よりも小さいことを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項2】
前記青画素における前記上部電極の膜厚は、前記赤画素の前記上部電極の膜厚または前記緑画素の前記上部電極の膜厚の1/10以下であることを特徴とする請求項1に記載の有機EL表示装置。
【請求項3】
上部電極と下部電極によって挟持された赤色発光をする有機EL層を有する複数の赤画素と、上部電極と下部電極によって挟持された緑色発光をする有機EL層を有する複数の緑画素と、上部電極と下部電極によって挟持された青色発光をする有機EL層を有する複数の青画素とが形成された画面を有するトップエミッション型有機EL表示装置であって、
前記複数の赤画素に流す電流の合計を50mA、前記複数の緑画素に流す電流の合計を50mA、前記複数の青画素に流す電流の合計を50mAとし、前記赤画素、前記緑画素、前記青画素の前記上部電極の厚さが等しいときに、前記画面における輝度の傾斜が10%以内となる場合の各画素における前記上部電極の膜厚をTとし、
前記青画素の前記上部電極の膜厚をTB、前記赤画素の前記上部電極の膜厚をTR、前記青画素の前記上部電極の膜厚をTGとしたとき、
TRおよびTGは等しく、かつ、TRおよびTGは、3T/2―TB/3と同じがそれよりも大きいことを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項4】
前記青画素の前記上部電極の膜厚をTB、前記赤画素の前記上部電極の膜厚をTR、前記青画素の前記上部電極の膜厚をTGとしたとき、TRおよびTGはTBの10倍以上であることを特徴とする請求項3に記載の有機EL表示装置。
【請求項5】
上部電極と下部電極によって挟持された赤色発光をする有機EL層を有する複数の赤画素と、上部電極と下部電極によって挟持された緑色発光をする有機EL層を有する複数の緑画素と、上部電極と下部電極によって挟持された青色発光をする有機EL層を有する複数の青画素とが形成された画面を有するトップエミッション型有機EL表示装置であって、
前記複数の赤画素に流す電流の合計を50mA、前記複数の緑画素に流す電流の合計を50mA、前記複数の青画素に流す電流の合計を50mAとし、前記赤画素、前記緑画素、前記青画素の前記上部電極の厚さが等しいときに、前記画面における輝度の傾斜が10%以内となる場合の各画素における前記上部電極の膜厚をTとし、
前記青画素の前記上部電極の膜厚をTB、前記赤画素の前記上部電極の膜厚をTR、前記青画素の前記上部電極の膜厚をTGとしたとき、
TB<TG<TRで、かつ、3T≦TG+TR+TBの関係があることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項6】
上部電極と下部電極によって挟持された赤色発光をする有機EL層を有する複数の赤画素と、上部電極と下部電極によって挟持された緑色発光をする有機EL層を有する複数の緑画素と、上部電極と下部電極によって挟持された青色発光をする有機EL層を有する複数の青画素とが形成された画面を有するトップエミッション型有機EL表示装置であって、
前記複数の赤画素に流す電流の合計を50mA、前記複数の緑画素に流す電流の合計を50mA、前記複数の青画素に流す電流の合計を50mAとし、前記赤画素、前記緑画素、前記青画素の前記上部電極の厚さが等しいときに、前記画面における輝度の傾斜が10%以内となる場合の各画素における前記上部電極の膜厚をTとし、
前記青画素の前記上部電極の膜厚をTB、前記赤画素の前記上部電極の膜厚をTR、前記青画素の前記上部電極の膜厚をTGとし、
TB=TG<TRであり、TB=TG=TT1としたとき、
3T−2TT1≦TRであって、
かつ、前記赤画素においては、(式1)の関係を満たし、
【数1】

(式1)において、λmaxは赤画素における発光スペクトルのピーク波長、n(λmax)は、λmaxにおける上部電極の屈折率、dは前記上部電極の膜厚、diは前記有機EL層または前記下部電極の膜厚、ni(λmax)は前記有機EL層または前記下部電極のいずれかの膜のλmaxにおける屈折率であることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項7】
上部電極と下部電極によって挟持された赤色発光をする有機EL層を有する複数の赤画素と、上部電極と下部電極によって挟持された緑色発光をする有機EL層を有する複数の緑画素と、上部電極と下部電極によって挟持された青色発光をする有機EL層を有する複数の青画素とが形成された画面を有するトップエミッション型有機EL表示装置であって、
前記複数の赤画素に流す電流の合計を50mA、前記複数の緑画素に流す電流の合計を50mA、前記複数の青画素に流す電流の合計を50mAとし、前記赤画素、前記緑画素、前記青画素の前記上部電極の厚さが等しいときに、前記画面における輝度の傾斜が10%以内となる場合の各画素における前記上部電極の膜厚をTとし、
前記青画素の前記上部電極の膜厚をTB、前記赤画素の前記上部電極の膜厚をTR、前記青画素の前記上部電極の膜厚をTGとし、
TB=TR<TGあり、TB=TR=TT1としたとき、
3T−2TT1≦TGであって、
かつ、前記緑画素においては、(式1)の関係を満たし、
【数2】

(式1)において、λmaxは赤画素における発光スペクトルのピーク波長、n(λmax)は、λmaxにおける上部電極の屈折率、dは前記上部電極の膜厚、diは前記有機EL層または前記下部電極の膜厚、ni(λmax)は前記有機EL層または前記下部電極のいずれかの膜のλmaxにおける屈折率であることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項8】
前記上部電極はIn、Zn、またはSnを主成分とする酸化物によって形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項7に記載の有機EL表示装置。
【請求項9】
前記上部電極はIZOによって形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項7に記載の有機EL表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−20971(P2010−20971A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−179066(P2008−179066)
【出願日】平成20年7月9日(2008.7.9)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【Fターム(参考)】