有機EL表示装置
【課題】透明基板が破損する虞を大きく低減することが可能であると共に全体として薄型化することが可能な有機EL表示装置を提供する。
【解決手段】有機EL表示装置1は、透明基板10と、第1電極パターン14と、無機材料によって構成された絶縁パターン16と、分離体18と、有機EL層20と、第2電極パターン22と、無機材料によって構成された保護層24と、樹脂層26と、保護部材28と、半導体チップ30と、フレキシブルプリント回路基板32とを備える。保護部材28は、透明基板10のうち半導体チップ30及びフレキシブルプリント回路基板21が実装されている部分以外の大部分を覆っている。
【解決手段】有機EL表示装置1は、透明基板10と、第1電極パターン14と、無機材料によって構成された絶縁パターン16と、分離体18と、有機EL層20と、第2電極パターン22と、無機材料によって構成された保護層24と、樹脂層26と、保護部材28と、半導体チップ30と、フレキシブルプリント回路基板32とを備える。保護部材28は、透明基板10のうち半導体チップ30及びフレキシブルプリント回路基板21が実装されている部分以外の大部分を覆っている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッシブマトリクス駆動方式の有機EL表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL表示装置は、多数の有機EL素子が格子状に並べられて構成されている。ここで、有機EL素子は、一般に、一対の電極(陽極及び陰極)によって発光層が挟持されたものである。発光層は、電極間に電圧が印加されることで発光する。しかしながら、水分が滲入して、電極が酸化したり発光層と電極とが剥離したりすることで、発光層に発光しなくなる部位(黒点やダークスポットともいう)が発生することがある。従って、有機EL表示装置においては、水分の滲入によるダークスポットの発生を防ぐ技術が極めて重要である。
【0003】
そこで、従来、ガラス基板と、ITO電極、有機発光材料層及び陰極がこの順でガラス基板上に積層されてなる有機EL素子と、積層体を覆うように配置された封止缶と、ガラス基板と封止缶とを接着して、ガラス基板と封止缶とによって画成される空間内を密閉する封止材と、封止缶のうち当該空間内に向かう壁面に設けられた乾燥剤とを備える有機EL表示装置が知られている(例えば、下記特許文献1参照)。この有機EL表示装置では、有機EL素子をガラス基板、封止缶及び封止剤で密閉しているので、その密閉空間内に水分が滲入し難くなっており、また、密閉空間内に乾燥剤を配置しているので、密閉空間内に水分が滲入したとしても密閉空間内の吸湿を行えるようになっている。
【特許文献1】特開平9−148066号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、有機EL表示装置の一層の薄型化が要求されている。これに伴い、有機EL表示装置を構成するガラス基板(透明基板)についても薄型化が行われている。
【0005】
しかしながら、ガラス基板が薄くなるほどガラス基板の強度が低下してしまうので、ガラス基板の破損を招く虞が高かった。特に、従来の有機EL表示装置では、ガラス基板上のうち封止缶が設けられていない部分に、有機EL表示装置を駆動するための半導体チップを実装することが一般に行われており、この半導体チップの実装部分においては、主としてガラス基板による強度しかなく、ガラス基板の破損を招く虞が極めて高かった。また、従来の有機EL表示装置では、ガラス基板上に封止缶を設けるようにしていたため、ガラス基板が封止缶を支える程度の強度を有している必要があり、ガラス基板の薄型化に限界があった。
【0006】
そこで、本発明は、透明基板が破損する虞を大きく低減することが可能であると共に全体として薄型化することが可能な有機EL表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る有機EL表示装置は、パッシブマトリクス駆動方式の有機EL表示装置であって、透明基板と、互いに離間するように、透明基板上に配置された複数の第1電極パターンと、複数の第1電極パターンを互いに絶縁すると共に複数の第1電極パターンの表面のうち所定部分が露出するように、透明基板上及び複数の第1電極パターン上に配置された絶縁パターンと、絶縁パターン上に配置された複数の分離体と、複数の第1電極パターン上及び絶縁パターン上に配置された複数の有機EL層と、複数の有機EL層上にそれぞれ対応して配置された複数の第2電極パターンと、無機材料によって構成され、絶縁パターン、複数の分離体、複数の有機EL層及び複数の第2電極パターンを被覆する保護層と、保護層を被覆する樹脂層と、樹脂層上に配置された保護部材と、透明基板上に実装された半導体チップ及びフレキシブルプリント回路基板とを備え、複数の有機EL層及び複数の第2電極パターンは、複数の第1電極パターン、絶縁パターン及び保護層によって囲まれており、保護部材が、透明基板のうち半導体チップ及びフレキシブルプリント回路基板が実装されている部分以外の大部分を覆っていることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る有機EL表示装置では、保護部材が、透明基板のうち半導体チップ及びフレキシブルプリント回路基板が実装されている部分以外の大部分を覆っている。そのため、保護部材により、透明基板の大部分において強度の向上を図ることができる。また、封止缶を必要としないことから、透明基板をより薄型化することができる。その結果、透明基板が破損する虞を大きく低減することが可能であると共に全体として薄型化することが可能となる。さらに、配線パターンが保護部材によって覆われているので、汚染によって配線パターンに腐食等が発生することを防ぐことが可能となる。
【0009】
また、本発明に係る有機EL表示装置は、パッシブマトリクス駆動方式の有機EL表示装置であって、透明基板と、互いに離間するように、透明基板上に配置された複数の第1電極パターンと、複数の第1電極パターンを互いに絶縁すると共に複数の第1電極パターンの表面のうち所定部分が露出するように、透明基板上及び複数の第1電極パターン上に配置された絶縁パターンと、絶縁パターン上に配置された複数の分離体と、複数の第1電極パターン上及び絶縁パターン上に配置された複数の有機EL層と、複数の有機EL層上にそれぞれ対応して配置された複数の第2電極パターンと、無機材料によって構成され、絶縁パターン、複数の分離体、複数の有機EL層及び複数の第2電極パターンを被覆する保護層と、保護層を被覆する樹脂層と、樹脂層上に配置された保護部材と、透明基板上に実装された半導体チップ及びフレキシブルプリント回路基板とを備え、複数の有機EL層及び複数の第2電極パターンは、複数の第1電極パターン、絶縁パターン及び保護層によって囲まれており、保護部材が、樹脂層を介して、透明基板のうち半導体チップ及びフレキシブルプリント回路基板が実装されている部分以外の大部分を覆っていることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る有機EL表示装置では、保護部材が、透明基板のうち半導体チップ及びフレキシブルプリント回路基板が実装されている部分以外の大部分を覆っている。そのため、保護部材により、透明基板の大部分において強度の向上を図ることができる。また、封止缶を必要としないことから、透明基板をより薄型化することができる。その結果、透明基板が破損する虞を大きく低減することが可能であると共に全体として薄型化することが可能となる。さらに、配線パターンが保護部材によって覆われているので、汚染によって配線パターンに腐食等が発生することを防ぐことが可能となる。
【0011】
好ましくは、保護部材が、ガラス板、セラミック板、金属板又は樹脂フィルムである。
【0012】
好ましくは、透明基板が、エッチングガラス又は樹脂フィルムである。
【0013】
好ましくは、透明基板から保護部材までの厚みが0.6mm以下であり、且つ、透明基板の厚みと保護部材の厚みとが実質的に同じであるか、透明基板の厚みが保護部材の厚みよりも厚い。
【0014】
好ましくは、樹脂層のうち分離体の上方以外に位置する部分の厚みが、保護層のうち分離体の上方に位置する部分の表面高さと保護層のうち分離体の上方以外に位置する部分の表面高さとの差よりも大きい。
【0015】
好ましくは、樹脂層のショアA硬度が80以上又は樹脂層のショアD硬度が30以上である。樹脂層のショアA硬度が80未満又は樹脂層のショアD硬度が30未満であると、外力に対して樹脂層が変形しやすいので、有機EL表示装置に外力が与えられた場合に、有機EL層、第1保護膜、第2保護膜等に損傷が生じる傾向にある。
【0016】
好ましくは、樹脂層のガラス転移温度が90℃以上である。有機EL表示装置の使用環境における温度範囲は、一般に、−30℃〜80℃であるから、樹脂のガラス転移温度が90℃未満(特に常温未満)であると、熱衝撃による収縮応力によって、有機EL層、第1保護膜、第2保護膜等に損傷が生じる傾向にある。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、透明基板が破損する虞を大きく低減することが可能であると共に全体として薄型化することが可能な有機EL表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明に係る有機EL表示装置1の好適な実施形態について、図面を参照して説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。また、説明中、「上」なる語を使用することがあるが、これは図面の上方向に対応したものである。さらに、以下では、縦横で3×3の画素を有する有機EL表示装置1を例にとって説明しているが、画素の数や画素の配置構造としてはこれに限定されず、有機EL表示装置1の用途に応じて種々の画素数又は種々の画素の配置構造とすることができるのは勿論である。
【0019】
(有機EL表示装置の構成)
まず、図1〜図4を参照して、有機EL表示装置1の構成について説明する。有機EL表示装置1は、いわゆるパッシブマトリクス駆動方式を採用しており、透明基板10と、複数の配線パターン12と、複数の第1電極パターン14と、絶縁パターン16と、分離体18と、複数の有機EL層20と、複数の第2電極パターン22と、保護層24と、樹脂層26と、保護部材28と、半導体チップ30と、フレキシブルプリント回路(FPC:Flexible Printed Circuit)基板32とを備える。
【0020】
透明基板10は、方形状を呈している。透明基板10の材質としては、特に限定されないが、例えば、エッチングガラス等のガラス基板、樹脂基板、樹脂フィルムが挙げられる。透明基板10の厚みは、例えば、0.2mm〜0.3mm程度に設定することができる。
【0021】
配線パターン12は、図2に示されるように、透明基板10上に複数形成されている。本実施形態においては、後述する図7等に示されるように、3本の配線パターン12Aが、半導体チップ30と各第1電極パターン14とを物理的且つ電気的に接続するように延びており、3本の配線パターン12Bが、半導体チップ30と各第2電極パターン22とを物理的且つ電気的に接続するように延びており、5本の配線パターン12Cが、半導体チップ30とフレキシブルプリント回路基板32とを電気的に接続するように延びている。
【0022】
配線パターン12は、特に限定されるものではなく、例えば補助電極膜、バリアメタル膜若しくは透明電極膜又はこれらが2層以上積層されたものによって構成することができる。
【0023】
第1電極パターン14は、透明基板10上に複数(本実施形態においては3つ)形成されている。各第1電極パターン14は、図3に示されるように、一方向に延在すると共に互いに略平行となるように、透明基板10上に配置されている。各第1電極パターン14は、後述する図7等に示されるように、各配線パターン12Bとそれぞれ物理的且つ電気的に接続されている。
【0024】
第1電極パターン14は、例えばITOによって構成される。第1電極パターン14の厚みは、例えば10nm〜300nm程度に設定することができる。
【0025】
絶縁パターン16は、透明基板10及び第1電極パターン14上に形成されている。絶縁パターン16は、図3に示されるように、複数(本実施形態においては4つ)の第1部分16aと、複数(本実施形態においては4つ)の第2部分16bとを有している。
【0026】
各第1部分16aは、各第1電極パターン14に略直交して延在すると共に互いに略平行となるように、透明基板10及び第1電極パターン14上に配置されている。各第2部分16bは、各第1電極パターン14のうち隣り合う第1電極パターン14間に位置するように、透明基板10及び第1電極パターン14上に配置されている。そのため、絶縁パターン16は、各第1部分16aと各第2部分16bとによって格子状となるように構成されている。
【0027】
絶縁パターン16は、本実施形態において、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、酸化アルミニウム及びこれらに水素が添加された材料のうちいずれか一つを主成分として含んで構成される。絶縁パターン16の厚みは、例えば0.1μm〜10μm程度に設定することができる。
【0028】
絶縁パターン16の水分透過率は、10−3g/m2・day以下であることが好ましい。ここで、水分透過率が10−3g/m2・dayの場合、水1gでの水分子の量が6.02×1023/18[分子/g]であるから、単位時間・単位面積当たりの水分子の数は3.87×1010[個/cm2・s]である。そして、単位面積当たりの有機分子の数が1014[個/cm2]である有機EL層20が100層あると仮定すると、全ての有機分子が破壊されるまでの時間tは、
t=1014×100/(3.87×1010×602)≒71.8[時間]
となる。つまり、水分透過率が10−3g/m2・day以下であれば、絶縁パターン16を形成してから保護層24を形成するまでの間における水分の滲入による有機EL層20でのダークスポットの発生を約1〜2日の間抑制することが可能となる。その結果、有機EL表示装置1を安定して生産することが可能となる。
【0029】
分離体18は、図2〜図4に示されるように、絶縁パターン16の各第1部分16a上にそれぞれ対応して複数(本実施形態においては4つ)形成されている。各分離体18は、各第1部分16a上において、第1部分16aの長手方向に延在すると共に互いに略平行となるように、各第1部分16a上に配置されている。
【0030】
分離体18は、例えば感光性樹脂によって構成される。分離体18の厚みは、有機EL層20及び第2電極パターン22を分離(詳しくは後述する)するのに十分な高さ、例えば1μm〜20μm程度に設定することができる。また、分離体18の形状についても、有機EL層20及び第2電極パターン22が分離(詳しくは後述する)され、その表面に第2電極パターン22が付着しない領域が存在するようなオーバハング形状であればよい。
【0031】
有機EL層20は、図2〜図4に示されるように、各分離体18のうち隣り合う分離体18間に位置するように、各第1電極パターン14上及び絶縁パターン16上に複数(本実施形態においては3つ)配置されている。具体的には、各有機EL層20は、絶縁パターン16の各第1部分16aのうち隣り合う第1部分16aの間に位置している。各有機EL層20のうち延在方向に平行な両縁部は、各第1部分16aのうち延在方向に略平行な縁部を覆っている。また、各有機EL層20は、各分離体18の上面を覆うように配置されている。
【0032】
有機EL層20の材料は、特に限定されないが、例えば正孔輸送層、発光層、電子輸送層によって構成される公知のものを利用できる。有機EL層20の厚みは、例えば5nm〜500nm程度に設定することができる。
【0033】
第2電極パターン22は、各有機EL層20上にそれぞれ対応して複数(本実施形態においては3つ)配置されている。そのため、各第2電極パターン22は、図3に示されるように、一方向に延在すると共に互いに略平行とされている。各第2電極パターン22にのうち延在方向に平行な両縁部は、各有機EL層20のうち延在方向に略平行な縁部の近傍に位置している。各第2電極パターン22は、後述する図13に示されるように、各配線パターン12Aとそれぞれ物理的且つ電気的に接続されている。また、各第2電極パターン22は、各分離体18の上面に形成された各有機EL層20を覆うように配置されている。
【0034】
第2電極パターン22は、例えばAlによって構成される。第2電極パターン22の厚みは、例えば50nm〜1μm程度に設定することができる。
【0035】
保護層24は、図1に示されるように、透明基板10のうち半導体チップ30及びフレキシブルプリント回路基板32が実装されている部分以外の大部分を覆っている。具体的には、図2〜図4に示されるように、保護層24は、配線パターン12、絶縁パターン16、分離体18、有機EL層20及び第2電極パターン22を主として被覆している。そのため、各有機EL層20及び各第2電極パターン22は、各第1電極パターン14、絶縁パターン16及び保護層24によって囲まれることとなる。
【0036】
保護層24は、透明基板10に近い順に第1保護膜24a及び第2保護膜24bを有している。保護膜24(第1保護膜24a及び第2保護膜24b)は、無機材料によって構成される。
【0037】
具体的には、第1保護膜24aは、本実施形態において、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、酸化アルミニウム及びこれらに水素が添加された材料のうちいずれか一つを主成分として含んで構成される。第1保護膜24aの厚みは、例えば0.1μm〜3μm程度に設定することができる。第2保護膜24bは、本実施形態において、SOG(Spin On Glass:ケイ素化合物をアルコール等の有機溶剤に溶解させた塗布液)やポリシラザン等の無機系コーティング材料によって構成される。第2保護膜24bの厚みは、例えば0.5μm〜10μm程度に設定することができる。
【0038】
第1保護膜24aは、各部材の表面を略均一の厚さ(例えば0.1μm〜3μm程度)で覆っている。そのため、第1保護膜24aのうち絶縁パターン16と分離体18との接触部分を覆う部分の近傍には、図4に示されるように、狭隘部Nが形成されている。第2保護膜24bは、この狭隘部Nに入り込むように配置されている。このように、各有機EL層20及び各第2電極パターン22と各分離体18との間に保護層24(第1保護膜24a及び第2保護膜24b)が配置されることにより、各有機EL層20及び各第2電極パターン22と各分離体18とが保護層24によって隔離される。
【0039】
樹脂層26は、透明基板10のうち半導体チップ30及びフレキシブルプリント回路基板32が実装されている部分以外の大部分を被覆するように保護層24上に形成されている。樹脂層26は、例えばエポキシ樹脂等の接着性を有する樹脂によって構成される。樹脂層26のうち各分離体18の上方以外に位置する部分の厚みd1は、保護層24のうち各分離体18の上方に位置する部分の表面高さと保護層24のうち各分離体18の上方以外に位置する部分の表面高さとの差d2(例えば、0.1μm〜10μm程度)よりも大きいと好ましく、例えば5μm〜100μm程度に設定することができる。
【0040】
ここで、樹脂層26のショアA硬度が80以上又は樹脂層26のショアD硬度が30以上であると好ましい。樹脂層26のショアA硬度が80未満又は樹脂層26のショアD硬度が30未満であると、外力に対して樹脂層26が変形しやすいので、有機EL表示装置1に外力が与えられた場合に、有機EL層20、保護層24(第1保護膜24a及び第2保護膜24b)等に損傷が生じる傾向にある。
【0041】
また、樹脂層26のガラス転移温度が90℃以上であると好ましい。有機EL表示装置1の使用環境における温度範囲は、一般に、−30℃〜80℃であるから、樹脂層26のガラス転移温度が90℃未満(特に常温未満)であると、熱衝撃による収縮応力によって、有機EL層20、第1保護膜24a、第2保護膜24b等に損傷が生じる傾向にある。
【0042】
保護部材28は、透明基板10のうち半導体チップ30及びフレキシブルプリント回路基板32が実装されている部分以外の大部分を被覆するように樹脂層26上に配置されている。保護部材28は、例えばガラス板、セラミック板、金属板、樹脂フィルムによって構成される。保護部材28の厚みは、透明基板10の厚みと実質的に同一であるか、透明基板10の厚みよりも薄い(透明基板10の厚みが保護部材28の厚みよりも厚い)ことが好ましく、例えば0.05μm〜0.2μm程度に設定することができる。このとき、透明基板10から保護部材28までの厚み、すなわち、有機EL表示装置1の厚みは、0.6mm以下であると好ましい。
【0043】
半導体チップ30及びフレキシブルプリント回路基板32は、図1及び図2に示されるように、透明基板10上に実装されている。半導体チップ30は、フレキシブルプリント回路基板32を介して入力される信号に基づいて、パッシブマトリクス駆動方式により、所望の画素の発光を制御する。フレキシブルプリント回路基板32は、フレキシブルな外部配線手段である。
【0044】
(有機EL表示装置の製造方法)
続いて、図1、図2及び図5〜図14を参照して、有機EL表示装置1の製造方法について説明する。
【0045】
まず、図5及び図6に示されるように、透明基板10上に配線パターン12(12A〜12C)及び第1電極パターン14を形成する。具体的には、配線パターン12(12A〜12C)及び第1電極パターン14となる透明電極材料をスパッタリングにより透明基板10の全面に成膜し、フォトリソグラフィー法によってパターニングすることで、配線パターン12(12A〜12C)及び第1電極パターン14を形成する。
【0046】
続いて、図7及び図8に示されるように、絶縁パターン16を形成する。具体的には、各第1部分16aが各第1電極パターン14に略直交して延在すると共に互いに略平行となり、また、各第2部分16bが各第1電極パターン14のうち隣り合う第1電極パターン14間に位置するように、無機材料を用いてプラズマCVDやスパッタ法といった蒸着法、原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法等により成膜する。
【0047】
続いて、図9及び図10に示されるように、各分離体18を絶縁パターン16の各第1部分16a上にそれぞれ対応して形成する。具体的には、感光性樹脂等の樹脂材料を用いてフォトリソグラフィー法により各分離体18を形成する。
【0048】
続いて、図11及び図12に示されるように、有機EL層20及び第2電極パターン22を形成する。具体的には、有機EL層20となる公知の材料を用いて蒸着法により、有機EL層20及び第2電極パターン22をそれぞれ成膜する。このとき、各有機EL層20は、各分離体18のうち隣り合う分離体18間に配置されると共に、各分離体18の上面を覆うように配置される。各第2電極パターン22は、各有機EL層20上にそれぞれ対応して配置されると共に、各分離体18の上面に形成された各有機EL層20を覆うように配置される。
【0049】
続いて、図13及び図14に示されるように、透明基板10のうち半導体チップ30及びフレキシブルプリント回路基板32が実装されている部分以外の大部分を覆う保護層24を形成する。具体的には、無機材料を用いてステップカバレッジ性のよいプラズマCVDやスパッタ法といった蒸着法、原子層堆積法等により、第1保護膜24aを成膜する。そして、無機系コーティング材料を第1保護膜24a上に塗布して硬化させることにより、第2保護膜24bを形成する。
【0050】
続いて、図1及び図2に示されるように、樹脂層26及び保護部材28を設ける。具体的には、樹脂層26となる樹脂を第2保護膜24bの所定の領域に塗布し、保護部材28を樹脂に接着させた後、樹脂を硬化させて樹脂層26を形成する。そして、半導体チップ30及びフレキシブルプリント基板32を透明基板10上の所定の位置に搭載する。これにより有機EL表示装置1が完成する。
【0051】
以上のような本実施形態においては、無機材料によって構成された保護層24が、絶縁パターン16、各分離体18、各有機EL層20及び各第2電極パターン22を被覆しており、各有機EL層20及び各第2電極パターン22が、各第1電極パターン14、絶縁パターン16及び保護層24によって囲まれていると共に、絶縁パターン16が無機材料によって構成されている。つまり、各有機EL層20及び各第2電極パターン22と各分離体18とが、無機材料である保護層24及び無機材料である絶縁パターン16によって隔離されている。そのため、各有機EL層20と各分離体18との間で水分が透過することがほとんどない。その結果、分離体18に欠陥があった場合でも、有機EL層20に水分が滲入し難くなるので、水分の滲入によるダークスポットがほとんど発生しなくなる。
【0052】
また、本実施形態においては、保護部材28が、透明基板10のうち半導体チップ30及びフレキシブルプリント回路基板32が実装されている部分以外の大部分を覆っている。そのため、保護部材28により、透明基板10の大部分において強度の向上を図ることができる。また、封止缶を必要としないことから、透明基板10をより薄型化することができる。その結果、透明基板10が破損する虞を大きく低減することが可能であると共に全体として薄型化することが可能となる。さらに、配線パターン12が保護部材28によって覆われているので、汚染によって配線パターン12に腐食等が発生することを防ぐことが可能となる。
【0053】
また、本実施形態においては、保護層24が、透明基板10に近い順に、第1保護膜24a及び第2保護膜24bを有しており、第2保護膜24bが、第1保護膜24aのうち、絶縁パターン16と分離体18との接触部分を覆う部分の近傍に形成された狭隘部Nに入り込むように配置されている。そのため、水分の滲入をより一層防止することが可能となっている。
【0054】
また、本実施形態においては、各配線パターン12が、透明基板10上に配置されると共に、各第1電極パターン14及び各第2電極パターン22にそれぞれ対応するように電気的に接続されており、保護層24が、各配線パターン12の大部分を覆っている。そのため、例えば、各配線パターン12のうち隣り合う配線パターン12の短絡等を防止することが可能となっている。
【0055】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記した実施形態に限定されるものではない。例えば、図15に示されるように、絶縁パターン16が樹脂層16A及び無機材料層16Bによって構成されていてもよい。具体的には、絶縁パターン16のうち少なくとも保護層24及び分離体18と接触している部分が無機材料層16Bとなっており、それ以外の残余部分が樹脂層16Aとなっている。この場合であっても、各有機EL層20及び各第2電極パターン22と各分離体18とが、無機材料である保護層24及び絶縁パターン16のうち無機材料層16Bによって隔離されこととなる。そのため、有機EL層20と分離体18との間で水分が透過することがほとんどない。その結果、分離体18に欠陥があった場合でも、有機EL層20に水分が滲入し難くなるので、水分の滲入によるダークスポットがほとんど発生しなくなる。
【0056】
ここで、樹脂層16Aは、感光性樹脂等の樹脂材料を用いてフォトリソグラフィー法により形成することができる。無機材料層16Bは、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、酸化アルミニウム及びこれらに水素が添加された材料のうちいずれか一つを主成分として含んで構成される無機材料を用いて、プラズマCVDやスパッタ法といった蒸着法、原子層堆積法等により成膜することができる。なお、無機材料層16Bの水分透過率は、10−3g/m2・day以下であることが好ましい。
【0057】
また、図16及び図17に示されるように、分離体18が樹脂層18A及び無機材料層18Bによって構成されていてもよい。具体的には、図16においては、分離体18のうち少なくとも保護層24及び絶縁パターン16と接触している部分が無機材料層18Bとなっており、それ以外の残余部分が樹脂層18Aとなっている。また、図17においては、分離体18のうちいわゆるスペーサとしての機能を発揮している部分が無機材料層16Bとなっており、それ以外の残余部分が樹脂層18Aとなっている。この場合であっても、各有機EL層20及び各第2電極パターン22と各分離体18とが、無機材料である保護層24及び分離体18のうち無機材料層18Bによって隔離されている。そのため、有機EL層20と分離体18との間で水分が透過することがほとんどない。その結果、分離体18に欠陥があった場合でも、有機EL層20に水分が滲入し難くなるので、水分の滲入によるダークスポットがほとんど発生しなくなる。
【0058】
ここで、樹脂層18Aは、感光性樹脂等の樹脂材料を用いてフォトリソグラフィー法により形成することができる。無機材料層18Bは、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、酸化アルミニウム及びこれらに水素が添加された材料のうちいずれか一つを主成分として含んで構成される無機材料を用いて、プラズマCVDやスパッタ法といった蒸着法、原子層堆積法等により成膜することができる。なお、無機材料層18Bの水分透過率は、10−3g/m2・day以下であることが好ましい。
【0059】
また、本実施形態においては、保護層24が、透明基板10のうち半導体チップ30及びフレキシブルプリント回路基板32が実装されている部分以外の大部分を覆っていたが、これに限られない。すなわち、保護層24が、主として絶縁パターン16、分離体18、有機EL層20及び第2電極パターン22を被覆し、配線パターン12については一部のみを保護層24によって覆うようにしてもよい。
【0060】
また、本実施形態においては、保護部材28が1枚の板状体であったが、複数の保護部材を用いて、透明基板10のうち半導体チップ30及びフレキシブルプリント回路基板32が実装されている部分以外の大部分を覆うようにしてもよい。
【実施例1】
【0061】
ここで、樹脂層26の好ましい硬度について、試験により確認した。以下、実施例1−1〜1−6及び図18に基づいて説明する。
【0062】
(実施例1−1)
まず、紫外線硬化型エポキシ樹脂を硬化して、JIS K 7215「プラスチックのデュロメータ硬さ試験方法」に準拠してショアD硬度を測定した。実施例1−1では、ショアD硬度が78であった。
【0063】
次に、同じ紫外線硬化型エポキシ樹脂を用いて樹脂層26が構成された有機EL表示装置1を3つ製作した。そして、各有機EL表示装置1に対して、高温高湿貯蔵試験、熱衝撃試験及び加圧試験をそれぞれ行った。
【0064】
ここで、高温高湿貯蔵試験は、有機EL表示装置1を60℃、湿度90%の環境下に500時間保持するものである。熱衝撃試験は、有機EL表示装置1の環境を、−40℃で30分保持した後に、85℃まで昇温して30分保持し、再び−40℃まで冷却するという熱サイクル(温度変化)を100回繰り返すものである。加圧試験は、剛性を有する支持台上に、保護部材28が下向きになるように有機EL表示装置1を載置して、直径10mmの円柱棒で有機EL表示装置1の中心部分に対し、透明基板10側から200Nの荷重を10秒加えるものである。
【0065】
(実施例1−2〜1−4)
使用する樹脂が紫外線硬化型アクリル樹脂であり、ショアD硬度が58、ショアD硬度が30(ショアA硬度が86)、ショアA硬度が74であること以外は、実施例1−1と同様に実施例1−2〜1−4に係る有機EL表示装置1について各試験を行った。
【0066】
(実施例1−5〜1−6)
使用する樹脂がシリコーン樹脂であり、ショアA硬度が45、ショアA硬度が13であること以外は、実施例1−1と同様に実施例1−5〜1−6に係る有機EL表示装置1について各試験を行った。
【0067】
(評価結果)
各試験終了後に有機EL表示装置1の表示確認を行ったところ、実施例1−1〜1−3に係る有機EL表示装置1では、不具合(ダークスポット)の発生を確認することはできなかった。また、実施例1−4〜1−6に係る有機EL表示装置1では、わずかながら不具合(ダークスポット)が発生していた。従って、樹脂層26のショアA硬度が80以上又は樹脂層26のショアD硬度が30以上であると好ましいことが確認された。
【実施例2】
【0068】
続いて、樹脂層26の好ましいガラス転移温度(Tg)について、試験により確認した。以下、実施例2−1〜2−8及び図21に基づいて説明する。
【0069】
まず、紫外線硬化型エポキシ樹脂を硬化して、動的粘弾性試験(DMA:Dynamic Mechanical Analysis)の損失正接tanδのピーク値からガラス転移温度を測定した。実施例2−1では、ガラス転移温度が102℃であった。
【0070】
次に、同じ紫外線硬化型エポキシ樹脂を用いて樹脂層26が構成された有機EL表示装置1を3つ製作した。そして、各有機EL表示装置1に対して、高温高湿貯蔵試験、熱衝撃試験及び加圧試験をそれぞれ行った。
【0071】
(実施例2−2〜2−3)
ガラス転移温度が110℃、132℃であること以外は、実施例2−1と同様に実施例2−2〜2−3に係る有機EL表示装置1について各試験を行った。
【0072】
(実施例2−4〜2−7)
使用する樹脂が紫外線硬化型アクリル樹脂であり、ガラス転移温度が94℃、72℃、22℃、−18℃であること以外は、実施例2−1と同様に実施例2−4〜2−7に係る有機EL表示装置1について各試験を行った。
【0073】
(実施例2−8)
使用する樹脂がシリコーン樹脂であり、ガラス転移温度が−54℃であること以外は、実施例2−1と同様に実施例2−8に係る有機EL表示装置1について各試験を行った。
【0074】
(評価結果)
各試験終了後に有機EL表示装置1の表示確認を行ったところ、実施例2−1〜2−4に係る有機EL表示装置1では、不具合(ダークスポット)の発生を確認することはできなかった。また、実施例2−5〜2−8に係る有機EL表示装置1では、わずかながら不具合(ダークスポット)が発生していた。従って、樹脂層26のガラス転移温度が90℃以上であると好ましいことが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】図1は、本実施形態に係る有機EL表示装置を示す上面図である。
【図2】図2は、図1のII−II線断面図である。
【図3】図3は、本実施形態に係る有機EL表示装置の一部を破断して示す斜視図である。
【図4】図4は、本実施形態に係る有機EL表示装置の分離体近傍を拡大して示す断面図である。
【図5】図5は、本実施形態に係る有機EL表示装置を製造する一工程を示す上面図である。
【図6】図6は、図5のVI−VI線端面図である。
【図7】図7は、図5の後続の工程を示す上面図である。
【図8】図8は、図7のVIII−VIII線端面図である。
【図9】図9は、図7の後続の工程を示す上面図である。
【図10】図10は、図9のX−X線端面図である。
【図11】図11は、図9の後続の工程を示す上面図である。
【図12】図12は、図11のXII−XII線端面図である。
【図13】図13は、図11の後続の工程を示す上面図である。
【図14】図14は、図13のXIV−XIV線端面図である。
【図15】図15は、本実施形態に係る有機EL表示装置の他の例における分離体近傍を拡大して示す断面図である。
【図16】図16は、本実施形態に係る有機EL表示装置の他の例における分離体近傍を拡大して示す断面図である。
【図17】図17は、本実施形態に係る有機EL表示装置の他の例における分離体近傍を拡大して示す断面図である。
【図18】図18は、実施例1−1〜1−6における各条件及びそれらの評価結果を示す表である。
【図19】図19は、実施例2−1〜2−8における各条件及びそれらの評価結果を示す表である。
【符号の説明】
【0076】
1…有機EL表示装置、10…透明基板、12…配線パターン、14…第1電極パターン、16…絶縁パターン、16a…第1部分、16b…第2部分、18…分離体、20…有機EL層、22…第2電極パターン、24…保護層、24a…第1保護膜、24b…第2保護膜、26…樹脂層、28…保護部材、30…半導体チップ、32…フレキシブルプリント回路基板。
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッシブマトリクス駆動方式の有機EL表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL表示装置は、多数の有機EL素子が格子状に並べられて構成されている。ここで、有機EL素子は、一般に、一対の電極(陽極及び陰極)によって発光層が挟持されたものである。発光層は、電極間に電圧が印加されることで発光する。しかしながら、水分が滲入して、電極が酸化したり発光層と電極とが剥離したりすることで、発光層に発光しなくなる部位(黒点やダークスポットともいう)が発生することがある。従って、有機EL表示装置においては、水分の滲入によるダークスポットの発生を防ぐ技術が極めて重要である。
【0003】
そこで、従来、ガラス基板と、ITO電極、有機発光材料層及び陰極がこの順でガラス基板上に積層されてなる有機EL素子と、積層体を覆うように配置された封止缶と、ガラス基板と封止缶とを接着して、ガラス基板と封止缶とによって画成される空間内を密閉する封止材と、封止缶のうち当該空間内に向かう壁面に設けられた乾燥剤とを備える有機EL表示装置が知られている(例えば、下記特許文献1参照)。この有機EL表示装置では、有機EL素子をガラス基板、封止缶及び封止剤で密閉しているので、その密閉空間内に水分が滲入し難くなっており、また、密閉空間内に乾燥剤を配置しているので、密閉空間内に水分が滲入したとしても密閉空間内の吸湿を行えるようになっている。
【特許文献1】特開平9−148066号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、有機EL表示装置の一層の薄型化が要求されている。これに伴い、有機EL表示装置を構成するガラス基板(透明基板)についても薄型化が行われている。
【0005】
しかしながら、ガラス基板が薄くなるほどガラス基板の強度が低下してしまうので、ガラス基板の破損を招く虞が高かった。特に、従来の有機EL表示装置では、ガラス基板上のうち封止缶が設けられていない部分に、有機EL表示装置を駆動するための半導体チップを実装することが一般に行われており、この半導体チップの実装部分においては、主としてガラス基板による強度しかなく、ガラス基板の破損を招く虞が極めて高かった。また、従来の有機EL表示装置では、ガラス基板上に封止缶を設けるようにしていたため、ガラス基板が封止缶を支える程度の強度を有している必要があり、ガラス基板の薄型化に限界があった。
【0006】
そこで、本発明は、透明基板が破損する虞を大きく低減することが可能であると共に全体として薄型化することが可能な有機EL表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る有機EL表示装置は、パッシブマトリクス駆動方式の有機EL表示装置であって、透明基板と、互いに離間するように、透明基板上に配置された複数の第1電極パターンと、複数の第1電極パターンを互いに絶縁すると共に複数の第1電極パターンの表面のうち所定部分が露出するように、透明基板上及び複数の第1電極パターン上に配置された絶縁パターンと、絶縁パターン上に配置された複数の分離体と、複数の第1電極パターン上及び絶縁パターン上に配置された複数の有機EL層と、複数の有機EL層上にそれぞれ対応して配置された複数の第2電極パターンと、無機材料によって構成され、絶縁パターン、複数の分離体、複数の有機EL層及び複数の第2電極パターンを被覆する保護層と、保護層を被覆する樹脂層と、樹脂層上に配置された保護部材と、透明基板上に実装された半導体チップ及びフレキシブルプリント回路基板とを備え、複数の有機EL層及び複数の第2電極パターンは、複数の第1電極パターン、絶縁パターン及び保護層によって囲まれており、保護部材が、透明基板のうち半導体チップ及びフレキシブルプリント回路基板が実装されている部分以外の大部分を覆っていることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る有機EL表示装置では、保護部材が、透明基板のうち半導体チップ及びフレキシブルプリント回路基板が実装されている部分以外の大部分を覆っている。そのため、保護部材により、透明基板の大部分において強度の向上を図ることができる。また、封止缶を必要としないことから、透明基板をより薄型化することができる。その結果、透明基板が破損する虞を大きく低減することが可能であると共に全体として薄型化することが可能となる。さらに、配線パターンが保護部材によって覆われているので、汚染によって配線パターンに腐食等が発生することを防ぐことが可能となる。
【0009】
また、本発明に係る有機EL表示装置は、パッシブマトリクス駆動方式の有機EL表示装置であって、透明基板と、互いに離間するように、透明基板上に配置された複数の第1電極パターンと、複数の第1電極パターンを互いに絶縁すると共に複数の第1電極パターンの表面のうち所定部分が露出するように、透明基板上及び複数の第1電極パターン上に配置された絶縁パターンと、絶縁パターン上に配置された複数の分離体と、複数の第1電極パターン上及び絶縁パターン上に配置された複数の有機EL層と、複数の有機EL層上にそれぞれ対応して配置された複数の第2電極パターンと、無機材料によって構成され、絶縁パターン、複数の分離体、複数の有機EL層及び複数の第2電極パターンを被覆する保護層と、保護層を被覆する樹脂層と、樹脂層上に配置された保護部材と、透明基板上に実装された半導体チップ及びフレキシブルプリント回路基板とを備え、複数の有機EL層及び複数の第2電極パターンは、複数の第1電極パターン、絶縁パターン及び保護層によって囲まれており、保護部材が、樹脂層を介して、透明基板のうち半導体チップ及びフレキシブルプリント回路基板が実装されている部分以外の大部分を覆っていることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る有機EL表示装置では、保護部材が、透明基板のうち半導体チップ及びフレキシブルプリント回路基板が実装されている部分以外の大部分を覆っている。そのため、保護部材により、透明基板の大部分において強度の向上を図ることができる。また、封止缶を必要としないことから、透明基板をより薄型化することができる。その結果、透明基板が破損する虞を大きく低減することが可能であると共に全体として薄型化することが可能となる。さらに、配線パターンが保護部材によって覆われているので、汚染によって配線パターンに腐食等が発生することを防ぐことが可能となる。
【0011】
好ましくは、保護部材が、ガラス板、セラミック板、金属板又は樹脂フィルムである。
【0012】
好ましくは、透明基板が、エッチングガラス又は樹脂フィルムである。
【0013】
好ましくは、透明基板から保護部材までの厚みが0.6mm以下であり、且つ、透明基板の厚みと保護部材の厚みとが実質的に同じであるか、透明基板の厚みが保護部材の厚みよりも厚い。
【0014】
好ましくは、樹脂層のうち分離体の上方以外に位置する部分の厚みが、保護層のうち分離体の上方に位置する部分の表面高さと保護層のうち分離体の上方以外に位置する部分の表面高さとの差よりも大きい。
【0015】
好ましくは、樹脂層のショアA硬度が80以上又は樹脂層のショアD硬度が30以上である。樹脂層のショアA硬度が80未満又は樹脂層のショアD硬度が30未満であると、外力に対して樹脂層が変形しやすいので、有機EL表示装置に外力が与えられた場合に、有機EL層、第1保護膜、第2保護膜等に損傷が生じる傾向にある。
【0016】
好ましくは、樹脂層のガラス転移温度が90℃以上である。有機EL表示装置の使用環境における温度範囲は、一般に、−30℃〜80℃であるから、樹脂のガラス転移温度が90℃未満(特に常温未満)であると、熱衝撃による収縮応力によって、有機EL層、第1保護膜、第2保護膜等に損傷が生じる傾向にある。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、透明基板が破損する虞を大きく低減することが可能であると共に全体として薄型化することが可能な有機EL表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明に係る有機EL表示装置1の好適な実施形態について、図面を参照して説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。また、説明中、「上」なる語を使用することがあるが、これは図面の上方向に対応したものである。さらに、以下では、縦横で3×3の画素を有する有機EL表示装置1を例にとって説明しているが、画素の数や画素の配置構造としてはこれに限定されず、有機EL表示装置1の用途に応じて種々の画素数又は種々の画素の配置構造とすることができるのは勿論である。
【0019】
(有機EL表示装置の構成)
まず、図1〜図4を参照して、有機EL表示装置1の構成について説明する。有機EL表示装置1は、いわゆるパッシブマトリクス駆動方式を採用しており、透明基板10と、複数の配線パターン12と、複数の第1電極パターン14と、絶縁パターン16と、分離体18と、複数の有機EL層20と、複数の第2電極パターン22と、保護層24と、樹脂層26と、保護部材28と、半導体チップ30と、フレキシブルプリント回路(FPC:Flexible Printed Circuit)基板32とを備える。
【0020】
透明基板10は、方形状を呈している。透明基板10の材質としては、特に限定されないが、例えば、エッチングガラス等のガラス基板、樹脂基板、樹脂フィルムが挙げられる。透明基板10の厚みは、例えば、0.2mm〜0.3mm程度に設定することができる。
【0021】
配線パターン12は、図2に示されるように、透明基板10上に複数形成されている。本実施形態においては、後述する図7等に示されるように、3本の配線パターン12Aが、半導体チップ30と各第1電極パターン14とを物理的且つ電気的に接続するように延びており、3本の配線パターン12Bが、半導体チップ30と各第2電極パターン22とを物理的且つ電気的に接続するように延びており、5本の配線パターン12Cが、半導体チップ30とフレキシブルプリント回路基板32とを電気的に接続するように延びている。
【0022】
配線パターン12は、特に限定されるものではなく、例えば補助電極膜、バリアメタル膜若しくは透明電極膜又はこれらが2層以上積層されたものによって構成することができる。
【0023】
第1電極パターン14は、透明基板10上に複数(本実施形態においては3つ)形成されている。各第1電極パターン14は、図3に示されるように、一方向に延在すると共に互いに略平行となるように、透明基板10上に配置されている。各第1電極パターン14は、後述する図7等に示されるように、各配線パターン12Bとそれぞれ物理的且つ電気的に接続されている。
【0024】
第1電極パターン14は、例えばITOによって構成される。第1電極パターン14の厚みは、例えば10nm〜300nm程度に設定することができる。
【0025】
絶縁パターン16は、透明基板10及び第1電極パターン14上に形成されている。絶縁パターン16は、図3に示されるように、複数(本実施形態においては4つ)の第1部分16aと、複数(本実施形態においては4つ)の第2部分16bとを有している。
【0026】
各第1部分16aは、各第1電極パターン14に略直交して延在すると共に互いに略平行となるように、透明基板10及び第1電極パターン14上に配置されている。各第2部分16bは、各第1電極パターン14のうち隣り合う第1電極パターン14間に位置するように、透明基板10及び第1電極パターン14上に配置されている。そのため、絶縁パターン16は、各第1部分16aと各第2部分16bとによって格子状となるように構成されている。
【0027】
絶縁パターン16は、本実施形態において、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、酸化アルミニウム及びこれらに水素が添加された材料のうちいずれか一つを主成分として含んで構成される。絶縁パターン16の厚みは、例えば0.1μm〜10μm程度に設定することができる。
【0028】
絶縁パターン16の水分透過率は、10−3g/m2・day以下であることが好ましい。ここで、水分透過率が10−3g/m2・dayの場合、水1gでの水分子の量が6.02×1023/18[分子/g]であるから、単位時間・単位面積当たりの水分子の数は3.87×1010[個/cm2・s]である。そして、単位面積当たりの有機分子の数が1014[個/cm2]である有機EL層20が100層あると仮定すると、全ての有機分子が破壊されるまでの時間tは、
t=1014×100/(3.87×1010×602)≒71.8[時間]
となる。つまり、水分透過率が10−3g/m2・day以下であれば、絶縁パターン16を形成してから保護層24を形成するまでの間における水分の滲入による有機EL層20でのダークスポットの発生を約1〜2日の間抑制することが可能となる。その結果、有機EL表示装置1を安定して生産することが可能となる。
【0029】
分離体18は、図2〜図4に示されるように、絶縁パターン16の各第1部分16a上にそれぞれ対応して複数(本実施形態においては4つ)形成されている。各分離体18は、各第1部分16a上において、第1部分16aの長手方向に延在すると共に互いに略平行となるように、各第1部分16a上に配置されている。
【0030】
分離体18は、例えば感光性樹脂によって構成される。分離体18の厚みは、有機EL層20及び第2電極パターン22を分離(詳しくは後述する)するのに十分な高さ、例えば1μm〜20μm程度に設定することができる。また、分離体18の形状についても、有機EL層20及び第2電極パターン22が分離(詳しくは後述する)され、その表面に第2電極パターン22が付着しない領域が存在するようなオーバハング形状であればよい。
【0031】
有機EL層20は、図2〜図4に示されるように、各分離体18のうち隣り合う分離体18間に位置するように、各第1電極パターン14上及び絶縁パターン16上に複数(本実施形態においては3つ)配置されている。具体的には、各有機EL層20は、絶縁パターン16の各第1部分16aのうち隣り合う第1部分16aの間に位置している。各有機EL層20のうち延在方向に平行な両縁部は、各第1部分16aのうち延在方向に略平行な縁部を覆っている。また、各有機EL層20は、各分離体18の上面を覆うように配置されている。
【0032】
有機EL層20の材料は、特に限定されないが、例えば正孔輸送層、発光層、電子輸送層によって構成される公知のものを利用できる。有機EL層20の厚みは、例えば5nm〜500nm程度に設定することができる。
【0033】
第2電極パターン22は、各有機EL層20上にそれぞれ対応して複数(本実施形態においては3つ)配置されている。そのため、各第2電極パターン22は、図3に示されるように、一方向に延在すると共に互いに略平行とされている。各第2電極パターン22にのうち延在方向に平行な両縁部は、各有機EL層20のうち延在方向に略平行な縁部の近傍に位置している。各第2電極パターン22は、後述する図13に示されるように、各配線パターン12Aとそれぞれ物理的且つ電気的に接続されている。また、各第2電極パターン22は、各分離体18の上面に形成された各有機EL層20を覆うように配置されている。
【0034】
第2電極パターン22は、例えばAlによって構成される。第2電極パターン22の厚みは、例えば50nm〜1μm程度に設定することができる。
【0035】
保護層24は、図1に示されるように、透明基板10のうち半導体チップ30及びフレキシブルプリント回路基板32が実装されている部分以外の大部分を覆っている。具体的には、図2〜図4に示されるように、保護層24は、配線パターン12、絶縁パターン16、分離体18、有機EL層20及び第2電極パターン22を主として被覆している。そのため、各有機EL層20及び各第2電極パターン22は、各第1電極パターン14、絶縁パターン16及び保護層24によって囲まれることとなる。
【0036】
保護層24は、透明基板10に近い順に第1保護膜24a及び第2保護膜24bを有している。保護膜24(第1保護膜24a及び第2保護膜24b)は、無機材料によって構成される。
【0037】
具体的には、第1保護膜24aは、本実施形態において、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、酸化アルミニウム及びこれらに水素が添加された材料のうちいずれか一つを主成分として含んで構成される。第1保護膜24aの厚みは、例えば0.1μm〜3μm程度に設定することができる。第2保護膜24bは、本実施形態において、SOG(Spin On Glass:ケイ素化合物をアルコール等の有機溶剤に溶解させた塗布液)やポリシラザン等の無機系コーティング材料によって構成される。第2保護膜24bの厚みは、例えば0.5μm〜10μm程度に設定することができる。
【0038】
第1保護膜24aは、各部材の表面を略均一の厚さ(例えば0.1μm〜3μm程度)で覆っている。そのため、第1保護膜24aのうち絶縁パターン16と分離体18との接触部分を覆う部分の近傍には、図4に示されるように、狭隘部Nが形成されている。第2保護膜24bは、この狭隘部Nに入り込むように配置されている。このように、各有機EL層20及び各第2電極パターン22と各分離体18との間に保護層24(第1保護膜24a及び第2保護膜24b)が配置されることにより、各有機EL層20及び各第2電極パターン22と各分離体18とが保護層24によって隔離される。
【0039】
樹脂層26は、透明基板10のうち半導体チップ30及びフレキシブルプリント回路基板32が実装されている部分以外の大部分を被覆するように保護層24上に形成されている。樹脂層26は、例えばエポキシ樹脂等の接着性を有する樹脂によって構成される。樹脂層26のうち各分離体18の上方以外に位置する部分の厚みd1は、保護層24のうち各分離体18の上方に位置する部分の表面高さと保護層24のうち各分離体18の上方以外に位置する部分の表面高さとの差d2(例えば、0.1μm〜10μm程度)よりも大きいと好ましく、例えば5μm〜100μm程度に設定することができる。
【0040】
ここで、樹脂層26のショアA硬度が80以上又は樹脂層26のショアD硬度が30以上であると好ましい。樹脂層26のショアA硬度が80未満又は樹脂層26のショアD硬度が30未満であると、外力に対して樹脂層26が変形しやすいので、有機EL表示装置1に外力が与えられた場合に、有機EL層20、保護層24(第1保護膜24a及び第2保護膜24b)等に損傷が生じる傾向にある。
【0041】
また、樹脂層26のガラス転移温度が90℃以上であると好ましい。有機EL表示装置1の使用環境における温度範囲は、一般に、−30℃〜80℃であるから、樹脂層26のガラス転移温度が90℃未満(特に常温未満)であると、熱衝撃による収縮応力によって、有機EL層20、第1保護膜24a、第2保護膜24b等に損傷が生じる傾向にある。
【0042】
保護部材28は、透明基板10のうち半導体チップ30及びフレキシブルプリント回路基板32が実装されている部分以外の大部分を被覆するように樹脂層26上に配置されている。保護部材28は、例えばガラス板、セラミック板、金属板、樹脂フィルムによって構成される。保護部材28の厚みは、透明基板10の厚みと実質的に同一であるか、透明基板10の厚みよりも薄い(透明基板10の厚みが保護部材28の厚みよりも厚い)ことが好ましく、例えば0.05μm〜0.2μm程度に設定することができる。このとき、透明基板10から保護部材28までの厚み、すなわち、有機EL表示装置1の厚みは、0.6mm以下であると好ましい。
【0043】
半導体チップ30及びフレキシブルプリント回路基板32は、図1及び図2に示されるように、透明基板10上に実装されている。半導体チップ30は、フレキシブルプリント回路基板32を介して入力される信号に基づいて、パッシブマトリクス駆動方式により、所望の画素の発光を制御する。フレキシブルプリント回路基板32は、フレキシブルな外部配線手段である。
【0044】
(有機EL表示装置の製造方法)
続いて、図1、図2及び図5〜図14を参照して、有機EL表示装置1の製造方法について説明する。
【0045】
まず、図5及び図6に示されるように、透明基板10上に配線パターン12(12A〜12C)及び第1電極パターン14を形成する。具体的には、配線パターン12(12A〜12C)及び第1電極パターン14となる透明電極材料をスパッタリングにより透明基板10の全面に成膜し、フォトリソグラフィー法によってパターニングすることで、配線パターン12(12A〜12C)及び第1電極パターン14を形成する。
【0046】
続いて、図7及び図8に示されるように、絶縁パターン16を形成する。具体的には、各第1部分16aが各第1電極パターン14に略直交して延在すると共に互いに略平行となり、また、各第2部分16bが各第1電極パターン14のうち隣り合う第1電極パターン14間に位置するように、無機材料を用いてプラズマCVDやスパッタ法といった蒸着法、原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法等により成膜する。
【0047】
続いて、図9及び図10に示されるように、各分離体18を絶縁パターン16の各第1部分16a上にそれぞれ対応して形成する。具体的には、感光性樹脂等の樹脂材料を用いてフォトリソグラフィー法により各分離体18を形成する。
【0048】
続いて、図11及び図12に示されるように、有機EL層20及び第2電極パターン22を形成する。具体的には、有機EL層20となる公知の材料を用いて蒸着法により、有機EL層20及び第2電極パターン22をそれぞれ成膜する。このとき、各有機EL層20は、各分離体18のうち隣り合う分離体18間に配置されると共に、各分離体18の上面を覆うように配置される。各第2電極パターン22は、各有機EL層20上にそれぞれ対応して配置されると共に、各分離体18の上面に形成された各有機EL層20を覆うように配置される。
【0049】
続いて、図13及び図14に示されるように、透明基板10のうち半導体チップ30及びフレキシブルプリント回路基板32が実装されている部分以外の大部分を覆う保護層24を形成する。具体的には、無機材料を用いてステップカバレッジ性のよいプラズマCVDやスパッタ法といった蒸着法、原子層堆積法等により、第1保護膜24aを成膜する。そして、無機系コーティング材料を第1保護膜24a上に塗布して硬化させることにより、第2保護膜24bを形成する。
【0050】
続いて、図1及び図2に示されるように、樹脂層26及び保護部材28を設ける。具体的には、樹脂層26となる樹脂を第2保護膜24bの所定の領域に塗布し、保護部材28を樹脂に接着させた後、樹脂を硬化させて樹脂層26を形成する。そして、半導体チップ30及びフレキシブルプリント基板32を透明基板10上の所定の位置に搭載する。これにより有機EL表示装置1が完成する。
【0051】
以上のような本実施形態においては、無機材料によって構成された保護層24が、絶縁パターン16、各分離体18、各有機EL層20及び各第2電極パターン22を被覆しており、各有機EL層20及び各第2電極パターン22が、各第1電極パターン14、絶縁パターン16及び保護層24によって囲まれていると共に、絶縁パターン16が無機材料によって構成されている。つまり、各有機EL層20及び各第2電極パターン22と各分離体18とが、無機材料である保護層24及び無機材料である絶縁パターン16によって隔離されている。そのため、各有機EL層20と各分離体18との間で水分が透過することがほとんどない。その結果、分離体18に欠陥があった場合でも、有機EL層20に水分が滲入し難くなるので、水分の滲入によるダークスポットがほとんど発生しなくなる。
【0052】
また、本実施形態においては、保護部材28が、透明基板10のうち半導体チップ30及びフレキシブルプリント回路基板32が実装されている部分以外の大部分を覆っている。そのため、保護部材28により、透明基板10の大部分において強度の向上を図ることができる。また、封止缶を必要としないことから、透明基板10をより薄型化することができる。その結果、透明基板10が破損する虞を大きく低減することが可能であると共に全体として薄型化することが可能となる。さらに、配線パターン12が保護部材28によって覆われているので、汚染によって配線パターン12に腐食等が発生することを防ぐことが可能となる。
【0053】
また、本実施形態においては、保護層24が、透明基板10に近い順に、第1保護膜24a及び第2保護膜24bを有しており、第2保護膜24bが、第1保護膜24aのうち、絶縁パターン16と分離体18との接触部分を覆う部分の近傍に形成された狭隘部Nに入り込むように配置されている。そのため、水分の滲入をより一層防止することが可能となっている。
【0054】
また、本実施形態においては、各配線パターン12が、透明基板10上に配置されると共に、各第1電極パターン14及び各第2電極パターン22にそれぞれ対応するように電気的に接続されており、保護層24が、各配線パターン12の大部分を覆っている。そのため、例えば、各配線パターン12のうち隣り合う配線パターン12の短絡等を防止することが可能となっている。
【0055】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記した実施形態に限定されるものではない。例えば、図15に示されるように、絶縁パターン16が樹脂層16A及び無機材料層16Bによって構成されていてもよい。具体的には、絶縁パターン16のうち少なくとも保護層24及び分離体18と接触している部分が無機材料層16Bとなっており、それ以外の残余部分が樹脂層16Aとなっている。この場合であっても、各有機EL層20及び各第2電極パターン22と各分離体18とが、無機材料である保護層24及び絶縁パターン16のうち無機材料層16Bによって隔離されこととなる。そのため、有機EL層20と分離体18との間で水分が透過することがほとんどない。その結果、分離体18に欠陥があった場合でも、有機EL層20に水分が滲入し難くなるので、水分の滲入によるダークスポットがほとんど発生しなくなる。
【0056】
ここで、樹脂層16Aは、感光性樹脂等の樹脂材料を用いてフォトリソグラフィー法により形成することができる。無機材料層16Bは、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、酸化アルミニウム及びこれらに水素が添加された材料のうちいずれか一つを主成分として含んで構成される無機材料を用いて、プラズマCVDやスパッタ法といった蒸着法、原子層堆積法等により成膜することができる。なお、無機材料層16Bの水分透過率は、10−3g/m2・day以下であることが好ましい。
【0057】
また、図16及び図17に示されるように、分離体18が樹脂層18A及び無機材料層18Bによって構成されていてもよい。具体的には、図16においては、分離体18のうち少なくとも保護層24及び絶縁パターン16と接触している部分が無機材料層18Bとなっており、それ以外の残余部分が樹脂層18Aとなっている。また、図17においては、分離体18のうちいわゆるスペーサとしての機能を発揮している部分が無機材料層16Bとなっており、それ以外の残余部分が樹脂層18Aとなっている。この場合であっても、各有機EL層20及び各第2電極パターン22と各分離体18とが、無機材料である保護層24及び分離体18のうち無機材料層18Bによって隔離されている。そのため、有機EL層20と分離体18との間で水分が透過することがほとんどない。その結果、分離体18に欠陥があった場合でも、有機EL層20に水分が滲入し難くなるので、水分の滲入によるダークスポットがほとんど発生しなくなる。
【0058】
ここで、樹脂層18Aは、感光性樹脂等の樹脂材料を用いてフォトリソグラフィー法により形成することができる。無機材料層18Bは、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、酸化アルミニウム及びこれらに水素が添加された材料のうちいずれか一つを主成分として含んで構成される無機材料を用いて、プラズマCVDやスパッタ法といった蒸着法、原子層堆積法等により成膜することができる。なお、無機材料層18Bの水分透過率は、10−3g/m2・day以下であることが好ましい。
【0059】
また、本実施形態においては、保護層24が、透明基板10のうち半導体チップ30及びフレキシブルプリント回路基板32が実装されている部分以外の大部分を覆っていたが、これに限られない。すなわち、保護層24が、主として絶縁パターン16、分離体18、有機EL層20及び第2電極パターン22を被覆し、配線パターン12については一部のみを保護層24によって覆うようにしてもよい。
【0060】
また、本実施形態においては、保護部材28が1枚の板状体であったが、複数の保護部材を用いて、透明基板10のうち半導体チップ30及びフレキシブルプリント回路基板32が実装されている部分以外の大部分を覆うようにしてもよい。
【実施例1】
【0061】
ここで、樹脂層26の好ましい硬度について、試験により確認した。以下、実施例1−1〜1−6及び図18に基づいて説明する。
【0062】
(実施例1−1)
まず、紫外線硬化型エポキシ樹脂を硬化して、JIS K 7215「プラスチックのデュロメータ硬さ試験方法」に準拠してショアD硬度を測定した。実施例1−1では、ショアD硬度が78であった。
【0063】
次に、同じ紫外線硬化型エポキシ樹脂を用いて樹脂層26が構成された有機EL表示装置1を3つ製作した。そして、各有機EL表示装置1に対して、高温高湿貯蔵試験、熱衝撃試験及び加圧試験をそれぞれ行った。
【0064】
ここで、高温高湿貯蔵試験は、有機EL表示装置1を60℃、湿度90%の環境下に500時間保持するものである。熱衝撃試験は、有機EL表示装置1の環境を、−40℃で30分保持した後に、85℃まで昇温して30分保持し、再び−40℃まで冷却するという熱サイクル(温度変化)を100回繰り返すものである。加圧試験は、剛性を有する支持台上に、保護部材28が下向きになるように有機EL表示装置1を載置して、直径10mmの円柱棒で有機EL表示装置1の中心部分に対し、透明基板10側から200Nの荷重を10秒加えるものである。
【0065】
(実施例1−2〜1−4)
使用する樹脂が紫外線硬化型アクリル樹脂であり、ショアD硬度が58、ショアD硬度が30(ショアA硬度が86)、ショアA硬度が74であること以外は、実施例1−1と同様に実施例1−2〜1−4に係る有機EL表示装置1について各試験を行った。
【0066】
(実施例1−5〜1−6)
使用する樹脂がシリコーン樹脂であり、ショアA硬度が45、ショアA硬度が13であること以外は、実施例1−1と同様に実施例1−5〜1−6に係る有機EL表示装置1について各試験を行った。
【0067】
(評価結果)
各試験終了後に有機EL表示装置1の表示確認を行ったところ、実施例1−1〜1−3に係る有機EL表示装置1では、不具合(ダークスポット)の発生を確認することはできなかった。また、実施例1−4〜1−6に係る有機EL表示装置1では、わずかながら不具合(ダークスポット)が発生していた。従って、樹脂層26のショアA硬度が80以上又は樹脂層26のショアD硬度が30以上であると好ましいことが確認された。
【実施例2】
【0068】
続いて、樹脂層26の好ましいガラス転移温度(Tg)について、試験により確認した。以下、実施例2−1〜2−8及び図21に基づいて説明する。
【0069】
まず、紫外線硬化型エポキシ樹脂を硬化して、動的粘弾性試験(DMA:Dynamic Mechanical Analysis)の損失正接tanδのピーク値からガラス転移温度を測定した。実施例2−1では、ガラス転移温度が102℃であった。
【0070】
次に、同じ紫外線硬化型エポキシ樹脂を用いて樹脂層26が構成された有機EL表示装置1を3つ製作した。そして、各有機EL表示装置1に対して、高温高湿貯蔵試験、熱衝撃試験及び加圧試験をそれぞれ行った。
【0071】
(実施例2−2〜2−3)
ガラス転移温度が110℃、132℃であること以外は、実施例2−1と同様に実施例2−2〜2−3に係る有機EL表示装置1について各試験を行った。
【0072】
(実施例2−4〜2−7)
使用する樹脂が紫外線硬化型アクリル樹脂であり、ガラス転移温度が94℃、72℃、22℃、−18℃であること以外は、実施例2−1と同様に実施例2−4〜2−7に係る有機EL表示装置1について各試験を行った。
【0073】
(実施例2−8)
使用する樹脂がシリコーン樹脂であり、ガラス転移温度が−54℃であること以外は、実施例2−1と同様に実施例2−8に係る有機EL表示装置1について各試験を行った。
【0074】
(評価結果)
各試験終了後に有機EL表示装置1の表示確認を行ったところ、実施例2−1〜2−4に係る有機EL表示装置1では、不具合(ダークスポット)の発生を確認することはできなかった。また、実施例2−5〜2−8に係る有機EL表示装置1では、わずかながら不具合(ダークスポット)が発生していた。従って、樹脂層26のガラス転移温度が90℃以上であると好ましいことが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】図1は、本実施形態に係る有機EL表示装置を示す上面図である。
【図2】図2は、図1のII−II線断面図である。
【図3】図3は、本実施形態に係る有機EL表示装置の一部を破断して示す斜視図である。
【図4】図4は、本実施形態に係る有機EL表示装置の分離体近傍を拡大して示す断面図である。
【図5】図5は、本実施形態に係る有機EL表示装置を製造する一工程を示す上面図である。
【図6】図6は、図5のVI−VI線端面図である。
【図7】図7は、図5の後続の工程を示す上面図である。
【図8】図8は、図7のVIII−VIII線端面図である。
【図9】図9は、図7の後続の工程を示す上面図である。
【図10】図10は、図9のX−X線端面図である。
【図11】図11は、図9の後続の工程を示す上面図である。
【図12】図12は、図11のXII−XII線端面図である。
【図13】図13は、図11の後続の工程を示す上面図である。
【図14】図14は、図13のXIV−XIV線端面図である。
【図15】図15は、本実施形態に係る有機EL表示装置の他の例における分離体近傍を拡大して示す断面図である。
【図16】図16は、本実施形態に係る有機EL表示装置の他の例における分離体近傍を拡大して示す断面図である。
【図17】図17は、本実施形態に係る有機EL表示装置の他の例における分離体近傍を拡大して示す断面図である。
【図18】図18は、実施例1−1〜1−6における各条件及びそれらの評価結果を示す表である。
【図19】図19は、実施例2−1〜2−8における各条件及びそれらの評価結果を示す表である。
【符号の説明】
【0076】
1…有機EL表示装置、10…透明基板、12…配線パターン、14…第1電極パターン、16…絶縁パターン、16a…第1部分、16b…第2部分、18…分離体、20…有機EL層、22…第2電極パターン、24…保護層、24a…第1保護膜、24b…第2保護膜、26…樹脂層、28…保護部材、30…半導体チップ、32…フレキシブルプリント回路基板。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッシブマトリクス駆動方式の有機EL表示装置であって、
透明基板と、
互いに離間するように、前記透明基板上に配置された複数の第1電極パターンと、
前記複数の第1電極パターンを互いに絶縁すると共に前記複数の第1電極パターンの表面のうち所定部分が露出するように、前記透明基板上及び前記複数の第1電極パターン上に配置された絶縁パターンと、
前記絶縁パターン上に配置された複数の分離体と、
前記複数の第1電極パターン上及び前記絶縁パターン上に配置された複数の有機EL層と、
前記複数の有機EL層上にそれぞれ対応して配置された複数の第2電極パターンと、
無機材料によって構成され、前記絶縁パターン、前記複数の分離体、前記複数の有機EL層及び前記複数の第2電極パターンを被覆する保護層と、
前記保護層を被覆する樹脂層と、
前記樹脂層上に配置された保護部材と、
前記透明基板上に実装された半導体チップ及びフレキシブルプリント回路基板とを備え、
前記複数の有機EL層及び前記複数の第2電極パターンは、前記複数の第1電極パターン、前記絶縁パターン及び前記保護層によって囲まれており、
前記保護部材が、前記透明基板のうち前記半導体チップ及び前記フレキシブルプリント回路基板が実装されている部分以外の大部分を覆っていることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項2】
パッシブマトリクス駆動方式の有機EL表示装置であって、
透明基板と、
互いに離間するように、前記透明基板上に配置された複数の第1電極パターンと、
前記複数の第1電極パターンを互いに絶縁すると共に前記複数の第1電極パターンの表面のうち所定部分が露出するように、前記透明基板上及び前記複数の第1電極パターン上に配置された絶縁パターンと、
前記絶縁パターン上に配置された複数の分離体と、
前記複数の第1電極パターン上及び前記絶縁パターン上に配置された複数の有機EL層と、
前記複数の有機EL層上にそれぞれ対応して配置された複数の第2電極パターンと、
無機材料によって構成され、前記絶縁パターン、前記複数の分離体、前記複数の有機EL層及び前記複数の第2電極パターンを被覆する保護層と、
前記保護層を被覆する樹脂層と、
前記樹脂層上に配置された保護部材と、
前記透明基板上に実装された半導体チップ及びフレキシブルプリント回路基板とを備え、
前記複数の有機EL層及び前記複数の第2電極パターンは、前記複数の第1電極パターン、前記絶縁パターン及び前記保護層によって囲まれており、
前記保護部材が、前記透明基板のうち前記半導体チップ及び前記フレキシブルプリント回路基板が実装されている部分以外の大部分を覆っていることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項3】
前記保護部材が、ガラス板、セラミック板、金属板又は樹脂フィルムであることを特徴とする、請求項1又は2に記載された有機EL表示装置。
【請求項4】
前記透明基板が、エッチングガラス又は樹脂フィルムであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載された有機EL表示装置。
【請求項5】
前記透明基板から前記保護部材までの厚みが0.6mm以下であり、且つ、前記透明基板の厚みと前記保護部材の厚みとが実質的に同じであるか、前記透明基板の厚みが前記保護部材の厚みよりも厚いことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載された有機EL表示装置。
【請求項6】
前記樹脂層のうち前記分離体の上方以外に位置する部分の厚みが、前記保護層のうち前記分離体の上方に位置する部分の表面高さと前記保護層のうち前記分離体の上方以外に位置する部分の表面高さとの差よりも大きいことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載された有機EL表示装置。
【請求項7】
前記樹脂層のショアA硬度が80以上又は前記樹脂層のショアD硬度が30以上であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載された有機EL表示装置。
【請求項8】
前記樹脂層のガラス転移温度が90℃以上であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載された有機EL表示装置。
【請求項1】
パッシブマトリクス駆動方式の有機EL表示装置であって、
透明基板と、
互いに離間するように、前記透明基板上に配置された複数の第1電極パターンと、
前記複数の第1電極パターンを互いに絶縁すると共に前記複数の第1電極パターンの表面のうち所定部分が露出するように、前記透明基板上及び前記複数の第1電極パターン上に配置された絶縁パターンと、
前記絶縁パターン上に配置された複数の分離体と、
前記複数の第1電極パターン上及び前記絶縁パターン上に配置された複数の有機EL層と、
前記複数の有機EL層上にそれぞれ対応して配置された複数の第2電極パターンと、
無機材料によって構成され、前記絶縁パターン、前記複数の分離体、前記複数の有機EL層及び前記複数の第2電極パターンを被覆する保護層と、
前記保護層を被覆する樹脂層と、
前記樹脂層上に配置された保護部材と、
前記透明基板上に実装された半導体チップ及びフレキシブルプリント回路基板とを備え、
前記複数の有機EL層及び前記複数の第2電極パターンは、前記複数の第1電極パターン、前記絶縁パターン及び前記保護層によって囲まれており、
前記保護部材が、前記透明基板のうち前記半導体チップ及び前記フレキシブルプリント回路基板が実装されている部分以外の大部分を覆っていることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項2】
パッシブマトリクス駆動方式の有機EL表示装置であって、
透明基板と、
互いに離間するように、前記透明基板上に配置された複数の第1電極パターンと、
前記複数の第1電極パターンを互いに絶縁すると共に前記複数の第1電極パターンの表面のうち所定部分が露出するように、前記透明基板上及び前記複数の第1電極パターン上に配置された絶縁パターンと、
前記絶縁パターン上に配置された複数の分離体と、
前記複数の第1電極パターン上及び前記絶縁パターン上に配置された複数の有機EL層と、
前記複数の有機EL層上にそれぞれ対応して配置された複数の第2電極パターンと、
無機材料によって構成され、前記絶縁パターン、前記複数の分離体、前記複数の有機EL層及び前記複数の第2電極パターンを被覆する保護層と、
前記保護層を被覆する樹脂層と、
前記樹脂層上に配置された保護部材と、
前記透明基板上に実装された半導体チップ及びフレキシブルプリント回路基板とを備え、
前記複数の有機EL層及び前記複数の第2電極パターンは、前記複数の第1電極パターン、前記絶縁パターン及び前記保護層によって囲まれており、
前記保護部材が、前記透明基板のうち前記半導体チップ及び前記フレキシブルプリント回路基板が実装されている部分以外の大部分を覆っていることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項3】
前記保護部材が、ガラス板、セラミック板、金属板又は樹脂フィルムであることを特徴とする、請求項1又は2に記載された有機EL表示装置。
【請求項4】
前記透明基板が、エッチングガラス又は樹脂フィルムであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載された有機EL表示装置。
【請求項5】
前記透明基板から前記保護部材までの厚みが0.6mm以下であり、且つ、前記透明基板の厚みと前記保護部材の厚みとが実質的に同じであるか、前記透明基板の厚みが前記保護部材の厚みよりも厚いことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載された有機EL表示装置。
【請求項6】
前記樹脂層のうち前記分離体の上方以外に位置する部分の厚みが、前記保護層のうち前記分離体の上方に位置する部分の表面高さと前記保護層のうち前記分離体の上方以外に位置する部分の表面高さとの差よりも大きいことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載された有機EL表示装置。
【請求項7】
前記樹脂層のショアA硬度が80以上又は前記樹脂層のショアD硬度が30以上であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載された有機EL表示装置。
【請求項8】
前記樹脂層のガラス転移温度が90℃以上であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載された有機EL表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2010−27502(P2010−27502A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−189958(P2008−189958)
【出願日】平成20年7月23日(2008.7.23)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月23日(2008.7.23)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】
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